(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】キャパシタ及びその製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
H01G 11/80 20130101AFI20230626BHJP
H01G 11/36 20130101ALI20230626BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20230626BHJP
H01G 11/28 20130101ALI20230626BHJP
【FI】
H01G11/80
H01G11/36
H01G11/86
H01G11/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575398
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 CN2020128953
(87)【国際公開番号】W WO2022077686
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011110770.3
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202022310215.7
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518405050
【氏名又は名称】恵州億緯▲リ▼能股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】EVE ENERGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 38, Huifeng 7th Road, Zhongkai Hi-Tech Zone Huizhou, Guangdong 516006, China
(71)【出願人】
【識別番号】522475122
【氏名又は名称】恵州億緯創能電池有限公司
【氏名又は名称原語表記】EVE HYPERPOWER BATTERIES INC.
【住所又は居所原語表記】NO. 63, Huitai Industrial Park, Zhongkai High-Tech Zone Huizhou, Guangdong 516006, China
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】卜芳
(72)【発明者】
【氏名】羅垂意
(72)【発明者】
【氏名】祝媛
(72)【発明者】
【氏名】袁中▲直▼
(72)【発明者】
【氏名】劉建華
(72)【発明者】
【氏名】劉金成
【テーマコード(参考)】
5E078
【Fターム(参考)】
5E078AA12
5E078AB01
5E078AB13
5E078BB30
5E078EA03
5E078EA06
5E078EA14
(57)【要約】
本開示は、キャパシタ及びその製造方法及び使用に関する。ケーシング(10)と、ケーシング(10)内に位置するセルと、ケーシング(10)の開口に位置するシールデバイスとを含むキャパシタにおいて、シールデバイスは、セルに接続され、前記シールデバイスは極柱(3)を含み、極柱(3)の外周には、上から下へ順に金属円環(4)と絶縁部材(5)が嵌設され、極柱(3)の外周面に、頂部から下向きに第1の環状噛み合い面が設けられ、金属円環(4)の内周面に、頂部から下向きに第2の環状噛み合い面が設けられ、第1の環状噛み合い面は第2の環状噛み合い面と合致して噛み合い、絶縁部材(5)には、径方向に沿って開口外向きの凹溝が設けられ、凹溝内にカバープレート(1)が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、前記ケーシング内に位置するセルと、前記ケーシングの開口に位置するシールデバイスと、を含むキャパシタであって、
前記シールデバイスは、セルに接続され、
前記シールデバイスは極柱を含み、前記極柱の外周には、上から下へ順に金属円環と絶縁部材が嵌設され、
前記極柱の外周面に、頂部から下向きに第1の環状噛み合い面が設けられ、前記金属円環の内周面に、頂部から下向きに第2の環状噛み合い面が設けられ、前記第1の環状噛み合い面は第2の環状噛み合い面と合致して噛み合い、
前記絶縁部材には、径方向に沿って開口外向きの凹溝が設けられ、前記凹溝内にカバープレートが設けられている、キャパシタ。
【請求項2】
前記極柱は、柱体及び前記柱体の底部に固定する台座を含む、請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記台座の上端面に、環状突起が設けられ、前記絶縁部材の下端面に、前記環状突起の位置に合致する環状凹溝が設けられている、請求項2に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記柱体は、台座と一体成形され、
好ましくは、前記台座の外周面の絶縁部材に近い側に、第1の環状突起が設けられ、第1の環状突起の外周に沿って第1の接続材が設けられ、前記台座は、前記第1の接続材を介して絶縁部材と固定され、
好ましくは、前記台座と絶縁部材との固定方法は、溶接及び/又は接着を含み、
好ましくは、前記台座の下端面は、セルに接続され、前記接続方法は、レーザ溶接、超音波溶接、ツイスト溶接のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含むことが好ましい、請求項2又は3に記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記極柱の材質は、酸化還元電位が鉄より高い金属及び/又は合金を含み、アルミニウム、モリブデン、アルミニウム合金又はモリブデン合金のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであることが好ましく、アルミニウム合金及び/又はモリブデン合金であることがさらに好ましく、
好ましくは、前記絶縁部材の材質は、絶縁セラミック、絶縁塗料又はマイカのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、絶縁セラミックであることが好ましく、
好ましくは、前記金属円環の材質は、アルミニウム合金、ステンレス鋼合金又はモリブデン合金のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、304ステンレス鋼合金、316ステンレス鋼合金又は316Lステンレス鋼合金のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであることが好ましい、請求項1~4の何れか一項に記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記第1の環状噛み合い面及び第2の環状噛み合い面は、いずれも階段状構造であり、
好ましくは、前記第1の環状噛み合い面の階段の数≧1であり、1~10であることが好ましく、
好ましくは、前記第2の環状噛み合い面の階段の数≧1であり、1~10であることが好ましく、
好ましくは、前記第2の環状噛み合い面の階段の数は、前記第1の環状噛み合い面の階段の数と同じであり、
好ましくは、前記第1の環状噛み合い面は、第2の環状噛み合い面と合致して噛み合い、その後、溶融溶接により固定接続され、
好ましくは、前記金属円環の外周面の絶縁部材に近い側に第2の環状突起が設けられ、第2の環状突起の外周に沿って第2の接続材が設けられ、前記金属円環は第2の接続材を介して絶縁部材と固定接続され、
好ましくは、前記金属円環と絶縁部材との固定接続方法は溶接を含み、
好ましくは、前記絶縁部材と極柱との固定接続方法は溶接を含み、
好ましくは、前記絶縁部材の外周面のカバープレートに近い側に第3の環状突起が設けられ、第3の環状突起の外周に沿って第3の接続材が設けられ、前記絶縁部材は、第3の接続材を介してカバープレートに固定され、
好ましくは、前記絶縁部材の凹溝に入り込んだ一部のカバープレートの厚さは、残りのカバープレートの厚さよりも大きく、
好ましくは、前記カバープレートと絶縁部材との固定方法は溶接を含み、
好ましくは、前記カバープレートの上端面は、ケーシングの上端面と面一となり、
好ましくは、前記カバープレートの周方向外縁に、ケーシングの開口方向に折り返した外縁が設けられ、前記外縁はケーシングの開口に貼り付けられ、
好ましくは、前記外縁の高さは0.02~0.08mmであり、
好ましくは、前記シールデバイスは、ダミーカバーをさらに含み、前記ダミーカバーは、極柱の上端面に設けられ、極柱と金属円環にそれぞれ接続されている、請求項1~5の何れか一項に記載のキャパシタ。
【請求項7】
前記セルは、正極シートと負極シートとを含み、
好ましくは、前記正極は、正極集電体と、正極集電体の表面に順に配置された接着層と正極材料層とを含み、
好ましくは、前記接着層は、第1の接着剤を含み、前記正極材料層は、第2の接着剤、導電剤、正極活物質、及びリチウムリッチ化合物を含む、請求項1~6の何れか一項に記載のキャパシタ。
【請求項8】
前記接着層の厚さは、0.5~10μmであり、好ましくは1~5μmであり、
好ましくは、前記導電剤は、第1の導電剤及び第2の導電剤を含み、前記第1の導電剤は、黒鉛粉末、導電性カーボンブラック又はアセチレンブラックのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の導電剤は、グラフェン系材料及び1次元炭素材料のうちの少なくとも1つを含み、
好ましくは、前記正極活物質は、リチウム含有正極活物質及び炭素系正極活物質を含み、
好ましくは、前記リチウム含有正極活物質は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸第一鉄リチウム、ニッケル・コバルト・マンガン三元系材料、ニッケル・コバルト・アルミニウム三元系材料又はニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム四元系材料のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、ニッケル酸リチウム、ニッケル・コバルト・マンガン三元系材料、ニッケル・コバルト・アルミニウム三元系材料又はニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム四元系材料のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであることが好ましく、
好ましくは、前記炭素系正極活物質は、活性炭、グラフェン、ドープグラフェン又は多孔質バイオマス炭素のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、
好ましくは、前記導電性カーボンブラックは、粒子径が10~200nmである小粒子の導電性カーボンブラック及び/又は粒子径が1~30μmである大粒子の導電性カーボンブラックを含み、
好ましくは、前記グラフェン系材料は、グラフェン、酸化グラフェン又はドープグラフェンのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、
好ましくは、前記1次元炭素材料は、カーボンナノチューブ及び/又は炭素繊維を含み、
好ましくは、前記正極材料層において、グラフェン系材料と1次元炭素材料の質量比は(1-2):(3-6)であり、
好ましくは、前記第1の接着剤及び第2の接着剤は可溶性フッ素樹脂であり、
好ましくは、前記第1の接着剤及び第2の接着剤は、独立してPVDF、PTFE又はPFAから選ばれるいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであり、
好ましくは、前記リチウムリッチ化合物は、Li
2NiO
2、Li
5FeO
4、Li
3N、Li
2O、Li
2O
2又はM/フッ化リチウム複合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、
その中、Mは、Co、Ni又はFeのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、Li
2NiO
2、Li
3N又はM/フッ化リチウム複合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであることが好ましい、請求項1~7の何れか一項に記載のキャパシタ。
【請求項9】
前記接着層は、さらに、第3の導電剤を含み、前記第3の導電剤は、導電性カーボンブラックであることが好ましく、
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記第1の接着剤と第2の接着剤の全質量分率は、2%~10%であり、
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記第1の導電剤の質量分率は、1%~6%であり、
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記グラフェン系材料と1次元炭素材料の全質量分率は、0.5%~3%であり、
好ましくは、前記第3の導電剤と第1の接着剤の質量比は(1-5):1であり、好ましくは(2-4):1であり、
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記リチウム含有正極活物質の質量分率は5%~80%であり、
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記炭素系正極活物質の質量分率は10%~90%であり、
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記正極活物質の質量分率は、85%~95%であり、
好ましくは、前記リチウム含有正極活物質と炭素系正極活物質の質量比は1:0.5~1.5であり、好ましくは1:1~1:1.2であり、
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記リチウムリッチ化合物の質量分率は2%~30%である、請求項1~8の何れか一項に記載のキャパシタ。
【請求項10】
前記負極シートは、負極集電体と、負極集電体の表面に位置する負極材料層とを含み、
好ましくは、前記負極材料層は、接着剤、導電剤、及び負極活物質を含み、
好ましくは、前記負極材料層における負極活物質は、黒鉛、非晶質炭素、ケイ素炭素、ケイ素酸素、チタン酸リチウム、グラフェン、酸化スズ又はスズ合金のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、
好ましくは、前記負極材料層における接着剤は、PVDF、PTFE又はアクリロニトリル多価共重合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む、請求項1~9の何れか一項に記載のキャパシタ。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載のキャパシタの製造方法であって、以下のステップを含み、
ステップ(1):第2の接着剤、導電剤、正極活物質、及びリチウムリッチ化合物を混合し、正極スラリーを得て、前記導電剤は、第1の導電剤及び第2の導電剤を含み、前記第1の導電剤は、黒鉛粉末、導電性カーボンブラック又はアセチレンブラックのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の導電剤は、グラフェン系材料及び1次元炭素材料のうちの少なくとも1つを含み、
ステップ(2):正極集電体の表面に第1の接着剤を含む分散液を塗布し、1回目のベーキングを行い、接着層を調製し、そしてステップ(1)で得られた正極スラリーを前記接着層の表面に塗布し、2回目のベーキングを行い、中間製品を得て、中間製品をプレスし、3回目のベーキングを行い、正極シートを得て、
ステップ(3):負極活物質、溶媒、接着剤、導電剤、弱酸及びアルコールを混合し、負極スラリーを得て、負極集電体の表面に負極スラリーを塗布し、ベーキングして、負極シートを得て、
前記弱酸は、シュウ酸、酢酸又はクエン酸のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、
前記アルコールは、イソプロパノール、イソブタノール又はエチレングリコールのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、
ステップ(4):前記正極シートと負極シートをセルとし、ケーシングに入れ、電解液を注入し、シールデバイスを用いてシールし、前記キャパシタを得る、キャパシタの製造方法。
【請求項12】
ステップ(2)に記載の正極集電体は、腐食集電体、塗布集電体、純粋な集電体、又は貫通穴集電体のいずれか1つを含み、
好ましくは、ステップ(2)に記載の分散液において、接着剤の質量分率は1%~10%であり、好ましくは2%~8%であり、
好ましくは、ステップ(2)に記載の分散液は、第3の導電剤を含み、
好ましくは、ステップ(2)に記載の1回目のベーキングする温度は60~180℃であり、好ましくは80~150℃であり、
好ましくは、ステップ(2)に記載の接着層の厚さは0.5~10μmであり、好ましくは1~5μmであり、
好ましくは、ステップ(2)に記載の2回目のベーキングする温度は80~150℃であり、好ましくは100~130℃であり、
好ましくは、ステップ(2)に記載のプレスの速度は2~50m/minであり、
好ましくは、ステップ(2)に記載のプレスの方法は冷間プレス及び/又は熱間プレスであり、
好ましくは、前記冷間プレスの温度は0~45℃であり、
好ましくは、前記熱間プレスの温度は60~270℃であり、好ましくは80~250℃であり、
好ましくは、ステップ(2)に記載の3回目のベーキングする方法は、真空ベーキングを含み、
好ましくは、前記真空ベーキングの真空度は5~200Paであり、
好ましくは、ステップ(2)に記載の3回目のベーキングする温度は、80~150℃であり、
好ましくは、ステップ(2)に記載の3回目のベーキングする時間は、10~60minであり、
好ましくは、ステップ(1)及び(2)において、環境の温度20~30℃、湿度3%~40%に制御して、
好ましくは、ステップ(3)において、負極スラリーの全質量を100%として、負極活物質の質量分率は40%~45%であり、接着剤の質量分率は1.2%~3%であり、導電剤の質量分率は1.5%~3%であり、弱酸の質量分率は0.1%~0.2%であり、アルコールの質量分率は0.2%~0.3%であり、及び溶媒の質量分率は、45%~60%である、請求項11に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項13】
請求項1~10の何れか一項に記載のキャパシタのインダストリアルIoT分野での使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、キャパシタの技術分野に属し、キャパシタ及びその製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化学電源技術の発展に伴い、キャパシタ技術は、二次電池及びスーパーキャパシタを「内部交差」させ、パワー密度とエネルギー密度が高く、サイクル寿命が長く、充放電効率が高く、及び安全性が高い等の特性を兼ね備えている。しかし、社会の発展に伴い、キャパシタのエネルギー密度、動作温度範囲、信頼性、及び安全性に対してより高い要求が出されている。
【0003】
現在、リチウムイオンキャパシタは商業化されているが、エネルギー密度は制限され、8~10Wh/kgしかなく、市場では、ほとんどのリチウムイオンキャパシタは、-30℃~60℃での放電しか実現できない。また、ほとんどのリチウムイオンキャパシタに採用されているガードル構造は、85℃&85%RHの条件で貯蔵されると、リークが発生しやすく、インダストリアルIoT電源のニーズを満たすことができない。電極配合とシール性は、デバイスの性能に影響を与える重要な一環として、現在の研究重点となっている。
【0004】
CN10763957Aは、リチウムイオンキャパシタの製造方法及びリチウムイオンキャパシタを開示している。製造方法は、正極活物質、導電剤、接着剤を混合して正極電極フィルムに圧延し、さらに正極電極フィルムを第1の集電体と複合して乾燥し、正極シートを形成する正極シート作製ステップと、負極活物質、導電剤、接着剤を混合して負極電極フィルムに圧延し、さらに負極電極フィルムと第2の集電体を複合して乾燥し、負極シートを形成する負極シート作製ステップと、リチウム源スラリーを正極シートの表面に塗布し、順に乾燥、プレス、裁断、真空乾燥を経て、リチウム源予め設置複合正極シートを作製するリチウム源予め設置ステップと、リチウム源予め設置複合正極シート、セパレータ、負極シートをセルとし、セルをケースに入れ、電解液を注入し、リチウムイオンキャパシタとするリチウムイオンキャパシタ作製ステップと、リチウムイオンキャパシタを活性化し、放置してエージングし、リチウムイオンキャパシタを得るリチウムイオンキャパシタ活性化ステップと、を含む。当該発明は、リチウムイオンキャパシタのエネルギー密度を高めるが、プロセスが複雑で、製造コストが高い。
【0005】
CN20763945Uは、スーパーキャパシタ本体を含むハイシール型スーパーキャパシタを開示している。前記スーパーキャパシタ本体の上に2つの外部端子が固定接続され、前記スーパーキャパシタ本体の外部に、スーパーキャパシタ本体の4つの面を囲む保護ケースが固定的に取り付けられ、前記保護ケースは、保護ケースの中心線に対して対称な2つの第1の緩衝板及び2つの第2の緩衝板が嵌合して接着され、前記第1の緩衝板は、中空板、弾性ブロック、ゴム板、折り畳みベルト、及び第1のアルミニウム板を含み、前記中空板の上端に弾性ブロックが可動的に取り付けられ、2つの弾性ブロックの間はゴム板を介して一体に固定接続され、前記第2の緩衝板は、発泡ブロック、プラスチック板、弾性板、及び第2のアルミニウム板を含む。当該ハイシール型スーパーキャパシタは、第1の緩衝板及び第2の緩衝板が、キャパシタの使用時にキャパシタの保護ケースへのダメージを低減することができるので、シール性を向上させ、キャパシタが故障して爆発した場合にも緩衝作用を果たすことができるが、85℃&85%RH 192h保存試験に合格することはできない。
【0006】
CN103078069Aは、リチウムイオン電池キャパシタ用シール材を開示している。それは、上押さえ環、カバープレート、絶縁ガスケット及びタブ押さえ環を含み、さらに、シール剤及び十字形の極柱を含み、上押さえ環、カバープレート及びタブ押さえ環には、それぞれ1つの貫通穴が設けられ、3つの貫通穴の中心軸は同じである。シール剤は、カバープレートの貫通穴及びカバープレートの上下面と射出成形により一体構造であり、シール剤にカバープレートの貫通穴の中心軸と同じ貫通穴が設けられる。極柱は、極柱大頭と、極柱小頭と、極柱大頭及び極柱小頭と一体構造である極柱横板とを含み、極柱大頭は、シール剤の貫通穴及び上押さえ環の貫通穴を貫通し、上押さえ環にリベット締結され、極柱小頭は、タブ押さえ環の貫通穴を貫通して、タブ押さえ環にリベット締結され、極柱横板は、シール剤の底面に貼り付けられて接続されている。本発明は、シール剤を用いてカバープレートと極柱をシールし、リベット締結により極柱と上押さえ環及びカバープレートをシールし、それによって完全密封を実現し、シール性を向上させる。しかしながら、実際の使用過程では、そのシール効果を強化する必要がある。
【0007】
上記文献の研究に基づいて、インダストリアルIoT電源の応用を満たし、シール性能が良く、エネルギー密度が高く、レート性能が良く、動作温度範囲が広いキャパシタをどのように開発するかは、早急に解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願の目的は、キャパシタ及びその製造方法及び使用を提供することを含む。前記キャパシタは、密封性能が良く、エネルギー密度が高く、-50~125℃でのハイレート放電が可能であるとともに、85℃&85%RHの条件での貯蔵が可能であり、インダストリアルIoT電源のニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本出願は、以下の技術方案を採用する。
【0010】
第1の態様では、本出願はキャパシタ、特にハイブリットキャパシタを提供し、前記キャパシタは、ケーシングと、前記ケーシング内に位置するセルと、前記ケーシングの開口に位置するシールデバイスと、を含み、前記シールデバイスが、セルに接続されている。
【0011】
前記シールデバイスは極柱を含み、前記極柱の外周には、上から下へ順に金属円環と絶縁部材が嵌設されている。
【0012】
前記極柱の外周面に、頂部から下向きに第1の環状噛み合い面が設けられ、前記金属円環の内周面に、頂部から下向きに第2の環状噛み合い面が設けられ、前記第1の環状噛み合い面は第2の環状噛み合い面と合致して噛み合う。
【0013】
前記絶縁部材には、径方向に沿って開口外向きの凹溝が設けられ、前記凹溝内にカバープレートが設けられている。
【0014】
本出願では、前記シールデバイスは、極柱の外周に第1の環状噛み合い面が設けられ、金属円環の内周に第2の環状噛み合い面が設けられ、第1の環状噛み合い面と第2の環状噛み合い面とが協働して噛み合い構造を形成することにより、シール効果を強化させ、前記シールデバイスのシール性を向上させる。前記金属円環、極柱、絶縁部材及びカバープレートが協働して、シールデバイスのシール性能を向上させるとともに、前記キャパシタの完全密封を実現し、前記キャパシタの完全密封シール性<1.0×10-6Pa・m2/s(ヘリウム質量分析)であり、85℃&85%RHの条件での貯蔵が可能であり、インダストリアルIoT電源のニーズを満たす。
【0015】
なお、本出願は、第1の環状噛み合い面及び第2の環状噛み合い面の具体的な形状構造が限定されず、好ましくは階段状の噛み合い構造であるが、これに限定されるものではない。もちろん、他の形態の噛み合い構造、例えば、相互に協働する曲面状(波形)、鋸歯状等の噛み合い構造も、本出願に同様に適用されることは理解すべきである。
【0016】
本出願では、前記キャパシタの種類について、具体的に限定されず、電気二重層キャパシタであってもよく、ハイブリットキャパシタであってもよく、当業者に知られている種類であれば、いずれも本出願に適用される。
【0017】
本出願では、凹溝の配置方法について、特に限定されず、レーザー構造であってもよく、射出成形であってもよく、当業者が常用する方法であれば、いずれも本出願に適用される。
【0018】
本出願の好ましい技術方案として、前記極柱の材質は、酸化還元電位が鉄より高い金属及び/又は合金を含み、アルミニウム、モリブデン、アルミニウム合金又はモリブデン合金のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであることが好ましく、アルミニウム合金及び/又はモリブデン合金であることがさらに好ましい。
【0019】
本出願では、前記極柱は、電解腐食に耐える金属及び/又は合金の材質を採用し、電気伝導率を高め、アルミニウム合金及び/又はモリブデン合金であることがさらに好ましく、前記アルミニウム合金及び/又はモリブデン合金は、複合極柱に属し、酸化に耐え、電位が高い。
【0020】
好ましくは、前記絶縁部材の材質は、絶縁セラミック、絶縁塗料又はマイカのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、絶縁セラミックであることが好ましい。
【0021】
好ましくは、前記金属円環の材質は、アルミニウム合金、ステンレス鋼合金又はモリブデン合金のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、304ステンレス鋼合金、316ステンレス鋼合金又は316Lステンレス鋼合金のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであることが好ましい。
【0022】
本出願の好ましい技術方案として、前記極柱は、柱体及び前記柱体の底部に固定する台座を含む。
【0023】
好ましくは、前記柱体は、台座と一体成形される。
【0024】
本出願では、柱体と台座が固定された後、逆T字形となるように一体成形され、極柱と金属円環、絶縁部材との噛み合いを向上させ、シール性能をさらに向上させることができる。
【0025】
好ましくは、前記台座の上端面に、環状突起が設けられ、前記絶縁部材の下端面に、前記環状突起の位置に合致する環状凹溝が設けられている。
【0026】
本出願では、環状突起と環状凹溝が協働して、密接に結合された噛み合い構造を形成することにより、シール効果を強化し、極柱と絶縁部材との間のシール性能をさらに向上させることができる。なお、本出願では、上記環状突起の個数は特に限定されず、また当該環状突起は、連続していてもよいし間隔をあけて設けてもよい。
【0027】
好ましくは、前記台座の外周面の絶縁部材に近い側に、第1の環状突起が設けられ、第1の環状突起の外周に沿って第1の接続材が設けられ、前記台座は、前記第1の接続材を介して絶縁部材と固定されている。
【0028】
本出願では、台座と絶縁部材の外縁との接続箇所に第1の接続材を設けることにより、台座と絶縁部材との間のシール効果をさらに向上させることができる。なお、本出願では、好ましくは、第1の接続材を採用して溶接固定し、もちろん、第1の接続材を使用せずに、直接に台座と絶縁部材との溶接固定をしてもよい。第1の接続材による固定方法を採用する場合、台座と絶縁部材との接触位置に第1の環状突起の構造が設けられ、第1の接続材は第1の環状突起を囲むように配置されるべきである。
【0029】
好ましくは、前記台座と絶縁部材との固定方法は、溶接及び/又は接着を含む。
【0030】
本出願では、台座と絶縁部材は、多重接続によりシールを実現し、キャパシタのシール性能をさらに向上させる。
【0031】
好ましくは、前記台座の下端面は、セルに接続され、前記接続方法は、レーザ溶接、超音波溶接、ツイスト溶接のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含むことが好ましい。
【0032】
本出願の好ましい技術方案として、前記第1の環状噛み合い面及び第2の環状噛み合い面は、いずれも階段状構造である。
【0033】
本出願では、第1の環状噛み合い面と第2の環状噛み合い面が協働して、階段状噛み合い構造を形成し、階段式の多重溶接は、シール効果を強化させることができる。
【0034】
好ましくは、前記第1の環状噛み合い面の階段の数は≧1であり、例えば、2、3、4、6、8又は10等であってもよく、1~10であることが好ましい。
【0035】
好ましくは、前記第2の環状噛み合い面の階段の数は≧1であり、例えば、2、3、4、6、8又は10等であってもよく、1~10であることが好ましい。
【0036】
好ましくは、前記第2の環状噛み合い面の階段の数は、前記第1の環状噛み合い面の階段の数と同じである。
【0037】
好ましくは、前記第1の環状噛み合い面は、第2の環状噛み合い面と合致して噛み合い、その後、溶融溶接により固定接続されている。
【0038】
好ましくは、前記金属円環の外周面の絶縁部材に近い側に第2の環状突起が設けられ、第2の環状突起の外周に沿って第2の接続材が設けられ、前記金属円環は第2の接続材を介して絶縁部材と固定接続されている。
【0039】
本出願では、金属円環と絶縁部材の外縁との接続箇所に第2の接続材を設けることにより、金属円環と絶縁部材との間のシール効果をさらに向上させることができる。なお、本出願では、好ましくは、第2の接続材を採用して溶接固定し、もちろん、第2の接続材を使用せずに、直接に金属円環と絶縁部材との溶接固定をしてもよい。第2の接続材による固定方法を採用する場合、金属円環と絶縁部材との接触位置に第2の環状突起が設けられ、第2の接続材は第2の環状突起を囲むように配置されるべきである。
【0040】
好ましくは、前記金属円環と絶縁部材との固定接続方法は、溶接を含む。
【0041】
好ましくは、前記絶縁部材と極柱との固定接続方法は、溶接を含む。
【0042】
好ましくは、前記絶縁部材の外周面のカバープレートに近い側に第3の環状突起が設けられ、第3の環状突起の外周に沿って第3の接続材が設けられ、前記絶縁部材は、第3の接続材を介してカバープレートに固定されている。
【0043】
なお、絶縁部材とカバープレートとの接続は、絶縁部材の両側面がカバープレートの上端面とカバープレートの下端面にそれぞれ接触することを含む。
【0044】
好ましくは、前記絶縁部材の凹溝に入り込んだ一部のカバープレートの厚さは、残りのカバープレートの厚さよりも大きい。
【0045】
本出願では、カバープレートと絶縁部材の外縁との接続箇所に第3の接続材を設けることにより、カバープレートと絶縁部材との間のシール効果をさらに向上させることができる。なお、本出願では、好ましくは、第3の接続材を採用して溶接固定し、もちろん、第3の接続材を使用せずに、直接に絶縁部材とカバープレートとの溶接固定をしてもよい。第3の接続材による固定方法を採用する場合、絶縁部材とカバープレートとの接触位置に第3の環状突起が設けられ、第3の接続材は第3の環状突起を囲むように配置されるべきである。
【0046】
なお、本出願では、第1の接続材、第2の接続材及び第3の接続材の材質について、具体的に限定されず、金属材質であってもよく、シール効果を発揮できる接続材であり、当業者が常用する接続材であれば、いずれも本出願に適用される。
【0047】
好ましくは、前記カバープレートと絶縁部材との固定方法は、溶接を含む。
【0048】
好ましくは、前記カバープレートの上端面は、ケーシングの上端面と面一となる。
【0049】
好ましくは、前記カバープレートの周方向外縁に、ケーシングの開口方向に折り返した外縁が設けられ、前記外縁はケーシングの開口に貼り付けられる。
【0050】
本出願では、外縁を設けることにより、カバープレートの外縁をケーシングの開口により良く貼り付けることができ、シール性能の向上に有利であり、特に、溶接による接続を採用することを容易にする。
【0051】
好ましくは、前記外縁の高さは0.02~0.08mmであり、例えば、0.02mm、0.04mm、0.06mm又は0.08mm等であってもよい。
【0052】
好ましくは、前記シールデバイスは、ダミーカバーをさらに含み、前記ダミーカバーは、極柱の上端面に設けられ、極柱と金属円環にそれぞれ接続されている。
【0053】
本出願の好ましい技術方案として、前記セルは、正極シート及び負極シートを含む。
【0054】
好ましくは、前記正極は、正極集電体と、正極集電体の表面に順に配置された接着層と正極材料層とを含む。
【0055】
好ましくは、前記接着層は、第1の接着剤を含み、前記正極材料層は、第2の接着剤、導電剤、正極活物質、及びリチウムリッチ化合物を含む。
【0056】
本出願の好ましい技術方案として、前記接着層の厚さは、0.5~10μmであり、例えば0.5μm、1μm、2μm、4μm、6μm、8μm、9μm又は10μm等であってもよく、1~5μmであることが好ましい。前記厚さが0.5μm未満であると、導電性接着層の粉材に対する接着力が小さく、タブの抵抗を効果的に減少させ粉材の欠落を防止することができず、厚さが10μmを超えると、タブの厚さが大きくなり、デバイスのエネルギー密度を高めるのに不利である。
【0057】
好ましくは、前記導電剤は、第1の導電剤及び第2の導電剤を含み、前記第1の導電剤は、黒鉛粉末、導電性カーボンブラック又はアセチレンブラックのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の導電剤は、グラフェン系材料及び1次元炭素材料のうちの少なくとも1つを含む。
【0058】
本出願に係る正極材料層において、グラフェン系材料及び/又は1次元炭素材料は、3次元立体導電性ネットワークを構築し、黒鉛粉末、導電性カーボンブラック又はアセチレンブラックのうちの少なくとも1つの粒子は、導電性ネットワークの内部及び/又は表面に分散し、完全な導電性システムを形成し、材料の電気伝導率を向上させる。
【0059】
好ましくは、前記正極活物質は、リチウム含有正極活物質及び炭素系正極活物質を含む。
【0060】
好ましくは、前記リチウム含有正極活物質は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸第一鉄リチウム、ニッケル・コバルト・マンガン三元系材料、ニッケル・コバルト・アルミニウム三元系材料又はニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム四元系材料のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、ニッケル酸リチウム、ニッケル・コバルト・マンガン三元系材料、ニッケル・コバルト・アルミニウム三元系材料又はニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム四元系材料のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであることが好ましい。
【0061】
好ましくは、前記炭素系正極活物質は、活性炭、グラフェン、ドープグラフェン又は多孔質バイオマス炭素のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。
【0062】
本出願では、前記炭素系正極活物質は比較的に大きな比表面積を有し、一般的に、比表面積は1500m2/g以上であり、例えば、1500m2/g、1600m2/g、1700m2/g、1800m2/g、2000m2/g又は2100m2/g等であり、リチウム含有正極活物質と混合することでキャパシタのエネルギー密度の向上を実現することができる。
【0063】
好ましくは、前記導電性カーボンブラックは、粒子径が10~200nmである小粒子の導電性カーボンブラック及び/又は粒子径が1~30μmである大粒子の導電性カーボンブラックを含み、例えば、小粒子の導電性カーボンブラックの粒子径は、10nm、15nm、20nm、50nm、80nm、100nm、120nm、150nm、180nm、190nm又は200nm等であってもよく、大粒子の導電性カーボンブラックの粒子径は、1μm、3μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、28μm又は30μm等であってもよい。
【0064】
本出願では、小粒子の導電性カーボンブラック又は大粒子の導電性カーボンブラックの種類は、具体的に限定されず、SPであってもよく、当業者が常用する物質であれば、いずれも本出願に適用される。
【0065】
好ましくは、前記グラフェン系材料は、グラフェン、酸化グラフェン又はドープグラフェンのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。
【0066】
好ましくは、前記1次元炭素材料は、カーボンナノチューブ及び/又は炭素繊維を含む。
【0067】
好ましくは、前記正極材料層におけるグラフェン系材料と1次元炭素材料の質量比は(1-2):(3-6)であり、この好ましい比率で、正極材料層において超導電性ネットワークが形成され、優れた電気伝導率が得られる。前記質量比は、例えば、1:3、1:4、1:5、1:6、2:3、2:5又は2:6等であってもよく、前記質量分率が1:6未満であると、正極で三次元導電性ネットワークを構築するのが困難であり、質量分率が2:3を超えると、グラフェン系材料の分散が困難であり、デバイスの内部抵抗が増大する。グラフェン系材料は、第2の導電剤の構成部分であってもよいし、炭素系正極活物質の構成部分であってもよく、正極材料層にある限り、上記含有量の範囲内に含まれることが理解しやすい。
【0068】
好ましくは、前記第1の接着剤及び第2の接着剤は可溶性フッ素樹脂である。
【0069】
好ましくは、前記第1の接着剤及び第2の接着剤は、独立してPVDF、PTFE又はPFAから選ばれるいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであり、その中、PVDFとPFA、PFAとPTFEの組み合わせが典型的であるが、これらに限定されない。
【0070】
好ましくは、前記リチウムリッチ化合物は、Li2NiO2、Li5FeO4、Li3N、Li2O、Li2O2又はM/フッ化リチウム複合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、その中、Mは、Co、Ni又はFeのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、Li2NiO2、Li3N又はM/フッ化リチウム複合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであることが好ましい。その中、Li2NiO2とLi5FeO4、Li3NとLi2O、Li2OとLi2O2、Li3NとLi2OとLi2O2、Li2NiO2とNi/フッ化リチウム複合体、Li2NiO2、Li3N又はM/フッ化リチウム複合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せが典型的であるが、これらに限定されない。
【0071】
前記「M/フッ化リチウム複合体」は、金属Mとフッ化リチウムとの複合体である。
【0072】
本出願の好ましい技術方案として、前記接着剤は、第3の導電剤をさらに含み、前記第3の導電剤は、導電性カーボンブラックであることが好ましい。
【0073】
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記第1の接着剤と第2の接着剤の全質量分率は、2%~10%であり、例えば、2%、3%、5%、6%、8%又は10%等であってもよい。
【0074】
第1の接着剤と第2の接着剤の配合比は特に限定されず、当業者は必要に応じて選択することができる。
【0075】
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記第1の導電剤の質量分率は、1%~6%であり、例えば、1%、2%、3%、4%、5%又は6%等であってもよい。
【0076】
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記グラフェン系材料と1次元炭素材料の全質量分率は、0.5%~3%であり、例えば、0.5%、1%、2%、2.5%又は3%等であってもよい。前記質量が0.5%未満であると、デバイスの低温レート性能に影響を与え、質量が3%を超えると、デバイスの内部抵抗が増大し、電気的性能に影響を与える。グラフェン系材料は、第2の導電剤の構成部分であってもよいし、炭素系正極活物質の構成部分であってもよく、正極材料層にある限り、上記含有量の範囲内に含まれることが理解しやすい。
【0077】
好ましくは、前記第3の導電剤と第1の接着剤の質量比は、(1-5):1であり、例えば、1:1、2:1、3:1、4:1又は5:1等であってもよく、(2-4):1であることが好ましい。
【0078】
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記リチウム含有正極活物質の質量分率は、5%~80%であり、例えば、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%等であってもよい。
【0079】
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記炭素系正極活物質の質量分率は、10%~90%であり、例えば、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%等であってもよい。
【0080】
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記正極活物質の質量分率は、85%~95%であり、例えば、85%、88%、90%、92%、93%又は95%等であってもよい。
【0081】
好ましくは、前記リチウム含有正極活物質と炭素系正極活物質の質量比は、1:0.5~1.5であり、例えば、1:0.5、1:0.8、1:0.9、1:1、1:1.2、1:1.3又は1:1.5等であり、1:1~1:1.2であることが好ましい。
【0082】
好ましくは、接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記リチウムリッチ化合物の質量分率2%~30%であり、例えば、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%又は30%等であってもよい。前記質量が2%未満であると、デバイスの容量及び放電中央値電圧が低く、質量が30%を超えると、デバイスの原材料コストが増大する。
【0083】
本出願の好ましい技術方案として、前記負極シートは、負極集電体と、負極集電体の表面に位置する負極材料層とを含む。
【0084】
好ましくは、前記負極材料層は、接着剤、導電剤、及び負極活物質を含む。
【0085】
好ましくは、前記負極材料層における負極活物質は、黒鉛、非晶質炭素、ケイ素炭素、ケイ素酸素、チタン酸リチウム、グラフェン、酸化スズ又はスズ合金のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。
【0086】
好ましくは、前記負極材料層における接着剤は、PVDF、PTFE又はアクリロニトリル多価共重合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。
【0087】
第2の態様では、本出願は、以下のステップを含む第1の態様に記載されたキャパシタの製造方法を提供する。
【0088】
ステップ(1):第2の接着剤、導電剤、正極活物質、及びリチウムリッチ化合物を混合し、正極スラリーを得て、前記導電剤は、第1の導電剤及び第2の導電剤を含み、前記第1の導電剤は、黒鉛粉末、導電性カーボンブラック又はアセチレンブラックのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の導電剤は、グラフェン系材料及び1次元炭素材料のうちの少なくとも1つを含む。
【0089】
ステップ(2):正極集電体の表面に第1の接着剤を含む分散液を塗布し、1回目のベーキングを行い、接着層を調製し、そしてステップ(1)で得られた正極スラリーを前記接着層の表面に塗布し、2回目のベーキングを行い、中間製品を得て、中間製品をプレスし、3回目のベーキングを行い、正極シートを得る。
【0090】
ステップ(3):負極活物質、溶媒、接着剤、導電剤、弱酸及びアルコールを混合し、負極スラリーを得て、負極集電体の表面に負極スラリーを塗布し、ベーキングして、負極シートを得る。
【0091】
前記弱酸は、シュウ酸、酢酸又はクエン酸のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。
【0092】
前記アルコールは、イソプロパノール、イソブタノール又はエチレングリコールのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。
【0093】
ステップ(4):前記正極シートと負極シートをセルとし、ケーシングに入れ、電解液を注入し、シールデバイスを用いてシールし、前記キャパシタを得る。
【0094】
本出願に係る製造方法は、正極集電体の表面に第1の接着剤を含む分散液を塗布し、その後、プレスしてベーキングすることによって、正極各物質と集電体の結合をより緊密にし、タブの内部抵抗を低下させ、ハイパワー充放電性能を向上させる。第1の導電剤及び第2の導電剤で、3次元立体導電性ネットワークを構築することができる。リチウムリッチ酸化物と正極活物質は、充電中に供給するリチウムイオンが負極に入り、リチウム吸蔵挙動を行うので、負極は、リチウム予備吸蔵のステップを行う必要がなく、プロセスが簡略化され、生産コストを低減し、高い応用価値を有する。正極材料層におけるリチウムリッチ化合物と正極活物質は、充電中にリチウムイオンが脱離して負極に入り、負極がリチウム予備吸蔵を行う必要がなく、前記ハイブリットキャパシタの作製プロセスが簡単となり、コストが低いとともにエネルギー密度及びレート性能を向上させ、前記レート性能は、室温レート性能と低温レート性能を含み、前記レート性能は、室温レート性能、高温レート性能及び低温レート性能を含み、IoT電源のニーズを満たすことができる。
【0095】
本出願では、ステップ(1)に記載の正極スラリーの混合方法は具体的に限定されず、1つのステップで混合してもよいし、複数のステップに分けて混合してもよく、例えば、2つのステップ、3つのステップ、4つのステップなどに分けてもよく、当業者は必要に応じて調製することができる。好ましくは、グラフェン系材料以外のガス物質をドライブレンドして混合粉末を得て、その後、グラフェン系材料を前記混合粉末と混合し、最後に有機溶媒を加えて均一に混合し、正極スラリーを得た。本出願では、有機溶媒の種類は具体的に限定されず、当業者が常用する有機溶媒であれば、いずれも本出願に適用される。
【0096】
好ましくは、ステップ(2)に記載の正極集電体は、腐食集電体、塗布集電体、純粋な集電体、又は貫通穴集電体のいずれか1つを含む。
【0097】
好ましくは、ステップ(2)に記載の分散液において、接着剤の質量分率は1%~10%であり、例えば、1%、3%、5%、8%、9%又は10%等であり、好ましくは2%~8%である。
【0098】
好ましくは、ステップ(2)に記載の分散液において、さらに、第3の導電剤を含む。
【0099】
好ましくは、ステップ(2)に記載の1回目のベーキングする温度は、60~180℃であり、例えば、60℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、100℃、120℃、140℃、160℃、170℃又は180℃等であってもよく、好ましくは80~150℃である。前記温度が60℃未満であると、有机溶媒を乾燥することができず、温度が180℃を超えると、タブは割れる可能性がある。
【0100】
好ましくは、ステップ(2)に記載の接着層の厚さは、0.5~10μmであり、例えば0.5μm、1μm、2μm、4μm、6μm、8μm、9μm又は10μm等であってもよく、好ましくは1~5μmである。前記厚さが0.5μm未満であると、導電性接着層の粉材に対する接着力が小さく、タブの抵抗を効果的に減少させ、粉材の欠落を防止することができず、厚さが10μmを超えると、タブの厚さが大きくなり、デバイスのエネルギー密度を高めるのに不利である。
【0101】
好ましくは、ステップ(2)に記載の2回目のベーキングする温度は、80~150℃であり、例えば、80℃、85℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃又は150℃等であってもよく、好ましくは100~130℃である。前記温度が80℃未満であると、タブに残留された溶媒と水分を除去することができず、温度が150℃を超えると、タブはベーキングされすぎて、粉末が落ちる可能性がある。
【0102】
好ましくは、ステップ(2)に記載のプレスの速度は、2~50m/minであり、例えば、2m/min、5m/min、10m/min、20m/min、25m/min、30m/min、35m/min、40m/min、45m/min、48m/min又は50m/min等であってもよい。前記速度が2m/min未満であると、タブの生産効率が低く、速度が50m/minを超えると、接着層とスラリーを良好に接着することができない。
【0103】
好ましくは、ステップ(2)に記載のプレスの方法は、冷間プレス及び/又は熱間プレスである。
【0104】
好ましくは、前記冷間プレスの温度は、0~45℃であり、例えば、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、30℃、40℃又は45℃等であってもよい。
【0105】
好ましくは、前記熱間プレスの温度は、60~270℃であり、例えば、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、160℃、180℃、190℃、200℃、230℃、250℃又は270℃等であってもよく、好ましくは80~250℃である。前記温度が60℃未満であると、接着層内の接着剤を熱溶融することができず、接着力の発生に不利であり、温度が270℃を超えると、接着剤の構造は破壊される可能性がある。
【0106】
好ましくは、ステップ(2)に記載の3回目のベーキングする方法は、真空ベーキングを含む。
【0107】
好ましくは、前記真空ベーキングの真空度は、5~200Paであり、例えば、5Pa、10Pa、15Pa、20Pa、50Pa、80Pa、100Pa、150Pa、180Pa又は200Pa等であってもよい。
【0108】
好ましくは、ステップ(2)に記載の3回目のベーキングする温度は、80~150℃であり、例えば、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、135℃、140℃、145℃又は150℃等であってもよい。
【0109】
好ましくは、ステップ(2)に記載の3回目のベーキングする時間は、10~60minであり、例えば、10min、10min、20min、30min、40min、50min又は60min等であってもよい。
【0110】
好ましくは、ステップ(1)及び(2)において、環境温度20~30℃、湿度3%~40%に制御し、例えば、温度が20℃、22℃、25℃、26℃、28℃又は30℃等であってもよく、湿度が3%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%又は40%等であってもよい。
【0111】
好ましくは、ステップ(3)において、負極スラリーの全質量を100%として、負極活物質の質量分率は40%~45%であり、例えば、40%、41%、42%又は45%等であり、接着剤の質量分率は1.2%~3%であり、例えば、1.2%、1.5%、1.8%、2%、2.5%又は3%等であり、導電剤の質量分率は1.5%~3%であり、例えば、1.5%、1.8%、2.1%、2.4%、2.7%又は3%等であり、弱酸の質量分率は0.1%~0.2%であり、例えば、0.1%、0.12%、0.14%又は0.2%等であり、アルコールの質量分率は0.2%~0.3%であり、例えば、0.2%、0.2%、0.24%又は0.3%等であり、溶媒の質量分率は45%~60%であり、例えば、45%、50%、5%又は60%等である。
【0112】
第3の態様では、本出願は、第1の態様に記載のキャパシタのインダストリアルIoT分野での使用を提供する。
【0113】
本出願は、先行技術と比較して、少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0114】
(1)本出願に係るキャパシタは、前記シールデバイスの使用により、完全密封シール性<1.0×10-6Pa・m2/s(ヘリウム質量分析)を実現し、良好なシール性能を有し、85℃&85%RHの条件での貯蔵が可能である。
【0115】
(2)本出願に係るキャパシタの製造方法は、正極シートに接着層を設けることにより、正極の各物質と正極集電体との結合を向上させ、導電剤で、3次元立体導電性ネットワークを構築することができ、導電性を向上させ、リチウムイオンの輸送に有利である。リチウムリッチ酸化物及び正極活物質は、充電中に供給するリチウムイオンが負極に入り、リチウム吸蔵挙動を行うので、負極は、リチウム予備吸蔵を行う必要がなく、エネルギー密度が高く、動作温度範囲が広く、ハイレート充放電性能を実現する。
【0116】
(3)本出願に係るキャパシタの製造方法は、負極にアルコールを使用して接着剤の極性を減少し、負極活物質と接着剤との相溶性を向上させるとともに、接着剤の網状架橋を促進し、接着強度を高めることにより、調製されたキャパシタの負極シートの表面に均一に分散させ、剥離力が高い(≧0.09N)。正極シート及び/又は負極シートの使用により、キャパシタの限界動作温度性能を改善し、-50~125℃でのハイレート放電が可能であり、ここで、-50℃で150Cレートで0.1sパルス放電し、最低電圧は1.9V以上であり、長寿命や動作温度範囲が広い特性を有し、インダストリアルIoTの電源に対するニーズを満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
図1は、本出願に係るキャパシタの構造断面図である。
図2は、本出願に係るキャパシタのシールデバイスの断面図である。
図3は、本出願に係るキャパシタのシールデバイスの断面部分拡大図である。
ここで、1-カバープレート、2-ダミーカバー、3-極柱、4-金属円環、5-絶縁部材、6-正極タブ、7-負極タブ、8-セパレータ、9-負極シート、10-ケーシング、11-正極シート。
【発明を実施するための形態】
【0118】
理解すべきのは、本出願に記載された説明において、用語の「中心」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」等が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、単に本出願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、指定されたデバイス又は素子が特定の方位を持って、特定の方位で構成されて操作される必要があることを示したり暗示したりするものではないので、本出願に対する制限とは理解できない。また、用語の「第1」、「第2」等は、説明の目的でのみ使用され、相対的な重要性を示したり暗示したり、あるいは指示された技術的特徴の数を暗黙的に示しているとは理解できない。それによって、「第1」、「第2」等で限定される特徴は、1つ又は複数の特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本出願に記載された説明において、「複数」は、特に記載がない限り、2つ以上を意味する。
【0119】
なお、本出願に記載された説明において、用語の「設置」、「連結」、「接続」は、特に明確な規定及び限定がない限り、広義に理解されるべきである。例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体接続であってもよい。機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよい。直接接続してもよいし、中間媒体を介して間接的に接続してもよいし、2つの要素の内部連通であってもよい。本出願における上記用語の具体的な意味は、当業者にとって具体的な状況によって理解することができる。
【0120】
以下、図面を参照しながら、具体的な実施形態により本出願の技術方案をさらに説明する。
【0121】
具体的な実施形態では、本出願は、
図1に示すキャパシタを提供し、前記キャパシタは、ケーシング10と、前記ケーシング10内に位置するセルと、前記ケーシング10の開口に位置するシールデバイスと、を含み、前記シールデバイスは、セルに接続されている。シールデバイスは、極柱3を含み、極柱3の外周には、上から下へ順に金属円環4と絶縁部材5が嵌設されている。絶縁部材5は、径方向に沿って開口外向きの凹溝が設けられ、凹溝内にカバープレート1が設けられている。
【0122】
極柱3の外周面に、頂部から下向きに第1の環状噛み合い面が設けられ、金属円環4の内周面に、頂部から下向きに第2の環状噛み合い面が設けられ、第1の環状噛み合い面は第2の環状噛み合い面と合致して噛み合う。第1の環状噛み合い面は、第2の環状噛み合い面と合致して噛み合い、その後、溶融溶接により固定接続されている。
【0123】
第1の環状噛み合い面と第2の環状噛み合い面が協働して噛み合い構造を形成するとともに、金属円環4、極柱3、絶縁部材5及びカバープレート1が協働して、シールデバイスのシール性能を向上させるとともに、前記キャパシタの完全密封を実現し、前記キャパシタの完全密封性<1.0×10-6Pa・m2/s(ヘリウム質量分析)であり、85℃&85%RHの条件での貯蔵が可能であり、インダストリアルIoT電源のニーズを満たすことができる。
【0124】
具体的には、第1の環状噛み合い面及び第2の環状噛み合い面は、いずれも階段状構造である。さらに、第1の環状噛み合い面の階段の数≧1であり、第2の環状噛み合い面の階段の数は、前記第1の環状噛み合い面の階段の数と同じである。
【0125】
階段式の多重溶接は、さらに、シール効果を強化させ、前記シールデバイスのシール性を向上させることができる。
【0126】
なお、本具体的な実施形態は、第1の環状噛み合い面及び第2の環状噛み合い面の具体的な形状構造を限定するものではなく、好ましくは階段状の噛み合い構造であるが、これに限定されるものではない。もちろん、他の形態の噛み合い構造、例えば、相互に協働する曲面状(波形)、鋸歯状等の噛み合い構造も、本出願に同様に適用されることは理解すべきである。
【0127】
極柱3は、柱体及び柱体の底部に固定する台座を含み、極柱3と台座は、逆T字形となるように一体成形される。台座の上端面に環状突起が設けられ、絶縁部材5の下端面に環状突起の位置に合致する環状凹溝が設けられている。環状突起と環状凹溝が協働して、密接に結合された噛み合い構造を形成することにより、シール効果を強化し、極柱3と絶縁部材5との間のシール性能をさらに向上させることができる。なお、本出願で限定される環状突起は、完全な一回りの環状突起であってもよいし、間隔をあけて分布されたいくつかの突起で囲まれた環状であってもよい。もちろん、上記環状突起の個数は特に限定されず、また当該環状突起は、連続していてもよいし間隔をあけて設けてもよい。
【0128】
前記台座の外周面の絶縁部材5に近い側に、第1の環状突起が設けられ、第1の環状突起の外周に沿って第1の接続材が設けられ、前記台座は、前記第1の接続材を介して絶縁部材5と固定されている。本具体的な実施形態において、好ましくは、第1の接続材を採用して溶接固定し、もちろん、第1の接続材を使用せずに、直接に台座を絶縁部材5と溶接してもよい。第1の接続材による固定方法を採用する場合、接触位置に第1の環状突起が設けられ、第1の接続材は第1の環状突起を囲むように配置されるべきである。
【0129】
台座の下端面は、セルに接続され、好ましくは、接続方法は、レーザ溶接、超音波溶接、ツイスト溶接を含む。
【0130】
金属円環4の外周面の絶縁部材5に近い側に第2の環状突起が設けられ、第2の環状突起の外周に沿って第2の接続材が設けられ、金属円環4は第2の接続材を介して絶縁部材5と固定接続されている。金属円環4と絶縁部材5の外縁との接続箇所に第2の接続材を設けることにより、金属円環4と絶縁部材5との間のシール効果をさらに向上させることができる。さらに、金属円環4と絶縁部材5との固定接続方法は、溶接を含む。本具体的な実施形態において、好ましくは、第2の接続材を採用して金属円環4と絶縁部材5を溶接固定し、もちろん、第2の接続材を使用せずに、直接に金属円環4を絶縁部材5と溶接してもよい。第2の接続材による固定方法を採用する場合、接触位置に第2の環状突起が設けられ、第2の接続材は第2の環状突起を囲むように配置されるべきである。
【0131】
絶縁部材5の外周面のカバープレート1に近い側に第3の環状突起が設けられ、第3の環状突起の外周に沿って第3の接続材が設けられ、絶縁部材5は第3の接続材を介してカバープレート1と固定されている。カバープレート1と絶縁部材5の外縁との接続箇所に第3の接続材を設けることにより、カバープレート1と絶縁部材5との間のシール効果をさらに向上させることができる。さらに、カバープレート1と絶縁部材5との固定方法は、溶接を含む。本具体的な実施形態において、好ましくは、第3の接続材を採用してカバープレート1と絶縁部材5を溶接固定し、もちろん、第3の接続材を使用せずに、直接にカバープレート1を絶縁部材5と溶接してもよい。第3の接続材による固定方法を採用する場合、接触位置に第3の環状突起が設けられ、第3の接続材は第3の環状突起を囲むように配置されるべきである。
【0132】
なお、第1の接続材、第2の接続材及び第3の接続材の材質について、いずれも具体的な要求や特別な限定はなく、金属材質であってもよく、シール効果を発揮できる接続材であり、当業者が常用する接続材であれば、いずれも本出願に適用される。
【0133】
絶縁部材の凹溝に入り込んだ一部のカバープレート1の厚さは、残りのカバープレート1の厚さよりも大きく、カバープレート1の上端面は、ケーシング10の上端面と面一となる。
【0134】
好ましくは、カバープレート1の周方向外縁に、ケーシング10の開口方向に折り返した外縁が設けられ、前記外縁は、ケーシング10の開口に貼り付けられ、外縁の高さは0.02~0.08mmである。外縁を設けることにより、カバープレート1の外縁をケーシング10の開口により良く貼り付けることができ、シール性能の向上に有利であり、特に、溶接による接続を採用することを容易にする。
【0135】
シールデバイスは、さらに、ダミーカバー2を含み、ダミーカバー2が、極柱3の上端面に設けられ、極柱3と金属円環4にそれぞれ接続されている。
【0136】
セルは正極シート11、セパレータ8、及び負極シート9を含み、前記セパレータ8は前記正極シート11と負極シート9との間に位置し、正極シート11は正極集電体と、正極集電体の表面に順に配置された接着層と正極材料層とを含み、正極集電体は空箔領域を含み、空箔領域に正極タブ6が溶接されている。負極シート9は、負極集電体と、負極集電体の表面に位置する負極材料層とを含み、負極集電体は空箔領域を含み、空箔領域に負極タブ7が溶接されている。もちろん、上述した正、負集電体の空箔領域は、タブとして導体を追加溶接することなく、そのままタブとして使用してもよい。
【0137】
接着層は、第1の接着剤を含み、正極材料層は、第2の接着剤、導電剤、正極活物質、及びリチウムリッチ化合物を含む。接着層の厚さは、0.5~10μmであることが好ましい。
【0138】
導電剤は、第1の導電剤及び第2の導電剤を含み、第1の導電剤は、黒鉛粉末、導電性カーボンブラック又はアセチレンブラックのうちの少なくとも1つを含み、導電性カーボンブラックは、粒子径が10~200nmである小粒子の導電性カーボンブラック及び/又は粒子径が1~30μmである大粒子の導電性カーボンブラックを含む。第2の導電剤は、グラフェン系材料及び1次元炭素材料のうちの少なくとも1つを含む。ここで、グラフェン系材料は、グラフェン、酸化グラフェン又はドープグラフェンのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、1次元炭素材料は、カーボンナノチューブ及び/又は炭素繊維を含む。
【0139】
正極活物質は、リチウム含有正極活物質及び炭素系正極活物質を含み、ここで、リチウム含有正極活物質は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸第一鉄リチウム、ニッケル・コバルト・マンガン三元系材料、ニッケル・コバルト・アルミニウム三元系材料又はニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム四元系材料のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。炭素系正極活物質は、活性炭、グラフェン、ドープグラフェン又は多孔質バイオマス炭素のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。
【0140】
正極材料層におけるグラフェン系材料と1次元炭素材料の質量比は(1-2):(3-6)であり、第1の接着剤及び第2の接着剤は可溶性フッ素樹脂である。第1の接着剤及び第2の接着剤は、独立してPVDF、PTFE又はPFAから選ばれるいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであり、リチウムリッチ化合物は、Li2NiO2、Li5FeO4、Li3N、Li2O、Li2O2又はM/フッ化リチウム複合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、その中、Mは、Co、Ni又はFeのいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、Li2NiO2、Li3N又はM/フッ化リチウム複合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せであることが好ましい。
【0141】
接着層は、さらに、第3の導電剤を含み、第3の導電剤は導電性カーボンブラックであることが好ましい。接着層と正極材料層の全質量を100%として、第1の接着剤及び第2の接着剤の全質量分率は、2%~10%である。接着層と正極材料層の全質量を100%として、第1の導電剤の質量分率は、1%~6%である。接着層と正極材料層の全質量を100%として、グラフェン系材料及び1次元炭素材料の全質量分率は、0.5%~3%である。第3の導電剤と第1の接着剤の質量比は、(1-5):1であることが好ましい。接着層と正極材料層の全質量を100%として、リチウム含有正極活物質の質量分率は、5%~80%である。接着層と正極材料層の全質量を100%として、炭素系正極活物質の質量分率は、10%~90%である。接着層と正極材料層の全質量を100%として、正極活物質の質量分率は、85%~95%である。リチウム含有正極活物質と炭素系正極活物質の質量比は、1:0.5~1.5である。接着層と正極材料層の全質量を100%として、前記リチウムリッチ化合物の質量分率は、2%~30%である。
【0142】
負極シート9は、負極集電体と、負極集電体の表面に位置する負極材料層とを含む。負極材料層は、接着剤、導電剤、及び負極活物質を含む。負極材料層における負極活物質は、黒鉛、非晶質炭素、ケイ素炭素、ケイ素酸素、チタン酸リチウム、グラフェン、酸化スズ又はスズ合金のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。負極材料層における接着剤は、PVDF、PTFE又はアクリロニトリル多価共重合体のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む。
【0143】
実施例1
本実施例は、具体的な実施形態に記載のキャパシタの製造方法を提供し、前記キャパシタはハイブリットキャパシタであり、前記方法は、以下のステップを含む。
【0144】
ステップ(1):黒鉛粉末、PVDF、活性炭、コバルト酸リチウム、及びLi2NiO2を3hドライブレンドした後、グラフェンとカーボンナノチューブの混合物を加え、2h攪拌混合し、そしてNMPを加えて、4h攪拌し、正極スラリーを得る。
【0145】
ここで、黒鉛粉末の質量分率は4%であり、活性炭の質量分率は40wt%であり、コバルト酸リチウムの質量分率は45wt%であり、リチウムリッチ化合物であるLi2NiO2の質量分率は5%であり、グラフェン及びカーボンナノチューブの全質量分率は1%であり、グラフェンとカーボンナノチューブの質量比は1:4である。
【0146】
ステップ(2):集電体の表面に質量分率3%のPTFE分散液を塗布し、PVDFとPTFEの総質量分率を5wt%とし、90℃でベーキングし、導電性接着層を調製し、接着層の厚さを1μmに制御してから、ステップ(1)で得られた正極スラリーを前記接着層の表面に塗布し、85℃でベーキングし、中間製品を得る。
【0147】
ここで、ステップ(1)及びステップ(2)は、いずれも環境の温度25℃、湿度5%で行われた。
【0148】
ステップ(3):ステップ(2)で得られた中間製品を、ロールプレス速度2m/min、温度140℃に制御して熱間プレスし、140℃、真空度5Paの条件下で、30minベーキングし、正極シートを得る。
【0149】
ステップ(4):前記負極スラリーの全質量を100%として、質量分率42%の非晶質炭素、質量分率1.4%のPTFE、質量分率2.3%の導電性カーボンブラック、質量分率0.18%のクエン酸、質量分率0.2%のイソブタノール、及び超純水を攪拌し、固形分含有量が45.7%、粘度が4500cpである負極スラリーを得て、負極スラリーを銅箔の表面に塗布し、110℃にて0.5hベーキングし、前記負極シート9を得る。
【0150】
ステップ(5):正極シート11と負極シート9をセパレータ8で仕切り、巻き取ってセルを得て、そしてケーシング10に入れ、リチウムイオン電解液を注入し、実施例1におけるシールデバイスを用いてシールし、前記キャパシタを得る。
【0151】
実施例2
本実施例は、具体的な実施形態に記載のキャパシタの製造方法を提供し、前記キャパシタはハイブリットキャパシタであり、前記方法は、以下のステップを含む。
【0152】
ステップ(1):アセチレンブラック、PTFE、酸化グラフェン、マンガン酸リチウム及びLi3Nを1hドライブレンドした後、グラフェンとカーボンナノチューブの混合物を加え、2h攪拌混合し、そしてNMPを加えて、5h攪拌し、正極スラリーを得る。
【0153】
アセチレンブラックの質量分率は1%であり、マンガン酸リチウムの質量分率は84.5wt%であり、グラフェンの質量分率は10wt%であり、リチウムリッチ化合物であるLi3Nの質量分率は2%である。酸化グラフェンとカーボンナノチューブの質量分率は0.5%であり、酸化グラフェンとカーボンナノチューブの質量比は2:3である。
【0154】
ステップ(2):集電体の表面に質量分率8%のPVDF分散液を塗布し、PTFE及びPVDFの全質量分率は2wt%であり、60℃でベーキングし、接着層を調製し、接着層の厚さを0.5μmに制御してから、ステップ(1)で得られた正極スラリーを前記接着層の表面に塗布し、80℃でベーキングし、中間製品を得る。
【0155】
ここで、ステップ(1)及びステップ(2)は、いずれも環境の温度20℃、湿度3%で行われた。
【0156】
ステップ(3):ステップ(2)で得られた正極シートを、ロールプレス速度2m/min、温度90℃に制御して熱間プレスし、80℃、真空度200Paの条件下で、30minベーキングし、正極シートを得る。
【0157】
ステップ(4):前記負極スラリーの全質量を100%として、質量分率42%の人造黒鉛、質量分率1.4%のPVDF、質量分率2.3%の炭素繊維、質量分率0.18%のシュウ酸、質量分率0.2%のイソプロパノール、及びNMPを攪拌し、固形分含有量が45.7%、粘度が4500cpである負極スラリーを得て、負極スラリーを銅箔の表面に塗布し、110℃にて0.5hベーキングし、前記負極シート9を得る。
【0158】
ステップ(5):正極シート11と負極シート9をセパレータ8で仕切り、巻き取ってセルを得て、そしてケーシング10に入れ、リチウムイオン電解液を注入し、実施例2におけるシールデバイスを用いてシールし、前記キャパシタを得る。
【0159】
実施例3
本実施例は、具体的な実施形態に記載のキャパシタの製造方法を提供し、前記キャパシタはハイブリットキャパシタであり、前記方法は、以下のステップを含む。
【0160】
ステップ(1):SP、PFA、炭素繊維、NCM811及びLi2Oを2hドライブレンドした後、グラフェンとカーボンナノチューブの混合物を加え、3h攪拌混合し、そしてNMPを加えて、5h攪拌し、正極スラリーを得る。
【0161】
ここで、SPの質量分率は3wt%であり、グラフェン及びカーボンナノチューブの質量分率は1.5wt%であり、グラフェンとカーボンナノチューブの質量比は2:4であり、NCM811の質量分率は35wt%であり、炭素繊維の質量分率は45wt%であり、Li2Oの質量分率は10.5%である。
【0162】
ステップ(2):集電体の表面に質量分率4%のPFA分散液を塗布し、120℃でベーキングし、接着層を調製し、接着層の厚さを5μmに制御してから、ステップ(1)で得られた正極スラリーを前記接着層の表面に塗布し、120℃でベーキングし、中間製品を得る。
【0163】
ここで、ステップ(1)及びステップ(2)は、いずれも環境の温度25℃、湿度5%で行われた。
【0164】
ステップ(3):ステップ(2)で得られた正極シートを、ロールプレス速度25m/min、温度150℃に制御して熱間プレスし、120℃、真空度100Paの条件で、20minベーキングし、正極シート11を得る。
【0165】
ステップ(4):負極スラリーの全質量を100%として、質量分率42%の天然黒鉛、質量分率1.4%のLA132、質量分率2.3%のカーボンナノチューブ、質量分率0.1%の酢酸、質量分率0.2%のエチレングリコール、及びNMPを攪拌し、固形分含有量が45.7%、粘度が6000cpである負極スラリーを得て、負極スラリーを銅箔の表面に塗布し、110℃にて0.5hベーキングし、負極シート9を得る。
【0166】
ステップ(5):正極シート11と負極シート9をセパレータ8で仕切り、巻き取ってセルを得て、そしてケーシング10に入れ、リチウムイオン電解液を注入し、シールデバイスを用いてシールし、前記キャパシタを得る。
【0167】
実施例4
本実施例は、具体的な実施形態に記載のキャパシタの製造方法を提供し、前記キャパシタはハイブリットキャパシタであり、前記方法は、以下のステップを含む。
【0168】
ステップ(1):アセチレンブラック、PVDF、多孔質バイオマス炭素、LiNi0.85Al0.075Mn0.075O2及びCo/フッ化リチウム複合体を2hドライブレンドした後、グラフェンとカーボンナノチューブの混合物を加え、3h攪拌混合し、そしてNMPを加えて、6h攪拌し、正極スラリーを得る。
【0169】
ここで、アセチレンブラックの質量分率は2%であり、多孔質バイオマス炭素の質量分率は10wt%であり、LiNi0.85Al0.075Mn0.075O2の質量分率は50wt%であり、リチウムリッチ化合物であるCo/フッ化リチウム複合体の質量分率は25%であり、グラフェン及びカーボンナノチューブの質量分率は2%であり、グラフェンとカーボンナノチューブの質量比は1:6である。
【0170】
ステップ(2):集電体の表面に質量分率3%のPTFE及びアセチレンブラックの分散液を塗布し、180℃でベーキングし、接着層を調製し、接着層の厚さを3μmに制御してから、ステップ(1)で得られた正極スラリーを前記接着層の表面に塗布し、150℃でベーキングし、中間製品を得る。
【0171】
ここで、ステップ(1)及びステップ(2)は、いずれも環境の温度30℃、湿度40%で行われた。
【0172】
ステップ(3):ステップ(2)で得られた正極シートを、ロールプレス速度50m/min、温度200℃に制御して熱間プレスし、150℃、真空度60Paの条件で、10minベーキングし、正極シートを得る。
【0173】
ステップ(4):前記負極スラリーの全質量を100%として、質量分率42wt%の人造黒鉛、質量分率1.42wt%のPVDF、質量分率2.3wt%の炭素繊維、質量分率0.18wt%のシュウ酸、質量分率0.2wt%のイソプロパノール及びNMPを攪拌し、固形分含有量が45.72%、粘度が4500cpである負極スラリーを得て、負極スラリーを銅箔の表面に塗布し、110℃にて0.5hベーキングし、負極シート9を得る。
【0174】
ステップ(5):正極シート11と負極シート9をセパレータ8で仕切り、巻き取ってセルを得て、そしてケーシング10に入れ、リチウムイオン電解液を注入し、シールデバイスを用いてシールし、前記キャパシタを得る。
【0175】
実施例5
本実施例は、具体的な実施形態に記載のキャパシタの製造方法を提供し、前記キャパシタはハイブリットキャパシタであり、前記方法は、以下のステップを含む。
【0176】
ステップ(1):SP、PVDF、多孔質バイオマス炭素、LiNi0.85Al0.075Mn0.075O2及びNi/フッ化リチウム複合体を2hドライブレンドした後、グラフェンとカーボンナノチューブの混合物を加え、3h攪拌混合し、そしてNMPを加えて、6h攪拌し、正極スラリーを得る。
【0177】
ここで、SPの質量分率は1%であり、LiNi0.85Al0.075Mn0.075O2の質量分率は5wt%であり、多孔質バイオマス炭素の質量分率は87wt%であり、リチウムリッチ化合物の質量分率は3wt%であり、グラフェン及びカーボンナノチューブの質量分率は1wt%であり、グラフェンとカーボンナノチューブの質量比は2:5である。
【0178】
ステップ(2):集電体の表面に質量分率1%のPTFEとSPの分散液を塗布し、180℃でベーキングし、接着層を調製し、接着層の厚さは10μmに制御してから、ステップ(1)で得られた正極スラリーを前記接着層の表面に塗布し、150℃でベーキングし、中間製品を得る。
【0179】
ここで、ステップ(1)及びステップ(2)は、いずれも環境の温度30℃、湿度40%で行われた。
【0180】
ステップ(3):ステップ(2)で得られた正極シートを、ロールプレス速度50m/min、温度270℃に制御して熱間プレスし、150℃、真空度180Paの条件で、10minベーキングし、正極シートを得る。
【0181】
ステップ(4):前記負極スラリーの全質量を100%として、質量分率45%の天然黒鉛、質量分率3%のLA132、質量分率3%のカーボンナノチューブ、質量分率0.2%の酢酸、質量分率0.3%のエチレングリコール及び脱イオン水を攪拌して、固形分含有量が51%、粘度が6000cpである負極スラリーを得て、負極スラリーを銅箔の表面に塗布し、110℃にて0.5hベーキングし、負極シート9を得る。
【0182】
実施例6
実施例1と比べた際の区別は、ステップ(3)における熱間プレスを、5℃の冷間プレスに置き換えたことだけである。
【0183】
実施例7
実施例1と比べた際の区別は、ステップ(3)における熱間プレスを、40℃の冷間プレスに置き換えたことだけである。
【0184】
実施例8
実施例1と比べた際の区別は、コバルト酸リチウム及び活性炭の全質量分率が実施例1と同じで、いずれも85%であり、かつコバルト酸リチウムと活性炭の質量比が2.5:1であったことだけである。
【0185】
実施例9
実施例1と比べた際の区別は、コバルト酸リチウム及び活性炭の全質量分率が実施例1と同じで、いずれも85%であり、かつコバルト酸リチウムと活性炭の質量比が2:8であったことだけである。
【0186】
実施例10
実施例1と比べた際の区別は、本実施例に係る製造方法において、リチウムリッチ化合物Li2NiO2を添加せず、正極材料層内の残りの物質間の質量比を維持したことだけである。
【0187】
実施例11
実施例1と比べた際の区別は、本実施例に係る製造方法において、活性炭を添加せず、等量のコバルト酸リチウムに置き換えたことだけである。
【0188】
実施例12
実施例1と比べた際の区別は、本実施例に係る製造方法に、グラフェンとカーボンナノチューブの混合物を添加せず、等量の黒鉛粉末に置き換えたことだけである。
【0189】
実施例13
実施例1と比べた際の区別は、接着層が設けられず、正極材料層における接着剤の含有量を、実施例1における第1の接着剤と第2の接着剤の総量と同じであるように維持したことだけである。
【0190】
実施例14
実施例1と比べた際の区別は、ステップ(4)において、シュウ酸を使用しなかったことだけである。
【0191】
実施例15
実施例1と比べた際の区別は、ステップ(4)において、イソプロパノールを使用しなかったことだけである。
【0192】
実施例16
実施例1と比べた際の区別は、ステップ(4)において、シュウ酸及びイソプロパノールを使用しなかったことだけである。
【0193】
比較例1
実施例1と比べた際の区別は、キャパシタのシールデバイスは、CN103078069Aにおけるシールデバイス3を使用したことだけである。
【0194】
比較例2
実施例1と比べた際の区別は、キャパシタのシールデバイスは、従来のシール設計によるシールデバイスを用いたことだけである。
【0195】
キャパシタ性能の評価:
上記各実施例及び比較例のキャパシタについて、シール性、エネルギー密度、-50℃低温試験を行い、試験方法は以下の通りである。
【0196】
シール性能試験:ハイブリットキャパシタをヘリウム質量分析リーク検知器に入れて試験を行う。
【0197】
エネルギー密度試験:ハイブリットキャパシタを25℃の環境に置き、5minで放置し、5mA定電流定電圧で3.9Vまで充電し、カットオフ電流を0.5mAとし、5minで放置し、5mA定電流で2.2Vに放電し、終了する。
【0198】
レート試験:ハイブリットキャパシタを25℃の環境に置き、NEWAREの5V・5A精密放電キャビネットにて5mAの定電流定電圧で3.68Vまで充電し、カットオフ電流を0.5mAとし、5minで放置し、500Cレートで、1sパルス放電し、最低電圧を記録し、終了する。
【0199】
-50℃低温試験:ハイブリットキャパシタを-50℃の環境に置き、5V・5A精密放電キャビネットにて5mAの定電流定電圧で3.68Vまで充電し、カットオフ電流を0.5mAとし、ハイブリットキャパシタを高低温キャビネットに移して、-50℃の環境で6h静置し、150Cレートで0.1sパルス放電し、最低電圧を記録し、終了する。
【0200】
各実施例及び比較例における負極シート9について、剥離力及びダイアフラム抵抗率の試験を行い、試験方法は以下の通りである。
【0201】
負極シート剥離力試験:ステンレス鋼板に、一定サイズの負極シートを3M両面テープで固定し、ここで、感圧性3M-VHB両面テープを電極の表面に貼り、もう一つの面をステンレス鋼板に貼り、ステンレス鋼板と集電体を引張力試験装置の2つの治具に固定し、そして10mm/minの速度、10Nの荷重で180°剥離試験を行い、集電体が完全に剥離された際に試験を終了する。
【0202】
負極シートダイアフラム抵抗率試験:上記各実施例及び比較例のダイアフラム抵抗率について、四プローブ法を採用して試験を行い、ここで、コーティング層の厚さは統一的に40μmに制御される。
【0203】
試験結果を表1に示す。
【0204】
表1
注:表において、25℃&500C電圧は、25℃、電流500Cの条件で試験した最低電圧を示し、-50℃&150C電圧は、-50℃、電流150Cの条件で試験した最低電圧を示す。
【0205】
25℃&500C電圧が高いほど、材料の室温レート性能が良く、-50℃&150C電圧が高いほど、材料の低温レート性能が良いことを示す。
【0206】
本出願において各実施例と比較例で調製された電池は、同じ型番(15500)であり、容量が高いほど、エネルギー密度が高いことを示す。
【0207】
表1から、以下のことがわかる。
【0208】
(1)実施例1-16から分かるように、実施例1-16で調製されたキャパシタは、良好なシール性能を有する。
【0209】
(2)実施例1、実施例8及び実施例9から分かるように、リチウム含有正極活物質及び炭素系活物質の添加量は、材料の容量、室温レート性能及び低温レート性能に重要な影響を与え、リチウム含有正極活物質及び炭素系正極活物質の質量比が1:0.5~1.5の好ましい範囲内にあることで、上記両方の効果をよりよく両立できる。
【0210】
(3)実施例1及び実施例10から分かるように、実施例10では正極は、Li2NiO2を含まず、容量、室温レート性能及び低温レート性能は、いずれも低下する。これから分かるように、正極はLi2NiO2を含むことは、ハイブリットキャパシタのエネルギー密度、室温レート性能(25℃&500C電圧(V))及び低温レート性能(-50℃&150C電圧)の向上に寄与している。
【0211】
(4)実施例1及び実施例11から分かるように、実施例11では正極活物質は、すべてコバルト酸リチウムであり、容量は高いがレート性能が悪い。これから分かるように、正極は活性炭及びコバルト酸リチウムを含むことは、ハイブリットキャパシタが良好なエネルギー密度、室温レート性能及び低温レート性能を有することに寄与している。
【0212】
(5)実施例1及び実施例12から分かるように、実施例12では正極はグラフェン及びカーボンナノチューブの混合物を含まず、黒鉛粉末に置き換えられ、容量、室温レート性能及び低温レート性能が低下する。これから分かるように、正極はグラフェンとカーボンナノチューブとの混合物を含むことは、ハイブリットキャパシタのエネルギー密度、室温レート性能及び低温レート性能の向上に寄与している。
【0213】
(6)実施例1及び実施例13から分かるように、実施例13では接着層を設けず、室温レート性能及び低温レート性能が低下する。これから分かるように、正極材料層と集電体との間に設けられた接着層がハイブリットキャパシタの室温レート性能及び低温レート性能の向上に寄与している。
【0214】
(7)実施例1及び実施例14-16から分かるように、実施例1では負極に適量の弱酸とアルコールを添加し、負極剥離力を向上させ、負極シートの抵抗率を減少し、これは、弱酸が電極材料と集電体との接着作用を強化させ、タブの内部抵抗を低下させ、アルコールが負極活物質と接着剤との相溶性を向上させるとともに、接着剤の網状架橋を促進し、結着強度を高めることにより、得られた負極シートの表面に均一に分散させるからである。
【0215】
(8)実施例1及び比較例1-2から分かるように、実施例1のシール性能は、比較例1-2よりも優れている。これは、本出願で設計されたシールカバーの組合せを採用し、階段式多重溶接によりシール性能を向上させるからである。
【0216】
以上より、本出願に係るキャパシタは、前記シールデバイスの使用により、完全密封を実現し、シール性<1.0×10-6Pa・m2/s(ヘリウム質量分析)であり、良好なシール性能を有し、85℃&85%RHの条件での貯蔵が可能である。本出願に係るキャパシタの製造方法は、正極及び/又は負極の改良により、キャパシタの限界動作温度性能を改善し、-50~125℃でのハイレート放電が可能であり、調製されたキャパシタは、高いエネルギー密度と広い動作温度範囲を有し、インダストリアルIoTのニーズを満たす。
【0217】
本出願は、上記実施例によって本出願の詳細な構造的特徴を説明するが、本出願は上記詳細な構造的特徴に限定されるものではなく、即ち、本出願は上記詳細な構造的特徴に依存しなければ実施できないことを意味しないことを、出願人より声明する。
【国際調査報告】