(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】欠陥検出
(51)【国際特許分類】
G01M 7/00 20060101AFI20230626BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20230626BHJP
G01M 17/10 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G01M7/00
G01H17/00 Z
G01M17/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575415
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2021064182
(87)【国際公開番号】W WO2021249782
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522264319
【氏名又は名称】ヒタチ、レイル、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI RAIL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】マット、ジョーンズ
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA01
2G064AA11
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB22
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC41
2G064CC42
2G064CC43
(57)【要約】
機械システム中の欠陥を検出する方法であって、a.機械システムを与えるステップと、b.機械システムを振動させ、機械システムに出力振動スペクトラムを出力させるために、振動デバイスによって機械システムをランダムな、任意選択で広帯域な、振動にさらすステップと、c.振動検出デバイスを使用して、出力振動スペクトラムを検出するステップと、d.処理システムを使用して、i.出力振動スペクトラム内の複数の周波数を選択するサブステップと、ii.複数の周波数の位相情報を抽出するために、複数の周波数を解析するサブステップと、iii.複数の周波数のうちの1つまたは複数の周波数の経時的な位相の変調を表す連続位相波形を生成するサブステップと、iv.機械システム中の欠陥を表す出力データを生成するために、複数の入力振動周波数において連続位相波形のスペクトラム中のピークを検出するサブステップとを実行するステップとを備える方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械システム中の欠陥を検出する方法であって、前記方法が、
a.機械システムを与えるステップと、
b.前記機械システムを振動させ、前記機械システムに出力振動スペクトラムを出力させるために、振動デバイスによって前記機械システムをランダムな、任意選択で広帯域な、振動にさらすステップと、
c.振動検出デバイスを使用して、前記出力振動スペクトラムを検出するステップと、
d.処理システムを使用して、
i.前記出力振動スペクトラム内の複数の周波数を選択するサブステップと、
ii.前記複数の周波数の位相情報を抽出するために前記複数の周波数を解析するサブステップと、
iii.前記複数の周波数のうちの1つまたは複数の周波数の経時的な位相の変調を表す連続位相波形を生成するサブステップと、
iv.前記機械システム中の欠陥を表す出力データを生成するために、複数の前記入力振動周波数における前記連続位相波形の前記スペクトラム中のピークを検出するサブステップと
を実行するステップと
を備える、方法。
【請求項2】
前記出力振動が、連続測定時間期間(T)にわたって測定され、振動振幅と時間との間の関係で表される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記連続測定時間期間(T)が、少なくとも8.5秒である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
サブステップ(i)において、振動測定値の複数のグループが選択され、各グループが、共通時間期間を有し、連続するグループが、時間的に部分的に重なり、時間シフト(dt
2)だけ時間的にシフトされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
サブステップ(ii)において、振動測定値の各グループからそれぞれの振動スペクトラムを生成するために、振動測定値の各グループが、第1のフーリエ変換解析にかけられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のフーリエ変換解析のサンプル持続期間が、サブステップ(iii)における前記所与の周期的な位相変調の波長よりも短い、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
サブステップ(ii)において、前記それぞれの振動スペクトラムの各周波数から位相情報が抽出される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抽出された位相情報が、-πから+πの範囲内にラップされ、サブステップ(iii)において、前記振動測定値中の周波数の各グループについて、経時的な位相の変化を表すそれぞれの連続位相波形を与えるために、前記抽出された位相情報がアンラップされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各連続位相波形が、正の位相値のみ、または負の位相値のみを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
サブステップ(iii)において、単一の周波数における時間に関する位相の変化を与えるために、前記連続位相波形が組み合わされ、次いで解析される、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
サブステップ(iii)において、前記組み合わされた連続位相波形が、1/dt
2のサンプル・レート(Fs
2)で解析され、ただし、前記時間シフト(dt
2)が、出力位相変調スペクトラムの帯域幅を決定する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
サブステップ(iii)において、行列M
*(N/2)を形成するために前記連続位相波形が組み合わされ、ただし、Mは行の数であり、(N/2)は列の数であり、各列が、それぞれの周波数におけるそれぞれの位相変調時系列に対応する、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
サブステップ(iii)において、前記アンラップされた位相値の大きさから前記それぞれの周波数における位相変調スペクトラムを決定するために、前記列のうちの少なくとも1つが、第2のフーリエ変換解析にかけられ、前記位相変調スペクトラムが、サブステップ(iii)において生成される前記連続位相波形を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
サブステップ(iii)において、前記第2のフーリエ変換解析にかけられる前記列の前記位相情報が、正の周波数値のみ、または負の周波数値のみを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記機械システムが、車両の車軸を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記機械システムが、鉄道車両のホイールセット・アセンブリを備え、前記ホイールセット・アセンブリが、対向する車輪間に実装される車軸を備え、各車輪が、前記車軸のそれぞれの対向する端部に取り付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記鉄道車両が、機関車、客車もしくは貨車、またはトラックである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(b)からステップ(d)が、前記車両が動作中の間に実行される、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(b)からステップ(d)が、実時間で実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記入力振動周波数が、前記車軸の回転周波数である、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(c)およびステップ(d)が、前記機械システムに取り付けられた無線センサー・ノードを使用して実行され、前記無線センサー・ノードが、前記機械システム中の振動からの機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための振動エネルギー・ハーベスタと、パラメータを測定するためのセンサーであって、前記車軸の端部に実装される加速度計であるセンサーと、前記測定されたパラメータまたは前記測定されたパラメータに関連付けられたデータを無線で送信するための無線送信機とを備える、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、前記機械システム中の非対称欠陥を検出する、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記非対称欠陥が、前記機械システム中の亀裂である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
機械システム中の欠陥を検出するための装置であって、前記装置が、前記機械システムを振動させ、前記機械システムに出力振動スペクトラムを出力させるために、使用中、ランダムな、任意選択で広帯域な、振動にさらされてきた前記機械システムの前記出力振動スペクトラムを検出するための振動検出デバイスと、前記出力振動スペクトラム内の複数の周波数を選択するための周波数選択モジュール、前記複数の周波数の位相情報を抽出するために前記複数の周波数を解析するための解析モジュール、前記複数の周波数のうちの1つまたは複数の周波数の経時的な位相の変調を表す連続位相波形を生成するための生成モジュール、および前記機械システム中の欠陥を表す出力データを生成するために複数の前記入力振動周波数における前記連続位相波形の前記スペクトラム中のピークを検出するための検出モジュールを備える処理システムとを備える、装置。
【請求項25】
前記振動検出デバイスが、連続測定時間期間(T)にわたる、振動振幅と時間との間の関係として表される前記出力振動を測定するように構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記周波数選択モジュールが、振動測定値の複数のグループを選択するように構成され、各グループが、共通時間期間を有し、連続するグループが、時間的に部分的に重なり、時間シフト(dt
2)だけ時間的にシフトされる、請求項24または請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記解析モジュールが、振動測定値の各グループからそれぞれの振動スペクトラムを生成するために、振動測定値の各グループを第1のフーリエ変換解析にかけるように構成される、請求項24から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記解析モジュールが、前記それぞれの振動スペクトラムの各周波数から位相情報を抽出するように構成される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記生成モジュールが、経時的に位相の変化を表す、それぞれの連続位相波形を与えるために、前記抽出された位相情報をアンラップするように構成される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記生成モジュールが、単一の周波数における時間に関する位相の変化を与えるために、前記連続位相波形を組み合わせ、次いで、前記組み合わされた連続位相波形を解析するように構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記生成モジュールが、前記組み合わされた連続位相波形を1/dt
2のサンプル・レート(Fs
2)で解析するように構成される、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記生成モジュールが、行列(T/S)2を形成するために、前記連続位相波形を組み合わせるように構成され、ただし、Mは行の数であり、(T/dt
2)/2は列の数であり、各列が、それぞれの周波数におけるそれぞれの位相変調時系列に対応する、請求項30または請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記生成モジュールが、位相値の大きさから前記それぞれの周波数における位相変調スペクトラムを決定するために、前記列のうちの少なくとも1つを第2のフーリエ変換解析にかけるように構成され、前記位相変調スペクトラムが、前記生成モジュールによって生成される前記連続位相波形を備える、請求項32に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械システム中の欠陥を検出する方法を提供する。本発明は、機械システム中の欠陥を検出するための装置をさらに提供する。本発明は、特に、車軸、たとえば、鉄道車両のホイールセット・アセンブリの車軸の亀裂を検出するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車軸の破損は、鉄道の歴史を通して主要な鉄道事故の原因の1つであり、金属疲労の研究を始めさせた。稼働中の鉄道車軸の破損を防ぐことは、車軸の検査を実行するためと、車軸亀裂検査後、車軸端部装置の不正確な再組み立て後の損傷を修理するためとの両方において、多大な追加保守作業を引き起こす。
【0003】
稼働中に、または保守中の最小限の介入により、車軸亀裂の形成を研究するために多くの取り組みが実施されてきたが、(稼働中の)車軸亀裂監視装置の大規模展開に成功した試行はない。これは、部分的には、対象の亀裂依存の測定を実行することが、稼働中の列車に存在するその他すべてのノイズの影響下で本質的に困難であること、ならびに、エネルギーおよび通信へのアクセスが貧弱であるために鉄道車軸端部の振動およびノイズを監視することが困難であることによる。
【0004】
車軸端部上に実装される振動エネルギー・ハーベスタ給電無線センサー・ノードの最近の開発により、この問題の一部は解決されたが、車軸の破損による追加の振動と、軌道上の車輪の相互作用によって生じるノイズとを区別することは、双方が所与の速度において車輪の回転から駆動される同じ基本周波数を有し、依然として困難である。
【0005】
先行技術では、鉄道車軸の亀裂を測定するための過去の取り組みは、車軸が屈曲する際の破損からのアコースティック・エミッション、または車軸の屈曲によって生じる振動のいずれか、および亀裂が拡張する際の振動の変化を考察してきた。これらのテストは、稼働中のテストではなく、テスト装置で行われてきた。
【0006】
振動給電無線センサー・ノード(WSN)は、鉄道車両のベアリング、軌道、および車輪の健全性を検出するために使用されてきた。上述のように、センサーは振動を監視するが、監視周波数は500Hzに限定される。
【0007】
本出願人の先のWO2019/081770A1は、鉄道車両のホイールセット・アセンブリの車軸を監視するための装置を開示する。その装置は、ホイールセット・アセンブリに取り付けられる無線センサー・ノードを備える。無線センサー・ノードは、車軸の端部に実装される加速度計を備え、1000Hzから2000Hzまでの周波数範囲内の車軸の共振振動の形態における車軸衝撃振動周波数を測定し、処理するために、センサーおよびプロセッサがそれぞれ配置される。WO2019/081770A1は、ホイールセットの稼働期間中の実時間で測定される車輪レール衝撃がホイールセットの振動を励起するために使用されることができること、および、次にその振動が、車軸の状態または状況、特に、車軸の亀裂の有無および/または車軸負荷を検出するために使用されることができることを開示している。
【0008】
鉄道車軸の、亀裂のような非対称欠陥によって、車軸の回転の速度でのホイールセットの固有共振周波数スペクトラムの変調が生じることが知られている。これは、欠陥周辺の材料が車軸のたわみによって連続的に伸張され、圧縮されるときに欠陥が開いたり閉じたりするためである。加速度を監視することによって車軸端部の動きの振幅変調を検出することは、このような車軸の欠陥を検出するための1つの可能な方法であるが、車輪の欠陥からの追加のノイズが、この測定の実行可能性に著しい影響を及ぼすことがある。周波数領域における車軸の状態を測定することは、ホイールセットの共振の基本特性を考察することによって、車輪によって生じるノイズから測定を遠ざける。車軸が回転し、欠陥が開かれて閉じられるとき、共振は車軸の異なる機械的特性を反映し、効果的に共振周波数の変調を生成する。この変調は、欠陥のサイズに依存し、車軸上の負荷とは独立であり、その負荷は車輪の欠陥によって生じる過渡的な負荷を潜在的に含む。ホイールセットの共振の理論的な研究は、この信号を抽出するために伝統的な周波数復調に対する同様の手法が使用されることができることを示すが、ホイールセット形状の複雑さ、他の構成要素との密接な結合、および振動の大幅な減衰は、これらの方法が働くためには、キャリアとして機能する共振周波数があまりに広く、かつ結合されており、変調として機能する信号があまりに小さく、周波数があまりにキャリアに近いことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、既知の装置および方法に比べて改善された測定を提供することができ、機械システム中の欠陥を検出するための、たとえば、車軸、典型的には鉄道車両のホイールセット・アセンブリの車軸の亀裂を検出するための装置および方法が当業界において必要とされている。
【0010】
また、好ましくは実時間における、稼働中の機械システムの状況を監視することができる、機械システム中の欠陥を検出するための、たとえば、車軸、典型的には鉄道車両のホイールセット・アセンブリの車軸の亀裂を検出するための装置および方法が当業界において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも部分的に、これらの必要性のうちの1つまたは複数を満たすことを目的とする。
【0012】
したがって、本発明は、機械システム中の欠陥を検出する方法を提供し、その方法は、
a.機械システムを与えるステップと、
b.機械システムを振動させ、機械システムに出力振動スペクトラムを出力させるために、機械システムを振動デバイスによって、ランダムな、任意選択で広帯域な、振動にさらすステップと、
c.振動検出デバイスを使用して、出力振動スペクトラムを検出するステップと、
d.処理システムを使用して
i.出力振動スペクトラム内の複数の周波数を選択するサブステップと、
ii.複数の周波数について位相情報を抽出するために、複数の周波数を解析するサブステップと、
iii.複数の周波数のうちの1つまたは複数の周波数について経時的な位相の変調を表す連続位相波形を生成するサブステップと、
iv.機械システム中の欠陥を表す出力データを生成するために、複数の入力振動周波数において連続位相波形のスペクトラム中のピークを検出するサブステップと
を実行するステップと
を備える。
【0013】
本発明は、機械システム中の欠陥を検出するための装置であって、使用中、機械システムを振動させ、機械システムに出力振動スペクトラムを出力させるために、ランダムな、任意選択で広帯域な、振動にさらされてきた機械システムの出力振動スペクトラムを検出するための振動検出デバイスと、出力振動スペクトル内の複数の周波数を選択するための周波数選択モジュール、複数の周波数について位相情報を抽出するために、複数の周波数を解析するための解析モジュール、複数の周波数のうちの1つまたは複数の周波数について経時的な位相の変調を表す連続位相波形を生成するための生成モジュール、および機械システム中の欠陥を表す出力データを生成するために、複数の入力振動周波数において連続位相波形のスペクトラム中のピークを検出するための検出モジュールを備える処理システムとを備える装置をさらに提供する。
【0014】
本発明の装置および方法の好ましい特徴は、それぞれの従属請求項において定義される。
【0015】
本説明の好ましい実施形態の装置および方法は、亀裂検出のための、および、任意選択で車軸負荷測定のための、プロトコルにおいて利用されることができる、稼働中の鉄道車軸測定を、任意選択で実時間で、行う問題を解決する。鉄道車両が軌道に沿って進行するときに、車輪-レール相互作用から複数の衝撃がある。車軸アセンブリは、その衝撃に応答して振動する。振動エネルギー給電無線センサーは、車輪-レール相互作用によって刺激されるホイールセットのリンギングを検出し、振動を解析し、次いで、さらなる解析のためにキー・パラメータを送信する。
【0016】
車軸が亀裂を有する場合、車軸の共振周波数が影響を受ける。これは、車軸が、ある角度では亀裂が強制的に開かれ、他の角度では亀裂が強制的に閉じられる負荷の下に置かれたときに、特に当てはまる。鉄道車軸について、車軸共振が車輪-レール・インタフェースを介して、たとえば、列車の通常走行を通して励起され、そのような亀裂した車軸の振動が測定される場合、その結果として、車軸回転速度に等しい、またはその複数倍の速度において振動データ中に周波数変調が存在することになる。車軸の共振周波数は、実際にはそれに取り付けられている多数の構成要素によりかなり減衰され、交差結合される可能性があるので、共振周波数は車軸が自由に吊り下げられたときに見られるようにさほど顕著ではない。これは、周波数変調は広帯域の周波数、潜在的にはすべての周波数にさえわたって動作することを意味し、それは、たとえば無線技術で採用されているような標準的な周波数復調技法は、使用されることができないことを意味する。多くの重なる周波数が一般的な復調手法を妨げるキャリアとして動作する可能性があるので、キャリア周波数の概念は適用されない。
【0017】
代わりに、本発明の好ましい実施形態の装置および方法は、このより広い帯域幅の周波数復調シナリオに敏感であり、候補変調周波数として、車軸については車軸回転速度に依存するが他の機械システムについては他の方法で適用されることができる入力振動周波数の既知の特性を使用する、新規の信号処理手法に基づく。
【0018】
本発明の好ましい実施形態の装置および方法は、車軸のような複雑な機械システムの、それによって亀裂のような非対称欠陥が共振振動の変調を引き起こす状況情報の抽出に基づく。本発明の好ましい実施形態では、時間で変化する振動信号のスペクトラムが、最初に信号を複数の重なる、時間的に規則的に間隔を空けられたセグメントに分割することによって、いくつかの離散周波数において計算される。これらのセグメントは、次いで、経時的な振動の変化を表す一連の振動スペクトラムを得るために、適切なウインドウ処理関数でウインドウ処理され、各々にフーリエ変換が適用される。使用されるセグメントの持続時間は、欠陥に関連付けられた予測変調周波数の半サイクルを超えるべきではない。元の情報は+/-π(パイ)に制限され、信号がこれらの制限を超えて続くことができるようにすることにより連続波形が形成されるので、各フーリエ変換の結果から、振幅は無視され、位相が抽出され、アンラップされる。次いで、時間で変化する位相の一連の連続波形を形成するために、すべてのセグメントからのアンラップされた位相情報が、元の振動信号の重なるウインドウ処理されるセグメントの間隔によって決まるサンプル・レートで元のフーリエ変換から選択された各周波数について1つの位相情報が、組み合わせられる。時間で変化する位相の各連続波形は、所与の周波数において存在する変調、または元の共振スペクトラムのキャリアを表す。次いで、非対称欠陥によって誘起される構造共振の変化を表すキャリアの変調のスペクトラムを抽出するために、この変調波形はさらなるフーリエ変換にかけられ、潜在的に周波数のサブセットのみについて計算される。結果として得られる信号は、車軸上の負荷とは独立であり、欠陥のサイズおよび場所のみに依存する。車軸のような機械システム中の欠陥により、変調のピークが、車軸回転周波数のような入力振動の複数の周波数における位相スペクトラムに現れるようになる。本発明の好ましい実施形態では、この信号処理を使用して稼働中の車軸をテストすることができ、実時間測定および解析を使用して車軸の状況を監視することができる。また、(変更された信号処理を用いた)同じ装置を任意に使用して車軸負荷を測定することができることが、当業者には明らかであろう。
【0019】
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態が、あくまでも例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による鉄道車両のホイールセット・アセンブリの車軸の亀裂を検出するための装置の概略端面図である。
【
図2】
図1の装置中の処理システムの概略図である。
【
図3】たとえば
図1および
図2中に図示されている装置を使用して、機械システム中の欠陥を検出する方法において実行されるステップを示す概略処理フローチャートである。
【
図4】本発明の好ましい実施形態によって測定された、亀裂していない車軸、大きく亀裂している車軸、および小さい亀裂のある車軸の、変調深さ(Y軸)と変調周波数(X軸)との間の、2次元変調スペクトラムとして図示されている関係をそれぞれ示す図である。
【
図5】本発明の好ましい実施形態によって測定された、亀裂していない車軸、大きく亀裂している車軸、および小さい亀裂のある車軸の、変調深さ(Y軸)と変調周波数(X軸)との間の、2次元変調スペクトラムとして図示されている関係をそれぞれ示す図である。
【
図6】本発明の好ましい実施形態によって測定された、亀裂していない車軸、大きく亀裂している車軸、および小さい亀裂のある車軸の、変調深さ(Y軸)と変調周波数(X軸)との間の、2次元変調スペクトラムとして図示されている関係をそれぞれ示す図である。
【
図7】本発明の好ましい実施形態によって測定された、亀裂していない車軸、および亀裂している車軸の、変調深さ(Z軸)と変調された周波数(Y軸)と変調周波数(X軸)との間の、3次元変調スペクトラムとして図示されている関係をそれぞれ示す図である。
【
図8】本発明の好ましい実施形態によって測定された、亀裂していない車軸、および亀裂している車軸の、変調深さ(Z軸)と変調された周波数(Y軸)と変調周波数(X軸)との間の、3次元変調スペクトラムとして図示されている関係をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および
図2を参照すると、鉄道車両8のホイールセット・アセンブリ6の構成要素4の亀裂を検出するための装置2が示されている。鉄道車両8は、機関車、客車もしくは貨車、またはトラックであってもよい。ホイールセット・アセンブリ6は車軸4を備え、車軸4は、監視され、対向する車輪10と12との間に実装される構成要素であり、各車輪10、12は、車軸4のそれぞれの対向する端部14、16に取り付けられる。使用中、車輪10、12は鉄道軌道54のそれぞれのレール50、52上を走る。
【0022】
本発明の実施形態は、車軸に関して説明されているが、本発明は、本発明の方法の原理を使用して任意の機械デバイスの亀裂のような欠陥を検出するために使用されてもよい。
【0023】
無線センサー・ノード18が、ホイールセット・アセンブリ6に取り付けられる。図示されている実施形態では、無線センサー・ノード18が、ホイールセット・アセンブリ6の振動からの機械エネルギーを電気エネルギーに変換するための振動エネルギー・ハーベスタ20を備える。センサー22がパラメータを測定するために備えられ、特に、センサー22は車軸4の端部14、16に実装される加速度計である。無線送信機24が、測定されたパラメータまたは測定されたパラメータに関連付けられたデータをさらなる処理および/または解析のために遠隔地に無線で送信するために備えられ、遠隔地は、テストされるホイールセット・アセンブリ6を含む鉄道車両8内にあってもよく、またはホイールセット・アセンブリ6を含む列車の機関車もしくは他の車両内にあってもよい。一般に、列車内の各ホイールセット・アセンブリ6は、本明細書で説明されているように監視装置が備えられる。
【0024】
好ましくは、図示されているように、装置2は、2つの無線センサー・ノード18を備える。各無線センサー・ノード18は、車軸4のそれぞれの対向する端部14、16に取り付けられ、各無線センサー・ノード18は、車軸4のそれぞれの端部14、16に実装される加速度計であるそれぞれのセンサー22を備える。センサー22は、振動検出デバイスである。
【0025】
装置2は、処理されたデータを生成するために、測定されたパラメータを処理するためのプロセッサ26をさらに備える。図示されている実施形態では、プロセッサ26は無線センサー・ノード18と一体であり、無線送信機24は処理されたデータを無線で送信するように配置される。しかし、代替え実施形態では、プロセッサ26は無線センサー・ノード18から離れていて、無線送信機24が測定されたデータを無線で送信するように配置され、測定されたデータは、次いで、プロセッサ26によって遠隔で処理されて処理されたデータを生成する。
【0026】
センサー22およびプロセッサ26は、車軸振動、特に車軸に沿った共振振動の形態の車軸振動を測定し、処理するようにそれぞれ配置される。車軸振動は、一般に、衝撃によって駆動される衝撃である。車軸の共振振動は、一般に50から2000Hz、より一般には50から1750Hzの周波数範囲内にある。
【0027】
センサー22は衝撃振動を(サンプル・レートSで)測定し、その測定値から、以下に記されているように波形が決定される。決定される波形は、車軸の状況および車軸負荷に依存する。
【0028】
したがって、図示されている実施形態の装置は、機械システムを振動させ、機械システムに出力振動スペクトラムを出力させるために、使用中、振動デバイス、たとえばホイールセットと軌道との間のインタフェースによってランダムな、任意選択で広帯域な、振動にさらされてきた機械システムの、図示の実施形態では車軸4の出力振動スペクトラムを検出するためのセンサー22の形態にある振動検出デバイスを備える。振動検出デバイスは、連続測定時間期間(T)、たとえば少なくとも10秒にわたる、振動振幅と時間との間の関係として表される出力振動スペクトラムを測定するように構成される。
【0029】
プロセッサ26は、それ自体がハードウエアおよび/またはソフトウエアでプログラムされることができる複数の機能モジュールからなる処理システムを備える。プロセッサ26は、出力振動スペクトラム内の複数の周波数を選択するための周波数選択モジュール28を備える。周波数選択モジュール28は振動測定値の複数のグループを選択するように構成され、各グループは、共通の時間期間を有し、連続するグループは、時間的に部分的に重なり、時間シフト(dt2)だけ時間的にシフトされる。各グループには、次いで共通のウインドウ処理機能が適用されてもよい。いくつかの離散周波数について計算されるフーリエ変換を使用して、振動検出デバイスは、各グループについてサンプル・レート(S)で出力振動スペクトラムを計算するように構成される。一連の重ねられた出力周波数スペクトラムを与えるために、周波数選択モジュール28によって選択される連続するグループは、部分的に重なる。
【0030】
プロセッサ26は、複数の周波数の位相情報を抽出するために複数の周波数を解析するための解析モジュール30をさらに備える。解析モジュールはまた、周波数の関数として連続的な無境界位相を得るために、抽出された位相情報をアンラップするように構成される。プロセッサ26は、1/dt2のサンプル・レート(Fs2)で複数の周波数のうちの所与の周波数について経時的な抽出された位相の変化を表す連続位相波形を生成するための生成モジュール32をさらに備える。図示されている実施形態では、生成モジュール32は、次元M*(N/2)の行列を形成するために異なる周波数における連続位相波形を組み合わせるように構成され、ただし、Mは、ウインドウ処理される時間セグメントT/dt2の数であり、Nは、元の出力スペクトルにおいて選択される周波数の数である。さらに、生成モジュール32は、位相値の大きさからそれぞれの周波数における位相変調スペクトラムを決定するために、(N/2)列のうちの少なくとも1つを第2のフーリエ変換解析にかけるように構成され、位相変調スペクトルは生成モジュール32によって生成される連続位相波形を備える。
【0031】
プロセッサ26は、機械システム中の欠陥を表す出力データを生成するために、複数の入力振動周波数において連続位相波形のピークを検出するための検出モジュール34をさらに備える。
【0032】
一般に、無線センサー・ノード18は、監視期間にわたって連続的に動作させられるように適応されてもよく、それにより車軸振動を連続的に測定し、機械システム中の欠陥、特に車軸の亀裂を表す出力データを連続的に生成する。出力データは、実時間での、およびホイールセット・アセンブリ6の稼働中の軸状況の指示を与えるために採用されることができる。
【0033】
好ましい実施形態では、プロセッサ26は、軸衝撃によって誘起される共振振動の周波数を車軸負荷に関連付けられた所定の基準周波数値と比較するように配置される比較モジュール38を備える負荷計算モジュール36と、比較に基づいて車軸上の負荷を計算するように配置される計算モジュール40とをさらに含む。
【0034】
これらの構成要素により、実時間での、およびホイールセット・アセンブリ6の稼働中の車軸負荷を示すために、車軸衝撃によって誘起される共振振動周波数値が連続的に測定され、較正された基準値と比較されることができる。
【0035】
装置2は、機械システム中の、特にホイールセット・アセンブリ6の車軸4の欠陥を検出する方法に使用され、その方法は周期的または連続的のいずれかで機械システムを監視するためのものであってもよい。
【0036】
その方法において、センサー22、特に加速度計が車軸4の端部14、16に実装されるように、無線センサー・ノード18が上述のようにホイールセット・アセンブリ6に取り付けられる。上述のように、好ましい実施形態では、各それぞれのセンサー22が車軸4のそれぞれの端部14、16に実装されるように、各々がホイールセット・アセンブリ6に取り付けられる2つの無線センサー・ノード18がある。
【0037】
鉄道車両が動作中の間、振動エネルギー・ハーベスタ20は、無線送信機24に給電するための電気エネルギーに変換される入力振動エネルギーを受ける。プロセッサ26が無線センサー・ノード18と一体化されると、振動エネルギー・ハーベスタ20はプロセッサ26を動作させるための電気エネルギーを供給することができる。振動エネルギー・ハーベスタ20は、無線センサー・ノード18の他の任意の給電される構成要素を動作させるための電気エネルギーを供給することができる。
【0038】
また、鉄道車両が稼働期間中、動作中の間、車軸振動がセンサー22を使用して測定され、測定された車軸振動または測定された車軸振動に関連付けられたデータが無線送信機24を使用して無線で送信される。
【0039】
本発明による機械システム中の欠陥を検出する方法では、車軸4のような機械システムが与えられ、機械システムは、機械システムを振動させ、機械システムに出力振動スペクトラムを出力させるために、回転している車軸4上で働いている車輪/軌道インタフェースによってなど、振動デバイスによって、ランダムな、任意選択で広帯域な、振動にさらされる。入力振動周波数は、車軸4の回転周波数であってもよい。
【0040】
出力振動スペクトラムは、振動検出デバイスとして機能するセンサー22を使用することによって検出される。出力振動スペクトラムは連続測定時間期間(T)にわたって測定され、振動振幅と時間との間の関係として表される。連続測定時間期間(T)は少なくとも8.5秒である。出力振動スペクトラムは、サンプル・レート(S)で検出される。
【0041】
プロセッサは、次いで、以下に記されているように一連のサブステップを実行するために使用される。
【0042】
特に
図3を参照すると、上述のように、最初は、予測される変調周波数の少なくとも10倍のサンプル・レート(Fs)を使用して、少なくとも8.5秒持続期間の間の加速度の単一の軸の連続測定値が得られると仮定される。これは、本発明の方法のサブステップによって実装されるアルゴリズムへの入力として使用される。
【0043】
第1のサブステップ(a)では、周波数選択モジュール28が出力振動スペクトラム内の複数の周波数を選択する。サブステップ(a)では、振動測定値の複数のグループが選択され、各グループは、共通の時間期間を有し、連続するグループは、時間的に部分的に重なり、時間シフト(dt2)だけ時間的にシフトされる。連続するグループは、一連の重ねられた出力周波数スペクトラムを与えるために、部分的に重なる。
【0044】
特に
図3を参照すると、サブステップ(a)では、加速度信号が長さNの振動サンプルの一連のMの重なるグループに分割され、時間dt
2秒だけ間隔を空けて離される。これは、各グループが、N(Fs dt
2)サンプルの重なりを有することを意味する。時間dt
2は出力位相変調スペクトラムの帯域幅を決定する。
【0045】
第2のサブステップ(b)では、解析モジュール30が複数の周波数について位相情報を抽出するために複数の周波数を解析する。サブステップ(b)では、振動測定値の各グループからそれぞれの振動スペクトラムを生成するために、振動測定値の各グループがフーリエ変換解析にかけられる。サブステップ(b)では、それぞれの振動スペクトラムの各周波数からの位相情報が抽出される。
【0046】
図3を参照すると、サブステップ(b)では、各々についての振動スペクトラムを生成するために、フーリエ変換が各グループについて個別に計算される。次いで、これから位相情報のみが維持され、大きさ情報は破棄されてその後は利用されない。
【0047】
抽出された位相情報は-π~+πの範囲内でラップされる。サブステップ(b)では、抽出された位相情報は、周波数の関数としてそれぞれの連続位相波形を与えるために、アンラップされ、それは-π~+πの範囲周辺ではもはやラップされていない。好ましい実施形態では、位相情報の第2の半分(N/2値)は負の周波数部分のみを含むため、第1の半分のみが維持される。
【0048】
第3のサブステップ(c)では、生成モジュール32が複数の周波数のうちの所与の周波数について経時的な位相の変調を表す連続位相波形を生成する。好ましくは、サンプル・レート(S)は、サブステップ(c)における所与の周波数よりも少なくとも10倍大きい。好ましくは、第1のフーリエ変換解析におけるサンプル持続時間は、サブステップ(c)における所与の周期的位相変調よりも短い。好ましくは、ウインドウ処理されたセグメントは、比率(1/dt2)が予測される変調周波数よりも少なくとも10分の1の要素になるように、間隔を空けて離される。
【0049】
図3を参照すると、次いで、サイズがM
*(N/2)の行列を形成するために、
図3の行として図示されている、アンラップされた位相の配列が互いの上に積み重ねられ、次いで単一の周波数における経時的な位相の変化を表す、この配列の列が抽出される。この位相の時系列の新しいサンプル・レート(Fs
2)は、1/dt
2である。この段階において、任意の位相変調の周期性を識別できる場合がある。行列の列は、単一の周波数における位相変調時系列を表す。
【0050】
これらの周波数のうちの1つまたは複数について、時系列は最初にトレンド除去され(たとえば、平均値または勾配が減算される)、次いでフーリエ変換が計算される。次いで、これの大きさのみが使用され、値の第2の半分は負の周波数構成要素を含むため、値の第1の半分についてのみである。スペクトラムのこの大きさから、適切な変調周波数における狭いピークの存在から、強い変調が検出可能になる。
【0051】
第4のサブステップ(d)では、機械システム中の欠陥を表す出力データを生成するために、検出モジュール34が、複数の入力振動周波数において連続位相波形のピークを検出する。
【0052】
連続位相波形の最終出力は、本明細書ではここで「変調スペクトラム」とも呼ばれるが、存在する任意の広帯域周波数変調の強度を強調するものとして解釈されることができる。変調スペクトラム中の(隣接する周波数ビンと比較して)狭いピークの明らかな存在を探すことによって、車軸の潜在的な亀裂の存在が推測されることができる。
【0053】
いくつかの異なる周波数についてサブステップ(d)において生成される変調スペクトラムを計算することによって、これらの周波数の各々に存在する変調の強度が決定されることができる。これは、変調が他の周波数領域に比べて特定の周波数領域において識別することがより簡単な場合があるので、信号対雑音比を最適化する際に貴重になることがある。
【0054】
図4、
図5および
図6は、4kN負荷の下で測定された車軸について変調深さ(Y-軸)と変調周波数(X-軸)との間の2次元変調スペクトラムとして図示されている関係を示す。縦の破線は、車軸回転周波数を示した。
図4、
図5および
図6は、それぞれ、亀裂していない車軸、大きく亀裂している車軸、および軽く亀裂している車軸の出力を示す。大きく亀裂している車軸は、車軸回転周波数の追加の高調波を示す。
【0055】
図7および
図8に示されているように、すべての周波数について変調スペクトルはまた、3D面の形態において表示させられることができる。
図7および
図8において、横軸は変調周波数であり、縦軸(下から上)は変調された周波数であり、(ページでは、グレー・スケールに対応する)高さは存在する変調の深さを表す。
図4から
図6に示されているように、この表面を横にスライスすると、変調スペクトラムが生成される。
図7および
図8は、車軸の亀裂による変調のピークがより低い周波数(700Hz以下)ではさらに明確に識別可能であることを示し、この周波数より高い周波数では、変調周波数におけるピーク振幅は比較的一定に留まるが、ノイズ・フロアが増加する。
【0056】
本発明の好ましい実施形態へのさまざまな変形は、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】