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特表2023-528101繊維系食品容器を選択的にコーティングするためのアクリレートおよび非アクリレート系化学組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】繊維系食品容器を選択的にコーティングするためのアクリレートおよび非アクリレート系化学組成物
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20230627BHJP
   D21J 3/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B65D81/34 V
D21J3/00 ZBP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517792
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 US2021032396
(87)【国際公開番号】W WO2021236433
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】16/877,419
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】519030833
【氏名又は名称】フットプリント インターナショナル, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ヨーク・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲルマン,ダスティン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イーユン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス,リック
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ミン
【テーマコード(参考)】
3E013
4L055
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BC01
3E013BC13
3E013BC14
3E013BC17
4L055AA11
4L055AC06
4L055AC09
4L055AF09
4L055AF46
4L055AG34
4L055AG40
4L055AG47
4L055AG64
4L055AH16
4L055BE10
4L055EA32
4L055GA05
(57)【要約】
真空形成および後続の局所コーティングを繊維系食品容器に適用するための方法ならびに装置。スラリーは、埋め込まれた水分バリア、蒸気バリア、および油バリアのうちの1つ以上を含み、局所コーティングは、蒸気バリア、水分バリア、油バリア、および酸素バリア、例えば、ポリビニルアルコール、糖アルコール、クエン酸、およびセルロースナノフィブリルのうちの1つ以上を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ用ボウルを製造する方法であって、
肉用トレイの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供する工程と、
古い段ボール箱(OCC)および二重裏地クラフト(DLK)紙のうちの少なくとも1つを含む水性繊維系スラリーを調製する工程と、
埋め込まれた水分バリアを前記スラリーに添加する工程と、
前記成形型を前記スラリーに浸漬させる工程と、
所望の厚さの繊維粒子が前記成形型の表面に蓄積するまで、前記スラリー内で前記成形型にわたって真空引きする工程と、
前記蓄積された粒子を前記成形型から取り外す工程と、
プレス機内で前記蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、前記ボウルを形成する工程と、
前記ボウルを前記プレス機からコーティングステーションに移送する工程と、
前記コーティングステーションにおいて前記ボウルの表面に非アクリレート水分バリア層を適用する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記埋め込まれた水分バリアが、2重量%~5重量%のアルキルケテンダイマー(AKD)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スラリーに乾燥強度添加剤を添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥強度添加剤が、0.5重量%~4.5重量%のデンプンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングステーションが、
スプレーシステムと、
前記ボウルを進行方向に沿って移動させて、前記スプレーシステムと係合するように構成されたコンベヤと、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スプレーシステムが、第1の所定のスプレーパターンを前記ボウルの底部上に吐出するように構成された第1のノズルを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の所定のスプレーパターンが、前記ボウルにおけるラインで終端する実質的に垂直なカーテンを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スプレーシステムが、第2の所定のスプレーパターンを前記ボウルの側壁上に吐出するように構成された第2のノズルをさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記水分バリア層が、水溶液中に非アクリレート系微粒子状固体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記水分バリア層が、約1:3の微粒子および水の溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
円周側壁によって境界付けされた実質的に平坦な円形の底部領域によって特徴付けられるタイプの電子レンジ用ボウルを製造するための方法であって、
前記ボウルの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供する工程と、
硬材バージン繊維および軟材バージン繊維のうちの少なくとも1つを含む、水性繊維系スラリーを調製する工程と、
埋め込まれた水分バリアを前記スラリーに添加する工程と、
前記成形型を前記スラリーに浸漬させる工程と、
所望の厚さの繊維粒子が前記成形型の表面に蓄積するまで、前記スラリー内で前記成形型にわたって真空引きする工程と、
前記蓄積された粒子を前記成形型から取り外す工程と、
プレス機内で前記蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、前記ボウルを形成する工程と、
前記ボウルを前記プレス機からコーティングステーションに移送する工程と、
前記コーティングステーションにおいて前記ボウルの前記内側表面に局所バリア層を適用する工程と、を含む、方法。
【請求項12】
前記埋め込まれた水分バリアが、2%~5%のアルキルケテンダイマー(AKD)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スラリーに乾燥強度添加剤を添加することをさらに含み、前記乾燥強度添加剤が、0.5%~4.5%のデンプンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記局所バリア層が、水溶液中に約6.5%~8.5%の固体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記局所バリアが、ポリビニルアルコール、糖アルコール、クエン酸、およびセルロースナノフィブリル(CNF)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記局所バリアが、30%~40%のポリビニルアルコール、約30%~50%の糖アルコール、9%~18%のクエン酸、および4.5%~6.5%のCNFを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記局所バリアが、約36%のポリビニルアルコール、約45%の糖アルコール、約13.5%のクエン酸、および約5.5%のCNFを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記局所バリア層が、水溶液中に約6%~8%の固体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記局所バリアが、30%~40%のポリビニルアルコール、約30%~50%の糖アルコール、9%~18%のクエン酸、および3%~12%のCNFを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記局所バリアが、約38%のポリビニルアルコール、約38%の糖アルコール、約14%のクエン酸、および約10%のCNFを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2016年7月26日に出願された米国特許出願第15/220,371号、および2019年12月23日に出願された米国特許出願第16/726,180号の一部の継続出願であり、かつ優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、真空形成された成形繊維食品容器と共に使用するためのスプレーコーティングに関し、より具体的には、所望の油、水、蒸気、および/または酸素バリアを生成するためのスラリー化学物質および表面コーティングの選択的な組み合わせに関する。
【背景技術】
【0003】
単回使用のプラスチック容器および包装材料によって引き起こされる汚染が、流行しており、世界的な景観を傷つけ、繊細な生態系およびそれらに生息する生命体を脅かしている。単回使用の容器は、発泡スチロールおよび拡張ポリスチレン(EPS)包装、持ち帰り用容器、ボトル、薄膜バッグ、ならびに光分解されたプラスチックペレットの形態で、水路に沿って海洋に回遊する。
【0004】
この海のゴミは、我々の海の渦の各々に位置する高度に濃縮されたプラスチックの島々の巨大な区画に蓄積する。太陽光および波が、浮遊プラスチックを次第に小さい粒子に分解するが、それらは、完全に消滅するか、または生物分解することはない。さらに、プラスチック粒子は、農薬などの水溶性汚染物質のためのスポンジとして機能する。魚、カメ、さらにはクジラが、プラスチック物体を食べ、それが彼らを病気にしたり、または殺したりする可能性がある。より小さい海の動物が、微細なプラスチック粒子を摂取し、我々が魚介類を食べるときにそれらが我々に回ってくる。
【0005】
プラスチック汚染を低減させるための持続可能な解決策が、勢いを増している。しかしながら、継続的な採用には、これらの解決策が、環境に良いだけでなく、性能およびコストの両方の観点からプラスチックと競合することを必要とする。本発明は、製品の性能を損なうことなく、プラスチックを成形繊維の革新的な技術に置き換えることを伴い、生態学的に責任のある枠組みの中で競争力のあるコスト構造を提供する。
【0006】
簡単な背景として、成形紙パルプ(成形繊維)は、1930年代から容器、トレイ、および他の包装を作製するために使用されてきたが、プラスチック発泡体包装の導入後、1970年代に衰退を経験してきた。紙パルプは、古い新聞印刷用紙、段ボール箱、および他の植物繊維から製造することができる。今日、成形パルプ包装は、電子部品、家庭用品、自動車部品、および医療製品用に、ならびに電子部品および他の壊れやすい構成部品を出荷するための縁部/角部当て材またはパレットトレイとして広く使用される。成形型は、その表面にスクリーンが取設されている状態で、完成した包装の鏡像として成形される。真空が、スクリーンにわたって引き込まれて、繊維粒子が完成品の形状に蓄積される。
【0007】
成形パルプの2つの最も一般的なタイプは、タイプ1およびタイプ2に分類される。タイプ1は、3/16インチ(4.7mm)~1/2インチ(12.7mm)の壁を有して、サポート包装用途に一般的に使用される。タイプ1の成形パルプ製造は、また「乾式」製造としても知られており、粉砕した新聞印刷用紙、クラフト紙、または水中に溶解した他の繊維から作製された繊維スラリーを使用する。圧盤上に取り付けられた成形型は、スラリーに浸されるか、または浸漬され、真空が、略凸状の裏面に適用される。真空は、スラリーを成形型上に引っ張って、包装の形状を形成する。真空下にありながら、成形型は、スラリータンクから取り外され、水がパルプから排出されることを可能にする。次いで、成形された繊維片を押出すために、空気がツールを通して吹き込まれる。部品は、典型的には、乾燥オーブン内のコンベヤ上に堆積される。
【0008】
タイプ2の成形パルプ製造は、「湿式」製造としても知られており、典型的には、0.02インチ(0.5mm)~0.06インチ(1.5mm)の壁を有する容器を備えた電子機器、携帯電話、および家庭用品の包装のために使用される。タイプ2成形パルプは、真空がスラリーを成形型上に引っ張る点まで、タイプ1の製造と同じ材料を使用し、かつ同じ基本プロセスに従う。この工程の後、移送成形型は、繊維包装と嵌合し、形成された「湿潤部品」をホットプレス機に移動させ、繊維材料を圧縮および乾燥させて、密度を増加させ、滑らかな外部表面仕上げを提供する。例えば、stratasys.com/solutions/additive-manufacturing/tooling/molded-fiber、keiding.com/molded-fiber/manufacturing-process/、2007年4月11日に公開され、表題「Improved Molded Fiber Manufacturing」のGrenidea Technologies PTE Ltd.欧州特許公開番号第EP1492926B1号、およびafpackaging.com/thermoformed-fiber-molded-pulp/を参照されたい。前述の全ての内容の全体が、本参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
繊維系包装製品は、生分解性、堆肥化性があり、プラスチックとは異なり、海洋に回遊しない。しかしながら、現在知られている繊維技術は、肉および家禽、調理済み食品、農産物、電子レンジ可能な食品との使用、またはホットコーヒーなどの飲料容器の蓋としての使用にはよく適していない。特に、1つ以上の油、水、蒸気、および/もしくは酸素バリアをスラリーに選択的に統合すること、ならびに/または1つ以上のバリア層を完成した包装製品の表面の全てもしくは一部分に選択的に適用することは、手間がかかり、時間がかかり、かつ高価であり得る。
【0010】
それゆえ、従来技術の限界を克服する方法、装置、スプレーシステム、および化学配合物が必要である。
【0011】
様々な特徴および特性はまた、添付の図面および本背景セクションと併せて、後続の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0012】
本発明の様々な実施形態は、真空成形された、繊維系包装および容器製品の製造ならびにそれらの選択された表面に選択的にバリアコーティングを適用するための方法、化学式、スプレーシステム、およびノズル構成に関し、とりわけ、i)構造的剛性を促進する新規の幾何学的特徴を具現化する肉、農産物、園芸、およびユーティリティ容器、ii)埋め込まれたおよび/または局所の水分、油、酸素、および/または蒸気バリアを有する肉、農産物、および園芸容器、iii)埋め込まれたおよび/もしくは局所の水分、油、酸素、および/もしくは蒸気透過バリア、ならびに/または線維マトリクス内の化学結合を改善するための歩留まり向上剤を具現化する、電子レンジ可能であり、オーブン加熱される、冷凍食品、すぐに食べられる、ヨーグルト、サラダ、調理済み食品、マカロニアンドチーズ、および他の容器、iv)長期の保存可能期間にわたって構造的剛性を保つ、水分/蒸気バリアを具現化する肉用容器を含む。
【0013】
本明細書に記載される様々な発明は、従来のスラリー系真空形成プロセスの文脈において例解されるが、それに限定されないことに留意されたい。当業者は、本明細書に記載される本発明が、3D印刷技術を含む、真空形成を伴い得る、または伴わなくてもよい乾燥または毛羽プロセスを含む、任意の繊維ベースの製造様式を企図し得ることを理解するであろう。
【0014】
様々な他の実施形態、態様、および特徴は、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
例示的な実施形態が、添付の図面と併せて以下に記載され、同様の数字は、同様の要素を意味する。
図1】様々な実施形態による、繊維系スラリーを使用する例示的な真空形成プロセスの概略ブロック図である。
図2】様々な実施形態による、スラリーの化学組成を制御するための例示的な閉ループスラリーシステムの概略ブロック図である。
図3】様々な実施形態による、例示的な肉用トレイの底面の斜視図である。
図4】様々な実施形態による、図3の肉用トレイの側方立面図である。
図5】様々な実施形態による、図3および図4の肉用トレイの上面平面図である。
図6】様々な実施形態による、図5の肉用トレイの端面図である。
図7】様々な実施形態による、肉用トレイ用スプレーコーティングシステムの概略斜視図である。
図8】様々な実施形態による、電子レンジ、冷凍食品、調理済みの食事、および深い側壁を有する他の食品容器で使用するための全円錐および中空円錐デュアルノズルシステムを用いるスプレーコーティングシステムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本発明または本発明の用途および使用を限定することを意図しない。さらに、前述の背景または以下の詳細な説明において提示される任意の理論に拘束されることを意図するものではない。
【0017】
本発明の様々な実施形態は、食品および飲料業界内、ならびに食品および飲料業界外の両方で使用するための繊維系またはパルプ系製品に関する。非限定的な例として、本開示は、油バリア、水分バリア、蒸気バリア、水蒸気バリア、酸素バリア、強度添加剤、および歩留まり向上剤を含む、食品業界が直面する固有の課題に対処するように適合されたスラリーおよび局所膜またはコーティングの特定の化学配合物に関し、これらの欠如は、これまで食品業界における単回使用のプラスチック容器を効果的に置き換えることができる繊維系製品の範囲を制限してきた。新規のスラリー化学物質と表面コーティング技術(例えば、スプレーコーティング、浸漬)を結合することにより、繊維系製品が、例えば、冷凍食品、冷蔵食品、および非冷蔵食品、医療用途、医薬用途、および生物用途、電子レンジ可能およびオーブン対応食品容器、飲料カップおよび蓋、食用および非食用液体、貯蔵、出荷、および準備(例えば、調理)中に水、油および/または水蒸気を遊離させる物質、消費可能であり、かつ造園/庭園植物、花、ハーブ、低木、および木を含む園芸用途、化学貯蔵および分配装置(例えば、塗料トレイ)、(果物および野菜などの人間および動物の食品を含む)農産物、サラダ、調理済み食品、肉、家禽、および魚のための包装、蓋、カップ、ボトル、前述の処理および表示のためのガイドおよびセパレータ、電子機器、鏡、美術品、および他の壊れやすい構成部品の包装、貯蔵および出荷のための縁部および角部ピース、バケツ、管、ガスケット、スペーサ、封止材、クッションおよび同様のものなどの産業、自動車、船舶、航空宇宙および軍事構成部品、ならびに上述の構成部品を製造するための関連する成形型、ワイヤメッシュ形態、レシピ、スプレーシステムならびにスプレーノズル構成およびプロセス、化学式、ツール、スラリー分布、化学モニタリング、化学注入、ならびに関連するシステム、装置、方法、および技術などの、多岐にわたる用途のプラスチックの同等物に取って代わることを可能にする。
【0018】
スプレーコーティング技術の様々な実施形態は、水および/または油が、トレイ表面を貫通し、凍結後に肉と共にはがれる現象に対処するために、油バリアおよび/または蒸気バリアを電子レンジ用ボウル、ならびに肉用トレイに対して囲む。加えて、スプレーコーティングは、例えば、望ましくない染色(例えば、口紅)を緩和するために、飲料の蓋に対する適用性を有し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、電子レンジ用ボウル、スチーマ、またはトレイは、内側表面のみにスプレーコーティングされ、他の実施形態は、内側表面および外側表面の両方にスプレーコーティングを企図する。スプレー用途のために、スプレーノズルは、コーティングされる表面に近似したスプレーパターン(例えば、円形、環状、矩形および同様のもの)を適用するように構成されてもよい。
【0020】
様々なスプレー、浸漬性、または他のコーティング様式は、完成品において所望の性能特性を生じさせるように適合された化学物質を用いる。様々な化学配合物は、ポリエステル乳剤と混合し、加熱(例えば、電子レンジまたは従来のオーブンを使用する)時に、容器壁(例えば、底部表面)を通る水蒸気の透過を緩和するために、容器の表面に適用されるアルギン酸塩(例えば、藻類誘導体)を含む。様々な化学配合物はまた、コーティングの繊維系容器の表面への結合を促進するための炭酸カルシウム成分を含んでもよい。多くの用途において、コーティングはまた、油の透過を効果的に緩和する。
【0021】
これらのコーティング化学物質は、本明細書の他の箇所に記載されるように、TG8111系フルオロ化学物質をスラリーに組み込む代わりに(またはそれに加えて)使用され得る。いくつかの実施形態では、表面コーティングは、一次蒸気バリアおよび/または水バリア属性に加えて、二次油バリア属性を有し得るが、それでも、油バリア成分をスラリーに埋め込むことが望ましい場合がある。
【0022】
様々な表面コーティング実施形態は、化学的態様ならびにプロセス的態様(例えば、配合物が所望の被覆率目的を実現するために表面に適用される様式)を企図する。プロセスの考慮事項としては、限定されるものではないが、スプレー液滴のサイズ、噴霧器の構成および配向、スプレーの幾何学形状、ならびに容器(例えば、ヨーグルト)がコーティング配合物で満たされ、内側表面に膜を生じさせるように迅速に空にされる「充填および移動」技術が挙げられる。
【0023】
この点に関して、(例えば、凍結中に凍結した食品が乾燥するのを防止するための)蒸気バリアおよび(冷凍中に鮮度および保存可能期間を維持するための)酸素バリアは、典型的には、保護表面の完全な(例えば、100%)被覆率を必要とするが、一方で(例えば、1つ以上の凍結/解凍サイクル後に肉が肉用トレイに付着するのを防止するため、またはデンプンが電子レンジ用ボウルに付着するのを防止するための)水分(例えば、水)バリアコーティングは、実質的に完全な表面被覆率未満で効果的であり得る。
【0024】
様々な実施形態では、スプレーおよび他のコーティングプロセスは、容器を真空成形するために使用されるスラリーに1つ以上のバリア化学物質を組み込むことに加えて、またはその代わりに、完成した容器の表面に蒸気、酸素、水分、および/もしくは油バリアを適用するために使用されてもよい。好ましい実施形態では、例えば、内側表面のみがコーティングされるとき(例えば、粘着性のないバリアの場合)、水分バリア成分は、スラリーに混合され、油および/または蒸気バリアは、形成された容器に適用される。
【0025】
スプレーコーティング用途は、とりわけ、電子レンジ用ボウル、冷凍食品、および肉用トレイを企図する。用途に応じて、水、蒸気、油、および酸素バリアのうちの1つ以上をスプレーコーティングすることが望ましい場合がある。電子レンジ用ボウルの場合、問題が保存可能期間である限り、100%の被覆率は、必ずしも必要とされ得ない。スプレー技術は、水および/または蒸気バリアを適用するために使用され得るが、また肉が(凍結/解凍の1つ以上のサイクル後)、凍結状態でトレイから取り外されたときに紙繊維を引き裂かないように(100%の被覆率を必要としない)、「付着」を防止するためにも使用され得る。ヨーグルトおよび他の用途は、水蒸気および酸素バリアのためにスプレーコーティングを使用し、これは、典型的に、ほぼ100%の被覆率を必要とする。
【0026】
スプレーコーティングの使用事例は、概して、i)適用されるコーティングの化学配合物、ii)熱物理学的、流動学的、および粘弾性特性、iii)コーティングを容器、包装、または他のワークピースの1つ以上の表面(または表面の一部分)に適用するための装置、ならびにiv)乾燥時間および温度などのプロセスパラメータを伴う。
【0027】
スプレーコーティングを伴う典型的な使用事例は、凍結後に肉が繊維トレイに付着するのを防止するのに役立てるために、水分バリアで肉用トレイのコーティングを取り囲む。凍結後に、肉がトレイに付着する程度を低減するために、上部(表面)コーティングが、(スプレーまたはその他を介して)適用されてもよい。コーティングはまた、例えば、肉および分泌物が冷蔵庫内のトレイ内に載置されている間、凍結せずともトレイの強度および剛性を維持するのに役立つ。
【0028】
スプレーコーティングされた肉用トレイを製造する例示的な方法は、最大100%OCC、またはOCCおよび二重裏地クラフト(DLK)紙の任意の所望の組み合わせを含む、水性繊維系スラリーから開始し得る。(代替的に、本明細書に記載の様々なスラリーベースは、再生された繊維とバージン繊維の混合物を含み得るか、またはスラリーベースは、以下で電子レンジ用ボウルと併せて考察されるように、100%バージン繊維(例えば、硬材、軟材、またはそれらの組み合わせ)を含み得る)。
【0029】
水/水分バリア(例えば、2~5%、好ましくは約4%のAKD)、乾燥強度添加剤(例えば、0.5~4.5%、好ましくは約4%のデンプン、Hercobond 6950または改質デンプン)、および湿潤強度添加剤(例えば、Kymene)が、スラリーに添加され得る。トレイが真空形成された後(例えば、熱プレス機で約55秒間乾燥された後)、トレイは、スタッカに移送され、トレイの積層体は、スプレーコーティングステーションに移送され、そこで、それらは、入れ子を解除され、コンベヤ上のそれぞれのポケットに落とされ、その後、補助水分コーティングが、連続的または並列的な方式のいずれかで各トレイに適用される。
【0030】
様々な実施形態では、補助コーティングは、トレイの上方に配設された2つの固定ノズルを含むシステムを使用して適用され得、各ノズルは、トレイが下を通過する際、壁またはカーテンの形態(エアナイフに非常に類似する)のスプレーパターンを出力する。このように、各ノズル(またはノズルの組み合わせ)は、ワークピースの進行方向に対して好適に直交するラインで終端するスプレーパターンを生成する。一実施形態では、1つのノズルは、傾斜した側壁、構造的リブ、および任意の他の幾何学的特徴の完全なコーティングを確実とするために、前方(トレイ進行の方向に向かって)に角度を付けられてもよく、他のノズルは後方に角度を付けられ得る。
【0031】
代替的に、限られた側壁の深さを有する実質的に平坦なトレイ、または膜の均一性がそれほど重要ではない用途に関して、単一のカーテンタイプのスプレー構成が、用いられてもよい。
【0032】
トレイが、十分な被覆率を受容しているかどうか(例えば、十分にコーティングされているかどうか)を評価するための1つの測定基準は、コーティングの前後のトレイの重量を比較して、トレイに適用されたコーティング材料の重量が所定の閾値(または範囲)を満たすかどうかを判定することを伴う。代替的または追加的に、適用された膜の厚さは、コーティングの厚さが、所定の閾値(または値の範囲)を満たすかどうかを判定するために測定され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、適用されたコーティングの均一性がまた、測定され、将来のトレイへの適用の均一性を促進するために必要に応じてプロセスパラメータが調整されてもよく、この点で、均一性は、少なくとも2つの考慮事項、すなわち、i)局所点または領域における膜層が薄すぎ、そのため有効なバリアが形成されていないかどうか、およびii)局所点または領域における膜層が厚すぎ、そのためその点における完成したトレイが完全に乾燥できず、(膜の上層が滑り落ちるか、または別様に膜から剥離する)シミまたは剥離をもたらすかどうか、を伴う。
【0034】
次いで、コーティングされたトレイは、70~180℃、好ましくは約80~110℃、最も好ましくは約95℃の範囲のオーブン内で、約1(1)分間乾燥させて、膜層から水分を除去し、その他の方法で適宜硬化させる。赤外線(IR)センサは、適切な硬化温度が実現されたことを確実とするために、1つまたは複数の点において、肉用トレイの温度を調べるために使用され得る。
【0035】
肉用トレイに関して、コーティング組成物は、25%のアクリルおよび75%の水を含んでもよく、アクリルは、DOW Chemical Corporationから入手可能なRhobarr 110結合剤などのアクリルコポリマーラテックスまたは同様の材料を含み得る。この文脈では、コーティングは、凍結した肉がトレイから取り外される際に、肉用トレイの上層が剥がれ落ちないようにするための粘着防止層として機能する。
【0036】
いくつかの実施形態では、トレイの反対側(底部表面および/または外部側壁を含む)のいくつかまたは全てもまた、コーティングされ得る。これは、例えば、包装がその側面で貯蔵されるときに、トレイと外側プラスチックラップとの間の封止部の周りに分泌物が漏れる場合、肉からの凍結された分泌物(例えば、血液、油、水)がトレイの外側に付着する可能性をある程度を低減する。
【0037】
肉用トレイは、典型的には、別個の油バリアを必要としないが、蒸気および/または付着防止バリアはまた、油透過を効果的に阻害し得る。
【0038】
アクリルの代替物として、またはアクリルに加えて、エンドウ乳剤およびアルギン酸塩もまた、肉用トレイ、電子レンジ用ボウル、および/または他の包装構成部品に対して使用することができる。
【0039】
乾燥後、トレイは、積層され、箱詰めされ、および出荷される。
【0040】
「すぐに食べられる」(RTE)トレイという用語は、サラダ、果物、調理された食事、および他の食品が、トレイの外周の周りに封止されたプラスチック膜を使用して包装され、多くの場合冷蔵庫内に貯蔵される容器を表す。RTEトレイは、鮮度および保存可能期間を改善させるために酸素バリアを提供するようにコーティングされ得る。
【0041】
局所膜バリアのないRTEトレイは、30~100%のOCC/DLKおよび0~70%のバージンパルプ、ならびに好ましくは約100%のOCC/DLKを含む OCC/DLKスラリーに、i)1~5%、好ましくは約4%のDaikin 8111を含む油バリア、ii)2~5%、好ましくは約3.5%のAKDを含む水分/水バリア、およびiii)Hercobondなどの3%のデンプンを含む強化成分を添加することによって作製され得る。
【0042】
局所膜バリアを有するRTEトレイは、上で説明された方法と実質的に同じ方法で作製され得(しかし、8111油バリアを除外し、および/またはAKDを4%に増加させる可能性がある)、また水溶液中にアクリルを含む局所酸素バリア(例えば、25%のRobar 110および75%の水)を添加してもよい。RTEトレイおよび容器(例えば、ヨーグルトカップ)に関して、膜は、より完全な(例えば、100%)被覆率を確実とするために、典型的には、肉用トレイの文脈において上で説明されたものよりも厚い。
【0043】
コーティングされていない電子レンジ用ボウルは、最大100%のバージン繊維(軟材、硬材、またはそれらの組み合わせ)を含むスラリーを使用して作製され得る。一実施形態では、スラリーベースは、約45%の漂白硬材、約35%の漂白軟材、および約25%の無漂白軟材を含む。スラリーはまた、油バリア(例えば、2.5%の8111)、水バリア(例えば、3%のAKD)、乾燥強度添加剤(例えば、2.5%のデンプン)、歩留まり添加剤(例えば、0.15%のNalco)、および同伴空気を除去するための脱発泡成分(例えば、1.5%のExpair)を含んでもよい。
【0044】
コーティングされた電子レンジ用ボウルおよび他の食品包装製品は、コーティングされていない電子レンジ用ボウルに関連して上で説明されたような実質的にバージン繊維スラリーベースを使用して作製されてもよく、約3%の水バリア(AKD)および約2.5%のデンプンをさらに含むが、油バリア、歩留まり添加剤、および消泡剤は含まれない。コーティング配合物は、水溶液中に約27.5%の固体を含み得る。27.5%の固体は、以下の5(5)成分(DWP配合物と称されることもある):i)25%のアクリレート、ii)1.8%のコメヌカワックス(粘着性を低減し得る)、iii)0.4%のペクチン(蒸気バリアの形成を促進し得、また積層されたボウルの入れ子解除を促進するために粘着性を低減させ得る)、iv)0.3%のエンドウタンパク質(コメヌカワックスの乳剤を促進し得る)、およびv)pHを調整し、それによってアクリレート硬化を促進するための0.2%液体アンモニウムまたは他の添加剤、のうちの全てまたはいくつかの好適な組み合わせを含み得る。
【0045】
深い側壁を有するボウルおよび他の包装構成部品に関して、ラインで終端するカーテンタイプスプレー出力が、不十分である。この課題に対処するために、本発明者らは、中空円錐スプレーパターンと結合された全円錐スプレーパターンを伴う2つのノズルスプレーパラダイムを開発し、これは、ともに、底部表面を過剰にスプレーすることなく、底部表面ならびに側壁特徴に適切な被覆率を提供する。
【0046】
好ましい実施形態では、コーティングは、スプレーコーティングステーションを通じてボウルを運ぶ、コンベヤの上方に配設された2つのノズルシステムを使用して、電子レンジ用ボウルに適用される。第1の「全円錐」ノズルは、各ボウルの中心(底部)を覆うように構成され、第2の「中空円錐」ノズルは、各ボウルの内側側壁を覆うように構成される。全円錐および中空円錐スプレーパターンは、全円錐パターンが中空円錐パターンと重なる領域における過剰な膜厚を最小限に抑えながら、完全な被覆率を確実とするように好適に構成される。
【0047】
好ましい実施形態では、ボウルまたは他の包装構成部品が、コンベヤに沿って進行する際、ノズルシステムもまた、所定の期間、同じ経路に沿って進行し、そのためノズルまたは複数のノズルは、スプレー中にボウルに対して並進しない。したがって、ノズルは、処理能力を損なうことなく、各ボウルに対して「静止した」ままであり得る。
【0048】
本明細書で考察される項目で使用するための他のコーティング技術は、バリア(例えば、熱水/油および水蒸気透過率(WVTR))性能および前述のアクリレート系コーティングに相当するマイクロ波水(MW)性能を呈する非アクリレートコーティング配合物を含み得る。特に、乾燥コーティング組成物は、ボウル(または他の容器)全体の重量の3%の範囲内で含み得る、例えば:
【0049】
非アクリレートコーティング実施例1:
i)6.5重量%~8.5重量%(例えば、7.4重量%)の範囲内の固体、例えば、8.5~9.5グラムの標的コート重量(例えば0.6~0.7グラムの乾燥重量)、
ii)30~40%(例えば、36%)の範囲内のポリビニルアルコール(PVOH)、
iii)30%~50%(例えば、45%)の範囲内の糖アルコール(例えば、キシリトール)、
iv)9%~18%(例えば、13.5%)の範囲内のクエン酸、および
v)3%~12%(例えば、5.5%)の範囲内のセルロースナノフィブリル(CNF)。
【0050】
非アクリレートコーティング実施例2:
i)6重量%~8重量%(例えば、7.0重量%)の範囲内の固体、例えば、9~11(例えば、10)グラムの標的コート重量(例えば、約0.7グラムの乾燥重量)、
ii)30%~40%(例えば、38%)の範囲内のPVOH、
iii)30%~50%(例えば、38%)の範囲内の糖アルコール(キシリトール)、
iv)9%~18%(例えば、14%)の範囲内のクエン酸、および
v)3%~12%(例えば、10%)の範囲内のセルロースナノフィブリル(CNF)。
【0051】
いくつかの実施形態では、様々な成分について以下の範囲が、使用され得る:
【表1】
【0052】
コーティングされたヨーグルトカップは、コーティングされていない電子レンジ用ボウルに関連して上で説明されたような実質的にバージン繊維スラリーベースを使用して作製されてもよく、約4%の水バリア(AKD)および3%のデンプンをさらに含む。上述のスプレー方法の代わりに(またはそれに加えて)、局所酸素バリア層は、i)カップがコーティング溶液のプールに浸され、それにより、内側表面および外側表面の両方をコーティングする完全浸漬工程、またはii)コーティング溶液が、カップに一杯になるまで注入され、その後、カップの内側表面をコーティングするために廃棄される「充填および廃棄」技術のいずれかを使用して適用されてもよい。この文脈では、前述のDWP配合物の、同じまたはより希釈された(より低いアクリレート濃度)バージョンが、用いられてもよい。加えて、注入された溶液は、廃棄物を低減させるために、開ループまたは閉ループシステムにおいて再循環され得る。
【0053】
次いで、コーティングされたカップは、約95℃で約1分間オーブン内において乾燥させ、その後、積層され、箱詰めされ、出荷されてもよい。
【0054】
伝統的なマカロニアンドチーズ(マッケンチーズ)のボウルでは、パスタは、乾燥しており、チーズは、典型的に、プラスチックまたは箔封筒に別々に包装されており、そのため酸素バリア層が必要とされる場合があり、または必要とされない場合もある。酸素層が所望される場合、例えば、上で説明された完全浸漬または注入および廃棄技術(または両方)のいずれかを使用して、適用され得る。酸素層を必要としない場合、上で説明されたように、防粘コーティングが、適用され得る。
【0055】
DWP配合物の代替バージョンは、0.3%のエンドウタンパク質(粉末である)を除外すること、およびコメワックスを乳化するように実質的に同じ機能を実施するために0.05%のTween 80(乳化剤)を使用することを伴う。
【0056】
加えて、粉末ペクチンを使用する代わりに、我々は、混合が容易な水性バージョンを使用する。
【0057】
局所コーティングのための配合物は、以下を含み得る。
【表2】
【表3】
【表4】
【0058】
概して、DWPスプレーコーティングは、総固体15~40重量%の範囲内、好ましくは25~30重量%の範囲内、最も好ましくは約27.5重量%で含有する水性配合物として記載され得る。本配合物中の1つの成分は、硬化時に、所望の水分、油、および/または酸素バリア層の形成を促進するために、架橋し、かつ重合するアクリルポリマーを含み得る。この配合物はまた、コーティングされた表面の非粘着特性および非光沢表面仕上げを提供するために、コメヌカワックスを含有する。ワックスは、安定した水性分散のためにエンドウタンパク質で乳化される。本配合物はまた、スプレーコーティング中の疎水性繊維表面への最適な接着のための粘度改良剤としてペクチンを含有する。配合物のpHは、アクリルポリマーの溶解性を維持するためにアンモニアを添加して約9.0である。
【0059】
局所コーティングとして適用される溶液を調製するための例示的な方法は、以下の定義を使用して、75(75)ガロンバッチの文脈において説明されるであろう。
RBW:コメヌカワックス
PP:エンドウタンパク質
PEC:ペクチン
G:ガロン
L:リットル
kg:キログラム
【0060】
35.6ガロンの水を、少なくとも185°Fに加熱し、ワックスペレットが完全に溶解し、溶液の温度が、185°Fに戻るまで約12分間、5.1kgのRBWを高速で混合する。約1分間にわたって混合物に0.85kgのPPを添加する。塊が見えなくなるまで、さらに10分間またはそれ以上PPを混合する。1.14kgのPecを5分間かけて加え、塊が見えなくなるまでさらに15分間またはそれ以上の間、内容物を混合する。低速で混合を続け、バッチ温度を約120°Fにする。混合しながら、37.5ガロンのRhobarr 110をバッチに添加し、10分間混合し続ける。バッチに2.15Lの4%アンモニアをゆっくりと注ぎ、さらに10分間混合を続ける。
【0061】
ここで図1を参照すると、繊維系スラリーを使用する例示的な真空形成システムおよびプロセス100は、製造される製品の鏡像の形態の成形型(明確にするために示されない)が、成形型の輪郭に一致するように細いワイヤメッシュ形態102で包まれる第1の段階101を含む。繊維系スラリー104の供給104は、圧力(P1)106(典型的には周囲圧力)で投入される。より低い圧力(P2)108を成形型の内側に維持することにより、スラリーは、メッシュ形態を通じて引き出され、繊維粒子を成形型の形状で捕捉し、過剰なスラリー110を排出してシステムに再循環させる。
【0062】
図1を引き続き参照すると、第2の段階103は、成形型の形状でワイヤメッシュの周りに繊維層130を蓄積することを伴う。層130が所望の厚さに達するとき、成形型は、湿式硬化または乾式硬化のいずれかのために第3の段階105に入る。湿式硬化プロセスでは、形成された部品は、加熱プレス機(図示せず)に移送され、層130は、圧縮され、かつ所望の厚さまで乾燥され、それにより、完成部品のための滑らかな外部表面仕上げを生じさせる。乾式硬化プロセスでは、加熱された空気は、層130の上を直接通過して、そこから水分を除去し、従来の卵カートンとほぼ同様のよりテクスチャ化された仕上がりをもたらす。
【0063】
様々な実施形態によれば、真空成形プロセスは、未使用のスラリーが、製品が形成される液槽に再循環されるという点で、閉ループシステムとして動作する。そのため、(以下でより詳細に考察される)化学添加剤のいくつかは、個々の繊維に吸収され、添加剤のいくつかは、水系溶液中に残る。真空形成中、(添加剤のいくつかを吸収した)繊維のみが、形態に閉じ込められ、残りの添加剤は、タンクに再循環される。その結果、残りの添加剤は、溶液中のスラリーと共に再循環されるため、成形部内に捕捉された添加剤のみが、補充されなければならない。以下に説明されるように、システムは、スラリーを含む構成成分の所定の体積比で、真空タンク内の定常状態の化学物質を維持する。
【0064】
ここで図2を参照すると、スラリーの化学組成物を制御するための閉ループスラリーシステム200がある。例解された実施形態では、タンク202は、特定の所望の化学物質を有する繊維系スラリー204で充填され、それから、真空成形型206は、成形部品を形成するために、スラリー液槽に浸漬される。成形部品が所望の厚さに形成された後、後続の処理208(例えば、形成、加熱、乾燥、上部コーティング、および同様のもの)のために成形型206は、取り外される。
【0065】
典型的な湿式プレスプロセスでは、ホットプレス温度範囲は、約150~250℃であり、ホットプレス圧力範囲は、約140~170kg/cmである。最終製品の密度は、約0.5~1.5g/cmであり、最も可能性が高いのは、約0.9~1.1g/cmである。最終製品の厚さは、約0.3~1.5mm、好ましくは約0.5~0.8mmである。
【0066】
図2を引き続き参照すると、パルプおよび水を含む繊維系スラリーは、スラリー投入210でタンク202に投入される。様々な実施形態では、粉砕機が使用されて、パルプ繊維を粉砕し、追加の接合部位を作成し得る。1つ以上の追加の成分または化学添加剤は、それぞれの投入212~214で供給され得る。スラリーは、必要とされる際、追加のパルプおよび/または水を添加する、閉ループ導管218を使用して再循環され得る。所望の化学添加剤の定常状態バランスを維持するために、サンプリングモジュール216が、スラリーの構成成分を測定するか、または別様に監視し、それぞれの投入212~214を制御することによって、それぞれの添加剤レベルを動的または周期的に調整するように構成される。典型的には、スラリー濃度は、約0.1~1%であり、最も理想的には、約0.3~0.5%であり、好ましくは、約0.4~0.5%である。一実施形態では、様々な化学成分は、所定の所望の体積パーセントで維持され、代替的に、化学物質は、重量パーセントまたは任意の他の所望の制御様式に基づいて、維持されてもよい。
【0067】
202において使用されるパルプ繊維はまた、繊維間結合を改善し、かつ繊維への化学物質の結合を改善するために、機械的に粉砕されることもできる。このようにして、スラリーは、繊維材料のろ水度または排出速度を変更する改良プロセスを経る。物理的な改良は、繊維を小繊維化し、かつより可撓性にして、より良い結合を実現するように改質する。また、改良プロセスは、最終製品の引張強度および破裂強度を増加させることができる。様々な実施形態では、ろ水度は、繊維の表面状態および膨潤に関連する。ろ水度(csf)は、好適には、本明細書に記載される多くのプロセスおよび製品に関して、200~700、好ましくは約350~550の範囲内である。
【0068】
様々な化学配合物(本明細書では「化学物質」と称されることがある)、スプレーコーティングおよび浸漬システム、ならびに様々な繊維系包装および容器に関するノズル構成および製品構成、ならびに局所コーティングを適用するための様々な方法は、図3図8と併せてさらに説明される。
【0069】
図3は、底部表面の下側302および側壁304の外側表面を例解する肉用トレイ300の斜視図である。
【0070】
図4は、図3の肉用トレイ402の側方立面図である。
【0071】
図5は、トレイの底部領域の上部表面502、ならびにそれぞれの側壁504および506を例解する、図3および図4の肉用トレイの上面平面図である。
【0072】
図6は、図5の肉用トレイ602の端面図である。
【0073】
図7は、様々な実施形態による、肉用トレイにスプレーコーティングをするために有用なスプレーコーティングシステム700の概略斜視図である。
【0074】
より具体的には、システム700は、トレイが矢印730によって示される方向に沿って搬送される際、トレイを保持するためのポケット710を有するコンベヤ708を含む。トレイは、構造的特徴(例えば、リブ)706を有する底部パネル704を含み、側壁702によって囲まれる。
【0075】
図7を引き続き参照すると、例解されたスプレーシステムは、それぞれ第1のスプレーノズル712および第2のスプレーノズル718を備える。ノズル712は、側縁部714によって境界付けされ、方向730に対して実質的に直交するライン716で終端する実質的に平面のスプレーパターン715を吐出するように構成される。ノズル718は、側縁部720によって境界付けされ、方向722に対して実質的に直交するライン716で終端する実質的に平面のスプレーパターン721を吐出するように構成される。トレイがスプレーノズルの下を通過する際、スプレーライン716および722は、底部表面704および/または側壁702の内側表面の全ての部分または選択された部分にコーティングを適用する。
【0076】
図8は、全円錐スプレーパターンを吐出するように構成された全円錐ノズル810、および環状(または「ドーナツ」)形状のスプレーパターンを吐出するように構成された中空円錐ノズル814を含む、スプレーコーティングシステム800の概略斜視図である。特に、システム800は、ワークピース(ボウル)の内側底部表面802に全円錐スプレーパターン812を適用するように構成される。システム800は、中空円錐スプレーパターン816をワークピース側壁804の内側表面に適用するようにさらに構成される。
【0077】
図8を引き続き参照すると、コンベヤ806は、矢印830によって画定された方向(図8の右側)に沿ってトレイを運ぶように構成される。一実施形態では、コンベヤ806は、矢印830の方向に順次インデックスを付け、それにより、静止圧盤820から下げられた静止ノズル810、814の下に連続したトレイを位置決めするように構成され得る。この位置では、右側のボウルが、側壁スプレーコーティングされながら、左側のボウルは、底部スプレーコーティングされ得る。次の位置にインデックスを付けた後、以前はノズル810の下にあったボウルは、次いでノズル814の下に配設される、などである。
【0078】
代替的な実施形態では、総ワークピース処理能力は、(順次インデックス付けとは対照的に)連続的な方式でコンベヤ806を動作させることによって増加され得る。スプレーコーティングの適用中にノズルシステムと下にあるワークピースとの間の位置の見当合わせを維持するために、圧盤820は、コンベヤ830と共に右に進行して、ノズル間の相対的な運動を一時的に中断し、その後、ノズルをコーティングされる次の一連のワークピースと位置合わせするように左方向にシフトするように構成され得る。
【0079】
図8は、2つのワークピース、ならびに全円錐および中空円錐ノズルの各々のうちの1つを例解するが、当業者は、圧盤820の往復動作ごとに、システムが、任意の数のノズルおよびワークピースを収容するように見積もられ得ることを理解するであろう。
【0080】
簡潔に上述したように、本発明により、容器を真空成形するために使用される様々なスラリーは、各特定の製品用途のために調整された所望の性能特性を付与するために化学成分が添加された、パルプおよび水の繊維系混合物を含む。ベース繊維は、少なくとも以下の材料:軟材(SW)、バガス、タケ、古い段ボール箱(OCC)、および新聞印刷用紙(NP)のうちのいずれか1つまたは組み合わせを含み得る。代替的に、ベース繊維は、以下のリソースに従って選択されてもよく、その内容全体が、この参照により本明細書に組み込まれる:Mohamed Naceur BelgacemおよびAntonio Pizziによって編集され(Scrivener Publishing, LLCによって2016著作権保護)、およびhttps://books.google.com/books?id=jTL8CwAAQBAJ&printsec=frontcover#v=onepage&q&f=falseから入手可能な「Lignocellulosic Fibers and Wood Handbook: Renewable Materials for Today’s Environment,」、African Pulp and Paper Weekにおいて2002年10月8日に公開され、tappsa.co.za/archive/APPW2002/Title/Efficient_use_of_fluorescent_w/efficient_use_of_fluorescent_w.htmlから入手可能な、Liisa OhlssonおよびRobert Federeによる「Efficient Use of Flourescent Whitening Agents and Shading Colorants in the Production of White Paper and Board」、Woodhead Publishing Ltd.によって200著作権保護され、books.google.com/books?id=xO2iAgAAQBAJ&printsec=frontcover#v=onepage&q&f=falseで入手可能な、J F Kennedy、G O Phillips、P A Williamsによって編集されたCellulosic Pulps, Fibres and Materials: Cellucon ’98 Proceedings、ならびに1992年12月8日に発行された米国特許第5,169,497A号、表題「Application of Enzymes and Flocculants for Enhancing the Freeness of Paper Making Pulp」。
【0081】
湿式または乾式プレスのいずれかを使用して製造された真空成形製品容器に関して、OCCまたはOCC/DLKおよびNPの繊維系が、使用され得、OCC/DLK成分は、50%~100%、好ましくは約70%OCC/DLKおよび30%NPまたはVNPであり、1~10重量%の範囲内、好ましくは約1.5重量%~4重量%、最も好ましくは約4重量%の添加された水分/撥水剤を有する。好ましい実施形態では、水分/水バリアは、fobchem.com/html_products/Alkyl-Ketene-Dimer%EF%BC%88AKD-WAX%EF%BC%89.html#.V0zozvkrKUkにおけるFOBCHEM、およびyztianchengchem.com/en/index.php?m=content&c=index&a=show&catid=38&id=124&gclid=CPbn65aUg80CFRCOaQod0JUGRgにおけるYanzhou Tiancheng Chemical Co., Ltd.から入手可能な、アルキルケテンダイマー(AKD)(例えば、Hercon 79、Hercon 80)および/または長鎖ジケテンを含み得る。
【0082】
成形パルプ製品のための特定の色を生じさせるために、カチオン性染料または繊維反応性染料が、パルプに添加され得る。Procion MXなどの繊維反応性染料は、繊維と分子レベルで結合し、化学的に生地の一部となる。また、塩、ソーダ灰を添加すること、および/またはパルプ温度を増加させることは、吸収された染料が生地内にさらに閉じ込められて、色のにじみを防止し、色の深さを向上させるのに役立つ。
【0083】
構造的剛性を向上させるために、デンプン成分が、例えば、Topcat(登録商標)L98カチオン性添加剤(またはSolenis LLCから入手可能なHercobond 6950)、Hercobond、およびTopcat(登録商標)L95カチオン性添加剤(Cedar Rapids, IowaのPenford Products Co.から入手可能)として市販されている液体デンプンが、スラリーに添加され得る。代替的に、液体デンプンはまた、Penbond(登録商標)カチオン性添加剤およびPAF 9137 BRカチオン性添加剤(Penford Products Co., Cedar Rapids, Iowaからも入手可能である)として入手可能なものなどの、低電荷液体カチオン性デンプンと組み合わせることもできる。
【0084】
乾式プレスプロセスに関して、Topcat L95またはHercobond 6950は、0.5重量%~10重量%、好ましくは約1重量%~7重量%の範囲内で、特に高湿度環境で強度を維持する必要がある製品については、最も好ましくは約6.5重量%、そうでなければ、最も好ましくは約1.5~2.0重量%の範囲内で添加され得る。湿式プレスプロセスに関して、繊維および微粒子と水素およびイオン結合の両方を形成する、修飾ポリアミンから作製される、Topcat L95またはHercobond 6950などの、乾燥強度添加剤である。乾燥強度添加剤は、乾燥強度を増加させること、ならびに排水および歩留まりに役立ち、繊維製品にアニオン、疎水性物質およびサイズ調整剤を固定するのにも効果がある。これらの添加剤は、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1重量%~6重量%、最も好ましくは約3.5重量%で添加され得る。加えて、湿式および乾式プロセスの両方は、湿潤強度添加剤、例えば、Kymene 920Aまたは1500などのポリアミド-エピクロロヒドリン(PAE)樹脂、またはashland.com/productsにおけるAshland Specialty Chemical Productsから入手可能な同様の成分で配合された溶液の添加から利益を得ることができる。好ましい実施形態では、Kymene 920Aまたは1500は、0.5体積%~10体積%の範囲、好ましくは約1体積%~4体積%、最も好ましくは約2体積%または乾燥強度添加剤の投与と等量で添加され得る。Kymene 920Aまたは1500は、1分子当たり平均2つ以上のアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を含有するポリカチオン性材料のクラスのものである。このようなアミノ基は、カチオン性種を生成するために酸性溶液中でプロトン化する傾向がある。ポリカチオン性材料の他の例としては、Hercules製のHercosett 57およびCiba-Geigy製のCatalyst 3774として市販されている、縮合アジピン酸およびジメチレントリアミンから調製されたもののような、アミノ含有ポリアミドをエピクロロヒドリンで修飾したことに由来するポリマーが挙げられる。
【0085】
本発明者は、成形繊維容器は、スラリーにバリア化学物質を埋め込むか、完成した真空形成容器に局所コーティングを添加するか、またはその両方によって、電子レンジ、対流、および従来のオーブンにおける使用に好適な単回使用の食品容器として好適であるとすることができることを見出した。特に、スラリーおよび/または局所コーティング化学物質は、有利には、以下の3つの性能測定基準、i)水分バリア、ii)油バリア、およびiii)水蒸気(縮合)バリアのうちの1つ以上に対応して、熱い容器を容器よりも低い温度を有する表面上に設置することによる凝縮を回避するべきである。
【0086】
この文脈では、水蒸気が容器に浸透する程度は、容器の多孔性に関連し、これは本発明が低減しようとするものである。すなわち、容器が油および水に対して効果的に不透過性である場合でも、特に水蒸気が寒冷な表面上で凝縮し、水分リングを残す場合、水蒸気が容器に浸透すると、使用者の経験を損なう可能性がある。本発明者は、水蒸気は、典型的にはプラスチックバリアに浸透しないため、凝縮問題は、繊維系用途で固有に公表されるとさらに判断した。
【0087】
したがって、電子レンジ可能な容器に関して、本発明は、水バリア、油バリア、および水蒸気バリア、ならびに任意選択の歩留まり向上剤を含む、繊維またはパルプ系スラリーを企図する。一実施形態では、約10%~90%の範囲内、好ましくは約7:3の比で軟材(SW)/バガスの繊維ベースが、使用され得る。水分バリアとして、AKDは、約0.5%~10%の範囲、好ましくは約1.5%~4%、最も好ましくは約3.5%で使用され得る。油バリアとして、グリースおよび撥油添加剤は、多くの場合、ダイキンまたはworldofchemicals.com/chemicals/chemical-properties/unidyne-tg-8111.htmlにおけるWorld of Chemicalsから入手可能な、UNIDYNE TG 8111またはUNIDYNE TG-8731などのフッ素樹脂もしくは他のフッ素含有ポリマーの組成物を含有するフッ素の水系乳剤である。スラリー(または局所コーティング)の油バリア成分は、重量パーセンテージとして、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1重量%~4重量%、最も好ましくは約2.5重量%で含み得る。歩留まり向上剤として、Naperville, Ill.のNalco Companyから入手可能なNalco 7527などの有機化合物は、0.1体積%~1体積%の範囲内、好ましくは約0.3体積%で用いられ得る。最後に、完成品を強化するために、無機塩などの乾燥強度添加剤(例えば、solenis.com/en/industries/tissue-towel/innovations/hercobond-dry-strength-additives/で入手可能なHercobond 6950、またsfm.state.or.us/CR2K_SubDB/MSDS/HERCOBOND_6950.PDFを参照のこと)が、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1.5重量%~5重量%、最も好ましくは約4重量%で用いられ得る。
【0088】
挙げられるように、蒸気バリア性能は、繊維トレイの多孔性によって直接影響を受ける。繊維トレイの多孔性の低減、したがって、蒸気バリア性能の向上は、少なくとも2つのアプローチを使用して実現することができる。1つは、繊維を粉砕することによってトレイ材料のろ水度を改善することによる。第2の方法は、例えば、水系長鎖フッ素含有ポリマーである、Daikin S2066を使用した局所スプレーコーティングによる。スプレーコーティングは、約0.1重量%~3重量%の範囲内、好ましくは約0.2重量%~1.5重量%、最も好ましくは約1重量%で使用して実装され得る。
【0089】
食料品店で家禽、牛肉、豚肉、および魚介類のディスプレイ用に使用されるものなどの、現在知られている肉用トレイは、典型的に、主にそれらの優れた水分バリア特性のために、ポリスチレンおよび発泡スチロールなどのプラスチック系材料から作製される。本発明者は、電子レンジ可能な容器用に使用される前述の化学物質の変形は、特に水分バリアに関して、肉用トレイにおける使用に適合され得ることを判定した(油および多孔性バリアは、典型的には、電子レンジ用容器ほどには肉用トレイにおいて重要ではない)。
【0090】
したがって、肉用容器に関して、本発明は、水バリアおよび任意選択の油バリアを含む、繊維またはパルプ系スラリーを企図する。一実施形態では、約10%~90%の範囲内、好ましくは約7:3の比で軟材(SW)/バガスおよび/またはタケ/バガスの繊維ベースが、使用され得る。水分/水バリアとして、AKDは、約0.5%~10%の範囲内、好ましくは約1%~4%、最も好ましくは約4%で使用され得る。油バリアとして、水系乳剤、UNIDYNE TG 8111またはUNIDYNE TG-8731などが用いられ得る。スラリー(または局所コーティング)の油バリア成分は、重量パーセンテージとして、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1重量%~4重量%、最も好ましくは約1.5重量%で含み得る。最後に、完成品を強化するために、Hercobond 6950などの乾燥強度添加剤は、0.5重量%~10重量%の範囲内、好ましくは約1.5重量%~4重量%、最も好ましくは約4重量%で用いられ得る。
【0091】
農産物容器に関連して上記で考察されたように、スラリー化学物質および/またはスプレーコーティング化学物質は、構造的特徴と組み合わせて、水分/水がトレイに浸透するのを防止することによって、長期にわたる剛性を経時的に提供し得る。
【0092】
それゆえ、肉用トレイを製造する方法が提供される。本方法は、肉用トレイの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供することと、古い段ボール箱(OCC)および二重裏地クラフト(DLK)紙のうちの少なくとも1つを含む水性繊維系スラリーを調製することと、埋め込まれた水分バリアをスラリーに添加することと、成形型をスラリーに浸漬させることと、所望の厚さの繊維粒子が成形型の表面に蓄積するまで、スラリー内で成形型にわたって真空引きすることと、蓄積された粒子を成形型から取り外すことと、プレス機内で蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、肉用トレイを形成することと、肉用トレイをプレス機からコーティングステーションに移送することと、コーティングステーションにおいて肉用トレイの表面に、補助水分バリア層を適用することと、を含む。
【0093】
一実施形態では、埋め込まれた水分バリアは、2%~5%のアルキルケテンダイマー(AKD)を含む。
【0094】
一実施形態では、方法は、乾燥強度添加剤をスラリーに添加することをさらに含む。
【0095】
一実施形態では、乾燥強度添加剤は、0.5%~4.5%のデンプンを含む。
【0096】
一実施形態では、コーティングステーションは、スプレーシステムと、肉用トレイを進行方向に沿って移動させて、スプレーシステムと係合するように構成されたコンベヤと、を備える。
【0097】
一実施形態では、スプレーシステムは、第1の所定のスプレーパターンを肉用トレイ上に吐出するように構成された第1のノズルを備える。
【0098】
一実施形態では、第1の所定のスプレーパターンは、肉用トレイにおけるラインで終端する実質的に垂直なカーテンを含み、ラインが、所定の厚さを有し、進行方向に対して実質的に直交するように配向される。
【0099】
一実施形態では、スプレーシステムは、第2の所定のスプレーパターンを肉用トレイ上に吐出するように構成された第2のノズルをさらに含み、第1のスプレーパターンは、進行方向に向かって角度付けされ、第2のスプレーパターンは、進行方向から離れて角度付けされる。
【0100】
一実施形態では、補助水分バリア層は、水溶液中にアクリルコポリマーラテックスを含む。
【0101】
一実施形態では、補助水分バリア層は、約1:3のアクリルおよび水の溶液を含む。
【0102】
本方法はまた、円周側壁によって境界付けされた実質的に平坦な円形の底部領域によって特徴付けられるタイプの電子レンジ用ボウルを製造するために提供される。本方法は、ボウルの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供することと、硬材バージン繊維および軟材バージン繊維のうちの少なくとも1つを含む、水性繊維系スラリーを調製することと、埋め込まれた水分バリアをスラリーに添加することと、成形型をスラリーに浸漬させることと、所望の厚さの繊維粒子が成形型の表面に蓄積するまで、スラリー内で成形型にわたって真空引きすることと、蓄積された粒子を成形型から取り外すことと、プレス機内で蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、ボウルを形成することと、ボウルをプレス機からコーティングステーションに移送することと、コーティングステーションにおいてボウルの少なくとも一部分に局所油バリア層を適用することと、を含む。
【0103】
一実施形態では、埋め込まれた水分バリアは、2%~5%のアルキルケテンダイマー(AKD)を含む。
【0104】
一実施形態では、本方法は、乾燥強度添加剤をスラリーに添加することをさらに含み、乾燥強度添加剤は、0.5%~4.5%のデンプンを含む。
【0105】
一実施形態では、局所油バリア層は、水溶液中に約27.5%の固体を含む。
【0106】
一実施形態では、固体は、アクリレート、コメヌカワックス、ペクチン、およびエンドウタンパク質を含む。
【0107】
一実施形態では、コーティングステーションは、スプレーシステムと、スプレーシステムの下の進行方向に沿ってボウルを移動させるように構成されたコンベヤと、を含む。
【0108】
一実施形態では、スプレーシステムは、全円錐スプレーパターンをボウルの底部領域上に吐出するように構成された第1のノズルと、中空円錐スプレーパターンを円周側壁の内側表面上に吐出するように構成された第2のノズルと、を含む。
【0109】
一実施形態では、本方法は、スプレーシステムを、進行方向に沿って移動させる工程をさらに含み、そのため、i)第1のノズルが、ボウルの上方に配設され、ボウルに対して第1の所定の期間の間、静止したままであり、ii)第2のノズルが、ボウルの上方に配設され、ボウルに対して第2の所定の期間の間、静止したままである。
【0110】
一実施形態では、第1の期間は、i)第2の期間よりも大きい、ii)第2の期間と等しい、およびiii)第2の期間未満、のうちの1つである。
【0111】
方法は、傾斜した円周側壁によって境界付けされた実質的に円形の底部分を含むタイプの繊維系電子レンジ用ボウルを製造するために提供される。本方法は、ボウルの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供する工程と、最大100%バージン繊維を含む、水性繊維系スラリーを調製する工程と、埋め込まれた水分バリアをスラリーに添加する工程と、成形型をスラリーに浸漬させる工程と、所望の厚さの繊維粒子が成形型の表面に蓄積するまで、スラリー内で成形型にわたって真空引きする工程と、蓄積された粒子を成形型から取り外す工程と、プレス機内で蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、ボウルを形成する工程と、ボウルをプレス機からコーティングステーションに移送する工程と、コーティングステーションにおいてボウルの表面にアクリル系油バリア層を適用する工程と、を含み得る。
【0112】
一実施形態では、埋め込まれた水分バリアは、2%~5%のアルキルケテンダイマー(AKD)を含む。
【0113】
一実施形態では、油バリア層は、ボウル表面への結合を促進するための炭酸カルシウム成分を含む。
【0114】
一実施形態では、油バリア層は、エンドウ乳剤を含む。
【0115】
一実施形態では、油バリア層は、アルギン酸塩を含む。
【0116】
一実施形態では、油バリア層は、約25%アクリレートを含む水溶液と、粘着性を低減するように構成された第1の補助成分と、を含む。
【0117】
一実施形態では、第1の補助成分は、約1.8%のコメヌカワックスを含む。
【0118】
一実施形態では、第1の補助成分は、約0.4%のペクチンを含む。
【0119】
一実施形態では、油バリア層は、第1の補助成分の乳化を促進するように構成された第2の補助成分を含む。
【0120】
一実施形態では、第2の補助成分は、約0.3%のエンドウタンパク質を含む。
【0121】
一実施形態では、油バリア層は、油バリアコーティングのPHレベルを調整して、それにより、アクリレート硬化を促進するように構成された第3の補助成分を含む。
【0122】
一実施形態では、第3の補助成分は、約0.2%の液体アンモニウムを含む。
【0123】
一実施形態では、コーティングステーションは、スプレーシステムと、ボウルを進行方向に沿って移動させて、スプレーシステムと係合するように構成されたコンベヤと、を備える。
【0124】
一実施形態では、スプレーシステムは、全円錐のスプレーパターンをボウルの底部上に吐出するように構成された第1のノズルを備える。
【0125】
一実施形態では、スプレーシステムは、中空円錐スプレーパターンを側壁の内側表面に吐出するように構成された第2のノズルを備える。
【0126】
一実施形態では、油バリア層は、約1:3のアクリルおよび水の溶液を含む。
【0127】
方法はまた、円周側壁によって境界付けされた実質的に平坦な円形の底部領域によって特徴付けられるタイプの電子レンジ用ボウルを製造するために提供され、ボウルの形状に近似するワイヤメッシュ成形型を提供する工程と、硬材バージン繊維および軟材バージン繊維のうちの少なくとも1つを含む、水性繊維系スラリーを調製する工程と、埋め込まれた水分バリアをスラリーに添加する工程と、成形型をスラリーに浸漬させる工程と、所望の厚さの繊維粒子が成形型の表面に蓄積するまで、スラリー内で成形型にわたって真空引きする工程と、蓄積された粒子を成形型から取り外す工程と、プレス機内で蓄積された粒子を乾燥および押圧して、それにより、ボウルを形成する工程と、ボウルをプレス機からコーティングステーションに移送する工程と、コーティングステーションにおいてボウルの少なくとも一部分に局所油バリア層を適用する工程と、を含み、局所油バリア層は、水溶液中に約27.5%の固体を含む。
【0128】
一実施形態では、固体は、アクリレート、コメヌカワックス、ペクチン、およびエンドウタンパク質を含む。
【0129】
電子レンジ用ボウルは、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して製造され得る。
【0130】
本発明は、前述の実施形態の文脈において説明されてきたが、本発明がそのように限定されるものではないことが理解されるであろう。例えば、様々なスプレーシステムおよびノズル構成、スラリー化学物質、およびスプレーコート化学物質は、本発明の教示に基づいて、追加の用途に適合するように調整され得る。
【0131】
本明細書において使用される際、「例示的な」という用語は、「1つの例(example)、例(instance)、または例解(illustration)として機能する」ことを意味する。「例示的な(exemplary)」として本明細書に記載される任意の実施態様は、必ずしも、他の実施態様より好ましいか、または有利であると解釈される必要はなく、また、文字通り複製されなければならないモデルとして解釈されることを意図するものでもない。
【0132】
前述の詳細な説明は、本発明の様々な実施形態を実装するための便利なロードマップを当業者に提供するが、上で説明された特定の実施形態は、単なる例であり、本発明の範囲、適用可能性、または構成をいかなる方法でも限定することを意図しないことを理解されたい。それに反して、本発明の範囲から逸脱することなく、記載された要素の機能および配置において様々な変更が行われ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】