(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】整形外科用、特に膝、骨盤または足首の手術用に改良されたフライスカッター
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
A61B17/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523354
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2021065296
(87)【国際公開番号】W WO2021250003
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】102020000013591
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515156197
【氏名又は名称】リマコーポレート・ソチエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】LIMACORPORATE S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Nazionale, 52 Villanova 33038 San Daniele del Friuli(UD), Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィードラー、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】チェコニ、マッシモ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL04
4C160LL09
4C160LL26
4C160LL27
4C160LL28
(57)【要約】
本発明は、整形外科用器具、特にフライスカッターに関し、整形外科用器具は、自己の長手方向軸(X-X)に沿って延在し、電動部材への取り付け端(7)を備える内側ロッド(2)と、内側ロッド(2)を包む管状エンベロープ(5)と、上記取り付け端(7)の反対側にあるロッド端(8)における操作ヘッド(15)と、上記操作ヘッドの上記ロッド端(8)とツール(9)との間の水平自在継手(10)であって、それにより上記ツール(9)が上記長手方向軸(X-X)に対して角度の付いた軸(Y-Y)に沿って延在する、水平自在継手(10)と、を備える。本発明によるフライスカッターは、膝、骨盤および足首などの、アクセスが困難な解剖を伴う外科手術において穴の位置の処理の精度を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用器具であって、
自己の長手方向軸(X-X)に沿って延在し、電動部材への取り付け端(7)を備える内側ロッド(2)と、
前記内側ロッド(2)を包む管状エンベロープ(5)と、
前記取り付け端(7)の反対側にあるロッド端(8)における操作ヘッド(15)と、
前記操作ヘッドの前記ロッド端(8)とツール(9)との間の水平自在継手(10)であって、それにより前記ツール(9)が前記長手方向軸(X-X)に対して角度の付いた軸(Y-Y)に沿って延在する、水平自在継手(10)と、を備え、
前記管状エンベロープ(5)が、ハンドル(4)で覆われた2つの重なり合ったハーフシェル(3、6)で構成されることを特徴とし、ハーフシェルの少なくとも1つ(6)が、両方のハーフシェル(3、6)を包む前記ハンドル(4)を保持するための回転防止要素を備えることを特徴とする、整形外科用器具。
【請求項2】
前記内側ロッド(2)が前記管状エンベロープ(5)に対して空回り状態にある、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項3】
前記管状エンベロープ(5)を支持するための、前記内側ロッド(2)の対向する部分に空回り状態で取り付けられた少なくとも1対のブッシュ(11、12)を備える、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項4】
前記ブッシュ(11、12)が、低摩擦合成材料、たとえばPEEKで作られている、請求項3に記載の整形外科用器具。
【請求項5】
前記管状エンベロープ(5)が2つのハーフシェル(3、6)で構成され、2つのハーフシェル(3、6)のうちの1つ(6)の一端に、前記操作ヘッド(15)の前記水平自在継手(10)を収容するための受入れ座部(18)が設けられている、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項6】
前記受入れ座部(18)が、前記角度の付いた軸(Y-Y)に対応する軸を有する環状部分(19)を有する、請求項5に記載の整形外科用器具。
【請求項7】
前記回転防止要素が、前記管状エンベロープ(5)の両方のハーフシェル(3、6)を包む前記ハンドル(4)を保持するための回転防止突出ノッチ(14)である、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項8】
前記水平自在継手(10)が、前記ロッド端(8)に対応する1つの部分と、前記ツール(9)に取り外し可能に連結された別の部分とを有する、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項9】
前記取り付け端(7)が、前記電動部材のスピンドルのためのクイックカップリングアタッチメントとして成形されている、請求項1記載の整形外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科用器具、より具体的には、膝、骨盤または足首の手術で使用することができる改良されたフライスカッターに言及し、これらの具体的な用途についての記載は、その説明を単純化するためになされるが、出願人の権利の制限を表すものであってはならない。
【0002】
より具体的には、本発明は、ヒトの脛骨を処置し、アクセスが非常に制限された脛骨の所定の部分で実施される他の手術段階に備えて切開またはフライスを実施するための器具に言及している。しかし、本開示の器具は、たとえば、骨盤の寛骨臼カップに対する手術または足首の処置などの、他のタイプの外科手術で使用することができる。
【背景技術】
【0003】
老化、疾患またはスポーツ活動が原因で、膝の関節面が悪化し、病状を発症する可能性があることが知られている。
【0004】
同様に、他の骨が、経時的に変形したり、または適切な器具で外科的に処置しなければならない病状を発症したりする可能性がある。
【0005】
たとえば、膝の場合、顆状突起を除去し、これらの骨構造を補綴インプラントに置き換えることによって手術を実施することが一般的になっている。また、膝蓋骨に接続された腱に接触したり、または腱を切開したりすることがないように十分注意して、膝蓋骨の関節面を交換することができる。
【0006】
この技術部門のいくつかの手術戦略による比較的一般的な手術は、大腿骨顆に隣接する膝蓋骨の裏側または内側を、人工装具の埋め込みによって置き換えることである。この目的のために、膝蓋骨の裏面が切除されて、人工装具を取り付けることができる平らな表面を作成する。
【0007】
図1は、膝の関節接合に関連する、大腿骨の遠位部分および脛骨の近位部分を見ることができる、単一区画の外科手術、たとえばフライス加工の側面図を概略的に示している。
【0008】
図面は、典型的に単一区画の手術中に到達することができる大腿骨および脛骨の位置を概略的に示しており、大腿骨が脛骨の一部を覆うことで、アクセスが特に困難になることを理解することができる。本質的に、切開領域は、補綴手術全体に利用可能な領域よりもはるかに小さい。
【0009】
さらに、靭帯および軟組織は、概して良好な状態にあるが、これは、(前後の)十字靭帯と移動していない膝蓋骨との両方の保持により、大腿骨を、それほど移動させることができず、補綴手術全体におけるよりも確実にそれほど移動させることができないことを伴う。
【0010】
これはすべて、具体的には、大腿骨の遠位部分が近接しているため、脛骨の近位部分の準備を、上記の理由から実行することができないが、正面上部モード、つまり、器具を位置決めするのに快適ではない位置で実行しなければならない。
【0011】
たとえば、単一区画のプレート、ピンなどの安定要素を埋め込むための脛骨の準備は、通常、傾斜した向きに配置されたフライスカッターのチップを用いて実行されるが、これには、骨セメントで満たされた骨のより大きな除去を伴う。
【0012】
図2は、9mmのフライスカッターのチップを使用して、直径がわずか6.2mmの安定要素の座部を作成するこの状況を例示する概略図を示している。
【0013】
この解決策には2つの明らかな欠点がある:
骨組織の除去の増加;
セメントの気密性は、ピンの周囲の厚さが約1mmに制限された場合に最適であるため、セメントの気密性が驚くほど低くなる。それどころか、セメントの分布は均一ではなく、0.5mmから2.5mmの範囲の厚さでは付着性が低くなる。
【0014】
たとえば、欧州特許出願公開第1410763号明細書または欧州特許出願公開第2954860号明細書に記載されるように、フライスカッターのチップを手術器具の一端の水平自在継手に取り付けて、フライスカッターの作用軸に角度を付けることを可能にする技術的解決策もある。しかし、これらの解決策は、構造上複雑であり、膝の手術には適していない。
【0015】
本発明の目的は、先行技術の解決策に関して報告された欠点を克服するものなどの構造的および機能的な特性を有する整形外科用器具、特に改良されたフライスカッターを考案することである。
【0016】
本発明の別の目的は、大腿骨の遠位部分との干渉を回避するために、前面アクセスを有する軸において、膝上の手術座部の準備を可能にする器具を考案することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、外科医が、器具を取り扱うために手動および視覚的な能力のみに依存することを防ぐことであるが、器具自体の構成の恩恵で快適かつ実用的な方法で操作することを可能にすることである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、整形外科医による取り扱いおよび使用が容易であり、手術中の外科医の視界を妨げない器具を提供することである。
【0019】
最後に、本発明の器具は、器具の洗浄、衛生化、および再利用を保証するために、取り外しおよび再組み立てが容易でなければならない。
【発明の概要】
【0020】
本発明の根底にある解決策は、器具の長手方向軸に対して角度の付いた操作ヘッドを有するが、特に単純で機能的な全体構造を有するフライスカッターを考案することである。
【0021】
上にリストした目的は、整形外科用器具によって、より具体的には、改良されたフライスカッターによって達成され、整形外科用器具は、
自己の長手方向軸(X-X)に沿って延在し、電動部材への取り付け端を備える内側ロッドと、
内側ロッドを包む管状エンベロープと、
上記取り付け端の反対側にあるロッド端における操作ヘッドと、
上記操作ヘッドのロッド端とツールとの間の水平自在継手であって、それにより上記ツールが上記長手方向軸(X-X)に対して角度の付いた軸(Y-Y)に沿って延在する、水平自在継手と、を備える。
【0022】
好適には、管状エンベロープは、ハンドルによって覆われた2つの重なり合ったハーフシェルで構成されている。
【0023】
さらに、内側ロッドは、外科医が器具を保持している間に電動部材の作用下で回転することができるように、管状エンベロープに対して空回り状態(idle)にある。
【0024】
管状エンベロープを支持するための、上記内側ロッドの対向する部分に空回り状態(idle manner)で取り付けられた少なくとも1対のブッシュが設けられている。
【0025】
ブッシュは、低摩擦合成材料、たとえばPEEKで作られている。
【0026】
さらに、2つのハーフシェルのうちの1つの端部は、操作ヘッドの水平自在継手を収容するための受入れ座部を備える。このような受入れ座部は、上述の角度軸(Y-Y)に対応する軸を有する環状部分を有する。
【0027】
任意の回転防止要素、たとえば回転防止突出ノッチが、管状エンベロープの両方のハーフシェルを包むハンドルを保持するために2つのハーフシェルのうちの少なくとも1つに設けられる。
【0028】
最後に、水平自在継手が、操作ヘッドのロッド端に対応する1つの部分と、別の部分、たとえば穿孔またはフライス加工するチップとを有することに留意されたい。
【0029】
選択される実施形態が、ここで、図面を参照して詳細に説明される。本開示から、整形外科の当業者にとって、好ましい実施形態の以下の説明が、添付の請求項によって定義される本発明を限定する目的ではなく、例示目的のみで提供されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来技術によって作製された整形外科用器具による整形外科手術に伴う関節接合の部分的および側面の概略図を示す。
【
図2】常に従来技術に従う、
図1の整形外科用器具の操作端の側面および部分的な概略図をより詳細に示す。
【
図3】本発明によって作製された整形外科用器具の予期される概略図を示す。
【
図4】
図2の器具の、その主要な構成部品に示されている、別の予期される概略図を示す。
【
図6】
図3の器具の別の構成部品の側面概略図を示す。
【
図7】
図6の構成部品の一部の垂直面上の概略側面断面図を示す。
【
図8】組み立てられる状態での本発明の整形外科用器具の予期される概略図を示す。
【
図9】本発明によって作製された整形外科用器具による整形外科手術に伴う関節接合の部分的および側面の概略図を示す。
【
図10】特に股関節の領域での使用のための、本発明による器具の別の実施形態の例の側面概略図を示す。
【
図11】
図10の器具の線A-Aによる概略側面断面図を示す。
【
図12】足首の関節接合の外科的処置における本発明による器具の適用例の垂直面上の概略断面図を示す。
【
図13】足首の関節接合の外科的処置における本発明による器具の適用例の垂直面上の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付の図面を参照すると、整形外科用器具、より具体的には、膝、骨盤、および足首の手術に使用することができる改良されたフライスカッターが、全体的かつ概略的に1で示されている。以下の説明は、これらの特定の用途の分野を参照して行われ、これは、出願人の権利の制限を表すことなく、その説明を単純化することのみを目的としている。
【0032】
フライスカッター1は、第1および第2のハーフシェル3、6によって形成された管状の、好ましくは円筒状のエンベロープ5によって覆われた内側ロッド2と、管状エンベロープ5の大部分を包むハンドル4とを有する細長い形状の本体を備えている。
【0033】
2つのハーフシェル3、6は、管状エンベロープ5を形成するための2つの殻として互いに連結されている。
【0034】
ハンドル4は、管状本体5に対してその伸長の少なくとも3分の2にわたって重なっている。
【0035】
内側ロッド2は、主軸および長手方向軸X-Xに沿って延在しており、電動部材、たとえばドリルのスピンドル(図示せず)のためのクイックカップリングアタッチメントとして成形および構成された端部7を有する。
【0036】
たとえば穿孔ツールチップ9を運ぶフライスカッター1の操作ヘッド15に、ロッド2の反対側の端部8が運動学的に連結され、関節接合されている。
【0037】
利点として、内側ロッド2は、管状エンベロープ5およびハンドル4に対して空回り状態(idle)にある。換言すれば、整形外科医用のハンドルが外科医の手でしっかりと保持されている間、ロッド2は電動部材との連結によって回転させることができる。
【0038】
ハーフシェル3および6の並置および取り付けを可能にして、後にハンドル4によって覆われる管状エンベロープ5を形成するために、少なくとも1対のブッシュ11、12が、内側ロッド2の両端部に設けられ、取り付けられる。
【0039】
近位として定義される第1のブッシュ11は、成形された端部7の部分に配置され、このブッシュは、スペーサ13によって画定される端部7から所定の距離までロッド2に沿って自由に移動可能である。
【0040】
遠位として定義されるもう一方のブッシュ12は、常に、操作ヘッド15に連結された端部8の近くの同じロッド2上に配置されている。
【0041】
エンベロープ5が2つのハーフシェル3、6からなるまで、ブッシュはロッド2に沿って自由にスライドすることが可能であり、その時点で、ブッシュは、エンベロープ5のそれぞれの成形された座部20、21に収容される。
【0042】
好ましいが排他的でない実施形態では、2つの近位および遠位のブッシュ11および12は、ロッド2の回転の摩擦を低減し、カッターの正しい機能を保証するために、合成材料、たとえばPEEKで作られている。
【0043】
フライスカッター1を構成する上記のすべての部品は、その洗浄を容易にするために互いに容易に取り外し可能であり、分離可能である。
【0044】
利点として、本発明によれば、ツール9を、フライスカッター1の長手方向軸X-Xに対して角度の付いた軸Y-Yに沿って延在することができるように、操作ヘッド15のロッド端8とツール9との間に水平自在継手10が設けられている。
【0045】
さらに、操作ヘッド15の水平自在継手10を収容するための受入れ座部18が設けられている。
【0046】
この受入れ座部18は、実質的に、ツールチップ9の軸Y-Yが、フライスカッター1のロッド2の延在軸X-Xに対して予め決められた角度範囲「α」で方向づけられるように、水平自在継手10の一部、たとえば、接合部を収容するオープンガイドカプセルの角度の付いた本体である。
【0047】
この受入れ座部18は、ロッド2を覆う管状エンベロープ5の2つのハーフシェル3、6のうちの1つのみの遠位端に一体的に形成される。より具体的には、水平自在継手10を収容する受入れ座部18は、
図6および
図7にも示されるように、ハーフシェル6の端部で得られる。
【0048】
受入れ座部18は、上記角度の付いた軸Y-Yに対応する軸を有し、かつツールチップ9の角度方向付けのためのガイドに相当する環状部分19を有する。そのような環状部分は、ツールチップ9の直径よりもわずかに大きい直径を有する。
【0049】
したがって、この単一のハーフシェルの可能な置換によって、2つのロッド2の軸X-Xとツールチップ9のY-Yの配向間の角度「α」の傾斜を変更することが可能になる。
【0050】
常にそのようなハーフシェル6の遠位端で、受入れ座部18と一体的に、シールド付属部17と、管状エンベロープ5の遠位端の最終構成とが得られる。
【0051】
もう1つのハーフシェル3は、部分的に尖っており、かつ他方のハーフシェルの付属部17に対して形状が適合している遠位端16を有する。
【0052】
ハーフシェル3、6の少なくとも1つは、また、回転防止機能を実行するために、および、管状エンベロープ5のハーフシェル3、6を包むハンドル4が取り付けられると、ハンドル4を所定の位置に保持するために、回転防止要素、たとえば外側に突出するノッチ14を備える。ノッチ14は、好ましくは、一体的に形成された受入れ座部18も有するハーフシェル6上で得られ、ハンドル4の内側の対応するスロットに挿入されることが意図されている。
【0053】
ハーフシェル3、6の各々に、関連するブッシュ部分11または12を収容する凹部20、21が設けられている。
【0054】
最後に、ロッド2とチップ9とを接続する水平自在継手10が、ロッド2の端部8に対応する部分と、上記ツール9に連結された別の部分とを有することに留意されたい。ロッド2の端部8に関連づけられた部分を、そのような端部と一体的に形成することができる一方で、もう1つの部分は、ツールチップ9の取り外し可能な取り付けのためのねじまたはクイックアタッチメントを有することができる。
【0055】
本発明によるフライスカッター1は、予め決められた目的を達成し、さまざまな利点を得るが、その1つは、チップ軸が電動ロッド2の伝達軸に対して特定の角度で傾斜した穴の処理を可能にするという事実によって与えられる。
【0056】
ツールチップのこの角度「α」は、手術領域へのアクセスを容易にし、器具と解剖学的領域との接触を回避するために、手術室において特に利点がある。
【0057】
本発明によるフライスカッターは、たとえば
図9に見られるガイド器具21にアクセスすることが困難であり、一緒に使用することができるかまたは使用することができない解剖を伴う外科手術における穴の位置の処理の精度を改善する。
【0058】
受入れ座部18の角度の付いた本体は、チップ9とロッド2の軸X-Xとの間の傾斜角度を決定する。構成要素18を置換することによって、すなわち、構成要素18を形成するエンベロープ5のすべてのハーフシェル6を置換することによって、この角度「α」を変更することができる。
【0059】
本発明によるフライスカッター1を使用するには、角度の付いたフライスカッター1の端部7を電動部材、たとえばドリルのスピンドルに取り付けるだけで十分である。
【0060】
外科医は、ドリルにあるハンドルおよび角度の付いたフライスカッター1のハンドル4をしっかりと保持することができる。穴はガイド要素の有無にかかわらず作ることができる。
【0061】
図10および
図11を参照すると、股関節領域での手術のために、特に骨ねじ用の穴を開けるために構成された、本発明による器具のさらなる実施形態の例が示されている。そのようなねじは、しばしば、ねじのための所望の方向を達成するために角度の付いたまたは柔軟な器具を必要とする外科医によって作られたアクセス方法についての角度を有している。
【0062】
図10および
図11の器具は番号1’で示され、それに関して、詳細および前の実施形態と同じ構造および機能を有する協働部品が、同じ参照番号で示されている。
【0063】
本発明の目的である器具に連結されたカップまたは試験カップが図に示されている。カップ25の穴26の配置は、アクセスを特に困難にするようなものである。器具1’の軸X-Xに対して角度の付いた軸Y-Yに沿ってチップ9の傾斜を可能にする水平自在継手10を備えた器具1’のおかげで、カップ25のすべての穴にチップ9を到達させ、カップ25のすべての穴にチップ9を配置することが可能になる。
【0064】
図12および
図13は、足首の関節接合上、特に脛骨の末端部分における、および距骨上での手術のための本発明の器具1の適用のそれぞれのさらなる例を示している。
【0065】
これらの場合においても、
図11の例のように、後の骨ピンの挿入のために使用されるフライスカッター1によって穴を開けるために、特定のガイド要素27が使用される。
【0066】
図面から、角度の付いたフライスカッター1の構成により、フライス加工される領域へのアクセスがどのようにより容易になるかが明白であり、手術または後の整形外科手術の準備の時間が大幅に短縮される。
【0067】
本発明の範囲を理解する際に、本明細書で使用される「備える(comprising)」という用語およびその派生語は、特定された特徴、要素、構成要素、群、整数および/または工程の存在を特定する開放型の用語として意図されているが、それらは、他の特定されていない特性、要素、構成要素、群、整数、および/または工程の存在を除外しない。これは、「含む(including)」、「持つ(having)」という用語およびそれらの派生語などの同様の意味を有する単語にも当てはまる。さらに、単数形で使用される場合の「部品」、「セクション」、「部分」、「部材」または「要素」という用語は、特に他に明記のない限り、単一の部分または複数の部分の二重の意味を有することができる。
【0068】
「第1」および「第2」または「半分」という用語は、本明細書でさまざまな構成要素を説明するために使用され得るが、これらの構成要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解される。これらの用語は、1つの構成要素を別の構成要素と区別するためにのみ使用される。
【0069】
本発明を例示するために、選択された実施形態のみが選択されているが、さまざまな変更および修正が、添付の請求項で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で行うことができることが、本開示から当業者に明らかとなる。
【国際調査報告】