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特表2023-528110ホログラフィック波面印刷のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ホログラフィック波面印刷のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/04 20060101AFI20230627BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20230627BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230627BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20230627BHJP
【FI】
G03H1/04
G02B5/18
G02B5/30
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548475
(86)(22)【出願日】2021-05-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 US2021030381
(87)【国際公開番号】W WO2021236320
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】16/878,018
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】リー, カン
(72)【発明者】
【氏名】バン, キスン
(72)【発明者】
【氏名】マイモニ, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】チャン, チャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, モンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャマリ, アフスーン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ジュンレン
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
2H249
2K008
【Fターム(参考)】
2H149BA05
2H149BA22
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA43
2H199CA68
2H199CA83
2H199CA92
2H199CA93
2H199CA96
2H199CA97
2H249AA64
2K008BB04
2K008FF27
2K008HH06
2K008HH11
2K008HH26
(57)【要約】
ホログラフィック記録システムは、ホログラフィック材料層を配置するように構成された線形並進ステージと、レーザビームを放射するように構成された光源と、レーザビームを第1の光ビームおよび第2の光ビームに分割し、第2の光ビームをホログラフィック材料層に向けるように構成されたビーム分割サブシステムと、物体ビームを生成するために第1の光ビームを変調させる干渉縞を実現するように構成された空間光変調器と、物体ビームをフィルタリングするように構成されたフィルタと、物体ビームを縮小するように構成された縮小光学サブシステムと、第2の光ビームに干渉させるためにホログラフィック材料層に向かう1組の方向に物体ビームを向けるように構成可能な切り替え可能な回折格子スタックとを含む。いくつかの実施形態では、切り替え可能な回折格子スタックは、複数の偏光回折格子、および/または積層に配置された複数の切り替え可能な波長板を含む。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィック記録システムであって、
ホログラフィック材料層を配置するように構成された線形並進ステージと、
レーザビームを放射するように構成された光源と、
前記レーザビームを第1の光ビームおよび第2の光ビームに分割し、前記第2の光ビームを前記ホログラフィック材料層に向けるように構成されたビーム分割サブシステムと、
物体ビームを生成するために前記第1の光ビームを変調させる干渉縞を実現するように構成された空間光変調器と、
前記物体ビームを縮小するように構成された縮小光学サブシステムと、
前記第2の光ビームに干渉させるために前記ホログラフィック材料層に向かう1組の方向に前記物体ビームを向けるように構成可能な切り替え可能な回折格子スタックと
を備える、ホログラフィック記録システム。
【請求項2】
前記物体ビームは自由形状の波面を特徴とする、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項3】
前記干渉縞は、コンピュータによって生成されたホログラムを含む、請求項1または2に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項4】
前記干渉縞は、前記第1の光ビームの位相または振幅のうちの少なくとも一方を変調するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項5】
前記切り替え可能な回折格子スタックは、積層に配置された複数の偏光回折格子を含み、
前記複数の偏光回折格子における各偏光回折格子は、右回り円偏光光ビームを第1の方向に向け、左回り円偏光光ビームを第2の方向に向けるように構成可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項6】
前記複数の偏光回折格子が、右回り円偏光回折格子または左回り円偏光回折格子のうちの少なくとも一方を含み、かつ/または好ましくは、前記複数の偏光回折格子が、偏光ボリューム回折格子、パッシブパンチャラトナムベリー位相(PBP)回折格子、またはアクティブPBP回折格子のうちの少なくとも1つを含み、かつ/または好ましくは、前記複数の偏光回折格子における各偏光回折格子が、
前記右回り円偏光光ビームを、±1回折次数のうちの一方に回折し、
前記左回り円偏光光ビームを、前記±1回折次数のうちの他方に回折するように構成可能である、請求項5に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項7】
前記複数の偏光回折格子における各偏光回折格子が、
前記右回り円偏光光ビームおよび前記右回り円偏光光ビームのうちの一方を、±1回折次数のうちの一方に回折し、
前記右回り円偏光光ビームおよび前記右回り円偏光光ビームのうちの他方の伝搬方向を維持するように構成される、請求項5または6に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項8】
前記複数の偏光回折格子とインターリーブされた複数の切り替え可能な半波長板をさらに備え、前記複数の切り替え可能な半波長板の各々は、
オンに切り替えられたときに右回り円偏光入力ビームを左回り円偏光出力ビームに変換し、左回り円偏光入力ビームを右回り円偏光ビームに変換し、
電圧信号によってオフに切り替えられたときに入力ビームの偏光状態を維持するように構成され、かつ/または好ましくは、前記複数の偏光回折格子における各偏光回折格子が、異なるそれぞれの格子周期を特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項9】
前記複数の偏光回折格子は、複数のアクティブ回折格子を含み、
前記複数のアクティブ回折格子における各アクティブ回折格子が、
オンに切り替えられたとき、円偏光光ビームを回折し、前記円偏光光ビームの偏光状態を変化させ、
電圧信号によってオフに切り替えられたとき、入射ビームの伝搬方向および偏光状態を維持するように構成される、請求項5から8のいずれか一項に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項10】
前記空間光変調器が前記レンズの焦点面にあるように前記空間光変調器に対して配置されたレンズと、
前記レンズの別の焦点面に配置され、前記物体ビームをフィルタリングするように構成されたローパスフィルタと
をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項11】
前記縮小光学サブシステムは、異なるそれぞれの焦点距離を特徴とする2つのレンズを含むテレセントリックサブシステムを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項12】
前記1組の方向は、前記切り替え可能な回折格子スタックの表面法線方向に対して30°超の角度を特徴とする方向を少なくとも含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項13】
前記第2の光ビームを変調する第2の干渉縞を実現するように構成された第2の空間光変調器と、
前記第2の光ビームを縮小し、前記第2の光ビームを前記ホログラフィック材料層に向けるように構成された第2の縮小光学サブシステムと
をさらに備え、
好ましくはさらに、
前記第2の空間光変調器が前記レンズの焦点面にあるように前記第2の空間光変調器に対して配置されたレンズと、
前記レンズの別の焦点面に配置され、前記第2の光ビームをフィルタリングするように構成されたローパスフィルタと
を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項14】
ホログラムの複数のホログラム素子のうちの1つのホログラム素子を記録する方法であって、
線形並進ステージを制御して、前記線形並進ステージ上のホログラフィック材料層を第1の位置に配置することと、
空間光変調器に干渉縞を実現するためのデータを提供することであって、前記干渉縞が、コリメート光ビームによって照射されると、物体ビームを生成する、データを提供することと、
前記物体ビームをフィルタリングすることと、
前記物体ビームを縮小することと、
前記物体ビームを1組の不連続な方向のうちのある方向へと操作するように切り替え可能な回折格子スタックを構成することと、
前記ホログラフィック材料層の領域を前記物体ビームおよび参照ビームに露光して前記ホログラム素子を形成することと
を含む、方法。
【請求項15】
第2の空間光変調器に第2の干渉縞を実現するためのデータを提供することであって、前記第2の干渉縞が、第2のコリメート光ビームによって照射されると、前記参照ビームを生成する、データを提供することと、
前記参照ビームをフィルタリングすることと、
前記参照ビームを縮小することと
をさらに含み、かつ/または好ましくは、
前記切り替え可能な回折格子スタックは、複数の偏光回折格子と、積層に配置された複数の切り替え可能な半波長板とを含み、
前記複数の偏光回折格子における各偏光回折格子は、右回り円偏光光ビームを第1の方向に向け、左回り円偏光光ビームを第2の方向に向けるように構成可能である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ホログラフィック光学素子に関する。より詳細には、本明細書では、複雑な自由形状の波面を再現することができる大型ホログラフィック光学素子を記録するための技術が開示されている。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック記録は、一般に、信号波(例えば、記録または符号化される物体から、またはこれを表す波)および参照波を用いて、記録材料に干渉波を生成し、ホログラムなどのホログラフィック光学素子(HOE)を記録する。このように、ホログラムは、物体または場面からの光場の振幅および位相の両方の情報を符号化することができるのに対し、写真は一般に光場の2次元(2D)振幅のみを記録することができる。HOEが参照波を用いて示されると、HOEは参照波を回折させて信号波を再現し、それによって物体または場面の光場を再構成することができる。ホログラフィック技術は、3次元(3D)ディスプレイ、光計測、医療、商業など、多くの分野で用いることができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、一般に、ホログラフィック光学素子に関する。より詳細には、本明細書では、複雑な自由形状の波面を再現することができる大型ホログラフィック光学素子を記録するための技術が開示されている。システム、サブシステム、モジュール、デバイス、構成要素、材料、方法、組成物、プロセスなどを含む、種々の発明の実施形態が本明細書に記載されている。
【0004】
特定の実施形態によれば、ホログラフィック記録システムは、ホログラフィック材料層を配置するように構成された線形並進ステージと、レーザビームを放射するように構成された光源と、レーザビームを第1の光ビームおよび第2の光ビームに分割し、第2の光ビームをホログラフィック材料層に向けるように構成されたビーム分割サブシステムと、物体ビームを生成するために第1の光ビームを変調させる干渉縞を実現するように構成された空間光変調器と、物体ビームを縮小するように構成された縮小光学サブシステムと、第2の光ビームに干渉するためにホログラフィック材料層に向かう1組の方向に物体ビームを向けるように構成可能な切り替え可能な回折格子スタックとを備えていてもよい。
【0005】
ホログラフィック記録システムのいくつかの実施形態では、物体ビームは、自由形状の波面を特徴としてもよい。干渉縞は、コンピュータによって生成されたホログラムを含んでいてもよい。干渉縞は、第1の光ビームの位相または振幅のうちの少なくとも一方を変調するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ホログラフィック記録システムは、空間光変調器がレンズの焦点面にあるように空間光変調器に対して配置されたレンズと、レンズの別の焦点面に配置され、物体ビームをフィルタリングするように構成されたローパスフィルタとをさらに備えていてもよい。いくつかの実施形態では、縮小光学サブシステムは、異なるそれぞれの焦点距離を特徴とする2つのレンズを備えたテレセントリックサブシステムであってもよい。いくつかの実施形態では、1組の方向は、切り替え可能な回折格子スタックの表面法線方向に対する30°超の角度を特徴とする方向を少なくとも含んでいてもよい。
【0006】
ホログラフィック記録システムのいくつかの実施形態では、切り替え可能な回折格子スタックは、積層に配置された複数の偏光回折格子を含んでいてもよい。複数の偏光回折格子における各偏光回折格子は、右回り円偏光光ビームを第1の方向に向け、左回り円偏光光ビームを第2の方向に向けるように構成可能であってもよい。複数の偏光回折格子は、右回り円偏光回折格子または左回り円偏光回折格子のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。複数の偏光回折格子は、偏光ボリューム回折格子、パッシブパンチャラトナムベリー位相(PBP)回折格子、またはアクティブPBP回折格子のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、複数の偏光回折格子における各偏光回折格子は、右回り円偏光光ビームを±1回折次数のうちの一方へ回折し、左回り円偏光光ビームを±1回折次数のうちの他方へと回折するように構成可能であってもよい。いくつかの実施形態では、複数の偏光格子における各偏光格子は、右回り円偏光光ビームおよび左回り円偏光光ビームのうちの一方を±1回折次数のうちの一方に回折し、右回り円偏光光ビームおよび左回り円偏光光ビームのうちの他方の伝搬方向を維持するように構成される。いくつかの実施形態では、ホログラフィック記録システムは、複数の偏光回折格子とインターリーブされた複数の切り替え可能な半波長板をさらに備えていてもよく、複数の切り替え可能な半波長板の各々は、オンに切り替えられたときに右回り円偏光入力ビームを左回り円偏光出力ビームに変換し、左回り円偏光入力ビームを右回り円偏光ビームに変換し、電圧信号によってオフに切り替えられたときに入力ビームの偏光状態を維持するように構成されてもよい。複数の偏光回折格子の各偏光回折格子は、異なるそれぞれの回折格子の周期を特徴としてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、複数の偏光回折格子は、複数のアクティブ回折格子を含んでいてもよく、複数のアクティブ回折格子の各アクティブ回折格子は、オンに切り替えられたとき、円偏光光ビームを回折し、円偏光光ビームの偏光状態を変更し、電圧信号によってオフに切り替えられたとき、入射ビームの伝搬方向および偏光状態を維持するように構成される。いくつかの実施形態では、ホログラフィック記録システムは、空間光変調器がレンズの焦点面にあるように空間光変調器に対して配置されたレンズと、レンズの別の焦点面に配置され、物体ビームをフィルタリングするように構成されたローパスフィルタとをさらに備えていてもよい。いくつかの実施形態では、縮小光学サブシステムは、異なるそれぞれの焦点距離を特徴とする2つのレンズを含むテレセントリックサブシステムを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、1組の方向は、切り替え可能な回折格子スタックの表面法線方向に対する30°超の角度を特徴とする方向を少なくとも含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ホログラフィック記録システムは、第2の光ビームを変調する第2の干渉縞を実現するように構成された第2の空間光変調器と、第2の光ビームを縮小し、第2の光ビームをホログラフィック材料層に向けるように構成された第2の縮小光学サブシステムとをさらに備えていてもよい。いくつかの実施形態では、ホログラフィック記録システムは、第2の空間光変調器がレンズの焦点面にあるように第2の空間光変調器に対して配置されたレンズと、レンズの別の焦点面に配置され、第2の光ビームをフィルタリングするように構成されたローパスフィルタとをさらに備えていてもよい。
【0008】
特定の実施形態によれば、ホログラムの複数のホログラム素子のうちの1つのホログラム素子の記録方法は、線形並進ステージを制御して、線形並進ステージ上のホログラフィック材料層を第1の位置に配置することと、空間光変調器に干渉縞を実現するためのデータを提供することであって、干渉縞が、コリメート光ビームによって照射されると、物体ビームを生成してもよい、データを提供することと、物体ビームをフィルタリングすることと、物体ビームを縮小することと、物体ビームを1組の不連続な方向へと操作するように切り替え可能な回折格子スタックを構成することと、ホログラフィック材料層の領域を物体ビームおよび参照ビームに露光してホログラム素子を形成することとを含んでいてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の空間光変調器に第2の干渉縞を実現するためのデータを提供することであって、第2の干渉縞が、第2のコリメート光ビームによって照射されると、物体ビームを生成してもよい、提供することと、参照ビームをフィルタリングすることと、参照ビームを縮小することとをさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、切り替え可能な回折格子スタックは、複数の偏光回折格子と、積層に配置された複数の切り替え可能な半波長板とを備えていてもよい。複数の偏光回折格子における各偏光回折格子は、右回り円偏光光ビームを第1の方向に向け、左回り円偏光光ビームを第2の方向に向けるように構成可能であってもよい。
【0010】
この概要は、特許請求された主題の重要なまたは必須の特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求された主題の範囲を決定するために単独で使用することを意図したものでもない。主題は、本開示の明細書全体、あらゆる図面、および各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。上記は、他の特徴および実施例と共に、以下の明細書、特許請求の範囲、および添付図面において、以下でより詳細に説明される。
【0011】
下記図面を参照しながら、例示的実施形態を以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】特定の実施形態によるホログラフィック記録システムの例を示す。
図1B】物体波および参照波を用いてホログラフィック材料層にホログラフィック光学素子を記録する例を示す。
図2】2段フォトポリマーを含むホログラフィック記録材料の例を示す。
図3A】ホログラフィック光学素子をフォトポリマー材料層に記録する例を示しており、未露光のフォトポリマー材料層の例を示す。
図3B】ホログラフィック光学素子をフォトポリマー材料層に記録する例を示しており、フォトポリマー材料層におけるホログラフィック記録中のモノマーの拡散および重合の例を示す。
図4】特定の実施形態による、大型ホログラフィック光学素子を記録するためのホログラフィックプリンタの例を示す。
図5】特定の実施形態による、大型ホログラフィック光学素子を記録するために自由形状の物体波を生成するための空間光変調器を備えたホログラフィックプリンタの光学サブシステムの例を示す。
図6】特定の実施形態による、大型ホログラフィック光学素子を記録するために自由形状の物体波を生成するための空間光変調器を備えたホログラフィック波面プリンタの例の簡略化されたブロック図を含む。
図7A】ホログラフィック材料層にホログラフィック光学素子を記録するための物体波の所望の波面の例を示す。
図7B図7Aのホログラフィック光学素子を記録するためのホログラフィックプリンタの光学サブシステムによって生成される物体波の例を示す。
図8A】ホログラフィック光学素子を記録するための所望の物体波を生成する方法の例を示す。
図8B】ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するためのコンピュータによって生成されたホログラムの例を示す。
図9A】ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するための空間光変調器を用いて実現された干渉縞と、フーリエ面上の干渉縞のフーリエスペクトルとの例を示す。
図9B】ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するための空間光変調器を用いて実現された干渉縞と、フーリエ面上の干渉縞のフーリエスペクトルとの例を示す。
図9C】ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するための空間光変調器を用いて実現された干渉縞と、フーリエ面上の干渉縞のフーリエスペクトルとの例を示す。
図10A】特定の実施形態による、空間光変調器および切り替え可能な回折格子スタックを備えたホログラフィック波面記録システムの例を示す。
図10B】ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するための空間光変調器を用いて実現された干渉縞と、特定の実施形態によるフーリエ平面上の干渉縞のフーリエスペクトルとの例を示す。
図11】特定の実施形態による、物体ビームを大きな角度範囲へと操作するための切り替え可能な回折格子スタックを備えたビーム操作デバイスの例を示す。
図12】特定の実施形態による、図11に示された切り替え可能な回折格子スタックによる物体ビーム操作の例を示す図を含む。
図13A】特定の実施形態による偏光ボリューム回折格子の例の動作を示しており、右回り円偏光を有する入射光に対する右回り偏光ボリューム回折格子の動作を示す。
図13B】特定の実施形態による偏光ボリューム回折格子の例の動作を示しており、左回り円偏光を有する入射光に対する右回り偏光ボリューム回折格子の動作を示す。
図13C】特定の実施形態による偏光ボリューム回折格子の例の動作を示しており、右回り円偏光を有する入射光に対する左回り偏光ボリューム回折格子の動作を示す。
図13D】特定の実施形態による偏光ボリューム回折格子の例の動作を示しており、左回り円偏光を有する入射光に対する左回り偏光ボリューム回折格子の動作を示す。
図14A】特定の実施形態による、切り替え可能なパンチャラトナムベリー位相(PBP)回折格子の例の上面図である。
図14B】特定の実施形態による、図14Aに示す切り替え可能なPBP回折格子の例の側面図である。
図14C】特定の実施形態による、オフに切り替えられている切り替え可能なPBP回折格子の例の上面図である。
図15A】特定の実施形態による、切り替え可能なPBP回折格子の例の動作を示しており、「オン」状態における切り替え可能なPBP回折格子による右回り円偏光入射光ビームの回折例を示す。
図15B】特定の実施形態による、切り替え可能なPBP回折格子の例の動作を示しており、「オン」状態における切り替え可能なPBP回折格子による左回り円偏光入射光ビームの回折例を示す。
図15C】特定の実施形態による、切り替え可能なPBP回折格子の例の動作を示しており、「オフ」状態における切り替え可能なPBP回折格子による入射光ビームの透過例を示す。
図16A】特定の実施形態による、切り替え可能なPBP回折格子の例の動作を示しており、「オン」状態における切り替え可能なPBP回折格子による右回り円偏光入射光ビームの回折例を示す。
図16B】特定の実施形態による、切り替え可能なPBP回折格子の例の動作を示しており、「オン」状態における切り替え可能なPBP回折格子による左回り円偏光入射光ビームの回折例を示す。
図16C】特定の実施形態による、切り替え可能なPBP回折格子の例の動作を示しており、「オフ」状態における切り替え可能なPBP回折格子による入射光ビームの透過例を示す。
図17A】特定の実施形態による切り替え可能な回折格子スタックの動作の例を示す。
図17B】特定の実施形態による図17Aの切り替え可能な回折格子スタックの動作の例を示す。
図18A】特定の実施形態による切り替え可能な回折格子スタックの動作の例を示す。
図18B】特定の実施形態による図18Aの切り替え可能な回折格子スタックの動作の例を示す。
図19】特定の実施形態によるホログラフィックプリンタの例の簡略化されたブロック図を含む。
図20】特定の実施形態による、ホログラフィック光学素子を印刷するための方法の例を示す簡略化されたフローチャートである。
図21】特定の実施形態によるニアアイディスプレイを含むディスプレイシステム環境の例を示す簡略化されたブロック図である。
図22】本明細書に開示された実施形態のいくつかを実施するためのコンピュータシステムの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は、例示のみを目的として本開示の実施形態を描いている。当業者であれば、以下の説明から、本開示の原理、または謳われている利点から逸脱することなく、図示された構造および方法の代替的実施形態を採用してもよいことを容易に理解するであろう。
【0014】
添付図面において、類似の構成要素および/または特徴は、同じ参照ラベルを有してもよい。さらに、同じ種類の種々の構成要素は、ダッシュと、類似の構成要素間を区別する第2のラベルが参照ラベルに続くことによって区別されてもよい。本明細書において第1の参照ラベルのみが使用される場合、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれか1つに本記述が適用される。
【0015】
本明細書に開示される技術は、一般に、ホログラフィック光学素子に関する。より詳細には、限定するものではないが、本明細書では、ホログラフィック波面記録プロセスを用いて高空間周波数を有するホログラフィック光学素子を作製する技術が開示されている。システム、サブシステム、モジュール、デバイス、構成要素、方法、プロセス、組成物、材料などを種々の発明の実施形態が、本明細書に記載されている。
【0016】
既存の3次元(3D)ディスプレイの多くは、表示する3D物体または場面の元の光波を再現するのではなく、3D物体または場面の異なる視点画像を見ている人の両目に別々に表示することによって3D物体または場面を模倣する。一方、ホログラムは、3D物体または場面の元の光波を再現することができる。ホログラムまたは他のホログラフィック光学素子(HOE)は、一般に、信号波(例えば、物体波または物体ビームとも呼ばれる物体からの光波)および参照波を用いて記録され、記録材料に干渉波を生成する。多くの用途では、自由形状の波面記録は、任意の複雑な波面を有する光場を再構成できるホログラフィック光学素子を記録するために必要とされてもよい。所望の自由形状の波面を有する信号波は、球面レンズ、円柱レンズおよびプリズムなどの従来の光学系を用いて、生成することが困難なことがある。いくつかのホログラフィック印刷システムでは、空間光変調器(SLM)を使用して、所望の波面の少なくとも一部を有する信号波を生成してもよい。信号波は、フィルタリングされ(例えば、DCフィルタを用いて0次回折(DC)成分を除去し、ローパスフィルタを用いてより高次の回折成分を除去する)、次に、例えば、4-f系を通じて中継および縮小(例えば、横方向の分解能を改善する)されて、ホログラフィック記録材料層にホログラム素子(しばしばホーゲルと呼ばれる)を形成してもよい。ホログラフィック記録材料層または記録システムを別の位置に移動して、変化した信号波により次のホログラム素子を記録してもよい。このように、大きなディスプレイのサイズおよび大きな視野角範囲用の多数のホログラム素子を含む大型ホログラムは、ホログラフィック記録材料層または記録システムを走査することによって記録されてもよい。
【0017】
3Dディスプレイシステムなどのいくつかの用途では、高い空間周波数(したがって、表示画像における高い分解能)、再構成された光場における大きな視角範囲(したがって、大きな視野)、および高い回折効率(したがって、表示画像における高い輝度)を有するHOEが使用されてもよい。例えば、SLMの分解能または空間周波数帯域幅(およびフルカラー機能)が限られているため、既存のホログラフィック印刷技術を使用してこのような大型HOEを記録することは困難である場合がある。
【0018】
特定の実施形態によれば、ビーム操作デバイスは、高効率で大きな回折角で光を回折することができる大型HOEを記録するためにホログラフィック印刷システムにおいて使用されてもよい。SLMを使用して、基本空間周波数を有する物体ビームを生成してもよく、ビーム操作デバイスを使用して、SLMによって生成された物体ビームを異なる傾斜角で傾斜させてもよい。ビーム操作デバイスは、SLMによって生成された基本空間周波数をより高い周波数(例えば、SLMの空間周波数とビーム操作デバイスの空間周波数との和)にシフトするための可変キャリア空間周波数を有していてもよい。換言すると、高い空間周波数を有する所望のSLMは、低空間周波数を有するSLMとビーム操作デバイスとの組み合わせによって得ることができる。このようにして、大きな回折角および高い回折効率を有する大型HOEは、より低い分解能または空間周波数帯域幅を有するSLMを用いて記録することができる。いくつかの実施形態では、参照ビームはさらに、SLMによって変調され、かつ/またはビーム操作デバイスによって傾けられてもよい。いくつかの実施形態では、物体ビームおよび参照ビームは、小型ホログラム素子を記録するために縮小されてもよい。
【0019】
ビーム操作デバイスは、例えば、切り替え可能なブラッグ回折格子、パンチャラトナムベリー位相(PBP)回折格子、偏光ボリューム回折格子、液晶回折格子、SLM、光フェーズドアレイ等を用いて実現することができる。一例では、ビーム操作デバイスは、PBP回折格子のスタックを含んでいてもよく、各PBP回折格子は、異なるそれぞれの角度で入射光を傾けるように構成されてもよく、したがって、異なる全体の傾斜角度は、スタック内の個々のPBP回折格子の異なる構成によって達成され得る。いくつかの実施形態では、PBP回折格子は、オンまたはオフに切り替えることができるアクティブ回折格子であってもよい。いくつかの実施形態では、ビーム操作デバイスは、PBP回折格子とインターリーブされた1つまたは複数の切り替え可能な偏光変換器を備えていてもよく、切り替え可能な偏光変換器を使用して、PBP回折格子に入射する入力ビームの偏光状態を設定してもよい。
【0020】
以下の記述では、説明を目的として、具体的な詳細が本開示の例の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、種々の例は、これらの具体的な詳細なしに実施されてもよいことが明らかであろう。例えば、デバイス、システム、構造、アセンブリ、方法、および他の構成要素は、不必要な詳細において例を不明瞭にしないために、ブロック図形式の構成要素として示されてもよい。他の場合には、例を不明瞭にすることを避けるために、周知のデバイス、プロセス、システム、構造、および技術を必要な詳細なしに示すことができる。図面および記述は、制限的なものであることを意図されていない。本開示で採用された用語および表現は、限定の用語ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示され、説明された特徴またはその一部の任意の均等物を除外する意図はない。「例」という言葉は、本明細書では、「例、場合、または例示として機能する」という意味で使用されている。本明細書において「例」として説明される任意の実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるものではない。
【0021】
ホログラムは、光場の振幅および位相の両方の情報を符号化することができるが、写真は、一般に、光場の2次元(2D)振幅のみを記録することができる。HOEを記録するために所望の光干渉波を生成するために、少なくとも2つのコヒーレントビームが一般に使用されてもよく、ここで、一方のビームは参照ビームであってもよく、他方のビームは、記録される物体または場面の所望の波面を有することができる物体ビームであってもよい。記録されたHOEが参照ビームによって照射されると、所望の波面を有する物体ビームが再構成され得る。ホログラフィック技術は、多くの分野で使用できる。例えば、ホログラフィック印刷技術を使用して、3D物体および場面をホログラムに記録でき、3D物体および場面は、異なる視点から見ている人に見えるように、例えば白色光によってホログラムが照明されたときに3D物体および場面の光場が再構成され得る。
【0022】
図1Aは、ホログラフィック光学素子を記録するためのホログラフィック記録システム100の例を示す。ホログラフィック記録システム100は、ビームスプリッタ110(例えば、偏光ビームスプリッタキューブ)を備え、これは、入射コリメートレーザビーム102を、コヒーレントで同様の強度を有する2つの光ビーム112および114に分割してもよい。光ビーム112は、反射光ビーム122によって示されるように、プレート130に向かって第1のミラー120によって反射されてもよい。別の経路では、光ビーム114は、第2のミラー140によって反射されてもよい。反射光ビームは、物体144(例えば、記録される物体またはSLM)に向けられて、物体144を照明してもよい。物体144からの光ビーム142は、プレート130に向けられ、プレート130で光ビーム122に干渉して、明るい縞および暗い縞を含み得る干渉波を生成してもよい。ホログラフィック記録材料層150は、プレート130上またはプレート130に取り付けられた基板上に形成されてもよい。干渉波によって、上記のように、ホログラフィック光学素子はホログラフィック記録材料層150に記録されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、マスク160を使用して、ホログラフィック記録材料層150の異なる領域で異なるHOEを記録してもよい。例えば、マスク160は、ホログラフィック記録のためのアパーチャ162を備えていてもよく、異なる記録条件(例えば、異なる角度または異なる波面を有する記録ビーム)下で異なる領域にて異なるHOEを記録するためにホログラフィック記録材料層150の異なる領域にアパーチャ162を配置するように移動してもよい。
【0024】
図1Bは、物体ビーム182(例えば、光ビーム142)および参照ビーム184(例えば、光ビーム122)を用いてホログラフィック材料層180にホログラフィック光学素子を記録する例を示す。物体ビーム182および参照ビーム184は、同じレーザ光源からなどのコヒーレントなものであってもよい。物体ビーム182は、記録される物体または場面を表す任意の波面を有していてもよい。例えば、レンズを記録するために、物体ビーム182の波面は球面であってもよい。仮想物体を記録するために、物体ビーム182は、コンピュータによって生成されたホログラム(CGH)により回折されたビームであってもよい。参照ビーム184は、例えば、平面波であっても、または平坦でない波面を有していてもよい。物体ビーム182および参照ビーム184はコヒーレントであるため、それらは互いに干渉して、ホログラフィック材料層180において所望の光学干渉縞(例えば、明るい縞および暗い縞)を生成してもよい。光学干渉縞は、感光性ホログラフィック材料層180において固有の屈折率変調パターンを生成してもよく、屈折率変調パターンは、光学干渉縞に対応してもよい。
【0025】
感光性材料層は、例えば、ハロゲン化銀乳剤、重クロム酸ゼラチン、ポリマーマトリックスに懸濁した光重合性モノマーを含むフォトポリマー、光屈折結晶等を含むことができる。感光性ホログラフィック材料層(例えば、ホログラフィック記録材料層150またはホログラフィック材料層180)におけるホログラフィック記録材料は、ホログラフィック記録材料のいくつかのパラメータ、例えば、空間周波数応答、ダイナミックレンジ、感光性、物理的寸法、機械特性、波長感度、およびホログラフィック記録材料の現像または漂白方法に基づいて特定用途向けに選択することができる。
【0026】
ダイナミックレンジとは、ホログラフィック記録材料において実現可能な屈折率変化を示す。ダイナミックレンジは、例えば、高効率を実現するためのデバイスの厚み、およびホログラフィック材料層で多重化できるホログラムの数に影響を与えることがある。ダイナミックレンジは、屈折率変調によって表されてもよく、これは屈折率の全変化の半分であってもよい。一般に、回折効率を向上させ、複数のホログラフィック光学素子を同一のホログラフィック材料層に記録するためには、ホログラフィック光学素子の大きな屈折率変調が望まれる。しかし、ホログラフィックフォトポリマー材料については、ホログラフィックフォトポリマー材料中のモノマーの溶解度の限界により、達成可能な最大屈折率変調またはダイナミックレンジが限定され得る。
【0027】
空間周波数応答は、ホログラフィック材料が記録できる特徴サイズの尺度であり、達成可能なブラッグ条件の種類を規定してもよい。空間周波数応答は、変調伝達関数を特徴とすることができ、これは、変化する周波数の正弦波を描く曲線であってもよい。一般に、単一の空間周波数値を用いて周波数応答を表してもよく、これは、屈折率変調が低下し始める、または屈折率変調が3dB低下する空間周波数値を示すことができる。空間周波数応答は、ライン/mm、ラインペア/mm、または正弦波の周期によって表すこともできる。
【0028】
ホログラフィック記録材料の感光性は、100%(または光屈折結晶の場合は1%)など、ある効率を達成するために使用される光適用量を示してもよい。特定のホログラフィック材料において達成できる物理的寸法は、HOEデバイスのスペクトル選択性だけでなく、アパーチャサイズにも影響を与えてもよい。ホログラフィック記録材料の物理的パラメータとしては、例えば、損傷閾値および環境安定性を挙げることができる。波長感度は、記録セットアップ用の光源を選択するために使用されてもよく、達成可能な最小周期に影響を与えることもある。材料によっては、広い波長帯の光に敏感であってもよい。多くのホログラフィック材料は、露光後の現像または漂白を必要とし得る。現像に関する考慮事項は、ホログラフィック材料がどのようにして現像されるか、または別様に記録後に処理されるかを含んでいてもよい。
【0029】
人工現実システムのためのホログラフィック光学素子を記録するために、ホログラフィック材料は、可視光に敏感であり、大きな屈折率変調Δn(例えば、高いダイナミックレンジ)を起こすことができ、連鎖移動および終結反応を抑制できるようにモノマーおよび/またはポリマーの時間的および空間的に制御可能な反応および/または拡散を有することができることが望ましいことがある。ホログラフィック記録用のホログラフィック材料層の一例は、2段階フォトポリマーである。
【0030】
図2は、2段階フォトポリマーを含むホログラフィック記録材料の例を示す。2段階フォトポリマーの原料210は、マトリックス前駆体212およびイメージング成分214を含む樹脂であってもよい。原料210中のマトリックス前駆体212としては、第1の段階で熱的にまたは別様に硬化して重合し、ポリマーバインダ222によって形成された架橋マトリックスを含むフォトポリマー膜220を形成できるモノマーを挙げることができる。イメージング成分214は、書き込みモノマーと、感光色素、開始剤、および/または連鎖移動剤などの重合開始剤とを含んでいてもよい。したがって、フォトポリマー膜220は、ポリマーバインダ222と、書き込みモノマー(例えば、アクリレートモノマー)と、感光色素、開始剤、および/または連鎖移動剤などの開始剤とを含んでいてもよい。ポリマーバインダ222は、書き込みモノマーおよび開始剤のための土台または支持マトリックスとして機能してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマーバインダ222は、低屈折率(例えば、1.5未満)ゴム状ポリマー(例えば、ポリウレタン)を含んでいてもよく、これは、ホログラフィック露光中に機械的支持を与え、光パターンによる屈折率変調が永久に保持されることを保証してもよい。
【0031】
書き込みモノマーおよび重合開始剤を含むイメージング成分214は、支持マトリックス中に分散されていてもよい。書き込みモノマーは、屈折率調整剤として機能してもよい。例えば、書き込みモノマーは、開始剤と反応して重合することができる高屈折率アクリレートモノマーを含んでいてもよい。感光色素を使用して、光を吸収し、開始剤と相互作用して、ラジカル、カチオン(例えば、酸)、またはアニオン(例えば、塩基)などの活性種を生成してもよい。活性種(例えば、ラジカル)は、モノマーを攻撃することによって重合を開始させることができる。例えば、モノマーによっては、1つの電子対がσ結合で2つの炭素の間にしっかりと保持され得、別の電子対がπ結合でより緩く保持され得、フリーラジカルはπ結合から一方の電子を使用して、2つの炭素原子中の第1の炭素原子とより安定な結合を形成することができる。π結合の他方の電子は、2つの炭素原子中の第2の炭素原子へと戻り、分子全体を別のラジカルに変えることができる。このように、モノマー鎖(例えばポリマー)は、モノマー鎖の末端にさらにモノマーを追加し、ラジカルをモノマー鎖の末端に移動させて攻撃し、鎖にさらにモノマーを追加することによって形成することができる。
【0032】
記録プロセス(例えば、第2の段階)中、2つのコヒーレントビーム240および242間の干渉によって生成された干渉波は、明るい縞における感光色素および開始剤に、ラジカル、カチオン(例えば、酸)、またはアニオン(例えば、塩基)などの活性種を開始剤から生成させることができ、活性種(例えば、ラジカル)は、開始剤からモノマーに移動し、上記のように、明るい縞におけるモノマーの重合を引き起こすことができる。開始剤またはラジカルは、ポリマーマトリックスの水素原子を抽出するときに、ポリマーマトリックスに結合してもよい。ラジカルは、モノマーの鎖の末端に移動して、さらにモノマーを鎖に追加してもよい。明るい縞のモノマーがモノマー鎖に結合している間、露光されていない暗い領域のモノマーが明るい縞に拡散して重合を促進することができる。その結果、重合濃度勾配および密度勾配がフォトポリマー膜220に形成され、書き込みモノマーのより高い屈折率故にフォトポリマー膜220に屈折率変調が生じ得る。例えば、モノマーの濃度および重合度の高い領域ほど、屈折率が高くなり得る。このように、ホログラムまたはホログラフィック光学素子230がフォトポリマー膜220に形成されてもよい。
【0033】
露光中、あるモノマー鎖の末端のラジカルが、別のモノマー鎖の末端のラジカルと結合してより長い鎖を形成し、重合を終了させることがある。ラジカル結合による重合終了に加えて、重合は、ポリマーの不均化により重合が終了することもあり、ある鎖の水素原子が別の鎖に抽出されて末端不飽和基を有するポリマーおよび末端飽和基を有するポリマーを生成し得る。重合は、不純物または阻害剤(例えば、酸素)との相互作用により終了することもある。さらに、露光および重合が進むと、拡散および重合に利用できるモノマーが少なくなり得るため、拡散および重合が抑制され得る。重合は、モノマーがなくなるまで、またはモノマー鎖が露光のために終端するまで停止してもよい。すべてまたは実質的にすべてのモノマーが重合された後、さらなる新たなホログラフィック光学素子(例えば、回折格子)がさらにフォトポリマーフィルム220に記録されなくてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、感光材料層に記録されたホログラフィック光学素子は、例えば、色素漂白、重合完了、記録パターンの永久固定、および屈折率変調の向上のために、紫外線硬化されるか、または熱的に硬化もしくは強化されてもよい。プロセスの最後に、ホログラフィック回折格子などのホログラフィック光学素子が形成されてもよい。ホログラフィック回折格子は、例えば、数ミクロン、または数十ミクロン、または数百ミクロンの厚さを有するボリュームブラッグ回折格子であってもよい。
【0035】
図3A図3Bは、フォトポリマー材料層300にホログラフィック光学素子を記録する例を示す。図3Aは、支持ポリマーマトリックス305(例えば、ポリマーバインダ222によって形成された架橋マトリックス)を含んでいてもよい樹脂中に懸濁したモノマー310を含んでいてもよい未露光フォトポリマー材料層300を示す。モノマー310は、フォトポリマー材料層300中に実質的に均一に分散されてもよい。
【0036】
図3Bは、ホログラフィック記録中のモノマー拡散および重合の例を示す。フォトポリマー材料層300が光パターン320に露光されると、モノマー310は、フォトポリマー材料層300の明るい縞に拡散し、重合して、上記のように明るい縞にポリマー330および340を形成することができる。ポリマー330などの一部のポリマーは、ポリマーマトリックス305に結合していてもよい。ポリマー340などの一部のポリマーは、ポリマーマトリックス305に結合してなくてもよい。その結果、重合濃度勾配および密度勾配がフォトポリマー材料層300に形成され、書き込みモノマーのより高い屈折率故にフォトポリマー材料層300に屈折率変調が生じ得る。したがって、モノマーの濃度および重合度の高い領域ほど、屈折率が高くなり得る。このようにして、光パターン320はフォトポリマー材料層300に記録されてもよい。
【0037】
3D物体または場面からの方向性、色、および深度の情報を符号化できるホログラフィック光学素子またはホログラムは、ホログラフィックステレオグラムプリンタ、ホログラフィックフリンジプリンタ、およびホログラフィック波面プリンタなどのホログラフィックプリンタを用いてホログラフィック材料に作製され得る。ホログラフィックプリンタでは、物体波は、参照ビームに干渉して光干渉縞を形成するために生成される必要があってもよい。球面レンズ、円柱レンズ、プリズムなどの古典的な物理光学構成要素を用いて、任意の自由形状の波面を生成することは困難であり得る。したがって、ホログラフィックプリンタでは、一般に、記録される情報をSLMで表示し、数値合成された物体波の波面を生成してもよい。ホログラフィックプリンタは次いで、SLMによって提供された情報を、上記のようにアナログホログラムが記録されるように感光性ホログラフィック材料に記録してもよい。
【0038】
空間光変調器は、入射光波の強度、位相、偏光状態、および/または方向を変調してもよい。変調は、SLMの個々のアドレス指定可能な画素に制御信号を適用し得る制御回路によって制御されてもよい。SLMの例としては、反射型液晶(LCOS)SLMおよびデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を挙げてもよい。LCOS SLMは、一般に、DMD SLMよりも小さな画素ピッチを有していてもよい。LCOS SLMを備えた位相SLMでは、シリコン基板上の液晶層が電圧信号によって制御され、所望の光変調が行われてもよい。アドレス指定回路はシリコン基板に形成され、画素用の個別の電極は、液晶層の両側に形成されてもよい。電圧信号が画素の電極に印加されると、液晶層内の電場によって液晶分子が電場と相関し得る角度だけ傾き、これによって画素の屈折率(ひいては光路長)が変化し得る。光路長の変化により、SLMを通過する光学ビームの位相を変化させ得る。画素の屈折率は液晶分子の配向に依存し得、液晶分子の配向は電場の強度および方向に依存し得るため、画素の位相遅れは、画素に適用される電圧信号を変化させることによって変化し得る。例えば、SLMの画素は、2段階、4段階、8段階、16段階、またはそれ以上の段階などの複数の段階の位相遅れを有するように制御されてもよい。入射光ビームの偏光状態、強度、および伝搬方向は、画素に適用される電圧信号によって制御されてもよい液晶分子の配向の変化によっても変化され得る。
【0039】
SLMは、最大数平方インチの面積を有してもよい2Dアレイに配置されたある数の個別に制御可能な画素(セルとも呼ばれる)を有していてもよい。画素はそれぞれ特定のサイズを有していてもよい。2Dアレイのピッチは、1ミクロン未満から数ミクロン、数十ミクロン、またはそれ以上の範囲であってもよい。したがって、SLMの画素の総数、分解能(例えば、単位面積内の画素数)、および達成可能な最大空間周波数(例えば、単位長さにおける周期またはサイクルの数、例えば、1/周期)は、制限されてもよい。
【0040】
ナノメートルサイズの感光性粒子を有するホログラフィック材料に記録されたアナログホログラムは、SLMよりもはるかに高い分解能および空間周波数を得ることができる。したがって、ホログラフィック印刷に使用されるSLMの制限されたサイズ、分解能、および空間周波数帯域幅故に、印刷されたホログラムは、一般に、多数回の露光を通じて記録されたホログラム素子の2Dアレイを含むことができる。ホログラム全体の記録は、SLMによって生成された物体波のそれぞれの部分と、異なる位置の2Dアレイにホログラフィック材料層を配置し得る電動式2D線形並進ステージとを用いたホログラム素子の連続露光によって行うことができる。
【0041】
ホログラフィックステレオグラムプリンタを使用して、2D視点画像のアレイから合成されるホログラフィックステレオグラムを印刷することができる。ホログラフィックステレオグラムを作成するためには、物体または場面の2D画像のシーケンスは、複数の視点から非コヒーレントに取得される。視点画像が持つ方向性の情報を処理して視差関連画像を形成し、これは物体の信号波の強度を変調し、投影スクリーンに表示した後、上記の2ビーム記録方式でコヒーレント光源によってホログラフィック感光性材料に記録する。ホログラム全体は多数のホログラム素子(ホーゲルと呼ぶ)に分割できるため、これらは、順次、視差関連画像に露光される。ホログラムに記録された干渉縞の照明は、透視図の空間多重化によって3D物体または場面を再構成することができる。したがって、見ている人の左右の目は、物体または場面の異なる視点を観察することができ、見ている人は両眼視差による立体視を認識することができる。白色光で見えるホログラフィックステレオグラムは、2D画像を空間的に多重化するため、実際の3D画像を再構成できないことがある。
【0042】
ホログラフィックステレオグラムプリンタは、ディスプレイシステムの空間帯域幅(SBP)および深度性能を改善するために、複数のホログラム素子の空間シフトによる擬似3D可視化のために使用することができる。ホログラフィックステレオグラム印刷は、カメラで撮影した、またはコンピュータグラフィックスを用いてモデリングした実物または仮想物体の画像から、高分解能の完全視差再構成を行うことができる。方向性の情報のみをレンダリングする計算、およびパルスレーザ光源を用いた実施態様により、大きなサイズのホログラムを印刷できるようにしてもよい。このように、ホログラフィックステレオグラム印刷は、大きな物体の高品質なホログラフィック擬似3Dイメージングを可能にしてもよい。ホログラフィックステレオグラム技術は、密な光線の記録に基づいているため、回折効果および有限の離散的な視点セットからの光線の空間/角度サンプリングにより、再構成された疑似3D画像の劣化が生じ得る。ホログラフィックステレオグラムプリンタは、一般にSLMによって回折された0次回折光を採用している。
【0043】
ホログラフィックフリンジプリンタは、3D物体または場面のコンピュータにより生成された干渉縞(例えば、CGH)を感光性材料に直接印刷することができる。CGHの干渉縞は、時間がかかり得る活発な回折解析に基づいて計算されてもよい。計算された干渉縞の一部は、SLMに表示され、干渉縞の一部の縮小バージョンが、薄いホログラム素子としてホログラフィック材料層に記録されてもよいが、これは再構成のためにレーザ照明を必要とし得る。露光後、ホログラフィック材料層は、ステッピングモータによって制御される高精度2D線形並進ステージを用いて移動され、別のホログラム素子を記録することができる。印刷される干渉縞の分解能は、SLMの品質、およびSLMからホログラフィック材料層への画像の転写に使用する光学系に依存していてもよい。ホログラフィックフリンジプリンタに使用されるSLMは、大きな視野角を確保するために高い空間分解能を有することが必要とされ得る。
【0044】
ホログラフィック波面プリンタは、3D物体もしくは場面からの物体波、または(例えばSLMによって表示された)CGHからの物体波をアナログボリュームホログラムとして記録する。物体の方向性および深度の両方の情報が記録される。目標の3D物体または場面のデジタル設計された波面は、CGHによって光学的に再現され、ホログラム記録材料に記録されるため、振幅および位相の両方の分布を完全に制御した任意の波面を記録することができる。SLMデバイスはホログラム全体を表示できないことがあるため、ホログラム用のデータはホログラム素子のセット用のデータのセットへと分割され、各ホログラム素子用の波面はSLMを用いて順次生成され、電動式線形並進ステージによって配置されたホログラム記録材料層の領域に記録される。ホログラフィック波面プリンタは、一般に、SLMによって回折された1次回折光を用いる。
【0045】
図4は、特定の実施形態による、大型ホログラフィック光学素子を記録するためのホログラフィックプリンタ400の例を示す。ホログラフィックプリンタ400は、上記のホログラフィックステレオグラムプリンタ、ホログラフィックフリンジプリンタ、またはホログラフィック波面プリンタであってもよい。例えば、ホログラフィックプリンタ400は、ホログラフィックステレオグラムプリンタであってもよく、物体または場面の視点画像は、拡大レーザビーム410によって照射されるSLM420に表示されてもよく、ホログラフィック材料層460の所定の領域に光学サブシステム430(例えば、レンズ)によって物体ビーム432として収束してもよい。所定の領域は、ホログラム素子470(しばしばホーゲルと呼ばれる)のサイズを決定してもよい。参照ビーム440は反対側から同じ領域に入射し、ホログラム素子470を生成する。このように、SLMに表示される視点画像の情報は、ホログラム素子470において、物体ビーム432および参照ビーム440によって形成される干渉波として再符号化される。1つのホログラム素子470を記録した後、電動式2軸線形ステージ450がホログラフィック材料層460を次の記録位置までx方向および/またはy方向に並進させ、次のホログラム素子の記録のために、次のホログラム素子用の視点画像をSLMに表示してもよい。電動式2軸線形ステージ450の各軸に沿った並進のステップは、ホログラム素子のサイズ以上であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、ホログラフィックプリンタ400は、ホログラフィック波面プリンタであってもよく、SLM420は、CGHを表示して、ホログラム素子を記録するための所望の波面を有する物体ビーム432を生成してもよい。SLM420によって生成された物体ビーム432は、光学サブシステム430によって縮小され、ホログラフィック材料層460に中継されてもよい。
【0047】
図5は、特定の実施形態による、大型ホログラフィック光学素子を記録するために自由形状の物体波を生成するための空間光変調器510を備えたホログラフィックプリンタの光学サブシステム500の例を示す。光学サブシステム500は、図4のSLM420および図4の光学サブシステム430の組み合わせの例であってもよい。図示された例では、光学サブシステム500は、SLM510、焦点距離fを有する第1のレンズ520、マスク530、焦点距離fを有する第2のレンズ540、および焦点距離fを有する第3のレンズ550を備えていてもよい。SLM510は第1のレンズ520の片側に距離fで配置されてもよい。マスク530は、第1のレンズ520の他方の側に距離fで配置されてもよく、第2のレンズ540から距離fであってもよい。ホログラフィック材料層560は、第3のレンズ550から距離fで配置されてもよい。第2のレンズ540の焦点距離fは、第1のレンズ520の焦点距離f以下であってもよい。
【0048】
ホログラフィックステレオグラムプリンタにおいて、コリメートビーム502によって照射されたときに、SLM510によって生成された視点画像は、第1のレンズ520によってマスク530が位置するフーリエ平面にフーリエ変換されてもよい。マスク530を通過した後、信号ビームは、第2のレンズ540および第3のレンズ550(例えば、4-f光学系を形成する)を介して、例えば、上述のフォトポリマーを含み得るホログラフィック材料層560へと縮小および中継されてもよい。ホログラフィック材料層560の平面上で、中継された信号ビームは、反対側からの参照ビーム570に干渉して干渉波を形成してもよい。したがって、SLMの情報は、干渉波に対応する屈折率変調を有するホログラフィック材料層560に記録されてもよい。
【0049】
マスク530は、ホログラム素子のサイズおよび形状を設定するように設計されたアパーチャを備えていてもよい。例えば、マスク530のアパーチャのサイズが小さいほど、ホログラム素子のサイズは小さくなり得る。マスク530は、フーリエ平面に位置しているため、マスク530は、SLM510からの信号ビームのフーリエスペクトルの空間フィルタリングをさらに行ってもよい。マスク530は、SLM510によって表示される画像の高次回折成分を遮断するローパス空間フィルタとして機能してもよい。上述したように、一般に、ホログラフィックステレオグラムプリンタでは、マスク530は、SLM510から回折された0次回折光のみを通過させてもよい。そのため、小さなホーゲルを得るためにマスク530のアパーチャを非常に小さくした場合、SLM510によって表示される視点画像がホログラフィック材料層に十分に転写されないことがあり、したがって、ぼやけた画像が記録され得る。このように、ホログラフィックステレオグラムの横方向の高い分解能を得るために小さなサイズのホーゲルを記録すると、視点画像の高周波成分が失われ、記録画像の品質が低下することがある。
【0050】
図6は、特定の実施形態による、大型ホログラフィック光学素子を記録するために自由形状の物体波を生成するための空間光変調器610を備えたホログラフィック波面プリンタ600の例の簡略化されたブロック図を含む。図示された例では、ホログラフィック波面プリンタ600は、SLM610、所望のCGH(例えば、デジタル設計されたHOE)を実現するためにSLM610を制御するコントローラ605、偏光ビームスプリッタ(PBS)620、第1の焦点距離fを有する第1のレンズ630、フィルタ640、第2の焦点距離fを有する第2のレンズ650、任意で第3のレンズ660および第4のレンズ670を備えていてもよい。ホログラフィック波面プリンタ600は、ホログラフィック材料層680が形成されるプレート684を位置決めするために1つまたは複数のステップモータによって駆動され得る電動式2D並進ステージ685をさらに備えていてもよい。ホログラフィック波面プリンタ600は、所望のCGHを実現するためにSLM610を制御するコントローラ605(例えば、コンピュータ、マイクロコントローラ、または他の制御回路)をさらに備えていてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ605はさらに、電動式2D並進ステージ685の動作を制御するか、またはSLM610および電動式2D並進ステージ685の動作を同期させてもよい。上述したように、SLM610は、目標の物体または場面の波面全体を再現するための所望の分解能、空間周波数帯域幅、および画素数を有していなくてもよい。したがって、ホログラム全体のデータは1組のホログラム素子用のデータのセットに分割されてもよく、各ホログラム素子のデータから生成された波面は、電動式2D並進ステージ685を用いてホログラフィック材料層680の異なる領域に順次記録されてもよい。
【0051】
ホログラフィック波面プリンタ600の動作中、コリメートされた物体ビーム602(例えば、約532nm)は、PBS620によってSLM610に向けられてもよい。SLM610は、ホログラム素子に対応するホログラフィック干渉縞(例えば、CGH)を実現するために、コントローラ605からデータを受信してもよい。物体ビームは、変調された物体ビームが目標の3D物体または場面の光場の一部の波面を有してもよいように、SLM610によって変調されてもよい。変調された物体ビームは、第1のレンズ630によってフーリエ変換されてもよい。高次回折波および変調されていない0次波などの望ましくない光は、フーリエ平面でフィルタ640によってフィルタリングされてもよく、SLM610による1次(±1)回折のみが通過可能であってもよい。例えば、フィルタ640としては、変調されていない0次波をフィルタリングできるDCフィルタ(例えば、クロムスポット)、および高回折次数をフィルタリングできるローパスフィルタ(例えば、アパーチャ)を挙げることができる。1次回折を含む物体ビームは、第1のレンズ630および第2のレンズ650を含むテレセントリックシステムによって縮小されてもよく、第1のレンズ630の焦点距離fは、物体ビームが縮小できるように第2のレンズ650の焦点距離fより長くてもよい。いくつかの実施形態では、プレート684およびホログラフィック材料層680は、第2のレンズ650の焦点位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第3のレンズ660および第4のレンズ670を含む第2のテレセントリックシステムは、代替的に、または追加として、物体ビームを縮小するために使用されてもよく、プレート684およびホログラフィック材料層680は、第4のレンズ670の焦点に配置されてもよい。物体ビームの縮小され変調された波面は、物体ビームの反対側から入射する参照ビーム690(例えば、平面波)にホログラフィック材料層680で干渉し、反射型ボリュームホログラム素子682を形成してもよい。
【0052】
次のホログラム素子を記録するために、次のホログラム素子のデータがSLM610に送信されてもよく、プレート684およびホログラフィック材料層680が、電動式2D並進ステージ685によって次の位置に移動されてもよい。ホログラム素子がすべて記録された後、ホログラフィック材料層680は、目標の物体または場面の光場の波面を符号化する所望のホログラムを形成するために、処理、例えば硬化または漂白されてもよい。ホログラムは、白色光照明下で再構成されてもよい。
【0053】
図6には示されていないが、いくつかの実施形態では、参照ビーム690はさらに、ホログラフィック材料層680に到達する前に、空間光変調器によって変調され、DCフィルタおよび/またはローパスフィルタによってフィルタリングされ、1つまたは複数のテレセントリックシステムによって縮小されてもよい。平面波ではなく、変調された参照ビームを使用することは、例えば、任意の複雑な波面を再構成することができるホログラムを記録すること、および/または物体ビームを変調するために使用されるSLMの要件を低減することに役立ち得る。いくつかの実施形態では、参照ビームはさらに、ビーム操作デバイスによって操作されてもよい。
【0054】
3次元ディスプレイシステムなどのいくつかの用途では、高い空間周波数、再構成された光場における大きな視野角範囲、および高い回折効率を有するHOEが使用されてもよい。HOEが、ホログラム素子の2Dアレイを含むHOEの1つのホログラム素子が上記のように露光毎に記録される一連の露光において記録されるとしても、例えば、SLMの限られた分解能および空間周波数帯域幅故に、上記ホログラフィック印刷技術を使用してそのような大型HOEを記録することは困難であり得る。
【0055】
図7Aは、ホログラフィック材料層750にホログラフィック光学素子を記録するための物体波の所望の波面の例を示す。図示された例では、所望のHOE712、722、および732は、ホログラフィックレンズであってもよい。例えば、HOE712は、ホログラフィックレンズの光軸から中心がオフセットされているホログラフィックレンズであってもよく、物体波710を用いて記録されてもよい。HOE722は、ホログラフィックレンズの光軸に中心があるホログラフィックレンズであってよく、物体波720を用いて記録されてもよい。HOE732は、ホログラフィックレンズの光軸から中心がオフセットされているホログラフィックレンズであってよく、物体波730を用いて記録されてもよい。物体波710、物体波720、および物体波730は、波面がそれぞれ球の表面の一部であってもよい球面波であってもよい。
【0056】
図7Bは、ホログラフィック材料層750に図7Aのホログラフィック光学素子を記録するためのホログラフィックプリンタの光学サブシステム740によって生成される物体波の例を示す。光学サブシステム740は、CGHまたは他の干渉縞を実現できるSLMを備えていてもよい。コリメートビームによって照射されるとき、SLMによって実現されるホログラフィック干渉縞は、コリメートビームを(例えば、回折によって)変調して、ホログラフィック材料層750にホログラフィック光学素子を記録するために所望の波面を有する物体波を生成してもよい。例えば、HOE712を記録するために、光学サブシステム740は物体波710を生成してもよく、HOE722を記録するために、光学サブシステム740は物体波720を生成してもよく、HOE732を記録するために、光学サブシステム740は物体波730を生成してもよい。光学サブシステム740によって生成された物体波は、参照ビーム(例えば、平面波)に干渉して、ホログラフィック材料層750に干渉縞を形成してもよい。
【0057】
図8Aは、ホログラフィック光学素子を記録するための所望の物体波を生成する方法の例を示す。ホログラフィックレンズを記録するための球面波を生成するために、コリメートレーザビーム(平面波)は、レンズ810の一部を通過してもよく、レンズは、レーザビームの波面を平面波から球面波へと変更してもよい。コリメートレーザビームがレンズ810に入射する位置に応じて、レンズ810は、レーザビームの波面の伝搬方向を様々に変更してもよい。例えば、コリメート光ビーム820がレンズ810の第1の領域812に入射すると、中心805および伝搬方向822を有する球面波が生成されてもよい。コリメート光ビーム830がレンズ810の第2の領域814(例えば、中心領域)に入射すると、中心805および伝搬方向832を有する球面波が生成されてもよい。コリメート光ビーム840がレンズ810の第3の領域816に入射すると、中心805および伝搬方向842を有する球面波が生成されてもよい。レンズ810またはレンズ810の各領域の波面変更機能は、SLMを用いて実現可能なCGHによって得られてもよい。
【0058】
図8Bは、ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するためのコンピュータによって生成されたホログラムの例を示す。例えば、CGH850は、レンズ810の波面変更機能を実行できてもよい。CGH850の部分852は、レンズ810の第1の領域812の波面変更機能を実行してもよい。CGH850の部分854は、レンズ810の第2の領域814の波面変更機能を実行してもよい。CGH850の部分856は、レンズ810の第3の領域816の波面変更機能を実行してもよい。図8Bに示すように、CGH850の部分852および856の干渉縞は、CGH850の部分854の干渉縞よりはるかに高い空間周波数を有していてもよい。
【0059】
図9Aは、ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するための空間光変調器を用いて実現された干渉縞910と、フーリエ面上の干渉縞910のフーリエスペクトル912との例を示す。干渉縞910は、レンズ810の第1の領域812のような中心から外れたレンズの波面変調機能を実行してもよい。干渉縞910のフーリエスペクトル912は、フーリエスペクトル912の中心領域にない成分を含み、干渉縞910は高い空間周波数を有していてもよいことを表す。
【0060】
図9Bは、ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するための空間光変調器を用いて実現された干渉縞920と、フーリエ面上の干渉縞920のフーリエスペクトル922との例を示す。干渉縞920は、レンズ810の第2の領域814のような中心にあるレンズの波面変調機能を実行してもよい。干渉縞920のフーリエスペクトル922は、フーリエスペクトル922の中心領域にある成分を含み、干渉縞920は低い空間周波数を有していてもよいことを表す。
【0061】
図9Cは、ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するための空間光変調器を用いて実現された干渉縞930と、フーリエ面上の干渉縞930のフーリエスペクトル932との例を示す。干渉縞930は、レンズ810の第3の領域816のような中心から外れたレンズの波面変調機能を実行してもよい。干渉縞930のフーリエスペクトル932は、フーリエスペクトル932の中心領域にない成分を含み、干渉縞930は高い空間周波数を有していてもよいことを表す。
【0062】
図8Bおよび図9A図9Cに示すように、一部の干渉縞の空間周波数は非常に高くてもよく、したがって、SLMが十分に多い画素数を有していても、干渉縞は、限られた分解能および空間周波数を有していてもよいSLMを用いて生成されないことがある。
【0063】
特定の実施形態によれば、ビーム操作デバイスは、高回折効率で大きな回折角で光を回折することができる大型HOEを記録するためにホログラフィック印刷システムにおいて、空間光変調器と組み合わせて使用されてもよい。SLMは、基本空間周波数を有する物体ビームを生成してもよい。次いで、ビーム操作デバイスは、SLMによって生成された物体ビームを所望の方向へと操作し、これにより、物体ビームの基本空間周波数を高空間周波数にシフトさせてもよい。このように、SLMとビーム操作デバイスとを組み合わせることにより、高空間周波数を有する物体ビームを生成してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、ビーム操作デバイスは、可変ピッチを用いたアクティブ回折格子を備えていてもよい。可変ピッチを用いたアクティブ回折格子は、可変空間周波数を有していてもよく、したがって、SLMによって生成される物体ビームの基本空間周波数をより高い空間周波数にシフトさせてもよい。いくつかの実施形態では、ビーム操作デバイスは、ガルバノミラーまたは微小電気機械システム(MEMS)ミラーなどの走査ミラーを備えていてもよい。
【0065】
特定の実施形態によれば、ビーム操作デバイスは、同じピッチまたは異なるピッチを有する複数の回折格子を含む切り替え可能な回折格子スタックを備えていてもよい。切り替え可能な回折格子スタックは、SLMによって生成された物体ビームを所望の方向に向けるように切り替えられ得、これにより物体ビームの基本空間周波数を高空間周波数にシフトさせる。このように、所望の高空間周波数を有する物体ビームは、SLMとビーム操作デバイスとの組み合わせによりって生成されてもよい。このようにして、大きな回折角を有する大型HOEは、より低い分解能またはより低い達成可能な最大空間周波数を有するSLMを使用して記録され得る。いくつかの実施形態では、切り替え可能な回折格子スタックの回折格子は、切り替え可能であってもよい。いくつかの実施形態では、切り替え可能な回折格子スタックは、切り替え可能な偏光変換器(例えば、切り替え可能な半波長板)を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、切り替え可能な回折格子スタックは、切り替え可能な回折格子または切り替え可能な偏光変換器のうちの少なくとも一方を備えていてもよい。
【0066】
図10Aは、特定の実施形態による、空間光変調器1010および切り替え可能な回折格子スタック1020を備えたホログラフィック波面記録システム1000の例を示す。上述したように、SLM1010は、制御回路によって制御される画素の2Dアレイを含んでいてもよい。制御回路は、干渉縞(例えば、CGH)のデータを受信し、SLM1010が干渉縞を実現できるように、受信データに基づいてSLM1010の画素に異なる電圧信号を印加してもよい。コリメートビームによって照射されると、干渉縞を実現するSLM1010の画素は、回折によってコリメートビームの位相および/または振幅を変調し、物体ビーム1012を生成してもよい。SLM1010によって実現可能な干渉縞の限られた分解能および空間周波数故に、物体ビーム1012は、比較的小さな回折角を有していてもよく、したがって、小さな角度範囲から見ることができてもよい。
【0067】
切り替え可能な回折格子スタック1020は、入射光を回折するか若しくは回折しないように、または異なる偏光状態の入射光を異なる回折角で回折するように構成され得る複数の回折格子を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、切り替え可能な回折格子スタック1020内の回折格子は、切り替え可能な回折格子に電圧信号が印加されていないときに入射光を回折する「オン」状態になり得、切り替え可能な回折格子に閾値電圧よりも大きな電圧信号が印加されたときに入射光を回折しない(例えば、透過する)「オフ」状態に切り替えられ得る切り替え可能な回折格子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、切り替え可能な回折格子スタック1020内の1つまたは複数の回折格子は、偏光依存性であってよく、異なる偏光状態の入射光を異なる方向へ回折することができる。いくつかの実施形態では、切り替え可能な回折格子スタック1020は、入射光の偏光状態を変更するように、または入射光の偏光状態を維持するように構成されてもよい切り替え可能な半波長板および/または切り替え可能な偏光板などの1つまたは複数の切り替え可能な偏光変換器を備えていてもよい。
【0068】
切り替え可能な回折格子スタック1020内の複数の回折格子は、異なる回折格子周期または同じ回折格子周期を有していてもよい。一例では、複数の回折格子はそれぞれ、異なるそれぞれの回折格子周期を有していてもよく、したがって、異なる回折角で入射ビームを回折してもよい。したがって、切り替え可能な回折格子スタック1020内の複数の回折格子が異なるように構成される場合(例えば、オン若しくはオフに切り替えられる、または異なる偏光状態の光を受信する)、切り替え可能な回折格子スタック1020は、異なる方向に伝搬する物体ビーム1022、1024、および1026によって示されるように、入射物体ビーム1012を異なる方向に回折してもよい。このように、切り替え可能な回折格子スタック1020は、入射光を1組の方向に向けることができるビーム操作デバイスであってもよい。さらに、切り替え可能な回折格子スタック1020内の回折格子間の距離、およびホログラフィック材料層1030と切り替え可能な回折格子スタック1020との間の距離は、入射光がホログラフィック材料層1030の1組の所望の領域に向けられてもよいように構成されてもよい。したがって、切り替え可能な回折格子スタック1020は、入射光ビームが切り替え可能な回折格子スタック1020によって操作され、所望の方向からホログラフィック材料層1030の所望の領域に到達してもよいように制御されてもよい。
【0069】
図10Bは、ホログラフィック光学素子を記録するために所望の物体波を生成するための空間光変調器(例えば、SLM1010)を用いて実現された干渉縞と、特定の実施形態によるフーリエ平面上の干渉縞のフーリエスペクトルとの例を示す。例えば、物体ビーム1022を生成するために、SLMは、レンズ810の第2の領域814などの中心にあるレンズの波面変調機能を実行してもよい干渉縞1040を実現するように制御されてもよい。干渉縞1040のフーリエスペクトル1042は、フーリエスペクトル1042の中心領域にある成分を含み、干渉縞1040は低い空間周波数を有していてもよいことを表す。次に、干渉縞1040によるコリメートレーザビームの回折によって生成された物体ビーム(例えば、物体ビーム1012)は、物体ビーム1012を図10Aに示す物体ビーム1022の方向に向けるように構成された切り替え可能な回折格子スタック1020によって操作されてもよい。
【0070】
物体ビーム1024を生成するために、SLMは、レンズ810の第2の領域814などの中心にあるレンズの波面変調機能を実行してもよい干渉縞1050を実現するように制御されてもよい。したがって、干渉縞1050は、干渉縞1040と同じであっても、または類似のものであってもよい。干渉縞1050のフーリエスペクトル1052は、フーリエスペクトル1052の中心領域にある成分を含み、干渉縞1050は低い空間周波数を有していてもよいことを表す。次に、干渉縞1050によるコリメートレーザビームの回折によって生成された物体ビーム(例えば、物体ビーム1012)は、切り替え可能な回折格子スタック1020によって図10Aに示す物体ビーム1024の方向へと操作されてもよい。例えば、切り替え可能な回折格子スタック1020内の回折格子は、回折格子に電圧信号を印加することによってオフに切り替えられてもよく、または各回折格子に入射する光の偏光状態は、物体ビーム1012が切り替え可能な回折格子スタック1020を通過した後に伝搬方向を変更しないように(例えば、切り替え可能な偏光変換器によって)設定されてもよい。
【0071】
物体ビーム1026を生成するために、SLMは、レンズ810の第2の領域814などの中心にあるレンズの波面変調機能を実行してもよい干渉縞1060を実現するように制御されてもよい。したがって、干渉縞1060は、干渉縞1040および干渉縞1050と同じであっても、または類似のものであってもよい。干渉縞1060のフーリエスペクトル1062は、フーリエスペクトル1062の中心領域にある成分を含み、干渉縞1060は低い空間周波数を有していてもよいことを表す。次に、干渉縞1060によるコリメートレーザビームの回折によって生成された物体ビーム(例えば、物体ビーム1012)は、物体ビーム1012を図10Aに関して上述した物体ビーム1026の方向に向けるように構成された切り替え可能な回折格子スタック1020によって操作されてもよい。
【0072】
このように、図7A図9Cに関して上述したホログラフィック印刷システムにおけるSLMと比較して、ホログラフィック波面記録システム1000にて使用されるSLM1010は、HOE712、722、および732を記録するために、高い分解能および高い到達可能空間周波数を有する必要はなくてもよい。
【0073】
図11は、特定の実施形態による、物体ビームを大きな角度範囲へと操作するための切り替え可能な回折格子スタックを備えたビーム操作デバイス1100の例を示す。ビーム操作デバイス1100は、切り替え可能な回折格子スタック1020の一例であってもよい。図示された例では、切り替え可能な回折格子スタックは、第1の偏光回折格子1110、第2の偏光回折格子1120、および第3の偏光回折格子1130を含んでいてもよい。第1の偏光回折格子1110、第2の偏光回折格子1120、および第3の偏光回折格子1130は、異なる偏光状態の入射光を異なるように回折してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、偏光回折格子は、左回り円偏光光を回折し、右回り円偏光光を透過させてもよく、または右回り円偏光光を回折し、左回り円偏光光を透過させてもよい。いくつかの実施形態では、偏光回折格子は、左回り円偏光光を第1の方向へ回折し、右回り円偏光光を第2の方向へ回折してもよく、または右回り円偏光光を第1の方向へ回折し、左回り円偏光光を第2の方向へ回折してもよい。
【0074】
第1の偏光回折格子1110、第2の偏光回折格子1120、および第3の偏光回折格子1130は、薄い基板または薄膜などのスペーサ1112および1122によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、図11に示す切り替え可能な回折格子スタックは、スタック内の1つまたは複数の回折格子の前に1つまたは複数のパッシブまたはアクティブ偏光子または他の偏光変換器を備えていてもよい。例えば、スペーサ1112および1122は、1つまたは複数の偏光子を備えていてもよい。1つまたは複数の偏光変換器は、光ビームの偏光状態を変更する、例えば、光ビームの偏光状態を左回り円偏光(LHCP)から右回り円偏光(RHCP)に変換する、またはその逆に変換してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の偏光変換器は、オンまたはオフに切り替えることができるアクティブ偏光変換器であってもよい。例えば、1つまたは複数の偏光変換器は、入射光の偏光状態を反対の偏光状態(例えば、LHCPからRHCPへ、またはRHCPからLHCPへ)に変更するためにオンに切り替えることができ、入射光の偏光状態を維持するためにオフに切り替えることができる切り替え可能な半波長板を備えていてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1の偏光回折格子1110、第2の偏光回折格子1120、または第3の偏光回折格子1130のうちの少なくとも1つは、入射光を回折するためにオンに切り替えることができ、入射光を透過させるためにオフに切り替えることができるアクティブ回折格子であってもよい。例えば、偏光回折格子は、偏光回折格子に電圧信号が印加されていないときに入射光を回折する「オン」状態であってもよく、偏光回折格子に閾値レベルよりも高い電圧信号が印加されたときに入射光を回折しない(例えば、透過させる)「オフ」状態に切り替えられてもよい。
【0076】
偏光回折格子は、異なるそれぞれの回折格子周期を有していてもよく、したがって、異なる回折角で入射ビームを回折してもよい。例えば、第1の偏光回折格子1110は、異なる円偏光入射ビームを第1の回折次数で約±5.3°だけ回折してもよく、第2の偏光回折格子1120は、異なる円偏光入射ビームを第1の回折次数で約±10.8°だけ回折してもよく、第3の偏光回折格子1130は、異なる円偏光入射ビームを第1の回折次数で約±22°だけ回折してもよい。したがって、スタックにおける偏光回折格子および/または偏光変換器が異なるように構成される(例えば、オンまたはオフに切り替えられる)と、切り替え可能な回折格子スタックは、図11に示すように、入射物体ビーム1150を異なる方向へ回折してもよい。
【0077】
さらに、第1の偏光回折格子1110、第2の偏光回折格子1120、および第3の偏光回折格子1130は、スペーサによって特定の距離だけ互いから分離されてもよい。図11に示す例では、スペーサ1112は約0.3mmの厚さを有していてもよく、スペーサ1122も約0.3mmの厚さを有していてもよい。第3の偏光回折格子1130は、基板1142上にあるホログラフィック材料層1140からスペーサ1132によって分離されてもよい。図11に示す例では、スペーサ1132は、約0.4mmの厚さを有していてもよい。第1の偏光回折格子1110、第2の偏光回折格子1120、第3の偏光回折格子1130、およびホログラフィック材料層1140は、図11に示すように、入射物体ビーム1150が異なるそれぞれの方向からホログラフィック材料層1140の少なくとも8つの異なる領域に向けられてもよいように配置されてもよい。
【0078】
図12は、特定の実施形態による、図11に示す切り替え可能な回折格子スタックによる物体ビーム操作の例を示す図1200を含む。各円1210は、切り替え可能な回折格子スタックによって操作される物体ビームの中心を表す。図12の円1210を中心とするボックス1220は、切り替え可能な回折格子スタックによってシフトされるベース物体ビームを生成するためのSLMによって実現される干渉縞の空間周波数範囲を示す。切り替え可能な回折格子スタックは、物体ビームがX-Y平面内の各方向において約±60°の視野をカバーできるように、物体ビームの中心をX-Y平面内の各方向における8箇所のうちの1箇所に向けて操作してもよい。
【0079】
上記の切り替え可能な回折格子スタックは、例えば、偏光ボリューム回折格子(PVG)、切り替え可能なブラッグ回折格子(SBG)、パンチャラトナムベリー位相(PBP)回折格子、光フェーズドアレイ(OPA)回折格子、液晶回折格子、SLM、パッシブまたはアクティブ線形偏光子、パッシブまたはアクティブ円偏光子、パッシブまたはアクティブ波長板、またはそれらの任意の組み合わせを用いて実現されてもよい。
【0080】
図13A図13Dは、特定の実施形態による偏光ボリューム回折格子の例の動作を示す。PVGは、例えば、光整列材料を有する液晶分子、または他のパターン化された複屈折ナノ構造を含んでいてもよい。PVGは、反射モードまたは透過モードで動作することができ、偏光選択性であってもよい。一例では、PVGは、らせん構造で配置された液晶分子を含んでいてもよい。このようなPVGは、光伝搬方向で見たときに液晶分子が反時計回りの回転パターンで配置されているときには左回り(LH)PVGと呼んでもよく、または光伝搬方向で見たときに液晶分子が時計回りの回転パターンで配置されているときには右回り(RH)PVGと呼んでもよい。所与の光伝搬方向について、LH PVGが反転してRH PVGとして機能してもよく、RH PVGが反転してLH PVGとして機能してもよい。したがって、LH PVGおよびRH PVGという呼称は、異なる種類のPVGではなく、PVGと入力光との間の相互作用を記述するものである。液晶(LC)PVGなどのPVGは、電場がPVGに印加されると、液晶分子を電場の方向に沿って再整列させるためにオフに切り替えられてもよい。
【0081】
図13Aは、右回り円偏光を有する入射光に対するRH PVG1300の動作を示す。RH PVG1300は、右回り円偏光を有する入射光を特定の角度、例えば-1次回折方向へと回折してもよい。また、RH PVG1300は、右回り円偏光を有する入射光の偏光を左回り円偏光を有する光に変化させてもよい。
【0082】
図13Bは、左回り円偏光を有する入射光に対するRH PVG1300の動作を示す。図示されるように、RH PVG1300は、左回り円偏光を有する入射光の大部分またはすべてを回折せずに透過させてもよい。RH PVG1300は、左回り円偏光を有する入射光の偏光状態をさらに維持してもよい。
【0083】
図13Cは、右回り円偏光を有する入射光に対するLH PVG1350の動作を示す。図示されるように、LH PVG1350は、右回り円偏光を有する入射光の大部分またはすべてを回折せずに透過させてもよい。LH PVG1350は、右回り円偏光を有する入射光の偏光状態をさらに維持してもよい。
【0084】
図13Dは、左回り円偏光を有する入射光に対するLH PVG1300の動作を示す。LH PVG1350は、左回り円偏光を有する入射光を特定の角度、例えば+1次回折方向に回折してもよい。LH PVG1350は、左回り円偏光を有する入射光の偏光を右回り円偏光を有する光にさらに変化させてもよい。
【0085】
図14Aは、特定の実施形態による切り替え可能なPBP回折格子1400の例の上面図である。PBP回折格子1400は、切り替え可能な回折格子スタック1020の回折格子、第1の偏光回折格子1110、第2の偏光回折格子1120、または第3の偏光回折格子1130の例であってもよい。PBP回折格子1400は、一対の基板1410、一対の電極1420、1つまたは2つの表面整列層1430、および液晶層1440を備えていてもよい。基板1410は、可視光に対して透明であってもよい。電極1420も可視光に対して透明であってもよく、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)を用いて実現されてもよい。表面整列層1430は、電圧がPBP回折格子1400に印加されていないときに液晶層1440の液晶分子が同じパターンで自己整列できるように、所定の表面パターンを有していてもよい。
【0086】
図14Bは、特定の実施形態による切り替え可能なPBP回折格子1400の例を示す側面図である。図示されているように、PBP回折格子1400の液晶層1440は、光伝搬方向(例えば、z方向)で見たときにx-y平面内で反復回転パターンで配向される液晶分子を含んでいてもよい。反復回転パターンは、例えば、偏光感受性光整列材料における2つの直交する円偏光レーザビームの干渉を記録することによって作成されてもよい。x-y平面における液晶構造の反復回転パターン故に、PBP回折格子1400は、位置によって変化する面内一軸複屈折を有していてもよい。反復回転パターンを有する液晶構造は、光が液晶構造を伝搬するときの偏光発生故に、入射光の幾何学的位相シフトを生じさせてもよい。
【0087】
PBP回折格子1400の垂直入射時の回折効率は、おおよそ以下のように求めることができる。
ここで、ηはm回折次数の回折効率、Δnは液晶層1440の複屈折であり、dは液晶層1440の厚さであり、λは入射光の波長であり、S’=S/Sは、入射光の偏光の楕円率に対応する正規化ストークスパラメータである。したがって、厚さd=λ/2△n(LC層1440の半波長遅延)とすると、0次透過率ηはゼロであってもよく、すべての入射光が±1次まで回折されてもよい。±1回折次数は、S’に影響を受けてもよいが、0次は偏光に依存しなくてもよい。例えば、入射光が右回り円偏光であるとき、S’=-1であり、したがってη+1=1かつη-1=0であり、これは、PBP回折格子1400を通過するすべての入射光が+1次に回析されてもよいことを示す。入射光が左回り円偏光であるとき、S’=+1、η+1=0、かつη-1=1であり、これは、すべての入射光が-1次へと回折されることを示す。本明細書では、m=+1は1次、m=-1次は共役次数であると考えるが、次数の呼称は逆にされても、または別様に変更されてもよい。一般に、回折格子の周期Λおよび厚さdに関係なく、0次および2つの最初に回折される次数のみが可能であってもよい。
【0088】
さらに、PBP回折格子1400を通過した後、光がLC層1440において相対位相シフトされてもよいため、円偏光光の回転は反対の円偏光状態に変更されてもよい。
例えば、右回り円偏光光がPBP回折格子1400を通過した後、光の偏光状態は、左回り円偏光に変更されてもよい。左回り円偏光光がPBP回折格子1400を通過した後、光の偏光状態は右回り円偏光に変更されてもよい。
【0089】
PBP回折格子1400における液晶分子の反復回転パターンのピッチまたは周期Λは、部分的に、PBP回折格子の特定の光学特性を決定してもよい。例えば、ピッチは、回折格子方程式に従って異なる回折次数の回折角を決定してもよい。一般に、ピッチが小さければ小さいほど、所定の波長の光および所定の回折次数に対する回折角は大きくなる。
【0090】
図14Cは、特定の実施形態による、オフに切り替えられている切り替え可能なPBP回折格子1400の例の上面図である。PBP回折格子1400は、電極1420に電圧信号を印加することによってオフに切り替えられてもよい。電圧信号のレベルが閾値レベルより大きい場合、液晶層1440内の電場が液晶分子を整列させることができ、有効複屈折Δnが約0に低減されてもよい。このように、電圧信号は、入射光が、伝搬方向および偏光状態を変えることなくPBP回折格子1400を通過してもよいように、PBP回折格子1400を効果的に消去またはオフに切り替えてもよい。
【0091】
図15A図15Cは、特定の実施形態による切り替え可能なPBP回折格子1500の例の動作を示す。PBP回折格子1500は、PBP回折格子1400の例であってもよい。図示された例では、PBP回折格子1500は、一対の基板1510、一対の電極1520、1つまたは2つの表面整列層1530、および液晶層1540を備えていてもよい。基板1510は、可視光に対して透明であってもよい。電極1520も可視光に対して透明であってもよく、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)を用いて実現されてもよい。表面整列層1530は、電圧がPBP回折格子1500に印加されていないときに液晶層1540の液晶分子が同じパターンで自己整列できるように、所定の表面パターンを有していてもよい。図示された例では、PBP回折格子1500は、右回り回折格子として使用されてもよく、液晶層1540中の液晶分子は、光伝搬方向(例えば、z方向)で見たときに、x-y平面において時計回りの回転パターンで配置されてもよい。
【0092】
図15Aは、「オン」状態におけるPBP回折格子1500による右回り円偏光入射光ビームの回折例を示す。PBP回折格子1500の電極1520に電圧信号(または閾値電圧未満の電圧信号)が印加されない場合、内蔵された回折格子が消去またはオフに切り替えられないため、PBP回折格子1500は「オン」状態であってもよい。PBP回折格子1500は、右回り円偏光を有する入射光を第1の方向(例えば、-1次回折方向)に回折してもよく、PBP回折格子1500から出力された光は、PBP回折格子1500を通過した後に左回り円偏光になり得る。
【0093】
図15Bは、「オン」状態におけるPBP回折格子1500による左回り円偏光入射光ビームの回折例を示す。PBP回折格子1500の電極1520に電圧信号(または閾値電圧未満の電圧信号)が印加されない場合、内蔵された回折格子が消去またはオフに切り替えられないため、PBP回折格子1500は「オン」状態であってもよい。PBP回折格子1500は、左回り円偏光を有する入射光を第2の方向(例えば、+1次回折方向)に回折してもよく、PBP回折格子1500から出力された光は、PBP回折格子1500を通過した後に右回り円偏光になり得る。
【0094】
図15Cは、「オフ」状態におけるPBP回折格子1500による入射光ビームの透過例を示す。PBP回折格子1500の電極1520に閾値電圧よりも高い電圧信号が印加される場合、図14Cに関して上述したように、内蔵された回折格子が消去またはオフに切り替えられ得るため、PBP回折格子1500は「オフ」状態であってもよい。「オフ」状態において、PBP回折格子1500は、入射光ビームの偏光状態にかかわらず、入射光ビームを回折しなくてもよく、PBP回折格子1500から出力(例えば、透過)される光ビームは、入射光ビームと同じ偏光状態を有していてもよい。
【0095】
PBP回折格子1500が入射光ビームに対して反転されると、PBP回折格子1500は左回りになることができ、液晶層1540中の液晶分子は、光伝搬方向(例えば、z方向)で見たときに、x-y平面において反時計回りの回転パターンで配置されてもよい。反転されたPBP回折格子は、「オン」状態において異なる回折特性を有していてもよい。
【0096】
図16A図16Cは、特定の実施形態による切り替え可能なPBP回折格子1600の例の動作を示す。PBP回折格子1600は、PBP回折格子1400の例であってもよく、光が反対方向から入射するPBP回折格子1500と類似のものであってもよい。図示された例では、PBP回折格子1600は、一対の基板1610、一対の電極1620、1つまたは2つの表面整列層1630、および液晶層1640を備えていてもよい。基板1610は、可視光に対して透明であってもよい。電極1620も可視光に対して透明であってもよく、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)を用いて実現されてもよい。表面整列層1630は、電圧がPBP回折格子1600に印加されていないときに液晶層1640の液晶分子が同じパターンで自己整列できるように、所定の表面パターンを有していてもよい。図示された例では、PBP回折格子1600は、左回り回折格子であってもよく、液晶層1640中の液晶分子は、光伝搬方向(例えば、z方向)で見たときに、x-y平面において反時計回りの回転パターンで配置されてもよい。
【0097】
図16Aは、「オン」状態におけるPBP回折格子1600による右回り円偏光入射光ビームの回折例を示す。PBP回折格子1600の電極1620に電圧信号(または閾値電圧未満の電圧信号)が印加されない場合、内蔵された回折格子が消去またはオフに切り替えられないため、PBP回折格子1600は「オン」状態であってもよい。PBP回折格子1600は、右回り円偏光を有する入射光を第1の方向(例えば、+1次回折方向)に回折してもよく、PBP回折格子1600から出力された光は、PBP回折格子1600を通過した後に左回り円偏光になり得る。
【0098】
図16Bは、「オン」状態におけるPBP回折格子1600による左回り円偏光入射光ビームの回折例を示す。PBP回折格子1600の電極1620に電圧信号(または閾値電圧未満の電圧信号)が印加されない場合、内蔵された回折格子が消去またはオフに切り替えられないため、PBP回折格子1600は「オン」状態であってもよい。PBP回折格子1600は、左回り円偏光を有する入射光を第2の方向(例えば、-1次回折方向)に回折してもよく、PBP回折格子1600から出力された光は、PBP回折格子1600を通過した後に右回り円偏光になり得る。
【0099】
図16Cは、「オフ」状態におけるPBP回折格子1600による入射光ビームの透過例を示す。PBP回折格子1600の電極1620に閾値電圧よりも高い電圧信号が印加される場合、図14Cに関して上述したように、内蔵された回折格子が消去またはオフに切り替えられ得るため、PBP回折格子1600は「オフ」状態であってもよい。「オフ」状態において、PBP回折格子1600は、入射光ビームの偏光状態にかかわらず、入射光ビームを回折しなくてもよく、PBP回折格子1600から出力(例えば、透過)される光ビームは、入射光ビームと同じ偏光状態を有していてもよい。
【0100】
図17Aは、特定の実施形態によるビーム操作デバイス1700の動作の例を示す。図示された例では、ビーム操作デバイス1700は、積層に配置された第1の切り替え可能な偏光変換器1710、第1の偏光回折格子1720、第2の切り替え可能な偏光変換器1712、第2の偏光回折格子1722、第3の切り替え可能な偏光変換器1714、および第3の偏光回折格子1724を備えていてもよい。上述したように、切り替え可能な偏光変換器1710、1712、および1714は、入射する円偏光光ビームを、反対の円偏光状態を有する光ビームに変換してもよい(例えば、LHCPからRHCPへ、またはRHCPからLHCPへ)。例えば、切り替え可能な偏光変換器1710、1712、および1714はそれぞれ、入射光の偏光状態を反対の偏光状態に変化させるために(例えば、電圧信号を印加せずに)オンに切り替えることができ、入射光の偏光状態を維持するために(例えば、電圧信号を印加して)オフに切り替えることができる切り替え可能な半波長板を備えていてもよい。
【0101】
第1の偏光回折格子1720、第2の偏光回折格子1722、および第3の偏光回折格子1724は、上述のPVGまたはパッシブもしくはアクティブPBP回折格子など、上述したパッシブ偏光依存型回折格子またはアクティブ偏光依存型回折格子であってもよい。第1の偏光回折格子1720、第2の偏光回折格子1722、および第3の偏光回折格子1724はそれぞれ、右回り偏光回折格子であっても、または左回り偏光回折格子であってもよい。第1の偏光回折格子1720、第2の偏光回折格子1722、および第3の偏光回折格子1724は、異なる回折格子周期を有していてもよく、したがって、同じ回折次数に対して異なる回折角を有していてもよい。例えば、第1の偏光回折格子1720は、+1回折次数へと表面垂直入射光を回折角θで回折するような第1の回折格子周期を有していてもよく、第2の偏光回折格子1722は、+1回折次数へと表面垂直入射光を回折角2θで回折するような第2の回折格子周期を有していてもよく、第3の偏光回折格子1724は、+1回折次数へと表面垂直入射光を回折角4θで回折するような第3の回折格子周期を有していてもよい。
【0102】
図17Aに示す例では、第1の偏光回折格子1720、第2の偏光回折格子1722、および第3の偏光回折格子1724は、パッシブ右回り円偏光回折格子であってもよく、または「オン」状態のままで入射光を回折するアクティブ右回り円偏光回折格子であってもよい。第1の切り替え可能な偏光変換器1710は、印加される電圧信号によってオフに切り替えられてもよく、したがって、その偏光状態を変更することなく右回り円偏光光ビームを透過させてもよい。第1の偏光回折格子1720は、右回り円偏光光ビームを-1回折次数で回折し、出力光ビームを左回り円偏光光ビームに変化させてもよい。第2の切り替え可能な偏光変換器1712は、電圧信号と切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって左回り円偏光光ビームを右回り円偏光光ビームに変換してもよい。第2の偏光回折格子1722は、右回り円偏光光ビームを-1回折次数で回折し、出力光ビームを左回り円偏光光ビームに変化させてもよい。第3の切り替え可能な偏光変換器1714は、電圧信号と切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって左回り円偏光光ビームを右回り円偏光光ビームに変換してもよい。第3の偏光回折格子1724は、右回り円偏光光ビームを-1回折次数で回折し、出力光ビームを左回り円偏光光ビームに変化させてもよい。
【0103】
図17Bは、特定の実施形態によるビーム操作デバイス1700の動作の別の例を示す。図17Bに示す例では、第1の切り替え可能な偏光変換器1710は、電圧信号と切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって右回り円偏光入射光ビームを左回り円偏光光ビームに変換してもよい。第1の偏光回折格子1720は、左回り円偏光光ビームを+1回折次数で回折し、出力光ビームを右回り円偏光光ビームに変化させてもよい。第2の切り替え可能な偏光変換器1712は、印加される電圧信号によってオフに切り替えられてもよく、したがって、その偏光状態を変更することなく右回り円偏光光ビームを透過させてもよい。第2の偏光回折格子1722は、右回り円偏光光ビームを-1回折次数で回折し、出力光ビームを左回り円偏光光ビームに変化させてもよい。第3の切り替え可能な偏光変換器1714は、電圧信号と切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって左回り円偏光光ビームを右回り円偏光光ビームに変換してもよい。第3の偏光回折格子1724は、右回り円偏光光ビームを-1回折次数で回折し、出力光ビームを左回り円偏光光ビームに変化させてもよい。
【0104】
したがって、切り替え可能な偏光変換器1710、1712、および1714を選択的にオンまたはオフに切り替えて、第1の偏光回折格子1720、第2の偏光回折格子1722、および第3の偏光回折格子1724に対する入射光ビームの偏光状態を設定することによって、入射光ビームは、1組の不連続な方向に向けられてもよい。例えば、第1の偏光回折格子1720、第2の偏光回折格子1722、および第3の偏光回折格子1724が異なるそれぞれの回折格子周期を有する場合、ビーム操作デバイス1700は、入射光ビームを8つ(2)の異なる方向のうちの1つに向けることができてもよい。
【0105】
図18Aは、特定の実施形態によるビーム操作デバイス1800の動作の例を示す。図示された例では、ビーム操作デバイス1800は、積層に配置された第1の切り替え可能な偏光変換器1810、第1の偏光回折格子1820、第2の切り替え可能な偏光変換器1812、第2の偏光回折格子1822、第3の切り替え可能な偏光変換器1814、および第3の偏光回折格子1824を備えていてもよい。上述したように、切り替え可能な偏光変換器1810、1812、および1814は、入射する円偏光光ビームを、反対の円偏光状態を有する光ビームに変換してもよい(例えば、LHCPからRHCPへ、またはRHCPからLHCPへ)。例えば、切り替え可能な偏光変換器1810、1812、および1814はそれぞれ、入射光の偏光状態を反対の偏光状態に変化させるために(例えば、電圧信号を印加せずに)オンに切り替えることができ、入射光の偏光状態を維持するために(例えば、電圧信号を印加して)オフに切り替えることができる切り替え可能な半波長板を備えていてもよい。
【0106】
第1の偏光回折格子1820、第2の偏光回折格子1822、および第3の偏光回折格子1824は、上述したアクティブPBP回折格子など、アクティブ偏光依存型回折格子であってもよい。第1の偏光回折格子1820、第2の偏光回折格子1822、および第3の偏光回折格子1824はそれぞれ、右回り偏光回折格子であっても、または左回り偏光回折格子であってもよい。第1の偏光回折格子1820、第2の偏光回折格子1822、および第3の偏光回折格子1824は、異なる回折格子周期を有していてもよく、したがって、同じ回折次数に対して異なる回折角を有していてもよい。例えば、第1の偏光回折格子1820は、表面垂直入射光を回折角4θで+1回折次数へと回折するような第1の回折格子周期を有していてもよく、第2の偏光回折格子1822は、表面垂直入射光を回折角2θで+1回折次数へと回折するような第2の回折格子周期を有していてもよく、第3の偏光回折格子1824は、表面垂直入射光を回折角4θで+1回折次数へと回折するような第3の回折格子周期を有していてもよい。
【0107】
図18Aに示す例では、第1の切り替え可能な偏光変換器1810は、印加される電圧信号によってオフに切り替えられてもよく、したがって、その偏光状態を変更することなく右回り円偏光光ビームを透過させてもよい。第1の偏光回折格子1820は、電圧信号から切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって、右回り円偏光光ビームを-1回折次数で回折し、出力光ビームを左回り円偏光光ビームに変化させてもよい。第2の切り替え可能な偏光変換器1812は、電圧信号と切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって左回り円偏光光ビームを右回り円偏光光ビームに変換してもよい。第2の偏光回折格子1822は、印加される電圧信号によってオフに切り替えられてもよく、したがって、その偏光状態および伝搬方向を変更することなく右回り円偏光光ビームを(0次回折次数で)透過させてもよい。第3の切り替え可能な偏光変換器1814は、電圧信号と切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって右回り円偏光光ビームを左回り円偏光光ビームに変換してもよい。第3の偏光回折格子1824は、電圧信号から切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって、左回り円偏光光ビームを+1回折次数で回折し、出力光ビームを右回り円偏光光ビームに変化させてもよい。
【0108】
図18Bは、特定の実施形態によるビーム操作デバイス1800の動作の例を示す。図18Bに示す例では、第1の切り替え可能な偏光変換器1810は、電圧信号と切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって右回り円偏光光ビームを左回り円偏光光ビームに変換してもよい。第1の偏回折格子1820は、印加される電圧信号によってオフに切り替えられてもよく、したがって、その偏光状態および伝搬方向を変更することなく左回り円偏光光ビームを透過させてもよい。第2の切り替え可能な偏光変換器1812は、印加される電圧信号によってオフに切り替えられてもよく、したがって、その偏光状態を変更することなく左回り円偏光光ビームを透過させてもよい。第2の偏光回折格子1822は、印加される電圧信号によってオフに切り替えられてもよく、したがって、その偏光状態および伝搬方向を変更することなく左回り円偏光光ビームを透過させてもよい。第3の切り替え可能な偏光変換器1814は、印加される電圧信号によってオフに切り替えられてもよく、したがって、その偏光状態を変更することなく左回り円偏光光ビームを透過させてもよい。第3の偏光回折格子1824は、電圧信号から切り離すことによってオンに切り替えられてもよく、したがって、左回り円偏光光ビームを+1回折次数で回折し、出力光ビームを右回り円偏光光ビームに変化させてもよい。
【0109】
したがって、切り替え可能な偏光変換器1810、1812、および1814を選択的にオンまたはオフに切り替えて、第1の偏光回折格子1820、第2の偏光回折格子1822、および第3の偏光回折格子1824に対する入射光ビームの偏光状態を設定することによって、かつ/または、第1の偏光回折格子1820、第2の偏光回折格子1822、および第3の偏光回折格子1824を選択的にオンまたはオフに切り替えることによって、入射光ビームは、1組の不連続な方向のうちの任意の方向に向けられてもよい。例えば、第1の偏光回折格子1820、第2の偏光回折格子1822、および第3の偏光回折格子1824が異なるそれぞれの回折格子周期を有する場合、ビーム操作デバイス1800は、入射光ビームを27(3)の異なる方向のうちの1つに向けることができてもよい。
【0110】
図19は、特定の実施形態によるホログラフィックプリンタ1900の例の簡略化されたブロック図を含む。ホログラフィックプリンタ1900は、入力ビーム1902を2つのビームに分割することができるビームスプリッタ1904(例えば、偏光ビームスプリッタキューブまたは任意の他のビームスプリッタ)を備えていてもよい。ホログラフィックプリンタ1900はまた、光変調デバイス、フィルタリングデバイス、および縮小デバイスを2組備えていてもよい。光変調デバイス、フィルタリングデバイス、および縮小デバイスの各組を使用して、ビームスプリッタ1904からの2つのビームのうちの1つを調整して、ホログラフィック記録のための物体ビームまたは参照ビームを生成してもよい。
【0111】
図示された例では、光変調デバイス、フィルタリングデバイス、および縮小デバイスの第1の組は、ビームスプリッタ1906、SLM1908、レンズ1910、フィルタ1912、レンズ1914、フィルタ1916、反射器1918(例えば、ミラー)、レンズ1920、レンズ1922、レンズ1924、およびビーム操作デバイス1930(例えば、上記の任意の切り替え可能な回折格子スタック)を含んでいてもよい。上述したレンズのいずれかは、単一のレンズまたはレンズ群を含むレンズアセンブリを含んでいてもよい。レンズ1922およびレンズ1924は、複数のレンズを含む対物レンズを形成してもよい。いくつかの実施形態では、これらのデバイスのいくつかは任意であってもよい。例えば、図6に関して上述したように、いくつかの実施形態では、レンズ1914およびフィルタ1916は任意であってもよく、レンズ1922およびレンズ1924は任意であってもよく、ビーム操作デバイス1930は任意であってもよい。いくつかの実施形態では、レンズ1920は、反射器1918の前または後であってもよい。
【0112】
ビームスプリッタ1906は、第1のビームをSLM1908に反射させてもよい。SLM1908は、ホログラム素子に対応するホログラフィック干渉縞(例えば、CGH)を実現するために、コントローラ(コントローラ605)からデータを受信してもよい。第1のビームは、変調された第1のビームが所望の波面を有し得るようにSLM1908によって変調されてもよい。SLM1908によって反射された変調された第1のビームは、レンズ1910によってフーリエ平面上にフーリエ変換されてもよい。高回折次数および/または変調されていない0回折次数などの望ましくない光は、フーリエ平面でフィルタ1912によって空間的にフィルタリングされてもよく、1次(±1)回折次数のみが通過可能であってもよい。例えば、フィルタ1912としては、0回折次数をフィルタリングできるDCフィルタ(例えば、クロムスポット)、および高回折次数をフィルタリングできるローパスフィルタ(例えば、アパーチャ)を挙げることができる。いくつかの実施形態では、レンズ1914およびフィルタ1916は、レンズ1910およびフィルタ1912と組み合わせて、SLM1908によって変調された第1のビームをフィルタリングするために使用されてもよい。図6に関して上述したように、フィルタ1912および/またはフィルタ1916によってフィルタリングされた第1のビームは、レンズ1910およびレンズ1914もしくはレンズ1920を含むテレセントリックシステム、ならびに/またはレンズ1922およびレンズ1924を含むテレセントリックシステムなどの1つまたは複数のテレセントリックシステムによって縮小されてよく、レンズの焦点距離は第1のビームが縮小され得るように選択されてもよい。例えば、レンズ1924は、レンズ1922よりも短い焦点距離を有していてもよく、かつ/またはレンズ1920または1914は、レンズ1910よりも短い焦点距離を有していてもよい。第1のビームの縮小され、フィルタリングされ、変調された波面は、任意で、ビーム操作デバイス1930によってホログラフィック材料層1990の領域へと操作されてもよい。
【0113】
同様に、光変調デバイス、フィルタリングデバイス、および縮小デバイスの第2の組は、ビームスプリッタ1932、SLM1934、レンズ1936、フィルタ1938、レンズ1940、フィルタ1942、反射器1944(例えば、ミラーまたはプリズム)、反射器1946(例えば、ミラーまたはプリズム)、レンズ1948、レンズ1950、レンズ1952、およびビーム操作デバイス1960(例えば、上記の任意の切り替え可能な回折格子スタック)を含んでいてもよい。上述したレンズのいずれかは、単一のレンズまたはレンズ群を含むレンズアセンブリを含んでいてもよい。レンズ1950およびレンズ1952は、複数のレンズを含む対物レンズを形成してもよい。いくつかの実施形態では、これらのデバイスのいくつかは任意であってもよい。例えば、図6に関して上述したように、いくつかの実施形態では、レンズ1940およびフィルタ1942は任意であってもよく、レンズ1950およびレンズ1952は任意であってもよく、ビーム操作デバイス1960は任意であってもよい。いくつかの実施形態では、レンズ1948は、反射器1944の前、反射器1944と反射器1946との間、または反射器1946の後にあってもよい。
【0114】
ビームスプリッタ1932は、第2のビームをSLM1934に透過させてもよい。SLM1934は、ホログラム素子に対応するホログラフィック干渉縞(例えば、CGH)を実現するために、コントローラ(コントローラ605)からデータを受信してもよい。第2のビームは、変調された第2のビームが所望の波面を有してもよいようにSLM1934によって変調されてもよい。変調された第2のビームは、SLM1908およびビームスプリッタ1932によって反射されてもよく、レンズ1936によってフーリエ平面上にフーリエ変換されてもよい。高回折次数および/または変調されていない0回折次数などの望ましくない光は、フーリエ平面でフィルタ1938によって空間的にフィルタリングされてもよく、1次(±1)回折次数のみが通過可能であってもよい。例えば、フィルタ1938としては、0回折次数をフィルタリングできるDCフィルタ(例えば、クロムスポット)、および/または高回折次数をフィルタリングできるローパスフィルタ(例えば、アパーチャ)を挙げることができる。いくつかの実施形態では、レンズ1940およびフィルタ1942は、レンズ1936およびフィルタ1938と組み合わせて、SLM1934によって変調された第2のビームをフィルタリングするために使用されてもよい。図6に関して上述したように、フィルタ1912および/またはフィルタ1916によってフィルタリングされた第2のビームは、レンズ1936およびレンズ1940もしくはレンズ1948を含むテレセントリックシステム、ならびに/またはレンズ1950およびレンズ1952を含むテレセントリックシステムなどの1つまたは複数のテレセントリックシステムによって縮小されてもよく、レンズの焦点距離は第2のビームが縮小されるように選択されてもよい。例えば、レンズ1952は、レンズ1950よりも短い焦点距離を有していてもよく、かつ/またはレンズ1948または1940は、レンズ1936よりも短い焦点距離を有していてもよい。第2のビームの縮小、フィルタリング、および変調された波面は、任意で、ビーム操作デバイス1960によってホログラフィック材料層1990の領域へと操作されてもよく、第2のビームは第1のビームに干渉して光干渉縞、ひいてはホログラム素子を形成してもよい。
【0115】
次のホログラム素子を記録するために、次のホログラム素子のデータがSLM1908および/またはSLM1934に送信されてもよく、ホログラフィック材料層1990が、電動式ステージ(例えば、2D並進ステージ685)によって次の位置に移動されてもよい。ホログラム素子がすべて記録された後、ホログラフィック材料層1990は、所望のホログラムを形成するために処理、例えば硬化または漂白されてもよい。
【0116】
図20は、特定の実施形態による、ホログラフィック光学素子を印刷するための方法の例を示す簡略化されたフローチャート2000である。フローチャート2000に記載された動作は、単に例示目的のものであり、限定することを意図していない。様々な実施態様において、フローチャート2000に修正を加え、追加の動作を追加し、いくつかの動作を省略し、いくつかの動作を組み合わせ、いくつかの動作を分割し、またはいくつかの動作を並べ替えてもよい。1つまたは複数のコンピュータシステムは、非一時的な記憶媒体に記憶された命令を実行して、ホログラフィック印刷システム(例えば、ホログラフィック波面プリンタ)を制御して、本方法を実行してもよい。
【0117】
ブロック2010において、コンピュータシステムは、ホログラフィック材料層(例えば、フォトポリマー層)を支持する線形並進ステージを制御して、ホログラフィック層を所望の位置に移動させてもよい。ブロック2020において、コンピュータシステムは、干渉縞(例えば、コンピュータによって生成されたホログラム)を実現するためのデータを第1の空間光変調器に提供してもよい。第1のSLMによって実現された干渉縞は、第1のビームによって照射されたとき、第1のビームを変調して所望の波面を生成してもよい。任意で、ブロック2030において、第1のビームは、例えば、DCフィルタおよび/またはローパスフィルタによってフーリエ平面でフィルタリングされ、変調されていない0回折次数および高回折次数を遮断し、±1回折次数を通過させるようにしてもよい。任意で、ブロック2032において、第1のビームは、例えば、1つまたは複数のテレセントリックシステムを使用して縮小されてもよい。ブロック2040において、コンピュータシステムは、第1のビームを所望の方向に操作するように、上述したように第1の切り替え可能な回折格子スタックを構成してもよい。第1の切り替え可能な回折格子スタックは、第1のビームを複数の方向のうちの1つに操作するように構成可能であってもよい。
【0118】
任意で、ブロック2042において、コンピュータシステムは、干渉縞(例えば、コンピュータによって生成されたホログラム)を実現するためのデータを第2の空間光変調器に提供してもよい。第2のSLMによって実現された干渉縞は、第2のビームによって照射されたとき、第2のビームを変調して、所望の波面を生成してもよい。任意で、ブロック2044において、第2のビームは、例えば、DCフィルタおよび/またはローパスフィルタによってフーリエ平面でフィルタリングし、変調されていない0回折次数および高回折次数を遮断し、±1回折次数を通過させるようにしてもよい。任意で、ブロック2046において、第2のビームは、例えば、1つまたは複数のテレセントリックシステムを使用して縮小されてもよい。ブロック2048において、コンピュータシステムは、第2のビームを所望の方向に操作するように、上述したように第2の切り替え可能な回折格子スタックを構成してもよい。第2の切り替え可能な回折格子スタックは、第2のビームを複数の方向のうちの1つに操作するように構成可能であってもよい。
【0119】
ブロック2050において、コンピュータシステムは、露光システムを制御して、ホログラフィック材料層の領域を第1のビームおよび第2のビームに露光し、ホログラムの素子(例えば、ホーゲル)を記録してもよい。第1のビームと第2のビームとが干渉して光干渉縞を生成し、これにより、書き込みモノマーの重合および拡散が起こり、上述したように光干渉縞に対応するホログラフィック光学素子を形成してもよい。
【0120】
露光後、コンピュータシステムは、2D線形並進ステージを制御し、ホログラフィック材料層を次の位置に移動させてもよく、ブロック2020~2050における動作を再び実行して、ホログラフィック材料層の異なる領域にホログラムの別の素子を記録してもよい。ブロック2010~2050における動作を反復的に実行して、ホログラムの素子の2Dアレイを記録してもよい。ホログラムの素子がすべて記録された後、ホログラフィック材料層は、例えば、色素漂白、重合完了、記録パターンの永久固定、および屈折率変調の強化のために後処理されてもよい。
【0121】
本発明の実施形態は、人工現実システムの構成要素を製造するために使用されてもよく、または人工現実システムと共に実現されてもよい。人工現実は、ユーザに提示される前に何らかの方法で調整された現実の形態であり、例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組み合わせおよび/もしくは派生物を含んでいてもよい。人工現実コンテンツとしては、完全生成コンテンツまたはキャプチャされた(例えば、実世界の)コンテンツと組み合わされた生成コンテンツを挙げることができる。人工現実コンテンツとしては、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック、またはそれらの何らかの組み合わせを挙げることができ、それらのいずれかは、単一チャネルまたは複数チャネル(見ている人に3次元効果をもたらすステレオビデオなど)で提示されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、人工現実は、例えば、人工現実でコンテンツを作成するために使用され、かつ/またはそうでなければ人工現実で使用される(例えば、活動を行う)アプリケーション、製品、付属品、サービス、またはそれらの何らかの組み合わせとも関連付けられてもよい。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スタンドアロンHMD、モバイルデバイス、またはコンピューティングシステム、または1人もしくは複数の見ている人に人工現実コンテンツを提供可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む種々のプラットフォームで実装されてもよい。
【0122】
図21は、特定の実施形態による、本明細書に開示される技術を用いて作製された1つまたは複数のホログラフィック光学素子を使用してもよいニアアイディスプレイシステム2120を含む人工現実システム環境2100の例の簡略化されたブロック図である。図21に示す人工現実システム環境2100は、それぞれが任意のコンソール2110に接続されてもよい、ニアアイディスプレイシステム2120、任意のイメージングデバイス2150、および任意の入力/出力インタフェース2140を含んでいてもよい。図21は、1つのニアアイディスプレイシステム2120、1つのイメージングデバイス2150、および1つの入力/出力インタフェース2140を含む例示的な人工現実システム環境2100を示しているが、任意の数のこれらの構成要素が人工現実システム環境2100に含まれてもよく、または構成要素のいずれかが省略されてもよい。例えば、コンソール2110と通信している1つまたは複数の外部イメージングデバイス2150によって監視される複数のニアアイディスプレイシステム2120があってもよい。いくつかの構成では、人工現実システム環境2100は、イメージングデバイス2150、任意の入力/出力インタフェース2140、および任意のコンソール2110を含んでいなくてもよい。代替構成では、異なる、または追加の構成要素が、人工現実システム環境2100に含まれてもよい。いくつかの構成では、ニアアイディスプレイシステム2120は、手持ち式コントローラなどの1つまたは複数の入力/出力デバイス(例えば、入力/出力インタフェース2140)を追跡するために使用されてもよい、イメージングデバイス2150を含んでいてもよい。
【0123】
ニアアイディスプレイシステム2120は、コンテンツをユーザに提示するヘッドマウントディスプレイであってもよい。ニアアイディスプレイシステム2120によって提示されるコンテンツの例としては、画像、ビデオ、オーディオ、またはそれらの何らかの組み合わせのうちの1つまたは複数が挙げられる。いくつかの実施形態では、オーディオは、ニアアイディスプレイシステム2120、コンソール2110、またはその両方からオーディオ情報を受信し、オーディオ情報に基づいてオーディオデータを提示する外部デバイス(例えば、スピーカおよび/またはヘッドフォン)を介して提示されてもよい。ニアアイディスプレイシステム2120は、1つまたは複数の剛性本体を備えていてもよく、これらは、互いに固定して、または固定せずに結合されてもよい。剛性本体間の固定結合によって、結合された剛性本体を単一の剛性エンティティーとして機能させてもよい。剛性本体間の非固定結合は、剛性本体が互いに対して移動することを可能にしてもよい。様々な実施形態では、ニアアイディスプレイシステム2120は、眼鏡を含む任意の適切なフォームファクタに実装されてもよい。ニアアイディスプレイシステム2120のいくつかの実施形態は、以下でさらに説明される。さらに、種々の実施形態では、本明細書に記載される機能は、ニアアイディスプレイシステム2120の外部環境の画像と人工現実コンテンツ(例えば、コンピュータによって生成される画像)とを組み合わせるヘッドセットにおいて使用されてもよい。したがって、ニアアイディスプレイシステム2120は、ニアアイディスプレイシステム2120の外部の物理的な実世界環境の画像を生成されたコンテンツ(例えば、画像、ビデオ、音声など)で拡張して、拡張現実をユーザに提示してもよい。
【0124】
種々の実施形態では、ニアアイディスプレイシステム2120は、ディスプレイエレクトロニクス2122、ディスプレイ光学系2124、および視標追跡システム2130のうちの1つまたは複数を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、ニアアイディスプレイシステム2120は、1つまたは複数のロケータ2126、1つまたは複数の位置センサ2128、および慣性測定ユニット(IMU)2132を備えていてもよい。ニアアイディスプレイシステム2120は、種々の実施形態では、これらの要素のいずれかを省略しても、または追加の要素を備えていてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、ニアアイディスプレイシステム2120は、図21と関連して説明した種々の要素の機能を組み合わせた要素を備えていてもよい。
【0125】
ディスプレイ2122は、例えばコンソール2110から受信したデータに従って、ユーザに画像を表示するか、または表示を促してもよい。種々の実施形態では、ディスプレイ2122としては、ホログラフィックディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、無機発光ダイオード(ILED)ディスプレイ、マイクロ発光ダイオード(μLED)ディスプレイ、アクティブマトリックスOLEDディスプレイ(AMOLED)、透明OLEDディスプレイ(TOLED)、または何らかの他のディスプレイなどの1つまたは複数のディスプレイパネルを挙げることができる。例えば、ニアアイディスプレイシステム2120の一実施態様では、ディスプレイ2122は、前面TOLEDパネル、背面ディスプレイパネル、および前面ディスプレイパネルと背面ディスプレイパネルとの間の光学構成要素(例えば、減衰器、偏光子、または回折フィルムもしくは分光フィルム)を備えていてもよい。ディスプレイ2122は、赤、緑、青、白、または黄色などの主色の光を放射するための画素を含んでいてもよい。いくつかの実施態様では、ディスプレイ2122は、画像奥行きの主観的な知覚を作り出すために、2次元パネルによって作り出されるステレオ効果を通じて3次元(3D)画像を表示してもよい。例えば、ディスプレイ2122は、ユーザの左目および右目の前にそれぞれ配置された左ディスプレイおよび右ディスプレイを含んでいてもよい。左ディスプレイおよび右ディスプレイは、立体効果(すなわち、画像を見ているユーザによる画像奥行きの知覚)を作り出すために、互いに対して水平方向にシフトされた画像のコピーを提示してもよい。
【0126】
特定の実施形態では、ディスプレイ光学系2124は、画像コンテンツを(例えば、光導波路およびカプラを使用して)光学的に表示し、ディスプレイエレクトロニクス2122から受け取った画像光を拡大し、画像光に関連する光学誤差を補正し、補正した画像光をニアアイディスプレイシステム2120のユーザに提示してもよい。種々の実施形態では、ディスプレイ光学系2124は、例えば、基板、光導波路、アパーチャ、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルタ、入力/出力カプラ、またはディスプレイエレクトロニクス2122から放出される画像光に影響を与え得る任意の他の適切な光学素子などの1つまたは複数の光学素子を備えていてもよい。ディスプレイ光学系2124は、異なる光学素子の組み合わせだけでなく、組み合わせにおける光学素子の相対的な間隔および配向を維持するための機械的カップリングを含んでいてもよい。ディスプレイ光学系2124における1つまたは複数の光学素子は、反射防止コーティング、反射コーティング、フィルタリングコーティング、または異なる光学コーティングの組み合わせなどの光学コーティングを有していてもよい。
【0127】
ディスプレイ光学系2124による画像光の拡大により、ディスプレイ2122は、より大なディスプレイよりも物理的に小さく、重量が軽く、電力の消費を少なくすることを可能にしてもよい。さらに、拡大によって、表示されるコンテンツの視野が大きくなり得る。ディスプレイ光学系2124による画像光の拡大量は、ディスプレイ光学系2124から光学素子を調整、追加、または除去することによって変更されてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイ光学系2124は、ニアアイディスプレイシステム2120よりもユーザの目から遠く離れていてもよい1つまたは複数の画像平面に表示画像を投影してもよい。
【0128】
ディスプレイ光学系2124は、2次元光学誤差、3次元光学誤差、またはそれらの組み合わせなどの1つまたは複数の種類の光学誤差を補正するようにさらに設計されてもよい。2次元誤差は、2次元で発生する光学収差を含んでいてもよい。2次元誤差の例示的な種類としては、たる形ひずみ、糸巻き形ひずみ、縦色収差、および横色収差を挙げることができる。3次元誤差は、3次元で発生する光学誤差を含んでいてもよい。3次元誤差の種類の例としては、球面収差、コマ収差、像面湾曲、および非点収差を挙げることができる。
【0129】
ロケータ2126は、互いに対する、またニアアイディスプレイシステム2120の基準点に対するニアアイディスプレイシステム2120の特定の位置に配置された物体であってもよい。いくつかの実施態様では、コンソール2110は、イメージングデバイス2150によって取り込まれた画像においてロケータ2126を識別し、人工現実ヘッドセットの位置、配向、またはその両方を決定してもよい。ロケータ2126は、発光ダイオード(LED)、コーナーキューブリフレクタ、反射マーカ、ニアアイディスプレイシステム2120が動作する環境と対照を成す種類の光源、またはそれらの何らかの組み合わせであってもよい。ロケータ2126が動的機器(例えば、LEDまたは他の種類の発光デバイス)である実施形態では、ロケータ2126は、可視帯(例えば、約380nm~750nm)、赤外線(IR)帯(例えば、約750nm~21mm)、紫外線帯(例えば、約210nm~約380nm)、電磁スペクトルの別の部分、または電磁スペクトルの部分の任意の組み合わせで光を放射してもよい。
【0130】
イメージングデバイス2150は、ニアアイディスプレイシステム2120の一部であっても、またはニアアイディスプレイシステム2120の外部にあってもよい。イメージングデバイス2150は、コンソール2110から受信した較正パラメータに基づいて、低速較正データを生成してもよい。低速較正データは、イメージングデバイス2150によって検出可能なロケータ2126の観察された位置を示す1つまたは複数の画像を含んでいてもよい。イメージングデバイス2150としては、1つまたは複数のカメラ、1つもしくは複数のビデオカメラ、ロケータ2126のうちの1つもしくは複数を含む画像を取り込むことができる任意の他のデバイス、またはそれらの何らかの組み合わせを挙げることができる。さらに、イメージングデバイス2150は、(例えば、信号対雑音比を増加させるための)1つまたは複数のフィルタを備えていてもよい。イメージングデバイス2150は、イメージングデバイス2150の視野内のロケータ2126から放射または反射された光を検出するように構成されてもよい。ロケータ2126が受動素子(例えば、再帰反射器)を備えた実施形態では、イメージングデバイス2150は、ロケータ2126の一部またはすべてを照明する光源を備えていてもよく、これは、イメージングデバイス2150の光源に光を再帰反射してもよい。低速較正データは、イメージングデバイス2150からコンソール2110に通信されてもよく、イメージングデバイス2150は、コンソール2110から1つまたは複数の較正パラメータを受信して、1つまたは複数のイメージングパラメータ(例えば、焦点距離、焦点、フレームレート、センサ温度、シャッタスピード、アパーチャなど)を調整してもよい。
【0131】
位置センサ2128は、ニアアイディスプレイシステム2120の動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成してもよい。位置センサ2128の例としては、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、他の動き検出センサもしくは誤差補正センサ、またはそれらの何らかの組み合わせを挙げることができる。例えば、いくつかの実施形態では、位置センサ2128は、並進運動(例えば、前後、上下、または左右)を測定するための複数の加速度計、および回転運動(例えば、ピッチ、ヨー、またはロール)を測定するための複数のジャイロスコープを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、種々の位置センサは、互いに直交して配向されてもよい。
【0132】
IMU2132は、位置センサ2128のうちの1つまたは複数から受信した測定信号に基づいて高速較正データを生成する電子デバイスであってもよい。位置センサ2128は、IMU2132の外部、IMU2132の内部、またはそれらの何らかの組み合わせに配置されてもよい。1つまたは複数の位置センサ2128からの1つまたは複数の測定信号に基づいて、IMU2132は、ニアアイディスプレイシステム2120の初期位置に対するニアアイディスプレイシステム2120の推定位置を示す高速較正データを生成してもよい。例えば、IMU2132は、加速度計から受信した測定信号を経時的に積分して速度ベクトルを推定し、速度ベクトルを経時的に積分してニアアイディスプレイシステム2120における基準点の推定位置を決定してもよい。あるいは、IMU2132は、サンプリングされた測定信号をコンソール2110に提供してもよく、コンソール2110は、高速較正データを決定してもよい。基準点は、一般に、空間内の点として定義されてもよいが、種々の実施形態では、基準点は、ニアアイディスプレイシステム2120内の点(例えば、IMU2132の中心)としても定義されてもよい。
【0133】
視標追跡システム2130は、1つまたは複数の視標追跡システムを備えていてもよい。視標追跡とは、ニアアイディスプレイシステム2120に対する、目の向きおよび位置を含む目の位置を決定することを意味することができる。視標追跡システムは、1つまたは複数の目をイメージングするイメージングシステムを備えていてもよく、一般に、目によって反射された光がイメージングシステムによって捕捉され得るように目に向けられる光を生成し得る発光器を備えていてもよい。例えば、視標追跡システム2130は、可視スペクトルまたは赤外スペクトルの光を放出する非コヒーレントまたはコヒーレントな光源(例えば、レーザダイオード)、およびユーザの目によって反射された光を捕捉するカメラを備えていてもよい。別の例として、視標追跡システム2130は、小型レーダユニットによって放出された反射電波を捕捉してもよい。視標追跡システム2130は、目に傷害を与えたり、または物理的不快感を引き起こしたりしない周波数および強度で光を放出する低出力発光器を使用してもよい。視標追跡システム2130は、視標追跡システム2130によって消費される全体的な電力を低減しつつ(例えば、視標追跡システム2130に含まれる発光器およびイメージングシステムによって消費される電力を低減しつつ)、視標追跡システム2130によって捕捉される目の画像におけるコントラストを増加させるように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施態様において、視標追跡システム2130は、2100ミリワット未満の電力を消費してもよい。
【0134】
視標追跡システム2130は、ユーザの目の向きを推定するように構成されてもよい。目の向きは、ニアアイディスプレイシステム2120内のユーザの視線の向きに対応してもよい。ユーザの目の向きは、中心窩(目の網膜の光受容体が最も集中している領域)と目の瞳孔の中心との間の軸である中心窩軸の方向として定義することができる。一般に、ユーザの目をある点に固定すると、ユーザの目の中心窩軸はその点と交差する。目の瞳孔軸は、瞳孔の中心を通り、角膜表面に垂直な軸と定義することができる。一般に、瞳孔軸と中心窩軸とが瞳孔の中心で交差していても、瞳孔軸が中心窩軸と直接一致していないことがある。例えば、中心窩軸の向きは、瞳孔軸から水平方向に約-1°~8°、垂直方向に約±4°ずれていてもよい(これは、カッパ角と呼ぶことができるが、人によって異なり得る)。中心窩軸は、目の後部に位置する中心窩に従って定義されるため、中心窩軸は、いくつかの視標追跡実施形態では直接測定することが困難または不可能であることがある。したがって、いくつかの実施形態では、瞳孔軸の向きが検出され、検出された瞳孔軸に基づいて、中心窩軸が推定されてもよい。
【0135】
入力/出力インタフェース2140は、ユーザがコンソール2110にアクション要求を送信することを可能にするデバイスであってもよい。アクション要求は、特定のアクションを実行するための要求であってもよい。例えば、アクション要求は、アプリケーションの開始もしくは終了、またはアプリケーション内で特定のアクションの実行であってもよい。入力/出力インタフェース2140は、1つまたは複数の入力デバイスを備えていてもよい。例示的な入力デバイスとしては、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、グローブ、ボタン、タッチスクリーン、またはアクション要求を受信し、受信したアクション要求をコンソール2110に伝達するための任意の他の適切なデバイスを挙げることができる。入力/出力インタフェース2140によって受信されたアクション要求は、コンソール2110に伝達されてもよく、コンソール2110は、要求されたアクションに対応するアクションを実行してもよい。いくつかの実施形態では、入力/出力インタフェース2140は、コンソール2110から受信した命令に従って、ユーザに触覚フィードバックを提供してもよい。例えば、入力/出力インタフェース2140は、アクション要求を受信したとき、またはコンソール2110が要求されたアクションを実行し、入力/出力インタフェース2140に命令を伝達したときに、触覚フィードバックを提供してもよい。いくつかの実施形態では、イメージングデバイス2150を使用し、コントローラ(例えば、IR光源を備えていてもよい)またはユーザの手の場所または位置を追跡するなど、入力/出力インタフェース2140を追跡し、ユーザの動きを決定してもよい。いくつかの実施形態では、ニアアイディスプレイ2120は、コントローラまたはユーザの手の場所または位置を追跡するなど、入力/出力インタフェース2140を追跡して、ユーザの動きを決定するための1つまたは複数のイメージングデバイス(例えば、イメージングデバイス2150)を備えていてもよい。
【0136】
コンソール2110は、イメージングデバイス2150、ニアアイディスプレイシステム2120、および入力/出力インタフェース2140のうちの1つまたは複数から受信した情報に従って、ユーザに提示するためにニアアイディスプレイシステム2120にコンテンツを提供してもよい。図21に示す例では、コンソール2110は、アプリケーションストア2112、ヘッドセット追跡モジュール2114、人工現実エンジン2116、および視標追跡モジュール2118を備えていてもよい。コンソール2110のいくつかの実施形態は、図21と関連して説明したモジュールとは異なるまたは追加のモジュールを備えていてもよい。以下でさらに説明される機能は、ここで説明されるのとは異なるようにコンソール2110の構成要素間に分散されてもよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、コンソール2110は、プロセッサ、およびプロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を備えていてもよい。プロセッサは、命令を並行して実行する複数の処理ユニットを備えていてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、ハードディスクドライブ、リムーバブルメモリ、またはソリッドステートドライブ(例えば、フラッシュメモリまたは動的ランダムアクセスメモリ(DRAM))等の任意のメモリであってもよい。種々の実施形態では、図21と関連して説明したコンソール2110のモジュールは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに以下にさらに説明する機能を実行させる非一時的なコンピュータ可読記憶媒体内の命令として符号化されてもよい。
【0138】
アプリケーションストア2112は、コンソール2110による実行のための1つまたは複数のアプリケーションを記憶していてもよい。アプリケーションは、プロセッサによって実行されると、ユーザに提示するためのコンテンツを生成する命令群を含んでいてもよい。アプリケーションによって生成されたコンテンツは、ユーザの目の動きを介してユーザから受信した入力、または入力/出力インタフェース2140から受信した入力に応答してもよい。アプリケーションの例としては、ゲーミングアプリケーション、会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、または他の適切なアプリケーションを挙げることができる。
【0139】
ヘッドセット追跡モジュール2114は、イメージングデバイス2150からの低速較正情報を用いて、ニアアイディスプレイシステム2120の動きを追跡してもよい。例えば、ヘッドセット追跡モジュール2114は、低速較正情報から観察されたロケータおよびニアアイディスプレイシステム2120のモデルを使用して、ニアアイディスプレイシステム2120の基準点の位置を決定してもよい。ヘッドセット追跡モジュール2114はさらに、高速較正情報からの位置情報を用いてニアアイディスプレイシステム2120の基準点の位置を決定してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、ヘッドセット追跡モジュール2114は、高速較正情報、低速較正情報、またはそれらの何らかの組み合わせの一部を用いて、ニアアイディスプレイシステム2120の将来の位置を予測してもよい。ヘッドセット追跡モジュール2114は、ニアアイディスプレイシステム2120の推定または予測された将来の位置を人工現実エンジン2116に提供してもよい。
【0140】
ヘッドセット追跡モジュール2114は、1つまたは複数の較正パラメータを用いて人工現実システム環境2100を較正してもよく、1つまたは複数の較正パラメータを調整してニアアイディスプレイシステム2120の位置を決定する際の誤差を低減させてもよい。例えば、ヘッドセット追跡モジュール2114は、イメージングデバイス2150の焦点を調整して、ニアアイディスプレイシステム2120上の観察されたロケータに対してより正確な位置を得てもよい。さらに、ヘッドセット追跡モジュール2114によって実行される較正は、IMU2132から受信した情報も考慮してもよい。さらに、ニアアイディスプレイシステム2120の追跡が失われた(例えば、イメージングデバイス2150が、少なくとも閾値数のロケータ2126の視線を失った)場合、ヘッドセット追跡モジュール2114は、較正パラメータの一部またはすべてを再較正してもよい。
【0141】
人工現実エンジン2116は、人工現実システム環境2100内でアプリケーションを実行し、ヘッドセット追跡モジュール2114からニアアイディスプレイシステム2120の位置情報、ニアアイディスプレイシステム2120の加速度情報、ニアアイディスプレイシステム2120の速度情報、ニアアイディスプレイシステム2120の予測される将来の位置、またはそれらの何らかの組み合わせを受信してもよい。人工現実エンジン2116は、視標追跡モジュール2118から推定された目の位置および向きの情報をさらに受信してもよい。受信した情報に基づいて、人工現実エンジン2116は、ユーザに提示するためにニアアイディスプレイシステム2120に提供するコンテンツを決定してもよい。例えば、受信した情報が、ユーザが左を見たことを示す場合、人工現実エンジン2116は、仮想環境におけるユーザの目の動きを反映するニアアイディスプレイシステム2120のためのコンテンツを生成してもよい。さらに、人工現実エンジン2116は、入力/出力インタフェース2140から受信したアクション要求に応じて、コンソール2110で実行中のアプリケーション内でアクションを実行し、アクションが実行されたことを示すフィードバックをユーザに提供してもよい。フィードバックは、ニアアイディスプレイシステム2120を介した視覚フィードバックもしくは聴覚フィードバック、または入力/出力インタフェース2140を介した触覚フィードバックであってもよい。
【0142】
視標追跡モジュール2118は、視標追跡システム2130から視標追跡データを受信し、視標追跡データに基づいてユーザの目の位置を決定してもよい。目の位置は、ニアアイディスプレイシステム2120またはその任意の要素に対する目の向き、位置、またはその両方を含んでいてもよい。目の回転軸は、その眼窩内の眼の位置の関数として変化するため、その眼窩内での目の位置を決定することは、視標追跡モジュール2118によって目の向きをより正確に決定することを可能にしてもよい。
【0143】
いくつかの実施形態では、視標追跡モジュール2118は、視標追跡システム2130によって取り込まれた画像から基準の目の位置を決定するために、視標追跡システム2130によって取り込まれた画像と目の位置との間のマッピングを記憶してもよい。あるいは、または加えて、視標追跡モジュール2118は、基準の目の位置を決定する画像を、更新された目の位置を決定する画像と比較することによって、基準の目の位置に対する更新された目の位置を決定してもよい。視標追跡モジュール2118は、異なるイメージングデバイスまたは他のセンサからの測定値を用いて目の位置を決定してもよい。例えば、視標追跡モジュール2118は、低速視標追跡システムからの測定値を使用して基準の目の位置を決定し、次の基準の目の位置が低速視標追跡システムからの測定値に基づいて決定されるまで、高速視標追跡システムから基準の目の位置に対する更新位置を決定してもよい。
【0144】
視標追跡モジュール2118は、視標較正パラメータを決定して、視標追跡の精度および正確さを向上させてもよい。視標較正パラメータは、ユーザがニアアイディスプレイシステム2120を装着または調整する度に変化し得るパラメータを含んでいてもよい。例示的な視標較正パラメータは、視標追跡システム2130の構成要素と、目の中心、瞳孔、角膜境界、または眼球表面上の点などの目の1つまたは複数の部分との間の推定距離を含んでいてもよい。他の例示的な視標較正パラメータは、特定のユーザに固有のものであってもよく、推定平均眼球半径、平均角膜半径、平均強膜半径、眼球表面上の特徴のマップ、および推定眼球表面輪郭を含んでいてもよい。ニアアイディスプレイシステム2120の外部からの光が(いくつかの拡張現実アプリケーションにおけるように)目に到達し得る実施形態では、較正パラメータは、ニアアイディスプレイシステム2120の外部からの光の変動による強度およびカラーバランスのための補正係数を含んでいてもよい。視標追跡モジュール2118は、視標追跡システム2130によって捕捉された測定値が、視標追跡モジュール2118に正確な目の位置(ここでは、「有効測定値」とも称される)を決定させることが可能かどうかを判断するために、視標較正パラメータを使用してもよい。視標追跡モジュール2118が正確な目の位置を決定できないことがある無効測定値は、ユーザのまばたき、ヘッドセットの調整、もしくはヘッドセットの取り外しによって生じることがあり、かつ/またはニアアイディスプレイシステム2120が外部光による照明の閾値よりも大きく変化することによって生じることがある。いくつかの実施形態では、視標追跡モジュール2118の機能の少なくとも一部は、視標追跡システム2130によって実行されてもよい。
【0145】
図22は、本明細書に開示された実施形態のいくつかを実施するためのコンピュータシステム2200の例を示す。コンピュータシステム2200は、上述したコントローラまたはコンピュータシステムのいずれかを実装するために使用することができる。例えば、コンピュータシステム2200は、コントローラ605、線形並進ステージ、または本明細書に記載されるいくつかの空間光変調器を実装するために使用されてもよい。コンピュータシステム2200は、内部バスサブシステム2204を介して複数の周辺デバイス(例えば、入力デバイス)と通信できる1つまたは複数のプロセッサ2202を備えることができる。これらの周辺デバイスは、ストレージサブシステム2206(メモリサブシステム2208およびファイルストレージサブシステム2210を含む)、ユーザインタフェース入力デバイス2214、ユーザインタフェース出力デバイス2216、およびネットワークインタフェースサブシステム2212を含むことができる。
【0146】
いくつかの例では、内部バスサブシステム2204は、コンピュータシステム2200の種々の構成要素およびサブシステムを意図されたように互いに通信させるための機構を提供することができる。内部バスサブシステム2204は、単一のバスとして概略的に示されているが、バスサブシステムの代替的実施形態は、複数のバスを利用することができる。さらに、ネットワークインタフェースサブシステム2212は、コンピュータシステム2200と他のコンピュータシステムまたはネットワークとの間でデータを通信するためのインタフェースとして機能することができる。ネットワークインタフェースサブシステム2212の実施形態としては、有線インタフェース(例えば、イーサネット、RS-232、RS-485など)または無線インタフェース(例えば、ZigBee、Wi-Fi、セルラーなど)を挙げることができる。
【0147】
場合によっては、ユーザインタフェース入力デバイス2214としては、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス、トラックボール、タッチパッドなど)、バーコードスキャナ、ディスプレイに組み込まれたタッチスクリーン、オーディオ入力デバイス(例えば、音声認識システム、マイクなど)、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)および他の種類の入力デバイスを挙げることができる。一般に、「入力デバイス」という用語の使用は、コンピュータシステム2200に情報を入力するためのすべての可能な種類のデバイスおよび機構を含むことが意図されている。さらに、ユーザインタフェース出力デバイス2216としては、ディスプレイサブシステム、プリンタ、またはオーディオ出力デバイスなどの非視覚ディスプレイを挙げることができる。ディスプレイサブシステムは、任意の既知の種類のディスプレイデバイスであることができる。一般に、「出力デバイス」という用語の使用は、コンピュータシステム2200から情報を出力するためのすべての可能な種類のデバイスおよび機構を含むことが意図されている。
【0148】
ストレージサブシステム2206は、メモリサブシステム2208およびファイルストレージサブシステム2210を含むことができる。サブシステム2208および2210は、本明細書に開示される機能を提供するプログラムコードおよび/またはデータを記憶することができる非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を表す。いくつかの実施形態では、メモリサブシステム2208は、プログラム実行中の命令およびデータの記憶のためのメインランダムアクセスメモリ(RAM)2218と、固定命令が記憶され得る読み取り専用メモリ(ROM)2220とを含む多数のメモリを含むことができる。
ファイルストレージサブシステム2210は、プログラムおよびデータファイルのための永続的(すなわち、不揮発性)ストレージを提供し、磁気またはソリッドステートハードディスクドライブ、関連する取り外し可能媒体(例えば、CD-ROM、DVD、ブルーレイなど)を備えた光学ドライブ、取り外し可能なフラッシュメモリに基づくドライブもしくはカード、および/または当該技術分野で公知の他の種類の記憶媒体を含むことができる。
【0149】
上述の方法、システム、およびデバイスは例示である。各種実施形態は、適宜さまざまな手順または構成要素を省略、置き換え、または追加してもよい。例えば、代替的構成において、本方法は記述したのとは異なる順序で実施されてもよく、かつ/または各種段階は追加、省略、および/もしくは組み合わされてもよい。さらに、特定の実施形態と関連して記述された特徴はさまざまなその他の実施形態で組み合わせてもよい。実施形態の異なる態様および要素を同様に組み合わせてもよい。また、技術は発展するものであるため、要素の多くは例示であり、本開示の範囲をその特定の例に制限するものではない。
【0150】
具体的詳細は、実施形態の完全な理解を提供するために説明に与えられる。しかし、実施形態は、これらの具体的詳細なしに実践されてもよい。例えば、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、周知の回路、プロセス、システム、構造、および技術を不必要な詳細なしに示した。この説明は単に例示的実施形態を提供するものであり、本発明の範囲、適用性、または構成を制限することを意図していない。むしろ、実施形態の上記説明は、当業者に、種々の実施態様を実施することを可能にする説明を提供する。本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、要素の機能および配置に関してさまざまな変更を行ってもよい。
【0151】
さらに、いくつかの実施形態は、フロー図またはブロック図として描写したプロセスとして説明された。各々は動作を順次プロセスとして記述することができるが、動作の多くは並行してまたは同時に実行されてもよい。加えて、動作の順序を変更してもよい。プロセスは、図に含まれない追加のステップを有していてもよい。さらに、本方法の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせに実装されてもよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードで実現される場合、関連するタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体等のコンピュータ可読媒体に記憶されていてもよい。プロセッサは関連するタスクを実行してもよい。
【0152】
当業者であれば、特定の要件に従って実質的な変形を行ってもよいことは明らかであろう。例えば、カスタマイズされた、または特定目的のハードウェアを使用することもでき、かつ/または特定の要素は、ハードウェア、ソフトウェア(アプレットなどの高移植性ソフトウェアを含む)、またはその両方に実装することができる。さらに、ネットワーク入力/出力デバイスのような他のコンピューティングデバイスとの接続が用いられ得る。
【0153】
添付の図面を参照すると、メモリを含むことができる構成要素は、非一時的な機械可読媒体を含むことができる。「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械を特定の様式で動作させるデータの提供に関与する任意の記憶媒体を指すことができる。本明細書で提供される実施形態では、種々の機械可読媒体は、実行のために処理ユニットおよび/または他のデバイスへの命令/コードの提供に関与し得る。加えて、または代替的に、機械可読媒体は、そのような命令/コードを記憶および/または保持するために使用されてもよい。多くの実施態様では、コンピュータ可読媒体は、物理記憶媒体および/または有形記憶媒体である。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない、多くの形態をとってもよい。コンピュータ可読媒体の一般的な形態としては、例えば、コンパクトディスク(CD)もしくはデジタル多用途ディスク(DVD)などの磁気および/もしくは光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する他の任意の物理媒体、RAM、プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM)、消去およびプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、後述する搬送波、またはコンピュータが命令および/もしくはコードを読み取ることができる任意の他の媒体を挙げることができる。コンピュータプログラム製品は、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、アプリケーション(App)、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラス、または命令、データ構造、もしくはプログラム文の任意の組み合わせを表すことができるコードおよび/または機械実行可能命令を含んでいてもよい。
【0154】
当業者であれば、本明細書に記載されたメッセージを通信するために使用される情報および信号は、種々の異なる技術および技法のいずれかを使用して表すことができることを理解するであろう。例えば、上記の説明全体で参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは粒子、光場もしくは粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0155】
本明細書で使用される「および」および「または」という用語は、そのような用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存することも予想される種々の意味を含んでいてもよい。典型的には、A、B、またはCのようなリストを関連付けるために使用される場合、「または」は、ここでは包括的な意味で使用されるA、B、およびC、ならびにここでは排他的な意味で使用されるA、B、またはCを意味することが意図されている。さらに、本明細書で使用される「1つまたは複数」という用語は、単数形の任意の特徴、構造、または特性を記述するために使用されてもよく、または特徴、構造、または特性の何らかの組み合わせを記述するために使用されてもよい。しかしながら、これは単に例示的な例であり、特許請求される主題はこの例に限定されないことを留意すべきである。さらに、A、B、またはCなどのリストを関連付けるために使用される場合、「少なくとも1つの」という用語は、A、AB、AC、BC、AA、ABC、AAB、AABBCCCなどのA、B、および/またはCの任意の組み合わせを意味すると解釈することができる。
【0156】
さらに、特定の実施形態は、ハードウェアとソフトウェアとの特定の組み合わせを使用して説明したが、ハードウェアとソフトウェアとの他の組み合わせも可能であることを認識すべきである。特定の実施形態は、ハードウェアのみで、またはソフトウェアのみで、またはそれらの組み合わせを用いて実施されてもよい。一例では、ソフトウェアは、本開示に記載されるステップ、動作、またはプロセスのいずれかまたはすべてを実行するための1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムコードまたは命令を含むコンピュータプログラム製品を用いて実装されてもよく、コンピュータプログラムは非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。本明細書に記載された種々の処理は、任意の組み合わせで、同じプロセッサまたは異なるプロセッサ上で実施することができる。
【0157】
デバイス、システム、構成要素、またはモジュールが、ある動作または機能を実行するように構成されていると説明されている場合、そのような構成は、例えば、動作を実行するように電子回路を設計することによって、コンピュータ命令もしくはコードの実行などによる動作を実行するように(マイクロプロセッサなどの)プログラム可能な電子回路を、または非一時的な記憶媒体に記憶されたコードもしくは命令を実行するようにプログラムされたプロセッサもしくはコアをプログラムすることによって、あるいはそれらの任意の組み合わせによって達成できる。プロセスは、プロセス間通信のための従来の技術を含むがこれらに限定されない種々の技術を使用して通信することができ、異なる対のプロセスは異なる技術を使用してもよく、または同じ対のプロセスは異なる時間に異なる技術を使用してもよい。
【0158】
したがって、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味においてみなされるものである。しかしながら、追加、減算、削除、ならびに他の修正および変更が、特許請求の範囲に規定される広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、それらになされてもよいことは明らかであろう。したがって、特定の実施形態を説明したが、これらは限定を意図していない。種々の修正および均等物は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】