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特表2023-528114複雑ネットワークによる自動運転車の複雑環境モデル、認知システム及び認知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】複雑ネットワークによる自動運転車の複雑環境モデル、認知システム及び認知方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/00 20060101AFI20230627BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20230627BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B60W50/00
B60W40/02
G08G1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553145
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 CN2022070671
(87)【国際公開番号】W WO2022237212
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110504041.4
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.MATLAB
3.SIMULINK
(71)【出願人】
【識別番号】517405840
【氏名又は名称】江▲蘇▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 英▲鳳▼
(72)【発明者】
【氏名】滕 成龍
(72)【発明者】
【氏名】熊 暁夏
(72)【発明者】
【氏名】王 海
(72)【発明者】
【氏名】孫 暁東
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲チン▼超
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241DC01Z
3D241DC18Z
3D241DC20Z
3D241DC21Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC41Z
3D241DC51Z
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF10
5H181FF27
5H181LL09
(57)【要約】
本発明では、複雑ネットワークによる自動運転車の複雑環境モデル、認知システム及び認知方法が提供され、自動運転車の外部環境を感知した上で、まず、個体運転行動認知の複雑さ課題について、運転操作のアグレッシブ度合及びモードシフトプリファレンスを表すための運転特徴パラメータに従って、運転スタイル認識を行い、次に、環境内運動本体のグループ行動特徴に従って、運転スタイル認識の上で、複雑ネットワークにより、運動本体をノードとして道路を制約として、時変の複雑動的ネットワークを自動運転車の複雑環境モデルとして確立し、最後に、複雑環境モデルにおけるノードに対してパラメトリック表現を行い、複雑環境に対するノード差別化認知を実現し、凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて複雑環境モデルにおけるノードを層分け、複雑環境に対する階層化認知を実現し、複雑環境モデルの無秩序度合測定方法を確立し、複雑環境に対するグローバルリスク姿勢認知を実現する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複雑ネットワークによる自動運転車の複雑環境モデルであって、運動本体をノードとして、時変の複雑動的ネットワークGを複雑環境モデル
G=(V,B,X,P,Θ) (3)として構築し、
ただし、Gは時変の複雑動的ネットワークであり、Vは時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードコレクションであり、Bは時変の複雑動的ネットワークGにおけるエッジのコレクションであり、ノード間の繋がり線を表し、Xは時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードの状態ベクトルであり、Pは時変の複雑動的ネットワークGにおけるエッジの強度関数であり、ノード間のカップリング関係を表し、Θは時変の複雑動的ネットワークGのエリア関数であり、時変の複雑動的ネットワークGに対する動的制約を表し、
時変の複雑動的ネットワークGを、N個のノードを有する連続時間動的システムとして等価化し、第iノードの状態変数をxとすると、第iノードの運動方程式は、
【数12】

ただし、f(x)は、第iノードの状態変数の可変関数であり、ξ>0は共接続関係強度係数であり、pij(t)は第iノードと第jノードの間のカップリング係数であり、H(x)はノード間のインライン関数であり、運転スタイルとノード距離の関数であり、
【数13】

とすると、時変の複雑動的ネットワークGのノードシステム運動方程式は、
【数14】

ただし、Xは時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードの状態ベクトルであり、F(X)は時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードの動的方程式ベクトルであり、P(t)は時変の複雑動的ネットワークGにおけるノード間のカップリングマトリックスであり、H(X)は時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードのインラインベクトルであり、
前記複雑環境モデルでは、ノードの運動及び環境の変化に伴い、ノードの位置及び状態が動的変化にあり、ノードが時変の複雑動的ネットワークに対して流入して流出することがあり、ノード間のカップリング関係及び時変の複雑動的ネットワークのエリア関数もそれに伴って変化し、複雑ネットワークシステムは時間に伴って絶えず発展している、
ことを特徴とする複雑ネットワークによる自動運転車の複雑環境モデル。
【請求項2】
複雑ネットワークによる自動運転車の認知システムであって、運転スタイル認識モジュール、複雑環境モデルモジュール、ノード差別化認知モジュール、階層化認知モジュール、グローバルリスク姿勢認知モジュールを含み、
前記運転スタイル認識モジュールは、運転特徴パラメータを抽出した上で、運転スタイル特徴マトリックスCを構築し、運転スタイル特徴マトリックスCをランダムフォレスト分類子Rに入力し、ランダムフォレスト分類子Rにより運転スタイルカテゴリKdriveを出力し、
前記複雑環境モデルモジュールは、請求項1に記載の複雑環境モデルであり、
前記ノード差別化認知モジュールは、複雑環境モデルにおけるノードの量g、度k、重みs及び重要度I(i)の合計四つのパラメータを用いてネットワークノードの違いを説明するとともに、正規分布図を用いて全てのノードに対して差別化分析を行い、
前記階層化認知モジュールは、凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて複雑環境モデルにおけるノードに対して階層分けを行い、自動運転車複雑環境の階層化、段階性に対する認知を実現し、
前記グローバルリスク姿勢認知モジュールは、システムエントロピー及びエントロピー変更を用いて、複雑環境モデルの無秩序度合を測定し、全体リスク及び変化姿勢を説明し、グローバル共性に対する状態認知を実現する、
ことを特徴とする複雑ネットワークによる自動運転車の認知システム。
【請求項3】
前記運転特徴パラメータは、縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータを含み、前記縦方向運転特徴パラメータとは、限られた時間枠での縦方向加速度a、運転間隔dtimeを指し、前記横方向運転特徴パラメータとは、限られた時間枠での横方向加速度の二乗平均平方根RMS(a_)、ヨーレートの標準偏差SD(r)を指し、前記モードシフト特徴パラメータとは、限られた時間枠での左車線変更状態遷移確率P(l)及び右車線変更状態遷移確率P(r)を指す、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動運転車の認知システム。
【請求項4】
前記運転スタイル特徴マトリックスCとは、縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータから構成された三次元の六自由度の特徴マトリックス
【数15】

ことを特徴とする請求項2に記載の自動運転車の認知システム。
【請求項5】
前記ランダムフォレスト分類子Rは、下記のステップで生成され、即ち運転スタイルデータからなるオリジナルトレーニングセットに対して、置換を伴うランダムサンプリングを行って、m個のトレーニングセットを生成し、各トレーニングセットに対してn個の特徴を選択し、それぞれm個の決定木分類モデルをトレーニングし、全てのトレーニング例が同一カテゴリに属するまで、各決定木分類モデルに対して情報ゲイン率に基づいて最高のサンプル特徴を選択して分裂し、最後に生成された全ての決定木分類モデルをランダムフォレストとして構成し、投票法により運転スタイルカテゴリKdriveを出力し、
前記運転スタイルカテゴリKdriveは、急進型、平和型、保守型の三つのカテゴリを含み、
drive=R(C) (2)である、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動運転車の認知システム。
【請求項6】
前記ノードの量gは、第iノードの構造サイズで表され、
前記ノードの度kは、第iノードに直接繋がるノードの数で表され、
前記ノードの重みsは、第iノードの全ての隣接するエッジの重みの合計を表し、
前記ノードの重要度I(i)は、
【数16】

(6)式で、pij(t)はノード間のカップリング係数であり、K(i)は第iノードの次数中心性要因
【数17】

はモジュールの平均単位重みを表す、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動運転車の認知システム。
【請求項7】
前記階層化認知モジュールで、まず自動運転車を中心ノードとして、中心ノードとのカップリング関係を有するノードと中心ノードとが内層モジュールを構成し、次に内層モジュールの非中心ノードに対して重要度を並べ替えて、順にカップリング係数が最も大きい点を見つけて、中間層モジュールを構成し、その後、中間層モジュールのノードに対して重要度を並べ替えて、順にカップリング係数が最も大きい点を見つけて、外層モジュールを構成し、最後に他のノードから端層モジュールが構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動運転車の認知システム。
【請求項8】
前記グローバルリスク姿勢認知モジュールで、前記システムエントロピーは、
S=V/Θ+D(P)+D(U) (8)として設計され、
ただし、Vは複雑環境モデルのノード数であり、Θは複雑環境モデルのネットワークエリアであり、D(P)はカップリング係数の分散を表し、D(U)は複雑環境モデルにおけるノード速度の分散であり、
前記エントロピー変更は、
【数18】

ただし、dは、対応変数を算出するディファレンシャルを表し、その変化傾向を表す、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動運転車の認知システム。
【請求項9】
複雑ネットワークによる自動運転車認知システムの認知方法であって、
縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータを抽出し、運転スタイル特徴マトリックスCを構築し、ランダムフォレスト分類子Rを生成し、運転スタイル特徴マトリックスCをランダムフォレスト分類子Rに入力し、ランダムフォレスト分類子Rの出力である運転スタイルカテゴリKdriveは、運転スタイルを急進型、平和型、保守型の三つのカテゴリとして認識するステップ1)と、
複雑環境全体的関連付け特徴を説明するために、時変の複雑動的ネットワークGを複雑環境モデルとして構築し、さらに複雑環境モデルにおけるノード運動方程式を確立してから、時変の複雑動的ネットワークGにおける全てのノードの特徴を組み合わせて動的方程式ベクトルF(X)、時変の複雑動的ネットワークGにおけるノード間のカップリングマトリックスP(t)及びノードのインラインベクトルH(X)を形成し、複雑環境の動的特性を説明するために、時変の複雑動的ネットワークGのノードシステム運動方程式を確立するステップ2)と、
複雑環境モデルにおけるノードの量g、度k、重みs及び重要度I(i)の四つのパラメータを構築するとともに、正規分布図を用いて全てのノードに対して差別化分析を行い、ノード差別化認知を実現するステップ3)と、
凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて複雑環境モデルにおけるノードに対して階層分けを行い、自動運転車複雑環境の階層化、階段性に対する認知を実現するステップ4)と、
エントロピー理論の基本思想により、システムエントロピー及びエントロピー変更を用いて、複雑環境モデルの無秩序度合を測定し、全体リスク及び変化姿勢を説明し、グローバル共性に対する状態認知を実現するステップ5)と、を含む、
ことを特徴とする複雑ネットワークによる自動運転車認知システムの認知方法。
【請求項10】
前記複雑ネットワークによる自動運転車認知システムは、請求項2~8のいずれか一項に記載の認知システムである、
ことを特徴とする請求項9に記載の認知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車応用技術分野に関し、特に複雑ネットワークによる自動運転車の複雑環境モデル、認知システム及び認知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複雑ネットワークは、高い複雑さを呈するネットワークであり、複雑システムの抽象であり、一般的に自己組織化、自己相似、アトラクタ、スモールワールド、スケールフリーのうちの一部又は全ての性質を有する。複雑ネットワークの特性は複雑さであり、具体的に下記のように表され、即ちネットワークの規模が大きく、接続構造が複雑であり、ノードの複雑さ(例えば、ノード動力学的複雑さ及びノードの多様性)、ネットワークの時空間進化プロセスが複雑であり、ネットワーク接続のスパース性、様々な複雑性の融合などである。複雑ネットワークの複雑さ研究方法、例えば、ノードの複雑さ、接続構造の複雑さ及びネットワークの時空間進化プロセスの複雑さなどの研究方法は、複雑システムのモデリング及び研究の重要なツールとなっている。
【0003】
自動運転車は、環境感知、計画決定、制御実行などの機能を一体に統合する統合システムである。レーザーレーダー、ミリ波レーダー、カメラなどのセンサ技術の急速な発展に伴い、環境感知方法は深く研究され、大きな進歩を遂げた。現在、環境の個体タイプ、位置、運動などの底層感知情報と、個体行動スタイル、階層化ローカル環境、グローバル環境認知との間の関連を確立し、環境感知から個体認知へ、ローカル認知から交通総合的姿勢のグローバル認知への発展を支持し、自動運転車の自己決定及び運動計画の安全性を保障する重要な前提となっている。しかしながら、自動運転車の直面する環境は複雑システムであり、この複雑システムでは、個体の運動行動は当該個体自身に依存するだけでなく、周囲の他の個体運動行動及び運転環境からの影響も受け、複雑な多次元結合性及び動的不確実性がある。したがって、複雑ネットワークから、自動運転車の複雑環境モデル、認知方法及び装置を確立し、自動運転車の直面する環境の非線形動的進化の法則を開示することは、既に高レベル自動運転環境認知課題を解決するための重要な部分となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術課題を解決するために、本発明では、複雑ネットワークによる自動運転車の複雑環境モデル、認知システム及び認知方法が提供され、自動運転車の外部環境を感知した上で、まず、個体運転行動認知の複雑さ課題について、運転操作のアグレッシブ度合及びモードシフトプリファレンスを表すための運転特徴パラメータに従って、運転スタイル認識を行い、次に、環境内運動本体のグループ行動特徴に従って、運転スタイル認識の上で、複雑ネットワークにより、運動本体をノードとして道路を制約として、時変の複雑動的ネットワークを自動運転車の複雑環境モデルとして確立し、最後に、複雑環境モデルにおけるノードに対してパラメトリック表現を行い、複雑環境に対するノード差別化認知を実現し、凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて複雑環境モデルにおけるノードを層分け、複雑環境に対する階層化認知を実現し、複雑環境モデルの無秩序度合の測定方法を確立し、複雑環境に対するグローバルリスク姿勢認知を実現する。
【0005】
本発明の複雑ネットワークによる自動運転車の認知システムは、運転スタイル認識モジュール、複雑環境モデルモジュール、ノード差別化認知モジュール、階層化認知モジュール、グローバルリスク姿勢認知モジュールを含む。
【0006】
前記運転スタイル認識モジュールは、運転特徴パラメータを抽出した上で、運転スタイル特徴マトリックスCを構築し、運転スタイル特徴マトリックスCをランダムフォレスト分類子Rに入力し、ランダムフォレスト分類子Rにより運転スタイルカテゴリKdriveを出力する。
【0007】
前記運転特徴パラメータは、縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータを含む。前記縦方向運転特徴パラメータとは、限られた時間枠での縦方向加速度a、運転間隔dtimeを指し、前記横方向運転特徴パラメータとは、限られた時間枠での横方向加速度の二乗平均平方根RMS(a_)、ヨーレートの標準偏差SD(r)を指し、前記モードシフト特徴パラメータとは、限られた時間枠での左車線変更状態遷移確率P(l)及び右車線変更状態遷移確率P(r)を指す。
【0008】
前記運転スタイル特徴マトリックスCとは、縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータから構成された三次元の六自由度の特徴マトリックス
【数1】
【0009】
前記ランダムフォレスト分類子Rは、下記のステップで生成され、即ち運転スタイルデータからなるオリジナルトレーニングセットに対して、置換を伴うランダムサンプリングを行い、m個のトレーニングセットを生成し、各トレーニングセットに対してn個の特徴を選択し、それぞれm個の決定木分類モデルをトレーニングし、全てのトレーニング例が同一カテゴリに属するまで、各決定木分類モデルに対して情報ゲイン率に基づいて最高のサンプル特徴を選択し分裂し、最後に生成された全ての決定木分類モデルをランダムフォレストとして構成し、投票法により運転スタイルカテゴリKdriveを出力する。
【0010】
前記運転スタイルカテゴリKdriveは、急進型、平和型、保守型の三つのカテゴリを含み、
drive=R(C) (2)である。
【0011】
前記複雑環境モデルモジュールは、自動運転車複雑環境のランダム、動的、非線形進化の法則を描き、複雑ネットワーク理論から、運動本体をノードとして、時変の複雑動的ネットワークGを複雑環境モデル
G=(V,B,X,P,Θ) (3)として構築する。
【0012】
ただし、Gは時変の複雑動的ネットワークであり、Vは時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードコレクションであり、Bは時変の複雑動的ネットワークGにおけるエッジのコレクションであり、ノード間の繋がり線を表し、Xは時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードの状態ベクトルであり、Pは時変の複雑動的ネットワークGにおけるエッジの強度関数であり、ノード間のカップリング関係を表し、Θは時変の複雑動的ネットワークGのエリア関数であり、時変の複雑動的ネットワークGに対する動的制約を表す。
【0013】
時変の複雑動的ネットワークGを、N個のノードを有する連続時間動的システムとして等価化し、第iノードの状態変数をxとすると、第iノードの運動方程式は、
【数2】
【0014】
ただし、f(x)は、第iノードの状態変数の可変関数であり、ξ>0は共接続関係強度係数であり、pij(t)は第iノードと第jノードとの間のカップリング係数であり、H(x)はノード間のインライン関数であり、運転スタイルとノード距離の関数である。
【0015】
【数3】
とすると、時変の複雑動的ネットワークGのノードシステム運動方程式は、
【数4】
【0016】
ただし、Xは時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードの状態ベクトルであり、F(X)は時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードの動的方程式ベクトルであり、P(t)は時変の複雑動的ネットワークGにおけるノード間のカップリングマトリックスであり、H(X)は時変の複雑動的ネットワークGにおけるノードのインラインベクトルである。
【0017】
複雑環境モデルでは、ノードの運動及び環境の変化に伴い、ノードの位置及び状態が動的変化にあり、ノードが時変の複雑動的ネットワークに対して流入して流出することがあり、ノード間のカップリング関係及び時変の複雑動的ネットワークのエリア関数もそれに伴って変化し、複雑ネットワークシステムは時間に伴って絶えず発展している。
【0018】
前記ノード差別化認知モジュールは、複雑環境モデルにおけるノードの量g、度k、重みs及び重要度I(i)の合計四つのパラメータを用いてネットワークノードの違いを説明するとともに、正規分布図を用いて全てのノードに対して差別化分析を行う。
【0019】
前記ノードの量gは、第iノードの構造サイズで表される。
【0020】
前記ノードの度kは、第iノードに直接繋がるノードの数で表される。
【0021】
前記ノードの重みsは、第iノードの全ての隣接するエッジの重みの合計を表す。
【0022】
前記ノードの重要度I(i)は、
【数5】
【0023】
(6)式で、pij(t)はノード間のカップリング係数であり、K(i)は第iノードの次数中心性要因
【数6】
【0024】
(7)式で、
【数7】
モジュールの平均単位重みを表す。
【0025】
前記階層化認知モジュールは、凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて複雑環境モデルにおけるノードに対して階層分けを行い、自動運転車複雑環境の階層化、段階性に対する認知を実現し、操作ステップは以下のようである。
自動運転車を中心ノードとして、中心ノードとのカップリング関係を有するノードと中心ノードとが内層モジュールを構成するステップ1、
内層モジュールの非中心ノードに対して重要度を並べ替えて、順にカップリング係数が最も大きい点を見つけて、中間層モジュールを構成するステップ2、
中間層モジュールのノードに対して重要度を並べ替えて、順にカップリング係数が最も大きい点を見つけて、外層モジュールを構成するステップ3、
他のノードから端層モジュールが構成されるステップ4である。
【0026】
前記グローバルリスク姿勢認知モジュールは、エントロピー理論の基本思想により、システムエントロピー及びエントロピー変更を用いて、複雑環境モデルの無秩序度合を測定し、全体リスク及び変化姿勢を説明し、グローバル共性に対する状態認知を実現する。
【0027】
前記システムエントロピーは、
S=V/Θ+D(P)+D(U) (8)である。
【0028】
ただし、Vは複雑環境モデルのノード数であり、Θは複雑環境モデルのネットワークエリアであり、D(P)はカップリング係数の分散を表し、D(U)は複雑環境モデルにおけるノード速度の分散である。
【0029】
前記エントロピー変更は、
【数8】
【0030】
ただし、dは、対応変数を算出するディファレンシャルを表し、その変化傾向を表す。
【0031】
上記複雑ネットワークによる自動運転車の認知システムによれば、本発明で提出される自動運転車の認知方法は、
縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータを抽出し、運転スタイル特徴マトリックスCを構築し、ランダムフォレスト分類子Rを生成し、運転スタイル特徴マトリックスCをランダムフォレスト分類子Rに入力し、ランダムフォレスト分類子Rの出力である運転スタイルカテゴリKdriveは、運転スタイルを急進型、平和型、保守型の三つのカテゴリとして認識するステップ1)と、
複雑環境全体的関連付け特徴を説明するために、時変の複雑動的ネットワークGを複雑環境モデルとして構築し、さらに複雑環境モデルにおけるノード運動方程式を確立してから、時変の複雑動的ネットワークGにおける全てのノードの特徴を組み合わせて動的方程式ベクトルF(X)、時変の複雑動的ネットワークGにおけるノード間のカップリングマトリックスP(t)及びノードのインラインベクトルH(X)を形成し、複雑環境の動的特徴を説明するために、時変の複雑動的ネットワークGのノードシステム運動方程式を確立するステップ2)と、
複雑環境モデルにおけるノードの量g、度k、重みs及び重要度I(i)の四つのパラメータを構築するとともに、正規分布図を用いて全てのノードに対して差別化分析を行い、ノード差別化認知を実現するステップ3)と、
凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて複雑環境モデルにおけるノードに対して階層分けを行い、自動運転車複雑環境の階層化、階段性に対する認知を実現するステップ4)と、
エントロピー理論の基本思想により、システムエントロピー及びエントロピー変更を用いて、複雑環境モデルの無秩序度合を測定し、全体リスク及び変化姿勢を説明し、グローバル共性に対する状態認知を実現するステップ5)と、を含む。
【0032】
本発明では、自動運転車の外部環境を感知した上で、まず、個体運転行動認知の複雑さ課題について、運転操作のアグレッシブ度合及びモードシフトプリファレンスを表す運転特徴パラメータに従って、運転スタイル認識を行い、次に、複雑環境における運動本体のグループ行動特徴に従って、運転スタイル認識の上で、複雑ネットワークにより、運動本体をノードとして道路を制約として、時変の複雑動的ネットワークGを自動運転車の複雑環境モデルとして構築し、最後に、複雑環境モデルにおけるノードに対してパラメトリック表現を行い、複雑環境に対するノード差別化認知を実現し、凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて複雑環境モデルにおけるノードを層分け、複雑環境に対する階層化認知を実現し、複雑環境モデルの無秩序度合測定方法を確立し、複雑環境に対するグローバルリスク姿勢認知を実現することによって、複雑ネットワークによる自動運転車の複雑環境モデル、認知方法及び装置を確立し、自動運転車の安全運転及び制御ポリシーの設計へ良好な基礎を提供する。
【0033】
本発明の有益な効果:
1、本発明では、運転スタイル認識方法を確立し、運転特徴パラメータを抽出した上で、運転スタイル特徴マトリックスCを構築し、運転スタイル特徴マトリックスCをランダムフォレスト分類子Rに入力し、ランダムフォレスト分類子Rにより運転スタイルカテゴリKdriveを出力し、運転スタイル認識を実現する。
2、本発明では、複雑ネットワーク理論から、運動本体をノードとして、時変の複雑動的ネットワークGを複雑環境モデルとして、自動運転車複雑環境のランダム、動的、非線形進化の法則を描き、時変の複雑動的ネットワークGのノードシステム運動方程式も確立し、複雑環境の動的特性を説明する。
3、本発明では、複雑環境モデルにおけるノードの量g、度k、重みs及び重要度I(i)の四つのパラメータを構築するとともに、正規分布図を用いて全てのノードに対して差別化分析を行い、自動運転車複雑環境に対するノード差別化認知を実現する。
4、本発明では、ノードカップリング関係を根拠として、凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて複雑環境モデルにおけるノードに対して階層分けを行い、自動運転車複雑環境の階層化、階段性に対する認知を実現する。
5、本発明では、自動運転車の複雑環境モデルのシステムエントロピー及びエントロピー変更を構築し、複雑環境モデルの無秩序度合を測定し、全体リスク及び変化姿勢を説明し、自動運転車の複雑環境グローバル共性に対する状態認知を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、運転スタイル認識モジュールの構造フローチャートである。
図2図2は、自動運転車の複雑環境モデルモジュールの構造フローチャートである。
図3図3は、ノード差別化認知モジュールの構造図である。
図4図4は、階層化認知モジュールの構造フローチャートである。
図5図5は、グローバルリスク姿勢認知モジュールの構造図である。
図6図6は、複雑ネットワークによる自動運転車の認知システムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に図面を参照して本出願をさらに説明する。
【0036】
図1に示すように、運転スタイル認識モジュールの構造フローであり、まず、縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータを抽出し、前記縦方向運転特徴パラメータとは、限られた時間枠で的縦方向加速度a、運転間隔dtimeを指し、前記横方向運転特徴パラメータとは、限られた時間枠での横方向加速度二乗平均平方根RMS(a_)、ヨーレートの標準偏差SD(r)を指し、前記モードシフト特徴パラメータとは、限られた時間枠での左車線変更状態遷移確率P(l)及び右車線変更状態遷移確率P(r)を指し、次に、運転スタイル特徴マトリックスCを構築し、前記運転スタイル特徴マトリックスCとは、縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータから構成された三次元の六自由度の特徴マトリックスを指し、その後、運転スタイル特徴マトリックスCをランダムフォレスト分類子Rに入力し、運転スタイルカテゴリKdriveを出力し、前記運転スタイルカテゴリKdriveは、急進型、平和型、保守型の三つのカテゴリを含み、運転スタイル認識を実現する。
【0037】
図2に示すように、自動運転車の複雑環境モデルモジュール構造フローであり、まず、時変の複雑動的ネットワークGを複雑環境モデルG=(V,B,X,P,Θ)として構築し、次に、時変の複雑動的ネットワークGを、N個のノードを有する連続時間動的システムとして等価化し、ノードの運動方程式
【数9】
を確立し、その後、ノードの運動方程式から、ノードシステム運動方程式
【数10】
を確立し、最後に、複雑環境の動的特性を説明するために、ノードシステム運動方程式を複雑環境モデルに応用する。
【0038】
図3に示すように、ノード差別化認知モジュール構造であり、複雑環境モデルにおけるノードの量g、度k、重みs及び重要度I(i)の合計四つのパラメータを併用してネットワークノードの違いを説明するとともに、正規分布図を用いて全てのノードに対して差別化分析を行い、ノードに対する差別化認知を実現する。
【0039】
図4に示すように、階層化認知モジュール構造フローであり、凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて、複雑環境モデルにおけるノードに対して階層分けを行い、複雑環境モデルにおけるノードを順に分けて内層モジュール、中間層モジュール、外層モジュール、端層モジュールをそれぞれ構成し、複雑環境に対する階層化認知を実現する。
【0040】
図5に示すように、グローバルリスク姿勢認知モジュール構造であり、
システムエントロピーS=V/Θ+D(P)+D(U)及びエントロピー変更
【数11】
を併用して、複雑環境モデルの無秩序度合を測定し、全体リスク及び変化姿勢を説明し、複雑環境グローバル共性に対する状態認知を実現する。
【0041】
図6に示すように、複雑ネットワークによる自動運転車の認知システムは、運転スタイル認識モジュール、複雑環境モデルモジュール、ノード差別化認知モジュール、階層化認知モジュール、グローバルリスク姿勢認知モジュールを含む。前記運転スタイル認識モジュールは、ノード間のインライン関数H(x)を構築するために、認識されたノード運転スタイルを複雑環境モデルモジュールに入力し、前記ノード差別化認知モジュール、階層化認知モジュール、グローバルリスク姿勢認知モジュールは、複雑環境モデルモジュールにおけるV,B,X,P,Θパラメータのデータを受け、それぞれノード差別化認知、階層化認知及びグローバルリスク姿勢認知を実現する。
【0042】
複雑ネットワークによる自動運転車の認知方法は、下記ステップを含む。
ステップ1)縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータを抽出し、運転スタイル特徴マトリックスCを構築し、ランダムフォレスト分類子Rを生成し、運転スタイル特徴マトリックスCをランダムフォレスト分類子Rに入力し、ランダムフォレスト分類子Rの出力である運転スタイルカテゴリKdriveは、運転スタイルを急進型、平和型、保守型の三つのカテゴリとして認識し、具体的なステップは以下のようである。
(A)縦方向運転特徴パラメータ、横方向運転特徴パラメータ及びモードシフト特徴パラメータを抽出するステップ、
(B)運転スタイル特徴マトリックスCを構築するステップ、
(C)ランダムフォレスト分類子Rを生成するステップ、
(D)運転スタイル特徴マトリックスCをランダムフォレスト分類子Rに入力し、ランダムフォレスト分類子Rの出力である運転スタイルカテゴリKdriveは、運転スタイルを急進型、平和型、保守型の三つのカテゴリとして認識するステップであり、
ステップ2)複雑環境全体的関連付け特徴を説明するために、時変の複雑動的ネットワークGを複雑環境モデルとして構築し、さらに複雑環境モデルにおけるノード運動方程式を確立してから、時変の複雑動的ネットワークGにおける全てのノードの特徴を組み合わせて動的方程式ベクトルF(X)、時変の複雑動的ネットワークGにおけるノード間のカップリングマトリックスP(t)及びノードのインラインベクトルH(X)を形成し、複雑環境の動的特性を説明するために、時変の複雑動的ネットワークGのノードシステム運動方程式を確立し、具体的なステップは以下のようである。
(A)時変の複雑動的ネットワークGを複雑環境モデルとして構築するステップ、
(B)複雑環境モデルにおけるパラメータから、複雑環境モデルにおけるノード運動方程式を確立するステップ、
(C)複雑環境の動的特性を説明するために、ノード運動方程式から、時変の複雑動的ネットワークGのノードシステム運動方程式を確立するステップであり、
ステップ3)複雑環境モデルにおけるノードの量g、度k、重みs及び重要度I(i)の四つのパラメータを構築するとともに、正規分布図を用いて全てのノードに対して差別化分析を行い、ノード差別化認知を実現し、具体的なステップは以下のようである。
(A)複雑環境モデルにおけるノードの量g、度k、重みs及び重要度I(i)の四つのパラメータを構築するステップ、
(B)上記四つのパラメータを用いて複雑環境モデルにおける全てのノードをそれぞれ説明するステップ、
(C)正規分布図を用いて全てのノードに対して差別化分析を行い、ノードの差別化認知を実現するステップである。
ステップ4)凝集クラスタリングアルゴリズムを用いて複雑環境モデルにおけるノードに対して階層分けを行い、自動運転車複雑環境の階層化、階段性に対する認知を実現し、具体的なステップは以下のようである。
(A)自動運転車を中心ノードとして、中心ノードとのカップリング関係を有するノードと中心ノードとが内層モジュールを構成するステップ、
(B)内層モジュールの非中心ノードに対して重要度を並べ替えて、順にカップリング係数が最も大きい点を見つけて、中間層モジュールを構成するステップ、
(C)中間層モジュールのノードに対して重要度を並べ替えて、順にカップリング係数が最も大きい点を見つけて、外層モジュールを構成するステップ、
(D)他のノードから端層モジュールが構成されるステップである。
ステップ5)エントロピー理論の基本思想により、システムエントロピー及びエントロピー変更を用いて、複雑環境モデルの無秩序度合を測定し、全体リスク及び変化姿勢を説明し、グローバル共性に対する状態認知を実現し、具体的なステップは以下のようである。
(A)システムエントロピーS=V/Θ+D(P)+D(U)を用いて複雑環境モデルの無秩序度合を測定し、複雑環境全体リスクを説明するステップ、
(B)エントロピー変更dS=d(V/Θ)+d(D(P))+d(D(U))を用いて、複雑環境モデルの無秩序度合を測定し、複雑環境全体リスクの変化姿勢を説明し、グローバル共性に対する状態認知を実現するステップである。
【0043】
本発明の具体的実施例としては、Pythonで運転スタイル認識モジュールを作成し、Scikit-learn第三者の機械学習ライブラリに基づいて運転スタイル特徴マトリックスCを構築し、ランダムフォレスト分類子Rを生成し、運転スタイル認識を実現し、MATLAB/Simulinkで数学モデルを作成して複雑環境モデルモジュールを構成し、Pythonでノード差別化認知モジュール、階層化認知モジュール、グローバルリスク姿勢認知モジュールを作成し、PyTorchフレームにおいて自動運転車複雑環境の差別化、階層化、グローバルリスク姿勢認知方法を実現し、UbuntuシステムによりMATLAB、Scikit-learn及びPyTorchインタフェースを作成し、産業用制御コンピュータでインストールし配置して、複雑ネットワークによる自動運転車の複雑環境モデル、認知方法及び装置を実現する。
【0044】
以上に列挙された一連の詳細な説明は単に本発明の実現可能な実施形態に対する具体的な説明に過ぎず、それらは本発明の保護範囲を限定するためのものではなく、本発明の技術から逸脱しない同等方式又は変更はいずれも本発明の保護範囲内に含まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】