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特表2023-528122プラーク形成を診断するための診断方法における使用のために好適な組成物及びコンピュータにより実行される診断方法
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  • 特表-プラーク形成を診断するための診断方法における使用のために好適な組成物及びコンピュータにより実行される診断方法 図1
  • 特表-プラーク形成を診断するための診断方法における使用のために好適な組成物及びコンピュータにより実行される診断方法 図2
  • 特表-プラーク形成を診断するための診断方法における使用のために好適な組成物及びコンピュータにより実行される診断方法 図3AB
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  • 特表-プラーク形成を診断するための診断方法における使用のために好適な組成物及びコンピュータにより実行される診断方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】プラーク形成を診断するための診断方法における使用のために好適な組成物及びコンピュータにより実行される診断方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20230627BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20230627BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A61B10/00 K
A61K49/00
A61B5/022 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555640
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021058115
(87)【国際公開番号】W WO2021191463
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】20166317.6
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522363955
【氏名又は名称】シンガポール インスティテュート フォー クリニカル サイエンシーズ, バイオメディカル サイエンシーズ インスティテューツ
【氏名又は名称原語表記】SINGAPORE INSTITUTE FOR CLINICAL SCIENCES, BIOMEDICAL SCIENCES INSTITUTES
(71)【出願人】
【識別番号】518411280
【氏名又は名称】シンガポール ヘルス サービシズ ピーティーイー. リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SINGAPORE HEALTH SERVICES PTE. LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アクティス ゴレッタ, ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルセシア, アルマンド
(72)【発明者】
【氏名】エグリ, レオニー
(72)【発明者】
【氏名】アリゴニ, ファブリツィオ カルロ
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン, ダイアン
(72)【発明者】
【氏名】エマミ, ナシュミル
(72)【発明者】
【氏名】ボスコ, モハメド, ナビル
(72)【発明者】
【氏名】レオウ, キー, シン, メルビン
(72)【発明者】
【氏名】イェオ, クン, ケオン
【テーマコード(参考)】
4C017
4C085
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017BC14
4C017BD06
4C085HH20
4C085KA40
4C085KB38
4C085KB82
4C085KB93
4C085LL01
(57)【要約】
本発明は、概して、診断方法における使用のための組成物の分野に関する。特に、本発明は、診断方法における使用のための組成物であって、組成物が、15g~70gの脂肪、60g~90gの炭水化物、及び15g~35gのタンパク質を含む栄養組成物である、使用のための組成物に関する。診断方法は、対象におけるアテローム性プラークの存在のリスクを予測するための方法であり得る。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断方法における使用のための組成物であって、前記組成物が、15g~70gの脂肪、60g~90gの炭水化物、及び15g~35gのタンパク質を含む栄養組成物である、使用のための組成物。
【請求項2】
前記診断方法が、対象におけるアテローム性プラーク形成のリスクを予測するための診断方法である、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記アテローム性プラーク形成のリスクが、心血管障害の存在又は発症の可能性を予測するための指標として使用される、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記診断方法が、
前記対象の年齢を決定するステップと、
前記対象に前記組成物を投与するステップと、
前記組成物の投与後に前記対象の血圧を測定するステップと、を含み、
前記対象の年齢群に特有の参照値と比較して血圧が上昇していると、アテローム性プラーク形成のリスクの増加を示す、請求項2又は3に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記診断方法が、前記対象について測定された血圧及び前記年齢が、指標図を生成するアルゴリズムに供され、前記指標図が、前記対象の前記年齢群についての対応する参照指標図と比較されることを更に含む、請求項4に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記診断方法が、前記対象について測定された血圧及び前記年齢が、平均センタリング及び単位スケーリングされることを更に含む、請求項4又は5に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記診断方法が、前記対象の食後収縮期血圧が測定され、平均センタリング及び単位スケーリングされた収縮期血圧の値が、-0.002×平均センタリング及び単位スケーリングされた前記対象の年齢+0.57よりも大きい場合に、アテローム性プラーク形成のリスクの増加が予測されることを更に含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記診断方法が、(収縮期血圧-114.4)/13.5>-0.002×(前記対象の年齢-47.9)/4.2)+0.57である場合にアテローム性プラーク形成のリスクの増加が予測されることを更に含む、請求項7に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記診断方法が、前記対象の食後拡張期血圧が測定され、平均センタリング及び単位スケーリングされた拡張期血圧の値が、0.001×平均センタリング及び単位スケーリングされた前記対象の年齢+0.43よりも大きい場合に、アテローム性プラーク形成のリスクの増加が予測されることを更に含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記診断方法が、(拡張期血圧-71.4)/10>0.001×(前記対象の年齢-47.9)/4.2)+0.43である場合に、アテローム性プラーク形成のリスクの増加が予測されることを更に含む、請求項9に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記診断方法が、前記血圧が、前記栄養組成物が投与された65分~360分、例えば90分~150分、更に例えば110分~130分後に測定されることを更に含む、請求項4~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記栄養組成物が、一食当たり500kcal~1000kcal、例えば、550kcal~950kcalを含有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記栄養組成物が、20g~71gの脂肪、70g~80gの炭水化物、及び20g~30gのタンパク質を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記組成物が、ビタミン及びミネラルを更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記組成物が、200mL~400mLの範囲の体積を有する飲用組成物である、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項16】
前記診断方法が、コンピュータ/デジタルシステムを通して実行される、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のための組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、診断方法における使用のための組成物の分野に関する。特に、本発明は、診断方法における使用のための組成物であって、組成物が、15g~70gの脂肪、60g~90gの炭水化物、及び15g~35gのタンパク質を含む栄養組成物である、使用のための組成物に関する。診断方法は、対象におけるアテローム性プラーク形成のリスクを予測する方法であり得る。
【0002】
心血管疾患(CVD)は、現在でも死亡の主要な原因であり、世界の疾患負荷研究(Global Burden of Disease Study)は、2015年ではCVDに起因して全世界でほぼ1800万人が死亡したと報告している。CVDの発症には、不健康な食習慣及び定期的な運動の欠如などの生活習慣に関連する環境要因が重要な役割を果たしていることが明らかであり、したがってCVDは概して予防可能である。実際、いくつかの疫学的研究は、例えば、地中海食(Mediterranean diet)などの健康な食事パターンの採用が心血管イベントの発生率を低減するのに役立つことを示した。
【0003】
空腹時コレステロール値、血圧、及び糖尿病状態などの古典的なリスク指標は、現在、CVDを発症するリスクを予測するために使用されている。これらのリスク指標は、CVD又は冠動脈性心疾患(CHD)のリスクを評価する、いくつかのリスクスコアを作成するために首尾よく使用されている。しかしながら、これらの疾患リスクを正確に予測する能力は、特に女性集団及び若年集団などのより低いリスク群で限定されたままである。
最近、PESA研究(Progression of Early Subclinical Atherosclerosis,Spain)の明らかに健康な中高年の参加者の中に、無症候性アテローム性動脈硬化症(ここでは、頸動脈、腹部大動脈若しくは腸骨大腿骨領域におけるプラークの存在、又は冠動脈石灰化スコア≧1として定義される)が参加者の63%で存在することが示された(J Am Coll Cardiol.2017 Dec 19;70(24):2979-2991)。興味深いことに、フラミンガム心臓研究(FHS)において冠動脈性心疾患の10年リスクが低いと分類された参加者の58%は、評価された血管部位の少なくとも1つにおいて、無症候性アテローム性動脈硬化症を既に発症していた。これらの結果は、明らかに健康で比較的若年の集団において、なかでも低リスクの個体でさえ、無症候性アテローム性動脈硬化症が既に蔓延していることを示す。
【0004】
CVDのリスクをよりよく予測するために、既存のリスクスコアに追加のリスク指標を追加する必要がある。実際、無症候性頸動脈及び冠動脈アテローム性動脈硬化症の定量がCVDリスク予測を改善することが更に示されている(J Am Coll Cardiol.2015 Mar 24;65(11):1065-74)。更に、頸動脈内膜中膜肥厚(cIMT)並びに心構造及び/又は機能によって測定された無症候性アテローム性動脈硬化症もまた、心血管のリスク及び死亡に関連していることが知られており、CVDリスク予測を改善し得る。
【0005】
理論的には、従来のCVDリスクスケールに、無症候性アテローム性動脈硬化症又は心構造及び機能を評価するための精巧な試験を追加できるが、これは時間がかかり費用がかかるアプローチであろう。
【0006】
人々は、運動を増やし、より健康的な栄養摂取を適用するなどの特定の生活習慣の変化が心血管疾患の予防に肯定的な影響を及ぼすことを認識しているが、心血管疾患の有病率は増加し続けている。
【0007】
1つの主な理由は、健康的な栄養摂取及び生活習慣に関する一般的な知識が過去数十年で増加したとはいえ、消費者は、彼らの心血管の健康状態に対する即効性を見るための具体的な分かりやすい方法を依然として有していないと思われる。疾患の発症及び進行の長いプロセスを考慮すると、消費者を誘導及び動機付けするために、急性の生理学的反応に基づいてフィードバックツールを利用できることが望ましいであろう。
【0008】
更に、費用効率がよくかつ迅速な方法で心血管疾患の発症を予測することを可能にするツールを利用できることが望ましいであろう。
【0009】
本明細書における先行技術文献のいかなる参照も、かかる先行技術が周知であること、又は当分野で共通の全般的な認識の一部を形成していることを認めるものとみなされるべきではない。
【0010】
本発明の目的は、最新技術を強化又は改善することであり、特に、診断方法で使用することができる組成物であって、当該組成物を消費した後に、心血管疾患を発症する可能性、及び/又はアテローム性プラーク形成を生じるリスク、並びに/又は対象において、アテローム性プラークを既に形成しているリスクを予測することを可能にする、組成物を提供すること、又は先行技術で利用可能な解決法に有用な代替手段を少なくとも提供することである。
【0011】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の目的が、本文書に存在する所見によって、特に独立請求項の主題によって達成され得ることを見出した。従属請求項は、本発明の着想を更に展開させるものである。
【0012】
したがって、本発明は、心血管疾患を発症するリスク及び/又は対象においてアテローム性プラークが既に形成されているリスクを予測するための診断方法を提供する。
【0013】
本発明は更に、診断方法、例えば、心血管疾患を発症するリスク及び/又は対象においてアテローム性プラークが既に形成されているリスクを予測するための診断方法における使用のための組成物を提供する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」という単語、及び類似の単語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは「含むが、これらに限定されない」ことを意味することを意図している。
【0015】
本発明者らは、特定の栄養組成物の消費後の血圧などの食後バイオマーカーに基づいて予測ツールを作成することができること、及び例えば、心血管疾患の代理的な代替エンドポイントとしてアテローム性プラークの存在を予測することを可能にすることができることを示した。
【0016】
栄養組成物は、これらの主要栄養素に関連して全ての代謝シグナルの捕捉を可能にするのに十分な量のタンパク質、脂肪、及び炭水化物を含むべきである。
【0017】
特に、本発明者らは、タンパク質、脂肪、及び炭水化物を含む栄養組成物の消費が、当該栄養組成物の消費後に測定された血圧に基づいて、対象におけるアテローム性プラークの存在の可能性を決定することを可能にしたことを実証することができる。対象の年齢を考慮に入れた場合、可能性の決定はより正確であることがわかった。
【0018】
結果として、本発明の組成物の消費に続いての血圧測定、及び対象の年齢の考慮により、心血管障害を発症する可能性を予測することが可能になる。
【0019】
有利には、本発明の組成物の投与に続く血圧測定、及び対象の年齢の考慮により、非侵襲的である迅速かつ費用効率の高い方法で心血管障害を発症する可能性を予測することが可能になる。本発明は、そのような予測を迅速、非侵襲的かつ安価にすることを可能にするという事実により、生活習慣の変化及び食物消費に対する変化が心血管障害を発症する可能性を有するという陽性効果を対象に監視させることを更に可能にする。進行を監視するためのそのような迅速かつ効率的な方法は、これらの対象に対してやりがいを与え、動機付けする。更に、そのような予測を安価に実行することができるため、そのような予測の利点は、かなり広範な対象に提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の組成物の消費後に得られた収縮期血圧についての決定行列を示す。白色のボックスによって、直線方程式-0.002×平均センタリング及び単位スケーリングされた対象の年齢+0.57が示され、白線の上方の値は全て、アテローム性プラークの存在リスクの増加を示す。
図2】本発明の組成物の消費後に得られた拡張期血圧についての決定行列を示す。白色のボックスによって、直線方程式0.001×平均センタリング及び単位スケーリングされた対象の年齢+0.43が示され、白線の上方の値は全て、アテローム性プラークの存在リスクの増加を示す。
図3AB図3Aは、分類モデルの構築及び訓練を概説する。図3Bは、訓練されたモデルの訓練段階及び最終検証の性能評価の原理を示す。
図4】無症候性アテローム性動脈硬化症及び心血管評価の結果を示す。
図5】食物負荷により、91%の信頼性でアテローム性プラークの存在又は非存在を予測する強力なバイオマーカーとして血圧を選択することが可能にすることを示す。
【0021】
結果として、本発明は、部分的には、診断方法における使用のための組成物であって、組成物が、15g~70gの脂肪、60g~90gの炭水化物、及び15g~35gのタンパク質を含む栄養組成物である、使用のための組成物に関する。
【0022】
組成物は、組成物が投与される対象が摂取するのに好適な、任意のタイプの組成物であり得る。対象は哺乳動物、特に例えば、ヒトであり得る。ヒトは、男性及び/又は女性のヒトであり得る。例えば、ヒトは、成人、例えば、18歳以上の成人であり得る。更に、例えば、成人は、30歳以上、40歳以上、又は50歳以上であり得る。本発明の実施形態によれば、成人は、18歳~99歳、好ましくは40歳~54歳であり得る。本発明者らによって実施される臨床試験は、40歳~54歳の範囲の年齢の成人に焦点を当てた。
【0023】
本発明の目的のために、本明細書で使用される場合、「栄養組成物」という用語は、対象に栄養を提供するために使用され得る任意の組成物を意味する。典型的には、栄養組成物は、タンパク質源、炭水化物源、及び脂質源を含有する。
【0024】
当該栄養組成物は、任意の他の成分、例えば、本明細書に記載の1種以上の成分、例えば、プロバイオティクス、ビタミン及び/又はミネラルを更に含み得る。組成物はまた、用いられる組成物の形態、例えば、粉末栄養補助食品、食品製品、乳製品又は飲料の形態に一般的に使用される他の成分も含み得る。そのような成分の非限定的な例としては、例えば、脂質(任意選択的にDHA及びARAに加えて)、炭水化物、タンパク質、微量栄養素(上記のものに加えて)、及び/又は医薬活性剤;一般的な食品添加物、例えば、抗酸化物質、安定剤、乳化剤、酸味料、増粘剤、pH調整のための緩衝剤又は剤、キレート剤、着色剤、添加物、着香料、浸透剤、医薬的に許容される担体、保存料、糖、甘味料、質感付与剤、乳化剤、水、及びこれらの任意の組み合わせなどのその他の栄養素が挙げられる。
【0025】
十分な量の主要栄養素が消費される場合、栄養組成物は、主要栄養素が豊富であり、より顕著な効果が得られることが好ましい。更に、本発明に従う使用のための組成物は、カロリーが高密度であり得る。例えば、栄養組成物は、一食当たり500kcal~1000kcal、例えば、550kcal~950kcalを含有し得る。
【0026】
本発明に従う使用のための組成物は、20g~71gの脂肪を含み得る。本発明に従う使用のための組成物は、70g~80gの炭水化物を含み得る。本発明に従う使用のための組成物は、20g~30gのタンパク質を含み得る。例えば、栄養組成物は、20g~71gの脂肪、70g~80gの炭水化物、及び20g~30gのタンパク質を含む。
【0027】
本発明に従う使用のための組成物は、比較的高い脂肪含有量を有し得る。高脂肪含有量は、測定される効果がより顕著になるという利点を有する。したがって、一実施形態では、栄養組成物は、55g~71gの脂肪、70g~80gの炭水化物、及び20g~30gのタンパク質を含み得る。
【0028】
しかしながら、消費者は、多くの場合、非常に高い脂肪含有量を有する組成物を嫌う。したがって、一貫した使用を確実にするために、より低いものの尚も十分に高い脂肪含有量を有する組成物を使用することが好ましい場合がある。したがって、更なる実施形態では、栄養組成物は、20g~30gの脂肪、70g~80gの炭水化物、及び20g~30gのタンパク質を含み得る。
【0029】
本発明の組成物は、ビタミン及びミネラルを更に含んでもよい。ビタミン及びミネラルは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、パントテン酸、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、亜鉛、セレン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0030】
本発明に従う使用のための組成物は、組成物が投与される対象によって容易に摂取され得る組成物であり得る。例えば、組成物は、棒又はスプーンですくえる組成物の形態を有し得る。しかしながら、消費者調査は、本発明に従って使用される組成物が飲料である場合が好ましいことがあり得ることを示した。
【0031】
体積に関して、本発明の組成物は、1回の消費機会で比較的容易に摂取され得る量を有するべきである。したがって、組成物の体積は、それに応じて調整することができる。当業者であれば、調整を行うことができるであろう。
【0032】
例えば、組成物は、200mL~400mLの範囲の体積を有する飲用組成物であり得る。衛生目的のために、本発明の組成物が単回サーブ用の容器で提供される場合が好ましいことがある。
【0033】
本発明者らは、本発明の組成物が、心血管疾患を発症するリスクを判定するために診断方法で効果的に使用され得ることを見出した。
【0034】
特に、本発明の枠組みで使用される組成物は、代謝応答をトリガするのに有効であり、代謝応答は、栄養負荷後の対象の血圧を測定することによって評価され得る。測定された血圧は、任意選択で、試験された対象の年齢と組み合わせて、心血管疾患を発症するリスク、特にアテローム性プラークを発生するか又は発生するリスクを判定することを可能にした。アテローム性プラーク形成のリスクは、心血管障害の存在又は発症の可能性を予測するための指標として使用され得る。
【0035】
したがって、診断方法は、対象における心血管障害を発症するリスクを予測するための診断方法であり得る。例えば、診断方法は、対象におけるアテローム性動脈硬化症を発症するリスクを予測するための診断方法であり得る。更に、例えば、診断方法は、対象におけるアテローム性プラークの形成のリスクを予測するための診断方法であり得る。診断方法はまた、対象における無症候性アテローム性動脈硬化症のリスクを予測するための診断方法でもあり得る。
【0036】
本発明者らは、本発明の組成物の投与後、対象においてアテローム性プラークを発生しているリスクを正確に予測することが可能であることを示した。
【0037】
アテローム性プラークは、動脈壁の内層にある、物質の蓄積物である。そのような物質は、例えば、脂質、カルシウム、マクロファージ細胞、デブリ、及び線維状結合組織を含み得る。アテローム性プラークは、動脈の通路の狭窄をもたらし得、これによって、血流の制限をもたらし得る。結果として、アテローム性プラークは、心血管障害、特に動脈硬化症、例えばアテローム性動脈硬化症の基礎となる。
【0038】
診断方法は、本発明の組成物を対象に投与し、組成物の投与後にその対象の血圧を測定するステップを含むことができ、参照値と比較して高血圧であると、アテローム性プラーク形成のリスクの増加を示す。
【0039】
診断方法の枠組みで測定される血圧は、収縮期血圧(SYSBP)及び/又は拡張期血圧(DIABP)であり得る。測定された血圧が収縮期血圧である場合、参照値も収縮期血圧に関連しなければならない。測定された血圧が拡張期血圧である場合、参照値も拡張期血圧に関連しなければならない。
【0040】
本発明者らは、対象の年齢も考慮に入れた場合、特定の良好な結果を得た。したがって、診断方法は、対象の年齢の判定を含むことができ、測定された血圧は、対象の年齢群に特有の参照値と比較される。
【0041】
本発明者らは、対象の年齢を考慮に入れながら、測定された血圧を参照値と比較するタスクが、測定された血圧及び年齢を入力することを可能にするアルゴリズムを使用することによって最も効率的に行われ、それに基づいてリスク因子、例えば、%で表されるリスク因子を生成すると考えている。したがって、診断方法は、測定された血圧及び対象の年齢が、指標図を生成するアルゴリズムに供され、指標図が、対象の年齢群について対応する指標参照図と比較されることを更に含み得る。
【0042】
測定されたデータの最適な比較能力を達成するために、診断方法は、測定された血圧(それぞれ、DIABP及び/又はSYSBP)及び対象の年齢が平均センタリング及び単位スケーリングされることを更に含み得る。
【0043】
一般に、値は、測定値から平均値を減算し、結果を標準偏差によって割ることによって、平均センタリング及び単位スケーリングされ得る。
【0044】
具体的には、これは、
年齢: 年齢new=(年齢-47.9)/4.2
拡張期血圧: DIABPnew=(DIABP-71.4)/10.0
収縮期血圧: SYSBPnew=(SYSBP-114.4)/13.5を意味することができ、
式中、「new」は、平均センタリング及び単位スケーリングされた値を示す。
【0045】
当業者は、以下の係数を使用して、これらの平均センタリング及び単位スケーリングされた値からロジットスコアを計算することができるであろう。
【0046】
【表1】
【0047】
次いで、ロジットスコアを、ロジスティック回帰のための標準的な方法を使用して確率に変換することができる。
【0048】
診断方法は、対象の食後収縮期血圧が測定され、平均センタリング及び単位スケーリングされた収縮期血圧の値が、-0.002×平均センタリング及び単位スケーリングされた対象の年齢+0.57よりも大きい場合に、アテローム性プラーク形成のリスクの増加が予測されることを更に含み得る。
【0049】
診断方法又は診断方法の少なくとも1つのステップは、コンピュータマシンで、又は任意のデジタルシステムを通して更に実行され得る。実施形態では、データ処理デバイスは、本明細書に記載のコンピュータ/デジタル実行方法を実行するための手段を含み得る。別の実施形態では、コンピュータ可読媒体は、コンピュータなどのデータ処理デバイスによって実行されると、データ処理デバイスに本明細書に記載の方法を実行させる命令を含み得る。
【0050】
システムは、ユーザデバイス及び推奨システムを含む。ユーザデバイスは、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、又は、関連するユーザが推奨システムと通信することができる他のウェアラブルなどのコンピューティングデバイスとして実行されてもよい。推奨システムは、ディスプレイ、属性取得ユニット、属性比較ユニット、属性分析ユニット、属性記憶ユニット、メモリ、及びCPUのうちの1つ以上を含む。留意すべきこととして、いくつかの実施形態では、ディスプレイは、追加で、又は代替的に、ユーザデバイス内に配置されてもよい。
【0051】
実施形態では、デバイスはクライアントデバイスである。クライアントデバイスは、ホストデバイスによって提供又は供給されるコンテンツにアクセスすることができる任意のデバイスである。例えば、クライアントデバイスは、ホストデバイスへのウェブベースのインターフェースにアクセスするために好適なウェブブラウザを実行することができる任意のデバイスであってもよい。これに代えて、又はこれに加えて、本明細書で説明される機能のいくつかを提供する1つ以上のアプリケーション又はアプリケーションの一部は、クライアントデバイス上で動作することができ、この場合、クライアントデバイスは、ホストデバイスに記憶されたデータにアクセスするためだけに、ホストデバイスと接続する必要がある。一実施形態では、ホストデバイスは、クラウドベースの認証及びアクセス制御、ストレージ、ストリーミング、及びフィードバックの提供などのクラウドベースのサービスを提供するデバイスである。
【0052】
図1は、対応する決定行列を示す。したがって、診断方法は、(収縮期血圧-114.4)/13.5>-0.002×(対象の年齢-47.9)/4.2)+0.57の場合、アテローム性プラーク形成のリスクの増加が予測されることを更に含み得る。直線方程式-0.002×平均センタリング及び単位スケーリングされた対象の年齢+0.57は、白色のボックスによって示され、白線の上方の全ての値は、アテローム性プラーク形成のリスクの増加を示す。
【0053】
診断方法は、対象の食後拡張期血圧が測定され、平均センタリング及び単位スケーリングされた拡張期血圧の値が、0.001×平均センタリング及び単位スケーリングされた対象の年齢+0.43よりも大きい場合に、アテローム性プラーク形成のリスクの増加が予測されることを更に含み得る。
【0054】
図2は、対応する決定行列を示す。したがって、診断方法は、(拡張期血圧-71.4)/10>0.001×(対象の年齢-47.9)/4.2)+0.43の場合、アテローム性プラーク形成のリスクの増加が予測されることを更に含み得る。白色のボックスによって、直線方程式0.001×平均センタリング及び単位スケーリングされた対象の年齢+0.43が示され、白線の上方の値は全て、アテローム性プラーク形成のリスクの増加を示す。
【0055】
本発明者らは、本発明の組成物の投与と血圧の測定との間に十分な時間が許容される場合、本発明の組成物の効果が最も顕著であることを見出した。当業者は、本発明の組成物が最適な効果を有することを可能にするそのような期間を決定することができるであろう。本発明者らは、血圧が、栄養組成物が投与された65分~360分、例えば90分~150分、更に例えば110分~130分後に測定された場合、特に良好な結果を見出した。一実施形態では、栄養組成物が投与されてから120分後に血圧を測定した。
【0056】
当業者は、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を自由に組み合わせることができることを理解するであろう。特に、本発明の組成物について記載された特徴は、本発明の枠内で記載された診断方法について記載された特徴と組み合わせることができ、逆もまた同様である。更に、本発明の異なる実施形態について記載された特徴を組み合わせてもよい。
【0057】
本発明を実施例によって説明してきたが、特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び改変を加えることができることが理解されるべきである。
更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。本発明の更なる利点及び特徴は、図及び非限定的な実施例から明らかである。
【実施例
【0058】
方法
対象:
101人の健康な中国人の対象(46人の女性、55人の男性)が参加し、この試験を完了した。組み入れ基準は、a)治験登録の前に、書面によるインフォームドコンセントを英語又は中国語で署名する意思も能力もあること、b)40歳~54歳であること、c)男性対象及び女性対象の両方であること、d)中国人民族であること(中国人の祖父母を有すること)、e)CHDの低いフラミンガムリスクを有すること(<10%)、f)治験責任医師の臨床判断に基づいて、明らかに健康であること、であった。
【0059】
除外基準は、a)食事負荷の成分(乳タンパク質、ラクトース、大豆)のいずれかに対する食物アレルギーがあること、b)対象が、予定された訪問及び試験プロトコルの要件に準拠する意思がないか、又は能力がないこと、c)MRIに対する禁忌(すなわち、心臓ペースメーカー、脳動脈瘤、又はクリップ、電子インプラント若しくはプロテーゼなど)があること、e)治験責任医師の臨床判断に基づいて、妊娠又は授乳中の女性、f)病的肥満(BMI≧40kg/m2)であること、g)以前に心筋梗塞(MI)があったこと、h)既知の冠状動脈疾患-以前の冠動脈血管再建があったこと、i)既知の文書化された末梢動脈疾患があること、j)以前に脳卒中があること(24時間を超えて持続する新しい局所神経障害)、k)降圧剤を使用していること、l)癌の既往歴があること(前癌性病変を除外する)、m)平均余命が1年未満であること。n)真性糖尿病であることを明らかに知っているか、又は真性糖尿病、自己免疫疾患若しくは遺伝性疾患、内分泌及び代謝性疾患の治療中であり、更に高脂血症を含む治療中であること、o)精神病であること、p)長期投薬又は酸素を必要とする喘息若しくは慢性の肺疾患であること、q)結核、B型肝炎、並びにC型肝炎、及びHIVを含む慢性感染症であること、r)現在、別の臨床治験に参加しているか、又は治験開始の4週間以内に別の臨床治験に参加していたこと(Biobank試験及びSingHeartを除く)、であった。
【0060】
すべての参加者は、書面によるインフォームドコンセントを提出した。研究プロトコルは、SingHealth CIRBによって承認され、clinicaltrials.gov(NCT03531879)に登録された。
【0061】
試験デザイン
ヒト臨床治験は、シングルセンター、横断研究であった。臨床治験の実験部分は、2箇所で行われた:シンガポール国際心臓センター(NHCS)及びAStar Singapore Institute for Clinical Sciences(SICS)。
【0062】
対象は、シンガポール国際心臓センター(NHCS)で登録され、ここでは無症候性アテローム性動脈硬化症及び心血管の評価を実施した。無症候性アテローム性動脈硬化症の評価は、血管超音波イメージングによる頸動脈、腹部大動脈、又は腸骨大腿骨領域におけるプラークの存在の測定、コンピュータ断層撮影及びcIMTによる冠動脈石灰化スコアからなった。心構造及び解剖学的構造も測定した。
【0063】
初回訪問から1週間以内に、対象は食物負荷のためにSICSに向かった。
【0064】
食物負荷の前に夕方に摂取される標準化された夕食を対象に提供した。標準的な冷凍食品が、対象の家に出荷された。標準化された夕食は、比較的低脂肪の食事からなった。
【0065】
混合食試験(75gのグルコース、60gのパームオレイン、及び20gの乳製品タンパク質から構成され、合計約930kcalを提供する約337mLの液体食で出された)を対象に提供し、血液試料を異なる時点(合計で10個の血液試料:T0/10/20/30/45/60/90/120/240/360分)で採取して、いくつかのバイオマーカーの分析を可能にした。
【0066】
治験の過程中に開始されたいずれの投薬/治療もeCRFに記録した。
【0067】
臨床転帰及びバイオマーカー:
無症候性アテローム性動脈硬化症の評価は、血管超音波イメージングによる頸動脈、腹部大動脈、又は腸骨大腿骨領域におけるプラークの存在の測定、コンピュータ断層撮影及びcIMTによる冠動脈石灰化スコアからなった。心構造及び解剖学的構造も測定した。
【0068】
図4は、この試験の結果を示す。対象は健康であったが、体内の異なる部位で男性及び女性に顕著な数のプラークが見られた。
【0069】
グルコース、インスリン、及びcペプチドを、0、10、20、30、45、60、90、120、240、及び360分に定量した。ApoB48、レプチン、アジポネクチン、CRP、TNFα、IL-6、PAI-1、VCAM-1、ICAM-1、及びE-セレクチンを、0、60、120、240、及び360分で評価した。血圧を0、60、120、及び360分で評価した。
【0070】
身体活動トラッカーを使用して、心拍数、身体活動(燃焼カロリー、歩数、移動距離、登った階数、移動しない分数、軽い運動をした分数、かなり運動をした分数、非常に運動をした分数、活動カロリー)、及び睡眠(眠りにつくまでの分数、目覚めるまでの分数、目覚める回数、就寝時間)を収集した。フィットネス活動トラッカーを、スクリーニングの訪問中に対象に与え、データを5日~7日間(この試験の最後の訪問前)に収集した。
【0071】
本発明者らは驚くべきことに、本発明の組成物の消費が、血圧及び年齢を考慮して、91%の信頼度で、明らかに健康な集団(フラミンガムスコアに従って低CVリスク)におけるアテローム性プラークの存在又は非存在を予測することを可能にすることを見出した。血圧、例えば食後拡張期血圧が食物負荷の120分後に測定された場合、最良の結果が得られた。
【0072】
そのような予測分析は、以下に記載されるように実行することができる。
【0073】
1.分類分析の目標
分類分析は、対象が1つの特定の群又は別の群に属するかどうかを予測することを可能にするモデルを構築することを目的としている。例えば、2つのクラスの分類分析は、対象が疾患を有するか、又は健康であるかを予測することを目的としている。本分析の範囲の場合、対象が少なくとも1つの「アテローム性動脈硬化症プラーク」を有するか、又は「プラークなし」であるかを予測することを目的とした。
【0074】
2.分類モデルの構築
モデル構築及び訓練を図3Aに示した。
モデルは以下のように構築された。
1.データを2つの異なる部分に分割する
a.「モデルを訓練する」ために、アルゴリズム(すなわち、統計的方法)によって使用される訓練セット。訓練は、分類を達成するために、変数(すなわち、測定値)を見つけることと、その閾値(又は係数)を使用することとを伴う。この段階は、データから(すなわち、クラスラベルから)学習する。
b.訓練されたモデルの性能を試験するためにのみ使用される試験セット。このデータセットは、訓練段階中には使用されないものとする。
【0075】
3.評価モデル性能
性能評価は、訓練されたモデルの訓練段階及び最終検証の両方について重要である。原理を図3Bに要約する。
【0076】
簡単に言えば、モデルが訓練されると、訓練段階中に使用されない新しいデータ部分(例えば、試験データセット)に適用される。モデルは、所与のクラス(例えば、「疾患群」)における確率を計算する。決定はこの確率に基づいて行う必要があり、閾値の使用を必要とする。例えば、対象が80%で疾患を有すると予測される場合、当該対象は疾患を有すると決定され得る。逆に、疾患を有する確率がわずか10%である対象は、健康であると見なされ得る。
【0077】
したがって、閾値(例えば、50%)の選択は、確率が閾値に近い対象(例えば、疾患を有する確率=49%の対象)についての最終分類に影響を与える可能性があるため、重要である。これは、対象が正しく分類されているか否かに影響を与える。
【0078】
典型的には、エラーは、閾値の異なる選択について評価される。各所与の閾値について、いわゆる混同行列(詳細については以下を参照)を計算することができる。この行列は、正しく分類された対象及び誤って分類された対象の数を本質的に計数する。異なる閾値を使用することにより、多くの混同行列として生成することができ、これは次に、感度及び特異性(異なる閾値で)を導出するために使用され得る。これらの2つの測定基準は、多くの場合、形態又は受信動作曲線(ROC)で提示され、これは、閾値のいくつかの選択に対するモデル性能を1つの単一のプロットで要約する。
【0079】
必要なパラメータ:
対象の年齢(歳)
拡張期血圧(mmHg)、食事の2時間後
又は収縮期血圧(mmHg)、食事の2時間後のいずれか
次いで、
DIABPモデルの場合、計算は以下のようである:
年齢_標準化=(年齢-47.92105)/4.200835
DIABP_標準化=(DIABP-71.44079)/10.017973
ロジット_スコア=0.5108+(-0.3682DIABP_標準化)+(-0.3998年齢_標準化)
オッズ_スコア=exp(ロジット_スコア)
確率=オッズ_スコア/(1+オッズ_スコア)
----------------
SYSBPモデルについては、これらの計算は次のとおりである。
年齢_標準化=(年齢-47.92105)/4.200835
SYSBP_標準化=(SYSBP-114.41447)/13.522423
ロジット_スコア=0.5253+(-0.5403SYSBP_標準化)+(-0.3998年齢_標準化)
オッズ_スコア=exp(ロジット_スコア)
確率=オッズ_スコア/(1+オッズ_スコア)
結果として、
本発明の組成物の消費後2時間で140mmHgの食後収縮期血圧を有する48歳の男性は、62%のアテローム性プラークを有するリスクを有する。
【0080】
本発明の組成物の消費後2時間で82mmHgの食後拡張期血圧を有する50歳の女性は、53%のアテローム性プラークを有するリスクを有する。
【0081】
このモデルを使用して、明らかに健康な集団(フラミンガムスコアに従って低CVリスク)におけるアテローム性プラークの存在又は非存在は、対象の120分での食後拡張期血圧及び年齢を考慮に入れた91%の信頼度で予測された。

図1
図2
図3AB
図4
図5
【国際調査報告】