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特表2023-528143原材料をエンボス加工するための成形装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】原材料をエンボス加工するための成形装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/02 20060101AFI20230627BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B29C59/02 Z
B29C43/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559906
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2020059685
(87)【国際公開番号】W WO2021197640
(87)【国際公開日】2021-10-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522244012
【氏名又は名称】アストラヴェウス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ローレント,ジェレミー
【テーマコード(参考)】
4F204
4F209
【Fターム(参考)】
4F204AC03
4F204AF01
4F204AG01
4F204AG05
4F204AM28
4F204FA01
4F204FB01
4F204FN11
4F204FN15
4F209AC03
4F209AF01
4F209AG01
4F209AG05
4F209AM28
4F209PA02
4F209PB01
4F209PN03
4F209PN06
4F209PN07
4F209PQ20
(57)【要約】
この成形装置は、成形装置のエンボス加工チャンバ(41)の第1の領域に配置されるように意図された原材料から成形品を製造するための装置である。エンボス加工チャンバ(41)は、第1の領域の両側に配置される金型(21)および対向金型(22)を備える。成形装置は、エンボス加工チャンバ(41)との共通壁(7)を有する第2のチャンバ(5)と、エンボス加工チャンバ(41)と第2のチャンバ(5)との間に所定の圧力差を生成するように構成された加圧システムとをさらに備え、前記共通壁(7)は、少なくとも1つのエンボス加工アクチュエータを備え、前記エンボス加工アクチュエータは、所定の圧力差が加えられたときに原材料を成形するように金型(21、22)のうちの少なくとも1つの金型の移動を生じさせるように構成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形装置(100)のエンボス加工チャンバ(4)の第1の領域に配置されるように意図された原材料(1)から成形品を製造するための前記成形装置(100)であって、
前記エンボス加工チャンバ(4)は、前記第1の領域の両側に配置される金型(21)および対向金型(22)を備え、前記金型(21)は前記エンボス加工チャンバ(4)内でエンボス加工軸(620)に沿って可動であり、
前記成形装置(100)は、前記エンボス加工チャンバ(4)との共通壁(7)を有する作動チャンバ(5)を備え、前記エンボス加工チャンバ(4)および前記作動チャンバ(5)の両方が気密であり、両方同時に、低い内部圧力および/または内部真空を持続させ、維持することが可能であり、
前記成形装置(100)は、前記エンボス加工チャンバ(4)と前記作動チャンバ(5)との間に所定の圧力差を生成するように構成された加圧システム(9)をさらに備え、
前記共通壁(7)は、少なくとも1つのエンボス加工アクチュエータ(6)を備え、前記エンボス加工アクチュエータ(6)は、可動部材(600)を備え、前記可動部材(600)は、前記エンボス加工チャンバ(4)の一部であり前記金型(21)に接続された第1の表面と、前記第1の表面の反対側にあり前記作動チャンバ(5)の一部である第2の表面とを示す剛性プレートであり、前記エンボス加工アクチュエータ(6)は、所定の圧力差が前記エンボス加工チャンバ(4)と前記作動チャンバ(5)との間に加えられたときに前記原材料(1)を成形するように前記金型(21)の移動を生じさせるように構成され、
前記金型(21)は、前記原材料の成形中に前記対向金型(22)と協働するための成形面(210)と、前記エンボス加工要素(6)の第1の表面(600A)に接続された接続面(211)とを示し、前記エンボス加工軸(620)に沿って投影された前記金型(21)の成形面(210)は、同じ前記エンボス加工軸(620)に沿って投影された前記エンボス加工アクチュエータ(6)の第2の表面(600A)よりも小さい、成形装置(100)。
【請求項2】
前記作動チャンバ(5)内の圧力が前記エンボス加工チャンバ(4)内の圧力よりも高い間、前記成形装置(100)を閉鎖状態に保つための機械的ロック兼封止手段を備える、請求項1に記載の成形装置(100)。
【請求項3】
前記封止手段は、膨張可能なジョイントを備える、請求項2に記載の成形装置(100)。
【請求項4】
エンボス加工中に前記金型(21)によって前記対向金型(22)に加えられるエンボス加工圧力は、5バール超、好ましくは20バール超、より好ましくは50バール超である、先行する請求項のいずれか一項に記載の成形装置(100)。
【請求項5】
作動システム(44)は、前記金型(21)が前記エンボス加工方向(620)に沿って前記対向金型(22)に対向していない位置において前記作動チャンバの移動を可能にし、ひいては、前記エンボス加工方向(620)に沿ったアクセスによる成形品のより容易な回収を可能にする、先行する請求項のいずれかに記載の成形装置(100)。
【請求項6】
前記エンボス加工アクチュエータ(6)は、少なくとも1つの変形可能部(601、610、611)を備え、前記変形可能部(601、610、611)は、所定の圧力差の印加によって変形され、前記可動部材(600)の移動を可能にし、前記少なくとも1つの変形可能部(601、610、611)は、前記金型(21、22)のうちの少なくとも一方の金型の平行度自己補正機能を提供するように配置される、先行する請求項のいずれか一項に記載の成形装置(100)。
【請求項7】
前記エンボス加工アクチュエータ(6)は、前記金型(21)を前記可動部材(600)と一体になった状態を維持することを可能にするクランプ手段(23)を備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の成形装置(100)。
【請求項8】
・熱エネルギーを前記原材料(1)に伝達するように構成された加熱要素と、
・前記原材料(1)から熱エネルギーを吸収するように構成された冷却要素と、
を備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の成形装置(100)。
【請求項9】
前記装置(100)は、第1の加熱要素および第2の加熱要素を備え、前記第1の加熱要素は、前記金型(21)に結合され、前記第2の加熱要素は、前記対向金型(22)に結合される、請求項8に記載の成形装置(100)。
【請求項10】
前記装置(100)は、第1の冷却要素および第2の冷却要素を備え、前記第1の冷却要素は、前記金型(21)に結合され、前記第2の冷却要素は、前記対向金型(22)に結合される、請求項8または9に記載の成形装置(100)。
【請求項11】
加熱の熱エネルギーは、前記金型(21)および前記対向金型(22)を介する伝導によって同時に伝達され、冷却の熱エネルギーは、前記金型(21)および前記対向金型(22)を介する伝導によって伝達される、請求項8乃至10のうちのいずれか一項に記載の成形装置(100)。
【請求項12】
前記エンボス加工チャンバ(4)は、第1のフレーム(41)を示し、前記作動チャンバ(5)は、第2のフレーム(51)を示し、前記金型(21)は、前記第1のフレーム(41)に取り付けられ、前記対向金型(22)は、前記第2のフレーム(51)に取り付けられ、前記装置は、前記金型(21)および前記対向金型(22)と、それらがそれぞれ取り付けられるフレーム(41、51)との間に断熱材を備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項13】
先行する請求項のいずれか一項に記載の成形装置(100)によって原材料(1)をエンボス加工するための方法であって、前記方法は、以下の:
・第1の金型(21)の表面の上部に原材料(1)を装填する(LOAD)するステップであって、前記第1の金型(21)は作動チャンバ(5)内に配置され、前記作動チャンバ(5)はエンボス加工チャンバ(4)との共通壁(7)を備える、装填(LOAD)ステップと、
・前記作動チャンバ(5)内の圧力が所定の閾値を超えたときに、前記作動チャンバ(5)を減圧する(DEPRES)ステップと、
・前記エンボス加工チャンバ(4)内の圧力が所定の閾値を超えたときに、前記エンボス加工チャンバ(4)を減圧する(DEPRES)ステップと、
・前記作動チャンバ(5)内の圧力を所定の限界値に到達するまで昇圧する(INCREA)ステップであって、前記所定の限界値は前記エンボス加工チャンバ(4)内の圧力よりも高く、前記所定の限界値は所定のエンボス加工力を生成するように構成される、昇圧(INCREA)ステップと、
・前記作動チャンバ(5)内の圧力を前記エンボス加工チャンバ(4)内の圧力以下の値まで減圧する(DECREA)ステップと、
・前記エンボス加工チャンバ(4)内の圧力を周囲圧力に到達するまで昇圧するステップと、
・任意選択で、前記作動チャンバ(5)内の圧力を周囲圧力に到達するまで昇圧するステップと、
・成形材料を前記第1の金型(21)から取り出す(UNLOAD)ステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
100ミリバールと1バールとの間の第1の範囲、または100ミリバールと周囲圧力との間の第2の範囲における所定の限界値を設定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
・前記エンボス加工チャンバ(4)の減圧ステップの前に、前記原材料(1)を加熱する加熱ステップと、
・前記加熱ステップの後に、前記原材料(1)を冷却する冷却ステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエンボス加工装置およびマイクロエンボス加工方法の分野に関する。より正確には、本発明の分野は、プレート間マイクロホットエンボス加工の技術および装置のようなマイクロ熱成形であり、より具体的には、押圧力増幅機能およびオートレベリング機能を有する真空補助プレート間マイクロホットエンボス加工に関する。
【背景技術】
【0002】
「熱成形」とは、加熱され、その結果軟化した半製品を、3次元延伸によって固定された縁部を有する熱可塑性ポリマーフィルムまたはプレートの形態で成形することを意味する。「マイクロ熱成形」とは、微視的またはマイクロスケールの熱成形、より正確には、マイクロ製品またはマイクロ構造製品の熱成形の略称である。「マイクロ構造製品」とは、マイクロメートル範囲の構造を有し、マイクロ構造の形状によって得られる技術的機能を有する製品を意味する。
【0003】
このような熱成形技術において、成形は、主にフィルムまたはプレートを雌型(雌型成形)または雄型(雄型成形)に成形することによって行われる。
【0004】
他の技術も存在する。例えば、ポリマーマイクロ複製は、加熱されたポリマー材料の溶融液相において既に成形が行われているマイクロ射出成形一次成形プロセスなどのプロセスによって実現され得る。
【0005】
マイクロ熱成形は、加熱されたポリマーが強く軟化しているが依然として固体相において成形が行われる成形プロセスである。
【0006】
マイクロ熱成形プロセスの1つの利点は、熱成形されたマイクロ部品が、マイクロスケール寸法においてのみ現れ、それらの異常形態に起因する追加の特異的性質を有することである。特に、熱成形されたマイクロ流体構造は、数マイクロメートル程度の厚さの薄い壁を有する、チャネルおよびリザーバなどのマイクロキャビティを示し得る。熱成形されたマイクロ部品の特異的性質は、とりわけ、高い可撓性、小さい容積ならびに質量、低い耐熱性ならびに熱容量、および低い吸光度およびバックグラウンド蛍光である。
【0007】
マイクロ熱成形プロセスの他の利点は、成形されるフィルムの改質が、材料のコヒーレンスにより、成形ステップを超えて保存された状態で維持されることである。これは、3次元的に成形されたフィルムまたは膜の表面およびバルクの改質および機能化、すなわち高度に解像されたマイクロパターンおよびナノパターンのような改質および機能化を可能にする。別の利点は、3次元的に成形されたフィルムの全ての側面上に、すなわち、ほとんどアクセスできない側壁上に、さらにはアンダーカットの後ろにパターンが生成され得ることである。したがって、例えば、3次元細胞培養のための熱成形チップには、細孔、細胞付着パターン、表面トポロジーおよび電極が設けられ得る。
【0008】
一般にポリマーマイクロ複製用、特にマイクロ熱成形用の金型は、機械的マイクロマシニング、「LIGA」プロセスとも呼ばれる電気めっきと組み合わせたリソグラフィベースの方法、および湿式または乾式エッチングなどの様々な方法によって作製され得る。
【0009】
ポリマーシートに適用されるマイクロ熱成形プロセスを実行する1つの方法は、「ホットエンボス加工」プロセスであり、このプロセスは、ポリマーシートの温度をそのガラス転移温度の直上まで上昇させ、加熱されたマスタープレートをポリマーに押し付けて、複製されるキャビティを充填するように材料の局所的な流れを引き起こすことに基づく。この技術は、他の複製技術と比較して、特に、その実装に関連する比較的単純な設定および低コストのために、近年ますます注目を集めている。比較的高いアスペクト比の特徴部は、数百マイクロメートルから数ナノメートルまでの広範囲の構造寸法でホットエンボス加工によって複製され得る。
【0010】
種々のホットエンボス加工技術が存在する。プレートツープレート、ロールツープレートおよびロールツーロールを含む3つのタイプのマイクロホットエンボス加工が、大面積パターン化ポリマーフィルムに対する高まる需要に対応するために次々と開発されてきた。
【0011】
プレートツープレートホットエンボス加工に関して、この技術は、可動プレートを固定プレートに対向させて圧力を加えることによってホットエンボス加工を行うことに基づく。この技術は特定の装置の使用を必要とするが、これらの装置は市販されており、産業において毎日日常的に使用されている。さらに、従来のプレートツープレート方法に基づく効率、均一性および複製速度を改善するために、マイクロホットエンボス加工において、ゴム補助、超音波補助およびガス補助などのいくつかの技術革新が提案されている。
【0012】
これらの従来のホットエンボス加工技術に関する1つの未解決の問題は、システムの精度が、作成された構造体の成形特徴部の不均一性および歪みをもたらし得ることである。実際に、ホットエンボス加工が行われるときに、上型および下型は、一般に固定位置で使用され、したがって、アライメントおよび平行度は、設置時に設定される。しかしながら、マイクロメートルの範囲では、アライメントおよび平行度の影響が顕著になっている。固定金型を有するそのような構成では、成形部品は、設置時の金型のミスアライメントのために不利に位置決めされ得る。
【0013】
さらに、従来のホットエンボス加工は、一般に、エンボス加工に必要な力を伝達するために、油圧システムおよび頑丈で嵩高い要素を使用する。その結果、設備は比較的重く嵩張ることになる。さらに、従来のホットエンボス加工は、最大で数トンまでの大きな力を発生させる油圧システムを使用するので、この種の設備は、可動部品において身体の一部を挟むことにより使用者が負傷する固有のリスクを有する。
【0014】
また、従来のホットエンボス加工では、いくつかのガスポケットが金型特徴部と熱可塑性層との間に捕捉され得る。場合によっては、ガスポケットは、エンボス加工中に排出されず、不適切に成形された特徴部またはエンボス加工部品内の気泡含有につながる可能性がある。
【0015】
しかしながら、真空補助ホットエンボス加工は、プレートを移動させることによって熱可塑性基材に力が加えられるのではなく、静水圧によって熱可塑性基材に直接力が加えられる、プレートツープレートホットエンボス加工の代替形態である。通常、熱可塑性基材は、放射によって熱的に軟化され、側方クランプによって金型の上方に保持される薄層であり得る。この技術では、例えば、大気圧またはより高い圧力が熱可塑性基材の他方の側に設定された状態で、金型領域において、熱可塑性基材の一方の側が真空にされる。
【0016】
真空補助ホットエンボス加工技術を使用するいくつかの解決策が、例えば、CN1624586A(中国特許出願公開第1624586号公報)またはEP 1 244 939A1(欧州特許出願公開第1244939号公報)に記載されている。
【0017】
これらの真空補助ホットエンボス加工技術の1つの問題は、部品の両面に特徴部を形成するために剛性の対向金型を使用することと相反するということである。実際には、良好なアライメントで、最初に形成された特徴部を損傷することなく、連続して部品の両面に特徴部を形成することは困難である。この問題は重要な欠点である。これらの真空補助ホットエンボス加工技術の別の問題は、高いエンボス加工圧力に到達することができないことであり、このことは、エンボス加工時間の増加および製造され得る部品の厚さの減少につながる。真空補助ホットエンボス加工技術は、一般に、圧力差間の界面として、エンボス加工される比較的薄い熱可塑性層を使用する。その場合、エンボス加工層に加えられる最大圧力は、熱可塑性層の一方の側に生成されている真空と熱可塑性層の他方の側に加えられる圧力との間の圧力差に等しい。したがって、大気圧を使用する従来の真空エンボス加工は、約1バールのエンボス加工圧力に制限され、エンボス加工時間を増加させ、厚い熱可塑性層のエンボス加工を妨げる。
【0018】
したがって、コンパクトな解決策を使用し、ガスポケットおよび金型のミスアライメントの排除を保証する、様々な種類の原材料のためのエンボス加工技術が必要である。
【発明の概要】
【0019】
この目的のために、本発明の主体は、成形装置のエンボス加工チャンバの第1の領域に配置されるように意図された原材料から成形品を製造するための成形装置であって、
前記エンボス加工チャンバは、第1の領域の両側に配置される金型および対向金型を備え、金型はエンボス加工チャンバ内でエンボス加工軸に沿って可動であり、
成形装置は、エンボス加工チャンバとの共通壁を有する作動チャンバを備え、エンボス加工チャンバおよび作動チャンバの両方が気密であり、両方同時に、低い内部圧力および/または内部真空を持続させ、維持することが可能であり、
成形装置は、エンボス加工チャンバと作動チャンバとの間に所定の圧力差を生成するように構成された加圧システムをさらに備え、
前記共通壁は、少なくとも1つのエンボス加工アクチュエータを備え、前記エンボス加工アクチュエータは、可動部材を備え、前記可動部材は、エンボス加工チャンバの一部であり金型に接続された第1の表面と、第1の表面の反対側にあり作動チャンバの一部である第2の表面とを示す剛性プレートであり、エンボス加工アクチュエータは、所定の圧力差がエンボス加工チャンバと作動チャンバとの間に加えられたときに原材料を成形するように金型の移動を生じさせるように構成され、
金型は、原材料の成形中に対向金型と協働するための成形面と、エンボス加工要素の第1の表面に接続された接続面とを示し、エンボス加工軸に沿って投影された金型の成形面は、同じ前記エンボス加工軸に沿って投影されたエンボス加工アクチュエータの第2の表面よりも小さい、成形装置である。
【0020】
一実施形態によれば、成形装置は、作動チャンバ内の圧力がエンボス加工チャンバ内の圧力よりも高い間、装置を閉鎖状態に保つための機械的ロック兼封止手段を備える。
【0021】
封止手段は、膨張可能なジョイントを備え得る。
【0022】
別の実施形態によれば、エンボス加工中に金型によって対向金型に加えられるエンボス加工圧力は、5バール超、好ましくは20バール超、より好ましくは50バール超である。
【0023】
別の実施形態によれば、作動システムは、金型がエンボス加工方向に沿って対向金型に対向していない位置において作動チャンバの移動を可能にし、ひいては、エンボス加工方向に沿ったアクセスによる成形品のより容易な回収を可能にする。
【0024】
さらに、エンボス加工アクチュエータは、少なくとも1つの変形可能部を備え得、前記変形可能部は、所定の圧力差の印加によって変形され、可動部材の移動を可能にし、前記少なくとも1つの変形可能部は、金型のうちの少なくとも一方の金型の平行度自己補正機能を提供するように配置される。
【0025】
エンボス加工アクチュエータは、金型を可動部材と一体になった状態を維持することを可能にするクランプ手段を備え得る。
【0026】
さらなる実施形態によれば、成形装置は、
・熱エネルギーを原材料に伝達するように構成された加熱要素と、
・原材料から熱エネルギーを吸収するように構成された冷却要素と、
を備える。
【0027】
エンボス加工チャンバは、第1のフレームを示し得、作動チャンバは、第2のフレームを示し得、金型は、第1のフレームに取り付けられ、対向金型は、第2のフレームに取り付けられ、該装置は、金型および対向金型と、それらがそれぞれ取り付けられるフレームとの間に断熱材を備える。
【0028】
該装置は、第1の加熱要素および第2の加熱要素を備え得、第1の加熱要素は金型に結合され、第2の加熱要素は対向金型に結合される。
【0029】
該装置は、第1の冷却要素および第2の冷却要素を備え得、第1の冷却要素は金型に結合され、第2の冷却要素は対向金型に結合される。
【0030】
一実施形態では、加熱の熱エネルギーは、金型および対向金型を通した伝導によって同時に伝達され得、冷却の熱エネルギーは、金型および対向金型を通した伝導によって伝達される。
【0031】
一実施形態によれば、エンボス加工アクチュエータは、エンボス加工軸に沿って所定の方向に移動する少なくとも1つの可動部材を備え、前記エンボス加工軸は、共通壁の平面に垂直である。
【0032】
一実施形態によれば、エンボス加工アクチュエータは、少なくとも1つの変形可能部を備え、前記変形可能部は、所定の圧力差の印加によって変形され、可動部材の移動を誘発し、前記少なくとも1つの変形可能部は、金型のうちの少なくとも一方の金型の平行度自己補正機能を確保するように配置される。
【0033】
一実施形態によれば、変形可能部は、少なくとも可撓性膜または可撓性ヒンジを備える。
【0034】
一実施形態によれば、エンボス加工アクチュエータは、金型を可動部材と一体になった状態を維持することを可能にするクランプ手段または固定手段を備える。
【0035】
一実施形態によれば、成形装置は、チャンバ内に配置された少なくとも1つの圧力測定装置を備える。
【0036】
一実施形態によれば、加圧システムは、
・エンボス加工チャンバ内に大気圧を生成するように構成された大気圧調整器、
・作動チャンバ内に大気圧を生成するように構成された大気圧調整器、
・エンボス加工チャンバ内の圧力を調整するように構成された圧力調整器、
・作動チャンバ内の圧力を調整するように構成された圧力調節器、および/または
・電磁弁に結合され、少なくとも1つのチャンバの内部に真空または真空圧力に近い圧力を生成するように構成された少なくとも1つの真空ポンプ
を備える。
【0037】
一実施形態によれば、加圧システムは、
・エンボス加工チャンバを圧力源に接続する弁と、
・エンボス加工チャンバを真空源に接続する弁と、
・作動チャンバを真空源に接続する弁と、
・作動チャンバを圧力源に接続する弁と
を備える。
【0038】
一実施形態によれば、加熱の熱エネルギーは、金型を通した伝導によって伝達され、冷却の熱エネルギーは、対向金型を通した伝導によって伝達される。
【0039】
本発明の別の主体は、前述の特徴部のいずれか1つを示し得る成形装置によって原材料をエンボス加工する方法であり、前記方法は、以下の:
・第1の金型の表面の上部に原材料を装填する(LOAD)するステップであって、前記第1の金型は作動チャンバ内に配置され、前記作動チャンバはエンボス加工チャンバとの共通壁を備える、装填(LOAD)ステップと、
・作動チャンバ内の圧力が所定の閾値を超えたときに、作動チャンバを減圧する(DEPRES)ステップと、
・エンボス加工チャンバ内の圧力が所定の閾値を超えたときに、エンボス加工チャンバを減圧する(DEPRES)するステップと、
・作動チャンバ内の圧力を所定の限界値に到達するまで昇圧する(INCREA)ステップであって、前記所定の限界値はエンボス加工チャンバ内の圧力よりも高く、前記所定の限界値は所定のエンボス加工力を生成するように構成される、昇圧(INCREA)ステップと、
・作動チャンバ内の圧力をエンボス加工チャンバ内の圧力以下の値まで減圧する(DECREA)ステップと、
・エンボス加工チャンバ内の圧力を周囲圧力に到達するまで昇圧するステップと、
・任意選択で、作動チャンバ内の圧力を周囲圧力に到達するまで昇圧するステップと、
・成形された材料を第1の金型から取り出す(UNLOAD)ステップと、
を含む。
【0040】
一実施形態によれば、該方法は、100ミリバールと1バールとの間の第1の範囲、または100ミリバールと周囲圧力との間の第2の範囲における所定の限界値を設定することを含む。
【0041】
さらなる実施形態によれば、該方法は、
・エンボス加工チャンバ(4)の減圧ステップの前に、原材料(1)を加熱する加熱ステップと、
・加熱ステップの後に、原材料(1)を冷却する冷却ステップと、
を含む。
【0042】
本発明の特徴および利点は、単なる例として添付図面を参照しながら示されている、本発明のエンボス加工するための成形装置およびエンボス加工方法の実施形態についての以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1a】本発明の装置の一実施形態に従って配置された金型および対向金型の概略表現である。
図1b】エンボス加工動作中の図1aの金型および対向金型の概略表現である。
図2a】本発明の一実施形態に係る装置の2つのチャンバを分離する共通壁の概略表現である。
図2b】成形のアライメントを改善するための変形可能要素を備える、図3aの実施形態の変形である。
図3a】エンボス加工チャンバにアクセスするための側方ドアを備える本発明の装置の一例である。
図3b図3aの側方ドアを通して原材料を操作するための取扱装置に関連付けられた装置の一例である。
図4a】エンボス加工動作の前に原材料を装填し、エンボス加工操作の後に原材料を取り出すことを可能にする可動作動チャンバを備える本発明の装置の一例である。
図4b】原材料取扱具を備えたリニアアクチュエータおよび/またはロータリアクチュエータを備える電気機械システムと結合された図4aの装置の一例である。
図5a】2つのチャンバを確実に封着する接合部によって前記チャンバが分離される、本発明の装置の一例である。
図5b】エンボス加工チャンバ内の原材料の装填および取り出しの少なくとも1つのリニアガイドおよび/またはアクチュエータと結合された図5aの装置の一例である。
図6】加圧システムを示す、本発明の装置の一例である。
図7a】開放構成において、材料の装填および取り出しのための容易なアクセスを維持しながら、高いエンボス加工圧力を可能にするように構成される、本発明に係る装置の一例の概略断面図である。
図7b】閉鎖構成で示された図7aの装置例である。
図8】本発明に係る方法によって実施されるステップの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
装置
図1aおよび図1bは、本発明に係る成形装置100の一部を示し、原材料1が配置されることが意図される領域に焦点を当てた概略図である。「原材料」とは、「基材」と呼ばれる場合もある。
【0045】
原材料1は、熱可塑性基材であり得る。原材料1は、エンボス加工される材料に相当する。本発明の装置は、COC、PMMA、LDPE、HDPEなどの任意の熱可塑性材料のエンボス加工を可能にする。
【0046】
これらの概略図において、上型22は下型21に対向している。上型22および下型21は、原材料1を成形するために協働する2つの金型を形成する。これらはまた、金型21および対向金型22として一緒に記載される場合もある。図1aは、2つの金型21、22が原材料1を押圧するために係合されていないときの成形装置を示している。
【0047】
金型21は、金型エンボス加工面210を備え、対向金型22は、原材料1を成形するために協働するための対向金型エンボス加工面220を備える。
【0048】
原材料1の片側のみがエンボス加工される必要がある用途では、基板の反りまたは粗面化を回避するために、上型22は平坦で研磨される。
【0049】
下型21は、例えば熱可塑性基材をエンボス加工するために、そのエンボス加工面210に3次元特徴部を呈する。一実施形態によれば、下型21は、3次元特徴部を有する金型である。ほとんどのポリマーは、金属よりも高い熱係数を有し、その結果、加熱された基材が金型21内を流れ落ちたときに、得られたエンボス加工基材は、冷却後に金型の特徴部上に「付着」しやすくなる。
【0050】
別の実施形態では、両方の型21、22は、原材料1の両面を型押しするように構成された特徴部を備える。この状況では、一例によれば、エンボス加工容積は、上型22上よりも下型21の方が大きい。1つの利点は、確実に原材料1が下型21上に優先的に付着することである。
【0051】
一実施形態では、型21、22は、マイクロマシニング、リソグラフィ、または電気めっきによって作製される。1つの利点は、マイクロホットエンボス加工用途にこれらの金型を使用することである。金型は、例えば、銅、黄銅または鋼などの金属で作製される。ホットエンボス加工用途では、高い熱伝導率を有する合金が好ましい。
【0052】
図1bは、原材料1を成形して成形品を作製するために2つの金型21、22が押圧するときの図1aに示された成形装置100の概略図である。
【0053】
一実施形態では、金型21および対向金型22の表面は、セルフアライメント幾何学的特徴部を備える。相補的な凹凸の四角錐が、両方の金型21、22のエンボス加工面210上に配置され得る。位置合わせされた凹凸の四角錐の各対は、相補的な幾何学的形態として協働する。
【0054】
代替として、または組み合わせて、金型21および対向金型22は、エンボス加工方向620に沿って位置合わせされる幾何学的セルフアライメント特徴部を有し得る。これらのセルフアライメント特徴部は、原材料1の輪郭の外側に設計され得る、または原材料1が配置される領域に設計された穴を通してエンボス加工方向620に沿って位置合わせされ得る。
【0055】
共通壁7は、エンボス加工チャンバ4と呼ばれる上部チャンバを、作動チャンバ5と呼ばれる第2のチャンバから分離する。したがって、本発明の装置100は、作動チャンバ5と、エンボス加工チャンバ4と、2つのチャンバ4、5によって共有され、それらを分離する共通壁7とを備える。エンボス加工チャンバ4は、金型21および対向金型22を備える。対向金型22はエンボス加工チャンバ4内で固定されており、金型21はエンボス加工チャンバ4内でエンボス加工軸620に沿って移動可能である。
【0056】
エンボス加工チャンバ4は、作動チャンバ5の深さよりも浅い深さを有し得る。
【0057】
各々のチャンバ4、5は、金属合金、強いプラスチック、複合材料などの剛性の頑丈な材料で作製される。
【0058】
共通壁7は、金型21をエンボス加工軸620に沿って所定の方向(「エンボス加工方向」と呼ばれる)に係合させるために共通壁7の少なくとも1つの要素の移動および/または変形を生じさせるエンボス加工アクチュエータ6を備える。このエンボス加工方向620は、上型22を含む平面に垂直である。エンボス加工アクチュエータ6は、所定の圧力差が作動チャンバ5内に印加されたときに原材料1を成形するように金型21の移動を生じさせるように構成される。
【0059】
したがって、本発明の装置は、2つのチャンバ、すなわちエンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5を備える。これらのチャンバのいくつかの例が、図3a、図3b、図4a、図4b、図5a、図5bに示されている。
【0060】
エンボス加工チャンバ4は、原材料のエンボス加工が行われる装置の一部である。一例によれば、エンボス加工は真空下で実現される。このエンボス加工方法は、エンボス加工プロセス中のガス干渉のリスクを低減する。
【0061】
図2a、図2b、図3a、図3b、図4a、図4b、図5aおよび図5bに示されるいくつかの実施形態では、この共通壁7は、エンボス加工アクチュエータ6が位置決めされる開口部71を備える。
【0062】
エンボス加工アクチュエータ6は、2つのチャンバ4、5間の圧力差の影響下で移動または変形するように設計される。その目的は、金型21、原材料1および対向金型22を含む積層体を加圧してエンボス加工を行うことである。チャンバ4とチャンバ5との間の圧力差の変化から生じるエンボス加工アクチュエータ6の移動は、エンボス加工移動と呼ばれ、その平均方向は、エンボス加工軸620に沿ったエンボス加工方向620に対応する。
【0063】
したがって、作動チャンバ5とエンボス加工チャンバ4との間の圧力差が所定の閾値を超えたときに、金型21は、原材料1を対向金型22に対して加圧するように作動される。セルフアライメント幾何学的特徴部(もしあれば)および原材料1の変形能は、金型21と対向金型22との間の位置合わせされた加圧を保証する。
【0064】
各図から分かるように、実施形態にかかわらず、エンボス加工アクチュエータ6は可動部材600を備える。これらの実施形態では、前記可動部材600は剛性プレートである。
【0065】
「プレート」という用語の意味は広義に解釈され、可動部材600は、例えば、四角錐形状または湾曲形状などの任意の種類の形状を示し得る。図示されている実施形態では、可動部材600は、エンボス加工方向に沿ってエンボス加工チャンバから見た場合に第1の表面600Aを示し、エンボス加工方向に沿って作動チャンバ5から見た場合に第2の表面600Bを示している。したがって、2つの表面600A、600Bは互いに対向している。2つの表面600A、600Bは、互いに実質的に平行であり得る。第1の表面600Aは、エンボス加工チャンバ4の一部であり、金型21に接続される。第2の表面600Bは、第2のチャンバ5の一部である。
【0066】
可動部材600は、金型21を支持する。可動部材600は、エンボス加工軸620に沿って、共通壁7に垂直なエンボス加工方向620に移動する。所与の例では、エンボス加工方向620は垂直方向と一致する。
【0067】
可動部材600は、有意な変形および破壊なしに、圧力差から生成された力を伝達するのに十分な剛性を有する。可動部材の厚さは、その表面600A、600Bに加えられる圧力差と、可動部材の材料の機械的特性とに従って構成される。一例によれば、可動部材600は、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金をベースとする材料で作製され得る。より精密な実施形態では、可動部材600は、最小重量で使用される構成において耐荷重および力伝達のために最適化された形状および組成を有し得る。さらに、金型21、22に加えられる圧力は、可撓性膜610に取り付けられた可動部材600を使用することによって、圧力差よりも高い圧力であり得る。
【0068】
したがって、共通壁7は、可動部材600の変位を可能にするジョイント610などの少なくとも1つの変形可能要素を備える。
【0069】
既に述べたように、金型21は、原材料の成形中に対向金型22と協働するための成形面210を示す。金型21はまた、可動要素600の第1の表面600Aに接続された接続表面211を示す。金型21の成形面210は、エンボス加工軸620に沿って投影されたときに、エンボス加工アクチュエータ600の第2の表面600Bの同じエンボス加工軸620に沿って投影された表面よりも小さくなり、圧力差よりも大きいエンボス加工圧力をもたらす。
【0070】
可動部材600と第1の表面600Aの質量の比率は、好ましくは100g/cm未満であり、より好ましくは50g/cm未満である。第1の表面600Aは、エンボス加工アクチュエータ6の表面によって定義される。一例では、エンボス加工アクチュエータ6の表面は、エンボス加工方向620に沿って投影される可動部材600の表面である。1つの利点は、これらの比が、重量の力を考慮して、高い有効圧力増幅を可能にすることである。
【0071】
アセンブリは、2つのチャンバ4、5間のガス漏れを防止し、チャンバ間の圧力差を設定および変化させることを可能にする。
【0072】
エンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5は気密であり、周囲圧力との負の圧力差を持続させ、維持し、エンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5内の真空を同時に設定することを可能にする低圧を持続させ、維持するように考案されている。
【0073】
エンボス加工チャンバ4は、周囲圧力による負圧を受け得、エンボス加工チャンバ4の内部が中真空下にあるとき、その外表面に大気圧が分布し、前記中真空は、約3×10~1×10-1Paの範囲である。
【0074】
エンボス加工チャンバ4のフレームは、圧力差PAtmospheric-Pを持続させることができるように構成されており、Pはエンボス加工チャンバ4内の圧力である。
【0075】
さらに、エンボス加工チャンバ4のフレームは、金型21、22を介してエンボス加工チャンバ4の壁に加えられる圧力の集中化を持続させるように構成される。より正確には、作動チャンバ5とエンボス加工チャンバ4との間の最大圧力差によるエンボス加工ステップ中の対向金型22へのエンボス加工圧力は、エンボス加工チャンバ4の壁に危険な歪みおよび応力を引き起こしてはならない。特に、本発明の装置100は、エンボス加工チャンバ4の壁に加わる局所的に過度な圧力を回避するために、調整された機械的設計を有する最小限の寸法以上の金型21、22と共に使用される必要がある。動作を安全にするために、本発明の装置100は、典型的には、機械的補強材および/またはエンボス加工チャンバ4の壁に加わるエンボス加工圧力を分配するための手段を備える。典型的な手段としては、金型22とエンボス加工チャンバ4のフレーム41との間のプレート(図示せず)の位置決めが挙げられる。
【0076】
作動チャンバ5は、その内部と、エンボス加工チャンバ4に含まれるその外表面との間、および周囲空気にさらされるその外表面との間の正および負の両方の圧力差を受け得る。前記内部圧力は、大気圧と中真空との間の圧力であり得る。
【0077】
したがって、作動チャンバ5のフレームは、少なくとも以下を持続させることができるように構成される。
・負の圧力差PAtmospheric-P、ここでPは、作動チャンバ5の内部の圧力であり、作動チャンバ5の外面は大気圧にさらされている、
・正の圧力差P-P、ここで、圧力Pは周囲圧力以上の圧力であり得、Pは中真空圧力であり、その外表面はエンボス加工チャンバ4内の圧力にさらされている。
【0078】
エンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5は、上述の圧力差を持続させるように機械的に補強され得る。そのような機械的補強手段は、フレームプロファイルおよび厚い金属板の使用を含み得る。
【0079】
さらに、成形装置100は、作動チャンバ5内の圧力がエンボス加工チャンバ4内の圧力よりも高い間、成形装置100を閉鎖状態に保つための機械的ロック兼封止手段81、82を備え得る。
【0080】
機械的ロック手段81、82は、好ましくは、軽量であり、低電力アクチュエータを必要とするように構成される。
【0081】
可動部材600と金型とのアセンブリは、周囲圧力よりも高い圧力の流体を使用せずに、比較的高いエンボス加工圧力に到達することを可能にする特定の剛性を有する。実際に、2つのチャンバ間の圧力差は、金型エンボス加工表面に集中し、したがって、2つのチャンバ間の圧力差を増大させる。
【0082】
一実施形態では、金型21およびエンボス加工アクチュエータ6、特に可動部材600は、所定の限界値未満の重量を有する。例えば、これらは、到達可能なエンボス加工圧力を最大化するために必要とされる圧力と比較して軽量であるように構成される。これは、組み合わされたときのこれらの部品の単位面積当たりの重量が、比率では、2つのチャンバ間の圧力差が0.9バールに等しいときにエンボス加工アクチュエータ6に加わる圧力の30%未満、好ましくは10%未満であることを意味する。
【0083】
エンボス加工アクチュエータ6の剛性部品または可動部材600は、回転および並進の6つの剛性移動軸の各々に沿ってある程度の自由度を有し得る。
【0084】
エンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5内の真空を同時に設定することは、エンボス加工のための予備ステップであり、金型21、原材料1、および対向金型22の加圧をもたらし得る圧力差をまだ印加せずに、エンボス加工チャンバ4の脱気を可能にする。この加圧により、エンボス加工プロセスを妨害し得る閉じ込められた気泡の存在を回避することが可能になる。変形例として、作動チャンバ5は、エンボス加工チャンバ4からガスが除去される前にエンボス加工が開始されることを回避するために、エンボス加工チャンバ4の前に減圧され得る。
【0085】
チャンバ4、5は、とりわけ、ねじまたはリベットを有する固定具、ブラケット、溶接、およびそれらの組み合わせを含む任意の適切な手段によって組み立てられた金属または合金のビームおよびプレートなどの構造要素を備える。1つの利点は、周囲圧力における減圧抵抗を達成することである。
【0086】
2つのチャンバ4、5の気密性は、溶接、トロイダルジョイントなどのジョイントの追加、またはジョイント材料の蒸着、および任意の同様の手段を含む、この機能に適合された任意の手段によって達成され得る。
【0087】
両方のチャンバ4、5は、エンボス加工動作を可能にするために、ガス源、圧力源もしくは真空源および/またはセンサとの接続を可能にするポートを備えることが好ましい。ポートは、各チャンバ4、5のフレーム内の貫通開口部と、前記開口部と協働する接続手段とによって実現され得る。
【0088】
一例によれば、本発明の装置は、両方のチャンバ4、5が同時に100ミリバール未満の圧力に減圧され、900~1100ミリバールの周囲圧力に再加圧される少なくとも100サイクルを持続させるように構成され得る。
【0089】
図2aは、エンボス加工アクチュエータ6が可動部材600と、第1のクランプ手段72によって共通壁7にクランプされ、第2のクランプ手段612によって可動部材600にクランプされたエラストマー膜で作製されたジョイント610とを備える実施形態の断面図である。膜610は、対称的に変形され、適切な配置、例えば、圧力差下での可動部材600の移動方向(エンボス加工方向620)が確実に共通壁の平面に対して垂直になるように、2つの対称面が互いに垂直であり、共通壁の平面に対して垂直である配置をもたらす。
【0090】
この例では、ジョイント610は、クランプ手段によって生成されたクランプ力によってクランプされる。一例では、クランプ手段は可動部材600にねじ留めされ得る。
【0091】
別の実施形態(図示せず)によれば、変形可能部は、共通壁7の固定部分に取り付けられた第1の側部と、可動部材600に取り付けられた第2の側部とを有する可撓性ヒンジを備え得る。このような可撓性ヒンジは、エンボス加工方向620への可動部610の移動を生じさせるために、2つのチャンバ4、5間の圧力差によって対称的に変形されるように構成される。
【0092】
この例では、金型21は、第3のクランプ手段23によって可動部材600に取り付けられる。
【0093】
可撓性ジョイント610は、最高で350℃までのホットエンボス加工動作に十分な弾性および延性を有し得る。 シリコーンゴムやポリウレタンなどの耐熱性エラストマーが使用され得る。ジョイント610の幅および厚さは、目標垂直変位および材料の弾性に従って構成される。
【0094】
図2bは、図2aの実施形態の変形形態を示しており、エラストマーシートなどの変形可能部601が、金型縁部における圧力集中を回避するために、可動部材600と金型21の接続面との間に配置されている。そのような変形可能要素601はまた、本発明の平行度自己補正特徴にも寄与し得る。この実施形態の1つの利点は、金型21および対向金型22のアライメントまたは平行度の補正の必要性を低減するまたは抑制することである。
【0095】
変形可能要素601の存在に適合し、図示されていない一実施形態によれば、エンボス加工アクチュエータ6は、エンボス加工方向に垂直な任意の軸に沿った回転自由度を備える。このような構成では、2つのチャンバ4、5間に圧力差が加えられると、エンボス加工アクチュエータ6は、金型21の回転を生じさせて、両方の表面210、220を本質的に平行にすることが可能になり得る。圧力差の印加は、各金型の2つの表面210、220間の任意の残留角を除去することを目的とする。一例によれば、2つのチャンバ4、5間の圧力差が200ミリバール未満であることにより、2つの表面210、220間を平行にすることが可能になる。金型が直接接触により互いに損傷することを回避するために、変形可能な材料の層(例えば、エンボス加工材料シート1)を用いてそのような試験を行うことが好ましいことに留意されたい。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、エンボス加工アクチュエータ6は、2つのチャンバ4、5間の適度な圧力差によって大きなエンボス加工移動振幅を生成するように構成される。さらに、一方では、可撓性ジョイントおよび剛性プレートなどのエンボス加工アクチュエータ6の材料、他方では、それらの間の部品の配置は、メンテナンスの必要性を低減するために、エンボス加工アクチュエータ6がそのような大きなエンボス加工移動振幅の繰り返しを持続させるように選択され、構成され得る。
【0097】
本発明の装置100と共に使用され得る構成は、エンボス加工チャンバ4が10ミリバール未満の圧力に設定された、2mmの振幅の最小エンボス加工周期的移動を生じさせるエンボス加工アクチュエータ6である。そのような例では、作動チャンバ圧力は、エンボス加工チャンバ圧力と前記圧力を上回る500ミリバールとの間に含まれる範囲内で、毎秒1ミリバール未満の割合で変更される。この構成の1つの利点は、高いまたは深い特徴部を有する部品の製造のために十分なエンボス加工距離が実現可能であることである。
【0098】
本発明の1つの利点は、金型21および対向金型22のアライメントまたは平行度の補正の必要性を低減または抑制することである。
【0099】
図3aおよび図5aは、それぞれの第1のフレーム41を有するチャンバ4および第2のフレーム51を有するチャンバ5を表す。より正確には、エンボス加工チャンバ4は第1のフレーム41を示し、作動チャンバ5は第2のフレーム51を示す。この構成では、上型22は、フレーム41と一体であり、下型21は、エンボス加工アクチュエータ6と一体であり、その接続面211によって可動要素600の第1の表面600Aに接続される。
【0100】
この構成では、本発明の装置100は、エンボス加工アクチュエータ6が原材料1をエンボス加工した後にその位置に戻るときに、前記エンボス加工アクチュエータ6の移動を制限するための少なくとも1つの機械的止め部52を備え得る。これは、作動チャンバ5の第2のフレーム51に取り付けられた接触パッドを用いて行われ得る。接触パッドは、エンボス加工移動制限部52として作用する。
【0101】
機械的止め部がなければ、エンボス加工アクチュエータ6の圧力に対する静抵抗が低い場合、エンボス加工アクチュエータ6は、非常に大きく移動し、また過度の変形によりエンボス加工アクチュエータ6、特にジョイント610の損傷を引き起こす可能性がある形で移動する場合もある。損傷は、エンボス加工アクチュエータ6およびエンボス加工アクチュエータ6に取り付けられた金型ならびに他の付属品の重量の影響下で発生し得る。したがって、図3aおよび図5aに示すように、機械的止め部を配置して、エンボス加工アクチュエータ6の移動中に露出した部品を保護することが有利である。
【0102】
作動チャンバ5内の機械的止め部と組み合わせられ得る一実施形態によれば、静止圧力差を維持して、そのような重量の力に対抗し、作動チャンバ5に向かうエンボス加工アクチュエータ6の変位を制限し得る。
【0103】
図3aの例および図5aの例では、金型22は、クランプ手段23によってエンボス加工チャンバ4のフレームに取り付けられる。
【0104】
図3aおよび図5aは、ドア42によって閉鎖され得る開口部を備える作動チャンバ5の一例を示している。図3aおよび図5aの例では、開口部は、原材料1が上型22と下型21との間に含まれる第1の領域に配置され得るように、エンボス加工チャンバ4のフレームの側面に設計される。
【0105】
この構成は、原材料1を装填し、エンボス加工プロセス後にエンボス加工された材料を取り出すことを可能にする。ドアはエンボス加工動作(単数または複数)の前後に開かれ、ドアはエンボス加工動作中には閉じられる。一実施形態によれば、ドア42は、単純な回転および/または平行移動ドアである。好ましい実施形態では、開口部は、エンボス加工チャンバ4のフレーム41の一部に形成され、前記部分は、共通壁7には形成されない。
【0106】
ドア42および開口部は、気密性を確保するように設計されている。ガス漏れを最小限に抑えるために、ドア42と協働するように、開口部の周りにシールまたはジョイント45が配置され得る。エンボス加工チャンバ4の気密性を可能にする気密ジョイント45は、ドア42とエンボス加工チャンバ壁との間に位置する、例えばシリコーンもしくはポリウレタンフォーム製の変形可能膜、またはOリングであり得る。
【0107】
この実施形態では、開口部は、エンボス加工チャンバ4内で原材料1を装填し、取り出すのに十分な大きさであることが好ましい。なお、原材料1の装填および取り出しは、手動で行われ得る。
【0108】
図3bおよび図5bは、図3aおよび図5aの本発明の装置100の一例を示しており、装填動作および取り出し動作は、原材料1取扱具を備えたリニアアクチュエータおよび/またはロータリアクチュエータを備える電気機械システム11によって行われる。
【0109】
図4aは、本発明の実施形態の別の例を示す。この例では、作動チャンバ5はドア42と一体である。このような構成では、作動チャンバ5および第2のフレーム51は、ドア42に取り付けられ得る、またはドア42の一部であり得る。ここでも、ジョイント45は、フレーム51とのドア接合部における気密性を確保する。
【0110】
図4aにおいて、作動チャンバ5およびドア42は、エンボス加工チャンバ4のキャビティから完全にまたは部分的に移動され得、このことにより、エンボス加工の前後に原材料1を挿入するまたは取り出すために金型21へのアクセスが容易になる。作動チャンバ5の第2のフレーム51と一体である共通壁7は、エンボス加工チャンバ4によって形成されたキャビティの外側で作動チャンバ5と共に摺動する。
【0111】
作動チャンバ5が下型21を支承し、エンボス加工チャンバ4が上型22を支承し、前記上型22が装置フレームに固定されている場合、エンボス加工動作の後、成形された基材は、移動する下型21に付着し、したがって、別の段で下型から取り外され得る。図4bは、作動チャンバ5がエンボス加工チャンバ4によって形成されたキャビティから引き出される構成を示す。対応する移動は、エンボス加工チャンバ装填移動43と呼ばれる。
【0112】
この構成では、ドア42と作動チャンバとのアセンブリの移動は、リニアガイドによって案内される直線移動であることが好ましい。この移動により、作動チャンバ5を水平方向に並進させることができる。
【0113】
図4a、図4bに示す実施形態のうちの1つでは、移動43は、エンボス加工方向620に垂直な方向に沿った直線移動である。
【0114】
そのような場合、移動43の振幅は、有利には、エンボス加工方向620に沿った金型表面への完全なアクセスを可能にするのに十分な大きさであることが分かる。1つの利点は、図4bに示すように、原材料1の装填および取り出しを容易にすることである。
【0115】
リニアガイドまたはアクチュエータ44は、伸縮式であり得る。
【0116】
ドア42および作動チャンバ5がエンボス加工チャンバ4内に位置する構成は、作動チャンバ5およびドア42の固定具またはガイド44上の大きすぎるトルク、または可動部品上の大きすぎる機械的応力集中をもたらすことなく、作動チャンバ5上のエンボス加工力の反応を送達することを可能にする。アクチュエータ44は、第2のフレーム51と協働する。
【0117】
図3bおよび図5bに示すものよりも単純な電気機械システム11が、原材料/成形材料の装填/取り出しおよび操作のために使用され得る。この例では、金型21から成形材料1を引き出すために、原材料取扱具111が配置されている。
【0118】
図5aおよび図5bは、本発明の装置100の別の実施形態を示す。2つのチャンバ4、5は、接合部48、すなわち気密ジョイントを形成する接続要素によって分離され、アクチュエータまたはモータによってエンボス加工方向に沿って分離され得る。接合部は、エンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5の幾何学的断面と協働し得る。接合部は、例えば、可撓性膜またはOリング48であり得る。
【0119】
この例では、エンボス加工方向620に沿った作動チャンバ5の予備移動43’が、エンボス加工動作の後または前に行われる。この移動は、典型的には、リニアガイドおよび/またはアクチュエータを使用して生成される。移動43’は、有利には、機械的止め部によって一方向または両方向に制限される。この予備移動は、接合部48においてエンボス加工チャンバを組み立てる/分解する。予備移動はさらに、金型および原材料を、対向金型22とのアライメントおよび近接によって定義されるエンボス加工位置に移動させ、またはエンボス加工位置から離間させる。この実施形態では、エンボス加工チャンバ5が分解され、第2の金型22から離れる方向の移動43’の後に対向金型22が下げられると、アクチュエータ44は、リニアガイドおよび/またはアクチュエータによって容易になり得るエンボス加工方向に垂直な第2の直線移動43に関与し得る。移動43はさらに、有利には、機械的止め部よって一方向または両方向に制限される。
【0120】
図5aおよび図5bに示す構成の利点は、生成されたエンボス加工力が、作動チャンバ5の表面上の圧力によって直接補償されることである。
【0121】
この構成の別の利点は、図4aおよび図4bの構成と比較して、アクチュエータおよび/またはガイドがエンボス加工チャンバ4の外側に位置決めされ得ることである。
【0122】
この配置により、エンボス加工チャンバ4の容積を減少させることが可能である。その結果、エンボス加工サイクルを実行するのに必要な消費電力を低減することができる。移動43’の振幅は、作動チャンバ5がエンボス加工方向に係脱されたときに金型21がエンボス加工チャンバ4から完全に抜け出るように構成される。
【0123】
加えて、この配置は、エンボス加工チャンバ内の構成要素の数、ならびに関連する必要なケーブル通路の数が低減されることから、迅速な脱気および気密性を確立する難しさを低減する。
【0124】
さらに、これらの構成では、より硬質で、したがってより精密なアクチュエータ44をより容易にかつより低コストで実現することができる。
【0125】
一実施形態では、ドア42、作動チャンバ5、およびそのリニアアクチュエータならびに/またはガイドは、図5bに示すように、レール上を移動するトロリーに取り付けられる。他の例では、直線的に移動可能な装置がトロリーとして使用され得る。トロリーの移動は、作動チャンバ5をエンボス加工方向620に対して垂直方向に移動させることを可能にする。好ましくは、この移動は、金型21へのアクセスを可能にする振幅を有する。1つの利点は、作動チャンバ5がエンボス加工チャンバ4との接触から移動されるときに、エンボス加工材料の装填および取り出しを容易にすることである。
【0126】
注目すべきは、動作中、エンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5内の圧力が周囲圧力以下のままである場合、アセンブリ、特にエンボス加工チャンバ4は、自然に閉鎖状態に保たれる。したがって、シャーシ全体およびアクチュエータ44は、通常のプレス機構ほど頑丈である必要はなく、作動チャンバ5に取り付けられたアセンブリを持ち上げ、接合部48を十分に圧縮して気密ジョイントを確立するのに十分な力を加えることができるだけでよい。
【0127】
一実施形態によれば、原材料1をエンボス加工する方法は、原材料1がエンボス加工動作の終了時に金型21に取り付けられたまま残るステップを含む。1つの目的は、成形材料の金型21、22への付着を低減することである。その目的において、該装置は、どんな付着問題も克服するように構成され得る。実際に、1つの問題は、成形材料が、金型および対向金型表面の両方に同様の強度で付着しないことである。成形材料1の分離を改善し、分離時の損傷のリスクを低減し、エンボス加工材料1の回収を容易にするために、一方の金型21または22は、好ましくは、他方の金型21または22よりも高いアスペクト比の幾何学的特徴部、および/またはより大きい原材料1との接触表面、および/またはより高い原材料1との摩擦係数を有する。
【0128】
一実施形態によれば、原材料1は、クランプ、接着剤、吸着カップまたはパッドなどの固定具を含む任意の手段によって、エンボス加工の間、金型21上に維持され得る。そのような手段は、原材料1を金型(単数または複数)に取り付けた状態に維持する力を均衡させるために、2つの金型の形状に応じて非対称に配置され得る。
【0129】
1つの利点は、金型21が対向金型22から分離されるときの変形を回避することである。
【0130】
さらに、原材料1の対向金型への付着は、その幾何学的特徴部の平滑化、垂直な表面に対する抜き勾配の使用、研磨すなわち非汚損表面微細構造の作成、潤滑、および組み合わせて使用され得る他の手段を含む、任意の好適な手段によって低減され得る。
【0131】
本発明の装置100は、高性能かつ低コストのホットエンボス加工を実行するのに特に適した実施形態を備える。一例によれば、原材料1は、粘性流を促進し、ひいては、一定の忠実度での金型構造の特徴部の再現を含む金型21および対向金型22による所望の形状への変形を促進するように、COC、PMMA、LDPE、HDPEなどの熱可塑性材料を含み得る。
【0132】
そのような動作のためのホットエンボス加工の1つの利点は、所定の再現可能な精度で、広い範囲の寸法によって特徴付けられる特徴部を再現するその能力である。本発明に係るポリマーのホットエンボス加工は、典型的な射出成形手段よりも高いアスペクト比および/または小さい抜き勾配でのポリマー部品の製造を可能にする。
【0133】
一実施形態によれば、各チャンバ4、5、特にエンボス加工チャンバ4のフレームは、光学的に透明な窓を備え得る。代替として、または窓と組み合わせて、エンボス加工プロセスを視覚的に監視するために、可視光または赤外光などの遠隔視覚フィードバック手段がチャンバ4、5の内側または外側に配置され得る。
【0134】
図6は、両方のチャンバ内のガス圧力の操作および制御を可能にする加圧システム9を示す実施形態を表す。加圧システム9は、図3aおよび図5aの例を通して示されているが、この加圧システム9は、本発明の任意の他の実施形態に結合され得る。
【0135】
加圧システム9は、特に、本発明の装置のモードに応じて、
・エンボス加工動作の前に残留気泡を除去するために、場合によっては前記エンボス加工チャンバが真空下になるまで、エンボス加工チャンバ4の減圧を生じさせ、
・エンボス加工アクチュエータ6を作動させるために、エンボス加工チャンバ4と作動チャンバ5との間に圧力差を発生させ、
・原材料1を装填するまたは取り出すために少なくとも1つのチャンバが他のチャンバから分離されることが意図されているときに、前記少なくとも1つのチャンバ内に大気圧に近い圧力を生成する
という加圧機能を可能にする。
【0136】
図6は、加圧システム9の一例に従ういくつかの要素を示す。加圧システム9は、少なくとも、エンボス加工チャンバ4とのガス交換を可能にする第1の入口と、作動チャンバ5とのガス交換を可能にする第2の入口とを備える。加圧システム9は、空気圧回路として作用する。エンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5は、2つの入口によって前記空気圧回路によって接続される。
【0137】
ガス入口は、典型的には、押し込み型、反矢じり端型、雄ねじ型もしくは雌ねじ型、または迅速結合器型のアダプタなどのアダプタが位置決めされるテーパ穴で作られる。
気密性は、アダプタのねじ山とテーパ穴との間に位置決めされたPTFEリボンまたはテープなどの封止要素によって容易になり得る。
【0138】
加圧システム9は、本発明の装置の異なる加圧機能を確保するために、圧力調整器および電磁弁(単数または複数)の組み合わせを備える。
【0139】
図6の例では、加圧システム9は、
・エンボス加工チャンバ4を圧力源に接続して、エンボス加工チャンバ4の圧力を昇圧することが可能である弁90、
・エンボス加工チャンバ4を真空源に接続して、エンボス加工チャンバの圧力を減圧することが可能である弁91、
・作動チャンバ5を圧力源に接続する弁92、
・作動チャンバ5を真空源に接続する弁93
の少なくとも4つの弁を備える。
【0140】
弁90、91、92、93は、システムを自動化することができるように、電磁弁または他のタイプの遠隔制御可能弁であることが好ましい。
【0141】
弁90、91、92、93は、エンボス加工プロセスを妨げないように真空を持続することが好ましい。
【0142】
弁91、92は、好ましくは、完全なシステムの複雑さを低減するために、真空ポンプなどの同じ真空源に接続される。
【0143】
弁90、93は、典型的には大気に接続され、圧力源の役割を果たす。これは、単純さと、一方では作動チャンバおよびエンボス加工チャンバとの間の正の圧力差、他方では周囲圧力のリスクがないことなどのいくつかの利点を有し、これは、必要とされるシャーシの頑丈さならびに動作リスクを低減する。代替形態では、弁93は、より高圧のエンボス加工を可能にするために、より高圧の圧力源に接続され得る。
【0144】
全ての弁90、91、92、93は、流量を調整するための調整手段と関連付けられることが好ましい。これは、慣性効果、特に装置の構成要素間の高速衝突リスク、および高速加圧もしくは減圧レジームに関連する特に高い応力、または関連する音響効果を回避するために望ましい。例えば、1つまたはいくつかの流量調整器がチャンバとガス源、圧力源または真空源との間に設置されて、チャンバ容積への流れが制限され得る。いくつかの実施形態では、これらの流量調整器は、パイプ、ライン、弁および他のガス循環部材の固有の流体力学的抵抗のために、当然ながら特にそれらの断面寸法およびそれらが含み得る狭窄に応じて、必要ではない。
【0145】
1つまたは複数の真空源は、重要なエンボス加工圧力を生成するために100ミリバール未満の圧力に到達することができる真空ポンプまたは他のタイプの真空源であることが好ましい。一例によれば、ベーンポンプまたは膜ポンプなどの一次真空ポンプが使用され得る。低、中、高、UHVなどの真空レベルがエンボス加工力の振幅および均一性に与える影響は小さい。しかしながら、真空レベルは、金型特徴部内に捕捉され得るガスの量を設計することを可能にし、ひいては、成形忠実度を設計することを可能にする。ミリメートルまたはマイクロメートルの特徴部をエンボス加工するためには、中程度の真空で十分であり得る。ナノ特徴部の型押しでは、高真空が好ましい場合がある。高真空は、一次ポンプに続く、ターボ分子ポンプなどの二次ポンプによって達成され得る。ガス圧力による化学的損傷、例えばホットエンボス加工における酸化が起こり得る場合、一般に、特に低い圧力が必要である。
【0146】
異なる実施形態によれば、圧力調整器は、同時にまたは連続的に動作するように操作され得る。
【0147】
図6の実施形態によれば、加圧システム9は、エンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5の内部にそれぞれ配置された圧力センサ98、99を備える。圧力センサは、好ましくは、ほとんどの用途に対して、1×10-1パスカルまでの圧力を測定するように選択され、ナノ特徴部の型押しに対して1×10-7パスカルまでの圧力を測定するように選択される。一例によれば、圧力センサは、調整機能の自動化を可能にするデジタルまたはアナログ出力を含む。
【0148】
一実施形態によれば、本発明の装置は、ホットエンボス加工を実行するように容易に適合され得、有利には、より低コストで、より軽量かつよりコンパクトな設備で、より高い精度で、かつ金型および対向金型のアライメントおよび平行度の補正の必要性がより少なく、ホットエンボス加工を実行することを可能にする。
【0149】
この目的のために、本発明の装置は、電気抵抗加熱器または外部から加熱された流体のための回路を含む固体交換器などの電子制御式加熱要素を備え得る。この抵抗加熱器は、金型21または対向金型22の一方であるパターニング部品2に取り付けられる。前記加熱要素は、好ましくは、取り付けられるパターニング部品2に比較的均一な加熱を送達する。熱伝導性の変形可能層(「熱パッド」)は、熱接触および熱伝導を改善するために、加熱要素とそれが取り付けられるパターニング部品との間に配置され得る。加熱要素が電気抵抗加熱器である実施形態では、その電気絶縁が保証されなければならない。
【0150】
加熱要素は、エンボス加工圧力が加えられたときに原材料1を50℃の温度に加熱することができるものでなければならない。加工され得るポリマーの範囲を拡大するために、到達可能な温度をより高くしなければならない。100℃に到達する能力は、多くのポリマーにとっての最小値であるが、最高で150℃、200℃または250℃までの温度に到達する能力は、装置の汎用性を高める。多くのポリマーは、蒸気による滅菌を可能にし得る134℃での機械的抵抗を有することから、対象となる。このようなポリマーでは、適度なエンボス加工圧力下で適度に短いエンボス加工時間で満足のいくエンボス加工結果を得るために、150℃~250℃の範囲の温度が必要であり得る。
【0151】
装置100は、第1および第2の加熱要素を備え得、第1の加熱要素は金型21に結合され、第2の加熱要素は対向金型22に結合される。
【0152】
実際には、最高で200℃または250℃までの温度を達成することができる装置は、汎用性対コストの観点から適切な妥協策である。最高で300、さらには350℃までの温度に到達する能力は、特に耐熱性ポリマーの加工を可能にし、これは、特に高温用途を意図した部品の製造にとって重要である。したがって、本発明の装置は、いくつかの実施形態において、原材料1を300℃より高い、または350℃より高い温度まで加熱することを可能にし得る。
【0153】
さらに好ましくは、熱損失を低減し、金型温度の均一性を高めるために、加熱要素の他方の側に断熱部品が配置される。一般的には、熱損失をさらに低減し、原材料を均一に目標温度までより容易に加熱することを可能にするために、他のパターニング部品、すなわち加熱要素に直接取り付けられない部品を隔離するために、別の断熱部品が設けられることが好ましいことが分かっている。断熱部品はさらに、熱応力、熱変形、および温度に関連する経年劣化の加速を含む、熱に関連する問題から装置の他の部品を保護する。
【0154】
これらの実施形態では、好ましくは電子アナログまたはデジタル出力を有する温度センサが、金型にまたは金型の近くに取り付けられて、エンボス加工温度を監視する。前記センサは、有利には、閉ループ方式で加熱要素を制御するコントローラに接続される。
【0155】
例えば、ガラスまたは金属を熱エンボス加工するために、極めて高い温度でのホットエンボス加工が求められるいくつかの実施形態では、本発明の装置の特定の実施形態は、原材料を500℃、750℃または1000℃より高い温度まで加熱することができ、適切な断熱材が装置の部品への損傷を回避するために使用される。このような実施形態では、本発明は、真空ポンプ源および周囲空気などの高圧源であるエンボス加工圧力源とエンボス加工材料との間の容易に得られる断熱の利点を提供する。加えて、エンボス加工が本発明の装置を用いて真空下で行われるということは、ガス(特にO)に曝露されたときのそのような高温での酸化を含む化学的変化に関連する材料、特に、原材料1、金型21、および対向金型22の劣化を低減し、潜在的に抑制する。
【0156】
ホットエンボス加工能力を向上させ、特にエンボス加工サイクル時間を短縮するために、本発明の装置は、原材料を冷却する手段をさらに備えることが好ましい。加熱要素が外部から加熱された流体のための回路を備える交換器である実施形態では、冷却要素は、交換器を循環する流体を冷却する手段を追加することによって実現され得る。いくつかのそのような実施形態において、2つの別個の流体循環ループ(1つは高温であり、1つは低温である)は、流体循環を可能にする少なくとも1つのポンプを用いて交換器に交互に接続され得る。
【0157】
加熱の熱エネルギーは、金型21を介した伝導によって原材料1に伝達され得、冷却の熱エネルギーは、対向金型22を介した伝導によって原材料1に伝達される。
【0158】
他の実施形態では、別個の冷却要素が、金型21と対向金型22との間のパターニング部品2のいずれかに取り付けられる。冷却要素(単数または複数)は、好ましくは、冷却流体ループに接続された1つまたは複数の交換器であり、冷却流体ループは少なくとも、受動的または能動的に冷却されるリザーバまたは流体を冷却するための交換器と、ポンプとを含む。これらの場合、装置100は第1の冷却要素および第2の冷却要素を備え、第1の冷却要素は金型21に結合され、第2の冷却要素は対向金型22に結合される。
【0159】
一実施形態によれば、成形装置100は、原材料1をより迅速に加熱し、反りを低減するためにエンボス加工材料の両面における冷却をより良好に制御するように適合される。これらの実施形態では、成形装置100は、2つの加熱要素および2つの冷却要素を備え、それぞれの1つは金型21に結合され、それぞれの1つは対向金型22に結合される。これらの実施形態では、金型21および対向金型22の両方が、冷却要素および加熱要素に結合される。このようにして、加熱を加速させることができ、すなわち、金型21および対向金型22は、エンボス加工材料を過熱させることなく、より迅速に加熱され得る。このようにして、エンボス加工材料の両面、すなわち金型21とエンボス加工材料との間の接触面210、および対向金型22とエンボス加工材料との間の接触面における冷却温度プロファイルが制御され得る。特に、所望の結果に応じて、対称的または非対称的にエンボス加工材料の両面を同時に冷却することにより、より良好な制御が得られ、典型的には、冷却後の材料の反りが低減または抑制され得る。
【0160】
加熱の熱エネルギーは、金型21および対向金型22を介する伝導によって同時に伝達され得、冷却の熱エネルギーは、金型21および対向金型22を介する伝導によって伝達され得る。
【0161】
原材料を冷却または加熱するために流体が使用される実施形態では、流体は、ガス、超臨界流体、またはホットエンボス加工動作のための目標範囲のより高い温度での蒸気圧よりも高い圧力の液体であるのが好ましい。低粘度シリコン油は、比較的高い温度で使用するための可能な流体の一例であり、低毒性という利点を有する。さらに高い温度で動作させるために、Arkemaによって商品化されているJarytherm BT06などの他の高温流体が使用され得る。これらの実施形態では、事故の危険性を低減するために、加熱および/または加圧された流体を取り扱うための適切な機能が実装される必要がある。
【0162】
特に、耐熱性および耐圧性は、装置の自動化されているが監視されていない使用の前に、特別な注意を払って試験される必要がある。流体回路の全ての材料は、好ましくは、少なくとも最高エンボス加工温度と同じ温度、好ましくは最高エンボス加工温度よりも高い温度に耐える必要がある。特に流体加熱要素の近くの任意のホットポイントは、回避されるか、または慎重に評価されなければならない。例えば火花による流体またはその蒸気の発火を回避する電気的保護設備および他の保護設備が使用される必要がある。液体および一部の流体には膨張容積が必要であり、その充填は監視される必要がある。液体および一部の流体はさらに、蒸気発火を回避するために受動的または能動的に通気または冷却される必要があり得る。蒸気が有毒であり得る場合には、大気および操作者の汚染を防止するために、適切なフィルタが通気口に接続される必要がある。いずれにしても、動作中に、本発明の装置内の任意の流体または原材料が、該当する場合、自己発火温度に局所的に近い温度にならないように注意すべきである。
【0163】
さらに、原材料を冷却または加熱するために流体が使用される実施形態では、アラームに接続され、場合によっては装置の加熱要素およびポンプを閉止することができる非常スイッチに接続された1つまたはいくつかの温度センサおよび/または圧力センサが、重要な位置で流体の圧力および/または温度を監視するように有利に設定される。
【0164】
全ての実施形態において、上述したアセンブリの設計は、目標とするエンボス加工圧力に耐える必要がある。特に、金型、対向金型、加熱要素、冷却要素、および断熱部品ならびに電気絶縁部品を含む完全なエンボス加工スタックは、最大で装置のエンボス加工圧力範囲の上限までの圧力の繰り返しサイクルに耐えなければならない。典型的には、前記完全なスタックは、10バールのエンボス加工圧力を支持するように構成される必要がある。
【0165】
図7aおよび図7bは、より高いエンボス加工圧力ならびにより迅速な加熱および冷却により、一連の高速エンボス加工サイクルを可能にする装置100の実施形態を示している。この実施形態では、接合部48は、共通壁7とエンボス加工チャンバフレーム41との間に位置決めされた膨張可能なジョイント48であり、閉鎖構成においてエンボス加工チャンバ4の気密性を確保する。
【0166】
2つのチャンバ4、5は、作動チャンバ5のフレーム51の一部である共通壁7によって分離される。作動チャンバ5は、アクチュエータ44によってエンボス加工方向に沿ってエンボス加工チャンバ4から離れる方向に移動される。
【0167】
図7aは、開放構成(チャンバ4、5が分離されている材料装填および取り出し構成)におけるこの実施形態を示す。図7bは、閉鎖構成(チャンバ4、5が接合されており、膨張可能なジョイント48が膨張してチャンバ4の気密性を確保するエンボス加工構成)における同じ実施形態を示す。
【0168】
この実施形態は、作動チャンバフレーム51に取り付けられた第1の組の作動ロック手段81およびエンボス加工チャンバフレーム41に取り付けられた第2の組のエンボス加工ロック手段82の機械的手段を示す。これらの機械的ロック手段81、82は、構造的なロックによって、閉鎖構成において作動チャンバ5がエンボス加工チャンバ4から離れる方向に移動するのを阻止するように配置される。これらの機械的ロック手段81、82は、作動チャンバ圧力が大気圧よりも高い圧力である場合であっても作動チャンバ4とエンボス加工チャンバ5とが接合されたまま維持されるように、図7bに示すエンボス加工構成で配置される。このことにより、より高いエンボス加工圧力を使用することが可能になり、ホットエンボス加工における材料のより迅速な流れが可能になる。
【0169】
例えば、作動ロック手段81は環状プレートであり得、エンボス加工ロック手段82は、環状プレート81をロック構成(図7b参照)で接合するために半径方向外向きに延在するように作動される1組の半径方向に配置されたピンであり得る。
【0170】
代替として、作動ロック手段81は、内向き歯を有する環状コグプレートであり得、エンボス加工ロック手段82は、外向き歯を有する環状コグプレートであり得、これらは共に、図に示す両方のプレート間の角度構成において、ロック手段81、82の歯車歯がエンボス加工方向620に沿った投影において重なり合わず、図7bに示す両方のプレート間の角度構成において、ロック手段81、82の歯車歯が有意に重なり合って、エンボス加工中に圧力を伝達するように設計される。この代替形態では、両方の構成間で小さい角度だけエンボス加工方向の周りを回転するように作動されるのはコグプレート82であることが好ましい。
【0171】
この実施形態では、ロック手段81、82の要件は、図7bに示す構成においてエンボス加工チャンバ4を封止するための接合部として膨張可能なジョイント48を使用することによって低減される。膨張可能なジョイントの使用は、気密性を得るためにチャンバ4、5間のジョイントをさらに押圧するためのロック手段の必要性を排除する。加えて、膨張可能なジョイントは、第1のフレーム41と共通壁7との間の距離および幾何学的欠陥をより良好に補償し、このことにより、ロック手段81、82および装置100全体の製造のための幾何学的公差要件がさらに低減される。使用時に、膨張可能なジョイントは、ロック手段81、82がロック構成になった後に膨張し、ロック手段がロック解除構成に移動する前に収縮する。
【0172】
この実施形態はまた、可動部材600の半径方向延長部と協働するエンボス加工チャンバフレーム41の突出部によって形成された機械的止め部を示す。この半径方向延長部は、可動部材600の可能な移動を制限して、変形可能部610、金型21および対向金型22の偶発的劣化を回避するためのものである。
【0173】
金型21および対向金型22はそれぞれ、金型21の温度および対向金型22の温度を個別に制御することを可能にする温度制御モジュール24に取り付けられる。この構成は、エンボス加工材料を過熱させることなく、(原材料1の両面を加熱することによって)より迅速な加熱を可能にする。この構成はまた、エンボス加工後のより良好な材料反り制御を可能にする。金型21の温度制御モジュール24に接続され、外部熱交換ユニットに接続された熱交換流体配管(図示せず)は、可動部材600および作動チャンバフレーム51を経由し、これらの両方の通路の間の可撓性部分によって、可動部材の可動性を維持する。
【0174】
エンボス加工チャンバフレーム41の上部は、対向金型22を交換するために、またはシステムをメンテナンスするために分解され得る。
【0175】
この実施形態は、力分布および機械的強度を最適化するための回転形状に基づく設計を示す。特に、装置100は、作動チャンバ5内の圧力が大気圧よりも大きく、10バールから10ミリバールの範囲内に含まれるエンボス加工構成での使用を持続させるように構成される。
【0176】
プレート600の剛性と、エンボス加工軸620に沿った投影における金型21および対向金型22の表面に対するプレート600の表面の比率とによって、高いエンボス加工圧力が可能になる。例えば、表面の比率が5または10であり、作動チャンバ5内の圧力が10バールであり、エンボス加工チャンバ4内の圧力がほぼ0バールである場合、金型21と対向金型22との間で約50バールまたは100バールのエンボス加工圧力に到達することができる。
方法
【0177】
本発明は、成形材料を製造するために原材料1をエンボス加工するための本発明の装置の使用方法も対象とする。図8は、本発明の方法の一例の主なステップを表す。本発明の方法は、エンボス加工アクチュエータ6を有する共通壁7を共有する2つのチャンバを使用することによって、本発明の装置の特徴をうまく利用する。
【0178】
一実施形態によれば、本発明の方法は、以下のステップを含み、ステップは、連続ステップまたは同時ステップであり得、中間ステップで区切られ得る。
【0179】
本発明の方法は、原材料1を金型21の上部に装填するステップを含み、このステップは、図8においてLOADと記されている。一例では、原材料1は熱可塑性基材であり得る。装填ステップは、金型21上の熱可塑性材料の特定のアライメントを含み得る。このステップは、例えば2つのチャンバ4、5を一緒に封止する手段によって、下部チャンバ4および上部チャンバ5の結合を生じさせる必要がある。
【0180】
減圧の1つの任意のステップは、作動チャンバ圧力が50ミリバールより大きい場合に実施され得る。このステップは、図8においてDEPRESと記されている。その場合、作動チャンバ5内の圧力は、50ミリバール未満の値に低減される。
【0181】
有利には、本発明の方法は、エンボス加工チャンバ4内の圧力を50ミリバール未満の値に減圧するステップを含む。
【0182】
一例によれば、この段において、エンボス加工チャンバ4と作動チャンバ5との間に、それらの圧力を等しくするためにガス連通が確立される。これは、弁91、92が連結された構成で弁91、92を同時に開くことによって行われ得る。一実施形態によれば、エンボス加工チャンバ4および作動チャンバ5が封止されると、原材料1の上面は、エンボス加工アクチュエータ6が可能にする垂直変位よりも上型22の底面に著しく近くなるように配置される。
【0183】
本発明の方法は、作動チャンバ圧力をエンボス加工チャンバの圧力よりも高い値まで昇圧するステップを含み、前記値は、多かれ少なかれ重要なエンボス加工力に到達するように選択される。このステップは、図8においてINCREAと記されている。典型的な値は、100ミリバールと1バールまたは周囲圧力よりも低い前記圧力との間に含まれる。
【0184】
別の実施形態では、INCREAステップ中に作動チャンバ5の内部が到達する圧力の値は、周囲圧力(例えば、1~10バールに含まれる)よりも大きい。
【0185】
例えば、圧力制御システム9の圧力源、電磁弁、および他の構成要素は、エンボス加工チャンバ4内の空気を圧送し、作動チャンバ5を隔離するように構成され得る。特に、弁93は、前記作動チャンバ5内に大気圧をゆっくりと確立するために開かれ得る。該方法は、設定点に到達するまで所定の圧力差を加えるステップを含む。該方法は、金型によって原材料基材に圧縮力をゆっくりと加えるステップを含む。このステップの間の任意選択の加熱手順によって、該方法は、原材料1をゆっくりとエンボス加工することになる。このステップは、原材料1の加熱中に行われ得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、原材料1が加熱される所与の時間にわたって所定の圧力差が加えられる。このようにして、原材料1のポリマーは、金型特徴部内に流れる。
【0187】
ホットエンボス加工の場合、INCREAステップでエンボス加工力を発生させた後に、原材料1を加熱する加熱ステップを実施することが好ましい。このステップでは、熱可塑性基材を設定点温度にするために、加熱装置がオンにされ得る。原材料1が金型21および対向金型22の特徴部内部に流れると、加熱装置が停止され、冷却装置が始動される。したがって、該方法は冷却ステップを含む。この場合、減圧前に原材料1を冷却することが好ましい。該方法は、熱可塑性基材を室温まで、または少なくともその熱撓み温度まで冷却することを可能にする。熱可塑性基材が十分に冷却されると、下部チャンバおよび上部チャンバは、例えばエンボス加工アクチュエータ6によって分離される。
【0188】
いくつかの実施形態では、冷却装置、および任意選択で加熱装置は、冷却ステップ中にエンボス加工材料の両面に特定の温度プロファイルを適用し、最終的にはさらに空間分解方法で適用するために、フィードバックループによる金型21および対向金型22の温度測定値に基づいて作動され得る。この制御により、材料の反りを制御することが可能になり得る。
【0189】
該方法は、作動チャンバ圧力をエンボス加工チャンバ4の圧力以下の値に減圧するステップを含む。このステップは、DECREAと記される。該方法はまた、エンボス加工チャンバ圧力を周囲圧力まで昇圧するステップを含む。該方法は、作動チャンバを周囲圧力まで昇圧する任意選択のステップを含む。1つの利点は、外部圧力がほぼ大気圧である状態で2つのチャンバ4、5の分離を可能にし、ひいては必要な開き力を制限することである。この構成は、外圧とエンボス加工チャンバ4または作動チャンバ5の一方の内部の圧力との間の大きな圧力差によって引き起こされる圧力サージによる衝撃を制限することを目的とする。
【0190】
前述の例によれば、熱可塑性基材1は、例えば、本発明の装置の第2の段の吸着パッドアレイによって離型される準備ができている。このステップは、図8においてUNLOADと記されている。
【0191】
このようにして、原材料1を回収する最終ステップが行われ得る。
【0192】
部分的にまたは完全に自動化された実施形態では、これらのステップの一部または全てが電子的に制御され得る。
【0193】
本発明は、以下を保証することによって、マイクロデバイスの製造に関する技術的課題を解決する。
・ガスは、特に成形材料と金型との間の加圧開始前に脱気する能力により、気泡捕捉または酸化によって成形を妨げない、
・特に可動部材の平行度の自己補正による、基材内の温度および圧力に関して均一なプロセス、
・通常のプレス機構よりもはるかに単純で、小型で、安価なソーバーシステムを用いて成形材料の容易な装填および取り出しを維持しながら、十分に高いエンボス加工圧力に到達し、その結果、スループットが向上し、コストが低減され、完全な自動化に適応できる。
【0194】
結果として、本発明は、一貫した高品質の生産物、高いスループット、および最小限の初期コストならびに運転コストを有する、マイクロデバイスの高効率製造のための装置を提供する。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
【国際調査報告】