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特表2023-528144黄色ブドウ球菌の細菌に対するファージ製剤の抗菌生物活性を測定するための凍結乾燥試験キット
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  • 特表-黄色ブドウ球菌の細菌に対するファージ製剤の抗菌生物活性を測定するための凍結乾燥試験キット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】黄色ブドウ球菌の細菌に対するファージ製剤の抗菌生物活性を測定するための凍結乾燥試験キット
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/18 20060101AFI20230627BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALI20230627BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230627BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C12Q1/18
C12Q1/70
C12M1/00 A
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022559947
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 CZ2021050032
(87)【国際公開番号】W WO2021197517
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】PV2020-181
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522385153
【氏名又は名称】エムベー ファーマ スポロツノスト エス ルチェニム オメゼニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】マルチン ベネシーク
(72)【発明者】
【氏名】マレク モサ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB02
4B029BB13
4B029CC01
4B029FA01
4B063QA01
4B063QA06
4B063QQ06
4B063QR79
4B063QS36
4B063QX01
(57)【要約】
1つの系列の個々のウェルが、以下のファージ:MB 401、MB 402、MB 403、MB SA2、MB SA3、MB SA5の1つ又はそれらの組み合わせの溶解物の少なくとも50μlを、すなわち1×109~1×102の濃度での10倍希釈で含有するマイクロタイタープレートに基づき、ファージ溶解物の生物学的抗菌活性を決定するための凍結乾燥試験キット
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの系列の個々のウェルが、DSM 33472、DSM 33473、DSM 33474、DSM 33475、DSM 33476、DSM 33477の番号でミュンヘン微生物コレクションに寄託された、以下のファージの1つ又はそれらの組み合わせ:MB 401, MB 402, MB 403, MB SA2, MB SA3, MB SA5の溶解物の少なくとも50μlを、1×109~1×102の濃度での10倍希釈で含有するマイクロタイタープレートに基づき、ファージ溶解液の生物学的抗菌活性を決定するための、凍結乾燥試験キット。
【請求項2】
前記マイクロタイタープレートの個々のウェルにおいて、前記ファージの他に、0.1~1 mMの濃度のCaCl2も含む、請求項1に記載の試験キット。
【請求項3】
前記ファージ溶解液を単位希釈液中に1オーダー以内で、すなわち1×109~9×109、1×108~9×108、1×107~9×107、1×106~9×106、1×105~9×105、1×104~9×104 PFU/mlで含む、請求項1に記載の試験キット。
【請求項4】
0~25 ℃の温度で安定である、請求項1又は2に記載の試験キット。
【請求項5】
既知の黄色ブドウ球菌の細菌をさらに含む、請求項1または2に記載の試験キット。
【請求項6】
DSM 33472、DSM 33473、DSM 33474、DSM 33475、DSM 33476、DSM 33477の番号でミュンヘン微生物コレクションに寄託された、MB 401, MB 402, MB 403, MB SA2, MB SA3, MB SA5からなる群の、少なくとも1つのファージを用いて、ファージ溶解物の生物学的抗菌活性を決定する方法であって、試験対象の細菌の感受性を、濁度に基づいて肉眼で評価することができる、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術的解決策は、黄色ブドウ球菌の細菌に対して作用する凍結乾燥ファージ溶解物を含む試験キットに関する。前記キットは、ユーザーの前提上で、病原性細菌である黄色ブドウ球菌に対するファージ溶解物の抗菌生物学的活性の非常に高感度の試験に直接的に適している。
【背景技術】
【0002】
ブドウ球菌属の細菌は、ヒト並びに動物の疾患の頻繁な原因物質である。近年、それらは人間の医学並びに獣医環境において大きな問題となっている。世界保健機関(WHO)によると、EC諸国では、抗生物質に耐性のある細菌に関連して、毎年33,000人が死亡している。現在、WHOは、2050年までに、がん疾患よりも抗生物質耐性菌によって引き起こされる感染で死亡する人の方が多いと推定している。抗生物質の危機に対する解決策の枠組みの中で、新しい抗菌剤、ならびに疾患の細菌原因物質の治療および診断に対する全く新しいアプローチ(Duval et al., 2019)が求められなければならない。
【0003】
その他の可能な抗菌剤のほかに、細菌に対するバクテリオファージおよびそれらの使用により、1つの選択肢が示される。いわゆるファージ療法は新しい方法ではない。現在ファージ療法は、細菌の抗生物質耐性との関連で、医師や科学チームの中心にますます入り込んでいる(Lin et al., 2017)。ファージ療法の原理は、非常に昔に記載されていた。しかしながら、ファージと病原性細菌の両方を記述する、現代の微生物学的および分子生物学的方法の開発のみが、ファージ療法を安全かつ迅速に実践に導入することができる。ファージによる細菌感染の治療へのアプローチは、一般的な抗生物質治療とは正反対に異なる。抗生物質は広域スペクトルであることが多く、細菌属および種にわたって作用する一方で、ファージは通常非常に特異的であり、特定の細菌属、種、そしておそらく特定の細菌株にのみ作用する。抗生物質は、疾患の細菌原因物質の詳細な知識がなくても適用され得る一方で、ファージ治療は細菌の診断を必要とする。
【0004】
抗生物質治療では、強力な抗生物質が効果的でない場合にのみ詳細な診断が適用され、細菌が感受性である抗生物質が存在するかどうかを確立する必要がある。ファージおよびファージ混合物では、ファージ療法を開始する前に前記診断が必要である。ファージの作用機構および関連する細菌診断は一般的な治療手順とは異なるため、迅速な診断方法はファージ治療のニーズに適応させる必要がある。
【0005】
抗菌剤の活性を試験するための、数多くの薬局方方法は、微生物学の研究所ですでに日常的に使用されている。これらには、抗生物質がディスクから周囲に放出されて、抗生物質の存在下で細菌の増殖を排除する拡散法が含まれる。活性は、ディスクの周囲の阻害領域のサイズに基づいて評価される。抗生物質に対して耐性を持つ細菌の場合、阻害ゾーンは存在しない。しかしながら、この方法は、バクテリオファージが抗生物質よりもはるかに大きく、したがって周囲にそれほど迅速に拡散しないため、バクテリオファージには上手く適用できない。
【0006】
別の方法は、可視である細菌の増殖を阻害する抗生物質の濃度が決定される最小阻害濃度(MIC)である(Andrews、2002)。前記方法は単なる目視チェックによって評価され、分光光度計は必要ない。ここで、細菌の増殖を阻害する抗生物質の最小濃度が決定される。試験のために、細菌の濃度(CFU)は、明確に定義されなければならない。同様に、培地中の細菌の増殖を妨げる濃度である、最小殺菌濃度(MBC)が決定される。これらの方法に関して、国家当局により手順が定義されて、病院や他の機関の診断施設によって使用されている。しかしながら、ファージ溶解物の抗菌生物学的活性を決定する公式に承認された方法はないため、個々の実験室での試験結果はかなり異なる場合がある。おそらく抗生物質のMIC測定に近似する方法は、1921年以来使用されているAppelman試験(Merabishvili et al., 2014)であり、しかしながらこれはMIC測定とは異なるものであり、それゆえ両方の試験の結果は互いに関連していない。加えて、ファージの生物学的活性を試験することは、主にファージを扱ういくつかの専門施設の問題である。したがって、病原性細菌の単離から専門施設への輸送、および患者へのフィードバック全体のプロセスは、患者が存在する施設内で生物学的活性を直接試験することと比較して非常に長い時間を要する。
【0007】
特定の細菌に対するバクテリオファージの活性を決定するいくつかの方法が存在する。これは、ファージの個々の希釈物を二重層寒天中の増殖細菌培地に滴下するプラーク法であり、バクテリオファージプラークの形成に基づいて、バクテリオファージの濃度、すなわちプラーク形成ユニット(PFU)が決定される(Anderson et al., 2011)。ファージは、それぞれの希釈液中の培養物に滴下されてもよく、または細菌培養物に対して寒天に直接添加される。したがって、プラークの数およびそれぞれの希釈液に基づいて、1mlの溶解液に含まれる生存ファージの濃度が算出される。場合により、使用する培養液、滴定細菌などにより数値は異なる場合がある。この方法は、生存ファージの数を決定する結果を提供するが、細菌に対するファージの抗菌生物学的活性の速度に関する部分的な情報を提供しているに過ぎない。ファージのより多くの株への滴下を比較することのみが、ファージがどれほど活発であるかを判断することを可能にする。しかしながら、この方法は高い材料需要を提起し、間違いを起こしやすく、及びすべての施設で最適化する必要がある、より多くのステップを含む。qPCRなどの他の方法もまた、細菌数を決定するために使用することができるが、宿主細菌上で増殖することができるファージの数に関する情報を提供しない(Anderson et al., 2011)。
【0008】
企業、研究所、微生物のコレクションは、非常に特異的なファージを所有していることが多く、それらの熟練者は細菌の感受性を決定するための方法を周知である。このような場合、患者または医療施設は、病原性細菌、しばしば耐性菌を収集し、それらを検査のために送らなければならない。単一の供給源に貯蔵された特定のファージは機能しない可能性があるため、細菌は検査のためにより多くの場所に適切に送られるべきである。これにより、ファージに対する細菌の感受性の迅速かつ効率的な診断が不可能になる。抗生物質に対する細菌の耐性の発達の高い動態に関しては、他の抗菌剤(バクテリオファージであってもよい)に対する細菌の感受性を決定する迅速な方法論が必要である。このような方法論は、当面の間、診断検査室には存在せず、診断検査室のみで日常的に使用され得る方法、または病原性細菌が単離された場所で直接使用できる方法で検査するために利用可能なファージは存在しない。これは、スタッフの適切な訓練、またはどこでも使用可能な適切な試験キットによって解決され得る。
【0009】
バクテリオファージは、他の生体物質と同様に、液体形態で長期間安定しないことが多い。このため、ファージ製剤の貯蔵寿命、すなわちユーザビリティ期間を延長する他の選択肢、またはこの場合のように、ファージを含む試験キットを探す必要がある。ファージの安定性を高める選択肢の一つは凍結乾燥であり、これは一般にタンパク質および生体物質の分解を防ぎ、安定性を延長する。
【発明の概要】
【0010】
上記の欠点は、黄色ブドウ球菌に対して作用するファージの生体有効性の試験によって排除される。凍結乾燥ファージは、様々な濃度でマイクロタイタープレートに含有される。増殖培地、緩衝液または水を50~100μlの容量で凍結乾燥物と共にウェルに添加して、診断研究室のルーチンを表す、MIC決定アプリケーションについて記載されている同様の手順を使用して、正確に事前に定義された濃度の細菌をこれらの濃度系列に添加する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
それぞれ番号付けされた系列において、109(ウェルA)から102(ウェルH)までのAからHまでのファージ希釈物が存在する、96ウェルのマイクロタイタープレートが調製され得る。これらの濃度は異なる場合があるが、常に最大で1桁低い場合がある。この減少は、凍結乾燥中の力価損失によって引き起こされ得る。しかしながら、キットの各バッチは力価の低下についてテストされ、正確な力価値はバッチごとに公表される。試験キットは、試験キットに含まれるファージ(単数または複数)に感受性となる凍結乾燥細菌を含む試験管も備える。この細菌は、臨床的に試験された単離物と同じ方法で調製および試験されて、陽性対照として機能する。凍結乾燥ファージ溶解物を含むプレートは、0℃~25℃の温度で保存され得る。不適切な保存の場合、ファージの分解により活性が影響を受ける可能性がある。
【0012】
ファージと細菌との混合物を37℃の温度で15~20時間培養し、その結果はMICと同様に評価される。細菌がファージに感受性である場合、-4の希釈までサンプルの濁りは生じない。細菌がファージに耐性がある場合、ウェルの全て又はほとんどが濁ったままになる。希釈されていないサンプルでは濁りが発生しないことが多く、これは高濃度(109のオーダー)で、ファージは増殖を阻害するが、細菌上で増殖することはできないという事実により引き起こされる。サンプルが107のオーダーの濃度(-3希釈)で透明である場合にのみ、細菌がファージに感受性であるという明確な結論を引き出すことができる。次いで、この方法の結果は、抗生物質が類似の方法論を用いて決定されたため、抗生物質の効果と比較することができ、互いに関連させることができる。
【0013】
試験キットの調製の主成分は、黄色ブドウ球菌に対して作用するファージ溶解物、すなわち、特に1×109~1×1010の濃度(力価)のファージMB 401、MB 402、MB 403、MB SA2、MB SA3、MB SA5(表1)である。溶解液を以下のように10倍希釈で希釈し、マイクロタイタープレートの1列に特定の量で分割する。
【0014】
【表1】
【0015】
「%G+C」は、グアニンおよびシトシンの内容物を定義する。
【0016】
ストックライセートの調製
【0017】
1.滅菌50mlの試験管1に、最小濃度1×109~1×1010のファージ溶解液50mlを投与する。
【0018】
2.液体滅菌SA培地(トリプトン 5g/l、酵母抽出物 2g/l、NaCl 5g/l)を別の7つの試験管(番号2~8)に無菌的に投与する。
【0019】
3.試験管1から試験管2に正確な容量の溶解液5mlを無菌的に移し、試験管2を十分に攪拌する(図1)。
【0020】
4.試験管2から試験管3に正確な容量の溶解液5mlを無菌的に移し、試験管3を十分に攪拌する。同様に試験管8まで進む。最後に、試験管1~7には45mlの溶解液があり、試験管8には最も希釈された溶解液が50ml含まれている。
【0021】
ストックライセートからプレートの調製
【0022】
マイクロタイタープレートの一連のウェルは、常に最高希釈から最低希釈への減少順(プレートのウェルAからウェルHまで)の109~102の連続したオーダーで1桁異なる希釈で、1つのファージ株を含む。
【0023】
1.1×109の濃度のファージを含む50mlの試験管から、100μlの溶解液をプレート内のウェルAに移す。10倍のより低い希釈である系列(1×108)の溶解液の別の100μlを系列1の次のウェルに移す。
【0024】
2.マイクロタイタープレート中の系列(列)1のすべてのウェルを充填するまで、同様の方法で進める(図2)。
【0025】
3.同様の方法で、マイクロタイタープレートにおいて、他の系列(2~12)を調製することができ、ここで、12の異なるファージが含まれ得る、又は細菌の12サンプルが試験され得る(図2)。
【0026】
4.マイクロタイタープレートを凍結乾燥機に入れ、凍結乾燥の終了後、ランダムに選択された1バッチのプレートにおける個々の列の力価を決定する。
【0027】
2種類の黄色ブドウ球菌(感受性1137および感受性の低い耐性SA A 4609 FNO)を10mlの培地に接種し、37℃で18~24時間培養した。ファージの生体有効性を試験するための接種剤を、このようにして増殖させた培養物から調製する。ナイトカルチャーを1マクファーランド濁度値に希釈し、この希釈液の2mlを培地/生理溶液で20mlに補充する。この懸濁液を滅菌ペトリ皿に注ぐ。マルチチャンネルピペットの滅菌チップを懸濁液に浸漬し、浸漬後、ストリップマイクロチューブ又はマイクロタイタープレート内の溶解凍結乾燥物に移して湿らせる。37 ℃で12~18時間、理想的には穏やかに振とうしながら培養する。結果は、プレートの個々のウェルにおける濁度に基づいて評価される(表2)。前記結果は、細菌黄色ブドウ球菌1137及び感受性/耐性の低い株SA A 4609 FNOでの明確な感受性の違いを示している。
【0028】
【表2】
【0029】
数字は希釈液を識別し、K-は細菌増殖対照であり、KSはストリップ中の無菌性の作業および溶解物の対照である。溶解は薄い灰色、中程度の濁りは濃い灰色、及び濁りは黒で記されている。
【0030】
ファージの特許寄託物は、ブダペスト条約に従ってミュンヘン微生物コレクション(DSMZ)に番号で寄託される:黄色ブドウ球菌 MB401=DSM33472、黄色ブドウ球菌バクテリオファージ MB402=DSM33473、黄色ブドウ球菌 MB403=DSM33474、黄色ブドウ球菌バクテリオファージ MBSA2=DSM33475、黄色ブドウ球菌バクテリオファージ MBSA3=DSM33476、黄色ブドウ球菌バクテリオファージ MBSA5=DSM33477。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】マイクロタイタープレートの1つの系列のウェルにおけるファージ溶解物の希釈の例。
図2】様々な希釈でのファージの6株(表1)を含むマイクロタイタープレートの例。
図3】ファージ溶解物の生体有効性の試験の結果の例。不明瞭な結果(耐性並びに感受性であり得る)の場合、滴下による追加の試験が適している。
【実施例
【0032】
実施例1
【0033】
100μlの適切な培養培地をマイクロタイタープレートのウェルにピペットで入れ、ファージを溶解させた。黄色ブドウ球菌の単離培養物を10mlの培地に接種し、37℃で18~24時間増殖させる。ファージの生物学的活性を試験するための接種剤を、増殖した培養物から調製する。夜間培養物を1マクファーランド濁度値に希釈し、この希釈液の2mlを培地/生理溶液で20mlに補充する。この懸濁液を滅菌ペトリ皿に注ぐ。マルチチャンネルピペットの滅菌チップを懸濁液に浸漬し、浸漬後、溶解した凍結乾燥物と共にマイクロタイタープレートのウェルに移して湿らせる。プレートを37 ℃で適度な振とう下で12~18時間培養し、培養物の通気を確保する。結果は、個々の試験管の濁度に基づいて評価される(図3)。結果の正確性を確保するために、生物学的活性の試験は3つの並行実験で実施されるべきである。
【0034】
実施例2
【0035】
黄色ブドウ球菌の単離培養物を10mlの培地に接種し、37 ℃で18~24時間増殖させる。100μlの適切な培養培地をマイクロタイタープレートのウェルにピペットで入れ、ファージを溶解させた。ファージの生物学的活性を試験するための接種剤は、増殖した細菌培養物から調製される。5μlのナイトカルチャーを5mlの培地(または生理溶液)に加える。この懸濁液の100μlを、溶解凍結乾燥ファージを含むマイクロタイタープレートのウェルに移す。プレートは37 ℃で12~18時間培養される。その結果は、個々のウェルの濁度に基づいて評価される(図3)。結果の正確性を確保するために、生体有効性の試験は3つの並行実験で実施されるべきである。
【0036】
実施例3
【0037】
黄色ブドウ球菌の単離培養物を10mlの培地に接種して、0.5マクファーランド濁度まで37 ℃で増殖させる。ファージの生物学的活性を試験するための接種剤を、増殖した培養物から調製する。この希釈液の2mlを、20mlの培地/生理溶液に補充する。この懸濁液を滅菌ペトリ皿に注ぐ。マルチチャンネルピペットの滅菌チップを懸濁液に浸漬し、浸漬後、それらを移し、マイクロタイタープレートのウェルに湿らせる。細菌培養物が調製される前に、凍結乾燥物は、100μlの適切な培地中のマイクロタイタープレートのウェルに溶解しなければならない。プレートは37 ℃で12~18時間培養される。その結果は、個々の試験管における濁度に基づいて評価される(図3)。結果の正確性を確保するために、生物学的活性の試験は3つの並行実験で実施されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
さまざまな種類のファージ(表1)を含むプレートは冷蔵庫に保管され、患者の抗生物質治療が効果的でない場合、細菌株は細菌を単離および同定した施設においてバクテリオファージに対する感受性を直接試験される。
【0039】
参考文献
【0040】
Anderson, B., Rashid, M. H., Carter, C., Pasternack, G., Rajanna, C., Revazishvili, T., Dean, T., Senecal, A., & Sulakvelidze, A. (2011). Enumeration of bacteriophage particles. Bacteriophage. https://doi.org/10.4161/bact.1.2.15456
【0041】
Andrews, J. M. (2002). Determination of minimum inhibitory concentrations. Journal of Antimicrobial Chemotherapy. https://doi.org/10.1093/jac/dkf083
【0042】
Duval, R. E., Grare, M., & Demore, B. (2019). Fight against antimicrobial resistance: We always need new antibacterials but for right bacteria. In Molecules. https://doi.org/10.3390/molecules24173152
【0043】
Lin, D. M., Koskella, B., & Lin, H. C. (2017). Phage therapy: An alternative to antibiotics in the age of multi-drug resistance. World Journal of Gastrointestinal Pharmacology and Therapeutics. https://doi.org/10.4292/wjgpt.v8.i3.162
【0044】
Merabishvili, M., Vandenheuvel, D., Kropinski, A. M., Mast, J., De Vos, D., Verbeken, G., Noben, J. P., Lavigne, R., Vaneechoutte, M., & Pirnay, J. P. (2014). Characterization of newly isolated lytic bacteriophages active against Acinetobacter baumannii. PLoS ONE. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0104853
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの系列の個々のウェルが、DSM 33472、DSM 33473、DSM 33474、DSM 33475、DSM 33476、DSM 33477の番号でミュンヘン微生物コレクションに寄託された、ファージの1つ又はそれらの組み合わせの溶解物の少なくとも50μlを、1×10 9 ~1×10 2 の濃度での10倍希釈で含有するマイクロタイタープレートに基づき、ファージ溶解液の生物学的抗菌活性を決定するための、凍結乾燥試験キット。
【請求項2】
前記マイクロタイタープレートの個々のウェルにおいて、前記ファージの他に、0.1~1 mMの濃度のCaCl2も含む、請求項1に記載の試験キット。
【請求項3】
前記ファージ溶解液を単位希釈液中に1オーダー以内で、すなわち1×109~9×109、1×108~9×108、1×107~9×107、1×106~9×106、1×105~9×105、1×104~9×104 PFU/mlで含む、請求項1に記載の試験キット。
【請求項4】
0~25 ℃の温度で安定である、請求項1又は2に記載の試験キット。
【請求項5】
既知の黄色ブドウ球菌の細菌をさらに含む、請求項1または2に記載の試験キット。
【請求項6】
DSM 33472、DSM 33473、DSM 33474、DSM 33475、DSM 33476、DSM 33477の番号でミュンヘン微生物コレクションに寄託されたファージから成る群の、少なくとも1つのファージを用いて、ファージ溶解物の生物学的抗菌活性を決定する方法であって、試験対象の細菌の感受性を、濁度に基づいて肉眼で評価することができる、前記方法。
【国際調査報告】