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特表2023-528162耐久性があり洗浄可能な高性能濾過媒体としての/のための多層布およびその組み立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】耐久性があり洗浄可能な高性能濾過媒体としての/のための多層布およびその組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20230627BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20230627BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20230627BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B01D39/16 A
A41D13/11 Z
B01D39/16 E
A61L9/16 F
B01D46/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022564298
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 CA2021050539
(87)【国際公開番号】W WO2021212219
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/012,349
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522411854
【氏名又は名称】スクール、ミシェル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スクール、ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】デュマ - ケネル、モニーク
(72)【発明者】
【氏名】パランギ、アントワーヌ
【テーマコード(参考)】
4C180
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA17
4C180DD09
4C180MM03
4C180MM07
4C180MM08
4C180MM10
4D019AA01
4D019BA12
4D019BA13
4D019BB02
4D019BB03
4D019BC06
4D019BD01
4D019CB06
4D019DA01
4D019DA02
4D058JA12
4D058JA13
4D058JB14
4D058JB25
4D058JB39
4D058KA27
4D058SA13
(57)【要約】
非常に適した布のリストと、それらを組み合わせて、高い粒子濾過効率(PFE)と50~75回の洗濯サイクルに耐える通気性を備えた、耐久性のある再利用可能な濾過媒体にする方法。濾過媒体は、脆弱で有害な物理化学的前処理なしで、機械的手段のみによってPFEを達成する。異なる布を個々の通気性と粒子サイズの異なるPFEでの相補性を考慮して組み立てることで、多くの洗濯サイクル後に良好な通気性と大きな範囲(20nm~4μm)での高いPFEを達成するか、または同じ布のいくつかの層を対にし、各々の層で繊維の方向と寸法を変えながら効率を高める。この組み立て方法は、各々の層の異方性に起因する構造的弱点を対処し、対面閉鎖型濾過セル型の組み合わせにより、それらの微細繊維を機械的摩耗および目詰まりから保護することにより、濾過媒体のPFE、寿命、性能安定性を高度に向上させるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子サイズの範囲内の粒子を濾過するための濾過媒体であって、
第1の繊維方向が優勢である第1の布片と、
前記第1の布片に重ね合わされた第2の布片であって、第2の繊維方向が優勢である、第2の布片と、
前記濾過媒体を画定するために、前記第2の布片に重ね合わされた前記第1の布片の周縁部に沿ったシーリングと
を備え、
前記第1の布片および前記第2の布片は、それらの優勢な繊維方向が整列されていない状態で重ね合わされ、それにより組み合わさって、前記第1の布片および前記第2の布片単独のいずれか1つよりも良好な等方性の濾過媒体を有する、濾過媒体。
【請求項2】
前記第1の布片および前記第2の布片は、同じ又は異なる布である、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項3】
前記第1の布片は、
10gsm~50gsmまたは51gsm~90gsmの不織布、
10gsm~50gsmまたは51gsm~90gsmのメルトブローン布、
短繊維および長繊維を含む、10gsm~50gsmまたは51gsm~90gsmのナノ繊維、マイクロ繊維、またはそれらの組み合わせの布、
40gsm~300gsmの短繊維、長繊維、またはそれらの組み合わせの不織布フェルト、
カレンダー加工されたナイロンのマイクロ穿孔またはナノ穿孔布および/またはポリマー、
セルロース、ポリエステル、ポリプロピレンのうちの少なくとも1つで作製された紙布のうちの1つである、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項4】
前記第1の布片および前記第2の布片が共に、様々な直径および長さの繊維を提供する、請求項1~3のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項5】
前記第1の布片は、第1の構造面および第1の脆弱繊維面を有する不織布であり、前記第2の布片は、第2の構造面および第2の脆弱繊維面を有し、
前記第1の脆弱繊維面は、前記第2の脆弱繊維面に面している、請求項1~3のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項6】
前記第1の布片は、第1の構造面および第1の脆弱繊維面を有する不織布であり、
前記第1の脆弱繊維面は、前記第2の布片のいずれかの面に面して重ね合わされ、前記2つの布片は、前記第1の布片の前記脆弱繊維面のための囲いを画定する周縁部に沿って共にシールされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項7】
少なくとも第3の布片をさらに備え、
前記第3の布片は、前記第1の布片の第1の構造面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有するか、または、
前記第3の布片は、前記第1の布片または前記第2の布片の脆弱繊維面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項8】
少なくとも第3の布片および第4の布片をさらに備え、
前記第3の布片は、前記第4の布片の第4の脆弱繊維面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成し、前記ユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合わされるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間に配置されるか、または、
前記第4の布片は、前記第3の布片の第3の構造繊維面に面して重ね合わされた第4の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成することを規定し、前記ユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合わされるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間にある、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項9】
少なくとも第3の布片、第4の布片、および第5の布片をさらに備え、
前記第3の布片は、前記第4の布片の第4の脆弱繊維面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成することを規定し、前記ユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合されるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間に配置され、
前記第5の布片は、外側表面上に配置された任意の布片の構造繊維面に面して重ね合わされた第5の脆弱繊維面を有するか、または前記第1の脆弱繊維面と前記第2の脆弱繊維面の間、または前記第3の脆弱繊維面と前記第4の脆弱繊維面の間に配置されているか、または、
前記第4の布片は、前記第3の布片の第3の構造繊維面に面して重ね合わされた第4の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成し、前記ユニットは、前記第1の構造繊維面または前記第2の構造繊維面に重ね合されるか、または前記第1の脆弱繊維面と前記第2の脆弱繊維面の間にあり、
前記第5の布片の第5の脆弱繊維面は、外側表面上に配置された任意の布片の構造繊維面に面して重ね合わされているか、または前記第1の布片と前記第2の布片の間、または前記第3の布片と前記第4の布片の間に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項10】
前記第1の布片を保護する保護横糸を含む第3の布片をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項11】
1cm当たり8.55mmHO未満の圧力損失を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項12】
前記重ね合わされた布片は、周縁部に沿って共にシールされる、請求項1~11のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項13】
前記布片は、縫合、周辺結合、接着剤、熱融着、および超音波融着のうちの1つによって共にシールされる、請求項12に記載の濾過媒体。
【請求項14】
前記濾過媒体は、25回の洗浄サイクル後に40%未満の濾過特性の損失を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項15】
前記濾過媒体は、50回の洗浄サイクル後に45%未満の濾過特性の損失を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項16】
前記濾過媒体は、100回の洗浄サイクル後に50%未満の濾過特性の損失を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項17】
生物学的病原体を含む粒子を濾過するために、着用者の顔の上に前記着用者の口と鼻孔の前に配置されるように適合されたバリアマスクであって、
マスク内層またはマスク外層のうちの少なくとも1つと、
請求項1~16のいずれか一項に記載の濾過媒体を含む濾過層であって、
前記濾過層と、内層および外層のうちの少なくとも1つとが重ね合わされ、共にシールされて、バリアマスクを形成する、濾過層と、
着用者の頭部の上に置かれるように適合された耳ひもおよび弾性バンドからなる群から選択された少なくとも1つの締結部材であって、前記締結部材は、前記バリアマスクに取り付けられて、前記バリアマスクを通過する前記粒子を濾過するために前記着用者の顔の上に前記バリアマスクを維持する、少なくとも1つの締結部材とを備えた、バリアマスク。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の濾過媒体を含む、空気中の粒子を濾過するための空気強制式機械濾過装置に取り付けられた濾過装置。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載の濾過媒体を含む、布片、衣類、または衣類付属品。
【請求項20】
粒子を濾過するための濾過層を作製する方法であって、
各々が優勢な繊維方向を有する第1の布片と第2の布片とを、それらの優勢な繊維方向が、少なくとも10度の互いに対して整列されていない状態で重ね合わせ、それにより組み合わさって、前記第1の布片および前記第2の布片単独のいずれか1つよりも良好な等方性の濾過媒体を有するステップを含む、方法。
【請求項21】
前記第1の布片および前記第2の布片は、同じまたは異なる布である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の布片は、構造面および脆弱繊維面を有する不織布であり、前記第1の布片の前記脆弱繊維面は、前記第2の布片の脆弱繊維面に面する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
請求項5~9のいずれか一項に記載の濾過媒体を調製するための、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される主題は、広く言えば、粉塵、すす、煙、花粉、微生物、ウイルス、および液滴などの固体および液体粒子の透過を制限するように適合される、マスクおよび他の用途のための濾過媒体に関するものである。より具体的には、開示される主題は、そのような濾過媒体を構成する材料の性質、およびその組み立ての様式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような濾過媒体の分野では、パンデミックの状況では、着用者の環境に存在する人への微生物およびウイルス、別名生物学的病原体の感染を制限するため、あるいは逆に、人が着用者に感染させる可能性のある生物学的病原体に接触することを制限するために、マスクまたは他の個人用保護具(PPE)の着用が推奨されるあらゆる状況において、医療レベルのマスクから防塵マスク、さらにはスカーフタイプのマスク製造における一般的な布の使用まで、長年にわたって多くのソリューションが開発されてきている。
【0003】
病気およびパンデミックの状況では、公共サービスが、可変の効率で生物病原体の移動を制限するために、そのようなバリアマスクを着用することを住民に要求することがよくある.その結果、そのようなマスクは状況によっては一般に完全には入手できず、実際の結果よりも架空の結果をもたらすなどの問題がある。
【0004】
さらに、今日最も一般的に着用されているマスクは、外科用または医療用のマスクである。広い範囲のサイズ(20nm~4μmの間)で高い粒子濾過効率(PFE)を提供し、通気性と快適性が高く、物理化学的処理(例えば、コーティング、抗生物質、静電気帯電)を施した合成繊維でできており、湿気および水と接触すると、すぐに効果が薄れる。その結果、最大4時間後に交換する必要があり、品質を失うことなく洗浄することはできない。したがって、今日のマスクに関しては、使い捨てのプラスチックが標準であり、非常に有害でリサイクルが困難で、短い耐用年数の後に長期にわたる廃棄物が大量に発生するため(このようなマスクは、すべてのエコシステムで公開されているより有害なマイクロプラスチックに分解するのにさえ450年かかる)、大きな環境コストが発生する。
【0005】
パンデミックの現在、この状況は憂慮すべきものから危機的なものに変わり、世界中で毎秒47000枚の使い捨てマスク(1か月当たり1300億枚)が捨てられている。
【0006】
さらに、塩素、金属イオン、グラフェンなどのナノ粒子など、マスクの性能を向上させるための繊維の物理化学処理の一部は、特に顔および気道と密接に接触すると、人間の健康に有害である。
【0007】
さらに、使い捨てマスクの使用は、頻繁な交換と規則に従った廃棄に多大なコストがかかるため、経済的な影響もあり、医療サービスでは、使用済みのマスクはバイオハザード廃棄物と見なされ、単に捨てるのではなく、適切に処理する必要がある。
【0008】
そのような状況に直面するために、一般的な布で作られた職人的および商業的な洗浄可能なマスクが一般の人々に利用可能になってきた。それらは、PPEの使用の増加によって生成される廃棄物の量を軽減するのに役立つが、大きな欠点を示す、つまり、大きなサイズ(2~3μm以上)の粒子に対して適切な濾過を提供するが、微粒子に対して弱いPFE(20~800nmの範囲で5%~20%)である。さらに、わずか数回の洗浄サイクルで構造的に不安定になり、濾過能力がさらに低下する。その状況を修正しようとすると、ほとんどの場合、マスクの通気性が劇的に低下し、それによって着用者の快適さが低下し、人々はマスクを着用しないか、誤って着用するようになる.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、例えばマスクに使用される、耐久性のある再利用可能な濾過媒体は、高い濾過性能および通気性(低いΔP、または差圧によって定義される)を提供し、同時に使い捨ての医療用マスクおよび職人的・商業的マスクの経済的、公衆衛生的、環境的な欠点を克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、粒子サイズの範囲内の粒子を濾過するための濾過媒体であって、第1の繊維方向が優勢である第1の布片と、第1の布片に重ね合わされた第2の布片であって、第2の繊維方向が優勢である、第2の布片と、濾過媒体を画定するために、第2の布片に重ね合わされた第1の布片の周縁部に沿ったシーリングとを備える、濾過媒体が提供される。第1の布片および第2の布片は、それらの優勢な繊維方向が互いに対して整列されていない状態で重ね合わされ、それにより組み合わさって、第1の布片および第2の布片単独のいずれか1つよりも良好な等方性の濾過媒体を有する。
【0011】
一態様によれば、第1の布片および第2の布片は、同じまたは異なる布である。
【0012】
一態様によれば、第1の布片は、以下の布:10gsm~50gsmまたは51gsm~90gsmの不織布、10gsm~50gsmまたは51gsm~90gsmのメルトブローン布、短繊維および長繊維を含む、10gsm~50gsmまたは51gsm~90gsmのナノ繊維、マイクロ繊維、またはそれらの組み合わせの布、40gsm~300gsmの短繊維、長繊維、またはそれらの組み合わせの不織布フェルト、カレンダー加工されたナイロンのマイクロ穿孔布またはナノ穿孔布および/またはポリマー、セルロース、ポリエステル、ポリプロピレンのうちの少なくとも1つで作製された紙布のうちの1つである。
【0013】
一態様によれば、第1の布片および第2の布片が共に、様々な直径および長さの繊維を提供する。
【0014】
一態様によれば、第1の布片は、第1の構造面および第1の脆弱繊維面を有する不織布であり、第2の布片は、第2の構造面および第2の脆弱繊維面を有する。第1の脆弱繊維面は、第2の脆弱繊維面に面している。
【0015】
一態様によれば、第1の布片は、第1の構造面および第1の脆弱繊維面を有するメルトブローンである。第1の脆弱繊維面は、第2の布片のいずれかの面に面して重ね合わされ、2つの布片は、第1の布片の脆弱繊維面のための囲いを画定する周縁部に沿って共にシールされる。
【0016】
一態様によれば、濾過媒体は、少なくとも第3の布片をさらに備える。第3の布片は、第1の布片の第1の構造面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有するか、または、第3の布片は、第1の布片または第2の布片の脆弱繊維面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有する。
【0017】
一態様によれば、濾過媒体は、少なくとも第3の布片および第4の布片をさらに備える。第3の布片は、第4の布片の第4の脆弱繊維面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成することを規定し、そのユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合わされるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間に配置されるか、または、第4の布片は、第3の布片の第3の構造繊維面に面して重ね合わされた第4の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成することを規定し、そのユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合わされるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間にある。
【0018】
一態様によれば、濾過媒体は、少なくとも第3の布片、第4の布片、および第5の布片をさらに備える。第3の布片は、第4の布片の第4の脆弱繊維面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成することを規定し、ユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合されるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間に配置され、第5の布片は、外側表面上に配置された任意の布片の構造繊維面に面して重ね合わされた第5の脆弱繊維面を有するか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間、または第3の脆弱繊維面と第4の脆弱繊維面の間に配置されているか、または、第4の布片は、第3の布片の第3の構造繊維面に面して重ね合わされた第4の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成することを規定し、ユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合されるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間にあり、第5の布片の第5の脆弱繊維面は、外側表面上に配置された任意の布片の構造繊維面に面して重ね合わされているか、または第1の布片と第2の布片の間、または第3の布片と第4の布片の間に配置されている。
【0019】
一態様によれば、濾過媒体は、第1の布片を保護する保護横糸を含む第3の布片をさらに備える。
【0020】
一態様によれば、濾過媒体は、EN14683:2019法に従って、1cm当たり8.55mmHO未満の圧力損失を特徴とする。
【0021】
一態様によれば、重ね合わされた布片は、周縁部に沿って共にシールされる。
【0022】
一態様によれば、布片は、縫合、周辺結合、接着剤、熱融着、および超音波融着のうちの1つによって共にシールされる。
【0023】
一態様によれば、濾過媒体は、25回の洗浄サイクル後に40%未満の濾過特性の損失を有する。
【0024】
一態様によれば、濾過媒体は、50回の洗浄サイクル後に44%未満の濾過特性の損失を有する。
【0025】
一態様によれば、濾過媒体は、100回の洗浄サイクル後に50%未満の濾過特性の損失を有する。
【0026】
一実施形態によれば、生物学的病原体を含む粒子を濾過するために、着用者の顔の上に着用者の口と鼻孔の前に配置されるように適合されたバリアマスクが提供され、バリアマスクは、マスク内層またはマスク外層のうちの少なくとも1つと、本明細書に記載の濾過媒体を含む濾過層とを備える。濾過層と、内層および外層のうちの少なくとも1つとが重ね合わされ、共にシールされて、バリアマスクを形成する。着用者の頭部の上に置かれるように適合された耳ひもおよび弾性バンドからなる群から選択された少なくとも1つの締結部材であって、締結部材は、バリアマスクに取り付けられて、バリアマスクを通過する粒子を濾過するために着用者の顔の上にバリアマスクを維持する、少なくとも1つの締結部材が提供される。
【0027】
一実施形態によれば、本明細書に記載の濾過媒体を含む、空気中の粒子を濾過するための空気強制式機械濾過装置に取り付けられた濾過装置が提供される。
【0028】
一実施形態によれば、本明細書に記載の濾過媒体を含む、布片、衣類、または衣類付属品が提供される。
【0029】
一実施形態によれば、粒子を濾過するための濾過層を作製する方法であって、各々が優勢な繊維方向を有する第1の布片と第2の布片とを、それらの優勢な繊維方向が、少なくとも10度の互いに対して整列されていない状態で重ね合わせ、それにより組み合わさって、第1の布片および第2の布片単独のいずれか1つよりも良好な等方性の濾過媒体を有するステップを含む、方法が提供される。
【0030】
一態様によれば、第1の布片および第2の布片は、同じまたは異なる布である。
【0031】
一態様によれば、第1の布片は、構造面および脆弱繊維面を有する不織布であり、第1の布片の脆弱繊維面は、第2の布片の脆弱繊維面に面する。
【0032】
一態様によれば、この方法は、濾過媒体を調製するためのものであり、第1の布は、前述の態様の不織布であり、第1の布片は、前述の態様の不織布であり、少なくとも前述の態様の第3の布片をさらに含み、前述の態様の少なくとも第3の布片および第4の布片をさらに含むか、または前述の態様の第3の布片、第4の布片、および第5布片をさらに含む。
【0033】
本発明の主題の構成および利点は、添付の図に示されるように、選択された実施形態の以下の詳細な説明に照らしてより明らかになるであろう。理解されるように、開示され特許請求された主題は、すべて特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な点で変更が可能である。したがって、図面および説明は本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、主題の全範囲は、特許請求の範囲に記載されている。
【0034】
本開示のさらなる構成および利点は、添付の図面と組み合わせて解釈される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】一実施形態に係る、典型的な着用者の顔の上に着用されたバリアマスクの正面図である。
図2】一実施形態に係る、典型的な着用者の顔の上に着用されたバリアマスクの側面図である。
図3】一実施形態に係る、典型的な着用者の顔の上に着用されたバリアマスクの下から見た図である。
図4】一実施形態に係る、典型的な着用者の顔の上に着用されたバリアマスクの上面図である。
図5】伸縮するネックストラップがある場合の、図1図4の着用されたバリアマスクの背面図である。
図6】伸縮するネックストラップがない場合の、図1図4の着用されたバリアマスクの背面図である。
図7】金属ワイヤーの側面図である。
図8図1図4のマスクからの図7のワイヤーの拡大図である。
図9】別の一実施形態に係るマスクの正面図である。
図10】別の一実施形態に係るマスクの下から見た正面図である。
図11】別の一実施形態に係るマスクの側面図である。
図12】別の一実施形態に係るマスクの上面図である。
図13】一実施形態に係るマスクの層の側面図である。
図14】実施形態に係る濾過層の2枚の布片の組立体の例示的な実施形態である。
図15】実施形態に係る濾過層の3枚の布片の組立体の例示的な実施形態である。
図16】実施形態に係る濾過層の4枚の布片の組立体の例示的な実施形態である。
図17】実施形態に係る濾過層の5枚の布片の組立体の例示的な実施形態である。
図18】優勢なそれぞれの繊維方向に従う2~4枚の布の組立体を示す概略図である。
図19】典型的なメルトブローン布の繊維の拡大図であり、それらのそれぞれの優勢な繊維方向を示す。
図20】典型的なメルトブローン布の繊維の拡大図であり、それらのそれぞれの優勢な繊維方向を示す。
図21】典型的なメルトブローン布の繊維の拡大図であり、それらのそれぞれの優勢な繊維方向を示す。
図22】典型的なメルトブローン布の繊維の拡大図であり、それらのそれぞれの優勢な繊維方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付の図面全体を通して、同様の構成は同様の符号によって識別されることに留意されたい。
【0037】
ここで、実現形態が示されている添付の図を参照して、以下により十分に実現形態が説明される。しかしながら、前述のものは、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された図示された実現形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0038】
本明細書に関して、特に断りのない限り、または本文から明らかでない限り、単数形の項目への言及は複数形の項目を含み、その逆もまたそうであると理解されるべきである。文法的接続詞は、特に断りのない限り、または文脈から明らかでない限り、結合節、文、単語などのありとあらゆる選言的および連言的組み合わせを表現することを意図している。したがって、用語「または」は、一般的に、「および/または」などを意味すると理解されるべきである。
【0039】
本明細書または図面における値の範囲および値の記述は、限定を意図するものではなく、代わりに、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲内にあるありとあらゆる値を個別に参照するものであり、そのような範囲内の各々の別個の値は、本明細書に個別に記述されているかのように明細書に組み込まれる。「約」、「およそ」などの単語は、数値に付随する場合、意図された目的のために満足に機能するために当業者によって認識される偏差を示すものとして解釈されるべきである。値および/または数値の範囲は、本明細書では例としてのみ提供されており、記載された実現形態の範囲を限定するものではない。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な文言(例えば、「例えば」、「など」)の使用は、単に例示的な実現形態をよりよく説明することを意図しており、実現形態の範囲を制限するものではない。明細書中の文言は、特許請求されていない要素が実現形態の実践に不可欠であることを示していると解釈されるべきではない。
【0040】
以下の説明において、「第1」、「第2」、「上部(top)」、「下部(bottom)」、「上方(above)」、「下方(below)」などの用語は便宜上の言葉であり、限定的な用語として解釈されるべきではないことが理解される。
【0041】
「上部(top)」、「上(up)」、「上部(upper)」、「下部(bottom)」、「下部(lower)」、「下(down)」、「垂直」、「水平」、「内部」、「外部」などの用語は、製品の通常の設置に関連する通常の意味で解釈されることを意図しており、構成要素の通常の方向の表示は、バリアマスク100が着用された状態で図1図4に提供されている。
【0042】
実施形態では、バリアマスクの詳細が開示されている。
【0043】
添付の図面全体を通して、同様の構成は同様の符号によって識別されることに留意されたい。
【0044】
バリアマスクは、着用者の顔に直接着用するか、別のマスク(例えば、手術中に外科医が使用する医療用マスクまたは保護マスク)の上に着用して、生物学的病原体およびその他の種類の粒子の透過をよりよく制限するように適合されている。
【0045】
ここで図1図8を参照すると、バリアマスク100は、着用者の皮膚に接触する内層102(図5および図13)、外層104、および濾過層106(図13)から作製される。典型的には、内層102は、内層102の布が皮膚に触れている着用者の刺激を防止するために、その触感および組成について選択された材料から作製される。
【0046】
実現形態によれば、内層102は、天然布で、または所望の柔軟性と、着用者の息が布を容易に通過するのに必要な通気性との両方を有する合成布でさえ作製され得る。内層はまた、濾過の増強、湿気に対する障壁を提供し、それによって着用者およびその環境に改良された快適性および安全性を提供することができる。
【0047】
外層104に関しては、外層104は、着用者の皮膚に連続的に接触することを意図していないので、使用可能な布の種類は内層102よりも広い。したがって、外層104用の布の選択は、内層102用の布と同様に、通気性を特徴とする布に基づく。
【0048】
濾過層106は、生物学的病原体および他の粒子(例えば、汚染物質および花粉)との相互作用のために特別に選択された布で作製される。
【0049】
したがって、実施形態に関係なく、濾過層106は、好ましくは、少なくとも2つの布片(例えば、不織布100%ポリプロピレン布と、いくつか列挙すると、綿、ジオテキスタイル、ポリエステル、およびセルロースなどの別の布)の組み合わせで作製され、以下に他の例を示す。
【0050】
バリアマスク100は典型的には、例えば3つの層102、104、106を層102、104、106の周縁部112に沿って、または別の境界ソリューションを使用して共に縫い合わせることによって、層102、104、106の縁部を接合することによって、内層102、濾過層106、および外層104の組立体を介して製造される。縫合は、生物学的病原体などの粒子に対して濾過層106を通る経路を提供し、同じ領域における他の種類の結合は、空気が通過するための利用可能なセクションが減少させ、通気性が低下するため、すべての場合において、層102、104、106は、バリアマスク100が口および鼻孔を覆うように意図されている場合、縫合されていない。
【0051】
実施形態によれば、着用時にバリアマスク100を適所に保つために、頭部108の周りの耳ひもまたは弾性バンドも層102、104、106と共に縫い付けられる(またはホチキス留めされる)。
【0052】
実施形態によれば、バリアマスク100はまた、装着者がバリアマスク100の上部を装着者の顔の一部、好ましくは全幅、より詳細には鼻および頬骨の形状に適合するように成形することを可能にするための鼻の上部の金属ワイヤーまたはストリップなどの展性構成要素を含んでいてよい。好ましくは、展性構成要素は、金属ワイヤー120(図8および図9)、好ましくは銅から得られたワイヤーから構成される。
【0053】
別の一実施形態によれば、バリアマスク100は、濾過層106に容易に挿入し、層102と104の間に位置するはめ込み空間から濾過層106を容易に取り出すための開口部を提供するように共に接合される内層102および外層104を備える。
【0054】
図9図12を参照すると、マスク200の別の一実施形態は、内層102、外層104、および濾過層106を含み、マスク200は、着用者の快適さのために異なるプリーツを特徴とし、内層102と着用者の口および鼻孔の前の皮膚との間の改善されたクリアランスを保証する3D効果を生成する少なくともマスク200においてマスク100とは異なる。より正確には、マスク200は、5つのプリーツと、それに関連する縫合がないことを特徴とするため、マスク200は、開口部を特徴とすることなしに着用者の顔の形状に良好にフィットし、したがって、縫合が誘発するであろう濾過効率に対する弱点を提供する。
【0055】
両方のマスク100、200は、着用者の快適さを改善するためのネオプレン製の縁飾り122を特徴としており、縁飾りは、マスク100、200の気密性を改善し、金属ワイヤー120(例えば、銅から得られるワイヤー)を収容するために弾性的であってもよい。
【0056】
すべての場合において、マスク100、200の設計は、縫い線を避けるように作製され、縫い線は、マスク100、200の濾過性能を弱める。
【0057】
異なる層102、104、および106に使用される布に従って、バリアマスク100、200は、それらの濾過特性を失うことなく繰り返し洗浄されるように適合される。
【0058】
洗浄方法には、石鹸とぬるま湯または熱湯(指示に応じて)、過酸化水素蒸気による処理、乾熱および赤外線滅菌、および設定温度でオートクレーブを使用してバリアマスク100、200を処理することが含まれる。代替の洗浄方法には、プラズマ処理、UV、およびマイクロ波がさらに含まれる。
【0059】
ここで特に図13を参照すると、実現形態によれば、本説明に係る濾過媒体150は、医療用途で使用されるマスクと、家庭および職場用途で使用されるマスクとを置き換えるソリューションを提供する。濾過媒体150は、以下の特徴を示す:
広範囲の粒子サイズ(例えば、20~4000nm)にわたるPFEに関する高性能タイプのマスク。
【0060】
研究所は、濾過基準の要件を満たすために、単一サイズまたは狭い範囲の粒子サイズについて濾過媒体を試験していることに留意すべきである。例えば、ASTMの標準F2100によれば、濾過媒体は、100nmの粒子で試験される。ASTMの基準F3502-21によれば、濾過媒体は、75nmの粒子で試験される。
【0061】
濾過プロセスでは、機械的濾過による遮断、粒子の慣性と運動エネルギー、静電力、およびファンデルワールス力を含む、多様で重なり合う物理現象が生じるため、各々の媒体はその特性により、粒子サイズに関して異なる性能を発揮する。したがって、広範囲の粒径にわたって優れた特性を示す濾過媒体を得ることは非常に困難であることが判明している。さらに、濾過の文脈では、高い通気性を維持する必要があり、さもないと濾過媒体が急速に封入されたものになり、これは目的に反する。
【0062】
濾過媒体150の別の特徴は、特定の濾過および通気性の要件を満たすソリューションを選択的に採用することを可能にする方法の柔軟性を含む。
【0063】
濾過媒体150を使用するマスク100、200の別の特徴は、濾過媒体150が広い範囲の粒子サイズを濾過するように適合されており、マスクの設計は、空気が濾過媒体150を通って移動するように強制する良好な気密性を提供するので、マスクによって提供される環境から着用者を保護するだけでなく、着用者から環境を保護することを含む。
【0064】
本明細書の濾過媒体150の別の特徴は、その通気性、濾過媒体150、および低い圧力損失(別名、ΔP)を生成する濾過媒体150を含むマスクに関するものである。
【0065】
別の特徴は、多数の洗浄サイクルに対するその安定性である。濾過媒体150の濾過特性の損失は、25回の洗浄サイクルにわたって2~40%未満である。好ましくは、濾過特性の損失は、40回の洗浄サイクルにわたって3~44%未満である。好ましくは、濾過特性の損失は、50回の洗浄サイクルにわたって3~45%未満である。好ましくは、濾過特性の損失は、75回の洗浄サイクルにわたって3~48%未満である。好ましくは、濾過特性の損失は、100回の洗浄サイクルにわたって3~50%未満である。
【0066】
濾過媒体150は、家庭用洗濯機などの現在利用可能な洗浄装置で洗浄可能である。
【0067】
濾過媒体150がその濾過特性をかなりの数の洗浄サイクルにわたって維持する能力の結果として、埋め立てに終わる物質は略減少する。本濾過媒体を備える1つのマスクは、100を超える、好ましくは200を超える、おそらく約300の使い捨てマスクに取って代わる。したがって、プラスチック系廃棄物の量は、最大で約100倍減少する。経済的には、このようなマスクの1回の使用当たりのコストも4倍~30倍減少する。
【0068】
さらに、機械的濾過のみを使用する濾過媒体150は、追加の技術(例えば、静電処理、コーティング)を必要とせず、したがって、これによって、洗浄サイクルを経る際に、通常のマスクの効率が低下すること、または効率が失われることさえ回避される。
【0069】
さらに、濾過媒体150は、濾過媒体によって放出される繊維または有害物質または化学製品の吸入に関して、着用者に危険をもたらさない。
【0070】
一実現形態によれば、本濾過媒体150を含むバリアマスク100、200は、外層104を含み、外層104は、好ましくは、バリアマスク100、200の通気性に対して重大な障害を引き起こさない疎水性布で作製される。
【0071】
バリアマスク100、200は、内層102をさらに備え、内層102は、着用者の皮膚に接触し、湿気に対して良好な吸収能力を提供し、特に濾過媒体150に到達する息からの湿気を制限し、着用者の快適さを改善する。外層104と同様に、内層102は、バリアマスク100、200の通気性に対して重大な障害を誘発してはならない。内層102の布は、柔らかく無毒であるように選択され、したがって、所望の特性を満たす。
【0072】
バリアマスク100、200は、本濾過媒体150から作製された濾過層106をさらに備え、濾過媒体150の構成要素および構成要素の組立体は、求められる濾過特性に基づいて選択される。
【0073】
一実現形態によれば、濾過媒体150は、少なくとも2つの布片152(以下、布のタイプまたは性質に関して別段の指定がない限り布と呼ぶ)から作製され、2つの布片が共に組み立てられる(4つの布152a、152b、152c、および152dを有する図13の例を参照)。
【0074】
好ましくは、布152の少なくとも1つは、脆弱繊維面と構造面162とを含む。例えば、メルトブローン布(以下、メルトブローンとも呼ばれる)は、横糸(図14)または1つの面に繊維(図14)が突出した帆布を含み、したがって構造面162(横糸)および脆弱繊維面164(突出した繊維の面)を含む。
【0075】
ここで図14図17を参照すると、一実現形態によれば、2つのメルトブローンAおよびB(図14)は、メルトブローンの脆弱繊維面164(外力を受けて剥離しやすいより脆弱な繊維が存在する面)が対面して取り付けられ、それによって、トライボロジー原理に従って、洗浄サイクルに対して、および濾過媒体150に摩擦を引き起こす一般的な動作に対して、濾過媒体150の摩耗を減少させることができる。さらに、本濾過媒体に関連して実施された研究開発は、2つのメルトブローンの脆弱繊維面164を対面させることにより、メルトブローン繊維の一部が洗浄によって互いに融着し(フェルト効果)、それにより、時間の経過とともに相対的な摩擦によるメルトブローンの早期摩耗がさらに減少することを示した。
【0076】
好ましくは、2つの不織布、より好ましくは2つのメルトブローが、恒久的に組み立てられ、好ましくは濾過媒体150の周囲155にわたって組み立てられ、それによってメルトブローンの脆弱繊維面164上の摩擦源を制限し、繊維が横糸または構造面から分離するか、または劣化するのを防ぐ囲いを画定する。
【0077】
好ましくは、恒久的組立体はシールを提供し、それにより、囲まれた繊維がその組立体によって形成された囲いから出ることを防止する。したがって、繊維がその布から分離した場合、それらはシールされた囲いの中に留まり、したがって濾過媒体150の濾過特性に関与し続ける。
【0078】
したがって、利点は、繊維が環境中で失われる(したがって有害な影響を有する)か、または着用者によって吸入されるのではなく、シールされた囲いの中に留まることである。
【0079】
一実現形態によれば、2つのメルトブローンの組み立てはステッチ157で実行される。別の実現形態によれば、濾過媒体の布を組み立てるための別のソリューションは、周辺結合などの機械的締結、および接着剤、熱融着,
または超音波融着などの化学結合を含む。
【0080】
別の一実現形態(図示せず)では、濾過媒体は、メルトブローンおよび保護層を含み、メルトブローンの繊維面164は保護層に面しており、保護層は、経時的にメルトブローンの繊維面の摩耗を制限するように選択される。したがって、保護層は、メルトブローンに面する保護層の面とメルトブローンの繊維面164との間の(特に、布の硬度、構造、および他の機械的特性などの特性に関する)最大レベルの類似性に基づいて選択される。
【0081】
特に図15図17を参照すると、メルトブローンの3つの布が濾過媒体150の一部である場合、第3のメルトブローンCは、最も外側のメルトブローンの横糸面がコア(別名、ユニット)から離れて面するように組み立てられる。したがって、最初の2つの布によって形成されたコア170から、第3の布は、好ましくは、その繊維面164がコア170に面するように、または言い換えると、構造面162が布の位置に応じて内層102および外層104の最も近い面に面するように組み立てられる。
【0082】
同じタイプであろうとなかろうと4つの布を有する場合(図16)、それらは対で組み立てられ、各々の対がそれによってコア170を形成し、各々のコア170に対して脆弱繊維面164が互いに面している。2つのコア170は、その後、構造面162を構造面162と合わせて組み立てられる(図16のB~Dを参照)。
【0083】
2つを超える布を組み立てる必要がある場合は、材料、硬度、繊度、長さ、および接触する面で可能な限り多くの特性に関して繊維の類似性を最大化するように対にして、トライボロジーの原理に従って、可能な限り摩耗と劣化を低減する必要がある。
【0084】
図17は、追加の布Eが濾過媒体150にさらに追加される場合を示す。
【0085】
ここで図18を参照すると、一実現形態によれば、濾過媒体150の布は、優勢な繊維方向が支持横糸上で異なる方向に向くように選択される。したがって、濾過媒体150を含む布の組み合わせは、高レベルの平面等方性を提供し、個々の布がそれらの製造工程のために高レベルの異方性を逆に示すことはない。本濾過媒体に関する研究開発によって示されたように、より高いレベルの等方性は、その濾過特性を改善し、濾過媒体が所望の広範囲の粒子サイズにわたって所望の濾過レベルに到達することに関与する。等方性は、以下の例で詳述されるように、優勢な繊維方向間の角度発散を最大化することによって最大化される。
【0086】
例えば、関連する研究中に、優勢な繊維方向を有する第1の布のPFEが、試験されたサイズの粒子に対して約80%であることが例示的なケースで観察された。第1の布の2つの重ね合わされた層を、優勢な繊維方向が整列された状態で使用した場合、濾過利得はわずかであり、約3%であった。しかしながら、優勢な繊維方向が互いに90度になるように2つの重ね合わされた層を組み立てると、利得ははるかに大きくなり、布によっては約5~15%になった。したがって、優勢な繊維方向の非整列によって提供される等方性の改善は、濾過特性に実質的な影響を示し、優勢な繊維方向の不一致は、その目的へのソリューションとして特定された。別の観察された利点は、特に優勢な繊維方向を横切る力の下で、力を受けたときの布の耐性の向上にある。
【0087】
図18を参照すると、高レベルの異方性を示す最大4枚の布が重ね合わされた層として組み立てられ、優勢な繊維方向間の角度発散が最大化され、関連する濾過特性が向上した濾過媒体の最大化された等方性レベルをもたらす例が示されている。したがって、第2の布Gは、第1の布Fの優勢な繊維方向(垂直方向に図示)に対して90度で優勢な繊維方向(水平方向に図示)を有し、第3の布Hは、布Fおよび布Gの優勢な繊維方向に対して45度(左から右に上方に図示)で優勢な繊維方向を有し、第4の布Iは、第3の布Hの優勢な繊維方向に対して90度、布Fおよび布Gの優勢な繊維方向に対して45度(右から左に上方に図示)で優勢な繊維方向を有する。
【0088】
説明のために、図19図22は、典型的なメルトブローン布の繊維の拡大図を示し、それらのそれぞれの優勢な繊維方向、したがって観察可能な異方性を示している。
【0089】
濾過媒体150を形成する布の組み合わせに関して、所望の高レベルの等方性に到達するための布の性質の選択は、実現形態によれば、単一のタイプの布(例えば、メルトブローン、別のタイプの布)、または複数のタイプの布の混合物(例えば、織布と不織布)を含むことができることに留意すべきである。
【0090】
一実現形態によれば、濾過媒体150は、布が様々なサイズの繊維を特徴とする、布の組み合わせ(例えば、2つのメルトブローン)を含む。例えば、第1のメルトブローンは、第1の直径の繊維(または異なる直径の繊維の混合物または様々な繊維)を有する第1の繊度の横糸と、第2の直径の繊維(または異なる直径の繊維の混合物または様々な繊維)を有する第2の繊度の第2のメルトブローンとを含む。したがって、例えば、第1のメルトブローンは、サイズAの範囲の粒子に対して良好な濾過特性を提供し(第1のメルトブローンはそれに十分適合している)、第2のメルトブローンは、サイズBの範囲の粒子に対して良好な濾過特性を提供する(第2のメルトブローンはそれに十分適合している)。多数の布および布のタイプに関する研究開発により、第1のメルトブローンと第2のメルトブローンの組み合わせが、範囲Aおよび範囲Bに含まれるすべてのサイズの粒子に対して良好な濾過特性を提供することが示されている。
【0091】
同様に、厚みの変化も濾過特性の改善を示す。
【0092】
実現形態によれば、等方性のレベルの改善には、異なる直径(別名、様々な直径)の混合繊維を有する布の使用が含まれ得る。
【0093】
一実現形態によれば、濾過媒体を構成する1つまたは複数の布は、異なるサイズの繊維の混合物、例えば、いくつかの極細径繊維といくつかの細径繊維、例えば、横糸上であろうとなかろうとメルトブローンを含んでもよい。
【0094】
ここで図13を参照すると、濾過媒体150は、布152の少なくとも2つの層、好ましくはメルトブローン層の2つの層を含む。布の2つの層がメルトブローンタイプである場合、濾過媒体150は、脆弱繊維面164が互いに向き合うように組み立てられることが好ましい。
【0095】
実現形態によれば、マスク100、200の濾過媒体150は、以下に列挙される例に従って作成される。
【0096】
例示的な一実現形態では、内層102は、マイクロ穿孔またはナノ穿孔ナイロンおよび(例えば不織の)ポリマーなどのカレンダー加工された布で作製される。外層104は、マイクロ穿孔ナイロンまたはナノ穿孔ナイロンおよび(例えば不織の)ポリマーなどのカレンダー加工された布で作製される。濾過層106は、10gsm~50gsm(グラム/平方メートル)の間のメルトブローン生地で作製された第1の布152aと、(メルトブローンまたは不織布とメルトブローンとの混合物である)10gsm~50gsmの短い細繊維および長い細繊維を含むナノ繊維および/またはマイクロ繊維で作製された第2の布152bとを含む濾過媒体150を含む。この実現形態により、ASTM F3502-21/F2100に従う75~100nmの粒子に対する最大92%の近似的なPFE、BNQ法19922-900-付録Aに従うNaClの最も貫入する粒子サイズ20nm~4000nmに対する最大85%の近似的なPFE、およびEN14683:2019法に従う1cm当たり5~8mmHO(内層102と外層104の影響を含まず)のΔPが提供される。
【0097】
別の例示的な一実現形態では、内層102は、農業および園芸目的のために設計された膜およびフェルトとしても知られる、ジオテキスタイルおよびジオシンセティックスのうちの1つで作製される。外層104は、ジオテキスタイルおよびジオシンセティックスのうちの1つで作製される。濾過層106は、10gsm~50gsmの間の短い細繊維および長い細繊維を含む、ナノ繊維および/またはマイクロ繊維で作製された第1の布152aと、(メルトブローンまたは不織布とメルトブローンとの混合物である)10gsm~50gsmの間の短い細繊維および長い細繊維を含む、ナノ繊維および/またはマイクロ繊維で作製された第2の布152bとを含む濾過媒体150を含む。この実現形態により、ASTM F3502-21/F2100に従う75~100nmの粒子に対する最大95%の近似的なPFE、BNQ法19922-900-付録Aに従うNaClの最も貫入する粒子サイズ20nm~4000nmに対する最大85%の近似的なPFE、およびEN14683:2019法に従う1cm当たり3~6mmHO(内層102と外層104の影響を含まず)のΔPが提供される。
【0098】
別の例示的な一実現形態では、内層102は、ナイロンのポリエステルまたはポリマー生地(ニット、フェルト、不織布、または織布)のうちの1つで作製される。外層104は、ナイロンのポリエステルまたはポリマー布(ニット、フェルト、不織布または織布)のうちの1つで作製される。濾過層106は、50gsm~90gsmの間のメルトブローンタイプの生地で作製された第1の布152aと、(メルトブローンまたは不織布とメルトブローンとの混合物である)10gsm~90gsmの間の短い細繊維と長い細繊維とを含む、ナノ繊維および/またはマイクロ繊維で作製された第2の布152bとを含む濾過媒体150を含む。この実現形態により、ASTM F3502-21/F2100に従う75~100nmの粒子に対する最大94%の近似的なPFE、BNQ法19922-900-付録Aに従うNaClの最も貫入する粒子サイズ20nm~4000nmに対する最大90%の近似的なPFE、およびEN14683:2019法に従う1cm当たり6~9mmHO(内層102と外層104の影響を含まず)のΔPが提供される。
【0099】
別の例示的な一実現形態は、例として、綿および/またはポリエステルおよび/またはナイロンおよび/または麻および/またはトウワタおよび/またはリネンの生地で作製された内層102を含むマスク100、200からなる。外層104は、例として、綿および/またはポリエステルおよび/またはナイロンおよび/または麻および/またはトウワタおよび/またはリネンの生地から作製される。濾過層106は、(メルトブローンまたは不織布とメルトブローンとの混合物である)10gsm~50gsmの間の短い細繊維と長い細繊維とを含む、ナノ繊維および/またはマイクロ繊維、または50gsm~90gsmの間のメルトブローンタイプの生地で作製された第1の布152aと、(メルトブローンまたは不織布とメルトブローンとの混合物である)10gsm~50gsmの間の短い細繊維と長い細繊維とを含む、ナノ繊維および/またはマイクロ繊維で作製された第2の布152bと、50gsm~250gsmの間のフェルト(不織布)の短繊維と長繊維で作製された第3の布152cとを含む濾過媒体150を含む。この実現形態により、ASTM F3502-21/F2100に従う75~100nmの粒子に対する最大96%の近似的なPFE、BNQ法19922-900-付録Aに従うNaClの最も貫入する粒子サイズ20nm~4000nmに対する最大91%の近似的なPFE、およびEN14683:2019法に従う1cm当たり5~8mmHO(内層102と外層104の影響を含まず)のΔPが提供される。
【0100】
別の例示的な一実現形態は、特殊な粒子フィルタおよび/または換気システムフィルタおよびMERVタイプのフィルタ(製造に応じて異なるゲージおよび重量)で作製された第1の布152aと、産業タイプの紙布(セルロースおよび/またはポリエステルおよび/またはポリプロピレン)、例えばワイプ(製造に応じて異なるゲージおよび重量)で作製された第2の布152bとを含む濾過媒体150を含む濾過層106を含む。この実現形態により、ASTM F3502-21/F2100に従う75~100nmの粒子に対する最大80%の近似的なPFE、BNQ法19922-900-付録Aに従うNaClの最も貫入する粒子サイズ20nm~4000nmに対する最大86%の近似的なPFE、およびEN14683:2019法に従う1cm当たり5~9mmHO(内層102と外層104の影響を含まず)のΔPが提供される。
【0101】
別の例示的な一実現形態によれば、濾過層106は、10gsm~50gsm間の短い細繊維と長い細繊維のナノ繊維および/またはマイクロ繊維の最大4枚の布152a~152dを、単独でr、または、カレンダー加工されたマイクロ穿孔またはナノ穿孔ナイロン、または代替的に産業タイプの紙布、または代替的にEN14683:2019方法に従って、1cm当たり4~9mmHOの間のΔPを有する、50gsm~250gsmの間の短繊維および長繊維を伴うフェルトで作製された1枚の布152との組み合わせで含む。
【0102】
配布
実施形態によれば、バリアマスク100、200は、前述のように製造され、濾過層106を交換するオプションの有無にかかわらず配布される。
【0103】
一実施形態によれば、バリアマスク100、200は、内層102用の(マークされていないか、または予め切断された)布と、外層104用の(マークされていないか、または予め切断された)布との組み合わせ、濾過媒体で作製された濾過層106、頭部108の周りの耳ひもまたは弾性バンド、および構成要素をバリアマスク100に組み立てるための説明書を含むキットとして配布されてもよい。
【0104】
別の一実施形態によれば、内層102および外層104は、綿などの家庭で一般的に入手可能な材料で作製することができるので、キットは濾過媒体で作製された濾過層106と説明書に限定され得る(しかしながら、これは通気性の変動につながる)。
【0105】
着用方法
バリアマスク100、200の使用方法は、典型的には、バリアマスク100、200を着用者の口および鼻孔の上に配置すること、耳ひもまたは弾性バンドを頭部108の周りに正しく配置および調整して、バリアマスク100、200が所定の位置に留まり、特に鼻の周りと顎の下でバリアマスク100、200の縁を調整して、バリアマスク100、200が着用者の顔の形状によくフィットし、こうしてこれらの開口部を通る生物学的病原体および粒子の通過を妨げるようにすることにある。
【0106】
別の使用方法は、バリアマスク100、200を、外科用マスクなどの別のマスク、またはASTMレベルに従って分類されたマスクなどの他のタイプのマスク(特に、N95カテゴリにあるマスク(保護マスク))の上に着用することにある。
【0107】
代替用途
本濾過媒体150は、バリアマスク100、200におけるその使用に関連して特に説明されてきたが、本濾過媒体150の他の用途は、例えば、換気装置、空気交換器、HVAC装置、車両空気制御システム、ほこり/煙/アレルゲン(例えば、花粉)制御装置および濾過装置、汚染制御装置などの機械的(強制空気)空気濾過装置のフィルタとしての使用を含む。他の用途には、濾過媒体150を他の呼吸装置(例えば、他のタイプの吸入装置およびマスク(例えば、フィルターハウジング付きのマスク、フルフェイスマスク))、および衣類/衣服/PPE(例えば、ガウン、実験着、エプロン、スカーフ、バンダナ、帽子、およびネックゲートル)へ統合することが含まれる。
【0108】
好ましい実施形態が上に説明され、添付の図面に示されているが、当業者には、この開示から逸脱することなく変更を加えることができることは明らかであろう。そのような変更は、本開示の範囲に含まれる可能な変形と見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2022-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子サイズの範囲内の空気中の粒子を濾過するための空気濾過媒体であって、
第1の繊維方向が優勢である第1の不織布片であって、前記第1の不織布片の塑性変形を含む展伸の対象ではなかった、第1の不織布片と、
前記第1の不織布片に重ね合わされた第2の布片であって、第2の繊維方向が優勢であり、前記第1の不織布片と前記第2の不織布片が囲いを画定し、前記第2の不織布片の塑性変形を含む展伸の対象ではなかった、第2の不織布片と、
前記空気濾過媒体を画定するために、前記第2の不織布片に重ね合わされた前記第1の不織布片の周縁部に沿ったシーリングと
を備え、
前記第1の不織布片および前記第2の不織布片は、それらの優勢な繊維方向が整列されていない状態で重ね合わされ、それにより組み合わさって、前記第1の不織布片および前記第2の不織布片単独のいずれか1つよりも良好な等方性の空気濾過媒体を有する、空気濾過媒体。
【請求項2】
前記第1の不織布片および前記第2の不織布片は、同じ又は異なる布である、請求項1に記載の空気濾過媒体。
【請求項3】
前記第1の不織布片は、
10gsm~50gsmまたは51gsm~90gsmの不織布、
10gsm~50gsmまたは51gsm~90gsmのメルトブローン布、
短繊維および長繊維を含む、10gsm~50gsmまたは51gsm~90gsmのナノ繊維、マイクロ繊維、またはそれらの組み合わせの布、
40gsm~300gsmの短繊維、長繊維、またはそれらの組み合わせの不織布フェルト、
カレンダー加工されたナイロンのマイクロ穿孔またはナノ穿孔布および/またはポリマー、
セルロース、ポリエステル、ポリプロピレンのうちの少なくとも1つで作製された紙布
からなる群から選択される、請求項1に記載の空気濾過媒体。
【請求項4】
前記第1の不織布片および前記第2の不織布片が共に、様々な直径および長さの繊維を提供する、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気濾過媒体。
【請求項5】
前記第1の不織布片は、第1の構造面および第1の脆弱繊維面を有する不織布であり、前記第2の不織布片は、第2の構造面および第2の脆弱繊維面を有し、
前記第1の脆弱繊維面は、前記第2の脆弱繊維面に面している、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気濾過媒体。
【請求項6】
前記第1の不織布片は、第1の構造面および第1の脆弱繊維面を有する不織布であり、
前記第1の脆弱繊維面は、前記第2の不織布片のいずれかの面に面して重ね合わされ、前記2つの不織布片は、前記第1の不織布片の前記脆弱繊維面のための囲いを画定する周縁部に沿って共にシールされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気濾過媒体。
【請求項7】
少なくとも第3の布片をさらに備え、
前記第3の布片は、前記第1の不織布片の第1の構造面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有するか、または、
前記第3の布片は、前記第1の不織布片または前記第2の不織布片の脆弱繊維面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有する、請求項5または6に記載の空気濾過媒体。
【請求項8】
少なくとも第3の布片および第4の布片をさらに備え、
前記第3の布片は、前記第4の布片の第4の脆弱繊維面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成し、前記ユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合わされるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間に配置されるか、または、
前記第4の布片は、前記第3の布片の第3の構造繊維面に面して重ね合わされた第4の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成することを規定し、前記ユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合わされるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間にある、請求項5または6に記載の空気濾過媒体。
【請求項9】
少なくとも第3の布片、第4の布片、および第5の布片をさらに備え、
前記第3の布片は、前記第4の布片の第4の脆弱繊維面に面して重ね合わされた第3の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成することを規定し、前記ユニットは、第1の構造繊維面または第2の構造繊維面に重ね合されるか、または第1の脆弱繊維面と第2の脆弱繊維面の間に配置され、
前記第5の布片は、外側表面上に配置された任意の布片の構造繊維面に面して重ね合わされた第5の脆弱繊維面を有するか、または前記第1の脆弱繊維面と前記第2の脆弱繊維面の間、または前記第3の脆弱繊維面と前記第4の脆弱繊維面の間に配置されているか、または、
前記第4の布片は、前記第3の布片の第3の構造繊維面に面して重ね合わされた第4の脆弱繊維面を有し、2つの重ね合わされた布片のユニットを共に形成し、前記ユニットは、前記第1の構造繊維面または前記第2の構造繊維面に重ね合されるか、または前記第1の脆弱繊維面と前記第2の脆弱繊維面の間にあり、
前記第5の布片の第5の脆弱繊維面は、外側表面上に配置された任意の布片の構造繊維面に面して重ね合わされているか、または前記第1の不織布片と前記第2の不織布片の間、または前記第3の布片と前記第4の布片の間に配置されている、請求項5または6に記載の空気濾過媒体。
【請求項10】
前記第1の不織布片を保護する保護横糸を含む第3の布片をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の空気濾過媒体。
【請求項11】
1cm当たり8.55mmHO未満の圧力損失を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の空気濾過媒体。
【請求項12】
前記重ね合わされた布片は、周縁部に沿って共にシールされる、請求項1~11のいずれか一項に記載の空気濾過媒体。
【請求項13】
前記布片は、縫合、周辺結合、接着剤、熱融着、および超音波融着のうちの1つによって共にシールされる、請求項12に記載の空気濾過媒体。
【請求項14】
前記濾過媒体は、25回の洗浄サイクル後に40%未満の濾過特性の損失を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の空気濾過媒体。
【請求項15】
前記濾過媒体は、50回の洗浄サイクル後に45%未満の濾過特性の損失を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の空気濾過媒体。
【請求項16】
前記濾過媒体は、100回の洗浄サイクル後に50%未満の濾過特性の損失を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の空気濾過媒体。
【請求項17】
生物学的病原体を含む粒子を濾過するために、着用者の顔の上に前記着用者の口と鼻孔の前に配置されるように適合されたバリアマスクであって、
マスク内層またはマスク外層のうちの少なくとも1つと、
請求項1~16のいずれか一項に記載の空気濾過媒体を含む濾過層であって、
前記濾過層と、内層および外層のうちの少なくとも1つとが重ね合わされ、共にシールされて、バリアマスクを形成する、濾過層と、
着用者の頭部の上に置かれるように適合された耳ひもおよび弾性バンドからなる群から選択された少なくとも1つの締結部材であって、前記締結部材は、前記バリアマスクに取り付けられて、前記バリアマスクを通過する前記粒子を濾過するために前記着用者の顔の上に前記バリアマスクを維持する、少なくとも1つの締結部材とを備えた、バリアマスク。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の空気濾過媒体を含む、空気中の粒子を濾過するための空気強制式機械濾過装置に取り付けられた空気濾過装置。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載の空気濾過媒体を含む、布片、衣類、または衣類付属品。
【請求項20】
粒子を濾過するための濾過層を作製する方法であって、
各々が優勢な繊維方向を有する第1の不織布片と第2の不織布片とを、それらの優勢な繊維方向が、少なくとも10度の互いに対して整列されていない状態で重ね合わせ、前記第1の不織布片および前記第2の不織布片は、前記第1の不織布片および前記第2の不織布片の塑性変形を含む展伸の対象ではなかったものであり、
前記第1の不織布片および前記第2の不織布片は組み合わさって、前記第1の不織布片および前記第2の不織布片単独のいずれか1つよりも良好な等方性の空気濾過媒体を有するステップを含む、方法。
【請求項21】
前記第1の不織布片および前記第2の不織布片は、同じまたは異なる布である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の不織布片は、構造面および脆弱繊維面を有する不織布であり、前記第1の不織布片の前記脆弱繊維面は、前記第2の不織布片の脆弱繊維面に面する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
請求項5~9のいずれか一項に記載の空気濾過媒体を調製するための、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】