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特表2023-528189フェムト秒レーザ源及び多光子顕微鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】フェムト秒レーザ源及び多光子顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/35 20060101AFI20230627BHJP
   H01S 3/067 20060101ALI20230627BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20230627BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20230627BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20230627BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G02F1/35 502
H01S3/067
H01S3/10 D
G01N21/64 E
G01N21/01 D
G02B21/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567587
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 CA2020051489
(87)【国際公開番号】W WO2021243435
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】16/892,242
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507100373
【氏名又は名称】エムピービー コミュニケーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MPB Communications Incorporated
【住所又は居所原語表記】147 Hymus Blvd., Pointe Claire, Quebec H9R 1E9, CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アル - カドリー、アラー
(72)【発明者】
【氏名】カルポフ、ウラジーミル
(72)【発明者】
【氏名】クレメンツ、ウォレス
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
2H052
2K102
5F172
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA16
2G043EA01
2G043FA01
2G043FA02
2G059AA05
2G059BB12
2G059CC16
2G059EE07
2G059FF01
2G059GG01
2G059GG08
2G059GG09
2G059HH01
2G059JJ17
2H052AA09
2H052AC18
2H052AC26
2H052AC34
2K102AA15
2K102AA34
2K102BA13
2K102BA20
2K102BB02
2K102BC01
2K102BD09
2K102DA06
2K102EB02
2K102EB08
2K102EB16
2K102EB20
5F172AM04
5F172AM08
5F172DD03
5F172DD04
5F172DD06
5F172NN17
5F172NN27
5F172NR23
5F172ZA01
5F172ZA04
5F172ZZ04
(57)【要約】
良好なフェムト秒ファイバ・レーザ性能が、自己位相変調(SPM)を受けるのに十分な強度のピコ秒のラマン・シフトされたパルスを生成し、したがって、それらパルスを有利にはスペクトル的に広げ、これにより、次いでそれらパルスを光コンプレッサで一時的に圧縮して高ピーク・パワーを有するフェムト秒パルスを生成することを可能にすることによって、達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連のピコ秒範囲の光ポンプ・パルスを放出するポンプ・レーザ源と、
少なくとも1つの連続波(CW)シード源と、
前記少なくとも1つのCWシード源からの放出が前記一連のピコ秒範囲の光ポンプ・パルスと共伝搬するように前記ポンプ・レーザ源及び前記少なくとも1つのCWシード源に結合される、ある長さの光ファイバであって、前記ポンプ・レーザ源の波長から前記少なくとも1つのCWシード源の波長への少なくとも1つのラマン・シフト変換が行われ、ラマン・シフトされたパルスの自己位相変調が行われて、ピコ秒範囲の持続時間光パルスのスペクトル的に広げられたパルス列を生成する、ある長さの光ファイバと、
前記ピコ秒範囲の持続時間光パルスのスペクトル的に広げられたパルス列を一連のフェムト秒範囲の持続時間パルスに圧縮する、少なくとも1つの光パルス・コンプレッサと、
を含む、フェムト秒レーザ・システムであって、
前記一連のピコ秒範囲の光ポンプ・パルスのパルス幅持続時間及びピーク・パワーは、前記ある長さの光ファイバにおける効率的なラマン変換及び前記ラマン・シフトされたパルスの自己位相変調をもたらし、それにより、前記光コンプレッサが、前記ラマン・シフトされたパルスの波長における前記一連のフェムト秒範囲の持続時間パルスを効率的に供給することができる、フェムト秒レーザ・システム。
【請求項2】
前記ポンプ・レーザ源は、少なくとも1つの光ファイバ増幅器を含む、請求項1に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項3】
前記ポンプ・レーザ源は、モード同期レーザを含む、請求項1又は2に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項4】
スイッチによってフェムト秒範囲の持続時間パルスの放出を制御することができるように前記少なくとも1つのCWシード源を制御する前記スイッチをさらに含む、請求項1、2又は3に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項5】
前記フェムト秒レーザ・システムは、2つの前記CWシード源を含み、前記一連のフェムト秒範囲の持続時間パルスは、2つのラマン・シフトに対応する2つの波長での放出を含む、請求項4に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項6】
前記ラマン・シフトに対応する波長での放出を含む前記一連のフェムト秒範囲の持続時間パルスについて可変繰り返し率を選択するために前記少なくとも1つのCWシード源を一時的に変調する、前記スイッチのための制御装置をさらに含む、請求項4に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項7】
前記2つの波長間で交番するパルスを放出するために前記CWシード源を一時的に変調する、前記スイッチのための制御装置をさらに含む、請求項5に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項8】
前記一連のフェムト秒範囲の持続時間パルスにあるゼロ、1つ及び2つの前記ラマン・シフト波長間で選択するために、前記CWシード源を一時的に変調する、前記スイッチのための制御装置をさらに含む、請求項5に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項9】
前記ポンプ・レーザ源は、バイパス光ファイバ増幅器を含み、前記バイパス光ファイバ増幅器を前記一連のピコ秒範囲の光ポンプ・パルスのみが通過し、前記バイパス光ファイバ増幅器の出力は、前記少なくとも1つのラマン・シフト変換が行われる前記ある長さの光ファイバを迂回し、代わりに、別個の長さの光ファイバにおいて自己位相変調スペクトル広がりを受ける、請求項1から8までのいずれか一項に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのラマン・シフト変換が行われる前記ある長さの光ファイバは、リン・ドープされたシリカ光ファイバを含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのラマン・シフト変換が行われる前記ある長さの光ファイバは、シリカ光ファイバを含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのCWシード源は、前記少なくとも1つの光ファイバ増幅器のうちの前記少なくとも1つに送り出されて、前記一連のピコ秒範囲の光ポンプ・パルスとともに伝搬し、次いで、前記少なくとも1つのラマン・シフト変換が行われる前記ある長さの光ファイバに送り出される、請求項2から11までのいずれか一項に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの光パルス・コンプレッサは波長可変である、請求項1から12までのいずれか一項に記載のフェムト秒レーザ・システム。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項に記載のレーザ・システムと、
ラマン・シフトされたパルスの少なくとも1つの波長、及び、少なくとも1つの定められた波長におけるラマン・シフトされたパルスの繰り返し率のうちの少なくとも一方を定めるために、少なくとも1つのCWシード源の動作を定める、ユーザ入力を受ける制御装置と、
を備える、多光子顕微鏡。
【請求項15】
ユーザ入力を受ける前記制御装置は、前記ラマン・シフトされたパルスの前記波長、及び、前記制御装置によって定められた前記少なくとも1つの波長における前記ラマン・シフトされたパルスの前記繰り返し率の双方を定めることができる、請求項14に記載の多光子顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ源、より詳細にはフェムト秒パルス持続時間レーザ源、及び多光子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
フェムト秒レーザ・パルスの波長可変源の一般的な用途は、生体イメージングのための多光子顕微鏡(MPM:multiphoton microscopy)におけるものである。MPMは、サブマイクロメートルの空間分解能を用いて、生きている組織における深層をイメージングするために使用される非線形顕微鏡技術である。この技術では、パルス・レーザの高ピーク・パワー・パルスを高強度に集光させて、蛍光標識として用いられる分子における多光子吸収を誘起する。組織における最適な侵入深さはレーザの励起波長に応じて決まることが報告されている。したがって、種々の波長における2つ以上のパルスを用いて、組織、例えば脳組織の種々の構造部を同時にイメージングすれば、分析の際に有利である。
【0003】
様々な蛍光インジケータ、特に、蛍光タンパク質に基づいた遺伝子操作されたプローブの開発により、MPMの能力がさらに高まっている。電磁スペクトルの近赤外線(NIR:near-infrared)領域における多光子吸収によって励起されることができるいくつかの蛍光タンパク質がある。これらは、900nm~1300nmの範囲の中心波長を有するパルス・レーザによって励起されることができる、緑色蛍光タンパク質及び赤色蛍光タンパク質を含む。いずれの場合にも、蛍光物質の吸収帯域は十分に広く、蛍光物質が効果的に励起されることができる公称ピーク近くの約±30nm又はそれによりも大きい公差がある。
【0004】
固体利得媒体を採用する超高速レーザが、この用途のための最も一般的に使用される源である。これは主として、かかるレーザの非常に広い利得帯域幅によるものである。約650nm~1080nmの間の波長範囲にわたってレーザ発振を達成することができるチタン・ドープされたサファイア(Ti:サファイア)・レーザが、最も一般的に使用されるレーザである。これらレーザ源は、利得媒体が高価な可視連続波(CW:continuous wave)レーザによってポンピングされることに起因して比較的高価である。レーザは、約100MHzで、20~30nJ範囲のパルス・エネルギーにより動作する。光パラメトリック発振器(OPO:optical parametric oscillator)とともにポンプとしてTi:サファイア・レーザを用いることによって、より広い波長調整範囲を達成することができる。しかしながら、これらレーザは大きく、さらにより高価である。
【0005】
ファイバ・レーザは、その全ファイバ構成により、正確な光学アライメントの必要がなく、良好なビーム品質が確保され、内視鏡器具との統合に本来的に適したものとなるため、イメージング用途にとって魅力的である。さらに、これらレーザは、そのファイバ利得媒体が効率的であるため、バイオイメージングに必要とされるパワーを容易に供給することができる。
【0006】
最近実証されたフェムト秒イッテルビウム(Yb)系ファイバ・レーザが、1つの波長での固体レーザの性能に適応し、またその性能を上回ることさえできる。しかしながら、現在、ファイバ・ベースのシステムには固体レーザの波長可変特性がない。
【0007】
上述したNIR範囲にわたる波長を有するパルスは、超高速ファイバ・レーザ又はファイバ主発振器出力増幅器(MOPA:master-oscillator power amplifier)を用いてOPOをポンピングすることによって供給されることができる。しかしながら、これにより、レーザ・システムに対するコスト及び複雑さの度合いが増す。さらに、常に1つの波長のみしか生成されることができない。
【0008】
ラマン・ファイバ・レーザは、Yb系ファイバ・レーザの出力波長範囲を拡張して1100nm~1300nmの間の領域をカバーする優れた選択肢である。ドープされたファイバ利得領域からの出力パワーを1100~1300nmの範囲の波長に変換するために様々な手法が提案されてきた。これを達成する1つのやり方は、ファイバ自体において誘導ラマン散乱(SRS:stimulated Raman scattering)を用いることである。これは、1つの波長に対して共振器が構築される、ラマン・ファイバ・レーザにより、又は、シード信号が高強度パルス・ポンプとの相互作用を介してSRSによって増幅される、シングル・パス・ラマン・ファイバ増幅器により達成される。後者の構成を用いる場合、Ybファイバ増幅器を用いてYb利得帯域におけるパルス源を増幅して、高強度ポンプをもたらすことによって、次いで、これをラマン・シフトされた波長における低パワー・シードと組み合わせて、ドープされていないラマン光ファイバ又はリンケイ酸塩(pドープされた)ラマン・ファイバで伝搬することによって、狭い線幅のラマン・パルスが生成されている。これらの実証のすべてにおいて、システムの出力は、一度に単波長から構成され、出力パルスが倍増周波数である場合、高効率の第2高調波発生(SHG:second harmonic generation)を達成するために可能な限り狭いパルスのスペクトル帯域幅を保つことに特別な注意が払われた。実証されたパルスの一時的な持続時間は、数百ピコ秒~約ナノ秒の範囲であった。
【0009】
しかしながら、タンパク質蛍光はパルスのピーク・パワーに比例することが知られており、効果的な蛍光を有するために10~100kWを必要とする。この範囲のピーク・パワーを有するピコ秒レーザの個別のパルス・エネルギーは高く、数MHzの繰り返し率で動作する場合、高い平均パワー値となる。しかしながら、これにより、システムの平均パワーに比例する組織損傷が引き起こされかねない。ピコ秒レーザの繰り返し率をkHz範囲に下げることは、組織損傷を回避するのに役立つが、これにより、画像を収集するのに必要とされる時間が増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、MHz繰り返し率で低い平均パワー値を維持しつつ高ピーク・パワー・パルスを達成することができることによる、MPMのためのフェムト秒レーザ・システムを使用することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人は、良好なフェムト秒ファイバ・レーザ性能が、自己位相変調(SPM:self-phase modulation)を受けるのに十分な強度のピコ秒のラマン・シフトされたパルスを生成し、したがって、それらパルスを有利にはスペクトル的に広げ、これにより、次いでそれらパルスを光コンプレッサで一時的に圧縮して高ピーク・パワーを有するフェムト秒パルスを生成することを可能にすることによって、達成されることができることを見出した。
【0012】
いくつかの実施例では、フェムト秒レーザ・システムは、一連のピコ秒範囲の光ポンプ・パルスを放出するポンプ・レーザ源を有し得、これらパルスが次いで、少なくとも1つのファイバ増幅器において増幅される。ポンプ源の波長よりも長い波長を有する、少なくとも1つのCWシード源が、この少なくとも1つのCWシード源からの放出が一連のピコ秒範囲の光ポンプ・パルスと共伝搬するようにある長さの光ファイバにポンプ・レーザ源の増幅された出力とともに結合され、少なくとも1つのラマン・シフト変換がある長さのファイバにおいて行われて、有利には、ピコ秒範囲の光パルスのスペクトル的に広げられたパルス列を生成するために、ラマン・シフトされたパルスのSPMがある長さのファイバにおいて行われる十分なピーク強度のピコ秒パルスをCWシード源の波長において生成する。少なくとも1つの光パルス・コンプレッサを用いて、ピコ秒範囲の光パルスのスペクトル的に広げられたパルス列を一連のフェムト秒範囲の持続時間パルスに一時的に圧縮する。このように、一連のピコ秒範囲の光ポンプ・パルスのピーク・パワーは、ある長さの光ファイバにおいて効率的なラマン変換及びラマン・シフトされたパルスのSPMをもたらし、そのため、光コンプレッサは、ラマン・シフトされたパルスの波長における一連のフェムト秒範囲のパルスを効率的にもたらすことができる。
【0013】
ポンプ・レーザ源は、少なくとも1つの光ファイバ増幅器を含み得る。ポンプ・レーザ源は、モード同期レーザを含み得る。レーザ・システムは、スイッチによってフェムト秒範囲のパルスの放出を制御することができるようにCWシード源を制御するスイッチをさらに含み得る。
【0014】
レーザ・システムは、前記ラマン・シフトに対応する波長での放出を含む一連のフェムト秒範囲のパルスについて可変繰り返し率を選択するためにCWシード源を一時的に変調する、前記スイッチのための制御装置をさらに含み得る。
【0015】
レーザ・システムは、2つのCWシード源を有し得、一連のフェムト秒範囲のパルスは、2つのラマン・シフトに対応する2つのCWシード波長での放出を含み得る。
【0016】
制御装置は、2つのシード源波長間で交番するフェムト秒パルスを放出するためにCWシード源を一時的に変調するようにスイッチを制御し得る。
【0017】
制御装置は、前記一連のフェムト秒範囲のパルスにあるゼロ、1つ及び2つのラマン・シフト波長間で選択し得る。
【0018】
少なくとも1つの光ファイバ増幅器は、バイパス光ファイバ増幅器を含み得、バイパス光ファイバ増幅器の出力は、少なくとも1つのラマン・シフト変換が行われるある長さの光ファイバを迂回し、第2の長さの光ファイバにおいて伝搬されてSPMを介してスペクトル的に広げられる。
【0019】
少なくとも1つのラマン・シフト変換が行われるある長さの光ファイバは、リン・ドープされたシリカ光ファイバを含み得る。
【0020】
少なくとも1つのラマン・シフト変換が行われるある長さの光ファイバは、シリカ光ファイバを含み得る。
【0021】
少なくとも1つのCWシード源は、少なくとも1つの光ファイバ増幅器のうちの少なくとも1つに送り出されて、ファイバ増幅器を介して一連のピコ秒範囲の光ポンプ・パルスとともに伝搬し、次いで、少なくとも1つのラマン・シフト変換が行われるある長さの光ファイバに送り出されることができる。
【0022】
少なくとも1つの光パルス・コンプレッサは波長可変とすることができる。
【0023】
他の実施例では、多光子顕微鏡が、上記に説明したレーザ・システムと、ラマン・シフトされたパルスの少なくとも1つの波長、及び、少なくとも1つの定められた波長におけるラマン・シフトされたパルスの繰り返し率のうちの少なくとも一方を定めるために、少なくとも1つのCWシード源の動作を定める、ユーザ入力を受ける制御装置と、を備える。ユーザ入力を受ける制御装置は、ラマン・シフトされたパルスの波長、及び、制御装置によって定められた少なくとも1つの波長におけるラマン・シフトされたパルスの繰り返し率の双方を定めることができる。
【0024】
本発明は、添付の図面を参照しながら本発明の実施例の以下の詳細な説明としてより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】2つのシード源と、ラマン・ファイバ増幅器と、及びMOPAによって生成されるパルスのためのバイパスなしファイバ増幅器とを有するフェムト秒レーザの概略図である。
図2図1の装置におけるラマン・ファイバ増幅器から収集されたシード・レーザの波長(スペクトル)の関数として測定強度を概略的に示すグラフである。
図3図1の装置の実験バージョンから得られたラマン・パルスの波長(スペクトル)の関数として測定強度を概略的に示すグラフである。
図4】2つのシード源と、ラマン・ファイバ増幅器と、MOPAによって生成されるパルスのためのバイパス・ファイバ増幅器とを有するフェムト秒レーザの概略図である。
図5】第1の実施例によるスペクトル選択的パルス・コンプレッサを概略的に示す2次元図である。
図6】スペクトル選択的パルス・コンプレッサにおける圧縮後の、図3の1189.5nmのスペクトル帯域の20nmを選択することによって形成されたパルスの自己相関トレースの再現の図である。
図7】スペクトル選択的パルス・コンプレッサを概略的に示す2次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、単波長又は多波長ラマン・フェムト秒レーザ源を提供する装置の好ましい実施例を概略的に示す。装置は、ピコ秒ファイバMOPA 1Aと、1つ又は2つのCWシード・レーザ3及び4(2つよりも多くのCWシード源を用いることができる)と、ファイバ・ラマン増幅器6Aと、スペクトル選択的パルス・コンプレッサ7とを含む。例示されているようにこのシステムは、例えば、CCDの応答時間内に、CWシード波長(複数可)に対応する1つ又は複数の波長で、ターゲットにフェムト秒パルスを送達することができる。
【0027】
ファイバMOPA 1Aは、数MHz~約100MHzのパルス繰り返し周波数(PRF:pulse-repetition-frequency)で、一連のシングル・モードのピコ秒パルスを送達するように配置されたポンプ・レーザ源1を含む。これらパルスを第1のファイバ増幅器2によって増幅することができ、CWシード・レーザ出力(複数可)と組み合わせることができ、次いで、第2のファイバ増幅器5Aに送達することができる。次いで、ファイバ増幅器5Aの出力をファイバ・ラマン増幅器6Aに送り出し、そこで、CWシード・レーザ(複数可)からの光パワーとともに、増幅されたポンプ・パルスを伝搬することにより、ポンプ・パルスの誘導ラマン散乱(SRS)(スペクトル・シフト)が生じ、その結果、シード・レーザ波長(複数可)で高ピーク・パワー光パルスの形成及び成長、並びに、ファイバ・ラマン増幅器6Aの長さに沿ってこれらラマン・シフトされたパルスの後続のSPMスペクトル広がりがもたらされる。次いで、出力パルスがパルス・コンプレッサ7に方向付けられる。スペクトル選択的パルス・コンプレッサ7において、パルスの持続時間が約80fs~約300fsの間の値に(一時的に)圧縮される。
【0028】
図1に示すように、源1からのパルスは、増幅器2によって増幅されると、幅、すなわち半値全幅(FWHM:full-width half-maximum)がおよそ13psとなり得る。それらパルスのスペクトル帯域幅は、約0.2nmとなり得る。ファイバ6Aの長さでのシード波長へのラマン変換の後、パルス幅は一時的に少量だけ、例えば約15psまで広がるが、スペクトル広がりは著しく、つまり約10nm(5倍)まで広がる。
【0029】
ファイバ・ラマン増幅器6Aは、シリカ又はpドープされたシリカ・ファイバに基づき得る。シリカ及びpドープされたファイバは、そのラマン利得特性が異なる。シリカ・ファイバは、かなり広いラマン利得帯域(~100cm-1)及び~440cm-1のラマン・シフト・ピークを有する。しかしながら、pドープされたシリカ・ファイバのラマン・スペクトルは、シリカ・ファイバに対して、1320cm-1(シリカ・ファイバにおける周波数シフトよりもおよそ3倍大きい)だけシフトされた、さらなる狭帯域ピークを有する。
【0030】
ファイバMOPA 1Aの一実例では、ポンプ・レーザ源1は、約1030nm±1nmの波長でパルスを送達するYbドープされたファイバ発振器である。発振器は、約30MHzのPRFで約13psのFHWM持続時間を有するパルスを(図1の地点Aにおいて)送達する。パルスは、約0.23nmのFWHMスペクトル帯域幅を有する。地点Aにおけるパルス列の平均パワーは、約16mWである。2つのCWシード・レーザ3及び4は、それぞれ約1090nm及び1189.5nmの波長でセンタリングされる。波長の選択は、ファイバ・ラマン増幅器6Aを含むファイバのラマン利得ピークのシフトに基づいており、波長数は1つ又は複数とすることができる。図2は、CWシード・レーザ3及び4の波長(スペクトル)の関数として測定強度を概略的に示すグラフである。
【0031】
地点Bにおいて、増幅器2における増幅の後、パルス列は約70mW(4倍超の利得)の平均パワーを有する。地点Cにおいて、増幅器5Aにおける増幅の後、パルス列は約1.1W(15超の利得)の平均パワーを有し、パルス帯域幅は約1nm(これは増幅前よりも約4倍大きい)であり、パルス持続時間は約15ps(約15%の増加)である。シード・レーザ3及び/又は4からのCWパワーと組み合わせられた、増幅された光ポンプ・パルスを受け、それらパルスをSRSによってCWシード・レーザ3及び/又は4の選択された中心波長にスペクトル変換するために、ある長さのpドープされた光ファイバ6A(例えば、約55m長)が配置される。CWシード・レーザ3の波長は、pドープされたファイバのシリカ第1ストークス・ラマン・シフト利得ピーク(ラマン・シフト・ピーク=440cm-1)の近くにセンタリングされ、CWシード・レーザ4の波長は、pドープされたファイバのリン第1ストークス・ラマン・シフト・ピーク(ラマン・シフト・ピーク=1320cm-1)の近くにセンタリングされる。ラマン・シフトされたパルスは、ファイバ・ラマン増幅器6Aのファイバ長に沿って伝搬するにつれて高ピーク・パワーに増幅されていくため、SPMによるスペクトル広がりを受け、その結果、フェムト秒パルスの生成に十分な帯域幅を有する出力パルスをもたらす。
【0032】
図3は、図1の装置の実験バージョンから得られたラマン・パルスのスペクトルを示す、ファイバ・ラマン増幅器6Aの出力における波長(スペクトル)の関数として測定強度を示すグラフである。1090nmでのこのファイバMOPAから生成されたラマン・パルスの帯域幅は13nmであり、その一方、1190nmでのラマン・パルスの帯域幅は10nmである。これは、ラマン・パルスが、およそ10~13倍、スペクトル的に広げられていることを意味する。全パワーの半分超が、1090nm及び1189.5nmあたりの波長帯域内にある。パルス・コンプレッサ7を通過した後、パルス持続時間は約150fsに短縮される。圧縮されたラマン・パルスのピーク・パワーは、約80キロワット(kW)である。
【0033】
1130nmでの中心波長を有するCWシード・レーザ3及び1189.5nmの波長でのCWシード・レーザ4を選択し、それらレーザを、pドープされたファイバにおける1030nmピコ秒パルスと組み合わせることも可能である。CWシード・レーザ3は、1030nmポンプ・レーザ源の第2ストークス・シリカ・ラマン・シフト(ラマン・シフト・ピーク=880cm-1)においてセンタリングされ、CWシード・レーザ4は、pドープされたファイバのリン第1ストークス・ラマン・シフト利得ピーク(ラマン・シフト・ピーク=1320cm-1)の近くにセンタリングされる。この場合、生成されるパルスは、1130nm及び1189.5nmの中心波長にある。
【0034】
図4は、多波長ラマン・フェムト秒レーザ源を提供する装置の別の好ましい実施例を概略的に示す。装置は、ピコ秒ファイバMOPA 1Bを含み、CWシード・レーザ3及び4のうちの一方又は双方と、ファイバ・ラマン増幅器6Aと、スペクトル選択的パルス・コンプレッサ7とを含み得る。
【0035】
スペクトル選択的パルス・コンプレッサ7は、ファイバ・ラマン増幅器6Aから入力パルスを受けたことに応答してNIR波長のうちの1つ又は複数における出力パルスを送達するように構成されている。コンプレッサからの可能な出力パルスのうちの1つは、CWシード・レーザ3と同じ中心波長を有し、2つ目は、CWシード・レーザ4の中心波長と同じ可能な中心波長を有し、3つ目は、ポンプ・レーザ源1の(基本)波長と同じ可能な中心波長を有する。3つの出力パルスは、MPM有用波長とみなされる。本明細書においてMPMへのレーザの適用に言及しているが、レーザは他の用途に使用されることができることが理解されるであろう。
【0036】
3つのパルスは、例えば、CCD又は画像センサの応答時間内に、ターゲットに送達されることができる。パルスの光路を等しくすることによって、パルスは、いずれか1つのパルスの持続時間内に達するように送達されることができる。3つのパルスは、すべてが1つの光路を進むことができるか、又は3つの異なる光路を進むことができる。
【0037】
ファイバMOPA 1Bは、数メガヘルツ(MHz)~約100MHzのPRFで、一連のシングル・モードのピコ秒パルス持続時間をもたらすために配置されたポンプ・レーザ源1を含む。これらパルスは、第1のファイバ増幅器2によって増幅され、50/50カプラに送達される。増幅されたパルスは、カプラによって第2のファイバ増幅器5A及びファイバ増幅器5Bに方向付けられる。ファイバ増幅器5Aに入る前に、増幅されたポンプ・パルスはCWシード・レーザ3及び4のうちの一方又は双方の出力と組み合わされる。ファイバ増幅器5Aからの増幅されたパルスは、SRS(シード・レーザ3の波長及び/又はシード・レーザ4の波長へのスペクトル・シフト)を受け、有利には、ラマン・シフトされたパルスは、ファイバ・ラマン増幅器6Aの定められた長さに沿ってSPM(スペクトル広がり)を受ける。ファイバ6Aの終わりに、ポンプ・レーザ源1の基本波長よりも長い放射線を送るファイバ波長分割多重(WDM:wavelength divison multiplexing)が用いられる。ファイバ増幅器5Bからの増幅されたパルスは、シングル・モード・ファイバ6Bの定められた長さに沿ってSPMによるスペクトル広がりを受け、次いで、別のファイバWDMによってファイバ・ラマン増幅器6Aからの長波長の出力パルスと組み合わせられる。次いで、出力パルスはパルス・コンプレッサ7に方向付けられる。
【0038】
本明細書において説明されるフェムト秒範囲のレーザ・システムは、1つ又は複数の波長で駆動される能力を有する。図4におけるCWシード源3及び4は、スイッチ及び制御装置8及び9によって制御されて、どのような波長及び繰り返し率がレーザ・システム10によって出力されるかを制御することができる。制御装置9は、1つ又は複数のCWシード源のそれぞれについての高周波駆動信号源とすることができる。制御装置9は、ポンプ源1と同じ周波数で動作する必要はなく、ポンプ源1によって生成される多数のパルスについてシード源がオン又はオフになることを可能にする。波長選択器8は、制御装置9における各それぞれの駆動信号源について駆動信号をオン又はオフにすることができる。パルス幅変調をシード源とともに用いて有効デューティ・サイクルを変え、したがって、所望の波長においてレーザ・システムの出力パワーを変更することができる。
【0039】
波長選択器8が駆動信号をオンにして特定のシード源を作動させると、シード源の波長におけるパワーがファイバ6Aにおけるラマン変換を介して生成される。レーザ・システム10が、ポンプ源波長における出力を遮断するように構成されている(これは図4に示された典型的な構成ではなく、図1の実施例の典型的な構成とすることができる)場合、レーザ・システム出力は、シード源の作動によって制御され、つまり、レーザは、シード源がオフになると出力がなくなる。したがって、選択器8を用いて、どの波長(1つ又は複数)がレーザから発せられるべきなのかを制御装置9に信号で伝えることができる。
【0040】
2つの波長が生成されることになる場合、2つのシードを同時に作動させることは、2つのシード波長に、ポンプ・レーザ源波長での利用可能なSRSポンプ・パワーを取り合いさせることになる。ファイバ・ラマン増幅器を含むファイバがpドープされたファイバであり、2つのシード波長が一次シリカ及びリン・ラマン・シフトに対応する場合、2つのラマン・シフトされた波長におけるパルスの相対パワーは、個別のシード源のパワーを制御することによって制御されることができる。しかしながら、シード波長がシリカ・ファイバにおける一次及び二次ラマン・シフトに対応する特別な場合では、二次ラマン・シフトされたパルスは、一次ラマン・パルスのパワーのラマン変換(すなわち、減少)を介して成長する。これにより、2つのシード波長のそれぞれにおけるパワーの不均衡が生じる可能性があり、個別のシード源のパワーを制御することによってさえも制御することが困難になりかねない。他方で、シード源間の交番によって、レーザ・システムの出力は、所望の波長間を交番するパルスを含むことができる。この交番は、源レーザ1によって生成された一連のピコ秒パルスの周波数でのものとすることができるか、又は、より低い周波数でのものとすることができる。
【0041】
上記に説明された構成は本発明を限定するものと解釈されるべきではないことを強調しておく。当業者は、本明細書に提示した説明から、同等の出力特性の他のファイバMOPA構成、又は、Ybドープされた若しくは他のドープされた利得媒体を有するバルク固体レーザを、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく採用し得る。
【0042】
ファイバMOPA構成がどのようなものであれ、ポンプ・レーザ源1からのパルスはシングル・モード・パルスであり、約10ps~約25psの間の持続時間を有することが好ましい。増幅器2からの出力パワーは、約30mWの平均パワーよりも高いことが好ましい。
【0043】
図5は、スペクトル選択的パルス・コンプレッサ7Aを概略的に示す2次元図である。ここでは、ラマン・ファイバ増幅器6Aからの生成されたラマン・パルスが、反射ミラー11によってコリメートされるとともに方向付けられる。コリメートされたスペクトルは、連続した光線シートと考えられ得るものにおける格子12によって分散される。格子13、14及び15が、格子12から同じ又は異なる直線距離Lのところに配置される。最初にコリメートされたスペクトルは一度分散されると、生成されたラマン・パルスされたスペクトル、格子12の溝密度、及び直線距離Lに応じて、第2の格子(13、14又は15)における幅を有する。格子12及び15を用いて、ポンプ・レーザ源1の基本波長を圧縮する。格子12及び14を用いて、CWシード・レーザ3の波長でセンタリングされたスペクトルを圧縮する。格子12及び13を用いて、CWシード・レーザ4の波長でセンタリングされたスペクトルを圧縮する。格子13、14及び15と再帰反射器R1、R2及びR3との間に配置されたスペクトル選択的アパーチャを用いて、CWシード波長の周りにおけるいかなる外来放射線も排除する。これらアパーチャは、選択された波長のスペクトルを狭める。3つの色(この場合では、3つの赤外波長)が組み合わされて格子12に戻り、反射ミラー16によって方向付けられる。再帰反射器R1、R2及びR3は、3つの異なる波長の光路に適応する移動ステージに配置されている。この選択的コンプレッサを用いて、地点Fにおける同じ経路上のパルスを組み合わせることが可能であることに留意されたい。図7に示すようにコンプレッサ7Bを用いて、別個の経路上に、圧縮されたパルスを有することも可能である。
【0044】
引き続き図1及び図5を参照すると、スペクトル選択的パルス・コンプレッサ7Aは、ファイバ・ラマン増幅器6Aからコリメートされたパルスを受ける。受けたラマン・パルスは反射ミラー11によってコンプレッサ格子12に方向付けられ、このコンプレッサ格子からのビームが、格子13、14及び15によって回折及び収集される。一実例の場合では、ポンプ・レーザ源波長が1030nmであり、CWシード波長が1090nm及び1189.5nmであり、ラマン増幅器6Aのファイバがpドープされたファイバ(例えば、図3に示すスペクトル)である場合、格子12及び14を用いて、1090nmの波長でセンタリングされたスペクトルを有するパルスを圧縮することができる。格子12及び13を用いて、1189.5nmの波長でセンタリングされたスペクトルを有するパルスを圧縮することができる。格子13及び14と再帰反射器R1及びR2との間に配置されたスペクトル選択的アパーチャを用いて、上述した中心波長のそれぞれの周りのおよそ20nmのスペクトル帯域幅を選択することができる。2つの色(この場合では、1090nm及び1189.5nmの波長でセンタリングされている)が組み合わされてより低い高さで格子12に戻り、反射ミラー16によって方向付けられる。ポンプ・レーザ源波長における残された利用可能なポンプ・パワーがMPMにとって十分に高くないため、この場合ではコンプレッサ7Aの格子15及び再帰反射器R3は省かれる。図4に示すレーザ・システムが代わりに用いられる場合、コンプレッサ7Aの格子15及び再帰反射器R3を用いて、ポンプ・レーザ源波長におけるパルスを圧縮することができる。
【0045】
図6は、スペクトル選択的パルス・コンプレッサにおける圧縮の後の、図3の1189.5nmのスペクトル帯域の20nmを選択することによって形成されたパルスの自己相関トレースの再現である。パルスは約200fsの持続時間を有する。
【0046】
図7は、スペクトル選択的パルス・コンプレッサ7Bを概略的に示す2次元図である。ここでは、ファイバ・ラマン増幅器6Aからのコリメートされたスペクトルが、スペクトル選択的ビーム・スプリッタ17、21及び25によってスペクトル分割される。ビーム・スプリッタは、スペクトル選択されたパルスを2格子コンプレッサ構成に方向付ける。スペクトル選択的アパーチャは、ポンプ・レーザ源1の基本波長の周り及びCWシード・レーザ3及び4の中心波長の周りの生成されたスペクトルの所望の領域を選択する。スペクトルの選択された領域は、再帰反射器R4、R5及びR6によって反射され、より低い高さでミラー20、ミラー24及びミラー28にそれぞれ戻される。3つの選択されたスペクトル・ピークが、3つの異なる光路J、H、及びKを進む。一実例として、1030nmのポンプ・レーザ源波長、及びpドープされたファイバ・ラマン増幅器の場合について、3つのスペクトル・ピークの中心波長は、1030nm、1090nm及び1189.5nmであり得る。
【0047】
格子の好ましい溝密度は約1000l/mmであり得るが、異なる溝密度を有する他の格子も、スペクトル選択的コンプレッサ7A及び7Bの回路図に用いることが可能である。
【0048】
他の種類のパルス・コンプレッサ、例えばインファイバ・コンプレッサ(in-fiber compressor)を用いることができ、それらコンプレッサは、当業者によって理解されるようにそれら自体の課題を提示し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】