(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】光学デバイス、及び光学デバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/10 20100101AFI20230627BHJP
H01L 33/46 20100101ALI20230627BHJP
H01L 33/20 20100101ALI20230627BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20230627BHJP
【FI】
H01L33/10
H01L33/46
H01L33/20
H01L33/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568541
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 GB2021051327
(87)【国際公開番号】W WO2021245386
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトマン,ジョン ライル
(72)【発明者】
【氏名】メゾウアリ,サミル
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA13
5F241CA22
5F241CA40
5F241CA74
5F241CB11
5F241CB14
5F241CB15
5F241CB22
5F241FF01
(57)【要約】
光学デバイスは、ほぼ垂直な側壁を有する発光構造であって、発光構造は活性層を含み、活性層は電流がデバイスへ印加されると光を発射するように構成される、発光構造;発光構造の側壁に面する内面及び対向する外面を有する電気的絶縁且つ光学的透明スペーサ層であって、活性層からの光抽出を強化するように構成されたスペーサ層;及びスペーサ層の外面上に配置される反射性且つ電気的導電性ミラー層を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスであって、
ほぼ垂直な側壁を有する発光構造であって、前記発光構造は活性層を含み、前記活性層は電流が前記デバイスへ印加されると光を発射するように構成される、発光構造;
前記発光構造の前記側壁に面する内面及び対向する外面を有する電気的絶縁及び光学的透明スペーサ層であって、前記活性層からの光抽出を強化するように構成された光学的透明スペーサ層;並びに
前記スペーサ層の前記外面上に配置される反射性及び電気的導電性ミラー層
を含む光学デバイス。
【請求項2】
前記発光構造と前記スペーサ層との間にパッシベーション層をさらに含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記パッシベーション層は二酸化シリコン、酸化アルミニウム又は立方窒化アルミニウムのうちの1つである、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記ミラー層はRa=50nmの表面粗度を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記ミラー層はRa=10nmの表面粗度を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記発光構造は第1の発光面を有し、前記光学デバイスはさらに、前記発光面上の光抽出特徴を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記光抽出特徴は凸レンズの形式である、請求項6に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記凸レンズは2.3マイクロメートル又は3マイクロメートルのうちの1つの曲率半径を有する、請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記スペーサ層の前記外面は疑似放物線プロファイル又は放物線プロファイルを有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記スペーサ層の前記外面のプロファイルは、0.5のBezier係数を有する2つの制御点を有するBezier曲線を近似する、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記スペーサ層は二酸化シリコン、窒化シリコン又は酸化チタンのうちの任意の1つで形成される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記発光構造はさらにn型クラッド層を含み、前記ミラー層は、前記光学デバイスの第1の電極を形成するように前記n型クラッディング層と電気的に接触している、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記発光構造はさらに、前記光学デバイスの第2の電極と電気的に接触したp型クラッディング層を含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記第2の電極は前記第1の発光面に対向する前記発光構造の第1の表面上に形成され、前記第2の電極は反射材料で作られる、請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記発光構造はさらに緩衝層及び超格子を含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記発光構造はインジウム窒化ガリウムを含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記発光構造は四角形、円形、三角形、五角形断面のうちの1つを有する、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記発光構造は粗側壁を有する、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記スペーサ層の前記内面は第1の材料で形成され、前記スペーサ層の前記外面は第2の材料で形成される、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項20】
前記第1の材料は前記第2の材料より高い屈折率を有する、請求項19に記載の光学デバイス。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか一項に記載の光学デバイスの、2つ以上のアレイ。
【請求項22】
請求項1乃至20のいずれか一項に記載の光学デバイスを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスのアレイと発光デバイスのアレイを形成する方法とに関する。特に、しかし排他的でなく、本発明は最適化された光抽出を有する発光デバイスのアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)デバイスは広範囲のアプリケーションのための効率的光源を提供するということが知られている。より小さなLED(より小さな発光表面面積を有する)の生産と様々な波長LEDエミッタのアレイ内への集積化に伴うLED発光効率及び抽出の増加は、高品質カラーアレイを複数のアプリケーション(特にディスプレイ技術における)に提供する結果となった。
【0003】
拡張現実(Augmented Reality)、マージ現実(Merged Reality)、仮想現実(Virtual Reality)、並びにスマート時計及びモバイルデバイスなどの直視ディスプレイを含む様々なアプリケーションおける使用のためのマイクロLEDディスプレイのためのいくつかのディスプレイ技術が考えられており使用されている。ディジタルマイクロミラー(DMD:Digital Micro Mirror)及び液晶・オン・シリコン(LCoS:Liquid Crystal on Silicon)などの技術は反射技術に基づき、ここでは、外部光源が赤色光子、緑色光子、及び青色光子を時系列モードで生成するために使用され、そして画素は、画像を形成するために画素の輝度を調整するために光を光学素子から離れる方向に向ける(DMD)か又は光を吸収する(LCoS)かのいずれかである。液晶ディスプレイ(LCD)は通常、画像を生成するためにバックライト、アドレス指定可能背面上のLCDパネル及びカラーフィルタを使用する。背面は、映像の各フレームの個々の画素の輝度を調整するために個々の画素をオン/オフすることが要求される。有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)又はアクティブマトリクスOLED(AMOLED:Active Matrix OLED)及び最近のマイクロLEDなどの発射型ディスプレイ技術は、無接続マイクロディスプレイアプリケーション及びより高い画像コントラストのための低電力消費量を提示するのでますます増加している。特にマイクロLEDは、マイクロOLED及びAMOLEDディスプレイより高い効率及びより良い信頼性を提供する。
【0004】
本明細書において説明される発明は、内部量子効率(IQE:Internal Quantum Efficiency)及び光抽出効率(LEE:Light Extraction Efficiency)を改善して効率及び輝度性能指数を改善するためにいくつかの技術を組み合わせる、高効率マイクロLEDアレイを作製する方法に関する。
【0005】
疑似放物線状MESAの使用を含む、多量子井戸(MQW:multiple quantum well)内で生成された光子を発射面へ向けるために光抽出効率を増加するように設計された構造は、LED業界ではよく知られている。
【0006】
このような形状を有するMESAを製作するために使用される技術は、反応性イオンエッチ(RIE:Reactive Ion Etch)又は誘導結合エッチ(ICP:Inductively Coupled Etch)などの技術に関与する。このようなエッチ技術では、RF、高電圧(DCバイアス)及び反応性ガス(遊離基をしばしば含む)を含む高エネルギープラズマが、半導体材料を選択的にエッチングするために使用される。いくつかの特徴は、エッチプロセスに晒されることになるエリア及び未エッチ状態の
ままとなるエリアを定義するために写真感光材料を使用するフォトリソグラフィプロセスを使用することにより定義される。MESAの精密形状は、パターンを定義するために使用される写真感光材料のプロファイルにより、並びにエッチ圧、電力、ガス流及びガス種により制御され得る。
【0007】
これは製造プロセスを複雑化するだけでなく、このエッチプロセスの結果、マイクロLEDのIQEに影響を与えるMESAの縁も破損され得る。
【0008】
図1に示すように、直流バイアス及びプラズマ密度が増加するにつれ、より大きな損傷が、特徴の縁に対してなされ、結晶損傷、窒素空孔及びダングリングボンドにより形成される表面漏れ経路に至る。乾式エッチングは、表面における高エネルギーイオン爆撃(bombardment)に起因して、多くの結晶欠陥を生成する。ダングリングボンドは容易に酸化され、そして結晶損傷はエネルギー帯内に多くの欠陥レベルを生成し、この欠陥レベルは表面におけるキャリア再結合中心として働き、非放射性再結合に至る。
【0009】
表面再結合速度(非放射性再結合速度)はバルクMQW内の放射性再結合速度より速く、したがって、小さなマイクロLEDは表面再結合とIQEの結果的低下とに対して脆弱である。
【0010】
MESAエッチ中に引き起こされる損傷の広範に報告された結果は、
図2に示すような、より小さなマイクロLED寸法による効率低下である。外部量子効率(EQE:External Quantum Efficiency)はIQEの産物(電子の数に対する生成された光子数の比)である。この傾向を駆動する機構は、マイクロLEDの面積に対する周縁の比である。マイクロLEDのサイズが低下するにつれ、側壁の面積はMQWの面積に対して増加するので、マイクロLEDの縁における表面漏れ経路が非放射性再結合の増加を引き起こす。
【0011】
拡張現実及び頭部装着型ディスプレイに使用されるマイクロLEDディスプレイは1A/cm2~10A/cm2の電流密度で動作することになる。これは、大きなLEDと比較して、小さなLEDの効率が20倍低下することを意味し得る。
【0012】
マイクロLEDの効率は、
図3に示すように、MESAエッチにより引き起こされる損傷を修理することにより著しく増加され得る。最適化された損傷修理体制を実行することによりEQEの10倍の改善を行うことが通常は可能である。ピークEQEは損傷修理後に増加し、そしてピークEQEは低電流密度において発生するので、その結果、典型的動作条件では、効率の10倍増加が取得され得る。しかし、このような体制は、
図4に示すように、修理プロセスがMESAエッチにより損傷された半導体材料を除去するので、高LEEのために最適化されたMESA形状を保つことと両立しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の問題の少なくともいくつかを緩和するために、添付の特許請求の範囲による光学デバイスが提供される。さらに、添付の特許請求の範囲による光学デバイスのアレイと、1つ又は複数の光学デバイスを形成する方法とが提供される。
【0014】
本発明の第1の態様では、ほぼ垂直な側壁を有する発光構造であって、発光構造は活性層を含み、活性層は電流がデバイスへ印加されると光を発射するように構成される、発光構造;発光構造の側壁に面する内面及び対向する外面を有する電気的絶縁及び光学的透明スペーサ層であって、活性層からの光抽出を強化するように構成された光学的透明スペーサ層;並びに、スペーサ層の外面上に配置される反射性及び電気的導電性ミラー層を含む
光学デバイスが提供される。
【0015】
有利には、スペーサ材料は発光構造の活性層からの光抽出を強化するための光学部品として働き、金属材料は光抽出をさらに強化するスペーサの側面上のミラー層として働く。
【0016】
好適には、光学デバイスはさらに、発光構造とスペーサ層との間にパッシベーション層を含む。
【0017】
好適には、パッシベーション層は二酸化シリコン、酸化アルミニウム又は立方窒化アルミニウムのうちの1つである。
【0018】
パッシベーション層は、本デバイスの電気的特性をそうでなければ劣化させる表面準位を低下するように働く。
【0019】
好適には、発光構造は第1の発光面を有し、光学デバイスはさらに、発光面上に光抽出特徴を含む。光抽出特徴は、本デバイスの光学特性にさらなる強化を提供する。
【0020】
好適には、光抽出特徴は凸レンズの形式である。
【0021】
好適には、凸レンズは3マイクロメートルの曲率半径を有する。これは最大光抽出を提供するということが分かった。
【0022】
好適には、スペーサ層の外面は疑似放物線プロファイル又は放物線プロファイルを有する。放物線形状は、臨界角未満の入射角で前記表面に入射しそしてこれにより光子が高周波数において大気内へ抽出されることを可能にするように、発射された光子を本デバイスの発光面の方へ向けるように働く。
【0023】
好適には、スペーサ層の外面のプロファイルは、0.5のBezier係数を有する2つの制御点を有するBezier曲線を近似する。これは最大光抽出を提供するということが分かった。
【0024】
好適には、スペーサは二酸化シリコン、窒化シリコン又は酸化チタンのうちの1つである。
【0025】
好適には、発光構造はn型クラッド層をさらに含み、ミラー層は、光学デバイスの第1の電極を形成するようにn型クラッディング層と電気的に接触している。有利には、ミラー層はさらに、光学デバイスの電流拡散層として働く。
【0026】
好適には、発光構造はさらに、光学デバイスの第2の電極と電気的に接触したp型クラッディング層を含む。
【0027】
好適には、第2の電極は、発光構造の第1の表面に対向する第2の表面上に形成され、第2の電極は反射材料で作られる。発光面に対向する反射面の配置は、光学デバイスの光抽出及びしたがって効率を改善する。
【0028】
好適には、活性層は1つ又は複数の量子井戸を含む。
【0029】
好適には、発光構造はさらに緩衝層及び超格子を含む。
【0030】
好適には、発光構造はインジウム窒化ガリウムを含む。
【0031】
好適には、発光構造は四角形、円形、三角形、五角形断面のうちの1つを有する。
【0032】
好適には、発光構造は粗側壁を有する。これは輝度均一性を改善し、及び光抽出をさらに強化するということが分かった。
【0033】
好適には、スペーサ層の内面は第1の材料で形成され、スペーサ層の外面は第2の材料で形成される。これは、発射された光子が発光面の方へより良好に向けられ得るように様々な屈折率を有する材料の使用を可能にする。
【0034】
好適には、第1の材料は、光が発光構造の発光面の方向へますます後方反射されるように、第2の材料より高い屈折率を有する。
【0035】
本発明の第2の態様では、上述の光学デバイスのアレイが提供される。
【0036】
本発明の第3の態様では、上述の光学デバイスを製造する方法が提供される。
【0037】
本発明の別の態様は、本明細書及び添付の特許請求の範囲から明白になる。
【0038】
本発明の実施形態の詳細な説明
本発明の実施形態の詳細な説明は、以下の添付図面を参照して、単に一例としてなされる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】プラズマ電力及び直流バイアスの増加によるInGaN材料に対する結晶損傷を示す。
【
図2】A1(256μm)からA9(1μm)まで低減するマイクロLEDサイズの外部量子効率(EQE)対電流密度を示す。
【
図3】MESA損傷低下及び修理有り及び無しのマイクロLEDのEQEを示す。
【
図4】エッチングされたMESAの断面(損傷修理プロセス前(a)及び損傷修理プロセス後(b))を示す。
【
図6】曲率半径R及びBezier係数Bに応じた様々な形状の凸レンズ及びスペーサを有する一連の光学デバイスを示す。
【
図7】2つの異なるスペーサ材料を使用する実施形態を示す。
【
図9】発光構造が四角形(a)、円形(b)、三角形(c)及び五角形(d)断面を有する実施形態を示す。
【
図10】光学デバイスのモノリシック製造プロセスの段階を示す。
【
図11】光学デバイスのモノリシック製造プロセスの段階を示す。
【
図12】光学デバイスのモノリシック製造プロセスの段階を示す。
【
図13】光学デバイスのモノリシック製造プロセスの段階を示す。
【
図14】曲率半径R及びBezier係数Bを有する半値全幅での(a)光抽出効率(LEE)及び(b)発射角の変動を示す。
【
図15】曲率半径R及びBezier係数Bを有するF/3投影レンズの結合効率の変動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図5は、発光上面111及び対向底面112及びほぼ垂直な側壁113、114を有する発光構造110により形成される光学デバイス100を示す。代替実施形態では、発光
構造110は、光学デバイス100の輝度均一性を改善しそして光抽出を強化するように働く
図7に示すような粗側壁を有する。
【0041】
一実施形態では、発光構造110は
図9に示すよう四角形、円形、三角形、五角形断面のうちの1つを有する。
【0042】
発光構造110は、電極を形成する反射性導電層(p型コンタクト層)120上に位置し、そしてさらに、n型領域(又はn型クラッド層)160及びp型領域(又はp型クラッド層)170間に位置する1つ又は複数の量子井戸を含む活性層150を含み、p型領域は電極/反射性導電層120に接している。一実施形態では、n型領域160及びp型領域170はそれぞれnドープ及びpドープ窒化ガリウムである。別の実施形態では、インジウム窒化ガリウムが使用される。発光構造110は典型的LED構造に基づく。別の実施形態では、代替層及び/又は追加層を有する代替発光構造が使用される。当業者は、以下に述べるように動作すると仮定して、任意数のあり得る発光構造が使用され得るということを理解するだろう。特定の実施形態では、発光構造110はp型領域170と活性層150との間に位置する電子阻止層を含む。別の実施形態では、発光構造110は1つ又は複数の緩衝層を含む。
【0043】
n型領域160はnドープGaNであるが、別の例では、追加的に又は代替的に、n型領域160は異なる材料を含む。p型領域170はpドープGaNであるが、別の例では、追加的に又は代替的に、p型領域170は異なる材料を含む。
【0044】
側壁113、114と接触するのは、二酸化シリコンで形成されそして屈折率n
1を有するそれぞれの疑似放物線スペーサ203、204である。代替実施形態では、スペーサは窒化シリコン又は酸化チタンから形成される。スペーサは図示の実施形態では疑似放物線側面を有するが、側面は、2つの制御点及び係数Bを有する一連のBezier曲線により記述される任意の好適なプロファイルを有し得、ここでBは、
図6(c)-(f)それぞれに描写する0.1、0.5、0.2及び0.05のうちの1つである。好適な実施形態では、Bezier係数は0.5であり、
図6(d)に示すようなほぼ直線状の側面スペーサを生じる。別の実施形態では、スペーサ203、204は、
図7と
図8に示すように屈折率n
1を有する内側スペーサ203a、204a及び屈折率n
2を有する外側スペーサ203b、204bで形成され、輝度均一性をさらに改善しそして活性層からの光抽出をさらに強化する。好ましい実施形態ではn
1>n
2、これは、内側スペーサ材料として窒化シリコンをそして第2のスペーサ材料として酸化アルミニウムを使用することにより達成され得る。別の実施形態では、発光構造の側壁から離れる方向に低下する屈折率(すなわち、n
1>n
2>n
N)を有する追加スペーサ層が使用され得る。概略的な
図5では2つの別個のスペーサとして描写されるが、スペーサは
図9に描写される断面図に示すように実際には連続層である。
【0045】
スペーサ203、204の外面を被覆するのは、ミラー層300を形成する反射性金属材料であって光学デバイスの第2の電極を形成するためにn型領域160とさらに接触する反射性金属材料である。一実施形態では、ミラー層300はアルミニウムから形成され、そしてRa=50nmの表面粗度を有する。好ましい実施形態では、ミラー層は、本デバイスの光抽出効率を低減する光の散乱を防止するようにRa<10nmの表面粗度を有する。
【0046】
発光構造110の発光上面111上には、凸レンズの形式の光抽出特徴400がある。
図6(a)に描写されるレンズは15μmの曲率半径を有するが、5μm、2μmそれぞれの曲率半径を有する代替実施形態が
図6(b)、(c)に示される。好適な実施形態では、レンズは3μmの曲率半径を有する。
【0047】
使用中、電流が電極間に印加され、ミラー層300はさらに電流拡散層として動作する。活性層150により発射される光は、発光上面111の方向へ、直接向けられる、又はi)反射性導電層120からの反射を介し、ii)スペーサ203、204(及び存在すれば203a、204a)における反射及び/又は屈折を介し、iii)反射性金属材料により形成されるミラー層300を介し、又はiv)上記の組み合わせを含む構造内の多重反射を介し向けられる、のいずれかである。したがって、反射性導電層120、スペーサ203、204、及びミラー層300は、光の伝達を可能にする臨界角度範囲内で発光面に入射する光の比率を増加するように配置される。
【0048】
図10~13は
図5~9に示す光学デバイスの生成のプロセスを示す。これらの図はモノリシックアレイを描写するが、説明されるプロセスは個々のデバイスの生成へも適用可能である。
【0049】
図10(a)に示す段階では、インジウム窒化ガリウム(GaN)LEDにより形成される発光構造110が公知の手段を介し<111>シリコンの基板ウェハ501上に成長され、このLED構造は、少なくとも1つのn型クラッディング層160、外側p型クラッディング層170、及びその間の活性層150を有する。反射性p型コンタクト層120がp型クラッディング層170の上に蒸着され、そして複数の開口510(サブ画素毎に1つ)がp型コンタクト層120及びGaN層で作られ、フォトリソグラフィにより下位n型クラッディング層160を露出し、次に、反応性イオンエッチ(RIE)又は誘導結合プラズマ(ICP)エッチプロセスが続く。これは、p型コンタクト層120の一部により頂部が覆われた個々の発光構造110を表す各MESAを備えた概して傾斜された側壁を有するMESAのアレイを生成する。一実施形態では、エッチは疑似放物線状側壁を提供するために調節される。シリコンウエハ上に成長されるとして説明されたが、当業者は任意の好適な基板が使用される可能性があるということを認識するだろう。一実施形態では、サファイヤ基板が採用される。別の実施形態では、窒化アルミニウム緩衝層などの追加又は代替介在層が基板とその後成長される層との間の格子不整合を考慮するために使用される。同じように、説明したようなMESAのアレイを生じると仮定して代替又は追加エッチ技術が利用される可能性がある。
【0050】
エッチプロセスの結果として、MESA側壁は、表面漏れ経路に至る破損結晶構造を含む。破損結晶構造を修理するために、低減されたダングリングボンド及び窒素空孔を有する高品質結晶構造を顕示するために破損材料を除去する修理プロセスが適用される。一実施形態では、これは水酸化カリウム湿式エッチを介し実現される。代替実施形態では、修理プロセスはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを使用する湿式エッチを含む。したがって、開放側壁プロファイルは、傾斜又は整形されることから垂直状態へ(520)変更される(
図4を参照)。
【0051】
任意選択的に、側壁の表面粗度は、別の乾式エッチを行うことにより又は好適なレジストプロファイルを有するフォトリソグラフィレジストを使用することによりのいずれかにより調節され得る。有利には、略垂直且つ粗側壁は輝度均一性を改善しそして光学デバイスからの光抽出を強化するということが分かった。
【0052】
図10(b)に示す段階では、二酸化シリコンから形成された薄いパッシベーション層530が蒸着される。代替実施形態では、パッシベーション層は酸化アルミニウム又は立方窒化アルミニウムのうちの1つである。パッシベーション層は公知の手段により蒸着される。
【0053】
図11(a)に示す段階では、二酸化シリコンの絶縁保護被覆が蒸着され、そして結果
の膜は、一様な疑似放物線スペーサ203を形成するためにRIEエッチを使用することによりエッチバックされる。代替実施形態では、窒化シリコン又は酸化チタンの一方がスペーサ材料として使用される。当業者は、任意の好適に高い屈折率且つ非導電性材料が使用され得るということに気付くだろう。スペーサの目的は、スペーサ203内への発光構造110からの光抽出を強化するための光学部品として働くことである。
【0054】
図11(b)に示す段階では、アルミニウムの層が、n型クラッディング層160に対するオーム性コンタクトを形成するために確立された半導体技術を介し蒸着されそしてパターン化される。この層は、共通オーム性n型コンタクトを形成するが、電流拡散層として、及びスペーサ203の側面上のミラー層300としても働き、画素からの光抽出の強化に至る。
【0055】
図12(a)に示す段階では、酸化シリコンの絶縁層550が、トポグラフィを平らにするために蒸着されそして化学機械的に研磨(CMP)される。代替実施形態では、窒化シリコンが使用される。複数の開口が、p型コンタクト層120の下位部分を露出するためにフォトリソグラフィ及びRIEエッチ技術を使用することにより作られる。次に、金属層560が公知の製造技術を介し蒸着される。蒸着された金属は、開口を充填するためにCMPを介しその後研磨され、各光学デバイス100のp型コンタクト層120に対するオーム性コンタクトを形成する。
【0056】
図12(b)に示す段階では、酸化シリコン650及び対応金属蒸着660の別の層を有する第2のウェハ601がウェハ501の成長表面へ固着され、そして成長基板は除去される。一実施形態では、第2のウェハはCMOS背面である。代替実施形態では、シリコンハンドルウエハが使用される。第2のウェハ601の金属蒸着660はウェハ501の対応金属部560と接触する。
【0057】
図13に示す段階では、複数の光抽出特徴400がGaN/n型クラッディング層160の表面内へパターン化される。一実施形態では、光抽出特徴400は発光構造110の発光面へ塗布される樹脂被覆内に形成される。代替実施形態では、光抽出特徴400は成長材料自体(すなわちn型クラッディング層160)により形成される。別の実施形態では、表面は光学デバイスの光学的要件に依存して平坦なままにされる。
【0058】
結果の構造は、高い内部量子効率と高い光抽出効率とを独特に兼ね備える光学デバイスのアレイである。
【0059】
光学シミュレーションが、凸状光抽出特徴400の曲率半径及びミラー層300の形状(スペーサ203、204のプロファイルにより設定される)に応じた光抽出効率を研究するために行われる。これらのシミュレーション毎に、発光構造111は3.5μm画素ピッチダイとしてモデル化される。
【0060】
窒化シリコンスペーサ材料を使用する、光抽出効率対曲率半径及びBezier係数の両方が
図14(a)に示される。好適には、窒化シリコンがその高い屈折率(450nm波長において2.05)と半導体工業における普遍性とに起因して使用される。見て分かるように、最大光抽出は、スペーサ203、304(したがってミラー層300)が直線的壁形状を形成し及び凸レンズが3μmの曲率半径を有する場合に達成される。
【0061】
半値全幅(FWHM:full-width half-maximum)における対応発射角度が
図14(b)に示される。見て分かるように、FWHMを有する若干狭い発射パターンに対する最大LEE効率(歩留り)は、Lambertian分布(120度)と比較して約100度である。
【0062】
したがって、説明されたやり方で形成されるマイクロLEDアレイデバイスは、眼により知覚される仮想画像を形成するために投影レンズ系へ結合される仮想システム及び拡張現実システムに特に好適である。通常、この投影レンズは1.5~4のF数を有する。この解析では、F数3(F/30)の投影レンズを採用して光線追跡シミュレーションを行った。F/3投影レンズは、約+/-9程度の受光角を有するので、この角度範囲外に発射された光は、撮像光路へ結合されなく、したがって本システム内の望ましくない迷光になる。光学シミュレーションの結果が
図15に示される。上記例では、最大システム結合効率は、スペーサ203、204が(ミラー層300と共に)、0.5のBezier係数を有する直線的壁形状を形成し及び凸レンズが2.3μの曲率半径を有する、
図14(b)に示すように最も低いFWHM発射角に対応する場合に達成される。
【国際調査報告】