IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リップルズ エルティーディー.の特許一覧

特表2023-528233可食性マルチカラーインク像を製造するための装置、方法及び製品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】可食性マルチカラーインク像を製造するための装置、方法及び製品
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20230627BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230627BHJP
   A23L 5/43 20160101ALI20230627BHJP
【FI】
B41M5/00 134
B41J2/01 501
B41M5/00 120
B41M5/00 110
A23L5/43
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569517
(86)(22)【出願日】2021-05-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 IB2021054189
(87)【国際公開番号】W WO2021234528
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/026,038
(32)【優先日】2020-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518455723
【氏名又は名称】リップルズ エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】RIPPLES LTD.
【住所又は居所原語表記】HAMEFALSIM 14 P.O.BOX 3555, 4951422 PETAH TIKVA, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ゼイラ, アサフ
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4B018
【Fターム(参考)】
2C056FC01
2C056FD20
2H186AA03
2H186AA18
2H186AB10
2H186AB31
2H186AB56
2H186BA08
2H186DA07
2H186FA14
2H186FA18
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB53
4B018LE06
4B018MA02
4B018MA07
4B018MC01
4B018MC07
4B018MF14
(57)【要約】
本発明の実施形態は、可食性マルチカラーインク像を製造するための装置、方法及び製品に関するものである。いくつかの実施形態では、第1流体及び第2流体が提供される。ここで、i.第1流体は、色がpH感受性であり酸性で可食性且つ水性のインクであり、第1流体は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPM固形物を含む。ii.第2流体は可食性のpH調節液体であり、透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷方法であって、ステップaとステップbとを備え、
前記ステップaは、第1流体及び第2流体を提供し、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、前記インクは、植物質の抽出物、又は植物質の抽出物の固形物を含み、
(A)前記植物質又は前記植物質の前記抽出物若しくは前記植物質の前記抽出物の固形物と、(B)前記水性のインクと、の両方の色がpH依存性を有し、
ii.前記第2流体は、可食性pH調整液であり、
前記可食性pH調整液は、透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸であり、
前記ステップbは、(i)前記第1流体のpH色依存性と、(ii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性と、の関係に従って、前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴を可食性基材にインクジェットして、前記可食性基材の上にマルチカラー且つ可食性のインク像を印刷する、印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の主要着色剤が、植物質の抽出物、又は植物質の抽出物の固形物である、印刷方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の主要着色剤が、下記の物質i~物質iiiからなる群から選択される、印刷方法。
物質i.アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物
物質ii.ベタニン含有植物質のベタニン含有抽出物、又はACE-ACPMの固形物
物質iii.前記物質i及び前記物質iiを組み合わせたもの
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物における、前記pH依存性が、
第1pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第1の植物成分色であり、
第2pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第2の植物成分色である、印刷方法。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷方法であって、以下の条件の少なくとも1つに該当する、印刷方法。
条件A.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青紫、青、青緑及び緑からなる群より選択される。
条件B.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件C.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件D.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青及び緑からなる群から選択される。
【請求項6】
印刷方法であって、ステップaとステップbとを備え、
前記ステップaは、第1流体及び第2流体を提供し、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、当該インクの色がpH感受性であり、前記第1流体は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物を含み、
ii.前記第2流体が、透明な可食性のpH調整液、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸であり、
前記ステップbは、(i)前記第1流体のpH色依存性と、(ii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性と、の関係に従って、前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴を可食性基材にインクジェットして、前記可食性基材の上にマルチカラー且つ可食性のインク像を印刷する、印刷方法。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷方法であって、前記第1流体の主要着色剤がアントシアニンである、印刷方法。
【請求項8】
請求項6に記載の印刷方法であって、前記第1流体の主要着色剤が、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物である、印刷方法。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の印刷方法であって、前記pH調整液が塩基である、印刷方法。
【請求項10】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の印刷方法であって、前記pH調整液が酸である、印刷方法。
【請求項11】
請求項8又は請求項9に記載の印刷方法であって、以下の条件のうち少なくとも1つが成り立つ、印刷方法。
条件i.第1流体及び第2流体のそれぞれのpHの差の絶対値が、少なくとも1であるか、又は少なくとも2であるか、又は少なくとも3である。
条件ii.第二の流体のそれぞれのpHと、基材の上面のpHとの差の絶対値が、少なくとも1であるか、少なくとも2であるか、又は少なくとも3である。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第1流体と前記第2流体との間の混合比に対するpHのpH:混合比依存性が、カスタマイズされたpH:混合比依存性であり、前記カスタマイズされたpH:混合比依存性が、可食性基材又はその表面の化学特性及び/又は物理特性に応じてカスタマイズされる、印刷方法。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の液滴と前記第2流体の液滴とのインクジェット実行の間に位置合わせが実行され、
前記位置合わせは、以前に付着した前記第1流体の液滴から形成されたインクドットの各々の位置に前記第2流体の液滴(複数可)が直接付着されるように行われる、印刷方法。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第1流体で形成されたインクドットと前記第2流体との混合は、前記基材表面において、前記第1流体で形成された前記インクドットの色を変化させる効果を奏する、印刷方法。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の液滴と前記第2流体の液滴とのインクジェット実行の間に位置合わせが実行され、
前記位置合わせは、前記第2流体の液滴が以前に付着された各々の位置に前記第1流体の液滴が直接付着されるように行われる、印刷方法。
【請求項15】
請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記アントシアニン含有植物質の前記アントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)が、赤キャベツ植物質を備えるか又は主に赤キャベツ植物質を備える、印刷方法。
【請求項16】
請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記アントシアニン含有植物質の前記アントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)が、アントシアニン含有植物質のジュース又はジュース濃縮物である、印刷方法。
【請求項17】
請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
i.マルチカラー可食性インク像は第1及び第2セットのインクドットから構成され、前記第1及び第2セットのインクドットの色はそれぞれ第1の色及び第2の色であり、
ii.前記第1セットの各インクドットの主要着色剤が、前記第1流体のACE-ACPM又はACE-ACPM固形物であり、且つ
iii.前記第2セットの各インクドットの主要着色剤は、前記第1流体のACE-ACPM又はACE-ACPM固形物であり、
iv.前記第1の色と前記第2の色とが互いに異なる、印刷方法。
【請求項18】
請求項17に記載の印刷方法であって、前記第1の色が赤であり、前記第2の色が青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される、印刷方法。
【請求項19】
請求項17に記載の印刷方法であって、前記第1の色が赤色であり、前記第2の色が青色、青緑色及び緑色からなる群から選択される、印刷方法。
【請求項20】
請求項17に記載の印刷方法であって、前記第1の色が赤紫又は紫であり、前記第2の色が青、青緑及び緑からなる群から選択される、印刷方法。
【請求項21】
請求項17に記載の印刷方法であって、前記第1の色が赤紫であり、前記第2の色が青緑及び緑からなる群から選択される、印刷方法。
【請求項22】
請求項17~請求項21のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記インク像が、pH不均質であり、
前記pH不均質は、第2の色のインク滴のpHが前記第1の色のインク滴のpHを少なくとも1上回るものである、印刷方法。
【請求項23】
請求項17~請求項21のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記インク像が、pH不均質であり、
前記pH不均質は、前記第2の色のインク滴のpHが前記第1の色のインク滴のpHを少なくとも2上回るものである、印刷方法。
【請求項24】
請求項1~請求項23のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記ステップbの全体が、時間窓内に起こり、
前記時間窓の持続時間が、最大でも5分、又は最大でも2分、又は最大でも1分、又は最大でも30秒である、印刷方法。
【請求項25】
請求項1~請求項24のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記インク像が形成される前記基材の表面は、前記ステップbにおけるインクジェットの開始直前にpHが均質である、印刷方法。
【請求項26】
請求項1~請求項25のいずれか1項に記載の印刷方法であって、前記デジタル像の幾何学的特徴を再現するために実行される、印刷方法。
【請求項27】
請求項1~請求項26のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記デジタル像は、白黒又はグレースケール画像であり、
前記液滴の付着は、前記白黒又はグレースケール画像の着色されたバージョンを印刷するために実行される、印刷方法。
【請求項28】
請求項1~請求項27のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記デジタル像を印刷するためのマルチカラー命令が計算又は受信され、
前記液滴の付着は、(i)前記マルチカラー命令と、(ii)前記第1流体のpH色依存性と、(iii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性と、の間の関係に従って実行され、
前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴を可食性基材に付着させ、前記可食性基材の上にマルチカラー可食性インク像を印刷する、印刷方法。
【請求項29】
請求項27に記載の印刷方法であって、
前記マルチカラー命令は、可能な限り最高の色忠実度でカラーデジタル像を再現することからなる群から選択される、印刷方法。
【請求項30】
請求項1~請求項29のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の25℃粘度が少なくとも2.5センチポアズ(cP)であり、及び/又は、
前記第2流体の25℃粘度が少なくとも2.5センチポアズ(cP)である、印刷方法。
【請求項31】
請求項1~請求項30のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第2の流体は、少なくとも30%wt/wtのグリセロールを含む、印刷方法。
【請求項32】
請求項1~請求項31のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の25℃粘度が、少なくとも2若しくは少なくとも2.5センチポアズ(cP)であり、及び/又は、
前記第1流体の25℃粘度が、最大でも10センチポアズ(cP)、若しくは最大でも8cP、若しくは最大でも6cPであり、例えば2.5~6cPの間である、印刷方法。
【請求項33】
請求項1~請求項32のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第2流体の25℃粘度が、少なくとも2若しくは少なくとも2.5センチポアズ(cP)であり、及び/又は、
前記第2流体の25℃粘度が、最大でも10センチポアズ(cP)、若しくは最大でも8cP、若しくは最大でも6cPであり、例えば2.5~6cPの間である、印刷方法。
【請求項34】
請求項1~請求項33のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第2流体が透明であるか、又は、
前記第1流体及び前記第2流体の50/50混合物の主要着色剤が、ACE-ACPM又はACE-ACPM固形物であり、
前記50/50混合物は、50%wt/wtの前記第1流体及び50%wt/wtの前記第2流体を含む、印刷方法。
【請求項35】
請求項1~請求項34のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第2流体が透明であるか、又は、
前記第1流体及び前記第2流体の30/70混合物の主要着色剤が、ACE-ACPM又はACE-ACPM固形物であり、
前記30/70混合物は、30%wt/wtの前記第1流体及び70%wt/wtの前記第2流体を含む、印刷方法。
【請求項36】
請求項1~請求項35のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第2の流体が塩基であり、その水分活性が、最大でも0.85、又は最大でも0.84、又は最大でも0.82、又は最大でも0.8、又は最大でも0.78、又は最大でも0.75である、印刷方法。
【請求項37】
請求項1~請求項36のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第1流体及び/又は前記第2流体は、
リボフラビン又はリボフラビンリン酸以外の人工着色剤を含まないか、又は、
リボフラビン又はリボフラビンリン酸以外の最大250ppm、又は最大150ppm、又は最大100ppm、又は最大50ppm、又は最大25ppm、又は最大15ppm、又は最大10ppm、又は最大5ppmの人工着色剤を含む、印刷方法。
【請求項38】
請求項1~請求項37のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
前記第1流体及び/又は前記第2流体は、サイズが1μmを超える粒子を含まない、印刷方法。
【請求項39】
請求項1~請求項38のいずれか1項に記載の印刷方法であって、前記可食性基材は発泡飲料である、印刷方法。
【請求項40】
請求項39に記載の印刷方法であって、
前記発泡飲料の泡が、卵白若しくは空豆水若しくはニトロ飲料とレモン汁とからなり、及び/又は、前記発泡飲料がカクテルである、印刷方法。
【請求項41】
請求項39に記載の印刷方法であって、泡が、ビール泡とミルク泡と代用ミルク泡とからなる群から選択される、印刷方法。
【請求項42】
請求項1~請求項41のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
第3流体が提供され、
前記第3流体が、添加の可食性pH調整液であり、
前記添加の可食性pH調整液は、透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸である、方法。
【請求項43】
請求項42に記載の印刷方法であって、
前記ステップbにおいて、前記第1流体、前記第2流体及び前記第3流体の液滴を、以下のように前記可食性基材にインクジェットする、印刷方法。
(i)前記第1流体と前記第2流体との液滴の間に液滴位置合わせが行われ、
(ii)前記第1流体と前記第3流体との液滴の間に液滴位置合わせが行われ、
(iii)前記第2流体及び前記第3流体がそれぞれ塩基性及び酸性であり、
(iv)前記第1流体及び前記第3流体の両方の液滴が付着される画素位置において、そこから形成される各々のインクドットは第1の色であり、且つ、
(v)前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴が付着される画素位置では、そこから形成される各々のインクドットは第2の色である。
【請求項44】
請求項43に記載の印刷方法であって、
前記第1の色及び前記第2の色は、それぞれ赤及び青であるか、又はそれぞれ赤及び青緑であるか、又はそれぞれ赤及び緑である、印刷方法。
【請求項45】
請求項1~請求項44のいずれか1項に記載の印刷方法であって、前記第1流体の主要着色剤が、赤キャベツ抽出物又はその固形物である、印刷方法。
【請求項46】
請求項1~請求項45のいずれか1項に記載の印刷方法であって、前記第1流体の主要着色剤が、赤キャベツジュース又はその濃縮物若しくはその固形物である、印刷方法。
【請求項47】
インクジェット印刷のためのシステムであって、前記システムは、構成aと構成bと構成cとを備え、
前記構成aは、目標位置を定めるインクジェットプリンタであり、
前記構成bは、第1流体及び第2流体がそれぞれ装填された第1流体リザーバ及び第2流体リザーバであり、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、前記インクは、植物質の抽出物、又は植物質の抽出物の固形物を含み、
(A)前記植物質又は前記植物質の前記抽出物若しくは前記植物質の前記抽出物の固形物と、(B)前記水性のインクと、の両方の色がpH依存性を有し、
ii.前記第2流体が、可食性pH調整液であり、
前記可食性pH調整液は、透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン若しくはリボフラビンリン酸塩であり、
前記構成cは、制御回路であり、
前記制御回路は、前記目標位置に配置された基材に前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴をインクジェット噴射してマルチカラー且つ可食性の画像を印刷するように、液滴の付着を制御し、
前記第1流体及び前記第2流体の液滴のインクジェット噴射が、下記の(i)と(ii)との組み合わせに従って制御される、システム。
(i)前記第1流体のpH色依存性
(ii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性
【請求項48】
請求項47に記載のシステムであって、
前記第1流体の主要着色剤が、植物質の抽出物、又は植物質の抽出物の固形物である、システム。
【請求項49】
請求項47又は請求項48に記載のシステムであって、
前記第1流体の主要着色剤が、下記の物質i~物質iiiからなる群から選択される、システム。
物質i.アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物
物質ii.ベタニン含有植物質のベタニン含有抽出物、又はACE-ACPMの固形物
物質iii.前記物質i及び前記物質iiを組み合わせたもの
【請求項50】
請求項47~請求項49のいずれか1項に記載のシステムであって、
植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物における、前記pH依存性が、
第1pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第1の植物成分色であり、
第2pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第2の植物成分色であるである、システム。
【請求項51】
請求項50に記載のシステムであって、以下の条件の少なくとも1つに該当する、システム。
条件A.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青紫、青、青緑及び緑からなる群より選択される。
条件B.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件C.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件D.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青及び緑からなる群から選択される。
【請求項52】
インクジェット印刷のためのシステムであって、前記システムは、構成aと構成bと構成cとを備え、
前記構成aは、目標位置を定めるインクジェットプリンタであり、
前記bは、第1流体及び第2流体がそれぞれ装填された第1流体リザーバ及び第2流体リザーバであり、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、当該インクの色がpH感受性であり、前記第1流体は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物を含み、
ii.前記第2流体が、透明な可食性のpH調整液、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸であり、
前記構成cは、制御回路であり、
前記制御回路は、前記目標位置に配置された基材に前記第1流体及び前記第の流体の両方の液滴をインクジェット噴射してマルチカラー且つ可食性の画像を印刷するように、液滴の付着を制御し、
前記第1流体及び前記第2流体の液滴のインクジェット噴射が、下記の(i)と(ii)との組み合わせに従って制御される、システム。
(i)前記第1流体のpH色依存性
(ii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、前記第1流体の主要着色剤がアントシアニンである、システム。
【請求項54】
請求項52に記載のシステムであって、前記第1流体の主要着色剤が、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物である、システム。
【請求項55】
請求項47~請求項54のいずれか1項に記載のシステムであって、前記pH調整液が塩基である、システム。
【請求項56】
請求項47~請求項54のいずれか1項に記載のシステムであって、前記pH調整液が酸である、システム。
【請求項57】
製品であって、構成aと構成bとを備え、
前記構成aは、可食性基材であり、
前記構成bは、pH不均質な可食性のインク像であり、前記可食性基材の上面に配置され、前記インク像はインクドットの第1及び第2セットを含み、
i.インクドットの前記第1及び第2セットの両方における所与のインクドット各々は、その主要着色剤が植物質の抽出物又は植物質の抽出物の固形物であり、前記植物質の抽出物又は前記植物質の抽出物の固形物の色がpH感受性であり、
ii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第1pH値であり、その色が第1ドット色であり、
iii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第2pH値であり、その色が第2ドット色であり、
iv.前記第1pH値と前記第2pH値との差の絶対値が、少なくとも1.5であるか、又は少なくとも2であるか、又は少なくとも2.5であるか、又は少なくとも3であるか、又は少なくとも4であり、且つ、
v.第1ドット色条件と第2ドット色条件と第3ドット色条件と第4ドット色条件とのうち少なくとも1つに該当し、各々のドット色条件は以下のように定義される、製品。
A.前記第1ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される。
B.前記第2ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群より選択される。
C.前記第3ドット色条件では、前記第1ドット色は赤紫又は紫であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群から選択される。
D.前記第4ドット色条件では、前記第1ドット色が赤紫又は紫であり、前記第2ドット色が青、及び緑からなる群から選択される。
【請求項58】
製品であって、構成aと構成bとを備え、
前記構成aは、可食性基材であり、
前記構成bは、pH不均質な可食性のインク像であり、前記可食性基材の上面に配置され、前記インク像はインクドットの第1及び第2セットを含み、
i.インクドットの前記第1及び第2セットの両方における所与のインクドット各々は、その主要着色剤がアントシアニンであり、
ii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第1pH値であり、その色が第1ドット色であり、
iii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第2pH値であり、その色が第2ドット色であり、
iv.前記第1pH値と前記第2pH値との差の絶対値が、少なくとも1.5であるか、又は少なくとも2であるか、又は少なくとも2.5であるか、又は少なくとも3であるか、又は少なくとも4であり、且つ、
v.第1ドット色条件と第2ドット色条件と第3ドット色条件と第4ドット色条件とのうち少なくとも1つに該当し、各々のドット色条件は以下のように定義される、製品。
A.前記第1ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される。
B.前記第2ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群より選択される。
C.前記第3ドット色条件では、前記第1ドット色は赤紫又は紫であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群から選択される。
D.前記第4ドット色条件では、前記第1ドット色が赤紫又は紫であり、前記第2ドット色が青、及び緑からなる群から選択される。
【請求項59】
請求項57又は請求項58に記載の製品であって、
可食性の面が発泡飲料であり、可食性の前記インク像は前記発泡飲料の上面に配置される、製品。
【請求項60】
請求項57又は請求項58に記載の製品であって、
可食性の面はライスペーパーであり、
可食性の前記インク像は、前記ライスペーパーの上面に配置された、製品。
【請求項61】
請求項57~請求項60のいずれか1項に記載の製品であって、
インクドットの前記第1及び第2セットにおける所与のドット各々は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPM固形物を備える、製品。
【請求項62】
請求項57~請求項61のいずれか1項に記載の製品であって、
インクドットの前記第1及び第2セットにおける所与のドット各々の主要着色剤が、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPM固形物である、製品。
【請求項63】
請求項57~請求項62のいずれか1項に記載の製品であって、
前記第1インクドットの各インクドットの直径は、最大でも100μmである、製品。
【請求項64】
請求項57~請求項63のいずれか1項に記載の製品であって、少なくとも前記第1ドット色条件に該当する、製品。
【請求項65】
請求項57~請求項64のいずれか1項に記載の製品であって、少なくとも前記第2ドット色条件に該当する、製品。
【請求項66】
請求項57~請求項65のいずれか1項に記載の製品であって、少なくとも前記第3ドット色条件に該当する、製品。
【請求項67】
請求項57~請求項66のいずれか1項に記載の製品であって、少なくとも前記第4ドット色条件に該当する、製品。
【請求項68】
印刷方法であって、ステップaとステップbとを備え、
前記ステップaは、第1流体及び第2流体を提供し、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、前記インクは、植物質の抽出物、又は植物質の抽出物の固形物を含み、
(A)前記植物質又は前記植物質の前記抽出物若しくは前記植物質の前記抽出物の固形物と、(B)前記水性のインクと、両方の色がpH依存性を有し、
ii.前記第2流体が、可食性pH調整液であり、
透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸塩である
前記ステップbは、可食性基材に前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴をインクジェットしてそのpH不均質なマルチカラー可食性インク像を印刷し、
前記マルチカラー可食性インク像は、インクドットの第1及び第2セットを含んでおり、
i.インクドットの前記第1及び第2セットの両方における所与のインクドット各々は、その主要着色剤がアントシアニンであり、
ii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第1pH値であり、その色が第1ドット色であり、
iii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第2pH値であり、その色が第2ドット色であり、
iv.前記第1pH値と前記第2pH値との差の絶対値が、少なくとも1.5であるか、又は少なくとも2であるか、又は少なくとも2.5であるか、又は少なくとも3であるか、又は少なくとも4であり、且つ、
v.第1ドット色条件と第2ドット色条件と第3ドット色条件と第4ドット色条件とのうち少なくとも1つに該当し、各々のドット色条件は以下のように定義される、印刷方法。
A.前記第1ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される。
B.前記第2ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群より選択される。
C.前記第3ドット色条件では、前記第1ドット色は赤紫又は紫であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群から選択される。
D.前記第4ドット色条件では、前記第1ドット色が赤紫又は紫であり、前記第2ドット色が青、及び緑からなる群から選択される。
【請求項69】
請求項68に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の主要着色剤が、植物質の抽出物又は植物質の抽出物の固形物である、印刷方法。
【請求項70】
請求項68又は請求項69に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の主要着色剤が、下記の物質i~物質iiiからなる群から選択される、印刷方法。
物質i.アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物
物質ii.ベタニン含有植物質のベタニン含有抽出物、又はACE-ACPMの固形物
物質iii.前記物質i及び前記物質iiを組み合わせたもの
【請求項71】
請求項68~請求項70のいずれか1項に記載の印刷方法であって、
植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物における、前記pH依存性が、
第1pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第1の植物成分色であり、
第2pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第2の植物成分色である、印刷方法。
【請求項71】
請求項70に記載の印刷方法であって、以下の条件の少なくとも1つに該当する、印刷方法。
条件A.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青紫、青、青緑及び緑からなる群より選択される。
条件B.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件C.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件D.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青及び緑からなる群から選択される。
【請求項72】
印刷方法であって、ステップaとステップbとを備え、
前記ステップaは、第1流体及び第2流体を提供し、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、
前記インクは、色がpH感受性であり、
前記第1流体は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物を含み、
ii.前記第2流体が、可食性pH調整液であり、
透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸塩である
前記ステップbは、可食性基材に前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴をインクジェットしてそのpH不均質なマルチカラー可食性インク像を印刷し、
前記マルチカラー可食性インク像は、インクドットの第1及び第2セットを含んでおり、
i.インクドットの前記第1及び第2セットの両方における所与のインクドット各々は、その主要着色剤がアントシアニンであり、
ii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第1pH値であり、その色が第1ドット色であり、
iii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第2pH値であり、その色が第2ドット色であり、
iv.前記第1pH値と前記第2pH値との差の絶対値が、少なくとも1.5であるか、又は少なくとも2であるか、又は少なくとも2.5であるか、又は少なくとも3であるか、又は少なくとも4であり、且つ、
v.第1ドット色条件と第2ドット色条件と第3ドット色条件と第4ドット色条件とのうち少なくとも1つに該当し、各々のドット色条件は以下のように定義される、印刷方法。
A.前記第1ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される。
B.前記第2ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群より選択される。
C.前記第3ドット色条件では、前記第1ドット色は赤紫又は紫であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群から選択される。
D.前記第4ドット色条件では、前記第1ドット色が赤紫又は紫であり、前記第2ドット色が青、及び緑からなる群から選択される。
【請求項73】
請求項72のいずれかに記載の印刷方法であって、
インクドットの前記第1及び第2セットにおける所与のドット各々の主要着色剤が、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPM固形物である、印刷方法。
【請求項74】
請求項72又は請求項73に記載の印刷方法であって、
前記第1のインクドットのインクドット各々の直径は、最大でも100μmである、印刷方法。
【請求項75】
請求項72~請求項74のいずれか1項に記載の印刷方法であって、少なくとも前記第1ドット色条件に該当する、印刷方法。
【請求項76】
請求項72~請求項75のいずれか1項に記載の印刷方法であって、少なくとも前記第2ドット色条件に該当する、印刷方法。
【請求項77】
請求項72~請求項76のいずれか1項に記載の印刷方法であって、少なくとも前記第3ドット色条件に該当する、印刷方法。
【請求項78】
請求項72~請求項77のいずれか1項に記載の印刷方法であって、少なくとも前記第4ドット色条件に該当する、印刷方法。
【請求項79】
請求項1~請求項78のいずれか1項に記載の発明であって、主要着色剤の閾値パラメータが少なくとも60に設定される、発明。
【請求項80】
請求項1~請求項79のいずれか1項に記載の発明であって、主要着色剤の閾値パラメータが少なくとも75に設定される、発明。
【請求項81】
請求項1~請求項80のいずれか1項に記載の発明であって、主要着色剤の閾値パラメータが少なくとも90に設定される、発明。
【請求項82】
請求項1~請求項81のいずれか1項に記載の発明であって、
前記第1流体及び/又は前記第2流体は、
リボフラビン又はリボフラビンリン酸以外の人工着色剤を含まないか、又は、
リボフラビン又はリボフラビンリン酸以外の最大250ppm、又は最大150ppm、又は最大100ppm、又は最大50ppm、又は最大25ppm、又は最大15ppm、又は最大10ppm、又は最大5ppmの人工着色剤を含む、発明。
【請求項83】
請求項1~請求項82のいずれか1項に記載の発明であって、
前記第1流体の主要着色剤が、赤キャベツ抽出物又はその固形物である、発明。
【請求項84】
請求項1~請求項83のいずれか1項に記載の発明であって、
前記第1流体の主要着色剤が、赤キャベツジュース又はその濃縮物又はその固形物である、発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2020年5月16日に出願された米国仮特許出願番号第63026038号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、発泡飲料などの可食性基材に可食性インク像(例えばマルチカラーのもの)を印刷するための製品、調合物及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
<デジタル像、インク像、及びインク像のドット(図1A図1B参照)>
インクジェット印刷の技術において、デジタル像(例えば、コンピュータメモリに格納された数値の二次元配列)をインク像に印刷することが知られている。デジタル像の例は、二値デジタル像(例えば、二次元配列の各位置が1ビットのデータを有する)、グレースケールデジタル像、及びカラーデジタル像である。
【0004】
2値デジタル像を印刷するシンプルなケースを図1A及び図1Bに示す。デジタル像の所与の画素位置に「x」が現れると、インク液滴がインクジェットノズルを介してターゲット基材(例えば白紙などの繊維状基材)上の対応位置に付着させられる。各インク液滴はターゲット位置にドットを生成する。図1Bは、基材上のインク像の8つのドットを示しており、各ドットはデジタル像の画素位置に対応している。
【0005】
図1Bは個々のドットを示したもので、簡略化した例である。通常、300dpiや600dpiでは、ドットの直径は数十ミクロンまでであり、個々のドットは拡大しなければ見ることができない。
【0006】
<マルチカラーインク像(図2図3図4A図4B図5図6A図6B参照)>
図2図3図4A図4B及び図5は、後述する「第1のマルチカラーの従来技術例」に関するものである。図6A図6Bは、後述する「第2のマルチカラーの従来技術例」に関するものである。
【0007】
カラー印刷、特にカラーインクジェット印刷は、現代生活において広く行き渡って遍在(ユビキタス)している。図2(先行技術)は、標準的な色であるシアン、マゼンタ、黄、及びキー(ブラック)(CYMK)インクカートリッジアセンブリを例示し、これはインクの4つのリザーバを有しており、各々は異なるそれぞれの色のインク、即ち、シアン、マゼンタ、黄、及びキー(黒)を有する。
【0008】
色域とは、表示や生産・印刷が可能な色の範囲のことである。色域が広ければ広いほど、色の範囲も広くなる。標準的なCYMKインクカートリッジアセンブリの場合、以下の方法でこれらの4色以上の色域を増やすことが可能である。即ち、(i)異なる色の上に液滴を重ねたり重ね合わせたりして色間の「混合」を行う(即ち、原色から二次色を作り出す)、及び/又は、(ii)ハーフトーニング技術を採用する、などである。
【0009】
ウィキペディアに記載されている通り、次のことが言える。
即ち、ハーフトーン処理なしでは、プロセスカラー3原色はベタ塗りしかできず、7色しか表現できない。即ち、3原色そのものと、2原色を重ねた3色の2次色しか表現できない。即ち、シアンとイエローにより緑が、シアンとマゼンタにより青が、黄とマゼンタにより赤が(これらの減色法の2次色は、加色法の1次色にほぼ対応する)、そして3色を重ねることにより黒が生成される。ハーフトーンによれば、連続したすべての色を作り出すことができる。
【0010】
図(先行技術)はそれぞれ、「第1のマルチカラーの従来技術例」に従ってインクジェットプリントされる第1及び第2の2値デジタル(即ち、コンピュータメモリに記憶されたもの)を示す図である。二値デジタル像は、画素の配列であり、各画素は、インクジェット印刷されるべきインク像内のドット位置に対応する(例えば、各画素は、インクジェットプリントヘッドのノズルの二次元配列における、異なるノズル位置に対応し得る)。
【0011】
図4A図4Bの例(即ち「第1のマルチカラーの従来技術例」による)では、第1の色(例えばシアン)のインクを用いて第1のデジタル像をインクジェットプリントし、その後、第2の色(例えばマゼンタ)のインクを用いて第2のデジタル像をインクジェットプリントし、マルチカラーインク像を生成することが意図されている。図4A図4Bでは、第1の色は「縦線」のシェイディング方式で、第2の色は「横線」のシェイディング方式で模式的に表現されている。
【0012】
多くのインクジェットシステムでは、マルチカラー画像は、一度に1つのインク色ずつ順次印刷されるものであり、即ち、第1のパスの間に、第1のリザーバ(例えば、第1のインクジェットカートリッジ、又は共通カートリッジの第1の区画が使用される)から第1の色のインクを使用して第1のデジタル像が印刷され、その後の第2のパス中に、第2のリザーバ(例えば、第2のインクジェットカートリッジ、又は共通カートリッジの第2の区画が使用される)から第2の色のインクを用いて第2のデジタル像が印刷される。図34は、「第1のマルチカラーの従来技術例」に従って部分的に形成されるマルチカラーの像を示しており、即ち、第1のパスの後、第1の色の単色画像が生成されるものを示し、図4Aのシンプルな例では、この画像は第1の色の8個のドットを含む。図4Bは、完成したマルチカラーインク像を示しており、これは即ち第2のパスの後を示す。
【0013】
図4Bは「第1のマルチカラーの従来技術例」に従って計12個のドットを示している。即ち(i)左上には第1の色(例えば、シアンなどの原色)の4つのドットがあり、(ii)右下には第1の色(例えば、シアンなどの原色)の4つのドットがあり、(iii)中央には第1の色と第2の色の混色(例えば、青などの2次色)の4つのドットがある。
【0014】
通常、このような色混合(例えば中央の4つのドット)を実現するために、第1の色のドットの上に第2の色のドットを重ねる。この例では、第2の色の4つのドットを、第1の色の4つのドットと同じ位置に狙い、それらを重ね合わせる。これが、「印刷位置合わせ」の一例である。
【0015】
図4A図4Bは個々のドットを示したもので、簡略化した例である。通常、300dpiや600dpiの場合、ドットは数十ミクロンまでの直径を有し、個々のドットは拡大下でしか見ることができない。従って、図4A図4Bのインク像の個々のドットは、典型的には、拡大した状態で個々のドットとしてしか見ることができないだろう。
【0016】
図5は、図4Bに示すようなマルチカラーの同じインク像を示しており、ただし拡大することなく(各領域が4つ以上のドットを有すると仮定して)示したものであり、即ち肉眼で見えるようにしたものである。
【0017】
図5の例では、第1、第2及び第3領域の領域色は、図4Bの個々のドット色に対応している。しかしながら、もし仮に第1、第2及び第3領域のドットの密度(例えば、ドット径と隣接ドット間の距離との関係によって得られる)が比較的「低い」場合には、それぞれ明るい色合いとなる可能性がある。
【0018】
従って、図2図3図4A図4B及び図5における第1のマルチカラーの従来技術例(即ち、ハーフトーンがなく、個々のインクドットのオーバーレイのみがある場合)において、もし第1の色がシアンであり、且つ、もし第2の色がマゼンタであるとすると、このとき第3の色は青である。これは、図4B(個々のドットが視認できる拡大画像)における個々のドットの「ドットカラー」を意味する。
【0019】
しかしながら、もし第2領域においてドット密度が低い場合、ある領域の「領域色」(即ち、肉眼で見える色)は、その領域の「個々のドットのドット色」よりも薄い色合いとなる。例えば、図4B及び図5と前段の例とを参照すると、(i)第1領域のドット密度が疎であれば、第1領域のドット色はシアンであり、領域色は「ライトシアン」である。(ii)第3領域のドット密度が疎であれば、第3領域のドット色はマゼンタであり、第3領域の領域色は「ライトマゼンタ」である。(iii)第2領域のドット密度が疎であれば、第2領域のドットカラーは青(即ち、シアンとマゼンタの間のオーバーレイによるもので、これはそれらの2次色である)であり、領域色は「ライトブルー」である。
【0020】
本開示では、インクジェット画像の個々のドットの「ドット色」(拡大して視認可能)と、インク像の領域(多くのドットで構成される)の「マルチドット」領域色と、を区別することとし、当該インク像において当該領域は肉眼で視認可能である。
【0021】
図6A図6Bは異なる例を示しており、この場合、第2の色と第3の色との両方のドットが「第2領域」に存在する(即ち任意のハーフトーン方式による)。第2領域(肉眼で視認可能)の領域色(図6B参照)は、第2領域内に存在する光学的混合ドット色である。例えば、もし第1、第2及び第3の色がそれぞれシアン、マゼンタ及び青であれば、図6Bの第2領域の領域色は、シアン及び青の光学的混合(ハーフトーンに起因)としての明るい紫となる可能性がある。
【0022】
従って、図6A図6Bのシンプルな従来技術例では、第2領域のすべての個々のドットは、青(即ち、シアン及びマゼンタの液滴又はドットの間のオーバーレイによる第3の色)又はマゼンタ(即ち第2の色)のいずれかであり、これらの個々のドットは拡大表示で視認可能である。しかし、肉眼で見える第2領域は、明るい紫色の領域色である。
【0023】
先行技術は、複数の色を組み合わせることによって新しい色を作り出すことを教示している。
【0024】
<カラーホイール(図7A図7B参照)>
【0025】
カラーホイールは、円周上に色相の集合を組織化したものである。アイザック・ニュートンは1704年の論文「Optiks」の中で、これらの色の関係を記述するために「色相環」を関連付けている。それ以来、多くのカラーホイールやカラーサークルが文献で発表されている。いくつかのカラーホイールは、赤、黄、青を基調としたRYBカラーモデルに基づいている。いくつかのカラーホイールには、反対プロセス色(赤、黄、青、緑)に基づくものもある。いくつかのカラーホイールは、RGB(赤、緑、青)の加法混色に基づいている。
【0026】
本開示では、図7に示す具体的な12色カラーホイールを使用して、色及び色間の変換を説明する(12時から時計回りに記載する)。即ち、(i)黄緑、(ii)緑、(iii)青緑、(iv)青、(v)青紫、(vi)紫、(vii)赤紫、(viii)赤、(ix)赤オレンジ、(x)オレンジ、(xi)黄オレンジ、(xii)黄である。
【0027】
図7Bは、12色の各色のRGB値の表である。黄緑色には「1」、緑色には「2」、青緑色には「3」というように、位置値が与えられている。
【0028】
<人工着色料と天然着色料>
【0029】
ここ数十年の間に、天然素材を使用することの利点や、人工的なものを避けることの重要性が認識されるようになった。食品中の人工着色料の場合、監督官庁は一般的に以下の着色料を許可している。(i)FD&C Blue No.1-Brilliant Blue FCF,E133(青の色合い)、(ii)FD&C Blue No.2-Indigotine、E132(藍の色合い)、(iii)FD&C Green No.3-Fast Green FCF、E143(ターコイズの色合い)、(iv)FD&C Red No.3-Erythrosine、E127(ピンクの色合い、一般的にグラッセチェリーに使用される)、(v)FD&C Red No.40-AlluraRedAC、E129(赤の色合い)、(vi)FD&C Yellow No.5-Tartrazine、E102(黄の色合い)、(vii)FD&C Yellow No.6:Sunset Yellow FCF、E110(オレンジの色合い)。
【0030】
多くの状況において、天然着色料のみを採用する場合には、人工着色料が利用可能な場合よりも、マルチカラーの可食性品(又はそのマルチカラー表面)を製造することがより困難である。
【0031】
<発泡飲料への印刷>
【0032】
発泡飲料の上面に印刷することは当業者に知られている。例えば、以下を参照されたい。
【0033】
米国特許出願公開20190200799号、米国特許出願公開20170066252号、国際特許出願PCT/IB2018/058224、米国特許出願公開20150251470号、米国特許出願公開20150147444号、米国特許出願公開20090317519号は、全て参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0034】
発明コンセプト1.
印刷方法であって、ステップaとステップbとを備え、
前記ステップaは、第1流体及び第2流体を提供し、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、前記インクは、植物質の抽出物又は前記植物質の抽出物の固形物を含み、
(A)前記植物質又は前記植物質の前記抽出物若しくは前記植物質の前記抽出物の固形物と、(B)前記水性のインクと、の両方の色がpH依存性を有し、
ii.前記第2流体は、可食性pH調整液であり、
前記可食性pH調整液は、透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸であり、
前記ステップbは、(i)前記第1流体のpH色依存性と、(ii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性と、の関係に従って、前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴を可食性基材にインクジェットして、前記可食性基材の上にマルチカラー且つ可食性のインク像を印刷する、印刷方法。
【0035】
発明コンセプト2.
発明コンセプト1に記載の印刷方法において、前記第1流体の主要着色剤が、植物質の抽出物、又は植物質の抽出物の固形物である、印刷方法。
【0036】
発明コンセプト3.
発明コンセプト1又は発明コンセプト2に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の主要着色剤が、下記の物質i~物質iiiからなる群から選択される、印刷方法。
物質i.アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物
物質ii.ベタニン含有植物質のベタニン含有抽出物、又はACE-ACPMの固形物
物質iii.前記物質i及び前記物質iiを組み合わせたもの
【0037】
発明コンセプト4.
発明コンセプト1~発明コンセプト3のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物が有するpH依存性が、
第1pH値では、植物質もしくはその抽出物又はその抽出物の固形物の色が第1の植物成分色であり、
第2pH値では、植物質もしくはその抽出物又はその抽出物の固形物の色が第2の植物成分色であるような、印刷方法。
【0038】
発明コンセプト5.
発明コンセプト4に記載の印刷方法であって、以下の少なくとも1つに該当する、印刷方法。
A.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青紫、青、青緑及び緑からなる群より選択される。
B.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
C.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
D.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青及び緑からなる群から選択される。
【0039】
発明コンセプト6.
印刷方法であって、ステップaとステップbとを備え、
前記ステップaは、第1流体及び第2流体を提供し、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、当該インクの色がpH感受性であり、前記第1流体は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物を含み、
ii.前記第2流体が、透明な可食性のpH調整液、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸塩であり、
前記ステップbは、(i)前記第1流体のpH色依存性と、(ii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性と、の関係に従って、前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴を可食性基材にインクジェットして、前記可食性基材の上にマルチカラー且つ可食性のインク像を印刷する、印刷方法。
【0040】
発明コンセプト7.
発明コンセプト6に記載の印刷方法であって、前記第1流体の主要着色剤がアントシアニンである、印刷方法。
【0041】
発明コンセプト8.
発明コンセプト6に記載の印刷方法であって、前記第1流体の主要着色剤が、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物である、印刷方法。
【0042】
発明コンセプト9.
発明コンセプト1~発明コンセプト8のいずれか1つに記載の印刷方法であって、前記pH調整液が塩基である、印刷方法。
【0043】
発明コンセプト10.
発明コンセプト1~発明コンセプト8のいずれか1つに記載の印刷方法であって、前記pH調整液が酸である、印刷方法。
【0044】
発明コンセプト11.
発明コンセプト8又は発明コンセプト9に記載の印刷方法であって、以下のうちの少なくとも1つが成り立つ、印刷方法。
i.第1流体及び第2流体のそれぞれのpHの差の絶対値が、少なくとも1、又は少なくとも2、又は少なくとも3である。
ii.第二の流体のそれぞれのpHと、基材の上面のpHとの差の絶対値が、少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも3である。
発明コンセプト11.
発明コンセプト1~発明コンセプト10のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第1流体と前記第2流体との間の混合比に対するpHのpH:混合比依存性が、カスタマイズされたpH:混合比依存性であり、前記カスタマイズされたpH:混合比依存性が、可食性基材又はその表面の化学特性及び/又は物理特性に応じてカスタマイズされる、印刷方法。
【0045】
発明コンセプト12.
発明コンセプト1~発明コンセプト11のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第1流体の液滴と前記第2流体の液滴とのインクジェットの間に位置合わせが実行され、
前記位置合わせは、以前に付着した前記第1流体の液滴から形成されたインクドットのそれぞれの位置に前記第2流体の液滴(複数可)が直接付着されるように行われる、印刷方法。
【0046】
発明コンセプト13.
発明コンセプト1~発明コンセプト12のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第1流体で形成されたインクドットと前記第2流体との混合は、前記基材表面において、前記第1流体で形成された前記インクドットの色を変化させる効果を奏する、印刷方法。
【0047】
発明コンセプト14.
発明コンセプト1~発明コンセプト13のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第1流体の液滴と前記第2流体の液滴とのインクジェット実行の間に位置合わせが実行され、
前記位置合わせは、前記第1流体の液滴が、前記第2流体の液滴が以前に付着された各々の位置に直接付着されるように行われる、印刷方法。
【0048】
発明コンセプト15.
発明コンセプト1~発明コンセプト14のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)が、赤キャベツ植物質を備えるか又は主に赤キャベツ植物質を備える、印刷方法。
【0049】
発明コンセプト16.
発明コンセプト1~発明コンセプト15のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記アントシアニン含有植物質の前記アントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)が、アントシアニン含有植物質のジュース又はジュース濃縮物である、印刷方法。
【0050】
発明コンセプト17.
発明コンセプト1~発明コンセプト16のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
i.マルチカラー可食性インク像は第1及び第2セットのインクドットから構成され、前記第1及び第2セットのインクドットの色はそれぞれ第1の色及び第2の色であり、
ii.前記第1セットの各インクドットの主要着色剤が、前記第1流体のACE-ACPM又はACE-ACPM固形物であり、
iii.前記第2セットの各インクドットの主要着色剤は、前記第1流体のACE-ACPM又はACE-ACPM固形物であり、
iv.前記第1の色と前記第2の色とが互いに異なる、印刷方法。
【0051】
発明コンセプト18.
発明コンセプト17に記載の印刷方法であって、前記第1の色が赤であり、前記第2の色が青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される、印刷方法。
【0052】
発明コンセプト19.
発明コンセプト17に記載の印刷方法であって、前記第1の色が赤色であり、前記第2の色が青色、青緑色及び緑色からなる群から選択される、印刷方法。
【0053】
発明コンセプト20.
発明コンセプト17に記載の印刷方法であって、前記第1の色が赤紫又は紫であり、前記第2の色が青、青緑及び緑からなる群から選択される、印刷方法。
【0054】
発明コンセプト21.
発明コンセプト17に記載の印刷方法であって、前記第1の色が赤紫であり、前記第2の色が青緑及び緑からなる群から選択される、印刷方法。
【0055】
発明コンセプト22.
発明コンセプト17~発明コンセプト21のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記インク像がpH不均質であり、
前記pH不均質は、第2の色のインク滴のpHが前記第1の色のインク滴のpHを少なくとも1上回るほどのものである、印刷方法。
【0056】
発明コンセプト23.
発明コンセプト17~発明コンセプト21のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記インク像が、pH不均質であり、
前記pH不均質は、前記第2の色のインク滴のpHが前記第1の色のインク滴のpHを少なくとも2上回るものである、印刷方法。
【0057】
発明コンセプト24.
発明コンセプト1~発明コンセプト23のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記ステップbの全体が、時間窓内に起こり、
前記時間窓の持続時間が、最大でも5分、又は最大でも2分、又は最大でも1分、又は最大でも30秒である、印刷方法。
【0058】
発明コンセプト25.
発明コンセプト1~発明コンセプト24のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記インク像が形成される前記基材の表面は、前記ステップbにおけるインクジェットの開始直前にpHが均質である、印刷方法。
【0059】
発明コンセプト26.
発明コンセプト1~発明コンセプト25のいずれか1つに記載の印刷方法であって、前記デジタル像の幾何学的特徴を再現するために実行される、印刷方法。
【0060】
発明コンセプト27.
発明コンセプト1~発明コンセプト26のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記デジタル像は、白黒又はグレースケール画像であり、
前記液滴の付着は、前記白黒又はグレースケール画像の着色されたバージョンを印刷するために実行される、印刷方法。
【0061】
発明コンセプト28.
発明コンセプト1~発明コンセプト26のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記デジタル像を印刷するためのマルチカラー命令が計算又は受信され、
前記液滴の付着は、(i)前記マルチカラー命令と、(ii)前記第1流体のpH色依存性と、(iii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性と、の間の関係に従って実行され、
前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴を可食性基材に付着させ、前記可食性基材の上にマルチカラー可食性インク像を印刷する、印刷方法。
【0062】
発明コンセプト29.
発明コンセプト27に記載の印刷方法であって、
前記マルチカラー命令は、可能な限り最高の色忠実度でカラーデジタル像を再現することからなる群から選択される、印刷方法。
【0063】
発明コンセプト30.
発明コンセプト1~発明コンセプト29のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第1流体の25℃粘度が少なくとも2.5センチポアズ(cP)であり、及び/又は、
前記第2流体の25℃粘度が少なくとも2.5センチポアズ(cP)である、印刷方法。
【0064】
発明コンセプト31.
発明コンセプト1~発明コンセプト30のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第2の流体は、少なくとも30%wt/wtのグリセロールを含む、印刷方法。
【0065】
発明コンセプト32.
発明コンセプト1~発明コンセプト31のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第1流体の25℃粘度が、少なくとも2若しくは少なくとも2.5センチポアズ(cP)であり、及び/又は、
前記第1流体の25℃粘度が、最大でも10センチポアズ(cP)、若しくは最大でも8cP、若しくは最大でも6cPであり、例えば2.5~6cPの間である、印刷方法。
【0066】
発明コンセプト33.
発明コンセプト1~発明コンセプト32のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第2流体の25℃粘度が、少なくとも2若しくは少なくとも2.5センチポアズ(cP)であり、及び/又は、
前記第2流体の25℃粘度が、最大でも10センチポアズ(cP)、若しくは最大でも8cP、若しくは最大でも6cPであり、例えば2.5~6cPの間である、印刷方法。
【0067】
発明コンセプト34.
発明コンセプト1~発明コンセプト33のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第2流体が透明であるか、又は、
前記第1流体及び前記第2流体の50/50混合物の主要着色剤が、ACE-ACPM又はACE-ACPM固形物であり、
前記50/50混合物は、50%wt/wtの前記第1流体及び50%wt/wtの前記第2流体を含む、印刷方法。
【0068】
発明コンセプト35.
発明コンセプト1~発明コンセプト34のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第2流体が透明であるか、又は、
前記第1流体及び前記第2流体の30/70混合物の主要着色剤が、ACE-ACPM又はACE-ACPM固形物であり、
前記30/70混合物は、30%wt/wtの前記第1流体及び70%wt/wtの前記第2流体を含む、印刷方法。
【0069】
発明コンセプト36.
発明コンセプト1~発明コンセプト35のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第2の流体が塩基であり、その水分活性が、最大でも0.85、又は最大でも0.84、又は最大でも0.82、又は最大でも0.8、又は最大でも0.78、又は最大でも0.75である、印刷方法。
【0070】
発明コンセプト37.
発明コンセプト1~発明コンセプト36のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第1流体及び/又は前記第2流体は、
リボフラビン又はリボフラビンリン酸以外の人工着色剤を含まないか、又は、
リボフラビン又はリボフラビンリン酸以外の最大250ppm、又は最大150ppm、又は最大100ppm、又は最大50ppm、又は最大25ppm、又は最大15ppm、又は最大10ppm、又は最大5ppmの人工着色剤を含む、印刷方法。
【0071】
発明コンセプト38.
発明コンセプト1~発明コンセプト37のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
前記第1流体及び/又は前記第2流体は、サイズが1μmを超える粒子を含まない、印刷方法。
【0072】
発明コンセプト39.
発明コンセプト1~発明コンセプト38のいずれか1つに記載の印刷方法であって、前記可食性基材は発泡飲料である、印刷方法。
【0073】
発明コンセプト40.
発明コンセプト39に記載の印刷方法であって、
前記発泡飲料の泡が、卵白若しくは空豆水若しくはニトロ飲料とレモン汁とからなり、及び/又は、前記発泡飲料がカクテルである、印刷方法。
【0074】
発明コンセプト41.
発明コンセプト39に記載の印刷方法であって、泡が、ビール泡とミルク泡と代用ミルク泡とからなる群から選択される、印刷方法。
【0075】
発明コンセプト42.
発明コンセプト1~発明コンセプト41のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
第3流体が提供され、
前記第3流体が、添加の可食性pH調整液であり、
前記添加の可食性pH調整液は、透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸である、方法。
【0076】
発明コンセプト43.
発明コンセプト42に記載の印刷方法であって、
前記ステップbにおいて、前記第1流体、前記第2流体及び前記第3流体の液滴を、以下のように前記可食性基材にインクジェットする、印刷方法。
(i)前記第1流体と前記第2流体との液滴の間に液滴位置合わせが行われ、
(ii)前記第1流体と前記第3流体との液滴の間に液滴位置合わせが行われ、
(iii)前記第2流体及び前記第3流体がそれぞれ塩基性及び酸性であり、
(iv)前記第1流体及び前記第3流体の両方の液滴が付着される画素位置において、そこから形成される各々のインクドットは第1の色であり、且つ、
(v)前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴が付着される画素位置では、そこから形成される各々のインクドットは第2の色である。
【0077】
発明コンセプト44.
発明コンセプト43に記載の印刷方法であって、
前記第1の色及び前記第2の色は、それぞれ赤及び青であるか、又はそれぞれ赤及び青緑であるか、又はそれぞれ赤及び緑である、印刷方法。
【0078】
発明コンセプト45.
発明コンセプト1~発明コンセプト44のいずれか1つに記載の印刷方法であって、前記第1流体の主要着色剤が、赤キャベツ抽出物又はその固形物である、印刷方法。
【0079】
発明コンセプト46.
発明コンセプト1~発明コンセプト45のいずれか1つに記載の印刷方法であって、前記第1流体の主要着色剤が、赤キャベツジュース又はその濃縮物若しくはその固形物である、印刷方法。
【0080】
発明コンセプト47.
インクジェット印刷のためのシステムであって、前記システムは、構成aと構成bと構成cとを備え、
前記構成aは、目標位置を定めるインクジェットプリンタであり、
前記構成bは、第1流体及び第2流体がそれぞれ装填された第1流体リザーバ及び第2流体リザーバであり、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、前記インクは、植物質の抽出物、又は植物質の抽出物の固形物を含み、
(A)前記植物質又は前記植物質の前記抽出物若しくは前記植物質の前記抽出物の固形物と、(B)前記水性のインクと、の両方の色がpH依存性を有し、
ii.前記第2流体が、可食性pH調整液であり、
前記可食性pH調整液は、透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン若しくはリボフラビンリン酸塩であり、
前記構成cは、制御回路であり、
前記制御回路は、前記目標位置に配置された基材に前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴をインクジェット噴射してマルチカラー且つ可食性の画像を印刷するように、液滴の付着を制御し、
前記第1流体及び前記第2流体の液滴のインクジェット噴射が、下記の(i)と(ii)との組み合わせに従って制御される、システム。
(i)前記第1流体のpH色依存性
(ii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性
【0081】
発明コンセプト48.
発明コンセプト47に記載のシステムであって、
前記第1流体の主要着色剤が、植物質の抽出物、又は植物質の抽出物の固形物である、システム。
【0082】
発明コンセプト49.
発明コンセプト47又は発明コンセプト48に記載のシステムであって、
前記第1流体の主要着色剤が、下記の物質i~物質iiiからなる群から選択される、システム。
物質i.アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物
物質ii.ベタニン含有植物質のベタニン含有抽出物、又はACE-ACPMの固形物
物質iii.前記物質i及び前記物質iiを組み合わせたもの
【0083】
発明コンセプト50.
発明コンセプト47~発明コンセプト49のいずれか1つに記載のシステムであって、
植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物における、前記pH依存性が、
第1pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第1の植物成分色であり、
第2pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第2の植物成分色である、システム。
【0084】
発明コンセプト51.
発明コンセプト50に記載のシステムであって、以下の条件の少なくとも1つに該当する、システム。
条件A.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青紫、青、青緑及び緑からなる群より選択される。
条件B.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件C.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件D.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青及び緑からなる群から選択される。
【0085】
発明コンセプト52.
インクジェット印刷のためのシステムであって、前記システムは、構成aと構成bと構成cとを備え、
前記構成aは、目標位置を定めるインクジェットプリンタであり、
前記bは、第1流体及び第2流体がそれぞれ装填された第1流体リザーバ及び第2流体リザーバであり、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、当該インクの色がpH感受性であり、前記第1流体は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物を含み、
ii.前記第2流体が、透明な可食性のpH調整液、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸であり、
前記構成cは、制御回路であり、
前記制御回路は、前記目標位置に配置された基材に前記第1流体及び前記第の流体の両方の液滴をインクジェット噴射してマルチカラー且つ可食性の画像を印刷するように、液滴の付着を制御し、
前記第1流体及び前記第2流体の液滴のインクジェット噴射が、下記の(i)と(ii)との組み合わせに従って制御される、システム。
(i)前記第1流体のpH色依存性
(ii)前記第1流体と前記第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性
発明コンセプト53.
発明コンセプト52に記載の方法であって、前記第1流体の主要着色剤がアントシアニンである、システム。
【0086】
発明コンセプト54.
発明コンセプト52に記載のシステムであって、前記第1流体の主要着色剤が、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物である、システム。
【0087】
発明コンセプト55.
発明コンセプト47~発明コンセプト54のいずれか1つに記載のシステムであって、前記pH調整液が塩基である、システム。
【0088】
発明コンセプト56.
発明コンセプト47~発明コンセプト54のいずれか1つに記載のシステムであって、前記pH調整液が酸である、システム。
【0089】
発明コンセプト57.
製品であって、構成aと構成bとを備え、
前記構成aは、可食性基材であり、
前記構成bは、pH不均質な可食性のインク像であり、前記可食性基材の上面に配置され、前記インク像はインクドットの第1及び第2セットを含み、
i.インクドットの前記第1及び第2セットの両方の所与のインクドット各々について、その主要着色剤が植物質の抽出物又は植物質の抽出物の固形物であり、前記植物質の抽出物又は前記植物質の抽出物の固形物の色がpH感受性であり、
ii.インクドットの前記第1セットにおける各々の所与のインクドットは、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第1pH値であり、色が第1ドット色であり、
iii.インクドットの前記第1セットにおける各々の所与のインクドットは、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第2pH値であり、色が第2ドット色であり、
iv.前記第1pH値と前記第2pH値との差の絶対値が、少なくとも1.5であるか、又は少なくとも2であるか、又は少なくとも2.5であるか、又は少なくとも3であるか、又は少なくとも4であり、且つ、
v.第1ドット色条件と第2ドット色条件と第3ドット色条件と第4ドット色条件とのうち少なくとも1つに該当し、各々のドット色条件は以下のように定義される、製品。
A.前記第1ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される。
B.前記第2ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群より選択される。
C.前記第3ドット色条件では、前記第1ドット色は赤紫又は紫であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群から選択される。
D.前記第4ドット色条件では、前記第1ドット色が赤紫又は紫であり、前記第2ドット色が青、及び緑からなる群から選択される。
【0090】
発明コンセプト58.
製品であって、構成aと構成bとを備え、
前記構成aは、可食性基材であり、
前記構成bは、pH不均質な可食性のインク像であり、前記可食性基材の上面に配置され、前記インク像はインクドットの第1及び第2セットを含み、
i.インクドットの前記第1及び第2セットの両方における所与のインクドット各々は、その主要着色剤がアントシアニンであり、
ii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第1pH値であり、その色が第1ドット色であり、
iii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第2pH値であり、その色が第2ドット色であり、
iv.前記第1pH値と前記第2pH値との差の絶対値が、少なくとも1.5であるか、又は少なくとも2であるか、又は少なくとも2.5であるか、又は少なくとも3であるか、又は少なくとも4であり、且つ、
v.第1ドット色条件と第2ドット色条件と第3ドット色条件と第4ドット色条件とのうち少なくとも1つに該当し、各々のドット色条件は以下のように定義される、製品。
A.前記第1ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される。
B.前記第2ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群より選択される。
C.前記第3ドット色条件では、前記第1ドット色は赤紫又は紫であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群から選択される。
D.前記第4ドット色条件では、前記第1ドット色が赤紫又は紫であり、前記第2ドット色が青、及び緑からなる群から選択される。
【0091】
発明コンセプト59.
発明コンセプト57又は発明コンセプト58に記載の製品であって、
可食性の面が発泡飲料であり、可食性の前記インク像は前記発泡飲料の上面に配置される、製品。
【0092】
発明コンセプト60.
発明コンセプト57又は発明コンセプト58に記載の製品であって、
可食性の面はライスペーパーであり、
可食性の前記インク像は、前記ライスペーパーの上面に配置された、製品。
【0093】
発明コンセプト61.
発明コンセプト57~発明コンセプト60のいずれか1つに記載の製品であって、
インクドットの前記第1及び第2セットにおける所与のドット各々は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPM固形物を備える、製品。
【0094】
発明コンセプト62.
発明コンセプト57~発明コンセプト61のいずれか1つに記載の製品であって、
インクドットの前記第1及び第2セットにおける所与のドット各々の主要着色剤が、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPM固形物である、製品。
【0095】
発明コンセプト63.
発明コンセプト57~発明コンセプト63のいずれか1つに記載の製品であって、
前記第1インクドットの各インクドットの直径は、最大でも100μmである、製品。
【0096】
発明コンセプト64.
発明コンセプト57~発明コンセプト63のいずれか1つに記載の製品であって、少なくとも前記第1ドット色条件に該当する、製品。
【0097】
発明コンセプト65.
発明コンセプト57~発明コンセプト64のいずれか1つに記載の製品であって、少なくとも前記第2ドット色条件に該当する、製品。
【0098】
発明コンセプト66.
発明コンセプト57~発明コンセプト65のいずれか1つに記載の製品であって、少なくとも前記第3ドット色条件に該当する、製品。
【0099】
発明コンセプト67.
発明コンセプト57~発明コンセプト66のいずれか1つに記載の製品であって、少なくとも前記第4ドット色条件に該当する、製品。
【0100】
発明コンセプト68.
印刷方法であって、ステップaとステップbとを備え、
前記ステップaは、第1流体及び第2流体を提供し、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、前記インクは、植物質の抽出物、又は植物質の抽出物の固形物を含み、
(A)前記植物質又は前記植物質の前記抽出物若しくは前記植物質の前記抽出物の固形物と、(B)前記水性のインクと、両方の色がpH依存性を有し、
ii.前記第2流体が、可食性pH調整液であり、
透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸塩である
前記ステップbは、可食性基材に前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴をインクジェットしてそのpH不均質なマルチカラー可食性インク像を印刷し、
前記マルチカラー可食性インク像は、インクドットの第1及び第2セットを含んでおり、
i.インクドットの前記第1及び第2セットの両方における所与のインクドット各々は、その主要着色剤がアントシアニンであり、
ii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第1pH値であり、その色が第1ドット色であり、
iii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第2pH値であり、その色が第2ドット色であり、
iv.前記第1pH値と前記第2pH値との差の絶対値が、少なくとも1.5であるか、又は少なくとも2であるか、又は少なくとも2.5であるか、又は少なくとも3であるか、又は少なくとも4であり、且つ、
v.第1ドット色条件と第2ドット色条件と第3ドット色条件と第4ドット色条件とのうち少なくとも1つに該当し、各々のドット色条件は以下のように定義される、印刷方法。
A.前記第1ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される。
B.前記第2ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群より選択される。
C.前記第3ドット色条件では、前記第1ドット色は赤紫又は紫であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群から選択される。
D.前記第4ドット色条件では、前記第1ドット色が赤紫又は紫であり、前記第2ドット色が青、及び緑からなる群から選択される。
【0101】
発明コンセプト69.
発明コンセプト68に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の主要着色剤が、植物質の抽出物又は植物質の抽出物の固形物である、印刷方法。
【0102】
発明コンセプト70.
発明コンセプト68又は発明コンセプト69に記載の印刷方法であって、
前記第1流体の主要着色剤が、下記の物質i~物質iiiからなる群から選択される、印刷方法。
物質i.アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物
物質ii.ベタニン含有植物質のベタニン含有抽出物、又はACE-ACPMの固形物
物質iii.前記物質i及び前記物質iiを組み合わせたもの
【0103】
発明コンセプト71.
発明コンセプト68~発明コンセプト70のいずれか1つに記載の印刷方法であって、
植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物における、前記pH依存性が、
第1pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第1の植物成分色であり、
第2pH値では、植物質又はその抽出物若しくはその抽出物の固形物の色が第2の植物成分色である、印刷方法。
【0104】
発明コンセプト71.
発明コンセプト70に記載の印刷方法であって、以下の条件の少なくとも1つに該当する、印刷方法。
条件A.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青紫、青、青緑及び緑からなる群より選択される。
条件B.第1の植物成分色が赤であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件C.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青、青緑及び緑からなる群から選択される。
条件D.第1の植物成分色が赤紫又は紫であり、第2の植物成分色が青及び緑からなる群から選択される。
【0105】
発明コンセプト72.
印刷方法であって、ステップaとステップbとを備え、
前記ステップaは、第1流体及び第2流体を提供し、
i.前記第1流体は、酸性で可食性且つ水性のインクであり、
前記インクは、色がpH感受性であり、
前記第1流体は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPMの固形物を含み、
ii.前記第2流体が、可食性pH調整液であり、
透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸塩である
前記ステップbは、可食性基材に前記第1流体及び前記第2流体の両方の液滴をインクジェットしてそのpH不均質なマルチカラー可食性インク像を印刷し、
前記マルチカラー可食性インク像は、インクドットの第1及び第2セットを含んでおり、
i.インクドットの前記第1及び第2セットの両方における所与のインクドット各々は、その主要着色剤がアントシアニンであり、
ii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第1pH値であり、その色が第1ドット色であり、
iii.インクドットの前記第1セットにおける所与のインクドット各々は、そのpHが、0.5以内、又は1以内、又は1.5以内である共通の第2pH値であり、その色が第2ドット色であり、
iv.前記第1pH値と前記第2pH値との差の絶対値が、少なくとも1.5であるか、又は少なくとも2であるか、又は少なくとも2.5であるか、又は少なくとも3であるか、又は少なくとも4であり、且つ、
v.第1ドット色条件と第2ドット色条件と第3ドット色条件と第4ドット色条件とのうち少なくとも1つに該当し、各々のドット色条件は以下のように定義される、印刷方法。
A.前記第1ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青紫、青、青緑及び緑からなる群から選択される。
B.前記第2ドット色条件では、前記第1ドット色は赤であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群より選択される。
C.前記第3ドット色条件では、前記第1ドット色は赤紫又は紫であり、前記第2ドット色は青、青緑及び緑からなる群から選択される。
D.前記第4ドット色条件では、前記第1ドット色が赤紫又は紫であり、前記第2ドット色が青、及び緑からなる群から選択される。
【0106】
発明コンセプト73.
発明コンセプト72のいずれかに記載の印刷方法であって、
インクドットの前記第1及び第2セットにおける所与のドット各々の主要着色剤が、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPM固形物である、印刷方法。
【0107】
発明コンセプト74.
発明コンセプト72又は発明コンセプト73に記載の印刷方法であって、
前記第1のインクドットのインクドット各々の直径は、最大でも100μmである、印刷方法。
【0108】
発明コンセプト75.
発明コンセプト72~発明コンセプト74のいずれか1つに記載の印刷方法であって、少なくとも前記第1ドット色条件に該当する、印刷方法。
【0109】
発明コンセプト76.
発明コンセプト72~発明コンセプト75のいずれか1つに記載の印刷方法であって、少なくとも前記第2ドット色条件に該当する、印刷方法。
【0110】
発明コンセプト77.
発明コンセプト72~発明コンセプト76のいずれか1つに記載の印刷方法であって、少なくとも前記第3ドット色条件に該当する、印刷方法。
【0111】
発明コンセプト78.
発明コンセプト72~発明コンセプト79のいずれか1つに記載の印刷方法であって、少なくとも前記第4ドット色条件に該当する、印刷方法。
【0112】
発明コンセプト79.
発明コンセプト1~発明コンセプト78のいずれか1つに記載の発明であって、主要着色剤の閾値パラメータが少なくとも60に設定される、発明。
【0113】
発明コンセプト80.
発明コンセプト1~発明コンセプト79のいずれか1つに記載の発明であって、主要着色剤の閾値パラメータが少なくとも75に設定される、発明。
【0114】
発明コンセプト81.
発明コンセプト1~発明コンセプト80のいずれか1つに記載の発明であって、主要着色剤の閾値パラメータが少なくとも90に設定される、発明。
【0115】
発明コンセプト82.
発明コンセプト1~発明コンセプト81のいずれか1つに記載の発明であって、
前記第1流体及び/又は前記第2流体は、
リボフラビン又はリボフラビンリン酸以外の人工着色剤を含まないか、又は、
リボフラビン又はリボフラビンリン酸以外の最大250ppm、又は最大150ppm、又は最大100ppm、又は最大50ppm、又は最大25ppm、又は最大15ppm、又は最大10ppm、又は最大5ppmの人工着色剤を含む、発明。
【0116】
発明コンセプト83.
発明コンセプト1~発明コンセプト82のいずれか1つに記載の発明であって、
前記第1流体の主要着色剤が、赤キャベツ抽出物又はその固形物である、発明。
【0117】
発明コンセプト84.
発明コンセプト1~発明コンセプト83のいずれか1つに記載の発明であって、
前記第1流体の主要着色剤が、赤キャベツジュース又はその濃縮物又はその固形物である、発明。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1A】デジタル像とインク像の従来例である。
図1B】デジタル像とインク像の従来例である。
図2】デジタル像とインク像の従来例である。
図3】デジタル像とインク像の従来例である。
図4A】デジタル像とインク像の従来例である。
図4B】デジタル像とインク像の従来例である。
図5】デジタル像とインク像の従来例である。
図6A】デジタル像とインク像の従来例である。
図6B】デジタル像とインク像の従来例である。
図7A】カラーホイール(従来技術)の図である。
図7B】カラーホイール(従来技術)の図である。
図8A】インクジェット印刷の構成を示す図である。
図8B】インクジェット印刷の構成を示す図である。
図9】インク像の写真である。
図10】流体特性のグラフである。
図11A】流体特性のグラフである。
図11B】流体特性のグラフである。
図11C】流体特性のグラフである。
図12A図9に関係する模式図である。
図12B図9に関係する模式図である。
図12C図9に関係する模式図である。
図12D図9に関係する模式図である。
図13A図9に関係する模式図である。
図13B図9に関係する模式図である。
図14A】印刷方法のフローチャートである。
図14B】印刷方法のフローチャートである。
図15】インク像の写真である。
図16A】インク像の写真である。
図16B図16Aの領域を表す図である。
図17A】インクジェット印刷の構成を示す図である。
図17B】インクジェット印刷の構成を示す図である。
図18】インク像の写真である。
図19】インクジェット印刷の構成を示す図である。
図20】インク像の写真である。
図21A】デジタル像である。
図21B】デジタル像である。
図22】デジタル像である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
本発明に係る調合物、製品及び方法は、図面及び添付の説明を参照することにより、よりよく理解され得る。
【0120】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、以下の説明で述べられた、又は図面に例示された構造の詳細及び構成要素の配置に限定されないことが理解されるであろう。本発明は、他の実施形態、又は様々な方法で実施又は実行することが可能である。また、本明細書で採用される言い回しや用語は、説明のためのものであり、限定的なものと見なすべきではないことを理解されたい。
【0121】
いくつかの実施形態は、以下のステップを含む印刷方法に関する。
ステップA:第1流体(例えば、後述の図8A図8B又は図17A図17Bの要素218)及び第2流体(例えば、図8A図8Bの要素220又は図17A図17Bの要素230、或いはそのバージョンであってリボフラビン又はリボフラビンリン酸を含むもの)を提供するステップ。ここで下記i及びiiを満たす。
i.第1流体は、色がpH感受性である酸性の可食性及び水性インクであり、第1流体の主要着色剤は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有濃縮物(ACC-ACP)又はACC-ACPMの固形物である。
ii.第2流体が可食性pH調整液であり、透明であるか、又はその主要着色剤がリボフラビン又はリボフラビンリン酸塩である。
ステップB.第1及び第2流体の両方の液滴を可食性基体にインクジェットして、可食性基材の上にマルチカラー可食性インク像の印刷をするステップ。このステップは下記の(i)及び(ii)の関係に従って行われる。
(i)第1流体のpH色依存性(例えば図10参照)
(ii)第1及び第2流体の間の混合比に対するpHのpH:混合比依存性(例えば図11図11A図11Cのいずれか参照)
【0122】
「pH調整液」の目的の1つは、pHを変更することである。いくつかの実施形態では、pH調整液のpHは、第1流体のpHとは異なる。代替的に又は追加的に、pH調整液のpHは、基材の上面とは異なる。代替的に又は追加的に、pH調整液のpHは、第1流体と基材上面との組み合わせ(例えば、それらの接触後のもの)とは異なる。
【0123】
この方法の詳細を説明する前に、概要について説明する。
【0124】
<片方だけが着色された2つの流体をインクジェットで噴射し、マルチカラーの像を生成する方法>
【0125】
本発明の実施形態は、アントシアン含有植物質のアントシアニン含有濃縮物(ACC-ACPM)(又はACC-ACPMの固形物)を含む可食性インク(例えば、第1流体218)を使用して、可食性画像を印刷することに関する。アントシアニン含有植物質(CC-ACPM)の一例としては、赤キャベツが挙げられる。本発明の実施形態では、可食性インク(例えば、第1流体218)の主要着色剤は、ACC-ACPM又はその固形物である。
【0126】
本発明の実施形態では、インクジェット液滴付着法により、2つの流体(例えば、2つの流体のみ)を使用して、マルチカラーの像を製造することに関し、その両方はインクジェット可能であるが、そのうちの1つだけが着色される。第1流体は、特定の色がpHに依存する酸性可食性インク(例えば、主要着色剤は、第1流体がアントシアニン含有植物質の抽出物-例えば、赤キャベツ抽出物又はその固形物)であり、その一方で、第2流体は、第1流体の個々の液滴(又はそれから形成されるインクドット)のそれぞれの局所的なpHをその場で(即ち基材の表面で)修正することを目的とした透明な流体である。
【0127】
主要着色剤が赤キャベツ抽出物である可食性インク(即ち、第1流体)の場合(後述の「図9のマルチカラー像の印刷に使用される第1流体の調合例」の項参照)には、第1インクの色のpH依存性を次のように説明してもよい。(i)pH値が3付近では「第1流体」の色は赤色であり、(ii)pH値が6付近では当該インクの色は紫であり、かつ(iii)pH値が8付近では当該インクの色は青であり、pH値が9付近では当該インクの色は緑である。例えば、後述する図10を参照されたい。
【0128】
一実施例では、主要着色剤が赤キャベツ抽出物である第1流体の液滴を、pHが均一なターゲット基材の表面(即ち、pH均質な表面)に付着させ、第1の色の単色画像を形成する。その後、このモノクロ画像のインクドットの一部のみに、第2流体(即ち塩基、例えばその粘度は少なくとも2.5センチポアズ(cp))の液滴を、直接に(例えばインクジェットで)、(インクドット当たり、第2流体を液滴1つ)付着させて、先に設けたこのモノクロ像をマルチカラー像に変換させる。
【0129】
第2流体が付着していないインクドットは、第1の色のままである。第2流体が付着させられたインクドットでは、次の2つのことが起こる。(i)第2流体(即ち塩基)の液滴がこれらのインクドットの各々と混合するとき、各々のインクドットのpHがその場で(即ち基材表面で)上昇し、(ii)インクドットの色が、第1の色から第2の色にその場で変化する。
【0130】
具体的な一例としては、(i)第1流体が調合物_A(後述する「図9のマルチカラーの像の印刷に使用される第1流体の調合例」を参照)であり、(ii)モノクロ画像のドットの局所pHが3.1であり、(iii)第1の色が赤であり、(iv)第2流体が付着されたインクドットの局所pHが8であり、(v)第2の色が青である。
【0131】
従って、異なる色のインクを付着させることによってではなく、基材上に既にあるインクドットの適切なサブセットを第1の色から第2の色にその場で変換することによって、マルチカラー像(即ち、赤と青のドットからなる)を生成することが可能である。当該「その場での変換」は、アントシアニン分子の酸性形態から中性又は塩基性形態への変換、又は(他の例では)その逆変換によって行ってもよい。
【0132】
第2流体による「その場での変換」という用語は、以下のうちの1つを指す。(i)第1流体で形成した先行のインクドットのpH及び/又は色を、その後に当該インクドットと第2流体との混合(例えば、第2流体の液滴(複数可)でのその後のオーバーレイ)によって例えば上述したように変換すること、及び(ii)第2流体の液滴を最初に付着させ、第2流体の液滴が付着した場所に付着すると第1流体のpH(つまり色)が第1流体の先行付着に起因して変化するようにすること。
【0133】
上記のマルチカラー像の顕著な特徴の1つは、以下の通りである。基材表面がpH均質であるにもかかわらず(即ち、マルチカラー像が存在する「背景表面」)、マルチカラー像はpH不均質である。この例では、マルチカラー像の赤領域では局所的なpHが約3であり、マルチカラー像の青領域では局所的なpHが約8である。
【0134】
図9は、このようなマルチカラーの像の一例である。
【0135】
図8A図8B及び図9についての考察>
【0136】
図8A図8Bは、インクジェットされる流体の貯蔵のためのマルチリザーバ198A、198Bを含むインクジェット印刷を示す。非限定的な例では、リザーバは、マルチリザーバインクジェットカートリッジアレイの一部であり、カートリッジアレイは、1つ以上のインクカートリッジを指す。一例では、リザーバ198Aは、第1インクジェットカートリッジのリザーバであり、リザーバ198Bは、第2インクジェットカートリッジのリザーバである。別の例では、リザーバ198A及び198Bは、1つのインクジェットカートリッジの異なるリザーバである。
【0137】
インクジェットカートリッジは、バブルジェット(サーマルインクジェット)方式又はピエゾ方式でもよい。
【0138】
液滴268、270のインクジェット付着は例えば電子回路170によって制御され、電子回路170は次の(A)及び(B)の組み合わせに従ってデジタル像178(例えば、カラーデジタル像)を印刷する。即ち、(A)第1流体198AのpH色依存性(例えば、後述の図10参照)、及び(B)第1及び第2流体の混合比に対するpHのpH:混合比依存性(例えば、後述の図11A図11C参照)。
【0139】
液滴付着の結果、ターゲット基材160上にマルチカラーの可食性インク像140が提供される。
【0140】
次に、図8A図8B及び図9について、前節の使用例と関連する、特定の非限定的な使用例について説明する。
【0141】
この使用例では、赤及び青の両領域を有するマルチカラー可食性インク像140が、それぞれ第1流体218及び第2流体220からビール泡(即ち160の一例)上に形成され、第1流体218及び第2流体220は第1リザーバ198A及び第2リザーバ198Bに設置されている。この非限定的な使用例によれば、マルチカラー可食性インク像160は、それぞれ赤及び青である第1及び第2の領域からなり、マルチカラー可食性インク像160は、以下のように製造される。
(i)マルチカラーインク像160の第1領域内では、第1流体218の液滴268のみが付着し、第1領域内のドットは全て赤色である。特に、ビールの泡(即ち160の一例)のpHは約4であり、第1流体218のpHは約3であるので、第1領域内の全てのドットはpHが4以下であり、赤色である。第1領域の全ての個々のドットは個々に赤色であるため、画像160の第1領域の可視的な視認色は赤である。
(ii)マルチカラーインク像160の第2領域内で、第1流体及び第2流体の液滴間の位置合わせ(即ち、電子回路170-例えば、そのコントローラ174によって実行される)が、それぞれ個別に青であるドットを生成するために採用される。特に、第1流体218及び第2流体220の液滴268、270の付着の間の位置合わせは、先に付着した第1流体218の液滴268から形成されたドットの上に第2流体220の液滴270が直接付着する(即ち、重ね塗りする)ように採用される。この位置合わせは、第1流体と第2流体との間の高速混合を可能にし、及び/又は、例えば、「鮮明な」画像を生成するためにそのような混合を制御(又は局在化)するのに有用であり得る。
【0142】
図9は、上述の非限定的使用例に従って生成される像の一例の写真であり、第1流体が調合物_A(後述)であり且つ第2流体が調合物_B(後述)のものである。図9の例では、マルチカラー可食性インク像160は、ビール泡(即ち、白色又は薄茶色である)の上に印刷されていて、以下の領域を有する。
(i)4つの赤領域(RGB:188,1,82)であって、斜めに向いた細長い長方形(4つの角)であり、第1流体(即ち、その主要着色剤が赤キャベツジュース又はその濃縮物若しくはその固形物)の液滴のみが付着している領域。これらの領域では、各ドット(第1流体から形成)におけるドット-ローカルpHは約3と約4の間であるので、第1流体218は赤色のまま(即ち、第1流体218がそのリザーバ198aにあるときとほぼ同じ色)である。
(ii)2つの紫領域(RGB:190,110,184)であって、複数の赤領域の間にそれぞれ垂直に配置されている領域。紫領域において、各ドットは最終的に紫である。特に、これらの領域における各ドットは、2つのステップで形成される。最初に第1流体218の液滴268が付着させられて赤いドットを形成し、続いて第2流体220の液滴270が赤いドット上に付着させられて(即ち重ね塗り)各赤ドットの色を(即ちpH増加により)赤から紫に変換する。
(iii)3つの青領域(RGB:91,116,198)であって、この像の中央に縦線を形成するように互いに水平に整列している領域。青領域では、各ドットは最終的に青となる。特に、これらの領域における各ドットは、2つのステップで形成される。最初に第1流体218の滴268が付着させられて赤いドットを形成し、その後、第2流体220の2つの滴270が赤いドット上に付着させられて(即ち重ね塗り)各赤ドットの色を(即ちpH上昇によって)赤から青に変換する。
【0143】
図10A図10B及び図11A図11Dも、図9の実施例に関するものであり、後述する。
【0144】
図10A図10B及び図11A図11Dについて説明する前に、可食性基材上に可食性インク像を製造する場合のいくつかの潜在的なデザイン目標について説明し、図9のマルチインク像の製造に使用される調合例について説明する。
【0145】
<可食性基材上に可食性インク像を形成する際の幾つかのデザイン目標>
【0146】
異なる実施形態において、マルチカラー像は、可食性基材(例えば、発泡飲料の泡、又はライスペーパー、又はヨーグルト若しくはプリン)上に、以下の目標の1つ又は複数に従って製造されてもよく、それらのうちのいくつかは互いに競合し得る。
A)人工色を含むインクに頼らずに(又はリボフラビン又はリン酸リボフラビンのような特定の「許容される」人工色のみを含むインクに頼らずに)、可食性のマルチカラー像を作製すること、及び/又は、
B)インクジェット可能な流体を使用して可食性のマルチカラー像を製造すること(例えば、長時間にわたってインクジェットポッドに収容された後でも)、
C)液滴の偏向なしに鮮明な像を生成可能なインク(又は印刷プロセス)を使用すること、及び/又は、
D)微生物の増殖に対して安定な可食性の流体を使用すること、及び、
G)マルチカラー像を形成するために、最大でも「少ない」数の流体(例えば、最大でも3つ又は最大でも2つ)を使用すること。
【0147】
図9のマルチカラー像の印刷に使用される第1流体218の調合例>
この調合物は、本開示の他の箇所で"調合物_A"と称される。
【0148】
調合物の成分は次の通りである。
(i)51%wt/wtの脱イオン化水。
(ii)25%wt/wtの赤キャベツ濃縮物(即ち、ジュース濃縮物-即ち、赤キャベツジュースの濃縮物)であって、約80wt/wtの水及び約20wt/wtの赤キャベツ濃縮物固形物を有するもの。
(iii)20%wt/wtのグリセロール。
(iv)4%wt/wtのリンゴ酢。
【0149】
脱イオン水、赤キャベツ濃縮物、グリセロール及びリンゴ酢から混合物が形成される。「ジュース」という用語は、未濾過ジュース又は少なくとも部分的に濾過されたジュースを指す場合がある。
【0150】
混合物を72℃で2分間加熱し、その後冷却して0.4ミクロン濾紙で濾過する。
【0151】
「第1流体」の調合物は、以下の特性を有する。
(i)pHが3.1である。
(ii)第1流体の色は赤である。
(iii)25℃粘度が約3センチポアズ(cP)である。
(iv)525nmの光学密度が1.230(525nm1-270希釈品である。
(v)Brixが33.1である。
(vi)脱イオン水及び重炭酸ナトリウムのみの透明溶液でpHを約6に上げると、第1流体の色が紫になる。
(vi)脱イオン水及び重炭酸ナトリウムのみの透明溶液でpHを約7.5まで上げると、第1流体の色はブルーになる。
(vii)脱イオン水及び重炭酸ナトリウムのみの透明溶液でpHを約9まで上げると、第1流体の色は緑になる。
任意選択で、インクジェットポッド(例えばサーマルインクジェットポッド)のリザーバ又はチャンバー198Aは、第1流体198で満たされる。
【0152】
図9のマルチカラー像の印刷に使用される第2流体220の調合例>
この調合物は、本開示の他の箇所で、「調合物_B」とも称される。
【0153】
調合物の成分は次の通りである。
(i)59.36%wt/wt 脱イオン水
(ii)40%wt/wt グリセロール
(iii)0.6%wt/wt 重炭酸ナトリウム
【0154】
脱イオン水とグリセロールから第1の混合物が形成される。この混合物に重炭酸ナトリウムを加えてpHを約8.4まで上昇させる。
【0155】
混合物(即ち、第2流体220の一例)は、以下の特性を有する。
(i)約3~3.5センチポアズ(cP)の25℃粘度
(ii)約0.84の水分活性W
【0156】
図10-第1流体のpH色依存性>
【0157】
色の数値表現には、例えばLAB値、RGB値、図7Bの12色カラーホイール位置(「位置値」は1~12の整数)など、様々なものがある。
【0158】
図10は、第1流体218(即ちインク)の色を、pH値の関数としてグラフ化したものである。y軸には整数値のみが表される。この図は、第1流体(即ち、インク)の色の依存性を記述している。
【0159】
<「混合比率」:(i)実施例の第1流体218と(ii)実施例の第2流体220との混合物を説明>
【0160】
第1流体218と第2流体220を混合する場合、その混合比は、(1)混合物中の第2流体220の質量と(2)混合物中の第1流体218の質量との間の比として定義される。
【0161】
第1流体218の「混合比」の値(即ち、第2流体220が一切混合されていない純粋な流体)は、定義上、0である。
【0162】
図11A図11Cの全ては、次の混合物に関する。(i)図9のマルチカラー像を印刷するために使用される例の第1流体218の調合例(上記参照)、及び(ii)図9のマルチカラー像を印刷するために使用される例の第2流体220の調合例(上記参照)。
【0163】
一例では、第1流体218の1つの液滴と第2流体220の1つの液滴とが共通の位置に付着させられる(液滴は同じ質量を有する)。この場合、混合比は1/1=1である。別の例では、第1流体218の1つの液滴と第2流体220の2つの液滴とが共通の位置に付着させられる(すべての液滴が同じ質量を有する)。この場合、混合比は2/1=1である。
【0164】
上述したように、図9のマルチカラー像を印刷するために使用される第1流体218の調合例のpHは3.1である。このように、図11Aにおいて、混合比=0の場合のpHの値は、3.1である。
【0165】
図11Aは、pH:混合比依存性を示す図である。図9のマルチカラー像を印刷するために使用される第1流体218の調合例(前出)即ち調合物_Aと、(ii)図9のマルチカラー像を印刷するために使用される第2流体220の調合例(前出)即ち調合物_Bと、によるものである。
【0166】
図11Aは、流体の混合に関するもので、例えば、「標準条件」において、少なくとも20mlの各流体が小型ビーカー又は試験管内に提供される。
【0167】
次に、図11B図11Cについて説明する。
【0168】
異なる2つの流体を混合したとき、その混合物のpHが混合の際の環境に依存する場合がある。
【0169】
例えば、2つの異なる流体の液滴が互いに混合され、混合が基材上(即ち、基材の表面上)で起こる場合、液滴の混合物のpHは、混合が起こる基材のpHに依存する可能性がある。さらに、結果として生じる混合物のpHは、基材の追加の特性、例えば表面が固体又は液体又は泡(及び泡の気体の種類)か否か、に依存する可能性がある。代替的に又は追加的に、その又は混合される各流体の絶対量にも依存する可能性がある(例えば、小さな液滴は大きな液滴よりも大きな蒸発に晒されるかもしれないし、pHが第1の値である一方の流体の蒸気圧が第2流体の蒸気圧と異なることもある)。
【0170】
本発明者は、(i)pHが4であるビール表面と(ii)pHが8である牛乳表面との2種類の発泡表面について、共通の位置に、インクジェットにより液滴(例えば、約45ピコリットルの容量を有する)を付着させる実験を実施した。
【0171】
「混合比」を0とするために、(第1流体の)1つの液滴のみを付着させた。「混合比」を1とするために、第1流体の1つの液滴と第2流体の1つの液滴とを、共通の位置(即ち液滴の重ね塗り)に付着させた。この共通の位置は、発泡飲料の上面とした。「混合比」を2とするために、第1流体の1つの液滴と第2流体の2つの液滴とを、共通の位置(即ち液滴の重ね塗り)に付着させた。この共通の位置は、発泡飲料の上面とした。
【0172】
pHの測定は、表面pHメータ(MRC-MP-103 Flat surface Ph electrode)を用いて、即ち表面pHメータの電極を液滴/流体混合物に接触させて行われた。
【0173】
その結果(調合物_Aと調合物_Bの場合)を図11B図11Cに示す。2つのグラフを比較すると、以下のことが観察される。(i)液滴がアルカリ性表面上で混合された場合(即ち、pH8の発泡ミルク-図11C参照)のほうが、液滴が酸性表面上(即ち、pH4のビール上)で混合された場合よりも、pH値は総じて高い。
【0174】
図11Cに関する一つの注意点として、混合比が2の場合、pH値は9であり、調合物_Aの青緑に相当する。このpH値は、(i)酸性である調合物_AのpH(約3)、(ii)ミルク表面のpH(約8)、及び(iii)調合物_BのpH(約7.6)を上回っている。
【0175】
理論にとらわれずに、本発明者は、この驚くほど高いpH値が、乳飲料の上部に配置された泡に生じる化学的及び/又は物理的プロセスによって達成されると考えている。
【0176】
図12A図12D及び図13A図1Bについての考察>
【0177】
図12A図12Dは、図9及び図11Bに関する。
【0178】
上述した図9は、ビール泡に印刷されたマルチカラー可食性インク像を示す写真である。上述したように、このマルチカラー可食性インク像は、赤、紫及び青の領域を含む。
【0179】
これら可食性インク像の赤領域360A~360D、紫領域364A~364B及び青領域368A~368Cが、図12A図12Dに図示される。
【0180】
図9の可食性インク像を生成するために、リザーバ198A、198Bからの流体218、220は、インクジェットによって、ターゲット基材(即ち、ビールの泡の表面)上に付着させられる。特に、第1流体と第2流体の液滴付着の間の位置合わせは、第2流体218の液滴(複数可)268が、第1流体220の以前に付着した液滴270の上に付着(つまり重ね塗り)するように行われてもよい(又はその逆でもよい)。
【0181】
図12Aの表を参照すると、背景位置では、ビールの泡のみが存在し、pHは4、色は白又は薄茶色である。
【0182】
赤の各位置360A~360D内では、第1流体の液滴のみがビールの泡にインクジェットされ、その上に複数のインクドットが形成される。領域360A~360D内の各インクドットの色(即ち赤)(すべて赤)は、次の(i)及び(ii)の組み合わせによって決定される。即ち(i)混合比=0(即ち、pHが約3の)に対する図11Bの「ビール泡上の第1流体と第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性」と、(ii)図10の第1流体のpH色依存性(即ち、pHが約3の場合に基づく赤)である。ドットの密度を下げることによって、即ち第1流体218による被覆率が100%未満となるようにして、より明るい色合いの赤を得ること(即ち、ドット色を変えずに領域360A~360Dの色合いを変えること)が可能である。このことは、図12Bにも示されている。
【0183】
紫の各位置364A~364B内では、第1流体及び第2流体の両方の液滴がビールの泡にインクジェットされ、その上に複数のインクドットが形成される。領域364A~364B内の各インクドットの色(即ち赤)(すべて赤)は、次の(i)及び(ii)の組み合わせによって決定される。即ち(i)混合比=1に対する図11Bの「ビール泡上の第1流体と第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性」(即ち、pHは約5.5)、及び(ii)図10の第1流体のpH色依存性(即ち、pH5.5に基づく紫)である。ドットの密度を低減することによって、即ち第1流体218による被覆率が100%未満となるようにして、より明るい色合いの紫を得ること(即ち、ドット色を変更せずに領域364A~364Bの色調を変更すること)が可能である。このことは、図12Cにも示されている。
【0184】
青の各位置368A~368C内では、第1流体及び第2流体の両方の液滴がビールの泡にインクジェットされ、その上に複数のインクドットが形成される。領域364A~364B内の各インクドットの色(即ち赤)(すべて赤)は、(i)及び(ii)の組み合わせによって決定される。(i)混合比=2(即ち、pHが約8)に対する図11Bの「ビール泡上の第1流体と第2流体との混合比に対するpHのpH:混合比依存性」、及び(ii)図10の第1流体のpH色依存性(即ち、pH8に基づく紫青)である。ドットの密度を下げることによって、即ち第1流体218による被覆率が100%未満となるようにして、より明るい色合いの青を得ること(即ち、ドット色を変更せずに領域368A~368Cの色合いを変更すること)が可能である。このことは、図12Dにも示されている。
【0185】
<マルチカラー命令、ターゲット色、追加の色合いの提供-図13A図13B図14A図14B図16A図16Bの考察>
【0186】
本発明の実施形態は、その複数の色が「ターゲット化」され得る特定の色パターンを作成するための方法及び装置に関する。即ち、インク像の外観のために複数の及び又は異なる色をターゲットとすることを要求する「マルチカラー命令」を実施するための方法及び装置に関する。マルチカラー命令の一例は、家の隣にある庭のグレースケール画像に関するものであり、庭の花(例えば、画像処理技術によってデジタル的にマークされるか識別可能である)は赤に、草は緑に、そして空は青に「ターゲット化」されてもよい。
【0187】
インク像の色を(例えばマルチカラー命令の文脈において)「ターゲット化」する場合、これは、次の(A)又は(B)のうち1つを意味する。即ち、(A)「ターゲット化」された色がインク像に現れるように複数の流体(例えば、第1流体218及び第2流体220)の各流体の相対量又は位置を印刷すること(オプションA)であるか、或いは(B)第1及び第2流体の相対量又は位置の液滴付着量を規制することで、(i)複数の流体で利用可能な色域で達成可能な色と(ii)インク像に現れるように「ターゲット化」された色(例えば、インクドット色)との間の色差を最小化すること(オプションB)である。
【0188】
簡単に説明すると、オプションAの場合は「目標を達成する」ターゲット化を意味し、オプションBの場合は「目標達成に限りなく近づける」ターゲット化を意味する。これは、インクドット色又は領域色(例えばインクドットを含む)に適用され得る。
【0189】
先行技術において、そのような命令(即ち、特定のドット色を達成すること)は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びキー(黒)の適切な組み合わせによって実施されるであろう、即ち、複数の着色剤(例えば、染料)の液滴は、共通の画素位置に送られ(即ち、第2の着色剤を形成するために重ね塗りを使用して)及び/又はハーフトーン技術を使って実施されるであろう。
【0190】
対照的に、本発明の実施形態では、色がpHに依存(例えば、色素分子が酸性のときに赤、アルカリ性のときに青又は緑)する単一の色素分子(即ちアントシアニン、例えば赤キャベツ抽出物又は他の任意のアントシアニン含有植物(複数可)の抽出物により提供)を使用して、インク像を作成することが可能である。
【0191】
「色をターゲット化する」1つの方法は、まずpH関連因子の組み合わせに従ってデジタル像(即ち、コンピュータメモリに格納されている)を生成(例えば、デジタルコンピュータ又は他の任意の電子回路及び/又はソフトウェアコードの実行によって)するとともに、次に、これらのデジタル像を印刷(例えば、第1流体を使用して第1デジタル像を白黒で印刷し、第2流体を使用して、液滴重ね塗りのための位置合わせ技術に従って第2デジタル像を白黒で印刷)することである。
【0192】
pH関連因子の組み合わせは、下記の(I)、(II)、及び(III)の組み合わせであってもよい。
(I)実行される「マルチカラー命令」(例えば、インク像に現れる赤及び青の両方をターゲットとする要件-他の例は以下に提供される)。
(II)第1流体218のpH色依存性(例えば、図10を参照)。
(III)第1流体と第2流体との間の混合比に対するpH(即ち、予測されるpH)のpH:混合比依存性。このような予測は、例えば、図11Aの曲線に従って行われ得る。より正確には、ターゲットとする基材の特性を考慮してもよく、例えば、図11B(ビール泡の場合)又は図11C(ミルク泡の場合)の曲線を使用可能である。
【0193】
図9及び図12A図12Dに関連する一実施例では、図9及び図12Aの像の白黒バージョンがインクジェットプリンタ用コンピュータメモリに受信され、そしてこの白黒バージョンを下記の(i)~(iii)のように「色付け」するための、マルチカラー命令(例えばコンピュータデータとして表される)が設けられる。即ち(i)斜めの長方形(360A~360D)は赤に印刷(即ち赤をターゲット化)し、(ii)5つの正方形のうち縦に並んだ3つ(368A~368C)は青に印刷(つまり青をターゲット化)し、そして(iii)残りの2つの四角は紫に印刷(即ち、紫にターゲット化)する。
【0194】
このマルチカラー命令は、図13A図13Bの2つのデジタル像を生成することによって実施され得る。第1デジタル像(図13A参照)は、第1流体218の液滴を付着させることによって印刷され、第2デジタル像(図13B参照)は、続いて第2流体220の液滴を付着させることによって印刷される。併せて、これらのデジタル像は、上述したマルチカラー命令を達成するための混合比を規定する。
【0195】
この2つのデジタル像の組(即ち図13A及び図13B参照)はマルチカラー命令を実施するために生成されるものであり、第1流体218のpH色依存性と、第1及び第2流体の間の混合比に伴うpH(即ち予測pH)のpH:混合比依存性と、の組合せに従ってそのように生成される。
【0196】
マルチカラー印刷命令の他の非限定的な例としては、以下の(i)~(iii)が含まれる。即ち、(i)マルチカラーデジタル像(例えば、デジタル像として受け取った写真)を複数の流体(例えば、218及び220)の色域に対して可能な限り最高の色の忠実度で再現するための命令であって、このマルチカラーデジタル像が、赤及び青の両方の画素を含むか、及び/又は赤及び緑の両方の画素を含むか、及び/又は紫及び緑の両方の画素を含み、且つ、(ii)グレースケール画像を印刷するための命令であって、デジタル像の上部左25%が、第1の色(例えば赤)のみのインクドットを生成するために(即ち、対応するインク像で)印刷され、デジタル像の上部右25%が、第2の色(例えば青)のみのインクドットを生成するために(即ち、対応するインク像で)印刷され、(iii)そして、デジタル像の下部50%が、第3の色(例えば緑)のみのインクドットを生成する(即ち、対応するインク像で)ためにのみ印刷される。
【0197】
図14A図14Bは、印刷方法の図である。図14AはステップS101及びS109を含み、図14BはステップS101、S109、及びS1217を含む。ステップS109及びS117では、より高い精度のために、ターゲット表面(例えば、ライスペーパー又はビール泡又はミルク泡又はカクテル泡-例えば、卵白とレモン汁の混合物からなる)に対して「カスタマイズ」されたpH:混合比率依存性が理解される。
【0198】
図15は、同じ第1流体及び第2流体をいずれもビール表面への印刷に使用した他の例である。図9の像では領域360A~360、364A~364B及び368A~368Cの全てが100%の液滴画素被覆率(即ち第1流体に対して)で印刷されているが、これとは対照的に、図15の例では、液滴画素被覆率を変えることによって利用可能な色合いの数を増やすことが可能である。例えば、低い被覆率での明るい色合いの赤(ピンクに視認され得る)を得ることが可能である。
【0199】
図16Aは、pHが8のミルク泡上に印刷されたマルチカラーインク像のフォトグラムである。図16Aの像は、紫、青及び緑の部分を含み、図8A図8Bの配置を用いて印刷されたものである。
【0200】
注意事項:図9の例では、図11Bの曲線(ビール泡に特化)は図11Aの曲線に対して改善されたものである。図16A図16Bの例では、図11Cの曲線(ミルク泡に特化)は図11Aの曲線に対して改善されたものである。
【0201】
非限定的な例の一つでは、図16Aの像は、以下のようにミルク泡に印刷されてもよい。
(i)まず、第1流体218の液滴268をミルク泡に付着させることにより、図17Aの写真のグレースケールデジタル像のバージョンをインクジェット印刷する(即ち、「中間像」を生成する)。この時、pHがほぼ6であることを示す図11C及び紫を示す図10に基づくと、この中間像のインク像におけるインクドットは全て紫である。この最初の像のインクドットはすべて同じpHであるはずで、つまり、このインク像はそのインクドットについてpHが均質である。デジタル画像はグレースケールであるため(且つ単なる2値ではないので)、領域Cの被覆率は領域Dよりも大きく、領域Cはより暗い色合いとなる。
(ii)続いて、この中間インク像の色プロファイルは、そのpHプロファイルを修正することにより、pH異種(即ち、そのインクドットに関して)な像を生成するために、修正される。図17Aの例では、これは以下のように行われてもよい。領域C及びD内では、第2流体220の2つの液滴280が、中間インク像の紫インクドットの上に(即ち、画素/インクドット位置の混合比が2:1になるように)付着され(即ち重ね塗りされ)、紫インクドットを緑インクドットに変換させる。領域B内では、第2流体220の1つの液滴280のみが、中間インク像の紫インクドットの上に(即ち、画素/インクドット位置の混合比が2:1になるように)付着され(即ち重ね塗りされ)、紫インクドットを青インクドットに変換させる。
【0202】
注意事項:液滴が付着されるこの順序は、いくつかの実施形態において提供されるが、全体を通じた限定を意味するものではない。他の例において、第2流体の液滴が第2流体の液滴の前に付着されてもよく(例えば、それらの重ね塗りのため)、又は、他の流体を用いた重ね塗りを行う前に、1つの流体を用いて像の全体を印刷する必要はない。
【0203】
図17A図17B:第2流体が必ずしも塩基性でない場合の図8A図8Bの代替案>
【0204】
理論に束縛されるのではなく、図8A図8Bの実施形態は可食性基材上に可食性インク像であって下記(i)及び(ii)であるものを印刷することが望まれる状況に有用であることが、ここで開示される。(i)特定の色-組合せ(例えば、赤及び青の画素を両方とも含む、及び/又は赤及び緑の画素を両方とも含む、及び/又は紫及び緑の画素を両方とも含むインク像)を含むものであり、且つ、(ii)人工着色剤の使用を可能な限り(例えば完全に)回避し、かつ天然着色剤に依存する方法で印刷するもの。
【0205】
本発明者は、アントシアニン含有植物濃縮物(例えば、赤キャベツ濃縮物)に基づくインクが、第1流体218として有用であることを見出した。図8A図8B図9図11B図12A図12Dの例では、ターゲット基材は酸性である。アントシアニン含有植物濃縮物の赤色を青色又は緑色に変換するために(例えば、赤と青の両方及び/又は赤と緑の両方を含むインク像を生成するために)、アントシアニン含有植物濃縮物に基づくインクは、第2流体220として、塩基流体の液滴とその場で(即ち表面で)混合される。これは、より高いpHの流体と混合されなければ、第1流体の液滴が青及び/又は緑を生成するための要求pHに到達しないためである。
【0206】
アルカリ性の表面(例えばミルク泡)に印刷を行う場合、別のアプローチを採用することができる(又は前のアプローチと組み合わせることができる)。
【0207】
図10及び図11Cを検討すると、混合比が「0」の場合、第1流体のpHは約5.5であり、その色は紫又は赤紫である。従って、インク自体が赤であっても、図8A図8Bの配置のみを使用してミルク泡表面に赤ドットを得ることは困難であるか、不可能であろう。
【0208】
図17A図17Bは、代替案を提供する。透明な塩基流体220(図8A参照)の液滴をインクジェットすることの目的は、第1流体のpHを上昇させ、図7A図7Bの12色カラーホイールにおいて反時計回り方向(例えば、赤から紫へ、又は赤から青へ、又は赤から緑へ)へと色を(例えばその場で第1流体の液滴又はそのインクドットのpHを変更することで)変更することであるが、その代わりに(又はそれに加えて)、図17A図17Bの例では透明な塩基流体220を使用する代わりに透明な酸性流体230を使用してpHを変更する。
【0209】
インクジェット用酸性流体230の調合物の一例として、後述する調合物_Fがある。
【0210】
この調合物_Fを図17A図17Bの配置とともに使用して、ミルク表面に印刷し、図18の写真で示されるインク像を作製した。
【0211】
図8A図8B及び図17A図17Bのコンセプトを組み合わせてもよい。例えば、図19参照。
【0212】
従って、幾つかの実施形態では、マルチカラー像の形成は、以下のように構成されてもよい。
(i)第1流体218と第2流体220(即ち、塩基)との混合物から、幾つかのインクドットを形成すること、及び、
(ii)第1流体218と第3流体230(即ち、酸)との混合物から他のインクドットを形成すること。
【0213】
これらの(3つ以上のリザーバの)実施形態は、色域を増やすのに有用である。
【0214】
図20図21A図21B図22についての考察>
【0215】
いくつかの実施形態において、図8A図8Bの構成は、第2流体220が必ずしも透明でなくともよいように変更されてもよい。例えば、リボフラビンリン酸は、第2流体220の着色剤、又は主要着色剤、又は唯一の着色剤であってもよい。例えば、後述する調合物_Eを参照されたい。
【0216】
第2流体230(酸)についても、同様の変更を加えてもよい。
【0217】
いくつかの実施形態では、もし第2流体220が「透明」ではないとしても、それが第1流体に対して相対的に規定される態様で「十分に透明」であってもよい。
【0218】
例えば、第1流体218と第2流体220(又は230)は、X:Yの比率(質量により、即ちXグラムの第1流体218とYグラムの第2流体220(又は230、又は必ずしも透明ではない第2流体のバージョン、例えばリボフラビン又はリボフラビンリン酸を有する)で、1:1比は50:50比とも表され得る)で混合された場合に、第1流体の主要着色剤はX:Y混合物の主要着色剤でもよい(これは、(X=1、Y=1)及び/又は(X=1、Y=2)についても当てはまることがある)。一例では、(i)第1流体は、酸性の可食性及び水性のインクであり、第1流体の主要着色剤は、植物質の抽出物又は植物質の抽出物の固形物であり、(ii)第1流体及び第2流体220(又は230)のX:Y混合体(例えば、X=1、Y=1又はX=1、Y=2)の主要着色剤は、植物質の抽出物又は植物質の抽出物の固形物である。別の例では、第1流体及びX:Y(例えば、X=1、Y=1、又はX=1、Y=2)混合物の両方の主要着色剤は、次のi~iiiからなる群から選択される。即ち、i.アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又はACE-ACPM固形物と、ii.ベタニン-含有植物質のベタニン含有抽出物、又はACE-ACPM固形物と、iii.それらの組合せとからなる群である。
【0219】
別の例では、第1流体及びX:Y混合物(例えば、X=1、Y=1、又はX=1、Y=2)の両方の主要着色剤は、アントシアニンである。別の例では、第1流体及びX:Y混合物(例えば、X=1、Y=1、又はX=1、Y=2)の両方の主要着色剤は、アントシアニン含有植物質のアントシアニン含有抽出物(ACE-ACPM)、又は、ACE-ACPMの固形物である。
【0220】
図20は、ミルク泡の上に印刷されたインク像の写真であり、ミルク泡には図21A図21Bのデジタル像が印刷されている。図21Aの第1デジタル像は、流体218(調合物_A)を使用して印刷され、その後、図21Bが調合物_Eの流体を使用して印刷される。
【0221】
図22は4つの象限を示す。
【0222】
電子回路170に関する注記:「電子回路」又は「回路」とは、任意のハードウェア(例えば、デジタル及び/又はアナログ電子機器)、又はソフトウェア又はそれらの組合せをいう。いくつかの実施形態では、「回路」は、デジタルコンピュータを含む。「分析回路」は、データ分析機能を実行するように構成された電子回路である。「メモリ」又は「ストレージ」(相互に関連して使用される)は、揮発性(例えばRAM)及び/又は不揮発性(例えばフラッシュ又は磁気媒体)のコンピュータストレージを指す。「回路」又は「メモリ」は、所与のデバイス(又はローカルに結合されたデバイス)に対してローカルに設けられてもよいし、非ローカルの態様で分散設置されていてもよい。回路170はインクジェットカートリッジ(複数可)の外部に示されているが、これは限定ではなく、いくつかの実施形態では、回路170の少なくとも幾つかは任意の(例えば、インクジェット及び/又は取り外し可能な)カートリッジに存在する。
【0223】
本明細書に開示される任意の教示又は実施形態に関連する、ターゲット基材160の例としては、任意の食品、任意の泡(例えば、飲料の泡)、任意の飲料、ヨーグルト、ミルクセーキ、又は固体材料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。例えば、発泡面は、ビール泡、卵白泡、ミルク泡、及び代替ミルク泡、大豆泡、アクアファバ泡、ヒヨコ豆泡、ニトロ泡(窒素を注入した飲料を意味し、飲料と窒素気泡の混合泡を生成する)、キラヤ抽出物、ユッカ抽出物からなる群から選択される。例えば、ターゲット基材160は、カクテル、ビール、コーヒー、茶(即ち、チャイ、抹茶)、ミルクシェイク、フルーツシェイク、及び野菜シェイクからなる群から選択される。
【0224】
<植物質の抽出物>
【0225】
植物質(即ち、未焙煎の植物質)の「抽出物」という用語は、果物又は野菜果肉又は他の植物質から得られる流体、即ち、果物又は野菜果肉から分離された流体を指す。これらの流体は、任意に、そこから粒子を除去するために濾過される。
【0226】
「抽出物」の一例として、ジュース、即ち、果物又は野菜果肉又はその他の植物質から流体を機械的に分離して得られるものがある。
【0227】
別の例では、以下のように、果実又は野菜果肉又は他の植物質から流体を浸漬して得ることが可能である。(i)果実又は野菜果肉又は他の植物質を水(例えば熱水)に浸し、植物質の流体が水に移行するようにし、この水には植物質の「エキス」が含まれる(即ち、その希釈された形態である)。
【0228】
植物質を希釈又は濃縮又は濾過して抽出したものを、「抽出物」と称している。
【0229】
【0230】
<ベタニン>
ベタニンは、ビート及びビートジュースに含まれる赤色のグリコシド系色素である。
アントシアニンは、特定の1つの分子ではなく、そのファミリーである。通常、植物質は、複数の種類のアントシアニン(即ち、分子又は化合物)を含む。
本開示では、アントシアニンは、特定の1つのアントシアニン分子に限定されず、複数種のアントシアニン、即ち、複数の種類のアントシアニンを指す。
【0231】
<流体、流体混合物、インクドット、インクドットの付着成分、又はインク像の位置(又は部分)の主要着色剤>
【0232】
本明細書に開示される流体は、少なくとも可視波長において光学密度を示し、この光学密度は、波長の関数として変動する。任意の流体(又は流体混合物)について、「光学密度が最大の可視波長」は、流体(又は流体混合物)の光学密度が最大である可視波長である。
【0233】
「主要着色剤」の概念は、流体又は流体混合物に関するものであってもよい。
【0234】
流体(又は流体混合物)の所与の成分、又は成分(例えば赤キャベツ濃縮物又はその固形物、又はそのアントシアニン)の所与の組み合わせが、流体(又は流体混合物)の「主要着色剤」である場合に、これは、流体(又は流体混合物)中の所与の成分(又は成分の組み合わせ)の存在が、「最も高い光学密度における可視波長」における流体(又は流体混合物)の光学密度の少なくとも51%又は少なくとも55%又は少なくとも60%又は少なくとも75%又は少なくとも80%又は少なくとも85%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも97%)に寄与していることを意味する。
【0235】
流体又は流体混合物について上記で定義した「主要着色剤」の概念は、基材表面に存在するインクドットについても準用され、それは本質的に少量の流体又は流体混合物である。
【0236】
流体又は流体混合物について上記で定義した「主要着色剤」の概念は、流体又は流体混合物(インクジェットされた流体)によって色を提供されるインク像の写真の画素についても準用される。
【0237】
(I)流体(又は流体混合物)の所与の成分、又は成分の所与の組み合わせ(例えば 赤キャベツ濃縮物又はその固形物又はそのアントシアニン)が流体(又は流体混合物)の「主要着色剤」であり、(II)主要着色剤-閾値パラメータ(これは流体、その混合物、インクドット及び写真の画素色の全てに関連する)がPC閾値(PC閾値は少なくとも51であり且つ100未満)に設定される場合に、ここで、このことは、流体(又は流体混合物)中の所与の成分(又は成分の組み合わせ)の存在が、「最大の光学密度の可視波長」における流体(又は流体混合物)の光学密度の少なくともPC閾値%51%に寄与することを意味する。
【0238】
<追加の調合>
【0239】
{調合物_C(塩基)}この調合物は、本開示の他の箇所で「調合物_C」と称される。
この調合物の成分は以下の通りである。
(i)57.6%wt/wtの脱イオン水。
(ii)40%wt/wtのグリセロール
(iii)1.2%wt/wtの重炭酸ナトリウム。
脱イオンとグリセロールから最初の混合物が形成される。重炭酸ナトリウムを加えてpHを約8.2にする。
調合物_Cは以下の特性を有する。
(i)25℃粘度が約3~3.5センチポアズ(cP)
(ii)約0.84の水分活性Wa
【0240】
{調合物_D(塩基)}本調合物は、本開示の他の箇所で「調合物_D」と称される。
この調合物の成分は、以下の通りである。
(i)59.98%wt/wtの脱イオン水
(ii)40%wt/wtのグリセロール
(iii)0.015%wt/wtの水酸化ナトリウム
脱イオン水とグリセロールから最初の混合物が形成される。水酸化ナトリウムは、pHを約11.2にするために混合物に加えられる。
調合物_Dは以下の特性を有する。
(i)25℃粘度が約2.5~3センチポアズ(cP)
(ii)約0.84の水分活性Wa。
【0241】
{調合物_E(塩基)}この調合物は、本開示の他の箇所で「調合物_E」と称される。
この調合物の成分は、以下の通りである。
(i)58.8%wt/wtの脱イオン水。
(ii)40%wt/wtのグリセロール
(iii)0.06%wt/wtのリビオフラビンリン酸塩
(iv)0.015%wt/wtの水酸化ナトリウム
(v)0.3%wt/wtのアスコルビン酸
(vi)0.64%wt/wtの重炭酸ナトリウムF.G99.5%
重炭酸ナトリウムを除く上記の全成分から最初の混合物を形成する。この混合物のpHは2.82である。続いて、重炭酸ナトリウムをこの混合物に加え、pHを約8.43まで上昇させる。
調合物_Eは、以下の特性を有する。
(i)25℃粘度が約3センチポアズ(cP)
(ii)約0.84の水分活性Wa
【0242】
{調合物_F(酸)}本調合物は、本開示の他の箇所で、「調合物_F」と呼ばれる。
この調合物の成分は、以下の通りである。
(i)53%wt/wtの脱イオン水。
(ii)40%wt/wtのグリセロール
(iii)7%wt/wtのクエン酸
最初の混合物は、純脱イオン水とグリセロールから形成される。この混合物にクエン酸を加え、pHを1.78にする。
調合物_Fは以下の特性を有する。
(i)25℃粘度が約3センチポアズ(cP)
(ii)約0.84の水分活性Wa。
【0243】
{調合物_G(酸)}本調合物は、本開示の他の箇所で「調合物_F」と称される。
この調合物の成分は、以下の通りである。
(i)40%wt/wtの脱イオン水。
(ii)40%wt/wtのグリセロール
(iii)10%wt/wtのアスコルビン酸
脱イオン水とグリセロールから最初の混合物が形成される。アスコルビン酸は、pHが2になるように混合物に添加される。
調合物_Gは以下の特性を有する。
(i)25℃粘度が約4.5センチポアズ(cP)
(ii)約0.84の水分活性Wa。
【0244】
<粘度の測定>
本明細書で使用される場合、粘度は、25℃における粘度を指す。本明細書に開示される任意の調合物の粘度データは、25℃(±1℃)でコーン及び板スピンドルを用いたブルックフィールドDV1粘度計を用いて、30秒後50rpm又は30秒後60rpmで決定され得る。
【0245】
【0246】
<固形物と固形分率>
本書では、60℃において固体であるものを「固形物」と表記する。
【0247】
<吸光度の測定>
溶液の吸光度測定は、試料の光学特性をモニターするために採用される一般的な測定手法である。インクサンプルは、未知の濃度で溶媒に溶解した分析物を含んでいる。サンプル中の分析物の濃度は、特定の波長(λ)でサンプルによって吸収される光の割合を測定する光測定デバイスを使用することによって決定することができる。λの値は、通常、分析物が最も大きく吸収する光の波長付近に選ばれる。Beer-Lambertの法則による。インクの値は、光吸収経路長1cmのキュベット(10mmキュベット)のような、キュベットと呼ばれる固定光路のサンプル保持デバイスを備えた光度計や分光光度計などの測光装置で測定される。サンプル保持デバイスには、溶媒に溶解した分析物からなるサンプルが収納されている。通常、Iの値は、溶媒中に分析物が存在しないことを除いて、同じシステム(測光装置、サンプル保持デバイス、溶媒)を用いて測定される。また、サンプル及びサンプル保持デバイスの両方がない状態でIを測定してもよい(このIの値を「エアブランク」と呼ぶ)。エアブランクの場合、溶媒とサンプル保持デバイスとを別々にAλ測定すると、「溶媒ブランク」の吸光度値が得られる。そして、溶媒に溶かした分析物に含まれるサンプルをサンプル保持デバイスに収容して測定した各吸光度から、「溶媒ブランク」を差し引くことで、分析物の吸光度に関連する「補正吸光度」値を得ることができる。
【0248】
<粒子径と粒子径分布>
粒子径は、粒子径分布の測定により決定することができる。粒子径分布は、DLS(動的光散乱法)を用いて測定されてもよい。動的光散乱(DLS)は、準弾性光散乱(QELS)と呼ばれることもあり、典型的にはサブミクロン領域の分子及び粒子のサイズ及びサイズ分布を測定するための非侵襲的で確立された技術である。例えば、粒子径を測定するためのデバイスは、Malvern Panalytical社(英国)から入手可能である。
【0249】
特に指定のない限り、粒子径分布(又は関連するパラメータ、例えば特定のサイズを有する粒子の割合又は比率)は、体積による測定を意味する。
【0250】
明瞭さのために、別々の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできることが理解されよう。逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴も、別々に又は任意の適切な下位組合せで提供されてもよい。
【0251】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明したが、多くの代替案、修正及び変形が当業者には明らかであろうことは明らかである。従って、添付の特許請求の範囲の精神と広い範囲内に入るそのような代替案、修正及び変形をすべて包含することが意図される。付録を含む本明細書中で言及されたすべての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本願における任意の文献の引用又は特定は、当該文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されないものとする。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
【国際調査報告】