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特表2023-528259医療用シールアセンブリ及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】医療用シールアセンブリ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
A61M25/00 540
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570292
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 US2021033005
(87)【国際公開番号】W WO2021236669
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/027,223
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アマンダ リン
(72)【発明者】
【氏名】キング、ジョセフ ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA03
4C267BB02
4C267BB07
4C267BB11
4C267BB32
4C267BB52
4C267CC20
4C267CC21
4C267CC23
4C267CC26
4C267DD10
4C267GG14
4C267GG16
4C267GG43
(57)【要約】
遠位端を有するシャフトと、物質を保管するためのリザーバを画成する、遠位端にあるキャップとを含む医療装置。医療装置は、リザーバから物質を排出するように構成される展開機構を含み、及び展開機構は、リザーバに力を加えるように構成される。キャップは、シール又は穿孔を含み、展開機構によって物質へ加えられる力がない場合、リザーバ内に物質を収容するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端を有するシャフトと、
前記遠位端にあるキャップであって、物質を保管するためのリザーバを画成するキャップと、
前記リザーバから前記物質を排出するように構成された展開機構であって、前記リザーバに力を加えるように構成される展開機構と
を備え、
前記キャップは、シール又は穿孔を含み、前記シール又は前記穿孔は、前記展開機構によって前記物質へ加えられる前記力がない場合、前記リザーバ内に前記物質を収容するように構成される、医療装置。
【請求項2】
前記展開機構は、前記シャフトの前記遠位端の遠位にあるムーバブルフロアを含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記展開機構は、前記シャフト内に配置され及び前記遠位端から延び得るムーバブルロッドをさらに含む、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記ムーバブルロッドは、前記リザーバから前記物質を排出するべく、前記ムーバブルフロアを前記シャフトの前記遠位端から離れるように遠位へ押すように構成される、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記シャフトはルーメンを含むとともに前記遠位端は開口部を含み、前記ムーバブルロッドは、前記開口部を通って延びるように構成される、請求項3に記載の医療装置。
【請求項6】
前記ムーバブルフロアは、前記開口部内に受け入れられる切り欠き部を含むとともに前記ムーバブルフロアが前記ムーバブルロッドと整合するように構成される、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記展開機構は加圧媒体源を含み、その加圧媒体は、前記加圧媒体源から前記シャフトを通って送達されるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項8】
前記シールは、前記キャップに結合されたムーバブルカバーを含み、前記ムーバブルカバーは、前記物質が通ることで当該物質が前記キャップから出ることのできる開口部を形成するように動くように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記ムーバブルカバーに結合されたアクチュエータをさらに含み、前記アクチュエータの作動は、前記開口部を形成するように前記ムーバブルカバーを動かすように構成される、請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
前記アクチュエータは、近位へ引く力を受けると前記ムーバブルカバーを動かすように構成される、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記アクチュエータは、ワイヤ、ケーブル、又は糸を含む、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記穿孔は、拡張して前記物質が前記キャップを出ることのできる開口部を形成するように構成され、前記開口部は、前記穿孔よりもサイズが大きい、請求項1~11のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項13】
前記キャップは、前記穿孔に隣接して壊れやすい部分を含み、前記壊れやすい部分は、前記穿孔の拡張に応答して壊れて拡大し、前記物質が通ることで当該物質が前記キャップから出ることのできる開口部を形成するように構成される、請求項12に記載の医療装置。
【請求項14】
前記キャップの外面は、組織と接触して数秒又は数分以内に分解するように構成される生分解性材料を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項15】
前記キャップは、互いに長手沿いの形態で連続する互い違いに配列された複数の穿孔を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、概して、医療用シールシステム、装置、及び関連の方法に関する。本開示の例は、いくつかある態様の中でも特に、医療器具上に展開可能なシールを提供するためのシステム、装置、及び関連の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発達は、医療システム、装置、及び方法の使用者に対して、ますます複雑な処置を対象者に行う能力を与えてきた。低侵襲手術の分野での1つの課題は、体内の治療領域に物質(例えば、接着剤、治療薬、再生薬物など)を送達することによって治癒を促すことに関連する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、特に、他の態様の中でも、対象者に治癒物質を送達及び放出できる医療装置を提供するためのシステム、装置、及び方法に関する。本明細書で開示する態様はそれぞれ、他の開示の態様のいずれかに関連して説明する特徴のうちの1つ以上を含み得る。
【0004】
ある例によれば、医療装置が、遠位端を有するシャフトと、物質を保管するためのリザーバを画成する、遠位端にあるキャップとを含む。医療装置は、リザーバから物質を排出するように構成される展開機構を含み、その展開機構は、リザーバに力を加えるように構成される。キャップはシール又は穿孔を含み、展開機構によって物質へ加えられる力がない場合、リザーバ内に物質を収容するように構成される。
【0005】
本明細書で説明する医療装置のいずれかは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。展開機構は、シャフトの遠位端の遠位にあるムーバブルフロアを含む。展開機構は、さらに、シャフト内に配置され及び遠位端から延び得るムーバブルロッドを含む。ムーバブルロッドは、リザーバから物質を排出するべく、ムーバブルフロアをシャフトの遠位端から離れるように遠位へ押すように構成される。シャフトはルーメンを含むとともに遠位端は開口部を含み、ムーバブルロッドは、開口部を通って延びるように構成される。ムーバブルフロアは、開口部内に受け入れられ及びムーバブルフロアをムーバブルロッドと整合するように構成される、切り欠き部を含む。展開機構は加圧媒体源を含み、その加圧媒体は、加圧媒体源からシャフトを通って送達されるように構成される。シールは、キャップに結合されたムーバブルカバーを含み、ムーバブルカバーは、動いて開口部を形成し、その開口部を通って、物質がキャップから出ることのできるように構成される。医療装置は、ムーバブルカバーに結合されたアクチュエータを含み得、アクチュエータの作動は、開口部を形成するようにムーバブルカバーを動かすように構成される。アクチュエータは、近位へ引く力を受けたことに応答して、ムーバブルカバーを動かすように構成される。アクチュエータは、ワイヤ、ケーブル、又は糸を含む。穿孔は、拡張して物質がキャップを出ることのできる開口部を形成するように構成され、その開口部は、穿孔よりもサイズが大きい。キャップは、穿孔に隣接して壊れやすい部分を含み、壊れやすい部分は、穿孔の拡張に応答して壊れて拡大し、物質が通ることで当該物質がキャップから出ることのできる開口部を形成するように構成される。キャップの外面が、組織と接触して数秒又は数分以内に分解するように構成される生分解性材料を含む。キャップは、互いに長手沿いの形態で連続する互い違いに配列された複数の穿孔を含む。
【0006】
別の例によれば、医療装置が、スコープの遠位端に取り付けられるように構成されるキャップを含み、このキャップは、物質を保管するためのリザーバを画成する。キャップは、取り外し自在なシールを含み、このシールは、シールをキャップの残りの部分から取り外すと、リザーバ及び物質を露出させるように構成される。キャップは、リザーバから物質を排出するように構成される展開機構を含む。展開機構は、リザーバ内に陽圧を発生させるように構成される。
【0007】
本明細書で説明する医療装置のいずれかは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。取り外し自在なシールは生分解性材料で形成され、取り外し自在なシールが、標的部位に曝されると、予め決められた持続時間で分解するように構成されるようにする。
【0008】
別の例によれば、スコープの遠位端に取り付けられるように構成されるキャップであって、物質を保管するためのリザーバを画成するキャップ。キャップは、拡張して、物質がキャップから出ることを可能にするように構成される複数の穿孔と、複数の穿孔を経由して、リザーバから物質を排出するように構成される展開機構とを含む。展開機構は、リザーバ内の物質に力を加えるように構成される。
【0009】
本明細書で説明する医療装置のいずれかは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。複数の穿孔は、展開機構が初期位置にあるとき、キャップ内に物質を収容するように構成される。複数の穿孔は、展開機構がキャップ中へと複数の穿孔の方へ向かって遠位に延びることに応答して、拡張するように構成される。
【0010】
上述の概要及び以下の詳細な説明は双方共、例示的であり、説明にすぎず、及び特許請求されるような本発明を限定するものではないことが理解され得る。
本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、本開示の例示的な態様を示し、及び記載と共に、本開示の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の態様による、キャップアセンブリを含む例示的な医療器具の斜視図。
図2A】本開示の態様による、キャップアセンブリが封止状態にある、図1の医療器具の部分的な斜視図。
図2B】本開示の態様による、キャップアセンブリが非封止状態にある、図1の医療器具の部分的な斜視図。
図3A】本開示の態様による、封止状態のキャップアセンブリを含む、図1の医療器具の部分的な側面図。
図3B】本開示の態様による、非封止状態のキャップアセンブリを含む、図1の医療器具の部分的な側面図。
図4A】本開示の態様による、非拡張状態のキャップアセンブリを含む、別の例示的な医療器具の部分的な斜視図。
図4B】本開示の態様による、拡張状態のキャップアセンブリを備える、図4Aの医療器具の部分的な斜視図。
図5A】本開示の態様による、拡張状態のキャップアセンブリを含む、別の例示的な医療器具の部分的な側面図。
図5B】本開示の態様による、拡張状態のキャップアセンブリを備える、図5Aの医療器具の部分的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の例は、物質を保管する医療器具を提供し、対象者(例えば、患者)の体内の標的治療部位へ医療器具を送達し、及び標的治療部位へ物質を送達するためにシールを取り外すためのシステム、装置、及び方法を含む。
【0013】
本明細書では、用語「遠位」は、患者の体内に装置を導入したときに、使用者から最も離れている部分を指し、及び用語「近位」は、対象者の体内に装置を配置したときに、使用者に最も近い部分を指す。用語「備える/からなる(comprise)」、「備えている/からなる(comprising)」又はその任意の他の変形例は、非排他的な包含を網羅するものとし、あるリストの要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしも、それらの要素のみを含むのではなく、明白にリストされていないか又はそのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の要素を含んでもよい。用語「例示的」は、「理想的」ではなく、「例」という意味で使用される。本明細書では、用語「約」、「実質的に」、及び「およそ」は、述べた値の±10%以内の範囲の値を意味する。
【0014】
本開示の例は、様々な医療処置を行う及び/又は大腸(結腸)、小腸、盲腸、食道の各部分、胃腸管の任意の他の部分、及び/又は任意の他の好適な患者解剖学的構造(まとめて、本明細書では、「標的治療部位」と呼ぶ)を治療するための装置及び方法に関し得る。本明細書で説明する様々な例は、1回使用のすなわち使い捨ての医療装置を含む。ここで、上述し且つ添付図面に示した本開示の例を詳細に参照する。可能な限り、同じ又は同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照符号が使用される。
【0015】
図1は、本開示の例による例示的な医療システム100を示す。医療システム100は医療器具110を含み得る。例えば、医療器具110は、内視鏡、十二指腸鏡、胃鏡、結腸鏡、尿管鏡、気管支鏡、及び/又は様々な他の送達システムを含み得る。医療器具110は、ハンドル112、少なくとも1つのアクチュエータ114、1つ以上のポート116、118、及びシャフト120を含み得る。ハンドル112は、アクチュエータ114を含む近位端と、遠位端とによって規定され得、その遠位端から遠位に延びるシャフト120を含む。1つ以上のポート116、118は、ハンドル112から外向きに延び、且つ医療器具110中へ1つ以上の装置を受け入れさせるのを容易にするように構成され得る。医療器具110は、本明細書で図示及び説明するものよりも追加的な及び/又は少数のポート116、118を含み得ることを認識されるべきである。
【0016】
ハンドル112は、医療器具110の1つ以上の他の構成要素のルーメンと連通する1つ以上のルーメン(図示せず)を有し得る。1つ以上のポート116、118は、ハンドル112の1つ以上のルーメンに開口し得、且つその中を通して1つ以上の装置、例えば、メカニカルロッド140、管152などを受け入れるようなサイズ及び形状にされる。シャフト120は、十分に可撓性である管を含み得、シャフト120が、対象者の曲がりくねった解剖学的構造中へ及び/又はそこを通って標的治療部位まで挿入が進められているときに、選択的に曲がる、回転する、及び/又はよじれるように構成されるようにする。
【0017】
図示しないが、シャフト120は、その中を通って延びる1つ以上のルーメンを有し得、それらルーメンは、例えば作業ルーメンを含むことを理解されるべきである。該作業ルーメンは、例えばポート116において医療器具110に受け入れられるメカニカルロッド140などの器具を受け入れるためのものである。シャフト120は、さらに、例えば、ポート118において管152を介して医療器具110に流体的に接続された加圧媒体源150などから、流体を送達するための流体用ルーメンを含み得る。シャフト120はまた、医療器具110の遠位端から離れるように流体を運ぶための追加的な流体用ルーメンを含み得る。医療システム100は、本明細書で図示及び説明する以外の様々な他の好適な装置を含み得ることが認識されるべきである。
【0018】
他の例では、シャフト120は、追加的なルーメン、例えば、1つ以上の遠位部分/ツール(例えば、関節ジョイント、エレベータなど)を作動させるための1本以上の制御ワイヤを受け入れるための制御ワイヤ用ルーメン、照明アセンブリ(図3A図3B)の少なくとも一部分を受け入れるための照明用ルーメン、及び/又は撮像アセンブリ(図3A図3B)の少なくとも一部分を受け入れるための撮像用ルーメンを含み得る。シャフト120は、さらに、シャフト120の1つ以上のルーメンと連通している1つ以上の開口部を規定する遠位端122を含み得る。
【0019】
さらに図1を参照して説明すると、メカニカルロッド140は、概ね可撓性があり且つ遠位端(図1には示さず)と近位端142との間に規定される長尺状の本体142を有するプランジャーとし得る。いくつかの例では、メカニカルロッド140は、シャフト120の作業ルーメン中を通したメカニカルロッド140の動きを選択的に制御するためのハンドル146を近位端142に隣接して含む展開機構とし得る。加圧媒体源150は、別の展開機構とし得るとともに、流体圧システム、空気圧システムなどを含み得る。例えば、加圧媒体源150は、加圧媒体を保管し且つシャフト120の流体用ルーメンを通して送達するように構成され得る。いくつかの例では、加圧媒体は、圧縮空気、流体、液体、気体などを含み得る。
【0020】
医療システム100は、さらに、遠位端132及び近位端134によって規定される長手方向長を有するアクチュエータ130を含み得る。アクチュエータ130は、実質的に可撓性本体を有し得るとともに、例えば、ケーブル、糸、ストリング、ワイヤ、上述の要素のいずれかの束などを含み得る。下記でさらに詳細に説明するように、アクチュエータ130は、処置で使用している間、近位端134がハンドル112に隣接して配置され、遠位端132が遠位端122に隣接して配置され、及びアクチュエータ130の長尺状の本体がシャフト120に並んで配置された状態で、医療器具110に隣接して配置され得る。
【0021】
さらに図1を参照して説明すると、近位端134は、アクチュエータ130を選択的に制御するのを容易にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ130は、作業ルーメンに対するアクチュエータ130の動きを容易にするように構成されるインデキシング機構136に結合され得る。例えば、インデキシング機構136は、回転自在なホイール、ノブ、レバー、ボタン、スイッチなどを含み得る。アクチュエータ130は、近位端134に沿ってインデキシング機構136に結合され得、インデキシング機構136の作動によって、アクチュエータ130をインデキシング機構136で近位へ引くことによって、アクチュエータ130を動かし得るようにする。他の実施形態では、インデキシング機構136及び/又はアクチュエータ130は、完全に省略されてもよい。
【0022】
医療システム100は、さらに、遠位端122に配置されたキャップアセンブリ160を含み得る。キャップアセンブリ160は、遠位端122に沿った1つ以上の開口部などを封止し及び/又は取り囲むように構成され得る。該1つ以上の開口部は、例えば、シャフト120の1つ以上のルーメンに対応する。本明細書でさらに詳細に説明するように、キャップアセンブリ160は、さらに、処置の最中に、医療器具110から、例えば対象者の体内の標的治療部位などへ1種以上の物質を送達するように構成され得る。その例では、アクチュエータ130は、遠位端122に対して遠位に延び得るとともに、遠位端132は、(例えば、接着剤、結び目などによって)キャップアセンブリ160の遠位に向く外面に締結され得る。
【0023】
ここで図2Aを参照すると、キャップアセンブリ160によって画成されたリザーバ(例えば、区画室)を示すように、キャップアセンブリ160が部分的に透明にして示されている。例えば、キャップアセンブリ160は、外側本体162、遠位面164、リムーバブルカバー166、及び仕切り壁168を含み得る。外側本体162は、シャフト120の遠位端122を適切に取り囲み得る様々な好適なサイズ及び/又は形状を含み得る。遠位面164及びリムーバブルカバー166は、シャフト120の遠位端122に固定された近位端に対向する、外側本体162の遠位端に配置され得る。いくつかの実施形態では、遠位面164は、取り外し自在ではないか、又はそうでなければ外側本体162に固定されている。
【0024】
このように、遠位面164及びリムーバブルカバー166は、キャップアセンブリ160の遠位端を集合的に規定するようなサイズ及び/又は形状にされ得る。他の例では、リムーバブルカバー166は、外側本体162の様々な他の部分に沿って配置され得、取り外し不能な及び/又は固定された遠位面164が遠位端全体を規定し得るようにする。図示の例では、外側本体162の遠位端は円形形状を有し得、並びに遠位面164及びシールアセンブリ160のそれぞれは、半円形形状を有し得る。下記でさらに説明するように、遠位面164及びリムーバブルカバー166は、仕切り壁168の対向する両側に沿って遠位端に配置され得る。
【0025】
さらに図2Aを参照して説明すると、遠位面164は、外側本体162内に配置された1つ以上の装置を、遠位面164を通して見ることができるように、且つ、使用者が例えば、シャフト120の遠位端122に位置する撮像装置を使用して外側本体162の遠位の視界を可視化し得るように、概ね透明な材料で形成され得る。リムーバブルカバー166は、外側本体162の遠位端にある開口部186(図2B)の上側を覆って配置され得る。例えば、リムーバブルカバー166は、様々な好適な機構(例えば、接着剤、機械的な係合など)によって、遠位端にある開口部186の上側を覆ってしっかりと結合され得る。その例では、リムーバブルカバー166は、そこに加えられるべき力が加えられることに応答して、開口部186から選択的に取り外し自在である可撓性タブを含み得る。他の例では、リムーバブルカバー166は、ヒンジブラケット又は一体丁番によって外側本体162に結合され得る。
【0026】
仕切り壁168は、キャップアセンブリ160内に配置され、且つ外側本体162によって画成された内部キャビティ中を通って延び得る。その例では、仕切り壁168は、内部キャビティを分割し、及び外側本体162内のリザーバ170、180を少なくとも部分的に規定して分け得る。従って、仕切り壁168は、物質リザーバ180から可視化リザーバ/空間170を分け得、可視化リザーバ170内にある医療器具110の1つ以上の装置及び/又はキャップアセンブリ160が、物質リザーバ180内の1つ以上の装置から遮蔽及び/又は隔離され得るようにするとともに、逆も同様である。上記で簡潔に説明したように、シャフト120は、遠位端122に1つ以上の開口部172、174を含み得る。シャフト120の1つ以上のルーメンは開口部172、174で終端し得ることが理解されるべきである。さらに他の例では、キャップアセンブリ160は、シャフト120の遠位面全体を覆わないため、撮像装置が妨害されない状態を保つ。
【0027】
いくつかの例では、医療システム100は、照明装置(図示せず)及び撮像装置(図示せず)を含み得る。これらの装置は、1つ以上のポート116、118を介して医療器具110に結合され得る。照明装置(例えば、光ファイバー)及び撮像装置(例えば、カメラ、センサーなど)が、ハンドル112及びシャフト120のそれぞれのルーメンを通って受け入れられ得る。その例では、照明装置は、第1の開口部172内で遠位端122に配置され得るとともに、撮像装置は、第2の開口部174内で遠位端122に配置され得る。遠位端122は、シャフト120内にある1つ以上のルーメンへのアクセスを容易にするために、追加的な及び/又はより少数の開口部を含み得ることが理解されるべきである。
【0028】
さらに図2Aを参照して説明すると、第1の開口部172及び第2の開口部174は、キャップアセンブリ160が遠位端122に取り付けられるときに、可視化リザーバ170内に配置され得る。従って、遠位面164は、開口部172、174と長手方向に整合され得、照明装置が、透明の遠位面164を通して、キャップアセンブリ160に対して遠位に照明をもたらすように構成され得、且つ撮像装置が、遠位面164を通してキャップアセンブリ160から遠位位置の画像を撮るように構成され得るようにする。
【0029】
キャップアセンブリ160は、さらに、物質リザーバ180内に配置され及び上面と底面とを有するムーバブルフロア182を含み得る。ムーバブルフロア182の上面は、リムーバブルカバー166に対面する、遠位に向く面とし得るとともに、そこに1種以上の物質10を受け入れるための境界を規定する。その例では、シャフト120にキャップアセンブリ160を組み立てる前に、物質10がリムーバブルカバー166とムーバブルフロア182との間に含まれ得るように、物質リザーバ180には物質10が予め充填され得る。いくつかの例では、物質10は、医療器具110によって対象者へ送達するための、接着剤、治療薬、再生薬物、及び/又は様々な他の物質を含み得る。
【0030】
さらに図2Aを参照して説明すると、ムーバブルフロア182は、物質リザーバ180内で外側本体162に対して移動するように構成される機械的なピストンの機能を果たすように構成される展開機構とし得る。下記で詳細に説明するように、ムーバブルフロア182は、医療システム100の1つ以上の他の構成要素、例えば、メカニカルロッド140(図1)などの作動に応答して、可動とし得る。いくつかの実施形態では、ムーバブルフロア182は、例えば、医療器具110にキャップアセンブリ160を組み立てる前などは、キャップアセンブリ160から取り外し不能である。この場合、物質10は、物質リザーバ180内に維持され、及びムーバブルフロア182が外側本体162から近位に外向きに落ちることによる放出を阻止又は防止され得る。ムーバブルフロア182は、例えば、シリンジ及び注入装置で使用されるものと同様の、コーティングされたゴムピストンとし得る。ムーバブルフロア182は、外側本体162に対して近位への動きを禁止する1つ以上の特徴を含み得る、及び/又は外側本体162は、半径方向内向きに延びてムーバブルフロア172の近位に配置される1つ以上の停止部を含み得、それにより、ムーバブルフロア182の近位への動きを妨害又は防止する。
【0031】
アクチュエータ130は、リムーバブルカバー166に沿ってキャップアセンブリ160に取り付けられ得る。例えば、遠位端132が、リムーバブルカバー166の外部(すなわち、物質リザーバ180に対向し且つ物質リザーバ内に配置されている内部の反対側)に固定され得るとともに、アクチュエータ130は、遠位への(引く)力を加えて、リムーバブルカバー166を外側本体162から取り外すように構成され得る。この場合、アクチュエータ130は、開口部186(図2B)を露出させ得る。下記でさらに説明するように、アクチュエータ130は、近位端134におけるアクチュエータ130の近位への移動に応答して、リムーバブルカバー166に力を加え得る。
【0032】
図1に戻って説明すると、処置中に医療システム100を使用する例示的な方法によれば、医療器具110は、外側本体162を遠位端122に取り付けることによって、キャップアセンブリ160を受け入れ得る。キャップアセンブリ160には物質リザーバ180(図2A)内に物質10が予め装填され得、物質10は、対象者(例えば、患者)の体内の標的治療部位へ送達するための薬物を含んでいる。或いは、物質10は、キャップアセンブリ160がシャフト120に結合された後、開口部186を通して物質リザーバ180中へ挿入され得る。照明装置及び/又は撮像装置が、医療器具110に結合され、及びシャフト120のそれぞれのルーメンを通して受け入れられ得、装置の遠位端が、開口部172、174に配置されるようにする。しかしながら、照明装置及び/又は撮像装置は、シャフト120と一体であることがさらに考えられる。
【0033】
図3Aを参照して説明すると、シャフト120は、対象者の体内へと挿入されて、照明装置60(シャフト120の照明用ルーメン126内に受け入れられている)及び撮像装置50(シャフト120の撮像用ルーメン128内に受け入れられている)を使用して、標的治療部位へとナビゲートされる。遠位端122は、遠位面164を通して、撮像装置50を用いて標的治療部位(例えば、穿孔部、創傷、狭窄形成部など)のロケーションを視覚的に特定することによって、その部位に又はそれに隣接して配置され得る。アクチュエータ130は、近位に向けられた力をアクチュエータ130に加えることによって、リムーバブルカバー166を外側本体162から取り外すか、又はそうでなければリムーバブルカバー166を変位させて、開口部186を露出させるように、作動され得る。
【0034】
例えば、図1に戻って説明すると、アクチュエータ130、特に近位端134は、近位へ引かれて、アクチュエータ130をシャフト120に対して近位方向に移動させ得、それにより、遠位端132を近位方向に引く。アクチュエータ130がインデキシング機構136(図1)を含む例では、使用者がインデキシング機構136を回転させて、近位端134をインデキシング機構136に巻き取って、それにより、遠位端132を近位へ引く。遠位端132は、遠位端132がリムーバブルカバー166に取り付けられる程度に、リムーバブルカバー166に固定され得ることが認識されるべきである。従って、アクチュエータ130は、リムーバブルカバー166を外側本体162から引き離すように構成され得る。
【0035】
ここで図2B及び図3Bを参照して説明すると、リムーバブルカバー166は、アクチュエータ130によって外側本体162から少なくとも部分的に取り外されて、開口部186を露出させ得る。リムーバブルカバー166が引き剥がされた後又は他の方法で外側本体162に対して変位された後、開口部186が封止されていない状態になり得、物質リザーバ180が露出され得る。いくつかの実施形態では、リムーバブルカバー166は、アクチュエータ130の継続的な作動に応答して、外側本体162から完全に取り外され得、一方で、他の実施形態では、リムーバブルカバー166の少なくとも一部分は、外側本体162に少なくとも部分的に取り付けられたままとなり得る(例えば、リムーバブルカバー166がヒンジによって外側本体162に接続されているとき)。
【0036】
ムーバブルフロア182は、メカニカルロッド140がシャフト120の作業ルーメン124中を通って遠位へ動くことに応答して、物質リザーバ180内で外側本体162に対して遠位へ動かされ得る。例えば、遠位端122は第3の開口部184を含み得るとともに、作業ルーメン124は、第3の開口部184(図4Aにのみ示す)で終端し得る。第3の開口部184は、キャップアセンブリ160が初めにシャフト120に固定されるときに、物質リザーバ180と整列され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、キャップアセンブリ160は位置合わせ起伏部188を含み得る。該位置合わせ起伏部188は、キャップアセンブリ160を遠位端122と係合させている最中に、ムーバブルフロア182を第3の開口部184と整合して配置するためのものである。例えば、位置合わせ起伏部188は、切り欠き部、突起、及び/又はムーバブルフロア182の近位面から近位及び外向きに延びる他の様々な部材とし得る。位置合わせ起伏部188は、作業ルーメン124及び/又は第3の開口部184の輪郭に応じたサイズ及び形状にされ得る。従って、位置合わせ起伏部188は、キャップアセンブリ160が遠位端122に結合されるときに、第3の開口部184を経由して作業ルーメン124中へ延びるように構成され得る。
【0038】
ハンドル146の作動によって、メカニカルロッド140を、作業ルーメン124を通して移動させ得、それにより、メカニカルロッド140の遠位端を、遠位端122に対して遠位へ及び第3の開口部184から外向きに延ばす。ムーバブルフロア182が遠位端122に接して配置されるとともに、位置合わせ起伏部188が作業ルーメン124に受け入れられている状態で、メカニカルロッド140は、位置合わせ起伏部188に係合することによって、ムーバブルフロア182を開口部186の方へ押すように構成され得る。
【0039】
このように、物質10は、物質リザーバ180中を通して押されて、キャップアセンブリ160から外向きに開口部186を経由して排出され得る。物質10は、物質リザーバ180から外向きに排出されるときに、標的治療部位へ送達され得る。キャップアセンブリ160は、物質リザーバ180から外向きへのムーバブルフロア182の展開を阻止するように構成され得ることが理解されるべきである。例えば、開口部186は、物質リザーバ180からのムーバブルフロア182の取り外しを阻止するために、ムーバブルフロア182と比べて小さいサイズ及び/又は形状にされ得る。
【0040】
他の実施形態では、メカニカルロッド140が格納リザーバ180内で動くとともに物質10をシールアセンブリ160の方へ押すことに応答して、シールアセンブリ160が外側本体162から取り外され得るように、アクチュエータ130は完全に省略され得る。メカニカルロッド140は、ムーバブルフロア182を遠位へ動かすことに応答して、リムーバブルカバー166に対する圧力を発生させるように動作可能とし得る。この場合、遠位方向における圧力の増大によって、リムーバブルカバー166を外側本体162から遠位へ展開させ得、それにより、標的治療部位への物質10の放出を可能にする。或いは、加圧媒体が、第3の開口部186を経由して格納リザーバ180中へ送達されて、リムーバブルカバー166に対する圧力を発生させ得る。この場合、メカニカルロッド140が省略され、加圧媒体源が、加圧媒体をキャップアセンブリ160へ送達し、ムーバブルフロア182を遠位に動かして、リムーバブルカバー166を展開させて物質10を放出させ得る。
【0041】
リムーバブルカバー166は、生分解性及び/又は生体吸収性材料で形成され得、リムーバブルカバー166が、展開後、キャップアセンブリ160の周囲の1つ以上の特徴(例えば、組織)によって分解及び/又は吸収されるように構成され得るようにする。例えば、リムーバブルカバー166は、標的治療部位において1つ以上の周囲の特徴に予め決められた持続時間(例えば、分、時間、日、週など)曝された後、溶解するように動作可能とし得る。他の例では、リムーバブルカバー166は、単純に、標的治療部位に受け入れられ、及び自然に対象者の体内(例えば、胃腸(GI)管内)を通過させられ、その後、そこから放出され得る。
【0042】
ここで図4Aを参照すると、本開示のある例による別の例示的なキャップアセンブリ160’が示されている。キャップアセンブリ160’は、上述の方法で医療器具110に簡単に組み込まれ得ることが理解されるべきである。キャップアセンブリ160’は、本明細書で明白に記す違いを除いて、上述のキャップアセンブリ160と実質的に同様に機能し得ることも理解されるべきである。
【0043】
例えば、キャップアセンブリ160’は、外側本体162の遠位面164’に沿って形成された1つ以上の穿孔166’を含み得る。穿孔166’は、キャップアセンブリ160’へのアクセスを容易にするようなサイズ、形状、及び構成にされる小さな開口部、孔、及び/又はアパーチャを含み得る。下記で詳細に説明するように、穿孔166’は、デフォルト状態にある(例えば、遠位面164’に小さな開口部を含む)とき、キャップアセンブリ160’内に物質を保持するように構成され得るとともに、さらに、これら穿孔が拡張状態に移行して比較的大きい開口部を形成するとき、キャップアセンブリ160’からの物質の放出を可能にするように構成され得る。その例では、キャップアセンブリ160’は、遠位面164’に配置された一対の穿孔166’を含み得る。本開示の範囲から逸脱せずに、本明細書で図示及び説明するものとは対照的に、外側本体162の様々な部分に追加的な及び/又はより少数の穿孔166’が含まれてもよいことが認識されるべきである。
【0044】
穿孔166’は任意の好適な構造を含み得、この構造は、初期形態では、外側本体162内に物質10を保持するのを助けるように構成され、及び穿孔166’に好適な圧力又は力を加えた後には、壊れてすなわち開いて、物質10が外側本体162から小出しされるように構成される。穿孔166’は、外側本体162の外面を穿刺する穿孔ツールによって材料に形成された1つ以上の小さな孔を含み得る。いくつかの例では、穿孔166’は、型と打ち抜きによって、又はレーザによって、形成され得る。
【0045】
穿孔166’のサイズ(例えば、直径)は、複数の要因、例えば、限定されるものではないが、外側本体162の厚さ、各穿孔166’間の間隔、穿孔166’を通して送達される薬物の粘度、外側本体162及び/又は穿孔166’を壊して、そこを通して薬物を送達させるようにするために必要な所望量の力などに基づき得ることが認識されるべきである。例えば、比較的粘度が低い薬物(例えば、液体)がキャップアセンブリ160’内に保管される実施形態では、穿孔166’の直径は、約0.0254mm(0.001インチ)~約0.0508mm(0.002インチ)に及び得る。さらなる例として、比較的粘度の高い液状薬物(例えば、ゲル)がキャップアセンブリ160’内に保管されている実施形態では、穿孔166’の直径は、約0.127mm(0.005インチ)~約0.254mm(0.010インチ)に及び得る。上述の直径は単に例示であり、及び穿孔166’が外側本体162に開口部を形成しているのにもかかわらず、キャップアセンブリ160’内に薬物を依然として維持し得る、取り得るサイズの開口部を説明していることを理解されるべきである。
【0046】
外側本体162に沿った穿孔166’の間隔及び/又はオフセットは、複数の要因、例えば、限定されるものではないが、外側本体162の厚さ、穿孔166’のサイズ(例えば、直径)、穿孔166’を通って送達される薬物の粘度、外側本体162及び/又は穿孔166’を壊して、そこを通して薬物を送達させるようにするために必要な所望量の力などに基づき得ることをさらに認識されるべきである。例えば、穿孔166’は、互いに約0.0254mm(0.001インチ)~約1.27mm(0.050インチ)離され得る。
【0047】
いくつかの例では、穿孔166’は、各穿孔166’に対して十分な追加的な力を加えることに応答して、より大きな開口部186(図4B)に開き得る。すなわち、加えられる初期の力に応答して、穿孔166’は、物質10を、そこを通して吐出できるようにし得るとともに、より大きなレベルの力が加えられることに応答して、穿孔166’を囲む及び/又はそこに隣接する空間が壊されて、拡大した開口部(例えば、開口部186)を形成し得る。それゆえ、穿孔166’のサイズ及び/又は形状を増大させることによって、追加的な物質10をより速い速度で展開できるようにし得る。
【0048】
さらに図4Aを参照して説明すると、各穿孔166’の周りに配置される外側本体162の領域は、壊して開けるように構成される材料で形成され得、それにより、穿孔166’をより大きな開口部に変換させ得る。例えば、穿孔166’は、メカニカルロッド140が格納リザーバ180内で動いて物質10を遠位面164’の方へ押すことに応答して、拡大され得る。それゆえ、メカニカルロッド140は、ムーバブルフロア182’を遠位へ動かすときに、穿孔166’に対して圧力を発生させ得る。圧力上昇によって、穿孔166’を壊し、及び開口部186(図4B)を形成し、それにより、物質10を標的治療部位へ放出できるようにする。
【0049】
キャップアセンブリ160’は、さらに、外側本体162に沿って1つ以上の脆弱及び/又は壊れやすい部分169を含み得る。その例では、キャップアセンブリ160’は、遠位面164’の穿孔166’間に配置された少なくとも1つの脆弱部分169を含み得る。本開示の範囲から逸脱せずに、追加的な及び/又はより少数の脆弱部分169が、本明細書で図示及び説明するもの以外の外側本体162の様々な部分に含まれ得ることが認識されるべきである。脆弱部分169は、追加的な力がムーバブルフロア182’によって加えられて穿孔166’が拡大されるため、穿孔166’間に配置された遠位面164’の隣接部分を壊して開けるように構成され得、それにより、遠位面164’に沿って形成された開口部186の断面の寸法を増大させる。
【0050】
本明細書で詳細に説明するように、開口部186のサイズを増大させることによって、より多い流量で物質10をキャップアセンブリ160’から送達可能にする。他の例では、穿孔166’及び/又は脆弱部分169の周りに配置された遠位面164’の部分は、生分解性及び/又は生体吸収性材料で形成され得、遠位面164’及び/又は脆弱部分169が、キャップアセンブリ160’を囲む組織によって分解する及び/又は吸収されるように構成され得るようにする。分解は、遠位面164’と組織とが接触して数秒又は数分以内に発生し得る。
【0051】
さらに図4Aを参照して説明すると、キャップアセンブリ160’は、さらに、外側本体162のキャビティ内に二重目的リザーバ180’を規定し得る。換言すると、キャップアセンブリ160’は、キャビティを通って延びる壁を省略してもよく、単一の二重目的リザーバ180’が外側本体162内に形成されるようにする。さらに、キャップアセンブリ160’は、リザーバ180’の輪郭に応じたサイズ及び形状にされるムーバブルフロア182’を含み得る。ムーバブルフロア182’は、下記で明白に説明する違いを除いて、上述のムーバブルフロア182と実質的に同様のように構成され及びそのように操作可能とし得ることが認識されるべきである。
【0052】
図示しない一例では、キャップアセンブリ160’は、シャフト120の照明/撮像装置を覆ったり又は妨害したりしないことが想定される。或いは、ムーバブルフロア182’は、実質的に透明な材料で形成され得、外側本体162内に配置された1つ以上の装置(例えば、照明装置、撮像装置など)が、ムーバブルフロア182’を通して見ることができるようにし得る。本実施形態では、アクチュエータ130及びメカニカルロッド140が完全に省略され得るとともに、加圧媒体源150(例えば、展開機構)が、ポート118において、例えば、管152などを介して、医療器具110に流体的に接続され得る。ポート118は、第3の開口部184(図4B)で終端するシャフト120の流体用ルーメンと流体連通し得る。下記でさらに詳細に説明するように、加圧媒体源150は、第3の開口部184を経由して加圧媒体をリザーバ180’へ送達するように構成され得る。他の実施形態では、メカニカルロッド140は、キャップアセンブリ160’から物質10を展開するために加圧媒体源150の代わりに及び/又はそれと共に、医療器具10内に受け入れられ得る。
【0053】
ここで図4Bを参照して説明すると、キャップアセンブリ160’を用いる処置の最中に医療システム100を使用する例示的な方法によれば、医療器具110は、外側本体162を遠位端122に取り付けることによって、キャップアセンブリ160’を受け入れ得る。キャップアセンブリ160’には、リザーバ180’内に物質10が事前に装填され得るとともに、1つ以上の装置(例えば、照明装置、撮像装置など)が医療器具110に結合され得る。或いは、物質10は、キャップアセンブリ160’がシャフト120に結合された後、穿孔166’及び/又は開口部186を通して物質リザーバ180’に挿入され得る。シャフト120は、上述の説明に一致して、対象者の体内に挿入されて、標的治療部位に遠位端122を配置し得る。
【0054】
標的治療部位に遠位端122を配置すると、使用者は、加圧媒体源150を作動させて、加圧媒体20を、シャフト120のワーキングチャンネル中を通して、第3の開口部184を経由してリザーバ180’中へ送達し得る。加圧媒体20の送達によって、ムーバブルフロア182’をリザーバ180’内で遠位面164’の方へ向かって動かし得る。ムーバブルフロア182’が遠位面164’の方へ強制的に動かされると、物質10の少なくとも一部分は、キャップアセンブリ160”から穿孔166’を経由して送達され得る。さらに、リザーバ180’内の圧力は、ムーバブルフロア182’が遠位面164’の方へ向かって動くと、上昇し得、それにより、各穿孔166’及び/又は脆弱部分169の周りの外側本体162の部分を脆弱にする。
【0055】
さらに図4Bを参照して説明すると、穿孔166’の周りに形成された外側本体162の部分は、ムーバブルフロア182’がリザーバ180’内で動かされるときに、上昇した圧力が加えられることに応答して、崩壊し得る(例えば、壊れる)。拡大した開口部186が、外側本体162上の各穿孔166’のロケーションにおいて、遠位面164’に形成され得る。さらに、脆弱部分169は崩壊し得、各開口部186が互いに相互接続され得るようにし、それにより、遠位面164’に沿って単一の連続的な開口部186を形成する。この場合、穿孔166’は、さらに、物質10の送達用に、より大きな断面寸法を有するように拡大され得る。
【0056】
従って、物質10は、リザーバ180’を通して押されて、キャップアセンブリ160’から開口部186を経由して外向きに排出され得る。物質10は、リザーバ180’から外向きに排出されたとき、標的治療部位へ送達され得る。いくつかの例では、穿孔166’及び脆弱部分169は、遠位面164’の表面領域の比較的小さい部分を含み得、物質10を標的治療部位に制御して集中的に塗布する。他の例では、穿孔166’及び脆弱部分169は、遠位面164’の表面領域の比較的大きい部分を含み得、キャップアセンブリ160’からより広いゾーンでの物質の流出を提供する。いくつかの例では、キャップアセンブリ160’は、遠位面164’上に一続きに(例えば、線形形態に)整合され、1つ以上の行及び/又は列でマトリクス形態に配置され、若しくは環状アレイで遠位面164’の周囲に配置された複数の穿孔166’を含み得るか、又は遠位面164’の中心に単一の大きい穿孔166’を含み得る。様々な他の形態及び/又は量の穿孔166’が好適とし得る。
【0057】
さらに図4Bを参照して説明すると、遠位面164’に脆弱部分169を含むことによって、開口部186のサイズ及び/又は幾何学的形状を拡張させてもよく、追加的な物質10が、増幅され/増加された流量でキャップアセンブリ160’から送達され得るようにする。他の実施形態では、本開示の範囲から逸脱せずに、追加的な及び/又はより少数の穿孔166’及び/又は脆弱部分169がキャップアセンブリ160’に含まれてもよいことが理解されるべきである。
【0058】
例えば、図5Aを参照して説明すると、別の例示的なキャップアセンブリ160”は、外側本体162の側壁に沿って(例えば、外側本体162の外周に沿って)配置された1つ以上の穿孔166’を含み得る。穿孔166’は、様々な形態に配置され得、及び/又は様々な幾何学的形状を有し得る、例えば、キャップアセンブリ160”の近位端(遠位端122に隣接する)から遠位端(遠位面164’に隣接する)まで、線形に及び長手方向に連続して整列され得るなどである。その例では、キャップアセンブリ160”は、外側本体162の外周に沿って、及び互いに長手方向に分離して、4個の穿孔166’を含み得る。図示しないが、1つ以上の脆弱部分169が、外側本体162の側壁に、例えば、1つ以上の穿孔166’間に長手方向になどで、含まれてもよいことが理解されるべきである。
【0059】
ここで図5Bを参照して説明すると、キャップアセンブリ160”は、ムーバブルフロア182’が遠位面164’の方へ向かって遠位へ動くにつれて、外側本体162内に陽圧が発生されるように構成され得る。穿孔166’が互いに対して様々な長手方向ロケーションで外側本体162に配置された状態で、各穿孔166’の内側に加えられる圧力は、リザーバ180’内でのムーバブルフロア182’の現在の位置に依存し得る。例えば、ムーバブルフロア182’がリザーバ180’内で動いて、特定の穿孔166’の長手方向位置に又はその近くに到達すると、前記穿孔166’の内部に加えられる圧力が穿孔166’を拡張させ得、開口部186が形成されるようにする。
【0060】
他の穿孔166’が、外側本体162の他の部分に沿って及び/又は異なる長さ(長手方向位置)に配置された状態で、いくつかの穿孔166’(例えば、最近位の穿孔166’)に加えられる圧力は、外側本体162の他の領域に沿って配置された他の穿孔166’(すなわち、最遠位の穿孔166’)の拡張を引き起こし得ず、又は引き起こすことはない。従って、1つ以上の穿孔166’のうちの少なくともいくつか(例えば、最遠位の穿孔166’)は、元の非拡張状態に維持され得る一方で、他の穿孔166’のうちの少なくともいくつか(例えば、最近位の穿孔166’)は、開口部186へ拡大され得ることが認識されるべきである。
【0061】
いくつかの実施形態では、キャップアセンブリ160”の近位端に隣接して配置された穿孔166’は、キャップアセンブリ160”の遠位端に隣接して配置された穿孔166’よりも比較的薄い予め規定された厚さを含み得る。従って、厚さがより薄い穿孔166’は、小さい陽圧を受けると、厚さが比較的厚い穿孔166’よりも大きい開口部186へ拡張するように構成され得る。換言すると、近位端に隣接して配置された穿孔166’は、壊して開口部186に開き得るか、又はそうでなければ、遠位端に隣接して配置された穿孔166’よりも迅速に拡張し得る。
【0062】
さらに図5Bを参照して説明すると、外側本体162に対するムーバブルフロア182’の継続的な遠位への移動は、開口部186への穿孔166’の追加的な拡張をもたらし得る。従って、物質10は、リザーバ180’中を通して動かされ得るとともに、追加的な開口部186が外側本体162で拡大され/外側本体162に形成されるにつれて、漸進的に、キャップアセンブリ160”から外向きに横方向及び半径方向に送達され得る。各穿孔166’に加えられる圧力は、外側本体162に対するムーバブルフロア182’の位置が、外側本体162の側壁にある特定の穿孔166’のロケーションと実質的に半径方向に整列されるときに、最大とし得ることが理解されるべきである。追加的な穿孔166’は、ムーバブルフロア182’が外側本体162に対して動き続けるため、拡張され得ることがさらに認識されるべきである。
【0063】
いくつかの実施形態では、穿孔166’は、例えば、ムーバブルフロア182’の動きによるなどの送達力が物質10に加えられないときに、リザーバ180’からの物質10の放出を阻止するのに十分なサイズにされたサイズ及び/又は形状を有し得る。その例では、穿孔166’は、拡大する(例えば、壊して開ける、溶解する、崩壊するなど)ように構成及び/又は動作可能にされず、その代わりに、物質10は、リザーバ180’内の圧力が上昇するときに、穿孔166’を通るように強制的に動かされ得る。従って、1つ又は複数のより大きな開口部186は、陽圧がリザーバ180’内に形成されるため(例えば、ムーバブルフロア182’が外側本体162に対して移動するとき)、穿孔166’のロケーションに形成されないかもしれない。
【0064】
この場合、物質10は、穿孔166’中を通して送達され、並びに物質10の流量及び/又は量は、穿孔166’によって形成された開口部の元のサイズ及び/又は形状によって制御される。実施形態では、物質10は、一般的に高い粘度を有し得、ムーバブルフロア182’によってそこに押す力が加えられない場合、小さい穿孔166’を通した物質10の放出が阻止されるようにする。換言すると、物質10は、ムーバブルフロア182’が強制的に穿孔166’に対して物質10を当てないと、リザーバ180’から送達可能ではないかもしれない。
【0065】
上述のシステム、装置、アセンブリ、及び方法のそれぞれは、対象者(例えば、患者)の体内の標的治療部位に隣接して物質を提供するために使用され得るが、物質は、キャップアセンブリ内に封じ込められ、及びキャップアセンブリから対象者の体内の標的治療部位へ物質を展開する。1つ以上の取り外し自在のシール又は穿孔を有するキャップアセンブリを含む医療装置を提供することによって、使用者は、処置の最中に、装置から物質を選択的に展開し得る。この場合、使用者は、処置時間全体を短縮し、処置の効率を高め、及び/又は物質を不注意に放出する若しくは封じ込められた物質を展開するために追加的な装置の導入を必要とする医療器具に起因して、対象者の体を不要に傷つけるのを回避し得る。
【0066】
当業者には、本開示の範囲から逸脱せずに、開示の装置及び方法に様々な修正及び変形がなされ得ることが明らかである。本開示の他の態様は、本明細書を考慮し及び本明細書で開示した特徴を実施することから、当業者に明らかである。本明細書及び例は、例示とみなされるにすぎないことが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
【国際調査報告】