(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート凝集体形態を検出する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20230627BHJP
G01N 33/542 20060101ALI20230627BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/542 A
G01N33/543 545A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570442
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 FR2021050854
(87)【国際公開番号】W WO2021234261
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514064671
【氏名又は名称】シスビオ バイオアッセイズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】トリンケ, エリック, ジー.
(72)【発明者】
【氏名】アキリーナ, アレクシ, ジェ.
(72)【発明者】
【氏名】プラロン, モー, ウー.
(57)【要約】
本発明は、試料においてβシート凝集体を形成するタンパク質のβシート凝集体形態(PAFβ)を検出するためのin vitro法であって、βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート非凝集体形態(PNAFβ)を得るためにPAFβのすべてまたは一部分を分離するために、PAFβを含有する可能性が高い試料のpHを9.7~13.2の範囲のpHに調整するステップおよび6~9の範囲のpHで適切な免疫学的方法を用いてPNAFβ含量を測定するステップを含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料においてβシート凝集体を形成するタンパク質のβシート凝集体形態(PAFβ)を検出するためのin vitro法であって、以下のステップ:
a)第1の容器において:
a1)PAFβを含有する可能性が高い試料を入れるステップ、
a2)βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート非凝集体形態(PNAFβ)を得るためにPAFβのすべてまたは一部分を脱凝集するために、pHを9.7~13.2の範囲のpHに調整するステップ、
a3)pHを6~9の範囲のpHに調整するステップ、
b)適切な免疫学的方法を用いて第1の容器中のPNAFβ含量を測定するステップ、
c)第2の容器において:
c1)ステップa1)と同一の試料を入れるステップ、
c2)pHを6~9の範囲のpHに調整するステップ、
d)ステップb)と同一の方法を使用して第2の容器中のPNAFβ含量を測定するステップ、
e)ステップb)およびd)において測定された含量を比較し、ステップb)において測定された含量と比較したステップd)において測定された含量の減少が、試料がPAFβを含有することを示すステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記βシート凝集体を形成するタンパク質(PFβ)が、FUS(Fused in sarcoma)、TAF15、EWSR1、DAZAP1、TIA-1、TTR(トランスサイレチン)、シスタチンC、β2-ミクログロブリン、ベータアミロイドペプチド(β1-40アミロイドペプチドまたはβ1-42アミロイドペプチドなど)、TAU(チューブリン結合ユニット(Tubulin-Associated Unit))、SOD1(スーパーオキシドジスムターゼ1)、α-シヌクレイン、γ-シヌクレイン、ハンチンチン(HTT)、プリオンおよびTDP-43(TAR DNA結合タンパク質)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PFβが、ベータアミロイド1-42、α-シヌクレインおよびTDP-43から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記試料が、PAFβと関連する疾患を有する、または有すると疑われている個体に由来する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記試料が、in vitroで培養された細胞または組織に由来する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記試料が、血液試料、血漿試料、血清試料、脳脊髄液試料、細胞溶解物、細胞ホモジネート、組織溶解物または組織ホモジネート、例えば、脳ホモジネートから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が、細胞溶解物、細胞ホモジネート、組織溶解物、組織ホモジネート、細胞培養上清、組織培養上清、細胞細画分またはタンパク質(天然または組換え)から選択される、請求項1~3または5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記pHが、ステップa2)において、塩基、例えば、NaOHを用いて調整される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記pHが、ステップa3)において、酸、例えば、HClを用いて調整される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記pHが、ステップc2)において、酸/塩基混合物、例えば、NaOH/HCl混合物を用いて調整される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップb)およびd)において実行される免疫学的方法が、
(i)PNAFβに特異的に結合可能なリガンドであって、トレーサーで標識されているリガンド、または
(ii)PNAFβに特異的に結合可能なリガンドの対であって、リガンドの対の少なくとも1つのリガンドがトレーサーで標識されているリガンドの対
を使用する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
-リガンド(i)が、抗体、抗体断片、ペプチドもしくはアプタマーから選択される、または
-リガンドの対(ii)が、抗体の対、抗体断片の対、ペプチドの対もしくはアプタマーの対、好ましくは、抗体の対から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)およびd)において実行される免疫学的方法が、ELISA法またはRET法である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップb)およびd)が、RET法によって実施され、
(b1)/(d1)容器中に、RETパートナーの対の第1のメンバーで標識された第1のPNAFβリガンドおよびRETパートナーの対の第2のメンバーで標識された第2のPNAFβリガンドを入れ、リガンドの対は、PNAFβに特異的に結合できるステップ、ならびに
(b2)/(d2)容器において放出されたRETシグナルを測定するステップ
からなる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップb)およびd)が、ELISA法によって実施され、
(b1)/(d1)底部に第1のPNAFβリガンドが事前に固定化されている容器中に、トレーサーで標識された第2のPNAFβリガンドを入れ、リガンドの対がPNAFβに特異的に結合可能であるステップ、
(b2)/(d2)容器において放出されたELISAシグナルを測定するステップ
からなる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
患者においてPAFβと関連する疾患の処置の治療効力をモニタリングするためのin vitro法であって、以下のステップ:
A)ステップe)がステップb)で測定された含量とステップd)で測定された含量の間の比(「試料1の比b)/d)」)を決定することからなる、前記患者の第1の試料で請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実行するステップ、
B)前記患者の第2の試料でステップA)と同一の方法を実行して、「試料2の比b)/d)」を決定するステップ、
C)ステップA)およびB)において決定された比を比較し、ステップB)において決定された比が、ステップA)において決定された比よりも低い場合に治療効力が観察されるステップ
を含む、方法。
【請求項17】
試験試料においてPAFβと関連する疾患に対する薬物分子または薬物候補の薬理学的有効性を測定するためのin vitro法であって、以下のステップ:
A)ステップe)が、ステップb)で測定された含量とステップd)で測定された含量の間の比(「試料1の比b)/d)」)を決定することからなる、前記試験試料の第1の試料で本発明による方法を実行するステップ、
B)前記試験試料の第2の試料でステップA)と同一の方法を実行して、「試料2の比b)/d)」を決定するステップ、
C)ステップA)およびB)において決定された比を比較し、ステップB)において決定された比が、ステップA)において決定された比よりも低い場合に薬理学的有効性が観察されるステップ
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料においてβシート凝集体を形成するタンパク質のβシート凝集体形態(PAFβ)を検出するためのin vitro法であって、βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート非凝集体形態(PNAFβ)を得るためにPAFβを脱凝集するステップおよびPNAFβ含量を測定するステップを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合ミスフォールディングされるタンパク質の蓄積は、細胞におけるその凝集につながり、特にある特定の神経変性病理に特徴的な、細胞調節不全を引き起こす。βアミロイドペプチド、より詳しくはβ1-42アミロイドペプチドは、アルツハイマー病におけるβシートを含有する原線維の形成、次いで、プレートの形成について広く研究されてきた。βアミロイドペプチドの凝集プロセスは、十分に特定決定されており、このプロセスは、いくつかの因子、特に、その濃度、pHおよび温度に応じて変わる。プリオン様ドメインを含有する多数の他のタンパク質、例えば、RNAおよびDNA結合タンパク質はまた、プリオン様凝集体を形成できる[1]。プリオン様ドメインを含有するタンパク質は、βシート凝集体を形成するタンパク質(PFβ)である。
【0003】
プリオン様ドメインは、βシートの豊富な原線維の形成を促進する疎水性アミノ酸を含有する。βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート凝集体形態(PAFβ)は、中性pHでは水に可溶性ではない。
【0004】
PAFβによって誘導されるこれらの神経変性疾患の現在の診断は、最も多くはイメージングに基づいており、これによって、臨床および神経心理学的検査が完了される。それはいくつかの診断ステップを必要とする厄介な、費用がかかる手順である。
【0005】
生体試料におけるPFβの凝集またはオリゴマー化を実証または定量化することを可能にするさまざまな診断技術も、文献に記載されている。
【0006】
構造解析技術によって、ある特定のPFβ、特に、βアミロイドペプチドおよびTAUまたはTDP-43タンパク質の凝集の種々のレベルを強調することが可能となった:電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、クライオ電子顕微鏡、円偏光二色性、核磁気共鳴、X線回折。しかし、これらの技術は、試料中に存在する凝集体の含量を測定することを、たとえ相対的であっても困難にする。したがって、これらの技術では、PFβの凝集のレベル(特に、凝集の阻害)に対する化合物の潜在的な効果は容易に研究できない。
【0007】
タンパク質をその分子量に従って分離可能な技術によって、高分子量PAFβと低分子量PNAFβの間を識別することが可能になる。それらの一部はまた、種々のサイズの凝集体の間を識別することを可能にする。例えば、ウエスタンブロットによる検出と関連するまたは関連しないポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGEおよびSDS-PAGE)に言及できる。しかし、これらの技術において現在記載されている実験条件は、凝集のレベルの測定を歪める可能性がある。これは、特に、洗浄剤と還元剤(DTT、ベータ-メルカプトエタノールまたはTCEP)の組み合わされた使用が、凝集体のすべてまたは一部分を解離する可能性があるSDS-PAGEの場合である。その実験上の制約(実施時間、多量の試料、感受性がないこと)のために、これらの技術は、PFβ凝集のレベルを調節可能な化合物の特性決定に現実には適していない。
【0008】
免疫検出に基づく技術も記載されている:
-免疫検出と組み合わされた濾過:この方法では、生体試料は、高分子量種、特に、PAFβを保持可能なメンブレンで濾過される。発色または蛍光またはさらには発光トレーサーで直接的または間接的に標識されたPAFβに特異的な抗体が、次いで、メンブレンに適用される。測定されるシグナルは、PAFβの量に正比例する。この方法は、アミロイドタンパク質の凝集パラメータまたは凝集のレベルに対する化合物の効果を研究するためにマイクロプレート形式に適応するように構成される場合がある。しかし、方法の自動化および処理能力は、この技術によって必要とされる濾過および洗浄ステップのために制限されている[2]。
【0009】
-ELISA:PFβの凝集の特性決定を可能にするために、種々のELISA試験戦略が記載されている。第1の戦略は、その検出を可能にするトレーサーと同一の抗体を、固相上でのPAFβの捕捉のために使用することからなる。この方法によって、捕捉および検出において使用される抗体のいくつかのエピトープを有するPAFβのみを検出することが可能となる。したがって逆に、捕捉抗体および検出抗体は、使用される抗体によって認識される1つのエピトープのみを有するので、PNAFβ上に同時に固定されることはできない。したがって、PNAFβの存在下ではシグナルは生成しない[3]。第2の戦略は、ELISA試験において、PAFβを特異的に認識する抗体を、試料中に存在するPFβのすべての形態(PAFβおよびPNAFβ)を認識する抗体と会合させることからなる[4]。この形式では、PAFβの特異的抗体は、一般に、捕捉抗体であるが、検出抗体としてそれを使用する形式も記載されている[5]。第3の戦略は、両方とも目的のPAFβを認識する2つの異なる抗体を使用することである。この最後の戦略は、凝集体の検出の特異性を改善すると思われる[6]。すべてのこれらのELISA試験によって、目的のPFβの凝集のレベルを決定すること、およびその凝集のレベルに対する化合物の効果を決定することが可能になる。それにもかかわらず、PAFβ単独の検出は十分ではないが、これは、測定値が、試験された生体試料の測定値に必ずバイアスをかける標準範囲に対して比較されない限り、所与のシグナルで、初期状態と比較して凝集のレベルを理解することは可能でないからである。
【0010】
-TR-FRET(分解された時間におけるエネルギー移動):有機試料におけるTAUおよびアルファ-シヌクレインの凝集を検出するために、この方法に基づくキットが開発され、市販されている(ウェブサイトCisbioを参照されたい、商業的参照6FTAUPEGおよび6FASYPEG)。これらの試験は、それぞれ蛍光ドナーおよびアクセプターで同一の標識抗体を使用する。PAFβの存在下では、2つの標識抗体は、凝集のために同時にPAFβに結合され、互いに近くに位置するドナーと蛍光アクセプターの間のエネルギー移動を誘導する。次いで、アクセプター抗体は、特異的FRETシグナルを放出し、これが分解された時間で測定される。他方、2つの抗体のうち1つのみが、PNAFβ上に結合され、したがって、ドナーとアクセプター間の任意の近接を妨げる場合もある。次いで、PNAFβ上でFRETシグナルを得ることが不可能となる。これらのキットによって、小型化された高速形式で、目的のPFβの凝集のレベルを決定すること、およびその凝集のレベルに対する化合物の効果を決定することが可能になる。それにもかかわらず、これらのキットは、前記エピトープが凝集している場合であっても、PFβのエピトープを認識可能な抗体の使用を必要とするが、免疫化は、一般にPNAFβを用いて行われ、これが抗PAFβ抗体を得ることを困難にする場合があるので、これが、検出試験の開発を制限、さらには、阻止することもある。
【0011】
先行技術において記載される方法は、したがって、特に、PAFβの1つまたは複数のリガンドを使用することによって試料中のPAFβを直接的に検出することを目的としている。それにもかかわらず、PAFβを直接的に検出することは、これらの技術を実行することが困難なものにし、不正確なものにし、および/または大規模使用にとってほとんど適さないものにする場合がある。さらに、PAFβのみの検出は十分ではないが、これは、測定値を試験された生体試料の測定値に必ずバイアスをかける標準範囲に対して比較しない限り、所与のシグナルで、初期状態と比較して凝集のレベルを理解することは可能でないからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Harrisonら、RNA-binding proteins with prion-like domains in health and disease(2017) Biochem J.;474(8):1417~1438頁。doi:10.1042/BCJ20160499
【非特許文献2】Changら、Detection and quantification of TAU aggregation using a membrane filter assay, Analytical Biochemistry373(2008)330~336頁
【非特許文献3】Howlettら、Inhibition of fibril formation in b-amyloid peptide by a novel series of benzofurans, Biochem. J.(1999)340、283~289頁
【非特許文献4】Linghagen-Perssonら、Amyloid-b Oligomer Specificity Mediated by the IgM Isotype - Implications for a Specific Protective Mechanism Exerted by Endogenous Auto-Antibodies, PLoS ONE、2010年11月|5巻|11号|e13928
【非特許文献5】Englundら、Sensitive ELISA detection of amyloid-b protofibrils in biological samples, Journal of Neurochemistry、2007、103、334~345頁
【非特許文献6】Van Helmondら、Higher Soluble Amyloid b Concentration in Frontal Cortex of Young Adults than in Normal Elderly or Alzheimer’s Disease, Brain Pathology ISSN 1015-6305, doi:10.1111/j.1750-3639.2010.00374.x
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、PFβの凝集と関連する疾患のより容易な、迅速な、より信頼できる診断が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本出願人は、PNAFβを得るために、試料中に存在するPAFβのすべてまたは一部分を脱凝集することを可能にする、簡単で、実行することが容易なプロトコールを開発した。このプロトコールによって、本出願人が、PNAFβ含量の測定によって実施されるPAFβ検出法を開発することが可能となり、これはPAFβの検出に関連するすべての制約を克服することを可能にする。
【0015】
第1の態様によれば、本発明は、試料においてβシート凝集体を形成するタンパク質のβシート凝集体形態(PAFβ)を検出するためのin vitro法であって、以下のステップ:
a)第1の容器において:
a1)PAFβを含有する可能性が高い試料を入れるステップ、
a2)βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート非凝集体形態(PNAFβ)を得るためにPAFβのすべてまたは一部分を脱凝集するために、pHを9.7~13.2の範囲のpHに調整するステップ、
a3)pHを6~9の範囲のpHに調整するステップ、
b)適切な免疫学的方法を用いて第1の容器中のPNAFβ含量を測定するステップ、
c)第2の容器において:
c1)ステップa1)と同一の試料を入れるステップ、
c2)pHを6~9の範囲のpHに調整するステップ、
d)ステップb)と同一の方法を使用して第2の容器中のPNAFβ含量を測定するステップ、
e)ステップb)およびd)において測定された含量を比較し、ステップb)において測定された含量と比較したステップd)において測定された含量の減少が、試料がPAFβを含有することを示すステップ
を含む、方法に関する。
【0016】
第2の態様によれば、本発明は、PAFβと関連する疾患の処置の治療効力をモニタリングするためのin vitro法であって、以下のステップ:
A)ステップe)が、ステップb)で測定された含量とステップd)で測定された含量の間の比(「試料1の比b)/d)」)を決定することからなる、第1の試料で本発明による方法を実行するステップ、
B)第2の試料でステップA)と同一の方法を実行して、「試料2の比b)/d)」を決定するステップ、
C)ステップA)およびB)において決定された比を比較し、ステップB)において決定された比が、ステップA)において決定された比よりも低い場合に治療効力が観察されるステップ
を含む方法に関する。
【0017】
第3の態様によれば、本発明は、PAFβと関連する疾患に対する分子の薬理学的有効性を測定するin vitro法であって、以下のステップ:
A)ステップe)が、ステップb)で測定された含量とステップd)で測定された含量の間の比(「試料1の比b)/d)」)を決定することからなる、第1の試料で本発明による方法を実行するステップ、
B)第2の試料でステップA)と同一の方法を実行して、「試料2の比b)/d)」を決定するステップ、
C)ステップA)およびB)において決定された比を比較し、ステップB)において決定された比が、ステップA)において決定された比よりも低い場合に薬理学的有効性が観察されるステップ
を含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明による方法の一般的な原理を図示する図である。したがって、PNAFβレベルの比較(シグナルの比)によって、試験された試料がPAFβを含むか否かを知ることが可能となる。PAFβを含まない試料のシグナルの比は、1に等しくなる。PAFβを含む試料のシグナルの比は、1よりも大きくなる。
【
図2】
図2は、PNAFβの種々の希釈についての得られたELISAシグナル(O.D.)を示す図である。最大シグナルの80%に対応するO.D.値が、実験の残部において使用されるべき参照希釈を決定するために使用される。
【
図3】
図3は、抗体の対がPNAFβを選択的に認識するか否かを決定することを目的とするELISA試験において得られた結果を示す図である。A)PNAFβ非選択的な抗体の対。B)PNAFβ選択的な抗体の対。
【
図4】
図4は、HTRFイムノアッセイの原理を示す図である。このタイプのイムノアッセイは、それぞれドナーおよびアクセプターで標識された2つの抗体が目的の抗原を同時に認識可能な抗体の対を作出可能であるか否かを知ることを可能にする。A)2つの試験された抗体が、目的の抗原を認識可能な抗体の対を作出できない;ドナーとアクセプターの間のエネルギー移動がなく、したがって、アクセプターによって蛍光シグナルが放出されない。B)2つの試験された抗体が、目的の抗原を同時に認識可能である。次いで、ドナーとアクセプターの間でエネルギーの移動が生じる。これは、アクセプターによって放出される665nmでの特定の蛍光放出をもたらす。
【
図5】
図5は、PNAFβの種々の希釈について得られたHTRFシグナルを示す。最大シグナルの80%に対応するHTRFシグナル値が、実験の残部において使用されるべき参照希釈を決定するために使用される。
【
図6】
図6は、抗体の対がPNAFβを選択的に認識するか否かを決定することを目的とするHTRF試験において得られた結果を示す図である。A)PNAFβ非選択的な抗体の対。B)PNAFβ選択的な抗体の対。
【
図7】
図7は、TDP-43タンパク質に対して向けられる抗体の対を用いて得られた、TDP-43 AFβ凝集体試料とTDP-43 NAFβ単量体試料の間のシグナル比の算出を示す図である。2より大きいシグナル比は、試験された対がTDP-43 NAFβに対して選択的であることを示す。
【
図8】
図8は、ベータ1-40アミロイドペプチドに対して向けられる抗体の対を用いて得られた、ベータ1-40アミロイドペプチドの凝集体試料とこの同じペプチドの単量体試料の間のシグナル比の算出を示す図である。2より大きいシグナル比の値は、試験された対が1-40アミロイドペプチドNAFβ(単量体形態)に対して選択的であることを示す。
【
図9】
図9は、ベータ1-42アミロイドペプチドに対して向けられる抗体の対を用いて得られた、ベータ1-42アミロイドペプチドの凝集体試料とこの同じペプチドの単量体試料の間のシグナル比の算出を示す図である。2より大きいシグナル比の値は、試験された対が1-42アミロイドペプチドNAFβ(単量体形態)に対して選択的であることを示す。
【
図10】
図10は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対するヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の効果を示す図である。
【
図11】
図11は、TDP-43 AFβの試料に対するヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の崩壊効果がないことを示す図である。
【
図12】
図12は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する尿素の効果を示す図である。
【
図13】
図13は、TDP-43 AFβの試料に対する尿素の崩壊効果がないことを示す図である。
【
図14】
図14は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する、塩化グアニジウムの効果を示す図である。
【
図15】
図15は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する、ギ酸(A)またはTFA(B)の効果を示す図である。
【
図16】
図16は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する、ギ酸と、それに続くNaOHを用いる中和の効果を示す図である。
【
図17】
図17は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する、TFAと、それに続くNaOHを用いる中和の効果を示す図である。
【
図18】
図18は、TDP-43 AFβの試料に対して、TFAと、それに続くNaOHを用いる中和の崩壊効果がないことを示す図である。
【
図19】
図19は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する、ギ酸と、それに続くNH
4OHを用いる中和の効果を示す図である。
【
図20】
図20は、TDP-43 AFβの試料に対する、ギ酸と、それに続くNH
4OHを用いる中和の崩壊効果がないことを示す図である。
【
図21】
図21は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する、TFAと、それに続くNH
4OHを用いる中和の効果を示す図である。
【
図22】
図22は、TDP-43 AFβの試料に対する、TFAと、それに続くNH
4OHを用いる中和の崩壊効果がないことを示す図である。
【
図23】
図23は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する、8.2から13.3の間で構成されるpH値を与えるNaOH溶液と、それに続くHClを用いる中和の効果を示す図である。
【
図24】
図24は、NaOH溶液を用いた、TDP-43 AFβの試料を脱凝集する最小および最大pHの決定を示す図である。
【
図25】
図25は、pH=12.8のNaOHの溶液を用いた、TDP-43 AFβの試料を脱凝集するのに必要な時間の決定を示す図である。
【
図26】
図26は、TDP-43 NAFβの検出を測定する場合の、最小および最大pHの決定を示す図である。
【
図27】
図27は、脱凝集剤としてのNaOHと、それに続くHClを用いる中和を使用するベータ1-42アミロイドペプチドの凝集のレベルの測定を示す図である。
【
図28】
図28は、TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する、NaOH、KOHおよびNH
4OH溶液と、それに続くHCl中和の効果を示す図である。
【
図29】
図29は、TDP-43 NAFβの脱凝集に対する、NaOH、KOHおよびNH
4OHの溶液と、それに続くHClを用いる中和の効果を示す図である。
【
図30】
図30は、アルファ-シヌクレインに対して向けられる抗体の対を用いて得られた、アルファ-シヌクレインの凝集体試料(Alpha-Syn AFβ)とこの同一タンパク質の単量体試料(Alpha-Syn NAFβ)の間のシグナル比の算出を示す図である。2より大きいシグナル比の値は、試験された対がAlpha-Syn NAFβに対して選択的であることを示す。
【
図31】
図31は、Alpha-Syn NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用するHTRF法の検出能力に対する、NaOH溶液と、それに続くHClを用いる中和の効果を示す図である。
【
図32】
図32は、脱凝集剤としてNaOHと、それに続くHClを用いる中和を使用するアルファ-シヌクレインの凝集のレベルの測定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
「βシート型凝集体を形成するタンパク質」または「PFβ」という表現は、βシートの豊富な凝集体を形成可能なタンパク質、いわゆる、βシートの豊富な多量体形態(またはオリゴマー形態)を形成可能なタンパク質を示す。一般に、PFβの非凝集体形態は正常であるが、その凝集体形態は、特に、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病または筋萎縮性側索硬化症(ALS)によって特徴付けられる。ヒトまたは動物の天然または組換えタンパク質であり得る。本発明の文脈では、PFβの非凝集体形態は、「βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート非凝集体形態」または「PNAFβ」という表現によって示される。PFβの凝集体形態は、「βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート凝集体形態」または「PAFβ」と呼ばれる。
【0020】
PFβは、凝集体形態(PAFβ)である場合も、非凝集体形態(PNAFβ)である場合もあり、FUS(Fused in sarcoma)、TAF15、EWSR1、DAZAP1、TIA-1、TTR(トランスサイレチン)、シスタチンC、β2-ミクログロブリン、βアミロイドペプチド(β1-40アミロイドペプチドまたはβ1-42アミロイドペプチドなど)、TAU(チューブリン結合ユニット(Tubulin-Associated Unit))、α-シヌクレイン、β-シヌクレイン、γ-シヌクレイン、ハンチンチン(HTT)、SOD1(スーパーオキシドジスムターゼ1)、プリオンおよびTDP-43(TAR DNA結合タンパク質43)から選択され得る。例えば、PFβがTDP-43である場合には、「TDP-43 NAFβ」は、TDP-43の非凝集体形態に考えられ、「TDP-43 AFβ」はTDP-43の凝集体形態に考えられる。
【0021】
上記で列挙されたPFβは、特に、神経変性疾患に関与する。例えば、FUSは、筋萎縮性側索硬化症に関与し、TAF15は、筋萎縮性側索硬化症に関与し、βアミロイドペプチドは、アルツハイマー病および遺伝性脳アミロイドアンギオパチーに関与し、プリオンは、クロイツフェルト・ヤコブ病および海綿状脳症に関与し、α-シヌクレインは、パーキンソン病に関与し、TAUタンパク質は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症に関与し、トランスサイレチンは、老人性全身性アミロイドシスまたは家族性アミロイドポリニューロパチーに関与し、シスタチンCは、遺伝性脳アミロイドアンギオパチーに関与し、β2-ミクログロブリンは、血液透析関連アミロイドシスに関与し、ハンチンチンは、ハンチントン舞踏病に関与し、SOD1は筋萎縮性側索硬化症に関与し、TDP-43は、筋萎縮性側索硬化症および前頭側頭型認知症に関与する。好ましくは、PFβは、β1-42アミロイドペプチド、β1-40アミロイドペプチド、α-シヌクレインまたはTDP-43から選択される。
【0022】
本発明の方法が実行される試料は、少なくとも1つのPAFβを含有する可能性が高い任意の試料であり得る。ヒトもしくは動物起源の生体試料またはin vitroで培養された細胞もしくは組織の試料であり得る。
【0023】
「in vitro法」という用語は、ヒトまたは動物身体の外側で、例えば、微生物、臓器、組織、細胞、細胞細画分(例えば、核、ミトコンドリア)または(天然もしくは組換え)タンパク質で実行された方法を意味する。「in vitro」という用語は、ex vivoを包含する。
【0024】
試料は、例えば、PAFβと関連する疾患、例えば、上記のような神経変性疾患を有する、または有すると疑われる個体、ヒトまたは動物に由来する場合がある。例えば、試料は、血液試料、血漿試料、血清試料または脳脊髄液試料から選択され得る。試料はまた、個体から得た組織または細胞から、例えば、脳、中枢神経系組織、臓器、例えば、脾臓および腸から調製できる。したがって、試料は、細胞溶解物、細胞ホモジネート、組織溶解物または組織ホモジネート、例えば、脳ホモジネートであり得る。試料はまた、細胞(例えば、細胞株)、細胞細画分(例えば、核、ミトコンドリア)または(天然もしくは組換え)タンパク質を含み得る。
【0025】
試料はまた、in vitroもしくはex vivoで培養された細胞に、または組織に、好ましくは、PAFβと関連する疾患の細胞または組織モデルに由来する場合がある。例えば、試料は、細胞溶解物、細胞ホモジネート、組織溶解物、組織ホモジネート、細胞培養上清または組織培養上清から選択され得る。
【0026】
好ましくは、試料は、細胞溶解物または細胞ホモジネートである。
【0027】
「容器」という用語は、プレートのウェル、試験管または本発明による方法の実施に必要な試料を試薬と混合するのに適した任意の他の容器を示す。
【0028】
本発明の意味内で、「リガンド」という用語は、標的分子に結合可能な分子を表す。本発明の文脈において、標的分子はPNAFβである。そのため、これは、「PNAFβのリガンド」と呼ばれる。リガンドは、タンパク質性(例えば、タンパク質またはペプチド)である場合も、ヌクレオチド性(例えば、DNAまたはRNA)である場合もある。本発明の文脈において、リガンドは、有利には、抗体、抗体断片、ペプチドまたはアプタマー、好ましくは、抗体または抗体断片から選択される。
【0029】
本発明の意味内で、「PNAFβに特異的に結合可能なリガンド」または「PNAFβに特異的に結合可能なリガンドの対」という用語は、PAFβに関してPNAFβに優先的に結合するリガンドまたはリガンドの対、すなわち、少なくとも1つのPNAFβに関して、対応するPAFβに関して生成されるシグナルよりも、2倍高い、例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5または少なくとも6倍高いシグナル(例えば、ELISAシグナルまたはRETシグナル)を生成可能な、リガンドまたはリガンドの対を示す。本出願の実施例1~4および25は、リガンドまたはリガンドの対がPNAFβに特異的に結合可能であるか否かを容易に決定することを可能にするELISAおよびFRET法を記載する。
【0030】
有利には、「PNAFβに特異的に結合可能なリガンド」または「PNAFβに特異的に結合可能なリガンドの対」は、対応するPAFβに対する親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で、例えば、対応するPAFβに対する親和性よりも少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、少なくとも6倍高い、少なくとも7倍高い、少なくとも8倍高い、少なくとも9倍高い、少なくとも10倍高い親和性でPNAFβに結合可能である。PNAFβに特異的に結合可能なリガンドの対の場合には、リガンドの対がPNAFβに対して特異的であるためには、リガンドの対の2つのリガンドがPNAFに対して特異的である必要はない。実際、リガンドの対がPNAFβに対して特異的であるためには、リガンドの対の2つのリガンドのうち少なくとも1つがPNAFβに対して特異的なリガンドであることで十分である。それにもかかわらず、リガンドの対の両リガンドがPNAFβに対して特異的なリガンドである場合もある。
【0031】
「親和性」という用語は、リガンドおよび抗原の間のすべての非共有結合相互作用の強度を指す。親和性は、普通、解離定数(Kd)によって表される。Kdの値が低いほど、リガンドとその標的の間の結合親和性は高くなる。解離定数(Kd)は、周知の方法によって、例えば、FRETによって、ELISAによって、またはSPRによって測定できる。したがって、文献に記載される技術によって、リガンドまたはリガンドの対が、PNAFβに対して特異的であるか否かを知ることが容易になる。
【0032】
「抗体」という用語は、「免疫グロブリン」とも呼ばれ、鎖内および鎖間ジスルフィド橋によって一緒に結合された、各々およそ50~70kDaの2つの重鎖(重に対してH鎖と呼ばれる)および各々およそ25kDaの2つの軽鎖(軽に対してL鎖と呼ばれる)からなるヘテロ四量体を指す。各鎖は、N末端位置に、軽鎖についてVL、重鎖についてVHと呼ばれる可変領域またはドメインならびにC末端位置に、軽鎖についてCLと呼ばれる単一ドメインおよび重鎖についてCH1、CH2、CH3、CH4と呼ばれる3つまたは4つのドメインで構成されている定常領域から構成される。各可変ドメインは、一般に、4つの「ヒンジ領域」(FR1、FR2、FR3、FR4と呼ばれる)および「CDR」と呼ばれる(CDR1、CDR2、CDR3と呼ばれる)抗原との結合に直接的に関与する3つの領域を含む。「抗体」は、哺乳動物(例えば、ヒトまたはマウスまたはラットまたはラクダ類)、ヒト化、キメラ、組換え起源であり得る。好ましくは、当業者に広く知られた技術に従って遺伝子改変された細胞によって組換えによって産生されたモノクローナル抗体である。抗体は、任意のアイソタイプ、例えば、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE、好ましくは、IgGのものであり得る。
【0033】
「抗体断片」という用語は、酵素消化によって得られた、または生物学的生産によって得られる、少なくとも1つのジスルフィド橋を含む、全抗体によって認識される抗原に結合可能である免疫グロブリンの任意の部分、例えば、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディー、線形抗体(「単一ドメイン抗体」もしくはsdAb、またはナノボディーとも呼ばれる)、単一鎖を有する抗体(例えば、scFv)を意味する。ペプシンを用いる免疫グロブリンの酵素消化は、F(ab’)2断片およびFc断片を生成し、いくつかのペプチドにわけられる。F(ab’)2は、鎖間ジスルフィド橋によって結合された2つのFab’断片で構成されている。Fab部分は、可変領域ならびにCH1およびCLドメインで構成されている。Fab’断片は、Fab領域およびヒンジ領域で構成されている。Fab’-SHとは、ヒンジ領域のシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’断片を指す。
【0034】
「トレーサー」という用語は、適切な検出デバイスを用いて検出できるシグナルを直接的または間接的に放出可能な化学的または生物学的物質を意味する。蛍光、発光、放射活性または酵素的トレーサーであり得る。特定の実施形態では、トレーサーは、RETパートナーの対のメンバーである。
【0035】
「RET」(「共鳴エネルギー移動」から)という用語は、エネルギー移動技術を示す。RETは、FRETまたはBRETであり得る。
【0036】
「FRET」(「蛍光共鳴エネルギー移動」から)という用語は、2つの蛍光分子間のエネルギーの移動を示す。FRETは、エネルギードナーとエネルギーアクセプター間の双極子-双極子相互作用に起因する非放射性エネルギー移動として定義される。この物理現象は、これらの分子の間のエネルギー適合性を必要とする。これは、ドナーの発光スペクトルが、アクセプターの吸収スペクトルに少なくとも部分的に重複しなくてはならないということを意味する。フェルスターの理論と一致して、FRETは、2つの分子、ドナーおよびアクセプターを離す距離に依存するプロセスである:これらの分子が互いに近い場合には、FRETシグナルが放出される。
【0037】
「BRET」(「生物発光共鳴エネルギー移動」から)という用語は、生物発光分子と蛍光分子の間のエネルギーの移動を示す。
【0038】
「RETパートナーの対」という用語は、エネルギードナー化合物(本明細書において以下、「ドナー化合物」)およびエネルギーアクセプター化合物(本明細書において以下、「アクセプター化合物」)からなる対を示し、互いに極接近し、ドナー化合物の励起波長で励起されると、これらの化合物は、RETシグナルを放出する。2つの化合物がRETパートナーであるには、ドナー化合物の発光スペクトルは、アクセプター化合物の励起スペクトルと部分的に重複しなくてはならないということが知られている。例えば、これは、蛍光ドナー化合物およびアクセプター化合物を使用する場合の「FRETパートナーの対」またはドナー生物発光化合物およびアクセプター化合物を使用する場合の「BRETパートナーの対」の場合である。
【0039】
「RETシグナル」という用語は、ドナー化合物とアクセプター化合物の間のRETを代表とする任意の測定可能なシグナルを示す。したがって、例えば、FRETシグナルは、ドナー蛍光化合物またはアクセプター化合物の、後者が蛍光である場合の強度または発光寿命の変動であり得る。
【0040】
<<2つの容器>>検出法
第1の態様によれば、本発明は、試料においてβシート凝集体を形成するタンパク質のβシート凝集体形態(PAFβ)を検出するためのin vitro法であって、以下のステップ:
a)第1の容器において:
a1)PAFβを含有する可能性が高い試料を入れるステップ、
a2)βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート非凝集体形態(PNAFβ)を得るためにPAFβのすべてまたは一部分を脱凝集するために、pHを9.7~13.2の範囲のpHに調整するステップ、
a3)pHを6~9の範囲のpHに調整するステップ、
b)適切な免疫学的方法を用いて第1の容器中のPNAFβ含量を測定するステップ、
c)第2の容器において:
c1)ステップa1)と同一の試料を入れるステップ、
c2)pHを6~9の範囲のpHに調整するステップ、
d)ステップb)と同一の方法を使用して第2の容器中のPNAFβ含量を測定するステップ、
e)ステップb)およびd)において測定された含量を比較し、ステップb)において測定された含量と比較したステップd)において測定された含量の減少が、試料がPAFβを含有することを示すステップ
を含む方法に関する。
【0041】
本発明による方法の一般的な原理が
図1に例示されている。
【0042】
以下、方法を詳細に段階的に記載する。
ステップa)
ステップa1)は、第1の容器において、PAFβを含有する可能性が高い試料を入れるステップからなる。試料は、方法のステップ、特に、PNAFβ含量を測定するステップを適宜実施できるように事前に調製できる。例えば、試料が組織または細胞である場合に、適切な溶媒、例えば、水中で溶解すること、粉砕すること、濾過することおよび/または分解することによって事前に調製できる。当業者ならば、試料を調製することは困難ではないであろう。
【0043】
ステップa2)は、βシート凝集体を形成するタンパク質のβシート非凝集体形態(PNAFβ)を得るためにPAFβのすべてまたは一部分を脱凝集するために、pHを9.7~13.2の範囲のpHに調整するステップからなる。本出願人は、実際に9.7~13.2の範囲のpHによってPAFβを脱凝集することが可能になることに気づいた。この脱凝集現象によって、PAFβからPNAFβを得ることが可能になる。
【0044】
9.7~13.2の範囲のpHでのこの脱凝集の現象は、先行技術において記載された脱凝集法は、むしろ酸性pHで強力な洗浄剤を用いておよび/または超音波処理によってPNAFβを処置することからなるので、実に驚くべきことである。例えば、[7]に記載された作業は、アミロイド線維から相対的に単量体のアミロイドタンパク質を得るための種々の方法を示す。第1のアプローチでは、アミロイド線維の調製物が、酸、88%ギ酸を、強力な界面活性剤タイプの洗浄剤、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と組み合わせることによって処置される。代替法として、カオトロピック剤、チオシアン酸グアニジンの飽和溶液(6.8M)をSDSと組み合わせることがある。両方の場合において、著者らは、比較的単量体のアミロイドタンパク質(単量体および二量体の混合物)を支持してアミロイド線維の消失に注目できた。別の研究[8]には、生体試料を処置して、それらが含有するアミロイドタンパク質(β1-42アミロイドペプチド)を脱凝集し、その後、それらをELISA試験によってアッセイする異なる方法が記載されている。マウス脳の抽出物または患者の脳脊髄液が、アミロイドタンパク質を脱凝集するためにフッ素化アルコール(HFIP)または酸(TFA)の溶液を用い、15分間の超音波処理と併用して処置される。次いで、窒素の一定流の下で乾燥することによってHFIPまたはTFAが除去される。脱凝集されたアミロイドタンパク質を含有する乾燥試料が次いで、1% NH4OH溶液に溶解され、その後分析される。著者らは、これら2種類の処置によって、β142アミロイドペプチド凝集体を脱凝集し、それによってその定量化を改善することが可能となると示唆している。
【0045】
それにもかかわらず、本出願人は、先行技術に記載された脱凝集方法では、生理学的pH(実施例5~17を参照されたい)で実行することを必要とする免疫学的方法を用いてPNAFβ含量を測定することはできないことを示した。
【0046】
本発明の方法は、PAFβを脱凝集するために酸性pHでの処置を必要としない。それどころか、本出願人は、PAFβを9.7~13.2の範囲のpHで処置することによって脱凝集が可能であったことを示しただけでなく、この処置が、その後のPNAFβ含量を測定することを目的とする免疫学的方法の実施と完全に適合していたことも示した。
【0047】
有利には、ステップa2)は、pHを10~13.2の範囲のpH、例えば、11~13.2の範囲のpH、11.5~13.2の範囲のpH、12~13.2の範囲のpH、12.5~13.2の範囲のpH、12.8~13.2の範囲のpH、10~13の範囲のpH、11~13の範囲のpH、12~13の範囲のpH、例えば、約12.8に調整するステップからなる。
【0048】
pHは、塩基、例えば、強塩基、例えば、KOHまたはNaOH、好ましくは、NaOHを用いて調整される。
【0049】
ステップa2)の期間は、さまざまなパラメータ、例えば、使用される塩基または使用されるPFβに応じて変わり得る。特に、ステップa2)は、少なくとも30秒、例えば、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、例えば、30秒から60分の間または5分から30分の間持続する場合がある。当業者ならば、PNAFβを得るために、PAFβのすべてまたは一部分を脱凝集するように管理するためにステップa2)の期間を適応させることは困難ではないであろう。
【0050】
ステップa3)は、pHを6~9の範囲のpHに調整するステップからなる。このステップは、ステップb)の免疫学的方法を実行することを可能にするので重要である。
【0051】
有利には、ステップa3)は、pHを6.4~9の範囲のpH、例えば、6.4~8.4の範囲のpH、6~8.5の範囲のpH、7~8.5の範囲のpHに調整するステップからなる。
【0052】
pHは、酸、例えば、強酸、例えば、HClを用いて調整される。
【0053】
ステップb)
ステップb)は、適切な免疫学的方法(または適切な「イムノアッセイ」)を用いて第1の容器においてPNAFβ含量を測定するステップからなる。
【0054】
ステップb)の免疫学的方法によって、互いに同等である含量を得ることが可能になることが必要である。しかし、ステップb)において免疫学的方法が定量的である必要はないが、定量的である場合もある。ステップb)の免疫学的方法は少なくとも、相対含量の測定を可能にしなくてはならず、これを、同一免疫学的方法によって測定される別の相対含量と比較できる。
【0055】
特定の実施形態では、ステップb)において実行される免疫学的方法は、
(i)PNAFβに特異的に結合可能なリガンドであって、トレーサーで標識されているリガンド、または
(ii)PNAFβに特異的に結合可能なリガンドの対であって、リガンドの対の少なくとも1つのリガンドがトレーサーで標識されている、リガンドの対
を使用する。
【0056】
リガンド(i)は、抗体、抗体断片、ペプチドまたはアプタマー、好ましくは、抗体から選択され得る。リガンドの対(ii)は、抗体の対、抗体断片の対、ペプチドの対またはアプタマーの対、好ましくは、抗体の対から選択され得る。
【0057】
当業者ならば、例えば、マウスをPFβを用いて免疫化することによって、免疫化マウスの脾臓のリンパ球からリンパ球ハイブリダイゼーションを実施して、ハイブリドーマを生成することによって、および各ハイブリドーマの抗体をPNAFβに特異的に結合するその能力について試験することによって、所望の特性を有する抗体または抗体断片を得ることおよび/または選択することに困難はないであろう。抗PNAFβ抗体の生成のための、次いで、特異的抗体の選択のための完全プロトコールの例が、実施例1~4および25に詳述されている。したがって、例えば、実施例1~4および25に記載される方法を実行することによって本発明による方法の実施のために、任意のPNAFβに対する抗体または抗体の対を得ることは極めて容易である。
【0058】
PNAFβおよびPAFβを得ることは、当業者の理解の範囲内である。例えば、「プリオン様」タンパク質と呼ばれるタンパク質、例えば、TDP-43、FUS、TAF15およびEWSR1について、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)に融合されたこれらのタンパク質(タンパク質に応じてNまたはC末端融合物)の生成によって、GST融合タンパク質を得ることが可能となり、その比濁法分析はそれらが非凝集体形態であることを示す[9][10][13]。タバコエッチウイルスプロテアーゼ(TEV)切断部位が、目的のPFβとGSTの間に挿入される場合、GSTタンパク質のTEVを用いる処置と、それに続く精製ステップによって、標識を用いずにGSTタンパク質を得ることが可能となる。前記タンパク質が室温で撹拌しながら1時間30静置されると、比濁法分析によって、それらが凝集体形態であることが示される[10][13]。GSTに融合されたPFβはまた市販されており、例えば、Abnova製:GST-TDP-43(参照H00023435-P02)、GST-FUS1(参照H00002521-P01)、GST-TAF15(参照H00008148-P02)GST-EWSR1(参照H00002130-Q01)。
【0059】
アミロイドペプチド、特に、β1-40およびβ1-42形態も、多数の供給業者から粉末形態で入手可能である。これらの粉末のHFIPまたはNH4OHでの可溶化によって、90%より多い非凝集体形態を含有する保存溶液を得ることが可能となる。生理学的pH値を有するバッファーで前もって希釈したこれらの溶液の即時使用によって、非凝集体形態の試料を有することが可能となる。逆に、数時間~数日のインキュベーション、例えば、生理学的バッファー中、室温でのこれらの同一保存溶液の24時間を超えるインキュベーションによって、極めて高割合の凝集体形態を含有する試料を得ることが可能となる[11]。
【0060】
PNAFβおよびPAFβを含有する試料はまた、StressMarq(www.stressmarq.com)から得ることができる。これは、特に、アルファ、ベータおよびガンマシヌクレイン、TAUタンパク質、Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)タンパク質またはトランスサイレチン(TTR)の場合である。
【0061】
有利には、ステップb)において実行される免疫学的方法は、ELISA法またはRET法、例えば、FRETまたはBRETである。
【0062】
使用される方法に応じて、ステップb)の測定は、適切な試薬を添加することによって第1の容器において直接的に、または第1の容器の内容物のすべてまたは一部分を有する別の容器において行うことができる。例えば、RET法の試薬は、第1の容器に直接的に添加することができる。逆に、ELISA法は、好ましくは、ELISA法の実施に適応している別の容器において、特に、底部にPNAFβリガンドが事前に固定化されている容器において実施される。
【0063】
特定の実施形態では、ステップb)は、RET法によって実施され、
(b1)容器中に、RETパートナーの対の第1のメンバーで標識された第1のPNAFβリガンドおよびRETパートナーの対の第2のメンバーで標識された第2のPNAFβリガンドを入れ、リガンドの対は、PNAFβに特異的に結合できるステップ、ならびに
(b2)容器において放出されたRETシグナルを測定するステップ
からなる。
【0064】
RET法の実施のために、第1のリガンドおよび第2のリガンドは、PNAFβへの結合について競合してはならない、例えば、第1のリガンドおよび第2のリガンドは、PNAFβ上の同一エピトープに結合してはならないことは明らかである。実施例1~4および25に記載される方法を実施することによって適切なリガンドの対を選択することは容易である。
【0065】
リガンドは、直接的または間接的に標識できる。RETパートナーの対のメンバーによるリガンドの直接標識は、リガンド上の反応性基の存在に基づいて当業者に公知の従来法によって実施できる。例えば、リガンドが抗体または抗体断片である場合には、以下の反応性基を使用できる:末端アミノ基、アスパラギン酸およびグルタミン酸のカルボキシレート基、リジンのアミン基、アルギニンのグアニジン基、システインのチオール基、チロシンのフェノール基、トリプトファンのインドール環、メチオニンのチオエーテル基、ヒスチジンのイミダゾール基。
【0066】
反応性基は、RETパートナーの対のメンバーによって保持される反応性基と共有結合を形成できる。RETパートナーの対のメンバーによって保持される適切な反応性基は、当業者には周知であり、例えば、マレイミド基によって官能基付与されたドナー化合物またはアクセプター化合物は、例えば、タンパク質またはペプチド、例えば、抗体または抗体断片によって保持されるシステインによって保持されるチオール基と共有結合によって結合可能となる。同様に、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを保持するドナー/アクセプター化合物は、タンパク質またはペプチド上に存在するアミンに共有結合によって結合できる。
【0067】
リガンドはまた、蛍光または生物発光化合物を用いて間接的に標識できる、例えば、抗体または抗体断片を、それ自体がアクセプター/ドナー化合物に共有結合によって結合している測定媒体中に導入し、この第2の抗体または抗体断片がリガンドを特異的に認識することによって標識できる。
【0068】
間接標識の別の極めて従来的な手段は、ビオチンを標識されるべきリガンドに付着すること、次いで、このビオチン化リガンドをアクセプター/ドナー化合物で標識されたストレプトアビジンの存在下でインキュベートすることからなる。適したビオチン化リガンドは、当業者に周知の技術によって調製できる;Cisbio Bioassaysは、例えば、商品名が「d2」である、フルオロフォアで標識されたストレプトアビジンを市販している(参照610SADLA)。
【0069】
有利には、RETパートナーの対のメンバーの一方は、蛍光ドナーまたは発光ドナー化合物であり、RETパートナーの対のもう一方のメンバーは、蛍光アクセプター化合物または非蛍光アクセプター化合物(クエンチャー)である。
【0070】
RETがFRETである場合には、ドナー蛍光化合物は、ユウロピウムクリプテート、ユウロピウムキレート、テルビウムキレート、テルビウムクリプテート、ルテニウムキレート、量子ドット、アロフィコシアニン、ローダミン、シアニン、スクアライン、クマリン、プロフラビン、アクリジン、フルオレセイン、ホウ素-ジピロメテン誘導体およびニトロベンゾオキサジアゾールから選択されるFRETパートナーであり得る。RETがFRETである場合には、アクセプター蛍光化合物は、アロフィコシアニン、ローダミン、シアニン、スクアライン、クマリン、プロフラビン、アクリジン、フルオレセイン、ホウ素-ジピロメテン誘導体、ニトロベンゾオキサジアゾール、量子ドット、GFP、GFP10、GFP2およびeGFPから選択されるGFPバリアント、YFP、eYFP、YFPトパーズ、YFPシトリン、YFPヴィーナスおよびYPetから選択されるYFPバリアント、mOrange、DsRedから選択されるFRETパートナーであり得る。
【0071】
RETがBRETである場合には、ドナー発光化合物は、ルシフェラーゼ(luc)、ウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)、ウミシイタケルシフェラーゼのバリアント(Rluc8)およびホタルルシフェラーゼから選択されるBRETのパートナーであり得る。RETがBRETである場合には、アクセプター蛍光化合物は、アロフィコシアニン、ローダミン、シアニン、スクアライン、クマリン、プロフラビン、アクリジン、フルオレセイン、ホウ素-ジピロメテン誘導体、ニトロベンゾオキサジアゾール、量子ドット、GFP、GFP10、GFP2およびeGFPから選択されるGFPバリアント、YFP、eYFP、YFPトパーズ、YFPシトリン、YFPヴィーナスおよびYPetから選択されるYFPバリアント、mOrange、DsRedから選択されるBRETパートナーである。
【0072】
特定の実施形態では、ステップb)は、ELISA法によって実施され、
(b1)底部に第1のPNAFβリガンドが固定化されている容器中に、試料のすべてまたは一部分を入れ、次いで、トレーサーで標識された第2のPNAFβリガンドを入れ、リガンドの対がPNAFβに特異的に結合可能であるステップ、
(b2)容器において放出されたELISAシグナルを測定するステップ
からなる。
【0073】
ELISA法は、先行技術において広く記載されており、当業者には実施の困難は全くない。
【0074】
ステップc)
ステップc)は、第1の容器中に、c1)ステップa1)と同一の試料を入れるステップからなる。
【0075】
ステップa)に反して、pHは、ステップc)の間に9.7~13.2の範囲のpHに調整される。pHは、6~9の範囲のpH(ステップc2))に、好ましくは、ステップa3)のpHと同一のpHに直接的に調整される。
【0076】
ステップc2)のpHは、酸/塩基混合物、例えば、強酸/強塩基混合物を用いて調整できる。例えば、NaOH/HCl混合物であり得る。好ましくは、ステップc2)において使用される酸は、ステップa3)において使用されるものと同一であり、ステップc2)において使用される塩基は、ステップa2)において使用される塩基と同一である。
【0077】
ステップd)
ステップd)は、ステップb)と同一の方法を用いて第2の容器中のPNAFβ含量を測定するステップからなる。ステップd)は、ステップb)と同一の方法で実行され、測定値を比較し、ステップe)を実行できる。
【0078】
したがって、ステップb)がRET法によって実施される場合には、ステップd)は、
(d1)容器中に、RETパートナーの対の第1のメンバーで標識された第1のPNAFβリガンドおよびRETパートナーの対の第2のメンバーで標識された第2のPNAFβリガンドを入れ、リガンドの対が、PNAFβに特異的に結合できるステップ、ならびに
(d2)容器において放出されたRETシグナルを測定するステップ
からなる。
【0079】
同一方法では、ステップb)がELISA法によって実施される場合には、ステップd)は、
(d1)底部に第1のPNAFβリガンドが固定化されている容器中に、試料のすべてまたは一部分を入れ、次いで、トレーサーで標識された第2のPNAFβリガンドを入れ、リガンドの対がPNAFβに特異的に結合可能であるステップ、
(d2)容器において放出されたELISAシグナルを測定するステップ
からなる。
【0080】
ステップe)
ステップe)は、ステップb)において、およびステップd)において測定された含量を比較し、ステップb)において測定された含量と比較したステップd)において測定された含量の減少が、試料がPAFβを含有することを示すステップからなる。
【0081】
第1のおよび第2の容器が交換された場合には、ステップe)が、ステップb)において、およびステップd)において測定された含量を比較し、ステップb)において測定された含量と比較したステップd)において測定された含量の増大が、試料がPAFβを含有することを示すステップからなることは明らかである。
【0082】
当業者ならば、ステップb)およびd)において測定された含量を容易に比較し、増大または減少を認定することを可能にする閾値を定義できる。例えば、5%より大きい、10%より大きい、15%より大きい、20%より大きい、25%より大きい測定された含量間の差。閾値の決定は、選択された免疫学的方法に固有の変動性に応じて変わる場合がある。
【0083】
当業者ならば、例えば、ステップb)およびd)において測定された含量間の比を算出できるであろう。一般に、測定された含量間の差が大きいほど、測定された含量間の比が大きくなり、試料中のPAFβの量が多くなる。
【0084】
免疫学的方法がELISA法またはRET法である場合には、ステップb)およびd)において測定されたRETシグナルまたはELISAシグナルが比較される。したがって、RETシグナルの減少またはELISAシグナルの減少は、試料がPAFβを含有することを示す。有利には、比は、第1の容器において測定されたシグナル(ステップb))と、第2の容器において測定されたシグナル(ステップd))の間で算出される。比の算出は、手作業で、または自動で行うことができる。
【0085】
好ましくは、ステップa3)とステップb)の間および/またはステップc2)とステップd)の間の期間は、PNAFβがPAFβに再凝集することを防ぐように適応される。期間は、24時間未満、例えば、5時間未満となることが好ましい。有利には、ステップb)およびd)は、それぞれステップa3)およびc2)に続いて、すなわち、ステップa3)およびc2)後30分未満に実施される。当業者は、ステップc)および/またはステップd)の前に、PNAFβのすべてまたは一部分がPAFβに再凝集することを防ぐように、ステップa3)の、および/またはステップc2)の期間を適応させることに困難はないであろう。
【0086】
ステップe)における2つの試料中の含量の比較によって、凝集のレベルを、特に、先行技術のほとんどの方法と比較して極めて正確に測定することが可能となる。
【0087】
治療効力をモニタリングする方法
本発明はまた、患者においてPAFβと関連する疾患の処置の治療効力をモニタリングするためのin vitro法であって、以下のステップ:
A)ステップe)が、ステップb)で測定された含量とステップd)で測定された含量の間の比(「試料1の比b)/d)」)を決定することからなる、前記患者の第1の試料で本発明による方法を実行するステップ、
B)前記患者の第2の試料でステップA)と同一の方法を実行して、「試料2の比b)/d)」を決定するステップ、
C)ステップA)およびB)において決定された比を比較し、ステップB)において決定された比が、ステップA)において決定された比よりも低い場合に治療効力が観察されるステップ
を含む、方法に関する。
【0088】
処置は、PAFβと関連する疾患の公知の処置または実験的処置であり得る。試料は、好ましくは、PAFβ関連疾患を有する個体に由来する。
【0089】
処置の有効性をモニタリングできるためには、第1の試料および第2の試料は、異なる時点で患者から採取され、例えば、第1の試料はT1の時点で採取され、第2の試料はT2の時点で採取される。有利には、第1の試料は、第2の試料の前に採取される、例えば、第1の試料が、T1の時点、患者の処置の前または前記処置の間で採取され、第2の試料が、T2の時点、前記処置後または前記処置の間に採取される。第1の試料の収集と第2の試料の収集の間に経過する時間は、処置の治療的有効性を検出できるように選択される。
【0090】
薬理学的有効性の測定をモニタリングする方法
本発明はまた、試験試料においてPAFβと関連する疾患に対する薬物分子または薬物候補の薬理学的有効性を測定するためのin vitro法であって、以下のステップ:
A)ステップe)が、ステップb)で測定された含量とステップd)で測定された含量の間の比(「試料1の比b)/d)」)を決定することからなる、前記試験試料の第1の試料で本発明による方法を実行するステップ、
B)前記試験試料の第2の試料でステップA)と同一の方法を実行して、「試料2の比b)/d)」を決定するステップ、
C)ステップA)およびB)において決定された比を比較し、ステップB)において決定された比が、ステップA)において決定された比よりも低い場合に薬理学的有効性が観察されるステップ
を含む、方法に関する。
【0091】
分子は、薬物または薬物候補であり得る。試料は、好ましくは、in vitroで培養された細胞または組織に由来する。結果として、薬物分子または薬物候補は、好ましくは、PAFβと関連する疾患のin vitroモデルで試験される。このようなモデルは、文献において広く記載される。
【0092】
試験試料は、in vitroで薬物または薬物候補を試験することを可能にする試料に対応し、例えば、in vitroで培養された細胞の試料またはin vitroで培養された組織の試料であり得る。試験試料は、「PAFβと関連する疾患のin vitroモデル」と一般に呼ばれるものに対応する。したがって、薬物分子または薬物候補の薬理学的有効性を測定できるためには、第1の試料および第2の試料は、異なる時点で試験試料から採取され、例えば、第1の試料はT1の時点で採取され、第2の試料はT2の時点で採取される。有利には、第1の試料は、第2の試料の前に採取される、例えば、第1の試料が、T1の時点、薬物分子または薬物候補を用いる試験試料の処置の前に採取され、第2の試料が、T1の時点、前記処置後に採取される。第1の試料の採取と第2の試料の採取の間に経過する時間は、薬物分子または薬物候補の薬理学的有効性を検出できるように選択される。
【実施例】
【0093】
本発明をここで、以下の限定されない実施例によって説明する。
【0094】
実施例1
PNAFβに特異的な抗体を同定する方法
【0095】
抗PNAFβ抗体の作製
マウス免疫化
BALB/cマウスを、生理学的条件下で調製されたリン酸バッファーで事前に希釈したPNAFβタンパク質の注射によって免疫化する。PNAFβ多量体または凝集体の有無は、マウスの免疫応答を非凝集体形態に向けるために注射のために意図されるバッファー中で確認される。第1の注射に、3回のブースターを毎月の間隔で続ける。
【0096】
各注射の15日後、マウスで血液穿刺を実施し、抗体の力価測定によって免疫応答の存在を確認する。
【0097】
ELISA試験による抗PNAFβ抗体における免疫血清の力価測定
この目的のために、PFβの性質に応じてELISA型免疫検出試験を実行する。アミロイド型PFβまたはペプチドについては、PNAFβを、ビオチン、炭素リンカーおよびNHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)反応性基から構成される試薬を使用して、ビオチンを用いてその第一級リジンで事前に標識する。非アミロイドまたはアミロイドPFβについては、GST融合物中のPNAFβを、グルタチオン基で機能付与されたELISAマイクロプレートを使用することによってGSTタグを介して96ウェルプレート上に直接的に固定化する。ビオチン標識されたタンパク質を、ストレプトアビジンを用いて機能付与されたマイクロプレートを使用してビオチンを介して96ウェルELISAプレート上に固定化する。この目的のために、100μlのGST融合物および/またはビオチン化PNAFβ溶液を各ウェルに添加し、次いで、室温で2時間インキュベートする。次いで、ウェルを0.05% Tween-20を補給したPBSバッファーで3回洗浄する。洗浄溶液を除去した後、次いで、各ウェルを、PBS、5% BSAから構成される200μLのブロッキング溶液とともに4℃で一晩インキュベートする。
【0098】
次いで、PBS+0.1% BSAバッファー中、ウェルあたり100μLのレベルで、2連で血液試料の1000万~1億倍の段階希釈(免疫血清)を添加し、撹拌しながら2時間インキュベートする。200μlのPBS 1×バッファー、0.05% Tween20での3回の洗浄ステップによって、固定化されたPNAFβに結合していない非特異的抗体を排除する。特異的な抗体の存在の可能性を、ウェルあたり100μLの、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)に結合されたマウス抗Fc二次抗体(PBS、BSA 0.1%で1/10000に希釈されたSigma番号A0168)を使用して検出する。撹拌しながら室温での1時間のインキュベーション、次いで、200μLのPBS 1×バッファー、0.05% Tween20の下で3回の洗浄後、450nmでの発色アッセイによってHRPの顕色を、そのTMB基質(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、Sigma番号T0440)の室温で撹拌しながら20分間のインキュベーション後に実施する。次いで、このブロッキング溶液を吸引によって除去し、プレートを将来の使用のために4℃で保存する。
【0099】
ELISA試験によって検出された抗体が実際にPNAFβタンパク質に対して向けられており、GSTタグまたはビオチンに対するものではないことを確実にするために、同一穿刺を、過剰の、GSTまたはビオチンでタグが付けられた別の直交性タンパク質とのプレインキュベーション後にELISA試験で試験した。したがって、抗タグ抗体は、タグが付けられた直交性タンパク質に結合し、それゆえ、ウェルの底部に固定化されたPNAFβタンパク質に結合せず、この場合、HRPシグナルは検出されない、またはHRPシグナルの低下が検出される。
【0100】
融合&クローニング
最良の抗PNAFβ抗体力価(シグナル、すなわち、450nmで高い光学濃度)を有し、抗TAG対照の場合にはシグナルの最小の低下を有するマウスを、融合とも呼ばれるリンパ球ハイブリダイゼーションの次のステップのために選択する。マウス脾臓を摘出して、リンパ球および形質細胞の混合物を単離する。この多細胞試料をポリエチレングリコール(PEG)タイプの細胞融合触媒の存在下でin vitroで骨髄腫細胞株と融合する。酵素HGPRT(ヒポキサンチングアノシンホスホリボシルトランスフェラーゼ)を欠損した突然変異体骨髄腫細胞株を使用して、ハイブリドーマと呼ばれるハイブリッド細胞の選択を可能にする。これらの細胞をヒポキサンチン、アミノプテリン(メトトレキサート)およびチアミンを含有する培地(HAT培地)で培養して、融合されていない骨髄腫細胞の排除を可能にし、したがって、目的のハイブリドーマを選択する。他方、融合していない脾臓細胞は、それらがin vitroで増殖できないので死滅する。したがって、ハイブリドーマのみがin vitroでこの選択圧を生き残る。
【0101】
これらのハイブリドーマを、培養プレートで培養する。これらのハイブリドーマの上清を試験して、抗PNAFβ抗体を産生するその能力を評価する。この目的のために、ELISA試験を上記のように実施する。クローンを選択するために使用される最小閾値は、非特異的のものの4倍とする。安定なハイブリドーマクローンを得るために、最良ハイブリドーマを制限希釈ステップを用いてクローニングする。
【0102】
選択されたクローンを、ハイブリドーマのバンクを形成することを目的として培養し、細胞生存力について試験し、液体窒素中で保存する。このステップでは、クローンによって産生された抗体を、例えば、産生株細胞において抗体を産生できるように、先行技術において十分に記載された方法によって容易にシーケンシングできる。あるいは、抗体を以下に記載されるように生成する。
【0103】
抗PNAFβ抗体の生成
腹水の液体における多量の抗体の産生を可能にするために、目的のハイブリドーマのクローンを培養物に戻し、次いで、細胞接種材料をBALB/cマウス中に注射(腹腔内注射、IP)する。
【0104】
抗体含量を定量化および定性化することを目的とするさまざまな技術による腹水の内容物の特性決定後、次いで、プロテインAがグラフトされた樹脂を含むカラムでのアフィニティークロマトグラフィーによって、任意選択の塩を用いる沈殿後に前記抗体を精製する。カラムを洗浄して、抗体から離れた成分を除去した後、グリシンバッファーで酸性pHでショックを与えることによって抗体含量を溶出する。pH中和および中性pHのバッファーに対する透析後、抗PNAFβ抗体は、4℃での保存または凍結およびその後の使用/特性決定(アイソタイピング、アッセイ、機能試験)の準備が整う。
【0105】
PNAFβに特異的に結合可能な抗体の対の選択(ELISA法)
PAFβに対してPNAFβを優先的に認識する抗体の対を選択するために、ELISA型試験を実行する。この目的のために、試験される対の抗体の一方を、Lightning-LinkラピッドビオチンタイプAキット(Expedeon、参照SKU 370-0005)を供給業者の推奨に従って使用してビオチン化する。1から20μg/mLの間で構成される濃度にPBSバッファーで事前に希釈した試験される対の第2の抗体を、「高結合」ELISA型の96ウェルプレート上に吸着させる。この目的のために、100μLの抗体を各ウェルに添加し、次いで、4℃で20時間インキュベートし、続いて、PBS 1×バッファー、0.05% Tween20で3回洗浄する。洗浄溶液を除去した後、次いで、各ウェルを、200μLの、PBS、5% BSAから構成されるブロッキング溶液とともに4℃で一晩インキュベートする。次いで、吸引によってこのブロッキング溶液を除去し、プレートを将来の使用のために4℃で保存する。
【0106】
同一初期濃度のPNAFβまたはPAFβを含有する試料の1~1/100倍の段階希釈を100μL/ウェルのレベルで添加し、撹拌しながら室温で2時間インキュベートする。プレート上に吸着された抗体に結合されていないPNAFβまたはPAFβは、PBS 1×バッファー、0.05% Tween20での3回の洗浄ステップによって排除される。10から200ng/mLの間で構成される濃度にPBSバッファーで事前に希釈したビオチン化抗体を100μL/ウェルのレベルで添加し、撹拌しながら室温で2時間インキュベートする。PNAFβまたはPAFβに結合されていないビオチン化抗体は、PBS 1×バッファー、0.05% Tween20での3回の洗浄ステップによって排除される。結合された抗体の検出は、PBS、0.1% BSAで1/10に希釈されたストレプトアビジン-HRP(R&D Systems、参照DY998)を使用して実施する。撹拌しながら室温で30分のインキュベーション、次いで、PBS 1×バッファー、0.05% Tween20で3回の洗浄の後、450nmでの光学濃度(O.D.450nm)を測定し、続いて、撹拌しながら室温で20分間の、そのTMB基質(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、Sigma番号T0440)のインキュベーションによってHRPの顕色を実施する。
【0107】
第1のステップでは、PNAFβの種々の希釈を用いて測定されたO.D.450nmを分析することによって、PNAFβまたはPAFβの試料の参照希釈を決定する。
図2に示されるように、参照希釈は、最大O.D.450nmの80%が得られるものである。
【0108】
第2のステップでは、PNAFβの試料の参照希釈を用いて得られたO.D.450nmを、PAFβの試料の同一希釈を用いて測定されたO.D.450nmと比較する。
図3に示されるように、PNAFβに特異的に結合できる抗体の対は、PNAFβ試料で測定されたO.D.450nmと比較してPAFβ試料で50%低いO.D.450nmをもたらす。
【0109】
PNAFβに特異的に結合可能な抗体の対の選択(FRET法)
PAFβを上回ってPNAFβを優先的に認識する抗体の対を選択するために、FRET試験を設定する。この試験は、Cisbio Bioassays HTRF(登録商標)技術に基づいている。この技術の原理は、ドナー分子、テルビウムクリプテート(ドナー)と蛍光エネルギーアクセプター分子d2(アクセプター)間の蛍光エネルギー移動に基づいている。
図4で図示されるように、これら2つの蛍光分子を、共有結合によって抗体にグラフトし、免疫学的アッセイを実行する。この目的のために、試験される対の抗体の一方を、テルビウムクリプテート標識キット(Cisbio Bioassays、参照62TBSPEA)であるキットを製造業者の推奨に従って使用してドナーLumi4テルビウムで標識する。使用前に、ドナーで標識された抗体を20mM HepesバッファーpH=7.4、0.1% BSAで0.5nMの濃度に希釈する。試験される対の第2の抗体を、d2標識キット(Cisbio Bioassays参照62D2DPEA)を供給業者の推奨に従って使用してアクセプターd2で標識する。使用前に、ドナーで標識された抗体を20mM HepesバッファーpH=7.4、0.1% BSAで5nMの濃度に希釈する。同一初期濃度のPNAFβまたはPAFβを含有する試料の1~1/100倍の段階希釈を、16μL/ウェルのレベルで384マイクロプレートに分配する。次いで、ドナーで標識された抗体の0.5nM溶液2μLおよびアクセプターで標識された抗体の5nM溶液2μLを各ウェルに添加する。マイクロプレートを室温で20時間インキュベートする。種々のプレートにおけるFRETシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0110】
第1のステップでは、PNAFβの種々の希釈を用いて測定されたHTRFシグナルを分析することによって、PNAFβまたはPAFβの試料の参照希釈を決定する。
図5に示されるように、参照希釈は、イムノアッセイの飽和プラトーの前の最大HTRFシグナルの80%が得られるものである。
【0111】
第2のステップでは、PNAFβの試料の参照希釈を用いて得られたHTRFシグナルを、PAFβの試料の同一希釈を用いて測定されたHTRFシグナルと比較する。
図6で図示されるように、PNAFβに特異的に結合可能な抗体の対は、PNAFβ試料で測定されたHTRFシグナルと比較してPAFβ試料で50%低いHTRFシグナルをもたらす。
【0112】
実施例2
TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対の同定を可能にする方法(FRET法)
TDP-43 AFβまたはTDP-43 NAFβを含有する試料を得るための代替法は、HeLa細胞を培養することおよびそれらをスタウロスポリンを用いて少なくとも6時間処置することまたはしないことからなる。SDS-PAGEおよびウエスタンブロットによる細胞溶解物の分析は、未処置HeLa細胞溶解物がTDP-43 NAFβを含有するが、一方で、スタウロスポリンで処置されたHeLa溶解物は本質的にTDP-43 AFβを含有することを示す[12]。
【0113】
方法は、実施例1において記載されたFRET技術(Cisbio BioassaysからのHTRF(登録商標)技術)に基づいている。
【0114】
試験されるべき抗体の調製
TDP-43に対して向けられる5種の抗体を、ドナーを用いて、およびアクセプターを用いてそれぞれ標識した。これらの標識は、Cisbio Bioassaysによって販売されている標識キット(商業的参照62EUSUEAおよび62D2DPEA)を使用して実施した。得られた標識比率(抗体あたりの蛍光分子数)は、見込みと一致した。ドナーマーキング比率は5.9から7.9の間で構成された。アクセプター標識比率は、2.3から3.3の間で構成された。
【0115】
以下の表は、試験された抗体の特徴を示す。
【0116】
【0117】
試験するために、すべての抗体をバッファーで希釈して、ドナーで標識された抗体について3nMおよびアクセプターで標識されたものについて30nMのそれぞれの濃度を得た。
【0118】
TDP-43 NAFβ(単量体)の試料の調製
フラスコ(175cm2)において、完全培養培地(MEMアルファ培地+2mM Hepes+10% 補体除去ウシ胎児血清+1%抗生物質、ペニシリン5000U/mlおよびストレプトマイシン5000μg/ml)中で、500万個の細胞を用いてHeLa細胞を播種した。78時間後、培養培地を吸引した。次いで、細胞溶解バッファーを用いて細胞を溶解した。TDP-43 NAFβを含有する得られた溶解物(本明細書において以下「単量体試料」)を、その使用を目的として-80℃で凍結した。この試料を、文献[12]において推奨されるようにウエスタンブロットによって調べて、非凝集TDP43(TDP-43 NAFβ)を本質的に含有することを確実にした。
【0119】
TDP-43 AFβ(凝集体)の試料の調製
フラスコ(175cm2)において、完全培養培地(MEMアルファ培地+2mM Hepes+10% 補体除去ウシ胎児血清+1%抗生物質、ペニシリン5000U/mlおよびストレプトマイシン5000μg/ml)中で、500万個の細胞を用いてHeLa細胞を播種した。72時間後、培養培地を吸引した。完全培地中の1μMのスタウロスポリン溶液を、培養細胞に6時間添加した。スタウロスポリンを用いる細胞の処置によって、TDP-43が凝集され、TDP-43 AFβを得ることが可能となる。次いで、培養培地を吸引し、その後、細胞溶解バッファーを添加した。TDP-43 AFβを含有する得られた溶解物(本明細書において以下「凝集体試料」)を、その後の使用を目的として-80℃で凍結した。この試料を、文献[12]において推奨されるようにウエスタンブロットによって調べて、凝集されたTDP43(TDP-43 AFβ)を本質的に含有することを確実にした。
【0120】
単量体または凝集体での抗体の対のスクリーニング
試験当日に、単量体および凝集体試料を解凍し、その後、384ウェルマイクロプレート(Greiner参照784075)に分配した。
【0121】
以下の試薬を以下の順序でマイクロプレートに添加した:
-16μLの単量体試料または凝集体試料、
-2μLのドナー抗体、
-2μLのアクセプター抗体。
【0122】
次いで、プレートを室温で一晩インキュベートした。
【0123】
さまざまなプレートにおけるFRETシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。対Ac1-ドナー/Ac4-アクセプターを用いて
図7で示されるように、試験した抗体の対のすべてについて、単量体試料で、および凝集体試料でFRETにおいて得られたシグナルを、FRETシグナルの比(単量体/凝集体)を算出することによって比較した。
【0124】
試験した抗体の対のすべてについて、FRETシグナルの比(単量体/凝集体)を算出した。以下の表2には、得られた結果がまとめられている。2より大きい比(単量体/凝集体)を有するすべての抗体の対は、TDP-43 AFβに対してTDP-43 NAFβに選択的であると考えられる。
【0125】
【0126】
7つの抗体の対によって、それらが2より大きい単量体/凝集体比を有するので、TDP-43 NAFβとTDP-43 AFβを識別することが可能になった。それらは表3に列挙されている。
【0127】
【0128】
実施例3
ベータ1-40アミロイドペプチドNAFβに特異的に結合可能な抗体の対を同定する方法(FRET法)
方法は、実施例1において詳述されたFRET技術(Cisbio BioassaysからのHTRF(登録商標)技術)に基づいている。
【0129】
試験された抗体の対
ドナーを用いて、およびアクセプターを用いてそれぞれ標識されたベータ1-40アミロイドペプチドに対して向けられる抗体は、Cisbio Bioassaysによって販売されたアミロイドベータ1-40 HTRFキット中に含有されるもの(参照62B40PEG)である。それらをアミロイドベータ1-40 HTRFキットマニュアルによって推奨されるように参照希釈剤62RB3FDGで希釈した。
【0130】
ベータ1-40アミロイドペプチドNAFβ(単量体)の調製
凍結乾燥ヒトベータ1-40アミロイドペプチド(ERI275BAS、The ERI Amyloid Laboratory、LLC、オックスフォード)を、供給業者の推奨に従って再懸濁し、次いで、10mMリン酸ナトリウムpH7.4バッファーで30μMの濃度に希釈した。次いで、ベータ1-40アミロイドペプチドNAFβを含有する溶液(本明細書において以下「単量体試料」)を-80℃で凍結した。この溶液でチオフラビンT試験を実施した。90%より多いベータ1-40アミロイドペプチド単量体を含有することを示す。
【0131】
ベータ1-40アミロイドペプチドAFβ(凝集体)の調製
凍結乾燥ヒトベータ1-40アミロイドペプチド(ERI275BAS、The ERI Amyloid Laboratory、LLC、オックスフォード)を、供給業者の推奨に従って再懸濁し、次いで、10mMリン酸ナトリウムpH7.4バッファーで30μMの濃度に希釈した。次いで、この溶液を25℃で495時間インキュベートし、これによって、ベータ1-40アミロイドペプチドが凝集し、ベータ1-40アミロイドペプチドAFβを得ることが可能となる。次いで、ベータ1-40アミロイドペプチドAFβを含有する溶液(本明細書において以下「凝集体試料」)を-80℃で凍結した。この溶液でチオフラビンT試験を実施した。90%より多いベータ1-40アミロイドペプチド凝集体を含有することを示す。
【0132】
単量体または凝集体での抗体の対の試験
試験当日に、単量体および凝集体試料を解凍し、次いで、10mMリン酸ナトリウムpH7.4バッファーで20.3ng/mLの濃度に希釈し、その後、384ウェルマイクロプレート(Greiner参照784075)に分配した。
【0133】
以下の試薬を以下の順序でマイクロプレートに添加した:
-5μLの単量体試料または凝集体試料
-5μLの希釈剤(参照62DL1DDD、Cisbio Bioassays)
-5μLのドナー抗体
-5μLのアクセプター抗体
【0134】
次いで、プレートを2℃から8℃の間から構成される温度で一晩インキュベートした。
【0135】
種々のプレートにおけるFRETシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
図8で示されるように、単量体試料で、および凝集体試料でFRETにおいて得られたシグナルを、FRETシグナルの比(単量体/凝集体)を算出することによって比較した。
【0136】
抗体の対のFRET(単量体/凝集体)シグナルの比は、2より大きい(3.1の値)。これは、この抗体の対が、ベータアミロイドペプチド1-40AFβからベータ1-40アミロイドペプチドNAFβを識別すること、すなわち、この抗体の対が、ベータアミロイドペプチド1-40 NAFβに特異的であることを示す。
【0137】
実施例4
ベータアミロイドペプチド1-42NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を同定する方法(FRET法)
方法は、実施例1において詳述されたFRET技術(Cisbio BioassaysからのHTRF(登録商標)技術)に基づいている。
【0138】
試験された抗体の対
ドナーおよびアクセプターを用いてそれぞれ標識されたベータアミロイドペプチド1-42に対して向けられる2つの抗体を、それぞれ3nM(ドナー)および30nM(アクセプター)の濃度に希釈した。
【0139】
べータ1-42アミロイドペプチドNAFβ(単量体)の調製
凍結乾燥ヒトベータアミロイドペプチド1-42(The ERI Amyloid Laboratory、LLC、オックスフォード)を、供給業者の推奨に従って再懸濁し、次いで、10mMリン酸ナトリウムpH7.4バッファーで30μMの濃度に希釈した。次いで、ベータアミロイドペプチド1-42 NAFβを含有する溶液(本明細書において以下「単量体試料」)を-80℃で凍結した。この溶液でチオフラビンT試験を実施した。90%より多いベータアミロイドペプチド1-42単量体を含有することを示す。
【0140】
ベータアミロイドペプチド1-42 AFβ(凝集体)の調製
凍結乾燥ヒトベータアミロイドペプチド1-42(ERI275BAS、The ERI Amyloid Laboratory、LLC、オックスフォード)を、供給業者の推奨に従って再懸濁し、次いで、10mMリン酸ナトリウムpH7.4バッファーで30μMの濃度に希釈した。次いで、この溶液を25℃で188時間インキュベートする。次いで、ベータ1-42アミロイドペプチドAFβを含有する溶液(本明細書において以下「凝集体試料」)を-80℃で凍結した。この溶液でチオフラビンT試験を実施した。90%より多いベータアミロイドペプチド1-42凝集体を含有することを示す。
【0141】
単量体または凝集体での抗体の対の試験
試験当日に、単量体および凝集体試料を解凍し、次いで、10mMリン酸ナトリウムpH7.4バッファーで2.4ng/mLの濃度に希釈し、その後、384ウェルマイクロプレート(Greiner参照784075)に分配した。
【0142】
以下の試薬を以下の順序でマイクロプレートに添加した:
-16μLの単量体試料または凝集体試料
-2μLのドナー抗体
-2μLのアクセプター抗体。
【0143】
プレートを2℃から8℃の間から構成される温度で一晩インキュベートした。
【0144】
さまざまなプレートにおけるFRETシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
図9に示されるように、単量体試料で、および凝集体試料でFRETにおいて得られたシグナルを、FRETシグナルの比(単量体/凝集体)を算出することによって比較した。
【0145】
研究された抗体の対のFRETシグナル(単量体/凝集体)比は、2より大きい(4.5の値)。これは、この抗体の対が、ベータアミロイド1-42AFβからベータ1-42アミロイドNAFβを識別すること、すなわち、この抗体の対が、ベータアミロイドペプチド1-42NAFβに特異的であることを示す。
【0146】
実施例5
TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用する方法の検出能力に対する、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の効果の試験
HFIPは純粋(100%)で使用するか、または溶解バッファーで希釈して、20%、10%および2%溶液を得た。
【0147】
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)8μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβの試料。
2)8μLの、100%、20%、10%および2%のHFIPの、または補給された溶解バッファーの種々の溶液。
3)FRET検出試薬の添加:
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0148】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0149】
図10は、種々の試験された濃度のHFIPを用いて得られたシグナルを示す。2%より高い濃度については、HFIPは、TDP-43 NAFβの検出シグナルを75%より多く低下させる。したがって、凝集体に対するその可能性ある効果は、2%の濃度を用いてこの形式で評価される。
【0150】
実施例6
TDP-43 AFβの脱凝集剤としてのHFIPの試験
HFIPを溶解バッファーで希釈して、2%溶液を得た。
【0151】
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)8μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 AFβの試料。
2)8μLの2% HFIP溶液または溶解バッファー。
3)FRET検出試薬の添加:
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0152】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0153】
得られたシグナルの比を、試料で得られたFRETシグナルから以下のように算出した:
【0154】
シグナルの比=(2% HFIPを用いて処置した試料シグナル)/(溶解バッファーを用いて処置した試料シグナル)。
【0155】
図11は、得られた結果を示す。シグナル比は、1以下(0.89)であり、これは、2% HFIP処置が、TDP-43 AFβを含有する試料においてPNAFβの検出を増大しないことを示す。2% HFIPを用いる処置が、TDP-43 AFβを部分的であっても脱凝集することを可能にしないと結論付けることができる。
【0156】
実施例7
TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用する方法の検出能力に対する尿素の効果の試験
尿素を溶解バッファーで希釈して、7M、3.5M、1.75Mおよび0.88M溶液を得た。
【0157】
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)8μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβの試料。
2)8μLの種々の7M、3.5M、1.75Mおよび0.88M尿素溶液または溶解バッファー。
3)FRET検出試薬の添加:
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0158】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0159】
図12は、種々の試験濃度の尿素を用いて得られたシグナルを示す。3.5Mを上回る濃度については、尿素は、TDP-43 NAFβの検出シグナルを75%より多く低下させる。したがって、凝集体に対するその可能性ある効果は、3.5M以下の濃度を用いてこの形式で評価される。
【0160】
実施例8
TDP-43 AFβの崩壊剤としての尿素の試験
尿素を補給した溶解バッファーで希釈して、3.5M、1.75Mおよび0.88M溶液を得た。
【0161】
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)8μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 AFβの試料。
2)8μLの種々の濃度(3.5M、1.75Mおよび0.88M)の尿素溶液または溶解バッファー。
3)FRET検出試薬の添加:
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1。
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0162】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0163】
得られたシグナルの比を、試料で得られたFRETシグナルから以下のように算出した:
【0164】
シグナル比=(3.5M尿素を用いて処置した試料シグナル)/(補給された溶解バッファーを用いて処置した試料シグナル)。
【0165】
図13は、得られた結果を示す。シグナル比は、尿素の試験濃度すべてについて1以下であり、これは、これらの処置が凝集体試料においてTDP-43 PNAFβの検出を増大しないことを示す。3.5M以下の尿素濃度を用いる処置は、TDP-43 AFβを部分的であっても脱凝集しないと結論付けることができる。
【0166】
実施例9
TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用する方法の検出能力に対する塩化グアニジウムの効果の試験
塩化グアニジウムを補給された溶解バッファーで希釈し、6M、3Mおよび1.5M溶液を得た。
【0167】
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)8μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβの試料。
2)8μLの、6M、3Mおよび1.5Mのさまざまな塩化グアニジウム溶液または補給された溶解バッファー。
3)FRET検出試薬の添加:
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0168】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0169】
図14は、種々の試験濃度の塩化グアニジウムを用いて得られたシグナルを示す。塩化グアニジウムはその濃度にかかわらず、TDP-43 NAFβの検出シグナルを75%より多く低減する。したがって、この化合物がTDP-43 NAFβの検出を妨げるので、凝集体に対するその可能性ある効果をこの形式で評価できない。
【0170】
実施例10
TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用する方法の検出能力に対するギ酸(FA)およびトリフルオロ酢酸(TFA)の効果の試験
FAおよびTFAを、補給された溶解バッファーで希釈して、20%、10%および2%溶液を得た。
【0171】
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)8μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβ。
2)8μLの、20%、10%および2%のFAもしくはTFAの種々の溶液または補給された溶解バッファー。
3)FRET検出試薬の添加:
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0172】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0173】
図15は、種々の試験濃度のFAまたはTFAを用いて得られたシグナルを示す。これらの試薬はその濃度にかかわらず、TDP-43 NAFβの検出シグナルを75%より多く低減する。したがって、それらがTDP-43 NAFβの検出を妨げるので、凝集体に対するその可能性ある効果をこの形式で評価できない。
【0174】
実施例11
TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用する方法の検出能力に対するギ酸(FA)と、それに続くNaOHを用いる中和の効果の試験
FAを、補給された溶解バッファーで希釈して、20%溶液を得た。
【0175】
NaOHを450mM HEPESバッファーで希釈して、5N溶液を得た。
【0176】
以下の試薬を以下の順序で96ウェルプレートに分配した:
1)60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβの試料。
2)8μLの20% FA溶液または補給された溶解バッファー。混合物を室温で15分間インキュベートした。このステップで測定されるpHは、2.5に等しい。
3)9μLの5N NaOH溶液または補給された溶解バッファー。これらの添加後に測定されるpHは、7.6に等しい。
【0177】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0178】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0179】
図16では、FA、次いでNaOH処置を用いて得られたPNAFβ検出シグナルを、処置の不在下で得られたものと比較する。処置は、TDP-43 NAFβ検出シグナルのほとんど完全な消失を引き起こす。したがって、TDP-43 AFβの脱凝集に対するその可能性ある効果を評価できない。
【0180】
実施例12
TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用する方法の検出能力に対する、トリフルオロ酢酸(TFA)と、それに続くNaOHを用いる中和の効果の試験
TFAを、補給した溶解バッファーで希釈して、20%溶液を得た。
【0181】
NaOHを450mM HEPESバッファーで希釈して、5N溶液を得た。
【0182】
以下の試薬を以下の順序で96ウェルプレートに分配した:
1)60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβの試料。
2)8μLの20% TFA溶液または補給された溶解バッファー。混合物を室温で15分間インキュベートした。このステップで測定されるpHは、0.6に等しい。
3)4.5μLの5N NaOH溶液または補給された溶解バッファー。この添加後に測定されるpHは、7.5に等しい。
【0183】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0184】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0185】
図17では、TFA、次いでNaOH処置を用いて得られたPNAFβ検出シグナルを、処置の不在下で得られたものと比較する。この処置がTDP-43 NAFβの検出シグナルに著しく影響を及す場合であっても(-62%)、残存するシグナルによってそれをTDP-43 AFβの脱凝集に関して試験することが可能となる。
【0186】
実施例13
TDP-43 AFβの崩壊剤としての、トリフルオロ酢酸(TFA)と、それに続くNaOHを用いる中和の効果の試験
【0187】
TFAを、補給した溶解バッファーで希釈し、20%溶液を得た。
【0188】
NaOHを450mM HEPESバッファーで希釈して、5N溶液を得た。
【0189】
以下の試薬を以下の順序で96ウェルプレートに分配した:
1)60μlの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 AFβの試料。
2)8μLの20% TFA溶液またはTFA/NaOH混合物(8容積の20% TFA溶液を4.5容積の5N NaOH溶液と混合することによって得た)。混合物を室温で15分間インキュベートした。
3)4.5μLの5N NaOH溶液またはTFA/NaOH混合物。この添加後に測定されるpHは、7.5に等しい。
【0190】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0191】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0192】
得られたシグナルの比を、試料で得られたFRETシグナルから以下のように算出した:
【0193】
シグナル比=(20% TFA、次いで5N NaOHを用いて処置した試料シグナル)/(TFA/NaOH混合物を用いて処置した試料シグナル)。
【0194】
図18は、得られた結果を示す。シグナル比は、1以下(0.56)であり、これは、処置が、凝集体試料においてTDP-43 NAFβの検出を増大しないことを示す。20% TFAと、それに続くNaOHを用いる中和を用いる処置が、TDP-43 AFβを部分的であっても脱凝集しないことと結論付けることができる。
【0195】
実施例14
TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用する方法の検出能力に対する、ギ酸(FA)と、それに続くNH4OHを用いる中和の効果の試験
FAを、補給された溶解バッファーで希釈して、20%溶液を得た。
【0196】
NH4OHを450mM HEPESバッファーで希釈して、5N溶液を得た。
【0197】
以下の試薬を以下の順序で96ウェルプレートに分配した:
1)60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβの試料。
2)8μLの20% FA溶液または補給された溶解バッファー。混合物を室温で15分間インキュベートした。このステップで測定されるpHは、2.5に等しい。
3)12μLの5N NH4OH溶液。この添加後に測定されるpHは、7.2に等しい。
【0198】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0199】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0200】
図19では、FA、次いでNH
4OH処置を用いて得られたTDP-43 NAFβ検出シグナルを、処置の不在下で得られたものと比較する。この処置がTDP-43 NAFβの検出シグナルに著しく影響を及す場合であっても(-68%)、残存するシグナルによってそれをTDP-43 AFβの脱凝集に関して試験することが可能となる。
【0201】
実施例15
TDP-43 AFβの崩壊剤としての、ギ酸(FA)と、それに続くNH4OHを用いる中和の効果の試験
FAを、補給した溶解バッファーで希釈し、20%溶液を得た。
【0202】
NH4OHを450mM HEPESバッファーで希釈して、5N溶液を得た。
【0203】
以下の試薬を以下の順序で96ウェルプレートに分配した:
1)60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 AFβの試料。
2)8μLの20% FA溶液またはFA/NH4OH混合物(8容積の20% TFA溶液を12容積の5N NH4OH溶液と混合することによって得た)。混合物を室温で15分間インキュベートした。
3)12μLの5N NH4OH溶液またはFA/NH4OH混合物。この添加後に測定されるpHは、7.2に等しい。
【0204】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0205】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0206】
得られたシグナルの比を、試料で得られたFRETシグナルから以下のように算出した:
【0207】
シグナル比=(20% FA、次いで5N NH4OHを用いて処置した試料シグナル)/(FA/NH4OH混合物を用いて処置した試料シグナル)。
【0208】
図20は、得られた結果を示す。シグナル比は、1以下(0.78)であり、これは、処置が、凝集体試料においてTDP-43 NAFβの検出を増大しないことを示す。20% FAと、それに続くNH
4OHを用いる中和を用いる処置は、TDP-43 AFβをたとえ部分的であっても脱凝集しないと結論付けることができる。
【0209】
実施例16
TDP-43 NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用する方法の検出能力に対する、トリフルオロ酢酸(TFA)と、それに続くNH4OHを用いる中和の効果の試験
TFAを、補給された溶解バッファーで希釈し、20%溶液を得た。
【0210】
NH4OHを450mM HEPESバッファーで希釈して、5N溶液を得た。
【0211】
以下の試薬を以下の順序で96ウェルプレートに分配した:
1)60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβの試料。
2)8μLの20% TFA溶液または補給された溶解バッファー。混合物を室温で15分間インキュベートした。このステップで測定されるpHは、0.6に等しい。
3)7μLの5N NH4OH溶液。この添加後に測定されるpHは、7.5に等しい。
【0212】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0213】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0214】
図21では、TFA、次いでNH
4OH処置を用いて得られたPNAFβ検出シグナルを、処置の不在下で得られたものと比較する。この処置がTDP-43 NAFβの検出シグナルに著しく影響を及す場合であっても(-72%)、残存するシグナルによってそれをTDP-43 AFβの脱凝集に関して試験することが可能となる。
【0215】
実施例17
TDP-43 AFβの崩壊剤としての、トリフルオロ酢酸(TFA)と、それに続くNH4OHを用いる中和の効果の試験
TFAを、補給した溶解バッファーで希釈し、20%溶液を得た。
【0216】
NH4OHを450mM HEPESバッファーで希釈して、5N溶液を得た。
以下の試薬を以下の順序で96ウェルプレートに分配した:
1)60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 AFβの試料。
2)8μLの20% TFA溶液またはTFA/NH4OH混合物(8容積の20% TFA溶液を7容積の5N NH4OH溶液と混合することによって得た)。混合物を室温で15分間インキュベートした。
3)7μlの5N NH4OH溶液またはTFA/NH4OH混合物。この添加後に測定されるpHは、7.5に等しい。
【0217】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0218】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0219】
得られたシグナルの比を、試料で得られたFRETシグナルから以下のように算出した:
【0220】
シグナル比=(20% TFA、次いで5N NH4OHを用いて処置した試料シグナル)/(TFA/NH4OH混合物を用いて処置した試料シグナル)。
【0221】
図22は、得られた結果を示す。シグナル比は、1以下(0.42)であり、これは、処置が、凝集体試料においてTDP-43 NAFβの検出を増大しないことを示す。20% TFAと、それに続くNH
4OHを用いる中和を用いる処置は、TDP-43 AFβをたとえ部分的であっても脱凝集しないと結論付けることができる。
【0222】
実施例18
TDP-43 NAFβ検出試薬を使用する方法に対する、8.2から13.3の間で構成されるpH値を示すNaOH溶液と、それに続くHClを用いる中和の効果
試験されたNaOH溶液
【0223】
【0224】
試験されたHCl溶液
【0225】
【0226】
試験されたNaOH/HCl混合物(NaOH溶液およびHCl溶液の同一容量を混合することによって得られた)
【0227】
【0228】
以下の試薬を96ウェルプレートに分配した:
-60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβの試料。
-10μLの種々のNaOH溶液(A、B、C、D、EもしくはF)またはバッファー。混合物を室温で15分間インキュベートした。
-10μLの種々のHCl溶液(A、B、C、D、EもしくはF)またはバッファー。
【0229】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0230】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0231】
図23は、種々の処置様式を用いて得られた結果を示す。13.3のpHをもたらすNaOH溶液を用いる処置と、それに続くHClを用いる中和は、TDP-43 NAFβの検出を可能にしない。すべての他の溶液の崩壊力はTDP-43 AFβで試験できるであろう。
【0232】
実施例19
NaOHを用いてTDP-43 AFβを脱凝集する最小および最大pHの決定
試験されたNaOH溶液
【0233】
【0234】
試験されたHCl溶液
【0235】
【0236】
試験されたNaOH/HCl混合物(NaOH溶液およびHCl溶液の同一容量を混合することによって得られた)
【0237】
【0238】
以下の試薬を96ウェルプレートに分配した:
-60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 AFβの試料。
-10μLの種々のNaOH溶液(A、B、C、DもしくはE)または対応するNaOH/HCl混合物(A、B、C、DもしくはE)。混合物は室温で15分間インキュベートした。
-10μLの種々のHCl溶液(A、B、C、D、E)または対応するNaOH/HCl混合物(A、B、C、D、E)。
【0239】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0240】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0241】
得られたシグナルの比を、試料で得られたFRETシグナルから以下のように算出した:
【0242】
シグナルの比=(NaOH、次いでHClを用いて処置した試料シグナル)/(NaOH/HCl混合物を用いて処置した試料シグナル)。
【0243】
図24は、試験されたさまざまなNaOH溶液によって誘導されたpHの関数として得られた結果を示す。TDP-43 NAFβの検出は、脱凝集ステップの際にpHが8.5~13.2の範囲である場合にあり得る。しかし、TDP-43 NAFβを検出するための最適振幅を可能にするpHは、およそpH12.8である。
【0244】
実施例20
12.8のpHでTDP-43 AFβを脱凝集するのに必要な時間の決定
以下の試薬を以下の順序で96ウェルプレートに分配した:
1)60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 AFβの試料
2)10μLの1.2N NaOH溶液(12.8に導かれた試料のpH)またはNaOH/HCl混合物(1.2N NaOH溶液および1N HCl溶液の同一容量を混合することによって得られた)。混合物をウェルに応じて室温で30秒から1時間インキュベートした。
3)1.2N NaOHを用いて処置されたウェル中の10μLの1N HCl溶液(7.5に導かれた試料のpH)またはNaOH/HCl混合物を用いて処置されたウェル中の10μLのNaOH/HCl混合物。
【0245】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0246】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0247】
得られたシグナルの比を、試料で得られたFRETシグナルから以下のように算出した:
【0248】
シグナルの比=(1.2N NaOH、次いで1N HClを用いて処置した試料シグナル)/(NaOH/HCl混合物を用いて処置した試料シグナル)。
【0249】
図25は、1.2N NaOHと接触した時間の関数として、得られた結果を示す。結果は、1.2N NaOH処置によって、接触時間とは独立に(シグナルの比は常に1より大きい)、TDP-43 AFβを少なくとも部分的に脱凝集することが可能となったことを示す。しかし、最良の脱凝集は、5分~30分の範囲の接触時間について得られた。
【0250】
実施例21
TDP-43 NAFβの検出を測定する場合の最小および最大pHの決定
試験されたNaOH溶液
【0251】
1.2N NaOH溶液(試料のpHを12.8に導くことを可能にする)
【0252】
試験されたHCl溶液
【0253】
【0254】
試験されたNaOH/HCl混合物(NaOH溶液およびHCl溶液の同一容量を混合することによって得られた)
【0255】
【0256】
以下の試薬を96ウェルプレートに分配した:
-60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 AFβの試料。
-10μLの種々の1.2N NaOH溶液または対応するNaOH/HCl混合物(A、B、C、D、E、F、G、HまたはI)。混合物を室温で15分間インキュベートした。
-10μLの種々のHCl溶液(A、B、C、D、E、F、G、HもしくはI)または対応するNaOH/HCl混合物(A、B、C、D、E、F、G、HもしくはI)。
【0257】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0258】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0259】
得られたシグナルの比を、試料で得られたFRETシグナルから以下のように算出した:
【0260】
シグナル比=(1.2N NaOH、次いでHClを用いて処置した試料シグナル)/(NaOH/HCl混合物を用いて処置した試料シグナル)。
【0261】
図26は、pH=12.8での処置後に、pHが次いで、pH=6からpH=10.5の間に戻される場合には、TDP-43 NAFβを検出できることを示す。検出は、pHが6から8.5の間で構成される場合に最適である。
【0262】
実施例22
脱凝集剤としてNaOHを、中和剤としてHClを使用するベータアミロイドペプチド1-42の凝集のレベルの測定
以下に記載される方法は、HTRF技術(原理については実施例1を参照されたい)に基づいている。
【0263】
1.2N NaOHおよび1N HCl溶液をこれまでの実施例に記載されたように調製した。
【0264】
単量体の(1-42 NAFβ)または凝集した(1-42 AFβ)ベータ1-42アミロイドペプチドを含有する試料の調製:凍結乾燥ヒトベータ1-42アミロイドペプチド(ERI275BAS、The ERI Amyloid Laboratory、LLC、オックスフォード)を供給業者の推奨に従って再懸濁し、次いで、10mMリン酸ナトリウムpH7.4バッファーで30μM(1-42 NAFβ)の濃度に希釈した。ベータ1-42アミロイドペプチドの同一溶液を、25℃で188時間インキュベートして、1-42 AFβを得る。2つの試料を将来の使用の前に-80℃で凍結した。使用前に、チオフラビンT法によって2つの試料の凝集のレベルを調べた。
【0265】
試験当日に、試料1-42 NAFβおよび1-42 AFβを解凍し、次いで、10mMリン酸ナトリウムバッファーpH7.4で2.4ng/mL濃度に希釈し、その後、マイクロプレートに分配した。
【0266】
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)12μLの1-42 AFβ試料または1-42 NAFβ試料。
2)2μLの1.2N NaOH溶液またはNaOH/HCl混合物(1.2N NaOH溶液および1N HCl溶液の等容量を混合することによって得られた)。混合物を室温で15分間インキュベートした。
3)2μLの1N HCl溶液またはNaOH/HCl混合物。
4)FRET検出試薬の添加:
-2μLの実施例4に記載されたように調製されたドナー抗体。
-2μLの実施例4に記載されたように調製されたアクセプター抗体。
【0267】
プレートを2℃から8℃の間で構成される温度で一晩インキュベートした。
【0268】
さまざまなプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0269】
凝集比は、試料で得られたHTRFシグナルから以下のように算出する:
【0270】
シグナル比=(1.2N NaOH、次いで1N HClを用いて処置した試料シグナル)/(NaOH/HCl混合物を用いて処置した試料シグナル)。
【0271】
図27は、試料1-42 NAFβおよび1-42 AFβを用いて得られたシグナル比を示す。1-42 AFβ試料で得られたシグナル比は、1-42 NAFβ試料で得られたものよりもかなり高い。この結果は、当該方法が1-42アミロイドペプチド凝集のレベルを測定できることを示す。
【0272】
実施例23
TDP-43 NAFβに特異的に結合できる抗体の対を使用する方法の検出能力に対する、NaOH、水酸化カリウム(KOH)またはNH4OHを用いる処置と、それに続くHClを用いる中和の効果
TDP43-AFβ溶解物を処置するための、NaOH、KOH、NH4OHおよびHCl溶液の調製
【0273】
【0274】
試験されたHCl溶液
【0275】
【0276】
試験された塩基/HCl混合物(NaOH溶液およびHCl溶液の同一容量を混合することによって得られた)
【0277】
【0278】
以下の試薬を96ウェルプレートに分配した:
-60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 NAFβの試料。
-10μLの種々の塩基溶液(A、B、C、DもしくはE)または対応する塩基/HCl混合物(A、B、C、DもしくはE)。混合物を室温で15分間インキュベートした。
-10μLの種々のHCl溶液(A、B、C、D、E)または対応する塩基/HCl混合物(A、B、C、D、E)。
【0279】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0280】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0281】
図28は、種々の処置を用いて得られたTDP-NAFβ検出シグナルを示す。TDP-43 NAFβの検出は、7から8の間で構成されるpHを可能にするHClを用いる中和ステップが実施される場合には、使用された塩基にかかわらず可能である。したがって、これらの塩基の崩壊効果がTDP-43 AFβで試験される。
【0282】
実施例24
TDP-43 AFβの脱凝集に対する、NaOH、水酸化カリウム(KOH)またはNH4OHを用いる処置と、それに続くHClを用いる中和の効果
TDP43-AFβ溶解物を処置するための、NaOH、KOH、NH4OHおよびHCl溶液の調製
【0283】
【0284】
試験されたHCl溶液
【0285】
【0286】
試験された塩基/HCl混合物(NaOH溶液およびHCl溶液の同一容量を混合することによって得られた)
【0287】
【0288】
以下の試薬を96ウェルプレートに分配した:
-60μLの実施例2に記載されたプロトコールに従って調製されたTDP-43 AFβの試料。
-10μLの種々の塩基溶液(A、B、C、DもしくはE)または対応する塩基/HCl混合物(A、B、C、DもしくはE)。混合物を室温で15分間インキュベートした。
-10μLの種々のHCl溶液(A、B、C、D、E)または対応する塩基/HCl混合物(A、B、C、D、E)。
【0289】
96ウェルプレートのウェルに含有される内容物の一部分を384ウェルプレートに移し、その後、以下を用いてFRET検出試薬を添加した:
-16μLの96ウェルプレートからの混合物
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたドナー抗体Ac1
-2μLの実施例2に記載されたように調製されたアクセプター抗体Ac2。
【0290】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0291】
得られたシグナルの比を、試料で得られたFRETシグナルから以下のように算出した:
【0292】
シグナルの比=(塩基、次いでHClを用いて処置した試料シグナル)/(塩基/HCl混合物を用いて処置した試料シグナル)。
【0293】
図29は、さまざまな処置を用いて得られたシグナルの比を示す。それぞれ12.8および9.6のpH値をもたらす2つのNaOH処置条件(1.2Nおよび0.8N)によって、TDP43-NAFβを検出することが可能になり、これによって、TDP-43 AFβに対する脱凝集効果が確認される。1.2N KOH(pH=12.5)を用いる処置によって、TDP43-NAFβの弱い検出が可能になり、これは、TDP-43 AFβの弱い脱凝集効果を示す。NaOH処置と同様のpH値をもたらすNH
4OHを用いる(10Nおよび1.2N)2つの処置は、TDP43-NAFβを検出することを可能にしない。この結果は、NH
4OHにはTDP-43 AFβの脱凝集効果がないことを示す。
【0294】
実施例25
アルファ-シヌクレインNAFβ(Alpha-Syn NAFβ)に特異的に結合可能な抗体の対を同定することを可能にする方法
当該方法は、実施例1において詳述されたFRET技術(Cisbio BioassaysからのHTRF(登録商標)技術)に基づいている。
【0295】
試験された抗体の対
ドナーを用いて、およびアクセプターを用いてそれぞれ標識されたアルファ-シヌクレインに対して向けられる抗体の対は、Cisbio Bioassaysによって販売されたHTRFトータル-アルファ-シヌクレインキット中に含有されたもの(参照6FNSYPEG)である。各抗体をユーザーマニュアルによって推奨されるようにキット希釈剤で希釈した。
【0296】
Alpha-Syn NAFβおよびAlpha-Syn NAFβ試料の調製
Alpha-Syn NAFβおよびAlpha-Syn AFβは、StressMarq(StressMarq活性ヒト組換えA53T突然変異体アルファシヌクレインタンパク質単量体、参照SPR-325および活性ヒト組換えA53T突然変異体アルファシヌクレインタンパク質事前形成原線維タイプ1参照SPR-326)から入手した。それらをHTRFトータル-Aシヌクレインキットの溶解バッファーで15.6ng/mLに希釈した。
【0297】
Alpha-Syn NAFβおよびAlpha-Syn AFβでの抗体の対の試験
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)12μLの15.6ng/mLのAlpha-Syn NAFβまたはAlpha-Syn AFβ。
2)2μLの溶解バッファー。混合物を室温で15分間インキュベートした。
3)2μLの溶解バッファー。
4)2μLのドナー抗体。
5)2μLのアクセプター抗体。
【0298】
種々のプレートにおけるFRETシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0299】
図30で示されるように、Alpha-Syn NAFβ試料(単量体)で、およびAlpha-Syn AFβ試料(凝集体)でFRETにおいて得られたシグナルを、FRETシグナルの比(単量体/凝集体)を算出することによって比較した。
【0300】
抗体の対のFRET(単量体/凝集体)シグナルの比は、2より大きい(6.64の値)。これは、この抗体の対が、Alpha-Syn AFβを上回ってAlpha-Syn NAFβに特異的に結合できることを示す。
【0301】
実施例26
Alpha-Syn NAFβに特異的に結合可能な抗体の対を使用する方法の検出能力に対する1.2N NaOH溶液と、それに続く1N HClを用いる中和の効果
Alpha-Syn NAFβ(StressMarq、活性ヒト組換えA53T突然変異体アルファシヌクレインタンパク質単量体、参照SPR-326)を、HTRFトータル-アルファシヌクレインキット(Cisbio Bioassays、参照6FNSYPEG)の溶解バッファーで15.6ng/mLに希釈した。HTRFトータル-Aシヌクレインキット中のドナーおよびアクセプター抗体を、キットマニュアルにおいて供給業者によって推奨されるように希釈した。
【0302】
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)12μLの15.6ng/mLのAlpha-Syn NAFβ。
2)2μLの1.2N NaOH溶液(12.8に導かれた試料のpH)またはNaOH/HCl混合物(1.2N NaOH溶液および1N HCl溶液の同一容量を混合することによって得られた)。混合物を室温で15分間インキュベートした。
3)1.2N NaOHを用いて処置されたウェル中の2μLの1N HCl溶液(7.5に導かれた試料のpH)またはNaOH/HCl混合物を用いて処置されたウェル中の2μLのNaOH/HCl混合物。
4)2μLの実施例25に記載されたように調製されたドナー抗体
5)2μLの実施例25に記載されたように調製されたアクセプター抗体
【0303】
プレートを室温で一晩インキュベートした。種々のプレートにおけるHTRFシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0304】
図31は、得られた結果を示す。それらは、1.2N NaOHを用いる処置と、それに続く1N HClを用いる中和は、抗体によるAlpha-Syn NAFβの検出に対してほとんど効果がないことを示す。したがって、Alpha-Syn AFβの分離においてこの処置の効果を評価できる。
【0305】
実施例27
崩壊剤としてNaOHおよび中和剤としてHClを使用するアルファ-シヌクレインの凝集のレベルの測定
方法は、実施例1において詳述されたFRET技術(Cisbio BioassaysからのHTRF(登録商標)技術)に基づいている。
【0306】
試験された抗体の対
ドナーを用いて、およびアクセプターを用いてそれぞれ標識されたアルファ-シヌクレインに対して向けられる抗体は、Cisbio Bioassaysによって販売されたHTRFトータル-アルファ-シヌクレインキット中に含有されたもの(参照6FNSYPEG)である。それらをユーザーマニュアルによって推奨されるようにキット希釈剤で希釈した。
【0307】
Alpha-Syn NAFβおよびAlpha-Syn NAFβ試料の調製
Alpha-Syn NAFβおよびAlpha-Syn AFβは、StressMarq(StressMarq活性ヒト組換えA53T突然変異体アルファシヌクレインタンパク質単量体、参照SPR-325および活性ヒト組換えA53T突然変異体アルファシヌクレインタンパク質事前形成原線維タイプ1参照SPR-326)から入手した。それらをHTRFトータル-アルファシヌクレインキットの溶解バッファーで15.6ng/mLに希釈した。
【0308】
Alpha-Syn NAFβおよびAlpha-Syn AFβでの抗体の対の試験
以下の試薬を以下の順序で384ウェルプレートに分配した:
1)12μLの15.6ng/mLのAlpha-Syn NAFβまたはAlpha-Syn AFβ。
2)2μLの1.2N NaOH溶液(12.8に導かれた試料のpH)またはNaOH/HCl混合物(1.2N NaOH溶液および1N HCl溶液の同一容量を混合することによって得られた)。混合物を室温で15分間インキュベートした。
3)1.2N NaOHを用いて処置されたウェル中の2μLの1N HCl溶液(7.5に導かれた試料のpH)またはNaOH/HCl混合物を用いて処置されたウェル中の2μLのNaOH/HCl混合物。
4)2μLのドナー抗体。
5)2μLのアクセプター抗体。
【0309】
さまざまなプレートにおけるFRETシグナルの検出を、HTRF検出モジュールを使用するPHERAstar FS Lamp装置(BMG Labtech)で実施した。
【0310】
図32は、Alpha-Syn NAFβおよびAlpha-Syn AFβ試料を用いて得られたシグナル比を示す。Alpha-Syn AFβ試料で得られたシグナル比は、Alpha-Syn NAFβ試料で得られたものよりもかなり高い。この結果は、本発明による方法によってアルファ-シヌクレインの凝集のレベルを測定することが可能となることを示す。
【0311】
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