(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】起動試験用に構成された可動式の陰圧閉鎖療法装置
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570499
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2021063752
(87)【国際公開番号】W WO2021239657
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507226709
【氏名又は名称】メンリッケ・ヘルス・ケア・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アライン ルクス
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ ハールマンソン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン キドボリ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA38
4C267BB62
4C267CC01
4C267JJ09
4C267JJ12
4C267JJ14
(57)【要約】
可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置であって、創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、創傷部位から液体を収集するためのキャニスタと、キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、キャニスタ内に陰圧を確立するためのポンプと、キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、NPWT装置の動作を制御するための制御回路と、を含む。制御回路は、NPWT装置に関する試験シーケンスを開始することと、キャニスタ内の圧力を示す第1信号を取得することと、第1信号を評価することと、取得した第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、ポンプを制御してポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることと、事前定義された時間期間の後に、第2信号を取得することと、起動試験シーケンスを進めることと、取得した信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、ポンプを制御してポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、起動試験シーケンスを進めることと、を行うように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置であって、
創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、
前記入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、前記創傷部位から液体を収集するための前記キャニスタと、
前記キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、前記キャニスタ内に陰圧を確立するための前記ポンプと、
前記キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、
前記NPWT装置の動作を制御するための制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、
前記NPWT装置の起動要求を受領することと、
前記起動要求に応答して、前記NPWT装置に関する起動試験シーケンスを開始することと、
前記圧力センサから、前記キャニスタ内の圧力を示す第1信号を取得することと、
前記圧力センサから取得した前記第1信号を評価することと、
取得した前記第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることと、
前記事前定義された時間期間の後に、前記圧力センサから第2信号を取得することと、
前記起動試験シーケンスを進めることと、
事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が治療モードへと移行することを許可することと、
取得した前記信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記起動試験シーケンスを進めることと、
事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が治療モードへと移行することを許可することと、
を行うように構成されている、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置。
【請求項2】
前記取得した第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、前記制御装置は、
前記圧力センサから取得した前記第2信号を評価することと、
前記第2信号が、事前定義された期間内で陰圧を示している時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することと、
を行うように、さらに構成されている、請求項1に記載のNPWT装置。
【請求項3】
前記取得した第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、前記制御装置は、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記NPWTが、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することを行うように、さらに構成されている、請求項1又は2に記載のNPWT装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記NPWT装置が治療モードへと移行することを許可された後に、
前記圧力センサから、繰り返し的に信号を取得することと、
前記圧力センサから取得した前記信号を評価することと、
前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最小値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最大値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記最小値と前記最大値との間で交互的に変化している時には、又は、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記ポンプの動作時に、時間経過とともに、一定な圧力を若しくは増加する圧力を示している時には、前記圧力センサが機能していないと決定することと、
を行うように、さらに構成されている、請求項1から3の何れか一項に記載のNPWT装置。
【請求項5】
前記NPWT装置は、バッテリと、スピーカと、をさらに含み、前記制御回路は、
前記スピーカを制御して前記スピーカを動作させることにより、音を放出させることと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの電圧降下を測定することと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの前記電圧降下が、所定値未満である時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することと、
を行うように、さらに構成されている、請求項1から4の何れか一項に記載のNPWT装置。
【請求項6】
可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置を試験するための方法であって、
前記NPWT装置が、創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、前記入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、前記創傷部位から液体を収集するための前記キャニスタと、前記キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、前記キャニスタ内に陰圧を確立するための前記ポンプと、前記キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、を含むものである場合に、
前記方法は、
前記NPWT装置の起動要求を受領するステップと、
前記起動要求に応答して、前記NPWT装置に関する起動試験シーケンスを含む起動試験を開始するステップと、
前記圧力センサから、前記キャニスタ内の前記圧力を示す第1信号を取得するステップと、
前記圧力センサから取得した前記第1信号を評価するステップと、
前記取得した第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させるステップと、
前記事前定義された時間期間の後に、前記圧力センサから第2信号を取得するステップと、
前記起動試験シーケンスを進めるステップと、
事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が前記起動試験に合格したと決定するステップと、
取得した前記信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記起動試験シーケンスを進めるステップと、
前記事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が前記起動試験に合格したと決定するステップと、
を含む、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置を試験するための方法。
【請求項7】
前記方法は、
前記圧力センサから取得した前記第2信号を評価するステップと、
前記第2信号が、事前定義された期間内で陰圧を示している時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定するステップと、
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記取得した第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、前記方法は、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記NPWTが、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定するステップをさらに含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記NPWT装置が前記起動試験に合格したと決定された後に実行される、
前記圧力センサから、繰り返し的に信号を取得するステップと、
前記圧力センサから取得した前記信号を評価するステップと、
前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最小値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最大値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記最小値と前記最大値との間で交互的に変化している時には、又は、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記ポンプの動作時に、時間経過とともに、一定な圧力を若しくは増加する圧力を示している時には、前記圧力センサが機能していないと決定するステップと、
をさらに含む、請求項6から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記可動式のNPWT装置が、バッテリと、スピーカと、をさらに含むものである場合に、前記起動試験シーケンスは、
前記スピーカを制御して前記スピーカを動作させることにより、音を放出させるステップと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの電圧降下を測定するステップと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの前記電圧降下が、所定値未満である時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定するステップと、
をさらに含む、請求項6から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータプログラムであって、
請求項1に記載のNPWT装置内に含まれた制御装置上で前記コンピュータプログラムを実行した時には、前記制御装置に、請求項6に記載の方法における各ステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項12】
陰圧閉鎖療法(NPWT)システムであって、
創傷部位のところに配置されることとなるチャンバであるとともに、陰圧を確立するための前記チャンバであり、さらに、出口を有した前記チャンバと、
請求項1から5の何れか一項に記載のNPWT装置と、
前記チャンバの前記出口と、前記NPWT装置の前記入口と、を流体流通可能に接続するチューブと、
を含む、陰圧閉鎖療法(NPWT)システム。
【請求項13】
前記チャンバは、フィルタを介して周囲と流体流通可能に接続された入口であり、前記チャンバ内への空気の連続的な漏洩を提供するための入口を、さらに有している、請求項12に記載のNPWTシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式の陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy、NPWT)装置に関し、また、そのようなNPWT装置を試験するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陰圧閉鎖療法(NPWT)とは、陰圧ポンプを使用することで、陰圧(すなわち、大気圧以下の圧力)を創傷に対して印加することにより、例えば、手術創、急性創、及び慢性創、の治癒を促進する技術のことである。NPWT技術は、また、創傷に対する外部擾乱をより少なくし得るとともに、創傷部位から余分な液体を除去することを可能とする。一般に、NPWT技術は、これまで、病院環境内で、患者に対して主に適用されてきた。しかしながら、最近の製品開発により、この技術を、家庭環境内で患者が使用し得るようになってきている。
【0003】
NPWTの恩恵を受けるユーザにとって、より容易でかつより快適なものとするために、可動式のNPWT装置が、最近、開発されている。そのようなNPWT装置が真に可動であるためには、1つ又は複数のバッテリによってNPWT装置に対して給電することが、実用的には必要である。当然のことながら、NPWT装置の動作により、最終的にはバッテリ(又は複数のバッテリ)内に蓄えられたエネルギ量が減少することとなり、バッテリを、フル充電したバッテリと交換する必要が生じる。ユーザの負傷又は不快感というリスクを低減するためには、バッテリ交換後に、また、他のタイミングで、NPWT装置に対して起動試験シーケンスを実行することが望ましいことであり得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、改良されたNPWT装置を提供することであり、また、特にNPWT装置に関する起動試験を向上させるような、NPWT装置の試験方法を提供することである。
【0005】
したがって、本発明の第1態様によれば、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置であって、創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、創傷部位から液体を収集するためのキャニスタと、キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、キャニスタ内に陰圧を確立するためのポンプと、キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、NPWT装置の動作を制御するための制御回路と、を含む、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置が提供される。制御回路は、NPWT装置の起動要求を受領することと、起動要求に応答して、NPWT装置に関する起動試験シーケンスを開始することと、圧力センサから、キャニスタ内の圧力を示す第1信号を取得することと、圧力センサから取得した第1信号を評価することと、取得した第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、ポンプを制御してポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることと、事前定義された時間期間の後に、圧力センサから第2信号を取得することと、起動試験シーケンスを進めることと、事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのためにNPWT装置が起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、NPWT装置が治療モードへと移行することを許可することと、取得した信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、ポンプを制御してポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、起動試験シーケンスを進めることと、事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのためにNPWT装置が起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、NPWT装置が治療モードへと移行することを許可することと、を行うように構成されている。
【0006】
起動試験シーケンスが、また、失敗した試験の場合には、起動試験シーケンスを中止するという決定も含み得ることに、留意されたい。したがって、起動試験シーケンスを進めるステップは、起動試験シーケンスを中止することを含んでもよい。
【0007】
また、圧力センサが、キャニスタ内の圧力を直接的に感知するように構成されている必要はないものの、感知された圧力がキャニスタ内の圧力を示すものである限りにおいて、圧力センサが、NPWT装置内の別の場所における圧力を感知するように構成されてもよいことに、留意されたい。さらに、圧力センサは、力又は撓みなどの、それに基づいて圧力変化を推論し得るような、別の特性を感知してもよい。
【0008】
起動要求は、NPWT装置を治療準備状態とすることを要請するいかなる指示であってもよい。例えば、起動要求は、電源投入(1つ若しくは複数のバッテリの挿入)、又は起動ボタンの押下、又はリセット操作、等であってもよい。
【0009】
「事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合い」であることが参照された場合、「陰圧」が、大気圧との比較であること、及び、この状況が、事前定義された絶対しきい値圧力と比較して絶対圧力がより小さいことと同等であることは、理解されよう。
【0010】
本発明は、起動試験時にポンプが動作する前にNPWTシステム内に陰圧が存在し得る可能な使用例が存在するという認識に基づくものであり、また、そのような状況下ではポンプを動作させないことが望ましいであろうという認識に基づくものである。介護スタッフ又はユーザがNPWTシステムの操作に関するすべての指示に常に従うものではない、と考えても間違いではない。例えば、もっともらしいが望ましくない使用例は、創傷部位でチャンバの出口に対して流体流通可能に接続されているチューブが、バッテリ交換の前に又は新品のNPWT装置への切り替えの前に、遮断され、起動試験の実行後に、NPWT装置の入口に対して接続した後に、遮断されないことであり得る。そのような場合、起動試験シーケンスが開始される前に、NPWT装置のキャニスタ内には、陰圧が存在することとなる。そのような場合に、及び他の同様の場合に、本発明者は、起動試験シーケンス時に圧力センサ及びポンプに関して通常の試験を行うことを避けつつ、代わりに、事前定義されたしきい値圧力と比較して圧力がより大きな陰圧度合いであるという調査結果であれば、起動試験シーケンスを進めることが望ましいものであろうことを、見出した。事前定義されたしきい値圧力は、例えば、大気圧であってもよい、言い換えれば、ゼロ陰圧であってもよい。代替的には、事前定義されたしきい値圧力は、事前定義された非ゼロ陰圧であってもよい。
【0011】
これにより、起動試験の完了後に及びチューブの閉塞解除後にユーザに対して不快感を与えたりさらにはユーザに対して危害を与えたりしかねないという起動試験リスクを、低減することができる。
【0012】
さらに、少なくとも大部分の使用例では、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示す信号を、圧力センサから取得したことは、圧力センサが機能していること、及びポンプが最近動作したこと、を示すものであり、NPWT装置を治療モードへと移行することを許可することに伴うリスクが、事前定義された時間期間にわたってポンプを動作させることと比較して、より少ないと結論づけることができる。
【0013】
事前定義された時間期間は、少なくとも0.5秒間であってもよく、有利には1秒間に近いものであってもよく、例えば約0.9秒間であってもよい。
【0014】
有利には、第1信号は、起動試験シーケンス内に含まれるポンプのあらゆる動作の前に、圧力センサから取得されてもよい。
【0015】
様々な実施形態によれば、制御回路は、取得した第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、圧力センサから取得した第2信号を評価することと、第2信号が、事前定義された期間内で陰圧を示している時には、NPWT装置が、事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することと、を行うように、さらに構成されてもよい。例えば、制御回路は、圧力センサから取得した第2信号が、圧力センサから取得した第1信号が示すものと比較して、より大きな陰圧度合い(より小さな絶対圧力値)を示している時には、NPWT装置がこの基準を満たしたと決定するように構成されてもよい。
【0016】
実施形態によれば、制御回路は、取得した第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、ポンプを制御してポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、NPWTが、事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することを行うように、さらに構成されてもよい。
【0017】
実施形態では、制御回路は、NPWT装置が治療モードへと移行することを許可された後に、ポンプを制御して動作させる時に圧力センサから、繰り返し的に信号を取得することと、圧力センサから取得した信号を評価することと、圧力センサから取得した信号が、圧力センサから取得され得る最小値に常にある時には、若しくは、圧力センサから取得した信号が、圧力センサから取得され得る最大値に常にある時には、若しくは、圧力センサから取得した信号が、最小値と最大値との間で交互的に変化している時には、又は、圧力センサから取得した信号が、時間経過とともに、増加する圧力を示している時には、圧力センサが機能していないと決定することと、を行うように、さらに構成されてもよい。
【0018】
これらの実施形態は、圧力センサが機能していないことを示す可能性が高い2つの重要な故障モードをカバーしている。第1故障モードでは、NPWT装置内に含まれたポンプと制御回路との間の接続が中断される場合があり、第2故障モードでは、圧力感知に関与する増幅回路が問題を有している場合がある。接続が中断されている場合には、制御回路に対して接続されていて中断された電気導体が、アンテナとして機能し得ること、そして、制御回路が取得する信号が、0Vなどの最小値信号となったり、又は、3.3V(若しくは、NPWT装置における任意の他の関連した最大電圧値)などの最大値信号となったり、すること、が判明している。増幅回路における問題に関しては、実際には絶対圧力が減少している(すなわち、大気圧と比較して、より大きな陰圧度合いとなっている)にもかかわらず、絶対圧力の増加を示すという、反転した圧力信号曲線をもたらし得ることが判明している。
【0019】
様々な実施形態によれば、さらに、可動式のNPWT装置は、バッテリと、スピーカと、を追加的に含んでもよく、制御回路は、スピーカを制御してスピーカを動作させることにより、音を放出させることと、スピーカの動作時におけるバッテリの電圧降下を測定することと、スピーカの動作時におけるバッテリの電圧降下が、所定値未満である時には、NPWT装置が、事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することと、を行うように、さらに構成されてもよい。
【0020】
本発明の第2態様によれば、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置を試験するための方法が提供され、NPWT装置が、創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、創傷部位から液体を収集するためのキャニスタと、キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、キャニスタ内に陰圧を確立するためのポンプと、キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、を含むものである場合に、方法は、NPWT装置の起動要求を受領するステップと、起動要求に応答して、NPWT装置に関する起動試験シーケンスを含む起動試験を開始するステップと、圧力センサから、キャニスタ内の圧力を示す第1信号を取得するステップと、圧力センサから取得した第1信号を評価するステップと、取得した第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、ポンプを制御してポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させるステップと、事前定義された時間期間の後に、圧力センサから第2信号を取得するステップと、起動試験シーケンスを進めるステップと、事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのためにNPWT装置が起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、NPWT装置が起動試験に合格したと決定するステップと、取得した信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、ポンプを制御してポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、起動試験シーケンスを進めるステップと、事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのためにNPWT装置が起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、NPWT装置が起動試験に合格したと決定するステップと、を含む。
【0021】
本発明のこの第2態様に関する変形例及び利点は、第1態様に関連して上述したものと、多くの点で同様である。
【0022】
本発明の第3態様によれば、コンピュータプログラムであって、第1態様の実施形態によるNPWT装置内に含まれた制御装置上でコンピュータプログラムを実行した時には、制御装置に、第2態様の実施形態による方法における各ステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0023】
コンピュータプログラムは、非一過性のコンピュータ可読データキャリア上に格納されてもよい。
【0024】
本発明の実施形態による可動式NPWT装置は、陰圧閉鎖療法(NPWT)システム内に含まれてもよく、NPWTシステムは、創傷部位のところに配置されることとなるチャンバであるとともに、陰圧を確立するためのチャンバであり、さらに、出口を有したチャンバと、チャンバの出口とNPWT装置の入口とを流体流通可能に接続するチューブと、をさらに含む。
【0025】
要約すると、本発明は、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置であって、創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、創傷部位から液体を収集するためのキャニスタと、キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、キャニスタ内に陰圧を確立するためのポンプと、キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、NPWT装置の動作を制御するための制御回路と、を含む。制御回路は、NPWT装置に関する試験シーケンスを開始することと、キャニスタ内の圧力を示す第1信号を取得することと、第1信号を評価することと、取得した第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、ポンプを制御してポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることと、事前定義された時間期間の後に、第2信号を取得することと、起動試験シーケンスを進めることと、取得した信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、ポンプを制御してポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、起動試験シーケンスを進めることと、を行うように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、本発明のこれらの態様及び他の態様について、本発明の好ましい実施形態を図示している添付図面を参照しながら、より詳細に説明する。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による例示的な可動式NPWTシステムの図示である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による可動式NPWT装置の第1構成例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による可動式NPWT装置の第2構成例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による可動式NPWT装置の第3構成例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、現時点での本開示の好ましい実施形態を図示している添付図面を参照しながら、本開示について、より完全に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載した実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底さ及び完全性のために提供されるものであって、当業者に対して本開示の範囲を充分に伝えるものである。同様の参照符号は、すべての図面にわたって、同様の構成要素を指す。
【0028】
ここで、図面を特に
図1を参照すると、陰圧閉鎖療法(NPWT)システム1が概念的に図示されており、このNPWTシステム1は、本発明の例示的な一実施形態による可動式NPWT装置3を含んでいる。NPWTシステム1は、創傷部位に配置されたチャンバ6を有した創傷カバー5をさらに含む。チャンバ6を有した創傷カバー5は、例えばユーザの皮膚などの創傷表面9によって部分的に規定される密閉空間7を、ユーザの創傷部位に、又はその周囲に、形成するように構成されている。
図1に概略的に示すように、チャンバ6は、入口8と、出口10と、を有している。チャンバ6の出口10は、チューブ11を使用して可動式NPWT装置3に対して流体流通可能に接続されており、チャンバ6の入口8は、フィルタ(
図1では見えない)を介して周囲(ユーザの周囲の空気)に対して流体流通可能に接続されていて、チャンバ6内への空気の連続的な漏洩を提供している。チューブ11は、エラストマー及び/又はポリマー材料から製造された任意の適切な可撓性チューブであってもよい。
【0029】
図1に概略的に示すように、NPWT装置3は、陰圧ポンプ13を含み、陰圧ポンプ13は、陰圧ポンプ13が動作するように制御された時には、陰圧を確立するように構成されている。陰圧ポンプ13は、生体適合性であるとともに適切な治療用の真空レベルを維持したり又は抽出したりする任意のタイプのポンプであってもよい。好ましくは、達成されるべき陰圧レベルは、約-20mmHg~約-300mmHgの範囲であってもよい。本開示の可能な実施形態では、約-80mmHg~約-140mmHgの陰圧範囲が使用されてもよい。本発明の可能な実施形態では、陰圧ポンプ13は、ダイヤフラムタイプ又は蠕動タイプの、ポンプである。
【0030】
陰圧ポンプ13は、キャニスタ15に対して流体流通可能に接続されており、キャニスタ15は、また、NPWT装置3の一部を形成している。キャニスタ15は、例えば成形プラスチックから又は同種のものから、形成されてもよく、可能であれば、NPWT装置3の着脱可能な構成要素であってもよい。キャニスタ15は、好ましくは、少なくとも部分的に透明/半透明であってもよく、これにより、キャニスタ15の内部を見ることができ、ユーザがキャニスタ15の残容量を決定することを補助することができる。
【0031】
入口ポート17が、チューブ11に対しての接続を可能とするために、キャニスタ15に形成されている。入口ポート17は、また、NPWT装置3の他の場所に形成されてもよいけれども、その場合でも、依然としてキャニスタ15に対して流体流通可能に接続されている。入口ポート17とチューブ11との間の接続は、密閉接続であり、これにより、NPWT装置3の通常動作時に入口ポート17のところで漏洩が起こらないことが確保される。チューブ11は、好ましくは、摩擦嵌合、バヨネット結合、スナップ嵌合、逆棘付きコネクタ、又は同種のもの、を含めた従来的手段によって、入口ポート17に対して解放可能に接続される。入口ポート17は、キャニスタ15を形成しているものと同じ材料から、及び/又はキャニスタ15と同時に、成形/形成されてもよい。キャニスタ15と陰圧ポンプ13との間には、同様の密閉接続(例えば、フランジ型絶縁体/「Oリング」を使用して)を、形成してもよい。
【0032】
NPWT装置3は、NPWT装置3に対して給電するためのバッテリ19をさらに含む。バッテリ19は、好ましくは再充電可能なタイプであってもよいけれども、代替的には、使い捨て可能なものであってもよい。本開示のいくつかの実施形態に関連して、特別に構成されたバッテリパックが使用されてもよい。
【0033】
NPWT装置3は、また、可動式NPWT装置3の動作を制御するための制御装置21と、キャニスタ15内の圧力を感知するように構成された少なくとも1つの圧力センサ23と、ユーザフィードバック及び/又は警告を提供するためのスピーカ24と、を含む。
【0034】
バッテリ19によって給電されるとともにポンプ13と圧力センサ23とスピーカ24とに対して結合された制御装置21は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサ、又は、別のプログラマブル装置、を含んでもよい。制御装置21は、また、それに代えて、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ若しくはプログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイス、又は、デジタル信号プロセッサ、を含んでもよい。制御装置21が、上述した、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はプログラマブルデジタル信号プロセッサ、などのプログラマブル装置を含む場合には、プロセッサは、プログラマブル装置の動作を制御するコンピュータ実行可能コードをさらに含んでもよい。
【0035】
NPWT装置3の使用時には、創傷カバー5は、ユーザの創傷部位に配置され、密閉空間7を形成する。チューブ11は、創傷カバー5内のチャンバ6の出口10を、NPWT装置3の入口ポート17に対して流体流通可能に接続するために設けられている。その後、治療を開始するに際しては、例えばユーザが、開始/一時停止ボタン(
図1には図示されていない)を押すことによって、可動式NPWT装置3が、起動されてもよい。治療的処置に関するこの開始要求に応答して、制御装置21は、陰圧ポンプ13を制御して、陰圧ポンプ13を動作させてもよい。動作時には、陰圧ポンプ13は、キャニスタ15と、入口ポート17と、チューブ11と、創傷カバー5内のチャンバ6によって形成された密閉空間7と、を介して、空気の排出を開始することとなる。したがって、密閉空間7の内部には、陰圧が生成されることとなる。創傷部位のところに液体が形成されている場合には、創傷部位からのこの液体は、チャンバ6の入口8によって提供される連続的な限定的漏出に基づいて、創傷部位から、チューブ11と入口ポート17とを介して、キャニスタ15内へと、少なくとも部分的に「抽出」され得る。創傷から抽出されてキャニスタ内へと収集される液体(時に、滲出液とも称される)の量は、処置対象をなす創傷のタイプと、使用される創傷ドレッシングのタイプと、に依存することとなる。例えば、吸収性ドレッシングが使用された場合には、液体は、キャニスタと創傷ドレッシングとの両方に吸収されて収集され得るけれども、吸収能力が全くない又はわずかしかないドレッシングが使用された場合には、創傷部位からの液体の大部分又は全部が、キャニスタ内に収集され得る。キャニスタ15と陰圧ポンプ13との間には、適切なフィルタ部材(
図1には図示されていない)が配置されてもよく、これにより、キャニスタ15から陰圧ポンプ13へと、液体を通過させ得ないことが確保される。
【0036】
上述したように、可動式NPWT装置3は、動作するためには、充電されたバッテリパック19を必要とし、バッテリパック19が消耗した時には、バッテリパックを交換する必要がある。バッテリの交換後には、あるいは、NPWT装置3が新品へと交換された場合には、NPWT装置3は、その後の治療時における誤動作リスクを低減するために、試験される。
【0037】
この目的のために、本発明の実施形態によるNPWT装置3内の制御装置21は、本発明の実施形態による試験手順を実行するように構成されてもよい。特に、制御装置21内に設けられた処理回路は、本発明による方法の様々な実施形態に従った各ステップを実行するようにプログラムされてもよい。
【0038】
以下では、本発明の実施形態について、
図1の図示に加えて、
図2、
図3、及び
図4のフローチャートを参照しながら、説明する。
【0039】
図2は、本発明の実施形態による可動式NPWT装置の第1構成例を示すフローチャートである。
図2を参照すると、NPWT装置3の制御装置21は、例えば、ボタン若しくはリセットスイッチの事前定義操作の形態で提供され得る、又はバッテリパック19の交換後における電源投入の形態で提供され得る、起動要求を受領すること100を行うように構成されてもよい。
【0040】
起動要求に応答して、制御装置21は、NPWT装置3に関する起動試験シーケンスを開始すること101を行うように構成されている。
【0041】
起動試験シーケンスの一部として、制御装置21は、圧力センサ23から、キャニスタ15内の圧力を示す第1信号P1を取得すること102を行うように構成されている。
【0042】
制御装置21は、圧力センサ23から取得した第1信号P1を評価すること103を行うように構成されており、第1信号P1が、事前定義されたしきい値圧力Pthと比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、制御装置21は、ポンプ13を制御して、ポンプ13を、事前定義された時間期間Tにわたって動作させること104を行うように、さらに、事前定義された時間期間Tの後に、キャニスタ15内の圧力を示す第2信号P2を取得すること105を行うように、構成されている。
【0043】
制御装置21は、事前定義された時間期間Tの後に圧力センサ23から取得した第2信号P2を評価すること106を行うように構成されており、第2信号P2が、圧力がより大きな陰圧度合いとはならなかったことを示している時には、あるいは、ポンプ13が所望通りに動作していることを示すのに充分なほどには圧力が陰圧度合いとはならなかったことを示している時には、制御装置21は、NPWT装置3が起動試験に失敗したと決定すること107を行うように、構成されてもよい。
【0044】
他方、第2信号P2が、キャニスタ15内の圧力が第1信号P1によって示された圧力と比較して、より大きな陰圧度合いとなった(又は、充分に大きな陰圧度合いとなった)ことを示している時には、制御装置21は、起動試験シーケンスを進めること108を行うように、さらに、NPWT装置3が、起動試験に失敗したこと110であるか、又は起動試験に合格したことであるか、を決定すること109を行うように、構成されている。NPWT装置3が起動試験に合格したことを制御装置21が決定した場合には、制御装置21は、NPWT装置3が治療モードに移行することを許可すること111を行うように構成されてもよい。
【0045】
NPWT装置3が、治療モードへと移行することを許可された時には、制御装置21は、NPWT装置3を治療モードへと直接的に移行させてもよい、あるいは、例えばボタン又はタッチスクリーンなどのユーザインターフェースの事前定義された操作などのユーザ要求に応答して、移行させるように構成されてもよい。事前定義された時間期間Tは、有利には、NPWTシステム1の構成にかかわらず、ポンプ13及び/又は圧力センサ23が動作可能であるかどうかを信頼性高く示すことを確保するために、少なくとも500msであってもよい。さらに有利には、事前定義された時間期間は、900msなどのように、少なくとも700msであってもよい。
【0046】
制御装置21が、NPWT装置3を治療モードへと移行させることを許可した後には、又は起動試験シーケンスの一部として、制御装置21は、NPWT装置3のポンプ13及び/又は圧力センサ23の動作を試験するための追加的なステップを行うように構成されてもよい。本発明の実施形態による可動式NPWT装置の、このような第2構成例は、
図3に概略的に図示されている。
図3を参照すると、NPWT装置3の制御装置21は、このように、ポンプ13を制御してポンプ13を動作させること200を行うように、さらに、ポンプ13の動作時に圧力センサ23から繰り返し的に信号P(t)を取得すること201を行うように、追加的に構成されてもよい。
【0047】
圧力センサ23からの信号P(t)の取得時には又は取得後には、制御装置21は、圧力センサ23からの信号P(t)を評価することにより、2つの故障モードの少なくとも1つを識別し得るかどうかを決定するように、構成されてもよい。圧力センサ23から取得した信号P(t)が、圧力センサ23から取得され得る最小値Pminに常にあることが決定された時202には、又は、圧力センサ23から取得した信号P(t)が、圧力センサ23から取得され得る最大値Pmaxに常にあることが決定された時202には、又は、圧力センサ23から取得した信号P(t)が、最小値Pminと最大値Pmaxとの間で交互的に変化していることが決定された時202には、制御装置21は、制御装置21と圧力センサ23との間の接続が切断されたことを示す第1故障モードを識別するように構成されてもよい。圧力センサ23から取得した信号P(t)が、時間経過とともに増加する圧力を示していると決定された時203には、制御装置21は、圧力センサ23内の増幅回路の誤動作を示す第2故障モードを識別するように構成されてもよい。
【0048】
これらの故障モードのいずれかが、制御装置21によって識別された時には、制御装置は、圧力センサ23からの信号P(t)が信頼性の低いものであり、そのため、圧力センサ23が故障として分類されるべきであると決定すること204を行うように構成されている。このような場合、制御装置21は、NPWT3が治療モードに入ることを防止するという対処を行うように、又は治療を中断するという対処を行うように、構成されてもよい。制御装置21は、また、ユーザインターフェースを介してユーザに対して表示を提供するように構成されてもよい。
【0049】
いずれの故障モードも、制御装置21によって識別されなかった時には、制御装置は、圧力センサ23が、意図通りに動作していると決定すること205を行うように構成されており、さらに、NPWT3が治療モードに入ることを又は治療モードを継続することを、許可してもよい。
【0050】
起動試験シーケンスの一部として、制御装置21は、NPWT装置3の動作を試験するための追加的なステップを行うように構成されてもよい。本発明の実施形態による可動式NPWT装置3の、このような第3構成例は、
図4に概略的に図示されている。
図4を参照すると、NPWT装置3の制御装置21は、このように、スピーカ24を制御して音を放出させること300を行うように、追加的に構成されてもよい。スピーカ24が、NPWT装置3の中で、最も電力を消費する構成要素の1つであることのために、これは、バッテリパック19の健全性を評価するための効率的な手法であり得る。指示に従って、消耗したバッテリパック19は、フル充電されたバッテリパック19又は新品のバッテリパック19と、交換される必要がある。しかしながら、指示に従わない場合には、消耗したバッテリパック19は、少なくとも部分的に消耗した別のバッテリパック19と交換されてもよい。
【0051】
したがって、制御装置21は、スピーカ24の動作に起因したバッテリ電圧降下ΔVを測定すること301を行うように構成されてもよい。
【0052】
制御装置21は、測定したバッテリ電圧降下ΔVを、事前定義されたしきい値電圧降下ΔVthと比較して、評価すること302を行うように、さらに、スピーカの動作時のバッテリ電圧降下が、事前定義されたしきい値電圧降下ΔVth未満である時には、NPWT装置が、事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することにより、起動試験シーケンスを進め得ると決定すること303を行うように、構成されてもよい。
【0053】
その代わりに、測定したバッテリ電圧降下ΔVが、事前定義されたしきい値電圧降下ΔVthよりも大きいことを、制御装置21が決定した時には、制御装置21は、NPWT装置3が起動試験に失敗したと決定すること304を行うように構成されてもよい。
【0054】
特許請求の範囲では、「含む」という用語は、他の構成要素又は他のステップを除外するものではなく、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞は、複数を除外するものではない。特定の複数の手段が、相互に異なる複数の従属請求項にわたって記載されていたとしても、これは、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
特許請求の範囲では、「含む」という用語は、他の構成要素又は他のステップを除外するものではなく、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞は、複数を除外するものではない。特定の複数の手段が、相互に異なる複数の従属請求項にわたって記載されていたとしても、これは、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置であって、
創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、
前記入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、前記創傷部位から液体を収集するための前記キャニスタと、
前記キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、前記キャニスタ内に陰圧を確立するための前記ポンプと、
前記キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、
前記NPWT装置の動作を制御するための制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、
前記NPWT装置の起動要求を受領することと、
前記起動要求に応答して、前記NPWT装置に関する起動試験シーケンスを開始することと、
前記圧力センサから、前記キャニスタ内の圧力を示す第1信号を取得することと、
前記圧力センサから取得した前記第1信号を評価することと、
取得した前記第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることと、
前記事前定義された時間期間の後に、前記圧力センサから第2信号を取得することと、
前記起動試験シーケンスを進めることと、
事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が治療モードへと移行することを許可することと、
取得した前記信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記起動試験シーケンスを進めることと、
事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が治療モードへと移行することを許可することと、
を行うように構成されている、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置。
[態様2]
前記取得した第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、前記制御装置は、
前記圧力センサから取得した前記第2信号を評価することと、
前記第2信号が、事前定義された期間内で陰圧を示している時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することと、
を行うように、さらに構成されている、態様1に記載のNPWT装置。
[態様3]
前記取得した第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、前記制御装置は、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記NPWTが、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することを行うように、さらに構成されている、態様1又は2に記載のNPWT装置。
[態様4]
前記制御装置は、前記NPWT装置が治療モードへと移行することを許可された後に、
前記圧力センサから、繰り返し的に信号を取得することと、
前記圧力センサから取得した前記信号を評価することと、
前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最小値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最大値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記最小値と前記最大値との間で交互的に変化している時には、又は、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記ポンプの動作時に、時間経過とともに、一定な圧力を若しくは増加する圧力を示している時には、前記圧力センサが機能していないと決定することと、
を行うように、さらに構成されている、態様1から3の何れか一つに記載のNPWT装置。
[態様5]
前記NPWT装置は、バッテリと、スピーカと、をさらに含み、前記制御回路は、
前記スピーカを制御して前記スピーカを動作させることにより、音を放出させることと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの電圧降下を測定することと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの前記電圧降下が、所定値未満である時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することと、
を行うように、さらに構成されている、態様1から4の何れか一つに記載のNPWT装置。
[態様6]
可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置を試験するための方法であって、
前記NPWT装置が、創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、前記入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、前記創傷部位から液体を収集するための前記キャニスタと、前記キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、前記キャニスタ内に陰圧を確立するための前記ポンプと、前記キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、を含むものである場合に、
前記方法は、
前記NPWT装置の起動要求を受領するステップと、
前記起動要求に応答して、前記NPWT装置に関する起動試験シーケンスを含む起動試験を開始するステップと、
前記圧力センサから、前記キャニスタ内の前記圧力を示す第1信号を取得するステップと、
前記圧力センサから取得した前記第1信号を評価するステップと、
前記取得した第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させるステップと、
前記事前定義された時間期間の後に、前記圧力センサから第2信号を取得するステップと、
前記起動試験シーケンスを進めるステップと、
事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が前記起動試験に合格したと決定するステップと、
取得した前記信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記起動試験シーケンスを進めるステップと、
前記事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が前記起動試験に合格したと決定するステップと、
を含む、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置を試験するための方法。
[態様7]
前記方法は、
前記圧力センサから取得した前記第2信号を評価するステップと、
前記第2信号が、事前定義された期間内で陰圧を示している時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定するステップと、
をさらに含む、態様6に記載の方法。
[態様8]
前記取得した第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、前記方法は、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記NPWTが、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定するステップをさらに含む、態様6又は7に記載の方法。
[態様9]
前記方法は、前記NPWT装置が前記起動試験に合格したと決定された後に実行される、
前記圧力センサから、繰り返し的に信号を取得するステップと、
前記圧力センサから取得した前記信号を評価するステップと、
前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最小値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最大値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記最小値と前記最大値との間で交互的に変化している時には、又は、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記ポンプの動作時に、時間経過とともに、一定な圧力を若しくは増加する圧力を示している時には、前記圧力センサが機能していないと決定するステップと、
をさらに含む、態様6から8の何れか一つに記載の方法。
[態様10]
前記可動式のNPWT装置が、バッテリと、スピーカと、をさらに含むものである場合に、前記起動試験シーケンスは、
前記スピーカを制御して前記スピーカを動作させることにより、音を放出させるステップと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの電圧降下を測定するステップと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの前記電圧降下が、所定値未満である時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定するステップと、
をさらに含む、態様6から9の何れか一つに記載の方法。
[態様11]
コンピュータプログラムであって、
態様1に記載のNPWT装置内に含まれた制御装置上で前記コンピュータプログラムを実行した時には、前記制御装置に、態様6に記載の方法における各ステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
[態様12]
陰圧閉鎖療法(NPWT)システムであって、
創傷部位のところに配置されることとなるチャンバであるとともに、陰圧を確立するための前記チャンバであり、さらに、出口を有した前記チャンバと、
態様1から5の何れか一つに記載のNPWT装置と、
前記チャンバの前記出口と、前記NPWT装置の前記入口と、を流体流通可能に接続するチューブと、
を含む、陰圧閉鎖療法(NPWT)システム。
[態様13]
前記チャンバは、フィルタを介して周囲と流体流通可能に接続された入口であり、前記チャンバ内への空気の連続的な漏洩を提供するための入口を、さらに有している、態様12に記載のNPWTシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置であって、
創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、
前記入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、前記創傷部位から液体を収集するための前記キャニスタと、
前記キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、前記キャニスタ内に陰圧を確立するための前記ポンプと、
前記キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、
前記NPWT装置の動作を制御するための制御
装置と、
を含み、
前記制御
装置は、
前記NPWT装置の起動要求を受領することと、
前記起動要求に応答して、前記NPWT装置に関する起動試験シーケンスを開始することと、
前記圧力センサから、前記キャニスタ内の圧力を示す第1信号を取得することと、
前記圧力センサから取得した前記第1信号を評価することと、
取得した前記第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させることと、
前記事前定義された時間期間の後に、前記圧力センサから第2信号を取得することと、
前記起動試験シーケンスを進めることと、
事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が治療モードへと移行することを許可することと、
取得した前記
第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記起動試験シーケンスを進めることと、
事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が治療モードへと移行することを許可することと、
を行うように構成されている、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置。
【請求項2】
前記取得した第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、前記制御装置は、
前記圧力センサから取得した前記第2信号を評価することと、
前記第2信号が、事前定義された期間内で陰圧を示している時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することと、
を行うように、さらに構成されている、請求項1に記載のNPWT装置。
【請求項3】
前記取得した第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、前記制御装置は、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記NPWT
装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することを行うように、さらに構成されている、請求項1又は2に記載のNPWT装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記NPWT装置が治療モードへと移行することを許可された後に、
前記圧力センサから、繰り返し的に信号を取得することと、
前記圧力センサから取得した前記信号を評価することと、
前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最小値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最大値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記最小値と前記最大値との間で交互的に変化している時には、又は、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記ポンプの動作時に、時間経過とともに、一定な圧力を若しくは増加する圧力を示している時には、前記圧力センサが機能していないと決定することと、
を行うように、さらに構成されている、請求項1から3の何れか一項に記載のNPWT装置。
【請求項5】
前記NPWT装置は、バッテリと、スピーカと、をさらに含み、前記制御
装置は、
前記スピーカを制御して前記スピーカを動作させることにより、音を放出させることと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの電圧降下を測定することと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの前記電圧降下が、所定値未満である時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定することと、
を行うように、さらに構成されている、請求項1から4の何れか一項に記載のNPWT装置。
【請求項6】
可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置を試験するための方法であって、
前記NPWT装置が、創傷部位と流体流通可能に接続されることとなる入口と、前記入口と流体流通可能に接続されたキャニスタであり、前記創傷部位から液体を収集するための前記キャニスタと、前記キャニスタと流体流通可能に接続されたポンプであり、前記キャニスタ内に陰圧を確立するための前記ポンプと、前記キャニスタ内の圧力を感知するように構成された圧力センサと、を含むものである場合に、
前記方法は、
前記NPWT装置の起動要求を受領するステップと、
前記起動要求に応答して、前記NPWT装置に関する起動試験シーケンスを含む起動試験を開始するステップと、
前記圧力センサから、前記キャニスタ内の前記圧力を示す第1信号を取得するステップと、
前記圧力センサから取得した前記第1信号を評価するステップと、
前記取得した第1信号が、事前定義されたしきい値圧力と比較して、より小さな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを事前定義された時間期間にわたって動作させるステップと、
前記事前定義された時間期間の後に、前記圧力センサから第2信号を取得するステップと、
前記起動試験シーケンスを進めるステップと、
事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が前記起動試験に合格したと決定するステップと、
取得した前記
第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記起動試験シーケンスを進めるステップと、
前記事前定義された複数の基準からなる組の中の少なくとも1つの基準を満たせなかったことのために前記NPWT装置が前記起動試験シーケンス内の少なくとも1つの試験に失敗したということがない限り、前記NPWT装置が前記起動試験に合格したと決定するステップと、
を含む、可動式の陰圧閉鎖療法(NPWT)装置を試験するための方法。
【請求項7】
前記方法は、
前記圧力センサから取得した前記第2信号を評価するステップと、
前記第2信号が、事前定義された期間内で陰圧を示している時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定するステップと、
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記取得した第1信号が、前記事前定義されたしきい値圧力と比較して、より大きな陰圧度合いを示している時には、前記方法は、
前記ポンプを制御して前記ポンプを前記事前定義された時間期間にわたって動作させることなく、前記NPWT
装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定するステップをさらに含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記NPWT装置が前記起動試験に合格したと決定された後に実行される、
前記圧力センサから、繰り返し的に信号を取得するステップと、
前記圧力センサから取得した前記信号を評価するステップと、
前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最小値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記圧力センサから取得され得る最大値に常にある時には、若しくは、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記最小値と前記最大値との間で交互的に変化している時には、又は、前記圧力センサから取得した前記信号が、前記ポンプの動作時に、時間経過とともに、一定な圧力を若しくは増加する圧力を示している時には、前記圧力センサが機能していないと決定するステップと、
をさらに含む、請求項6から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記可動式のNPWT装置が、バッテリと、スピーカと、をさらに含むものである場合に、前記起動試験シーケンスは、
前記スピーカを制御して前記スピーカを動作させることにより、音を放出させるステップと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの電圧降下を測定するステップと、
前記スピーカの動作時における前記バッテリの前記電圧降下が、所定値未満である時には、前記NPWT装置が、前記事前定義された複数の基準からなる組の中の、1つの基準を満たしたと決定するステップと、
をさらに含む、請求項6から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータプログラムであって、
請求項1に記載のNPWT装置内に含まれた制御装置上で前記コンピュータプログラムを実行した時には、前記制御装置に、請求項6に記載の方法における各ステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項12】
陰圧閉鎖療法(NPWT)システムであって、
創傷部位のところに配置されることとなるチャンバであるとともに、陰圧を確立するための前記チャンバであり、さらに、出口を有した前記チャンバと、
請求項1から5の何れか一項に記載のNPWT装置と、
前記チャンバの前記出口と、前記NPWT装置の前記入口と、を流体流通可能に接続するチューブと、
を含む、陰圧閉鎖療法(NPWT)システム。
【請求項13】
前記チャンバは、フィルタを介して周囲と流体流通可能に接続された入口であり、前記チャンバ内への空気の連続的な漏洩を提供するための入口を、さらに有している、請求項12に記載のNPWTシステム。
【国際調査報告】