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特表2023-528284組成物及びそれとともに形成された発泡ポリウレタン物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】組成物及びそれとともに形成された発泡ポリウレタン物品
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/40 20060101AFI20230627BHJP
   C08G 18/61 20060101ALI20230627BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C08G18/40 009
C08G18/61
C09K3/10 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571088
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2021033620
(87)【国際公開番号】W WO2021237069
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/028,638
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/048,628
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】シェテ、アビシェク
(72)【発明者】
【氏名】粟生 薫
(72)【発明者】
【氏名】レン、ダカイ
(72)【発明者】
【氏名】クーンス、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】グジェシアク、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ヤング ジュニア、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ゴヤル、サチット
【テーマコード(参考)】
4H017
4J034
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AB03
4H017AB15
4J034BA07
4J034DF01
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4J034RA15
(57)【要約】
発泡ポリウレタン物品を調製するための組成物が開示される。組成物は、(1)イソシアネート反応性成分と、(2)イソシアネート成分と、を含む。(1)イソシアネート反応性成分は、(A)1分子当たり平均して少なくとも2つのカルビノール官能基を有するオルガノポリシロキサンと、(B)ポリオールと、を含む。(A)オルガノポリシロキサンは、(A)オルガノポリシロキサンと(B)ポリオールとの合計重量に基づいて、10重量%超~99重量%未満の量で存在する。(2)イソシアネート成分は、(C)ポリイソシアネートを含む。組成物は、(D)発泡剤と、(E)触媒と、を更に含む。組成物の反応生成物を含む発泡ポリウレタン物品も、発泡ポリウレタン物品の使用とともに開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート反応性組成物であって、
(A)1分子当たり平均して少なくとも2つのカルビノール官能基を有するオルガノポリシロキサンと、
(B)ポリオールと、を含み、
前記(A)オルガノポリシロキサンが、前記(A)オルガノポリシロキサンと前記(B)ポリオールとの合計重量に基づいて、10重量%超~99重量%未満の量で存在する、組成物。
【請求項2】
発泡ポリウレタン物品を調製するための組成物であって、
(1)イソシアネート反応性成分であって、請求項1に記載のイソシアネート反応性組成物である、イソシアネート反応性成分と、
(2)(C)ポリイソシアネート、
(D)発泡剤、及び
(E)触媒を含む、イソシアネート成分と、を含む、組成物。
【請求項3】
(i)前記カルビノール官能基が、互いに同じである、(ii)前記カルビノール官能基が、一般式-D-O-(C2bO)-Hを有し、式中、Dが、共有結合又は2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aが、0又は1であり、下付き文字bが、下付き文字cによって示される各部分において独立して2~4から選択され、下付き文字cが、0~500であるが、但し、下付き文字a及びcが同時に0ではないことを条件とする、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カルビノール官能基のうちの少なくとも1つにおいて、(i)下付き文字Dが、2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aが、1であり、下付き文字cが、前記カルビノール官能基が一般式-D-OHを有するように、0である、(ii)前記カルビノール官能基が、末端である、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
(i)前記カルビノール官能基のうちの少なくとも1つが、一般式:
-D-O-[CO][CO][CO]-Hを有し、
式中、Dが、共有結合又は2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aが、0又は1であり、0≦x≦500、0≦y≦500、及び0≦z≦500であるが、但し、1≦x+y+z≦500であることを条件とする、(ii)前記カルビノール官能基が、ペンダントである、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
(i)成分(A)が、400~1,200g/モルのOH当量を有する、(ii)成分(A)が、1~1,000mmPa・sの25℃における粘度を有する、(iii)成分(A)が、実質的に直鎖である、(iv)前記カルビノール官能基のうちの少なくとも1つが、ペンダントである、(v)前記カルビノール官能基のうちの少なくとも1つが、末端である、(vi)成分(A)が、前記組成物の総重量に基づいて、15~80重量%の量で前記組成物中に存在する、(vii)成分(A)が、一般式:
【化1】
を有し、
式中、各Rが、独立して選択されたヒドロカルビル基であるか、若しくはカルビノール官能基を含むが、但し、Rのうちの少なくとも2つが、独立して、カルビノール官能基を含み、下付き文字nが、0~100であることを条件とする、又は(viii)(i)~(vii)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
成分(B)が、(i)2~8の数平均官能価を有する、(ii)0超~2,000の平均OH当量を有する、(iii)ポリエーテルポリオールである、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
(i)成分(C)が、ポリマーMDI(pMDI)を含む、(ii)前記イソシアネート反応性成分が、1,000mPa・s未満の25℃における粘度を有する、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
請求項2に記載の組成物の反応生成物を含む、発泡ポリウレタン物品。
【請求項10】
(i)独立気泡構造、(ii)20℃を超えるガラス転移温度(T)、(iii)0.1~0.6g/cmの密度、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせを有する、請求項9に記載の発泡ポリウレタン物品。
【請求項11】
封止材、ポッティング材、熱バリアとしての、及び/又は自動車用途における、請求項9又は10に記載の発泡ポリウレタン物品の使用。
【請求項12】
複合物品を調製する方法であって、
組成物を基材上に配置することと、
前記組成物を硬化させて、発泡ポリウレタン物品を前記基材上に提供し、前記複合物品を調製することと、を含み、
前記組成物が、請求項2に記載の組成物である、方法。
【請求項13】
前記基材が、少なくとも1つのギャップを画定し、前記組成物を配置することが、前記発泡ポリウレタン物品が、前記複合物品の前記ギャップ内に存在するように、前記組成物を前記少なくとも1つのギャップ内に配置することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材が、バッテリセルを含み、前記複合物品が、バッテリパックを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一項に記載の方法に従って形成された複合物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月22日に出願された米国仮特許出願第63/028,638号、及び2020年7月6日に出願された米国仮特許出願第63/048,628号の優先権及び全ての利益を主張し、それらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
主題の開示は、一般に、組成物に関し、より具体的には、イソシアネート反応性組成物、発泡ポリウレタン物品を調製するためのイソシアネート反応性組成物を含む組成物、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発泡体は、当該技術分野において既知であり、クッション、支持物品、封止材/ポッティング材、及び絶縁材を含む様々な最終使用用途において利用される。発泡体は、様々な化学組成物から形成され得、物理的及び/又は化学発泡剤を利用し得る。例えば、ポリウレタン発泡体は、一般に、発泡剤の存在下でイソシアネート及びポリオールを反応させることから形成される。発泡体はまた、シリコーン組成物から、又はシリコーン組成物を用いて形成され得る。硬度、密度、可撓性などを含む発泡体の性能特性は、それらの調製に利用される組成物の関数である。例えば、ポリウレタン発泡体とは異なり、シリコーン発泡体の密度を低減させると、一般に、ハードセグメントの欠如に起因して、硬度の有意な低減がもたらされる。加えて、シリコーン発泡体の密度を低減させると、低減された引裂強度ももたらされる。性能特性へのこれらの影響は、特に、シリコーン発泡体の特定の性能特性が低減された密度とともに望まれる場合、望ましくない場合がある。例えば、低減された密度及び重量は、軽量化が効率及び取り扱いを改善する、運輸及び自動車産業において特に重要である。
【発明の概要】
【0004】
(A)1分子当たり平均して少なくとも2つのカルビノール官能基を有するオルガノポリシロキサンと、(B)ポリオールと、を含む、イシアネート反応性組成物が開示される。(A)オルガノポリシロキサンは、(A)オルガノポリシロキサンと(B)ポリオールとの合計重量に基づいて、10重量%超~99重量%未満の量で存在する。
【0005】
発泡ポリウレタン物品を調製するための組成物も開示される。組成物は、(1)イソシアネート反応性成分であって、イソシアネート反応性組成物である、イソシアネート反応性成分と、(2)イソシアネート成分と、を含む。(2)イソシアネート成分は、(C)ポリイソシアネートを含む。組成物は、(D)発泡剤と、(E)触媒と、を更に含む。成分(D)及び(E)は、独立して、(1)イソシアネート反応性成分、(2)イソシアネート成分中に存在し得るか、又は(1)イソシアネート反応性成分及び(2)イソシアネート成分とは別個に存在し得る。
【0006】
組成物の反応生成物を含む発泡ポリウレタン物品はまた、封止材、ポッティング材、熱バリアとしての、及び/又は自動車用途における、発泡ポリウレタン物品の使用とともに開示される。
【0007】
更になお、組成物を用いて複合物品を調製する方法が開示される。方法は、組成物を基材上に配置することと、組成物を硬化させて、発泡ポリウレタン物品を基材上に提供し、複合物品を調製することと、を含む。加えて、この方法に従って形成された複合物品が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
イソシアネート反応性組成物、及び発泡ポリウレタン物品を調製するためのそれを含む組成物が開示される。組成物の反応生成物である発泡ポリウレタン物品は、従来の発泡ポリウレタン及び/又は従来の発泡シリコーンエラストマーを伴うものを含む、様々な最終使用用途に好適である。例えば、発泡ポリウレタン物品は、封止材、ポッティング材、又は熱バリアとして利用され得る。発泡ポリウレタン物品は、以下に記載されるように、自動車用途における使用に優れた特性を有する。しかしながら、発泡ポリウレタン物品の最終使用用途は、そのように限定されない。
【0009】
組成物は、(1)イソシアネート反応性成分と、(2)イソシアネート成分とを含み、これらは、各々以下に記載される。(1)イソシアネート反応性成分もまた、本開示によって提供され、(1)イソシアネート反応性成分と、(2)イソシアネート成分とを含む、組成物と別個である場合、イソシアネート反応性組成物と称され得る。(1)イソシアネート反応性成分に関する全ての参照及び開示は、イソシアネート反応性組成物にも適用される。
【0010】
(1)イソシアネート反応性成分は、(A)1分子当たり平均して少なくとも2つのカルビノール官能基を有するオルガノポリシロキサンを含む。カルビノール官能基は、互いに同じであり得るか、又は異なり得る。オルガノポリシロキサン上のカルビノール官能基は、シラノール基とは区別され、カルビノール官能基は、炭素結合ヒドロキシル基を含み、シラノール官能基は、ケイ素結合ヒドロキシル基を含む。別の言い方をすると、カルビノール官能基は、式-COHのものであるが、シラノール官能基は、式-SiOHのものである。これらの官能基は、異なって機能し、例えば、シラノール官能基は、容易に凝縮して、シロキサン(-Si-O-Si-)結合を提供し得るが、一般に、カルビノール官能基では(少なくともシラノール官能基の加水分解と同じ触媒作用下では)発生しない。
【0011】
特定の実施形態では、カルビノール官能基は、独立して、一般式-D-O-(C2bO)-Hを有し、式中、Dは、共有結合又は2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aは、0又は1であり、下付き文字bは、下付き文字cによって示される各部分において独立して2~4から選択され、下付き文字cは、0~500であるが、但し、下付き文字a及びcが同時に0ではないことを条件とする。
【0012】
一実施形態では、下付き文字cは、少なくとも1であり、その結果、カルビノール官能基のうちの少なくとも1つは、一般式:
-D-O-[CO][CO][CO]-Hを有し、
式中、Dは、共有結合又は2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aは、0又は1であり、0≦x≦500、0≦y≦500、及び0≦z≦500であるが、但し、1≦x+y+z≦500であることを条件とする。これらの実施形態では、カルビノール官能基は、代替的にポリエーテル基又は部分と称され得るが、ポリエーテル基又は部分は、-CORではなく、-COHで終端し、Rは、一価炭化水素基である。当該技術分野で理解されるように、下付き文字xで示される部分は、エチレンオキシド(ethylene oxide、EO)単位であり、下付き文字yで示される部分は、プロピレンオキシド(propylene oxide、PO)単位であり、下付き文字zで示される部分は、ブチレンオキシド(butylene oxide、BO)単位である。EO、PO、及びBO単位は、存在する場合、ポリエーテル基又は部分中のブロック又はランダム化された形態であり得る。EO、PO、及びBO単位の相対量は、存在する場合、(A)オルガノポリシロキサン、組成物、及び結果として生じる発泡ポリウレタン物品の所望の特性に基づいて選択的に制御され得る。例えば、そのようなアルキレンオキシド単位のモル比は、親水性及び他の特性に影響を及ぼし得る。
【0013】
別の実施形態では、下付き文字cは、0であり、下付き文字aは、1であり、その結果、カルビノール官能基のうちの少なくとも1つは、一般式:-D-OHを有し、式中、Dは、上記で記載されている。これらの実施形態では、この一般式を有するカルビノール官能基は、ポリエーテル基又は部分ではない。
【0014】
成分(A)のカルビノール官能基の独立した選択に関係なく、成分(A)は、典型的には、実質的に直鎖である。実質的に直鎖とは、成分(A)がM及びDシロキシ単位を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらのみからなることを意味する。当該技術分野で容易に理解されるように、Mシロキシ単位は、式[RSiO1/2]のものであり、Dシロキシ単位は、式[RSiO2/2]のものである。従来、M及びDシロキシ命名法は、メチル置換のみに関連して利用されている。しかしながら、本開示の目的のために、上記のM及びDシロキシ単位において、Rは、独立して、置換若しくは非置換ヒドロカルビル基又はカルビノール官能基から選択されるが、但し、Rのうちの少なくとも2つが、独立して選択されたカルビノール官能基であることを条件とする。Mシロキシ単位が少なくとも1つのカルビノール官能基を含む場合、カルビノール官能基は、末端である。Dシロキシ単位が少なくとも1つのカルビノール官能基を含む場合、カルビノール官能基は、ペンダントである。実質的に直鎖のオルガノポリシロキサンは、平均式:Ra’SiO(4-a’)/2を有し得、式中、各Rは、独立して選択され、上記で定義されており、Rのうちの少なくとも2つが、独立して選択されたカルビノール官能基であるという条件を含み、下付き文字a’は、1.9≦a’≦2.2であるように選択される。
【0015】
一般に、Rに好適なヒドロカルビル基は、独立して、直鎖状、分岐状、環状、又はそれらの組み合わせであり得る。環状ヒドロカルビル基は、アリール基、及び飽和又は非共役環状基を包含する。環状ヒドロカルビル基は、独立して、単環式又は多環式であってもよい。直鎖及び分枝ヒドロカルビル基は、独立して、飽和又は不飽和であってもよい。直鎖及び環状ヒドロカルビル基の組み合せの一例は、アラルキル基である。ヒドロカルビル基の全般的な例としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロカーボン基、及び同等物、並びにそれらの誘導体、修飾、及びの組み合せが挙げられる。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘキサデシル、オクタデシル、並びに6~18個の炭素原子を有する分岐飽和炭化水素基が挙げられる。好適な非共役環状基の例としては、シクロブチル基、シクロヘキシル基、及びシシロヘプチル基が挙げられる。好適なアリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、及びジメチルフェニルが挙げられる。好適なアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、及びシクロヘキセニル基が挙げられる。好適な一価ハロゲン化炭化水素基(すなわち、ハロ炭素基、又は置換炭化水素基)の例としては、ハロゲン化アルキル基、アリール基、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化アルキル基の例としては、1つ以上の水素原子が、F又はClなどのハロゲン原子で置換された、上述のアルキル基が挙げられる。ハロゲン化アルキル基の具体例としては、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、及び2,3-ジクロロシクロペンチル基、並びにそれらの誘導体が挙げられる。ハロゲン化アリール基の例としては、1つ以上の水素原子が、F又はClなどのハロゲン原子で置換された、上述のアリール基が挙げられる。ハロゲン化アリール基の具体例としては、クロロベンジル基及びフルオロベンジル基が挙げられる。
【0016】
具体的な実施形態では、カルビノール官能基ではない各Rは、独立して、1~32個、代替的に1~28個、代替的に1~24個、代替的に1~20個、代替的に1~16個、代替的に1~12個、代替的に1~8個、代替的に1~4個、代替的に1個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
【0017】
(A)オルガノポリシロキサンは、T又はQシロキシ単位の存在に起因する少なくともいくつかの分岐を含み得る。当該技術分野において理解されるように、T単位は、式[RSiO3/2]のものであり、Qシロキシ単位は、式[SiO4/2]のものであり、式中、Rは、上記で定義されている。しかしながら、(A)オルガノポリシロキサンは、典型的には、そのようなT及びQシロキシ単位を含まない。「少なくともいくつか」とは、(A)オルガノポリシロキサンが、(A)オルガノポリシロキサン中に存在する全てのシロキシ単位に基づいて、最大5モル%、代替的に最大4モル%、代替的に最大3モル%、代替的に最大2モル%、代替的に最大1モル%、代替的に0モル%のT及びQシロキシ単位を含み得ることを意味する。そのような分岐が(A)オルガノポリシロキサン中に存在する場合、それは、典型的には、Qシロキシ単位ではなくTシロキシ単位に起因する。典型的には、所望の粘度に鑑み、(A)オルガノポリシロキサンは、ゴム又は樹脂ではなく、溶媒又は担体ビヒクルの不在下を含む、室温における流動性液体である。ゴム又は樹脂は、溶媒又は担体ビヒクル中に存在する場合、室温で液体であり得るが、溶媒が、典型的には、硬化プロセス中に揮発するか、又はその他の方法で除去されるため、そのような溶媒は、特定の最終使用用途では望ましくない場合がある。
【0018】
成分(A)が直鎖である具体的な実施形態では、成分(A)は、一般式:
【化1】
を有し得、式中、各Rは、独立して選択され、上記で定義されており、Rのうちの少なくとも2つが、独立して、カルビノール官能基を含含み、下付き文字nが、0~100であるという条件を含む。下付き文字nは、代替的に成分(A)の重合度(DP)と称され得る。典型的には、DPは、粘度に反比例し、他の全て(例えば、置換基及び分岐)は、等しい。下付き文字nは、代替的に0超~95、代替的に0超~90、代替的に0超~85、代替的に0超~80、代替的に0超~75、代替的に0超~70、代替的に0超~65である。代替的に、下付き文字nは、5~70、代替的に10~65である。具体的な一実施形態では、下付き文字nは、10~20である。代替の具体的な実施形態では、下付き文字nは、28~32、代替的に29~31、代替的に30である。代替の具体的な実施形態では、下付き文字nは、48~52、代替的に49~51、代替的に50である。代替の具体的な実施形態では、下付き文字nは、58~62、代替的に59~61、代替的に60である。
【0019】
具体的な実施形態では、各カルビノール官能基は、式-D-OHを有し、(A)オルガノポリシロキサンは、以下の一般式を有し、
【化2】
式中、D及び下付き文字nは、上記で定義されており、各Rは、Rについて上記に記載されるように、独立して選択された置換又は非置換ヒドロカルビル基である。これらの実施形態では、カルビノール官能基は、成分(A)中の末端である。これらのカルビノール官能基は、Dに基づいて互いに同じであり得るか、又は異なり得る。この式は、代替的に[(OHD-)R SiO1/2[Si 2/2として記載され得る。
【0020】
他の実施形態では、各カルビノール官能基は、一般式-D-O-(C2bO)-Hを有し、式中、D及び下付き文字a~cは、上記で定義されており、カルビノール官能基は、ペンダントであり、その結果、(A)オルガノポリシロキサンは、以下の一般式を有し、
【化3】
式中、各Rは、独立して選択され、上記で定義されており、各下付き文字Zは、-D-O-(C2bO)-Hであり、式中、D及び下付き文字a~cは、上記で定義されており、各下付き文字Rは、R及びZから独立して選択され、下付き文字p及びqは、各々1~99であるが、但し、p+q≦100であることを条件とする。上記の一般式において、下付き文字q及びpで示されるシロキシ単位は、ランダム化され得るか、又はブロック形態であり得る。上記の一般式は、その特定の順序を必要とすることなく、下付き文字qで示されるR SiO2/2単位、及び下付き文字pで示されるRZSiO2/2単位の数に基づいて、本実施形態における成分(A)の平均単位式を表すことを意図している。したがって、この一般式は、代替的に[(RSiO1/2[(RSiO2/2[(R)ZSiO2/2として記載され得、式中、下付き文字q及びpは、上記で定義されている。これらの実施形態では、カルビノール官能基は、ポリエーテル基であり、ポリエーテル基は、成分(A)中でペンダントである。各Rがメチルである場合、成分(A)のこの実施形態は、トリメチルシロキシ末端ブロックであり、ジメチルシロキシ単位(下付き文字qで示される)を含む。
【0021】
成分(A)の具体的な構造が上記に例示されているが、成分(A)としては、カルビノール官能基としての末端ポリエーテル基、若しくはポリエーテル基ではないペンダントカルビノール官能基、又は独立して選択されたカルビノール官能基の任意の組み合わせを挙げることができる。
【0022】
Dは、典型的には、(A)オルガノポリシロキサンを調製する官能基である。例えば、(A)オルガノポリシロキサンは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと不飽和カルビノール化合物との間のヒドロシリル化反応によって形成され得る。そのような実施形態では、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、カルビノール官能基が所望される場所(例えば、末端及び/又はペンダント)にケイ素結合水素原子を含む。不飽和カルビノール化合物は、式Y-O-(C2bO)-Hを有し得、式中、Yは、エチレン性不飽和基であり、下付き文字a、b、及びcは、上記で定義されるとおりである。
【0023】
上記のヒドロシリル化反応において、Yで表されるエチレン性不飽和基は、2~18個、代替的に2~16個、代替的に2~14個、代替的に2~12個、代替的に2~8個、代替的に2~4個、代替的に2個の炭素原子を有するアルケニル及び/又はアルキニル基であり得る。「アルケニル」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する非環状、分岐状又は非分岐状の一価炭化水素基を意味する。その具体例としては、ビニル基、アリル基、及びヘキセニル基が挙げられる。「アルキニル」は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する非環状、分枝鎖又は非分枝鎖の一価炭化水素基を意味する。その具体例としては、エチニル、プロピニル、及びブチニル基が挙げられる。エチレン性不飽和基の様々な例としては、CH=CH-、CH=CHCH-、CH=CH(CH-、CH=CH(CH-、CH=C(CH)CH-、HC=C(CH)-、HC=C(CH)-、HC=C(CH)CH-、HC=CHCHCH-、HC=CHCHCHCH-、HC≡C-、HC≡CCH-、HC≡CCH(CH)-、HC≡CC(CH-、及びHC≡CC(CHCH-が挙げられる。典型的には、エチレン性不飽和は、Yの末端にある。当該技術分野で理解されるように、エチレン性不飽和は、脂肪族不飽和と称され得る。したがって、Dが-CHCH-である場合、例えば、不飽和カルビノール化合物は、式CH=CH-O-(C2bO)-Hを有し得る。D中の炭素原子の数は、エチレン性不飽和基中の炭素原子数の官能基であり、これは、成分(A)を調製するためのヒドロシリル化反応後でさえも一定のままである。
【0024】
特定の実施形態では、成分(A)を形成するために利用されるヒドロシリル化反応触媒は、第VIII族~第XI族遷移金属を含む。第VIII族~第XI族遷移金属への言及は、最新のIUPAC命名法に基づく。第VIII族遷移金属は、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びハシウム(Hs)であり、第IX族遷移金属は、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、及びイリジウム(Ir)であり、第X族遷移金属は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)であり、第XI族遷移金属は、銅(Cu)、銀(Ag)、及び金(Au)である。それらの組み合わせ、それらの錯体(例えば、有機金属錯体)、及び他の形態のそのような金属は、ヒドロシリル化反応触媒として使用され得る。
【0025】
ヒドロシリル化反応触媒に好適な触媒の追加の例としては、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、第IV族遷移金属(即ち、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び/又はハフニウム(Hf))、ランタニド、アクチニド、並びに第I族及び第II族の金属錯体(例えば、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、ストロンチウム(Sr)などを含むもの)が挙げられる。それらの組み合わせ、それらの錯体(例えば、有機金属錯体)、及び他の形態のそのような金属は、ヒドロシリル化反応触媒として使用され得る。
【0026】
ヒドロシリル化反応触媒は、任意の好適な形態であり得る。例えば、ヒドロシリル化反応触媒は固体であり得、その例としては、白金系触媒、パラジウム系触媒、及び同様の貴金属系触媒、並びにニッケル系触媒が挙げられる。その具体例としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、コバルト、及び同様の元素、並びにまた白金-パラジウム、ニッケル-銅-クロム、ニッケル-銅-亜鉛、ニッケル-タングステン、ニッケル-モリブデン、及び複数の金属の組合せを含む同様の触媒が挙げられる。固体触媒の更なる例としては、Cu-Cr、Cu-Zn、Cu-Si、Cu-Fe-AI、Cu-Zn-Ti、及び同様の銅含有触媒などが挙げられる。
【0027】
ヒドロシリル化反応触媒は、固体担体の中又は上にあってもよい。担体の例としては、活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト、及びその他の無機粉末/粒子(例えば硫酸ナトリウム)などが挙げられる。ヒドロシリル化反応触媒はまた、ビヒクル、例えば、ヒドロシリル化反応触媒を可溶化する溶媒、代替的に、ヒドロシリル化反応触媒を単に運ぶが可溶化しないビヒクルに配置され得る。このようなビヒクルは、技術分野において既知である。
【0028】
具体的な実施形態では、ヒドロシリル化反応触媒は、白金を含む。これらの実施形態では、ヒドロシリル化反応触媒は、例えば、白金黒、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金ビス(エチルアセトアセテート)、白金ビス(アセチルアセトネート)、塩化白金、及びそのような化合物とオレフィン又はオルガノポリシロキサンとの錯体、並びにマトリックス又はコアシェル型化合物にマイクロカプセル化された白金化合物などの化合物によって例示される。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒、及びその調製方法はまた、当該技術分野において既知である。
【0029】
ヒドロシリル化反応触媒としての使用に好適なオルガノポリシロキサンとの白金錯体としては、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体が挙げられる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化されていてもよい。代替的に、ヒドロシリル化反応触媒は、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体を含み得る。ヒドロシリル化反応触媒は、クロロ白金酸を、ジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物、又はアルケン-白金-シリル錯体と反応させることを含む方法によって調製され得る。アルケン-白金-シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtClを、0.045モルのCOD及び0.0612モルのHMeSiClと混合することによって調製され得るものであり、ここで、CODは、シクロオクタジエンである。
【0030】
ヒドロシリル化反応触媒は、触媒量、すなわち、所望の条件でのその硬化を促進するのに十分な量又は分量で組成物中において利用される。ヒドロシリル化反応触媒は、単一ヒドロシリル化反応触媒、又は2つ以上の異なるヒドロシリル化反応触媒を含む混合物であり得る。
【0031】
代替的に、Dは、成分(A)がヒドロシリル化以外の反応、例えば、縮合反応又は開環反応を介して形成される場合、共有結合であり得る。
【0032】
特定の実施形態では、成分(A)は、1~1,000mPa・s、代替的に1~900mPa・s、代替的に10~700mPa・s、代替的に10~600mPa・sの25℃における毛細管粘度(ガラス製毛細管を介した動粘度)を有する。毛細管粘度は、1970年7月20日のDow Corning Corporate試験方法CTM 0004に従って測定され得る。CTM 0004は、当該技術分野において既知であり、ASTM D445、IP 71に基づく。典型的には、成分(A)がカルビノール官能基としてペンダントポリエーテル基を有する場合、成分(A)は、成分(A)が(上記の例示的な構造に記載されるような)ポリエーテル基ではない末端カルビノール官能基を含む場合よりも高い粘度を有する。例えば、成分(A)がペンダントポリエーテル基を含む場合、25℃における毛細管粘度は、典型的には、200~900、代替的に300~800、代替的に400~700、代替的に500~600mPa・sである。対照的に、成分(A)が、ポリエーテル基ではない末端カルビノール官能基のみを含む場合、成分(A)は、0mPa・s超~250mPa・s、代替的に0mPa・s超~100mPa・s、代替的に0mPa・s超~75mPa・s、代替的に10mPa・s~75mPa・s、代替的に25mPa・s~75mPa・sの25℃における毛細管粘度を有し得る。
【0033】
これら又は他の実施形態では、成分(A)は、100~2,000、代替的に200~1,750、代替的に300~1,500、代替的に400~1,200g/モルのOH当量を有し得る。OH当量を決定する方法は、官能価及び分子量に基づいて当該技術分野において既知である。
【0034】
(1)イソシアネート反応性成分は、(B)ポリオールを更に含む。
【0035】
(1)イソシアネート反応性成分に好適なポリエーテルポリオールとしては、多官能性開始剤の存在下で、環状オキシド、例えば、エチレンオキシド(「EO」)、プロピレンオキシド(「PO」)、ブチレンオキシド(「BO」)、テトラヒドロフラン、又はエピクロロヒドリンの重合によって得られる生成物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な開始剤は、2つ以上、すなわち、複数の活性水素原子を含有する。この重合のための触媒作用は、アニオン性又はカチオン性のいずれかであり得、好適な触媒としては、KOH、CsOH、三フッ化ホウ素、又はヘキサシアノコバルト酸亜鉛若しくは四級ホスファゼニウム化合物などの二重金属シアン化物錯体(double metal cyanide complex、DMC)触媒が挙げられる。開始剤は、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、水、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセロール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンなどのアミノアルコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,5-ヘキサンジオールなどのアルカンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ビス-3-アミノプロピルメチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、9(1)-ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、水素化ビスフェノール、9,9(10,10)-ビスヒドロキシメチルオクタデカノール、1,2,6-ヘキサントリオール、並びにそれらの組み合わせから選択され得る。他の開始剤としては、アミン基を含有する他の直鎖及び環状化合物が挙げられる。例示的なポリアミン開始剤としては、エチレンジアミン、ネオペンチルジアミン、1,6-ジアミノヘキサン、ビスアミノメチルトリシクロデカン、ビスアミノシクロヘキサン、ジエチレントリアミン、ビス-3-アミノプロピルメチルアミン、トリエチレンテトラアミン、トルエンジアミンの様々な異性体、ジフェニルメタンジアミン、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチルエタノールアミン、3、3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、N,N-ジメチルジプロピレントリアミン、アミノプロピル-イミダゾール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。当該技術分野において理解されるように、開始剤化合物又はその組み合わせは、一般に、結果として生じるポリエーテルポリオールの所望の官能価に基づいて選択される。本開示の目的のために、(B)ポリオールは、上記の開始剤のいずれか、又は開始剤の組み合わせを用いて形成され得る。加えて、(B)ポリオールは、グリセロールを含むこれらの開始剤のいずれかを含み得る。
【0036】
他の好適なポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールなどのポリエーテルジオールおよびトリオール、ならびに二官能性または三官能性開始剤へのエチレンおよびプロピレンオキシドの同時または連続付加によって得られるポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)ジオールおよびトリオールが挙げられる。トリオールよりも高い官能価を有するポリエーテルポリオールもまた、ポリエーテルジオール及び/若しくはトリオールの代わりに、又はそれらに加えて利用され得る。コポリマーの重量に基づいて、5~90重量%のオキシエチレン含有量を有するコポリマーが利用され得る。(B)ポリオールがコポリマーである場合、(B)ポリオールは、ブロックコポリマー、ランダム/ブロックコポリマー、又はランダムコポリマーであり得る。(B)ポリオールはまた、ターポリマーであり得る。なお他の好適なポリエーテルポリオールとしては、テトラヒドロフランの重合によって得られるポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
【0037】
(1)イソシアネート反応性成分に好適なポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、スクロース、ポリエーテルポリオールなどの多価アルコール(それらの混合物を含む)のヒドロキシル官能性反応生成物;並びにポリカルボン酸、特にジカルボン酸又はそれらのエステル形成誘導体、例えば、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸、若しくはそれらのジメチルエステル、セバシン酸、無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、ジメチルテレフタレート、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ラクトン、例えば、カプロラクトンをポリオールと組み合わせた重合、又はヒドロキシカルボン酸、例えば、ヒドロキシカプロン酸の重合によって得られるポリエステルポリオールも、使用され得る。特定の実施形態では、(B)ポリオールは、ポリエステルとポリエーテルポリオールとの混合物を含む。
【0038】
好適なポリエステルアミドポリオールは、ポリエステル化混合物にエタノールアミンなどのアミノアルコールを含めることによって得ることができる。好適なポリチオエーテルポリオールとしては、チオジグリコールを単独で縮合させるか、または他のグリコール、アルキレンオキシド、ジカルボン酸、ホルムアルデヒド、アミノアルコール、またはアミノカルボン酸と縮合させることによってのいずれかで得られる生成物が挙げられる。好適なポリカーボネートポリオールとしては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、又はテトラエチレングリコールなどのジオールを、ジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネート、又はホスゲンと反応させることによって得られる生成物が挙げられる。好適なポリアセタールポリオールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、またはヘキサンジオールなどのグリコールをホルムアルデヒドと反応させることによって調製されたものが挙げられる。他の好適なポリアセタールポリオールもまた、環状アセタールを重合することによって調製され得る。好適なポリオレフィンポリオールとしては、ヒドロキシ末端ブタジエンホモおよびコポリマーが挙げられ、好適なポリシロキサンポリオールとしては、ポリジメチルシロキサンジオールおよびトリオールが挙げられる。
【0039】
特定の実施形態では、(B)ポリオールは、ポリマーポリオールである。具体的な実施形態では、ポリマーポリオールは、グラフトポリオールである。グラフトポリオールはまた、グラフト分散ポリオールまたはグラフトポリマーポリオールとも称され得る。グラフトポリオールとしては、多くの場合、1つ以上のビニルモノマー、例えば、スチレンモノマー及び/又はアクリロニトリルモノマーのその場での重合によって得られる生成物、すなわち、ポリマー粒子、並びにポリオール中のマクロマー、例えば、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0040】
他の実施形態では、ポリマーポリオールは、ポリ尿素(polyharnstoff)(PHD)ポリオール、ポリイソシアネート重付加(polyisocyanate polyaddition、PIPA)ポリオール、およびそれらの組み合わせから選択される。(1)イソシアネート反応性成分は、前述のポリマーポリオールの任意の組み合わせを含み得ることを理解されたい。PHDポリオールは、典型的には、ポリオール中でのジイソシアネートとジアミンとのその場での反応によって形成され、ポリ尿素粒子の安定した分散を与える。PIPAポリオールは、分散液が、典型的には、ジアミンの代わりにアルカノールアミンをジイソシアネートとその場で反応させて、ポリオール中のポリウレタン分散液を与えることによって形成される点を除いて、PHDポリオールと同様である。
【0041】
(1)イソシアネート反応性成分が、官能価、分子量、粘度、又は構造に基づいて互いに異なる2つ以上のポリオールの任意の組み合わせを含む得ることを理解されたい。
【0042】
様々な実施形態では、(B)ポリオールは、0g/モル超~2,000g/モル、代替的に0g/モル超~1,700g/モル、代替的に0g/モル超~1,000g/モル、代替的に0g/モル超~700g/モル、代替的に0g/モル超~400g/モル、代替的に0g/モル超~350g/モル、代替的に0g/モル超~325g/モル、代替的に0g/モル超~300g/モル、代替的に0g/モル超~275g/モル、代替的に0g/モル超~250g/モル、代替的に0g/モル超~225g/モル、代替的に0g/モル超~200g/モルのヒドロキシル(OH)当量を有する。上記の範囲を含む特定の実施形態では、(B)ポリオールのOH当量は、少なくとも30g/モルである。OH当量を決定する方法は、所与のポリオールの官能価及び分子量に基づいて当該技術分野において既知である。
【0043】
これら又は他の実施形態では、(B)ポリオールは、2~10、代替的に2~9、代替的に2~8、代替的に2~7、代替的に3~6の官能価を有する。
【0044】
具体的な実施形態では、(B)ポリオールは、1つ以上のポリエーテルポリオールを含むか、代替的に本質的にそれらからなるか、代替的にそれらからなる。別の言い方をすると、これらの実施形態では、(B)ポリオールは、典型的には、ポリエーテルポリオールではないいずれのポリオールも含まない。特にポリエーテルポリオールの具体例としては、4.9官能価のスクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオール、プロポキシル化グリセリン(ポリエーテルトリオール)、及び7.0官能価のスクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0045】
(B)ポリオールが2つ以上の異なるポリオールのブレンドを含む場合、上記の特性は、全体的な(B)ポリオールに基づき得る、すなわち、(B)ポリオール中の個々のポリオールの特性を平均化すること、又はポリオールのブレンド中の具体的なポリオールに関連し得ることを理解されたい。典型的には、これらの特性は、全体的な(B)ポリオールに関する。
【0046】
特定の実施形態では、(A)オルガノポリシロキサンは、(A)オルガノポリシロキサンと(B)ポリオールとの合計重量に基づいて、10重量%超~99重量%未満、代替的に15重量%超~99重量%未満、代替的に20重量%超~99重量%未満、代替的に25重量%超~99重量%未満、代替的に30重量%超~99重量%未満、代替的に35重量%超~99重量%未満、代替的に40重量%超~99重量%未満、代替的に45重量%超~99重量%未満、代替的に50重量%超~99重量%未満、代替的に10重量%超~98重量%未満、代替的に10重量%超~71重量%未満、代替的に51重量%超~98重量%未満、代替的に52重量%超~96重量%未満、代替的に53重量%超~94重量%未満、代替的に54重量%超~92重量%未満、代替的に55重量%超~90重量%未満、代替的に56重量%超~88重量%未満、代替的に57重量%超~86重量%未満、代替的に58重量%超~84重量%未満、代替的に59重量%超~82重量%未満、代替的に60重量%超~80重量%未満の量で(1)イソシアネート反応性成分中に存在する。他の実施形態では、(A)オルガノポリシロキサンは、(A)オルガノポリシロキサンと(B)ポリオールとの合計重量に基づいて、10重量%超~30重量%未満、代替的に10重量%超~25重量%未満、代替的に10重量%超~20重量%未満、代替的に11重量%超~19重量%未満、代替的に12重量%超~18重量%未満、代替的に13重量%超~17重量%未満、代替的に14重量%超~16重量%未満の量で(1)イソシアネート反応性成分中に存在する。したがって、成分(B)は、これらの範囲の成分(A)及び(B)の合計重量の残りを構成する。具体的な実施形態では、(A)オルガノポリシロキサンは、成分(A)及び(B)の合計重量に基づいて、60重量%~75重量%、代替的に65重量%~75重量%、代替的に70重量%~75重量%の量で(1)イソシアネート反応性成分中に存在する。特定の他の実施形態では、(A)オルガノポリシロキサンは、組成物の総重量に基づいて、15~80重量%の量で組成物中に存在する。
【0047】
特定の実施形態では、組成物から形成された発泡ポリウレタン物品の骨格中のシリコーンの重量%は、利用される(1)イソシアネート反応性成分の成分に基づいて(すなわち、以下に記載の(C)ポリイソシアネートに関係なく)、5重量%~80重量%、代替的に5重量%~70重量%である。ポリエーテル基ではない末端カルビノール官能基を有するオルガノポリシロキサンは、100重量%のシリコーン骨格を有し、したがって、発泡ポリウレタン物品中の骨格のバランスは、(B)ポリオールに起因するであろう。しかしながら、(A)オルガノポリシロキサンが、カルビノール官能基としてペンダントポリエーテル基を含む場合、(1)イソシアネート反応性成分からの発泡ポリウレタン物品中の骨格は、100重量%ではなく、カルビノール官能基としてのポリエーテル基の鎖長の関数である。典型的には、そのような実施形態では、カルビノール官能基としてペンダントポリエーテル基を有する(A)オルガノポリシロキサンは、(A)オルガノポリシロキサンの総重量に基づいて、少なくとも25重量%のシリコーン骨格を有する。
【0048】
具体的な実施形態では、(1)イソシアネート反応性成分は、(A)オルガノポリシロキサン、(B)ポリオール、及び任意選択的に任意の鎖延長剤又は架橋剤から本質的になる。この文脈における「から本質的になる」とは、(1)イソシアネート反応性成分が、イソシアネートと反応してカルバメート(ウレタン)結合をもたらす、(A)オルガノポリシロキサン及び(B)ポリオール以外の成分を含まないことを意味する。したがって、(1)イソシアネート反応性成分は、(1)イソシアネート反応性成分が(A)オルガノポリシロキサン及び(B)ポリオールから本質的になる場合であっても、そのような更なる成分又は任意選択的な添加剤自体が、イソシアネートと反応してカルバメート結合をもたらさない限り、以下に記載される更なる成分又は任意選択的な添加剤のうちのいずれかなどの他の成分又は添加剤を含み得る。
【0049】
組成物は、(2)(C)ポリイソシアネートを含むイソシアネート成分を更に含む。好適な(C)ポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート官能基を有し、従来の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、及び芳香族イソシアネートを含む。(C)ポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(diphenylmethane diisocyanates、「MDI」)、ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(polymeric diphenylmethane diisocyanate、「pMDI」)、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate、「TDI」)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate、「HDI」)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethane diisocyanate、「HMDI」)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate、「IPDI」)、シクロヘキシルジイソシアネート(cyclohexyl diisocyanate、「CHDI」)、ナフタレンジイソシアネート(naphthalene diisocyanate、「NDI」)、フェニルジイソシアネート(phenyl diisocyanate、「PDI」)、及びそれらの組み合わせの群から選択され得る。特定の実施形態では、(C)ポリイソシアネートは、pMDIを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれである。一実施形態では、(C)ポリイソシアネートは、式OCN-R-NCOのものであり、式中、Rは、アルキル部分、アリール部分、及びアリールアルキル部分である。この実施形態では、(C)ポリイソシアネートは、任意の数の炭素原子、典型的には4~20個の炭素原子を含み得る。
【0050】
好適な(C)ポリイソシアネートの具体例としては、アルキレン部分中に4~12個の炭素を有するアルキレンジイソシアネート、例えば、1,12-ドデカンジイソシアネート、2-エチル-1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、及び1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;環状脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、並びにこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4-及び2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、並びに対応する異性体混合物、4,4’-2,2’-及び2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、並びに対応する異性体混合物;並びに芳香族ジイソシアネート及びポリイソシアネート、例えば、2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、4,4’-、2,4’-、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、並びに対応する異性体混合物、4,4’-、2,4’-及び2,2-ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートとの混合物、並びにMDIとトルエンジイソシアネート(TDI)との混合物が挙げられる。
【0051】
(C)ポリイソシアネートは、修飾多価イソシアネート、すなわち、有機ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートの部分的な化学反応によって得られる生成物を含み得る。好適な修飾多価イソシアネートの例としては、エステル基、尿素基、ビウレット基、アロファネート基、カルボジイミド基、イソシアヌレート基、および/またはウレタン基を含有するジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートが挙げられる。好適な修飾多価イソシアネートの具体例としては、ウレタン基を含有し、総重量に基づいて15~33.6重量部のNCO含有量を有する有機ポリイソシアネート、例えば、低分子量のジオール、トリオール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール、又は最大6000の分子量を有するポリオキシアルキレングリコール;修飾4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、又は2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネートが挙げられ、個々に又は混合物として使用され得るジ-及びポリオキシアルキレングリコールの例としては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール又は-トリオールが挙げられる。(C)ポリイソシアネートの総重量に基づいて、3.5~29重量部のNCO含有量を有し、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールから生成されるNCO基含有プレポリマー;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、2,4-及び/若しくは2,6-トルエンジイソシアネート、又はポリマーMDIも好適である。更に、(2)イソシアネート成分の総重量に基づいて、例えば、4,4’-及び2,4’-、及び/若しくは2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、並びに/又は2,4’-及び/若しくは2,6-トルエンジイソシアネートに基づいて、15~33.6重量部のNCO含有量を有するカルボジイミド基を含有する液体ポリイソシアネートもまた、好適であり得る。修飾ポリイソシアネートは、任意選択的に、2,4’-及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマーMDI、2,4’-及び/又は2,6-トルエンジイソシアネートなどの未修飾有機ポリイソシアネートと一緒に混合又はこれらと混合され得る。
【0052】
(C)ポリイソシアネートが、官能価、分子量、粘度、又は構造に基づいて互いに異なる2つ以上のポリイソシアネートの任意の組み合わせを含む得ることを理解されたい。具体的な実施形態では、(C)ポリイソシアネートは、pMDIを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれである。
【0053】
(C)ポリイソシアネートは、典型的には、2.0~5.0、代替的に2.0~4.5、代替的に2.0~4.0、代替的に2.0~3.5の官能価を有する。
【0054】
これらの又は他の実施形態では、(C)ポリイソシアネートは、15重量%~60重量%、代替的に15重量%~55重量%、代替的に20重量%~48.5重量%のNCO重量を有する。NCO重量の含有量を決定する方法は、特にイソシアネートの官能価及び分子量に基づいて当該技術分野において既知である。
【0055】
(C)ポリイソシアネートは、典型的には、80~200、代替的に80~130、代替的に85~125、代替的に90~120、代替的に95~120、代替的に100~120、代替的に105~115のイソシアネート指数を提供する量で組成物中に存在する。イソシアネート指数は、NCOとイソシアネート反応性水素官能基とのモル比を100倍する。イソシアネート指数及びその計算方法は、当該技術分野において周知である。
【0056】
組成物は、(D)発泡剤を更に含み、含む。発泡剤がすでに存在する場合(例えば、水)、又は反応中に生成される場合(例えば、二酸化炭素)、発泡剤は、補助発泡剤と称され得るが、補助発泡剤は、組成物の硬化中に発泡の大部分又は全てを提供し得る。(D)発泡剤は、化学発泡剤、物理発泡剤、及びそれらの組み合わせの群から選択され得る。そのような発泡剤の例について、以下に説明する。
【0057】
利用される発泡剤の量は、所望の結果に応じて変動し得る。例えば、発泡剤の量は、発泡ポリウレタン物品における最終的な発泡体密度、及び発泡体立ち上がりプロファイル、並びに気泡径を調整するために変動し得る。
【0058】
様々な実施形態では、(D)発泡剤は、化学発泡剤を含み、化学発泡剤は、モノマー、オリゴマー、又はポリマーであり得るSi-OH化合物の群から選択される。ある特定の実施形態では、化学発泡剤は、オルガノシラン及び少なくとも1つのシラノール(Si-OH)基を有するオルガノシロキサンからなる群から選択される。好適なOH官能性化合物の例としては、OH末端ジメチルシロキサンなどのジアルキルシロキサンが挙げられる。そのようなシロキサンは、10mPa・s~5,000mPa・s、10mPa・s~2,500mPa・s、10mPa・s~1,000mPa・s、10mPa・s~500mPa・s、又は10mPa・s~100mPa・sなどの、25℃における比較的低い粘度を有し得る。
【0059】
具体的な実施形態では、化学発泡剤は、水を含むか、代替的に水である。(反応前の)組成物の総質量中に存在する水の量は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、0.02重量%~1.00重量%、代替的に0.03重量%~0.9重量%、代替的に0.05重量%~0.8重量%、代替的に0.1重量%~0.7重量%である。
【0060】
様々な実施形態では、組成物は、物理発泡剤を含む。物理発泡剤は、化学発泡剤に加えて、又はその代わりに使用され得る。
【0061】
様々な実施形態では、物理発泡剤は、大気圧、及び10℃以上、代替的に20℃以上、代替的に30℃以上、代替的に40℃以上、代替的に50℃以上、代替的に60℃以上、代替的に70℃以上、代替的に80℃以上、代替的に90℃以上、代替的に100℃以上の温度への曝露中に、液体から気体状態への相変化を受けるものである。沸点温度は、一般に、特定の種類の物理発泡剤に依存する。
【0062】
有用な物理的発泡剤としては、ペンタン及びヘキサンなどの炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、クロロフルオロカーボン、及びヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbon、「HCFC」)などのハロゲン化(例えば、塩素化及び/又はフッ素化)炭化水素;エーテル;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、又は酢酸エチルなどのケトン及びエステルが挙げられる。物理発泡剤は、液体又はガスであり得、上記の例は、典型的には、発泡体調製中に揮発する液体として利用される。室温でガスであり得る物理発泡剤の例としては、空気、窒素、及び/又は二酸化炭素が挙げられる。具体的な実施形態では、物理発泡剤は、n-ペンタン及び/又はシクロペンタンを含むか、又はそれらである。特定の実施形態では、物理発泡剤は、プロパン、ブタン、イソブタン、イソブテン、イソペンタン、シクロペンタン、n-ペンタン、ジメチルエーテル、又はそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む。多くの実施形態では、発泡剤は、不活性である、すなわち、組成物の他の成分と反応しない化合物を含む。この文脈において不活性とは、反応性を指し、揮発性ではない。
【0063】
様々な実施形態では、物理発泡剤は、ヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbon、「HFC」)を含む。「ヒドロフルオロカーボン」と「HFC」は互換性のある用語であり、水素、炭素、およびフッ素を含有する有機化合物を指している。有機化合物は、フッ素以外のハロゲンを実質的に含まない。
【0064】
好適なHFCの例としては、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1、1、1、3、3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1-フルオロブタン、ノナフルオロシクロペンタン、パーフルオロ-2-メチルブタン、1-フルオロヘキサン、パーフルオロ-2,3-ジメチルブタン、パーフルオロ-1、2-ジメチルシクロブタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロイソヘキサン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロエチルシクロヘキサン、パーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、及びパーフルオロオクタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)などの脂肪族化合物;並びにフルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,3,5-トリフルオロベンゼン、1,2,4,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,3,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,3,4-テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、及び1-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンなどの芳香族化合物が挙げられる。ある特定の実施形態では、HFC-365mfc及びHFC-245faは、それらの増加した利用可能性及び使用の容易さに起因して好ましい場合があり、HFC-365mfcは、ある特定の用途で有用であり得るHFC-245faよりも高い沸点を有する。例えば、HFC-365mfcなどの30℃より高い沸点を有するHFCは、発泡体処理中に液化を必要としないため、望ましい場合がある。
【0065】
物理発泡剤の追加の例は、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロップ-1-エン(HFO-1234ze、HoneywellからSolstice zeの商品名で入手可能)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd、ArkemaからForaneの商品名で入手可能)、2,3,3,3-テトラフルオロプロップ-1-エン(HFO-1234yf、HoneywellからSolstice yfの商品名で、及びChemoursからOpteon YFの商品名で入手可能)、cis-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz-Z、ChemoursからOpteon MZの商品名で入手可能)、及びOpteon 1150などのヒドロフルオロオレフィン(hydrofluoro-olefin、HFO)である。
【0066】
特定の実施形態では、(D)発泡剤及び組成物は、組成物中又は組成物に個別に添加される物理発泡剤を含まない。別の言い方をすると、組成物の硬化中に名目上の量のガスが本質的に形成され得、このガスは、本開示の目的のための物理発泡剤とは見なされないが、それは、別個の成分として組成物又は(D)発泡剤に含まれないためである。具体的な実施形態では、水は、組成物中に存在する唯一の(D)発泡剤である。
【0067】
(D)発泡剤は、(1)イソシアネート反応性成分中に、成分(A)及び(B)とともに存在し得るか、又は組成物中の別個の成分であり得る。
【0068】
本組成物は、(E)触媒を付加的に含む。
【0069】
一実施形態では、(E)触媒は、スズ触媒を含む。好適なスズ触媒としては、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)、及びラウリン酸スズ(II)が挙げられる。一実施形態では、(E)触媒は、有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩である、ジラウリン酸ジブチルスズを含む。好適な有機金属触媒、例えば、ジラウリン酸ジブチルスズの具体例は、商標DABCO(登録商標)でAir Products and Chemicals,Inc(Allentown、PA)から市販されている。有機金属触媒はまた、二酢酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、および二酢酸ジオクチルスズなどの有機カルボン酸の他のジアルキルスズ(IV)塩を含み得る。
【0070】
他の好適な触媒の例としては、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、オクタン酸鉛、トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアゾンを含む、トリス(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを含む、アルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド及びカリウムイソプロポキシドを含むアルカリ金属アルコキシド、並びに10~20個の炭素原子及び/又は側鎖OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0071】
他の好適な触媒、特に三量体化触媒のさらなる例としては、N,N,N-ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、カリウム、酢酸カリウム、N,N,N-トリメチルイソプロピルアミン/ギ酸塩、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0072】
他の好適な触媒、特に三級アミン触媒のその上更なる例としては、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとも称される)、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N,N’,N’,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルピペラジン、テトラメチルイミノ-ビス(プロピルアミン)、ジメチルベンジルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-メチルピロリドン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ビス(2-ジメチルアミノ-エチル)エーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(dimethylcyclohexylamine、「DMCHA」)、N,N,N’,N’,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、3-(ジメチルアミノ)プロピルイミダゾール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。(E)触媒は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene、「DBU」)に基づいて、遅延作用三級アミンを含み得る。代替的に、又は加えて、(E)触媒は、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチルエーテル及び/又はエチレンジアミンを含み得る。三級アミン触媒は、フェノール又はギ酸などの、ほぼ同じ化学量論量の酸性プロトン含有酸の添加によって、遅延作用触媒として使用するために更に修飾され得る。そのような遅延作用触媒は、Air Products及びEvonikから市販されている。
【0073】
(E)触媒は、そのまま利用され得るか、又は担体ビヒクル中に配置され得る。担体ビヒクルは、当該技術分野において既知であり、組成物の任意選択的な成分として以下に更に記載される。担体ビヒクルが利用され、(E)触媒を可溶化する場合、担体ビヒクルは、溶媒と称され得る。担体ビヒクルは、イソシアネート反応性、例えば、ジプロピレングリコールなどのアルコール官能性担体ビヒクルであり得る。
【0074】
(E)触媒は、様々な量で利用され得る。(E)触媒は、異なる触媒の任意の組み合わせを含み得る。(E)触媒は、(1)イソシアネート反応性成分中に、成分(A)及び(B)とともに存在し得るか、又は組成物中の別個の成分であり得る。
【0075】
組成物は、任意選択的に、添加剤成分を更に含み得る。添加剤成分は、触媒、発泡剤、可塑剤、架橋剤、鎖延長剤、連鎖停止剤、湿潤剤、表面改質剤、界面活性剤、ワックス、発泡体安定化剤、水分スカベンジャー、乾燥剤、減粘剤、気泡径低減化合物、強化剤、染料、顔料、着色剤、充填剤、難燃剤、離型剤、酸化防止剤、相溶剤、紫外線安定剤、チキソトロピック剤、老化防止剤、潤滑剤、カップリング剤、溶媒、レオロジー促進剤、接着促進剤、増粘剤、難燃剤、発煙抑制剤、帯電防止剤、抗菌剤、及びそれらの組み合わせの群から選択され得る。
【0076】
添加剤のうちの1つ以上は、組成物の任意の好適な重量パーセント(重量%)、例えば、組成物の0.1重量%~15重量%、0.5重量%~5重量%、又は0.1重量%以下、1重量%、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15重量%以上として存在し得る。当業者であれば、例えば添加剤の種類及び所望の結果に応じて、添加剤の好適な量を容易に求めることができる。特定の任意選択の添加剤を、以下、より詳細に記載する。
【0077】
好適な担体ビヒクルとしては、直鎖及び環状の両方のシリコーン、有機油、有機溶媒、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
担体ビヒクルはまた、1~1,000mm/秒の範囲の25℃における粘度を有する低粘度のオルガノポリシロキサン、又は揮発性メチルシロキサン、又は揮発性エチルシロキサン、又は揮発性メチルエチルシロキサン、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘプタメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ)]トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3,ビス[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、ペンタメチル[(トリメチルシリル)オキシ]シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、及びそれらの任意の混合物であり得る。
【0079】
好適な界面活性剤(または「発泡助剤」)としては、シリコーンポリエーテル、エチレンオキシドポリマー、プロピレンオキシドポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、他の非イオン性界面活性剤、およびそれらの組み合わせが挙げられる。組成物が界面活性剤としてシリコーンポリエーテルを含む場合、界面活性剤は、成分(A)と区別され、この成分(A)は、(1)イソシアネート反応性成分の反応性成分であり、界面活性剤ではない。加えて、成分(A)は、界面活性剤の濃度よりもはるかに高い濃度で組成物中に存在する。更なる好適な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はそのような界面活性剤の混合物を含み得る。
【0080】
様々な実施形態では、組成物は、フルオロカーボン界面活性剤又はフッ素化界面活性剤を含む。フッ素化界面活性剤は、炭素上にフッ素原子を含有し、界面活性剤でもある、当該技術分野で既知である化合物のいずれかであり得る。これらのフッ素化界面活性剤は、有機またはケイ素含有であり得る。例えば、フッ素化有機界面活性剤は、過フッ素化ポリエーテル、例えば、下式の繰り返し単位:
【化4】
又は
【化5】
及びそのような単位の混合物を有するものであり得る。
【0081】
ケイ素含有フッ素化界面活性剤は、シロキサンであり得、例えば、それに対して結合されたフッ素を有する有機ラジカルを含有するシロキサン、例えば、下式、
【化6】
又は
【化7】
の繰り返し単位を有するシロキサンであり得る。
【0082】
様々な実施形態では、フッ素化界面活性剤を組成物に添加すると、硬化した発泡体の密度が減少する。一般に、組成物中のフッ素化界面活性剤の量を増加させると、発泡ポリウレタン物品の密度が減少する。これは、ネットワークが形成されて硬化する間に、界面活性剤が気泡を安定させる低速硬化システムに特に当てはまる。
【0083】
様々な実施形態では、組成物は、オルガノポリシロキサン樹脂(「樹脂」)を更に含む。好適な樹脂は上記の通りである。特定の実施形態において、樹脂はMQ樹脂である。樹脂は、発泡ポリウレタン物品を安定化するのに有用であり得、すなわち、樹脂は、発泡体安定化剤であり得る。
【0084】
好適な顔料は、当該技術分野において理解されている。様々な実施形態では、組成物は、カーボンブラック、例えばアセチレンブラックを更に含む。
【0085】
組成物は、1つ以上の任意選択の充填剤を含み得る。充填剤は、1つ以上の補強性充填剤、非補強性充填剤、増量充填剤、又はそれらの混合物であり得る。微細化補強性充填剤の例としては、籾殻灰を含む表面積の大きいヒュームドシリカ及び沈降シリカ、並びにある程度の炭酸カルシウムが挙げられる。ヒュームドシリカは、親水性又は疎水性などの表面機能化された種類を含み得、Cabot CorporationからCAB-O-SILの商品名で入手可能である。微細化非補強性充填剤の例としては、破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、及び珪灰石が挙げられる。単独で又は上記の充填剤と組み合わせて使用されることがある他の充填剤としては、カーボンナノチューブ、例えばマルチウォールカーボンナノチューブアルミナイト、中空ガラス球、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)などの粘土、グラファイト、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト(zarachite)、炭酸バリウム、例えば毒重石、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチウム石が挙げられる。更なる代替の充填剤としては、酸化アルミニウム、かんらん石族、ざくろ石族;アルミノシリケート;環状アルミノシリケート;鎖状アルミノシリケート;及び層状アルミノシリケートからなる群からなる群からのシリケートが含まれる。特定の実施形態では、組成物は、中空粒子、例えば中空球を含む、少なくとも1つの充填剤を含む。そのような充填剤は、発泡ポリウレタン物品の多孔性及び/又は全体的な空隙率に寄与するのに有用であり得る。充填剤は、利用される場合、組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~50重量%、代替的に0.05重量%~40重量%、代替的に0.1重量%~35重量%の量で組成物中で使用され得る。加えて、利用される場合、ヒュームドシリカは、組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、代替的に0.05重量%~3重量%、代替的に0.1重量%~2.5重量%、代替的に0.2重量%~2.2重量%の量で使用され得る。
【0086】
充填剤は、存在する場合、任意選択的に、処理剤で表面処理され得る。処理剤及び処理方法は当該技術分野において理解されている。充填剤の表面処理は、典型的には、例えば、脂肪酸若しくはステアレートなどの脂肪酸エステルを用いて、又はオルガノシラン、オルガノシロキサン、若しくはオルガノシラザン、例えばヘキサアルキルジシラザン若しくは短鎖シロキサンジオールを用いて行われる。一般に、表面処理は充填剤を疎水性にし、したがって、組成物中の他の成分との均質混合物の取り扱い及び入手を容易にする。式R Si(OR4-e(式中、Rは、6~20個の炭素原子の置換又は非置換一価炭化水素基、例えば、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシルなどのアルキル基、並びにベンジル及びフェニルエチルなどのアラルキル基であり、Rは、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字「e」は、1、2又は3と同じである)のものなどのシランはまた、充填剤の処理剤としても利用され得る。
【0087】
様々な実施形態では、本組成物は、接着促進剤又は接着性付与剤を更に含む。接着性付与剤は、硬化中に接触するベース材料への発泡ポリウレタン物品の接着を改善し得る。特定の実施形態では、接着性付与剤は、分子中のシリコーン原子と結合した少なくとも1つのアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物から選択される。このアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、及びメトキシエトキシ基によって例示される。更に、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合した非アルコキシ基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基などの置換又は非置換の一価炭化水素基;3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、又は類似のグリシドキシアルキル基などのエポキシ基含有一価有機基;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、又は同様のエポキシシクロヘキシルアルキル基;及び4-オキシラニルブチル基、8-オキシラニルオクチル基、又は同様のオキシラニルアルキル基;例えば3-メタクリロキシプロピル基などのアクリル基含有一価有機基;及び水素原子により例示される。
【0088】
接着付与剤が有機ケイ素化合物を含む具体的な実施形態では、有機ケイ素化合物は、ケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子を有する。更に、様々な種類のベース材料に対する良好な接着性を付与する能力に起因して、この有機ケイ素化合物は、分子中に少なくとも1個のエポキシ基含有一価有機基を有し得る。この種類の有機ケイ素化合物は、オルガノシラン化合物、オルガノシロキサンオリゴマー、及びアルキルシリケートにより例示される。オルガノシロキサンオリゴマー又はアルキルシリケートの分子構造は、直鎖構造、部分的に分岐した直鎖構造、分岐鎖構造、環状構造、及びネット状構造により例示される。直鎖構造、分岐鎖構造、及びネット状構造が典型的である。この種類の有機ケイ素化合物は、シラン化合物、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど;分子中に、少なくとも1個のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子と、少なくとも1個のケイ素結合アルコキシ基を有するシロキサン化合物;分子中に少なくとも1個のケイ素結合アルコキシ基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物と、分子中に少なくとも1個のケイ素結合ヒドロキシル基及び少なくとも1個のケイ素結合アルケニル基を有するシロキサン化合物と、の混合物;並びにメチルポリシリケート、エチルポリシリケート、及びエポキシ基含有エチルポリシリケートにより例示される。
【0089】
具体的な実施形態では、組成物、特に(1)イソシアネート反応性成分は、鎖延長剤を更に含み得る。好適な鎖延長剤としては、(B)ポリオールの開始剤として上記に列挙された成分のいずれかが挙げられ、これは、存在する場合、(B)ポリオールとは別に、かつ(B)ポリオールに加えて、鎖延長剤として単独で又は組み合わせて使用され得る。鎖延長剤は、典型的には、各末端にヒドロキシル基を含む。
【0090】
組成物中で利用される場合、任意選択的な添加剤のいずれかは、(1)イソシアネート反応性成分中に、又は組成物中の別個の成分として存在し得る。代替的に、イソシアネート反応性ではない任意選択的な添加剤、例えば、充填剤などは、(2)イソシアネート成分に含められ得る。典型的には、組成物は、2k(2成分)組成物であり、(2)イソシアネート成分は、(C)ポリイソシアネートからなり、(1)イソシアネート反応性成分は、成分(A)、(B)、(D)、(E)、及び組成物中で利用される任意の任意選択的な成分を含む。
【0091】
特定の実施形態では、(1)イソシアネート反応性成分は、1,500センチポアズ未満、代替的に1,400センチポアズ未満、代替的に1,300センチポアズ未満、代替的に1,200センチポアズ未満、代替的に1,100センチポアズ未満、代替的に1,000センチポアズ未満、代替的に900センチポアズ未満、代替的に875センチポアズ未満、代替的に850センチポアズ未満の25℃における粘度を有する。動的粘度は、45mmコーンプレート形状を備えたTA Instruments AR 2000レオメーターを介して、10秒-1の一定の剪断速度、20℃から80℃まで3℃/分の温度上昇速度で測定され得る。動粘度は、ASTM D445に従って測定され得る。これらの範囲は、組成物が2k組成物であり、(1)イソシアネート反応性成分が、(C)ポリイソシアネート以外の組成物中の全てを含む場合であっても適用される。この粘度範囲は、(1)イソシアネート反応性成分が自由流動することを可能にし、これは、ギャップ及び/又はオリフィスを画定するものを含む、特定の基材又は物品において、又はその上に発泡体が望まれる特定の最終使用用途に有益である。
【0092】
組成物は、(1)イソシアネート反応性成分と、(2)イソシアネート成分と、並びに成分(D)及び(E)と、(1)イソシアネート反応性成分中に存在しない場合、任意の任意選択的な成分と、を任意の添加順序で組み合わせることによって調製され得る。以下でより詳細に説明するように、組成物は、一部分組成物、2つの成分又は2Kの組成物、又は複数の部分の組成物であり得る。(1)イソシアネート反応性成分及び(2)イソシアネート成分が、特に(E)触媒の存在下で組み合わされる場合、反応が開始され、発泡ポリウレタン物品がもたらされる。発泡ポリウレタン物品は、室温及び周囲条件で形成され得る。代替的に、発泡ポリウレタン物品の形成中に少なくとも1つの条件、例えば、温度、湿度、圧力などが、選択的に修飾され得る。
【0093】
組成物の反応生成物を含む発泡ポリウレタン物品も開示される。
【0094】
多くの実施形態では、発泡ポリウレタン物品は、独立気泡発泡体である。様々な実施形態では、発泡ポリウレタン物品は、立方センチメートル当たり1.5グラム未満(g/cm)、代替的に1.4g/cm未満、代替的に1.3g/cm未満、代替的に1.2g/cm未満、代替的に1.1g/cm未満、代替的に1.0g/cm未満、代替的に0.9g/cm未満、代替的に0.8g/cm未満、代替的に0.7g/cm未満、代替的に0.6g/cm未満、代替的に0.1g/cm超~0.6g/cm未満の密度を有する。
【0095】
密度が高すぎる場合、発泡ポリウレタン物品は、特定の用途に対して、重すぎる又は硬すぎる場合がある。密度が低すぎる場合、発泡ポリウレタン物品は、特定の用途に対して、所望の構造的完全性を欠く場合がある。発泡ポリウレタン物品の密度は、当該技術分野において理解されている方法を介して決定され得る。例えば、発泡ポリウレタン物品の密度は、天秤及び密度キットを使用し、そのような天秤及びキットに関連する標準的な指示に従って、アルキメデスの原理を介して測定され得る。好適な天秤の例は、密度キットを備えたMettler-Toledo XS205DU天秤である。
【0096】
様々な実施形態において、発泡ポリウレタン物品は、サイズ及び/又は形状並びに/若しくは分布が一般に均一である細孔を有する。特定の実施形態では、発泡ポリウレタン物品は、5ミリメートル以下、代替的に2.5ミリメートル以下、代替的に1ミリメートル以下、代替的に0.75ミリメートル以下、代替的に0.3~0.7ミリメートル、代替的に0.4~0.6ミリメートルの平均細孔径を有する。
【0097】
平均細孔径は、当技術分野で理解されている方法によって決定することができる。例えば、次の変更を加えたATSM法D3576-15が使用され得る:(1)画像をスクリーンに投影するのではなく、光学又は電子顕微鏡を使用して発泡体を画像化すること、(2)30mmの線を描写するのではなく、15セル超に及ぶ既知の長さの線を描写すること。
【0098】
これら又は他の実施形態では、発泡ポリウレタン物品は、形成後の収縮に実質的に耐性を有する。実質的に収縮に耐性を有することは、発泡ポリウレタン物品が、ある期間にわたって、任意の寸法において、20%以下、代替的に18%以下、代替的に16%以下、代替的に14%以下、代替的に12%以下、代替的に10%以下、代替的に8%以下、代替的に6%以下、代替的に4%以下、代替的に2%以下しか収縮しないことを意味する。期間は、1時間、1日、1週間、1カ月、1年、又はそれ以上であり得る。発泡ポリウレタン物品は、典型的には、1つ以上のガラス転移温度(T)を有し、1つ以上のTの最高値は、少なくとも15℃、代替的に少なくとも20℃、代替的に少なくとも25℃、代替的に少なくとも30℃の値を有する。Tは、タンデルタピークのピークとして評価され、タンデルタは、1Hzのひずみサイクル周波数、少なくとも0~70℃又はそれ以上を包含する範囲にわたって3℃/分の温度スキャンを用いる動的機械熱分析(DMTA)実験から測定された、損失弾性率と貯蔵弾性率との比である。
【0099】
発泡ポリウレタン物品、並びに基材及び発泡ポリウレタン物品を一緒に含む複合物品は、組成物を基材上に配置し、組成物を硬化させることによって形成され得る。
【0100】
組成物は、任意の好適な様式で基材上に配置又は分配され得る。典型的には、組成物は、ウェットコーティング技術により、湿潤形態で塗布される。組成物は、i)スピンコーティング、ii)ブラシコーティング、iii)ドロップコーティング、iv)スプレーコーティング、v)ディップコーティング、vi)ロールコーティング、vii)フローコーティング、viii)スロットコーティング、ix)グラビアコーティング、x)メイヤーバーコーティング、又はxi)i)~x)のうちのいずれか2つ以上の組み合わせによって塗布され得る。
【0101】
基材は限定されず、任意の基材であってもよい。発泡ポリウレタン物品は、例えば、基材が金型の場合、基材から分離可能であり得るか、又はその選択に応じて、物理的及び/又は化学的に基材に結合され得る。基材は、任意選択的に、連続的又は非連続的な形状、サイズ、寸法、表面粗さ、及び他の特性を有してもよい。
【0102】
代替的に、基材は、熱硬化性及び/又は熱可塑性であり得るプラスチックを含み得る。しかしながら、基材は、代替的に、ガラス、セラミック、チタン、マグネシウム、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケルコーティングされた鋼、又はそのような金属若しくは金属の合金などの金属、又は異なる材料の組み合わせであり得るか、又はそれらを含み得る。組成物は、周囲条件で硬化し得るため、硬化をもたらすために、特定の基材を損ない得る高温は必要ではない。
【0103】
好適な基材の具体例としては、ポリアミド(polyamide、PA)などのポリマー基材;ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、液晶ポリエステルなどのポリエステル;ポリエチレン(polyethylene、PE)などのポリオレフィン、Dowから商品名Surlynで入手可能であるエチレン/酸性モノマーコポリマー、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、及びポリブチレン;ポリスチレン(PS)、及びSBゴムなどの他のスチレン樹脂;ポリオキシメチレン(polyoxymethylene、POM);ポリカーボネート(polycarbonate、PC);ポリメチレンメタクリレート(polymethylenemethacrylate、PMMA);ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC);ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS);ポリフェニレンエーテル(polyphenylene ether、PPE);ポリイミド(polyimide、PI);ポリアミドイミド(polyamideimide、PAI);ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI);ポリスルホン(polysulfone、PSU);ポリエーテルスルホン;ポリケトン(polyketone、PK);ポリエーテルケトン;ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA);ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK);ポリエーテルケトンケトン(polyetherketoneketone、PEKK);ポリアリレート(polyarylate、PAR);ポリエーテルニトリル(polyethernitrile、PEN);フェノール樹脂;フェノキシ樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロハンなどのセルロース;ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化樹脂;ポリスチレン型、ポリオレフィン型、ポリウレタン型、ポリエステル型、ポリアミド型、ポリブタジエン型、ポリイソプレン型、フルオロ型などの熱可塑性エラストマー;並びにこれらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ、ポリウレタン、ポリ尿素、フェノール-ホルムアルデヒド、尿素-ホルムアルデヒド、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。基材は、その上に配置されたコーティング、フィルム、又は層を含み得る。アクリル酸、アクリレート、メタクリレート、メタクリル酸、他のアルキルアクリレート、他のアルキルアクリル酸、スチレン、イソプレンブチレンモノマーからのラテックス、上記の酸モノマーのアルキルエステルからのラテックス、又は上記のモノマーのコポリマーからのラテックスなどの、ポリマーラテックスから作製されるコーティングが使用され得る。これらの樹脂のいずれかに基づく複合体は、ガラス繊維、炭素繊維、又は炭酸カルシウム、粘土、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、ガラス球体、おがくず、木材繊維、又はそれらの組み合わせなどの固体充填剤を組み合わせることによって基材として使用され得る。
【0104】
具体的な実施形態では、基材は、少なくとも1つのギャップを画定し、組成物を配置することは、発泡ポリウレタン物品が、複合物品のギャップ内に存在するように、組成物を少なくとも1つのギャップ内に配置することを含む。組成物の低粘度に起因して、組成物は一般に流動性であり、室温及び大気圧を含む周囲条件で基材の形状に適合する。
【0105】
具体的な一実施形態では、基材は、バッテリセルを含み、複合物品は、バッテリパックを含む。しかしながら、組成物及び発泡ポリウレタン物品は、電気回路用などのバッテリパック以外の最終使用におけるポッティング材又は封止材として、並びにポッティング材又は封止材以外の目的のためを含む、他の最終使用用途において使用され得る。
【0106】
実施形態1は、イソシアネート反応性組成物であって、(A)1分子当たり平均して少なくとも2つのカルビノール官能基を有するオルガノポリシロキサンと、(B)ポリオールと、を含み、(A)オルガノポリシロキサンが、(A)オルガノポリシロキサンと(B)ポリオールとの合計重量に基づいて、10重量%超~99重量%未満の量で存在する、組成物に関する。
【0107】
実施形態2は、発泡ポリウレタン物品を調製するための組成物であって、(1)イソシアネート反応性成分であって、実施形態1のものである、イソシアネート反応性成分と、(2)ポリイソシアネートを含むイソシアネート成分と、を含み、(D)発泡剤と、(E)触媒と、を更に含む、組成物に関する。
【0108】
実施形態3は、(i)カルビノール官能基が互いに同じである、(ii)カルビノール官能基が、一般式-D-O-(C2bO)-Hを有し、式中、Dが、共有結合又は2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aが、0又は1であり、下付き文字bが、下付き文字cによって示される各部分において独立して2~4から選択され、下付き文字cが、0~500であるが、但し、下付き文字a及びcが同時に0ではないことを条件とする、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、実施形態1又は2に記載の組成物に関する。
【0109】
実施例4は、カルビノール官能基のうちの少なくとも1つにおいて、(i)下付き文字Dは、2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aは、1であり、下付き文字cは、カルビノール官能基が一般式-D-OHを有するように、0である、(ii)カルビノール官能基が、末端である、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0110】
実施形態5は、(i)カルビノール官能基のうちの少なくとも1つが、一般式:
-D-O-[CO][CO][CO]-Hを有し、
式中、Dが、共有結合又は2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aが、0又は1であり、0≦x≦500、0≦y≦500、及び0≦z≦500であるが、但し、1≦x+y+z≦500であることを条件とする、(ii)カルビノール官能基が、ペンダントである、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0111】
実施形態6は、(i)成分(A)が、400~1,200g/モルのOH当量を有する、(ii)成分(A)が、1~1,000mmPa・sの25℃における粘度を有する、(iii)成分(A)が、実質的に直鎖である、(iv)カルビノール官能基のうちの少なくとも1つが、ペンダントである、(v)カルビノール官能基のうちの少なくとも1つが、末端である、(vi)成分(A)が、組成物の総重量に基づいて、15~80重量%の量で組成物中に存在する、(vii)成分(A)が、一般式:
【化8】
を有し、
式中、各Rが、独立して選択されたヒドロカルビル基であるか、又はカルビノール官能基を含み、ただし、Rのうちの少なくとも2つが、独立して、カルビノール官能基を含み、下付き文字nが、0~100である、又は(viii)(i)~(vii)の任意の組み合わせである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0112】
実施形態7は、成分(B)が、(i)2~8の数平均官能価を有する、(ii)0超~2,000の平均OH当量を有する、(iii)ポリエーテルポリオールである、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0113】
実施形態8は、(i)成分(C)が、ポリマーMDI(pMDI)を含む、(ii)イソシアネート反応性成分が、1,000mPa・s未満の25℃における粘度を有する、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、実施形態2~7のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0114】
実施形態9は、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物の反応生成物を含む発泡ポリウレタン物品に関する。
【0115】
実施形態10は、(i)独立気泡構造、(ii)20℃を超えるガラス転移温度(T)、(iii)0.1~0.6g/cmの密度、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせを有する、実施形態9に記載の発泡ポリウレタン物品に関する。
【0116】
実施形態11は、封止材、ポッティング材、熱バリアとしての、及び/又は自動車用途における、実施形態9又は10に記載の発泡ポリウレタン物品の使用に関する。
【0117】
実施形態12は、複合物品を調製する方法であって、組成物を基材上に配置することと、組成物を硬化させて、発泡ポリウレタン物品を基材上に提供し、複合物品を調製することと、を含み、組成物が、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物である、方法に関する。
【0118】
実施形態13は、基材が、少なくとも1つのギャップを画定し、組成物を配置することが、発泡ポリウレタン物品が、複合物品のギャップ内に存在するように、組成物を少なくとも1つのギャップ内に配置することを含む、実施形態12に記載の方法に関する。
【0119】
実施形態14は、基材がバッテリセルを含み、複合物品がバッテリパックを含む、実施形態12又は13に記載の方法に関する。
【0120】
実施形態15は、実施形態12~14のいずれか1つに記載の方法に従って形成された複合物品に関する。
【0121】
産業上の利用可能性
本開示の組成物、発泡ポリウレタン物品、及び方法は、様々な最終用途に有用であり、特定の用途には限定されない。好適な用途の例としては、空間充填用途、自動車用途(例えば、制御モジュール用)などが挙げられる。発泡ポリウレタン物品は、電池及び他の電子部品などの物品を少なくとも部分的に被覆又は封入するために使用され得る。発泡ポリウレタン物品は、断熱材にも使用され得る。更に、発泡ポリウレタン物品は、防火ブロックとして使用され得る。一般に、本開示の発泡ポリウレタン物品は、次のうちの1つ以上を含む、従来の発泡体に対する望ましい物理的特性の組み合わせを提供する:重量の減少、密度の低下、耐熱性の増加、安定性の増加など。発泡ポリウレタン物品は、水素ガスの形成が懸念事項である環境において形成され得る。加えて、発泡ポリウレタン物品は、室温又はその周辺で発泡させることができ、これは温度に敏感な用途に有用である。
【0122】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。特に明記しない限り、全ての反応は、空気下で実行され、全ての成分は、様々な商業的供給業者から購入されるか、そうでなければ得られる。
【0123】
以下の機器及び特性評価手順/パラメータを使用して、以下の実施例で調製された化合物及び組成物の様々な物理的特性を評価する。
【0124】
特に明記しない限り、動粘度をASTM D445に従って測定した。
【0125】
毛細管粘度(ガラス製毛細管を介した動粘度)を、シリコーン含有材料(成分(A1)、(A2)、(A3)、(F1)及び(F2))については、1970年7月20日のDow Corning Corporate試験方法CTM0004法を介して測定した。CTM0004は、当該技術分野において既知であり、ASTM D445、IP 71に基づく。
【0126】
各B部(以下に記載)の動的粘度を、45mmコーンプレート形状を備えたTA Instruments AR 2000レオメーターで測定した。10秒-1の一定の剪断速度、20℃から80℃まで3℃/分の温度上昇速度でのデータを収集した。この測定から25℃における粘度の値を記録する。
【0127】
表6~8に記載される各反応混合物の初期動的粘度を、粘度測定及びクリーンアップ中の発泡/ゲル化から金属プレートへの損傷を回避するために、触媒又は発泡剤(例えば、水)の不在下で測定した。A部及びBの残りの成分を、FlackTek Inc.のSpeedMixer DAC 150.1 FVZにおいて、Max 40 Tallカップを使用して、2500rpmで6秒間、適切な比(B:Aの質量比で1:0.63)で十分に混合した。混合を、反応混合物の移動時間を回避するために、レオメーター(TA Instruments(Delaware)製AR2000)に隣接して行った。較正シーケンスステップは、15秒の長さであった。較正及び平衡完了時に5秒後に第1の測定を行った。測定を、25℃の一定温度で行った。反応粘度を記録するための第1の時点は、イソシアネートと残りの混合物との混合後、45mmコーンプレート形状を用いて、10秒-1の一定の剪断速度で開始してから約27秒後である。
【0128】
成分(C)の重量によるNCO含有量(すなわち、(C1)、(C2)、及び(C3))を、ASTM D5155に従って決定した。
【0129】
実施例で利用される様々な成分を以下の表1に示す。
【0130】
【表1】
【0131】
実施例1~15及び比較例1~4
【0132】
実施例1~15及び比較例1~4は、以下に記載される一般的な手順に従って発泡ポリウレタン物品を調製するために利用される組成物である。特に、実施例1~15及び比較例1~4の各々は、約12~15グラムの総組成物質量を有するように設計された組成物である。以下の表2~5は、実施例1~15及び比較例1~4において利用される表1の各成分の相対量を示す。表2~5の「A部」は、実施例1~15及び比較例1~4の各組成物で利用される特定の成分(C)(すなわち、成分(C1)、(C2)、又は(C3))である。表2~5の「B部」は、A部中の特定の成分(C)以外の全ての成分を含む。B部中の成分の値は、B部の総重量に基づく重量パーセント(重量%)である。A部の値(すなわち、利用される特定の成分(C))は、B部の100重量部に基づく。
【0133】
一般的手順
【0134】
表2~5の後に更に後述されるように、実施例1~15及び比較例1~4の組成物を用いて発泡ポリウレタン物品を調製するために、一般的な手順を利用する。一般的な手順では、成分(A)及び(B)を、Max 40 Tall FlackTekカップ(40gmのトールカップ)中の分析天秤で秤量して、ポリオール混合物を得た。B部の残りの成分を、FlackTek Inc.製SpeedMixer(商標)DAC 600.1 FVZ(以下、SpeedMixer)内で、2000rpmで1分間、ポリオール混合物と混合して、パートBを得た。次いで、パートA、すなわち特定成分(C)を、以下の表2~5に記載される重量%及びイソシアネート指数でB部と組み合わせて、反応混合物を得た。反応混合物を、SpeedMixerで、800rpmで5秒間、次いで2000rpmで6秒間混合した。反応混合物を混合後直ちにSpeedMixerから取り出し、カップ蓋をドラフト下で除去した。カップ蓋の除去後のいくらかの時間後に、ポリウレタン発泡体がFlackTekカップ内で立ち上がり始めた。FlackTekのカップを、邪魔にならないように垂直に保ち、反応及び発泡が始まると直ぐに、クリームタイム、ライズタイム、グリーン強度、及びおよその最終強度などの時間を記録した。これらのパラメータ及び特性は、以下で更に記載される。
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】
【0137】
【表4】
【0138】
【表5】
【0139】
上記で紹介されたように、実施例1~15及び比較例1~4の組成物を用いて、一般的な手順を介して、ポリウレタン発泡成物品(すなわち、硬化生成物)を形成した。しかしながら、比較例2~4において形成された硬化生成物を、性能不良に起因し更に評価することはなかった。特に、比較例2では、硬化前に液体発泡体が崩壊した。比較例3では、ポリウレタン発泡体を最初に形成したが、比較例3のポリウレタン発泡体は、一晩で収縮し、これは、多くの最終使用用途には望ましくない。最後に、比較例3では、比較例2と同様に硬化前に液体発泡体が崩壊した。
【0140】
実施例1~15及び比較例1におけるポリウレタン発泡物品を形成する際の反応の動力学を監視し、発泡ポリウレタン物品の得られた特性を測定した。以下の表6~8は、実施例1~15及び比較例1の組成物を用いて形成された発泡ポリウレタン物品の動力学及び特性について詳述する。表6~8の任意の時間範囲は、2つの異なる試験に関連するストップウォッチ値に基づく。しかしながら、実施例3は、1回のみ監視され、そのような範囲を含まないが、単一の値のみを含む。表6~8のなし(N/A())は、未測定を意味する。
【0141】
【表6】
【0142】
【表7】
【0143】
【表8】
【0144】
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」を表現するために、かつそこに記載される特定の化合物、組成物、又は方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート反応性組成物であって、
(A)1分子当たり平均して少なくとも2つのカルビノール官能基を有するオルガノポリシロキサンと、
(B)ポリオールと、を含み、
前記(A)オルガノポリシロキサンが、前記(A)オルガノポリシロキサンと前記(B)ポリオールとの合計重量に基づいて、10重量%超~99重量%未満の量で存在する、組成物。
【請求項2】
発泡ポリウレタン物品を調製するための組成物であって、
(1)イソシアネート反応性成分であって、請求項1に記載のイソシアネート反応性組成物である、イソシアネート反応性成分と、
(2)(C)ポリイソシアネート、
(D)発泡剤、及び
(E)触媒を含む、イソシアネート成分と、を含む、組成物。
【請求項3】
(i)前記カルビノール官能基が、互いに同じである、(ii)前記カルビノール官能基が、一般式-D-O-(C2bO)-Hを有し、式中、Dが、共有結合又は2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aが、0又は1であり、下付き文字bが、下付き文字cによって示される各部分において独立して2~4から選択され、下付き文字cが、0~500であるが、但し、下付き文字a及びcが同時に0ではないことを条件とする、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カルビノール官能基のうちの少なくとも1つにおいて、(i)下付き文字Dが、2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aが、1であり、下付き文字cが、前記カルビノール官能基が一般式-D-OHを有するように、0である、(ii)前記カルビノール官能基が、末端である、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
(i)前記カルビノール官能基のうちの少なくとも1つが、一般式:
-D-O-[CO][CO][CO]-Hを有し、
式中、Dが、共有結合又は2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字aが、0又は1であり、0≦x≦500、0≦y≦500、及び0≦z≦500であるが、但し、1≦x+y+z≦500であることを条件とする、(ii)前記カルビノール官能基が、ペンダントである、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
(i)成分(A)が、400~1,200g/モルのOH当量を有する、(ii)成分(A)が、1~1,000mmPa・sの25℃における粘度を有する、(iii)成分(A)が、実質的に直鎖である、(iv)前記カルビノール官能基のうちの少なくとも1つが、ペンダントである、(v)前記カルビノール官能基のうちの少なくとも1つが、末端である、(vi)成分(A)が、前記組成物の総重量に基づいて、15~80重量%の量で前記組成物中に存在する、(vii)成分(A)が、一般式:
【化1】
を有し、
式中、各Rが、独立して選択されたヒドロカルビル基であるか、又はカルビノール官能基を含み、ただし、Rのうちの少なくとも2つが、独立して、カルビノール官能基を含み、下付き文字nが、0~100である、又は(viii)(i)~(vii)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
請求項2に記載の組成物の反応生成物を含む、発泡ポリウレタン物品。
【請求項8】
複合物品を調製する方法であって、
組成物を基材上に配置することと、
前記組成物を硬化させて、発泡ポリウレタン物品を前記基材上に提供し、前記複合物品を調製することと、を含み、
前記組成物が、請求項2に記載の組成物である、方法。
【請求項9】
前記基材が、バッテリセルを含み、前記複合物品が、バッテリパックを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の方法に従って形成された物品。

【国際調査報告】