(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】屈折異常を治療するための周辺網膜上への脱焦点化された画像の投影
(51)【国際特許分類】
A61F 9/013 20060101AFI20230627BHJP
A61B 3/11 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A61F9/013
A61B3/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571788
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 US2021036100
(87)【国際公開番号】W WO2021252319
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520501023
【氏名又は名称】アキュセラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】窪田 良
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ, ナビン
(72)【発明者】
【氏名】セレナウ, アルカディー
(72)【発明者】
【氏名】アリ, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】フェール, ジャン-ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘーベルリ, モリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー, パトリツィア
(72)【発明者】
【氏名】ソーヴェ, ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】グプタ, アミタヴァ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA13
4C316AA26
4C316AA28
4C316AB14
4C316AB16
4C316FC12
4C316FC15
4C316FY05
(57)【要約】
眼の屈折異常を治療するための装置は、焦点から外れた画像を備える、刺激を、黄斑の外側の周辺網膜上に投影するように構成される、1つまたはそれを上回る光学系を備える。刺激は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、刺激は、黄斑視等の中心視への干渉を減少させるように配列される。刺激は、約3ジオプタ(「D」)~約6Dの範囲内の脱焦点化の量を備え得る、焦点から外れた画像であることができる。いくつかの実施形態では、刺激の明度は、背景明度の少なくとも3倍等、適切な量だけ背景照明の明度を上回る。いくつかの実施形態では、複数の刺激はそれぞれ、約1X10-1~2.5X101サイクル/度の範囲内の空間周波数を有する、振幅プロファイルを伴う、空間周波数分布を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の屈折異常を治療するための装置であって、前記装置は、
複数の刺激と、
1つまたはそれを上回る光学系であって、前記1つまたはそれを上回る光学系は、前記複数の刺激を網膜の周辺部分の前方または後方に結像し、複数の脱焦点化された画像を前記網膜の周辺部分上に形成する、1つまたはそれを上回る光学系と
を備え、前記複数の刺激および前記1つまたはそれを上回る光学系は、前記眼の中心視への干渉を低減させるように配列される、装置。
【請求項2】
前記複数の画像は、3.0D~6.0Dの範囲内の量だけ脱焦点化される、随意に、近視眼的に、随意に、3.5D~5.0Dの範囲内で脱焦点化される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の脱焦点化された画像の明度は、背景照明の明度の少なくとも3倍、随意に、背景照明の明度の少なくとも5倍、随意に、背景照明の明度の3~20倍の範囲内、さらに随意に、背景照明の明度の5~15倍の範囲内でより高い、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の脱焦点化された画像はそれぞれ、強度プロファイル分布を備え、前記強度プロファイル分布は、1つまたはそれを上回るピークに対して減少された強度を伴う内側部分の周囲に分散された1つまたはそれを上回るピークを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記1つまたはそれを上回るピークは、複数のピークを備え、前記内側部分は、前記複数のピーク間に位置する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のピークは、4つのピークを備え、前記内側部分は、前記4つのピーク間に位置する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記内側部分は、前記4つのピーク間に延在する十字を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記1つまたはそれを上回るピークは、環状ピークを備え、前記内側部分は、前記環状ピーク内に位置する、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の脱焦点化された画像はそれぞれ、多色性アイコンをより暗い背景上に備え、コントラストを提供し、随意に、前記多色性アイコンは、白色アイコンを備え、前記より暗い背景は、実質的に黒色背景を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の刺激はそれぞれ、長さ、縁、および強度プロファイル分布を備え、前記網膜の前方または後方において前記眼の中に結像される際に、1X10
-1~2.5X10
1サイクル/度の範囲内、随意に、1X10
-1~1X10
1サイクル/度の範囲内の空間周波数を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記眼内に結像される際の前記複数の刺激は、約1X10
-1~約2.5X10
1サイクル/度、随意に、1X10
-1~約5X10
0サイクル/度の空間周波数の範囲にわたって、空間周波数の増加に伴って空間周波数振幅の減少を提供する空間周波数分布を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記空間周波数強度の減少は、任意単位における前記空間周波数振幅にわたって、1/(空間周波数)
0.5~1/(空間周波数)
2、随意に、任意単位における前記空間周波数振幅にわたって、1/(空間周波数)~1/(空間周波数)
2の範囲内である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記空間周波数の範囲は、約3X10
-1~約1.0X10
1サイクル/度、随意に、約3X10
-1~約2.0X10
0の範囲内、さらに随意に、約3X10
-1~約1.0X10
0である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、患者の眼の単眼刺激のために構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、前記患者の両眼刺激のために構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記患者の僚眼を刺激する第2の複数の刺激と、
第2の1つまたはそれを上回る光学系であって、前記第2の1つまたはそれを上回る光学系は、前記第2の複数の刺激を前記僚眼の網膜の周辺部分の前方または後方に結像し、第2の複数の脱焦点化された画像を前記第2の網膜の周辺部分上に形成する、第2の1つまたはそれを上回る光学系と
をさらに備え、
前記第2の複数の刺激および前記第2の1つまたはそれを上回る光学系は、前記僚眼の中心視への干渉を低減させるように配列される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記複数の刺激および前記1つまたはそれを上回る光学系は、10度~30度の範囲内、随意に、10度~20度、随意に、12度~18度の範囲内の実質的に中断されない視野を提供するように配列される、随意に、前記複数の脱焦点化された画像はそれぞれ、前記視野の外側の前記網膜上に投影される、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記眼内に結像される際の前記複数の刺激はそれぞれ、略均一灰色背景上にオーバーレイされ、前記複数の刺激はそれぞれ、白色アイコンを備え、したがって、前記アイコンは、主に、1X10
-1サイクル/度~2.5X10
1サイクル/度の範囲内、随意に、1X10
-1サイクル/度~1X10
1サイクル/度の範囲内の空間周波数の特徴を生成する縁の全長を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記眼内に結像される際の前記複数の刺激はそれぞれ、主に、1X10
-1サイクル/度~2.5X10
1サイクル/度の範囲内、随意に、1X10
-1サイクル/度~1X10
1サイクル/度の範囲内の空間周波数の特徴を生成する縁プロファイルを背景上に有する多色性アイコンを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記複数の刺激はそれぞれ、0.7を上回る、随意に、8.0を上回る大域的コントラスト係数を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記1つまたはそれを上回る光学系は、ホログラム、導波管、ミラー、レンズ、眼鏡レンズ、またはコンタクトレンズのうちの1つまたはそれを上回るものを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記ユーザに結合し、前記1つまたはそれを上回る光学系を支持するための支持体をさらに備え、前記支持体は、頭部搭載型デバイス、眼鏡レンズ、眼鏡フレーム、ゴーグル、ARディスプレイ、コンタクトレンズ、またはVRディスプレイのうちの1つまたはそれを上回るもののコンポーネントを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記眼の屈折異常を補正するためのレンズをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記1つまたはそれを上回る光学系は、前記眼の瞳孔が散瞳薬で拡張されているとき、前記複数の刺激を前記網膜の周辺部分に向かって投影するように配列される、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記複数の刺激は、前記眼の視軸から少なくとも35度の角度で、前記網膜の周辺部分を照明するように配列される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記瞳孔のサイズを測定するためのセンサをさらに備え、前記瞳孔のサイズに応答して、前記光学刺激を前記眼に向かって指向するための命令とともに構成されるプロセッサをさらに備え、随意に、前記瞳孔のサイズは、前記瞳孔の直径を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記プロセッサは、前記瞳孔のサイズに応答して、前記光学刺激の強度または持続時間のうちの1つまたはそれを上回るものを調節するように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記センサは、センサアレイを備え、随意に、前記センサアレイは、カメラのセンサアレイを備える、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記複数の刺激は、複数の刺激で照明されると、天然瞳孔の拡張を可能にするように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記複数の刺激は、前記刺激が提供されるとき、前記刺激がまだ提供されていないときの前記瞳孔の直径と比較して、1ミリメートル(mm)以下だけ前記瞳孔を収縮させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記瞳孔は、前記眼が、前記複数の刺激に暴露されるとき、刺激直径を備え、前記眼は、前記眼が、前記複数の刺激を伴わずに、明所視視認条件に暴露されるとき、明所視直径を備え、前記明所視直径は、前記刺激直径より少なくとも1ミリメートル小さく、随意に、前記明所視視認条件は、少なくとも3カンデラ(cd)/平方メートル(m
2)の輝度を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記刺激は、35度を上回る偏心を伴って、前記網膜の周辺部分を照明するように構成され、前記眼の瞳孔は、前記刺激が、前記35度を上回る偏心を伴って、前記周辺網膜に提供されている間、明所視照明と比較して、少なくとも約1ミリメートルだけ拡張される、請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記複数の刺激のエネルギーの総量の10%以下、随意に、前記総量の5%以下、随意に、前記総量の1%以下が、前記複数の刺激に応答して、前記瞳孔の収縮を減少させるために、前記眼の中心窩に指向される、請求項1に記載の装置。
【請求項34】
眼の屈折異常を治療する方法であって、前記方法は、
刺激を前記眼の網膜の周辺領域に提供することを含み、前記刺激は、朝に提供される、方法。
【請求項35】
前記刺激は、前記先行請求項のうちの任意の1つに記載の装置によって提供される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記刺激は、午前6時~午前10時に提供される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記刺激は、午前6時~午前10時に提供される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記刺激は、複数の連続する日の朝に前記眼に提供され、それぞれの日の総治療時間は、1時間以下を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
プロセッサによって実行されるための命令とともに構成される有形媒体であって、前記有形媒体は、請求項34-38のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成される、有形媒体。
【請求項40】
患者データベースであって、
複数の患者に関する複数の網膜刺激治療に対応する治療データと、
前記複数の患者に関する有効性データであって、前記有効性データは、前記複数の治療に関する屈折データを備える、有効性データと
を備える、患者データベース。
【請求項41】
臨床試験を行う方法であって、前記方法は、
複数の日のそれぞれの日に、周辺網膜刺激を試験眼に提供し、対照眼に提供しないことと、
複数の日のそれぞれの日に、治療前および後の前記試験眼および前記対照眼の軸方向長を測定することと、
前記試験眼の軸方向長と前記対照眼の軸方向長を比較し、前記周辺網膜刺激の有効性を決定することと
を含む、方法。
【請求項42】
眼の屈折異常を治療する方法であって、前記方法は、
前記眼の瞳孔を拡張させることと、
光学刺激を前記網膜の周辺部分に提供し、前記眼の屈折異常を減少させることと
を含む、方法。
【請求項43】
前記刺激は、前記請求項のいずれか1項に記載の前記複数の刺激を備える、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記瞳孔は、散瞳薬で拡張される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記散瞳薬は、毛様体筋麻痺薬を備え、随意に、前記毛様体筋麻痺薬は、アトロピン、シクロペントラート、ホマトロピン、スコポラミン、およびトロピカミドから成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記毛様体筋麻痺薬は、0.025%~0.2%、随意に、0.05%~0.1%の範囲内のパーセンテージ重量比を伴うアトロピンを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記瞳孔のサイズは、測定され、前記光学刺激は、前記瞳孔のサイズに応答して、前記眼に向かって指向され、随意に、前記瞳孔のサイズは、前記瞳孔の直径を備える、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記光学刺激の強度または持続時間のうちの1つまたはそれを上回るものは、前記瞳孔のサイズに応答して調節される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記瞳孔のサイズは、センサを用いて測定され、随意に、前記センサは、センサアレイを備え、随意に、前記センサアレイは、カメラのセンサアレイを備える、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記瞳孔は、前記周辺網膜の適切な量の照明および前記天然瞳孔を通して通過する他の源からの光で拡張された前記眼の天然瞳孔を備え、随意に、前記天然瞳孔は、前記眼への照明に応答して収縮および拡張することが可能である、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記天然瞳孔は、薄明視背景照明または暗所視背景照明で拡張され、随意に、前記薄明視背景照明は、0.01カンデラ/平方メートル(cd/m
2)~3cd/m
2の範囲内の量を備える、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記天然瞳孔は、前記刺激が提供されるとき、前記刺激がまだ提供されていないときの前記天然瞳孔の直径と比較して、1ミリメートル(mm)以下だけ収縮する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記天然瞳孔は、前記眼が前記刺激に暴露されるとき、刺激直径を備え、前記天然瞳孔は、前記眼が明所視視認条件に暴露されるとき、明所視直径を備え、前記明所視直径は、前記刺激直径より少なくとも1ミリメートル小さい、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記刺激は、35度を上回る偏心を伴って、前記周辺網膜を照明するように構成され、前記瞳孔は、前記刺激が、前記35度を上回る偏心を伴って、前記周辺網膜に提供される間、明所視照明と比較して、少なくとも約1ミリメートルだけ拡張される、請求項42に記載の方法。
【請求項55】
前記複数の刺激のエネルギーの総量の10%以下、随意に、前記総量の5%以下、随意に、前記総量の1%以下が、前記複数の刺激に応答して、前記瞳孔の収縮を減少させるために、前記眼の中心窩に指向される、請求項42に記載の方法。
【請求項56】
前記刺激は、前記網膜の前記周辺領域に指向される明所視刺激を備え、中心窩または黄斑のうちの1つまたはそれを上回るものの照明は、瞳孔のサイズを減少させるために、薄明視または暗所視照明のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本PCT出願は、その開示全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる、以下の仮特許出願、すなわち、2020年6月8日に出願され、「PROJECTION OF DEFOCUSED IMAGES ON THE PERIPHERAL RETINA TO TREAT REFRACTIVE ERROR」と題された、第63/036,226号、2020年8月3日に出願され、「PROJECTION OF DEFOCUSED IMAGES ON THE PERIPHERAL RETINA TO TREAT REFRACTIVE ERROR」と題された、第62/706,153号、2020年8月18日に出願され、「PROJECTION OF DEFOCUSED IMAGES ON THE PERIPHERAL RETINA TO TREAT REFRACTIVE ERROR」と題された、第62/706,456号の優先権を主張する。
【0002】
本願の主題は、その開示全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2019年7月26日に出願され、「ELECTRONIC CONTACT LENS TO DECREASE MYOPIA PROGRESSION」と題され、2020年2月6日に第WO2020028177A1号として公開された、第PCT/US2019/043692号に関連する。
【背景技術】
【0003】
近視等の屈折異常を治療するための以前のアプローチは、少なくともいくつかの点において、準理想的であり得る。眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、および屈折外科手術が、眼の屈折異常を治療するために使用されることができる。しかしながら、レンズは、異常を補正するために、装着されなければならず、未補正屈折異常は、学校、スポーツ、および他のアクティビティにおいて、ある人物が何らかのことを達成ならびにそれに完全に参加する能力に影響を及ぼし得る。外科手術が、屈折異常を減少させるために実施され得るが、外科手術は、少なくともいくつかの事例では、感染症および視覚の低下等、リスクを伴う。また、これらのアプローチは、近視等の屈折異常に関連する、眼軸長の下層変化に対処しない。
【0004】
本開示に関連する研究が、ヒトを含む、多くの種の網膜が、脱焦点化された画像に応答し、脱焦点化によって生じるぼけを減少させるために、強膜リモデリングを通して再位置付けされることを示唆している。成長信号の生成の機構は、依然として、研究対象であるが、1つの観察可能な現象は、脈絡膜の厚さの増加である。脱焦点化された画像は、脈絡膜厚を変化させることができ、これは、眼の軸方向長に関連する。眼の軸方向長の変化は、角膜に関連して網膜の位置を変化させることによって、屈折異常を改変することができる。例えば、軸方向長の増加は、角膜と網膜との間の距離を増加させることによって、眼の近視を増加させる。
【0005】
画像の脱焦点化は、脈絡膜厚および眼の軸方向長の変化にある役割を果たし得るが、以前のアプローチは、軸方向長に関連する眼の屈折異常に対処するために準理想的に好適である。医薬品治療が、軸方向長成長と関連付けられる近視を治療するために提案されているが、これらの治療は、準理想的結果を有し得、少なくともいくつかの事例では、屈折異常を安全に治療することが示されていない。光が、眼の成長を改変するための刺激として提案されているが、以前のデバイスのうちの少なくともいくつかは、準理想的結果を提供し得る。また、治療の時間は、理想的であろうものより長くあり得、以前のアプローチのうちの少なくともいくつかは、理想的であろうものより複雑であり得る。
【0006】
したがって、新しいアプローチが、以前のアプローチの上記の限界のうちの少なくともいくつかを改善する、眼の屈折異常を治療するために必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の方法、デバイス、および装置は、短縮された治療時間を伴う、屈折異常の改良された治療を提供する。いくつかの実施形態では、刺激は、空間周波数分布または刺激強度と背景照明強度の比率のうちの1つまたはそれを上回るものを備え、改良された応答を助長する。いくつかの実施形態では、刺激は、適切な時刻に提示され、応答を助長する。
【0008】
屈折異常を治療するための装置は、焦点から外れた画像を備える、刺激を、黄斑の外側の周辺網膜上に投影するように構成される、1つまたはそれを上回る光学系を備える。刺激は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、刺激は、黄斑視等の中心視への干渉を減少させるように配列される。刺激は、約2ジオプタ(「D」)~約6Dの範囲内の脱焦点化の量を備え得る、焦点から外れた画像であることができ、範囲は、約3D~約6Dであることができる。いくつかの実施形態では、刺激の明度は、背景明度の少なくとも3倍等、適切な量だけ背景照明の明度を上回る。いくつかの実施形態では、複数の刺激はそれぞれ、約1X10-1~1X101サイクル/度の範囲内の実質的空間周波数を有する、振幅プロファイルを伴う、空間周波数分布を備える。いくつかの実施形態では、刺激はそれぞれ、刺激に対する応答を助長するための空間周波数を提供するような強度プロファイル分布を伴って、定寸および成形される。刺激はそれぞれ、減少された照明の領域に近接して、1つまたはそれを上回る局在化された強度ピークを備えてもよい。いくつかの実施形態では、減少された照明の領域は、複数のピーク間に位置するが、減少された照明の領域は、環状ピークによって境界されてもよい。
(参照による組み込み)
【0009】
本明細書で参照および識別される、全ての特許、出願、および刊行物は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれ、本願のいずれかの場所で参照される場合でも、参照することによって完全に組み込まれるものと見なされるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の特徴、利点、および原理のより深い理解は、例証的実施形態を記載する、以下の詳細な説明と、付随の図面とを参照することによって取得されるであろう。
【0011】
【
図1A】
図1Aは、いくつかの実施形態による、網膜刺激デバイスを示す。
【0012】
【
図1B】
図1Bは、いくつかの実施形態による、ディスプレイと、接眼ディスプレイを動作させるための電子機器を含有する、筐体とを備える、眼鏡レンズベースの網膜刺激デバイスを示す。
【0013】
【
図1C】
図1Cは、いくつかの実施形態による、
図1Bにおけるような眼鏡レンズベースの網膜刺激デバイスを示し、その中で眼は、移動しており、異なるディスプレイ要素が、眼移動に応答して、アクティブ化されている。
【0014】
【
図2A】
図2Aは、いくつかの実施形態による、ソフトコンタクトレンズを示す。
【0015】
【
図2B】
図2Bは、いくつかの実施形態による、内蔵光源と、光学系と、脱焦点化を伴う画像をユーザの網膜の周縁上に投影するための電子機器とを伴う、ソフトコンタクトレンズを示す。
【0016】
【
図3】
図3は、
図2におけるようなコンタクトレンズのコンポーネントの機能の系統図を示す。
【0017】
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施形態による、その中で光学経路長が、2つのミラーを伴う、光学経路を折畳することによって増加される、光学構成を示す。
【0018】
【
図4B】
図4Bは、いくつかの実施形態による、光を眼の中に投影する、
図4Aにおけるような光学構成を示す。
【0019】
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施形態による、光を網膜上に集束させるためのレンズを備える、光学構成を示す。
【0020】
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実施形態による、光を眼の中に投影する、
図5Aにおけるような光学構成を示す。
【0021】
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態による、光学経路長を増加させるための光パイプを示す。
【0022】
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態による、光を眼の中に投影する、
図6Aにおけるような光学構成を示す。
【0023】
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、複数の刺激と、ユーザによって見られるようなディスプレイ上の画像とを示す。
【0024】
【
図8A】
図8Aは、いくつかの実施形態による、近視眼的に脱焦点化された刺激を網膜に提供するための画面上の刺激を示す。
【0025】
【
図8B】
図8Bは、いくつかの実施形態による、度単位における、網膜上の近視眼的に脱焦点化された刺激の対応する寸法を示す。
【0026】
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、環状花パターン等の自然場面を描写する、刺激を示す。
【0027】
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による、
図8A-9に示される刺激に関する、画像コントラストと、赤色(R)、青色(B)、および緑色(G)値を伴うヒストグラムとを示す。
【0028】
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態による、本明細書に説明されるような刺激としての修正および組み込みのために好適な画像を示す。
【0029】
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態による、改良された刺激を提供するように処理されている、
図11の画像に類似する画像を示す。
【0030】
【0031】
【
図14】
図14は、いくつかの実施形態による、刺激として使用される、
図13の画像の空間周波数分布の画像を示す。
【0032】
【
図15】
図15は、いくつかの実施形態による、
図8Bおよび9に示される刺激画像に関する、サイクル/度単位における画像空間周波数と各周波数におけるエネルギーのログのプロットを示す。
【0033】
【
図16】
図16は、いくつかの実施形態による、眼の屈折異常を治療するためのシステムを示す。
【0034】
【
図17】
図17は、いくつかの実施形態による、眼の屈折異常を治療する方法を示す。
【0035】
【
図18A】
図18Aは、いくつかの実施形態による、6Dの近視性脱焦点化を伴う、刺激(「6D刺激」)と、3Dの近視性脱焦点化を伴う、別の刺激(「3D刺激」)とを描写する。
【0036】
【
図18B】
図18Bは、いくつかの実施形態による、25%被覆率を伴う、刺激(「25%刺激)と、50%被覆率を伴う、刺激(「50%刺激」)とを描写する。
【0037】
【
図18C】
図18Cは、いくつかの実施形態による、0.1:1の明度比を伴う、刺激と、1:1明度比を伴う、刺激とを描写する。
【0038】
【
図18D】
図18Dは、いくつかの実施形態による、黒色および白色刺激と、赤色刺激とを描写する。
【0039】
【
図19】
図19は、いくつかの実施形態による、刺激を網膜上に投影するための光学システムを描写する。
【0040】
【
図20A】
図20Aは、いくつかの実施形態による、対照眼、例えば、左眼に関する、中心エンターテインメント領域の焦点と、背景パターンとを示す。
【0041】
【
図20B】
図20Bは、いくつかの実施形態による、試験眼、例えば、右眼に関する、刺激の近視性脱焦点化と、中心エンターテインメント領域と、背景パターンとを示す。
【0042】
【
図21】
図21は、いくつかの実施形態による、表1の結果に類似する、臨床結果を示す。
【0043】
【
図22】
図22は、いくつかの実施形態による、5X、10X、および20X輝度試験の集約データを示し、試験眼に関する中心軸方向長(ミクロン単位)の平均変化が、1時間の脱焦点化セッション後、対照眼(p<0.025)のものより有意に小さかったことを示す。
【0044】
【
図23】
図23は、いくつかの実施形態による、軸方向長および脈絡膜厚の平均変化(平均値±SEM)を示し、全ての試験の集約に関して、試験眼に関する軸方向長の変化は、1時間の脱焦点化セッション後、対照眼に関するものより有意に低かった。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、本明細書に開示される実施形態による、本開示に説明される本発明の特徴および利点のより深い理解を提供する。詳細な説明は、多くの具体的実施形態を含むが、これらは、一例のみとして提供され、本明細書に開示される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0046】
本開示の方法および装置は、網本明細書に説明されるように、膜刺激を提供するために、多くの方法において構成されることができる。本開示の方法および装置は、眼科デバイス、TV画面、コンピュータ画面、仮想現実(「VR」)ディスプレイ、拡張現実(「AR」)ディスプレイ、ハンドヘルドデバイス、モバイルコンピューティングデバイス、タブレットコンピューティングデバイス、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、眼鏡レンズフレーム、眼鏡レンズ、接眼ディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ、ゴーグル、コンタクトレンズ、埋込可能デバイス、角膜アンレー、角膜インレー、角膜補綴、または眼内レンズのうちの1つまたはそれを上回るもの等の多くの以前のデバイスとの組み合わせに非常に好適である。眼鏡およびコンタクトレンズを具体的に参照するが、本開示の方法および装置は、前述のいずれかのデバイスと併用するために非常に好適であって、当業者は、本開示のコンポーネントのうちの1つまたはそれを上回るものが、本明細書に提供される教示に基づいて、デバイス間で入替可能となる方法を容易に理解するであろう。
【0047】
図1Aは、近視の進行を減少させること、または少なくとも部分的に、近視の進行を逆行させることのうちの1つまたはそれを上回るもののための網膜刺激デバイスを示す。本デバイスは、複数の光源を支持するためのレンズ10を備える。複数の光源は、1つまたはそれを上回る光学コンポーネントに結合され、本明細書に説明されるように、刺激を網膜に提供することができる。いくつかの実施形態では、レンズ10は、眼鏡レンズ74を備える。いくつかの実施形態では、レンズ10は、レンズを通して、ユーザの球面および円柱屈折異常を補正し、補正された視力を提供するように成形される。複数の光源は、投影ユニット12または接眼ディスプレイ等のディスプレイ74のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。複数の光源は、本明細書に説明されるように、光刺激を周辺網膜等の網膜の外側の場所に提供するように、レンズの中心部分を中心として配列される。いくつかの実施形態では、光源は、刺激を周辺網膜に提供するように、略環状領域内に位置する。光源は、略環状パターンで、例えば、黄斑の外側の周辺網膜の象限に対応するように、象限で配列されることができる。複数の光源はそれぞれ、本明細書に説明されるように、適切な刺激パターンを伴って、パターンを網膜の前方に投影するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、光源からの光は、光源から網膜の対向側上の場所において網膜を刺激するように、眼の光学軸を横断する。
【0048】
いくつかの実施形態では、投影ユニット12は、実質的エイリアシングを伴わずに、眼の瞳孔に進入するために、光線を放出するように構成される。いくつかの実施形態では、眼の瞳孔は、網膜表面のより大きい面積が、投影ユニット12によって投影された刺激にアクセス可能であるように、適切な量の照明または散瞳薬の点眼によって拡大されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数の光源は、ユーザがオブジェクトを視認する間、静的なままであるように構成される。代替として、光源は、本明細書に説明されるように、例えば、ピクセルの選択的アクティブ化を用いて、眼移動に応答して、移動するように構成されることができる。
【0050】
レンズ上に支持される、複数の光源を参照するが、光源は、ビームスプリッタまたは略平坦光学コンポーネント等の任意の好適な光学的に透過性の基板上に支持されることができ、光源は、ARまたはVRディスプレイ等のピクセルディスプレイの光源を備えてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイ72は、ピクセル94を備え、これは、本明細書に説明されるように、選択的にアクティブ化され、刺激を網膜に提供する。代替として、または組み合わせて、投影ユニット12は、本明細書に説明されるように、刺激を網膜に提供するように成形された構造を備えてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、ピクセルは、投影された光が、組み合わせられ、例えば、白色光等の任意の好適な色または色相を作成し得るように、複数の色を放出するように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態では、複数の光源は、眼鏡70上の眼鏡フレーム76等、頭部搭載型支持体上に支持される。
【0053】
図1Bおよび1Cは、球面屈折異常等の眼の屈折異常の治療のための眼鏡70を描写するが、本明細書に説明されるような任意の好適な視覚デバイスが、本明細書に開示される実施形態に従って適切に修正されることができる。複数の光源が、1つまたはそれを上回る光学コンポーネントに結合され、本明細書に説明されるように、刺激を網膜に提供することができる。眼鏡70は、市販の拡張現実眼鏡の1つまたはそれを上回るコンポーネントを備えてもよい。眼鏡70は、網膜刺激のための1つまたはそれを上回るディスプレイ72を備えてもよい。接眼ディスプレイ72は、レンズ74に搭載されてもよい。レンズ74は、眼鏡フレーム76によって支持される、眼鏡レンズであってもよい。レンズ74は、補正または非補正レンズであってもよい。レンズ74は、扁平レンズ、球面補正レンズ、非点収差補正レンズ、またはプリズム補正レンズであってもよい。いくつかの実施形態では、接眼ディスプレイは、光学ゾーンから離れるように位置し、クリア中心視を提供する。光学軸が、患者の注視点から、レンズ74を通して、眼の中心窩までの通視線に沿って延在し得る。いくつかの実施形態では、眼鏡70は、本開示による、組み込みのために好適な眼追跡器を備える。接眼ディスプレイ72は、本明細書に説明されるように、周辺刺激を網膜に提供するために、ピクセル94を選択的にアクティブ化するようにプログラムされることができる。いくつかの実施形態では、マイクロレンズを支承するプラスチック基板の層が、所望のレベルの脱焦点化および刺激を網膜において生成するために、マイクロディスプレイに取り付けられる。選択的にアクティブ化可能ピクセルは、ピクセルのグループ、例えば、第1のピクセルのグループ94A、第2のピクセルのグループ94B、第3のピクセルのグループ94C、および第4のピクセルのグループ94Dを備えてもよく、これは、ともに選択的にアクティブ化されることができる。ピクセルのグループは、本明細書に説明されるように、周辺網膜刺激を提供するように、患者の通視線に対する適切な偏心を提供するように配列されることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、接眼ディスプレイ72は、マイクロディスプレイとマイクロ光学系の組み合わせを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ光学系は、マイクロディスプレイから発出する光線を収集し、実質的にコリメートし、集束させるように構成される。いくつかの実施形態では、マイクロ光学系は、本明細書に説明されるように、画像を網膜の前方または後方に形成するように構成される。いくつかの実施形態では、眼の入射瞳からの接眼ディスプレイの距離は、約10mm~約30mmの範囲内、例えば、約15mmである。マイクロディスプレイは、眼鏡70のレンズ74の正面または背面表面等の透明基板上に設置されることができる。マイクロディスプレイが、レンズ94の正面表面上に設置されると、マイクロディスプレイの焦点は、レンズ94の背面表面上での円柱補正によって影響され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイ内のピクセルの焦点は、レンズ74上のその場所に基づいて変動し、屈折補正は、その面積内のレンズによって提供され得る。いくつかの実施形態では、ピクセルの焦点は、固定されてもよい。いくつかの実施形態では、ピクセルの焦点は、角膜の感知される位置に基づいて変動し、眼の角膜および水晶体の屈折を考慮し得る。いくつかの実施形態では、ピクセルは、約1mmの直径の脱焦点化されたスポットを網膜上に作成するように脱焦点化される。
【0056】
接眼ディスプレイのマイクロディスプレイ内のピクセル94によって放出される光は、眼の瞳孔に指向される前に、実質的にコリメートされること、または集束されることのうちの1つまたはそれを上回るものを行われることができる。いくつかの実施形態では、マイクロレンズアレイは、接眼ディスプレイからの光線が、瞳孔に進入し、画像を網膜の前方または後方に形成し得るように、接眼ディスプレイのピクセルに整合される。いくつかの実施形態では、接眼ディスプレイの幅は、患者の視野に対応する。いくつかの実施形態では、接眼ディスプレイの範囲は、眼鏡70のレンズ74の範囲に実質的に類似してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、ユーザの生活の質および視覚の質が悪影響を受けないように、損なわれていない中心視を提供する。いくつかの実施形態では、中心視は、黄斑を被覆する、+/-5度またはそれを上回る、好ましくは、+/-12.5度等の+/-7.5度またはそれを上回る視野を備える一方、固視のために使用される、中心窩視は、+/-1.0度の視野を有する。いくつかの実施形態では、脱焦点化された画像は、例えば、中心窩に対して15度(周角または+/-7.5度)~40度(周角または+/-20度)の範囲内の偏心で、網膜の周縁に向かって、網膜の外側部分に投影され、20度~40度の範囲内、例えば、20度~30度の範囲内であることができる。いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイ72は、中心視視野を遮らない。いくつかの実施形態では、ピクセル94は、中心視視野を遮らない。
【0058】
いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイおよび光学系は、照明が眼移動を伴っても実質的に固定されたままであるほど中心窩から十分に離れた網膜の外側領域上に光を投影するように構成される。いくつかの実施形態では、注視点が、監視され、マイクロディスプレイ上でアクティブ化されるべきピクセルの所望の場所が、画像が、網膜上の所望の場所に投影され、同一網膜場所における持続した刺激を可能にするように、例えば、プロセッサを用いた計算によって決定される。いくつかの実施形態では、眼鏡平面またはマイクロディスプレイの平面上の注視点が、第1眼位に対する眼の水平、垂直、およびねじれ変位を監視することによって計算される。
【0059】
注視点は、多くの方法において、例えば、磁気センサまたは光学センサ等の眼位置センサを用いて、決定されることができる。いくつかの実施形態では、眼鏡フレームに内蔵される探りコイルが、眼移動を追跡するために使用される。コイルに内蔵される眼鏡フレームは、コンタクトレンズ上のコイル、眼内に埋め込まれたコイル、コンタクトレンズ上の磁気材料、または眼内に埋め込まれた磁気材料のうちの1つまたはそれを上回るもの等、眼上に設置された磁気構造に結合されることができる。いくつかの実施形態では、センサは、眼の位置を光学的に測定するための位置感知検出器またはアレイセンサ等の光学センサを備える。光学センサは、多くの方法において、眼の位置を測定するように構成される、例えば、光源からの角膜反射、瞳孔、角膜輪部、または強膜のうちの1つまたはそれを上回るものの位置を測定するように構成されることができる。眼鏡フレームは、眼を照明し、例えば、角膜反射を生成するために、付加的光源を支持してもよい。センサからのデータは、同軸視界角膜光反射(「CSCLR」)の場所、故に、視軸の方向および中心窩の場所を提供することができる。注視点、視軸、光学軸、眼の結節点、およびCSCLRは、“Ocular axes and angles: time for better understanding”, Srinivasan, S., in J CATARACT REFRACT SURG - VOL 42, MARCH 2016に説明される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、眼位置センサを使用して、マイクロディスプレイ内のピクセル等の光学系を調節し、眼の移動に応答した網膜の刺激される場所の移動を低減させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、周辺画像の標的場所は、眼位置センサからの情報に基づいて、中心窩の場所から算出され、リアルタイム光線トレーシング計算が、マイクロディスプレイ内でアクティブ化されるべきピクセルの場所を提供する。眼移動に応答して第2の複数のピクセルに選択的に切り替えるための時間は、100ミリ秒未満、例えば、20ミリ秒未満であることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、網膜の周縁に向かって外側画像を形成するためにアクティブ化されるべきマイクロディスプレイ内のピクセルの場所は、それが主視線における注視点であるため、眼鏡光学系の光学中心から参照される。いくつかの実施形態では、注視点の場所は、主視線における眼の位置に対する眼移動を考慮し、新しい注視点を参照してアクティブ化されるべきピクセルの場所を計算することによって計算される。例えば、
図1Bは、患者が水平かつ真っ直ぐに見ている、いわゆる、主視線にあるときのアクティブピクセル94を示す一方、
図1Cは、患者が左上を見ているときのアクティブピクセル94を示す。そのような場合、ピクセルのアレイの形状は、同一であるが、左上に平行移動され得る、またはアレイの形状は、変化してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、両眼用であって、ユーザの眼毎に、マイクロディスプレイと、光学系とを備える。マイクロディスプレイは、マイクロディスプレイのピクセルによって生成された照明を実質的にコリメートし、瞳孔に進入する前に収束されるように設計される、1つまたはそれを上回るマイクロ光学コンポーネントと光学的に結合されることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ72が、読書または近傍のオブジェクトを視認するときの下方視を含む、典型的には、側方に+/-15度および垂直に+10~-20度の眼移動の正常範囲に関して、マイクロディスプレイが、周辺網膜刺激を提供し続け得るように、接眼ディスプレイが、+/-40度またはそれを上回る視野を提供し得るように、眼鏡レンズの外側上に搭載され、眼鏡レンズ光学系と整合される。いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイからの光は、眼鏡レンズ光学系を通して透過され、ユーザの屈折補正を提供される。
【0063】
いくつかの実施形態では、光学システムは、画像を網膜の前方に形成するように構成され、単一マイクロレンズ(レンズレット)、複数のマイクロレンズ(レンズレットアレイ)、ガボールレンズ、マイクロプリズム、またはマイクロミラー等の複合レンズ、もしくはそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれを上回るものを備える。いくつかの実施形態では、光バッフルおよびマイクロミラーが、迷光およびディスプレイの正面側からの光逃散を低減させるために、マイクロ光学系によって捕捉されない光の量が、実質的に減少される、例えば、最小限にされることを確実にするように配列される。
【0064】
いくつかの実施形態では、10%(0.1)未満のピクセル充填率が、中心窩および黄斑画像のクリアビューを提供するために十分に疎である。いくつかの実施形態では、充填率は、0.01~0.3の範囲内であって、0.05~0.20の範囲内であることができる。例えば、5ミクロンのピクセルサイズおよび20ミクロンのピクセルピッチのピクセルのアレイは、0.06の充填率につながる。低充填率はまた、製造プロセスの複雑性を低減させ、そのようなマイクロ光学系ディスプレイのコストを削減させ得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、マイクロ光学アレイは、主視線におけるユーザの瞳孔に指向されるように、単一または複数のピクセル94からの光が、収集、コリメート、および集束され得るように、ディスプレイと光学的に整合されるように設計される。これらのマイクロ光学要素の密度は、接眼ディスプレイの全体的可視性を制御することができる。いくつかの実施形態では、マイクロ光学系は、接眼ディスプレイを通した全体的光透過率が、ユーザにとって容認可能であって、患者がオブジェクトを視認することを可能にするであろうように、低充填率(好ましくは、0.1に等しいまたはそれ未満)を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、例えば、1つの屈折率から別の屈折率に、または1つの偏光から別の偏光に切り替えられ得る、例えば、液晶またはLCベースの材料を利用する、電気光学コンポーネントによって、扁平(無屈折力)状態とアクティブ化状態との間で切り替えられ得る、切替可能なマイクロ光学アレイを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ光学アレイは、クティブ化されないときは、光を散乱させない、または実世界の画像を歪曲させない。
【0067】
いくつかの実施形態では、外側画像を網膜の周縁に向かって形成するためにアクティブ化されるべきマイクロディスプレイ内のピクセルの場所は、それが主視線における注視点であるため、眼鏡光学系の光学中心から参照される。いくつかの実施形態では、注視点の場所は、主視線における眼の位置に対する眼移動を考慮して、新しい注視点を参照してアクティブ化されるべきピクセルの場所を計算することによって計算される。
【0068】
いくつかの実施形態では、複数のピクセルは、マイクロ光学系によって結像される、光源を形成するようにアクティブ化される。マイクロ光学系の光学設計およびマイクロディスプレイからのその分離は、画像送達システムの焦点距離、網膜上に投影される画像の画像拡大率、および光学送達システムのエアリーディスク直径として測定されるような回折によって生じるぼけを提供するように構成されることができる。
【0069】
本開示に関連する研究は、網膜が、脱焦点化の符号に敏感である、縦色収差(LCA)、より高次の球面収差、非点収差等を含む、(球面脱焦点化に加え)脱焦点化された画像内に存在するより高次の収差によって生じる、画像ぼけの変化を知覚することを示唆する。本明細書に提供される教示に基づいて、当業者は、網膜が、本デバイスの焦点深度が、脱焦点化の大きさを上回るまたはそれにほぼ等しいとき、近視性ぼけを遠視性ぼけから認識し得るかどうかを決定するために、実験を行うことができる。本明細書に説明されるようなデバイスは、例えば、適切な脱焦点化の量を適切な場所に提供するように適切に構成されることができる。
【0070】
本デバイスは、適切な画像拡大率、適用されている近視性脱焦点化の大きさに関連して、画像分解能および焦点深度を限定する、回折、ならびに脱焦点化の大きさの関数としての画像ぼけまたは画像鮮明度勾配の変化率を提供するように構成されることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、接眼ディスプレイは、快適な視覚のために、中心窩および黄斑画像のクリアな実質的に歪曲されていない視野を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、中心画像の視野は、少なくとも+/-5度であって、例えば、異なるユーザの瞳孔間距離(IPD)における差異を考慮するために、例えば、それを上回る(例えば、+/-12度)こともできる。実画像の画質および視野は、実質的に透明な接眼ディスプレイが透明な状態であって、マイクロディスプレイ内の発光ピクセルの充填率を低減させることによって、提供されることができる。いくつかの実施形態では、10%(0.1)未満の充填率が、中心窩および黄斑画像のクリアビューを提供するために十分に疎である。いくつかの実施形態では、充填率は、0.01~0.3の範囲内であって、0.05~0.20の範囲内であることができる。例えば、5ミクロンのピクセルサイズおよび20ミクロンのピクセルピッチのピクセルのアレイは、0.06の充填率につながるであろう。低充填率はまた、製造プロセスの複雑性を低減させ、そのようなマイクロ光学系ディスプレイのコストを削減させ得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、マイクロ光学アレイは、主視線におけるユーザの瞳孔に指向されるために、単一または複数のピクセルからの光が、収集、コリメート、および集束され得るように、ディスプレイと光学的に整合されるように設計される。これらのマイクロ光学要素の集団密度は、接眼ディスプレイの全体的可視性を制御することができる。いくつかの実施形態では、マイクロ光学系は、接眼ディスプレイを通した全体的光透過率がユーザにとって容認可能であろうように、低充填率(好ましくは、0.1に等しいまたはそれ未満)を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、例えば、1つの屈折率から別の屈折率に、または1つの偏光から別の偏光に切り替えられ得る、例えば、液晶またはLCベースの材料を利用する、電気光学コンポーネントによって、扁平(無屈折力)状態とアクティブ化状態との間で切り替えられ得る、切替可能なマイクロ光学アレイを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ光学アレイは、アクティブ化されないときは、光を散乱させない、または実世界の画像を歪曲させない。
【0074】
図2Aおよび2Bは、脈絡膜厚の変化を刺激するために、脱焦点化された画像を、黄斑を含む、中心野から離れるように、網膜上に投影するように構成される、複数の光源を備える、コンタクトレンズ10を描写する。複数の光源は、本明細書に説明されるように、1つまたはそれを上回る光学コンポーネントに結合され、刺激を網膜に提供することができる。コンタクトレンズを参照するが、レンズ10は、プロジェクタ、眼科機器、TV画面、コンピュータ画面、拡張現実ディスプレイ、仮想現実ディスプレイ、スマートフォン等のハンドヘルドデバイス、眼鏡レンズ、接眼ディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ、ゴーグル等のウェアラブルデバイス、コンタクトレンズ、角膜アンレー、角膜インレー、角膜補綴、または眼内レンズのうちの1つまたはそれを上回るもののレンズを備えてもよい。
【0075】
本コンタクトレンズ10は、内蔵電子機器と、光学系とを備える、基部または担体コンタクトレンズを備える。基部ソフトコンタクトレンズ10は、持続的装着のために快適であるように設計される、ヒドロゲルまたはシリコーンヒドロゲルポリマー等の生体適合性材料から作製される。コンタクトレンズは、最大全体横断距離、例えば、直径13を備える。生体適合性材料は、ソフトコンタクトレンズ10のコンポーネントをカプセル化することができる。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズ10は、多くの照明条件下、ユーザの眼の瞳孔を被覆するように設計される、中心光学ゾーン14を有する。いくつかの実施形態では、光学ゾーンは、半径15を伴うように画定される、円形ゾーンを備える。いくつかの実施形態では、複数の投影ユニット12は、光学ゾーンの中心から距離17に位置する。複数の投影ユニット12はそれぞれ、横断距離19を備える。いくつかの実施形態では、投影ユニット間の距離は、投影ユニットを光学ゾーンの外側に設置し、網膜の周辺領域を刺激するように定寸されるが、投影ユニットはまた、光学ゾーンの内側に設置され、本明細書に説明されるように、周辺網膜を刺激することができる。
【0076】
光学ゾーン14は、治療の間、眼の瞳孔および照明条件に関して適切に定寸されることができる。いくつかの実施形態では、光学ゾーンは、例えば、コンタクトレンズが、昼間の間の使用のために構成されるとき、6mmの直径を備える。光学ゾーン14は、6mm~9mmの範囲内、例えば、7.0mm~8.0mmの範囲内の直径を有してもよい。中心光学ゾーン14は、正視補正または他の好適な補正をユーザに提供するように設計され、球面および非点収差補正の両方を提供されてもよい。中心光学ゾーン14は、範囲2.5mm~3.0mm内の幅の周辺ゾーン16等の外側環状ゾーンによって囲まれる。時として、混成ゾーンとも称される、周辺ゾーン16は、主に、良好な心合および最小偏位を含む、角膜への良好な適合を提供するように設計される。外側環状ゾーンは、0.5mm~1.0mmの範囲内の幅の最外縁ゾーン18によって囲繞される。光学ゾーン14は、屈折補正を提供するように構成され、例えば、20/20またはより優れた視力を伴う、球状、円環状、または多焦点設計であることができる。光学ゾーン14の周辺の外側環状ゾーンは、角膜曲率に適合するように構成され、平行移動および回転安定性のための回転安定化ゾーンを備える一方、瞬目に続く眼上でのコンタクトレンズ10の移動を可能にしてもよい。縁ゾーン18は、0.05mm~0.15mmの範囲内の厚さを備えてもよく、楔形状で終端してもよい。ソフトコンタクトレンズ10の全体的直径13は、12.5mm~15.0mmの範囲内、例えば、13.5mm~14.8mmの範囲内であることができる。
【0077】
コンタクトレンズ10は、複数の内蔵投影ユニット12を含む。複数の投影ユニット12はそれぞれ、本明細書に説明されるように、光源と、光を網膜の正面に集束させるための1つまたはそれを上回る光学系とを備える。光学系はそれぞれ、ミラー、複数のミラー、レンズ、複数のレンズ、回折光学系、フレネルレンズ、光パイプ、または導波管のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。コンタクトレンズ10は、バッテリ20と、センサ22とを備えてもよい。コンタクトレンズ10は、フレックス印刷回路基板(PCB)24を備えてもよく、プロセッサが、フレックスPCB24上に搭載されることができる。プロセッサは、PCB24上に搭載され、センサ22および複数の光源30に結合されることができる。ソフトコンタクトレンズ10はまた、電子通信のため、およびコンタクトレンズ10のバッテリ20を誘導充電するための、無線通信回路網と、1つまたはそれを上回るアンテナ41とを備えてもよい。バッテリ20を参照するが、コンタクトレンズ10は、任意の好適なエネルギー貯蔵デバイスを備えてもよい。
【0078】
投影ユニット12は、本明細書に説明されるように、脱焦点化された画像を網膜の周辺部分に提供するように構成されることができ、光源と、投影光学系とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る投影光学系は、脈絡膜厚の増加または減少等、脈絡膜厚の変化を刺激するために、光源とともに構成され、脱焦点化された画像を、光源から、周辺網膜上に、黄斑を含む、中心視野から離れるように投影する。1つまたはそれを上回る投影ユニット12は、中心視および網膜の中心窩または黄斑領域のうちの1つまたはそれを上回るもの上に形成される対応する画像を劣化させずに、網膜を刺激するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る投影光学系は、ユーザの屈折異常を補正するように処方された視覚補正光学系の特性を形成する、画像を減少させない。本構成は、ユーザが、本明細書に説明されるように、脱焦点化された画像から療法を受けながら、良好な視力を有することを可能にすることができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、投影ユニット12からの光源は、本明細書に説明されるように、1つまたはそれを上回る投影光学系によって、実質的にコリメートおよび集束される。光源および投影光学系の機能は、光源によって放出される光を実質的にコリメートし、それを、網膜の正面または背後にあって、適切な脱焦点化を提供し、脈絡膜厚の変化を刺激するように設計される、焦点に指向することである。近視性脱焦点化に関して、集束される画像は、例えば、約2.0D~5.0D、例えば、2.0D~4.0D、または好ましくは、2.5D~3.5D近視性であるために、周辺網膜の約1.5mm~2.5mm正面に現れ得る。遠視性脱焦点化に関して、集束される画像は、例えば、約-2.0D~-5.0D、例えば、-2.0D~-4.0D、または好ましくは、-2.5D~-3.5D遠視性であるために、周辺網膜の約1.5mm~2.5mm背後に現れ得る。
【0080】
複数の刺激およびクリアゾーンは、投影光学系およびクリアゾーンに対する眼移動を可能にするように配列されることができ、これは、眼が、眼鏡、ARおよびVR用途等の投影光学系に対して移動する、実施形態において使用するために非常に好適であり得る。いくつかの実施形態によると、投影ユニットからの光は、広視野のクリアゾーン、例えば、大アイボックスを提供するために、瞳孔より実質的に大きい、クリア中心視ゾーンを維持しながら、瞳孔に進入するために、眼の光学軸に対して斜角で指向されてもよい。クリアゾーンは、多くの方法において定寸されることができ、円形ゾーン、卵形、正方形ゾーン、または矩形ゾーンを備えてもよい。いくつかの実施形態では、アイボックスは、5.0mm×4.0mmであってもよい。いくつかの実施形態では、アイボックスを構成する、クリアゾーンは、15mm×4.0mmであってもよい。より大きいクリア視認ゾーン、例えば、より大きいアイボックスは、例えば、眼が、視線方向を変化させ、アイボックスによって画定されたクリア視認ゾーンは、定常のままであるとき、刺激が瞳孔の縁によって遮断されずに、より高いレベルの眼移動を可能にする。いくつかの実施形態では、眼の中への刺激の投影の斜角は、アイボックスのサイズに依存する。
【0081】
いくつかの実施形態によると、レンズ10または他の好適な光学支持構造は、投影ユニットを備え、これは、投影光学系と、光源としてのマイクロディスプレイとを含む。マイクロディスプレイは、OLED(有機発光ダイオード)またはマイクロLEDのアレイを備えてもよい。これらのディスプレイによって放出される光は、ランバート反射であってもよい。いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイは、マイクロディスプレイから発出する光を実質的にコリメートおよびは集束させる、マイクロ光学アレイに光学的に結合される。マイクロディスプレイは、1つまたはそれを上回る小型ピクセルを備えてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイは、ピクセルサイズおよびピクセルピッチによって特徴付けられる、ピクセルの延在されたアレイを形成し、その中でピクセルサイズおよびピクセルピッチはともに、マイクロディスプレイの充填率に対応する。本明細書に説明されるように、ピクセルはそれぞれ、約2ミクロン~約100ミクロンの範囲内のサイズを有してもよく、ピクセルピッチは、例えば、10ミクロン~1.0mmに及んでもよい。対応する充填率は、0.1%~10%に及ぶまたはそれを上回ることができる。実世界視認が望ましい、いくつかの実施形態では、より小さい充填率は、実環境からの光を殆ど遮断せず、より高いレベルの快適性および視覚を提供する。代替として、または組み合わせて、より高い充填率は、刺激の全体的明度を向上させ得、実世界視認および全周囲視覚に依拠しない、用途に非常に好適であり得る。いくつかの実施形態では、ピクセルアレイは、ピクセルからの光を実質的にコリメートおよび集束させるために、マイクロ光学アレイと光学的に結合される。
【0082】
いくつかの実施形態によると、レンズ10または他の好適な光学支持構造は、投影ユニットを備え、これは、投影光学系と、光源としてのマイクロディスプレイとを含む。マイクロディスプレイは、OLED(有機発光ダイオード)またはマイクロLEDのアレイを備えてもよい。これらのディスプレイによって放出される光は、ランバート反射であってもよい。いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイは、マイクロディスプレイから発出する光を実質的にコリメートおよび集束させる、マイクロ光学アレイに光学的に結合される。マイクロディスプレイは、1つまたはそれを上回る小型ピクセルを備えてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイは、ピクセルサイズおよびピクセルピッチによって特徴付けられる、ピクセルの延在されたアレイを形成し、その中でピクセルサイズおよびピクセルピッチはともに、マイクロディスプレイの充填率に対応する。本明細書に説明されるように、ピクセルはそれぞれ、約2ミクロン~約100ミクロンの範囲内のサイズを有してもよく、ピクセルピッチは、例えば、10ミクロン~1.0mmに及んでもよい。対応する充填率は、0.1%~10%に及ぶことができる。いくつかの実施形態では、ピクセルアレイは、ピクセルからの光を実質的にコリメートおよび集束させるために、マイクロ光学アレイと光学的に結合される。
【0083】
これらのディスプレイによって作成された画像は、脱焦点化され、視野または眼の4つの象限(例えば、鼻下側、鼻上側、こめかみ下側、およびこめかみ上側)内で対称的に設置されてもよい。マイクロディスプレイは、1.5mm~4.0mm、好ましくは、2.5mm~3.5mmの範囲内の距離だけ、レンズの光学中心から離れるように位置することができる。コンタクトレンズの中心光学系は、ユーザに正常視をもたらすように選択されることができ、範囲3.0~5.0mm内の直径を有してもよい。各マイクロディスプレイは、いくつかの実施形態では、されてもよい円形、矩形、または弧状形状であって、0.01mm2~8.0mm2の範囲内、例えば、0.04mm2~8.0mm2の範囲内、例えば、1mm2~8mm2の範囲内、または好ましくは、1.0mm2~4.0mm2の範囲内の面積を有する。
【0084】
マイクロディスプレイは、例えば、コンタクトレンズ、または眼鏡レンズ、拡張現実(「AR」)ヘッドセット、もしくは仮想現実(「VR」)ヘッドセット等の補正光学系の本体に結合され、それを用いて支持されることができる。いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイは、眼内レンズ、角膜補綴、角膜アンレー、または角膜インレーのうちの1つまたはそれを上回るものに結合され、それを用いて支持される。コンタクトレンズを参照して本明細書に説明される、光学構成は同様に、例えば、眼内レンズ、角膜補綴、角膜アンレー、または角膜インレーのうちの1つまたはそれを上回るものと併用されることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイおよびマイクロ光学アレイは、本明細書に説明されるように、脱焦点化された画像を網膜上の所望の場所に形成する配向において、光束を眼の瞳孔に投影するための固定距離によって分離される、同一補正光学系上に、相互に直隣接して搭載される。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る投影光学系は、投影光学系からの光線が、補正光学系を通して屈折されるように、1つまたはそれを上回る補正光学系上または内に搭載される。補正光学系は、マイクロ光学アレイが、所望の脱焦点化の大きさおよび符号に応じて、+または-であり得る、所望の大きさの付加的屈折力を提供し得るように、クリア視覚のために有用であるように、収束性または発散性であるように投影光学系からの光線を屈折させる。マイクロディスプレイは、例えば、モノクロまたは多色性であってもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、投影された脱焦点化された画像は、LCD画面、OLED(有機発光ダイオード)、TOLED、AMOLED、PMOLED、またはQLEDによって駆動される画面のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、画面を備える、マイクロディスプレイによって提供されることができる。
【0087】
図3は、
図1A-2Bにおけるようなレンズ10等の網膜刺激デバイスのコンポーネントの機能の系統図を示す。これらのコンポーネントは、PCB24を用いて支持されることができる。例えば、バッテリ20等の電源が、PCB24上に搭載され、他のコンポーネントに結合され、電源機能21を提供することができる。センサ22が、アクティブ化機能23を提供するように構成されることができる。センサ22は、PCB24上に搭載される、プロセッサに結合され、レンズ10の制御機能25を提供することができる。制御機能25は、光強度設定27と、光スイッチ29とを備えてもよい。プロセッサは、例えば、センサ22からの信号のコードされたシーケンスとともに、センサ22からの強度の増加、強度の減少、またはオン/オフ信号に対応する、センサ22からの信号を検出するように構成されることができる。プロセッサは、光投影ユニット18に結合され、これは、投影機能31を提供するための光源30と、光学系32とを備えることができる。例えば、プロセッサは、複数の光源30(例えば、投影ユニット12または1つまたはそれを上回るディスプレイ72)に結合され、センサ22へのユーザ入力に応答して、光源30のそれぞれを制御することができる。
【0088】
網膜刺激デバイスは、ユーザの場所を決定するための全地球測位システム(GPS)回路網と、頭部移動等の身体移動を測定するための加速度計とを備えてもよい。網膜刺激デバイスは、GPSまたは加速度計のうちの1つまたはそれを上回るものに結合され、測定されたデータを受信および記憶する、プロセッサを備えてもよい。いくつかの実施形態では、GPSは、ローカルクロック(現地時間を保つクロック)とともに、プロセッサによって、装着者の眼の軸方向長における昼間の変動の発生を算出するために使用される。いくつかの実施形態では、刺激の印加は、昼間の変動下での最大軸方向長の発生と一致するように行われてもよい。網膜刺激デバイスは、本デバイスからのデータをクラウドベースのデータ記憶システム等の遠隔サーバに伝送するために、無線通信回路網、例えば、Bluetooth(登録商標)またはWIFI、もしくは有線通信回路網、例えば、USB等の通信回路網を備えてもよい。遠隔サーバへのデータの本伝送は、ユーザの治療およびコンプライアンスが遠隔で監視されることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、グラフィック処理ユニット(GPU)を備える。GPUは、本明細書に説明されるように、ウェブからのコンテンツを、刺激を形成する際に本コンテンツを利用するために、効率的かつ急速に処理するために使用されることができる。
【0089】
本明細書に説明されるような網膜刺激のための方法および装置は、多くの方法で構成されることができ、療法を受けるようにユーザを促すための1つまたはそれを上回る属性を備えてもよい。例えば、本明細書に説明されるような網膜刺激は、ゲームのディスプレイと組み合わせられ、治療デバイスを装着するようにユーザを促すことができる。いくつかの実施形態では、網膜刺激は、絵文字等の別の刺激と組み合わせられ、治療のためにデバイスを装着するようにユーザを促すことができる。本システムのコンポーネントは、ゲームまたは他の刺激と通信し、またはそこからの情報を受信し、ゲームまたは刺激を用いて、網膜刺激を促進してもよい。
【0090】
図4Aを参照すると、光学構成32は、
図4Bに示されるように、偏心網膜画像を形成するために、マイクロディスプレイによって放出される光を収集し、次いで、光ビームを眼11の瞳孔に指向するように構成される、複数のミラーを備える。ミラーは、光ビームを網膜33上に集束させるように、好適な両眼離反運動に伴って、光ビームを実質的にコリメートする、または光ビームを網膜33に向かって指向してもよい。
【0091】
図4Aおよび4Bに示される光学構成は、コンタクトレンズ等のレンズを参照するが、類似光学構成は、プロジェクタ、眼科機器、TV画面、コンピュータ画面、スマートフォン等のハンドヘルドデバイス、眼鏡レンズ、接眼ディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ、ヘルメット上に搭載されるディスプレイ、ARディスプレイ、VRディスプレイ等のウェアラブルデバイス、ゴーグル、コンタクトレンズ、角膜アンレー、角膜インレー、角膜補綴、または眼内レンズのうちの1つまたはそれを上回るもののレンズと併用されることができる。また、近視性脱焦点化を参照するが、脱焦点化は、例えば、本明細書に説明されるように、遠視性脱焦点化、非点収差脱焦点化、または網膜上に集束される画像、もしくは屈折異常の補正のための他の脱焦点化を備えてもよい。
【0092】
図4Aに示されるミラーアセンブリは、1D未満である、焦点深度を達成し、2.0~4.0Dの適用される脱焦点化が、規定された半径方向偏心(例えば、5度~30度または20度~30度の範囲内)で周辺網膜33によって明確に知覚されることを可能にするように構成されることができる。
【0093】
図5Aおよび5Bに示されるように、別の実施形態は、光源30と光学結合する、収束またはコリメートレンズを備える、光学系32を備える。本構成では、単一レンズを備え得る、レンズ34が、刺激源から出力された光を実質的にコリメートし、それを、コンタクトレンズ10等のレンズを通して、角膜37に指向するために使用される。コンタクトレンズを参照するが、レンズは、プロジェクタ、眼科機器、TV画面、コンピュータ画面、スマートフォン等のハンドヘルドデバイス、眼鏡レンズ、接眼ディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ、VRディスプレイ、およびARディスプレイ等のウェアラブルデバイス、ゴーグル、コンタクトレンズ、角膜アンレー、角膜インレー、角膜補綴、または眼内レンズのうちの1つまたはそれを上回るもののレンズを備えてもよい。
【0094】
コリメートレンズ34の有効性は、その屈折率に依存し、レンズ材料と、基板として機能する、コンタクトレンズ10の材料との間の屈折率における実質的差異を作成するために、十分に高くあるべきである。本実施例では、内蔵レンズ34の屈折率は、2.02(例えば、ランタンフッ化ケイ酸ガラスLaSF5の屈折率)であると仮定されているが、他の材料も、使用されてもよい。
【0095】
別の実施形態は、
図6Aおよび6Bに示されるように、光学経路長を増加させるために、光パイプ36を備える。光パイプ36は、増加された光学経路長を提供し、適切な画像拡大率、例えば、0.5X~8X拡大率、好ましくは、1X~3X拡大率と、網膜画像サイズとを提供し得る。
【0096】
コンタクトレンズを伴って生じるであろうような角膜37上の光パイプ36を参照するが、光パイプ36と組み合わせられたレンズは、プロジェクタ、眼科機器、TV画面、コンピュータ画面、スマートフォン等のハンドヘルドデバイス、眼鏡レンズ、接眼ディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ、VRディスプレイ、ARディスプレイ等のウェアラブルデバイス、ゴーグル、コンタクトレンズ、角膜アンレー、角膜インレー、角膜補綴、または眼内レンズのうちの1つまたはそれを上回るもののレンズを備えてもよい。
【0097】
点源を伴う、マイクロレンズアレイの使用、より薄いレンズを使用するための回折光学系の使用、単一点源および光学処理ユニットを使用した複数の網膜画像の生成を含む、多数の他の光学構成が、使用されてもよい。
【0098】
図7は、複数の刺激702と、ユーザによって見られるようなディスプレイ706上の画像704とを示す。刺激702は、ディスプレイ706の周囲に位置し、その中でディスプレイは、クリア中心視の領域に対応し、刺激は、ユーザの周辺視覚、例えば、黄斑の外側の視覚に対応する。複数の刺激が、刺激を提供し、脈絡膜厚を増加させ、眼の軸方向長における成長を減少させるように、近視性脱焦点化を伴って、網膜の前方に結像されることができる。
【0099】
刺激は、本明細書に説明されるように、多くの方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、刺激は、暗い背景710上の明るいパターン708、例えば、黒色および白色パターンを備える。いくつかの実施形態では、刺激は、灰色背景または実質的に黒色背景上の白色またはほぼ白色刺激等のより暗い背景上の多色性パターンを備える。いくつかの実施形態では、刺激はそれぞれ、暗い内側領域と、暗い背景上の1つまたはそれを上回る明るい外側領域と、例えば、暗い背景上の白色円形領域を通した暗い十字を備える。刺激は、その大域的コントラスト係数、その極性に基づいて選択されてもよい(例えば、黒色背景上の白色または多色対白色または多色性背景上の黒色)。刺激は、多くの方法で構成されることができ、ディスプレイ上に示される、複数の繰り返されるアイコンを備えてもよい。刺激は、繰り返されるアイコンの円形または環状パターンで配列されてもよい。刺激は、例えば、少なくとも0.5、少なくとも0.7、または少なくとも0.8の大域的コントラスト係数等の任意の好適な大域的コントラスト係数を備えてもよい。
【0100】
図8Aは、近視眼的に脱焦点化される刺激を網膜に提供するための画面800上の刺激702を示し、
図8Bは、度単位における、網膜上の近視眼的に脱焦点化される刺激の対応する寸法を示す。ディスプレイ上の刺激のサイズは、ユーザとディスプレイとの間の距離に関連し、寸法は、適切な視角を網膜に提供するために、視認距離に従って変化されることができる。当業者は、脱焦点化された投影された画像の適切な角度サイズを提供するために、ディスプレイ上の刺激のサイズおよび場所を決定するための計算を容易に実施することができる。
【0101】
図8Aおよび8Bに示されるように、刺激はそれぞれ、網膜上の角度照明812、例えば、3.3度に対応する、横断距離802、例えば、18mmを備える。刺激は、15度の横断距離814を有する、妨げられない中心視野804を提供するように、例えば、70mm横断して、横断距離806を有する、クリア中心視野804を提供するためにディスプレイ上に配列される。複数の刺激は、最大横断距離815、例えば、178mmを備え、これは、35度の視角816に対応する。刺激は、適切な画像サイズを網膜上に提供するために、任意の適切なオブジェクトサイズを伴って配列されることができる。具体的寸法を参照するが、任意の好適な寸法が、例えば、眼までの距離および対応する視角を変動させることによって、使用されることができる。いくつかの実施形態では、刺激は、15度の妨げられない中心視野を提供するように、例えば、15mm横断して、クリア中心視野を提供するように配列される。いくつかの実施形態では、複数の刺激は、最大横断距離、例えば、70mmを備え、これは、35度の視角に対応する。
【0102】
図9は、環状花パターン等の自然場面900を描写する、刺激702を示す。花パターンが、示されるが、任意の画像が、使用されることができる。刺激は例えば、
図8Aおよび8Bに示される刺激702の代替として、またはそれと組み合わせて、ディスプレイ上に提供されることができる。
図9に示される刺激の寸法および角度は、
図8Aおよび8Bに示される刺激と同様に定寸されることができる。暗い円形として示される中心視野814は、例えば、約15度に対応する、横断距離を備えてもよく、環状領域を横断する最大距離806は、例えば、約35度であることができる。本開示に関連する研究は、花パターン等の多色性自然場面がユーザのためにより心地良いものであり得ることを示唆している。本開示に関連する研究はまた、いくつかの実施形態では、多色性花場面は、円形アイコンをセグメント化する黒色十字を伴う、黒色背景上の白色円形の環状アレイほど刺激として効果的ではない場合があるが、他の刺激も、使用され得ることを示唆している。
【0103】
図10は、
図8A-9に示される刺激に関する、画像コントラストと、赤色(R)、青色(B)、および緑色(G)値を伴う、ヒストグラムとを示す。
図9Aおよび9Bに示されるような円形パターンに関して、ヒストグラムは、約255の強度値を伴う、約3.5×10
5刺激ピクセルのピクセルカウントを示す。黒色ピクセルは、グラフ表現の明確性を増加させるために、ヒストグラムでは除外されている(強度=0)。
図9に示される花パターンに関して、青色強度分布は、約50において、強度ピークを示し、赤色ピークは、約110にあって、緑色ピークは、約120にあって、その中でカウントは、0.5×10
5を下回る。
【0104】
いくつかの実施形態では、コントラストは、画像の最低強度と最高強度との間の分離として定義される。大域的コントラスト係数(GCF)もまた、刺激画像のコントラストを定義するために使用されることができる。GCFは、ヒト観察者によって知覚されるような詳細の豊富度を測定する。いくつかの実施形態では、刺激のGCFは、Global contrast factor-a new approach to image contrast’ Matkovic, Kresimir et al., 2005; Computational Aesthetics in Graphics, Visualization and Imaging (2005); L. Neumann, M. Sbert, B. Gooch, W. Purgathofer (Editors)に説明されるように決定される。
【0105】
取得されるGCF値は、以下の通りである。
【0106】
花:6.46
【0107】
円形パターン(黒色/白色):9.94
【0108】
本開示に関連する研究は、黒色背景上の白色円形が、より高いGCFのため、花畑より好ましくあり得ることを示唆している。
【0109】
図11は、本明細書に説明されるような刺激としての修正および組み込みのために好適な画像1100を示す。画像1100は、本明細書に説明されるように、好適な空間周波数分布を提供するために処理された画像を備えてもよい。画像は、自然画像またはコンピュータ生成画像を備えてもよい。画像は、例えば、
図9に類似する環状刺激を画定するように、マスクされることができる。
図12は、改良された刺激を提供するように処理されている、
図11の画像に類似する、画像1200を示す。本処理された画像は、適切な空間周波数およびコントラストを伴って、
図9に示されるように、環状刺激を形成するために、デジタル的にマスクされることができる。
【0110】
画像は、多くの方法において処理されることができるが、いくつかの実施形態では、画像は、デジタル空間周波数フィルタを用いて処理され、コントラストは、眼の改良された応答を生成するために、適切な空間周波数分布を伴う画像を提供するように調節される。プロセス中のあるステップでは、画像は、ある長さを有する、移動平均フィルタ、例えば、400ピクセル長を伴う、フィルタを用いて処理される。別のステップでは、RGB画像は、灰色スケール画像に変換されることができる。別のステップでは、RGB画像は、移動平均画像に従って調節される。さらに別のステップでは、移動平均フィルタは、新しい画像に再適用される。いくつかの実施形態では、明度の移動平均は、平滑化される。例えば、初期画像は、明度における100%差異を有し得、調節された画像は、明度における25%差異を有する。
【0111】
【0112】
図14は、
図9における刺激として使用され得る、
図12の画像の空間周波数分布の画像を示す。
【0113】
図15は、
図8Bおよび9に示される刺激画像に関する、サイクル/度単位における画像空間周波数と、各周波数におけるエネルギーのログとのプロットを示す。
図15に示されるプロットでは、空間周波数スペクトルの平均半径方向プロファイルが、示され、その中で振幅ログ(任意単位「au」)は、特定の空間周波数に関する特徴の数密度に関連する。参照のために、本プロットは、1/f、1/f
2、および1/f
0.5線を示す。
図9に示される、円形を伴う花パターンを備える、処理された画像は、
図7-8Bに示される、黒色十字を伴う白色円形パターンと類似周波数依存性を有する。これらのプロットは、花パターンおよび円形パターンの両方が、約2~10サイクル/度の中間(例えば、中域)周波数において、約1/f傾き依存性を呈することを示す。いくつかの実施形態では、刺激は、約2~10サイクル/度の範囲内の周波数に関して、1/f~1/f
2周波数依存性の範囲内の周波数依存性を伴う、強度(エネルギー、au)の変動を備える。
【0114】
刺激は、適切な空間周波数分布、例えば、空間周波数分布のプロファイルを伴って、多くの方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、複数の刺激はそれぞれ、長さ、縁、および強度プロファイル分布を備え、網膜の前方または後方において眼の中に結像される際に、1X10-1~2.5X101サイクル/度の範囲内、随意に、1X10-1~1X101サイクル/度の範囲内の空間周波数を生成する。いくつかの実施形態では、眼内で結像される際に、複数の刺激は、約1X10-1~約5X100サイクル/度の空間周波数範囲に関して、空間周波数の増加に伴って、空間周波数振幅の減少を提供する、空間周波数分布を備える。いくつかの実施形態では、空間周波数強度の減少は、任意単位における空間周波数振幅に関して、1/(空間周波数)~1/(空間周波数)2の範囲内である。いくつかの実施形態では、空間周波数の範囲は、約3X10-1~約1.0X101サイクル/度、随意に、約3X10-1~約2.0X100の範囲内、さらに随意に、約3X10-1~約1.0X100の範囲内である。
【0115】
空間周波数性質の代替として、またはそれと組み合わせて、刺激は、刺激強度と背景強度の適切な比率とともに構成されることができる。いくつかの実施形態では、複数の脱焦点化された刺激画像の明度は、周囲照明の明度の少なくとも3倍、随意に、背景照明の明度の少なくとも5倍、随意に、背景照明の明度の3~20倍の範囲内、さらに随意に、背景照明の明度の5~15倍の範囲内において、周囲照明の明度より高い。
【0116】
いくつかの実施形態では、空間周波数および強度性質を備える、刺激は、背景照明または周囲照明のうちの1つまたはそれを上回るものに対する適切な比率で提示される。いくつかの実施形態では、眼内に結像される際の複数の刺激はそれぞれ、略均一灰色背景上にオーバーレイされる。いくつかの実施形態では、複数の刺激はそれぞれ、多色性アイコン、例えば、白色アイコンをより暗い背景上に備え、アイコンが、主に、1X10-1サイクル/度~2.5X101サイクル/度の範囲内、随意に、1X10-1サイクル/度~1X101サイクル/度の範囲内の空間周波数の特徴を生成する、縁プロファイルまたは縁の全長を有するように、コントラストを提供する。
【0117】
図16は、眼の屈折異常を治療するためのシステム1600を示す。システム1600は、セキュア双方向通信プロトコルを用いて、サーバ1604に動作可能に結合される、ユーザデバイス等の治療デバイス1602を備える。サーバ1604は、セキュア双方向性通信プロトコル1606を用いて、治療専門家デバイス1608と通信するように構成される。いくつかの実施形態では、サーバ1608は、セキュア双方向性通信プロトコル1606を用いて、保護者デバイス1610に結合される。いくつかの実施形態では、システム1600は、治療データベース1612を備え、これは、治療パラメータおよび複数の治療からの結果を記憶する。治療データベース1602は、セキュア双方向性通信プロトコル1606を用いて、サーバ1604と通信するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、治療システム1600は、セキュア双方向性通信プロトコル1606を用いて、サーバと通信するように構成される、1つまたはそれを上回る臨床測定デバイス1614を備える。デバイスはそれぞれ、セキュア双方向性通信プロトコル1606を用いて、別のデバイスに動作可能に結合されることができる。セキュア通信は、暗号化されたデータを伝送する、任意の好適なセキュア通信プロトコルを備えてもよく、データは、任意の好適な暗号化されたフォーマットで記憶されることができる。
図16に示されるデバイスは、例えば、当業者によって理解されるであろうように、HIPAAおよびGDPRに準拠するように構成されることができる。サーバ1604は、異なる地理的場所にあり得る、複数のサーバを備える、クラウドベースのサーバ等の任意の好適なサーバを備えてもよい。治療データベース1612は、サーバのコンポーネントを備えてもよいが、別個に示される。
【0118】
治療デバイス1602は、本明細書に説明されるように、多くの方法で構成されることができ、眼科デバイス、TV画面、コンピュータ画面、仮想現実(「VR」)ディスプレイ、拡張現実(「AR」)ディスプレイ、ハンドヘルド、モバイルコンピューティングデバイス、タブレットコンピューティングデバイス、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、眼鏡レンズフレーム、眼鏡レンズ、接眼ディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ、ゴーグル、コンタクトレンズ、埋込可能デバイス、角膜アンレー、角膜インレー、角膜補綴、または眼内レンズのうちの1つまたはそれを上回るものを備える、ユーザデバイスを備えてもよい。例えば、治療デバイス1602は、本明細書に説明されるように、ビームスプリッタを伴う、光学システムを備えてもよい。いくつかの実施形態では、治療デバイス1602は、例えば、スマートフォンまたはタブレット等のユーザデバイスを備える。ユーザデバイスのディスプレイ1620は、本明細書に説明されるように、複数の刺激702を提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、ユーザデバイス1602は、刺激702の画像1624を網膜の前方または後方に提供するように、複数の刺激702にわたって設置される、レンズレットアレイ1622を備える。いくつかの実施形態では、レンズレットアレイの各レンズレットは、複数の刺激のうちの1つと整合される。ユーザデバイスは、本明細書に説明されるように、例えば、クリア視認面積の中に延在する、レンズレットアレイを伴わずに、クリア視認面積804とともに構成されることができる。クリア視認面積804は、ユーザが、ビデオ等の画像を視認し、ユーザが、例えば、ウェブブラウザを使用する、ビデオゲームをプレース、テキストおよび電子メールを送受信する等ように、実質的に通常様式において、デバイスを使用することを可能にするように構成されることができる。レンズレットアレイ1622は、本明細書に説明されるように、適切な脱焦点化の量を提供するように、ピクセルからある距離に位置付けられることができる。いくつかの実施形態では、治療システム1600は、1つまたはそれを上回る臨床測定デバイス1614を備える。
【0119】
治療専門家デバイス1608は、治療専門家が、治療データ等のユーザデバイス1602からのデータを受信するために構成されることができる。治療データは、それぞれの日の治療の持続時間、1日の使用時間、スクリーンタイム、刺激がアクティブ化されたスクリーンタイム等の任意の好適な治療データを備えてもよい。治療専門家デバイス1608はまた、治療の有効性を評価するために、本明細書に説明されるように、屈折データ等の眼科計器からのデータを送受信するように構成されることができる。治療専門家デバイス1608は、治療命令をユーザデバイス1602に伝送するように構成されることができる。治療命令は、本明細書に説明されるように、任意の好適なパラメータを備えてもよく、例えば、治療の持続時間およびそのための時間を備えてもよい。本開示に関連する研究は、概日リズムが、治療の有効性においてある役割を果たし得ることを示唆しおり、治療命令は、ユーザが治療を実施するための1日のある時間または時間の範囲、例えば、朝、例えば、現地時間で約午前6時~約午前9時の範囲内の患者が位置する場所におけるある時間の命令を備えてもよい。
【0120】
臨床測定デバイス1614は、例えば、自動屈折計またはOCTシステムのうちの1つまたはそれを上回るもの等の任意の好適な臨床測定デバイスを備えてもよい。代替として、または組み合わせて、顕性屈折等の患者記録が、臨床施設に記憶され、サーバに伝送されることができる。
【0121】
保護者デバイス1610は、スマートフォンまたはタブレット等、ディスプレイを伴う、任意の好適なデバイスを備えてもよい。保護者デバイス1610は、ユーザの治療に関連するデータを送受信するように構成されることができる。保護者デバイス1610は、両親等の保護者が、治療を監視し、治療プロトコルへのコンプライアンスを助長するために構成されることができる。例えば、サーバ1604は、ユーザが治療のためにスケジュールされたことの通知等の通知を保護者デバイス1610に伝送するように構成されることができ、保護者は、ユーザと相互作用し、ユーザが治療を受けるように促すことができる。
【0122】
治療データベース1612は、治療に関連するデータを記憶するように構成されることができる。治療に関連するデータは、例えば、治療データおよび有効性データを備えてもよい。有効性データは、屈折データおよび軸方向長データのうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。屈折データは、ユーザの眼の屈折データ、例えば、複数時点における、球面、円柱、および軸、例えば、縦断的データを備えてもよい。軸方向長データは、複数時点において収集されたOCTデータ等のデータを備えてもよい。治療データ1612は、本明細書に説明されるように、刺激パラメータに関連するデータを備えてもよく、例えば、それぞれの日における治療の持続時間、刺激の強度、刺激のタイプ、および脱焦点化データを備えてもよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、人工知能、機械学習、ニューラルネットワーク、または畳み込みニューラルネットワーク等のアルゴリズムが、データを処理し、治療の持続時間、治療の時刻、脱焦点化、刺激の形状および強度、脱焦点化の量、刺激の空間周波数、刺激と周囲光の比率、刺激の背景、または治療に関連する任意の他のパラメータ等の改良された治療パラメータを決定するために使用される。これらのパラメータは、改良された治療を提供するように調節されることができ、治療専門家が命令をユーザデバイスにプッシュするために、治療専門家デバイス上で治療専門家に提案されることができる。
【0124】
ユーザデバイス等の治療デバイス1602は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、デバイス1602は、輝度センサまたは分光放射計等のセンサ1624を備え、光度またはスペクトルデータのうちの1つまたはそれを上回るものを検出する。センサ1624は、装着者またはユーザ等の対象の環境露光を測定および検出するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、センサは、本明細書に説明されるように、眼鏡、ウェアラブルデバイス、またはユーザデバイス等の治療デバイス上に支持される、例えば、搭載される。
【0125】
図16のシステムは、例えば、臨床試験を実施し、有効性データを生成するために、臨床試験と併用するために非常に好適である。
【0126】
図17は、眼の屈折異常を治療するための方法1700を示す。
【0127】
ステップ1705では、屈折データが、受信される。屈折データは、顕性屈折、検影法、毛様体筋麻痺薬下屈折、または自動屈折のうちの1つまたはそれを上回るもの等の任意の好適な屈折データを備えてもよい。屈折データは、球面、円柱、または軸のうちの1つまたはそれを上回るもの等、測定時の屈折の1つまたはそれを上回る成分を備えてもよい。
【0128】
ステップ1710では、軸方向長データが、受信される。軸方向長データは、治療される眼または僚眼からの軸方向長データを備えてもよく、軸方向長データは、例えば、OCTデータを備えてもよい。
【0129】
ステップ1715では、治療のための時間が、決定され、治療のための時間は、朝の時間等の治療のための時間の範囲のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。治療のための時間は、例えば、患者の概日リズムに基づいてもよい。
【0130】
ステップ1720では、治療命令が、医療提供者から受信される。治療命令は、本明細書に説明されるように、任意の好適なパラメータを備えてもよい。例えば、治療命令は、例えば、治療の持続時間、刺激の強度、刺激の形状、刺激の背景、刺激の色度、刺激の強度と中心視認面積の比率、刺激の強度と周囲照明の比率、刺激の形状プロファイル、刺激の脱焦点化、または刺激の空間周波数プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。
【0131】
ステップ1725では、ユーザは、治療を受けるように命令される。ユーザは、多くの方法において、例えば、ユーザが治療を開始するためのプロンプトを用いて、命令されることができ、これは、ユーザが、ユーザが治療を開始する準備ができると、承認することができる。プロンプトはまた、ユーザが、適切な環境、例えば、屋内環境内で治療を開始するための命令を備えてもよい。プロンプトは、ある時間量にわたって、例えば、5分にわたって、ユーザが治療を遅延させるためのオプションを提供してもよく、ユーザは、適切な時間において、再びプロンプトされる。
【0132】
ステップ1730では、保護者が、ユーザが治療を受けるべきである、例えば、ユーザが治療を受けるための時間であることを命令される。これは、保護者、例えば、両親が、治療を受けるようにユーザを促すことを可能にすることができる。
【0133】
ステップ1735では、ユーザが、治療を開始する。ユーザは、多くの方法において、例えば、ユーザデバイス1602への入力を用いて、治療を開始することができる。入力は、例えば、タッチスクリーンディスプレイへの入力を備えてもよい。代替として、または組み合わせて、ユーザは、プロンプトに応答し、治療を受けることができる。
【0134】
ステップ1740では、刺激が、ユーザに提供される。刺激は、本明細書に説明されるように、任意の好適な刺激、例えば、刺激702を備えてもよい。
【0135】
ステップ1745では、ユーザが、中心クリア面積804をディスプレイ上で視認することを可能にされる。ユーザは、刺激、例えば、複数の刺激が、提供される間、中心クリア面積に関するデータを視認することができる。
【0136】
ステップ1750では、治療が、終了する。ユーザは、治療が終了したことを知らされることができる。保護者もまた、知らされることができる。
【0137】
ステップ1755では、治療データが、サーバ1604に伝送される。データは、例えば、医療提供者1608または治療データベース1612に伝送されることができる。
【0138】
ステップ1760では、ステップは、必要に応じて繰り返される。例えば、後続治療が、ユーザに提供され、ユーザおよび保護者は、後続治療を通知されることができる。付加的屈折データが、測定されることができる。代替として、または組み合わせて、付加的OCTデータが、測定されることができる。
【0139】
図17は、いくつかの実施形態による、屈折異常を治療する方法を示すが、当業者は、多くの適合および変動を認識するであろう。例えば、ステップは、任意の順序で実施され、ステップのうちのいくつかは、省略され、ステップのうちのいくつかは、繰り返されることができる。また、ステップのうちのいくつかは、他のステップのサブステップを含んでもよい。
【0140】
任意のコンピューティングデバイス、プロセッサ、またはそれらの組み合わせが、
図17のステップのうちの1つまたはそれを上回るものを実施するように構成されることができる。
【0141】
実験研究
【0142】
ヒト対象に関する臨床研究が、ヒト対象に関する有効性を評価するために行われた。研究は、臨床試験計器を伴い、その中で対象は、刺激を提示され、種々の刺激の有効性および関連付けられるパラメータが、評価された。
【0143】
臨床研究
【0144】
以下の研究パラメータが、臨床研究において評価された。
【0145】
1)近視性脱焦点化の大きさ。6D、4.5D、および3Dの近視性脱焦点化の値が、評価された。
図18Aは、6Dの近視性脱焦点化領域1802(「6D刺激」)と、3Dの近視性焦点の別の領域1804(「3D刺激」)とを伴う、刺激702を描写する。
【0146】
2)網膜の被覆率。被覆率は、15度(周角)に対応する、内径1806と、約35度(周角)に対応する、外径1808とを有する、環のパーセントに対応する。下記に列挙されたパーセント面積は、本環のパーセント被覆率に対応する。試験される刺激702は、完全環の70%、50%、および25%のパーセンテージを伴う、セグメント化された環1814を含んだ。
図18Bは、25%被覆率の領域1810(「25%刺激)と、50%被覆率の領域1812(「50%刺激」)とを伴う、刺激702を描写する。
【0147】
3)背景画像にわたる明度。屋内照明条件と比較した刺激の輝度cd/m
2が、1.0、3.0、5.0、10.0、および20.0の比率を用いて評価された。
図18Cは、0.1:1の明度比を伴う領域1820と、1:1の明度比を伴う領域1822とを有する、刺激702を描写する。
【0148】
3)色度。研究が、モノクロ対白色光の効果を決定するために行われ、以下の色度パラメータ、すなわち、白色、緑色、および赤色が、試験された。
図18Dは、黒色および白色刺激領域1830と、赤色刺激領域1832とを伴う、刺激702を描写する。
【0149】
4)刺激の空間周波数成分における変動。刺激の空間周波数成分が、刺激パターンが刺激の効率に及ぼす影響を決定するために査定された。
図9におけるような自然パターン、
図18A-18Dにおけるようなより明るい強度の円板を備える、試験円、および
図8-9Bにおけるような交差ドットを含む、種々のパターンが、試験された。
【0150】
図19は、刺激702を網膜33上に投影するための光学システム1900を描写する。行われた研究では、システム1900は、ベンチトップシステムを備えた。本システムは、試験目的のために、対象の左眼および右眼を受けるように構成される。試験眼1902は、第1のビームスプリッタ1906の正面に設置され、対照眼1904は、第2のビームスプリッタ1908の正面に設置される。試験眼1902および対照眼1904は、同様に、受動背景1912の正面の中心ディスプレイ1910を視認することを可能にされる。ディスプレイ1910は、クリア中心視ゾーンを備え、好適なコンテンツを示してもよく、コンピュータ画面を備えてもよい。いくつかの実施形態では、中心ゾーン視覚は、エンターテインメントがディスプレイ上に示される、クリア中心視ゾーンを通して、患者によって見られるようなエンターテインメント領域を備える。能動的刺激システムは、頭部または顎静止部を伴う、テーブル搭載型デバイスを備える。本システムは、両眼のための光学無限遠における背景画像と、中心(中心窩)視覚のためのビデオとを提供するように構成される。刺激702は、レンズ1922(例えば、無彩色レンズ)の正面に設置され、近視性脱焦点化を伴うオーバーレイされた刺激画像を試験眼に提供する、ディスプレイ1920上に示される。近視性刺激は、眼の網膜の前方に投影される。レンズ1922からの表示される刺激の距離およびレンズ1922の屈折力は、適切な脱焦点化の量を提供するように構成される。刺激702は、中心ディスプレイ1910を用いて、受動背景1912は、第1のビームスプリッタ1906を用いてオーバーレイされる。第2のビームスプリッタ1908は、第1のビームスプリッタに類似し、背景光は、オクルーダ1924を用いて遮断される。ビームスプリッタは、光の50%を透過させ、50%を刺激に結合するように、眼毎に、50/50の反射率および透過率比を備えた。刺激は、無彩色レンズからの適切な距離において、ディスプレイ1920等の画面上に提供された。
【0151】
以下、すなわち、脱焦点化の大きさ、網膜上の刺激の被覆率、例えば、網膜画像シェル、背景画像にわたる優位性、例えば、コントラストおよび明度、ならびに色度、例えば、波長分布を含む、パラメータが、本明細書に説明されるように調節された。
【0152】
背景パターンもまた、これらの実験で検討された。背景パターンは、均一パターン1930aまたはパターン化された背景1930b、例えば、グリッドパターンを備えてもよい。背景パターンは、遠視性脱焦点化を伴って、周辺網膜上に投影された。いくつかの実施形態では、本遠視性脱焦点化は、離れたオブジェクトの焦点を、過焦点ではなく、光学無限遠に押動させるために提供される。本開示に関連する研究は、パターン化された背景が、近視眼的に脱焦点化された刺激と競合し得、いくつかの実施形態によると、均一背景パターンが、好ましくあり得ることを示唆している。背景は、多くの方法で提示されることができるが、背景は、適切な試験パターンを伴う、ポスタとして提示された。
【0153】
カメラ1926が、眼のうちの1つまたはそれを上回るものを観察するために使用された。行われた実験では、右眼は、試験眼1902であって、対照眼1904は、左眼であった。
図19は、左眼を試験眼として、右眼を対照眼として示すが、これは、無彩色レンズおよびディスプレイを右眼に結合し、オクルーダを左眼に提供することによって、容易に変更されることができる。例えば、刺激パターンおよび無彩色レンズを伴う、ディスプレイの位置は、右側上に設置され、オクルーダは、左側に移動されることができる。
【0154】
図20Aは、クリア中心視領域804、例えば、エンターテインメント領域の焦点と、対照眼、例えば、左眼のための背景パターン1930とを示す。両眼に対してディスプレイ上に示される中心領域は、実質的屈折異常を伴わずに、例えば、光学無限遠において、ユーザに提示される。背景パターン1930もまた、無限遠において、ユーザに提示される。網膜画像シェル2002もまた、示される。背景パターンは、遠視性脱焦点化を伴って、周辺網膜上に投影されたが、中心視は、無限遠におけるオブジェクト(コンピュータディスプレイ)に関して補正される。
【0155】
図20Bは、刺激702の近視性脱焦点化と、中心クリア視覚領域804内に表示されるビデオと、試験される眼、例えば、右眼のための背景パターンとを示す。光学構成は、近視性脱焦点化を伴って網膜の前方に結像される、本明細書に説明されるような刺激を示す。
【0156】
これらの研究は、略均一灰色紙を備える、受動背景を用いて行われた。灰色紙は、天井搭載型調節可能光で照明された。明度レベルが、9~11cd/m2において測定された。中心エンターテインメントを備える、能動ディスプレイ領域が、テレビ(「TV」)を用いて提供された。TVの明度レベルは、10~11cd/m2において測定された。
【0157】
部屋の周囲照明は、500ルクス~700ルクスにおいて測定されたが、これらの値実験試験の間に制御および低減された。
【0158】
眼の軸方向長および脈絡膜厚が、測定の間、約5~6ルクスの周囲照明を用いて測定された。軸方向長および脈絡膜厚は、それぞれ、市販の生体測定器および光干渉断層計(「OCT」)システムを用いて測定された。
【0159】
試験の間、背景照明は、9~10ルクスであって、TV画面は、9~10ルクスであった。
【0160】
試験は、朝(通常、午前8:30~午後12:00)に行われた。研究は、1時間のウォッシュアウト期間後、同一対象上で実施された。換言すると、対象は、典型的には、午前7:30~午前7:45にオフィスに入室し、30~45分間、寛ぎ(飲水、トイレ休憩は可であるが、菓子、コーヒー、またはカフェイン入り飲料は不可)、次いで、第1の試験(1時間の刺激)を受け、単独で部屋で寛ぐ、60分のウォッシュアウトセッションを経て、次いで、次の刺激ステップを経る。全ての軸方向長測定値は、その日の開始時の軸方向長測定に参照された。
【0161】
周辺刺激は、これらの研究では、変数として提供された。
【0162】
【0163】
これらの研究は、OCTによって測定されるような網膜厚の減少を示した。周辺刺激の明度は、脱焦点化された刺激の明度と周囲照明の比率、例えば、TV画面等の中心ディスプレイまたは灰色紙等の背景として解釈されることができる。これらの研究は、少なくとも10Xの比率に関する統計的に有意な変化を伴って、少なくとも3Xの比率に関して、軸方向長の減少および脈絡膜厚の増加を示す。これらのデータは、3X~少なくとも20Xの範囲内、例えば、10X等の5X~15Xの範囲内の刺激と周囲照明の比率を示唆する。
【0164】
図21は、表1の結果に類似する臨床結果を示す。本データは、本明細書に説明されるように、近視眼的に脱焦点化の投影された画像を用いた、周辺網膜の能動刺激の効果を示す。結果は、本明細書に説明されるように、黒色上の白色標的を備える、投影された画像を伴う、1時間の刺激を用いて取得された。対象は、本明細書に説明されるように、クリア中心ゾーンを通して、20フィートにおけるTV画面を視認した。軸方向長(角膜頂点から網膜色素上皮「RPE」まで)が、対象を移動させずに、測定された。192個のデータ点が、測定あたり求められた。日間変動に起因する軸方向長の変動は、対合様式において、対照眼に対する試験眼の変化を測定することによって補償された。これらの結果は、5X刺激照明に対する試験眼(左に示される)対対照眼(右に示される)に関する公称変化を示す。しかしながら、刺激と10Xの周囲光の比率に関して、試験眼は、対照眼より実質的に大きい軸方向長の減少を示した。20X刺激照明に関して、差異は、約15ミクロンであって、0.0016のp値を伴って、統計的に有意であった。
【0165】
上記の結果は、
図8Aおよび8Bを参照して示されるように、白色刺激を通して延在する黒色十字を伴う、黒色背景上の白色刺激を用いて取得された。本刺激は、約0.1~約25サイクル/度、例えば、約0.3~約10サイクル/度、随意に、約0.1~5サイクル/度の空間周波数の範囲内の、振幅と逆空間周波数の略線形関係によって定義される、空間周波数分布を備える。
【0166】
これらの実験で使用されるデバイスは、単眼刺激デバイスを備えるが、本開示のいくつかの実施形態では、デバイスは、両眼刺激デバイスを備える。
【0167】
付加的臨床研究結果
【0168】
本研究の主要目的は、提案されるシステムを使用して、制御された条件下、脱焦点化セッションに続く軸方向長低減および中心脈絡膜肥厚化の範囲を測定することであった。
【0169】
年齢21~32歳の、正常視覚を伴う、12名の対象(9名の男性および3名の女性)が、研究に参加した(7名のアジア人、4名の白人、および1名のヒスパニック系)。試験対象の等価球面度数は、0.00~-3.50Dの範囲内であって、平均は、-0.70Dであった。対象は、明所視屋内光条件下、セッション間に脱焦点化を伴わない1時間の中断を伴って、2回の脱焦点化セッションを受けた。我々は、非ウェアラブル式の拡張現実ベースのデバイスを使用して、本明細書に説明されるように、デジタル脱焦点化を周辺網膜上に投影した。投影された環状周辺脱焦点化刺激は、本明細書に説明されるように、視野の約15度径から右眼の35度径まで外向きに延在した。
【0170】
再び
図8Aおよび8Bを参照すると、これらの図は、ミリメートル(
図8A)および度(
図8B)単位における、刺激の範囲を示す。
【0171】
本明細書に説明されるシステムは、サイズ、網膜場所、輝度、色度、アクティブ化の持続時間、および周辺脱焦点化刺激のジオプタ単位の大きさを含む、眼成長を制御するための重要な刺激側面の容易にプログラム可能な制御を有する。
【0172】
再び
図7を参照すると、本画像は、本明細書に説明されるような装置を通した、試験眼を通した対象のビューを示す。
【0173】
左眼は、対照としての役割を果たし、任意の投影された周辺脱焦点化を受けなかった。灰色背景が、両眼のために15度径を越えて、投影された脱焦点化刺激のための背景としての役割を果たした。中心開口のコンテンツは、4メートル離れて位置付けられる、HDテレビ上に表示される、カラー映画であって、これは、固定ゾーンとしての役割を果たした。我々は、デジタル投影された刺激の試験条件を、灰色ポスタ背景および中心15度ウィンドウの輝度(その両方とも、等しい輝度であった)の5倍(5X)、10倍(10X)、および20倍(20X)に設定した。輝度比率に関する試験条件は、対象毎に無作為化された。後極または黄斑の軸方向長測定(Haag-Streit Lenstar APS900)および光干渉断層計走査(Heidelberg Spectralis SD-OCT)が、各脱焦点化セッション前後に取得された。
【0174】
灰色ポスタ背景試験条件の5X、10X、および20X輝度比は、それぞれ、8回、9回、および7回の試験を受け、合計、24回の試験となった。
【0175】
図22は、5X、10X、および20X輝度試験の集約データのチャート2200を示し、試験眼に関する中心軸方向長の平均変化(ミクロン単位)が、1時間の脱焦点化セッション後、対照眼のものより有意に小さかった(p<0.025)ことを示す。同様に、全ての試験からの組み合わせられたデータは、同一脱焦点化セッション後、中心窩下脈絡膜厚の平均変化が、試験眼において、対照眼におけるものより有意に大きかった(p<0.025)ことを明らかにする。両方のp-値は、両側t検定比較に対応し、α=0.025(Bonferroni補正)である。
【0176】
図23は、軸方向長および脈絡膜厚の平均変化(平均値±SEM)のチャート2300を示し、全ての試験の集約に関して、試験眼に関する軸方向長の変化は、1時間の脱焦点化セッション後、対照眼に関するものより有意に低かった。同様に、中心窩下脈絡膜厚の相対的増加もまた、脱焦点化セッション後、試験眼では、対照眼と比較して、より有意に高かった(アスタリスク「*」は、0.025未満またはそれに等しいp値を指し、「*=p<0.025」とも称される)。
【0177】
真逆の挙動が、対照眼に関するこれらの2つのパラメータにおいて観察された。試験眼における軸方向長は、平均約1ミクロン減少した一方、対照眼では、平均約7ミクロン増加した。中心窩下脈絡膜厚は、試験眼では、ベースラインから平均約4ミクロン増加した一方、対照眼では、平均約2ミクロン減少した。対照眼と比較した、試験眼に関する平均の相対的効果は、軸方向長に関する約8ミクロンの減少と、中心脈絡膜厚に関する約6ミクロンの増加とであった。0.50mm(中心窩下)、1.00mm(傍中心窩)、および1.50mm(周中心窩)の網膜偏心において実施される、中心脈絡膜厚測定の平均変化はそれぞれ、脱焦点化セッション前後に行われた全ての比較に関して、試験眼対対照眼において有意に異なった(p<0.025)。中心脈絡膜は、対照眼における各領域内において薄化しており、
図23に示されるように、1時間の投影された周辺脱焦点化セッション後、有意に肥厚化した。
【0178】
図23はまた、網膜の背後の脈絡膜層の相対的肥厚化(平均値±SEM)を示し、脈絡膜層は、後極における0.50mm(中心窩下)、1.00mm(傍中心窩)、および1.50mm(周中心窩)の網膜偏心を横断して、1時間の投影された脱焦点化後、有意に肥厚化した(*=p<0.025)。
【0179】
各試験の輝度比を検討すると、20X条件は、試験眼と対照眼との間の平均軸方向長変化における統計的有意性を示した、唯一のものであった(p=0.02)(独立t検定、両側、未補正)。20X輝度脱焦点化刺激条件は、5Xまたは10X刺激のいずれよりもロバストに性能を発揮したが、増加傾向が、刺激輝度が背景と比較して増加するにつれて、試験眼と対照眼との間の差異に認められた。
【0180】
我々の結果は、試験眼において、1時間の脱焦点化セッション後、対照眼と比較して、軸方向長の統計的に有意な低減および脈絡膜厚の増加を示す。加えて、中心脈絡膜層は、1時間の投影された脱焦点化後、有意に肥厚化した。従来または多焦点脱焦点化システムに優る、本拡張現実ベースのシステムの明確に異なる利点のうちの1つは、重要な刺激側面の容易にプログラム可能な制御を可能にすることである。試験周辺投影された刺激のいくつかの異なる光度強度を試験したとき、我々は、増加する光度と減少する軸方向長との間の逆相関と、増加する光度と増加する脈絡膜厚との間の正相関とを見出した。20X試験条件は、他の2つの輝度試験条件下での対照に関する平均変化と比較して、脱焦点化後、対照眼のより大きな平均軸方向長変化を有した。これは、脱焦点化を伴わずに自然に生じる、対照眼における正常変動性に起因する可能性が最も高い。これはまた、投影された脱焦点化の単眼結合効果に起因しているとされ得、その両眼効果はまだ、理解されていない。本探索的研究は、眼球バイオメトリックに生理学的に影響を及ぼすための拡張現実ベースの周辺脱焦点化光学システムを利用する概念の証明に成功する。
【0181】
我々の結果および提案される方法の多用途本質は、投影され、プログラム可能である、周辺近視性脱焦点化の本概念が、眼成長を調整し、最速かつ最も効果的治療方略を見出す際の周縁の役割を効率的に理解することに役立つ有望性を示す。加えて、これは、拡張現実および仮想現実デバイス、オフィス内治療、眼鏡、およびコンタクトレンズに適用されることができる。
【0182】
再び
図1A-3、16、および19を参照すると、刺激装置は、瞳孔の拡張を伴って、眼を刺激するように構成されることができる。本開示に関連する研究は、瞳孔の増加された直径、例えば、瞳孔の拡張が、増加された光の量が網膜の周辺部分に提供されることを可能にし得ることを示唆している。瞳孔の増加された直径は、中心窩からより遠い網膜の領域を照明するために、照明の偏心を中心窩から離れるように増加させるために、かつ網膜の周辺領域への照明の量を増加させるために、有益であり得る。本開示に関連する研究は、網膜の刺激される領域の表面積が、応答の有効性に関連し得ることを示唆している。また、瞳孔の収縮は、刺激の間、中心窩および黄斑のより実質的に低い照明量を維持しながら、刺激を網膜の周辺領域に提供することによって、減少されることができる。
【0183】
刺激装置は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る光学系は、眼の瞳孔が拡張されているとき、複数の刺激を網膜の周辺部分に向かって投影するように配列される。瞳孔は、多くの方法において、例えば、天然瞳孔を備えるように、減少された光の量を用いて、または薬学的に拡張された瞳孔を備えるように、毛様体筋麻痺薬等の散瞳薬を用いて、拡張されることができる。
【0184】
1つまたはそれを上回る刺激、例えば、複数の刺激が、瞳孔が多くの方法において拡張された状態で、網膜を照明するように配列されることができるが、いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る刺激は、眼の視軸から少なくとも35度の角度で、網膜の周辺部分を照明するように配列される。
【0185】
いくつかの実施形態では、刺激装置は、瞳孔のサイズを測定するためのセンサと、瞳孔のサイズに応答して、光学刺激を眼に向かって指向するための命令とともに構成される、プロセッサとを備える。これは、網膜の周辺領域への増加された光の量と、いくつかの事例では、網膜の周辺領域に送達される光の量のより正確な送達および推定とを可能にすることができる。瞳孔のサイズは、多くの方法において測定されることができるが、いくつかの実施形態では、測定される瞳孔のサイズは、瞳孔の直径を備える。いくつかの実施形態では、プロセッサは、瞳孔のサイズに応答して、光学刺激の強度または持続時間のうちの1つまたはそれを上回るものを調節するように構成される。例えば、より大きい直径の瞳孔は、より短い時間にわたって、またはより低い強度において、刺激を受けてもよく、より小さい直径の瞳孔は、増加された時間量にわたって、または増加された強度において、刺激を受けてもよい。瞳孔サイズを測定するためのセンサは、当業者によって公知であろうように、任意の好適な方法において構成されることができるが、いくつかの実施形態では、センサは、センサアレイを備える。センサは、例えば、カメラのセンサアレイを備えてもよい。カメラは、患者モバイルデバイス、例えば、スマートフォン、または本明細書に説明されるような試験および測定デバイスの中に構築される、測定センサ等の任意の好適なデバイスを備えてもよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、複数の刺激は、複数の刺激で照明されると、天然瞳孔の拡張を可能にするように構成される。本開示に関連する研究は、網膜の周辺部分の照明が、中心窩または黄斑の照明ほど、瞳孔径に有意な効果を及ぼさないことを示唆している。いくつかの実施形態では、複数の刺激は、刺激が提供されるとき、刺激がまだ提供されていないときの瞳孔の直径と比較して、1ミリメートル(mm)以下だけ瞳孔を収縮させるように構成される。
【0187】
いくつかの実施形態では、瞳孔は、眼が、複数の刺激に暴露されるとき、ある刺激直径を備え、眼は、眼が、複数の刺激を伴わずに、明所視視認条件に暴露されるとき、ある明所視直径を備える。いくつかの実施形態では、明所視直径は、刺激直径より少なくとも1ミリメートル小さい。いくつかの実施形態では、明所視視認条件は、少なくとも3カンデラ(cd)/平方メートル(m2)の輝度を備える。
【0188】
いくつかの実施形態では、刺激は、35度を上回る偏心を伴って、網膜の周辺部分を照明するように構成され、眼の瞳孔は、刺激が、35度を上回る偏心を伴って、周辺網膜に提供されている間、明所視照明と比較して、少なくとも約1ミリメートルだけ拡張される。
【0189】
いくつかの実施形態では、複数の刺激のエネルギーの総量の10%以下、随意に、総量の5%以下、随意に、総量の1%以下が、複数の刺激に応答して、瞳孔の収縮を減少させるために、眼の中心窩に指向される。
【0190】
いくつかの実施形態では、刺激は、網膜の周辺領域に指向される、明所視刺激を備え、中心窩または黄斑のうちの1つまたはそれを上回るものの照明は、瞳孔のサイズを減少させるために、薄明視または暗所視照明のうちの1つまたはそれを上回るものを備える。本装置は、本刺激を提供するために多くの方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、薄明視または暗所視照明のうちの1つまたはそれを上回るものを提供するように構成される、ディスプレイを備え、複数の刺激は、本明細書に説明されるように、明所視照明を提供するために、任意の好適な方法において構成される。
【0191】
いくつかの実施形態では、眼の屈折異常を治療する方法が、提供され、本方法は、眼の瞳孔を拡張させるステップと、光学刺激を網膜の周辺部分に提供し、眼の屈折異常を減少させるステップとを含む。刺激は、本明細書に説明されるような任意の好適な刺激を備えてもよく、複数の刺激を備えてもよい。
【0192】
瞳孔は、多くの方法において拡張されることができるが、いくつかの実施形態では、瞳孔は、散瞳薬で拡張される。任意の好適な散瞳薬が、瞳孔のサイズを薬学的に増加させるために使用されることができるが、いくつかの実施形態では、散瞳薬は、毛様体筋麻痺薬を備える。
【0193】
いくつかの実施形態では、毛様体筋麻痺薬は、アトロピン、シクロペントラート、ホマトロピン、スコポラミン、およびトロピカミドから成る群から選択される。例えば、毛様体筋麻痺薬は、適切なパーセンテージを伴う、アトロピンを備えてもよい。いくつかの実施形態では、パーセンテージ重量比は、0.025%~0.2%、随意に、0.05%~0.1%の範囲内である。
【0194】
いくつかの実施形態では、瞳孔のサイズが、測定され、光学刺激が、瞳孔のサイズに応答して、眼に向かって指向され、光学刺激の強度または持続時間のうちの1つまたはそれを上回るものは、瞳孔のサイズに応答して調節される。いくつかの実施形態では、瞳孔のサイズは、センサアレイ等のセンサを用いて測定され、センサアレイは、例えば、カメラのセンサアレイを備える。
【0195】
いくつかの実施形態では、瞳孔は、天然瞳孔が、眼への照明に応答して、収縮および拡張することが可能であるように、周辺網膜の適切な量の照明および天然瞳孔を通して通過する他の源からの光を用いて拡張される、眼の天然瞳孔を備える。
【0196】
いくつかの実施形態では、天然瞳孔は、薄明視背景照明または暗所視背景照明を用いて拡張される。
【0197】
いくつかの実施形態では、天然瞳孔は、刺激が提供されるとき、刺激がまだ提供されていないときの天然瞳孔の直径と比較して、1ミリメートル(mm)以下だけ収縮する。
【0198】
いくつかの実施形態では、天然瞳孔は、眼が、刺激に暴露されるとき、ある刺激直径を備え、天然瞳孔は、眼が、明所視視認条件に暴露されるとき、ある明所視直径を備える。いくつかの実施形態では、明所視直径は、刺激直径より少なくとも1ミリメートル小さい。
【0199】
いくつかの実施形態では、刺激は、35度を上回る偏心を伴って、周辺網膜を照明するように構成され、瞳孔は、刺激が、35度を上回る偏心を伴って、周辺網膜に提供される間、明所視照明と比較して、少なくとも約1ミリメートルだけ拡張される。
【0200】
刺激は、瞳孔の収縮を減少させるために、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、複数の刺激のエネルギーの総量の10%以下、随意に、総量の5%以下、随意に、総量の1%以下が、複数の刺激に応答して、瞳孔の収縮を減少させるために、眼の中心窩に指向される。
【0201】
いくつかの実施形態では、刺激は、網膜の周辺領域に指向される、明所視刺激を備え、中心窩または黄斑のうちの1つまたはそれを上回るものの照明は、瞳孔のサイズを減少させるために、薄明視または暗所視照明のうちの1つまたはそれを上回るものを備える。
【0202】
本明細書に説明されるように、本明細書に説明および/または図示されるコンピューティングデバイスならびにシステムは、広義には、本明細書に説明されるモジュール内に含有されるもの等のコンピュータ可読命令を実行することが可能な任意のタイプまたは形態のコンピューティングデバイスもしくはシステムを表す。それらの最も基本的な構成では、これらのコンピューティングデバイスは、それぞれ、少なくとも1つのメモリデバイスと、少なくとも1つの物理的プロセッサとを備えてもよい。
【0203】
本明細書に使用されるような用語「メモリ」または「メモリデバイス」は、概して、データならびに/もしくはコンピュータ可読命令を記憶することが可能な任意のタイプまたは形態の揮発性もしくは不揮発性記憶デバイスまたは媒体を表す。一実施例では、メモリデバイスは、本明細書に説明されるモジュールのうちの1つまたはそれを上回るものを記憶、ロード、および/または維持してもよい。メモリデバイスの実施例は、限定ではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、同一物のうちの1つまたはそれを上回るものの変形例もしくは組み合わせ、または任意の他の好適な記憶メモリを備える。
【0204】
加えて、本明細書に使用されるような用語「プロセッサ」または「物理的プロセッサ」は、概して、コンピュータ可読命令を解釈ならびに/もしくは実行することが可能な任意のタイプまたは形態のハードウェア実装処理ユニットを指す。一実施例では、物理的プロセッサは、上記に説明されるメモリデバイス内に記憶される1つまたはそれを上回るモジュールにアクセスする、および/またはそれを修正してもよい。物理的プロセッサの実施例は、限定ではないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニット(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、同一物のうちの1つまたはそれを上回るものの部分、同一物のうちの1つまたはそれを上回るものの変形例もしくは組み合わせ、または任意の他の好適な物理的プロセッサを備える。プロセッサは、分散型プロセッサシステム、例えば、並列プロセッサの起動、またはサーバ等の遠隔プロセッサ、およびそれらの組み合わせを備えてもよい。
【0205】
別個の要素として図示されるが、本明細書に説明および/または図示される方法ステップは、単一のアプリケーションの部分を表し得る。加えて、いくつかの実施形態では、これらのステップのうちの1つまたはそれを上回るものは、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに、方法ステップ等の1つまたはそれを上回るタスクを実施させ得る、1つまたはそれを上回るソフトウェアアプリケーションもしくはプログラムを表す、またはそれに対応し得る。
【0206】
加えて、本明細書に説明されるデバイスのうちの1つまたはそれを上回るものは、データ、物理的デバイス、および/または物理的デバイスの表現を、1つの形態から別の形態に変換してもよい。加えて、または代替として、本明細書に列挙されるモジュールのうちの1つまたはそれを上回るものは、コンピューティングデバイス上で実行すること、コンピューティングデバイス上にデータを記憶すること、および/または別様にコンピューティングデバイスと相互作用することによって、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ならびに/もしくは物理的コンピューティングデバイスの任意の他の部分を、1つの形態のコンピューティングデバイスから別の形態のコンピューティングデバイスに変換してもよい。
【0207】
本明細書に使用されるような用語「コンピュータ可読媒体」は、概して、コンピュータ可読命令を記憶または搬送することが可能な任意の形態のデバイス、担体、もしくは媒体を指す。コンピュータ可読媒体の実施例は、限定ではないが、搬送波等の伝送型媒体、および磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、およびフロッピー(登録商標)ディスク)、光学記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、およびBLU-RAY(登録商標)ディスク)、電子記憶媒体(例えば、ソリッドステートドライブおよびフラッシュメディア)、ならびに他の分散システム等の非一過性型媒体を備える。
【0208】
当業者は、本明細書に開示される任意のプロセスまたは方法が、多くの方法で修正され得ることを認識するであろう。本明細書に説明および/または図示されるプロセスパラメータならびにステップのシーケンスは、実施例としてのみ与えられ、所望に応じて変動されることができる。例えば、本明細書に図示および/または説明されるステップは、特定の順序で示される、もしくは議論されるが、これらのステップは、必ずしも図示または議論される順序で実施される必要はない。
【0209】
本明細書に説明および/または図示される種々の例示的方法はまた、本明細書に説明もしくは図示されるステップのうちの1つまたはそれを上回るものを省略する、もしくは開示されるものに加えて、付加的ステップを備えてもよい。さらに、本明細書に開示されるような任意の方法のステップが、本明細書に開示されるような任意の他の方法のいずれか1つまたはそれを上回るステップと組み合わせられることができる。
【0210】
本明細書に説明されるようなプロセッサは、本明細書に開示される任意の方法の1つまたはそれを上回るステップを実施するように構成されることができる。代替として、または組み合わせて、プロセッサは、本明細書に開示されるような1つまたはそれを上回る方法の1つまたはそれを上回るステップを組み合わせるように構成されることができる。
【0211】
別様に記述されない限り、本明細書および請求項に使用されるような用語「~に接続される」ならびに「~に結合される」(およびそれらの派生語)は、直接ならびに間接的(すなわち、他の要素またはコンポーネントを介した)接続の両方を可能にするものとして解釈されるものである。加えて、本明細書および請求項に使用されるような用語「a」ならびに「an」は、「~のうちの少なくとも1つ」を意味するものとして解釈されるものである。最後に、使用を容易にするために、本明細書および請求項に使用されるような用語「~を含む(including)」ならびに「~を有する(having)」(およびそれらの派生語)は、単語「~を備える(comprising)」と同義的であり、それと同一の意味を有するものとする。
【0212】
本明細書に開示されるようなプロセッサは、本明細書に開示されるような任意の方法のいずれか1つまたはそれを上回るステップを実施するための命令とともに構成されることができる。
【0213】
用語「第1」、「第2」、「第3」等が、事象の任意の特定の順序またはシーケンスを指すことなく、種々の層、要素、コンポーネント、領域、もしくは区分を説明するために本明細書に使用され得ることを理解されたい。これらの用語は、単に、1つの層、要素、コンポーネント、領域、または区分を別の層、要素、コンポーネント、領域、もしくは区分と区別するために使用される。本明細書に説明されるような第1の層、要素、コンポーネント、領域、または区分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の層、要素、コンポーネント、領域、もしくは区分と称され得る。
【0214】
本明細書に使用されるように、用語「または」は、代替として、かつ組み合わせて、項目を指すために包括的に使用される。
【0215】
本明細書で使用されるように、数字等の文字は、同様の要素を指す。
【0216】
本開示は、以下の付番された付記を含む。
【0217】
付記1.眼の屈折異常を治療するための装置であって、複数の刺激と、複数の刺激を網膜の周辺部分の前方または後方に結像し、複数の脱焦点化された画像を網膜の周辺部分上に形成する、1つまたはそれを上回る光学系とを備え、複数の刺激および1つまたはそれを上回る光学系は、眼の中心視への干渉を低減させるように配列される、装置。
【0218】
付記2.該複数の画像は、3.0D~6.0Dの範囲内の量だけ脱焦点化される、随意に、近視眼的に、随意に、3.5D~5.0Dの範囲内で脱焦点化される、付記1に記載の装置。
【0219】
付記3.該複数の脱焦点化された画像の明度は、背景照明の明度の少なくとも3倍、随意に、背景照明の明度の少なくとも5倍、随意に、背景照明の明度の3~20倍の範囲内、さらに随意に、背景照明の明度の5~15倍の範囲内でより高い、付記1に記載の装置。
【0220】
付記4.該複数の脱焦点化された画像はそれぞれ、強度プロファイル分布を備え、強度プロファイル分布は、1つまたはそれを上回るピークに対して減少された強度を伴う、内側部分の周囲に分散された1つまたはそれを上回るピークを備える、付記1に記載の装置。
【0221】
付記5.1つまたはそれを上回るピークは、複数のピークを備え、内側部分は、複数のピーク間に位置する、付記4に記載の装置。
【0222】
付記6.複数のピークは、4つのピークを備え、内側部分は、4つのピーク間に位置する、付記5に記載の装置。
【0223】
付記7.内側部分は、4つのピーク間に延在する、十字を備える、付記6に記載の装置。
【0224】
付記8.1つまたはそれを上回るピークは、環状ピークを備え、内側部分は、環状ピーク内に位置する、付記4に記載の装置。
【0225】
付記9.該複数の脱焦点化された画像はそれぞれ、多色性アイコンをより暗い背景上に備え、コントラストを提供し、随意に、多色性アイコンは、白色アイコンを備え、該より暗い背景は、実質的に黒色背景を備える、付記1に記載の装置。
【0226】
付記10.複数の刺激はそれぞれ、長さ、縁、および強度プロファイル分布を備え、網膜の前方または後方において眼の中に結像される際に、1X10-1~2.5X101サイクル/度の範囲内、随意に、1X10-1~1X101サイクル/度の範囲内の空間周波数を生成する、付記1に記載の装置。
【0227】
付記11.眼内に結像される際の該複数の刺激は、約1X10-1~約2.5X101サイクル/度、随意に、1X10-1~約5X100サイクル/度の空間周波数の範囲にわたって、空間周波数の増加に伴って、空間周波数振幅の減少を提供する、空間周波数分布を備える、付記1に記載の装置。
【0228】
付記12.空間周波数強度の減少は、任意単位における空間周波数振幅にわたって、1/(空間周波数)0.5~1/(空間周波数)2、随意に、任意単位における空間周波数振幅にわたって、1/(空間周波数)~1/(空間周波数)2の範囲内である、付記11に記載の装置。
【0229】
付記13.空間周波数の範囲は、約3X10-1~約1.0X101サイクル/度、随意に、約3X10-1~約2.0X100の範囲内、さらに随意に、約3X10-1~約1.0X100である、付記11に記載の装置。
【0230】
付記14.本装置は、患者の眼の単眼刺激のために構成される、付記1に記載の装置。
【0231】
付記15.本装置は、患者の眼の両眼刺激のために構成される、付記1に記載の装置。
【0232】
付記16.患者の僚眼を刺激する、第2の複数の刺激と、第2の複数の刺激を僚眼の網膜の周辺部分の前方または後方に結像し、第2の複数の脱焦点化された画像を第2の網膜の周辺部分上に形成する、第2の1つまたはそれを上回る光学系とをさらに備える、第2の複数の刺激および第2の1つまたはそれを上回る光学系は、僚眼の中心視への干渉を低減させるように配列される、付記15に記載の装置。
【0233】
付記17.複数の刺激および1つまたはそれを上回る光学系は、10度~30度の範囲内、随意に、10度~20度、随意に、12度~18度の範囲内の実質的に中断されない視野を提供するように配列される、随意に、該複数の脱焦点化された画像はそれぞれ、視野の外側の網膜上に投影される、付記1に記載の装置。
【0234】
付記18.眼内に結像される際の複数の刺激はそれぞれ、略均一灰色背景上にオーバーレイされ、複数の刺激はそれぞれ、白色アイコンを備え、したがって、該アイコンは、主に、1X10-1サイクル/度~2.5X101サイクル/度の範囲内、随意に、1X10-1サイクル/度~1X101サイクル/度の範囲内の空間周波数の特徴を生成する、縁の全長を有する、付記1に記載の装置。
【0235】
付記19.眼内に結像される際の複数の刺激はそれぞれ、主に、1X10-1サイクル/度~2.5X101サイクル/度の範囲内、随意に、1X10-1サイクル/度~1X101サイクル/度の範囲内の空間周波数の特徴を生成する、縁プロファイルを背景上に有する、多色性アイコンを備える、付記1に記載の装置。
【0236】
付記20.複数の刺激はそれぞれ、0.7を上回る、随意に、8.0を上回る大域的コントラスト係数を備える、付記1に記載の装置。
【0237】
付記21.1つまたはそれを上回る光学系は、ホログラム、導波管、ミラー、レンズ、眼鏡レンズ、またはコンタクトレンズのうちの1つまたはそれを上回るものを備える、付記1に記載の装置。
【0238】
付記22.ユーザに結合し、1つまたはそれを上回る光学系を支持するための支持体をさらに備え、支持体は、頭部搭載型デバイス、眼鏡レンズ、眼鏡フレーム、ゴーグル、ARディスプレイ、コンタクトレンズ、またはVRディスプレイのうちの1つまたはそれを上回るもののコンポーネントを備える、付記1に記載の装置。
【0239】
付記23.眼の屈折異常を補正するためのレンズをさらに備える、付記1に記載の装置。
【0240】
付記24.1つまたはそれを上回る光学系は、眼の瞳孔が散瞳薬で拡張されているとき、複数の刺激を網膜の周辺部分に向かって投影するように配列される、付記1に記載の装置。
【0241】
付記25.複数の刺激は、眼の視軸から少なくとも35度の角度で、網膜の周辺部分を照明するように配列される、付記24に記載の装置。
【0242】
付記26.瞳孔のサイズを測定するためのセンサをさらに備え、瞳孔のサイズに応答して、光学刺激を眼に向かって指向するための命令とともに構成される、プロセッサをさらに備え、随意に、瞳孔のサイズは、瞳孔の直径を備える、付記1に記載の装置。
【0243】
付記27.プロセッサは、瞳孔のサイズに応答して、光学刺激の強度または持続時間のうちの1つまたはそれを上回るものを調節するように構成される、付記26に記載の装置。
【0244】
付記28.センサは、センサアレイを備え、随意に、センサアレイは、カメラのセンサアレイを備える、付記26に記載の装置。
【0245】
付記29.複数の刺激は、複数の刺激で照明されると、天然瞳孔の拡張を可能にするように構成される、付記26に記載の装置。
【0246】
付記30.複数の刺激は、刺激が提供されるとき、刺激がまだ提供されていないときの瞳孔の直径と比較して、1ミリメートル(mm)以下だけ瞳孔を収縮させるように構成される、付記1に記載の装置。
【0247】
付記31.瞳孔は、眼が、複数の刺激に暴露されるとき、ある刺激直径を備え、眼は、眼が、複数の刺激を伴わずに、明所視視認条件に暴露されるとき、ある明所視直径を備え、明所視直径は、刺激直径より少なくとも1ミリメートル小さく、随意に、明所視視認条件は、少なくとも3カンデラ(cd)/平方メートル(m2)の輝度を備える、付記1に記載の装置。
【0248】
付記32.刺激は、35度を上回る偏心を伴って、網膜の周辺部分を照明するように構成され、眼の瞳孔は、刺激が、35度を上回る偏心を伴って、周辺網膜に提供されている間、明所視照明と比較して、少なくとも約1ミリメートルだけ拡張される、付記1に記載の装置。
【0249】
付記33.複数の刺激のエネルギーの総量の10%以下、随意に、総量の5%以下、随意に、総量の1%以下が、複数の刺激に応答して、瞳孔の収縮を減少させるために、眼の中心窩に指向される、付記1に記載の装置。
【0250】
付記34.眼の屈折異常を治療する方法であって、刺激を眼の網膜の周辺領域に提供するステップを含み、刺激は、朝に提供される、方法。
【0251】
付記35.刺激は、先行付記のうちの任意の1つに記載の装置によって提供される、付記34に記載の方法。
【0252】
付記36.刺激は、午前6時~午前10時に提供される、付記34に記載の方法。
【0253】
付記37.刺激は、午前6時~午前10時に提供される、付記34に記載の方法。
【0254】
付記38.刺激は、複数の連続する日の朝に眼に提供され、それぞれの日の総治療時間は、1時間以下を含む、付記34に記載の方法。
【0255】
付記39.プロセッサによって実行されるための命令とともに構成される、有形媒体であって、付記34-38のうちの任意の1つに記載の方法を実施するように構成される、有形媒体。
【0256】
付記40.患者データベースであって、複数の患者に関する複数の網膜刺激治療に対応する、治療データと、複数の患者に関する有効性データであって、複数の治療に関する屈折データを備える、有効性データとを備える、患者データベース。
【0257】
付記41.臨床試験を行う方法であって、複数の日のそれぞれの日に、周辺網膜刺激を試験眼に提供し、対照眼に提供しないステップと、複数の日のそれぞれの日に、治療前および後の試験眼および対照眼の軸方向長を測定するステップと、試験眼の軸方向長と対照眼の軸方向長を比較し、周辺網膜刺激の有効性を決定するステップとを含む、方法。
【0258】
付記42.眼の屈折異常を治療する方法であって、眼の瞳孔を拡張させるステップと、光学刺激を網膜の周辺部分に提供し、眼の屈折異常を減少させるステップとを含む、方法。
【0259】
付記43.刺激は、先行付記のうちの任意の1つに記載の複数の刺激を備える、付記42に記載の方法。
【0260】
付記44.瞳孔は、散瞳薬で拡張される、付記42に記載の方法。
【0261】
付記45.散瞳薬は、毛様体筋麻痺薬を備え、随意に、毛様体筋麻痺薬は、アトロピン、シクロペントラート、ホマトロピン、スコポラミン、およびトロピカミドから成る群から選択される、付記44に記載の方法。
【0262】
付記46.毛様体筋麻痺薬は、0.025%~0.2%、随意に、0.05%~0.1%の範囲内のパーセンテージ重量比を伴う、アトロピンを備える、付記45に記載の方法。
【0263】
付記47.瞳孔のサイズは、測定され、光学刺激は、瞳孔のサイズに応答して、眼に向かって指向され、随意に、瞳孔のサイズは、瞳孔の直径を備える、付記42に記載の方法。
【0264】
付記48.光学刺激の強度または持続時間のうちの1つまたはそれを上回るものは、瞳孔のサイズに応答して調節される、付記47に記載の方法。
【0265】
付記49.瞳孔のサイズは、センサを用いて測定され、随意に、センサは、センサアレイを備え、随意に、センサアレイは、カメラのセンサアレイを備える、付記47に記載の方法。
【0266】
付記50.瞳孔は、周辺網膜の適切な量の照明および天然瞳孔を通して通過する他の源からの光で拡張された、眼の天然瞳孔を備え、随意に、天然瞳孔は、眼への照明に応答して収縮および拡張することが可能である、付記42に記載の方法。
【0267】
付記51.天然瞳孔は、薄明視背景照明または暗所視背景照明で拡張され、随意に、薄明視背景照明は、0.01カンデラ/平方メートル(cd/m2)~3cd/m2の範囲内の量を備える、付記50に記載の方法。
【0268】
付記52.天然瞳孔は、刺激が提供されるとき、刺激がまだ提供されていないときの天然瞳孔の直径と比較して、1ミリメートル(mm)以下だけ収縮する、付記51に記載の方法。
【0269】
付記53.天然瞳孔は、眼が刺激に暴露されるとき、ある刺激直径を備え、天然瞳孔は、眼が明所視視認条件に暴露されるとき、ある明所視直径を備え、明所視直径は、刺激直径より少なくとも1ミリメートル小さい、付記51に記載の方法。
【0270】
付記54.刺激は、35度を上回る偏心を伴って、周辺網膜を照明するように構成され、瞳孔は、刺激が、35度を上回る偏心を伴って、周辺網膜に提供される間、明所視照明と比較して、少なくとも約1ミリメートルだけ拡張される、付記42に記載の方法。
【0271】
付記55.複数の刺激のエネルギーの総量の10%以下、随意に、総量の5%以下、随意に、総量の1%以下が、複数の刺激に応答して、瞳孔の収縮を減少させるために、眼の中心窩に指向される、付記42に記載の方法。
【0272】
付記56.刺激は、網膜の周辺領域に指向される、明所視刺激を備え、中心窩または黄斑のうちの1つまたはそれを上回るものの照明は、瞳孔のサイズを減少させるために、薄明視または暗所視照明のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、付記42に記載の方法。
【0273】
本開示の実施形態が、本明細書に記載されるように図示および説明されているが、一例としてのみ提供されている。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、多数の適合、変更、変形例および代用を認識するであろう。本明細書に開示される実施形態のいくつかの代替および組み合わせが、本開示および本明細書に開示される発明の範囲から逸脱することなく、利用されてもよい。したがって、本開示の発明の範囲は、添付の請求項およびその均等物の範囲によってのみ定義され得るものとする。
【国際調査報告】