(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】抗メソテリン抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20230627BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230627BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230627BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230627BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20230627BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20230627BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230627BHJP
A61K 39/44 20060101ALI20230627BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/5365 20060101ALI20230627BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230627BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230627BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230627BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230627BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230627BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20230627BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
A61K47/68
A61K45/00
A61K49/00
A61K51/10 200
A61K39/395 E
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 Y
A61K39/44
A61K38/07
A61K31/437
A61K31/4745
A61K31/5365
A61P15/00
A61P1/18
A61P11/00
A61P1/00
A61P1/16
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572330
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021035972
(87)【国際公開番号】W WO2021248048
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507275235
【氏名又は名称】ディヴェロップメント センター フォー バイオテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】チュアン, シー‐シェン
(72)【発明者】
【氏名】スン, ウェイ‐ティン
(72)【発明者】
【氏名】ライリー, イン‐シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ライ, チュン‐リャン
(72)【発明者】
【氏名】リン, ウン‐フエイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ, ウィン‐イン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ, シー‐チョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ, チェン‐チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン, チャオ‐ヤン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF68
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA10
4C084BA16
4C084BA23
4C084CA59
4C084MA05
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA10
4C084NA13
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA25
4C085AA26
4C085AA27
4C085BB31
4C085BB41
4C085BB42
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE05
4C085HH01
4C085HH03
4C085HH11
4C085HH13
4C085KA03
4C085KA04
4C085KA27
4C085KA29
4C085KA36
4C085KB82
4C085LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086CB22
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA10
4C086NA13
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZB26
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA50
4H045BA53
4H045BA71
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、メソテリン中のエピトープに特異的に結合する抗原結合フラグメント、N-グリカン結合ドメイン及びN-グリカンを含む抗体;N-グリカンに連結するリンカー;並びにリンカーにそれぞれ結合した、同一であるか又は異なるペイロードA及びペイロードBを含む、イムノコンジュゲートを提供する。イムノコンジュゲートを含む医薬組成物及び癌を治療する方法もまた、本開示において提供される。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソテリン中のエピトープに特異的に結合する抗原結合フラグメント、N-グリカン結合ドメイン及び式(1)の構造を有するN-グリカンを含む抗体:
【化1】
(式中、「
*」は結合又は保護基を表す);
「
*」が結合を表す場合、N-グリカン中の「
*」のそれぞれに連結するリンカー;並びに
独立的にリンカーにコンジュゲートされた、同じか又は異なるペイロードA及びペイロード
を含む、イムノコンジュゲート。
【請求項2】
抗体が、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体Fabフラグメント、F(ab’)
2、切断された抗体からのFvフラグメント若しくはFcフラグメント、scFv-Fcフラグメント、ミニボディ、ダイアボディ、又はscFvである、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項3】
抗原結合フラグメントが、重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)及び軽鎖可変領域の相補性決定領域を含み、重鎖可変領域の相補性決定領域は、CDRH1、CDRH2及びCDRH3領域を含み、軽鎖可変領域の相補性決定領域は、CDRL1、CDRL2及びCDRL3領域を含み;CDRH1領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み;CDRH2領域は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;CDRH3領域は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;CDRL1領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;CDRL2領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;CDRL3領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項4】
抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項5】
抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項6】
抗体が、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項7】
抗体が、重鎖定常領域を含み、N-グリカン結合ドメインが、重鎖定常領域中に位置する、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項8】
抗体が、2つのN-グリカンを含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項9】
リンカーが、2~20個の炭素原子を有する、直鎖状若しくは分枝状のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アシル、アルキルアミン、アリールアミン基、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、カーボネート、式(3)から式(7)、ジスルフィド含有リンカー、酸不安定リンカー、光不安定リンカー、ペプチダーゼ不安定リンカー、及びエステラーゼ不安定リンカー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択され、
【化2】
式(3)及び式(4)において:
R
1は、独立的に、水素、ハロゲン、-OR
5、-NO
2、-CN、-S(O)
2R
5、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基及びC
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群から選択され、
アルキル基、(ヘテロ)アリール基、アルキル(ヘテロ)アリール基及び(ヘテロ)アリールアルキル基は、任意選択的に置換されており、
2つの置換基R
1は、一緒に連結して、縮環シクロアルキル又は縮環(ヘテロ)アレーン置換基を形成していてもよく、
R
5は、独立的に、水素、ハロゲン、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基、及びC
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群より選択され;
Xは、C(R
1)
2、O、S又はNR
2であり、R
2はR
1であり;aは0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;a’は0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;a+a’<10であり;
Lは、2~20個の炭素原子を有する、直鎖状若しくは分枝状のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アシル、アルキルアミン、アリールアミン基、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、カーボネート、ジスルフィド含有リンカー、酸不安定リンカー、光不安定リンカー、ペプチダーゼ不安定リンカー、及びエステラーゼ不安定リンカー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択され;
【化3】
式(5)において:
R
1は、独立的に、水素、ハロゲン、-OR
5、-NO
2、-CN、-S(O)
2R
5、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基及びC
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群から選択され、
アルキル基、(ヘテロ)アリール基、アルキル(ヘテロ)アリール基及び(ヘテロ)アリールアルキル基は、任意選択的に置換されており、
2つの置換基R
1は、一緒に連結して、縮環シクロアルキル又は縮環(ヘテロ)アレーン置換基を形成していてもよく、
R
5は、独立的に、水素、ハロゲン、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基及びC
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群より選択され;
Lは、2~20個の炭素原子を有する、直鎖状若しくは分枝状のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アシル、アルキルアミン、アリールアミン基、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、カーボネート、ジスルフィド含有リンカー、酸不安定リンカー、光不安定リンカー、ペプチダーゼ不安定リンカー、及びエステラーゼ不安定リンカー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択され;
R
3は、独立的に、水素、ハロゲン、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基及びC
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロゲン、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群から選択され、アルキル基は、任意選択的にO、N及びSからなる群から選択される1つ又は複数のヘテロ原子により中断されており、アルキル基、(ヘテロ)アリール基、アルキル(ヘテロ)アリール基及び(ヘテロ)アリールアルキル基は、独立的に、任意選択的に置換されており;
【化4】
式(6)及び式(7)において:
Lは、2~20個の炭素原子を有する、直鎖状若しくは分枝状のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アシル、アルキルアミン、アリールアミン基、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、カーボネート、ジスルフィド含有リンカー、酸不安定リンカー、光不安定リンカー、ペプチダーゼ不安定リンカー、及びエステラーゼ不安定リンカー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項10】
ペイロードA及びペイロードBが独立的に、治療薬又は標識である、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項11】
治療薬が、代謝拮抗剤、アルキル化剤、アルキル化様薬剤、DNA副溝アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、カリケアマイシン、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、放射性同位体、又は同位体キレート剤である、請求項10に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項12】
治療薬が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、メイタンシノイド、デュオカルマイシン-ヒドロキシベンズアミドアザインドール(DUBA)、ジエチレントリアミン-N,N,N’,N’’,N’’-ペンタアセテート(DTPA)、エキサテカン、又はDxd2である、請求項10に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項13】
標識が、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、放射性標識、酵素標識、又は陽電子放出体である、請求項10に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項14】
保護基がアジドである、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートと、薬学的に許容できる担体とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートの治療有効量を対象に投与するステップを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法。
【請求項17】
癌が、メソテリンを発現する癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
癌が、卵巣癌、中皮腫、膵臓癌、非小細胞肺癌、食道癌、胃癌、胆道癌、大腸癌、子宮内膜癌、又は乳癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
癌が、卵巣癌である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、抗メソテリン抗体-薬物コンジュゲートに関し、その中に含まれる糖タンパク質は1つ又は複数のトリマンノシルコアを含んでいる。本開示はまた、抗メソテリン抗体-薬物コンジュゲートを対象に投与するステップを含む、それを必要とする対象における癌などの疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、典型的にはマーカー、例えば腫瘍マーカーを特異的にターゲティングする抗体に結合した抗癌剤(例えば、細胞毒素)を含む。抗体は体内でこれらのマーカーを追跡し、癌細胞の表面に自らを付着させる。抗体と標的マーカー(抗原)との結合は、腫瘍細胞においてシグナルを発生させて、ADCを内在化させる。ADCが内在化された後、細胞毒性薬が放出されて、癌細胞を殺傷しうる。特異的なターゲティングにより、薬の副作用が低減されうる。
【0003】
[0003]メソテリン(MSLN)は、中皮腫、膵臓癌、卵巣癌、膵臓腺癌、肺腺癌、胆管癌、肝外胆道癌、肺癌、及び上皮性中皮腫を含む、いくつかのヒト腫瘍において過剰発現されている腫瘍分化抗原である。したがって、メソテリンは診断/治療のターゲットとして有望である。
【0004】
[0004]SS1P(シュードモナス(Pseudomonas)外毒素Aの切断されたフラグメントに遺伝子融合されたターゲティング抗体フラグメントで構成される抗メソテリン免疫毒素)、アネツマブ(モノクローナル抗体)、及びアネツマブ・ラブタンシン(抗体-薬物コンジュゲート)など、メソテリンに対する多くの抗体が開発されているが、抗メソテリン抗体を使用した改善された治療薬が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示は、抗メソテリン抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート及び治療におけるそれらの使用に関する。
【0006】
[0006]本開示の一態様は、イムノコンジュゲートに関する。本開示の一実施形態によるイムノコンジュゲートは、以下を含む:
メソテリン中のエピトープに特異的に結合する抗原結合フラグメント、N-グリカン結合ドメイン及び式(1)の構造を有するN-グリカンを含む抗体:
【化1】
(式中、「
*」は結合又は保護基を表す);
「
*」が結合を表す場合、N-グリカン中の「
*」のそれぞれに連結するリンカー;並びに
独立的にリンカーにコンジュゲートされた、同じか又は異なるペイロードA及びペイロードB。
【0007】
[0007]本開示のいくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体Fabフラグメント、F(ab’)2、切断された抗体からのFvフラグメント若しくはFcフラグメント、scFv-Fcフラグメント、ミニボディ、ダイアボディ、又はscFvである。
【0008】
[0008]本開示のいくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)及び軽鎖可変領域の相補性決定領域を含み、重鎖可変領域の相補性決定領域は、CDRH1、CDRH2及びCDRH3領域を含み、軽鎖可変領域の相補性決定領域は、CDRL1、CDRL2及びCDRL3領域を含み;CDRH1領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み;CDRH2領域は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;CDRH3領域は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;CDRL1領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;CDRL2領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;CDRL3領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含む。本開示の一実施形態では、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。本開示の一実施形態では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。本開示の一実施形態では、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0009】
[0009]本開示のいくつかの実施形態において、抗体は、重鎖定常領域を含み、N-グリカン結合ドメインは、重鎖定常領域中に位置する。
【0010】
[0010]本開示のいくつかの実施形態では、抗体は2つのN-グリカンを含む。
【0011】
[0011]本開示のイムノコンジュゲートの有効量の特定の実施形態は、約0.01mg/kg~800mg/kg、0.05mg/kg~600mg/kg、0.1mg/kg~500mg/kg、0.5mg/kg~400mg/kg、1mg/kg~300mg/kg、5mg/kg~200mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、15mg/kg~80mg/kg、20mg/kg~60mg/kg、25mg/kg~50mg/kgの範囲のものである。
【0012】
[0012]本開示のいくつかの実施形態において、リンカーは、2~20個の炭素原子を有する、直鎖状若しくは分枝状のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アシル、アルキルアミン、アリールアミン基、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、カーボネート、式(3)から式(7)、ジスルフィド含有リンカー、酸不安定リンカー、光不安定リンカー、ペプチダーゼ不安定リンカー、及びエステラーゼ不安定リンカー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
[0013]本開示のいくつかの実施形態では、ペイロードA及びペイロードBは、治療薬及び標識から独立的に選択される。
【0014】
[0014]治療薬の例には、代謝拮抗剤、アルキル化剤、アルキル化様薬剤、DNA副溝アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、カリケアマイシン、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、放射性同位体、及び同位体キレート剤が含まれるが、これらに限定はされない。治療薬の特定の化合物の例には、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、メイタンシノイド、デュオカルマイシン-ヒドロキシベンズアミドアザインドール(DUBA)、ジエチレントリアミン-N,N,N’,N’’,N’’-ペンタアセテート(DTPA)、エキサテカン、及びDxd2が含まれるが、これらに限定はされない。
【0015】
[0015]標識の例としては、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、放射性標識、酵素標識、及び陽電子放出体が含まれるが、これらに限定はされない。
【0016】
[0016]保護基の一例はアジドである。
【0017】
[0017]本開示の一態様は、上記のイムノコンジュゲートと、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0018】
[0018]本開示の一態様は、癌を治療するための方法に関する。本開示の一実施形態による方法は、癌治療を必要とする対象に、治療有効量の上記のイムノコンジュゲートを投与するステップを含みうる。
【0019】
[0019]本開示のいくつかの実施形態では、癌はメソテリンを発現する癌である。癌の例には、卵巣癌、中皮腫、膵臓癌、非小細胞肺癌、食道癌、胃癌、胆道癌、大腸癌、子宮内膜癌、及び乳癌が含まれるが、これらに限定はされない。
【0020】
[0020]当業者は、治療有効量が、患者の状態、年齢、疾患状態、投与経路などの多くの要因に依存すること、そのような有効量が、これらの要因に基づいて、過度の実験を要せずに日常的な実務において決定されうることを理解する。
【0021】
[0021]本開示の他の態様は、以下の説明により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】
図2は、マウス可変領域、IMGTのヒト化版、及び4D5可変領域を発現するベクター構築物を示している。
【
図3】
図3は、抗体に対するメソテリンの親和性を示している。
【
図4】
図4は、SS1及びHuSS1抗体のBIAcoreを用いた動態解析を示している。
【
図5】
図5は、検出されたADCのELISA結合親和性を示している。
【
図6】
図6は、ADCの内在化の結果を示している。
【
図7】
図7は、ADC DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)の質量分析を示している。
【
図8】
図8は、ADC DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)の薬物動態プロファイルの結果を示している。
【
図9】
図9は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。
【
図10】
図10は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。
【
図11】
図11は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。
【
図12】
図12は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。
【
図13】
図13は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。
【
図14】
図14は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。
【
図15】
図15は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。
【
図16】
図16は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。
【
図17】
図17は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。
【
図18】
図18は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。
【
図19】
図19は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。
【
図20】
図20は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。
【
図21A】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。A:DCBPR2002-2Azの調製。
【
図21B】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。B:DCBPR2002-4Azの調製。
【
図21C】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。C:DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)の調製。
【
図21D】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。D:DCBPR2002-4(DBCO-S-DM1)の調製。
【
図21E】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。E:DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco DUBA)の調製。
【
図21F】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。F:DCBPR2002-4(DBCO-PEG4-vc-PAB-MMAF)。
【
図21G】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。G:DCBPR2002-4(DBCO-DTPA)の調製。
【
図21H】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。H:DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-vc-エキサテカン)の調製。
【
図21I】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。I:DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-GGFG-エキサテカン)の調製。
【
図21J】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。J:DCBPR2002-4(DBCO-PEG12-GGFG-エキサテカン)の調製。
【
図21K】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。K:DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-GGFG-DXd2)の調製。
【
図21L】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。L:DCBPR2002-4(DBCO-PEG12-GGFG-DXd2)の調製。
【
図21M】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。M:DCBPR2002-4(BCN-PEG3-VC-PAB-MMAE)の調製。
【
図21N】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。N:DCBPR2002-4(BCN-PEG12-GGFG-エキサテカン)の調製。
【
図21O】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。O:DCBPR2002-4(BCN-PEG3-GGFG-エキサテカンの調製。
【
図21P】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。P:DCBPR2002-4(BCN-PEG12-GGFG-DXd2)の調製。
【
図21Q】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。Q:DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-2(PEG3-VC-PAB-MMAE))の調製。
【
図21R】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。R:DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco DUBA)の調製。
【
図21S】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。S:DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-S-DM1)の調製。
【
図21T】
図21A~20は、イムノコンジュゲートの調製について示している。T:DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco DUBA)-2(DBCO-S-DM1)の調製。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0043]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形への参照を含むことに留意すべきである。同様に、本明細書では、「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1つ又は複数(one or more)」及び「少なくとも1つ(at least one)」という用語は互換的に使用され得る。また、「含む(comprising)」、「包含する(including)」、及び「有する(having)」という用語が、互換的に使用され得ることにも留意されたい。
【0024】
[0044]他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学的又は技術的な用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は同等の任意の方法及び材料は、本発明を実施するために当業者によって理解され、使用され得る。
【0025】
[0045]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかに他に指示していない限り、複数形への参照を含むことに留意しなければならない。よって、文脈によって別段要求されない限り、単数形の用語は複数形を包含し、複数形の用語は単数形を包含するものとする。
【0026】
[0046]「及び/又は」という用語は、両方のもの、又は言及された2つのうちのどちらかを指すために使用される。
【0027】
[0047]本明細書で使用される場合、「イムノコンジュゲート」という用語は、ペイロードA及びBのような少なくとも1つのエフェクター部分と抗体とを含むポリペプチド分子を指す。特定の実施形態では、イムノコンジュゲートは、1つ以下のエフェクター部分を含む。本発明による特定のイムノコンジュゲートは、1つ又は複数のリンカーによって結合された1つのエフェクター部分と1つの抗体から本質的になる。
【0028】
[0048]本明細書で使用される「抗体」という用語は、特定の抗原(例えば、メソテリン)に特異的に結合又は相互作用する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む、任意の抗原結合分子又は分子複合体を意味する。「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互に連結した4つのポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、並びにそれらの多量体(例えば、IgM)を包含する。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR又はVHと略される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、CH1、CH2及びCH3の3つのドメインを含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR又はVLと略される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化でき、そこにはフレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在している。各VH及びVLは、3つのCDRと4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置されている。本開示の異なる実施形態において、抗α毒素抗体(又はその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であっても、又は自然に若しくは人工的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ又はそれ以上のCDRの並列分析に基づいて定義されうる。
【0029】
[0049]本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって産生される抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、真核生物、原核生物又はファージクローンを含む単一のクローンから、利用可能な任意の手段又は当該技術分野で既知の手段によって得られる。
【0030】
[0050]非ヒト抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含むキメラ免疫グロブリンである。一般にヒト化抗体は、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。
【0031】
[0051]本明細書で使用される「相補性決定領域」(CDR)という用語は、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非連続的抗原結合部位を指す。CDRは、Kabatら、J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977年);Kabatら、U.S.Dept.of Health and Human Services、“Sequences of proteins of immunological interest”(1991年);Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901-917(1987年);及びMacCallumら、J.Mol.Biol.262:732-745(1996年)によって記載されており、その定義には、互いに対して比較した場合、アミノ酸残基の重複又はサブセットが包含される。
【0032】
[0052]本明細書で使用される抗体の「抗原結合フラグメント」などの用語は、天然に存在する、酵素的に得られる、合成された又は遺伝子改変された、あらゆるポリペプチド又は糖タンパク質であって、抗原に特異的に結合して複合体を形成するものを包含する。
【0033】
[0053]本明細書で使用される場合、「メソテリン」という用語は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合によって細胞膜に固定されており、巨核球増強因子(MPF)と呼ばれるアミノ末端側の31kDaのフラグメントが脱落した、40kDaのタンパク質、メソテリンを指す。どちらのフラグメントも、N-グリコシル化部位を含んでいる。好ましくは、この用語は、例えば、細胞膜、例えば癌細胞膜上に発現されたヒトメソセリン及びその天然の切断された部分を指す。特に、メソテリンのフラグメントは、メソテリンのN末端領域を含む。
【0034】
[0054]本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原上の部位を指す。
【0035】
[0055]本明細書で使用される「N-グリカン」という用語は、N-結合オリゴ糖、例えば、ポリペプチドのアスパラギン残基にアスパラギン-N-アセチルグルコサミン結合によって結合したものを指す。N-グリカンはMan3GlcNAc2(「Man」はマンノース;「Glc」はグルコースを指す、「NAc」はN-アセチルを指す;「GlcNAc」はN-アセチルグルコサミンを指す)という共通の五糖コアを有している。N-グリカンに関して使用される「トリマンノースコア」という用語も、構造Man3GlcNAc2(「Man3」)を意味する。N-グリカンは、Man3コア構造に付加される周辺糖(例えば、フコース及びシアル酸)を含む枝(アンテナ)の数に関して異なる。
【0036】
[0056]本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、生物学的又は薬学的活性を有する有効成分及び薬学的に許容できる担体を含む製剤又は調製物を指す。医薬組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、粉末、ペレット、ビーズ、顆粒、ミクロスフェア、カプセル、丸剤などの形態でありうる。
【0037】
[0057]「治療(treatment)」、「治療している(treating)」、及び「治療する(treat)」という用語は、一般に、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指す。その効果は、疾患、障害又はその症状を完全に又は部分的に予防するという点で予防的であってもよく、疾患、障害及び/又はそれに起因する症状の部分的又は完全な治癒という点で治療的であってもよい。本明細書において使用される「治療」は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける疾患の治療をカバーし、(1)対象における疾患、障害又はその症状の進展を抑制すること、又は(2)対象における疾患、障害又はその症状を緩和又は改善することを包含する。
【0038】
[0058]本明細書中で使用される「対象」という用語は、本明細書中に開示される化合物又は組成物の投与から利益を得ることができる任意の動物である。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、齧歯類、例えば、ラット又はマウスである。典型的には、哺乳動物はヒトである。
【0039】
[0059]本明細書で提供される有効成分の「有効量」という用語は、所望の機能の所望の調節を提供するのに十分な量の成分を意味する。以下に指摘するように、正確な必要量は、対象の疾患状態、身体条件、年齢、性別、種及び体重、組成物の具体的なアイデンティティ及び製剤などに応じて、対象ごとに変動する。投与レジメンは、最適な治療反応を誘発するように調整されうる。例えば、いくつかに分割された用量が、毎日投与されてもよいし、治療状況の要求により示されるように投与量を比例的に減らしてもよい。したがって、正確な「有効量」を特定することは可能ではない。しかしながら、適切な有効量は、日常的な実験のみを用いて当業者によって決定され得る。
【0040】
[0060]本明細書で使用される「薬学的に許容できる」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、対象(ヒト又は非ヒト動物のいずれか)の組織と接触して使用するのに適し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を持たず、合理的な利益/リスク比の釣り合いがとれている、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。各担体、賦形剤などもまた、製剤の他の成分と適合性であるという意味で「許容できる」ものでなければならない。適切な担体、賦形剤などは、標準的な薬学の教科書の中に見出され得る。
【0041】
[0061]本開示のイムノコンジュゲートは「担体」と共に製剤化されてもよい。本明細書で使用される場合、「担体」は、任意の溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤及び/又は抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイドなどを包含する。そのような媒体及び/又は薬剤を医薬活性物質のために使用することは、当技術分野において周知である。例えば、薬学的組み合わせは、以下に適合されたものを含む固体又は液体形態での投与のために特別に製剤化され得る:(1)経口投与、例えば、ドレンチ(水性若しくは非水性の溶液若しくは懸濁液)、ロゼンジ、糖衣錠、カプセル、丸剤、錠剤(例えば、頬、舌下、及び全身吸収を標的とするもの)、ボーラス、粉末、顆粒剤、舌に塗布するためのペースト;(2)非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、若しくは硬膜外注射によるもの、例えば、滅菌溶液若しくは懸濁液、若しくは持続放出製剤として;(3)局所適用、例えば、クリーム、ローション、ジェル、軟膏、若しくは皮膚に適用される制御放出パッチ若しくはスプレーとして;(4)膣内若しくは直腸内投与、例えば、ペッサリー、クリーム、座薬又はフォームとして;(5)舌下投与;(6)経眼投与;(7)経皮投与;(8)経粘膜投与;又は(9)経鼻投与。
【0042】
[0062]抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、薬物(又はペイロード)が抗体又はその抗原結合フラグメントに結合している治療薬のクラスである。ADC中の抗体は、選択されたターゲット(典型的には、細胞上のターゲット)に結合し、それにより、薬物をターゲットの近傍に運ぶ結果、選択性の高い治療効果をもたらす。ADCの例は、癌細胞上に発現されるタンパク質をターゲティングする抗体であってもよく、ペイロードは、細胞障害性の薬剤であってもよい。本開示の一実施形態は、抗メソテリン抗体若しくはその結合フラグメント並びに2つ以上のペイロードを含むイムノコンジュゲート(抗体-薬物コンジュゲート)に関する。本開示の一実施形態では、イムノコンジュゲートは、以下を含む:メソテリン中のエピトープに特異的に結合する抗原結合フラグメント、N-グリカン結合ドメイン及び式(1)の構造を有するN-グリカンを含む抗体:
【化2】
式中、「
*」は結合又は保護基を表す;
「
*」が結合を表す場合、N-グリカン中の「
*」のそれぞれに連結するリンカー;並びに
独立的にリンカーにコンジュゲートされた、同じか又は異なるペイロードA及びペイロードB。
【0043】
[0063]本開示の一実施形態において、N-グリカン、リンカー、並びにペイロードA及びBは、式(2)の構造を有する:
【化3】
【0044】
[0064]本開示のさらなる実施形態では、ペイロードA及びペイロードBは、同一又は異なる。
【0045】
[0065]本開示の実施形態によれば、抗メソテリン抗体又はその結合フラグメントは、メソテリン又はそのフラグメントを認識し、結合することができる。本明細書において、抗体という用語は最も広い意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗体フラグメント、並びに二本鎖及び単鎖抗体を包含する。また、本明細書において「抗体」という用語は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、及びメソセリンと特異的に結合する抗体も含有することが意図される。「抗体」という用語は、抗体全体を包含するが、抗体のフラグメント、例えば、抗体Fabフラグメント、F(ab’)2、切断された抗体からのFvフラグメント若しくはFcフラグメント、scFv-Fcフラグメント、ミニボディ、ダイアボディ又はscFvも含むことが意図されている。さらに、この用語は、抗体の遺伝子改変された誘導体を包含する。抗体、抗体のフラグメント及び遺伝子改変された抗体は、当技術分野で公知の方法によって得られうる。
【0046】
[0066]本明細書に記載の抗体は、N-グリカン結合ドメインを含む。一実施形態において、抗体は、重鎖定常領域を含み、N-グリカン結合ドメインは、重鎖定常領域中に位置する。いくつかの実施形態では、記載の抗体は、Fc領域のCH2定常ドメインの重鎖中にアスパラギン残基のN-グリコシル化を有する。一実施形態では、抗体は2つの重鎖と2つのN-グリカンを含み、各N-グリカンは1つの重鎖に結合している。特に、式(1)に示されるN-グリカン中の最初のGlcNAc(GlcNAc1)は、抗体に結合している。
【0047】
[0067]本開示の一実施形態では、抗体DCBPR2002の抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)及び軽鎖可変領域の相補性決定領域を含み、重鎖可変領域の相補性決定領域は、CDRH1、CDRH2及びCDRH3領域を含み、軽鎖可変領域の相補性決定領域は、CDRL1、CDRL2及びCDRL3領域を含み;CDRH1領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み;CDRH2領域は、配列番号2のアミノ酸配列を含み;CDRH3領域は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;CDRL1領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;CDRL2領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;CDRL3領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0048】
[0068]本開示の一実施形態において、抗体はマウス抗体である。マウス抗メソテリン抗体であるクローンSS1は、臨床試験において癌治療のために開発された。抗体SS1は、米国特許第7081518号に開示されているように、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0049】
[0069]SS1は、患者において強力な免疫原性と抗薬物抗体を誘導することが観察される。したがって、SS1のヒト化は、さらなる医薬品開発にとって不可欠かつ重要なステップである。ヒト化SS1 4D5(HdSS1)の調製のために、臨床において検証されたフレームワークから、ヒトのアクセプターフレームワークを選択した。本開示の一実施形態では、抗体HdSS1は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0050】
[0070]本開示のいくつかの実施形態では、抗体は、mAb SS1フレームワーク領域に対して最も高い度合いの相同性を有するヒト生殖系列VL及びVH配列を含んでいる。特に、ヒト化抗体HuSS1(DCBPR2002)は、
図1A及び1Bに示されるように、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含んでいる。
【0051】
[0071]配列を表1に示す。
【0052】
【0053】
[0073]本明細書で使用される場合、「GlcNAc1」、「GlcNAc2」、「GlcNAc3」及び「GlcNAc4」はそれぞれアンテナ型グリカン部分の異なる位置におけるGlcNAc糖を表す。
【0054】
[0074]本明細書で使用される場合、「
【化4】
」は、3つのマンノースを含むトリマンノース構造を表し、第1のマンノース(Man
1)はGlcNAc糖に連結し;第2及び第3のマンノース(Man
2及びMan
3)はそれぞれα-1,3及びα-1,6グリコシド結合を介してMan
1に連結している。
【0055】
[0075]本明細書で使用される場合、「-(Fuc)0-1」は、フコース糖が任意選択で存在することを表し、存在する場合には、フコース糖が1つだけ存在することを表す。
【0056】
[0076]本明細書に記載のN-グリカンは、式(1)の構造を有する。式(2)において示されるN-グリカン、リンカー、ペイロードA及びBを合成するプロセスは、少なくとも国際公開第2018/126092号中に見られ得る。
【0057】
[0077]本明細書において使用される場合、「-(CH2)0-8-」は、-CH2-が存在してもしなくてもよく、存在する場合には、独立的に1、2、3、4、5、6、7又は8個の-CH2-基でありうることを表す。
【0058】
[0078]いくつかの実施形態では、リンカーは、コンジュゲーターとペイロードを接続することができる機能を有する。そのようなリンカーの例には、切断不可能なリンカー及び切断可能なリンカーが含まれるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態では、切断不可能なリンカーには、2~20個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アシル、アルキルアミン、又はアリールアミン基が含まれるが、それらに限定はされない。いくつかの実施形態では、切断能なリンカーには、ジスルフィド含有リンカー、酸不安定リンカー、光不安定リンカー、ペプチダーゼ不安定リンカー、及びエステラーゼ不安定リンカーが含まれるが、これらに限定はされない。リンカーの例には、2~20個の炭素原子を有する、直鎖状若しくは分枝状のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アシル、アルキルアミン、アリールアミン基、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、カーボネート、式(3)から式(7)、ジスルフィド含有リンカー、酸不安定リンカー、光不安定リンカー、ペプチダーゼ不安定リンカー、及びエステラーゼ不安定リンカーが含まれるが、これらに限定されない。上記の例のうち複数が、任意の順序で同時に使用され得る。
【化5】
【0059】
[0079]式(3)及び式(4)において:
R
1は、独立的に、水素、ハロゲン、-OR
5、-NO
2、-CN、-S(O)
2R
5、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基及びC
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群から選択され、
アルキル基、(ヘテロ)アリール基、アルキル(ヘテロ)アリール基及び(ヘテロ)アリールアルキル基は、任意選択的に置換されており、
2つの置換基R
1は、一緒に連結して、縮環シクロアルキル又は縮環(ヘテロ)アレーン置換基を形成していてもよく、
R
5は、独立的に、水素、ハロゲン、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基、及びC
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群より選択され;
Xは、C(R
1)
2、O、S又はNR
2であり、R
2はR
1であり;aは0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;a’は0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり;a+a’<10であり;
Lは、2~20個の炭素原子を有する、直鎖状若しくは分枝状のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アシル、アルキルアミン、アリールアミン基、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、カーボネート、ジスルフィド含有リンカー、酸不安定リンカー、光不安定リンカー、ペプチダーゼ不安定リンカー、及びエステラーゼ不安定リンカー、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【化6】
【0060】
[0080]式(5)において:
R
1及びLは、式(3)及び式(4)において定義されるとおりであり;
R
3は、独立的に、水素、ハロゲン、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基及びC
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロゲン、C
1~C
24アルキル基、C
6~C
24(ヘテロ)アリール基、C
7~C
24アルキル(ヘテロ)アリール基及びC
7~C
24(ヘテロ)アリールアルキル基からなる群から選択され、アルキル基は、任意選択的にO、N及びSからなる群から選択される1つ又は複数のヘテロ原子により中断されており、アルキル基、(ヘテロ)アリール基、アルキル(ヘテロ)アリール基及び(ヘテロ)アリールアルキル基は、独立的に、任意選択的に置換されている。
【化7】
【0061】
[0081]式(6)及び(7)において、Lは式(3)及び式(4)において定義されるとおりである。
【0062】
[0082]いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートが対象における疾患の治療のために使用される場合には、したがって、ペイロードA及びBは、独立的に、治療薬でありうる。治療薬は、細胞分裂阻害性若しくは細胞障害性の薬剤、又は対応する放射性同位元素を有する同位体キレート剤であり得る。細胞分裂阻害性又は細胞障害性の薬剤の例には、代謝拮抗剤(例えば、フルオロウラシル(5-FU)、フロクスリジン(5-FUdR)、メトトレキサート、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6-TG)、メルカプトプリン(6-MP)、シタラビン、ペントスタチン、フルダラビンホスフェート、クラドリビン(2-CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、カペシチビン、アザチオプリン、シトシンメトトレキサート、トリメトプリム、ピリメタミン、又はペメトレキセド);アルキル化剤(例えば、セルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、チオテパ、イホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、マイトマイシンC、シクロホスファミド、メクロレタミン、ウラムスチン、ジブロモグラニット、テトラニトリ、プロカルバジン、アルトロタミン、ミトロミド又はテモゾロマイド);アルキル化様薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、又はトリプラチン);DNA副溝アルキル化剤(例えば、CC-1065などのデュオカルマイシン、及びその任意の類似体又は誘導体;ピロロベンゾジアザペン、又はその任意の類似体又は誘導体);アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、又はバルビシン);抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ミスラマイシン、アントラマイシン、ストレプトゾトシン、グラミシジンD、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC);カリケアマイシン;有糸分裂阻害剤(例えば、メイタンシノイド(DM1、DM3、及びDM4など)、オーリスタチン(例えば、モノメチルオーロスタチンE(MMAE)及びモノメチルオーロスタチンF(MMAF)を含む)、ドラスタチン、クリプトフィシン、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノールビン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、又は新規タキサン)、ツブリシン、及びコルヒチンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、シラテカン、コシテカン、エキサテカン、ルルトテカン、ギマテカン、ベロテカン、ルビテカン、SN38、DXd、DXd2、エトポサイド、テニポサイド、アミサクリン又はミトコトローン);HDAC阻害剤(例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、チダミド、パノビノスタット、又はベリノスタット);プロテアソーム阻害剤(例えば、ペプチジルボロン酸);並びにAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212若しくは213、P32などの放射性同位体及びLu177を含むLuの放射性同位元素が含まれるが、限定はされない。同位体キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン-N,N,N’,N’’,N’’-ペンタアセテート(DTPA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラアセテート(DOTA)、1,4,7,10-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン(THP)、トリエチレンテトラアミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサアセテート(TTHA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラキス(メチレンホスホネート)(DOTP)、及びメルカプトアセチルトリグリシン(MAG3)が含まれるが、限定はされない。
【0063】
[0083]特に、本明細書において使用される治療薬は、モノメチルアウリスタチンE、モノメチルアウリスタチンF、メイタンシノイド、デュオカルマイシン-ヒドロキシベンズアミドアザインドール、ジエチレントリアミン-N,N,N’,N’’,N’’-ペンタアセテート、エキサテカン、又はDxd2である。
【0064】
[0084]いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートが検出のために使用される場合、ペイロードA及びBは、独立して標識でありうる。標識には、直接検出される標識若しくは部分(蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、放射性標識など)、並びに酵素若しくはリガンドなど、例えば、酵素反応若しくは分子相互作用によって間接的に検出される部分が含まれるが、これらに限定はされない。例示的な標識には、放射性同位体のP32、C14、I125、H3、及びI131、希土類キレート若しくはフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどの蛍光体、ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタレンジオン、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、若しくはマイクロペルオキシダーゼなどの色素前駆体を酸化する過酸化水素を用いる酵素と結合したウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなどの複素環オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカルなどが含まれるが、これらに限定はされない。別の実施形態では、標識は陽電子放出体である。陽電子放出体には、Ga68、F18、Cu64、Y86、Br76、Zr89、及びI124が含まれるが、これらに限定はされない。
【0065】
[0085]本開示のいくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートは、ペイロードA及びB並びにリンカーで完全に装填されていなくてもよく、N-グリカンは保護基と直接結合していてもよい。保護基は、治療薬又は標識でさらに置換されうる。保護基の一例はアジドである。
【0066】
[0086]本開示の一実施形態は、本開示のイムノコンジュゲートと、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0067】
[0087]本開示の一実施形態は、本開示のイムノコンジュゲートを用いて疾患又は障害を治療する方法に関するものである。疾患は癌でありうる。特に癌は、メソテリンを発現する癌である。「メソテリンを発現する癌」とは、メソテリンを発現している細胞を持つ癌全般を指す。メソテリンは一般に、肺、胸膜、卵巣、乳房、胃、胆管、子宮、及び胸腺に関連する腫瘍を含む固形腫瘍に発現している。よって、メソテリンを発現する癌の例には、卵巣癌、中皮腫、膵臓癌、非小細胞肺癌、食道癌、胃癌、胆道癌、大腸癌、子宮内膜癌、及び乳癌が含まれるが、これらに限定はされない。特に癌は、卵巣癌である。
【0068】
[0088]いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートは、インビボ薬物動態プロファイルに基づき、ランダムコンジュゲーションイムノコンジュゲートよりも比較的安定なコンジュゲーション結合を示す。
【0069】
[0089]いくつかの実施形態において、N-グリカンを有するイムノコンジュゲートは、ゼノグラフト動物モデルにおいてランダムコンジュゲーションイムノコンジュゲートよりも優れた有効性を示す。
【0070】
[0090]本開示の実施形態について、以下の具体例を用いて説明する。当業者であれば、これらの例は説明のためのみのものであり、本開示の範囲を逸脱することなく他の改変及び変形が可能であることを理解する。
【実施例】
【0071】
[0091]特に断りのない限り、各1H NMRデータは500MHzで得られたものである。本明細書で使用される略語は、別段の指定がない限り、以下のとおりである:Az:アジド;Bu:ブチル;Bn:ベンジル;BOC:t-ブチルオキシカルボニル;BOP:ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリ/ジメチルアミノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;DBCO:ジベンゾシクロオクチン基;DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド;DCM:ジクロロメタン;DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;DMAP:4-ジメチルアミノピリジン;EDC:1-(3-ジメチルアミノプロピル)3-エチルカルボジイミド塩酸塩;EtOAc:酢酸エチル;eq.:当量(複数可);GlcNAc:N-アセチルグルコサミン;GlcNAz:アジド-N-アセチルグルコサミン;HBTU:3-[ビス(ジメチルアミノ)メチルイウミル]-3H-ベンゾトリアゾール-1-オキシドヘキサフルオロホスフェート;ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム;HOBt:ヒドロキシベンズトリアゾール;HOSu:N-ヒドロキシスクシンイミド;HATU:1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート;ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム;LAH:水素化アルミニウムリチウム;MeOH:メタノール;MES:4-モルホリンエタンスルホン酸;MGAT-1:マンノシル(α-1,3-)-糖タンパク質β-1,2-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ;MGAT-2:マンノシル(α-1,6-)-糖タンパク質β-1,2-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ;MHz:メガヘルツ;MMAE:モノメチルアウリスタチンE;MS(ES):質量分析-エレクトロスプレー;NMP:N-メチルピロリジノン;Ph:フェニル;Pr:プロピル;TEA:トリエチルアミン;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフラン;TLC:薄層クロマトグラフィー;Tetrakis:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム;UDP:ウリジン二リン酸。
【0072】
[0092]実施例1 抗メソテリンSS1、mAbのヒト化
【0073】
[0093]ヒトV領域フレームワーク配列の選択:
[0094]親抗体として米国特許第7,081,518号に配列が開示されているマウスモノクローナル抗体SS1を使用して、カバット(Kabat)の定義によるSS1 mAb CDR配列を
図1Aに記載した(配列番号7及び8)。
【0074】
[0095]ヒト化SS1 4D5(HdSS1)の調製のために、臨床において検証されたフレームワークから、ヒトのアクセプターフレームワークを選択した。VHサブグループIII、IGHV3-66*04及びVLκサブグループI、IGKV1-39*01のヒト重鎖及び軽鎖フレームワーク配列は、臨床において検証されており、また、多くのヒト化抗体にも使用されて、成功を収めている。
【0075】
[0096]
図1Aに示されているように、IGHV3-66
*04重鎖フレームワーク領域の配列は、mAb SS1のものとは35アミノ酸(下線の残基)だけ異なっており、これは、42.68%(フレームワーク領域中の総残基数82のうちの35残基)の変動に相当する。さらに、IGKV1-39
*01(VL)軽鎖フレームワーク領域の配列は、25アミノ酸(下線の残基)だけmAb SS1のものと異なっており、これは、30.86%(フレームワーク領域中の総残基数81のうちの25残基)の変動に相当する。
【0076】
[0097]ヒト化SS1 IMGT(HuSS1)の調製のために、mAb SS1フレームワーク領域との相同性が最も高いヒト生殖系列VL及びVH配列をIMGTデータベース(International Immunogenetics Information System(登録商標))から同定した。相同性検索は、BLAST又は同様な方法で実行されうる。これらの研究により、ヒト生殖系列遺伝子IGHV1-2*02(VH)及びIGVK3-11*01(VL)が、mAb SS1の対応する重鎖及び軽鎖フレームワーク配列に最も相同なVH及びVL配列として、それぞれ同定された。
【0077】
[0098]
図1Bに示されているように、IGHV1-2
*02重鎖フレームワーク領域の配列は、mAb SS1のものとは25アミノ酸(下線の残基)だけ異なっており、これは、30.49%(フレームワーク領域中の総残基数82のうちの25残基)の変動に相当する。
図1Bに示されているように、IGVK3-11
*01(VL)軽鎖フレームワーク領域の配列は、27アミノ酸(下線の残基)だけmAb SS1のものと異なっており、これは、33.33%(フレームワーク領域中の総残基数81のうちの27残基)の変動に相当する。
【0078】
[0099]これらの2対の軽鎖及び重鎖配列(hum 4D5及びhum IMGT)をヒトメソテリンに対するヒト化抗体の構築のための例として使用した。(配列番号9、10、11、及び12)
【0079】
[0100]実施例2 ヒト化抗体の結合親和性分析
【0080】
[0101]全長抗体の発現
[0102]マウス抗体をヒト化した後の親和性の変化を確認するため、IMGT版及び4D5版のヒト化軽鎖及びヒト化重鎖の可変領域をそれぞれヌクレオチド合成法によって直接的に生成した。
図2に示されているように、マウス可変領域、IMGTのヒト化版(配列番号11及び12)及び4D5(配列番号9及び10)可変領域をヒトFcキメラ抗体発現ベクターpTCAE8にサブクローニングし、宿主細胞に導入して、組換え抗体発現細胞を調製した。発現用の宿主細胞として、FreeStyle293細胞(Invitrogen製)を用いた。
【0081】
[0103]このように構築されたベクターを30ml体積のフリースタイル(FreeStyle)(商標)293細胞の懸濁液にトランスフェクトするために、以下の手順が使用される。トランスフェクションの間、細胞はフリースタイル(商標)293 Expression Medium中に保持されうる。トランスフェクションの約24時間前に、フリースタイル(商標)293細胞を15mlの2×106細胞/mlで継代した。(1つ又は複数の)フラスコを8%のCO2を含む37℃のインキュベーターに入れた。次に、37.5μgのプラスミドDNAを1.5mlの滅菌150mM NaCl中に希釈して、総量を1.5mlとした。別のチューブで、37.5μlのPEI(2.0mg/ml)を1.5mlの滅菌150mM NaClで希釈した。DNA及びPEI溶液を室温において5分間静置した。チューブを反転させて溶液を穏やかに混合し、その後、室温で10~20分程度放置した。DNA-PEI混合物をF293細胞に添加し、トランスフェクトした細胞を37℃、8%CO2のインキュベーター中、135~150rpmで回転するオービタルシェーカープラットフォーム上で4時間インキュベートした。その後、等量の新鮮な培養培地を加えて、総量を30mlとし、細胞を5~7日間培養した。次いで、抗体の精製及び定量化のために細胞を回収した。
【0082】
[0104]回収した上清を0.2μmフィルター(Millipore製)で濾過して、夾雑物を除去した。プロテインA(Millipore製)、1.5M Glycine/NaOHバッファー、3M NaCl,(pH9.0)を吸収バッファーとして使用し、0.2M Glycine/HClバッファー(pH2.5)を溶出バッファーとして使用して、抗体を含む培養上清をアフィニティー精製した。溶出画分は1M Tris/HClバッファー(pH9.0)を加えることによってpH6.0~7.0付近に調整した。調製した抗体溶液を透析膜(10,000MWカット、Spectrum Laboratories製)を用いてPBSで置換し、ポアサイズ0.22μmのメンブレンフィルター(Millipore製)で濾過滅菌して、精製抗体を得た。精製された抗体の濃度は、280nmでの吸光度を測定することによって決定し、1mg/mlに等しい1.45の最適密度に基づいて測定値を換算した。
【0083】
[0105]ELISAによる抗体結合親和性の測定
[0106]ELISAプレートに1ウェルあたり1~2μg/100μlのメソテリンタンパク質をコーティングした。ウェルをPBSで3回洗浄し、37℃で2時間、1ウェルあたり300μlの5% MPBSによりブロッキングした。PBSで洗浄した後、ウェルを5%のMPBSで連続希釈したメソテリン抗体と共に37℃で1.5時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ヤギポリクローナル抗ヒトIgG-HRP抗体(1:10,000)(Jackson ImmunoResearch)を各ウェルに添加した。吸光度を上記のようにして測定し、抗体の結合親和性を、Prismソフトウェア(GraphPad)を使用して非線形回帰によって計算した。
【0084】
[0107]mAb SS1のCDR配列をIGHV3-66
*04及びIGVK1-39
*01配列に移植することによって生成されたHdSS1(HH)は、フレームワーク領域における変動の度合いが高く、メソテリンに対してはるかに低い親和性を示す(KD=2.61E-08M)(比較のために、mAB SS1ではKD=8.36E-11M)(
図3)、(以下の表2)。
【0085】
[0108]HdSS1とは対照的に、mAb SS1のCDR配列をIGHV1-2
*02及びIGVK3-11
*01配列に移植することによって生成されたHuSS1(HH)は、フレームワーク領域における変動の度合いが高いが、メソテリンに対する比較的良好な親和性を有している(KD=4.99E-11M)(比較のために、mAB SS1ではKD=8.36E-11M)(
図3)(以下の表2)。
【0086】
[0109]これらの結果は、IGHV1-2*02重鎖フレームワーク領域及びIGVK3-11*01軽鎖フレームワーク領域が、CDR領域のコンフォメーションに影響を与えることなく、比較的高い度合いの変動を許容することに優れていることを示唆している。
【0087】
【0088】
[0111]BIAcoreを使用した親和性測定と速度論的分析
[0112]個々の抗体間の結合動態の違いを知るために、BIAcore T200(Cytiva Inc.)による表面プラズモン共鳴(SPR)測定を以前に記載されたようにして使用した(Karlsson & Falt、(1997年)J.Immunol Methods 200:121-133)。サプライヤーの指示に従い、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、Cytiva Inc.)をN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化した。メソセリンタンパク質を10mMの酢酸ナトリウム、pH4.0で5μg/mlに希釈してから10μL/分の流速で注入し、結合タンパク質が約1500反応単位(RU)に達した後に1Mのエタノールアミンの注入により未反応基をブロックした。動態測定のために、抗メソテリンmAb(0.3125nM~40nM)の2倍連続希釈をメーカー(Cytiva Inc.)によって提供されたHBS-EP+ Biacoreランニングバッファーに加えて25℃、流速30μL/分で注入し、ブランクフローセルに対する反応を減算することによって、メソテリンタンパク質に対する結合反応を補正した。結合速度(kon又はka)と解離速度(koff又はkd)は、konとkoffを別々にフィッティングしたシンプルな1対1のラングミュア結合モデルを用いて計算した。(サイティバ(Cytiva)(商標)Biacore Insight Evaluation Software)。
【0089】
[0113]結果を
図4及び表3(下図)に示す。メソテリンと結合するキメラSS1 mAbのkon及びkoffは、それぞれ3.415E6及び1.194E-5であり、KDは3.496E-12mol/Lである。HuSS1mAb(IMGT版)のメソテリン結合のkon及びkoffはそれぞれ、4.493E6及び1.124E-5であり、KDは2.501E-12である。
【0090】
[0114]
図4の結果から、ヒト化抗体HuSS1(DCBPR2002)は、ヒトメソテリンタンパク質を認識することができ、ヒト化後のIMGT版の親和性は、マウスSS1抗体のものと同様であり、約2.501E-12のKD値という好ましい親和性を有することが示唆される。
【0091】
【0092】
[0116]実施例3 トリマンノシル-DCBPR2002(DCBPR2002-TM)の調製)
【0093】
[0117]DCBPR2002からN-グリカンのガラクトース及びシアル酸部分を除去するために、10mgのDCBPR2002を20μlのβ1,4-Galactosidase(NEB、P0745L、8ユニット/μl)及び5μlのα2-3,6,8 neuraminidase(NEB、P0720L、50ユニット/μl)を1×GlycoBuffer(NEB、総体積1mL)中、37℃で24時間処理した。反応物にさらにβ1,4-Galactosidase(NEB、P0745L、8ユニット/μl)を10μl加え、37℃でさらに24時間反応を行わせて、G0F/G0抗体サンプルを得た。抗体サンプルをrProtein A Sepharose Fast Flow(GE Healthcare、17-1279-02)を使用して精製した。精製後、抗体サンプルを還元マスクロマトグラフィー分析に供した。
【0094】
[0118]DCBPR2002-2Azの調製(
図21A)
[0119]MGAT-1は、UDP-アジド-N-アセチルグルコサミンをトリマンノシルコアタンパク質の各アームの末端マンノースの1つに転移させる。この現象を抗体で確認するために、トリマンノシル-DCBPR2002(5mg)とUDP-GlcNAz(最終濃度2.5mg)を1000μlの1×バッファーSP(25mM MES(4-モルホリンエタンスルホン酸)、10mM MnCl
2、pH6.5)中、MGAT-1(0.1mg;R&D,8334-GT又は自家製)の存在下、37℃で16時間インキュベートした。生成物のDCBPR2002-2Azを還元マスクロマトグラフィー分析に供した。
【0095】
[0120]DCBPR2002-4Azの調製(
図21B)
[0121]800μlの1×バッファーSP(25mM MES、10mM MnCl
2、pH6.5)中のトリマンノシル-DCBPR2002(5mg)及びUDP-GlcNAz(2.5mg)をウサギMGAT-1(0.2mg)及びラットMGAT-2(0.05mg)の存在下、37℃で16時間インキュベートした。インキュベーション後、反応生成物のDCBPR2002-4Azを還元マスクロマトグラフィー分析及びインタクトマスクロマトグラフィー分析に供した。
【0096】
[0122]実施例4:DBCO-vc-MMAE(化合物5)の調製
【0097】
【0098】
[0124]DBCO-CO2H(1)(200mg、1eq)、EDC(226mg、3eq)、HOSu(376mg、3eq)の混合物をジクロロメタン(5mL)に溶かし、室温で3時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をジクロロメタン及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去し、さらに精製することなく、化合物2を得た。
【0099】
[0125]ジクロロメタン(5mL)中の化合物2(1eq)及び3-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパン酸(174mg、1.2eq)の混合物にDIPEA(170mg、2eq)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をジクロロメタン及び1N HCl(aq)で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、褐色液体の化合物3を得た(収率54%)。1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 7.69 (dd, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.53 -7.44 (m, 3H), 7.39 (td, J = 7.5, 1.6 Hz, 1H), 7.35 (td, J = 7.5, 1.3 Hz, 1H),7.30 (dd, J = 7.4, 1.6 Hz, 1H), 5.04 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.62 (d, J = 14.0Hz, 1H), 3.58 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.48 - 3.43 (m, 8H), 3.29 (dd, J = 5.9, 2.3Hz, 2H), 3.13 - 3.04 (m, 2H), 2.61 - 2.55 (m, 1H), 2.42 (t, J = 6.4 Hz, 2H),2.24 (dt, J = 15.5, 7.8 Hz, 1H), 2.00 (ddd, J = 15.4, 8.2, 5.7 Hz, 1H), 1.76(ddd, J = 16.3, 8.0, 5.7 Hz, 1H).LC-MS(ESI): m/z [C28H32N2O7]の計算値509.2 [M +1]+, 実測値509.2[M +1]+.
【0100】
[0126]DBCO-vc-MMAE(化合物5)の合成
【化9】
【0101】
[0127]2:1のDCM:DMF(6mL)中の化合物3(286mg、1eq)、vc-MMAE(化合物4)(630mg、1.1eq)及びHATU(428mg、2eq)の混合物にDIPEA(145mg、2eq)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をジクロロメタン及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色固体の化合物5を得た(収率71%)。1H NMR (600 MHz, MeOD) δ 7.66 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 3.5 Hz, 3H), 7.51 - 7.44 (m,3H), 7.42 - 7.37 (m, 3H), 7.33 (dt, J = 15.5, 8.2 Hz, 5H), 7.26 (d, J = 7.3 Hz,1H), 7.23 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 5.23 - 5.07 (m, 3H), 4.71 - 4.48 (m, 4H), 4.29 -4.15 (m, 4H), 3.75 - 3.69 (m, 3H), 3.63 - 3.54 (m, 8H), 3.46 - 3.39 (m, 3H),3.36 (s, 4H), 3.30 (d, J = 16.5 Hz, 3H), 3.26 - 3.23 (m, 2H), 3.23 - 3.16 (m,2H), 3.12 (s, 2H), 2.96 (dd, J = 17.0, 10.0 Hz, 3H), 2.75 - 2.68 (m, 1H), 2.57- 2.46 (m, 4H), 2.38 (dt, J = 15.0, 7.5 Hz, 1H), 2.28 - 2.04 (m, 5H), 2.04 -1.66 (m, 8H), 1.66 - 1.49 (m, 4H), 1.45 (d, J = 29.4 Hz, 2H), 1.19 (dd, J =6.6, 3.0 Hz, 3H), 1.15 (dd, J = 12.8, 6.8 Hz, 3H), 1.03 - 0.70 (m, 24H).
【0102】
[0128]実施例5 DBCO-S-DM1(化合物11)の調製
【0103】
【0104】
[0130]メタノール(10mL)中の4-メルカプトブタン酸(0.5g、1eq)の溶液に1,2-ジ(ピリジン-2-イル)ジスルファン(1.83g、2eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をヘキサン/酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、無色液体の化合物6を得た(収率14%)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 8.49 (ddd, J = 4.8, 1.8, 0.9 Hz, 1H), 7.72 (dt, J = 8.1, 1.0 Hz,1H), 7.69 - 7.61 (m, 1H), 7.12 (ddd, J = 7.3, 4.9, 1.1 Hz, 1H), 2.88 (t, J =7.1 Hz, 2H), 2.53 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.07 (p, J = 7.2 Hz, 2H).
【0105】
[0131]DCM(5mL)中の化合物6(286mg、1eq)、vc-MMAE(4)(630mg、1.1eq)及びHATU(428mg、2eq)の混合物にDIPEA(145mg、2eq)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をジクロロメタン及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色固体の化合物7を得た(収率71%)。1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 7.18 (d, J = 1.5Hz, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.62 - 6.56 (m, 1H), 6.56 - 6.52 (m, 1H), 5.94 (s, 1H),5.56 (dd, J = 14.8, 9.0 Hz, 1H), 5.31 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 4.52 (dd, J = 12.0,2.7 Hz, 1H), 4.06 (t, J = 12.3 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.52 - 3.45 (m, 2H), 3.25(s, 3H), 3.13 (s, 3H), 2.93 - 2.78 (m, 4H), 2.72 (s, 3H), 2.21 (t, J = 7.2 Hz,2H), 2.04 (dd, J = 14.4, 2.4 Hz, 1H), 1.69 (p, J = 7.4 Hz, 2H), 1.59 (s, 3H),1.50 - 1.40 (m, 2H), 1.14 (dd, J = 28.7, 6.6 Hz, 6H), 0.97 (d, J = 6.4 Hz, 6H),0.78 (s, 3H).
【0106】
【0107】
[0133]DMF(8mL)中の化合物1(0.5g、1eq)及び化合物8(0.62g、1.3eq)の混合物にHBTU(0.92g、1.5eq)及びDIPEA(0.57mL、2eq)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を酢酸エチル及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、オレンジ色液体の化合物9を得た(収率76%)。LC-MS(ESI): m/z [C32H41N3O7]の計算値579.68 [M +1]+, 実測値479.95[M +1]+.
【0108】
[0134]化合物10の合成
[0135]ジクロロメタン(15mL)中の化合物9(0.72g、1eq)の溶液に、氷浴下でTFA(2.85mL)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、褐色固体の化合物10を得た(収率69%)。H NMR (600 MHz, DMSO) δ 7.78 - 7.74 (m, 2H),7.69 - 7.66 (m, 1H), 7.62 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.52 - 7.45 (m, 2H), 7.40 - 7.33(m, 2H), 7.30 (dd, J = 7.4, 1.2 Hz, 1H), 5.03 (d, J = 14.1 Hz, 1H), 3.62 (d, J= 14.0 Hz, 1H), 3.57 - 3.53 (m, 6H), 3.49 - 3.44 (m, 6H), 3.30 (td, J = 6.0,1.8 Hz, 2H), 3.12 - 3.04 (m, 2H), 2.96 (dd, J = 10.7, 5.5 Hz, 2H), 2.59 (ddd, J= 24.2, 9.8, 4.7 Hz, 1H), 2.23 (dt, J = 15.4, 7.6 Hz, 1H), 2.04 - 1.96 (m, 1H),1.76 (ddd, J = 16.4, 8.0, 5.8 Hz, 1H). LC-MS(ESI): m/z [C27H33N3O5]の計算値479.57 [M +1]+, 実測値480.1 [M +1]+.
【0109】
[0136]DBCO-S-DM1(化合物11)の合成
【化12】
【0110】
[0137]DMF(7mL)中の化合物7(70mg、1eq)及び化合物10(100mg、0.9eq)の混合物にHBTU(77mg、1.5eq)及びDIPEA(0.047mL、2eq)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を酢酸エチル及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、オレンジ色固体の化合物11を得た(DBCO-S-DM1)(収率54%)。1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 7.86 (t, J = 5.6Hz, 1H), 7.76 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.70 - 7.66 (m, 1H), 7.62 (d, J = 7.3 Hz,1H), 7.52 - 7.43 (m, 2H), 7.40 - 7.32 (m, 2H), 7.29 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.17(s, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.63 - 6.56 (m, 1H), 6.55 - 6.52 (m, 1H), 5.94 (s, 1H),5.56 (dd, J = 14.8, 9.0 Hz, 1H), 5.31 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 5.02 (d, J = 14.0Hz, 1H), 4.52 (dd, J = 12.1, 2.7 Hz, 1H), 4.06 (t, J = 12.3 Hz, 1H), 3.93 (d, J= 8.8 Hz, 3H), 3.61 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.47 (s, 9H), 3.37 (t, J = 5.9 Hz,2H), 3.29 (td, J = 5.9, 2.2 Hz, 2H), 3.24 (s, 3H), 3.17 (dt, J = 11.6, 9.2 Hz,3H), 3.12 (s, 2H), 3.10 - 3.02 (m, 2H), 2.88 (ddd, J = 15.9, 12.2, 5.3 Hz, 2H),2.84 - 2.81 (m, 1H), 2.81 - 2.78 (m, 1H), 2.71 (s, 2H), 2.60 - 2.53 (m, 2H),2.53 - 2.51 (m, 5H), 2.48 - 2.44 (m, 3H), 2.23 (dt, J = 15.5, 7.8 Hz, 1H), 2.07(td, J = 7.0, 2.7 Hz, 2H), 2.00 (ddd, J = 15.3, 12.4, 8.4 Hz, 2H), 1.76 (ddd, J= 16.4, 7.9, 5.7 Hz, 1H), 1.71 - 1.65 (m, 2H), 1.59 (s, 2H), 1.50 - 1.41 (m,2H), 1.24 (dd, J = 6.9, 5.8 Hz, 2H), 1.17 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.12 (d, J = 6.4Hz, 3H), 0.84 (ddd, J = 13.1, 9.9, 6.7 Hz, 1H), 0.78 (s, 2H). LC-MS(ESI): m/z[C66H85ClN6O16S2]の計算値1317.99 [M +1]+, 実測値1299.41 [M-18]+.
【0111】
[0138]実施例6 DBCO-vc-seco DUBA(化合物20)の調製
【0112】
[0139]化合物12の合成
[0140]化合物12は、Beusker,P.H.(Mol.Pharmaceutics 2015年、12、1813-1835)に記載されているとおりに調製した。
【0113】
【0114】
[0142]THF(40mL)中の化合物12(0.805g、1eq)の溶液に、氷浴下でビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(0.858g、2eq)及びトリメチルアミン(0.983mL、5eq)を加えた。反応混合物を室温で8時間撹拌し、次いで化合物13(1.85g、5eq)を氷浴下で反応混合物に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物14を得た(収率21.7%)。1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 10.33 (s, 1H), 9.47(s, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.40 - 8.31 (m, 1H), 7.99 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.74 (d,J = 9.6 Hz, 2H), 7.58 (d, J = 11.7 Hz, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 7.18(d, J = 8.8 Hz, 2H), 5.30 (s, 2H), 5.16 (t, J = 4.2 Hz, 1H), 4.69 - 4.61 (m,2H), 4.47 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 3.83 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 3.80 - 3.64 (m, 3H),3.64 - 3.60 (m, 1H), 3.60 - 3.51 (m, 4H), 3.52 - 3.43 (m, 3H), 3.41 (s, 4H),3.33 (s, 1H), 2.96 - 2.92 (m, 1H), 2.88 - 2.81 (m, 3H), 2.81 - 2.73 (m, 2H),1.47 - 1.21 (m, 9H). LC-MS(ESI): m/z [C44H51ClN6O10]の計算値859.36 [M +1]+, 実測値859.7 [M +1]+.
【0115】
【0116】
[0144]DMF(4mL)中の化合物1(0.3g、1eq)、HBTU(0.56g、1.5eq)、2-(2-アミノエトキシ)エタン-1-オール(0.12g、1.2eq)の混合物に氷浴下でDIPEA(0.34mL、2eq)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を酢酸エチル及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物15を得た(収率70%)。1H NMR (600 MHz, MeOD) δ 7.55 (d, J = 7.4Hz, 1H), 7.51 - 7.47 (m, 1H), 7.38 - 7.33 (m, 3H), 7.24 (dtd, J = 22.1, 7.5,1.2 Hz, 2H), 7.14 (dd, J = 7.5, 1.4 Hz, 1H), 5.02 (t, J = 10.9 Hz, 1H), 3.66 -3.56 (m, 2H), 3.56 - 3.50 (m, 2H), 3.39 - 3.36 (m, 2H), 3.36 - 3.28 (m, 2H),3.16 - 3.11 (m, 2H), 2.59 (dt, J = 16.4, 7.6 Hz, 1H), 2.25 (dt, J = 15.1, 7.5Hz, 1H), 2.10 - 2.01 (m, 1H), 1.90 - 1.82 (m, 1H). LC-MS(ESI): m/z [C23H24N2O4]の計算値392.45 [M +1]+, 実測値393.39 [M +1]+.
【0117】
[0145]化合物16の合成
[0146]DMF/CH2Cl2(6/2mL)中の化合物15(0.2g、1eq)の溶液にビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(0.47g、3eq)及びDIPEA(0.2mL、3eq)を不活性雰囲気下で添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を酢酸エチル及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を組み合わせて、減圧下で除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物16を得た(収率70%)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 8.30 - 8.27 (m,2H), 7.70 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.53 - 7.50 (m, 1H), 7.44 - 7.38 (m, 5H), 7.37(dd, J = 7.5, 1.4 Hz, 1H), 7.32 (td, J = 7.5, 0.8 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 1.2 Hz,1H), 5.17 (d, J = 13.9 Hz, 1H), 4.43 (t, J = 4.6 Hz, 2H), 3.81 - 3.72 (m, 2H),3.69 (d, J = 13.9 Hz, 1H), 3.57 - 3.44 (m, 2H), 3.43 - 3.32 (m, 2H), 2.83 (ddd,J = 16.9, 8.6, 5.9 Hz, 1H), 2.45 (ddd, J = 14.7, 8.6, 5.8 Hz, 1H), 2.21 (dt, J= 15.2, 6.1 Hz, 1H), 1.97 (dt, J = 17.0, 6.1 Hz, 1H). LC-MS(ESI): m/z [C30H27N3O8]の計算値557.55 [M +1]+, 実測値558.58 [M +1]+.
【0118】
[0147]化合物18の合成
[0148]DMF(5mL)中の化合物16(0.2g、1eq)、化合物17(0.2g、1.5eq)及びHOBt(0.11g、2.2eq)の混合物にDIPEA(0.134mL、2.2eq)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を酢酸エチル及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を組み合わせて、減圧下で除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物18を得た(収率36%)。
【0119】
[0149]化合物19の合成
[0150]DMF(3mL)中の化合物18(0.05g、1eq)の溶液にビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(0.08g、3eq)及びDIPEA(0.043mL、3eq)を不活性雰囲気下で添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を酢酸エチル及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を組み合わせて、減圧下で除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物19を得た(収率33%)。
【0120】
[0151]DBCO-vc-seco DUBA(化合物20)の合成
【化15】
【0121】
[0152]CH2Cl2(11.2mL)中の化合物14(0.263g、1eq)の溶液に、氷浴下でTFA(11.2mL、3eq)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をDMF(7.6mL)中に溶解させた。化合物19(0.324g、1.1eq)及びTEA(0.21mL、5eq)を氷浴下で混合物に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をジクロロメタン及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物20(DBCO-vc-seco DUBA)を得た(収率55.2%)。
【0122】
[0153]実施例7 DBCO-DTPA(化合物22)の合成
【化16】
【0123】
[0154]化合物21の合成
[0155]ジクロロメタン(5mL)中のDBCO-CO2H(1)(200mg、1eq)、EDC(376mg、3eq)の混合物にHOSu(226mg、3eq)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をDCM及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去し、淡黄色の液体を得た。
[0156]黄色の液体をジクロロメタン中のエチレンジアミンの溶液に20分間かけて滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をDCM及びNaHCO3(aq.)で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色の油を得た(収率:58.9%)。1H NMR (600 MHz, MeOD) δ 7.63 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.61 - 7.56 (m, 1H), 7.47 - 7.41 (m, 3H),7.32 (dtd, J = 23.9, 7.5, 1.2 Hz, 2H), 7.23 (dd, J = 7.5, 1.3 Hz, 1H), 5.08 (d,J = 14.0 Hz, 1H), 3.63 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.14 (dtd, J = 19.7, 13.5, 6.2 Hz,2H), 2.74 (ddd, J = 16.6, 8.0, 6.8 Hz, 1H), 2.68 - 2.54 (m, 2H), 2.31 (ddd, J =14.8, 8.0, 6.6 Hz, 1H), 2.16 (dt, J = 15.2, 6.5 Hz, 1H), 1.95 (dt, J = 16.7,6.4 Hz, 1H) . LC-MS (ESI): m/z [C21H21N3O2]の計算値348.16 [M +1]+, 実測値348.03 [M +1]+.
[0157]DBCO-DTPA(化合物22)の合成
[0158]3:1のH2O:DMF(3mL)中の化合物21(13mg、1eq)の溶液に、市販のDTPA(26mg、1.1eq)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をジクロロメタン及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去し、黄色固体のDBCO-DTPA(20mg)を得た。LC-MS (ESI): m/z [C43H49N7O12S]の計算値888.32 [M +1]+, 実測値888.47 [M +1]+.
【0124】
[0159]実施例8 DBCO-PEG3-vc-エキサテカン(化合物25)の合成
【化17】
【0125】
[0160]化合物23の合成
[0161]DMF(3mL)中のエキサテカンメシレート(0.11g、1.1eq)とFmoc-vc-PAB-PNP(0.144g、1eq)の混合物にDIPEA(0.082mL、2.5eq)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応終了後、減圧下でDMFを除去した。残留物をジエチルエーテル及びジクロロメタンで洗浄して、さらに精製することなく、0.2gの灰色固体(化合物23)を得た。
[0162]化合物24の合成
[0163]DMF(3mL)中の化合物23の溶液にジエチルアミン(0.082mL、2.5eq)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応終了後、減圧下でDMFを除去した。残留物をジエチルエーテル及びジクロロメタンで洗浄して、さらに精製することなく、0.14gの黒色固体(化合物24)を得た。1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 10.18 (s, 1H), 8.45 (s, 1H), 8.08 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.96 (s,1H), 7.79 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 8.4 Hz,2H), 7.32 (s, 1H), 6.55 (s, 1H), 6.03 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 5.46 (s, 2H), 5.45(s, 2H), 5.34 - 5.22 (m, 3H), 5.14 - 5.04 (m, 2H), 4.54 - 4.45 (m, 1H), 4.13(dt, J = 6.9, 6.2 Hz, 1H), 3.28 - 3.21 (m, 1H), 3.19 - 3.15 (m, 1H), 3.15 -3.07 (m, 1H), 3.06 - 3.00 (m, 1H), 2.98 - 2.93 (m, 1H), 2.39 - 2.35 (m, 3H),2.25 - 2.18 (m, 1H), 2.18 - 2.11 (m, 1H), 2.04 - 1.98 (m, 1H), 1.93 - 1.83 (m,2H), 1.74 - 1.67 (m, 1H), 1.64 - 1.56 (m, 1H), 1.50 - 1.42 (m, 1H), 1.42 - 1.34(m, 1H), 0.96 - 0.91 (m, 3H), 0.91 - 0.85 (m, 6H). LC-MS (ESI): m/z [C43H49FN8O9]の計算値841.36 [M +1]+, 実測値841.34 [M +1]+.
【0126】
[0164]化合物25の合成
[0165]2:1のDCM:DMF(3mL)中の化合物3(13mg、1eq)、化合物24(33mg、1.5eq)及びHATU(30mg、3eq)の混合物にDIPEA(13.7uL、3eq)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をDCM及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンによるカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色固体の化合物25を得た(収率66.7%)。1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 10.00 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.47 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 8.14 (d, J =7.7 Hz, 1H), 8.07 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.82 - 7.74(m, 2H), 7.68 (dd, J = 7.6, 1.0 Hz, 1H), 7.64 - 7.60 (m, 2H), 7.52 - 7.43 (m,3H), 7.37 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.35 - 7.27 (m, 2H), 6.54 (s, 1H), 5.99 (t, J =7.1 Hz, 1H), 5.45 (s, 1H), 5.43 (s, 2H), 5.32 - 5.27 (m, 2H), 5.10 - 5.06 (m,1H), 5.02 (d, J = 14.1 Hz, 1H), 4.38 (dd, J = 13.0, 7.7 Hz, 1H), 4.26 - 4.20(m, 1H), 3.64 - 3.56 (m, 3H), 3.51 - 3.41 (m, 7H), 3.31 - 3.19 (m, 4H), 3.18 -2.91 (m, 6H), 2.62 (dt, J = 3.6, 1.8 Hz, 1H), 2.61 - 2.54 (m, 1H), 2.40 - 2.33(m, 4H), 2.27 - 2.11 (m, 3H), 2.03 - 1.92 (m, 2H), 1.91 - 1.81 (m, 2H), 1.80 -1.65 (m, 3H), 1.63 - 1.59 (m, 1H), 1.59 - 1.54 (m, 1H), 1.52 - 1.40 (m, 2H),1.38 - 1.32 (m, 1H), 0.91 - 0.79 (m, 9H) . LC-MS(ESI): m/z [C71H79FN10O15]の計算値1331.57 [M +1]+, 実測値1331.72 [M+1]+.
【0127】
[0166]実施例9 DBCO-PEG3-GGFG-エキサテカン(化合物29)の合成
【化18】
【0128】
[0167]化合物27の合成
[0168]ジクロロメタン(18mL)中のEDCI(273mg、1.5eq)及びHOSu(164mg、1.5eq)の混合物に市販のBoc-GGFG-OH(化合物26)(415mg、1eq)を加えた。混合物を室温で3.5時間撹拌した。反応混合物をエキサテカンメシレート(343mg、0.83eq)とトリエチルアミン(0.2mL、1.5eq)の混合DMF溶液に滴下して加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色固体の化合物27を得た(507mg、収率63%)。LC-MS(ESI): m/z [C44H48FN7O10]の計算値853.91 [M +1]+, 実測値854.35 [M +1]+.875.91[M + Na]+ , 実測値875.52[M + Na]+.
【0129】
[0169]化合物28の合成
[0170]ジクロロメタン(4mL)中の化合物27(507mg、1eq)の溶液にトリフルオロ酢酸(4mL)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をジクロロメタンで洗浄し、黄色固体の化合物28を得た(378mg、収率85%)。LC-MS(ESI): m/z [C39H40FN7O8]の計算値753.79 [M +1]+, 実測値754.18 [M +1]+.
【0130】
[0171]化合物29の合成
[0172]DMF(1mL)中の化合物28(40mg、1eq)の溶液にDIPEA(0.18mL、20eq)を添加した。反応混合物を氷浴下で15分間撹拌した。反応混合物を化合物3(48mg、1.2eq)とHBTU(30mg、1.5eq)の混合DMF溶液(1mL)に滴下して加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色固体の化合物29を得た(44mg、収率67%)。LC-MS(ESI): m/z [C67H70FN9O14]の計算値1244.34 [M +1]+, 実測値1244.56 [M+1]+. 1266.34[M + Na]+ , 実測値1266.83[M+ Na]+.
【0131】
[0173]実施例10 DBCO-PEG12-GGFG-エキサテカン(化合物31)の合成
【化19】
【0132】
[0174]化合物30の合成
[0175]ジクロロメタン/DMF(8mL/8mL)中の化合物2とNH2-PEG12-COOH(1217mg、1.0eq)の混合物にDIPEA(0.7mL、2eq)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、粘性液体のDBCO-PEG12-GGFG-エキサテカン(化合物31)を得た(401mg、収率23%)。LC-MS(ESI): m/z [C46H68N2O16]の計算値905.05 [M]+, 実測値905.53 [M]+.
【0133】
[0176]化合物31の合成
[0177]DMF(1mL)中の化合物28(30mg、1eq)の混合物にDIPEA(0.14mL、20eq)を添加した。反応混合物を氷浴下で15分間撹拌した。反応混合物をDMF中の化合物30(43mg、1.2eq)とHBTU(23mg、1.5eq)の混合溶液(1mL)に滴下して加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をメタノール/ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色固体の化合物31を得た(17mg、収率26%)。LC-MS(ESI): m/z [C85H106FN9O23]の計算値1640.82 [M +1]+, 実測値1641.07 [M+1]+.
【0134】
[0178]実施例11 DBCO-PEG3-GGFG-DXd2(化合物36)の合成
【化20】
【0135】
[0179]化合物32の合成
[0180]DCM(5mL)中のN-(tert-ブトキシカルボニル)-4-アミノブタン酸(200mg、1.0eq)とEDCI(283mg、1.5eq)の混合物にHOSu(170mg、1.5eq)を加えた。反応混合物をN2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をジクロロメタン及び水で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去した。残留物をDMF(5mL)中のエキサテカンメシレート(434mg、0.83eq)及びEt3N(0.21mL、1.5eq)の混合溶液に添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色固体の化合物32を得た(402mg、収率79%)。LC-MS (ESI): m/z C33H37FN4O7[M + H]+の計算値: 621.26, 実測値: 621.01.
【0136】
[0181]化合物33の合成
[0182]化合物32をDCM/TFA=1/1(9.5mL/9.5mL)の混合溶液に加えた。反応混合物をN2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、黄色固体の化合物33を得た(23mg、収率69%)。LC-MS (ESI): m/z C28H29FN4O5[M + H]+: 521.21, 実測値: 521.09. 1HNMR (600 MHz, DMSO) δ 8.53 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.82(d, J = 10.8 Hz, 1H), 7.32 (s, 3H), 6.56 (s, 1H), 5.65 - 5.53 (m, 1H), 5.43 (s,2H), 5.25 (d, J = 18.7 Hz, 1H), 5.15 (d, J = 18.7 Hz, 1H), 3.17 (t, J = 6.0 Hz,2H), 2.81 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.42 - 2.37 (m, 3H), 2.26 (t, J = 7.1 Hz, 2H),2.14 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 1.99 - 1.70 (m, 4H), 0.87 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
【0137】
[0183]化合物34の合成
[0184]DCM(9mL)中のEDCI(104mg、1.5eq)とHOSu(77mg、1.5eq)の混合物に化合物26(252mg、1.3eq)を加えた。反応混合物をN2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をジクロロメタン及び水で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去した。残留物を化合物33(231mg、1.0eq)及びEt3N(0.1mL、1.5eq)の混合溶液に添加した。反応混合物をN2雰囲気下、室温で12時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、黄色固体の化合物34(153mg、収率28%)を得た。LC-MS (ESI): m/z C48H55FN8O11[M + H]+の計算値: 939.4, 実測値: 939.68.
【0138】
[0185]化合物35の合成
[0186]化合物34をDCM/TFA=1/1(3mL/3mL)の混合溶液に加えた。反応混合物をN2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、黄色固体の化合物35(90mg、収率65%)を得た。LC-MS (ESI): m/z C43H47FN8O9[M + H]+の計算値: 839.35, 実測値: 839.22.
【0139】
[0187]DBCO-PEG3-GGFG-DXd2(化合物36)の合成
【化21】
【0140】
[0188]DMF(2mL)中の化合物3(13.3mg、1.1eq)、DIPEA(0.083mL、20eq)及びHBTU(13.6mg、1.5eq)の混合物に化合物35(20mg、1eq)を加えた。反応混合物をN2雰囲気下、室温で1.5時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、黄色固体の化合物36(18mg、収率58%)を得た。LC-MS (ESI): m/z C71H77FN10O15[M + H]+の計算値: 1329.43, 実測値: 1329.69.
【0141】
[0189]実施例12 DBCO-PEG12-GGFG-DXd2(化合物37)の合成
【化22】
【0142】
[0190]DMF(2mL)中の化合物30(19mg、0.9eq)、DIPEA(0.083mL、20eq)及びHBTU(13.6mg、1.5eq)の混合物に化合物35(20mg、1eq)を加えた。反応混合物をN2雰囲気下、室温で1.5時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、黄色固体の化合物37を得た(6.4mg、収率17%)。LC-MS (ESI): m/z C89H113FN10O24[M + H]+の計算値: 1726.9, 実測値: 1726.6.
【0143】
[0191]実施例13 BCN-PEG3-VC-PAB-MMAE(化合物40)の合成
【化23】
【0144】
[0192]化合物39の合成
[0193]ジクロロメタン/DMF(3mL/3mL)中の市販の化合物38(300mg、1eq)とNH2-PEG3-COOH(273mg、1.3eq)の混合物にDIPEA(0.5mL、3eq)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、粘稠な液体の化合物39を得た(235mg、収率62%)。LC-MS(ESI): m/z [C20H31NO7]の計算値397.47 [M +1]+, 実測値397.39 [M +1]+.420.47[M + Na]+ , 実測値420.07[M + Na]+.
【0145】
[0194]化合物40の合成
[0195]DMF(3mL)中の化合物39(41mg、1eq)、化合物4(135mg、1.2eq)及びHATU(57mg、1.5eq)の混合物にDIPEA(69ul、4eq)を加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、黄色固体の化合物40(41mg、収率27%)を得た。LC-MS(ESI): m/z [C78H123N11O18]の計算値1502.90 [M +1]+, 実測値1503.13 [M+1]+.1524.90[M + Na]+ , 実測値1525.43[M+ Na]+.
【0146】
[0196]実施例14 BCN-PEG12-GGFG-エキサテカン(化合物42)の合成
【化24】
【0147】
[0197]化合物41の合成
[0198]ジクロロメタン/DMF(4mL/4mL)中の市販の化合物38(300mg、1eq)とNH2-PEG12-COOH(587mg、1.0eq)の混合物にDIPEA(0.5mL、3eq)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、粘稠な液体の化合物41を得た(598mg、収率79%)。LC-MS(ESI): m/z [C38H67NO16]の計算値793.95 [M +1]+, 実測値794.25 [M +1]+.
【0148】
[0199]BCN-PEG12-GGFG-エキサテカン(化合物42)の合成
[0200]DMF(2mL)中の化合物28(30mg、1eq)、化合物41(38mg、1.2eq)及びHBTU(23mg、1.5eq)の混合物にDIPEA(0.14mL、20eq)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、黄色固体の化合物42を得た(10.9mg、収率18%)。LC-MS(ESI): m/z [C77H105FN8O23]の計算値1529.72 [M +1]+, 実測値1530.9 [M +1]+.
【0149】
[0201]実施例15 BCN-PEG3-GGFG-エキサテカン(化合物43)の合成
【化25】
【0150】
[0202]DMF(2mL)中の化合物28(30mg、1eq)、化合物39(19mg、1.2eq)及びHBTU(23mg、1.5eq)の混合物にDIPEA(0.14mL、20eq)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、黄色固体の化合物43を得た(7.4mg、収率16%)。LC-MS(ESI): m/z [C59H69FN8O14]の計算値1133.24 [M +1]+, 実測値1133.63 [M+1]+.
【0151】
[0203]実施例16 BCN-PEG12-GGFG-DXd2(化合物44)の合成
【化26】
【0152】
[0204]DMF(2mL)中の化合物35(34mg、1eq)、化合物39(29mg、0.9eq)及びHBTU(23mg、1.5eq)の混合物にDIPEA(0.14mL、20eq)を加えた。反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、黄色固体の化合物44を得た(19mg、収率32%)。LC-MS (ESI): m/z C81H112FN9O24[M + H]+の計算値: 1615.8, 実測値: 1615.42.
【0153】
[0205]実施例17 DBCO-PEG3-2(PEG3-VC-PAB-MMAE)(化合物48)の合成
【化27】
【0154】
[0206]化合物45の合成
[0207]乾燥ジクロロメタン/乾燥DMF(2.4mL/2.4mL)中のEDC(552mg、3eq)とHOSu(333mg、3eq)の混合物に化合物3(490mg、1eq)を加えた。反応混合物をN2雰囲気下、室温で18時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物をジクロロメタン及び水で抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水した。有機溶媒を減圧下で除去し、さらに精製することなく、粘性のある液体化合物45(856mg)を得た。
【0155】
[0208]化合物47の合成
[0209]ジクロロメタン/DMF(4.8mL/4.8mL)中の化合物46(856mg)とNH-bis(PEG3-CO2H)(574mg、1.4eq)の混合物にDIPEA(621.7mg、5eq)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、粘稠な液体の化合物47を得た(485mg、収率54%)。
LC-MS(ESI): m/z [C46H65N3O16]の計算値916.03 [M]+, 実測値916.3 [M]+.1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 12.17 (s, 2H), 7.77 (t, J =5.6 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.48 (m,3H), 7.36 (m, 2H), 7.30 (dd, J = 7.4, 1.4 Hz, 1H), 5.02 (d, J = 14.1 Hz, 1H),3.61 - 3.56 (m, 8H), 3.54 - 3.32 (m, 39H), 3.31 - 3.26 (m, 2H), 3.16 (d, J =4.9 Hz, 1H), 3.13 - 3.03 (m, 3H), 2.63 - 2.54 (m, 4H), 2.43 (td, J = 6.3, 2.7Hz, 4H), 2.23 (dt, J = 15.5, 7.7 Hz, 1H), 1.99 (m, 1H), 1.75 (m, 1H), 1.24 (d,J = 5.9 Hz, 9H).
【0156】
[0210]DBCO-PEG3-2(PEG3-VC-PAB-MMAE)(化合物48)の合成
[0211]DMF(0.43mL)中の化合物47(49mg、1eq)、化合物4(72mg、1.2eq)及びHBTU(51mg、2.5eq)の混合物にDIPEA(22mg、3.2eq)を添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で有機溶媒を除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製し、粘稠な液体の化合物48(41mg)を得た。
LC-MS (TOF): m/z [C162H249N23O38]の計算値3126.9 [M]+, 実測値1042.95 [M]3+,1563.92 [M]2+
【0157】
[0212]実施例18 DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)の調製(
図21C)
[0213]MES pH6.5バッファーの調製:4.881gのMES遊離酸(2-モルフォリノエタンスルホン酸、CAS 4432-31-9)を750mLのdH2O中に懸濁させた。10N NaOH(aq)によってpHを6.5に調整した。次に、体積が1Lに達するまで蒸留水を懸濁液に加えた。
【0158】
[0214]5.78mLのDBCO-vc-MMAE(DMSO中10mM)をバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(34mL、2.5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって3.89であると測定された。
【0159】
[0215]実施例19 DCBPR2002-4(DBCO-S-DM1)の調製(
図21D)
[0216]4.48mLのDBCO-S-DM1(DMA中10mM)をバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(11.2mL、2.5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で6時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-S-DM1)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって約4であると測定された。
【0160】
[0217]実施例20 DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco DUBA)の調製(
図21E)
[0218]0.4mLのDBCO-vc-seco DUBA(DMA中10mM)及び1.2mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(4mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で20時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco DUBA)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって約4であると測定された。
【0161】
[0219]実施例21 DCBPR2002-4(DBCO-PEG4-vc-PAB-MMAF)の調製(
図21F)
[0220]DBCO-PEG4-VC-PAB-MMAFは、市販されているリンカー-ペイロードである。
【0162】
[0221]0.4mLのDBCO-PEG4-VC-PAB-MMAF(DMSO中10mM)及び0.4mLのDMSOをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(4mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-PEG4-vc-PAB-MMAF)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって約4であると測定された。
【0163】
[0222]実施例22 DCBPR2002-4(DBCO-DTPA)の調製(
図21G)
[0223]0.24mLのDBCO-DTPA(ddH
2O中10mM)をバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(2.4mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-DTPA)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって約4であると測定された。
【0164】
[0224]実施例23 DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-vc-エキサテカン)の調製(
図21H)
[0225]0.04mLのDBCO-PEG3-VC-エキサテカン(DMA中10mM)及び0.12mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.4mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-VC-エキサテカン)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって3.77であると測定された。
【0165】
[0226]実施例24 DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-GGFG-エキサテカン)の調製(
図21I)
[0227]0.02mLのDBCO-PEG3-GGFG-エキサテカン(DMA中10mM)及び0.06mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.2mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-GGFG-エキサテカン)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって3.21であると測定された。
【0166】
[0228]実施例25 DCBPR2002-4(DBCO-PEG12-GGFG-エキサテカン)の調製(
図21J)
[0229]0.02mLのDBCO-PEG12-GGFG-エキサテカン(DMA中10mM)及び0.02mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.1mL、10mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-PEG12-GGFG-エキサテカン)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって3.91であると測定された。
【0167】
[0230]実施例26 DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-GGFG-DXd2)の調製(
図21K)
[0231]0.02mLのDBCO-PEG3-GGFG-DXd2(DMA中10mM)及び0.06mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.213mL、4.7mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-分枝PEG3-GGFG-エキサテカン)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって3.12であると測定された。
【0168】
[0232]実施例27 DCBPR2002-4(DBCO-PEG12-GGFG-DXd2)の調製(
図21L)
[0233]0.02mLのDBCO-PEG12-GGFG-DXd2(DMA中10mM)及び0.06mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.213mL、4.7mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-PEG12-GGFG-DX8951)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって3.52であると測定された。
【0169】
[0234]実施例28 DCBPR2002-4(BCN-PEG3-VC-PAB-MMAE)の調製(
図21M)
[0235]0.0067mLのBCN-PEG3-VC-PAB-MMAE(DMSO中10mM)及び0.0333mLのDMSOをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.2mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(BCN-PEG3-VC-PAB-MMAE)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって2.67であると測定された。
【0170】
[0236]実施例29 DCBPR2002-4(BCN-PEG12-GGFG-エキサテカン)の調製(
図21N)
[0237]0.02mLのBCN-PEG12-GGFG-エキサテカン(DMA中10mM)及び0.01mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.05mL、10mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で42時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(BCN-PEG12-GGFG-エキサテカン)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって3.51であると測定された。
【0171】
[0238]実施例30 DCBPR2002-4(BCN-PEG3-GGFG-エキサテカン)の調製(
図21O)
[0239]0.01mLのBCN-PEG3-GGFG-エキサテカン(DMA中10mM)及び0.01mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.05mL、10mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(BCN-PEG3-GGFG-エキサテカン)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって3.73であると測定された。
【0172】
[0240]実施例31 DCBPR2002-4(BCN-PEG12-GGFG-DXd2)の調製(
図21P)
[0241]0.02mLのBCN-PEG12-GGFG-DXd2(DMA中10mM)及び0.06mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.08mL、10mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-PEG12-GGFG-DXd2)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって3.51であると測定された。
【0173】
[0242]実施例32 DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-VC-PAB-MMAE))の調製(
図21Q)
[0243]0.02mLのDBCO-分枝-PEG-VC-MMAE-B(DMA中10mM)と0.113mLのDMAをバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-4Azの溶液(0.333mL、3mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をMES pH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-4(DBCO-PEG3-2(PEG3-VC-PAB-MMAE))を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって5.68であると測定された。
【0174】
[0244]実施例33 DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco DUBA)の調製(
図21R)
【0175】
[0245]DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)の合成
[0246]2.04mLのDBCO-vc-MMAE(DMSO中10mM)をバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-2Azの溶液(12mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で20時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-トリマンノシル-2(DBCO-vc-MMAE)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって約2であると測定された。
【0176】
[0247]DCBPR2002-2(リンカー-ペイロード)-2Azの一般的な合成
[0248]1000μlの1×バッファーSP(25mM MES、10mM MnCl2、pH6.5)中の5mgのDCBPR2002-2(リンカー-ペイロード)及びUDP-GlcNAz(2.5mg)をラットMGAT-2(0.05mg)存在下、37℃で16時間インキュベーションした。反応後、抗体生成物をAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスで精製して、重鎖の残りの末端マンノースに活性なGlcNAzが2個結合したDCBPR2002-2(リンカー-ペイロード)を得た。この生成物を還元マスクロマトグラフィー分析に供した。
【0177】
[0249]DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco DUBA)の合成。
[0250]4.08mLのDBCO-vc-seco DUBA(DMA中10mM)をバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2Azの溶液(10.2mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco DUBA)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって約4であると測定された。
【0178】
[0251]実施例34 DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-S-DM1)の調製(
図21S)
【0179】
[0252]DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-S-DM1)の合成。
[0253]2.08mLのDBCO-S-DM1(DMA中10mM)をバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2Azの溶液(5.2mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMEA)-2(DBCO-S-DM1)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって約4であると測定された。
【0180】
[0254]実施例35 DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco DUBA)-2(DBCO-S-DM1)の調製(
図21T)
【0181】
[0255]DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco DUBA)の合成
[0256]7.2mLのDBCO-vc-seco DUBA(DMSO中10mM)をバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-2Azの溶液(18mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で20時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco DUBA)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって約2であると測定された。
【0182】
[0257]DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco DUBA)-2(DBCO-S-DM1)の合成
[0258]2.4mLのDBCO-S-DM1(DMA中10mM)をバッファー(MES pH6.5)中のDCBPR2002-2(DBCO-vc-seco DUBA)-2Azの溶液(6mL、5mg/mL)にゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下、37℃で18時間撹拌した。抗体調製物をクエン酸ナトリウムpH6.5バッファー中、30kDa NMWLのAmicon Ultra-15遠心フィルターデバイスを用いて脱塩して濃縮し、DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco DUBA)-2(DBCO-S-DM1)を得た。ADCの薬物対抗体比(DAR)は、LC-MSによって約4であると測定された。
【0183】
[0259]実施例36 SDS-PAGE
[0260]本発明のADCは、SDS-PAGE及びHPLCなどの当技術分野で公知の技術により分析されうる。例えば、抗MSLN mAb及び抗MSLN ADCの溶液は、4~12%の非還元及び還元SDS-PAGEゲルを使用した後、クーマシーブリリアント ブルー染色を行うことで分析され得る。
【0184】
[0261]実施例37 ペイロードカップリングアッセイ
[0262]薬物対抗体比(DAR)の評価は、ターゲット抗体のペイロードコンジュゲーション効率をモニターするために重要である。薬物対抗体比は、抗MSLN ADC製品の治療効果に影響を与えうる。液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)は、薬物対抗体比(DAR)及びリジン結合抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の薬物負荷分布を決定するための選り抜きの方法である。ピークの面積パーセンテージは、特定の薬物負荷ADC種の相対的な分布を表す。次に、加重平均DARをパーセンテージピーク面積情報と薬物負荷数を使用して計算する。
【0185】
[0263]
図7は、本発明のADC(DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE))の質量分析の一例を示しており、これは、抗体に結合した様々な数の薬物の分布を示しているが、最も豊富な種は抗体に結合した薬物を4つ有している。このサンプルの平均薬物対抗体比(DAR)は4.07である。
【0186】
[0264]実施例38 ELISA結合親和性
[0265]1μg/mLの濃度のコーティングバッファー中のメソテリン100μLをプレートの各ウェルに添加して、コーティングした。プレートを密封し、4℃で一晩インキュベートした。ウェルを吸引し、300μLのPBST(0.05% Tween 20)で3回洗浄した。200μLのPBS-5%スキムミルクを加えてウェルをブロッキングし、37℃で1時間インキュベートした。ウェルを吸引し、300μL/ウェルのPBST(0.05% Tween 20)で3回洗浄した。PBSで希釈した400ngのADCサンプル100μlを各ウェルに加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルを吸引し、300μLのPBST(0.05% Tween 20)で3回洗浄した。50μlの抗ヒトカッパ軽鎖(1:5000)を各ウェルに加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルを吸引し、300μL/ウェルのPBST(0.05% Tween 20)で3回洗浄した。100μlのTMBを各ウェルに加え、プレートを室温で15分間インキュベートした。100μLの1N HClを添加することにより、発色を止めた。ELISAリーダーを使用して、プレートを450~650nmの吸光度で測定した。データを
図5に示す。
【0187】
[0266]DCBPR2002 Kd=9.243e-011;DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)Kd=1.329e-010;DCBPR2002-4(DBCO-s-DM1)Kd=1.449e-010;DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)Kd=9.747e-011;DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-s-DM1)Kd=1.355e-010;DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco-DUBA)Kd=1.580e-010;及びDCBPR2002-2(DBCO-vc-seco-DUBA)-2(DBCO-s-DM1)Kd=7.315e-011。
【0188】
[0267]実施例39 抗メソテリンADCの結合動態
[0268]メソテリンに対する抗メソテリンADC相互作用の速度定数を表面プラズマ共鳴(ビアコア(Biacore)(登録商標)T100、Biacore,Inc.、ピスカタウェイ、ニュージャージー)によって決定した。CM5ウエハーのフローセルを10mMグリシンpH5.0中の約10,000反応単位(RU)の抗ヒトIgG-Fc(ビアコア(登録商標))により、10μL/分で600秒間、固定した。TBSで希釈した10μg/mLの抗メソテリン抗体及び抗メソテリンADCを10μl/分でCM5チップに捕捉させた。1mMのCaCl2を含むPBS中で3分間、4つの濃度(3.7~100nM)のヒトメソテリン組換えタンパク質及びゼロ濃度(フローバッファー)を100μl/分で結合させたときの記録を行った。複合体の解離を10分間測定した。3MのMgCl2と3mMのEGTAを10μl/分で60秒間注入することにより、水面を再生させた。ビアコア(登録商標)T100評価ソフトウェア(ビアコア(登録商標))を使用して、参照シグナルとバッファーシグナルを差し引いた後に得られた曲線を1:1ラングミュア結合モデルに取り入れた。Ka、Kd及びKDを表4に示す。速度論的分析は、抗メソテリン抗体と抗メソテリンADCが同様なka(on)及びkd(off)速度を有することを示した。
【0189】
【0190】
[0270]実施例40 インビトロ細胞障害性試験(KLM-1及びOVCAR-3)
[0271]膵臓癌細胞株KLM-1をそれぞれ10%ウシ胎仔血清補充RPMI1640 Medium(ATCC改変)培地で増殖させた。卵巣癌細胞株OVCAR-3は、20%ウシ胎仔血清を補充したRPMI 1640 Medium(ATCC改変)培地で増殖させた。KLM-1及びOVCAR-3細胞株は、加湿した37℃のインキュベーターにおいて5%CO2雰囲気で維持した。処理の前日、細胞を回収し、96ウェルプレートに播種した(1ウェルあたり4,000細胞)。2日目に、細胞を毒性ペイロード及びADCの3倍連続希釈濃度で処理した。各処理は8つのデータポイントで三重に行った。72時間の処理後、CellTiter-Glo(登録商標)キット(Promega)を用いて、メーカーの指示に従って細胞生存率を評価した。インキュベーションの終わりに、SpectraMax i3x Multi Mode Detection Platform(Molecular Devices)を使用して発光を測定した。化合物の細胞障害性を0.05%PBS(ADC)又は0.05%DMSO(毒性ペイロード)で処理した細胞と比較して評価した。IC50値は、GraphPadプリズム5.0ソフトウェアを使用して、生存率データを4パラメータのロジスティック方程式でフィッティングすることにより計算した。結果を表5に示す。
【0191】
[0272]表5:毒性ペイロード及びADCのIC
50値
【表5】
【0192】
[0273]実施例41 内在化アッセイ
[0274]KLM-1又はOVCAR3細胞をトリプシン処理し、回収してFACバッファーに再懸濁させた。対照:二次Ab抗ヒトIgG PE(1:200)をKLM-1又はOVCAR3細胞に添加した。0、0.5、2、5、24時間の時間間隔で細胞を4℃でインキュベートした後、1mLのFACSバッファーで洗浄した。上澄みを廃棄した。試験群:KLM-1又はOVCAR3細胞を氷上で60分間、FACSバッファー中の10μg/mLのトリマンノシル抗メソテリンADCと共にプレインキュベーションし、FACSバッファーで3回洗浄した後、0、0.5、2、5及び24時間の時間間隔で37℃においてインキュベートした。細胞をフローサイトメトリー(BD LSRFortessa)で分析し、その結果を
図6に示す。
【0193】
[0275]実施例42 インビボPK
[0276]この試験では、Meso Scale Discovery(MSD)Electrochemiluminescent(ECL)法を用いて、BALB/cマウス及びラットサンプルにおけるDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)の薬物動態解析を実施した。MSDアッセイは、コンジュゲート抗体と非コンジュゲート抗体の両方を測定できる。この例、又は全抗体アッセイにおいて示されているように、プレートは、全てのヒト化抗体(コンジュゲート及び非コンジュゲート)を捕捉できるヤギ抗ヒトIgGでコーティングされている。コンジュゲート抗体アッセイの場合、プレートは、抗MMAE抗体などのペイロード(薬物)に対する抗体でコーティングされている。
【0194】
[0277]マウスに尾静脈を介して3mg/kgの用量レベルで投与した。その後、マウスにおけるDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)の濃度をMESO QuickPlex SQ 120法によって測定するために、異なる時点で血液サンプルを採取した。DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)の薬物動態パラメータは、フェニックス(Phoenix)(商標)WinNonlinプログラム、バージョン6.3を用いたノンコンパートメント解析によって分析した。
【0195】
[0278]表6は、PK試験の結果をまとめたものである。全抗体MSDアッセイ:コンジュゲート抗体と非コンジュゲート抗体の両方を測定。コンジュゲート抗体MSDアッセイ:コンジュゲート抗体のみを測定。DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)のインビボ半減期は約87.2時間であり、これは、マウスにおいて他の種よりも高いリンカーのタンパク質分解が観察されたため、我々のADC上のバリン-シトルリンリンカーが基質となる酵素カルボキシルステラーゼ1Cに起因し得る。
【0196】
[0279]インビボ薬物動態試験は、トリマンノシルコンジュゲートとシステインコンジュゲート合成ADC(アドセトリス)のリンカーペイロード安定性を比較するために設計された。ラットにDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)とアドセトリスを5mg/kgの用量で尾静脈から投与した。その後、異なる時点で血清サンプルを取得し、MESO QuickPlex SQ 120法によりラットにおけるDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)とアドセトリスの濃度を決定した。DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)及びアドセトリスの薬物動態パラメータは、フェニックス(商標)WinNonlinプログラム、バージョン6.3を用いたノンコンパートメント解析によって分析した。
【0197】
[0280]表7は、PK試験の結果をまとめたものである。全抗体MSDアッセイ:コンジュゲート抗体と非コンジュゲート抗体の両方を測定。コンジュゲート抗体MSDアッセイ:コンジュゲート抗体のみを測定。DCBPR2002-4(DBCO-vc-mMAE)のインビボ半減期は、全抗体で194±35.0時間である;コンジュゲート抗体の半減期は、DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)で148±8.14時間、アドセトリスで182±10.9時間である。(
図8)
【0198】
【0199】
【0200】
[0283]DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)とアドセトリスの薬物動態プロファイルの全抗体とコンジュゲート抗体の比較では、全抗体とコンジュゲート抗体の曲線の差が、アドセトリスのものよりもDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)において近い。インビボの結果は、提示されたトリマンノシルコンジュゲーションが、システインコンジュゲーション(アドセトリス)と比較して、コンジュゲートされたリンカーペイロードの安定性に違いを有することを実証した。
【0201】
[0284]実施例43:抗MSLN ADCのゼノグラフトモデル(膵臓癌)
[0285]この試験の目的は、雄のNOD SCIDマウスのKLM-1ヒト膵臓癌ゼノグラフトモデルにおけるDCBPR2002-リジン-DBCO-vc-MMAE(アジドにより活性化されたリジンを介して抗体のポリペプチドに連結したDBCO-vc-MMAE)、及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)のインビボ抗腫瘍効力を評価することにあった。
【0202】
[0286]試験品DCBPR2002リジン-DBCO-vc-MMAE、試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)をそれぞれ含む製剤、及び対応するビヒクルを25mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)でストックを希釈することによって製剤化した。製剤のそれぞれをマウスに1週間に1回、3週間、静脈内(IV)投与した。
【0203】
[0287]KLM-1細胞は、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI-1640培地中、37℃、空気中5%CO2の雰囲気において、単層培養としてインビトロで維持した。腫瘍細胞は、トリプシン-EDTA処理により、週に2回、定期的に継代した。指数増殖期に増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のために計数した。
【0204】
[0288]6~7週齢の雄のNOD SCIDマウスをBioLasco Taiwan Co,LTDから購入し、1週間検疫を行った。各ケージに5匹のマウスを収容した。全ての動物を19~25℃、12時間/12時間の明暗サイクルの動物施設で飼育した。動物は、齧歯類用の固形飼料と水を自由に摂取できるようにした。
【0205】
[0289]KLM-1細胞を雄のNOD SCIDマウスの右脇腹の皮下(SC)に移植した(1:1のPBS/マトリゲル混合物中、4×106個の細胞をマウス1匹あたり0.1mLで移植)。平均腫瘍体積が約200mm3に達したときに、マウスをランダムに3群に分けた(1群あたりN=6)。ビヒクル、DCBPR2002-リジン-DBCO-vc-MMAE(15mg/kg)、及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。
【0206】
[0290]28日間、週3回、腫瘍の体積、体重、死亡率、及び明らかな毒性の徴候をモニターし、記録した。腫瘍体積(mm3)を、ノギスを使用して週に3回測定し、次の式に従って計算した:腫瘍体積=(w2×l)/2、式中、w=幅、l=腫瘍の直径(mm)の長さ。腫瘍増殖抑制率(TGI)は、次の式を使用して計算した:%TGI=[1-(T/C)]×100%、式中、T及びCはそれぞれ、治療群と対照群の平均腫瘍体積を表す。TGI(%)値≧58%を有意な抗腫瘍活性と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。*P<0.05において、差を有意と判断する。試験の完了まで、動物の体重を週に3回測定した。
【0207】
[0291]
図9は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。試験品DCBPR2002-リジン-DBCO-vc-MMAE(15mg/kg)及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。腫瘍増殖抑制率(TGI)≧58%をビヒクル群と比較して有意な抗腫瘍活性(#)と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。
*P<0.05において、差を有意と判断する。15mg/kgのDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)は、7日目から28日目にかけてKLM-1腫瘍の増殖を有意に減少させた。15mg/kgのDCBPR2002-リジン-DBCO-vc-MMAEは、有意な抗腫瘍活性を示さなかった。
【0208】
[0292]
図10は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。試験品DCBPR2002-リジン-DBCO-vc-MMAE(15mg/kg)及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。実験を通して、体重の減少は観察されなかった。
【0209】
[0293]実施例44:抗MSLN ADCのゼノグラフトモデル(膵臓癌)
[0294]この試験の目的は、雄のNOD SCIDマウスのKLM-1ヒト膵臓癌ゼノグラフトモデルにおけるDCBPR2002、及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)のインビボ抗腫瘍効力を評価することであった。
【0210】
[0295]試験品DCBPR2002、試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)、及び対応するビヒクルをそれぞれ含む製剤を25mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)でストックを希釈することによって製剤化した。製剤のそれぞれをマウスに1週間に1回、3週間、静脈内(IV)投与した。
【0211】
[0296]KLM-1細胞は、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI-1640培地中、37℃、空気中5%CO2の雰囲気において、単層培養としてインビトロで維持した。腫瘍細胞は、トリプシン-EDTA処理により、週に2回、定期的に継代した。指数増殖期に増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のために計数した。
【0212】
[0297]6~7週齢の雄のNOD SCIDマウスをBioLasco Taiwan Co,LTDから購入し、1週間検疫を行った。各ケージに5匹のマウスを収容した。全ての動物を19~25℃、12時間/12時間の明暗サイクルの動物施設で飼育した。動物は、齧歯類用の固形飼料と水を自由に摂取できるようにした。
【0213】
[0298]KLM-1細胞を雄のNOD SCIDマウスの右脇腹の皮下(SC)に移植した(1:1のPBS/マトリゲル混合物中、4×106個の細胞をマウス1匹あたり0.1mLで移植)。平均腫瘍体積が200mm3に達したときに、マウスをランダムに4群に分けた(1群あたりN=6)。ビヒクル、DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15及び30mg/kg)、及び裸の抗体(DCBPR2002、30mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。
【0214】
[0299]28日間、週3回、腫瘍の体積、体重、死亡率、及び明らかな毒性の徴候をモニターし、記録した。腫瘍体積(mm3)をノギスを使用して週に3回測定し、次の式に従って計算した:腫瘍体積=(w2×l)/2、式中、w=幅、l=腫瘍の直径(mm)の長さ。腫瘍増殖抑制率(TGI)は、次の式を使用して計算した:%TGI=[1-(T/C)]×100%、式中、T及びCはそれぞれ、治療群と対照群の平均腫瘍体積を表す。TGI(%)値≧58%を有意な抗腫瘍活性と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。*P<0.05において、差を有意と判断する。試験の完了まで、動物の体重を週に3回測定した。
【0215】
[0300]
図11は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。試験品DCBPR2002(30mg/kg)及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15及び30mg/kg)をそれぞれ週1回、3週間、静脈内投与した。腫瘍増殖抑制率(TGI)≧58%をビヒクル群と比較して有意な抗腫瘍活性(#)と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。
*P<0.05において、差を有意と判断する。15及び30mg/kgのDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)は、7日目から28日目にかけてKLM-1腫瘍の増殖を有意に減少させた。30mg/kgのDCBPR2002は、有意な抗腫瘍活性を示さなかった。
【0216】
[0301]
図12は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。試験品DCBPR2002(30mg/kg)及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15及び30mg/kg)をそれぞれ週1回、3週間、静脈内投与した。実験を通して、体重の減少は観察されなかった。
【0217】
[0302]実施例45:抗MSLN ADCのゼノグラフトモデル(膵臓癌)
[0303]この試験の目的は、雄のNOD SCIDマウスのKLM-1ヒト膵臓癌ゼノグラフトモデルにおいて、DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)、DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)、DCBPR2002-4(DBCO-s-DM1)、DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco-DUBA)、DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco-DUBA)-2(DBCO-s-DM1)、及びDCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-s-DM1)のインビボ抗腫瘍効力を評価することであった。
【0218】
[0304]試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15mg/kg)、試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)(15mg/kg)、試験品DCBPR2002-4(DBCO-s-DM1)(15mg/kg)、試験品DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco-DUBA)(15mg/kg)、試験品DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-s-DM1)(15mg/kg)、試験品DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco-DUBA)-2(DBCO-s-DM1)(15mg/kg)、及び対応するビヒクルをそれぞれ含む製剤を25mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)でストックを希釈することによって製剤化した。製剤のそれぞれを週1回、3週間、静脈内(IV)投与した。
【0219】
[0305]KLM-1細胞は、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI-1640培地中、37℃、空気中5%CO2の雰囲気において、単層培養としてインビトロで維持した。腫瘍細胞は、トリプシン-EDTA処理により、週に2回、定期的に継代した。指数増殖期に増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のために計数した。
【0220】
[0306]6~7週齢の雄のNOD SCIDマウスをBioLasco Taiwan Co,LTDから購入し、1週間検疫を行った。各ケージに5匹のマウスを収容した。全ての動物を19~25℃、12時間/12時間の明暗サイクルの動物施設で飼育した。動物は、齧歯類用の固形飼料と水を自由に摂取できるようにした。
【0221】
[0307]KLM-1細胞を雄のNOD SCIDマウスの右脇腹の皮下(SC)に移植した(1:1のPBS/マトリゲル混合物中、4×106個の細胞をマウス1匹あたり0.1mLで移植)。平均腫瘍体積が300mm3に達したときに、マウスをランダムに7群に分けた(1群あたりN=6)。ビヒクル、DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)、DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)、DCBPR2002-4(DBCO-s-DM1)、DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco-DUBA)、DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-s-DM1)、DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco-DUBA)-2(DBCO-s-DM1)のそれぞれを15mg/kgで週1回、3週間、静脈内投与した。
【0222】
[0308]28日間、週3回、腫瘍の体積、体重、死亡率、及び明らかな毒性の徴候をモニターし、記録した。腫瘍体積を、ノギスを使用して週に3回測定し、次の式に従って計算した:腫瘍体積=(w2×l)/2、式中、w=幅、l=腫瘍の直径(mm)の長さ。腫瘍増殖抑制率(TGI)は、次の式を使用して計算した:%TGI=[1-(T/C)]×100%、式中、T及びCはそれぞれ、治療群と対照群の平均腫瘍体積を表す。TGI(%)値≧58%を有意な抗腫瘍活性と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。*P<0.05において、差を有意と判断する。試験の完了まで、動物の体重を週に3回測定した。
【0223】
[0309]
図13は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)、DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)、DCBPR2002-4(DBCO-s-DM1)、DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-s-DM1)、DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco-DUBA)、及びDCBPR2002-2(DBCO-vc-seco-DUBA)-2(DBCO-s-DM1)のそれぞれを15mg/kgで週1回、3週間、静脈内投与した。腫瘍増殖抑制率(TGI)≧58%をビヒクル群と比較して有意な抗腫瘍活性(#)と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。
*P<0.05において、差を有意と判断する。抗MSLN ADCの全てが、有意な抗腫瘍活性を示した。効能の順位は、DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)=DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco-DUBA)=DCBPR2002-2(DBCO-vc-seco-DUBA)-2(DBCO-s-DM1)>DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)>DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-s-DM1)>DCBPR2002-4(DBCO-s-DM1)であった。
【0224】
[0310]
図14は、KLM-1を移植した雄のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)、DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)、DCBPR2002-4(DBCO-s-DM1)、DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-s-DM1)、DCBPR2002-2(DBCO-vc-MMAE)-2(DBCO-vc-seco-DUBA)、及びDCBPR2002-2(DBCO-vc-seco-DUBA)-2(DBCO-s-DM1)のそれぞれを15mg/kgで週1回、3週間、静脈内投与した。治療群において体重の減少は観察されなかった。
【0225】
[0311]実施例46 抗MSLN ADCのゼノグラフトモデル(卵巣癌)
[0312]この試験の目的は、雌のNOD SCIDマウスのOVCAR-3ヒト卵巣癌ゼノグラフトモデルにおけるDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)のインビボ抗腫瘍効力を評価することであった。
【0226】
[0313]試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)、試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)、及び対応するビヒクルをそれぞれ含む製剤を25mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)でストックを希釈することによって製剤化した。製剤のそれぞれを週1回、3週間、静脈内(IV)投与した。
【0227】
[0314]OVCAR-3細胞は、20%ウシ胎仔血清を補充したRPMI-1640培地中、37℃、空気中5%CO2の雰囲気において、単層培養としてインビトロで維持した。腫瘍細胞は、トリプシン-EDTA処理により、週に2回、定期的に継代した。指数増殖期に増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のために計数した。
【0228】
[0315]6~7週齢の雌のNOD SCIDマウスをBioLasco Taiwan Co,LTDから購入し、1週間検疫を行った。各ケージに5匹のマウスを収容した。全ての動物を19~25℃、12時間/12時間の明暗サイクルの動物施設で飼育した。動物は、齧歯類用の固形飼料と水を自由に摂取できるようにした。
【0229】
[0316]OVCAR-3細胞を雌のNOD SCIDマウスの右脇腹の皮下(SC)に移植した(1:1のPBS/マトリゲル混合物中、1×107個の細胞をマウス1匹あたり0.2mLで移植)。平均腫瘍体積が300mm3に達したときに、マウスをランダムに4群に分けた(1群あたりN=6)。ビヒクル、DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15及び30mg/kg)、及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)(15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。
【0230】
[0317]腫瘍体積を、ノギスを使用して週に3回測定し、次の式を用いて推定した:腫瘍体積=(w2×l)/2、式中、w=幅、l=腫瘍の直径(mm)の長さ。腫瘍増殖抑制率(TGI)は、次の式を使用して計算した:%TGI=[1-(T/C)]×100%、式中、T及びCはそれぞれ、治療群と対照群の平均腫瘍体積を表す。TGI(%)値≧58%を有意な抗腫瘍活性と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。*P<0.05において、差を有意と判断する。試験の完了まで、動物の体重を週に3回測定した。
【0231】
[0318]
図15は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15及び30mg/kg)及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)(15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。腫瘍増殖抑制率(TGI)≧58%をビヒクル群と比較して有意な抗腫瘍活性(#)と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。
*P<0.05において、差を有意と判断する。DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15及び30mg/kg)、及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)(15mg/kg)は、OVCAR-3腫瘍の増殖を有意に減少させ、TGI(%)の値はそれぞれ>90%であった。
【0232】
[0319]
図16は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(15及び30mg/kg)及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-seco-DUBA)(15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。治療群において体重の減少は観察されなかった。
【0233】
[0320]実施例47 抗MSLN ADCのゼノグラフトモデル(卵巣癌)
[0321]この試験の目的は、雌のNOD SCIDマウスのOVCAR-3ヒト卵巣癌ゼノグラフトモデルにおけるDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)及びDCBPR2002-TMのインビボ抗腫瘍効力を評価することであった。
【0234】
[0322]試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)、試験品DCBPR2002-TM及び対応するビヒクルをそれぞれ含む製剤を25mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)でストックを希釈することによって製剤化した。製剤のそれぞれを週1回、3週間、静脈内(IV)投与した。
【0235】
[0323]OVCAR-3細胞は、20%ウシ胎仔血清を補充したRPMI-1640培地中、37℃、空気中5%CO2の雰囲気において、単層培養としてインビトロで維持した。腫瘍細胞は、トリプシン-EDTA処理により、週に2回、定期的に継代した。指数増殖期に増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のために計数した。
【0236】
[0324]6~7週齢の雌のNOD SCIDマウスをBioLasco Taiwan Co,LTDから購入し、1週間検疫を行った。各ケージに5匹のマウスを収容した。全ての動物を19~25℃、12時間/12時間の明暗サイクルの動物施設で飼育した。動物は、齧歯類用の固形飼料と水を自由に摂取できるようにした。
【0237】
[0325]OVCAR-3細胞を雌のNOD SCIDマウスの右脇腹の皮下(SC)に移植した(1:1のPBS/マトリゲル混合物中、1×107個の細胞をマウス1匹あたり0.2mLで移植)。平均腫瘍体積が300mm3に達したときに、マウスをランダムに4群に分けた(1群あたりN=5)。ビヒクル、DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(5及び15mg/kg)、及びDCBPR2002-TM(15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。
【0238】
[0326]腫瘍体積を、ノギスを使用して週に3回測定し、次の式を用いて推定した:腫瘍体積=(w2×l)/2、式中、w=幅、l=腫瘍の直径(mm)の長さ。腫瘍増殖抑制率(TGI)は、次の式を使用して計算した:%TGI=[1-(T/C)]×100%、式中、T及びCはそれぞれ、治療群と対照群の平均腫瘍体積を表す。TGI(%)値≧58%を有意な抗腫瘍活性と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。*P<0.05において、差を有意と判断する。試験の完了まで、動物の体重を週に3回測定した。
【0239】
[0327]
図17は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(5及び15mg/kg)及びDCBPR2002-TM(15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。腫瘍増殖抑制率(TGI)≧58%をビヒクル群と比較して有意な抗腫瘍活性(#)と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。
*P<0.05において、差を有意と判断する。DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(5及び15mg/kg)は、OVCAR-3腫瘍の増殖を有意に減少させた。15mg/kgのDCBPR2002-TMは、抗腫瘍活性を示さなかった。
【0240】
[0328]
図18は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(5及び15mg/kg)及びDCBPR2002-TM(15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。治療群において体重の減少は観察されなかった。
【0241】
[0329]実施例48 抗MSLN ADCのゼノグラフトモデル(卵巣癌)
[0330]この試験の目的は、雌のNOD SCIDマウスのOVCAR-3ヒト卵巣癌ゼノグラフトモデルにおけるDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)のインビボ抗腫瘍効力を評価することであった。
【0242】
[0331]試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)、及び対応するビヒクルをそれぞれ含む製剤を25mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)でストックを希釈することによって製剤化した。製剤のそれぞれを週1回、3週間、静脈内(IV)投与した。
【0243】
[0332]OVCAR-3細胞は、20%ウシ胎仔血清を補充したRPMI-1640培地中、37℃、空気中5%CO2の雰囲気において、単層培養としてインビトロで維持した。腫瘍細胞は、トリプシン-EDTA処理により、週に2回、定期的に継代した。指数増殖期に増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のために計数した。
【0244】
[0333]6~7週齢の雌のNOD SCIDマウスをBioLasco Taiwan Co,LTDから購入し、1週間検疫を行った。各ケージに5匹のマウスを収容した。全ての動物を19~25℃、12時間/12時間の明暗サイクルの動物施設で飼育した。動物は、齧歯類用の固形飼料と水を自由に摂取できるようにした。
【0245】
[0334]OVCAR-3細胞を雌のNOD SCIDマウスの右脇腹の皮下(SC)に移植した(1:1のPBS/マトリゲル混合物中、1×107個の細胞をマウス1匹あたり0.2mLで移植)。平均腫瘍体積が300mm3に達したときに、マウスをランダムに4群に分けた(1群あたりN=5)。ビヒクル、及びDCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(5、10、及び15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。
【0246】
[0335]腫瘍体積をノギスを使用して週に3回測定し、次の式を用いて推定した:腫瘍体積=(w2×l)/2、式中、w=幅、l=腫瘍の直径(mm)の長さ。腫瘍増殖抑制率(TGI)は、次の式を使用して計算した:%TGI=[1-(T/C)]×100%、式中、T及びCはそれぞれ、治療群と対照群の平均腫瘍体積を表す。TGI(%)値≧58%を有意な抗腫瘍活性と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。*P<0.05において、差を有意と判断する。試験の完了まで、動物の体重を週に3回測定した。
【0247】
[0336]
図19は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスにおける腫瘍増殖曲線を示している。試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(5、10、及び15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。腫瘍増殖抑制率(TGI)≧58%をビヒクル群と比較して有意な抗腫瘍活性(#)と判断した。一元配置分散分析に続いてダネット検定を適用し、ビヒクルと試験品治療群との比較を行った。
*P<0.05において、差を有意と判断する。DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(5、10、15mg/kg)は、用量依存的にOVCAR-3腫瘍の増殖を有意に減少させた。
【0248】
[0337]
図20は、OVCAR-3を移植した雌のNOD SCIDマウスの体重変化を示している。試験品DCBPR2002-4(DBCO-vc-MMAE)(5、10、及び15mg/kg)のそれぞれを週1回、3週間、静脈内投与した。治療群において体重の減少は観察されなかった。
【0249】
[0338]上記の実施例は、本発明のADCを取得してキャラクタリゼーションするための様々な方法、並びに癌の治療における本発明のADCの有効性を明確に示すものである。本発明の実施形態は限られた数の例により示されているが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく他の変形及び改変が可能であることを理解する。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【配列表】
【国際調査報告】