(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】周辺脱焦点化を使用して進行性屈折異常を治療するための貼付式デバイス
(51)【国際特許分類】
G02C 7/02 20060101AFI20230627BHJP
A61F 9/00 20060101ALI20230627BHJP
A61F 2/16 20060101ALI20230627BHJP
A61F 2/14 20060101ALI20230627BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20230627BHJP
G02C 7/06 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G02C7/02
A61F9/00
A61F2/16
A61F2/14
G02C7/10
G02C7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572332
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 US2021036102
(87)【国際公開番号】W WO2021252320
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520501023
【氏名又は名称】アキュセラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】窪田 良
(72)【発明者】
【氏名】ブシェミ, フィリップ エム.
(72)【発明者】
【氏名】グプタ, アミタヴァ
(72)【発明者】
【氏名】バウアー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】クルック, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ソーヴェ, ジュリアン
【テーマコード(参考)】
2H006
4C097
【Fターム(参考)】
2H006BC03
2H006BD01
2H006BE00
4C097AA24
4C097AA25
4C097BB01
4C097CC01
4C097SA01
(57)【要約】
眼の屈折異常を治療するための装置は、光学ゾーンを備える、光学系と、複数の刺激の画像を眼の網膜の周辺部分の前方または後方に形成するための周辺脱焦点化光学構造とを備える。いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造は、光学ゾーンの外側に位置する。いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造は、光を眼の光学ゾーンと異なる深度に集束させるための屈折力を備える。いくつかの実施形態では、光学系は、レンズ、光学的に透明な基板、ビームスプリッタ、プリズム、または光学的に透過性の支持体のうちの1つまたはそれを上回るものを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の屈折異常を治療するための装置であって、前記装置は、
光学ゾーンを備える光学系と、
複数の刺激の画像を前記眼の網膜の周辺部分の前方または後方に形成するための周辺脱焦点化光学構造であって、前記周辺脱焦点化光学構造は、前記光学ゾーンの外側に位置する、光学構造と
を備える、装置。
【請求項2】
前記周辺脱焦点化光学構造は、光を前記眼の前記光学ゾーンと異なる深度に集束させるための屈折力を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光学系は、レンズ、光学的に透明な基板、ビームスプリッタ、プリズム、または光学的に透過性の支持体のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記周辺脱焦点化光学構造は、フレネルレンズを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記周辺脱焦点化光学構造は、複数のレンズレットを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のレンズレットは、前記光学ゾーンを中心として、1つまたはそれを上回る円形アレイに配列される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記周辺脱焦点化光学構造は、回折光学構造またはエシュレット格子のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記光学ゾーン内にフィルタをさらに備え、それを通した光透過を減少させる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記フィルタは、前記眼の中心窩上に形成される中心画像の強度を減少させ、前記中心画像の強度に関連して前記複数の刺激の増加された強度を提供するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタは、前記周辺脱焦点化光学構造の中に延在する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記フィルタは、中性濃度フィルタを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記フィルタは、可視光の透過率を5~30分の1に低減させる、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記フィルタは、可視光の透過率を5パーセント~99パーセントの範囲内の量だけ低減させる、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
中心画像を黄斑上に形成するために、前記光学ゾーンを通して、および脱焦点化を伴う前記複数の刺激を前記網膜の周辺部分上に提供するために、前記周辺脱焦点化光学構造を通して光を提供するように構成されるディスプレイをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記複数の刺激は、前記周辺脱焦点化光学構造のレンズレットを用いて形成される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記周辺脱焦点化光学構造はさらに、複数の刺激生成構造を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記周辺脱焦点化光学構造の1つまたはそれを上回る開口と整合されるフィルタをさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の刺激生成構造は、前記開口内にある、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記複数の刺激生成構造はそれぞれ、マスクを備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記複数の刺激はそれぞれ、空間周波数を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記空間周波数は、0.1サイクル/度~180サイクル/度の範囲内、随意に、1サイクル/度~180サイクル/度の範囲内の周波数を備える、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記空間周波数は、前記網膜上に少なくとも1線対/mm(lp/mm)、随意に、前記網膜上に少なくとも50lp/mmの周波数を備える、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記複数の刺激は、範囲99.9%~2.5%内のコントラストを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記周辺脱焦点化光学構造は、-2D~-6Dの範囲内または+2D~+6Dの範囲内の屈折力を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記周辺脱焦点化光学構造は、-3D~-5Dの範囲内または+3D~+5Dの範囲内の屈折力を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
基部をさらに備え、前記周辺脱焦点化光学構造は、前記基部に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記基部の表面上の接着剤をさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記光学系は、眼鏡レンズと、フィルタとを備え、周辺脱焦点化光学構造は、前記レンズに結合される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記光学系は、接着剤を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記光学系は、複数の層を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項31】
ディスプレイと、
前記ディスプレイに動作可能に結合されるプロセッサであって、前記プロセッサは、複数の場所において、前記複数の刺激を前記ディスプレイ上に提供し、前記画像を前記網膜の前方または後方の複数の場所に形成するための命令を備える、プロセッサと
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記周辺脱焦点化構造は、複数のレンズレットを備え、前記ディスプレイ上の前記複数の刺激はそれぞれ、画像を前記網膜の周辺部分の前方または後方の場所に形成するために、対応するレンズレットと整合される、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
複数の実質的に透明な電極と、
前記複数の実質的に透明な電極間の液晶材料と
をさらに備え、
前記液晶材料および前記複数のレンズレットは、前記複数の電極間に位置付けられ、前記複数のレンズレットの屈折力をアクティブ化およびアクティブ化解除する、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記複数のレンズレットは、アクティブ化解除された構成では、実質的に透明であり、前記複数のレンズレットは、アクティブ化解除された構成では、前記複数の刺激を提供するように構成される、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記複数の電極は、前記電極間の電圧に応答して、前記液晶材料の屈折率を変化させるように構成される、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記プロセッサは、前記複数の電極に動作可能に結合され、前記複数のレンズレットをアクティブ化し、前記複数の刺激を提供する、請求項33に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、35U.S.C.§119(e)下、本参照によってその全体として組み込まれる、2020年6月8日に出願され、「STICK ON DEVICES USING PERIPHERAL DEFOCUS TO TREAT PROGRESSIVE REFRACTIVE ERROR」と題された、米国仮特許出願第63/036,234号の利益を主張する。
【0002】
本願の主題は、その開示全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2019年7月26日に出願され、「ELECTRONIC CONTACT LENS TO DECREASE MYOPIA PROGRESSION」と題され、第WO2020028177A1号として公開された、第PCT/US2019/043692号に関連する。
【背景技術】
【0003】
近視等の屈折異常を治療するための以前のアプローチは、少なくともいくつかの点において、準理想的であり得る。眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、および屈折外科手術が、眼の屈折異常を治療するために使用されることができる。しかしながら、レンズは、異常を補正するために、装着されなければならず、未補正屈折異常は、学校、スポーツ、および他のアクティビティにおいて、ある人物が何らかのことを達成ならびにそれに完全に参加する能力に影響を及ぼし得る。外科手術が、屈折異常を減少させるために実施され得るが、外科手術は、少なくともいくつかの事例では、感染症および視覚の低下等、リスクを伴う。また、これらのアプローチは、近視等の屈折異常に関連する、眼軸長の下層変化に対処しない。
【0004】
本開示に関連する研究が、ヒトを含む、多くの種の網膜が、脱焦点化された画像に応答し、脱焦点化によって生じるぼけを減少させるために、強膜リモデリングを通して再位置付けされることを示唆している。成長信号の生成の機構は、依然として、研究対象であるが、1つの観察可能な現象は、脈絡膜の厚さの増加である。脱焦点化された画像は、脈絡膜厚を変化させることができ、これは、眼の軸方向長に関連する。眼の軸方向長の変化は、角膜に関連して網膜の位置を変化させることによって、屈折異常を改変することができる。例えば、軸方向長の増加は、角膜と水晶体との間の距離を増加させることによって、眼の近視を増加させる。
【0005】
画像の脱焦点化は、脈絡膜厚および眼の軸方向長の変化にある役割を果たし得るが、以前のアプローチは、軸方向長に関連する眼の屈折異常に対処するために準理想的に好適である。医薬品治療が、軸方向長成長と関連付けられる近視を治療するために提案されているが、これらの治療は、準理想的結果を有し得、少なくともいくつかの事例では、屈折異常を安全に治療することが示されていない。光が、眼の成長を改変するための刺激として提案されているが、以前のデバイスのうちの少なくともいくつかは、準理想的結果を提供し得る。また、治療の時間は、理想的であろうものより長くあり得、以前のアプローチのうちの少なくともいくつかは、理想的であろうものより複雑であり得る。
【0006】
したがって、新しいアプローチが、以前のアプローチの上記の限界のうちの少なくともいくつかを改善する、眼の屈折異常を治療するために必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
眼の屈折異常を治療するための装置は、光学ゾーンを備える、光学系と、複数の刺激の画像を眼の網膜の周辺部分の前方または後方に形成するための周辺脱焦点化光学構造とを備える。いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造は、光学ゾーンの外側に位置する。いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造は、光を眼の光学ゾーンと異なる深度に集束させるための屈折力を備える。いくつかの実施形態では、光学系は、レンズ、光学的に透明な基板、ビームスプリッタ、プリズム、または光学的に透過性の支持体のうちの1つまたはそれを上回るものを備える。
(参照による組み込み)
【0008】
本明細書で参照および識別される、全ての特許、出願、および刊行物は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれ、本願のいずれかの場所で参照される場合でも、参照することによって完全に組み込まれるものと見なされるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の特徴、利点、および原理のより深い理解は、例証的実施形態を記載する、以下の詳細な説明と、付随の図面とを参照することによって取得されるであろう。
【0010】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、眼の屈折異常を治療するための視覚装置の側面図を示す。
【0011】
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、眼の屈折異常を治療するための装置を示す。
【0012】
【0013】
【
図3B】
図3Bは、いくつかの実施形態による、複数の刺激を伴う、ディスプレイと、度単位における網膜上の脱焦点化された刺激の対応する寸法とを示す。
【0014】
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、
図2の装置の断面斜視図を示す。
【0015】
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、レンズ上の
図2の装置のアセンブリを示す。
【0016】
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、眼の屈折異常を治療するための装置を示す。
【0017】
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、使用時の
図6の装置を示す。
【0018】
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、
図6の装置の斜視図を示す。
【0019】
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、
図6の装置の断面斜視図を示す。
【0020】
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による、レンズ上の
図6の装置のアセンブリを示す。
【0021】
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態による、眼の屈折異常を治療するための装置を示す。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【
図16】
図16は、いくつかの実施形態による、眼の屈折異常を治療するための装置を示す。
【0027】
【
図17】
図17は、ユーザデバイスのディスプレイに結合され、網膜刺激をユーザに提供する、デバイスを備える、装置を示す。
【0028】
【
図18】
図18は、液晶材料を電極間に伴う、複数のレンズレットを示す。
【0029】
【
図19】
図19は、いくつかの実施形態による、レンズレットアレイに結合される、ディスプレイを備える、治療装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、本明細書に開示される実施形態による、本開示に説明される本発明の特徴および利点のより深い理解を提供する。詳細な説明は、多くの具体的実施形態を含むが、これらは、一例のみとして提供され、本明細書に開示される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0031】
本開示の方法および装置は、網本明細書に説明されるように、膜刺激を提供するために、多くの方法において構成されることができる。本開示の方法および装置は、眼科デバイス、TV画面、コンピュータ画面、仮想現実(「VR」)ディスプレイ、拡張現実(「AR」)ディスプレイ、ハンドヘルド、モバイルコンピューティングデバイス、タブレットコンピューティングデバイス、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、眼鏡レンズフレーム、眼鏡レンズ、接眼ディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ、ゴーグル、コンタクトレンズ、埋込可能デバイス、角膜アンレー、角膜インレー、角膜補綴、または眼内レンズのうちの1つまたはそれを上回るもの等の多くの以前のデバイスとの組み合わせに非常に好適である。眼鏡およびコンタクトレンズを具体的に参照するが、本開示の方法および装置は、前述のいずれかのデバイスと併用するために非常に好適であって、当業者は、本開示のコンポーネントのうちの1つまたはそれを上回るものが、本明細書に提供される教示に基づいて、デバイス間で入替可能となる方法を容易に理解するであろう。
【0032】
本開示の方法および装置は、多くのタイプの屈折異常を治療するために使用され得るが、本開示の方法および装置は、例えば、近視の進行を治療するために非常に好適である。
【0033】
図1は、眼の屈折異常を治療するための装置100の断面を示す。装置100は、VRヘッドセット等の任意の好適な視覚デバイスを備えてもよい。本装置のコンポーネントは、ユーザの眼を基準として配列されてもよい。VRヘッドセット等の装置100は、ディスプレイ110を備えてもよい。ディスプレイ110は、ユーザによって視認するためのビデオゲームおよび映画等の視覚的コンテンツを提供する。ディスプレイ110の画像は、光学系112を通して、角膜114および瞳孔116によって表される、ユーザの眼に透過される。光学系112は、光がユーザの眼に進入する前に、光の焦点を変化させる、屈折レンズを備えてもよい。代替として、光学系は、例えば、ビームスプリッタまたはプリズム等の平坦表面を備えてもよい。光学系112は、ディスプレイ110からユーザの眼上に投影された画像の焦点を調節するように湾曲または別様に成形され得る、後部光学構造122を含んでもよい。例えば、VRデバイス等の装置100では、後部光学構造122は、フレネルレンズを備えてもよい。他のデバイス、例えば、眼鏡では、光学系112は、近視、遠視、非点収差、および他の眼の屈折異常のうちの1つまたはそれを上回るものを補正するように成形される、後部光学表面122を用いて、患者の眼の屈折異常を補正するために、処方箋レンズを備えてもよい。フレネルレンズを参照するが、レンズは、湾曲レンズ、円環状レンズ、フレネルレンズ、回折、またはホログラフィック要素、およびそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれを上回るもの等の任意の好適なレンズ構造を備えてもよい。
【0034】
脱焦点化治療デバイス124が、光学系112の表面に取り付けられる、またはその一部であってもよい。例えば、
図1では、脱焦点化治療デバイス124は、光学系112の正面表面の一部である、またはそれに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、治療デバイス124は、接着剤を用いて、光学系112に接着される。いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124は、中心光学ゾーン118の周囲に配列される、周辺脱焦点化光学構造120を備える。いくつかの実施形態では、中心光学ゾーンは、ディスプレイ110等のオブジェクトのクリア視野を提供するように構成される。光学ゾーンは、多くの方法において構成されることができ、眼に、ディスプレイの遮られていない眼の網膜の黄斑上に合焦している画像を提供するように、補正を伴う、光学ゾーンを備えてもよい。いくつかの実施形態では、脱焦点化光学構造120は、光の焦点を改変する。脱焦点化光学構造は、刺激の画像を網膜の前方に形成し、近視等の眼の屈折異常を治療するように構成されることができる。代替として、刺激の画像は、眼の網膜の後方に形成されることができる。刺激の画像は、例えば、刺激の画像をディスプレイ上に備えてもよい。レンズ112に接着された治療脱焦点化デバイスを参照するが、いくつかの実施形態では、脱焦点化光学構造120は、直接、レンズ112の表面上に形成され、例えば、構造が、レンズ112の表面の中にエッチングされる。
【0035】
光学ゾーン118および周辺脱焦点化光学構造120ゾーンの寸法は、多くの方法において構成されることができる。いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造120は、例えば、眼の入射瞳を基準として12度~40度の範囲内または15~35度の範囲内の角度で、光を透過させるように定寸および成形される。いくつかの実施形態では、角度は、光学ゾーンの境界と光学ゾーンの中心および入射瞳の中心を通して形成される線との間の角度等の半角を含む。いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造120は、例えば、眼の入射瞳を基準として15度~50度の範囲内の角度にあるように定寸される。いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造120は、内側境界と、外側境界とを備える。内側境界は、眼の入射瞳116を基準として15度~20度の範囲内の内側境界角度125に対応し、外側境界は、眼の入射瞳を基準として25度~70度の範囲内の外側境界角度126に対応する。いくつかの実施形態では、レンズは、眼からある距離にある。距離、内側境界、および外側境界は眼の入射瞳を基準として内角および外角を提供するように定寸されてもよい。
【0036】
周辺脱焦点化光学構造120は、周辺脱焦点化が、中心窩に対して偏心である、患者の眼の網膜の一部に適用されるように選択される、内径および外径を有する、環状形状であってもよい。例えば、内径は、光学系112および瞳孔の光学軸に対して、約7.5度の角度であってもよく、本角度は、内側境界角度125と称され得る。周辺脱焦点化光学構造120の外径は、患者の眼および瞳孔の光学軸に対する外側境界角度126、例えば、17.5度にあってもよい。そのような配列は、周辺脱焦点化光学構造120が、中心窩に対して偏心のユーザの網膜の周辺領域内に投影された光の対応する脱焦点化を伴って、ユーザの視野の周辺内に位置する結果をもたらす。
【0037】
環状形状を参照するが、周辺脱焦点化光学構造120は、多角形、正方形、三角形等の他の形状とともに構成されることができ、適切な場所において光学ゾーンの周囲に位置する、複数の離散光学構造を備えてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造120は、患者の眼における投影された光の焦点を変化させる、光学系または光学構造を含んでもよい。周辺脱焦点化光学構造120は、脱焦点化光学構造120を通して通過する光の焦点を改変する、回折光学系、レンズレット、勾配屈折率(「GRIN」)レンズレット、交差円柱棒、マスク、またはエシュレット格子のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造120は、脱焦点化された画像を網膜の周辺部分に提供するように定寸される。いくつかの実施形態では、脱焦点化光学構造120は、ユーザが前方を見て、周辺脱焦点化光学構造120が、脱焦点化された画像を周辺網膜上に提供すると、クリア視覚を中心窩および黄斑に提供するように、中心窩または黄斑の外側の網膜の領域を構成する網膜の周辺部分に、刺激を提供するように構成される。画像は、網膜に対して近視眼的または遠視眼的に2.0~6.0ジオプタ(「D」)の範囲内で脱焦点化されてもよい。例えば、脱焦点化は、網膜の前方に(例えば、近視性脱焦点化)または網膜の後方に(例えば、遠視性脱焦点化)3.5~5Dであってもよい。脱焦点化は、好ましくは、2.5~5.0D、より好ましくは、3.0~5.0Dである。
【0040】
いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイスは、ディスプレイによって周辺ゾーンの中に投影された局在化された刺激と組み合わせて、眼の屈折異常を治療するために使用されてもよい。脱焦点化治療デバイス124では、刺激は、ディスプレイによって投影されたビデオコンテンツとともに、周辺脱焦点化光学構造120を通して投影され、故に、ビデオコンテンツおよび刺激の両方の画像が、周辺脱焦点化光学構造によって脱焦点化される。
【0041】
近視等の眼の球面屈折異常の治療のために、網膜に投影される刺激は、中心光学ゾーン118の周縁を中心として均一であってもよい。非点収差等の眼の円柱屈折異常の治療のために、網膜に投影される刺激は、中心光学ゾーン118の周縁を中心として非均一であってもよい。例えば、刺激は、眼の非点収差第1の軸に対応し、またはそれと整合され、眼の第2の非点収差軸を中心として対称的に鏡映される、子午線に沿って、より大きくてもよい。
【0042】
図2は、ハードウェアベースの脱焦点化構造と、画像が適切な刺激を含むように、ディスプレイから投影された画像を修正するソフトウェア等のソフトウェアによって提供される、刺激とを伴う、脱焦点化治療デバイス124を描写する。脱焦点化治療デバイス124は、中心光学ゾーン118と、周辺脱焦点化光学構造120とを含む。中心光学ゾーン118は、略平面表面を有するように扁平であってもよい、または別様に、中心光学ゾーン118を通して通過する入射光の角度の変化を殆どもしくは全く提供しないように成形されてもよい。略平面表面を備える、中心光学ゾーンを参照するが、中心光学ゾーンは、眼の屈折異常を補正するための屈折力を備える、または眼鏡等の光学補正と組み合わせられてもよい。中心光学ゾーン118はまた、中性濃度フィルタまたはマスク等のフィルタ130を含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタは、増加された刺激を網膜の外側部分、例えば、周辺網膜に提供するように、中心クリア視覚ゾーンに関連して刺激の強度を増加させるために提供される。いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタは、フィルタを通して通過する光の色相または色の変化を誘発せずに、可視波長内の光の強度を実質的に等しく低減または修正する、フィルタを備える。中性濃度フィルタは、光の照明を80%~99%、好ましくは、90および95%、より好ましくは、約97%低減させ得る。中性濃度フィルタ130は、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも10、20、または30倍の中心光学ゾーン118または他のフィルタリングされた面積と外側ゾーンまたは他の非フィルタリングされた面積との間の照明における差異を提供してもよい。いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124の中性濃度フィルタおよび非フィルタリング面積によって提供される照明差異は、約5、10、20、または30倍であってもよい。いくつかの実施形態では、照明差異は、5~30倍、より好ましくは、10~20倍であってもよい。中性濃度フィルタを参照するが、いくつかの実施形態では、フィルタ130は、着色されたフィルタを備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124の外側面積は、周辺脱焦点化光学構造120を含む。周辺脱焦点化光学構造120は、
図2、3A、3B、4、および5に示されるようなフレネルレンズ、または本明細書に説明されるような任意の好適な光学構造によって提供されてもよい。フレネルレンズは、脱焦点化された画像を網膜の周辺部分に提供するように定寸される。いくつかの実施形態では、網膜の周辺部分は、中心窩または黄斑の外側の網膜の領域を構成し、脱焦点化は、本面積に提供される一方、中心面積は、ユーザが前方を見るとき、クリア視覚を中心窩および黄斑に提供するように脱焦点化されない。脱焦点化光学構造120のフレネルレンズは、近視眼的または遠視眼的に2.0D~6.0Dの範囲内の屈折力を有してもよい。例えば、屈折力は、近視眼的または遠視眼的に3.5D~5Dの範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、屈折力は、好ましくは、2.5D~5.0Dの範囲内、より好ましくは、3.0D~5.0Dの範囲内である。
【0045】
周辺脱焦点化光学構造120は、周辺脱焦点化が、中心窩に対して偏心である、患者の眼の網膜の一部に適用されるように選択される、内径および外径を有する、環状形状であってもよい。例えば、内径は、光学系112および瞳孔の光学軸に対して約7.5度の角度であるように選択されてもよい。周辺脱焦点化光学構造120の外径は、患者の眼および瞳孔の光学軸に対して外側境界角度、例えば、17.5度にあってもよい。そのような配列は、周辺脱焦点化光学構造120が、中心窩に対して偏心のユーザの網膜の周辺領域内に投影された光の対応する脱焦点化を伴って、ユーザの周辺視野内に位置する結果をもたらす。
【0046】
いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイスは、周辺ゾーン内に局在化された刺激と組み合わせて、眼の屈折異常を治療するために使用されてもよい。局在化された刺激は、例えば、ディスプレイから投影された画像の一部であってもよい、または脱焦点化治療デバイス内の構造もしくはその一部によって提供されてもよい。
【0047】
例えば、
図3Aは、ディスプレイ110の正面の脱焦点化治療デバイス124を描写する。ディスプレイ110は、脱焦点化治療デバイス124を通して、ユーザの眼の中への投影のために、ビデオまたは他の画像コンテンツを提供してもよい。上記に議論されるように、脱焦点化治療デバイス124は、ユーザによって装着される、仮想現実ヘッドセットまたは眼鏡もしくは他のデバイスのレンズ等の光学系112の前方に設置されてもよい。
【0048】
図3Bは、複数の刺激を伴うディスプレイ110と、度単位における網膜上の脱焦点化された刺激の対応する寸法とを示す。ディスプレイ上の刺激のサイズは、ユーザとディスプレイとの間の距離に関連し、寸法は、適切な視角を網膜に提供するために、視認距離に従って変化されることができる。当業者は、脱焦点化された投影された画像の適切な角度サイズを提供するために、ディスプレイ上の刺激のサイズおよび場所を判定するための計算を容易に実施することができる。刺激はそれぞれ、網膜上の角度照明、例えば、3.3度に対応する、横断距離を備える。刺激は、クリア中心視野を提供するように配列され、これは、例えば、15度であることができる。複数の刺激は、最大横断距離を備え、例えば、70mm、これは、35度の視角に対応する。
【0049】
図3Aおよび3Bに示される実施形態では、ディスプレイ110によって提供されるビデオコンテンツまたは他の像は、刺激136を含むように修正されてもよい。刺激136は、ディスプレイ上の画像の中心に対して偏心の場所に、増加された光度または明度の形態で提供されてもよい。刺激136は、ディスプレイ110上に位置付けられ、脱焦点化光学構造120を通して通過されると、刺激を網膜の周辺領域に提供する。いくつかの実施形態では、プロセッサが、刺激136を、網膜上の場所に対応する、ディスプレイ上の場所に設置するための命令とともに構成される。ディスプレイ110は、本明細書に説明されるように、画像刺激136を網膜の前方または後方に形成するように、脱焦点化光学構造120から適切な距離に位置することができる。
【0050】
刺激は、ディスプレイ110の固定された場所またはその中心からある範囲内に位置してもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイ内の刺激のそのような空間配列は、ユーザの眼内のディスプレイ、すなわち、脱焦点化治療デバイスが、例えば、VRまたはARヘッドセットを伴う、患者の頭部へのヘッドセットの搭載によって、実質的に固定された配列で維持されるため、刺激をユーザの網膜上の実質的に固定された場所に提供し得る。いくつかの実施形態では、ヘッドセットは、ユーザの眼の場所および/または配向を追跡する、眼追跡器を含んでもよい。ディスプレイ上の刺激の場所は、ユーザの眼の場所および/または配向に基づいて更新されてもよい。いくつかの実施形態では、周辺刺激は、ユーザの眼の位置に基づいて、オンまたはオフにされてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザの眼は、刺激がユーザの中心視内に現れ得るように、注視点にあってもよい。そのような実施形態では、そうでなければ、ユーザの中心視内に現れるであろう、刺激は、眼追跡器が、刺激がユーザの中心視内にあり得ることを検出すると、アクティブ化解除されてもよい。
【0051】
刺激は、それらが、ユーザの視野内の見掛け直径内に約0.5~5度、より好ましくは、約2~3度、最も好ましくは、約2.3度にあるように定寸されてもよい。
【0052】
1つまたはそれを上回る刺激は、多くの方法において構成される、画像を含んでもよく、空間周波数と関連付けられる、情報またはコンテンツに対応する、画像構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、刺激内に投影された1つまたはそれを上回る画像は、例えば、1サイクル/度~180サイクル/度の範囲内の空間周波数と、範囲99.9%~2.5%内のコントラストとを備える。いくつかの実施形態では、投影された画像は、ある範囲、例えば、2サイクル/度~約60サイクル/度の範囲内の空間周波数を提供するように構成される、画像構造コンテンツを備える。いくつかの実施形態では、画像は、50lp/mmまたはそれを上回る空間周波数において、0.3に等しいまたはより良好な光学伝達関数の係数を伴って、網膜上に投影される。
【0053】
いくつかの実施形態では、刺激は、より明るい面積内のより暗い面積またはより暗い面積内のより明るい面積を含んでもよい。例えば、
図3Aおよび3Bに示されるように、複数の刺激はそれぞれ、その中に刻まれた暗い十字形状を伴う、明るい円形面積を含んでもよい。十字形状は、例えば、その中点および明るい円形の中心において相互に垂直に交差する、2つの暗い線を含んでもよい。いくつかの実施形態では、刺激は、円形の直径を横断して延在する、単一線を含んでもよい。
【0054】
脱焦点化治療デバイス124では、刺激136は、ディスプレイ110によって投影されたビデオコンテンツとともに、周辺脱焦点化光学構造120を通して投影され、故に、ビデオコンテンツの画像および刺激136の両方が、周辺脱焦点化光学構造120によって脱焦点化される。
【0055】
図4は、脱焦点化治療デバイス124の断面を示し、扁平中心面積118と、周辺脱焦点化光学構造120とを含む。
図4に示されるように、周辺脱焦点化光学構造120は、フレネルレンズまたは他の好適な光学構造であってもよく、レンズの所望のジオプタに従った形状を有する、第1の湾曲表面と、
図4に示されるように、レンズの光学軸に対して傾けられ得る、またはレンズの光学軸と垂直であり得る、第2の表面とを伴う。周辺脱焦点化光学構造は、他の形状または構造を有してもよい。例えば、周辺脱焦点化光学構造は、所望のジオプタの湾曲表面を有する、回折光学構造、エシュレット格子、または一連の同心環状レンズであってもよい。
【0056】
図4にさらに示されるように、脱焦点化治療デバイス124は、フィルタ130またはフィルタまたはマスク層142のうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。いくつかの実施形態では、層142は、中性濃度層を備えるが、層は、例えば、着色またはクリアであってもよい。中性濃度層142は、より暗く、より低い照明を有することが所望される、レンズの面積内に、中性濃度フィルタを含んでもよい。中性濃度フィルタは、その上に周辺脱焦点化光学構造120が位置する、前部表面と反対にある、脱焦点化治療デバイス124の後部表面上に位置してもよい。中性濃度フィルタ層142は、扁平中心光学ゾーン118を通して通過する光がまた、中性濃度フィルタを通して通過するように、扁平中心光学ゾーン118を中心として位置してもよい。いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタ層142は、周辺脱焦点化光学構造120を通して通過する、光の一部が、中性濃度フィルタ層142によってフィルタリングされるように、周辺脱焦点化光学構造120を中心として延在してもよい。
図4にさらに示されるように、周辺刺激は、少なくとも部分的に、中性濃度フィルタ層142によるフィルタリングを受けない、脱焦点化治療デバイス124上の1つまたはそれを上回る場所によって提供されてもよい。構造410が、中性濃度フィルタ層142内にまたはそれを通して形成され、フィルタリングされない光がそれを通して通過することを可能にしてもよい。例えば、
図4では、脱焦点化治療デバイス124は、中性濃度フィルタ層142と、フィルタリングされない光がそれを通して通過することを可能にするように形成される、構造410を伴う、刺激場所とを含む。構造410は、本明細書に説明されるように、例えば、その中に刻まれる暗い十字形状を伴う、明るい円形面積を形成するように、任意の好適な形状であってもよい。構造410は、例えば、透明材料または開口のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。十字形状は、その中点および円形の中心において相互に垂直に交差する、中性濃度フィルタによって形成される、2つの暗い伸長構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、刺激は、円形の直径を横断して延在する、中性濃度フィルタ層142によって形成される、単一線を含んでもよい。十字形状を参照するが、構造410は、本明細書に説明されるように刺激を提供するための任意の好適な形状を備えてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタ130は、脱焦点化治療デバイス124の中心扁平領域を越えて延在してもよい。例えば、中性濃度フィルタ130は、周辺脱焦点化光学構造120を包含するように延在してもよい。いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化光学構造120を含む、脱焦点化治療デバイス124の領域は、中性濃度フィルタ130によってマスクされた部分と、中性濃度フィルタ130によってマスクされない部分とを含んでもよい。外側面積のマスクされないまたはクリア部分は、クリアであって、ディスプレイ110の画像またはビデオコンテンツ内に提供される刺激と光学的に整合されてもよい。光学的に整合されると、外側面積のマスクされない部分および刺激は、ユーザの視点から相互にわたって重畳されて現れる。投影された画像内の刺激からの増加された光度と、脱焦点化治療デバイスのマスクおよびマスクされない領域の光度における差異を組み合わせることによって、非刺激領域と比較して、刺激の光度間のより大きい差異が、提供されてもよい。
【0058】
図4および
図5を参照すると、脱焦点化治療デバイス124は、クリア基部140を脱焦点化治療デバイス124の後部側上に含んでもよい。基部140は、脱焦点化治療デバイス124をレンズ112等のレンズに結合するためのレンズ界面表面144を含んでもよい。いくつかの実施形態では、レンズ界面表面144は、接着剤を含み、脱焦点化治療デバイス124をレンズまたは他の構造に結合することをさらに促進してもよい。いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124は、直接、レンズ上または内に形成されてもよい。そのような実施形態では、脱焦点化治療デバイス124は、基部140を前部表面上に有していなくてもよい、または基部140は、レンズ112等の光学構造であってもよい。
【0059】
図6は、ハードウェアベースの脱焦点化構造を伴う、脱焦点化治療デバイス124と、ハードウェアによって、随意に、ディスプレイから投影された画像を刺激を含むように修正する、ソフトウェア等のソフトウェアによって提供される、刺激とを描写する。脱焦点化治療デバイス124は、中心光学ゾーン118を含む。中心光学ゾーン118は、略平面表面を有するように、扁平であってもよい、または別様に、中心光学ゾーン118を通して通過する入射光の角度の変化を殆どもしくは全く提供しないように成形されてもよい。中心光学ゾーン118はまた、中性濃度フィルタ130またはマスク150を含んでもよい。脱焦点化治療デバイス124は、非刺激面積、例えば、レンズレット146を含まない面積内に、実質的に扁平前部表面を有してもよい。
【0060】
脱焦点化治療デバイス124はまた、中性濃度フィルタ130を含んでもよい。中性濃度フィルタ130は、脱焦点化治療デバイス124の扁平領域を通して通過する、光をフィルタリングする。いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタ130は、脱焦点化治療デバイス124の非刺激領域内の脱焦点化治療デバイス124を通して通過する、光をフィルタリングする。
【0061】
脱焦点化治療デバイス124の外側面積は、周辺脱焦点化光学構造120を含む。周辺脱焦点化光学構造120は、1つまたはそれを上回るレンズをデバイス124の外側領域内に含んでもよい。例えば、周辺脱焦点化光学構造124は、
図6、7、8、9、および10に示されるように、レンズレット146のアレイを含んでもよい。複数のレンズレット146は、ユーザが前方を見るとき、脱焦点化された画像を網膜の周辺部分に提供する一方、クリア視覚を中心窩および黄斑に提供するように成形および配列されてもよい。脱焦点化光学構造120の各レンズレット146は、近視眼的または遠視眼的に2.0D~6.0Dの範囲内の屈折力を有してもよい。例えば、屈折力は、近視眼的または遠視眼的に3.5D~5Dの範囲内であってもよい。曲率は、好ましくは、2.5~5.0D、より好ましくは、3.0~5.0Dである。
【0062】
周辺脱焦点化光学構造120のレンズレット146は、脱焦点化治療デバイス124の中心光学ゾーン118を中心として心合される、1つまたはそれを上回る円形アレイに配列されてもよい。1つまたはそれを上回る円形アレイは、周辺脱焦点化が、中心窩に対して偏心である、患者の眼の網膜の一部に適用されるように選択される、内径および外径を有する、環状形状を形成してもよい。例えば、内径は、光学系112および瞳孔の光学軸に対して約7.5度の角度であるように選択されてもよい。周辺脱焦点化光学構造120の外径は、患者の眼および瞳孔の光学軸に対して外側境界角度、例えば、17.5度にあってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124のレンズレット146およびフィルタリングされない面積の場所は、フィルタリングされない光が、患者の網膜に対して脱焦点化されるように、デバイス124のフィルタリングされない面積を通して通過する、光もまた、レンズレット146を通して通過するように、相互に対して位置付けられてもよい。脱焦点化治療デバイスは、周辺ゾーン内の局在化された刺激と組み合わせて、眼の屈折異常を治療するために使用されてもよい。局在化された刺激は、例えば、ディスプレイから投影された画像の一部であってもよい、または脱焦点化治療デバイス内の構造もしくその一部によって提供されてもよい。
【0064】
例えば、
図7は、ディスプレイ110の正面の脱焦点化治療デバイス124を描写する。ディスプレイ110は、脱焦点化治療デバイス124を通して、ユーザの眼の中への投影のために、ビデオまたは他の画像コンテンツを提供してもよい。上記に議論されるように、脱焦点化治療デバイス124は、ユーザによって装着される、仮想現実ヘッドセットまたは眼鏡もしくは他のデバイスのレンズ等の光学系112の前方に設置されてもよい。
図7に示される実施形態では、ディスプレイ110によって提供されるビデオコンテンツまたは他の像は、刺激136を含むように修正されてもよい。刺激136は、ディスプレイ上の画像の中心に対して偏心の場所において、増加された光度または明度の形態で提供されてもよい。
【0065】
刺激は、ディスプレイ110の固定された場所、またはその中心からある範囲内に位置してもよい。VRヘッドセットのディスプレイ内の刺激のそのような固定された配列は、ユーザの眼内のディスプレイ、すなわち、脱焦点化治療デバイスが、患者の頭部へのVRヘッドセットの搭載によって実質的に固定された配列に維持されるため、刺激をユーザの網膜上の実質的に固定された場所に提供し得る。いくつかの実施形態では、VRヘッドセットは、ユーザの眼の場所および/または配向を追跡する、眼追跡器を含んでもよい。刺激および関連付けられるレンズレットは、それらが、ユーザの視野内の見掛け直径内で約0.5~5度、より好ましくは、約2~3度、最も好ましくは、約2.3度であるように、定寸されてもよい。
【0066】
1つまたはそれを上回る刺激は、多くの方法において構成される、画像を含んでもよく、空間周波数と関連付けられる、情報またはコンテンツに対応する、画像構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、刺激は、より明るい面積内のより暗い面積またはより暗い面積内のより明るい面積を含んでもよい。例えば、
図7に示されるように、刺激は、その中に刻まれた暗い十字形状を伴う、明るい円形面積を含んでもよい。十字形状は、例えば、その中点および明るい円形の中心において相互に垂直に交差する、2つの暗い線を含んでもよい。いくつかの実施形態では、刺激は、円形の直径を横断して延在する、単一線を含んでもよい。
【0067】
脱焦点化治療デバイス124では、刺激136は、ディスプレイ110によって投影されたビデオコンテンツとともに、周辺脱焦点化光学構造120を通して投影され、故に、ビデオコンテンツの画像および刺激136の両方が、周辺脱焦点化光学構造120によって脱焦点化され得る。
【0068】
図8および9は、それぞれ、脱焦点化治療デバイス124の斜視および断面図を示し、扁平中心面積118と、周辺脱焦点化光学構造120とを含む。周辺脱焦点化光学構造120は、複数のレンズレット146を含んでもよく、それぞれ、レンズレットの脱焦点化における所望のジオプタに従って成形される、湾曲表面を有する。レンズレットは、他の形状または構造を有してもよい。例えば、レンズレットは、所望の光学を作成するための形状または構造を有する、回折光学構造、GRINレンズ、エシュレット格子、ホログラフィックレンズ、またはフレネルレンズのうちの1つまたはそれを上回るものから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、レンズレットは、レンズレット146によって提供される脱焦点化における動的変動を可能にする、電気的に調整可能なレンズであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、レンズレットは、ある周期の間、脱焦点化を提供しない一方、他の周期の間、2~6D脱焦点化を提供してもよい。
【0069】
脱焦点化治療デバイス124は、中性濃度フィルタまたはマスク層142等のフィルタ130を含んでもよい。層142は、より暗く、より低い照明を有することが所望される、レンズの面積内に、中性濃度フィルタを含んでもよい。中性濃度フィルタは、その上にレンズレット146等の周辺脱焦点化光学構造120が位置する、前部表面の反対にある、脱焦点化治療デバイス124の後部表面上に位置してもよい。いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタ層142は、周辺脱焦点化光学構造120の扁平領域を通して通過する、光の一部が、中性濃度フィルタ層142によってフィルタリングされるように、扁平中心118から周辺脱焦点化光学構造120の扁平領域まで延在してもよい。いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタ層142は、レンズレット146の場所に対応する、脱焦点化治療デバイス124の場所を被覆しなくてもよい。周辺刺激136は、少なくとも部分的に、中性濃度フィルタ層142によるフィルタリングを受けない、脱焦点化治療デバイス124上の1つまたはそれを上回る場所によって提供されてもよい。開口または透明材料等の構造が、中性濃度フィルタ層142内にまたはそれを通して形成され、フィルタリングされない光がそれを通して通過することを可能にしてもよい。例えば、
図9の断面図に示されるように、脱焦点化治療デバイス124は、中性濃度フィルタ層142と、フィルタリングされない光がそれを通して通過することを可能にするように形成される、構造を伴う、刺激場所とを含む。構造は、それらが、その中に刻まれる暗い十字形状の有無にかかわらず、明るい円形面積を形成するように、上記に議論されるような形状であってもよい。
【0070】
フィルタ130を通して形成される開口の外周界は、1つの開口を通して関連付けられるレンズレットに向かって通過する光が、フィルタを通して、開口と関連付けられない異なるレンズレットの中に進入または散乱しないように防止することを補助する、光障壁またはバッフル152を含んでもよい。いくつかの実施形態では、バッフルまたは障壁は、光学層142の中にまたはそれを通して、周辺脱焦点化光学構造120の前部表面上のレンズレットまで延在してもよい。
【0071】
図8-10を参照すると、脱焦点化治療デバイス124は、クリア基部140を脱焦点化治療デバイス124の後部側上に含んでもよい。基部140は、脱焦点化治療デバイス124をレンズ112等のレンズに結合するためのレンズ界面表面144を含んでもよい。いくつかの実施形態では、レンズ界面表面144は、接着剤を含み、脱焦点化治療デバイス124をレンズまたは他の構造に結合することをさらに促進してもよい。いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124は、直接、レンズ上または内に形成されてもよい。そのような実施形態では、脱焦点化治療デバイス124は、基部140を前部表面上に有していなくてもよい、または基部140は、レンズ112等の光学構造であってもよい。
【0072】
図11は、複数のレンズレット146によって提供される、ハードウェアベースの脱焦点化構造を伴う、脱焦点化治療デバイス124と、ハードウェアによって、随意に、ディスプレイから投影された画像を刺激を含むように修正する、ソフトウェア等のソフトウェアによって提供される、刺激136とを描写する。脱焦点化治療デバイス124は、中心光学ゾーン118と、周辺脱焦点化光学構造120とを含む。中心光学ゾーン118は、略平面表面を有するように、扁平であってもよい、または別様に、中心光学ゾーン118を通して通過する入射光の角度の変化を殆どもしくは全く提供しないように成形されてもよい。中心光学ゾーン118はまた、中性濃度フィルタ130またはマスク150を含んでもよい。脱焦点化治療デバイス124は、非刺激面積、例えば、レンズレット146を含まない、面積内に、実質的に扁平前部表面を有してもよい。中性濃度フィルタ130は、脱焦点化治療デバイス124の扁平領域を通して通過する、光をフィルタリングする。いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタ130は、脱焦点化治療デバイス124の非刺激領域内の脱焦点化治療デバイス124を通して通過する、光をフィルタリングする。
【0073】
脱焦点化治療デバイス124の周辺面積は、周辺脱焦点化光学構造120を含む。周辺脱焦点化光学構造120は、デバイス124の外側領域内の1つまたはそれを上回るレンズを含んでもよい。例えば、周辺脱焦点化光学構造124は、
図11-15に示されるように、レンズレット146のアレイを含んでもよい。複数のレンズレット146は、ユーザが前方を見るとき、脱焦点化された画像を網膜の周辺部分に提供する一方、クリア視覚を中心窩および黄斑に提供するように成形および配列されてもよい。
【0074】
周辺脱焦点化光学構造120のレンズレット146は、脱焦点化治療デバイス124の中心光学ゾーン118を中心として心合される、1つまたはそれを上回る円形アレイに配列されてもよい。1つまたはそれを上回る円形アレイは、周辺脱焦点化が、中心窩に対して偏心である、患者の眼の網膜の一部に適用されるように選択される、内径および外径を有する、環状形状を形成してもよい。例えば、内径は、光学系112および瞳孔の光学軸に対して約7.5度の角度であるように選択されてもよい。周辺脱焦点化光学構造120の外径は、患者の眼および瞳孔の光学軸に対して外側境界角度、例えば、17.5度にあってもよい。そのような配列は、周辺脱焦点化光学構造120が、中心窩に対して偏心のユーザの網膜の周辺領域内に投影された光の対応する脱焦点化を伴って、ユーザの周辺視野内に位置する結果をもたらす。
【0075】
いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124のレンズレット146およびフィルタリングされない面積の場所は、フィルタリングされない光が、患者の網膜に対して脱焦点化されるように、デバイス124のフィルタリングされない面積を通して通過する光もまた、レンズレット146を通して通過するように、相互に対して位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、
【0076】
脱焦点化治療デバイスは、周辺ゾーン内の局在化された刺激と組み合わせて、眼の屈折異常を治療するために使用されてもよい。局在化された刺激は、例えば、ディスプレイから投影された画像の一部であってもよい、または脱焦点化治療デバイス内の構造もしくはその一部によって提供されてもよい。
【0077】
図7および11に示される刺激136は、本明細書に説明されるように、より暗い面積内のより明るい面積を含む。刺激136は、その中に刻まれるフィルタリングされない十字形状を有する、円形面積を含む。十字形状は、例えば、その中点および円形の中心において相互に垂直に交差する、2つのフィルタリングされない線を含んでもよい。刺激はまた、楔形状の中性濃度フィルタ130またはマスク150を含んでもよい。各楔成形形状の中性濃度フィルタまたはマスク150は、十字形状のフィルタリングされない面積によって形成される、円形刺激の象限を充填してもよい。いくつかの実施形態では、刺激は、脱焦点化治療デバイス124の非刺激面積上の中性濃度フィルタ130と同一、より大きい、またはより小さい範囲の光をフィルタリングしてもよい。例えば、刺激136はさらに、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも10、20、または30倍、刺激のフィルタリングされない面積と比較して、光透過率を低減させてもよい。いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124の非フィルタリング面積と比較して、中性濃度フィルタによって提供される光透過率差異は、約5、10、20、または30倍であってもよい。いくつかの実施形態では、照明差異は、5~30倍、より好ましくは、10~20倍であってもよい。いくつかの実施形態では、刺激136は、中性濃度フィルタ含まなくてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、成形されたマスク150は、刺激を提供してもよい。例えば、マスク150の刺激は、多くの方法において構成される、画像を含んでもよく、空間周波数と関連付けられる、情報またはコンテンツに対応する、画像構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、刺激内に投影された1つまたはそれを上回る画像は、例えば、0.1サイクル/度~180サイクル/度の範囲内の空間周波数と、随意に、範囲99.9%~2.5%内のコントラストとを備える。いくつかの実施形態では、刺激内の投影された1つまたはそれを上回る画像は、例えば、1サイクル/度~180サイクル/度の範囲内の空間周波数と、範囲99.9%~2.5%内のコントラストとを備える。いくつかの実施形態では、投影された画像は、ある範囲、例えば、2サイクル/度~約60サイクル/度の範囲内の空間周波数を提供するように構成される、画像構造コンテンツを備える。いくつかの実施形態では、画像は、50 lp/mmまたはそれを上回る空間周波数で0.3に等しいまたはより良好な光学伝達関数の係数を伴って、網膜上に投影される。いくつかの実施形態では、網膜上に投影された画像は、少なくとも1線対/mm(「lp/mm」)またはそれを上回る空間周波数を網膜上に備える。
【0079】
再び
図3Aおよび3Bを参照すると、ディスプレイ110は、脱焦点化治療デバイス124を通して、ユーザの眼の中への投影のために、ビデオまたは他の画像コンテンツを提供してもよい。上記に議論されるように、脱焦点化治療デバイス124は、ユーザによって装着される仮想現実ヘッドセットまたは眼鏡もしくは他のデバイスのレンズ等の光学系112の前方に設置されてもよい。
図12に示される実施形態では、ディスプレイ110によって提供されるビデオコンテンツまたは他の像は、刺激136を提供するように修正されてもよい。刺激136は、ディスプレイ上の画像の中心に対して偏心の場所において、増加された光度または明度の形態で提供されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、刺激および関連付けられるレンズレットは、それらが、ユーザの視野内の見掛け直径内で約0.5~5度、より好ましくは、約2~3度、最も好ましくは、約2.3度であるように定寸される。
図12に示される実施形態では、ディスプレイ110からの光によって提供されるビデオコンテンツまたは他の像は、脱焦点化治療デバイス124によって、刺激を提供するように修正されてもよい。ハードウェア刺激は、ディスプレイ上の刺激の代替として、またはディスプレイ上のビデオ刺激と組み合わせてのいずれかにおいて、交差を提供されることができる。
【0081】
脱焦点化治療デバイス124では、ディスプレイ110によって提供されるビデオコンテンツは、レンズレット146および周辺脱焦点化光学構造120内のマスク150の刺激136を通して投影され、故に、ビデオコンテンツの画像および刺激136の両方が、周辺脱焦点化光学構造120によって脱焦点化される。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、周辺脱焦点化光学構造120の刺激136およびレンズレット146と整合し、脱焦点化治療デバイス124の他の領域と比較して、付加的明度およびコントラストを刺激に提供する、明るい場所を含んでもよい。
【0082】
図13および14は、それぞれ、脱焦点化治療デバイス124の斜視および断面図を示し、扁平中心面積128を備える、中心光学ゾーン118と、周辺脱焦点化光学構造120ならびにその関連付けられるレンズレット146およびマスク150とを含む。周辺脱焦点化光学構造120は、複数のレンズレット146を含んでもよく、それぞれ、脱焦点化をレンズレットに提供するための所望の屈折力を有する。レンズレットは、他の形状または構造を有してもよい。例えば、レンズレットは、所望のジオプタを作成するための形状または構造を有する、回折光学構造、エシュレット格子、GRINレンズ、またはフレネルレンズから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、レンズレットは、レンズレット146によって提供される脱焦点化の動的変動を可能にする、電気的に調整可能なレンズであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、レンズレットは、ある周期の間、脱焦点化を提供しない一方、他の周期の間、2~6Dの脱焦点化を提供してもよい。
【0083】
脱焦点化治療デバイス124は、中性濃度フィルタ130またはマスク層148を含んでもよい。マスク層148は、より暗く、より低い照明を有することが所望される、レンズの面積内に、中性濃度フィルタ130を含んでもよい。中性濃度フィルタは、その上にレンズレット146等の周辺脱焦点化光学構造120が位置する、前部表面と反対にある、脱焦点化治療デバイス124の後部表面上に位置してもよい。いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタ130は、周辺脱焦点化光学構造120の扁平領域を通して通過する、光の一部が、中性濃度質量130によってフィルタリングされるように、扁平中心128から周辺脱焦点化光学構造120の扁平領域まで延在してもよい。いくつかの実施形態では、中性濃度フィルタ130は、レンズレット146の場所に対応する、脱焦点化治療デバイス124の場所を被覆しなくてもよい。周辺刺激136は、少なくとも部分的に、中性濃度フィルタ130によるフィルタリングを受けない、脱焦点化治療デバイス124上の1つまたはそれを上回る場所によって提供されてもよい。構造が、中性濃度フィルタ130内にまたはそれを通して形成され、フィルタリングされない光がそれを通して通過することを可能にしてもよい。例えば、
図14の断面図に示されるように、脱焦点化治療デバイス124は、中性濃度フィルタ130と、フィルタリングされない光がそれを通して通過することを可能にするように形成される、構造を伴う、刺激場所とを含む。構造は、それらが、その中に刻まれた光十字形状の有無にかかわらず、明るい円形面積を形成するように、上記に議論されるような形状であってもよい。
【0084】
刺激を含む、マスク150は、基部140上、または対応するレンズレット146の場所において、中性濃度フィルタ130内の楔形状の面積内に形成される、画像もしくは構造であってもよい。
【0085】
図13-15を参照すると、脱焦点化治療デバイス124は、クリア基部140を脱焦点化治療デバイス124の後部側上に含んでもよい。基部140は、脱焦点化治療デバイス124をレンズ112等のレンズに結合するためのレンズ界面表面144を含んでもよい。いくつかの実施形態では、レンズ界面表面144は、接着剤を含み、脱焦点化治療デバイス124をレンズまたは他の構造に結合することをさらに促進してもよい。いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124は、直接、レンズ上または内に形成されてもよい。そのような実施形態では、脱焦点化治療デバイス124は、基部140を前部表面上に有していなくてもよい、または基部140は、レンズ112等の光学構造であってもよい。
【0086】
図16は、ハードウェアベースの周辺脱焦点化光学構造120を伴う、脱焦点化治療デバイス124と、マスク150を参照して上記に議論されるようなマスク等のハードウェアによって提供される刺激とを組み込む、眼鏡200である。脱焦点化治療デバイスは、中心光学ゾーン118と、周辺脱焦点化光学構造120とを含む。
【0087】
周辺脱焦点化光学構造120は、フレネルレンズ、レンズレット、回折光学系、またはエシュレット格子を含む、本明細書で議論される構造のいずれか等の多くの方法で実装されてもよい。周辺脱焦点化光学構造の中心光学ゾーン118および非刺激領域はまた、本明細書に議論されるように、中性濃度フィルタまたはマスクを含んでもよい。脱焦点化構造デバイスは、眼鏡のレンズ112の中に組み込まれてもよい、またはレンズ120または眼鏡フレーム等の眼鏡の別の部分に結合可能である、別個の構造であってもよい。
【0088】
図17は、ユーザデバイス等のデバイスのディスプレイ110に結合される、デバイス124を備え、網膜刺激をユーザに提供する、治療装置を示す。いくつかの実施形態では、ディスプレイ110は、保護層1720と、ピクセル層1730とを備える。複数のレンズレット146は、距離1710だけ、ピクセル層1730から離間される。距離1710およびレンズレットの屈折力は、適切な量の脱焦点化を伴って、複数の刺激を網膜の前方または後方に集束させるように構成されることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、基部140および層142はそれぞれ、複数のレンズレット146をピクセル層1730から距離1710に設置するように定寸される、厚さを備える。いくつかの実施形態では、脱焦点化治療デバイス124は、接着剤を用いてディスプレイに結合するためのクリア基部140を備える。層142は、フィルタを備えてもよい。代替として、層142は、例えば、実質的クリア層と、暗い背景を刺激の周囲に提供するように構成される、ディスプレイとを備えてもよい。いくつかの実施形態では、層142は、レンズレットアレイをピクセル層1730から適切な距離1710に設置するための厚さを備える。代替として、または組み合わせて、クリア基部140は、レンズレットアレイを適切な距離1710に設置するための厚さを備える。基部140および層142が、示されるが、いくつかの実施形態では、レンズレットアレイは、レンズレット146を基部140および層142を伴わずに、ピクセル1730から距離1710に位置付けるように定寸される、厚さを備える。例えば、接着剤層1740は、レンズレットがピクセル層1730から距離1710に位置付けられた状態で、直接、レンズレットアレイ146のレンズをディスプレイ138の保護層1720に結合することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、デバイス124は、接着剤層1740を用いて、ディスプレイに結合される。代替として、デバイス124は、レンズレットアレイをディスプレイから距離1710に設置するために、ホルダ等の支持体内に設置されることができる。いくつかの実施形態では、デバイス124は、ユーザが、カバーを剥離し、デバイス124をディスプレイ上に設置するために、接着剤層上の剥離可能カバーとともに、ユーザに提供される。接着剤層を備える、層1740を参照するが、いくつかの実施形態では、層1740は、ユーザがデバイス124をディスプレイから除去することを可能にする、弱接着剤を備える。
【0091】
いくつかの実施形態では、レンズレットは、屈折力を備え、距離1710は、複数の刺激のそれぞれを横断して好適な距離を提供するように、適切な拡大率を刺激に提供するように定寸される。
【0092】
いくつかの実施形態では、プロセッサが、本明細書に説明されるように、適切なサイズおよび場所を伴う、複数の刺激136をディスプレイ上に提供し、網膜刺激を提供するための命令を備える。光学系の当業者は、例えば、
図3Bを参照して本明細書に説明されるように、レンズレット146の焦点距離およびレンズレットとピクセル層との間の距離1710を判定し、刺激136の適切な角度サイズをディスプレイ上に提供することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、複数のレンズレットはそれぞれ、各刺激が、実質的に、近傍の刺激からの光を伴わずに、網膜の領域に提供され得るように、刺激間の光学干渉を減少させるために、ある間隙だけ、隣接するレンズレットから分離される。例えば、ディスプレイ上の複数の刺激は、レンズレットアレイのレンズの間隔と同様に、相互から分離されることができる。ディスプレイは、
図3Bに示されるように、刺激間の間隙を伴って、実質的に暗い背景を備えてもよい。代替として、層142は、光学干渉を減少させるように、レンズの場所に対応する、透過性材料の開口またはウィンドウを画定する、光学的に非透過性の材料を備えてもよい。
【0094】
図18は、液晶材料を電極間に伴う、複数のレンズレットを示す。いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化構造は、レンズレットアレイ146の複数のレンズレットと、電極と、レンズレットの屈折力をアクティブ化およびアクティブ化解除するための液晶(「LC」)材料とを備える。アクティブ構成では、レンズレットは、屈折力を備え、複数の刺激を生成する。非アクティブ化構成では、レンズレットの屈折力は、ユーザが、通常、例えば、実質的非アクティブレンズレットを通して、ディスプレイを視認し得るように、減少され、実質的に透明にユーザに現れる。
【0095】
いくつかの実施形態では、周辺脱焦点化構造は、第1の電極1710と、第2の電極1720とを備え、これは、複数の実質的に透明な電極間の液晶材料1730およびレンズレット1740を用いて離間される。液晶材料および複数のレンズレットは、複数の電極間に位置付けられ、複数のレンズレットの屈折力をアクティブ化およびアクティブ化解除する。
【0096】
いくつかの実施形態では、電極間の複数のレンズレットは、ディスプレイに光学的に結合されることができ、モバイルデバイスのプロセッサが、ディスプレイに動作可能に結合される。プロセッサは、複数の場所において、複数の刺激をディスプレイ上に提供し、画像を網膜の前方または後方の複数の場所に形成するための命令を備える。いくつかの実施形態では、ディスプレイ上の複数の刺激はそれぞれ、画像を網膜の周辺部分の前方または後方の場所に形成するために、対応するレンズレットと整合される。
【0097】
電極、液晶(「LC」)材料およびレンズレットは、多くの方法において構成されることができる。いくつかの実施形態では、レンズレットは、回折光学系、屈折光学系、ホログラフィック光学系、またはエシュレット格子のうちの1つまたはそれを上回るものを備える。いくつかの実施形態では、電位差(電圧)が、透明電極、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)によって送達される。電極は、20nm~200nmの範囲内の厚さを備えてもよい。金属が、5nm~30nmの範囲内の厚さを有する、SiO2層等の基板の整合された層上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、SiO2層の整合は、斜め堆積によって達成される。いくつかの実施形態では、SiO2層の整合は、LC分子の整合をより低い電圧で駆動する。
【0098】
コーティング厚は、多くの方法において構成されることができるが、いくつかの実施形態では、厚さは、最適化を用いて判定される。例えば、シミュレーションが、ITO-SiO2コーティングを伴う透過を最適化するために実施されることができる。ガラス基板上のITO-SiO2層に関して、本開示に関連する研究は、それぞれ、20nmおよび230nmの厚さが、法線入射において、550nmにおける光に関する最大透過率を提供し得ることを示唆している。透過率は、例えば、80%またはそれを上回る、任意の好適な量であり得るが、計算された透過率は、例えば、空気/ITO界面に関して、法線入射において、約93.35%であり得る。1.67の屈折率を有する基板材料として、SiO2(ガラス)を参照するが、基板材料は、例えば、ガラスまたはプラスチック等の任意の好適な材料を含んでもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、液晶材料は、-10℃を下回るガラス遷移温度と、100℃を上回る溶融点とを伴う、実質的に透明材料を含む。液晶材料は、ネマチック位相、コレステリック位相、またはスメクチック位相のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。液晶材料は、ダイクロイック染料を伴う、コレステリック液晶を備えてもよい。ダイクロイック染料は、光の配向依存吸収率を有してもよい、または配向依存平均屈折率を有してもよい。ダイクロイック染料のそのような性質は両方とも、本明細書に開示される電気活性要素の構造内で使用されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、液晶材料は、-10℃を下回るガラス遷移温度と、100℃を上回る溶融点とを伴う、実質的に透明の材料を含む。液晶材料は、ネマチック位相、コレステリック位相、またはスメクチック位相のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。液晶材料は、ダイクロイック染料を伴う、コレステリック液晶を備えてもよい。ダイクロイック染料は、光の配向依存吸収率を有してもよい、または配向依存平均屈折率を有してもよい。ダイクロイック染料のそのような性質は両方とも、本明細書に開示される電気活性要素の構造内で使用されてもよい。
【0101】
電気活性コンポーネントは、多くの方法において構成されることができる。例えば、電気活性コンポーネントは、レンズの製造の間、好適な時間におけるレンズ上への設置のために構成される、アセンブリを備えてもよい。例えば、コンポーネントは、湾曲屈折表面がレンズ上に研磨される前または後のいずれかにおいて、レンズ上への設置のために構成される、独立型コンポーネントを備えてもよい。回路網が、本明細書に説明されるように、好適なコネクタを用いて、電気活性コンポーネントに結合され、好適な場所において、眼鏡フレーム等の支持体上に搭載されることができる。
【0102】
表1は、Merckから市販の液晶調合物および屈折率等のその材料性質を示す。
【0103】
【0104】
具体的液晶材料を参照するが、当業者は、多くの適合および変動が行われ得ることを認識するであろう。
【0105】
当業者は、レンズレットアレイの屈折力の適切な切替を提供する、LC材料と併用するために好適なレンズレット材料を識別することができる。多くの材料が、使用され得るが、レンズレット材料の実施例は、イオンドープされたガラス、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、多環芳香族、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、または多環式オレフィンのうちの1つまたはそれを上回るものを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、液晶材料は、第1の構成における、レンズレットアレイを用いて光を実質的に屈折させる、第1の屈折率から、第2の構成において、レンズレットアレイから実質的屈折力を伴わずに、光を実質的に透明に透過させる、第2の屈折率に切替可能である。第2の屈折率は、第2の構成では、レンズレットアレイから屈折力を減少させるために、レンズレットアレイの屈折率により近い。
【0107】
いくつかの実施形態では、第1の屈折率は、少なくとも0.05だけレンズレットアレイの屈折率と異なり、実質的屈折力をレンズレットアレイに提供し、第2の屈折率は、0.02以下だけレンズレットアレイの屈折率と異なり、屈折力の実質的減少を提供し、レンズレットアレイの存在がユーザに知覚不可能であるように、光をレンズレットアレイを通して実質的に透明に透過させる。
【0108】
いくつかの実施形態では、液晶材料は、0.10~0.25の範囲内の屈折率の変化を提供するように構成される。
【0109】
図19は、本明細書に説明されるように、治療デバイス124のレンズレットアレイ146に結合される、ディスプレイ110を備える、治療装置100を示す。装置100は、多くの方法において構成されることができ、眼科デバイス、TV画面、コンピュータ画面、VRディスプレイ、ARディスプレイ、ハンドヘルド、モバイルコンピューティングデバイス、タブレットコンピューティングデバイス、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、眼鏡レンズフレーム、眼鏡レンズ、接眼ディスプレイ、頭部搭載型ディスプレイ、ゴーグル、コンタクトレンズ、埋込可能デバイス、角膜アンレー、角膜インレー、角膜補綴、または眼内レンズのうちの1つまたはそれを上回るものを備える、ユーザデバイスを備えてもよい。いくつかの実施形態では、治療デバイスは、例えば、スマートフォンまたはタブレット等のユーザデバイスを備える。ユーザデバイスのディスプレイは、本明細書に説明されるように、複数の刺激136を提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、ユーザデバイスは、刺激の画像を網膜の前方または後方に提供するように、複数の刺激にわたって設置される、レンズレットアレイ146を備える。いくつかの実施形態では、レンズレットアレイの各レンズレットは、複数の刺激のうちの1つと整合される。ユーザデバイスは、本明細書に説明されるように、例えば、クリア視認面積の中に延在するレンズレットアレイを伴わずに、クリア視認面積を伴う、ゾーン118を備えてもよい。クリア視認面積は、ユーザがビデオ等の画像を視認し、ユーザが、例えば、ウェブブラウザを使用する、ビデオゲームをプレーする、テキストおよび電子メールを送受信すること等を行うように、デバイスを実質的に正常様式において使用することを可能にするように構成されることができる。レンズレットアレイは、本明細書に説明されるように、適切な量の脱焦点化を提供するように、ピクセルからある距離に位置付けられることができる。
【0110】
本明細書に説明されるように、本明細書に説明および/または図示されるコンピューティングデバイスならびにシステムは、広義には、本明細書に説明されるモジュール内に含有されるもの等のコンピュータ可読命令を実行することが可能な任意のタイプまたは形態のコンピューティングデバイスもしくはシステムを表す。それらの最も基本的な構成では、これらのコンピューティングデバイスは、それぞれ、少なくとも1つのメモリデバイスと、少なくとも1つの物理的プロセッサとを備えてもよい。
【0111】
本明細書に使用されるような用語「メモリ」または「メモリデバイス」は、概して、データならびに/もしくはコンピュータ可読命令を記憶することが可能な任意のタイプまたは形態の揮発性もしくは不揮発性記憶デバイスまたは媒体を表す。一実施例では、メモリデバイスは、本明細書に説明されるモジュールのうちの1つまたはそれを上回るものを記憶、ロード、および/または維持してもよい。メモリデバイスの実施例は、限定ではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、同一物のうちの1つまたはそれを上回るものの変形例もしくは組み合わせ、または任意の他の好適な記憶メモリを備える。
【0112】
加えて、本明細書に使用されるような用語「プロセッサ」または「物理的プロセッサ」は、概して、コンピュータ可読命令を解釈ならびに/もしくは実行することが可能な任意のタイプまたは形態のハードウェア実装処理ユニットを指す。一実施例では、物理的プロセッサは、上記に説明されるメモリデバイス内に記憶される1つまたはそれを上回るモジュールにアクセスする、および/またはそれを修正してもよい。物理的プロセッサの実施例は、限定ではないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニット(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、同一物のうちの1つまたはそれを上回るものの部分、同一物のうちの1つまたはそれを上回るものの変形例もしくは組み合わせ、または任意の他の好適な物理的プロセッサを備える。プロセッサは、分散型プロセッサシステム、例えば、並列プロセッサの起動、またはサーバ等の遠隔プロセッサ、およびそれらの組み合わせを備えてもよい。
【0113】
別個の要素として図示されるが、本明細書に説明および/または図示される方法ステップは、単一のアプリケーションの部分を表し得る。加えて、いくつかの実施形態では、これらのステップのうちの1つまたはそれを上回るものは、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに、方法ステップ等の1つまたはそれを上回るタスクを実施させ得る、1つまたはそれを上回るソフトウェアアプリケーションもしくはプログラムを表す、またはそれに対応し得る。
【0114】
加えて、本明細書に説明されるデバイスのうちの1つまたはそれを上回るものは、データ、物理的デバイス、および/または物理的デバイスの表現を、1つの形態から別の形態に変換してもよい。加えて、または代替として、本明細書に列挙されるモジュールのうちの1つまたはそれを上回るものは、コンピューティングデバイス上で実行すること、コンピューティングデバイス上にデータを記憶すること、および/または別様にコンピューティングデバイスと相互作用することによって、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ならびに/もしくは物理的コンピューティングデバイスの任意の他の部分を、1つの形態のコンピューティングデバイスから別の形態のコンピューティングデバイスに変換してもよい。
【0115】
本明細書に使用されるような用語「コンピュータ可読媒体」は、概して、コンピュータ可読命令を記憶または搬送することが可能な任意の形態のデバイス、キャリア、もしくは媒体を指す。コンピュータ可読媒体の実施例は、限定ではないが、搬送波等の伝送型媒体、および磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、およびフロッピー(登録商標)ディスク)、光学記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、およびBLU-RAY(登録商標)ディスク)、電子記憶媒体(例えば、ソリッドステートドライブおよびフラッシュメディア)、ならびに他の分散システム等の非一過性型媒体を備える。
【0116】
当業者は、本明細書に開示される任意のプロセスまたは方法が、多くの方法で修正され得ることを認識するであろう。本明細書に説明および/または図示されるプロセスパラメータならびにステップのシーケンスは、実施例としてのみ与えられ、所望に応じて変動されることができる。例えば、本明細書に図示および/または説明されるステップは、特定の順序で示される、もしくは議論されるが、これらのステップは、必ずしも図示または議論される順序で実施される必要はない。
【0117】
本明細書に説明および/または図示される種々の例示的方法はまた、本明細書に説明もしくは図示されるステップのうちの1つまたはそれを上回るものを省略する、もしくは開示されるものに加えて、付加的ステップを備えてもよい。さらに、本明細書に開示されるような任意の方法のステップが、本明細書に開示されるような任意の他の方法のいずれか1つまたはそれを上回るステップと組み合わせられることができる。
【0118】
本明細書に説明されるようなプロセッサは、本明細書に開示される任意の方法の1つまたはそれを上回るステップを実施するように構成されることができる。代替として、または組み合わせて、プロセッサは、本明細書に開示されるような1つまたはそれを上回る方法の1つまたはそれを上回るステップを組み合わせるように構成されることができる。
【0119】
別様に記述されない限り、本明細書および請求項に使用されるような用語「~に接続される」ならびに「~に結合される」(およびそれらの派生語)は、直接ならびに間接的(すなわち、他の要素またはコンポーネントを介した)接続の両方を可能にするものとして解釈されるものである。加えて、本明細書および請求項に使用されるような用語「a」ならびに「an」は、「~のうちの少なくとも1つ」を意味するものとして解釈されるものである。最後に、使用を容易にするために、本明細書および請求項に使用されるような用語「~を含む(including)」ならびに「~を有する(having)」(およびそれらの派生語)は、単語「~を備える(comprising)」と同義的であり、それと同一の意味を有するものとする。
【0120】
本明細書に開示されるようなプロセッサは、本明細書に開示されるような任意の方法のいずれか1つまたはそれを上回るステップを実施するための命令とともに構成されることができる。
【0121】
用語「第1」、「第2」、「第3」等が、事象の任意の特定の順序またはシーケンスを指すことなく、種々の層、要素、コンポーネント、領域、もしくは区分を説明するために本明細書に使用され得ることを理解されたい。これらの用語は、単に、1つの層、要素、コンポーネント、領域、または区分を別の層、要素、コンポーネント、領域、もしくは区分と区別するために使用される。本明細書に説明されるような第1の層、要素、コンポーネント、領域、または区分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の層、要素、コンポーネント、領域、もしくは区分と称され得る。
【0122】
本明細書に使用されるように、用語「または」は、代替として、かつ組み合わせて、項目を指すために包括的に使用される。
【0123】
本明細書で使用されるように、数字等の文字は、同様の要素を指す。
【0124】
屈折力の一般的に承認されている単位は、ジオプタ(「D」)であって、これは、メートル単位における、レンズの焦点距離の逆数に関連する。いくつかの実施形態では、脱焦点化光学構造は、網膜に対する光の焦点を改変するための屈折力を備える。脱焦点化光学構造は、刺激の画像を網膜の前方に形成するための正の屈折力、または刺激の画像を網膜の後方に形成するための負の屈折力を備えてもよい。いくつかの実施形態では、近視性脱焦点化は、正の屈折力に対応し、ジオプタ単位における正の値を用いて表されることができ、遠視性脱焦点化は、負の屈折力に対応し、これは、ジオプタ単位における負の値を用いて、表されることができる。
【0125】
本開示は、以下の付番された付記を含む。
【0126】
付記1.眼の屈折異常を治療するための装置であって、光学ゾーンを備える、光学系と、複数の刺激の画像を眼の網膜の周辺部分の前方または後方に形成するための周辺脱焦点化光学構造であって、周辺脱焦点化光学構造は、光学ゾーンの外側に位置する、光学構造とを備える、装置。
【0127】
付記2.周辺脱焦点化光学構造は、光を眼の光学ゾーンと異なる深度に集束させるための屈折力を備える、付記1に記載の装置。
【0128】
付記3.光学系は、レンズ、光学的に透明な基板、ビームスプリッタ、プリズム、または光学的に透過性の支持体のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、付記1に記載の装置。
【0129】
付記4.周辺脱焦点化光学構造は、フレネルレンズを備える、付記1に記載の装置。
【0130】
付記5.周辺脱焦点化光学構造は、複数のレンズレットを備える、付記1に記載の装置。
【0131】
付記6.複数のレンズレットは、光学ゾーンを中心として、1つまたはそれを上回る円形アレイに配列される、付記5に記載の装置。
【0132】
付記7.周辺脱焦点化光学構造は、回折光学構造またはエシュレット格子のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、付記1に記載の装置。
【0133】
付記8.それを通した光透過を減少させるために、光学ゾーン内にフィルタをさらに備える、付記1に記載の装置。
【0134】
付記9.フィルタは、眼の中心窩上に形成される、中心画像の強度を減少させ、中心画像の強度に関連して複数の刺激の増加された強度を提供するように構成される、付記8に記載の装置。
【0135】
付記10.フィルタは、周辺脱焦点化光学構造の中に延在する、付記8に記載の装置。
【0136】
付記11.フィルタは、中性濃度フィルタを備える、付記8に記載の装置。
【0137】
付記12.フィルタは、可視光の透過率を5~30分の1に低減させる、付記8に記載の装置。
【0138】
付記13.フィルタは、可視光の透過率を5パーセント~99パーセントの範囲内の量だけ低減させる、付記8に記載の装置。
【0139】
付記14.中心画像を黄斑上に形成するために、光学ゾーンを通して、および脱焦点化を伴う複数の刺激を網膜の周辺部分上に提供するために、周辺脱焦点化光学構造を通して、光を提供するように構成される、ディスプレイをさらに備える、付記1に記載の装置。
【0140】
付記15.複数の刺激は、周辺脱焦点化光学構造のレンズレットを用いて形成される、付記14に記載の装置。
【0141】
付記16.周辺脱焦点化光学構造はさらに、複数の刺激生成構造を備える、付記1に記載の装置。
【0142】
付記17.周辺脱焦点化光学構造の1つまたはそれを上回る開口と整合される、フィルタをさらに備える、付記16に記載の装置。
【0143】
付記18.複数の刺激生成構造は、開口内にある、付記17に記載の装置。
【0144】
付記19.複数の刺激生成構造はそれぞれ、マスクを備える、付記18に記載の装置。
【0145】
付記20.複数の刺激はそれぞれ、空間周波数を備える、付記1に記載の装置。
【0146】
付記21.空間周波数は、0.1サイクル/度~180サイクル/度の範囲内、随意に、1サイクル/度~180サイクル/度の範囲内の周波数を備える、付記20に記載の装置。
【0147】
付記22.空間周波数は、網膜上に少なくとも1線対/mm(lp/mm)、随意に、網膜上に少なくとも50 lp/mmの周波数を備える、付記20に記載の装置。
【0148】
付記23.複数の刺激は、範囲99.9%~2.5%内のコントラストを備える、付記1に記載の装置。
【0149】
付記24.周辺脱焦点化光学構造は、-2D~-6Dの範囲内または+2D~+6Dの範囲内の屈折力を備える、付記1に記載の装置。
【0150】
付記25.周辺脱焦点化光学構造は、-3D~-5Dの範囲内または+3D~+5Dの範囲内の屈折力を備える、付記1に記載の装置。
【0151】
付記26.基部をさらに備え、周辺脱焦点化光学構造は、基部に結合される、付記1に記載の装置。
【0152】
付記27.基部の表面上の接着剤をさらに備える、付記26に記載の装置。
【0153】
付記28.光学系は、眼鏡レンズと、フィルタとを備え、周辺脱焦点化光学構造は、レンズに結合される、付記27に記載の装置。
【0154】
付記29.光学系は、接着剤を備える、付記1に記載の装置。
【0155】
付記30.光学系は、複数の層を備える、付記1に記載の装置。
【0156】
付記31.ディスプレイと、ディスプレイに動作可能に結合される、プロセッサであって、複数の場所において、複数の刺激をディスプレイ上に提供し、画像を網膜の前方または後方の複数の場所に形成するための命令を備える、プロセッサとをさらに備える、付記1に記載の装置。
【0157】
付記32.周辺脱焦点化構造は、複数のレンズレットを備え、ディスプレイ上の複数の刺激はそれぞれ、画像を網膜の周辺部分の前方または後方の場所に形成するために、対応するレンズレットと整合される、付記31に記載の装置。
【0158】
付記33.複数の実質的に透明な電極と、複数の実質的に透明な電極間の液晶材料とをさらに備え、液晶材料および複数のレンズレットは、複数の電極間に位置付けられ、複数のレンズレットの屈折力をアクティブ化およびアクティブ化解除する、付記32に記載の装置。
【0159】
付記34.複数のレンズレットは、アクティブ化解除された構成では、実質的に透明であって、複数のレンズレットは、アクティブ化解除された構成では、複数の刺激を提供するように構成される、付記33に記載の装置。
【0160】
付記35.複数の電極は、電極間の電圧に応答して、液晶材料の屈折率を変化させるように構成される、付記33に記載の装置。
【0161】
付記36.プロセッサは、複数の電極に動作可能に結合され、複数のレンズレットをアクティブ化し、複数の刺激を提供する、付記33に記載の装置。
【0162】
本開示の実施形態が、本明細書に記載されるように図示および説明されているが、一例としてのみ提供されている。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、多数の適合、変更、変形例および代用を認識するであろう。本明細書に開示される実施形態のいくつかの代替および組み合わせが、本開示および本明細書に開示される発明の範囲から逸脱することなく、利用されてもよい。したがって、本開示の発明の範囲は、添付の請求項およびその均等物の範囲によってのみ定義され得るものとする。
【国際調査報告】