(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】弁用の消音チョーク
(51)【国際特許分類】
F16K 47/02 20060101AFI20230627BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F16K47/02 D
F16K31/06 305L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572378
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 US2021035975
(87)【国際公開番号】W WO2021248051
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500249589
【氏名又は名称】オートマティック スイッチ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ホスキンス マシュー タイラー
(72)【発明者】
【氏名】デターマン アレクサンダー アール.
【テーマコード(参考)】
3H066
3H106
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA32
3H066EA12
3H106DA07
3H106DA22
3H106DC02
3H106DC18
3H106DD04
3H106EE20
3H106GB06
3H106GB15
(57)【要約】
電磁弁用の消音チョークは、電機子に結合されるように構成されたベースとステムを含んでもよく、電機子のバウンスによって引き起こされるノイズを少なくとも部分的に低減又は除去するように構成されてもよい。チョークは、弁移行の少なくとも一部の間にオリフィスを通る最大流れを制限するように構成されてもよく、これは、電機子のバウンスの発生の間にオリフィス制限流れの状態を作り出すことを含んでもよい。チョークは、ポート間の交差流れを少なくとも部分的に減少させ、弁の少なくとも1つの流路を通る最大流量を制限するように構成されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁弁用の消音チョークであって、前記電磁弁が、圧力ポートと、共通ポートと、排出ポートと、前記圧力ポートと前記共通ポートとの間で流体的に第1のオリフィスと選択的に係合する第1の側部、及び前記共通ポートと前記排出ポートとの間で流体的に第2のオリフィスと選択的に係合する第2の側部を有するポペットを有する電機子と、を有し、前記消音チョークは、
第1の側部及び長手方向の反対側の第2の側部を有するベースと、
前記ベースの第2の側部に結合されたステムと、
前記ベースと前記ステムを通る開口部と、
を含み、
前記電機子が前記開口部を通って配置され、前記ベースの第1の側部が前記ポペットの第2の側部に面するように、前記電機子に結合されるように構成される、消音チョーク。
【請求項2】
前記電磁弁は、前記ポペットが前記第1のオリフィスと密封係合する通電状態と、前記ポペットが前記第2のオリフィスと密封係合する通電解除状態と、前記弁が前記通電状態から前記通電解除状態に移行する移行状態とを有し、前記消音チョークは、前記電磁弁が前記通電状態、前記通電解除状態、及び前記移行状態のうちの少なくとも1つにあるときに、前記消音チョークの少なくとも一部が前記第2のオリフィスを通って配置されるように構成される、請求項1に記載の消音チョーク。
【請求項3】
前記電磁弁が前記通電状態、前記通電解除状態、及び前記移行状態のそれぞれにあるときに、前記消音チョークの少なくとも一部が前記第2のオリフィスを通って配置されるように構成される、請求項2に記載の消音チョーク。
【請求項4】
前記電磁弁が前記通電状態にあるときに、前記ベースが前記共通ポート内に配置されるように構成される、請求項2に記載の消音チョーク。
【請求項5】
前記移行状態の少なくとも一部の間、前記第2のオリフィスを通る最大流れを制限するように構成される、請求項2に記載の消音チョーク。
【請求項6】
電機子ストローク変化が流れ変化を引き起こす前記移行状態の一部の間、前記第2のオリフィスを通る最大流れを制限するように構成される、請求項5に記載の消音チョーク。
【請求項7】
前記電磁弁の通電解除の間に前記電機子及び/又はポペットのバウンスによって引き起こされるノイズを少なくとも部分的に低減するように構成される、請求項1に記載の消音チョーク。
【請求項8】
前記ベースは、前記第2のオリフィスの主寸法よりも小さい主寸法を有する、請求項1に記載の消音チョーク。
【請求項9】
前記ステムは、前記ベースの主寸法よりも小さい主寸法を有する、請求項8に記載の消音チョーク。
【請求項10】
前記ステムは、前記ベースが前記第2のオリフィスのシートに接触することを防止するために、前記第2のオリフィスに対して中央位置に向かって前記ベースを付勢するように構成された1つ以上のスポークを含む、請求項1に記載の消音チョーク。
【請求項11】
前記ステムの外面から半径方向外向きに延びる複数のスポークを更に含み、前記複数のスポーク及び前記ステムの外面は、前記電磁弁が通電状態にあるときに前記共通ポートから前記排出ポートへ流体を転送する少なくとも1つの通気経路を画定する、請求項1に記載の消音チョーク。
【請求項12】
締まり嵌めによって前記電機子に結合されるように構成される、請求項1に記載の消音チョーク。
【請求項13】
電磁弁であって、
圧力ポートと、
共通ポートと、
排出ポートと、
前記圧力ポートと前記共通ポートとの間で流体的に第1のオリフィスと選択的に係合する第1の側部、及び前記共通ポートと前記排出ポートとの間で流体的に第2のオリフィスと選択的に係合する第2の側部を有するポペットを有する電機子と、
消音チョークであって、前記電機子に結合され、第1の側部及び長手方向の反対側の第2の側部を有するベースと、前記ベースの第2の側部に結合されたステムと、前記ベースと前記ステムを通る開口部と、を含む消音チョークと、
を含み、
前記電機子は、前記消音チョークの開口部を通って配置され、
前記消音チョークは、前記ベースの第1の側部が前記ポペットの第2の側部に面するように配置される、電磁弁。
【請求項14】
前記ポペットが前記第1のオリフィスと密封係合する通電状態と、前記ポペットが前記第2のオリフィスと密封係合する通電解除状態と、前記弁が前記通電状態から前記通電解除状態に移行する移行状態とを有し、前記消音チョークは、前記電磁弁が前記通電状態、前記通電解除状態、及び前記移行状態のうちの少なくとも1つにあるときに、前記消音チョークの少なくとも一部が前記第2のオリフィスを通って配置されるように構成される、請求項13に記載の電磁弁。
【請求項15】
前記電磁弁が前記通電状態、前記通電解除状態、及び前記移行状態のそれぞれにあるときに、前記消音チョークの少なくとも一部が前記第2のオリフィスを通って配置される、請求項14に記載の電磁弁。
【請求項16】
前記電磁弁が前記通電状態にあるときに、前記消音チョークのベースが前記共通ポート内に配置される、請求項14に記載の電磁弁。
【請求項17】
前記消音チョークは、前記移行状態の少なくとも一部の間、前記第2のオリフィスを通る最大流れを制限するように構成される、請求項14に記載の電磁弁。
【請求項18】
前記消音チョークは、電機子ストローク変化が流れ変化を引き起こす前記移行状態の一部の間、前記第2のオリフィスを通る最大流れを制限するように構成される、請求項17に記載の電磁弁。
【請求項19】
前記消音チョークは、前記電磁弁の通電解除の間に前記電機子及び/又はポペットのバウンスによって引き起こされるノイズを少なくとも部分的に低減するように構成される、請求項13に記載の電磁弁。
【請求項20】
前記消音チョークのステムは、前記消音チョークのベースが前記第2のオリフィスのシートに接触することを防止するために、前記第2のオリフィスに対して中央位置に向かって前記ベースを付勢するように構成された1つ以上のスポークを含む、請求項13に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年6月5日に出願された米国特許出願第16/894,755号のPCTであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
連邦政府の支援による研究又は開発に関する陳述
該当なし。
【0003】
付属書類の参照
該当なし。
【背景技術】
【0004】
発明の分野。本開示は、一般に弁に関し、より具体的には、電磁弁用の消音チョークに関する。
【0005】
関連技術の説明。流れ制御システムは、滅菌的な用途、無菌的な用途、医学的な用途、生理学的な用途、食物用途などのプロセス及び製造システムにおいて一般的である。このようなシステムでは、流量、弁位置、圧力、弁の健全性、流体制御部品の他の態様を含む、様々なパラメータを正確に制御することが重要であり得る。したがって、流体の流れを迅速かつ正確に制御する流体制御システム及び弁が、多くの産業で求められている。更に、いくつかの産業及び用途、例えば、弁が人の近くで利用される用途では、ノイズ低減に関連する機能を組み込んだ流体制御システム及び弁が求められている。
【0006】
電磁作動弁又は電磁弁の電機子のバウンスは、急速な流れ及び圧力変動を引き起こすことがある。例えば、通電から通電解除への移行の間に、電機子のバウンス、ひいてはポペットのバウンスが発生し、バウンスによるストロークの変化は、流量及び圧力の変化を引き起こす。このようなストロークの変化は、ストローク制限状態で有効オリフィス面積の変化をもたらし、少なくともいくつかの場合では、可聴周波数で発生するため、ノイズとして認識される急速な流れ及び圧力の変動を引き起こす。
【0007】
したがって、当技術分野では、通電から通電解除への移行の間を含めて、電機子のバウンスを最小化する機能、及びより静かな動作を実現する機能を有する改善された電磁弁が求められている。更に、当技術分野では、このような移行の間の1つのポートから別のポートへの交差流れを軽減する機能、及び弁の使用目的における後方互換性のために流れを制限する機能を有する改善された電磁弁が求められている。本開示の開示及び教示は、改善された電磁弁用の装置、システム及び方法に関する。
【発明の概要】
【0008】
少なくとも1つの実施形態では、電磁弁は、圧力ポートと、共通ポートと、排出ポートと、前記圧力ポートと前記共通ポートとの間で流体的に第1のオリフィスと選択的に係合する第1の側部、及び前記共通ポートと前記排出ポートとの間で流体的に第2のオリフィスと選択的に係合する第2の側部を有するポペットを有する電機子と、消音チョークとを含んでもよい。前記消音チョークは、第1の側部及び長手方向の反対側の第2の側部を有するベースと、前記ベースの第2の側部に結合されたステムと、前記ベースと前記ステムを通る開口部とを含んでもよい。前記消音チョークは、前記電機子が前記開口部を通って配置され、前記ベースの第1の側部が前記ポペットの第2の側部に面するように、前記電機子に結合されるように構成されてもよい。
【0009】
少なくとも1つの実施形態では、前記電磁弁は、前記ポペットが前記第1のオリフィスと密封係合する通電状態と、前記ポペットが前記第2のオリフィスと密封係合する通電解除状態と、前記弁が前記通電状態から前記通電解除状態に移行する移行状態とを有してもよい。前記消音チョークは、前記電磁弁が前記通電状態、前記通電解除状態、及び前記移行状態のうちの少なくとも1つにあるときに、前記消音チョークの少なくとも一部が前記第2のオリフィスを通って配置されるように構成されてもよい。前記消音チョークは、前記電磁弁が前記通電状態、前記通電解除状態、及び前記移行状態のそれぞれにあるときに、前記消音チョークの少なくとも一部が前記第2のオリフィスを通って配置されるように構成されてもよい。前記消音チョークは、前記電磁弁が前記通電状態にあるときに、前記ベースが前記共通ポート内に配置されるように構成されてもよい。
【0010】
少なくとも1つの実施形態では、前記消音チョークは、前記移行状態の少なくとも一部の間、前記第2のオリフィスを通る最大流れを制限するように構成されてもよい。前記消音チョークは、電機子ストローク変化が流れ変化を引き起こす前記移行状態の一部の間、前記第2のオリフィスを通る最大流れを制限するように構成されてもよい。前記消音チョークは、前記電磁弁の通電解除の間に前記電機子及び/又はポペットのバウンスによって引き起こされるノイズを少なくとも部分的に低減するように構成されてもよい。
【0011】
少なくとも1つの実施形態では、前記チョークのベースは、前記第2のオリフィスの主寸法よりも小さい主寸法を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、前記チョークのステムは、前記ベースの主寸法よりも小さい主寸法を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、前記チョークのステムは、前記ベースが前記第2のオリフィスのシートに接触することを防止するために、前記第2のオリフィスに対して中央位置に向かって前記ベースを付勢するように構成された1つ以上のスポークを含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、前記チョークのステムは、前記ステムの外面から半径方向外向きに延びる複数のスポークを含んでもよく、前記複数のスポーク及び前記ステムの外面は、前記電磁弁が通電状態にあるときに前記共通ポートから前記排出ポートへ流体を転送する少なくとも1つの通気経路を画定してもよい。少なくとも1つの実施形態では、前記消音チョークは、締まり嵌めによって前記電機子に結合されるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示に係る消音チョークの多くの実施形態のうちの1つの斜視図である。
【
図2】本開示に係る、通電状態にあり、消音チョークを有する電磁弁の多くの実施形態のうちの1つの概略部分断面図である。
【
図3】通電解除状態にある
図2の実施形態の概略部分断面図である。
【
図4】移行状態にある
図2~
図3の実施形態の一部の詳細図である。
【
図5】本開示に係る、通電から通電解除への移行の間の、消音チョークを有する場合及び有さない場合の、例示的な電磁弁の有効流れ面積を示すチョーク性能グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述した図面と以下の特定の構造及び機能の明細書は、出願人が発明したものの範囲又は添付の特許請求の範囲を限定するために提示されるものではない。むしろ、図面及び明細書は、特許権保護が求められる発明を作成及び使用することを当業者に教示するために提供されるものである。当業者は、本開示の商業的実施形態の全ての特徴が、明確さ及び理解のために説明されるか又は示されるとは限らないことを、理解するであろう。当業者はまた、本開示の態様を組み込んだ実際の商業的実施形態の開発が、商業的実施形態に対する開発者の最終目標を達成するために、多数の実装固有の決定を必要とすることを理解するであろう。このような実装固有の決定は、特定の実装、場所によって、及び時々変わることがある、システム関連、ビジネス関連、政府関連のコンプライアンス及び他の制約を含んでもよいが、これらに限定されない。開発者の努力は、絶対的な意味で複雑で時間がかかるかもしれないが、そのような努力は、それにもかかわらず、この開示の利点を得る当業者にとって日常的な取り組みである。本明細書に開示及び教示される実施形態は、多数の様々な修正及び代替的形態に影響を受けやすいことを理解しなければならない。単数の用語(例えば“a”であるが、これに限定されない)の使用は、アイテムの数を限定するとして意図されたものではない。特に明記しない限り、「最上部」、「底部」、「左」、「右」、「上部」、「下部」、「下」、「上」、「側部」、「第1」、「第2」(「第3」以降)、「入口」、「出口」などの関係用語の使用は、図面を具体的に参照することを明確にするために明細書で使用され、本開示又は添付の特許請求の範囲を限定するとして意図されたものではない。「結合する」、「結合される」、「結合している」、「カプラー」などの用語は、本明細書では広く使用され、例えば、機械的に、磁気的に、電気的に、化学的に、操作可能に、直接に又は間接に、中間要素、1つ以上の部材と一緒に固定し、結び付け、連結し、締結し、取り付け、接合、その中に挿入し、その上又はその中に形成し、連通させるか、又は他の方法で関連付ける任意の方法又は装置を含んでもよく、1つの部材を別の部材と一様に一体的に形成することを非限定的に更に含んでもよい。結合は、回転を含めて、任意の方向で行うことができる。「含む」及び「など」という用語は、例示的であり、限定的ではなく、「てもよい」という用語は、特に明記しない限り、「でもよいが、必須ではない」を意味する。本開示における他のいかなる言語にも関わらず、図面に示される実施形態は、例示及び説明の目的で提示される例であり、本開示の主題の唯一の実施形態ではない。
【0014】
出願人は、電磁弁及び電磁弁の動作を改善するための装置、システム及び方法を作成している。出願人は、通電から通電解除への移行の間を含めて、電磁弁の電機子のバウンスを少なくとも部分的に最小化し、電磁弁のより静かな動作を実現するための装置、システム及び方法を作成している。出願人は、移行状態の少なくとも一部の間、電磁弁の有効流れ面積を縮小して、電磁弁の電機子のバウンスによるノイズを少なくとも部分的に最小化又は除去する装置、システム及び方法を作成している。出願人は、電磁弁(マイクロ電磁弁を含むが、これに限定されない)のストローク制限動作の間に流れの変動によって引き起こされる可聴音を少なくとも部分的に最小化又は除去する装置、システム及び方法を作成している。出願人は、電磁弁のポート間の交差流れを軽減し、後方互換性を実現するために流れを比較的簡単に制限する装置、システム及び方法を作成している。本開示の1つ以上の態様及び実施形態について、以下、図面を参照して更に詳細に説明する。
【0015】
図1は、本開示に係る消音チョークの多くの実施形態のうちの1つの斜視図である。
図2は、本開示に係る、通電状態にあり、消音チョークを有する電磁弁の多くの実施形態のうちの1つの概略部分断面図である。
図3は、通電解除状態にある
図2の実施形態の概略部分断面図である。
図4は、移行状態にある
図2~
図3の実施形態の一部の詳細図である。
図5は、本開示に係る、通電から通電解除への移行の間の、消音チョークを有する場合及び有さない場合の、例示的な電磁弁の有効流れ面積を示すチョーク性能グラフである。
図1~
図5は、互いに関連して説明される。
【0016】
少なくとも1つの実施形態では、電磁弁100(又は「弁100」)は、1つ以上の他の弁部品を封入、保護、又は他の方法で支持するケーシング、エンクロージャ、ボウル、フレーム又はハウジングなどの弁本体102を含んでもよい。弁100は、流体が弁100に対して流入及び/又は流出する入口又は出口などの1つ以上のポートを含んでもよい。例えば、弁100は、1つ以上の圧力ポート104、1つ以上の共通ポート105、及び1つ以上の排出ポート106を含んでもよい。弁本体102は、単一の単体であるか又はそれを含んでもよく、一体に結合された複数の弁本体部分を含んでもよい。弁本体102は、本開示の一実装形態において任意の形状又は方法で形成されてもよく、弁100は、任意の適用可能な方法で互いに結合できる、特定の実装形態において任意の数の本体又は本体部分(例えば、弁100の「流体端部」と総称できる中間本体102a及び下部本体102b)を含んでもよく、これらの本体又は本体部分は、任意の適用可能な方法で結合されてもよく、該任意の適用可能な方法は、雄カプラー、雌カプラー、ファスナ、レシーバ、接着剤、又は他の結合構造などの、2つ以上の弁部品を一体に結合する1つ以上のカプラーを別個に又は組み合わせて使用することを含んでもよいが、必須ではない。
【0017】
ポート104、105、106は、パイプ、管、ホース、流体源、流体レシーバ、流体目的地、又は他の導管又は流れ制御部品などの弁システム又は流体システム内の他の構造と結合及び/又は流体連通するように構成されてもよく、このような構成は、全部又は一部において、別個の又は分離可能なカプラーと結合するように構成されること、及び/又は、一体型カプラーを備えることを含んでもよい。例えば、例示の目的で
図2~
図4の実施形態に示すように、少なくとも1つの実施形態(多く実施形態のうちの1つにすぎない)では、弁100は、Aventics AG(ラッツェン、ドイツ)から入手可能なMSV-12弁などのマイクロ電磁弁であるか又はそれを含んでもよく、本体102は、1つ以上の入口及び/又は出口を有するとともに、弁動作の間に1つ以上のポート104、105、106に対して流体を送入及び/又は送出する流体ヘッド又は他の流体システム部品(図示せず)にねじ式に又は別の方法で結合するように構成されてもよい。マイクロ電磁弁が例示及び説明の目的で図に示されているが、このような電磁弁は、本開示の教示及び原理を適用できる多くのタイプの弁のうちの1つにすぎない。
【0018】
弁100は、1つ以上のポート104、105、106から他の1つ以上のポート104、105、106に弁を介して流体を転送するか又は他の方法で配向する1つ以上の流れ通路、例えば、弁流れ通路、流体経路又は他の流路を含んでもよい。例えば、弁100は、1つ以上の位置(例えば、通電位置)にあるとき、
図2の矢印Fで示されるように、弁100が共通ポート105から排出ポート106(又はその逆)に流体を転送する流れ通路108aと、1つ以上の位置(例えば、通電解除位置)にあるとき、
図3の矢印Fで示されるように、圧力ポート104から共通ポート105(又はその逆)に流体を転送する流れ通路108bとを含んでもよい。流れ通路108a、108bのそれぞれは、弁を介して対応する流れ通路を集合的に構成する2つ以上のサブ流れ通路(又は部品流れ通路)を含んでもよいか又は少なくとも図示及び説明を容易にするために含むように説明されてもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態では、流れ通路108a、108bの一方又は両方は、入口側の点から通路に沿った位置(例えば、以下で更に説明されるオリフィス)までの、入口又は他の流れ通路などの1つ以上の第1の通路と、このような位置から流れ通路の出口側までの、出口又は他の流れ通路などの1つ以上の第2の流れ通路とを含んでもよい。弁100は、本明細書の他の箇所で更に詳細に説明されるように、1つ以上の他の部品流れ通路を、別個に、又は互いに組み合わせ、及び/又は第1の流れ通路及び第2の流れ通路のいずれかと組み合わせて含んでもよい。更に、各部品流れ通路は、複数の通路、又はこのような流れ通路に沿った2つ以上の点の間の他の経路を備えてもよいが、必須ではない。
【0019】
弁100は、弁を通る流れを少なくとも部分的に制限するか又は他の方法で影響を与える開口部、導管、又は他の通路などの1つ以上のオリフィスを含んでもよい。例えば、弁100は、共通ポート105と排出ポート106との間に流体的に配置されるように、流れ通路108a内に少なくとも部分的に配置されたオリフィス110aと、圧力ポート104と共通ポート105との間に流体的に配置されるように、流れ通路108b内に少なくとも部分的に配置されたオリフィス110bとを含んでもよい。オリフィス110a、110bは、以下で更に説明されるように、1つ以上の弁部材と協働する1つ以上のシート122a、122bを含んでもよい。弁100は、別個に、又は1つ以上の他の弁部品と協働して、弁100の少なくとも一部を通る流体の流れを制御するアクチュエータアセンブリ116、例えば、ソレノイドアクチュエータアセンブリを含んでもよい。アクチュエータアセンブリ116は、全部又は一部において、弁本体102又は弁本体102に結合された部品などの1つ以上の他の弁部品に、直接に又は間接に結合するように適合されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、アクチュエータアセンブリ116は、ソレノイドアクチュエータなどのアクチュエータ118を含んでもよく、該アクチュエータ118は、弁本体102(又は、弁本体102に結合されたハウジング若しくは他の本体など)内に少なくとも部分的に配置され、アクチュエータアセンブリ116の1つ以上の部品及び/又は他の部品を保持又は他の方法で支持する。アクチュエータ118は、ポペット、シーリングディスク、又はポペットアセンブリなどの1つ以上の弁部材120を、1つ以上の位置へ、そこから、又はその内に移動及び/又は維持又は他の方法で保持するように適合されてもよい。例えば、1つ以上の弁部材120は、電機子又はプランジャ128を含んでもよいか又は電機子又はプランジャ128に結合されてもよく、アクチュエータ118は、弁100を通る流体の流れを制御するために、1つ以上の位置の間でプランジャ128を移動させるように適合されてもよい。
【0020】
プランジャ128及び弁部材120は、本開示の一実装形態において、任意の数の位置を有してもよい。例えば、弁部材120は、弁100の少なくとも一部を通る流れに対する抵抗を最大化する1つ以上の全閉位置を有してもよく、該位置を通る流れを防止することを含んでもよい。別の例として、弁部材120は、例えば、弁部材120又はその一部によって引き起こされる流れ抵抗を最小化することによって、弁100の少なくとも一部を通る流れに対する抵抗を最小化する1つ以上の全開位置を有してもよい。弁部材120は、最大流量と最小流量との間の1つ以上の流量で流体が流れることを可能にする全開位置と全閉位置との間の1つ以上の部分開放(又は部分閉鎖)位置を有してもよく、該1つ以上の流量は、手元にある実施形態又は実装形態に係る任意の流量であるか又はそれを含んでもよい。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、例えば、例示の目的で
図2~
図3に示すように、弁部材120は、弁動作の間に2つ以上のオリフィスと任意に密封結合するように構成されてもよい。例えば、弁部材120は、オリフィス110aのシート122aと密封係合する1つの側部120a(例えば、弁100が通電位置にあるとき、例えば、
図2を参照)と、オリフィス110bのシート122bと密封係合する別の側部102b(例えば、弁100が通電解除位置にあるとき、例えば、
図3を参照)とを有してもよい。更に、弁部材120は、弁100が通電状態から通電解除状態への移行、又はその逆の移行の間(例えば、
図4を参照)に占める1つ以上の長手方向位置などの、オリフィス110a、110bとの係合位置の間の1つ以上の中間位置又は移行位置を有してもよい。
【0022】
例示の目的で
図2~
図3の例示的な実施形態に示すように、弁100は、弁部材120がオリフィス110aと密封係合する通電状態(例えば、共通ポート105から排出ポート106への流体の流れを可能にし、圧力ポート104と共通ポート105との間の流体の流れを不可能にする)と、弁部材120がオリフィス110bと密封係合する通電解除状態(例えば、共通ポート105と排出ポート106との間の流体の流れを不可能にし、圧力ポート104から共通ポート105への流体の流れを可能にする)とを有してもよい。しかしながら、これは、必ずしも必要ではなく、少なくとも1つの実施形態では、弁100は、1つ以上の異なる方向への流れ及び/又は2つ以上の他のポート間の流れを含んでもよい他の流れ構成で代替的又は集合的に配置されてもよく、該2つ以上の他のポートは、本開示の一実装形態に係る任意の入口及び/又は出口ポートであるか又は任意の入口及び/又は出口ポートを含んでもよい。別の例として、少なくとも1つの実施形態では、1つ以上のポート104、105、106は、存在しなくてもよく、弁100は、1対の入口ポート及び出口ポートを有するように配置されてもよく、該対の入口ポートと出口ポートとの間に1つ以上のオリフィスが設けられる。
【0023】
アクチュエータアセンブリ116は、現在既知であるか今後開発されるかを問わず、本開示の一実装形態に係る任意のタイプのソレノイドアクチュエータ及び弁部材であるか又はそれらを含んでもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態では、アクチュエータ118は、磁場を生成し、プランジャ128などの1つ以上の他のアクチュエータ部品と相互作用して、例えば、弁100の中心長手軸線Xに沿って直線的に、1つ以上の弁位置の間でプランジャ128を選択的に移動させる(例えば、弁本体102内に配置される)ソレノイドコイルを含んでもよい。弁部材120は、少なくとも部分的に磁性のあるプランジャ128に結合することができ、アクチュエータ118又はその一部(例えば、コイル)は、プランジャ128及び弁部材120を、1つ以上のシート122a、122bに対して前後に移動させることができる。アクチュエータアセンブリ116は、1つ以上の方向又は1つ以上の位置に向かってプランジャ128を付勢する1つ以上のばね130を含んでもよく、該1つ以上の位置は、例えば、アクチュエータ118からの作動力がない場合にばね130の付勢力に打ち勝つのに十分であるデフォルトの開位置又は閉位置である。アクチュエータアセンブリ116は、ねじ込み式、密封式、又はその他の方法などの本開示の一実装形態に係る任意の方法で弁100の1つ以上の他の部分又は部品に、個別に、又は1つ以上のカプラー(例えば、ファスナ、リテーナ、接着剤、シーラントなど)と組み合わせて結合することができる。
【0024】
弁100及びその部品は、本開示の一実装形態に係る必要又は所望の任意の材料で製造されてもよく、該任意の材料は、全部又は一部において、黄銅、鉛フリー黄銅、鋼、ステンレス鋼、プラスチック、銅、又は他の材料を別個に又は組み合わせて含むが、これらに限定されない。更に、弁100は、例えば、弁100の2つ以上の部品を密封係合するか、又は、別の例として、1つ以上のポート104、105、106(又は弁100の実施形態における任意のポート)に対して流体を送入及び/又は送出する流体ヘッド又は他の装置又は構造(図示せず)などの、弁100が組み込まれ得る弁システム内の1つ以上の他の部品と弁100を密封係合する1つ以上のシールを含んでもよい。例えば、弁100は、1つ以上の流れ通路108a、108bの少なくとも一部又は弁100の他の流量を流体的に密封する1つ以上のダイアフラムシール132と、弁100に結合された構造(例えば、弁100へ及び弁100から流体を配向する流体ヘッド又は他の導管構造)と密封係合する1つ以上のOリング134とを含んでもよい。シール132、134及び/又は弁100の1つ以上の他のシールは、本開示の一実装形態に係る任意のタイプのシールであるか又はそれらを含んでもよく、該任意のタイプのシールは、全部又は一部において、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)、フルオロエラストマー/フルオロカーボン(FKM)、及び水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)シール、特に金属シールを別個に又は組み合わせて含むが、これらに限定されない。
【0025】
少なくとも1つの実施形態では、弁100は、弁動作の間の電機子のバウンスによって引き起こされる可聴音を少なくとも部分的に最小化又は除去する消音チョークなどの1つ以上のチョーク200を含んでもよく、電子機のバウンスは、弁の通電から通電解除への移行の間に発生する電機子のバウンスを含むが、これに限定されない。例えば、いくつかの電磁弁では、電機子又はプランジャ(ひいては、ポペット又は弁部材)は、例えば、弁部品(例えば、ソレノイドコイル、ばね)を介して電機子及び/又はポペットに加えられた力又は他の方法で電機子及び/又はポペットが受けた力、弁部品(例えば、弁部材とシートとの)間の接触、及び/又は流体圧力の変動により、1つの弁位置から別の弁位置への移行時に1回以上バウンスすることができる。更に、このようなバウンスは、可聴周波数(例えば、20Hz~20,000Hz)で発生する流れ及び/又は圧力の変化をもたらし、少なくともいくつかの弁の実装形態において望ましくないか又は許容できない「ポッピング」又は類似するノイズをもたらす。チョーク200は、1つ以上のタイプの弁におけるこのような挙動を少なくとも部分的に最小化又は除去するように構成されてもよく、例示の目的で
図2~
図3に示されるマイクロ電磁弁を含むが、これに限定されない。
【0026】
少なくとも1つの実施形態では、チョーク200は、本開示の
図2~
図4に示される例示的な弁の共通ポート105と排出ポート106との間の流れ通路108bなどの弁流体経路内に少なくとも部分的に配置されるように構成されたチョーク本体202であるか又はそれを含んでもよい。例えば、チョーク200は、例えば、
図2に示される通電位置から
図3に示される通電解除位置への移行などの、プランジャ128の1つの位置から別の位置への移行又は移動の間にプランジャ128及び弁部材120のバウンスから生じ得る可聴音を軽減するために、プランジャ128に結合するように構成されてもよく、プランジャ128に沿った位置に配置されてもよい。
図1の例示的な実施形態(多くのうちの1つにすぎない)に示すように、チョーク200は、その中にあるか又はそれを通る1つ以上の開口部204、例えば、部分穴又はボア又は貫通穴又はボアを含んでもよく、プランジャ128の外面に押圧又は圧入されるように構成されてもよく、この押圧又は圧入には、1つ以上の圧入カプラー206の塑性変形又は弾性変形が含まれてもよいが、必須ではない。しかしながら、これは必須ではなく、代替的に(又は集合的に)、チョーク200は、本開示の一実装形態に係る任意の方法で、プランジャ128及び/又は弁部材120(例えば、ポペット又はポペットアセンブリの一部として)と結合するように構成されてもよく、該任意の方法は、全部又は一部において、1つ以上の機械的ファスナ(例えば、止めねじ、ピン)、接着剤若しくは他のカプラーを用いた方法、又は、別の例として、プランジャ128及び/又は弁部材120の全体又は一部との一体的形成による方法を別個に又は組み合わせて含むが、これらに限定されない。
【0027】
少なくとも1つの実施形態では、チョーク200は、ベース208と、1つ以上の他の弁部品と連通するか又は他の方法で協働するステム210とを有してもよい。ベース208の少なくとも一部は、ステム210の少なくとも一部の主寸法、例えば直径d2よりも大きい主寸法、例えば直径d1を有してもよいが、必須ではない。少なくとも1つの実施形態では、チョーク200は、チョーク200の少なくとも一部に沿って流体の流れを配向するか又は転送するためにステム210の外面から半径方向外向きに延びる延長部、タング又はディバイダなどの1つ以上のスポーク212を含んでもよい。1つ以上のスポーク210は、ベース208に結合し、及び/又は、ステム210の全長にわたって延びてもよいが、必須ではない。通気孔又は他の経路などの1つ以上の溝214は、以下で更に説明されるように、弁動作中に流体がその中又はそれを通って流れることを可能にする、隣接するスポーク210の間に画定するか又は他の方法で配置されてもよい。チョーク200は、全部又は一部において、本開示の一実装形態に係る任意の材料(例えば、プラスチック、ゴム、金属など)で、別個に又は組み合わせて製造されてもよい。同様に、チョーク200は、本開示の一実装形態に係る任意の寸法を有してもよく、任意の寸法は、長さ、高さ、幅、厚さ、内部寸法、及び外部寸法を含むが、これらに限定されない。更に、このような寸法は、本開示の一実装形態に係る必要又は要望に応じて、一定であるか又は1つ以上の方向に変化してもよい(例えば、チョーク200は、一端から他端へ全体的又は部分的にテーパーを付すことができる)。また、
図1の例示的な実施形態では、チョーク200が円形又は丸形であるように示されているが、これは、必ずしも必要ではなく、チョーク200は、全部又は一部において、代替的に(又は集合的に)、本開示の一実装形態に係る任意の断面形状(例えば、正方形、長方形、楕円形、長円形、不規則形など)を、別個に又は組み合わせて有するか又はそれらを含んでもよい。
【0028】
チョーク200、又はベース208又はその底面又は端面216などのチョーク200の一部は、弁部材120又はその一部と接触及び/又は結合するように構成されてもよいが、必須ではない。更に、少なくとも1つの実施形態では、ステム210は、弁動作の間に弁オリフィス(例えば、オリフィス110a)に対するベース208の適切な位置合わせ又は位置決めをサポートするように有利に構成されてもよい。以下で更に説明されるように、ベース208は、弁100の通電及び通電解除の間にプランジャ128が前後に移動するにつれて、オリフィス110aに出入りすることができる。少なくとも1つの実施形態では、ステム210又はその一部は、チョーク200の少なくとも一部が、弁100又はプランジャ128のストローク全体を通して、オリフィス110aを通して配置されたままである(すなわち、排出ポート106内に配置されている)ように、(すなわち、軸線Xに沿った)十分な長さを有してもよい。このように、ステム210は、ベース208がオリフィス110a及び/又は他の周囲の弁構造と望ましくない接触を生じる可能性を少なくとも部分的に低下させるか又は排除するように構成されてもよく、上記望ましくない接触は、弁の誤動作又は損傷をもたらす可能性がある。
【0029】
チョーク200は、弁動作の間に1つ以上のオリフィス(例えば、
図2~
図4の例示的な構成のオリフィス110a)の有効流れ面積を1倍以上縮小するように構成されることを含んでもよい1つ以上の方法で、弁100の少なくとも一部を通る流体の流れに影響を与えるように有利に成形、サイズ決定、及び配置することができる。例えば、少なくとも1つの実施形態では、チョーク200は、弁100が
図2に示す通電位置にあるとき、及び/又は、弁100が通電位置から
図3に示す通電解除位置に移行している(例えば、
図4を参照)間にオリフィス120aを通る流体の流れに影響を与える一方で、オリフィス120bなどの1つ以上の他のオリフィス(存在する場合)を通る流体の流れがチョーク200の影響を受けないように、弁部材120の側部120aに配置することができる。より具体的には、本開示の利益を得る当業者によって理解されるように、少なくともいくつかの電磁弁では、プランジャ128が弁移行の間にオリフィス110aに対して接近及び/又はバウンスする(弁動作の間に望ましくないか又は許容できない可聴音を引き起こすことができる比較的高い周波数の流れの変動(例えば、200Hz又は約200Hz)をもたらす)ときに、ストローク制限流れは、発生することができる。より具体的には、本開示の利益を得る当業者によって理解されるように、少なくともいくつかの電磁弁は、弁部材又はポペットがその対応するオリフィスに対して、オリフィスによって許容される最大流れを達成するのに十分に離れていない「ストローク制限」流れの位置と、弁のストロークが、オリフィス自体が関連する流路に沿った最大の制限点を構成するのに十分である「オリフィス制限」流れの位置とを示すことができる。オリフィス制限状態では、ストロークの変化は、(少なくともいくつかの弁では)流れに影響を与えないのに対して、ストローク制限状態では、ストロークの変化は、流れの変化をもたらす。チョーク200、又はベース208などのチョーク200の一部は、弁部材120がオリフィス制限流れ点からオリフィス110aと密封係合する静止状態(例えば、弁100がその完全に通電解除の静止状態になるとき)に移行するとき、オリフィス110aの有効面積を埋めるか又は縮小するためにオリフィス110aに対して有利に成形、サイズ決定、及び配置することができる。このように、チョーク200は、システムが停止する間、オリフィス110aを通る最大流れを制限することができ、このような移行状態の間にオリフィス制限流れの状態を引き起こすことができるため、ストローク制限流れ変化による流れ変化及びノイズを最小化又は除去することができる。換言すれば、チョーク200が存在してもバウンスが依然として発生する可能性があるにもかかわらず、チョーク200は、バウンスの間のオリフィスに対する弁部材の前後移動による流れ変化を最小化又は除去するために、オリフィスを通る最大流れを制限する。
【0030】
上述した利点に加えて、少なくとも1つの実施形態では、チョーク200は、弁100の動作において1つ以上の他の利点を提供するように構成することができる。例えば、チョーク200、又はベース208などのチョーク200の一部は、弁100が通電状態から通電解除状態に移行する(又はその逆)とき、圧力ポート104又は流れ通路108bから排出ポート106又は流れ通路108aへの移行状態などの移行状態の間に2つ以上のポート又は弁流れ通路間の望ましくない交差流れを少なくとも部分的に阻止又は減少させることができる。換言すれば、流れ通路108aと流れ通路108bとの間で少なくともいくらかの流体連通が起こり得る移行状態の間にオリフィス110aの有効流れ面積を縮小することによって、チョーク200は、流れ通路108bからの流体がオリフィス110aを通って排出ポート106に流入する能力を低減又は制限することができる。別の例として、チョーク200は、弁100の1つ以上の流れ通路を通る流量を抑えるか又は制限するように構成されてもよい。例えば、1つのポートから別のポートへの(例えば、共通ポート105から排出ポート106への、又はその逆の)最大可用流量が、手元の弁100の一実装形態に所望又は必要な流量よりも大きい、弁100の一実施形態では、チョーク200は、弁部材がオリフィス(例えば、オリフィス110a)に対して全開位置にある場合を含めて、このようなオリフィスの有効流れ面積を制限又は縮小するようにサイズ決定及び配置されてもよい。更に、1つ以上のスポーク212及び溝214を有するステム210を有するチョーク200の実施形態では、溝214のサイズ及び/又は数は、ステム210がオリフィスに対して1つ以上の位置に配置されるときに、オリフィスの有効流れ面積を増加又は減少させるために、必要又は所望に応じて構成されてもよい。換言すれば、1つ以上の溝214の流れ面積は、利用可能な流れ面積を増加させるために、ステム210に沿った1つ以上の点で増加することができ、逆もまた同様である。
【0031】
引き続き図を参照し、具体的に
図5に示すように、本開示に係るチョーク200を有する弁100の上述した特徴及び利点の1つ以上は、通電から通電解除への移行の間の例示的な弁(多くの例のうちの1つにすぎない)の性能について、チョーク200の多くの実施形態のうちの1つが存在する場合と存在しない場合とをグラフで比較することにより、更に説明し、理解することができる。より具体的には、
図5は、弁部材又はポペットがその対応するオリフィスに対して全開位置から全閉(静止)位置に移行するときの、例示的なMSV-12弁の有効流れ直径及び有効流れ面積の経時変化を示す。矢印及び点Aから点Bまでの流れ寸法値で示されるように、チョーク200の例示的な実装形態は、全開位置でオリフィスの有効流れ寸法を約50%以上減少させるように構成された。更に、チョーク200は、弁がオリフィス制限流れCの点までより迅速に到達することを可能にするとともに、電機子のバウンス(破線の変動によって反映される)が消失し、電機子が最終的に静止するように、チョーク200とオリフィスとの間の最大流れ寸法を一定に維持することにより、電機子のバウンスによる流れ寸法の変化を実質的に排除し、チョーク200がない場合に弁によるポッピングノイズも除去した。
【0032】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、例示の目的で図に示される例示的な弁のタイプに限定されず、多くの異なるタイプ及びスタイルの弁、弁部品及び弁システムに適用可能又は応用可能である。更に、本開示の教示は、電磁弁に特に有利であるが、必ずしも電磁弁に限定されず、弁100は、全部又は一部において、別個に又は組み合わせて、現在既知であるか今後開発されるかを問わず、線形弁、回転弁、電磁弁、パイロット弁、ダイアフラム弁、機械弁、電気機械弁、油圧弁、空気圧弁、及びある距離又は点を横切る1つ以上の流体の通過を操作する他のタイプの弁などの任意のタイプの弁であるか又はそれらを含んでもよい。本明細書で使用される「流体」という用語は、流れることができる任意の物質又は材料、例えば、液体、気体及びそれらの組み合わせ(1つ以上の固体又は他の非流体がその中に存在するか否かにかかわらず)を含む。
【0033】
少なくとも1つの実施形態では、電磁弁用の消音チョークは、電機子に結合されるように構成されたベースとステムを含んでもよく、電機子のバウンスによって引き起こされるノイズを少なくとも部分的に低減又は除去するように構成されてもよい。チョークは、弁移行の少なくとも一部の間にオリフィスを通る最大流れを制限するように構成されてもよく、これは、電機子のバウンスの発生の間にオリフィス制限流れの状態を作り出すことを含んでもよい。チョークは、ポート間の交差流れを少なくとも部分的に減少させ、弁の少なくとも1つの流路を通る最大流量を制限するように構成されてもよい。
【0034】
少なくとも1つの実施形態では、電磁弁は、圧力ポートと、共通ポートと、排出ポートと、圧力ポートと共通ポートとの間で流体的に第1のオリフィスと選択的に係合する第1の側部、及び共通ポートと排出ポートとの間で流体的に第2のオリフィスと選択的に係合する第2の側部を有するポペットを有する電機子と、消音チョークとを含んでもよい。消音チョークは、第1の側部及び長手方向の反対側の第2の側部を有するベースと、ベースの第2の側部に結合されたステムと、ベースとステムを通る開口部とを含んでもよい。消音チョークは、電機子が開口部を通って配置され、ベースの第1の側部がポペットの第2の側部に面するように、電機子に結合されるように構成されてもよい。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、電磁弁は、ポペットが第1のオリフィスと密封係合する通電状態と、ポペットが第2のオリフィスと密封係合する通電解除状態と、弁が通電状態から通電解除状態に移行する移行状態とを有してもよい。消音チョークは、電磁弁が通電状態、通電解除状態、及び移行状態のうちの少なくとも1つにあるときに、消音チョークの少なくとも一部が第2のオリフィスを通って配置されるように構成されてもよい。消音チョークは、電磁弁が通電状態、通電解除状態、及び移行状態のそれぞれにあるときに、消音チョークの少なくとも一部が第2のオリフィスを通って配置されるように構成されてもよい。消音チョークは、電磁弁が通電状態にあるときに、ベースが共通ポート内に配置されるように構成されてもよい。
【0036】
少なくとも1つの実施形態では、消音チョークは、移行状態の少なくとも一部の間、第2のオリフィスを通る最大流れを制限するように構成されてもよい。消音チョークは、電機子ストローク変化が流れ変化を引き起こす移行状態の一部の間、第2のオリフィスを通る最大流れを制限するように構成されてもよい。消音チョークは、電磁弁の通電解除の間に電機子及び/又はポペットのバウンスによって引き起こされるノイズを少なくとも部分的に低減するように構成されてもよい。
【0037】
少なくとも1つの実施形態では、チョークのベースは、第2のオリフィスの主寸法よりも小さい主寸法を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、チョークのステムは、ベースの主寸法よりも小さい主寸法を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、チョークのステムは、ベースが第2のオリフィスのシートに接触することを防止するために、第2のオリフィスに対して中央位置に向かってベースを付勢するように構成された1つ以上のスポークを含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、チョークのステムは、ステムの外面から半径方向外向きに延びる複数のスポークを含んでもよく、複数のスポーク及びステムの外面は、電磁弁が通電状態にあるときに共通ポートから排出ポートへ流体を転送する少なくとも1つの通気経路を画定してもよい。少なくとも1つの実施形態では、消音チョークは、締まり嵌めによって電機子に結合されるように構成されてもよい。
【0038】
上述したシステム及び方法の1つ以上の態様を利用する他の及び更なる実施形態は、出願人の開示の精神から逸脱することなく考案することができる。例えば、本明細書に開示される装置、システム及び方法は、単独で使用することができるか、又は他の弁、弁部品、及び/又は流体制御システム、ならびに弁以外の流れ制御部品の1つ以上の部分を形成するために使用することができる。更に、弁及びチョークの様々な方法及び実施形態は、開示された方法及び実施形態の変形を作り出すために、互いに組み合わせて含まれ得る。単数の要素に関する議論は、複数の要素を含むことができ、逆の場合も同じである。少なくとも1つのアイテムへの言及は、1つ以上のアイテムを含むことができる。また、本開示の理解を達成するために、実施形態の様々な態様は、互いに組み合わせて使用することができる。
【0039】
文脈で特に明記しない限り、用語「備える(comprise)」、「含む(include)」及び「有する(has)」(それらの変形及び活用「備え(comprises)」、「含み(including)」及び「有し(have)」)は、少なくとも記載された要素若しくはステップ又は要素のグループ若しくはステップのグループ又はそれらの同等物を含むことを意味し、より大きい数量又は他の要素若しくはステップ又は要素のグループ若しくはステップのグループ又はそれらの同等物を除外しないことを意味すると理解されるべきである。装置、機器及びシステムは、多くの方向及び向きで使用することができる。特に限定されない限り、ステップの順序は、様々な順序で発生することができる。本明細書に説明された様々なステップは、他のステップと組み合わせることができ、記載されたステップと相互に連結し、及び/又は複数のステップに分割することができる。同様に、要素は、機能的に説明され、別個の部品として具体化することができ、及び/又は複数の機能を有する部品に組み合わせることができる。
【0040】
実施形態は、好ましい実施形態及び他の実施形態の文脈で説明され、出願人の開示の全ての実施形態が説明されているわけではない。説明された実施形態に対する明らかな修正及び変更は、本開示の利点を得る当業者に利用可能である。開示された実施形態及び開示されていない実施形態は、出願人の開示の範囲又は適用可能性を限定又は制限することを意図するものではなく、むしろ、特許法に準拠して、出願人は、特許請求の範囲の同等物の範囲又は範囲内にあるそのような全ての修正及び改善を完全に保護することを意図する。
【国際調査報告】