(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】挿入物用の配備装置および関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61F 6/18 20060101AFI20230627BHJP
A61F 6/12 20060101ALI20230627BHJP
A61F 5/00 20060101ALI20230627BHJP
A61F 13/26 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A61F6/18
A61F6/12
A61F5/00 Z
A61F13/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572387
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 AU2021000037
(87)【国際公開番号】W WO2021237269
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522456372
【氏名又は名称】メディテティー ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】プライス,トニア
【テーマコード(参考)】
3B200
4C098
【Fターム(参考)】
3B200CA17
4C098AA06
4C098AA10
4C098DD23
4C098EE22
4C098EE25
4C098EE30
(57)【要約】
本発明は、指で案内される開口部内に挿入物を配備するための送達具であって、挿入物を配備姿勢に配向するように適合された挿入物配向手段と、少なくとも1本の指の一部を誘導姿勢に配向するように適合された指配向手段とを備え、挿入物配向手段および指配向手段は、仕切り断面で仕切りを挟んで隣接しており、配備姿勢および誘導姿勢は、開口部内に挿入物を指案内で配備するように設計される送達具に関する。本発明の送達具を使用して、指で案内される開口部内に挿入物を配備する方法も開示される。本発明の送達具および方法は、膣腔内にタンポンを配備するのによく適している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指で案内される開口部内に挿入物を配備するための送達具であって、
(a)前記挿入物を配備姿勢に配向するように適合された挿入物配向手段と、
(b)少なくとも1本の指の一部を誘導姿勢に配向するように適合された指配向手段と
を備え、
前記挿入物配向手段および前記指配向手段は、仕切り断面で仕切りを挟んで隣接しており、前記配備姿勢および前記誘導姿勢は、前記開口部内に前記挿入物を指案内で配備するように設計される、送達具。
【請求項2】
前記挿入物配向手段は、前記仕切りに隣接する近位部分をさらに備え、前記近位部分は、前記挿入物の少なくとも一部を一時的に収容するように適合される、請求項1に記載の送達具。
【請求項3】
前記挿入物配向手段は、シース部材をさらに備え、前記シース部材は、シース部材長さを画定する近位端および遠位端を有し、内面および外面によって画定されるシース部材厚さを有し、前記シース部材は、前記シース部材の内面が包囲形態で前記挿入物を実質的に包囲するように、前記挿入物配向手段の近位部分から遠位に、または前記挿入物配向手段の近位部分に隣接して延在する、請求項1または請求項2に記載の送達具。
【請求項4】
前記挿入物配向手段は、開口部対向部材をさらに備え、前記開口部対向部材は、前記開口部対向部材の表面領域を画定する厚さおよび周囲を有し、前記周囲と半径方向周囲幅の内側との間に介在する半径方向周囲幅を有し、前記開口部対向部材は、前記配備姿勢にある前記挿入物が前記挿入物配向手段の近位部分と前記開口部対向部材との間に挟持された収容形態になるように、前記シース部材の遠位端を実質的に覆うように適合される、請求項3に記載の送達具。
【請求項5】
前記開口部対向部材は、前記シース部材の遠位端に係脱可能に係合するように適合され、前記係脱可能な係合部は、前記開口部対向部材の周囲と前記シース部材の遠位端に隣接する前記シース部材の内面の周囲との脆弱接合部を備え、前記脆弱接合部の少なくとも一部に沿った強制係脱を可能にするように適合される、請求項4に記載の送達具。
【請求項6】
少なくとも1つの脆弱手段が、前記開口部対向部材の厚さの少なくとも一部に亘っており、前記脆弱手段は、前記開口部対向部材の強制貫通を可能にするように適合される、請求項4または請求項5に記載の送達具。
【請求項7】
前記開口部対向部材の半径方向周囲幅は、領域構造弾性を有し、前記シース部材は、シース構造弾性を有し、前記領域構造弾性の軟弾性度は、前記シース構造弾性の軟弾性度を上回る、請求項4~請求項6のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項8】
前記シース部材は、前記シース部材の遠位端の実質的に最も広い部分から前記シース部材の近位端の実質的に最も狭い部分まで前記シース部材の長さに沿ってテーパー形状を有するように適合される、請求項3~請求項7のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項9】
前記シース部材の厚さは、前記包囲形態から挿入物露出形態への前記シース部材の変化に対応するように適合され、前記挿入物露出形態において、前記シース部材の遠位端は、前記シース部材の近位端、前記仕切り、および前記指配向手段の少なくとも一部を越えて延びる、請求項3~請求項8のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項10】
前記シース部材が前記包囲形態から前記挿入物露出形態に変化するにつれて、前記シース部材内面が次第に露出され、前記シース部材外面が次第に覆われる、請求項9に記載の送達具。
【請求項11】
前記シース部材近位端の方向への前記シース部材遠位端の移動により、前記開口部対向部材が前記シース部材遠位端から強制的に係脱され、および/または前記少なくとも1つの脆弱手段が強制的に貫通されて、前記挿入物遠位端を前記包囲形態内から露出させることができるまで、前記挿入物の遠位部分が前記開口部対向部材に印加する圧力が次第に増大する、請求項9または請求項10に記載の送達具。
【請求項12】
前記挿入物配向手段の近位部分は、少なくとも前記挿入物近位端に係合するように適合された挿入物係合手段をさらに備える、請求項2~請求項11のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項13】
前記挿入物係合手段は、前記挿入物近位端が前記挿入物配向手段近位部分に圧縮されて維持されるように寸法決めされ、成形される、請求項12に記載の送達具。
【請求項14】
前記指配向手段は、前記仕切りに隣接する遠位部分をさらに備え、前記指配向手段の遠位部分が前記少なくとも1本の指の一部を前記誘導姿勢にぴったり適合した状態で維持するように適合される、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項15】
前記仕切りは、前記挿入物配向手段近位部分、前記指配向手段の遠位部分、または仕切り部材のうちのいずれか1つまたは複数から形成される、請求項2~請求項14のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項16】
前記誘導姿勢は、前記開口部を画定する身体構造を通して配備するために前記少なくとも1本の指の一部が前記配備姿勢にある前記挿入物に対して少なくとも一方向の力を加えるように配向された姿勢である、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項17】
前記配備姿勢は長手方向軸を有し、前記誘導姿勢は長手方向軸を有し、前記配備姿勢および前記誘導姿勢は、前記配備姿勢の長手方向軸および前記誘導姿勢の長手方向軸が実質的に平行であるか、実質的に整列されるか、または前記開口部内への前記挿入物の配備を容易にするように適合された角度で交差するように設計される、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項18】
前記開口部を画定する身体構造を通して前記挿入物を前進させることにより、前記少なくとも1本の指の一部に仕切りを介して固有受容刺激が伝達されて、前記開口部を画定する身体構造を通しておよび/または前記開口部内に前記挿入物を誘導するために必要な1つまたは複数の方向の力の情報に基づく選択が可能になる、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項19】
単一部品として形成される、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項20】
2部品として形成され、第1の部品が前記挿入物配向手段を備え、第2の部品が前記指配向手段を備える、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項21】
医療用である、成形可能である、分裂なしで反転可能であることを含む反転可能である、非多孔性である、可撓性である、弾性がある、耐久性がある、室温および輸送温度での安定性を有する、水溶性である、迅速生分解性である、非アレルギー性である、医療用薬物または経口摂取薬物送達に関して治療規制当局によって承認されている、および保管取扱説明書に従って保管された場合に5年を超える有効期間を有するという特性のうちの1つまたは複数の特性を示す1つまたは複数の材料で形成される、請求項1~請求項20のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項22】
前記開口部は、膣に通じる孔、肛門に通じる孔、尿路に通じる孔、陰茎に通じる孔、鼻孔、耳に通じる孔、および口である、請求項1~請求項21のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項23】
前記挿入物は、タンポン、ペッサリー、坐剤、臨床スクリーニング装置、スワブ、クリーム、潤滑剤、ペレット、錠剤、カプセル、サプリメント、埋込装置、内科用もしくは外科用装置、治療用具、または治療上有効もしくは診断上有効であるように適合された他の挿入物である、請求項1~請求項22のいずれか一項に記載の送達具。
【請求項24】
前記挿入物はタンポンである、請求項23に記載の送達具。
【請求項25】
指で案内される開口部内に挿入物を配備するための方法であって、
(a)本発明の任意の送達具の態様に従う送達具であって、前記挿入物が配備姿勢で一時的に収容される送達具を提供するステップと、
(b)少なくとも1本の指の一部を誘導姿勢で指配向手段に挿入するステップと、
(c)任意選択で前記挿入物を露出させるステップと、
(d)指を使用して、前記挿入物の遠位端から前記挿入物の近位端まで前記開口部内への前記挿入物の配備を案内するステップと、
(e)前記挿入物を前記開口部内に配備した状態で前記送達具を引き抜くステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部内に挿入物を配備するための装置に関する。具体的には、本発明は、指で案内される開口部内に挿入物を配備するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な疾患の治療および/または診断のため、および様々な他の目的のために、腟口または肛門などの開口部内に様々な挿入物を挿入することが知られている。例えば、タンポンは、月経液などを吸収するために月経中に女性によって使用される。タンポンの使用は、感染および病気の重大なリスクを伴い得る。例えば、尿路感染症は、尿路癌を発症するより高いリスクに関係している(日本癌学会https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/cas.12127)。これは、タンポンの挿入および/または取り出しの間の不十分な衛生管理によって促進され得る。
【0003】
基本的に、現在使用されているタンポンの挿入様式が2つある。第1の様式は、直接指での挿入によるものである。使用者は、指(複数可)でタンポンを膣に挿入する。これは、非衛生的かつ侵襲的であり得、場合によっては、特に公共施設にいるときに、使用者にとって厄介な処置であり得る。初心者、すなわち、月経を経験し始めたばかりの女性の場合、この処置は、扱いにくく、痛みを伴う可能性がある。指と膣壁との接触は、処置が挿入する人の指を汚す可能性が増大するとともに、潜在的に膣に異種微生物が導入されることにつながり得る。
【0004】
指で挿入可能なタンポンなどの物品の挿入または取り出しのときに、基本的な衛生状態が欠如し得る。目に見える血液は、使用者の指に残り、ドア、蛇口などに移る可能性があり、このことは非衛生的であり、次の使用者にとって不快である。
【0005】
第2の現在のタンポンの挿入様式は、典型的にはボール紙、プラスチック材料または有機材料から作製されるアプリケータによるものである。現在市販されているタンポンアプリケータは、一般に、指による挿入よりも衛生的なプロセスを提供すると考えられている。さらに、タンポンアプリケータは、タンポンの挿入をより確実かつ正確にすると考えられることもある。
【0006】
現在のタンポンアプリケータに関する問題としては、取り扱いが難しく(多くの場合、複数の可動部品が必要である)、および比較的かさばる包装が必要であるということが挙げられる。さらに、タンポンアプリケータは、膣壁の挟み込みを引き起こし得る。タンポンアプリケータは侵襲的であり、廃棄時の重大な環境影響を有する。血液で汚れたアプリケータもまた生物学的危険性を有する。それらの典型的な長さを考えると、タンポンアプリケータは、より人目につきやすく、目立たない方法で輸送し、取り扱うことがより困難である。さらに、多くのタンポンアプリケータ内に収容されたタンポンは、挿入前に検査することができず、その結果、使用者が不衛生なタンポンを挿入することにつながることが知られている。タンポンアプリケータはまた、操作するためにいくらかの手先の器用さを必要とする場合があり、これは、特に、慣れていない経験の浅い使用者、および身体障害のある人にとって困難であり得る。
【0007】
坐剤は、薬剤送達のための許容された代替製剤として認識されている。膣坐剤はまた、膣避妊薬を投与するため、疼痛緩和のため、および種々の婦人科疾患を処置するために使用される。タンポンと同様に、指による挿入は、多くの場合、坐剤またはペッサリーを挿入するために使用され、同様の生物学的危険性のリスク、およびタンポンの指による挿入に関連する上記に示した他の問題の一部または全てを伴う。
【0008】
国際公開第2006/086849号パンフレットは、タンポンを挿入するために使用され得る、ヒトまたは動物の開口部内への指による挿入のための挿入部材を開示している。挿入部材は、開口部内に受容される細長い挿入体と、細長い挿入体の少なくとも一部に着脱可能に接続されるシース部材とを備える。シース部材は、第1の形態と第2の形態との間で細長い挿入体に対して移動可能であり、そのことにより、シース部材が第2の形態にあるときに、シース部材は、使用者の1本以上の指の少なくとも一部を受容するように寸法決めされる。シース部材は、タンポン、坐剤、錠剤、またはペッサリーを収容し、上端部が衛生的に密封されている。しかしながら、この発明は、確実な指保持を可能にするものでないことが分かった。
【0009】
国際公開第2005/058218号パンフレットおよび国際公開第2006/123132号パンフレットは、プラグ(両方の明細書においてタンポンを指すために使用される用語である)およびシースによって接合されたパッドを含む、月経液吸収のために女性が使用する衛生製品を開示している。そのままで、プラグが膣腔内にあるとき、パッドは膣の外側に残るが、プラグに近位の内側に吸収層を有し、外側に液体不透過性層を有する。シースは、過剰な月経液をプラグからパッドに吸い込むための吸収性材料の管を含み得、その内面に液体不透過性材料の層を有する。製品の取り出しを助けるために、プラグの外側端部からシースの内側に延びる紐が設けられる。
【0010】
国際公開第2005/058218号パンフレットおよび国際公開第2006/123132号パンフレットに開示されている発明の使用において、装着者は、膣腔内へのプラグの挿入を助けるためにパッドの外側からシース内に指を挿入することができる。その構成では、プラグの近位部分を包囲する薄いフィルムが使用者の指の先端とプラグの近位部分との間に実質的に挟持される実施形態でない限り、プラグの近位部分は、使用者の指の先端に接触する。これらの実施形態では、プラグの近位部分を包囲するフィルムは非常に薄いので、使用者はそれでもプラグの近位端に触れているかのように感じる。しかしながら、プラグとパッドとの組み合わせは、嵩張るものであり、挿入および配置、さらには取り出しおよび処分の際に邪魔になる可能性がある。両方の特許明細書は、パッドが排尿中に尿で汚れないようにパッドを尿道口から離すことができることを示しているが、実用的な現実としては、それでもパッドは尿に触れる可能性が高い。
【0011】
タンポンアプリケータ製品に関する別の重要な問題は、現在のアプリケータが、現在のところ、溶解可能または水洗可能な材料を使用して製造されていないため、トイレに流すことによって使用済みアプリケータを処分することができないことである。溶解可能な材料から作られていないが、それでもトイレに流されるアプリケータは、下水道システムパイプにおいて著しい損傷および閉塞を引き起こす可能性がある。
【0012】
Kimberly-Clark Worldwide社の国際公開第2018/102155(A1)号パンフレットは、タンポンを収容するための外側管と、少なくとも一部が外側管へと延びる内側管とを含み、外側管は外側の身体接触面を含み、内側管は外側管に対して移動可能であり、タンポンを外側管から放出するように構成され、外側管および内側管の少なくとも一方は、部分加水分解ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリエチレングリコール(PEG)、可塑剤、および疎水性高分子成分を含む熱可塑性組成物を含む、水洗可能なタンポンアプリケータ製品を開示している。しかしながら、そのようなバレルタンポンアプリケータは、使用するのに扱いにくく邪魔であり得、配置が正しいかどうかを決めることが難しいため、若く経験の浅い使用者または身体障害を有する人には難しいアプリケータであり得る。
【0013】
開口部内に挿入物を配備するための装置を改良する必要がある。
【0014】
本明細書におけるいずれの文書、行為、または知識の項目のいずれの言及または議論も、単に本発明の背景を提供するために含まれる。優先日において形成されたこれらの事項のいずれかまたはそれらの任意の組み合わせ、共通の一般知識の一部、または本明細書が関係しているいずれかの問題を解決しようとする試みに関連することが周知であることは、示唆も表現もされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本明細書において、器具を説明する本発明の実施形態の考察は、明確に明示されている場合を除き、本発明の器具の全ての態様に適用可能な実施形態であると理解されるべきである。それでも、当業者は、どの実施形態が本発明の器具のどの態様に採用可能であるかを容易に理解するであろう。同じアプローチが、本発明の方法態様または任意の他の態様を説明する本発明の実施形態に適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様によれば、本発明は、指で案内される開口部内に挿入物を配備するための送達具であって、
(a)挿入物を配備姿勢に配向するように適合された挿入物配向手段と、
(b)少なくとも1本の指の一部を誘導姿勢に配向するように適合された指配向手段とを備え、
挿入物配向手段および指配向手段は、仕切り断面で仕切りを挟んで隣接しており、配備姿勢および誘導姿勢は、開口部内に挿入物を指案内で配備するように設計される、送達具を提供する。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態では、挿入物配向手段は、仕切りに隣接する近位部分をさらに備え、近位部分は、挿入物の少なくとも一部を一時的に収容するように適合される。いくつかのそのような実施形態では、挿入物配向手段の近位部分は、挿入物の少なくとも一部を緩く収容するように適合される。そのような実施形態の他の実施形態では、挿入物配向手段の近位部分は、挿入物の少なくとも近位部分と係合するように適合される。いくつかのそのような実施形態について、以下でより詳細に説明する。
【0018】
特に好ましい実施形態では、挿入物配向手段は、シース部材をさらに備え、シース部材は、シース部材長さを画定する近位端および遠位端を有し、内面および外面によって画定されるシース部材厚さを有する。いくつかのそのような実施形態では、シース部材は、シース部材内面が包囲形態で挿入物を実質的に包囲するように、挿入物配向手段の近位部分から遠位に、または挿入物配向手段の近位部分に隣接して延在する。代替の実施形態では、シース部材の内面は、包囲形態において挿入物の一部のみを包囲する。
【0019】
さらに別の好ましい実施形態では、挿入物配向手段は、開口部対向部材をさらに備え、開口部対向部材は、開口部対向部材表面領域を画定する厚さおよび周囲を有し、周囲と半径方向周囲幅の内側との間に介在する半径方向周囲幅を有する。好ましくは、開口部対向部材は、シース部材の遠位端を実質的に覆うように適合され、そのことにより、シース部材の内面が挿入物を実質的に包囲する実施形態では、配備姿勢にある挿入物は挿入物配向手段の近位部分と開口部対向部材との間に挟持された収容形態になる。
【0020】
いくつかの実施形態では、収容形態は、挿入物が収容されたときに衛生状態にあるように適合される。他の実施形態では、挿入物は収容形態に維持されるときに滅菌状態にある。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「衛生的な」およびその文法上の変化形は、器具内から露出する前の挿入物の清浄状態を説明するために使用される場合、事前の滅菌を必要とせずに動物(ヒト動物を含む)の身体の開口部内に挿入されるように適合された挿入物の販売のための販売認可を与えるために、オーストラリア薬品・医薬品行政局(Australian Therapeutic Goods Administration)およびオーストラリア農薬・動物用医薬品局(Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority)または米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)などの治療製品規制当局の許容できる清浄状態を反映するために使用される。用語「無菌の」およびその文法上の変化形は、器具内から露出する前の挿入物の清浄状態を説明するために使用される場合、無菌状態を指すために使用され、細菌および他の生きている微生物が存在しないことを意味する。
【0022】
挿入物配向手段の収容形態おいて挿入物が最初に無菌状態に維持される送達具の実施形態では、滅菌は、例えば、ガンマ線を介した、またはエチレンオキシドガスを使用した滅菌を含む、当業者に周知のいくつかの技術によって達成され得る(例えば、https://www.fda.gov/medical-devices/general-hospital-devices-and-supplies/ethylene-oxide-sterilization-medical-devicesを参照)。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態、特に代替の実施形態では、開口部対向部材は、シース部材の内面と係合するように適合された場所から係脱可能に係合可能である、送達具の別個の物品である(すなわち、挿入物配向手段自体の一部を形成しない)。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態の開口部対向部材は、シース部材の遠位端に係脱可能に係合するように適合され、係脱可能な係合部は、開口部対向部材の周囲とシース部材の遠位端に隣接するシース部材の内面の周囲との脆弱接合部を備える。いくつかのそのような実施形態では、シース部材の内面への開口部対向部材の係脱可能な係合部は、脆弱接合部の少なくとも一部に沿った強制係脱を可能にするように適合される。
【0025】
開口部対向部材のさらに好ましい実施形態では、少なくとも1つの脆弱手段が、開口部対向部材の厚さの少なくとも一部に亘っており、脆弱手段は、開口部対向部材の強制貫通を可能にするように適合される。いくつかの実施形態の脆弱手段は、開口部対向部材の厚さに亘る。好ましくは、脆弱手段は、開口部対向部材表面領域の中心から半径方向周囲幅の内側の半径方向位置まで開口部対向部材表面領域を横断する。
【0026】
開口部対向部材のいくつかの特に好ましい実施形態は、開口部対向部材表面領域の中心から半径方向周囲幅の内側の半径方向位置まで開口部対向部材表面領域をそれぞれ横断する複数の脆弱手段を備える。いくつかのそのような実施形態では、半径方向周囲幅の内側の半径方向位置は、等間隔で離間される。好ましい実施形態および代替の実施形態の両方は、脆弱手段が脆弱線を含むことを開示する。
【0027】
そのような実施形態の多くは、好ましくは、脆弱手段の貫通作用が開口部対向部材の半径方向周囲幅の完全性を損なわないように構成される。
【0028】
挿入物の遠位端の前進による開口部対向部材の貫通を容易にするために、さらなる好ましい実施形態は、開口部対向部材表面領域が、挿入物の断面の形状に実質的に対応するように成形されることを開示する。いくつかのそのような実施形態では、挿入物が配備形態にあるとき、挿入物の遠位端は、シース部材遠位端を越えて延びる。
【0029】
前述したように、本発明の開口部対向部材のいくつかの実施形態は、開口部対向部材の能動的な貫通が開口部対向部材の半径方向周囲幅の完全性を損なわないように適合される。しかしながら、さらに、いくつかのそのような実施形態では、開口部対向部材半径方向周囲幅は、領域構造弾性を有し、シース部材は、シース構造弾性を有し、領域構造弾性の軟弾性度は、シース構造弾性の軟弾性度を上回る。
【0030】
好ましくは、領域構造抵抗の軟弾性度は、シース部材厚さの軟弾性度と半径方向周囲幅の軟弾性度との和を含む。領域構造抵抗の軟弾性度を計算するためのこの「式」は、開口部対向部材が挿入物配向手段の一体部分である実施形態、および開口部対向部材が配備器具の別個の物品である実施形態にも適用可能である。
【0031】
いくつかの好ましい実施形態では、開口部対向部材の厚さは、0.01mm~0.1mm、より好ましくは0.03mm~0.07mm、さらにより好ましくは0.04mm~0.06mmである。いくつかの特に好ましい実施形態では、開口部対向部材の厚さは0.05mmである。
【0032】
シース部材の好ましい実施形態および代替の実施形態は、シース部材の遠位端の実質的に最も広い部分からシース部材の近位端の実質的に最も狭い部分までシース部材の長さに沿ってテーパー形状を有する。テーパー形状は、いくつかの実施形態では、シース部材近位端の方向へのシース部材遠位端の移動を可能にするように適合され、シース部材の長さに沿ったシース部材遠位端の幅の減少は、シース部材がそれ自体の上に折り重なることを可能にし、徐々にシース部材内面を露出させ、シース部材外面を覆う。
【0033】
シース部材がそれ自体の上に折り重なる性質は、シース部材遠位端がシース部材近位端の方向に移動することによってシース部材厚さが包囲形態からのシース部材の変化に対応するように適合されるいくつかの実施形態では、さらに促進される。好ましい実施形態では、シース部材の厚さは0.2mm~1.0mmであり、さらに別の好ましい実施形態では、シース部材の厚さは約0.25mm~0.5mmである。特に好ましい実施形態は、シース部材の厚さを0.3mmとして開示する
【0034】
さらに、いくつかの好ましい実施形態では、シース部材近位端の方向へのシース部材遠位端の移動は、シース部材が挿入物露出形態になるまで、シース部材長さに沿って合わせられる。好ましくは、挿入物露出形態において、シース部材の遠位端は、シース部材の近位端、仕切り、および指配向手段の少なくとも一部を越えて延びる。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態および代替の実施形態は、挿入物配向手段の断面が実質的に円形または実質的に楕円形であることを開示する。しかしながら、挿入物配向手段が円形断面を有することが特に好ましい。このような実施形態の円形断面は、好ましくは、開口部対向部材、シース部材近位端、挿入物配向手段近位端、仕切り、および指配向手段の少なくとも一部の円形周囲によって維持される。
【0036】
挿入物配向手段が円形断面を有する送達具の実施形態は、挿入物配向手段遠位端が挿入物配向手段近位端の方向に前進するにつれて、挿入物配向手段遠位端が、挿入物配向手段の円形断面の維持を助ける他の円形パラメータのそれぞれの上を実質的に同心円状に通過するように適合される。しかしながら、代替の実施形態では、挿入物配向手段の断面は、多角形、または例えば星形を含む異なる形状を有し得る。
【0037】
好ましい実施形態は、シース部材が包囲形態から挿入物露出形態に変化するにつれて、シース部材内面が次第に露出され、シース部材外面が次第に覆われることを開示する。
【0038】
前述したように、いくつかの好ましい実施形態では、シース部材近位端の方向へのシース部材遠位端の移動により、開口部対向部材がシース部材遠位端から強制的に係脱され、および/または少なくとも1つの脆弱手段が強制的に貫通されて、挿入物遠位端を包囲形態内から露出させることができるまで、挿入物の遠位部分が開口部対向部材に印加する圧力が次第に増大する。
【0039】
好ましい実施形態および代替の実施形態は、シース部材遠位端がシース部材近位端の方向に移動するにつれて、シース部材が挿入物露出形態にあるときに、配備姿勢にある挿入物が実質的に完全に露出されるまで次第に露出されることを開示する。典型的には、シース部材が挿入物露出形態になるまでに、シース部材の近位端は指の少なくとも一部を越えて延びる。
【0040】
いくつかのそのような実施形態では、結果としてシース部材の外表面による指の好ましい被覆は、指用の手袋様部材として作用する。指の少なくとも一部は、挿入物が開口部内の好ましい深さまで挿入されるように開口部を通して挿入され得るので、手袋様部材に指が覆われることにより、好ましくは、挿入物の開口部内への配備時の全体的な衛生状態が改善され得る。
【0041】
前述したように、いくつかの実施形態では、挿入物配向手段の近位部分は、挿入物の少なくとも近位部分と係合するように適合される。好ましくは、挿入物配向手段の近位部分は、少なくとも挿入物近位端に係合するように適合された挿入物係合手段をさらに備える。
【0042】
他の実施形態では、挿入物配向手段の近位部分は、挿入物近位端などの挿入物の少なくとも一部と圧縮係合するように適合される。いくつかのそのような実施形態では、例えば、挿入物配向手段の近位部分の形状および/またはサイズは、製造時にまたは使用者の手動操作を通して(送達具の再装填時)挿入物近位端が配向手段近位部分に強制的に挿入されるため、挿入物の少なくとも一部が挿入物配向手段近位部分の中に一時的に収容されるように、その挿入物の少なくとも一部に比べて小さい。
【0043】
あるいは、挿入物係合手段は、挿入物近位端が挿入物配向手段近位部分に圧縮されて維持されるように寸法決めされ、成形される。いくつかのそのような実施形態によれば、挿入物係合手段は、少なくとも1つのリブ部材を備える。いくつかのそのような実施形態は、係合が、挿入物の少なくとも近位部分内の1つまたは複数の溝部材に対応する複数のリブ部材を介して生じ得ることを開示する。いくつかの好ましい実施形態および代替の実施形態では、リブ部材は、挿入物配向手段近位端の周囲に沿って等間隔で配置される。当業者に理解されるように、いくつかのそのような実施形態は、挿入物がタンポンである場合に特に好ましく、その理由は、多くのタンポンがタンポンの周囲の周りに等間隔に配置された溝部材を有するように製造されるからである。
【0044】
本発明の好ましい実施形態および代替の実施形態は、指配向手段が仕切りに隣接する遠位部分をさらに備え、指配向手段の遠位部分が少なくとも1本の指の一部を誘導姿勢にぴったり適合した状態で維持するように適合されることを開示する。いくつかのそのような実施形態では、指配向手段の遠位部分は、使用者の指の末節骨の部分をぴったり適合した状態で維持するように適合される。他の実施形態では、指配向手段遠位部分は、1本または複数本の指骨の長さを収容し得る。
【0045】
指配向手段遠位部分は、1本の指の少なくとも一部を収容することが特に好ましい。しかしながら、指配向手段遠位部分のいくつかの代替の実施形態は、2本以上の指、例えば2本の指または3本の指の少なくとも一部を収容するようにさらに適合される。典型的ではないが、いくつかの代替の実施形態では、指配向手段遠位部分は、4本の指または5本の指を収容するように適合される。
【0046】
送達具の好ましい実施形態および代替の実施形態では、挿入物配向手段および指配向手段は仕切りを挟んで隣接する。好ましくは、仕切りは、挿入物配向手段近位部分、指配向手段遠位部分、または仕切り部材のうちのいずれか1つまたは複数から形成される。好ましい実施形態において、仕切りは、挿入物配向手段と指配向手段とを完全に分離する。
【0047】
挿入物がタンポンである実施形態では、典型的には市販のタンポンの近位部分から延在し、膣腔内からのタンポンの取り出しを可能にするために使用される引抜き紐部材を通過させることができるように、仕切りに開口部が形成され得る。引抜き紐部材が仕切りを通過することを可能にする送達具の実施形態は、引抜き紐部材を受容するための開口部が引抜き紐部材の断面よりも最小限に大きい直径または最大幅部分を有するように適合される。そのような実施形態は、仕切りの厚さ方向の流体連通の程度が好ましくは最小限に抑えられるように構成される。いくつかの実施形態では、引抜き紐部材を受容するための開口部は、使用者からの介入を伴わずに引抜き紐部材が移動しないように圧迫して維持するように寸法決めされる。
【0048】
挿入物がタンポンである他の実施形態では、少なくとも引抜き紐部材の近位端が挿入物配向手段近位端に接着するように、接着手段が挿入物配向手段近位端に塗布される。そのような実施形態により、仕切りの完全性を維持することが可能になる。製造に関して、接着手段は、接着剤ドットの形態を取り得る。
【0049】
いくつかのこのような好ましい実施形態において、引抜き紐部材の遠位端は、タンポンの近位端に接続されるか、またはタンポンを形成する他の材料と織り合わされ、そのことにより、少なくとも引抜き紐部材の遠位端は、タンポンが膣腔内に配備されてもタンポンの近位端と共に残る。そのままで、引抜き紐部材の近位端は、膣の外側にぶら下がる。使用者は、引抜き紐部材の遠位端を把持し、必要に応じてそれを引っ張って、膣からタンポンを取り出すことができる。
【0050】
特に好ましい実施形態では、誘導姿勢は、少なくとも1本の指の一部が配備姿勢にある挿入物に対して少なくとも一方向の力を加えるように配向された姿勢である。それらおよび他の特に好ましい実施形態のいくつかにおいて、配備姿勢は、挿入物が開口部を画定する身体構造を通して配備されるように配向された姿勢である。
【0051】
好ましくは、配備姿勢は長手方向軸を有し、誘導姿勢は長手方向軸を有し、配備姿勢および誘導姿勢は、配備姿勢の長手方向軸および誘導姿勢の長手方向軸が実質的に平行であるか、実質的に整列されるか、または手による少なくとも1つの空間的に利用可能なアプローチ(少なくとも1本の指が開口部を画定する身体構造まで延びる)を考慮して開口部内への挿入物の配備を容易にするように適合された角度で交差するように設計される。
【0052】
いくつかの好ましい実施形態および代替の実施形態によれば、空間的に利用可能なアプローチは、人間工学的に効率良く、つまり、人間工学的に健全な位置から、送達具を使用しない開口部への挿入物の挿入のための典型的な時間枠にほぼ等しい時間枠で、使用者が挿入物を挿入することを可能にする身体測定値を考慮に入れたアプローチである。いくつかのそのような実施形態では、「人間工学的に健全な」という表現は、使用者に肩関節の通常の回転範囲を無理に超えて回転させない、および/またはタンポンを開口部内に配備して不快感を最小限に抑えることを可能にする、アプローチを指すものである。タンポンを開口部内に配備して不快感を最小限に抑えることを可能にする人間工学的に健全なアプローチに特に適している本発明のさらなる利点は、女性が、特に挿入に関連して、膣内およびその周囲における感度増強(例えば、膣痙)を経験する状況において強調される。
【0053】
いくつかの実施形態では、「人間工学的に健全な」によって包含されるアプローチは、タンポンを挿入するための器具を自分で装着する使用者が採用する可能性が高いアプローチである。例えば、使用者は、タンポンを挿入するための器具を使用するのに、下向きの動作を取り得る。別の例では、使用者は、立位またはしゃがんだ状態であり得る。全てのそのような例において、使用者の大腿部は離れており、タンポンが装填された器具の挿入を容易にするために、もう一方の手を使用して陰唇を広げ得る。このアプローチは、配備姿勢の長手方向軸が使用者の脊椎の腰部に向けて傾斜するように、曲線運動の手の内向きかつ上向きの動きを含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、挿入物は、挿入物の長手方向軸が指配向手段遠位端の長手方向軸に実質的に平行であるときに、配備姿勢にある。他の実施形態では、挿入物は、挿入物の長手方向軸が指配向手段遠位端の長手方向軸に対して傾斜しているときに、配備姿勢にある。この実施形態の好ましい変形例および代替の変形例では、挿入物配向手段と指配向手段との物理的関係は、送達具の側面図が、使用者の指の自然な屈曲した湾曲、特に人さし指の自然な屈曲した湾曲の延長を反映するように構成される。
【0055】
他の特に好ましい実施形態では、少なくとも1本の指の一部は、少なくとも1本の指の長手方向軸が挿入物配向手段近位端の長手方向軸に実質的に平行であるときに誘導姿勢にある。それらの実施形態のうちのいくつかおよび他の実施形態では、少なくとも一方向の力は、開口部の中心軸と実質的に整列される。
【0056】
複数の方向の力を配備姿勢にある挿入物に加えるための誘導姿勢で少なくとも1本の指を配向するのが特に好ましく、複数の方向の力は、開口部を画定する身体構造を通して挿入物を案内するように、および/または挿入物を開口部内に案内するように適合される。好ましくは、開口部を画定する身体構造を通して挿入物を前進させることにより、少なくとも1本の指の一部に仕切りを介して固有受容刺激が伝達されて、開口部を画定する身体構造を通しておよび/または開口部内に挿入物を誘導するために必要な1つまたは複数の方向の力の情報に基づく選択が可能になる。いくつかの実施形態では、誘導姿勢が指の少なくとも一部が仕切りを押し上げるような姿勢であるので、仕切りを介した固有受容刺激の伝達が行われることが好ましい。
【0057】
いくつかの好ましい実施形態の送達具は、単一部品として形成され、いくつかの他の好ましい実施形態の送達具は、2部品として形成され、第1の部品は挿入物配向手段を備え、第2の部品は指配向手段を備える。代替の実施形態を含むさらに別の実施形態は、送達具の製造において組み立てられる3つ以上の物品を開示する。いくつかのそのような実施形態について、以下でより詳細に説明する。
【0058】
第2の態様によれば、本発明は、開口部内への衛生的な指挿入のための挿入具であり、
(a)第1の端部および第2の端部を備える可撓性スリーブであって、剛性部分が可撓性スリーブの第1の端部に取り付けられ、薄膜被覆が可撓性スリーブの第1の端部と第2の端部との間に形成される、可撓性スリーブと、
(b)可撓性スリーブの第2の端部に取り付けられた剛性の細長い指カバーであって、第2の端部および挿入具の使用者によって挿入された指を受容するための第2の端部を備える剛性の細長い指カバーと、
(c)剛性の細長い指カバーの第1の端部に剥離可能に固定された配備可能な物品と
を備える挿入具に関する。
【0059】
本発明の第2の態様のいくつかの好ましい実施形態では、挿入具は、可撓性スリーブが配備可能な物品を覆うように適合された第1の形態と配備可能な物品を露出させるように適合された第2の後退形態との間で移動可能であるように、2つ以上の変曲点を含む。
【0060】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、可撓性スリーブの第1の端部は、第1の変曲点を含む。好ましくは、剛性の細長い指カバーの第1の端部は、第2の変曲点を含む。代替の実施形態において、剛性の細長い指カバーの第1の端部は、少なくとも2つ以上の変曲点を含む。
【0061】
本発明の第2の態様のいくつかの好ましい実施形態では、可撓性スリーブは、薄膜が圧潰可能になるように剛性部分が可撓性スリーブの第2の端部に向かって移動するにつれて第1の形態から移動可能である。好ましくは、可撓性スリーブは、次いで、剛性部分が剛性の細長い指カバーの表面に沿って移動するにつれて、薄膜が裏返されて剛性の細長い指カバーの表面を覆うシースを形成するように、第2の変曲点で反転される。本発明の第2の態様の代替の実施形態では、可撓性スリーブは、剛性部分が剛性の細長い指カバーの表面に沿って移動するにつれて、薄膜が反転されて剛性の細長い指カバーの表面を覆うシースを形成するように、少なくとも2つ以上の変曲点で反転される。
【0062】
本発明の第2の態様の好ましい実施形態では、挿入具は、薄膜の内部にあり、剛性の細長い指カバーの第1の端部に取り付けられた内部剛性支持体をさらに備え、内部剛性支持体機能は、開口部内に指で挿入される配備可能な物品を保持する。
【0063】
本発明の第2の態様のそのような好ましい実施形態では、指で挿入される配備可能な物品は、可撓性スリーブの薄膜によって覆われる。さらなるそのような好ましい実施形態では、指で挿入される配備可能な物品は、可撓性スリーブ内に気密封止され、剛性の細長い指カバーによって覆われた挿入指から力が加えられると、気密シールを破る。
【0064】
本発明の第2の態様のさらに別のそのような好ましい実施形態では、気密シールの破壊により、薄膜が挿入点の周りに人間工学的接触領域を形成することが可能になり、人間工学的接触領域は、配備可能な物品が開口部内に指で挿入されるにつれて、薄膜の圧潰可能な折り目によって形成される。
【0065】
本発明の第2の態様の好ましい実施形態では、剛性の細長い指カバーの第1の端部の内面は、様々な指サイズに対応するためにテーパー形状を含む。本発明の第2の態様の代替の実施形態では、剛性の細長い指カバーの第1の端部の内面は、少なくとも2本以上の指を収容するためにテーパー形状を備える。
【0066】
本発明の第2の態様のさらなる好ましい実施形態では、配備可能な物品が開口部内に挿入された後、挿入具が開口部から取り出されるにつれて、剛性の細長い指カバーが、反転された薄膜および剛性部分で覆われる。
【0067】
本発明の第2の態様のさらに別の好ましい実施形態では、物品に取り付けられた取り外し紐は、挿入具が開口部から取り外されるときに、取り外し紐が開口部の入口からアクセス可能な状態で配備可能な物品が開口部の内側に固定されたまま残るように、内部剛性支持体の開口部を通過することができる。
【0068】
送達具が少なくとも2つの部品から構成されるいくつかの実施形態では、第1の部品の近位端は、第2の部品の遠位端に嵌合係合するように適合される。そのような実施形態の他の実施形態では、第2の部品の遠位端は、第1の部品の近位端に嵌合係合するように適合される。この嵌合係合は、当業者に周知である種々の手段または機構によって行われ得る。特に好ましい実施形態では、第2の部品の遠位端との第1の部品の近位端の嵌合係合、または第1の部品の近位端との第2の部品の遠位端の嵌合係合は、複数のリブ部材または歯部材によって行われる。いくつかのそのような実施形態では、リブ部材または歯部材は、場合によって、第2の部品の遠位端または第1の部品の近位端の内側の周囲に沿って等間隔で配置される。
【0069】
対応する溝部材は、挿入物配向手段の指配向手段との係脱可能な係合のために、第1の部品の近位端の外側または第2の部品の遠位端の側面の外側の周囲に沿って等間隔で配置され得る。
【0070】
あるいは、第1の部品の近位端または第2の部品の遠位端は、場合によって、第2の部品の遠位端または第1の部品の近位端に強制的に係合され得る。いくつかのそのような代替の実施形態では、挿入物配向手段と指配向手段との係合は、やはり場合によって、第1の部品の近位端と第2の部品の遠位端との圧縮係合、または第1の部品の遠位端と第2の部品の近位端との圧縮係合によって達成される。
【0071】
送達具の好ましい実施形態の製造のための材料は、医療用である、成形可能である、分裂なしで反転可能であることを含む反転可能である、非多孔性である、可撓性である、弾性がある、耐久性がある、室温および輸送温度での安定性を有する、水溶性である、迅速生分解性である、非アレルギー性である、医療用薬物または経口摂取薬物送達に関して治療規制当局によって承認されている、および保管取扱説明書に従って保管された場合に2年、より好ましくは3年、さらにより好ましくは5年を超える有効期間を有するという特性のうちの1つまたは複数の特性を示すように選択される。いくつかの好ましい実施形態では、材料の別の特徴は、送達具が直射日光下にある場合、または温度が通常の室温を超える場所にある場合に、材料が分解または融解しないことである。
【0072】
特に好ましい実施形態では、送達具を形成する1つまたは複数の材料は、熱可塑性エラストマー、または生分解性バイオプラスチック熱可塑性エラストマーを含む成形可能なバイオプラスチックエラストマーを含む。
【0073】
送達具を製造するために使用され得るいくつかの他の材料としては、ゼラチンまたはジャガイモデンプン、ゲルキャップ、グリセリンおよびソルビトールなどの可塑剤が挙げられる。着色剤または香味剤もまた、送達具の製造に組み込まれ得る。
【0074】
送達具を形成することができるいくつかの特定の材料としては、株式会社クラレのMOWIFLEX(商標)、三菱ケミカル株式会社のBioPBS(商標)、Bio-tec Biologische Naturverpackungen有限合資会社のBIOPLAST(商標)TPS、Zhejiang Hisun Biomaterials社のREVODE213(商標)、三菱ケミカル株式会社のZELAS(商標)、三菱ケミカル株式会社のTEFABLOC(商標)TOFI210シリーズからの1つまたは複数の製品、およびKraton Polymers Research有限会社のTHERMOLAST(商標)M化合物の1つまたは複数を含むがこれらに限定されないスチレンブロック共重合体からなる群から選択される材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、シース部材は、国際標準化機構によってISO18064として認定されたクラス内の熱可塑性エラストマー材料から形成される。同じまたは別の実施形態では、開口部対向部材は、ポリアルケンまたはポリアミドの層から形成される。
【0076】
本発明の少なくとも第2の態様のいくつかの好ましい実施形態では、送達具は水溶解性材料から作製される。本発明の少なくとも第2の態様の特に好ましい実施形態では、送達具は、ポリビニルアルコールポリマー(PVA/PVOH)から作製される。本発明の少なくとも第2の態様のいくつかの代替の実施形態において、送達具は、バイオプラスチックエラストマー(生分解性熱可塑性エラストマーを含む)を含む1つまたは複数の材料から作製される。
【0077】
当業者に理解されるように、挿入物が配備される開口部は、動物の体内の開口部である。送達具のいくつかの実施形態は、動物の体内の開口部が動物の対外開口部を通してアクセス可能であるように適合される。好ましい実施形態および代替の実施形態の両方において、開口部は、膣に通じる孔、肛門に通じる孔、尿路に通じる孔、陰茎に通じる孔、鼻孔、耳に通じる孔、口である。いくつかの代替の実施形態では、開口部は、創傷または切開部に通じる孔である。
【0078】
好ましい実施形態および代替の実施形態の送達具は、種々の種類の挿入物を配備するように適合される。いくつかのそのような実施形態では、挿入物は、タンポン、ペッサリー、坐剤、臨床スクリーニング装置、スワブ、クリーム、潤滑剤、ペレット、錠剤、カプセル、サプリメント、埋込装置、内科用もしくは外科用装置、治療用具、または治療上有効もしくは診断上有効であるように適合された他の挿入物である。またさらなる実施形態では、挿入物は、能動的もしくは受動的埋込装置、または生物学的データなどの開口部内から記録されたデータを監視する、警告する、記録する、または通信するためのセンサなどのデバイス、または必要に応じて進行中の治療または医療介入のための埋込型治療装置であり得る。
【0079】
特に好ましい実施形態では、挿入物はタンポンである。
【0080】
第3の態様によれば、本発明は、指で案内される腟口内にタンポンを配備するための送達具であって、
(a)タンポンを配備姿勢に配向するように適合された挿入物配向手段と,
(b)少なくとも1本の指の一部を誘導姿勢に配向するように適合された指配向手段とを備え、
挿入物配向手段および指配向手段は、仕切り断面で仕切りを挟んで隣接しており、配備姿勢および誘導姿勢は、開口部内にタンポンを指案内で配備するように設計される、送達具を提供する。
【0081】
いくつかの特に好ましい実施形態では、タンポンは、製造時に挿入物配向手段内に位置決めされる。タンポンの近位端は、挿入物配向手段の近位端と係合される。引抜き紐部材は、典型的には、タンポンの遠位端から延びている。
【0082】
引抜き紐部材は、典型的には、タンポン本体を形成する材料と織り合わされるか、またはそうでなければ、好ましくはタンポン近位端に隣接して、タンポン本体に実質的に取り外し不可能に接続される。特に好ましい実施形態では、引抜き紐部材は、タンポン本体と相互係合され、必要に応じて、配備されたタンポンを膣腔から引き抜くように適合される。好ましくは、引抜き紐部材は、タンポン本体と係合した遠位端から近位端まで延在し、引抜き紐部材近位端は、使用者によって保持されるように適合される。
【0083】
いくつかの実施形態では、開口部が仕切りを貫通して、挿入物配向手段と指配向手段との間の流体連通をもたらす。貫通開口部は、引抜き紐部材の断面を収容するように適合される。いくつかの実施形態では、貫通開口部は、引抜き紐部材の断面を圧縮して収容するように適合される。
【0084】
いくつかのそのような実施形態では、引抜き紐部材は貫通開口部を通過し、引抜き紐部材遠位端とタンポンの近位端との係合部から引抜き紐部材近位端まで延在する。いくつかの好ましい実施形態および代替の実施形態では、引抜き紐部材近位端は、指配向手段内で自由に移動可能な姿勢にある。使用者が1本または複数本の指の遠位部分を指配向手段に挿入するとき、引抜き紐の近位端は、好ましくは、指の側部と指配向手段の内壁との間で圧迫される。
【0085】
いくつかのこのような実施形態では、タンポンを腟腔内に配備した後、送達具は引き抜かれ、引抜き紐部材の近位端は、引抜き紐部材の近位端が膣口の外側で自由に移動可能な姿勢になるまで、貫通開口部を通って摺動する。
【0086】
他の実施形態では、仕切りに貫通開口部がない。タンポンが引抜き紐部材を含むいくつかのそのような実施形態では、引抜き紐部材の近位端は、仕切りの遠位面に固定される。好ましくは、引抜き紐部材の近位端は、接着剤ドットまたは他の接着手段などの剥離可能な固定具によって仕切りの遠位面に剥離可能に固定される。
【0087】
引抜き紐部材の残部は、次いで、引抜き紐部材の長さが、タンポン本体の近位端と仕切りとの間に挟持された挿入物配向手段の近位端によって収容されるように、同心円状巻回形態で構成される。引抜き紐部材の近位端が仕切りの遠位面に固定される代替の実施形態では、引抜き紐部材の残部は、タンポン本体の近位端と仕切りとの間に挟持された挿入物配向手段の近位端によって収容されるスパゲッティ形態に圧潰される。
【0088】
いくつかのそのような実施形態によれば、膣腔内へのタンポンの配備に続いて、送達具が引き抜かれるにつれて、引抜き紐部材は、引抜き紐部材遠位端(膣腔内に配備されたタンポンの近位端に依然として接続されている)と引抜き紐部材近位端(仕切りの遠位面に依然として取り付けられている)との間で引抜き紐部材に沿って張力が生じるまで、同心円状巻回形態またはスパゲッティ形態から伸長される。引抜き紐部材の張力に抗して送達具を強制的に引き抜くと、剥離可能な固定具の完全性が損なわれる。固定具を取り外すと、引抜き紐部材の近位端は、腟口の外部で自由に移動可能な姿勢になる。
【0089】
第4の態様によれば、本発明は、タンポンの衛生的な指挿入のための挿入具であって、
(a)第1の端部および第2の端部を備える可撓性スリーブであって、剛性部分が可撓性スリーブの第1の端部に取り付けられ、薄膜被覆が可撓性スリーブの第1の端部と第2の端部との間に形成される、可撓性スリーブと、
(b)可撓性スリーブの第2の端部に取り付けられた剛性の細長い指カバーであって、第1の端部および第2の端部を備える剛性の細長い指カバーと、
(c)剛性の細長い指カバーの第1の端部に剥離可能に固定されたタンポンとを備え、
挿入具は、可撓性スリーブがタンポンを覆うように適合された第1の形態とタンポンを露出させるように適合された第2の後退形態との間で移動可能であるように2つの変曲点を含む、挿入具を提供する。
【0090】
本発明の第4の態様の好ましい実施形態では、挿入具は、薄膜の内部にあり、剛性の細長い指カバーの第1の端部に取り付けられた内部剛性支持体を備え、内部剛性支持体は、指で挿入されるタンポンを保持し、タンポンは、可撓性スリーブの薄膜によって覆われ、剛性の細長い指カバーの第1の端部の内面は、様々な指サイズに対応するようにテーパー形状を含む。本発明の第4の態様の代替の実施形態では、剛性の細長い指カバーの第1の端部の内面は、少なくとも2本以上の指を収容するためにテーパー形状を含む。
【0091】
本発明の第4の態様のいくつかの好ましい実施形態では、タンポンは、可撓性スリーブ内に気密封止され、剛性の細長い指カバーによって覆われた挿入指から力が加えられると、気密シールを破る。本発明の第4の態様のさらに好ましい実施形態では、気密シールは、少なくとも1つの脆弱なミシン目を含む。本発明の第4の態様の代替の実施形態では、気密シールは脆弱なミシン目を含まない。いくつかのそのような代替の実施形態では、気密シールは、気密シールを剥がすなどによって、除去され得る。
【0092】
本発明の第4の態様の好ましい実施形態では、可撓性スリーブは、薄膜が圧潰可能になるように剛性部分が可撓性スリーブの第2の端部に向かって移動されるにつれて第1の形態から移動可能であり、可撓性スリーブは、薄膜が反転され、剛性部分が剛性の細長い指カバーの表面に沿って移動されるにつれて剛性の細長い指カバーの表面を覆うシースを形成するように、第2の変曲点で反転する。
【0093】
送達具の好ましい実施形態は、3D印刷、インフレーション成形プロセス、回転(ロト)成形、射出ブロー成形、反応射出成形、真空鋳造、熱成形、圧縮成形、高周波溶接または誘電加熱溶接のうちの1つまたは複数から選択される製造技術を使用して製造される。しかしながら、当業者によって容易に特定され得る他の製造技術もまた、本発明の送達具の製造において採用され得る。
【0094】
第5の態様によれば、本発明は、指で案内される開口部内に挿入物を配備するための方法であって、
(a)本発明の任意の送達具の態様に従う送達具であって、挿入物が配備姿勢で一時的に収容される送達具を提供するステップと、
(b)少なくとも1本の指の一部を誘導姿勢で指配向手段に挿入するステップと、
(c)任意選択で挿入物を露出させるステップと、
(d)指を使用して、挿入物の遠位端から挿入物の近位端まで開口部内への挿入物の配備を案内するステップと、
(e)挿入物を開口部内に配備した状態で送達具を引き抜くステップと
を含む方法を提供する。
【0095】
本発明の方法の好ましい実施形態および代替の実施形態は、少なくとも1本の指の一部を指配向手段に挿入するステップは、少なくとも1本の指の一部が誘導姿勢になるまで少なくとも1本の指の一部の位置決めを調整するステップを含むことを開示する。少なくとも1本の指の一部の位置決めの様々な形態が、送達具の異なる実施形態に関して本明細書全体を通して様々に説明されている。
【0096】
例えば、いくつかの実施形態では、挿入物は、タンポン本体の近位部分から延在する引抜き紐部材を有するタンポンであり、引抜き紐部材の断面を収容するように適合された貫通開口部が、挿入物配向手段および指配向手段が隣接する仕切りに形成される。これらの実施形態のいくつかによれば、引抜き紐部材の近位端は、指配向手段内で自由に移動可能な姿勢にある。この種の実施形態では、少なくとも1本の指の一部が指配向手段に挿入されると、引抜き紐部材の近位端は、少なくとも1本の指の一部の側部と指配向手段の内壁との間で圧迫されて維持される。
【0097】
いくつかの好ましい実施形態では、挿入物を露出させるステップは、挿入物配向手段がシース部材をさらに備え、挿入物がシース部材の内面の包囲形態の中に配備姿勢で一時的に収容される場合に行われる。さらに別の好ましい実施形態では、挿入物を露出させるステップは、挿入物配向手段がシース部材の遠位端を実質的に覆うように適合された開口部対向部材をさらに備え、そのことにより配備姿勢にある挿入物が挿入物配向手段の近位部分と開口部対向部材との間に挟持された収容形態になる場合に行われる。
【0098】
該方法のいくつかの好ましい実施形態では、挿入物を露出させるステップは、挿入物配向手段の遠位端が挿入物配向手段の近位端の方向に移動される場合に行われる。挿入物配向手段がシース部材をさらに備える実施形態、または挿入物配向手段が開口部対向部材をさらに備える実施形態では、挿入物は、シース部材が挿入物露出形態になるまで、挿入物配向手段の遠位端が挿入物配向手段の近位端の方向に移動する間に徐々に露出される。
【0099】
該方法の好ましい実施形態および代替の実施形態は、シース部材が挿入物露出形態にあるときに、シース部材の外面が少なくとも挿入物配向手段近位端、仕切り、および指配向手段の遠位端を覆うことをさらに開示する。いくつかのそのような実施形態によれば、シース部材外面は、指の少なくとも一部をさらに覆い、そのことにより手袋状部材として作用する。
【0100】
該方法のいくつかの好ましい実施形態によれば、指を使用して開口部内への挿入物の配備を案内するステップは、挿入物が開口部を画定する身体構造を通して案内されるように、少なくとも一方向の力を印加するステップを含む。このステップのさらに好ましい実施形態では、使用者は、仕切りを介して少なくとも1本の指の一部に伝達される固有受容刺激に応答して、開口部を画定する身体構造を通して、および/または開口部内に挿入物を誘導するために必要な1つまたは複数の方向の力を選択する。
【0101】
本発明について、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【
図1】本発明の一実施形態に係る送達具の側面図である。
【
図2】挿入物が引抜き紐部材を有するタンポンである、
図1に示された送達具の実施形態に係る送達具の側面図である。
【
図4】1本の指の一部が指配向手段に挿入され、挿入物配向手段シースが収容形態から挿入物露出形態に変化した状態にある、
図1に示された実施形態に係る送達具の側面図である。
【
図5】タンポンが挿入物配向手段に収容された状態にある、本発明の一実施形態に係る送達具の正面図である。
【
図6】可撓性スリーブがタンポンの露出前の第1の形態にある、
図5に示された送達具の実施形態の切り取り正面図である。
【
図7】
図5に示された送達具の実施形態の分解斜視図である。
【
図8】
図5に示された送達具の実施形態の2つの代替の斜視図である。
【
図9】タンポンの配備前のタンポンの取り外し紐の位置を示す、
図5に示された送達具の実施形態の切り取り図である。
【
図10】開口部対向部材の一実施形態の上面図である。
【
図11】
図10に示された実施形態とは異なる開口部対向部材の一実施形態の上面図である。
【
図12】
図5に示された送達具の実施形態の4つの矢状断面図であり、シース部材が包囲形態から挿入物露出形態へと変化するにつれて矢状断面がどのように変化するかを示す各連続図((a)~(d))である。
【
図13】挿入物が引抜き紐部材を有するタンポンである、一実施形態に係る送達具の矢状断面図である。点線で囲まれた送達具の領域の拡大図も示されている。
【
図14】挿入物配向手段の近位端の一実施形態の特徴を示す上面図である。
【
図15】指配向手段の遠位端の一実施形態の特徴を示す上面図である。
【
図16】本発明に係る送達具の一実施形態の側面図である。
【
図17】
図16に示された送達具の実施形態の矢状断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら後述する。図面は、本明細書の他の箇所で説明したように、挿入可能または配備可能な物品がタンポンである実施形態を示す傾向があるが、当業者には容易に明らかになるように、挿入可能または配備可能な物品が取り得る多くの他の形態が存在する。全てのこのような形態は、本発明の範囲内である。
【0104】
本発明の好ましい送達具10は、指40で案内されて開口部内に挿入物11を配備するように適合され、送達具10は、
(a)(図面全体を通して様々に示されているように)挿入物11を配備姿勢に配向するように適合された挿入物配向手段50と、
(b)(図面全体を通して様々に示されているように)少なくとも1本の指40の一部を誘導姿勢に配向するように適合された指配向手段80とを備え、
挿入物配向手段50および指配向手段80は、仕切り断面で仕切り30を挟んで隣接しており、配備姿勢および誘導姿勢は、開口部内に挿入物11を指案内で配備するように設計される。
【0105】
挿入物配向手段50は、仕切り30に隣接する近位部分52をさらに備え、近位部分52は、挿入物11の少なくとも一部を一時的に収容するように適合される。いくつかのそのような実施形態では、挿入物配向手段の近位部分52は、挿入物11の少なくとも一部を緩く収容するように適合される。そのような実施形態の他の実施形態では、挿入物配向手段の近位部分52は、挿入物の少なくとも近位部分36と係合するように適合される。
【0106】
特に好ましい実施形態では、挿入物配向手段50は、シース部材16をさらに備え、シース部材16は、シース部材長さを画定する近位端14および遠位端13を有し、内面および外面によって画定されるシース部材厚さを有する。いくつかのそのような実施形態では、シース部材16は、シース部材16の内面が包囲形態で挿入物11を実質的に包囲するように、挿入物配向手段の近位部分52から遠位に、または挿入物配向手段の近位部分52に隣接して延在する。
【0107】
挿入物配向手段50は、開口部対向部材20をさらに備え、開口部対向部材20は、開口部対向部材表面領域を画定する厚さおよび周囲90を有し、周囲90と半径方向周囲幅93の内側91との間に介在する半径方向周囲幅93を有する。開口部対向部材20は、シース部材の遠位端13を実質的に覆うように適合され、そのことにより、シース部材16の内面が挿入物11を実質的に包囲する実施形態では、配備姿勢にある挿入物11は、挿入物配向手段の近位部分52と開口部対向部材20との間に挟持された収容形態になる。
【0108】
図11に示すように、いくつかの好ましい実施形態の開口部対向部材20は、シース部材の遠位端51に係脱可能に係合するように適合され、係脱可能な係合部は、開口部対向部材の周囲90とシース部材の遠位端51に隣接するシース部材の内面の周囲との脆弱接合部94を備える。シース部材の内面への開口部対向部材20の係脱可能な係合部は、脆弱接合部94の少なくとも一部に沿った強制係脱を可能にするように適合される。
【0109】
開口部対向部材20のさらに好ましい実施形態では、少なくとも1つの脆弱手段92が、開口部対向部材の厚さの少なくとも一部に亘っており、脆弱手段92は、開口部対向部材20の強制貫通を可能にするように適合される。好ましくは、開口部対向部材20は、開口部対向部材20の表面領域の中心から半径方向周囲幅93の内側91上の半径方向位置まで、開口部対向部材20の表面領域をそれぞれ横断する複数の脆弱手段92を備える。
【0110】
開口部対向部材半径方向周囲幅93は、領域構造弾性を有し、シース部材16は、シース構造弾性を有し、領域構造弾性の軟弾性度は、シース構造弾性の軟弾性度を上回る。
【0111】
シース部材16は、シース部材遠位端13の実質的に最も広い部分からシース部材近位端14の実質的に最も狭い部分までシース部材16の長さに沿ってテーパー形状を有する。テーパー形状は、シース部材近位端14の方向へのシース部材遠位端13の移動を可能にし、シース部材の長さに沿ったシース部材遠位端13の幅の減少は、シース部材がそれ自体の上に折り重なることを可能にし、徐々にシース部材内面を露出させ、シース部材外面を覆う。
【0112】
シース部材近位端14の方向へのシース部材遠位端13の移動は、シース部材16が挿入物露出形態24になるまで、シース部材長さに沿って収容される。好ましくは、挿入物露出形態24において、シース部材遠位端13は、シース部材近位端14、仕切り30、および指配向手段17、80の少なくとも一部を越えて延びる。
【0113】
好ましい実施形態は、シース部材16が包囲形態23から挿入物露出形態24に変化するにつれて、シース部材内面が次第に露出され、シース部材外面が次第に覆われることを開示する。
【0114】
概略図を見ると、
図12の(a)~(d)は、シース部材遠位端13がシース部材近位端14の方向に移動するにつれて、シース部材16が挿入物露出形態24にあるときに、配備姿勢にある挿入物11が実質的に完全に露出されるまで次第に露出されることを開示する。典型的には、シース部材16が挿入物露出形態24になるまでに、シース部材の近位端14は指40の少なくとも一部を越えて延びる。挿入物露出形態24は、
図4の本発明の異なる実施形態に関しても示されている。
【0115】
前述したように、いくつかの実施形態では、例えば、
図2および
図3に示されている実施形態では、挿入物配向手段の近位部分52は、挿入物11の少なくとも近位部分と係合するように適合される。好ましくは、挿入物配向手段50の近位部分52は、少なくとも挿入物11近位端36に係合するように適合された挿入物係合手段70をさらに備える。挿入物11がタンポンである場合、多くのタンポンは、タンポンの周囲の周りに等間隔で配置された溝部材を有するように製造される。
【0116】
指配向手段80は、仕切り30に隣接する遠位部分81をさらに備え、指配向手段の遠位部分81は、少なくとも1本の指40の一部を誘導姿勢にぴったり適合した状態で維持するように適合される。いくつかのそのような実施形態では、指配向手段の遠位部分81は、使用者の指40の末節骨の部分をぴったり適合した状態で維持するように適合される。
【0117】
仕切り30は、挿入物配向手段近位部分52、14、指配向手段遠位部分51、13、または仕切り部材(図示せず)のうちのいずれか1つまたは複数から形成される。好ましい実施形態において、仕切り30は、挿入物配向手段50、16と指配向手段80、17とを完全に分離する。
【0118】
挿入物11がタンポンである実施形態では、典型的には市販のタンポンの近位部分から延在し、膣腔内からのタンポンの取り出しを可能にするために使用される引抜き紐部材35を通過させることができるように、仕切り30に開口部110が形成され得る。引抜き紐部材35が仕切り30を通過することを可能にする送達具10の実施形態は、引抜き紐部材35を受容するための開口部110が引抜き紐部材35の断面よりも最小限に大きい直径または最大幅部分を有するように適合される。
【0119】
挿入物11がタンポンである他の実施形態では、少なくとも引抜き紐部材35の近位端が挿入物配向手段近位端52に接着するように、接着手段100が挿入物配向手段近位端52に塗布される。そのような実施形態により、仕切り30の完全性を維持することが可能になる。
【0120】
配備姿勢は長手方向軸を有し、誘導姿勢は長手方向軸を有し、配備姿勢および誘導姿勢は、配備姿勢の長手方向軸および誘導姿勢の長手方向軸が実質的に平行であるか、実質的に整列されるか、または手による少なくとも1つの空間的に利用可能なアプローチ(少なくとも1本の指が開口部を画定する身体構造まで延びる)を考慮して開口部内への挿入物の配備を容易にするように適合された角度で交差するように設計される。
【0121】
空間的に利用可能なアプローチは、人間工学的に効率良く、つまり、人間工学的に健全な位置から、送達具10を使用しない開口部への挿入物11の挿入のための典型的な時間枠にほぼ等しい時間枠で、使用者が挿入物11を挿入することを可能にする身体測定値を考慮に入れたアプローチである。
【0122】
図16および
図17に示すように、挿入物11は、挿入物11の長手方向軸が指配向手段遠位端18の長手方向軸に対して傾斜しているときに、配備姿勢にある。挿入物配向手段16と指配向手段17との物理的関係は、送達具の側面図が、使用者の指の自然な屈曲した湾曲、特に人さし指の自然な屈曲した湾曲の延長を反映するように構成される。この実施形態は、特に
図17に、詳細に示されている。
【0123】
いくつかの好ましい実施形態の送達具は、(特に
図1~
図4に示されているように)単一部品として形成され、いくつかの他の好ましい実施形態の送達具は、(特に
図5、
図6、
図8、および
図13に示されているように)2部品として形成され、第1の部品は挿入物配向手段12を備え、第2の部品は指配向手段17を備える。
【0124】
送達具が少なくとも2部品から構成される場合、
図13に示すように、挿入物配向手段50の近位端52は、指配向手段80の遠位端81とぴったりと係合する。複数のリブ部材または歯部材120は、指配向手段80の遠位端81の内側の周囲に沿って等間隔で配置される。この実施形態は、
図13および
図15に詳細に示されている。いくつかのそのような実施形態では、挿入物配向手段50は、指配向手段80と係脱可能に係合するように適合される。
【0125】
送達具の好ましい実施形態の製造のための材料は、医療用である、成形可能である、分裂なしで反転可能であることを含む反転可能である、非多孔性である、可撓性である、弾性がある、耐久性がある、室温および輸送温度での安定性を有する、水溶性である、迅速生分解性である、非アレルギー性である、医療用薬物または経口摂取薬物送達に関して治療規制当局によって承認されている、および保管取扱説明書に従って保管された場合に2年、より好ましくは3年、さらにより好ましくは5年を超える有効期間を有するという特性のうちの1つまたは複数の特性を示すように選択される。いくつかの好ましい実施形態では、材料の別の特徴は、送達具が直射日光下にある場合、または温度が通常の室温を超える場所にある場合に、材料が分解または融解しないことである。
【0126】
好ましい実施形態および代替の実施形態の送達具は、種々の種類の挿入物を配備するように適合される。いくつかのそのような実施形態では、挿入物は、タンポン、ペッサリー、坐剤、臨床スクリーニング装置、スワブ、クリーム、潤滑剤、ペレット、錠剤、カプセル、サプリメント、埋込装置、内科用もしくは外科用装置、治療用具、または治療上有効もしくは診断上有効であるように適合された他の挿入物である。またさらなる実施形態では、挿入物は、能動的もしくは受動的埋込装置、または生物学的データなどの開口部内から記録されたデータを監視する、警告する、記録する、または通信するためのセンサなどのデバイス、または必要に応じて進行中の治療または医療介入のための埋込型治療装置であり得る。
【0127】
特に好ましい実施形態では、挿入物はタンポンである。
【0128】
タンポン11は、製造時に挿入物配向手段50内に位置決めされる。タンポン11の近位端は、挿入物配向手段の近位端52と係合される。引抜き紐部材35は、典型的には、タンポン11の遠位端から延びている。
【0129】
引抜き紐部材35は、典型的には、タンポン11の本体を形成する材料と織り合わされるか、またはそうでなければ、好ましくはタンポン11の近位端36に隣接して、タンポン11の本体に実質的に取り外し不可能に接続される。特に好ましい実施形態では、引抜き紐部材35は、タンポン11の本体と相互係合され、必要に応じて、配備されたタンポン11を膣腔から引き抜くように適合される。好ましくは、引抜き紐部材35は、タンポン本体と係合した遠位端から近位端まで延在し、引抜き紐部材35の近位端は、使用者によって保持されるように適合される。
【0130】
図2~
図4、
図6、
図12および
図17に示すように、開口部110が仕切り30を貫通する場合、挿入物配向手段50と指配向手段80との間が流体連通される。貫通開口部110は、引抜き紐部材35の断面を収容するように適合される。
【0131】
引抜き紐部材35は、貫通開口部110を通過し、引抜き紐部材35の遠位端とタンポンの近位端36との係合部から引抜き紐部材35の近位端まで延在する。引抜き紐部材35の近位端は、指配向手段80、17内で自由に移動可能な姿勢にある。使用者が1本または複数本の指40の遠位部分を指配向手段80、17に挿入するとき、引抜き紐35の近位端は、好ましくは、指40の側部と指配向手段80の内壁との間で圧迫される。これは
図4、
図12および
図17に示されている。
【0132】
タンポン11を腟腔内に配備した後、送達具10は引き抜かれ、引抜き紐部材35の近位端は、引抜き紐部材35の近位端が膣口の外側で自由に移動可能な姿勢になるまで、貫通開口部110を通って摺動する。
【0133】
図13に示すように、仕切り30に貫通開口部110が存在しない場合、およびタンポン11が引抜き紐部材35を含む場合、引抜き紐部材35の近位端は、剥離可能な固定具100によって、仕切り30の遠位面に固定される。
【0134】
引抜き紐部材35の残部は、次いで、引抜き紐部材の長さが、タンポン11の本体の近位端36と仕切り10との間に挟持された挿入物配向手段50の近位端52によって収容されるように、同心円状巻回形態で構成される。
図13の円で囲まれた部分の拡大図は、剥離可能な固定具100を含む、本明細書で説明するような引抜き紐部材35の同心円状巻回形態の矢状図である。
【0135】
以下の説明は、特に
図5~
図12に関するものである。添付図面では、衛生挿入具全体が10で示されている。
【0136】
本明細書内で説明する実施形態は、典型的には月経液などを吸収するために女性が月経中に着用して使用するタンポンの挿入に関する。この点に関して、挿入物品は、可撓性スリーブ12の第1の端部から第2の端部まで延在するタンポン11を含む。しかしながら、タンポン11はまた、坐剤、ペッサリー、または身体開口部への挿入を必要とする他の同様の部材を含み得、本発明は図面に示される例示的な実施形態に限定されないことが理解されるであろう。
【0137】
図5は、開口部への衛生的な指挿入によって物品を配備するのに適した挿入具10のさらに好ましい実施形態を示す。
図5に示すように、タンポン11の衛生的な指挿入のための挿入具10は、第1の端部13および第2の端部14を備える可撓性スリーブ12であって、剛性部分15が可撓性スリーブ12の第1の端部13に取り付けられ、薄膜被覆16が可撓性スリーブ12の第1の端部13と第2の端部14との間に形成される、可撓性スリーブ12を備える。
【0138】
剛性の細長い指カバー17は、使用者の指を収容するように設計され、可撓性スリーブ12の第2の端部14に取り付けられる。女性の人さし指サイズ(16~65歳の女性)の大部分に適応させるために、剛性の細長い指カバー17の設計において、身体測定値が使用されるのが好ましい。指カバー17は、第1の端部18および第2の端部19を備える。この実施形態では、タンポン11は、剛性の細長い指カバー17の第1の端部18に剥離可能に固定される。
【0139】
図7に示すように、可撓性スリーブ12の第2の端部14に隣接する内部剛性支持体30は、剛性の細長い指カバー17の第1の端部18に取り付けられ、内部剛性支持体30は、指で挿入されるタンポン11を保持する。
図5および
図6に示すように、タンポン11は、可撓性スリーブ12の薄膜16で覆われる。薄膜16は、薄膜16が挿入具10の両側で接合されるように剛性の細長い指カバー17と内部剛性支持体30との間に挟まれる。剛性の細長い指カバー17の第1の端部18の内面31は、様々な指サイズに対応するためにテーパー形状32を含む。
【0140】
図5、
図6および
図Dに示すように、挿入具10は、可撓性スリーブ12がタンポン11を覆うように適合された第1の形態23とタンポン11を露出させるように適合された第2の後退形態24(
図12では、特に(c)に示すように)との間で移動可能であるように第1の変曲点21および第2の変曲点22を備える。剛性部分15は、剛性の細長い指カバー17の第1の端部18に隣接して位置するものとして
図12の(b)に示されている。
図12の(c)に示すように、剛性部分15および薄膜カバー16は、剛性の細長い指カバー17の表面に沿ってさらに移動し得る。剛性の細長い指カバー17は、異なる実施形態では、より短いまたはより長い長さを含む場合があり、剛性部分15および薄膜カバー16は、剛性の細長い指カバー17の第2の端部19を越えるように移動し得る。
【0141】
図8に示すように、タンポン11は可撓性スリーブ12内に気密封止される。
図12の(a)に示すように、タンポン11は、剛性の細長い指カバー17によって覆われた挿入指から力が加えられると、気密シールを破る。いくつかのそのような好ましい実施形態では、シールの破壊は、使用者が剛性部分15を剛性の細長い指カバー17の方向に移動させることによってさらに容易になる。可撓性スリーブ12の薄膜16を形成するために使用される材料は、
図10にも示すように、気密シールを破るための脆弱ゾーン20を含む軟質フィルムであるが、タンポン11の挿入の準備ができるまでタンポンを保護および被覆し、気密シールを維持することができるような十分な強度を備える。
【0142】
挿入された指によるこの力の印加の結果が
図12の(a)に示されている。可撓性スリーブ12が第1の形態23から移動可能であるとき、剛性部分15が可撓性スリーブ12の第2の端部14に向かって移動され、薄膜16がそれ自体の上に層状に圧潰可能になるにつれて、剛性の細長い指カバー17の第1の端部18において、かつ可撓性スリーブ12の第2の端部14および内部剛性支持体30に隣接して、剛性表面が存在する。
図12の(c)に示すように、可撓性スリーブ12は第2の変曲点22で反転し、剛性部分15が剛性の細長い指カバー17に沿って剛性の細長い指カバー17の第1の端部18から第2の端部19に向かって移動するにつれて、薄膜16が反転して剛性の細長い指カバー17を覆う。このため、タンポン11の挿入時に使用者の指がタンポン11に接触することがない。必要に応じて、剛性部分15は、剛性の細長い指カバー17の第2の端部19から第1の端部18に向かって戻ることができ、薄膜16の反転は、血液廃棄物などの容器として機能するように裏返され得る。
【0143】
第1の変曲点21および第2の変曲点22を含むことにより、可撓性スリーブ12は、剛性部分15が可撓性スリーブ12の第2の端部14に向かって移動するにつれて安定した層に圧潰され、その後、安定して反転および伸長して、剛性の細長い指カバー17の表面34上にシースを形成することができる。
【0144】
図12の連続図(a)~(d)に示すように、通常の使用において、タンポン11が包装から外されるとき、取り出し紐または糸35は、タンポン11の近位端36に隣接して位置決めされる。使用するために必要となった場合に、取り出し紐または糸35は、タンポン11から伸長位置まで引き剥がされ得る。タンポンは、剛性の細長い指カバー17の第1の端部18に位置するリップ37内に載置される。これは、例えば、
図6、
図9および
図12に示されている。タンポンが使用者の膣に挿入されるとき、取り外し紐または糸35は、使用者が把持することができるように、タンポン11からおよび膣から延びるのに十分な長さを有する。また、
図6、
図9および
図12に示すように、タンポン11は、内部剛性支持体30の開口部37を通過することができる、タンポン11に取り付けられた取り外し紐または糸35を備える。この取り外し紐または糸35は、内部剛性支持体30の開口部を通過し、
図6および
図9に示すように、内部剛性支持体30と剛性の細長い指カバー17の第1の端部18との間に位置決めされる。
図9に示すように、取り外し紐または糸35が内部剛性支持体30と剛性の細長い指カバー17の第1の端部18との間に位置決めされる場合、いくつかの実施形態では、取り外し紐または糸35は、コイル状ロールに巻回され得る。
図12に示すように、内部剛性支持体30は、タンポンが引き出されるときに紐35を解くのを助けるように作用する。
【0145】
図12の(a~(c)に示すように、薄膜16は、第1の変曲点21から第2の変曲点22へと圧潰される。次いで、使用者の指40から力が加えられ、可撓性スリーブ12が反転して剛性の細長い指カバー17を覆うように示されている。
図12の(d)は、タンポン11が膣に挿入された後の形態の挿入具10を示す。タンポン11は膣内に固定され、挿入具10は、使用者の指40上の内部剛性支持体の開口部を通過する取り外し紐または糸35を用いて引き抜かれる。
【0146】
実際には、気密シール20は、剛性部分15の側部を下方に摺動させることによって破壊されることで、例えば、挿入直前の検査のために、またいずれにしても配備のために、タンポン11を露出させることができる。薄膜16によって形成されたシースは、使用者の指40の上をさらに滑り落ちる。このことにより、剛性の細長い指カバー17の上のリップ37にしっかりと載置されたタンポン11が完全に露出される。人間工学的には、使用者は、タンポン11が膣の外側口を通過して膣の内側に効果的に配置されるときに感じ取りやくなり得る。したがって、いくつかの好ましい実施形態の本発明は、有利には、使用者の指40への挿入具10の配置、および使用者の指40からの接触なしでのタンポン11の衛生的な露出を具現化する。したがって、指40は、いくつかの好ましい実施形態では、アプリケータになる。挿入具10は、より個人的で低侵襲的なアプローチにおいて、様々な解剖学的構造と共に容易に使用することができる。
【0147】
挿入具10を使用してタンポン11を挿入することにより、双方向の生物学的危険性の保護を提供することができることが理解されよう。第一に、タンポン11は、使用者の指による汚染から保護される。このことは、膣への病原体の過剰な導入を減少させる。第二に、使用者は、タンポンが挿入されるときに血液および生体液に触れることを回避し、血液および生体液は、その後、外部周囲表面などの他の場所に移動し得る。
【0148】
いくつかの好ましい実施形態の挿入具10は、典型的には、ポリビニルアルコールなどの水溶解性材料から作製される。このことは、挿入具10を廃棄のために安全に溶解可能および水洗可能にして過度の環境影響を阻止し、それと同時に廃棄血液および流体が他の表面に接触することなく慎重かつ容易に廃棄されるので生物学的危険性がより少ない。
【0149】
本発明の挿入具10を形成することができる材料については、本明細書の他の箇所で詳細に説明する。
【0150】
いくつかの特定の実施形態では、細長い指カバー17および剛性部分15の製造において、以下の材料が使用され得る。
・ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)などのポリアルケン。このポリアルケンは、高分子量または低分子量であり得る。ポリアルケンは、酸化によるポリマー(ポリエチレン)の分解、次いで生分解を引き起こす添加剤を混合したポリエチレンから製造されることによって、「オキソ生分解性」であり得る。
・熱可塑性ポリウレタンまたは弾性ゴムなどの熱可塑性エラストマー。熱可塑性ポリウレタンは生分解性であり得、この場合、ハードセグメントとソフトセグメントの交互配列の少なくとも1つの成分が生分解性である。
・弾性ゴム。ゴムまたはシリコーンゴムは、合成または天然であり得る。ゴムは生分解性であり得る。ゴムは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート)もしくはPHBVなどのバイオプラスチックによって共重合され得る。
・米国規格(ASTM D6400-04)および欧州規格(EN13432)を満たすことが確認されたバイオプラスチックエラストマー。ゴムは、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)またはポリエステルを架橋することによって生分解性ゴムになり得る。
【0151】
同じ特定の実施形態のいくつかの実施形態では、および他の実施形態では、薄膜カバー16を製造することができる材料は、市販のTPEの6つの一般分類(ISO 18064に準拠した名称)、具体的には、
・スチレンブロックコポリマー、TPS(TPE-s)、
・熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、TPO(TPE-o)、
・熱可塑性加硫物、TPV(TPE-vまたはTPV)、
・熱可塑性ポリウレタン、TPU(TPU)、
・熱可塑性コポリエステル、TPC(TPE-E)、および
・熱可塑性ポリアミド、TPA(TPE-A)
から選択され得る。
【0152】
同じ特定の実施形態のいくつかの実施形態および他の実施形態において、以下の材料が、軟質フィルム20の製造において使用され得る。
・ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)などのポリアルケンの薄層。このポリアルケンは、高分子量または低分子量であり得る。
・直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)。
・ポリアミド。ポリアミドは、天然または合成であり得る。ポリアミドは、ナイロン6のような脂肪族であり得る。
【0153】
いくつかの好ましい実施形態では、挿入具10を製造するための材料は、水洗可能な材料である。INDA/EDANA Guidance Documentによれば、水洗可能な材料は、充填剤を含むポリビニルアルコール樹脂、炭水化物(例えば、デンプンまたはセルロース)などの天然ポリマー材料、およびポリオール(例えば、グリセロールまたはソルビトール)などの可塑剤から選択され得る。ポリビニルアルコール樹脂は、約80モル%~93モル%のアルコール度数を有する低アルコール度数のポリビニルアルコール樹脂と、約93.1モル%~99.99モル%のアルコール度数を有する高アルコール度数のポリビニルアルコール樹脂とからなり得、低アルコール度数ポリビニルアルコール樹脂と高アルコール度数ポリビニルアルコール樹脂との比率は、約90:10~0:100(w/w)である。
【0154】
指40で案内される開口部内に挿入物11を配備する方法であって、
(a)挿入物11が配備姿勢24で一時的に収容される送達具10を提供するステップと、
(b)少なくとも1本の指40の一部を誘導姿勢で指配向手段80に挿入するステップと、
(c)任意選択で挿入物を露出させるステップと、
(d)指40を使用して、挿入物11の遠位端から挿入物11の近位端まで開口部内への挿入物11の配備を案内するステップと、
(e)挿入物11を開口部内に配備した状態で、送達具10を引き抜くステップと
を含む方法も開示されている。
【0155】
少なくとも1本の指40の一部を指配向手段80に挿入するステップは、少なくとも1本の指40の一部が誘導姿勢になるまで少なくとも1本の指40の一部の位置決めを調整するステップを含む。
【0156】
例えば、いくつかの実施形態では、挿入物11は、タンポン11の本体の近位部分36から延在する引抜き紐部材35を有するタンポンであり、引抜き紐部材35の断面を収容するように適合された貫通開口部110が、挿入物配向手段50および指配向手段80が隣接する仕切りに形成される。引抜き紐部材35の近位端は、指配向手段80内で自由に移動可能な姿勢にある。少なくとも1本の指40の一部が指配向手段80に挿入されると、引抜き紐部材35の近位端は、少なくとも1本の指40の一部の側部と指配向手段80の内壁との間で圧迫されて維持される。これは、
図4、
図12および
図17に詳細に示されている。
【0157】
挿入物11を露出させるステップは、挿入物配向手段50がシース部材16をさらに備え、挿入物11がシース部材16の内面の包囲形態の中に配備姿勢24で一時的に収容される場合に行われる。さらに、挿入物11を露出させるステップは、挿入物配向手段50がシース部材16の遠位端13を実質的に覆うように適合された開口部対向部材20をさらに備え、そのことにより配備姿勢24にある挿入物11が挿入物配向手段の近位部分52と開口部対向部材20との間に挟持された収容形態になる場合に行われる。これは、
図8、
図13、
図16および
図17に詳細に示されている。
【0158】
挿入物11を露出させるステップは、挿入物配向手段50の遠位端が挿入物配向手段50の近位端の方向に移動される場合に行われる。挿入物11は、シース部材16が挿入物露出形態24になるまで、挿入物配向手段の遠位端51が挿入物配向手段の近位端52の方向に移動する間に徐々に露出される。
【0159】
シース部材16が挿入物露出形態24にあるときに、シース部材の外面が少なくとも挿入物配向手段近位端52、14、仕切り30、および指配向手段の遠位端81、18を覆う。いくつかのそのような実施形態によれば、シース部材16の外面は、指40の少なくとも一部をさらに覆い、そのことにより手袋状部材として作用する。これは、例えば、
図4に示されている。
【0160】
当業者であれば、大まかに説明された本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されているような本発明に対して多くの変更および/または修正を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明の実施形態は、全ての点において例示的なものであり、限定的なものではないと考えるべきである。
【0161】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」という語、ならびに「(comprising)」および「(comprises)」などのその語の変形は、他の変形形態または追加の構成要素、整数もしくはステップを除外することを意図するものでないことに留意されたい。本発明に対する修正および改良は、当業者には容易に明らかになるであろう。そのような修正および改良は、本発明の範囲内であることが意図される。
【国際調査報告】