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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ピストン案内要素、削岩機及び方法
(51)【国際特許分類】
   B25D 17/08 20060101AFI20230627BHJP
   B25D 9/04 20060101ALI20230627BHJP
   B25D 17/26 20060101ALI20230627BHJP
   B25D 17/20 20060101ALI20230627BHJP
   E21B 1/38 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B25D17/08
B25D9/04
B25D17/26
B25D17/20
E21B1/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572551
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2021064647
(87)【国際公開番号】W WO2021245065
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】20177658.0
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コスキマキ, アンティ
(72)【発明者】
【氏名】カンデリン, ラーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハマライネン, ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】ケラ, ティーモ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーニッカ, マッティ
(72)【発明者】
【氏名】ラーコラ, エサ
【テーマコード(参考)】
2D058
2D129
【Fターム(参考)】
2D058AA17
2D058BB15
2D058DA25
2D058DA27
2D129AA04
2D129AB14
2D129BA09
2D129DA01
2D129DB01
(57)【要約】
削岩機のパーカッションピストンの前端部分を支持するためのピストン案内要素、削岩機、及び方法。要素(20)は、その後端(24)に制動凹部(16)を備える。要素は、軸方向に連続する2つの滑り軸受セクション(AS1、As2)が設けられた少なくとも1つの軸受スリーブ(29)をさらに備える。油圧流体は、フィードシステム(21)を介して滑り軸受セクションの間に搬送される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩機(6)の往復運動パーカッションピストン(14)の前端部分(FE)を支持するためのピストン案内要素(20)であって、
前記要素(20)は、前記削岩機(6)の本体(11)の内部に、前記パーカッションピストン(14)と前記本体(11)との間で取り付け可能なスリーブ状の部品であり、
前記要素(20)は、第1の端部(23)と、第2の端部(24)と、外面(25)と、内面(26)とを備え、
前記第1の端部(23)は、前記パーカッションピストン(14)の衝撃方向(ID)に面するように意図され、
前記要素(20)の反対側の前記第2の端部(24)は、前記パーカッションピストン(14)の戻り方向(RD)に面するように意図され、前記内面(26)上で大径を有する制動凹部(16)が設けられ、前記制動凹部(16)は、前記第2の端部(24)から前記第1の端部(23)に向かって第1の軸方向距離(Ad1)だけ延在することと、
前記要素(20)の前記内面(26)が、前記制動凹部(16)から第2の軸方向距離(Ad2)に位置する第1の溝(27)を備えることと、
前記要素(20)には、前記第1の溝(27)の底部と前記外面(25)との間に少なくとも1つの径方向開口部(28)が設けられることと、
前記内面(26)は、前記制動凹部(16)と前記第1の溝(27)との間の第1の軸方向セクション(As1)と、前記第1の溝(27)と前記第1の端部(23)との間の第2の軸方向セクション(As2)とを備えることと、
前記要素(20)は、前記要素(20)の内側に取り付けられ、前記第1の軸方向セクション(As1)及び前記第2の軸方向セクション(As2)が設けられた少なくとも1つの別個の軸受スリーブ(29)を備えることと
を特徴とし、
少なくとも前記第1の軸方向セクション(As1)及び前記第2の軸方向セクション(As2)は、滑り軸受材料を含む、要素。
【請求項2】
前記要素(20)の内側に取り付けられた前記軸受スリーブ(29)は、単一部品であり、前記第1の軸方向セクション(As1)及び前記第2の軸方向セクション(As2)が設けられること
を特徴とする、請求項1に記載の要素。
【請求項3】
前記少なくとも1つの別個の軸受スリーブ(29)は、滑り軸受材料で作製されること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項4】
前記少なくとも1つの軸受スリーブ(29)の内面は、少なくとも1つの滑り軸受材料で作製された少なくとも1つの層(34)を備えること
を特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の要素。
【請求項5】
前記要素(20)は、前記要素(20)の内側に連続的に取り付けられた2つの別個の軸受スリーブ(29a、29b)を備えることと、
第1の軸受スリーブ(29a)は、前記第1の軸方向セクション(As1)を形成するように構成されることと、
第2の軸受スリーブ(29b)は、前記第2の軸方向セクション(As2)を形成するように構成されることと、
前記第1の溝(27)は、前記第1の軸受スリーブ(As1)と前記第2の軸受スリーブ(As2)との間に位置することと
を特徴とする、請求項1、3又は4のいずれか一項に記載の要素。
【請求項6】
前記外面(25)は、第2の溝(30)を備え、前記少なくとも1つの径方向開口部(28)は、前記第2の溝(30)の底部まで延在すること
を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の要素。
【請求項7】
前記外面(25)は、前記第2の端部(24)から前記第2の溝(30)まで延在する少なくとも1つの第3の溝(31)を備えること
を特徴とする、請求項6に記載の要素。
【請求項8】
前記外面(25)は、前記第2の端部(24)から少なくとも1つの径方向開口部(28’)まで延在する少なくとも1つの第3の溝(31’)を備えること
を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の要素。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第3の溝(31、31’)は、螺旋構成を有すること
を特徴とする、請求項7又は8に記載の要素。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第3の溝(31、31’)は、軸方向構成を有すること
を特徴とする、請求項7又は8に記載の要素。
【請求項11】
前記第2の溝(30)と前記第1の端部(23)との間の前記第2の軸方向セクション(As2)における外径は、前記制動凹部(16)と前記第2の溝(30)との間の前記第1の軸方向セクション(As1)における外径よりも大きく、それによって前記要素(20)の前記外面(25)は段付き構成を有すること
を特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の要素。
【請求項12】
削岩機(6)であって、
本体(11)と、
衝撃装置(8)であって、前記衝撃装置(8)の作動圧力室内で行きつ戻りつ動く加圧された油圧流体の影響を受けて、衝撃方向(ID)及び戻り方向(RD)に往復運動するように前記本体(11)の内部で移動可能なパーカッションピストン(14)を備える、衝撃装置(8)と、
前記パーカッションピストン(14)の前端を前記本体(11)に支持するためのピストン案内要素(20)と
を備え、前記ピストン案内要素(20)は、少なくとも1つの滑り軸受セクションと、前記パーカッションピストン(14)を減速させるための制動凹部(16)とを備え、
前記滑り軸受セクションと前記制動凹部(16)との間に油圧流体が搬送され、
前記パーカッションピストン(14)の前記前端部分は、2つの連続する滑り軸受セクション(As1、As2)を備える前記ピストン案内要素(20)によって支持されることと、
油圧流体は、前記2つの連続する滑り軸受セクション(As1、As2)の間に搬送されることと、
前記ピストン案内要素(20)は、請求項1から11のいずれか一項に記載のものであることと
を特徴とする、削岩機(6)。
【請求項13】
前記2つの連続する滑り軸受セクション(As1、As2)の間の前記部分は、前記衝撃装置(8)の衝撃圧力システムに接続されること
を特徴とする、請求項12に記載の削岩機。
【請求項14】
削岩機(6)のパーカッションピストン(14)の前端部分を支持する方法であって、
少なくとも1つの滑り軸受セクションと、前記パーカッションピストン(14)を減速させるための制動凹部(16)とを備えるスリーブ状のピストン案内要素(20)によって、前記パーカッションピストン(14)の前記前端を前記削岩機(6)の本体(11)に支持することと、
前記滑り軸受セクションと前記制動凹部(16)との間に油圧流体を搬送することと
を含み、
前記ピストン案内要素(20)に少なくとも1つの軸受スリーブ(29)を設けることと、
前記パーカッションピストン(14)を2つの滑り軸受セクション(As1、As2)によって支持し、前記油圧流体の流れを前記2つの滑り軸受セクション(As1、As2)の間に導くことと
を特徴とする、方法。
【請求項15】
前記ピストン案内要素(20)を、前記2つの滑り軸受セクション(As1、As2)の間に搬送される前記油圧流体によって冷却すること
を特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削岩機のピストン案内要素に関する。要素は、パーカッションピストンの前部のための軸受を提供することを意図している。
【0002】
本発明はさらに、パーカッションピストンの前端部分を支持する削岩機及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の分野は、独立請求項の前文においてより具体的に定義される。
【0004】
鉱山及び他の作業現場では、様々な種類の削岩リグが使用される。削岩リグには1つ又は複数のブームが設けられ、削岩機はブームの遠位端に配置される。削岩機は、軸受手段によって機械の本体に支持された、衝撃ピストンが設けられた衝撃装置を備える。油圧衝撃装置では、特に、衝撃装置の前部に位置する制動凹部によって衝撃方向へのピストンの移動を停止する必要があるときに、ピストンの前方軸受は、大きな圧力ピークを受ける。軸受にとって有害な圧力ピークを排除するために、様々な種類の解決策が既に開示されている。しかしながら、既知の解決策はいくつかの欠点を示している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、新規かつ改良されたピストン案内要素、そのような要素を装備した削岩機、及びパーカッションピストンの前端を支持するための方法を提供することである。
【0006】
本発明によるピストン案内要素は、第1の独立した機器請求項の特徴的な機構によって特徴付けられる。
【0007】
本発明による削岩機は、第2の独立した機器請求項の特徴的な機構によって特徴付けられる。
【0008】
本発明による方法は、独立した方法請求項の特徴的な機構によって特徴付けられる。
【0009】
開示された解決策の概念は、ピストン案内要素が、削岩機の本体の内部において、パーカッションピストンと本体との間に取り付け可能なスリーブ状の部品であることである。要素は、衝撃方向に面する第1の端部と、戻り方向に面する第2の端部とを備える。第2の端部には、ピストンのカラーを受け入れることができる制動凹部が設けられている。さらに、要素は、要素の本体の内側に取り付けられた少なくとも1つの別個の軸受スリーブを備え、第1の軸方向セクション及び第2の軸方向セクションが設けられる。両方のセクションは滑り軸受材料を含む。上述の軸方向セクションの間及び要素の内面には、第1の溝があり、その底部は、第1の溝の底部と要素の外面との間に少なくとも1つの径方向開口部を備える。油圧流体は、少なくとも1つの径方向開口部及び第1の溝によって、上述の2つの連続する滑り軸受セクションの間に搬送することができる。
【0010】
開示された解決策の利点は、油圧流体が2つの軸方向軸受セクションの間に導かれるとき、軸受に導かれる圧力ピークの大きさを下げることができることである。さらに、制動凹部を形成する以外の場所の軸受に油圧流体が搬送されるときに、軸受の温度を下げることができる。さらに、開示された構造は単純であり、製造及び実装も容易である。
【0011】
一実施形態によれば、上述の少なくとも1つの別個の軸受スリーブは、滑り軸受材料で作製される。滑り軸受材料は、例えば、適切な金属軸受材料であってもよい。
【0012】
一実施形態によれば、上述の滑り軸受材料として、青銅合金材料が使用される。青銅合金は、例えば、錫青銅、鉛含有錫青銅、アルミニウム青銅又はマンガン青銅であってもよい。
【0013】
一実施形態によれば、上述の滑り軸受材料として鋳鉄が使用される。鋳鉄は、例えばねずみ鋳鉄であってもよい。
【0014】
一実施形態によれば、少なくとも1つの軸受スリーブの内面は、少なくとも1つの滑り軸受材料で作製された少なくとも1つの層を備える。
【0015】
一実施形態によれば、軸受スリーブ又は軸受セクションの上述の内面は、滑り軸受材料でコーティングされる。
【0016】
一実施形態によれば、上述の少なくとも1つの軸受スリーブは、鋼で作製され、スリーブの内面に青銅の層が設けられたスリーブを備えるバイメタル構成を有し、上述の鋼材料と青銅材料との間に金属間拡散が生じる。場合によっては、他のいくつかの金属材料もバイメタル構造を形成するために使用することができる。
【0017】
一実施形態によれば、要素は、その内部に取り付けられた1つの単一軸受スリーブを備える。したがって、軸受スリーブは、均一な部品であり、ピストンを支持するための上述の第1及び第2の軸方向セクションが設けられる。
【0018】
一実施形態によれば、要素は、要素の内側に連続的に取り付けられた2つの別個の軸受スリーブを備える。第1の軸受スリーブは、上述の第1の軸方向セクションを形成するように構成され、第2の軸受スリーブは、上述の第2の軸方向セクションを形成するように構成される。次いで、第1の溝は、第1の軸受スリーブと第2の軸受スリーブとの間に位置する。このようにして、軸受スリーブの機構を必要に応じて調整することができる。
【0019】
一実施形態によれば、上述の第1及び第2の軸受スリーブの少なくとも内面は、互いに対して異なる材料を含む。このようにして、スリーブの材料を必要に応じて選択することができる。
【0020】
一実施形態によれば、外面は第2の溝を備え、上述の少なくとも1つの径方向開口部は第2の溝の底部まで延在する。
【0021】
一実施形態によれば、外面は、第2の端部から第2の溝まで延在する少なくとも1つの第3の溝を備える。
【0022】
一実施形態によれば、要素の外面の直径は、第2の溝を除いて等しい。
【0023】
一実施形態によれば、要素は、異なる外形寸法を有する2つの外側部分を備える。そして、第1の端部には、第1の外径を有する第1の外側部分がある。第2の部分には、第2の外径を有する第2の外側部分がある。外径は、要素の取り付けが可能であるように選択される。言い換えれば、要素の外面は、要素の取り付けを容易にする段付き構成を有する。
【0024】
一実施形態によれば、外面は、第2の端部から第2の溝まで延在する少なくとも1つの第3の溝を備える。上述の第3の溝は、螺旋構成を有する。
【0025】
一実施形態によれば、外面は、要素を軸方向に見たときに、要素の断面において互いに対して等しい角度位置で位置決めされた、少なくとも2つの螺旋形状の第3の溝を含む。
【0026】
一実施形態によれば、外面は、第2の端部から第2の溝まで延在する少なくとも1つの第3の溝を備える。上述の第3の溝は、軸方向構成を有する。
【0027】
一実施形態によれば、外面は、要素を軸方向に見たときに互いに対して等しい角度位置に位置決めされた少なくとも3つの、軸方向を向いた第3の溝を含む。
【0028】
一実施形態によれば、開示された解決策は、削岩機に関する。削岩機は、本体と、衝撃装置であって、衝撃装置の作動圧力室内を行きつ戻りつ動く加圧された油圧流体の影響を受けて、衝撃方向及び戻り方向に往復運動するように本体の内部で移動可能なパーカッションピストンを備える、衝撃装置とを備える。機械は、パーカッションピストンの前端を本体に支持するためのピストン案内要素をさらに備える。ピストン案内要素は、少なくとも1つの滑り軸受セクションと、パーカッションピストンを減速させるための制動凹部とを備える。油圧流体は、上述の滑り軸受セクションと制動凹部との間に搬送される。さらに、パーカッションピストンの前端部分は、2つの連続する滑り軸受セクションを備えるピストン案内要素によって支持される。さらに、油圧流体は、上述の2つの連続する滑り軸受セクションの間に搬送される。ピストン案内要素は、本明細書に開示された機構に従う。
【0029】
一実施形態によれば、2つの連続する滑り軸受セクションの間の上述の部分は、衝撃装置の衝撃圧力システムに接続される。
【0030】
一実施形態によれば、衝撃装置は、衝撃装置の前端に第1の作動圧力室を備える。油圧流体は、第1の作動圧力室から、上述の2つの連続する滑り軸受セクションの間に搬送される。
【0031】
一実施形態によれば、2つの連続する滑り軸受セクションの間の部分は、削岩機の本体に形成された少なくとも1つの圧力チャネルを介して衝撃圧力システムに接続される。次いで、衝撃装置の前部にある第1の作動圧力室の油と比較して、より冷たい作動油をピストン案内要素に搬送することができる。
【0032】
一実施形態によれば、加圧された油圧流体は、制動凹部以外の場所から、2つの連続する滑り軸受セクションの間の部分に搬送される。
【0033】
一実施形態によれば、開示された解決策は、削岩機のパーカッションピストンの前端部分を支持する方法に関する。本方法は、少なくとも1つの滑り軸受セクションと、パーカッションピストンを減速させるための制動凹部とを備えるスリーブ状のピストン案内要素によって、パーカッションピストンの前端を削岩機の本体に支持することを含む。油圧流体は、上述の滑り軸受セクションと制動凹部との間に搬送される。本方法は、ピストン案内要素に少なくとも1つの軸受スリーブを設けることと、2つの滑り軸受セクションによってパーカッションピストンを支持することとをさらに含む。油圧流体の流れは、滑り軸受セクションの間に導かれる。
【0034】
一実施形態によれば、2つの滑り軸受セクションの間に搬送される油圧流体によって、ピストン案内要素を冷却する。
【0035】
一実施形態によれば、解決策はまた、削岩リグに関する。リグは、可動キャリアと、キャリアに可動に接続され、削岩ユニットを装備した1つ又は複数の掘削ブームとを備える。上述の削岩ユニットは、フィードビームと、フィードビーム上に移動可能に支持された削岩機とを備える。削岩機及びその動作は、本明細書に開示された機構に従っている。
【0036】
一実施形態によれば、開示された解決策は、岩石材料を破砕することを目的とした油圧式破砕機においても実施することができる。破砕機は、本体と、衝撃装置であって、衝撃装置の作動圧力室内を行きつ戻りつ動く加圧された油圧流体の影響を受けて、衝撃方向及び戻り方向に往復運動するように本体の内部で移動可能なパーカッションピストンを備える、衝撃装置とを備える。機械は、パーカッションピストンの前端を本体に支持するためのピストン案内要素をさらに備える。ピストン案内要素は、少なくとも1つの滑り軸受セクションと、パーカッションピストンを減速させるための制動凹部とを備える。油圧流体は、上述の滑り軸受セクションと制動凹部との間に搬送される。さらに、パーカッションピストンの前端部分は、2つの連続する滑り軸受セクションを備えるピストン案内要素によって支持される。さらに、油圧流体は、上述の2つの連続する滑り軸受セクションの間に搬送される。ピストン案内要素は、本明細書に開示された機構に従う。
【0037】
上記で開示された実施形態は、必要とされる上記の機構のものを有する適切な解決策を形成するために組み合わせることができる。
【0038】
いくつかの実施形態は、添付の図面においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】油圧式削岩機を装備した削岩ユニットが設けられた、表面掘削のための削岩リグの概略側面図である。
図2】油圧式削岩機の概略図である。
図3】油圧式削岩機の概略図である。
図4図2及び図3の削岩機の概略断面上面図である。
図5図4の詳細の概略断面図である。
図6】ピストン案内要素の概略図である。
図7】ピストン案内要素の概略図である。
図8図6及び図7のピストン案内要素の概略端面図である。
図9】断面B-Bで見た、図6図8のピストン案内要素の概略断面図である。
図10】断面C-Cで見た、要素の概略断面図である。
図11】外面に螺旋状の溝が設けられたピストン案内要素の概略図である。
図12】軸方向に連続する2つの滑り軸受要素を備えるピストン案内要素の概略断面図である。
図13】その内面側に滑り軸受材料を含むピストン案内要素の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
明確にするために、図は、開示された解決策のいくつかの実施形態を簡略化して示す。図面において、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0041】
図1は、表面掘削を目的とした削岩リグ1を示す。削岩リグ1は、可動キャリア2と、キャリア2に接続された少なくとも1つの掘削ブーム3とを備える。掘削ブーム3の遠位端部分には、フィードビーム5と、フィードビーム5上で支持された削岩機6とが設けられた掘削ユニット4がある。掘削機6には、掘削ツール7が接続可能である。削岩機6は、削岩機6の前端に、ツール7を接続するためのシャンクアダプタを備えることができる。削岩機6は、衝撃装置8と回転装置9とを備える。削岩機6は、フィード装置10によってフィードビーム5上を移動することができる。削岩機6には、本明細書に開示された機構によるピストン案内要素を設けることができる。開示されたピストン案内要素は、いわゆるトップハンマー原理を利用する任意の種類の油圧式削岩機で利用することができることを言及しておきたい。さらに、開示されたピストン案内要素は、油圧破砕ハンマーの衝撃装置に利用することができる。
【0042】
図2図5は、本体11と、衝撃装置8と、回転装置9と、フラッシングハウジング35と、シャンクアダプタ12と、本体の前端に取り付けられたギアハウジング13とを備える削岩機6を開示している。衝撃装置8は、ツール7に接続されたシャンクアダプタ12に、衝撃方向IDで衝撃パルスを生成するための衝撃ピストン14を備える。ピストン14は、衝撃方向ID及び戻り方向RDに往復運動する。シャンクアダプタ12は、掘削機6の前端FEに位置し、エンドカバー15が、後端REに位置する遠位構成要素である。
【0043】
ピストン14の前端は、シャンクアダプタ12の後端に位置する衝突面に衝突する。シャンクアダプタが前方に移動し、衝撃面が設計された衝撃位置から離れた場合、ピストン14の移動は、衝撃移動の終わりに制動凹部16によって減速される。制動凹部16は、ピストンのカラー17を受け入れることができ、それらは共に閉じた圧力空間を形成することができる。ピストン14は、両方とも滑り軸受であり得る前方軸受18及び後方軸受19によって本体11に支持される。前方軸受18及び制動凹部16は、ピストン14の前部を取り囲む細長いスリーブ状の部品であるピストン案内要素20の一部である。要素20は、軸方向に連続する2つの滑り軸受部分を備え、それらの間には、衝撃装置14から、又は別の流体源から油圧流体を供給するためのフィードシステム21がある。本体11には、供給を可能にするためのチャネル、溝、又は他の流体伝導構造を設けることができる。代替的に、又は追加的に、要素20の外面には、流体伝導溝又は他の流体伝導構造があってもよい。図2図4はまた、衝撃装置8の油圧回路の一部である圧力アキュムレータP1~P4も示す。衝撃装置8は、油圧の影響下でパーカッションピストンを移動させるためのいくつかの作動圧力空間を備える。明確にするためだけに、図4には最も前方の作動圧力空間22が示されている。作動圧力空間22は、動作中、高圧システム並びにアキュムレータP1及びP2に連続的に接続される。フィードシステム21は、上述の圧力供給経路を介して作業圧力空間22に接続することができ、それによってガイド20の滑り軸受部分の間に高圧が広がる。代替的に、高圧の油圧流体は、任意の他の場所又は供給源から供給してもよい。しかしながら、圧力流体は制動凹部からフィードシステム21には導かれない。供給された油圧流体は、ピストンの軸受クリアランスを通って漏れ、前端FEで収集され、次いで油圧システムの排出ラインに導くことができる。
【0044】
図6図10は、第1の端部23と、第2の端部24と、外面25と、内面26とを備えるピストン案内要素20を開示している。第1の端部23は、パーカッションピストンの衝撃方向IDに面するように意図されており、反対側の第2の端部24は、パーカッションピストンの戻り方向RDに面するように意図されている。第2の端部24には、内面26上で大径を有する制動凹部16が設けられている。制動凹部16は、第2の端部24から第1の端部23に向かって第1の軸方向距離Ad1だけ延在する。内面26は、制動凹部16から第2の軸方向距離Ad2に位置する第1の溝27を備える。要素20には、第1の溝27の底部と外面25との間に1つ又は複数の径方向開口部28が設けられている。内面26は、上述の制動凹部16と第1の溝27との間の第1の軸方向セクションAs1と、第1の溝27と第1の端部23との間の第2の軸方向セクションAs2とを備える。さらに、要素20は、要素20の内側に取り付けられ、上述の第1及び第2の軸方向セクションAs1、As2が設けられた別個の軸受スリーブ29を備える。第1及び第2の軸方向セクションAs1、As2は、滑り軸受材料を含む。
【0045】
要素20の外面25は、第2の溝30を備えることができる。上述の少なくとも1つの径方向開口部28は、第2の溝30の底部まで延在する。さらに、外面25は、第2の端部24から第2の溝30まで延在する1つ又は複数の第3の溝31を備える。油圧流体は、溝31を介して、図4に示す作動圧空間22から案内要素20に流れることができる。第3の溝は、軸方向に向けられてもよく、溝31の数は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くてもよい。図7に見られるように、要素20の周囲に等間隔に配置された3つの溝31があってもよい。
【0046】
代替的な解決策では、案内要素20は、第2の溝30を有していない場合がある。その場合、第3の溝31’は、破線で図7に示すように、径方向開口部28’で終端してもよい。
【0047】
図11は、第3の溝31が軸方向に向けられず、代わりに螺旋構成を有することを除いて、図5図9に示すものに対応する案内要素20を開示している。
【0048】
図12は、要素の内側に連続的に取り付けられた2つの別個の軸受スリーブ29a、29bを備える案内要素20を開示している。第1の軸受スリーブ29aは、滑り軸受材料で作製され、第1の軸方向セクションAs1を形成するように構成される。第2の軸受スリーブ29bは、滑り軸受材料で作製され、第2の軸方向セクションAs2を形成するように構成される。第1の溝27は、第1の軸受スリーブ29aと第2の軸受スリーブ29bとの間に位置する。留意され得るように、軸受スリーブ29a、29bは、異なる軸方向長さを有してもよい。さらに、軸受スリーブ29a、29bは、異なる材料で作製されてもよく、他の異なる寸法を有してもよい。代替的に、軸受スリーブ29a、29bは、類似した部品であってもよい。
【0049】
図12は、専用の圧力チャネル32を介して、油圧流体を第2の溝30に又は直接開口部28に搬送することができることをさらに開示している。圧力チャネル32を、衝撃装置の本体に形成することができ、圧力チャネル32は、低温の油圧流体をガイド20に搬送し、それによって軸受を潤滑し、効果的に冷却するように配置することができる。
【0050】
図13は、鋼で作製され得る外側基本スリーブ33と、滑り軸受材料製のコーティング層であり得る内側構造34とを備える軸受スリーブ29を開示している。代替的に、構造は、鋼材ベース33と軸受青銅層34とが組み合わされたバイマテリアル構成を有してもよい。
【0051】
図面及び関連する説明は、本発明の概念を例示することのみを意図している。その詳細において、本発明は特許請求の範囲内で変化し得る。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】