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▶ ハー ロットレンダー ウント アー ゾイテ ゲーベーエル (フェルトレトゥングスベレヒティガー ゲゼルシャフター ヘンドリック ロットレンダー ランゲンベルガー シュトラーセ 463 45277 エッセン)の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ロックシステム
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/56 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
F16F9/56 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572572
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2021063909
(87)【国際公開番号】W WO2021239733
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102020003133.1
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021100029.7
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522459007
【氏名又は名称】ハー ロットレンダー ウント アー ゾイテ ゲーベーエル (フェルトレトゥングスベレヒティガー ゲゼルシャフター ヘンドリック ロットレンダー ランゲンベルガー シュトラーセ 463 45277 エッセン)
【氏名又は名称原語表記】H. Rottlaender & A. Seuthe GbR (vertretungsberechtiger Gesellschafter Hendrik Rottlaender, Langenberger Str. 463, 45277 Essen)
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ロットレンダー,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ゾイテ,エイドリアン
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA54
3J069CC11
3J069DD16
3J069EE10
3J069EE40
(57)【要約】
本発明は、キャップ(1c)およびベース(1d)を有するシリンダ(1)と、ピストン(2)と、開閉位置の間で連続的に可変な閉鎖部(4)と、シリンダ(1)内に配置された流体とを有する、シリンダ-ピストン配置のための連続的可変ロックシステムに関し、ピストン(2)は、シリンダ(1)内に移動可能に配置され、かつ、その外面に円周方向に少なくとも1つの環状ピストンシール(2a)を有し、ピストン上にピストンロッド(2b)が配置され、ピストンロッド(2b)はシリンダ(1)のキャップ端部で少なくとも部分的に軸方向に押し出される。本発明の目的は、堅牢かつ単純な構造によって特徴付けられ、特に簡単な方法で保守および適合され、同時に、動作において信頼性および精度が高いロックシステムを開発することである。この目的のために、本発明は、以下を提案する:シリンダが、内側スリーブ(1a)および外側スリーブ(1b)を有する二重壁で設計されており、ピストン(2)が、内側スリーブ(1a)内に配置され、その内面および外面上にそれぞれ周方向に走るシール(3a)を有する管状の補償体(3)が、内側スリーブ(1a)と外側スリーブ(1b)との間の環状空間内に、変位可能に配置され、閉鎖部が、シリンダ(1)のベース端部(1d)に配置され、内側スリーブ(1a)のベース端部が、閉鎖部(4)によって閉鎖可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ(1c)およびベース(1d)を有するシリンダ(1)と、ピストン(2)であって、前記シリンダ(1)内に移動可能に配置され、かつ、その外面に円周方向に少なくとも1つの環状ピストンシール(2a)を有し、前記ピストン上にピストンロッド(2b)が配置され、該ピストンロッドは前記シリンダ(1)のキャップ端部で少なくとも部分的に軸方向に押し出される、ピストン(2)と、開閉位置の間で連続的に可変な閉鎖部(4)と、前記シリンダ(1)内に配置された流体とを有する、シリンダ-ピストン配置のための連続的可変ロックシステムであって、
前記シリンダは、内側スリーブ(1a)および外側スリーブ(1b)を有する二重壁で形成されており、前記ピストン(2)は、前記内側スリーブ(1a)内に配置され、その内面および外面上で周方向に走るシール(3a)を有する管状の補償体(3)は、前記内側スリーブ(1a)と前記外側スリーブ(1b)との間の環状空間内に変位可能に配置され、前記閉鎖部は、前記シリンダ(1)の前記ベース端部(1d)に配置され、前記内側スリーブ(1a)の前記ベース端部は、前記閉鎖部(4)によって閉鎖可能である、ことを特徴とする、ロックシステム。
【請求項2】
前記閉鎖部(4)に作用する機構である、前記シリンダの外部に配置される制御機構を特徴とする、請求項1に記載の
ロックシステム。
【請求項3】
前記内側スリーブ(1a)および前記外側スリーブ(1b)が、形状ロックおよび/またはフォースロック方式で互いに着脱可能に接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載のロックシステム。
【請求項4】
前記内側スリーブ(1a)および前記外側スリーブ(1b)が、対応するねじ山によって互いに接続可能であることを特徴とする、請求項3に記載のロックシステム。
【請求項5】
前記閉鎖部(4)が、前記シリンダ(1)の長手方向軸に関して回転対称の本体として形成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のロックシステム。
【請求項6】
前記閉鎖部(4)が、外周上で軸方向に増大する環状突起(4b)、および円錐状の中央突起(4c)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のロックシステム。
【請求項7】
前記流体が油圧オイルであることを特徴とする、請求項1に記載のロックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップおよびベースを有するシリンダと、ピストンと、開閉位置の間で連続的に可変な閉鎖部と、シリンダ内に配置された流体とを有する、シリンダ-ピストン配置のための連続的可変ロックシステムに関し、ピストンは、シリンダ内に移動可能に配置され、かつ、その外面に円周方向に少なくとも1つの環状ピストンシールを有し、ピストン上にピストンロッドが配置され、ピストンロッドはシリンダのキャップ端部で少なくとも部分的に軸方向に押し出される。
【背景技術】
【0002】
このようなロックシステムは、例えば特許文献1から知られている。そこに開示されているロックシステムは、自動車のドアの無段階減衰および固定に使用されることを意図される。閉鎖部は、複数の部品で形成されており、ピストン内に配置されている。ロックシステムがロックされると、2つの対向するフロー開口部は、2つの閉鎖部およびダックビル弁によって閉鎖され、それぞれの場合において、閉鎖部は、ばねによってフロー開口部に対して押圧される。軸方向の圧縮力または引張力がピストンロッドに加えられると、ばね力に打ち勝って、2つの閉鎖部の一方が開く。ピストンの内部の圧力は、ダックビル弁が開き、ピストン本体を通る流体の流れが可能になるまで、対応して上昇する。これにより、ピストンロッドを所望の位置に変位させることができる。ピストンロッドに力が加えられなくなるとすぐに、フロー開口部はばねの復元力によって再び自動的に閉鎖される。
【0003】
このようなロックシステムの提供分野は、自動車のドアの他に、例えば、作業場における機械保守カバー、防火ドア、家具の組立補助具である。
【0004】
既知のロックシステムは、構造が比較的複雑であり、柔軟性がない。ピストン内での複数部品から成る閉鎖機構の配置は、手間がかかり、非常に高い費用でしか整備できないだけでなく、極めて大きな労力でしか適合できない。特に、エラストマーから成るダックビル弁をピストン内に配置することは非常に複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第4239681号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、既知の連続的可変ロックシステムを、堅牢かつ単純な構造によって特徴付けられ、特に簡単な方法で保守および適合され、同時に、動作において信頼性および精度が高いという趣旨で、開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、冒頭で述べたタイプのロックシステムから出発して、シリンダが、内側スリーブおよび外側スリーブを有する二重壁で形成されており、ピストンが、内側スリーブ内に配置され、その内面および外面上にそれぞれ周方向に走るシールを有する管状の補償体が、内側スリーブと外側スリーブとの間の環状空間内に、変位可能に配置され、調節可能な閉鎖部は、シリンダのベース端部に配置され、内側スリーブのベース端部は、閉鎖部によって閉鎖可能である、ことを提案する。
【0008】
本発明によるロックシステムの形成により、閉鎖部によって分離可能であり、内部に流体が配置される、内側および外側流体チャンバが形成される。外側流体チャンバは、内側スリーブと外側スリーブとの間の管状の環状空間であり、これは、ベース側で閉鎖体により、キャップ側で補償体により、区画されている。内側流体チャンバは、内側スリーブ内の円筒状の空間に相当し、これは同様に、ベース側で閉鎖部により、キャップ側でピストンにより、区画されている。
【0009】
閉鎖部は、これら2つの流体チャンバ間の接続を開き、区切り、閉じることができる。閉鎖部が開放位置にあるとき、ピストンロッドは軸方向に変位することができる。変位の方向に応じて、流体は、その都度一方の流体チャンバから他方の流体チャンバへ流れる。開口部が狭く設定されるほど、ピストンロッドの可動性の減衰は高くなる。閉鎖部が閉鎖位置にある場合、ピストンロッドはロックされ、移動することができない。
【0010】
要求に応じて、閉鎖部の調節は、適切な制御機構を介して、例えば機械的なレバー、ばねの形態で、油圧制御を介して、または電子制御の形態で、実施することができる。好ましい実施形態では、制御機構はシリンダの外部に配置されている。これにより、制御機構、およびしたがってロックシステムの動作様式の本質的な部分を、いつでも変更された要求に適合させることが容易になる。
【0011】
本発明の別の有利な展開では、内側スリーブおよび外側スリーブが、形状ロックおよび/またはフォースロック(force-locking)方式で互いに接続される。このような着脱可能な解決策は、ロックシステムの特に簡単な組立ておよび問題のない保守を可能にする。
【0012】
内側スリーブおよび外側スリーブ上で互いに対応するねじ山は、接続を生成するのに特に適している。
【0013】
さらに、閉鎖部がシリンダの長手方向軸に関して回転対称の本体として形成されていると有利である。回転対称性により、2つの流体チャンバの間で流体の特に均一な流れを実現することができる。
【0014】
閉鎖部の特に好ましい幾何学的な実施形態では、閉鎖部は、外周上で半径方向に上昇する環状突起、および、半径方向に下降する中央の円錐状突起を有することが提供される。これにより、フロー開口部は、特に適切な流体力学によって特徴付けられる。
【0015】
流体として、好ましくは油圧オイルが使用される。
【0016】
以下に、図面を用いて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例示的な実施形態における動的状態の本発明によるロックシステムの概略断面図
図2図1による例示的な実施形態におけるピストンロッドの調節およびロックを概略的に示す図
図3図1による例示的な実施形態におけるピストンロッドの調節およびロックを概略的に示す図
図4図1による例示的な実施形態におけるピストンロッドの調節およびロックを概略的に示す図
図5図1のロックシステムの閉鎖部を立体的に概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明によるロックシステムのシリンダが参照番号1で示されている。シリンダ1は、二重壁で設計されており、それに応じて内側スリーブ1a、外側スリーブ1b、カバー1c、およびベース1dを有している。内側スリーブ1a内には、ピストンロッド2aを有するピストン2が配置されている。本発明によれば、ピストンおよびピストンロッドは、この例示的な実施形態とは異なり、同じ直径を有してもよい。ピストンロッド2aは、シリンダ1のキャップ端部から突出し、シリンダ1から軸方向に変位可能である。さらに、ピストン2は、その外周に円周方向の環状ピストンシール2bを有している。外側スリーブ1bと内側スリーブ1aとの間の環状空間には、中空円筒状の補償体3が配置されている。補償体3は、その内面および外面にシール3aを有している。さらに、シリンダ1のベース端部には、軸方向に変位可能な閉鎖部4が配置されている。閉鎖部4は、その外側に円周方向のシール4aを有している。閉鎖部4の調節は、ここでは図示されていない適切な制御によって実現される。制御は、例えば、機械的なレバーまたはばねとして形成されてもよいが、油圧制御または電子制御も可能である。
【0019】
内側スリーブ1aおよび外側スリーブ1bは、キャップ端部に、対応するねじ山を有している。したがって、内側スリーブ1aを外側スリーブ1bにねじで留めることができる。
【0020】
したがって、本発明によるロックシステムは、2つの流体チャンバ、すなわち、外側流体チャンバ5および内側円筒状流体チャンバ6を有し、外側流体チャンバ5は、外側スリーブ1bの内壁および内側スリーブ1aの外壁によってならびに閉鎖部4および補償体3によって画定され、内側円筒状流体チャンバ6は、内側スリーブ1aの内部によってならびにピストン2および閉鎖部4によって画定される。図1に示すように、閉鎖部4が開放位置にある場合、流体は、外側流体チャンバ5から内側流体チャンバ6に流れ込むことができ、その逆もまた同様である。
【0021】
本発明によるロックシステムの機能を、図2、3および4を参照して以下により詳細に説明する。図2において、ピストンロッド2は、内側に大きく引き込まれている。したがって、内側流体チャンバ6は、非常に小さい容積しか有していない。補償体3は、シリンダ1のキャップ端部に位置し、外側流体チャンバ6の容積は最大である。閉鎖部4は開放位置にある。すなわち、流体は、流体チャンバ5、6内を往復して流れることができる。ピストンロッド2aに引張力Fが加えられると、図2に示すように、ピストン2は、シリンダ1のキャップ端部の方向に変位する。流体は、外側流体チャンバ5から内側流体チャンバ6に流入する。補償体3は、シリンダ1のベース端部の方向に変位する。外側流体チャンバ5の容積はそれに応じて減少し、内側流体チャンバ6の容積は同程度に増加する。2つの容積の合計は同じままである。補償体3とキャップ1cとの間の領域は空気で満たされている。このために、内側スリーブ1aと外側スリーブ1bとの間のねじ接合は、空気透過性であるように実行されている。しかしながら、このために、キャップ1cに特に適した開口部を設けることも可能である。
【0022】
ピストンロッド2aが所望の位置にあるとすぐに、閉鎖部4は制御によって閉鎖位置にガイドされ、2つの流体チャンバ5、6の間を流体がさらに流れることができない。このシステム状態が図4に示されている。それに応じて、ピストンロッド2aはもはや移動することができない。本発明によるロックシステムは、静止状態にある。引張荷重時の保持力は、ここでは最大で流体の蒸発圧で十分である。
【0023】
閉鎖部4の制御は、能動的な制御コマンドを介して実行することができる。しかしながら、例えば戻しばねを介してリセット方式で制御を実現することも可能である。この実施形態では、閉鎖部4は、ばねの復元力によって通常状態で閉鎖位置に保持される。ピストンロッドの圧縮負荷によって復元力が克服されると、閉鎖部が開く。ピストン2がキャップ1cの方向に移動される場合、閉鎖部4は、記載された能動的な制御コマンドによって開放されなければならない。
【0024】
図5は、閉鎖部4の3D図を示す。閉鎖部4は、その外周に半径方向に急峻に上昇する環状突起4b、および、先端が丸みを帯びた円錐形の中央突起4cを有する。この形状により、閉鎖部4は、内側スリーブ1aのベース端部に最適な態様で対応する。閉鎖部4が開放位置と閉鎖位置との間で移動されると、非常に均一な流動特性を有する均一な流動ギャップが形成される。閉鎖部4の正確な調整によって、ピストンロッド2aの可動性の所望の減衰も設定することができる。成形によって、減衰の強度は、ギャップ幅またはそれぞれの閉鎖部の位置に依存して実質的に線形に進行する。減衰は、使用される流体の粘度によっても影響され得る。
【0025】
本発明によるロックシステムは、全体として、非常に簡単かつ低コストの構造を特徴とする。これは、設置位置に関係なく容易に取り付けることができ、極めて正確に動作する。
【符号の説明】
【0026】
1 シリンダ
1a 内側スリーブ
1b 外側スリーブ
1c キャップ
1d ベース
2 ピストン
2a ピストンロッド
2b ピストンシール
3 補償体
3a シール
4 閉鎖部
4a シール
4b 環状突起
4c 円錐突起
5 外側流体チャンバ
6 内側流体チャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】