(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】サスペンション及びそのサスペンションを制御するための電気機械式回転装置を備える車両、並びに、車両のサスペンションの動きを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B60G 13/14 20060101AFI20230627BHJP
B60G 17/015 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B60G13/14
B60G17/015 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022572610
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 IB2021054623
(87)【国際公開番号】W WO2021240415
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102020000012553
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503336534
【氏名又は名称】マレッリ・サスペンション・システムズ・イタリー・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARELLI SUSPENSION SYSTEMS ITALY S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ディ ヴィットーリオ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】グレコ,ジョルダーノ
(72)【発明者】
【氏名】マルケッティ,シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】モンキエーロ,ピエーロ
(72)【発明者】
【氏名】アマーティ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】チルコスタ,サルヴァトーレ
(72)【発明者】
【氏名】ガッルッツィ,レナート
(72)【発明者】
【氏名】トノリ,アンドレア
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA01
3D301AA56
3D301CA11
3D301DA08
3D301DA37
3D301DA39
3D301DA50
3D301DA51
3D301DA54
3D301EC01
(57)【要約】
サスペンションと該サスペンションを制御するための電気機械式回転装置とを備える車両、および車両サスペンションの運動を制御するための方法。車両は、車両本体(9)と、車輪(11)の少なくとも1つのハブ(10)と、ハブ(10)を車両本体(9)に連結するサスペンション(12)とを有する。サスペンションは、車両本体(9)およびハブ(10)にヒンジ連結されたサスペンションアーム(14)と、弾性手段(16)と、サスペンション(12)の運動をレバレッジ(24)により、積極的に調整する状態と減衰する状態の間で操作可能な電気機械式ロータリアクチュエータ(18)とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
車両本体(9)と、
車輪(11)を支持するように適合された少なくとも1つのハブ(10)であって、それによって前記車輪(11)が前記ハブ(10)の周りを回転可能である、ハブ(10)と、
前記ハブ(10)を前記車両本体(9)に接続し、前記ハブ(10)が前記車両本体(9)に対して垂直に枢動可能であるサスペンション(12)とを備え、
前記サスペンション(12)は、
前記車両本体(9)及び前記ハブ(10)にヒンジされた前記サスペンションで固定されているサスペンションアーム(14)と、
前記サスペンションアーム(14)を、前記車両本体(9)に対する静的な力が均衡する所定の中立位置に向けてバイアスするように適合された、弾性手段(16)と、
前記車両本体(9)に一体的に接続され、減速機(22)に結合された電気機械(20)を含み、前記減速機(22)は少なくとも1つの減速段(23a、23b)を含み、前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)は、前記サスペンションアーム(14)を前記車両本体(9)に接続するヒンジ軸と平行な回転軸を有する出力軸(23c)を含む、電気機械回転式アクチュエータ(18)と、
前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)の前記出力軸(23c)によって前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)から前記サスペンションアーム(14)に運動を伝達するように適合されたレバレッジ(24)であって、前記レバレッジ(24)および前記減速段(23a、23b)の前記出力軸(23c)が、実質的に剛体として構成された部品を含む、レバレッジ(24)と、
前記サスペンションアーム(14)の動きを示すパラメータを検出するように適合されたセンサ手段(26)と、
前記センサ手段(26)によって送信される信号に基づいて、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)の電気機械(20)のトルクおよび角度位置を制御するように適合された電子制御ユニット(28)と、
前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)への電力の供給と前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)からの電力の受け取りを交互に行うように適合されたバッテリ(30)であって、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、アクティブな調整状態と減衰状態との間を動作可能で、
前記調整状態にあっては、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、前記バッテリ(30)を起動して、前記車両本体(9)に対する前記サスペンションアーム(14)の相対動作を引き起こさせる力を前記レバレッジ(24)を介して前記サスペンションアーム(14)に伝達して、前記サスペンション(12)に正の動作を行なわせるように構成され、
前記減衰状態にあっては、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、前記バッテリ(30)を起動して、前記車両本体(9)に対する前記サスペンションアーム(14)の相対動作に対向する力を前記レバレッジ(24)を介して前記サスペンションアーム(14)に伝達して、前記サスペンション(12)に負の動作を行なわせるように構成された、バッテリ(30)とを有し、
前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、前記電子制御ユニット(28)の指令により、前記調整状態と前記減衰状態状態の間で作動可能であり、最大周波数が5Hzより高い前記サスペンションアーム(14)に運動を与えるか、または最大周波数が5Hzより高い前記サスペンションアーム(14)の運動を減衰させる、車両。
【請求項2】
テレスコープ式に伸縮可能な少なくとも2つの部分を有する円筒形の対(17)をさらに備え、前記少なくとも2つの部分のうちの1つはジョイントによって前記サスペンションアーム(14)に接続された一端を有し、前記少なくとも2つの部分のうちの他の1つは別のジョイントによって前記車両本体(9)に接続された一端を有する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記円筒形の対(17)は、前記サスペンションの動作の減衰作用を実質的に発揮しないように構成されている、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記円筒形の対(17)は、前記サスペンション(12)の動作の減衰作用を及ぼすように構成され、それにより、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)によって発生された前記減衰作用に追加する、請求項2に記載の車両。
【請求項5】
前記円筒形の対(17)は、従来の自動車用ショックアブソーバとして構成されている、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記弾性手段(16)は、
前記弾性手段(16)の第1端が、前記車両本体(9)に取り付け可能な前記円筒形の対(17)の部分に接続され、
前記弾性手段(16)の第2端が、前記サスペンションアーム(14)に取り付けられた前記円筒形の対(17)の部分に接続され、
前記レバレッジ(24)は、前記サスペンションアーム(14)に取り付けられた前記円筒形の対(17)の前記部分に接続されている、前記請求項1から5のいずれかに記載の車両。
【請求項7】
前記レバレッジ(24)は、
前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)の前記出力軸(23c)にねじりを伝えるように一体化されたレバー(24a)と、
前記請求項のいずれかに記載された車両。前記レバー(24a)に対して関節をなし、一端が前記サスペンションアーム(14)、または前記ハブ(10)、もしくは前記サスペンションアーム(14)に取り付けられた前記円筒形の対(17)の部分にヒンジ結合されたロッド(24b)とを有し、
前記レバー(24a)と前記ロッド(24b)は実質的に剛体として構成されている、請求項1~6のいずれかに記載の車両。
【請求項8】
前記減速機(22)は多段の遊星歯車列を有し、
前記減速機(22)は、前記車両本体(9)に一体的に取り付けられた前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)のハウジングに収容され、
前記遊星歯車列の各段(23a、23b)は、プラネットキャリアの複数のプラネットと噛み合うサンギヤを有し、
前記プラネットキャリアの前記複数のプラネットは、径方向外側にあるリングギヤと噛み合い、
前記遊星歯車列は、各段の入力が前記サンギヤであり、各段の出力が前記プラネットキャリアであるように構成され、
前記リング歯車が、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)の前記ハウジングに回転可能に固定されて一体化されている、請求項1から7のいずれかに記載の車両。
【請求項9】
前記減速機(22)は、2段の遊星歯車列を有し、1段目のプラネットキャリアは、レバレッジ(24)にねじり剛性で接続され、2段目のサンギヤは、電気機械(20)の軸にねじり剛性で接続されている、請求項8記載の車両。
【請求項10】
前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、弾性及び減衰手段(32)によって前記車両本体(9)に接続されている、請求項1から9のいずれかに記載の車両。
【請求項11】
前記電子制御ユニット(28)が電気機械装置(18)の内部に完全に統合されており、前記電気機械(20)の軸方向に延長部を形成している、請求項1から10のいずれかに記載の車両。
【請求項12】
前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)の前記出力軸(23c)の回転軸は、前記サスペンションアーム(14)の前記車両本体(9)に対する前記ヒンジ軸と平行であり、一致しない、請求項1から11のいずれかに記載の車両。
【請求項13】
車両サスペンションの動きを調整する方法であって、
a) 請求項1~12のいずれかに記載の車両を提供するステップと、
b) 前記センサ手段(26)を介して、前記車両本体(9)と前記ハブ(10)との間の相対位置および相対速度を検出するステップと、
c) 前記電子制御ユニット(28)により、前記車両本体(9)と前記ハブ(10)との間の相互の動きが検出されると、電気機械式ロータリアクチュエータ(18)を、
c1) 前記ハブ(10)の動きが、前記ハブと前記車両本体(9)との間の距離が、サスペンション(12)の静的な力の均衡の中立状態において前記ハブ(10)が当該車体(9)から有する絶対距離に対して減少する傾向にある場合、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)に前記バッテリ(30)から電流を供給してトルクを発生させ、前記トルクが前記レバレッジ(24)によって前記サスペンションアーム(14)に伝達されて最大周波数F>5Hzで前記サスペンションアーム(14)に作用を生じ、前記ハブ(10)と前記車両本体(9)との間の相対速度が符号を変えない限り、前記ハブ(10)と前記車両本体(9)との間の距離をさらに減少させ、前記バッテリ(3)から前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)への電力供給を中断し、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)を発電機として機能させ、発生した電流(30)送信し、
c2) 前記ハブ(10)の移動が、前記ハブと前記車両本体(9)との間の距離が、前記サスペンション(12)の静的な力の均衡の中立状態において前記ハブ(10)が前記車両本体(9)から有する絶対距離に対して増加する傾向にある場合、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)に前記バッテリ(30)から電流を供給してトルクを発生させ、前記トルクが前記レバレッジ(24)によって前記サスペンションアーム(14)に伝達されて最大周波数F>5Hzで前記サスペンションアーム(14)に作用を生じ、前記ハブ(10)と前記車両本体(9)との間の相対速度が符号を変えない限り、前記ハブ10と前記車両本体9との間の距離をさらに増加させ、前記バッテリ(30)から前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)への電力供給を中断し、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)を発電機として機能させ、発生した電流をバッテリ(30)に送信する、ステップと、を有する方法。
【請求項14】
前記ステップ(b)は、前記電気機械(20)に組み込まれ、トルクと速度の制御を可能にするように適合された、角度位置センサによって実行される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、自動車分野に関するものであり、特に、本発明は、サスペンションとこのサスペンションを制御するための電気機械式回転装置とを備えた車両、および車両サスペンションの動きを調整するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のサスペンションが、その運動の能動的な制御および/または減衰のための電気機械的な回転装置と関連する解決策が知られている。
【0003】
同様の解決策の例は、US10166833 B2から知られており、これは、三点支持機構を介してホイールハブまたはサスペンションアームの1つに順に接続されたトーションバーを作動させる電気機械装置を記述している。
【0004】
この装置の主な欠点は、トルク伝達チェーンに直列に配置されたトーションバーのような低剛性(したがって高い弾性変形を受ける)要素の存在が、ローパスフィルターとして作用してシステムの通過域をかなり下げるので、高周波数(F>5 Hz)で車輪の運動を作動させるために、また、サスペンションの運動を減衰させるために使用することができないことである。
【0005】
これらの理由から、この装置は、低周波数での車両の動き、すなわち、当該車両本体の動き(ローリング、ピッチング、シェイク)を制御するためにのみ使用することにしか利用できない。さらに、車両サスペンションの動きを十分に減衰させるためには、この装置は、従来のショックアブソーバと並列に配置されなければならない。
【0006】
従来技術の第2の例は、特許DE10043711の油圧式ロータリアクチュエータによって代表され、そこには、2つの異なるアーキテクチャが記載されている。第1のアーキテクチャでは、油圧式ロータリアクチュエータは、車体に取り付けられ、レバーとロッドとからなるシステムを介してサスペンションアームの1つと相互作用する。第2のアーキテクチャでは、油圧式ロータリアクチュエータは、多関節平行四辺形またはパンタグラフとスプリングからなる弾性サスペンションを介して、サスペンションアームの1つに直接支持されており、アクチュエータはサスペンションアームに対して垂直に振動し、これにより振動質量を形成して車輪の振動を減衰させることができる。油圧ロータリアクチュエータと車体間のトルク伝達は、レバーとロッドからなる三点運動機構で実現される。
【0007】
どちらのアーキテクチャも、原理的には、車両のローリングおよびピッチング動作の能動的制御、及び車輪の垂直振動の減衰制御が可能である。また、この例では、したがって、車体の低周波運動(ロールおよびピッチ)の能動的制御のみに関係する。一方、サスペンションの高周波運動については、高周波運動が減衰できることの可能性のみが記載されている。
【0008】
さらに、第2のアーキテクチャでは、車輪の振動の減衰は、主として、サスペンションアームに対して弾性的に懸架された油圧式ロータリアクチュエータからなる振動質量の動的効果を利用することによって生じるが、第1のアーキテクチャでは、前記振動を減衰するために油圧式ロータリアクチュエータをどのように使用及び制御し得るかという詳細は規定されていないので、この点の説明は完全に曖昧で、理論的にのみ有効である。特に、油圧ロータリアクチュエータの構造的特徴に関する詳細は提供されておらず、例えば、このアクチュエータが、適当な電子機器によって制御される電気モータによって直接駆動される油圧式アクチュエータからなのかどうか、また、それが適切な制御ソレノイド弁を介して油圧集積要素に接続された油圧ロータリジャックからなるかについては、どこにも具体的に記載されていない。さらに、油圧ロータリモータを制御するためのビークルダイナミクスレベルの原理と論理についての詳細は記載されていない。
【0009】
サスペンションに能動的に運動を付与するように構成されたアクチュエータの例も、WO2018/172762から知られている。しかしながら、この解決策は、サスペンションがストレスを受ける全てのステップ(すなわち、車輪が隆起した障害物又は傾斜に遭遇したとき)がアクチュエータの能動的な介入を提供するので、アクチュエータが減衰で動作する可能性を考慮していない。
【0010】
したがって、従来技術で利用可能な例に基づいて、高周波運動が交互に能動的に誘導可能であり、減衰を受けるようなサスペンションを構成することは不可能である。
【発明の概要】
【0011】
この発明の目的は、前述の問題を克服することである。
【0012】
この結果を得るために、垂直方向の車輪の動きに典型的な高周波数(F>5Hz)でその動きを制御することができる電気機械式回転装置が関連付けられたサスペンションを備えた車両が提供される。これは、サスペンションの高周波の動きを引き起こすと同時に、外的要因(道路の凹凸、ブレーキ、加速、コーナリングなどの操作)によって引き起こされるサスペンションの高周波の動きを減衰させ、サスペンションの動きを電気的に制動し、場合によってはサスペンションの動きから運動エネルギを電気エネルギに変換する(回生減衰)ことが可能である。
【0013】
本発明の実施形態によれば、電気機械式回転装置は、減速機と結合された電気機械(好都合には、従来の電気モータであり、同様の用途の文脈で当業者にそれ自体知られている)を備え、その出力は、既知の種類の運動学的機構を介して、ホイールハブと共に移動するサスペンションの要素の1つに硬く接続されている。この要素は、サスペンションアーム、ホイールハブ自体、またはサスペンションのスプリングプレートを支持する構造部品のうちの1つであってよい。減速機の出力は、ホイールハブと剛性的に一緒に動くサスペンション要素の1つに、すなわち、トーションバー、屈曲によって変形する弾性部品、牽引および圧縮によって変形する弾性部品など、大きな変形を受ける弾性部品が介在無しで、接続されている。事実上、このようにしてのみ、装置の通過帯域を、車輪の上下運動に典型的な高周波数(F>5Hz)以上に保つことができ、したがってレバレッジの周波数範囲におけるサスペンションの運動を引き起こすと同時に減衰させることができる。
【0014】
フロントダブルウィッシュボーンサスペンションの場合、特に好都合な運動機構は、ロータリ装置が、サスペンションのロアアームのシャーシ取り付け点付近で車両本体に接続されたハウジングを有し、運動機構の一部であり減速機と一体であるレバーが、その回転軸をサスペンションのロアアームをシャーシに接続するヒンジの回転軸と平行な回転軸を有し、サスペンションスプリング板を支持する構造要素にヒンジを介して接続されているロッドにヒンジによって接続されているものである。この構造要素は、従来のショックアブソーバであってもよく、したがって、電気機械式回転装置と並行して作用することによって、サスペンション運動の減衰作用を行う、または、この要素は、減衰作用を行わず、したがって、サスペンションのスプリングプレートを支持するための円筒形の対のみを構成する。この場合、サスペンション運動の減衰作用のみが、電気機械式回転装置によって実行される。この実施態様は、ダブルウィッシュボーンサスペンションの古典的なアーキテクチャを崩すことなく電気機械式回転装置を設置することができるため、特に好都合である。
【0015】
電気機械式回転装置のハウジングは、例えばねじで車体に剛性的に接続されてもよいし、車体への振動の伝達を低減するために、公知の実施態様の弾性および減衰手段(例えば支持ブロックまたはウェッジ)上のサスペンションを介在させて車体に接続されてもよい。これらの弾性手段および減衰手段の剛性および減衰値は、理想的には、自動車用サスペンションの場合、0Hzから50Hzの周波数範囲に示される関心のある周波数帯域にダイナミクスを導入しないように割り当てられる。実際には、弾性体は十分に高い剛性を持たなければならない、減衰要素は振動フィルタリングの観点から要求される性能に応じて、明示的に必要とされる場合とされない場合がある。
【0016】
減速機は、各段の入力がサンギヤ、各段の出力がプラネットキャリアであり、リングギヤが装置のハウジングに固定されて一体化された多段遊星歯車列の形態にすることが好都合である。
【0017】
電気機械は、電子制御ユニット(インバータ)によって位置およびトルクが制御されてもよい。この電子制御ユニットは、それ自体既知であり、車輪ハブおよび車体の上下運動の大きさを測定できる、それに接続されたセンサに基づいて、車体の揺れ、ローリングおよびピッチング運動を低減すると同時に、車輪の上下振動を低減することを目的とし、車両のダイナミクスを制御するための既知の戦略に従って、電気機械を制御する。適用例としレバレッジれらのセンサは、サスペンションのロアアームと一体的に配置され、サスペンションのスプリング本体(ドーム)との接続点にそれぞれ配置された、それらが接続された点の垂直加速度を測定することができる2つの加速度計で構成されてもよい。また、車体上の点と一体化した加速度計とサスペンションの走行センサを使用することも考えられる。
【0018】
電子制御ユニットは、電気エネルギ貯蔵要素(バッテリ)に電気的に接続されており、電気エネルギは、電気機械がサスペンションの動きを引き起こすステップ(アクティブ動作)の間に電気機械に電力を供給するためにそこから取り出され、または電気機械がサスペンションの動きを制動するステップ(ダンピングステップ、好ましくは回生)の間に電気機械によって回生される電気エネルギは、そこに導かれる。
【0019】
電子制御ユニットは、電気機械式回転装置の外部の構成要素であって、したがって、当該装置からかなりの距離を置いて車両内部に配置されてもよいし、電気機械の軸方向における延長部を構成して、電気機械式装置内に完全に統合されてもよい。後者の場合、当業者によく知られている、いわゆる「スマートアクチュエータ」タイプのアーキテクチャが基本的に実施されることになり、そこでは、車両の残りの部分に接続するための電気配線(例えば、サスペンションに組み込まれた電気・電子装置に電力を供給するため)を除いて、サスペンションの動作に必要なすべての構成要素が、基本的に前記サスペンション内に統合されていることになる。
【0020】
さらに、従来、前記電気機械のトルクおよび速度制御を行うために電気機械に組み込まれていた角度位置センサは、公知の車両力学制御戦略内でサスペンションの走行センサとして使用することができる。これは、電気機械式回転装置のホイールハブから電気機械への運動伝達機構が剛体であるため、車体に対するホイールハブの相対位置と電気機械の回転との間に固有の運動学的リンクが存在するために可能である。これにより、公知技術において、車両本体に対する車輪ハブの相対運動を測定するために使用される公知の位置/加速度センサを、結果としレバレッジストおよび設置の複雑さを低減しながら排除することが可能となる。
【0021】
前述および他の目的および利点は、本発明の一態様によれば、添付の請求項に定義された特徴を有する車両および方法によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に定義される。
【0022】
次に、本発明による車両および方法のいくつかの好ましい実施形態の機能的および構造的特徴について説明する。添付の図面を参照すると、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による車両に関連するサスペンションの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の代替実施形態による車両に関連するサスペンションの概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態によるサスペンションに含まれる電気機械式ロータリアクチュエータの部分断面における概略的な透視図である。
【
図4】
図4は、
図3の電気機械式ロータリアクチュエータの断面における側面図である。
【
図5】
図5は、
図4に例示されたアクチュエータの一部を形成する減速機の概略図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、電気機械式ロータリアクチュエータを車両シャーシに取り付けるための2つの可能な構成を例示する概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態による、道路上の障害物を克服する行為における車輪-車体サスペンションアセンブリの一連の状態を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、
図7に表される状態における電気機械式ロータリアクチュエータの力-速度関係を表す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態による、道路のディップを横断する行為における車輪-車体サスペンションアセンブリの一連の状態を概略的に示す図であり、そして、
図10は、本発明の実施形態による、道路のディップを横断する行為における車輪-車体サスペンションアセンブリの一連の状態を概略的に示す図である。
【
図10】
図10は、
図9に表される条件下での電気機械式ロータリアクチュエータの力-速度関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の複数の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明で示される、または図面に示される構成要素の構造の詳細および構成にその適用が限定されないことを明確にしておく必要がある。本発明は、他の実施形態を想定することが可能であり、実際に異なる方法で実施または構成することが可能である。また、言い回しや用語は説明的な目的であり、限定的に解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0025】
図を例として参照すると、車両は、車両本体9と、車輪11がハブ10の周りを回転可能であるように車輪11を支持するように適合された少なくとも1つのハブ10と、ハブ10が車両本体9に対して垂直に振動可能であるようにハブ10を車両本体9に接続するサスペンション12を有する。
【0026】
サスペンション12は、一側を車両本体9に、他側をハブ10にヒンジ結合されたサスペンションアーム14(好都合には、従来の下部揺動アーム)と、車両本体9に対する静力の均衡の所定の中立位置(すなわち、車両本体9に働く重量力の作用下で、サスペンションアームが実質的に平坦な地面という状態でとる位置)に向かって前記サスペンションアーム14をバイアスするために適した弾性手段16とから構成される。
【0027】
また、車両本体9に一体的に接続され、減速機22に結合された電気機械20を有する電気機械式ロータリアクチュエータ18があり、減速機22は、車両本体9上のサスペンションアーム14のヒンジ軸と平行な回転軸を有する出力軸23cに結合された少なくとも一つの減速段23a、23bを有する。
【0028】
サスペンション12は、少なくとも1つの減速段23a、23bから前記減速段23a、23bの出力軸23cによって前記サスペンションアーム14に運動を伝達するように適合されたレバレッジ24をさらに備え、レバレッジ24および減速段23a、23bの出力軸23cは、前記構成要素が互いに連結され得る可能性を損なうことなく、実質的に剛体(すなわち、剛体のねじり、曲げ、牽引および圧縮構成要素)として構成された(またはそれによって形成された)構成要素を有する。これは、トーションバーまたは他の要素が使用され、それらのねじり、屈曲、牽引、または圧縮弾性変形によって特に減速機からサスペンションアームに運動を伝達するように構成される、先行技術で発生するものとは異なるものである。
【0029】
また、サスペンションアーム14の運動を示すパラメータを検出するように適合されたセンサ手段26、センサ手段26から送信された信号に基づいて電気機械式ロータリアクチュエータ18の電気機械20をトルクおよび角度位置で制御するように適合された電子制御ユニット28、および電気機械式ロータリアクチュエータ18に交互に給電しそこから電流を受信するように適合されたバッテリ30も提供される。
【0030】
電気機械式ロータリアクチュエータ18は、アクティブ調整状態と減衰状態との間で動作可能である。アクティブ調整状態では、電気機械式ロータリアクチュエータ18は、バッテリ30によって電力供給され、レバレッジ24を介して、車体9に対するサスペンションアーム14の相対運動を引き起こすための力をサスペンションアーム14に伝達するよう構成される。減衰状態では、電気機械式ロータリアクチュエータ18は、バッテリ30を電源とし、サスペンションアーム14に、レバレッジ24を介して、車体9に対するサスペンションアーム14の相対運動に対抗する力を伝達し、サスペンション12に負の仕事をさせる。
【0031】
電気機械式ロータリアクチュエータ18は、電子制御ユニット28による指令により、アクティブ調整状態と減衰状態の間を動作され、5Hzより高い最大周波数でサスペンションアーム14の運動を与えるように、または5Hzより高い最大周波数でサスペンションアーム14の運動(例えば10~15Hzのオーダーの周波数を有する車輪運動)を減衰する。これは、当業者の手の届く範囲内の方法に従って、サスペンションアーム14の上下運動を検出して電子制御ユニット28に送信することにより、当該電子制御ユニットが電気機械式ロータリアクチュエータ18の電気機械20をトルクおよび角度位置について制御して、サスペンションアーム14に5Hzより高い最大周波数を有する運動を付与し、または5Hzより高い最大周波数を有する当該サスペンションアーム14の運動を減衰させることができるセンサ手段26を介して好都合に得ることができる。
【0032】
好ましい実施形態によれば、減速段23a、23bの出力軸23cの回転軸は、サスペンションアーム14の車体9に対するヒンジ軸と平行であるが、一致しない。
【0033】
サスペンション12は、(ダブルウィッシュボーン型のフロントサスペンションの一実施形態を示す
図1に例示するように)互いにテレスコープ式に伸縮自在な少なくとも2つの部分を有し、前記部分のうちの一方は一端が前記サスペンションアーム14にジョイントによって接続され、前記部分のうちの他方は一端が車体9にジョイントによって接続されている筒状対17をさらに含んでいてもよい。
【0034】
あるいは(ウィッシュボーン型のリアサスペンションの実施形態を示す
図2に例示されているように)、円筒形の対は存在しないものであってもよい。
【0035】
実施形態によれば、円筒対17は、サスペンションの運動に対して減衰作用を及ぼすことを実質的に回避するように構成されている。この場合、円筒対17は、サスペンション12の運動に抵抗しないように実質的に構成されている(例えば、最小限の摩擦で伸縮自在な2つの円筒部分からなり、これらの円筒部分内に減衰性流体が存在しない場合であってもよい)。
【0036】
あるいは、円筒対17は、電気機械式ロータリアクチュエータ18によって生じる減衰作用に加え、サスペンション12の運動に対して減衰作用を及ぼすように構成されていてもよい。
【0037】
この場合、円筒対17は、例えば、従来の自動車用ショックアブソーバとして構成されてもよい。
【0038】
実施形態によれば、弾性手段16は、一つの端部が円筒対17の車体9に取り付けられ得る部分に接続され、別の端部が円筒対17のサスペンションアーム14に取り付けられる部分に接続され、レバレッジ24は、円筒対17のサスペンションアーム14に取り付けられた前記部分(例えば、ばね16の一端が載っていて、サスペンションアーム14に取り付けられた円筒対17の前記部分と一体のばね板、またはその付近)に接続される。
【0039】
好ましくは、レバレッジ24は、少なくとも1つの減速段23a、23bの出力軸23cと捩り方向に一体のレバー24aと、レバー24aに対して関節的に連結され、その他端をサスペンション14、またはハブ10、もしくはサスペンションアーム14に取り付けられた円筒対17の部分にヒンジ結合されてもよいロッド24bを有する。レバー24a及びロッド24bは、減速段23a,23bとサスペンションアーム14との間で運動を伝達するための剛性運動機構を提供するように、基本的に剛体として構成される。
【0040】
実施形態によれば、減速機22は多段遊星歯車列からなり、当該減速機22は車体9に一体的に連結された電気機械式ロータリアクチュエータ18のハウジング内に収容される。
【0041】
遊星歯車列の各段23a,23bは、遊星キャリアのプラネットに噛み合うサンギヤを有する。遊星キャリアは、径方向外側のリングに噛み合っている。遊星歯車列は、各段の入力がサンギヤであり、各段の出力が遊星キャリアであり、アウタリングが電気機械式ロータリアクチュエータ18のハウジングと一体的に回転固定されているように構成される。
【0042】
好都合なことに、減速機22は2段の遊星歯車列を有し、1段目の遊星キャリアはレバレッジ24のレバー24aに捩り方向に関して剛性的に接続され、2段目のサンギヤは電気機械20の軸に捩り方向に関して剛性的に接続されている。
【0043】
実施形態(
図6Aに例示)によれば、電気機械式ロータリアクチュエータ18は、例えばね等によって車両本体9に剛に接続されている。
【0044】
あるいは(
図6Bに例示)、電気機械式ロータリアクチュエータ18は、車体9に向かう振動の伝達を低減するために、それ自体既知の弾性・減衰手段3を介して車体9に接続されてもよい。これらの弾性及び減衰手段32の剛性および減衰値は、理想的には、関心のある周波数帯域のダイナミクスを導入しないような方法で割り当てられ、自動車用サスペンションの場合、0Hzから50Hzの周波数範囲である。実際には、弾性手段は十分に高い剛性を有していなければならず、一方、減衰要素は、振動フィルタリングの観点から要求される性能に応じて、明示的に必要とされるか否かを決定することができる。
【0045】
好都合なことに、電子制御ユニット28は、電気機械装置内に完全に統合されており、電気機械20の軸方向における拡張部を形成している。
【0046】
本発明の一態様によれば、上述したいずれかの実施形態による車両を準備するステップと、センサ手段26によって、車体9とハブ10との間の相対位置および速度を検出するステップとを含む車両サスペンションの動きを調整するための方法が提供される。
【0047】
車両本体9とハブ10との間の往復運動が検出されると、本発明による方法は、電子制御ユニット28によって、電気機械式ロータリアクチュエータ18を制御する以下のステップをさらに備える。
【0048】
- ハブ10の動きが、当該ハブと車体9との間の絶対距離が、サスペンション12の静的な力の均衡の中立状態において当該ハブ10が当該車体9から有する絶対距離に対して減少する傾向にある場合(すなわち、車輪が坂道に面し、ハブ10が、
図1の観点から見て時計回りに回動して中立位置よりも上に上昇する場合)、電気機械式ロータリアクチュエータ18にバッテリ30から電流を供給してトルクを発生させ、該トルクがレバレッジ24によってサスペンションアーム14に伝達されて最大周波数F>5Hzで前記サスペンションアーム14に作用を生じ、ハブ10と車体9との間の相対速度が符号を変えない限り、ハブ10と車両本体9との間の絶対距離をさらに減少させ(すなわち、ハブのさらなる上方への揺動を促進し)、バッテリ30から電気機械式ロータリアクチュエータ18への電力供給を中断し、前記電気機械式ロータリアクチュエータ18を発電機として機能させ、発生した電流をバッテリ30に伝達させるステップ。
【0049】
- 前記ハブ10の移動が、前記ハブと前記車体9との間の絶対距離が、サスペンション12の静的な力の均衡の中立状態において前記ハブ10が前記車体9から有する絶対距離に対して増加する傾向にある場合(すなわち、車輪が下り坂に直面し、ハブ10が中立位置よりも下降して、
図1及び
図2の観点から見て反時計回りに回動して中立位置よりも下降する場合)、電気機械式ロータリアクチュエータ18にバッテリ30から電流を供給してトルクを発生させ、該トルクがレバレッジ24によってサスペンションアーム14に伝達されて最大周波数F>5Hzで前記サスペンションアーム14に作用を生じ、ハブ10と車体9との間の相対速度が符号を変えない限り、ハブ10と車両本体9との間の絶対距離をさらに増加させ、バッテリ30から電気機械式ロータリアクチュエータ18への電力供給を中断し、前記電気機械式ロータリアクチュエータ18を発電機として機能させ、発生した電流をバッテリ30に伝達させるステップ。
【0050】
上述した制御戦略をよりよく理解するために、サスペンションの動きを調整する2つの例を、
図7および
図8(第1の例)、ならびに
図9および
図10(第2の例)を参照しながら以下に説明する。
【0051】
車両のサスペンションの簡略化されたモデル(
図7および
図9に例示してある)を考えてみる。そこでは、車両本体9および車両の各車輪11は、ばね16および電気機械式ロータリアクチュエータ18を介して互いに機械的に平行に接続された、それぞれ上部および下部マスである二つの質量で概略的に示されている。
【0052】
車輪が道路上の障害物、例えば人工的なバンプ(隆起部)に衝突するという特定のシナリオを考えてみる。この制御戦略(それ自体は既知)の目的は、車両本体9を常に同じ垂直高さに保つように、ロータリアクチュエータ18をトルクおよび位置で制御し、これにより、障害物を越える際の車両本体9に対する車輪11の垂直変位によるばね16の力の不可避的変化を補償することである。
【0053】
Fsは、作用・反作用の原理により、ばねが車体に及ぼす力(従来は上向きであれば正とみなされていた)、および車輪に及ぼす力(従来は下向きであれば正とみなされていた)を示している。Vは車体と車輪の相対的な上下速度を表し、従来は伸び側を正とした。Fはロータリアクチュエータが車体に与える力を示し、従来は下方向を正とみなしていた。作用・反作用の原理により、ロータリアクチュエータは車輪に同じ大きさの力Fを与え、これは従来、上方向を正とみなしていた。
【0054】
このような符号の規則に従って、
図8の力F-速度V線図(図中、アクチュエータの速度Vと力Fが示されている。)について考えてみる。第1及び第3象限(ローマ数字のI及びIIIで示される)は、慣習上、ショックアブソーバの典型的な動作象限であり、従来のショックアブソーバは、サスペンションの運動エネルギを消散させ、本発明の電気機械回転式アクチュエータは、サスペンションの運動を減衰させると同時に、好ましくはサスペンションの運動エネルギを電気エネルギに再生し、これにより再生減衰とアクチュエータから電池への電気エネルギの流れが提供される。第2象限および第4象限(ローマ数字IIおよびIVで示す)は、それぞれ圧縮および伸長におけるサスペンションの能動的動作に対応するので、慣習的にショックアブソーバに許容されない動作象限であり、これらの2つの象限において、本発明の電気機械式ロータリアクチュエータは、バッテリからの電気エネルギの吸収を生じるサスペンションの動きを引き起こし、したがってバッテリからアクチュエータへの電気エネルギの流れを生じさせる。
【0055】
障害物横断中に発生する主な現象を以下のようにまとめる。ステップ1(
図7の左から1番目の構成)では、車両は平滑な道路を移動し、サスペンションスプリングは車体重量による垂直荷重を支え、サスペンションは垂直方向に移動せず(V=0)、ロータリアクチュエータの力Fはゼロである。
図8の力-速度面上では、この状態が原点に相当する。ステップ2において、車輪が障害物に乗り上げると、制御は、車体をステップ1の垂直高さと同じ垂直高さに維持しようとする。車輪が障害物に乗り上げて車両本体に近づくと、サスペンションは圧縮状態(V<0)にある。ばねはステップ1のときよりも圧縮され、車体には上方への直接弾性力Fsが作用する。この力Fsを補うために、ロータリアクチュエータは車体に等しい反対の下向きの力Fを作用させる必要がある。作用・反作用の原理により、ロータリアクチュエータは車輪に、等しく反対の上向きの力Fを作用させる。アクチュエータは、
図8の力-速度グラフの第2象限で動作し、これは圧縮時のアクティブ動作に対応する。実際には、このステップでは、アクチュエータは、車輪がバンプに追従するのを積極的に「助け」、車輪を車体側に引き寄せ、車体に移動効果を与えることはない。そのように動作する間、アクチュエータが車輪に及ぼす力Fと車輪の垂直速度が常に同じ方向であるため、アクチュエータはサスペンションに正の仕事をする(車体の垂直速度は理論的にはゼロであり、したがってアクチュエータが車体に及ぼす力Fの仕事も理論的にはゼロである)。なお、このように車体と負の車輪の相対速度Vの状況(圧縮)では、ショックアブソーバが車体と車輪の相対圧縮運動に対抗して、車体に上向きの力を作用させ、車体の上方移動を容易にし、したがって力-速度グラフの第3象限で動作する。
【0056】
ステップ3では、車輪が障害物の頂点に到達すると、制御戦略は依然としてステップ1、2のときと同じ垂直方向の高さに車体を維持することを目的としている。車輪が障害物の頂点にあるので、サスペンションの相対速度はゼロ(V=0)であるが、ばねはステップ2のときよりも圧縮され、車体に作用する弾性力Fsの値を上方に増加させる。この増加した力Fsを補うために、ロータリアクチュエータが車体に与える下向きの力Fの値を増加させる必要がある。作用・反作用の原理により、ロータリアクチュエータは車輪に等しく反対の力Fを作用させ、その結果、上方に向かわせる。アクチュエータは、正の力Fを作用させることにより、速度ゼロで動作し、
図8の力-速度グラフの縦軸上を第1象限と第2象限の間で動作し、これは速度ゼロでのアクティブ動作に対応する。実際には、このステップでは、アクチュエータは、車体に垂直変位の影響を与えることなく、車輪をバンプの頂点に能動的に維持し続ける。このように車体と車輪の相対速度Vがゼロの状況では、ショックアブソーバはゼロの力Fで反応し、力-速度グラフの原点で働くことになる。
【0057】
最後に、車輪が障害物から降りるステップ4において、制御戦略は再びステップ1~3のときと同じ垂直高さに車体を保つように制御する。車輪が障害物から降りて車体から離れると、サスペンションは伸長状態(V>0)になり、ばねは常に圧縮されて、車体に上向きの弾性力Fsを作用させる。この力Fsを補うために、ロータリアクチュエータは車体に等しく反対の下向きの力Fを作用させる必要がある。作用・反作用の原理により、ロータリアクチュエータは車輪に等しく反対の上向きの力Fを作用させる。そして、アクチュエータは、本体と車輪に前記伸長に対抗する力Fを作用させることによって伸長し、これにより、アクチュエータは、
図8の力-速度グラフの第1象限においてショックアブソーバとして機能し、これは伸長時の減衰動作に対応するものである。このとき、アクチュエータが車輪に及ぼす力Fと車輪の上下速度は、このステップの間、常に不一致の方向であるので、アクチュエータはサスペンションに対して負の仕事を行う(車体の上下速度は理論上ゼロであり、したがって、アクチュエータが車体に及ぼす力Fの仕事も理論上ゼロである)。この動作の間、アクチュエータはサスペンションの運動エネルギを電気エネルギに再生し、電気エネルギはアクチュエータからバッテリに流れる。
【0058】
最後に、第二の特定のシナリオとして、車輪が路面のディップ(窪み)に入る場合を考える。この場合にも、制御戦略(それ自体既知)の目的は、車両9の車体を常に同じ垂直高さに保つように、ロータリアクチュエータ18をトルクおよび位置で制御し、これにより、ディップを横切る際の車両9の車体に対する車輪11の垂直変位に起因するばね16の力の不可避な変化を補償することである。
【0059】
人工バンプの場合について既に例示した力と速度の符号に関する同じ慣例を考える。さらに、
図10の公知の力F-速度V線図を考える。この線図は、
図8の線図と全く同様であり、
図8について既に図示した象限に関する同じ考察が適用される。
【0060】
ディップを横切るときに起こる主な現象をまとめると、以下のとおりである。ステップ1(
図9の左から1番目の構成)では、車両は滑らかな道路上を移動し、サスペンションスプリングは車体の重量による垂直荷重を支え、サスペンションは垂直方向に動かず(V=0)、ロータリアクチュエータはゼロの力Fを発揮する。車輪がディップに入るステップ2では、車体をステップ1と同じ垂直方向の高さに保つように制御する。車輪がディップ内を下降して車体から離れると、サスペンションは伸長状態(V>0)にあるため、スプリングはステップ1のときよりも伸長し、したがって車体に下向きの追加の弾性力Fsを作用させる。この力Fsを補うために、ロータリアクチュエータは車体に等しく反対の上向きの力Fを作用させなければならない。作用・反作用の原理により、ロータリアクチュエータは車輪に等しく反対の下向きの力Fを作用させる。アクチュエータは、
図10の力-速度グラフの第4象限で動作し、これは伸長時のアクティブ動作に対応する。実際には、このステップにおいて、アクチュエータは、車輪が傾斜のプロファイルに従うのを積極的に「助け」、車輪を車体と反対方向に押し、車体に対して移動効果を持たずに、車輪を押す。このステップでは、アクチュエータが車輪に及ぼす力Fと車輪の垂直速度が常に同じ方向であるため、アクチュエータはサスペンションに正の仕事をする(車体の垂直速度は理論的にはゼロであり、したがってアクチュエータが車体に及ぼす力Fの仕事も理論的にはゼロである)。なお、このように車体と正の車輪の相対速度V(伸び)の状況では、ショックアブソーバは車体と車輪の伸びの相対運動に対抗し、車体に下向きの力を作用させ、それにより車体の底部への移動を容易にし、力-速度グラフの第1象限で動作する。
【0061】
ステップ3では、車輪はディップの最下点に到達しており、制御戦略は依然としてステップ1および2で行ったのと同じ垂直方向の高さに車体を維持することを目的としている。車輪がディップの最下点にあるため、サスペンションの相対速度はゼロ(V=0)であるが、ばねはステップ2のときよりも伸びて、車体に下方に作用する弾性力Fsの値を増加させる。この増加した力Fsを補うために、ロータリアクチュエータが車体に上向きに作用する上向きの力Fの値を増加させる必要がある。作用・反作用の原理により、ロータリアクチュエータは車輪に等しく反対の下向きの力Fを作用させる。アクチュエータは、負の力Fを作用させることにより、速度ゼロで動作する。したがって、
図10の力-速度グラフの縦軸上を第3象限と第4象限の間で動作し、これは速度ゼロの能動的動作に対応する。実際には、このステップでは、アクチュエータは、車体の垂直移動の影響を受けずに、車輪をディップの最下点に能動的に保持し続ける。このように車体と車輪の間の相対速度Vがゼロの状況では、ショックアブソーバはゼロの力Fで反応し、したがって力-速度グラフの原点で働くことになる。
【0062】
最後に、車輪がディップから上昇して脱出するステップ4では、再びステップ1からステップ3までと同じ垂直高さに車体を保つことを目的とした制御を行う。 車輪がディップから抜け出て車体に近づく間、サスペンションは圧縮状態(V<0)にあり、ばねは常に伸びているので車体に下向きに弾性力Fsを作用させる。この力Fsを補うために、ロータリアクチュエータは等しく反対の上向きの力Fを車体に作用させなければならない。作用・反作用の原理により、ロータリアクチュエータは等しく反対の下向けの力Fを車輪に働かせる。そして、アクチュエータは、本体と車輪に前記圧縮に対抗する力Fを作用させて圧縮動作を行うので、
図10の力-速度グラフの第3象限では、圧縮時の減衰動作に相当するショックアブソーバとして機能する。この際、アクチュエータが車輪に及ぼす力Fと車輪の上下速度は、このステップの間、常に不一致の方向であるため、アクチュエータはサスペンションに対して負の仕事を行う(車体の上下速度は理論上ゼロであり、したがってアクチュエータが車体に及ぼす力Fの仕事も理論上ゼロである)。そして、この動作中、アクチュエータはサスペンションの運動エネルギを電気エネルギに回生し、電気エネルギはアクチュエータからバッテリに向かって流れる。
【0063】
前述の説明に基づいて、回転式アクチュエータが、上述の車両ダイナミクスの制御戦略に基づいて、能動動作から減衰動作(好都合なことに回生)へ移行する方法が理解される。
【0064】
特に、(静的サスペンション力の均衡の中立状態から出発して)車輪がバンプに遭遇したとき、及び車輪がディップに遭遇したときの両方で、アクチュエータは、バンプの頂点、又はディップの最深点に達するまで、サスペンション運動の能動調整を実行するために、第1のステップにおいて、バッテリから電力を与えられ、その後に第2のステップとして、バッテリからの電力供給が中断されて、アクチュエータを発電機として働かせ、したがってサスペンション用のダンパーとして機能させることが可能である。
【0065】
実施形態によれば、車体9とハブ10との間の相対位置および速度を検出するステップは、電気機械20に組み込まれ、トルクおよび速度での制御を可能にするように適合された、角位置センサによって実施される。
【0066】
本発明による車両および方法の様々な態様および実施形態が説明されてきた。各実施形態は、他の任意の実施形態と組み合わされてもよいことが理解される。さらに、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内で変化させることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
車両本体(9)と、
車輪(11)を支持するように適合された少なくとも1つのハブ(10)であって、それによって前記車輪(11)が前記ハブ(10)の周りを回転可能である、ハブ(10)と、
前記ハブ(10)を前記車両本体(9)に接続し、前記ハブ(10)が前記車両本体(9)に対して垂直に枢動可能であるサスペンション(12)とを備え、
前記サスペンション(12)は、
前記車両本体(9)及び前記ハブ(10)にヒンジされたサスペンション
で固定されているサスペンションアーム(14)と、
前記サスペンションアーム(14)を、前記車両本体(9)に対する静的な力が均衡する所定の中立位置に向けてバイアスするように適合された、弾性手段(16)と、
前記車両本体(9)に一体的に接続され、減速機(22)に結合された電気機械(20)を含み、前記減速機(22)は少なくとも1つの減速段(23a、23b)を含み、前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)は、前記サスペンションアーム(14)を前記車両本体(9)に接続するヒンジ軸と平行な回転軸を有する出力軸(23c)を含む、電気機械回転式アクチュエータ(18)と、
前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)の前記出力軸(23c)によって前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)から前記サスペンションアーム(14)に運動を伝達するように適合されたレバレッジ(24)であって、前記レバレッジ(24)および前記減速段(23a、23b)の前記出力軸(23c)が、実質的に剛体として構成された部品を含む
又は該部品によって形成された、レバレッジ(24)と、
前記サスペンションアーム(14)の動きを示すパラメータを検出するように適合されたセンサ手段(26)と、
前記センサ手段(26)によって送信される信号に基づいて、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)の電気機械(20)のトルクおよび角度位置を制御するように適合された電子制御ユニット(28)と、
前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)への電力の供給と前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)からの電力の受け取りを交互に行うように適合されたバッテリ(30)であって、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、アクティブな調整状態と減衰状態との間を動作可能で、
前記調整状態にあっては、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、前記バッテリ(30)を起動して、前記車両本体(9)に対する前記サスペンションアーム(14)の相対動作を引き起こさせる力を前記レバレッジ(24)を介して前記サスペンションアーム(14)に伝達して、前記サスペンション(12)に正の動作を行なわせるように構成され、
前記減衰状態にあっては、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、前記バッテリ(30)を起動して、前記車両本体(9)に対する前記サスペンションアーム(14)の相対動作に対向する力を前記レバレッジ(24)を介して前記サスペンションアーム(14)に伝達して、前記サスペンション(12)に負の動作を行なわせるように構成された、バッテリ(30)とを有し、
前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、前記電子制御ユニット(28)の指令により、前記調整状態と前記減衰状態状態の間で作動可能であり、最大周波数が5Hzより高い前記サスペンションアーム(14)に運動を与えるか、または最大周波数が5Hzより高い前記サスペンションアーム(14)の運動を減衰させる、車両。
【請求項2】
テレスコープ式に伸縮可能な少なくとも2つの部分を有する円筒形の対(17)をさらに備え、前記少なくとも2つの部分のうちの1つはジョイントによって前記サスペンションアーム(14)に接続された一端を有し、前記少なくとも2つの部分のうちの他の1つは別のジョイントによって前記車両本体(9)に接続された一端を有する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記円筒形の対(17)は、前記サスペンションの動作の減衰作用を実質的に発揮しないように構成されている、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記円筒形の対(17)は、前記サスペンション(12)の動作の減衰作用を及ぼすように構成され、それにより、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)によって発生された前記減衰作用に追加する、請求項2に記載の車両。
【請求項5】
前記円筒形の対(17)は、従来の自動車用ショックアブソーバとして構成されている、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記弾性手段(16)は、
前記弾性手段(16)の第1端が、前記車両本体(9)に取り付け可能な前記円筒形の対(17)の部分に接続され、
前記弾性手段(16)の第2端が、前記サスペンションアーム(14)に取り付けられた前記円筒形の対(17)の部分に接続され、
前記レバレッジ(24)は、前記サスペンションアーム(14)に取り付けられた前記円筒形の対(17)の前記部分に接続されている、前記請求項1から5のいずれかに記載の車両。
【請求項7】
前記レバレッジ(24)は、
前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)の前記出力軸(23c)にねじりを伝えるように一体化されたレバー(24a)と、
前記請求項のいずれかに記載された車両。前記レバー(24a)に対して関節をなし、一端が前記サスペンションアーム(14)、または前記ハブ(10)、もしくは前記サスペンションアーム(14)に取り付けられた前記円筒形の対(17)の部分にヒンジ結合されたロッド(24b)とを有し、
前記レバー(24a)と前記ロッド(24b)は実質的に剛体として構成されている、請求項1~6のいずれかに記載の車両。
【請求項8】
前記減速機(22)は多段の遊星歯車列を有し、
前記減速機(22)は、前記車両本体(9)に一体的に取り付けられた前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)のハウジングに収容され、
前記遊星歯車列の各段(23a、23b)は、プラネットキャリアの複数のプラネットと噛み合うサンギヤを有し、
前記プラネットキャリアの前記複数のプラネットは、径方向外側にあるリングギヤと噛み合い、
前記遊星歯車列は、各段の入力が前記サンギヤであり、各段の出力が前記プラネットキャリアであるように構成され、
前記リング歯車が、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)の前記ハウジングに回転可能に固定されて一体化されている、請求項1から7のいずれかに記載の車両。
【請求項9】
前記減速機(22)は、2段の遊星歯車列からなり、1段目のプラネットキャリアは、レバレッジ(24)にねじり剛性で接続され、2段目のサンギヤは、電気機械(20)の軸にねじり剛性で接続されている、請求項8記載の車両。
【請求項10】
前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)は、弾性及び減衰手段(32)によって前記車両本体(9)に接続されている、請求項1から9のいずれかに記載の車両。
【請求項11】
前記電子制御ユニット(28)が電気機械装置(18)の内部に完全に統合されており、前記電気機械(20)の軸方向に延長部を形成している、請求項1から10のいずれかに記載の車両。
【請求項12】
前記少なくとも1つの減速段(23a、23b)の前記出力軸(23c)の回転軸は、前記サスペンションアーム(14)の前記車両本体(9)に対する前記ヒンジ軸と平行であり、一致しない、請求項1から11のいずれかに記載の車両。
【請求項13】
車両サスペンションの動きを調整する方法であって、
a) 請求項1~12のいずれかに記載の車両を提供するステップと、
b) 前記センサ手段(26)を介して、前記車両本体(9)と前記ハブ(10)との間の相対位置および相対速度を検出するステップと、
c) 前記電子制御ユニット(28)により、前記車両本体(9)と前記ハブ(10)との間の相互の動きが検出されると、電気機械式ロータリアクチュエータ(18)を、
c1) 前記ハブ(10)の動きが、前記ハブと前記車両本体(9)との間の距離が、サスペンション(12)の静的な力の均衡の中立状態において前記ハブ(10)が当該車体(9)から有する絶対距離に対して減少する傾向にある場合、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)に前記バッテリ(30)から電流を供給してトルクを発生させ、前記トルクが前記レバレッジ(24)によって前記サスペンションアーム(14)に伝達されて最大周波数F>5Hzで前記サスペンションアーム(14)に作用を生じ、前記ハブ(10)と前記車両本体(9)との間の相対速度が符号を変えない限り、前記ハブ(10)と前記車両本体(9)との間の距離をさらに減少させ、前記バッテリ(3)から前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)への電力供給を中断し、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)を発電機として機能させ、発生した電流(30)送信し、
c2) 前記ハブ(10)の移動が、前記ハブと前記車両本体(9)との間の距離が、前記サスペンション(12)の静的な力の均衡の中立状態において前記ハブ(10)が前記車両本体(9)から有する絶対距離に対して増加する傾向にある場合、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)に前記バッテリ(30)から電流を供給してトルクを発生させ、前記トルクが前記レバレッジ(24)によって前記サスペンションアーム(14)に伝達されて最大周波数F>5Hzで前記サスペンションアーム(14)に作用を生じ、前記ハブ(10)と前記車両本体(9)との間の相対速度が符号を変えない限り、前記ハブ10と前記車両本体9との間の距離をさらに増加させ、前記バッテリ(30)から前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)への電力供給を中断し、前記電気機械式ロータリアクチュエータ(18)を発電機として機能させ、発生した電流をバッテリ(30)に送信する、ステップと、を有する方法。
【請求項14】
前記ステップ(b)は、前記電気機械(20)に組み込まれ、トルクと速度の制御を可能にするように適合された、角度位置センサによって実行される、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】