IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パーシモン テクノロジーズ コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】高温用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20230627BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20230627BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B25J19/00 M
B25J9/06 A
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573142
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021035107
(87)【国際公開番号】W WO2021243325
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/031,883
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514062448
【氏名又は名称】パーシモン テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PERSIMMON TECHNOLOGIES, CORP.
【住所又は居所原語表記】200 Harvard Mill Square Wakefield, MA 01880 US
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ホシェク マルチン
(72)【発明者】
【氏名】シュクラ ヒマーンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハー トワン
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707CT04
3C707CV07
3C707CW07
3C707CY34
3C707HS27
3C707HT02
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA00
5F131CA02
5F131CA18
5F131CA32
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB76
5F131DD03
(57)【要約】
ロボット駆動部及びこれに接続されたロボットアームを備える装置。前記ロボットアームは、前記ロボット駆動部に接続された第1リンクと、第1回転可能接続部で前記第1リンクに回転可能に接続された第2リンクと、第2回転可能接続部で前記第2リンクに回転可能に接続されたエンドエフェクタとを備える。前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタの基板支持領域と前記第2回転可能接続部との間に位置するヒートチョークを備える。前記第1回転可能接続部及び前記第2回転可能接続部の少なくとも1つは回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ロボット駆動部と;
前記ロボット駆動部に接続されたロボットアームと;
を備え、
前記ロボットアームは、前記ロボット駆動部に接続された第1リンクと、第1回転可能接続部で前記第1リンクに回転可能に接続された第2リンクと、第2回転可能接続部で前記第2リンクに回転可能に接続されたエンドエフェクタとを備え;
前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタの基板支持領域と前記第2回転可能接続部との間に位置するヒートチョークを備え;
前記第1回転可能接続部及び前記第2回転可能接続部の少なくとも1つは回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える;
装置。
【請求項2】
前記ロボット駆動部は、駆動部ハウジングと、前記駆動部ハウジング内に移動可能に配されたスピンドルアセンブリとを有し、
前記スピンドルアセンブリは、同軸である複数の駆動軸と、それぞれ前記駆動軸に接続された複数のモータとを有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の駆動軸の外側の1つに配される第1の回転熱カップリングを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記回転熱カップリングが、前記第1回転可能接続部に位置する第2の回転熱カップリングと、前記第2回転可能接続部に位置する第3の回転カップリングとを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ロボットアームが、前記第1回転可能接続部及び前記第2回転可能接続部において前記第2リンク及び前記エンドエフェクタを回転させるように構成されたプーリー及びバンドを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1回転可能接続部が、複数の第1インターリーブメンバーを有する第1の回転熱カップリングを備え、
前記複数の第1インターリーブメンバーは、前記第1回転可能接続部の回転軸を中心に互いに相対的に回転可能である、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2回転可能接続部が、複数の第2インターリーブメンバーを有する第2の回転熱カップリングを備え、
前記複数の第2インターリーブメンバーは、前記第2回転可能接続部の回転軸を中心に互いに相対的に回転可能である、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ヒートチョークが、前記エンドエフェクタの第1部分と前記エンドエフェクタの第2部分とを接続する耐熱材を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ヒートチョークが前記第1部分を前記第2部分から離隔する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ヒートチョークが、前記エンドエフェクタの前記第1部分及び/又は前記第2部分の一部と交互配置される部分を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記エンドエフェクタが、前記ヒートチョークと前記エンドエフェクタの前記第1部分及び前記第2部分との接続部を囲む包囲材を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記ヒートチョークがそれぞれ異なる物質からなる複数の層を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つのヒートパイプを更に備え、該ヒートパイプの両端はそれぞれ、前記ロボットアームのリンクの少なくとも1つ及び/又は前記ロボットアームの回転熱カップリングに熱的に接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
装置であって、
ロボット駆動部と;
前記ロボット駆動部に接続されたロボットアームと;
を備え、
前記ロボットアームは、前記ロボット駆動部に接続された第1リンクと、第1回転可能接続部で前記第1リンクに回転可能に接続された第2リンクと、少なくとも1つの第2回転可能接続部で前記第2リンクに回転可能に接続された少なくとも1つの第3リンクとを備え;
前記少なくとも1つの第3リンクは、前記少なくとも1つの第3リンクの基板支持領域と前記第2回転可能接続部との間に位置するヒートチョークを備え;
前記第1回転可能接続部及び前記第2回転可能接続部の少なくとも1つは回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える;
装置。
【請求項15】
少なくとも1つのヒートパイプを更に備え、該ヒートパイプの両端はそれぞれ、前記ロボットアームのリンクの少なくとも1つ及び/又は前記ロボットアームの回転熱カップリングに熱的に接続される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
基板支持領域を有する第1の端部と反対側の第2の端部の間に位置するヒートチョークを有するエンドエフェクタを準備することと;
前記エンドエフェクタの前記第2の端部を回転接続部においてリンクに接続することと;
を含み、
前記リンク及び前記エンドエフェクタは、基板搬送ロボットのアームを少なくとも部分的に形成するよう構成され;
前記接続することは回転熱カップリングを提供することを含み、前記回転熱カップリングは、前記回転接続部において互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える;
方法。
【請求項17】
方法であって、
ロボットアームのエンドエフェクタ上に基板が位置するように前記ロボットアームを動かすことを含み;
ここで前記ロボットアームは、ロボット駆動部に接続された第1リンクと、第1回転可能接続部で前記第1リンクに回転可能に接続された第2リンクと、第2回転可能接続部で前記第2リンクに回転可能に接続された前記エンドエフェクタとを備え;
前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタの基板支持領域と前記第2回転可能接続部との間に位置するヒートチョークを備え;
前記第2回転可能接続部は回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備え;
前記方法は更に、前記ロボットアームから前記ロボット駆動部の外へ熱を伝達することを含み;
前記ヒートチョークは、前記基板支持領域から前記第2リンク及び前記第2回転可能接続部へ伝達されるべき熱を減少させることを助け;
前記第2回転可能接続部における前記回転熱カップリングは、前記エンドエフェクタから前記第2リンクへの熱伝達を増加させることを助ける;
方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記第1回転可能接続部は第1回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備え;
前記ロボットアームから前記ロボット駆動部の外へ熱を伝達することは、前記第1回転可能接続部における第1の回転熱カップリングが、前記第2リンクから前記第1リンクへの熱伝達を増大させることを支援する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的かつ非限定的な実施形態は、一般に、高温のペイロードを取り扱うことができ、例えば半導体ウェハ処理システムなどの、高温環境での動作に適したロボットに関する。
【先行技術の簡単な説明】
【0002】
米国特許第10,569,430号は、ロボット駆動部およびアームにおける熱伝達を開示しており、その全体が参照により本明細書に援用される。米国特許第10,424,498号(参照することによりその全体が本書に組み込まれる)は、冷却剤を供給するためのサービスループを開示している。米国特許第10,541,167号(参照することによりその全体が本書に組み込まれる)は、熱伝導を開示している。
【摘要】
【0003】
以下の摘要は例示に過ぎない。この摘要は、特許請求の範囲を限定するようには意図されていない。
【0004】
第1の捉え方によれば、例示的な装置が提供されうる。この装置はロボット駆動部と、前記ロボット駆動部に接続されたロボットアームとを備える。
ここで前記ロボットアームは、前記ロボット駆動部に接続された第1リンクと、第1回転可能接続部で前記第1リンクに回転可能に接続された第2リンクと、第2回転可能接続部で前記第2リンクに回転可能に接続されたエンドエフェクタとを備える。
前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタの基板支持領域と前記第2回転可能接続部との間に位置するヒートチョークを備える。
前記第1回転可能接続部及び前記第2回転可能接続部の少なくとも1つは回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える。
【0005】
別の捉え方によれば、例示的な装置が提供されうる。この装置はロボット駆動部と、前記ロボット駆動部に接続されたロボットアームとを備える。
ここで前記ロボットアームは、前記ロボット駆動部に接続された第1リンクと、第1回転可能接続部で前記第1リンクに回転可能に接続された第2リンクと、少なくとも1つの第2回転可能接続部で前記第2リンクに回転可能に接続された少なくとも1つの第3リンクとを備える。
前記少なくとも1つの第3リンクは、前記少なくとも1つの第3リンクの基板支持領域と前記第2回転可能接続部との間に位置するヒートチョークを備える。
前記第1回転可能接続部及び前記第2回転可能接続部の少なくとも1つは回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える。
【0006】
別の捉え方によれば、例示的な方法が提供されうる。この方法は、
基板支持領域を有する第1の端部と反対側の第2の端部の間に位置するヒートチョークを有するエンドエフェクタを準備することと;
前記エンドエフェクタの前記第2の端部を回転接続部においてリンクに接続することと;
を含み、
前記リンク及び前記エンドエフェクタは、基板搬送ロボットのアームを少なくとも部分的に形成するよう構成され、
前記接続することは回転熱カップリングを提供することを含み、前記回転熱カップリングは、前記回転接続部において互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える。
【0007】
別の捉え方によれば、例示的な方法が提供されうる。この方法は、
ロボットアームのエンドエフェクタ上に基板が位置するように前記ロボットアームを動かすことを含む。
ここで前記ロボットアームは、ロボット駆動部に接続された第1リンクと、第1回転可能接続部で前記第1リンクに回転可能に接続された第2リンクと、第2回転可能接続部で前記第2リンクに回転可能に接続された前記エンドエフェクタとを備える。
前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタの基板支持領域と前記第2回転可能接続部との間に位置するヒートチョークを備える。
前記第2回転可能接続部は回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える。
前記方法は更に、前記ロボットアームから前記ロボット駆動部の外へ熱を伝達することを含む。
前記ヒートチョークは、前記基板支持領域から前記第2リンク及び前記第2回転可能接続部へ伝達されるべき熱を減少させることを助け、
前記第2回転可能接続部における前記回転熱カップリングは、前記エンドエフェクタから前記第2リンクへの熱伝達を増加させることを助ける。
【図面の簡単な説明】
【0008】
前述の捉え方や他の特徴について、添付図面を参照しつつ以下に説明する。
【0009】
図1A】本明細書に記載される特徴を備えるロボットの上面図である。
【0010】
図1B図1Aに示すロボットの側面図である。
【0011】
図2図1A~1Bに示すロボットの概略断面図である。
【0012】
図3A】回転式熱カップリングの一例を示す模式的断面図である。
【0013】
図3B】回転式熱カップリングの他の例を示す模式的断面図である。
【0014】
図3C】ヒートチョーク、ヒートパイプ、および接合部の熱カップリングを備える実施例を示す模式図である。
【0015】
図4図1A図2に示した実施例のロボットの熱モデルを簡略化したブロック図である。
【0016】
図5】従来のロボットの図2と同様の模式的断面図である。
【0017】
図6図5に示したロボットの熱モデルを簡略化したブロック図である。
【0018】
図7図7A~7Bは、一例のヒートチョークと、ロボットアームの第3リンクと前記ヒートチョークとの接続を示す、概略断面図および上面図である。
【0019】
図8図8A~8Bは、一例のヒートチョークと、ロボットアームの第3リンクと前記ヒートチョークとの接続を示す、概略断面図および上面図である。
【0020】
図9】一例のヒートチョークと、ロボットアームの第3リンクと前記ヒートチョークとの接続を示す概略断面図である。
【0021】
図10】一例のヒートチョークと、ロボットアームの第3リンクと前記ヒートチョークとの接続を示す概略断面図である。
【0022】
図11図11A~11Bは、一例のヒートチョークと、ロボットアームの第3リンクと前記ヒートチョークとの接続を示す、上面図及び概略断面図である。
【0023】
図12】例示的な方法のいくつかのステップを示すブロック図である。
【0024】
図13】例示的な方法のいくつかのステップを示すブロック図である。
【0025】
図14】1つのアームリンク及び複数のヒートチョークの構造例を示す上面図である。
【0026】
図15】1つのアームリンク及び複数のヒートチョークの構造例を示す断面図である。
【0027】
図16】アームリンクのフレーム部材の内部のヒートチョークの構造例を示す断面図である。
【0028】
図17】複数のアームリンクにおける複数のヒートチョークの位置を説明するための上面図である。
【実施形態の詳細説明】
【0029】
図1A~1Bを参照すると、例示的な実施形態の特徴を組み込んだ装置10の上面図及び側面図が示されている。図面に示された例示的な実施形態を参照してこれらの特徴を説明するが、これらの特徴は多くの代替的な実施形態で具現化できることが理解されるべきである。また、適切な任意のサイズ、形状若しくはタイプの要素又は材料を使用することができる。
【0030】
図1A~1Bの例示的な実施形態では、装置は、駆動ユニット12と、ロボットアーム14と、制御システム16とを備えるロボットである。制御システム16は、少なくとも1つのプロセッサ18と、ソフトウェア又はコード22を備える少なくとも1つのメモリ20とを備えてもよい。制御システムは、駆動ユニット12内の(そしておそらくアーム14内の)モータの動きを制御し、駆動ユニット12内、及び/又はアーム14内、及び/又はロボット10の外部などのセンサーから信号を受信するように構成される。ロボット10の例示的な実施形態の簡略化された断面図が、図2に図式的に提供されている。
【0031】
図2も参照すると、図示の例では、駆動ユニット12は、基板搬送チャンバの壁54に対して動かないように取り付けられ得るハウジング50と、ハウジング50の内部に位置し、ロボットアーム14を少なくとも部分的に作動させるように構成されたスピンドルアセンブリ52とを備える。スピンドルアセンブリ52は、この例では、スピンドルハウジング56と、1つ以上のモータと、1つ以上の駆動軸とを備える。図3に示す例では、スピンドルアセンブリ52は、3つのモータMT1、MT2、MT3と3つの駆動軸T1、T2、T3とを備える。しかし代替例では、3よりも少ない数のモータ及び駆動軸が用いられてもよい。モータのステータはスピンドルハウジング56に取り付けられてもよく、モータのロータは駆動軸T1、T2、T3に取り付けられてもよい。図2の例では、3本の軸T1,T2,T3は、同軸の駆動軸である。外側の軸が軸T1、外側の軸と内側の軸との間の軸が軸T2、内側の軸が軸T3である。
【0032】
この実施例では、駆動ユニットは、垂直リフト機構24を更に備える。垂直リフト機構24は例えば、スピンドルアセンブリ52を垂直方向に昇降させるように構成された、1つ以上のリニアレール軸受機構及びモータ駆動ボールねじとで構成されてもよい。
【0033】
図2に示されるように、スピンドルハウジング(及び/又は軸T1を支持し得るオプションのネック)は、冷却剤入管路58及び冷却剤出管路60によって示されるように液冷されてもよい。駆動ユニットが垂直リフト機構24を特徴とする場合、液体冷却剤は、(実施例によってはスピンドルモータの動作に関連する電気接続手段及び導線と共に、)サービスループを介してスピンドルハウジングの内外に流されてもよい。
【0034】
駆動ユニットが垂直リフト機構を特徴とする場合に特に好都合な別の例として、ロボットのフレームは、例えばハウジングフレーム50のように液体冷却されてもよい。また、スピンドルハウジング56から駆動ユニットのフレーム50に熱が伝達されてもよい。このとき熱は、放射によって伝達されるだけなく、スピンドルハウジング56と駆動ユニットのフレーム50との間の大気環境62を通る伝導及び対流を介して熱が伝達されてもよい。この場合、熱伝達のために利用可能な有効面積は、望ましくは、スピンドルハウジング56及び駆動ユニットのフレーム50上の1つ又は複数の交互配置された垂直フィンを利用することによって増加させてもよい。この構成は、ロボット駆動部のフレーム50に対するスピンドルハウジング56の垂直運動を可能にしてもよい。また、液体冷却剤をサービスループを通して流すことを必ずしも要しなくてもよい。
【0035】
また、最近のロボットで多く用いられている、スピンドルハウジングの強制空冷を採用してもよい。
【0036】
ロボットアーム14が基板搬送チャンバ内の真空環境で動作する可能性があることを考慮すると、駆動ユニットのスピンドルアセンブリ52は、軸T1~T3又はこれらの上部が真空環境にあることを可能にし得るシーリング及び他の特徴を備えてもよい。一例として、モータのロータとステータの間に配される実質的に円筒形の分離バリア64が利用されてもよい。分離バリア64は、分離バリア64のステータ側(外側)には大気環境が、分離バリアのロータ側(内側)には真空環境が含まれるように配される。この場合、軸T1、T2、T3は、全体として真空環境内に位置し得る。別の例として、軸T1、T2、T3の上部が大気環境62から真空環境63に突出することを可能にするように、磁性流体シールのような回転シールが利用されることがある。
【0037】
ロボットアーム14は、適切な機械的カップリングによって互いに結合され得る1つまたは複数のリンクを備えてもよい。図2の例では、3つのリンク66、68、70が回転ジョイントを介して互いに結合されているのが示されている。第3リンク70は、例えば半導体基板などのペイロード72をその上に支持するように構成された基板支持領域71を有するエンドエフェクタを構成している。
【0038】
本明細書では次の用語が使用されている。
例示したロボットアームの第1リンク66はリンク1又は上腕と呼ばれ、第2リンク68はリンク2又は前腕と呼ばれ、第3リンク70はリンク3又はエンドエフェクタと呼ばれる。
スピンドルアセンブリ52とリンク1との間の回転ジョイント74は肩関節と呼ばれ、リンク1とリンク2との間の回転ジョイント76は肘関節と呼ばれ、リンク2とリンク3との間の回転ジョイント78は手首関節と呼ばれる。
【0039】
リンク3はペイロード72を運ぶように構成されてもよい。一例としてリンク3は、半導体ウェハをピックし、搬送し、置くために適したエンドエフェクタを含んでもよい。
【0040】
リンク3は、ペイロードに隣接する第1の部分(部分1)80と、手首関節に隣接する第2の部分(部分2)82と、これら2つの部分80,82の間のヒートチョーク84とで構成されてもよい。ヒートチョーク84は、リンク3の第1部分80からリンク3の第2部分82への熱伝達を制限するように構成されてもよい。ヒートチョーク84を通って伝達される熱の量は、その熱抵抗によって制御されてもよい。この熱抵抗は、リンク3の第1の部分80とリンク3の第2の部分82の温度との間の所望のバランスを達成するために他の設計パラメータと一緒に選択され得る。ヒートチョーク84は、例えば、セラミックのような熱伝導率の低い材料の一部のような形態で実装されてもよい。ヒートチョークは耐熱材で構成されてもよい。耐熱材(リフラクトリー,refractory)とは、熱、圧力、又は化学的攻撃による分解に耐性があり、高温でも強度及び形状を保持する物質である。耐熱材は一般に、多結晶、多相型、無機物、非金属、多孔質、不均質である。それらは一般的に、例えばシリコンやアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウムのような物質の酸化物や、炭化物若しくは窒化物のような非酸化物から構成されている。ニオブ、クロム、ジルコニウム、タングステン、レニウム、タンタルなどの、融点が1850℃を超える金属も耐熱材として考えられる場合がある。
【0041】
図2に示すように、リンク1(上腕)66は駆動軸T1に接続されてもよい。リンク2(前腕)68は、回転ジョイント(肘関節)76を介してリンク1に結合され、伝達機構を用いて軸T3によって作動されてもよい。この伝達機構は、軸T3に取り付けられうる第1の肩プーリーと、リンク2に取り付けられうる第1の肘プーリーと、2つのプーリー間で運動を伝達しうるバンド、ベルト又はケーブル86とを備えてもよい。
【0042】
リンク3は、別の回転ジョイント(手首関節)を介してリンク2に結合され、二段階の伝達機構を介して作動させられてもよい。伝達機構の第1段は、第2の肩プーリー、第2の肘プーリー、及び2つのプーリー間で運動を伝達し得るバンド、ベルト又はケーブル88から構成されてもよい。伝達機構の第2段は、第3の肘プーリー、手首プーリー、及び2つのプーリー間で運動を伝達し得る別のバンド、ベルト又はケーブル90から構成されてもよい。図2に示すように、第2の肩プーリーは軸T2に取り付けられてもよく、第2の肘プーリーは第3の肘プーリーに接続されてもよく、手首プーリーはリンク3に取り付けられてもよい。
【0043】
ロボットアームの機械的カップリングの1つ又は複数は、対応する機械的カップリングによって接続されたリンクの間で熱を伝達するように構成された1つ又は複数の熱的カップリングによって補完されることができる。再び図2の例を参照すると、この特定の例のアームの回転ジョイント、すなわち肩関節74、肘関節76及び手首関節78の各々は、それぞれ回転熱カップリング92、94、96によって補完される。
【0044】
図3Aに示すように、例示的な回転熱カップリング30は2つの部分32,34を有してもよい。これらの部分はそれぞれ1つ又は複数の実質的に円筒状の面を有することを特徴とする。これらの円筒面は対応する回転ジョイントと同軸に配される。また、熱カップリングの一方の部分上の円筒面が熱カップリングの他方の部分上の反対側の円筒面に面するように配される。各部分の間には、表面が互いに接触しないように小さな隙間が設けられている。対向する円筒状面は、回転熱カップリングの対向する円筒状面の間のギャップを横断する放射を介して熱を伝達するように構成されてもよい。この放射のメカニズムは、環境に残留ガスが存在する場合、回転熱動力カップリングの対向する円筒状面の間の環境を介した対流/伝導によって補完されてもよい。
【0045】
図3Aの例に示されるように、有効面積を増加させ、例示的な回転熱カップリングによって占められる体積を最小にするために、実質的に円筒形の特徴32a、34aの配列が回転熱カップリングの2つの部分の各々に設けられてもよい。これら2つの配列は交互配置方式で配置されてもよい。
【0046】
代替的に、図3Bの例に描かれているように、回転熱カップリング40の2つの部分42,44は、対向するディスク形状の特徴42a,44aを提供してもよい。これらの特徴42a,44aは、これらの間のギャップを横断して非接触熱伝達が行われるように構成される。別の代替案として、円錐形及び球形に限定されない回転熱カップリングの有効な構造の任意の他の適切な形状、及びそれらの組み合わせが利用されてもよい。
【0047】
回転熱カップリングの有効面は、熱放射率を向上させるように処理されてもよい。例えば、回転熱カップリングの2つの部分をアルミニウムで作り、有効面を陽極酸化してもよい。
【0048】
例示的な回転熱カップリングがロボットアームの2つのリンク間の熱伝達を可能とするために、例示的な回転電力カップリングのある部分が一方のリンクに取り付けられ、例示的な回転電力カップリングの他の部分が隣接するリンクに取り付けられてもよく、その配置は上記2つのリンクを接続する回転ジョイントと実質的に同軸であってもよい。あるいは、回転熱カップリングの特徴は、ロボットアームのリンクに直接組み込まれてもよい。
【0049】
ロボットアームのリンクは、例えばアルミニウム合金やステンレス鋼のような熱伝導率の高い材料で作られてもよい。ロボットアームのリンクが熱伝導率の高い材料で作られている場合、各リンクの接続部の間の温度勾配(差)は無視できると見なすことができる。ロボットアームのリンクの1つ以上が長い場合、ロボットアームのリンクの1つ以上の断面積が小さい場合、及び/又はロボットアームのリンクの1つ以上の材料が十分な熱伝導性を提供しない場合、図3Cに図式的に描かれているように、ロボットアームの当該1つ以上のリンクを通る熱伝達は、1以上のヒートパイプの使用により改善されてもよい。
【0050】
ヒートパイプは、熱伝導と相転移の原理を利用して、2つの熱伝導性界面間で熱を伝達する装置である。ヒートパイプは、一端に高温の界面、他端に低温の界面を持つ密閉されたチューブ状の筐体と、ウィック構造、作動流体で構成されてもよい。ヒートパイプの動作原理は次のように説明することができる。高温側では、液体状態の作動流体が熱伝導性の高い高温側界面に接触し、高温側界面から熱を吸収して蒸気に変化する。この蒸気はヒートパイプに沿って低温界面に移動し、そこで凝縮して液体状態に戻り、潜熱を放出する。このプロセスにより、ヒートパイプの高温側と低温側の界面間の実効熱伝導率が高くなる。
【0051】
例えば手首関節の回転熱カップリング402から肘関節の回転熱カップリング404への前腕(リンク2)を通じた熱移動を促進又は補完するために、例えば、図3Cに図解的に示されているように、1つ以上のヒートパイプ400、401が利用されてもよい。同様に、図3Cにも図式的に示されているように、1つ又は複数のヒートパイプ401が、例えば、肘関節の回転熱カップリング404から肩関節の回転熱カップリング406に、上腕(リンク1)を通して熱を伝達するように構成されてもよい。
【0052】
1つ又は複数のヒートパイプ400、401の高温及び低温インターフェース(高温端及び低温端)は、ロボットアームのリンク又はロボットアームの回転熱カップリングに機械的及び熱的に最小限の熱抵抗で接続されてもよい。一例として、クランプ、接着、ポッティング、はんだ付け又はろう付けが、この目的のために使用されてもよい。本明細書に記載されるような特徴を有する、例示的な実施形態は、1つ以上のヒートチョークと1つ以上のヒートパイプとを備えて提供され得る。例えば、ロボットアームのエンドエフェクタリンクに1つ以上のヒートチョークが設けられてもよい。また、これらのヒートチョークの背後、例えば他のリンクやジョイント、駆動部の1つ以上において、又はこれらの間などに、ヒートパイプが設けられてもよい。また、エンドエフェクタの少なくとも一部にヒートパイプが設けられてもよい。例えば、図1Aを参照すると、1つ又は複数のヒートパイプが、エンドエフェクタ70の一部(ヒートチョーク84とジョイント78との間)、リンク68、リンク66、及び/又は駆動部50に設けられ得る。このように、ヒートチョークとヒートパイプの両方を組み合わせて、ロボットアームにおける熱伝達の制御に役立てることができる。一例の実施形態では、装置は、ヒートチョークを使用せずに単に1つ又は複数のヒートパイプから構成されてもよい。別の例では、ヒートパイプではなく熱伝達デバイスを使用して、ロボットアームの一部から、エンドエフェクタから間隔を置いた領域への熱伝達を(そしておそらくロボットアームの外に向かう熱伝達を)促進することを支援することができる。
【0053】
図4にこのロボットの簡略化した熱モデルを示す。図中及び本文中では以下の命名法を用いている(アルファベット順)。
A1: リンク1(上腕)の外表面積(m
A1S: 肩関節熱カップリングの有効面積(m
A2: リンク2(前腕)の外表面積(m
A21: 肘関節熱カップリングの有効面積(m
A3: リンク3の第1部分の外部表面積(m
A32: 手首関節熱カップリング有効面積(m
AS: スピンドルハウジングの外表面積(m
FC: スピンドルハウジング冷却液の流量(l/min)
P: ロボットアーム環境圧力(Torr)
P01: 周囲環境からリンク1へ伝わる熱量(W)
P02: 周囲環境からリンク2へ伝わる熱量(W)
P03: ペイロード及び周囲環境からリンク3に伝わる熱量(W)
P1SRJ: 回転ジョイントを通じてリンク1からスピンドルハウジングに伝わる熱量(W)
P1STC: 熱カップリングを通じてリンク1からスピンドルハウジングに伝わる熱量(W)
P21RJ: 回転ジョイントを通じてリンク2からリンク1に伝わる熱量(W)
P21TC: 熱カップリングを通じてリンク2からリンク1へ伝わる熱量(W)
P32RJ: 回転ジョイントを通じてリンク3からリンク2に伝わる熱量(W)
P32TC: 熱カップリングを通じてリンク3からリンク2へ伝わる熱量(W)
P0S: 周囲環境からスピンドルハウジングに伝わる熱量(W)
PM: スピンドルモータの発熱量(W)
PMS: スピンドルモータからスピンドルハウジングに伝わる熱量(W)
PSC: スピンドルハウジングから冷却媒体に伝わる熱量(W)
T01: リンク1の周囲の温度(℃)
T02: リンク2の周囲の温度(℃)
T03: リンク3の第1部分の周囲の温度(℃)
T0S: スピンドルの周囲の温度(℃)
T1: リンク1(上腕)の温度(℃)
T2: リンク2(前腕)の温度(℃)
T31: リンク3の第1部分(ペイロードとヒートチョークの間)の温度(℃)
T32: リンク3の第2部分(ヒートチョークと手首関節の間)の温度(℃)
TC: スピンドルハウジング冷却液の入口温度(℃)
TERA: ロボットアームリンクの外表面の熱放射率
TETC: 熱カップリングの有効表面の熱放射率
TM: スピンドルモータの温度(℃)
TS: スピンドルハウジングの温度(℃)
【0054】
図4に示すように、ロボットの主要構成要素は、熱モデルにおいて、(discrete lumped thermal mass)により表現される。この主要構成要素には、スピンドルハウジングや、リンク1(上腕)、リンク2(前腕)、リンク3の第1部分(ペイロードとヒートチョーク間)、リンク3の第2部分(ヒートチョークと手首関節間)が含まれる。
【0055】
例示のロボットが高温のペイロードを扱い高温環境で動作することが期待されることを考慮すると、ペイロードから、及びペイロードが摘出されたり載置されたりしる環境から、リンク3に熱が伝達されうることが想定される。(これは、図4の「熱源」ブロックによって表される。熱モデリングの目的のために、熱源は、上記に定義したように温度T03によって特徴づけられる場合がある。)図4に示すように、リンク1及びリンク2に、その周囲から熱が伝達されうることも、想定されている。熱伝達のメカニズムは、周囲からの放射だけでなく、環境に残留ガスが存在する場合には、対流や伝導を含んでもよい。同様に、図4に示すように、スピンドルハウジングは、スピンドルモータから熱を受け取る可能性があり、また、周囲の大気環境や他の周囲環境から熱を受け取る可能性がある。
【0056】
図4の例では、スピンドルハウジングの液冷という手段でロボットの熱を除去することを想定している。
【0057】
熱モデルのパラメータと入力の例を表1に示す。一例として、パラメータは、真空環境下での半導体ウェハ処理システムにおけるマテリアルハンドリングロボットを表すことができる。
【表1】
【0058】
表1に示すように、リンク3の第1部分の周囲の温度は400℃であると選択されているが、これは例えば、ロボットによって運ばれるウェハの温度や、ウェハが摘出又は載置される可能性のあるプロセスモジュールの温度を表す場合がある。リンク1とリンク2の周囲の温度は200℃であると選択されているが、これは例えば、ロボットアームが動作する真空搬送室の壁面の温度を表す場合がある。スピンドルハウジングは、表1に示すように、入口温度20℃、流量2.8l/minの水冷式であると仮定した。
【0059】
比較のため、上記のロボットに対応する既存のロボットであって、既存技術で最も新しい型のロボットを図5に図示した。図に示すように、ロボットアームのリンク3にはヒートチョークがなく、回転熱ジョイントは存在しない。しかし回転ジョイント自体から多少の熱が伝わる可能性はあり、スピンドルハウジングは空冷式である。
【0060】
図5の従来型ロボットの簡略化された熱モデルを図6のブロック図に示す。リンク3はヒートチョークを備えていないため、熱モデルにおいて単一の熱質量で表現される。この熱モデルにおいて、回転熱カップリングは存在しない。また、スピンドルハウジングの強制空冷が考慮される。
【0061】
比較のため、同じ熱モデルパラメータと入力を使用している。熱性能の比較結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
表1と表2を比較してわかるように、本実施例のロボットのリンクの温度は、従来型で最新のロボットと比較してかなり低くなっている。特に、リンク3の手首関節に隣接する部分(リンク3の第2部分)の温度は385℃から約85℃と管理可能なレベルに低下し、リンク2の温度は213℃から約80℃に、リンク1の温度は178℃から約60℃に低下した。これは、ロボットアームの構成部品の温度が過度に上昇した場合の問題(熱膨張の問題、ベアリングの寿命低下、潤滑油の早期分解、ロボットアームに組み込まれうるセンサーや電子機器などのアクティブコンポーネントの熱損傷など)に対して直接に対処するものである。
【0064】
ヒートチョークに関して使用されるサイズ、形状、及び材料や、第3リンク70の第1及び第2部分80、82との接続方法は、例えばペイロード72の予想重量や、ペイロード及び基板処理チャンバの温度などのロボットの動作環境に基づいて、適宜選択され得る。図7A~7Bも参照すると、ヒートチョークが、金属製の第1及び第2部分80、82の指部100、102に動かないように取り付けられた飛び飛び部分を有する耐熱材からなる一例が示されている。図7Aは断面図、図7Bは上面図である。材料を結合するために、噛み合うような形状が使用されてもよく、ヒートチョークは、例えば、第1及び第2の部分上に成形されてもよい。また、代替的に又は追加的に、留め具が使用され得る。留め具の使用例が図8A及び8Bに示されている。ヒートチョークが第1部分及び第2部分の一部の間に挟まれている。当該一部がサンドイッチ構造における上部プレート及び下部プレートを形成し、留め具104がこれらの層を一緒に取り付けるようになっている。留め具104は、2つの部分80、82の間でこれらの部分に直接接触して構造的な補強として機能してもよいし、これら2つの部分80、82に直接接触しないようにしてもよい。
【0065】
図9も参照すると、この例では、耐熱材の2つの層84a、84bが使用され、金属の第1及び第2の部分80、82の薄い指部100、102は、耐熱材との接合部における構造的完全性を高めるために単に互いに直接接触し得る。図10も参照すると、この例では、ヒートチョークは、金属第1及び第2部分80、82の一部の間にサンドイッチ型に配された異なる耐熱材の複数の層84c、84d、84eを有する。図11A~11Bは、接着剤又は耐熱材からのガスのガス漏れを防止し、リンク70からホコリや耐熱材の断片が剥がれ落ちるのを防止するために、例えば高温エポキシなどの物質110がヒートチョークの第1及び第2の部分との接合部に適用されてもよいことを例示するものである。代替例では、任意の適切な高温耐熱材カバーが接合部に設けられてもよい。耐熱材は、少なくとも部分的に、第1及び第2の部分の一方又は両方の内部に配置されてもよい。
【0066】
上記の実施例は、回転ジョイントを有する3リンクロボットアームに関して特徴を説明しているが、本明細書に記載されるような特徴を備えるロボットは、任意の適切なアーム機構を利用してもよい。限定されるものではないが、そのようなアーム機構には、様々なシリアル機構及びパラレル機構が含まれる。更に、限定されるものではないが、ロボットアーム機構は、回転ジョイントやプリズムジョイント(prismatic joint)、球面ジョイント(spherical joint)を含む、様々な機械的カップリングを用いてもよい。更に、上記の例では、単一のロボットアームを有するロボットが紹介されているが、ロボットは、複数のアームを有することを特徴としてもよい。
【0067】
明細書に開示される特徴は、ロボットアームによって運ばれるペイロードから発せられる熱及びロボットアームの周囲から発せられる熱の悪影響に対処するために使用され得る。ロボットアームが受け取る熱は、適切な冷却機構によって除去されない場合、ロボットアームの構成要素の温度の過度の上昇をもたらし、その結果、熱膨張の問題、ベアリングの寿命低下、潤滑剤の早過ぎる劣化がもたらされる花王製があり、また、ロボットアームに統合され得るセンサー及び電子機器等の能動部品の熱損傷が生じる可能性がある。ロボットアームの冷却のメカニズムは、真空環境用途において特に挑戦的なものである。というのも、伝導や対流現象がほとんど又は全く存在せず、ロボットアームの内部強制空気冷却又は液体冷却が実用的な選択肢ではないであろうからである。本明細書に開示される特徴は、かかる困難な状況下でも適用可能な解決策を提供するために使用することができる。
【0068】
ある例示的実施形態は、ロボット駆動部及びこれに接続されたロボットアームを備える装置である。
前記ロボットアームは、前記ロボット駆動部に接続された第1リンクと、第1回転可能接続部で前記第1リンクに回転可能に接続された第2リンクと、第2回転可能接続部で前記第2リンクに回転可能に接続されたエンドエフェクタとを備える。
前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタの基板支持領域と前記第2回転可能接続部との間に位置するヒートチョークを備える。
前記第1回転可能接続部及び前記第2回転可能接続部の少なくとも1つは回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える。
【0069】
前記ロボット駆動部は、駆動部ハウジングと、前記駆動部ハウジング内に移動可能に配されたスピンドルアセンブリとを有してもよい。
前記スピンドルアセンブリは、同軸である複数の駆動軸と、それぞれ前記駆動軸に接続された複数のモータとを有する。前記装置は、前記複数の駆動軸の外側の1つに配される第1の回転熱カップリングを備えてもよい。前記回転熱カップリングは、前記第1回転可能接続部に位置する第2の回転熱カップリングと、前記第2回転可能接続部に位置する第3の回転カップリングとを備えてもよい。前記ロボットアームは、前記第1回転可能接続部及び前記第2回転可能接続部において前記第2リンク及び前記エンドエフェクタを回転させるように構成されたプーリー及びバンドを備えてもよい。前記第1回転可能接続部は、複数の第1インターリーブメンバーを有する第1の回転熱カップリングを備えてもよい。
前記複数の第1インターリーブメンバーは、前記第1回転可能接続部の回転軸を中心に互いに相対的に回転可能である。前記第2回転可能接続部は、複数の第2インターリーブメンバーを有する第2の回転熱カップリングを備えてもよい。
前記複数の第2インターリーブメンバーは、前記第2回転可能接続部の回転軸を中心に互いに相対的に回転可能である。前記ヒートチョークは、前記エンドエフェクタの第1部分と前記エンドエフェクタの第2部分とを接続する耐熱材を有してもよい。前記ヒートチョークは前記第1部分から前記第2部分を離隔してもよい。前記ヒートチョークは、前記エンドエフェクタの前記第1部分及び/又は前記第2部分の一部と交互配置される部分を有してもよい。。前記エンドエフェクタは、前記ヒートチョークと前記エンドエフェクタの前記第1部分及び前記第2部分との接続部を囲む包囲材を有してもよい。前記ヒートチョークはそれぞれ異なる物質からなる複数の層を有してもよい。前記ロボットアームは少なくとも1つのヒートパイプを更に備えてもよい。該ヒートパイプの両端はそれぞれ、前記ロボットアームのリンクの少なくとも1つ及び/又は前記ロボットアームの回転熱カップリングに熱的に接続される。
【0070】
図12を参照すると、例示的な方法が提供されうる。この方法は、ブロック200に示されるように、基板支持領域を有する第1の端部と反対側の第2の端部の間に位置するヒートチョークを有するエンドエフェクタを準備することと;ブロック202に示されるように、前記エンドエフェクタの前記第2の端部を回転接続部においてリンクに接続することとを含み、
前記リンク及び前記エンドエフェクタは、基板搬送ロボットのアームを少なくとも部分的に形成するよう構成され、
前記接続することは回転熱カップリングを提供することを含み、前記回転熱カップリングは、前記回転接続部において互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える。
【0071】
図13を参照すると、例示的な方法が提供されうる。この方法は、ブロック300に示されるように、ロボットアームのエンドエフェクタ上に基板が位置するように前記ロボットアームを動かすことを含む。
ここで前記ロボットアームは、ロボット駆動部に接続された第1リンクと、第1回転可能接続部で前記第1リンクに回転可能に接続された第2リンクと、第2回転可能接続部で前記第2リンクに回転可能に接続された前記エンドエフェクタとを備える。
前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタの基板支持領域と前記第2回転可能接続部との間に位置するヒートチョークを備える。
前記第2回転可能接続部は回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備える。前記方法は更に、ブロック302に示されるように、前記ロボットアームから前記ロボット駆動部の外へ熱を伝達することを含む。
前記ヒートチョークは、前記基板支持領域から前記第2リンク及び前記第2回転可能接続部へ伝達されるべき熱を減少させることを助け、前記第2回転可能接続部における前記回転熱カップリングは、前記エンドエフェクタから前記第2リンクへの熱伝達を増加させることを助ける。
前記第1回転可能接続部は第1回転熱カップリングを備え、前記回転熱カップリングは、互いに対して回転可能な複数のインターリーブメンバーを備えてもよい。
前記ロボットアームから前記ロボット駆動部の外へ熱を伝達することは、前記第1回転可能接続部における第1の回転熱カップリングが、前記第2リンクから前記第1リンクへの熱伝達を増大させることを支援する。
【0072】
ヒートチョークに関する追加の代替例を図14図17に示す。図14は、複数のヒートチョークがリンク70'に沿って別々の長さで提供されてもよいことを示している。これらはまた、1つ以上の異なる耐熱材、及び1つ以上の異なるサイズ及び形状から構成されてもよい。図15は、複数の耐熱部材が、単一の金属部材内のポケットに挿入され得ることを示している。おそらく、上下又は左右などの別々の側からである。リンク70"は、部材84を受け入れるために格子形状又は複数のポケット形状を有する単一の金属フレーム部材を有してもよい。またはリンク70"は、部材84を、格子形状又は複数のポケット形状の中に成形又は形成させることができる。図16は、リンク70"の一体型フレーム部材が、部材84を受容する閉じた又は実質的に閉じたポケット73を有してもよいことを示す。ポケット73への開口部は、付属のドア、ハッチ又は他のカバーなどの任意の適切な手段によって組み立て後に閉鎖され得る。図17は、アーム14'が2つ以上のリンクに2つ以上のヒートチョークを有し得ることを例示している。図17において、第3リンク70はヒートチョーク84を有する。ヒートチョーク84は、基板支持領域71よりも回転ジョイント78に近い(リンク70の前部よりも後部により近い)。また第2リンク68'はヒートチョーク84'を有する。ヒートチョーク84'は、回転ジョイント76よりも回転ジョイント78に近い(リンク68'の後部よりも前部により近い)。このように、複数のリンクがヒートチョークを有してもよい。リンク上のヒートチョークの位置は、長手方向の任意の適切な位置であってよい。これらの位置は異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0073】
なお、上述の説明は単なる例であることも理解しなければならない。当業者は種々の変形および修正を考えることができるだろう。例えば、特許請求の範囲にある種々の従属請求項に記載の特徴は、任意適当な組合せで互いに組合せ可能である。加えて、前述した様々な実施形態からの特徴を選択的に組合せて新たな実施形態とすることも可能である。したがって本願は、添付の特許請求の範囲に含まれる変更や修正,変形等の全ての事項を包含するものである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】