(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】極地海洋工事用鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 38/00 20060101AFI20230627BHJP
C21D 8/02 20060101ALI20230627BHJP
C22C 38/60 20060101ALI20230627BHJP
C22C 38/14 20060101ALI20230627BHJP
C21C 5/28 20060101ALI20230627BHJP
C21C 5/35 20060101ALI20230627BHJP
C21C 1/02 20060101ALI20230627BHJP
C21C 7/06 20060101ALI20230627BHJP
C21C 7/10 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C22C38/00 301A
C21D8/02 B
C22C38/60
C22C38/14
C21C5/28 H
C21C5/35
C21C1/02 101
C21C7/06
C21C7/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574230
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2021098735
(87)【国際公開番号】W WO2022022066
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】202010826396.0
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522434738
【氏名又は名称】莱蕪鋼鉄集団銀山型鋼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】323007250
【氏名又は名称】山東鋼鉄股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG IRON AND STEEL COMPANY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】麻 衡
(72)【発明者】
【氏名】王 中学
(72)【発明者】
【氏名】王 騰飛
(72)【発明者】
【氏名】王 月香
(72)【発明者】
【氏名】孫 正旭
(72)【発明者】
【氏名】張 慶普
(72)【発明者】
【氏名】何 康
(72)【発明者】
【氏名】張 佩
(72)【発明者】
【氏名】霍 孝新
【テーマコード(参考)】
4K013
4K014
4K032
4K070
【Fターム(参考)】
4K013BA05
4K013BA08
4K013CA13
4K013CC01
4K013EA16
4K013EA18
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4K032CD06
4K070AB01
4K070AB04
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4K070BA07
4K070BA12
4K070BC02
4K070EA01
4K070EA03
4K070EA30
(57)【要約】
本発明は、極地海洋工事用鋼板及びその製造方法を開示する。質量百分率で、鋼板の成分組成は、C:0.06~0.09%、Si:0.20~0.35%、Mn:1.48~1.63%、Nb:0.020%~0.035%、Ti:0.010%~0.020%、V:0.020%~0.035%、Ni:0.08%~0.17%、Als:0.015%~0.040%、P:≦0.013%、S:≦0.005%である。前記鋼板の製造方法は、一次製錬、精錬、鋳造を含み、鋳片を得て、その後に徐冷する。徐冷後の鋳片を加熱し、その後に圧延を行い、鋼板を得て、前記鋼板を冷却すればよい。該鋼種は高強度、耐低温、溶接しやすく、耐腐食性などの優れた総合性能を有し、かつ低温時効衝撃靭性が良好である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極地海洋工事用鋼板であって、質量百分率で、前記鋼板の成分組成は、C:0.06~0.09%、Si:0.20~0.35%、Mn:1.48~1.63%、Nb:0.020%~0.035%、Ti:0.010%~0.020%、V:0.020~0.035%、Ni:0.08%~0.17%、Als:0.015%~0.040%、P:≦0.013%、S:≦0.005%、N:≦0.006%、B:≦0.005%であり、残部はFe及び不可避的不純物であり、かつCEV≦0.39%、Pcm≦0.20%、ただし、
CEV=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15、
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B≦0.20%である、
ことを特徴とする極地海洋工事用鋼板。
【請求項2】
質量百分率で、前記鋼板の成分組成は、C:0.06~0.075%、Si:0.20~0.28%、Mn:1.48~1.58%、Nb:0.020%~0.035%、Ti:0.013%~0.018%、V:0.030~0.045%、Ni:0.08%~0.12%、Als:0.025%~0.040%、P:≦0.013%、S:≦0.005%であり、残部はFe及び不可避的不純物であり;
好ましくは、前記鋼板の成分組成において、VとNiの質量百分率含有量は、0.211C+0.041Mn+0.738Nb+1.19Ti≦V+Ni≦0.318C+0.065Mn+0.943Nb+1.867Tiである関係式を満たす、
ことを特徴とする請求項1に記載の極地海洋工事用鋼板。
【請求項3】
鋼板の質量に基づいて、前記不可避的不純物における各成分の質量百分率含有量は、H≦0.0002%、O≦0.003%、As≦0.007%、Sb≦0.010%、Sn≦0.020%、Pb≦0.010%、Bi≦0.010%及びCa≦0.005%である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の極地海洋工事用鋼板。
【請求項4】
溶銑及びスクラップを一次製錬し、一次溶鋼を得て、その後に前記一次溶鋼を精錬し、鋳造し、鋳片を得て、その後に前記鋳片を徐冷する、製錬鋳造ステップと、
前記徐冷の後の前記鋳片を加熱し、熱い鋳片を得る、加熱ステップと、
前記熱い鋳片を圧延し、鋼板を得る、圧延ステップと、
前記鋼板を冷却し、前記極地海洋工事用鋼板を得る、冷却ステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の極地海洋工事用鋼板の製造方法。
【請求項5】
前記製錬鋳造ステップにおいて、上下複合吹錬転炉の条件下で前記一次製錬を行い、好ましくは、前記一次製錬の前に、KR前処理を採用して前記溶銑を脱硫し、脱硫後の前記溶銑中の硫黄含有量は、≦0.015wt%であり、
好ましくは、前記スクラップ/(溶銑+スクラップ)≦8wt.%であり、より好ましくは、ニッケル板は前記スクラップに伴って添加され、
好ましくは、前記製錬鋳造ステップの一次製錬において、ダブルスラグプロセスを採用して前記一次製錬を行い、二次スラグ生成製錬の最終スラグ塩基度をR=3.0~4.0に制御し、好ましくは、一回キャッチカーボン方法を採用し、好ましくは、スラグを一次製錬の終点の前の3~4minに添加し終わり、出鋼の前期にアルミニウムマンガン鉄を添加して脱酸し、一次溶鋼が四分の一程度に出鋼される時、金属マンガン、ニオブ鉄、バナジウム鉄、フェロシリコン鉄合金を添加し、溶鋼が四分の三程度に出鋼される時に添加を完了する、
ことを特徴とする請求項4に記載の極地海洋工事用鋼板の製造方法。
【請求項6】
前記製錬鋳造ステップにおいて、前記精錬はLF+RH精錬であり、
好ましくは、LF精錬プロセスにおいて、全工程底吹きアルゴン撹拌を行い、アルミニウム粒、炭化カルシウムを用いて脱酸を行い、出場の前のトップスラグは黄白スラグ又は白スラグであり、黄白スラグ又は白スラグの保持時間は10分間以上であり、好ましくは、精錬末期にチタン線を投入し、最終スラグ塩基度を2.5以上に制御し、
好ましくは、LF精錬プロセスにおいて、金属マンガン、フェロシリコン、ニオブ鉄、バナジウム鉄合金を用いて成分微調整を行い、
好ましくは、前記RH精錬において、脱気時間が5min以上であり、ただし、前記RH精錬において、カルシウムアルミニウム線を投入して石灰化処理を行い、出場の前にソフトブローを行い、ソフトブロー時間が12min以上である、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の極地海洋工事用鋼板の製造方法。
【請求項7】
前記鋳造において、全工程保護鋳造を採用し、液相線温度が1515~1525℃であり、過熱度が17℃以下を要し、扇形セグメントの鋳片凝固末端に軽圧下技術を採用し、鋳片をピットに導入し、60時間以上積層徐冷する、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の極地海洋工事用鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記加熱ステップにおいて、前記加熱の速度が10min/cmより大きく、均熱時間が40min以上であり、加熱後、前記熱い鋳片から高圧水でリンを除去する、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の極地海洋工事用鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記圧延ステップにおいて、前記圧延は、粗圧延と仕上げ圧延の二つの段階で圧延を制御し、前記粗圧延は再結晶領域圧延であり、仕上げ圧延は未再結晶領域圧延であり、好ましくは、前記仕上げ圧延の圧延開始温度が860~960℃であり、前記仕上げ圧延の圧延最終温度が820~840℃である、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の極地海洋工事用鋼板の製造方法。
【請求項10】
前記冷却ステップにおいて、前記鋼板の厚さが6~14mmである場合、前記冷却は空冷であり、
好ましくは、前記鋼板の厚さが14~40mmである場合、前記冷却はACC水冷であり、入水温度は770~780℃であり、出水温度は600~650℃であり、前記水冷の後に鋼板をストレートニングする、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の極地海洋工事用鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極地用鋼板製造技術分野に属し、具体的には極地海洋工事用鋼板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中におけるエネルギー不足の日増しに伴い、前世紀、欧米などの先進国は海洋資源の開発を強力に増加させ、アメリカ湾、北米で数多くの海洋プラットフォームを構築し、海洋工事用鋼の発展を推進した。海洋プラットフォームは波、潮汐、ストーム及び極寒流氷などの厳しい海洋作業環境に応用され、総重量が数百トンを超える井戸掘削装置を支持している。これらの使用特徴は海洋プラットフォーム用鋼が高強度、高靭性、耐低温、耐疲労、耐ラメラティアー、良好な溶接可能性及び冷間加工性、及び耐海水腐食などの性能指標を有する必要があることを決定し、これは作業者の生命安全を保証することと、海洋プラットフォーム用鋼の耐用年数を向上させることと、海洋資源を開発することとに対して重要な意味を与えた。北極は、常に低温(最低気温が零下52摂氏度に達する)にあり、海洋工事用鋼板に対する強度レベルの要求がより高く、かつ全ての厚さ範囲内の鋼板の強度が一致するように要求し、これも鋼材の製造難度を大幅に増加させた。前世紀では、中国の海洋工事用鋼の大部分は輸入に頼っており、21世紀に入った後、中国の冶金業界の飛躍的な発展に伴い、EH36以下のプラットフォーム用鋼については国産化を完全に実現したが、要部に使用される高性能鋼板は依然として輸入に依存している。
【0003】
現在、高強靭性、耐低温海洋鋼板に対する特許が多いが、一般的に合金含有量が高く、プロセスフローが複雑で低温靭性が不足するなどの欠点が存在している。以下、いくつかの類似する特許を簡単に説明する。
【0004】
中国特許出願CN102851611Bには、「耐深水圧力ハウジング用超高強靭性鋼板及びその製造方法」が開示されており、該特許に係る鋼板合金成分においてC、Si、Mn、P、S、Cr、Mo、Ni、Cu、Ti、Als、V、N、Ca元素の含有量はいずれも要求され、合金元素の種類及び含有量は本願の含有量をはるかに超え、必然的にそのコストの増加をもたらし、かつその製鋼工程において成分の正確な制御難度が大きい。該鋼板の製造プロセスはTMCP+QTであり、製造プロセスが複雑で製造コストが高い。
【0005】
中国特許出願CN103060715Bには、「低降伏比を有する超高強靭性鋼板及びその製造方法」が開示されており、該特許に係る鋼板合金成分においてC、Si、Mn、P、S、Cr、Mo、Ni、Nb、Ti、Al、V、N、O、Ca、B元素の含有量はいずれも要求され、合金元素の種類及び含有量は本願の含有量をはるかに超え、必然的にそのコストの増加をもたらし、かつその製鋼工程において成分の正確な制御難度が大きい。該鋼板の製造プロセスは熱間圧延+焼入れ+低温焼戻しであり、プロセスフローが複雑であり、かつ製造コストが高い。該特許で製造された鋼板は破断した後に伸び率が低く、低温衝撃靭性が不足し、複雑な極端な環境でのサービス要求を満たすことができない。
【0006】
中国特許出願CN108728743Bには、「低温破壊靭性が良好な海洋工事用鋼及びその製造方法」が開示され、該特許に係る鋼板の製造プロセスは熱間圧延+二回焼き入れ+低温焼戻しであり、プロセスフローが複雑であり、熱処理コストが高く、高効率低コストの量産化工業生産に不利であり、かつ低温時効衝撃靭性が不足である。
【0007】
中国特許出願CN104674117Aには、「420MPa級海洋工事用鋼板及びその製造方法」が開示され、該特許に係る鋼板合金成分においてC、Si、Mn、P、S、Nb、Ti、Al、V、Cu元素の含有量はいずれも要求され、かつ該特許に添加されたCuは銅脆化現象をもたらし、それにより熱間圧延工程で結晶間割れ現象が発生し、また本願における他の合金元素の含有量はいずれも該特許に比べても高くない。該特許に係る鋼板は高い可塑性を有するが、低温衝撃靭性は本願より低く、かつ時効衝撃性能に言及されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術に存在する不足及び欠陥に対して、本発明の目的は、海洋工事用鋼板及びその製造方法を提供することである。該鋼種はコストが相対的に低く、低温靭性が高く、プロセスが簡単で操作しやすく、かつ高強度、耐低温、溶接しやすく、耐疲労性などの優れた総合性能を有し、低温時効衝撃靭性、厚さ方向性能の均一性及びバッチ間の性能安定性が良好である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が技術的問題を解決するために採用する技術的解決手段は以下のとおりである。
【0010】
極地海洋工事用鋼板であって、質量百分率で、前記鋼板の成分組成は、C:0.06~0.09%、Si:0.20~0.35%、Mn:1.48~1.63%、Nb:0.020%~0.035%、Ti:0.010%~0.020%、V:0.020~0.035%、Ni:0.08%~0.17%、Als:0.015%~0.040%、P:≦0.013%、S:≦0.005%であり、残部はFe及び不可避的不純物であり;かつCEV≦0.39%、Pcm≦0.20%、ただし、CEV=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15、Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5Bである。本発明の革新的な成分配合比及びNi合金元素の添加は効果的な強化効果を生成し、同時に鋼板の強靭性及び低温靭性を向上させ、さらに銅脆化現象を低減し、熱間圧延工程の結晶間割れを軽減し、鋼板の耐食性を向上させることができる。
【0011】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、質量百分率で、前記鋼板の成分組成は、C:0.06~0.075%、Si:0.20~0.28%、Mn:1.48~1.58%、Nb:0.020%~0.035%、Ti:0.013%~0.018%、V:0.030~0.045%、Ni:0.08%~0.12%、Als:0.025%~0.040%、P:≦0.013%、S:≦0.005%であり、残部はFe及び不可避的不純物である。
【0012】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記鋼板の成分組成において、VとNiの質量百分率含有量は、0.211C+0.041Mn+0.738Nb+1.19Ti≦V+Ni≦0.318C+0.065Mn+0.943Nb+1.867Tiである関係式を満たす。
【0013】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、鋼板の質量に基づいて、前記不可避的不純物における各成分の質量百分率含有量は、H≦0.0002%、O≦0.003%、AS≦0.007%、Sb≦0.010%、Sn≦0.020%、Pb≦0.010%、Bi≦0.010%及びCa≦0.005%である。
【0014】
Nb:元素ニオブの添加は、鋼板圧延ミクロ組織の結晶粒微細化を促進するためであり、強度及び靭性を同時に向上させることができ、ニオブは制御圧延工程においてオーステナイト再結晶を抑制することにより、ミクロ組織を効果的に微細化し、かつ強化マトリックスを析出させることにより、Nb含有鋼を高い温度で圧延して微細な結晶粒組織を得ることができる。しかしNb含有量が高すぎると、フェライトδ相又は他の脆性相を生成し、その靭性を低下させ、熱間加工性能が悪化する。溶接工程において、ニオブ原子の偏析及び析出は、加熱時のオーステナイト結晶粒の粗大化を阻害し、かつ溶接後に比較的細かい熱影響領域組織を得ることを保証し、溶接熱影響領域の性能を改善する。Nb含有量が0.01%未満である場合に、鋼の性能に対する作用効果が小さく、0.05%を超える場合、鋼の溶接性能及び靭性がいずれも低下し、鋼板の性能を制御してより好ましい効果を達成するために、本発明はNb含有量を0.02%~0.035%に制御する。
【0015】
Ti:TiはC、N元素と炭化物、窒化物又は炭窒化物を形成することができ、鋳片加熱、製造工程においてオーステナイト結晶粒が長すぎることを抑制し、高い結晶粒微細化効果を有し、鋼板の低温靭性を改善する。より重要なことは、溶接プロセスにおける熱影響領域の結晶粒成長を抑制し、熱影響領域の靭性を改善することであるが、0.04%を超える場合に大粒子TiNを形成しやすくて微細結晶効果を失い、合金コスト及び鋼板性能を総合的に考慮し、本発明は、Ti含有量を0.01%~0.02%に制御する。
【0016】
V:鋼において固溶強化の作用を果たすことができ、低い温度で圧延する時にV(C、N)分散析出を生成し、転位の運動を阻害し、オーステナイト中に大量の転位を有し、相変形核を促進し、最終組織を微細化し、TMCP鋼板の強度及び靭性を向上させ、過熱感受性を減少させ、熱安定性を向上させる。Vの添加量が0.020%未満であると、析出したV(C、N)が少なすぎ、超高強度鋼板の強度を効果的に向上させることができない。V添加量が0.080%より高いと、鋼板の低温靭性、伸び率、溶接性能及び溶接後の応力除去熱処理(SR)を損害し、合金コスト及び鋼板性能を総合的に考慮し、本発明は、V含有量を0.02%~0.035%に制御する。
【0017】
Ni:固溶強化作用を有し、合金鋼に安定なオーステナイト組織を形成させ、オーステナイト再結晶を抑制し、結晶粒サイズを微細化することができるため、Niは鋼板強度、伸び率及び低温靭性を同時に向上させる機能を有し、鋼にNiを添加すると銅含有鋼の銅脆化現象を低減し、熱間圧延工程の結晶間割れを軽減し、鋼板の耐大気腐食性を向上させることができる。したがって理論的には、鋼のNi含有量は、一定の範囲内で高ければ高いほど良いが、高すぎるNi含有量は溶接熱影響部を硬化し、鋼板の溶接性及び溶接後に応力熱処理(SR)を除去することに不利である。しかし十分なNi含有量は、鋼板が十分な焼入れ性を有し、板厚方向性能が均一であることを保証すると同時に、鋼板のプラスチック靭性を確保するため、本発明はNi含有量を0.08%~0.17%に制御する。
【0018】
Als:鋼中のAlsは鋼中のフリー窒素を固定することができ、鋼板、溶接HAZの低温靭性を改善し、かつAlNの分散析出は加熱工程でオーステナイト結晶粒成長が大きく、オーステナイト結晶粒サイズを均一に微細化し、衝撃靭性を向上させる。アルミニウムは、耐酸化性及び耐腐食性をさらに有するが、過剰なAl含有量は鋼の介在物の数が多くなり、介在物のサイズが大きくなり、鋼板の内部品質が低下し、鋼の熱間加工性能、溶接性能及び切削加工性能に影響を与えるため、本発明はAlsの含有量を0.015%~0.04%に制御する。
【0019】
N:N元素の含有量が高すぎると粗大なTiNが形成され、AlNが元のオーステナイト粒界に析出し、鋼板と溶接熱影響部の衝撃靭性と塑性を損害する。同時に、N原子は鋼中の欠陥に濃縮され、気孔とポロシティを形成し、さらに鋼板の力学的性質を悪化させる。したがって、鋼中Nが除去されにくいことを考慮し、本発明におけるN含有量は≦0.006%に制御される。
【0020】
B:含有量が高すぎると鋼板中の粒界に濃縮し、それにより粒界エネルギーを低下させ、鋼板を冷却工程で低温変態組織を形成させ、鋼板の低温衝撃性能及び疲労性能を低下させる。したがって、本発明におけるBの添加量≦0.005%である。
【0021】
O:元素が鋳片に残存するか又は表層に拡散し、粒界を酸化して脆性の酸化物中間層を形成しやすく、オーステナイト結晶粒を遮断することにより、その後の変形加工において結晶間割れを引き起こし、それにより鋼板強度及び可塑性を著しく低下させ、したがってOの含有量をできるだけ制御する。鋼板の可塑性と低温靭性を確保するために、鋼中介在物を低減する必要があり、ここで酸化アルミニウムの介在危害が最大であるため、鋼中のO含有量≦0.003%である。
【0022】
H:水素元素の存在は白点を生成させるため、Hの含有量≦0.0002%を制御する。
【0023】
Ca:鋼にCa処理を行い、一方で溶鋼をさらに清浄にすることができ、他方で介在物形態を効果的に制御することができ、鋼中硫化物、酸化物に対して変性処理を行い、それを変形不可能で、安定に微細な球状硫化物に変化させ、Sの熱脆性を抑制し、鋼板の低温靭性、伸び率及びZ方向性能を向上させ、鋼板靭性の異方性と溶接性を改善する。残留するCa含有量が高すぎると、Ca(O、S)のサイズが大きくなりすぎ、クラスター又はビーム状の介在物を増加させ、脆性も増大し、破断亀裂の開始点となり、鋼の低温靭性、伸び率及び鋼板の溶接性を低下させ、同時に鋼質の清浄度を低下させ、溶鋼を汚染するため、鋼中のCa含有量≦0.005%である。
【0024】
CEV:炭素当量指標を制御することは鋼板の強度及び溶接可能性を保障することに役立ち、本発明のCEVは≦0.39%に制御される。
【0025】
Pcm:低温割れ感受性係数を制御することは製品の溶接性能を保障することに役立ち、本発明のPcmは≦0.20%に制御される。
【0026】
極地海洋工事用鋼板の製造方法であって、
溶銑及びスクラップを一次製錬し、一次溶鋼を得て、その後に前記一次溶鋼を精錬し、鋳造し、鋳片を得て、その後に前記鋳片を徐冷する、製錬鋳造ステップと、
前記徐冷の後の前記鋳片を加熱し、熱い鋳片を得る、加熱ステップと、
前記熱い鋳片を圧延し、鋼板を得る、圧延ステップと、
前記鋼板を冷却し、前記極地海洋工事用鋼板を得る、冷却ステップと、を含む。
【0027】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記製錬鋳造ステップにおいて、上下複合吹錬転炉の条件下で前記一次製錬を行い、好ましくは、前記一次製錬の前に、KR前処理を採用して前記溶銑を脱硫し、脱硫後の前記溶銑中の硫黄含有量は、≦0.015wt%である。
【0028】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記製錬鋳造ステップにおいて、スクラップが一定の不純物元素を持ち込むことを考慮し、前記スクラップ/(溶銑+スクラップ)≦8wt.%(例えば5wt.%、6wt.%、7wt.%)であり、好ましくは、ニッケル板は前記スクラップに伴って添加される。
【0029】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記製錬鋳造ステップの一次製錬において、ダブルスラグプロセスを採用して前記一次製錬を行い、二次スラグ生成製錬の最終スラグ塩基度をR=3.0~4.0に制御し、好ましくは、一回キャッチカーボン方法を採用し、好ましくは、スラグを一次製錬の終点の前の3~4minに添加し終わり、出鋼の前期にアルミニウムマンガン鉄を添加して脱酸し、一次溶鋼が四分の一程度に出鋼される時、金属マンガン、ニオブ鉄、バナジウム鉄、フェロシリコン鉄合金を添加し、溶鋼が四分の三程度に出鋼される時に添加を完了する。
【0030】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記製錬鋳造ステップにおいて、前記精錬はLF+RH精錬である;好ましくは、LF精錬プロセスにおいて、全工程底吹きアルゴン撹拌を行い、アルミニウム粒、炭化カルシウムを用いて脱酸を行い、出場の前のトップスラグは黄白スラグ又は白スラグであり、黄白スラグ又はスラグ保持時間は10分間(例えば11分、13分、15分など)以上である。チタンは極めて酸化しやすいため、精錬末期にチタン線を供給し、脱硫効果を制御するために、最終スラグ塩基度を2.5以上(例えば2.7、2.9、3.1等)に制御することを要求する。
【0031】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記製錬鋳造ステップにおいて、LF精錬プロセスにおいて、金属マンガン、フェロシリコン、ニオブ鉄、バナジウム鉄合金を用いて成分微調整を行う。
【0032】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記RH精錬において、脱気時間が5 min以上であり、ただし、前記RH精錬において、カルシウムアルミニウム線を投入して石灰化処理を行うことにより、介在物の形態を改善し、介在物を効果的に除去し、出場の前にソフトブローを行い、ソフトブロー時間が12min以上である。
【0033】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記製錬鋳造ステップにおいて、前記鋳造において、全工程保護鋳造を採用し、液相線温度が1515~1525℃(例えば1517℃、1519℃、1521℃、1523℃)であり、過熱度が17℃以下を要し、扇形セグメントの鋳片凝固末端に軽圧下技術を採用し、鋳片をピットに導入し、60時間以上積層徐冷し、鋳片が冷却工程で生成した組織応力及び熱応力を十分に低減する。
【0034】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記加熱ステップにおいて、前記加熱の速度が10min/cmより大きく、ビレットが均一に焼損することを保証し、均熱時間が40min以上であり、鋳片を加熱し(加熱炉から出す)、加熱後、前記熱い鋳片から高圧水でリンを除去する。
【0035】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記圧延ステップにおいて、前記圧延は、粗圧延と仕上げ圧延の二つの段階で圧延を制御し、粗圧延は再結晶領域圧延であり、結晶粒が長くなりすぎることを防止するために、仕上げ圧延を未再結晶領域圧延に制御し、好ましくは、仕上げ圧延の圧延開始温度を860~960℃(例えば870℃、890℃、910℃、930℃、950℃)に制御し、仕上げ圧延の圧延最終温度を820~840℃(例えば825℃、830℃、835℃)に制御する。
【0036】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記冷却ステップにおいて、前記鋼板の厚さが6~14mmである場合、前記冷却は空冷である。
【0037】
上記極地海洋工事用鋼板において、好ましい実施形態として、前記冷却ステップにおいて、前記鋼板の厚さが14~40mmである場合、前記冷却はACC水冷であり、入水温度は770~780℃(例えば772℃、774℃、776℃、778℃)であり、出水温度は600~650℃(例えば610℃、620℃、630℃、640℃)であり、前記水冷の後に鋼板をストレートニングする。本発明の出水温度は、鋼板の性能均質化の程度をより高くすることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、従来技術に比べて以下の積極的な効果を有する。
1)本発明は、Nb、V、Ti、Niを添加するマイクロ合金成分設計を採用し、Ni合金元素の析出強化作用及び製造工程の組織制御技術を十分に発揮し、微細に分布されたパーライト+フェライト混合組織を取得し、少ない合金含有量で優れた強度、可塑性及び低温靭性を取得することができ、これは合金コスト及び製造コストをさらに低減するだけでなく、鋼板の溶接性能及び溶接割れ感受性を改善し、対応するユーザ加工製造コストを低減する。本願においてCuを添加せず、銅脆化現象による熱間圧延工程で結晶間割れ現象の発生を解消又は低減させ、逆にNi合金を添加し、固溶強化及び細粒強化効果により強靭性を向上させることができる。
2)本発明で得られた鋼板は優れた性能を有する。即ち、上降伏強度はいずれも420MPa以上であり、引張強度はいずれも540MPa以上であり、切断後伸び率はいずれも21%以上であり、-40℃の低温横方向衝撃力はいずれも250J以上であり、-40℃の低温縦方向時効衝撃力はいずれも250J以上である。
3)該鋼種は極寒地の海洋工学発展にうまく適応し、高強度、耐低温、溶接しやすく、耐腐食性などの優れた総合性能を有し、かつ低温時効衝撃靭性、厚さ方向性能の均一性及びバッチ間の性能安定性が高く、長期に低温環境でのサービス鋼板の需要に適応することができ、極寒地の海洋工学に広く応用できる鋼板製品を開発するために技術的支持を提供する。
4)本熱延鋼板は安価なMn元素を用いて固溶強化を行い、製鋼工程における成分、清浄度及びガス含有量を制御することにより、良好な鋳片原料を提供する。その後に二段階の圧延制御及び冷却制御プロセスを行い、粗圧延段階において大気圧下でさらに結晶粒を微細化し、仕上げ圧延段階で未再結晶領域の制御圧延で大量の転位を形成しかつ結晶粒成長を効果的に阻止し、性能を向上させ、マイクロ合金化及び組織調整制御技術によりさらに強靭化し、鋼板の厚さ方向の組織性能の均一性を制御し、鋼板が高強度であると同時に良好な低温靭性を有することを確保する。本方法で製造された低コスト420MPa級海洋工事用鋼板は簡易成分系で高強度、耐低温、溶接しやすく、耐疲労性などの優れた総合性能を有し、低温時効衝撃靭性、厚さ方向性能の均一性及びバッチ間の性能安定性の制御が良好であり、極寒環境で長期間サービスすることができ、極寒地の様々な工程に広く応用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点を強調して表現するために、以下に実施例を参照して本発明をさらに説明するが、例示的な本発明の解釈形態であり本発明を限定するものではない。本発明の技術的解決手段は以下に列挙される具体的な実施形態に限定されるものではなく、さらに各具体的な実施形態の間の任意の組み合わせを含む。
【0040】
本明細書に開示された任意の特徴は、特に記載がない限り、いずれも他の等価又は類似する目的を有する代替特徴により置換されてもよい。特に記載しない限り、各特徴は一連の等価又は類似する特徴の一例である。
【0041】
1)製錬:転炉投入溶銑にKR前処理脱硫を適用し、上下複合吹錬転炉で製錬し、次にLF+RH精錬を行い、全フローにおいて成分、清浄度及びガス含有量の制御を行い、連続鋳造工程は全工程保護鋳造を採用し、鋳片は下糸巻き又は徐冷ピットに入れて徐冷を行い、徐冷時間は60時間以上である。
【0042】
ここで、炉投入原料は、転炉プロセス技術要求を満たす必要があり、高炉溶銑にはKR前処理脱硫を適用し、炉投入溶銑の硫黄含有量≦0.015%であり、脱硫が完了した後に溶銑表面のスラグを除去し、装入量を厳しく制御し、装入量誤差が±2トンである。ニッケル板はスクラップに伴って添加され、スクラップの添加量は総装入量の8%を超えない。
【0043】
ダブルスラグプロセス製錬を採用し、最終スラグ塩基度をR=3.0~4.0に制御し、一回キャッチカーボン方法を採用し、スラグが終点の前に3minで完了する。スラグ閉止し出鋼して、大量のスラグ排出を途絶し、鋼投入時間が3分間以上であり、鉄マンガン鉄3.5kg/t鋼脱酸を採用し、溶鋼が四分の一である場合、金属マンガン、ニオブ鉄、バナジウム鉄、フェロシリコン鉄合金をバッチで添加し、溶鋼が四分の三である場合に添加を完了する。
【0044】
LF精錬プロセスにおいて、全工程底吹きアルゴン撹拌を行い、炭化カルシウム、アルミニウム粒子を用いてスラグを調整し、脱酸し、製錬工程全体において溶鋼を露出させず、溶鋼の二次酸化を防止する。出場前のスラグは必ず黄色のスラグ又は白スラグであり、黄色のスラグ又は白スラグの保持時間は10分間以上であり、チタンは極めて酸化しやすいため、精錬の末期にチタン線を投入し、最終スラグ塩基度は2.5以上にできるだけ制御する。金属マンガン、フェロシリコン、ニオブ鉄、バナジウム鉄、ニッケル板などの合金を用いて成分を微調整し、成分が内部制御を満たすことを確保し、LF精錬時間が45分間以上である。
【0045】
RH精錬プロセスにおいて化学昇温を回避することを要求し、溶鋼の清浄度及びガス含有量を制御し、純脱気時間が5min以上であることを確保する。カルシウムアルミニウムを投入して石灰化処理を行い、介在物の形態を改善し、介在物を効果的に除去する。出場前にソフトブローを行い、ソフトブロー時間は12min以上である。好ましくは、真空度は25~65Pa(例えば35Pa、40Pa、45Pa、50Pa、55Paなど)である。
【0046】
以上のステップにより、成分がC:0.06~0.09%、Si:0.20~0.35%、MN:1.48~1.63%、Nb:0.020%~0.035%、Ti:0.010%~0.020%、V:0.020%~0.035%、Ni:0.08%~0.17%、Al:0.015%~0.040%、残りがFe及び不可避的不純物からなる目標の溶鋼を得ることができる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、他の方式により上記成分範囲に合致する溶鋼を得ることができる。
【0047】
本発明の連続鋳造工程において、全工程保護鋳造を採用し、液相線温度が中間規格成分で1515℃であり、過熱度が17℃(例えば14、15、16℃)以下であることを要求し、扇形部鋳片凝固末端に軽圧下技術を採用し、鋳片をピットに導入し、60時間以上積層徐冷し、鋳片が冷却工程で生成した組織応力及び熱応力を十分に低減する。175mm鋳片断面の厚さ引張速度を1.25~1.35m/minに制御し、200mmの鋳片断面の厚さ引張速度を1.3~1.4m/minに制御し、250mmの鋳片断面の厚さ引張速度を1.1~1.3m/minに制御し、300mmの鋳片断面の厚さ引張速度を0.8~0.9m/minに制御する。
【0048】
2)加熱:
連続鋳片を加熱炉内に添加して加熱し、鋳片の炉装方式は冷間組立であり、
ここで、加熱工程で合金元素が粒界に偏析することによる鋳片のマイクロクラックを防止するために、本発明は冷間組立方式を採用して鋳片を加熱炉に送り込み、加熱速度の要求≧10min/cmで計算し、鋳片が均一に焼損することを保証する。均熱時間が40min以上であり、鋼片の各点の温度差が15℃以下であり、鋼片が加熱炉を出た後に高圧水でリンを除去する。
【0049】
3)圧延:
圧延は、粗圧延と仕上げ圧延の二つの段階で圧延を制御し、粗圧延は再結晶領域圧延であり、好ましくは、粗圧延の圧延温度は1185~1200℃であり、好ましくは、粗圧延の仕上げ圧延温度は1160~1190℃であり、結晶粒の長すぎる成長を防止するために、仕上げ圧延を未再結晶領域圧延に制御し、仕上げ圧延の圧延開始温度を860~960℃に制御し、仕上げ圧延の圧延最終温度を820~840℃に制御する。
【0050】
4)冷却:
厚さが14mmより小さい鋼板は空冷工程を採用し、厚さが14mmより大きい鋼板を圧延した後にACC水冷を行い、入水温度が770~780℃であり、出水温度が600~650℃であり、水冷後に鋼板をストレートニングする。製品の厚さ≧25mmの鋼板を水冷した後に早期にピットの冷又は段積み徐冷を行い、徐冷時間が48時間以上である。
【0051】
本発明の各実施例の化学成分は、表1に示すとおりであり、本発明の各実施例の製錬プロセスパラメータは表2に示すとおりであり、本発明の各実施例の圧延プロセスパラメータは表3に示すとおりであり、本発明の各実施例の力学的性質はGB/T 228、GB/T 2289に応じて検出し、表4及び表5に示すとおりである。
【0052】
【表1】
注:CEV=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15≦0.39%
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B≦0.20%
V+Niは、0.211C+0.041Mn+0.738Nb+1.19Ti≦V+Ni≦0.318C+0.065Mn+0.943Nb+1.867Tiを満足する
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
効衝撃性能がある鋼板について、時効条件は以下のとおりである。即ち、歪みが5%であり、250℃で1時間時効する。時効後の鋼板の衝撃性能は表5に示すとおりである。
【0057】
【0058】
要するに、本発明の極地海洋工事用鋼板は高強度、耐低温、溶接しやすく、耐疲労性などの優れた総合性能を有し、低温時効衝撃靭性、厚さ方向性能の均一性及びバッチ間の性能安定性が良好であり、かつZ方向性能(即ち厚さ方向に延伸する時の断面収縮率)がいずれも40%より大きく、かつコストが比較的低く、プロセスが簡単で操作しやすい。本発明の高強度耐低温海洋工事用鋼は、極寒気候、総合性能の要求が高い工程にも適用する。
【0059】
本発明のプロセスパラメータ(例えば温度、時間など)区間の上下限値及び区間値はいずれも本法を実現することができ、ここで実施例を一々列挙しない。
【0060】
本発明の詳細に説明しない内容はいずれも本分野の一般的な技術知識を採用することができる。
【0061】
最後に説明すべきこととして、以上の実施例は本発明の技術的解決手段を説明するだけで制限されない。実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば理解すべきことは、本発明の技術的解決手段に対して修正又は同等置換を行うことは、いずれも本発明の技術的解決手段の精神及び範囲から逸脱することなく、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】