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特表2023-528424光学素子を形成する方法及び光学素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】光学素子を形成する方法及び光学素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/10 20100101AFI20230627BHJP
   H01L 33/20 20100101ALI20230627BHJP
   H01L 33/42 20100101ALI20230627BHJP
【FI】
H01L33/10
H01L33/20
H01L33/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574271
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 GB2021051330
(87)【国際公開番号】W WO2021245388
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】2008330.9
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピノス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】メゾウアリ,サミル
(72)【発明者】
【氏名】タン,ウェイシン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトマン,ジョン ライル
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA13
5F241CA22
5F241CA40
5F241CA88
5F241CB11
5F241CB14
5F241CB15
5F241CB23
5F241CB27
5F241FF01
(57)【要約】
光学素子を形成する方法であって、犠牲メサの実質的に垂直の側壁にスペーサを形成するステップであって、スペーサは、第1の電気絶縁性の光学的に透明な材料から形成され、且つメサと接触する内側面と、第2の対向する外側面とを有する、ステップ;スペーサの外側面にミラー層を形成するために、反射性導電性材料を堆積させるステップ;スペーサの内側面間にポケットを形成するために、犠牲メサを除去するステップ;実質的に垂直の側壁を有するダイを、スペーサの内側面間のポケット内に取り付けるステップを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を形成する方法であって、
(a)犠牲メサ上にスペーサを形成するステップであって、前記メサは、実質的に垂直の側壁を有し、前記スペーサは、第1の電気絶縁性の光学的に透明な材料から形成され、且つ前記メサ側壁に対面する内側面と、対向する外側面とを有する、ステップと;
(b)前記スペーサの前記外側面にミラー層を形成するために、反射性導電性材料を堆積させるステップと;
(c)前記スペーサの前記内側面間にポケットを形成するために、前記犠牲メサを除去するステップと;
(d)実質的に垂直の側壁を有するダイを、前記スペーサの前記内側面間の前記ポケット内に取り付けるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記スペーサの前記外側面は、前記内側面に対して角度を付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スペーサの前記外側面は、擬似放物線状プロファイルを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スペーサの前記外側面は、0.5のベジェ係数で2つの制御点を有するベジェ曲線を近似するプロファイルを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記スペーサは、窒化ケイ素、酸化ケイ素又は酸化スズで形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ダイ及びスペーサの上に透明導電性酸化物を堆積させることをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記透明導電性酸化物は、前記ダイに対する電気接点を形成し、及び第2の電気接点は、前記ダイの対向する面に形成される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記下にあるダイの上方の前記透明導電性酸化物上に光取り出し特徴部を形成するステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記光取り出し特徴部は、凸面レンズの形態である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スペーサのそれぞれの前記外側面に第2の電気絶縁性の光学的に透明な材料を堆積させるステップをさらに含み、前記第2の電気絶縁性の光学的に透明な材料は、前記第1の電気絶縁性の光学的に透明な材料の屈折率と異なる屈折率を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の材料の前記屈折率は、前記第2の材料の前記屈折率を上回る、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ダイと、前記スペーサの前記内側面との間に屈折率整合材料充填材を塗布するステップをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記犠牲メサは、初めに、犠牲材料の層における指定領域の両側に2つのトレンチを形成することによって作られる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反射性導電性材料は、前記トレンチのそれぞれの露出した底部部分に沿ってさらに堆積される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記トレンチを絶縁材料で満たすステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ダイは、n-ドープ層と、p-ドープ層と、前記ダイに電流が印加されるときに発光するように構成された活性領域とを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ダイの前記側壁は、光学的に透明な電気絶縁材料でコーティングされる、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法のステップ(a)~(c)に従って製造される光学素子。
【請求項20】
請求項2~18のいずれか一項に記載の方法に従って製造される、請求項19に記載の光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を形成する方法に関する。特に、限定されるものではないが、本発明は、最適化された光取り出しを有する発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)素子は、広範囲の応用に対して効率的な光源を提供することが知られている。LED光の発生効率及び取り出しが増大し、それと共により小型のLED(より小さい発光表面領域を備える)が生産され、且つ異なる波長のLED発光体がアレイに組み込まれることにより、複数の応用、特にディスプレイ技術において高品質の色配列が提供されている。
【0003】
いくつかのディスプレイ技術は、拡張現実、合成現実、仮想現実及び直視型ディスプレイ、例えばスマートウォッチ及びモバイル機器を含む様々な応用において使用するためのマイクロLEDディスプレイとみなされており、且つそのために使用されている。デジタルマイクロミラー(DMD)及びLCoSなどの技術は、反射技術に基づいており、その場合、外部光源を使用して、タイムシーケンシャルモードで赤色、緑色及び青色の光子を生じ、及び画素が光学素子から光をそらす(DMD)か又は光を吸収する(LCoS)かのいずれかを行って、画素の明るさを調整し、像を形成する。液晶ディスプレイ(LCD)は、一般に、像を生じるために、バックライト、アドレス可能な背面上のLCDパネル及びカラーフィルターを使用する。背面は、個々の画素をオン及びオフにして、各映像フレーム内の個々の画素の明るさを調整することが必要とされる。有機発光ダイオード(OLED)又はアクティブマトリクスOLED(AMOLED)、より最近ではマイクロLEDなどの放射型ディスプレイ技術が盛んになってきており、なぜなら、それらは、無拘束なマイクロディスプレイ応用での消費電力が少なく、且つ画像のコントラストが高いためである。マイクロLEDは、特に、マイクロOLED及びAMOLEDのディスプレイよりも高い効率及び良好な信頼性を提供する。
【0004】
本明細書で説明されている本発明は、効率及び明るさの性能指数を向上させるために、内部量子効率(IQE)及び光取り出し効率(LEE)を向上させるための、高効率のマイクロLEDアレイ組み合わせ技術の作製方法に関する。
【0005】
光取り出し効率を高めるように設計された構造は、多重量子井戸(MQW)で生成される光子を放射面に方向付けるために、擬似放物線形状のメサの使用を含め、LED業界で周知である。
【0006】
そのような形状を備えるメサを製作するために使用される技術は、反応性イオンエッチング(RIE)又は誘導結合エッチング(ICP)などの技術を含む。そのようなエッチング技術では、RF、高電圧(DCバイアス)及びフリーラジカルを含むことが多い複数種の反応性ガスを含む高エネルギープラズマが、半導体材料に選択的にエッチングを行うために使用される。特徴部は、エッチングプロセスを受ける領域及び未エッチングのままとなる領域を規定するために、感光性材料を使用するフォトリソグラフィ方法を使用して規定される。メサの正確な形状は、パターンを規定するために使用される感光性材料のプロファイル並びにエッチング圧、パワー、ガス流及びガス種類によって制御され得る。
【0007】
これは、製造プロセスを複雑にするだけでなく、このエッチングプロセスの結果、メサのエッジがダメージを受けることがあり、これは、マイクロLEDのIQEに影響を及ぼす。
【0008】
図1に示すように、DCバイアス及びプラズマの密度が増加するにつれて、特徴部のエッジにより大きいダメージが発生し、結晶ダメージ、窒素空孔及びダングリングボンドによって形成された表面リークパスにつながる。ドライエッチングは、表面での高エネルギーのイオン衝撃に起因して多くの結晶欠陥を発生させる。ダングリングボンドは、容易に酸化され、及び結晶ダメージは、表面でのキャリア再結合中心としての機能を果たすエネルギー帯中に多くの欠陥レベルを生成し、無放射再結合につながる。
【0009】
表面再結合速度(無放射再結合速度)は、バルクMQW中の放射再結合速度よりも速いため、小型のマイクロLEDは、表面再結合の影響を受けやすく、結果としてIQEが低下する。
【0010】
メサエッチング中に生じたダメージの広く報告されている結果は、図2に示すようなより小さい寸法のマイクロLEDでの効率低下である。外部量子効率(EQE)は、内部量子効率IQE(生成された光子数と電子数の比)と、光取り出し効率LEE(p-n接合から周囲に光を取り出す能力)との積である。この傾向を助長する機構は、マイクロLEDの周長と面積との比である。マイクロLEDのサイズが小さくなるにつれて、MQWの面積に対する側壁の面積が大きくなるため、マイクロLEDのエッジにおける表面リークパスが無放射再結合を増加させる。
【0011】
マイクロLEDの効率は、図3に示すようなメサエッチングに起因するダメージを修復することによって著しく高められ得る。一般に、最適なダメージ修復レジームを実行することにより、EQEが10倍向上することを達成可能にする。ピークEQEは、ダメージ修復後に高まり、及びピークEQEは、電流密度が低いときに発生するため、典型的な作動条件では、効率が10倍高まり得る。しかしながら、図4に示すように、修繕プロセスは、メサエッチングによってダメージを受ける半導体材料を除去するため、そのようなレジームは、高LEEのために最適化されるメサ形状の維持と矛盾する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の問題の少なくともいくつかを緩和するために、添付の特許請求の範囲による1つ以上の光学素子を形成する方法を提供する。さらに、添付の特許請求の範囲による光学素子を提供する。
【0013】
本発明の第1の態様では、光学素子を製造する方法が提供され、方法は、(a)犠牲メサの実質的に垂直の側壁にスペーサを形成するステップであって、スペーサは、第1の電気絶縁性の光学的に透明な材料から形成され、且つメサに接触する内側面と、第2の対向する外側面とを有する、ステップと;(b)スペーサの外側面にミラー層を形成するために、反射性金属層を堆積させるステップと;(c)スペーサの内側面間にポケットを形成するために、犠牲メサを除去するステップと;(d)実質的に垂直の側壁を有するダイを、スペーサの内側面間のポケット内に取り付けるステップとを含む。
【0014】
有利には、スペーサ材料は、光学的構成要素の機能を果たし、ダイからの光取り出しを高める一方、金属材料は、スペーサの側面でミラー層の機能を果たして、さらに光取り出しを高める。
【0015】
好ましくは、スペーサの外側面は、内側面に対して角度を付けられる。
【0016】
好ましくは、スペーサの外側面は、擬似放物線状プロファイルを有する。放物線状形状は、放射された光子を素子の発光面の方に向ける役割を果たし、それら光子が前記面に、
臨界角を下回る入射角で入射するようにし、それにより光子を高周波数で空気中に取り出すことを可能にする。
【0017】
好ましくは、スペーサの外側面のプロファイルは、0.5のベジェ係数で2つの制御点を有するベジェ曲線を近似する。これは、最大の光取り出しをもたらすことが見出された。
【0018】
好ましくは、スペーサは、窒化ケイ素、酸化ケイ素又は酸化スズで形成される。
【0019】
好ましくは、方法は、ダイ及びスペーサの上に透明導電性酸化物を堆積させるステップをさらに含み、これにより下にあるダイに対する電気接点を形成し、保護ももたらす。
【0020】
好ましくは、透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物である。
【0021】
好ましくは、透明導電性酸化物は、ダイに対する電気接点を形成し、及び第2の電気接点は、ダイの対向する表面に形成される。
【0022】
好ましくは、方法は、下にあるダイの上方の透明導電性酸化物上に光取り出し特徴部を形成するステップをさらに含む。光取り出し特徴部は、素子の光学的性質をさらに高め得る。
【0023】
好ましくは、光取り出し特徴部は、凸面レンズの形態である。
【0024】
好ましくは、方法は、スペーサのそれぞれの外側面に第2の電気絶縁性の光学的に透明な材料を堆積させるステップをさらに含み、第2の電気絶縁性の光学的に透明な材料は、第1の電気絶縁性の光学的に透明な材料の屈折率と異なる屈折率を有する。これにより、段階的な屈折率で材料を使用することを可能にし、それにより放射された光子が発光面の方により良好に向けられ得る。
【0025】
好ましくは、第1の材料の屈折率は、第2の材料の屈折率を上回り、それにより、光は、光学素子の発光面の方に戻るように一層反射される。
【0026】
好ましくは、方法は、ダイと、スペーサの内側面との間に屈折率整合材料充填材を塗布するステップをさらに含む。
【0027】
好ましくは、犠牲メサは、初めに、犠牲材料の層における指定領域の両側に2つのトレンチを形成することによって作られる。
【0028】
好ましくは、反射性金属層は、透明導電性酸化物に対する電流拡散層の機能を果たすように、トレンチのそれぞれの露出した底部部分に沿ってさらに堆積される。
【0029】
好ましくは、方法は、トレンチを絶縁材料で満たすステップをさらに含む。
【0030】
好ましくは、ダイは、n-ドープ層と、p-ドープ層と、ダイに電流が印加されるときに発光するように構成された活性領域とを含む。
【0031】
好ましくは、ダイの側壁は、光学的に透明な電気絶縁材料でコーティングされる。
【0032】
本発明の第2の態様では、ステップ(a)~(c)及び上述のさらなるステップのいずれかに従って製造される光学素子が提供される。
【0033】
本発明の実施形態の詳細な説明が例として図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】プラズマパワー及びDCバイアスを増加させた状態のInGaN材料への結晶ダメージを示す。
図2】A1(256μm)からA9(1μm)に小さくなるマイクロLEDサイズに関する外部量子効率(EQE)対電流密度を示す。
図3】メサダメージの減少及び修繕のある並びにそれらのないマイクロLEDのEQEを示す。
図4】エッチングされたメサの、ダメージ修復プロセス前(a)及びダメージ修復プロセス後(b)の断面を示す。
図5】光学素子のモノリシック製造プロセスの段階を示す。
図6】光学素子のモノリシック製造プロセスの段階を示す。
図7】光学素子のモノリシック製造プロセスの段階を示す。
図8】光学素子のモノリシック製造プロセスの段階を示す。
図9】光学素子のモノリシック製造プロセスの段階を示す。
図10】光学素子のモノリシック製造プロセスの段階を示す。
図11】本発明の態様による光学素子を示す。
図12】本発明の態様による画素形態を示す。
図13】本発明の態様による光学素子の様々な実施形態を示す。
図14】本発明の態様による光学素子の様々な実施形態を示す。
図15】本発明の態様による光学素子の様々な実施形態を示す。
図16】本発明の態様による光学素子の様々な実施形態を示す。
図17】光学素子が正方形(a)、円形(b)、三角形(c)及び多角形(d)の断面を有する実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図5(a)は、製造プロセスの予備段階を示し、ここでは、金属110の領域と酸化物120の領域とで交互に構成された最上層を有するCMOSウェハ100が準備されている。この構造は、公知の方法で形成される。
【0036】
図5(b)に示す段階では、犠牲材料210で形成された、規定通りに離間したメサを有する別個のキャリアウェハ200が準備される。ある実施形態では、犠牲材料は、金属である。代替的な実施形態では、犠牲材料は、フォトレジストである。さらなる実施形態では、犠牲材料は、LEDチップである。当業者は、このために任意の好適な(すなわち簡単にパターン化可能/位置決め可能且つ除去可能である)材料を用い得ることを認識する。
【0037】
図5(c)に示す段階では、光学的に透明な電気絶縁スペーサ220は、犠牲メサ210のそれぞれの側壁に形成され、スペーサ材料は、屈折率nを有する。スペーサ220は、傾斜したプロファイルを有して示されているが、スペーサは、放物線状でもあり得る。ある実施形態では、スペーサは、公知のプロセスによって二酸化ケイ素のコンフォーマルコーティングを堆積させることによって形成され、及び結果として生じるフィルムは、均一なスペーサ220を形成するために、RIEエッチングを使用してエッチングされる。代替的な実施形態では、スペーサは、異なる公知のドライエッチングプロセス又はナノインプリントリソグラフィー若しくはエンボス加工によって形成される。さらなる実施形態では、スペーサは、窒化ケイ素又は酸化チタンから形成される。
【0038】
図6(a)に示す段階では、キャリアウェハ200の上面、スペーサ220及び犠牲メ
サ210にわたり、反射性導電性材料230がコンフォーマルに堆積される。ある実施形態では、反射性導電性材料230は、金属である。ある実施形態では、反射性導電性材料230は、アルミニウムから形成され、及びその表面粗さは、Ra=50nmである。好ましい実施形態では、反射性導電性材料230の表面粗さは、Ra<10nmである。ある実施形態では、反射性導電性材料230は、スパッタリング法によって堆積されるが、当業者は、任意の好適な材料及び/又は堆積法も用い得ることを認識するであろう。
【0039】
図6(b)に示す段階では、二酸化ケイ素層240が堆積され、且つ化学的、機械的に研磨されて、続く複数の犠牲メサ210間のボイドを埋めるようにする。当業者は、ここでも、任意の好適な絶縁材料が使用され得ることを認識するであろう。
【0040】
図7に示す段階では、キャリアウェハ200は、逆さにされ、その後、図5のCMOSウェハ100にボンディングされて、CMOSウェハ100の表面の金属領域110がキャリアウェハ200の犠牲メサ210と一列に並ぶようにする。ボンド接着は、当業者に公知の手段により、二酸化ケイ素層240を使用して達成される。
【0041】
図8(a)及び図8(b)に示す段階では、キャリアウェハ200は、公知の手段(ウェット又はドライエッチングなど)により、下層の犠牲メサ210及び反射性導電性材料230の対応する部分と一緒に除去され、それによりダイ300などの発光構造を受け入れるためのポケットを作る。
【0042】
図9(a)に示す段階では、個々のLEDダイ301、302及び303の形の発光構造は、ポケットに設置されて、ダイの垂直の側壁が、犠牲メサ210の除去によって残ったスペーサ220の垂直の側壁間に収まり、それに対して平行に延びるようにする。各ダイの底面は、CMOSウェハの対応する金属領域110に接触しているため、各ダイ間に対するアドレス可能な電気接点を形成する。ある実施形態では、ダイ側壁の垂直性は、ウェット化学エッチングによって達成されるが、当業者は、この目的で適用され、用いられ得る他の方法が知っているであろう。図示の実施形態では、ダイは、色が赤色301から緑色302、青色303に交互になるように位置決めされている - しかしながら、当業者は、最終的な用途に依存して、任意のパターンのダイが使用され得る(さらなる例が図12に提供されている)ことを理解するであろう。
【0043】
図9(b)に示す段階では、屈折率整合材料305(すなわちスペーサ220の屈折率と整合する屈折率を有する材料)は、ダイ300とスペーサ220との間の両側におけるいずれの間隙も埋めるために塗布される。複数の代替的な屈折率整合材料が当業者に知られており、及び特定の材料の選択は、当然のことながら、スペーサ220を形成するために使用される材料に依存する。
【0044】
図10(a)に示す段階では、ブランケット透明導電性酸化物層400は、公知のプロセスによって最上部の表面に塗布され、ダイ300及びスペーサ220を覆う。ある実施形態では、透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)で形成されるが、当業者は、任意の好適に透明で導電性の材料が使用され得ることを理解するであろう。透明導電性酸化物層400を塗布することにより、下にあるダイのそれぞれに共通の電極を提供し、連続するスペーサ220間に塗布されている反射性導電性材料230は、透明導電性酸化物層400にわたって電流拡散層の機能を果たす。
【0045】
光取り出し効率をさらに高めるために、透明導電性酸化物400の屈折率は、透明導電性酸化物の多孔度を変えることによって変えられ得る。ITOなどの透明導電性酸化物の多孔度を変えるための1つの公知の方法は、電子ビーム蒸着を使用する斜め堆積である。蒸気フラックス堆積に対して堆積面の角度を変えることにより、堆積されたままの材料が
投じる影の量が制御され得、それにより形成されたままの層の多孔度を制御する。ITOに関する斜め堆積のさらなる説明は、少なくとも“Light-Extraction Enhancement of GaInN Light Emitting Diodes by Graded-Refractive-Index Indium Tin
Oxide Anti-Reflection Contact”,Jong Kyu
Kim et.al.,Advanced Materials,0000,00,1-5において見出され得る。
【0046】
図10(b)に示すように、既に取り付けられているダイの1つ360が標準未満又はそうでなければ非機能的であると特定される場合、後の段階で必要な色/仕様のダイが収められるべき空きスロット370として、いくつかのスロットが意図的に残される。そのため、次善の性能のダイは、個々に交換され得るか、又は意図的にダメージを受け得る/非活性化され得るかのいずれかであり、対応するダイが空きスロット370に配置される。
【0047】
図11は、LEDダイ300の例示的なチップ構造を示す。図示の通り、ダイは、電流にさらされるときに発光するように構成された活性層310を有する複数層構造を備えて形成される。活性層310は、n-ドープ窒化ガリウムなどのn-クラッド層320と、p-ドープ窒化ガリウムなどのp-クラッド層330との間に挟まれている。ある実施形態では、活性層310は、多重量子井戸を含む。さらなる実施形態では、代替的な及び/又は追加的な層を有する代替的なダイ構造が使用される。当業者は、下記で説明するように動作することを条件として、任意の数の可能性のあるダイが使用され得ることを認識するであろう。特定の実施形態では、ダイ300は、p-クラッド層330と活性層310との間に位置する電子ブロッキング層を含む。さらなる実施形態では、ダイ300は、1つ以上のバッファー層を含む。ダイ構造は、最上発光面321を有する。図示するように、p-クラッド層320と接触してp-コンタクト層340が設けられる。ある実施形態では、p-コンタクト層340は、反射性材料で形成される。少なくとも図9から分かるように、p-コンタクト層340は、CMOSウェハの金属領域110との第1の電気接点を形成し、第2の電気接点は、透明導電性酸化物層400を介してn-コンタクト層に形成されている。ダイの側壁は、透明電気絶縁層350にコーティングされている。ある実施形態では、透明電気絶縁層は、二酸化ケイ素で形成される。
【0048】
図12は、冗長目的で空きスロット320を備える、1つの取り得る二次元ダイ形態を上から見た図を示す。
【0049】
上述のプロセスは、それぞれダイ300及び直接隣接するスペーサ220からなる光学素子500のアレイを生じる。個々の光学素子500は、図13において孤立して示されている。簡潔にするために、ダイ300の活性層310、n-クラッド層320及びp-クラッド層330のみが示されている。屈折率整合材料305の柱は、ダイ300とスペーサ220の内側面との間に配置され、反射性導電性材料230は、スペーサ220の外側面に配置されている。
【0050】
スペーサ220は、内側面及びダイ300の側壁に対して外向きに角度を付けられた直線の外側面を有するものとして図13に示されるが、図14は、スペーサ220の外側面が擬似放物線状プロファイルを有する代替的な実施形態を示す。外側面は、2つの制御点及び係数B(ここで、Bは、0.1、0.5、0.2及び0.05のいずれかであり得る)を有するベジェ曲線の範囲によって説明される任意の好適なプロファイルを有し得る。好ましい実施形態では、ベジェ係数は、0.5であり、図13に示すようなほぼ直線の外向きに傾斜するプロファイルを生じる。
【0051】
図15は、光取り出し特徴部410がダイ300の発光面の上方に形成される、さらなる実施形態を示す。光取り出し特徴部410は、凸面レンズの形態で示されているが、当業者は、それが用途に依存して任意の好適な形態で提供され得ることを認識するであろう。好ましい実施形態では、光取り出し特徴部410は、曲率半径が3μmのレンズの形態である。ある実施形態では、光取り出し特徴部410は、透明導電性酸化物層400自体にパターン化されている。代替的な実施形態では、樹脂などの好適な透明な材料で形成された別個の層によって提供される。
【0052】
図16は、スペーサ220が、屈折率n及びnをそれぞれ有する内側部分220a及び外側部分220bでそれぞれ形成されている実施形態を示す。好ましい実施形態では、n>nは、内側スペーサ材料として窒化ケイ素及び第2のスペーサ材料としてアルミニウム酸化物を使用することによって達成され得る。さらなる実施形態では、追加的なスペーサ層は、発光構造300の側壁から離れるにつれて屈折率が低下する状態で(すなわちn>n>n)使用され得る。2つの別個のスペーサを概略的に図16に示すが、スペーサは、実際には、図17に示す断面図に示すように連続層として形成され得、その場合、ダイ300は、ダイ300が置かれ得るような対応するボイドがスペーサ220に作られる場合、任意の好ましい断面形状を有する。
【0053】
当業者は、図14の擬似放物線状スペーサ220、図14の光取り出し特徴部410及び図16の複合スペーサ材料が相互排他的ではなく、これらの特徴の1つ以上又は全てを有するさらなる実施形態に組み合わされ得ることを理解するであろう。
【0054】
使用中、電流は、透明導電性酸化物400に形成された電極(ダイ300のn-クラッド層320と接触する)と、ダイ300の底面のp-コンタクト層340に形成された電極と間に供給され、導電性材料230は、電流拡散層としてさらに作動する。活性層310が放射した光は、直接、或いはi)スペーサ220の外側面上の導電性材料230からの反射、ii)スペーサ220での反射及び/若しくは屈折、iii)反射p-コンタクト層340、又はiv)上記の組み合わせを含む構造内での複数の反射によってのいずれかで発光最上面321に向けられる。その結果、導電性材料230、スペーサ220及び反射p-コンタクト層340は、光の透過を可能にするために、臨界角範囲内で発光面に入射する光の割合を増加させるように配置される。
【0055】
従って、特許請求される本発明は、ダイ300を受け入れるために、傾斜したプロファイルのスペーサ220が基板上に事前に作られており、それにより、欠陥のあるダイが、以前の冗長なダイを選択して交換又は非活性化されることを可能にする製造方法により、光コリメーションを高めた光学素子500を提供する。
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【国際調査報告】