(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】毛管現象ベースの液体用圧力閾値センサおよびそれを用いる方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20230627BHJP
G01L 11/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G01L9/00 D
G01L11/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574350
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 US2021033982
(87)【国際公開番号】W WO2021247277
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ ビギン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アダムズ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル アブード
(72)【発明者】
【氏名】モーリス カーティン
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB20
2F055CC59
2F055EE35
2F055FF49
2F055GG11
(57)【要約】
毛管現象ベースの圧力閾値センサは、疎水性、超疎水性、油性および両非親和性の多孔質膜の特性を利用して、膜を交差する圧力が流体の破過圧力を上回って上昇する場合に、流体が膜を通過するときを検出するために提供される。例示的な実装では、毛管現象ベースの圧力閾値センサの異なる構成、および薬物送達デバイスまたは他の流体送達デバイスで毛管現象ベースの圧力閾値センサがどのように使用されて閉塞または他の流体流動状態を検出するかについて提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛管現象ベースの圧力閾値センサを作製する方法であって、
多孔質媒体の第1の側面から流体がその対向する第2の側面に多孔質媒体を通って漏出することを可能にする多孔質特性を有する第1の多孔質媒体を選択することであって、前記漏出が、流体圧力が多孔質媒体の流体破過圧力閾値を超えるときに生じる、選択することと、
多孔質媒体の前記第2の側面の少なくとも近位に配置され、多孔質媒体の前記第2の側面における少なくとも標的流体の存在を検出するように構成された流体検出要素を提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記流体検出要素は、受動流体検出要素と能動流体検出要素から選択され、
前記受動流体検出要素は、標的流体が多孔質媒体を通って漏出し多孔質媒体の対向する前記第2の側面に到達するまで作動せず、
前記能動流体検出要素は、標的流体がまだ多孔質媒体を通って漏出していない第1の状態と、標的流体が多孔質媒体を通って漏出した第2の状態とを区別する異なる出力を与える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体検出要素は、標的流体が多孔質媒体を通って前記第2の側面に漏出したときに状態を変更するように構成された指示要素を含み、変化する状態は、色表示と色表示の変化から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
指定された温度と標的流体の指定された圧力変化から選択される状態を検出するために、前記第1の多孔質媒体を熱応答性材料で被覆すること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱応答性材料は、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
多孔質媒体の多孔質特性は、孔径、厚さ、材料、表面形状、被覆、及び流体との接触角から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
流路における穴に密閉を形成して、多孔質媒体を流路の流体に曝露し、流体が毛管現象ベースの圧力閾値センサの外に漏出するのを防止するために、前記第1の側面を構成すること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記流体検出要素は、少なくとも2つの電極を含み、
多孔質媒体を通って漏出する流体をセンサに制御可能に分配し、第2の多孔質媒体が、乾燥のときと流路内の流体によって湿潤されたときで異なる導電性を有するように選択されるよう、非親和性の多孔質媒体と前記流体検出要素との間に配置された親和性の前記第2の多孔質媒体を提供することと、
電極が受動的であり、多孔質媒体を通って漏出する流体が閾値を超えるまで活性化されないように構成される、多孔質媒体の前記第2の側面と接触する2つの電極を提供することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
流体検出要素を提供することは、プリント基板(PCB)上の接触パッドで作製された電極を提供することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の多孔質媒体との近接性を維持し、多孔質媒体との直接接触を維持するように構成された熱カシメピンを介してPCBを熱カシメすることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記流体検出要素は、少なくとも2つの電極を含み、流体と接触して閉じるまで開放される受動スイッチとして電極を動作させること、をさらに含む、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
スイッチを提供することは、プリント基板(PCB)上の接触パッドで作製された電極を提供すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
電極の一方をマイクロコントローラの接地ピンに接続し、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続すること、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電極の一方をマイクロコントローラの出力ピンに接続し、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続すること、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
電極の一方をマイクロコントローラと共通の接地を有する電源の正のレールに接続し、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続すること、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
マイクロコントローラの電源または基準電圧の正のレールと前記入力ピンとの間にプルアップ抵抗器を接続することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記入力ピンと、マイクロコントローラの負または接地の端子に接続された負のレールとの間にプルダウン抵抗器を接続すること、をさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
抵抗器は、1kオーム~100Mオーム程度の抵抗を有する、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
多孔質媒体は、疎水性媒体、超疎水性媒体、疎油性媒体、および両非親和性の多孔質媒体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも、第1の多孔質媒体を通って標的流体が漏出する前には、標的流体と接触するように第1の多孔質媒体の第1の側面に少なくとも近位に配置された第2の多孔質媒体を選択すること、をさらに含み、
第2の多孔質媒体は、
流体が容易に前記第2の多孔質媒体に浸透することを可能にする多孔質特性、および
気体が前記第2の多孔質媒体の侵入圧力を超えるまで、前記第2の多孔質媒体に標的流体が浸透した後に、気体が前記第2の多孔質媒体を通過することを防止する多孔質特性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも第1の多孔質媒体を通って標的流体が漏出する前に、標的流体と接触するように第1の多孔質媒体の反対側の少なくとも近位に配置された補助多孔質媒体を選択すること、をさらに含み、第2の多孔質媒体は、流体が第2の多孔質媒体に容易に浸透することを可能とし、標的流体と流体検出要素との間の接触性を高める1つ以上の多孔質特性を有する、請求項1乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
毛管現象ベースの圧力閾値センサを用いる方法であって、
流体で検出される過圧閾値を選択することと、
少なくとも1つの多孔質特性と過圧閾値に関連する流体破過圧力閾値を有する多孔質媒体を含む毛管現象ベースの圧力閾値センサを選択することと、ここで、毛管現象ベースの圧力閾値センサは、媒体を交差する流体圧力が流体破過圧力閾値を超えるときに、その一方の側から流体が媒体を通ってその反対側に漏れることを可能にするものであり、
多孔質媒体の少なくとも一方の側が過圧事象が検出される流体と接触するように、毛管現象ベースの圧力閾値センサを配置することと、
を含む、方法。
【請求項23】
流路を提供することと、過圧事象が毛管現象ベースの圧力閾値センサによって検出されるべき位置を選択すること、をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
流体容器を提供することと、過圧事象が毛管現象ベースの圧力閾値センサによって検出される位置を選択すること、をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
選択された位置に穴を設けることと、多孔質媒体を穴上に固定して穴を密封すること、をさらに含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
多孔質媒体を流路を形成する材料に溶着させること、をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
毛管現象ベースの圧力閾値センサは、少なくとも2つの電極を含み、電極を、流体と接触して閉じるまで開放される受動スイッチとして動作させること、をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
受動スイッチが閉じられたときに通知を始動させること、をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記始動は、通知に関連付けられた入力を電極に接続されたマイクロコントローラに与えることと、流体が多孔質媒体の少なくとも1つの側面に接触することに応答して指示要素の変化を誘発することによって指示を生成すること、から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
電極の一方をマイクロコントローラの接地ピンに接続することと、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続すること、をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
電極の一方をマイクロコントローラの出力ピンに接続し、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続すること、をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
電極の一方をマイクロコントローラと共通の接地を有する電源の正のレールに接続することと、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続すること、をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
マイクロコントローラと入力ピンのための電源の正のレールまたは基準電圧にプルアップ抵抗器を接続すること、をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
入力ピンと、マイクロコントローラの負または接地の端子に接続された負のレールと、の間にプルダウン抵抗器を接続すること、をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
抵抗器は、1kオーム~100Mオーム程度の抵抗を有する、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
多孔質媒体は、疎水性媒体、超疎水性媒体、疎油性媒体、および両非親和性の多孔質媒体から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
媒体の多孔質特性は、孔径、厚さ、材料、表面形状、被覆、および流体との接触角から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
毛管現象ベースの圧力閾値センサであって、
少なくとも1つの多孔質特性、および流体圧力が多孔質媒体の流体突破閾値を超えるときに、流体がその第1の側面からその対向する第2の側面に漏出することを可能にする流体破過圧力閾値を有する多孔質媒体と、
多孔質媒体の第2の側面の少なくとも近位に配置され、多孔質媒体の第2の側面における少なくとも標的流体の存在を検出するように構成された流体検出要素と、
を備える、圧力閾値センサ。
【請求項39】
多孔質媒体の第2の側面と接触する2つの電極を、さらに備える、請求項38に記載の圧力閾値センサ。
【請求項40】
多孔質媒体は、疎水性媒体、超疎水性媒体、疎油性媒体、および両非親和性の多孔質媒体から選択される、請求項38に記載の圧力閾値センサ。
【請求項41】
多孔質媒体の少なくとも1つの多孔質特性は、孔径、厚さ、材料、表面形状、被覆、および流体との接触角から選択される、請求項38に記載の圧力閾値センサ。
【請求項42】
多孔質媒体は、第1の多孔質媒体であり、少なくとも、第1の多孔質媒体を通って標的流体が漏出する前には、標的流体と接触するように第1の多孔質媒体の第1の側面に少なくとも近位に配置された第2の多孔質媒体をさらに含み、前記第2の多孔質媒体は、流体が前記第2の多孔質媒体に容易に浸透し、気体が前記第2の多孔質媒体の侵入圧力を超えるまで、気体が標的流体と共に浸透した後に前記第2の多孔質媒体を通過することを防止する、1つ以上の多孔質特性を有する、請求項38に記載の圧力閾値センサ。
【請求項43】
少なくとも、標的流体が第1の多孔質媒体を通って漏れる前に、標的流体と接触するように第1の多孔質媒体の反対側の少なくとも近位に配置された補助多孔質媒体をさらに備え、第2の多孔質媒体は、流体が第2の多孔質媒体に容易に浸透することを可能とし、標的流体と流体検出要素との間の接触性を高める、1つ以上の多孔質特性を有する、請求項38乃至42のいずれかに記載の圧力閾値センサ。
【請求項44】
前記補助多孔質媒体は、親水性媒体、超親水性媒体、親油性媒体、および両親和性多孔質媒体から選択される、請求項43に記載の圧力閾値センサ。
【請求項45】
前記補助多孔質媒体は、流路内の流体に接触すると膨潤する材料から選択され、流体検出要素は、第2の多孔質媒体の膨潤によって作動する受動スイッチとして動作する、請求項43に記載の圧力閾値センサ。
【請求項46】
前記流体検出要素は、補助多孔質媒体と接触する2つの電極を備える、請求項43に記載の圧力閾値センサ。
【請求項47】
前記補助多孔質媒体は、乾燥したときと流路内の流体によって湿潤されたときとで、異なる導電性を有するように選択される、請求項43に記載の圧力閾値センサ。
【請求項48】
前記流体検出要素は、プリント基板(PCB)上の接触パッドで成る2つの電極を備える、請求項43に記載の圧力閾値センサ。
【請求項49】
PCBは、熱カシメピンを介して熱かしめされて、第2の多孔質媒体と近接することおよび多孔質媒体との直接接触を維持する、請求項48に記載の圧力閾値センサ。
【請求項50】
前記流体検出要素は、流体と接触して閉じるまで開放される受動スイッチとして動作する、少なくとも2つの電極を含む、請求項38に記載の圧力閾値センサ。
【請求項51】
標的流体が多孔質媒体を通って多孔質媒体の第2の側面に漏出したときに状態が変化するように構成された指示要素をさらに備え、変化する状態は、色表示と色表示の変化から選択される、請求項50に記載の圧力閾値センサ。
【請求項52】
前記流体検出要素は、閉じると、電極に接続されたマイクロコントローラによって処理され得る通知を生じさせる、請求項50に記載の圧力閾値センサ。
【請求項53】
電極の一方は、マイクロコントローラの接地ピンに接続され、他方の電極は、マイクロコントローラの入力ピンに接続される、請求項50に記載の圧力閾値センサ。
【請求項54】
電極の一方は、マイクロコントローラの出力ピンに接続され、他方の電極は、マイクロコントローラの入力ピンに接続される、請求項50に記載の圧力閾値センサ。
【請求項55】
電極の一方は、マイクロコントローラと共通の接地を有する電源の正のレールに接続され、他方の電極は、マイクロコントローラの入力ピンに接続される、請求項52に記載の圧力閾値センサ。
【請求項56】
前記入力ピンと、マイクロコントローラの負または接地の端子に接続された負のレール、との間に接続されたプルダウン抵抗器、をさらに備える、請求項54または55に記載の圧力閾値センサ。
【請求項57】
マイクロコントローラおよび入力ピンのための電源または基準電圧の正のレールに接続されたプルアップ抵抗器、をさらに備える、請求項52に記載の圧力閾値センサ。
【請求項58】
プルアップ抵抗器は、1kオーム~100Mオーム程度の抵抗を有する、請求項57に記載の圧力閾値センサ。
【請求項59】
前記流体検出要素は受動的であり、標的流体が多孔質媒体を通って漏出し、多孔質媒体の反対側の第2の側面に到達するまで活性化されない、請求項38に記載の圧力閾値センサ。
【請求項60】
前記流体検出要素は能動的であり、標的流体が未だ多孔質媒体を通って漏出していない第1の状態と、標的流体が多孔質媒体を通って漏出している第2の状態とを区別する、異なる出力を与える、請求項38に記載の圧力閾値センサ。
【請求項61】
第1の多孔質媒体を被覆する熱応答性材料をさらに備え、標的流体における指定された温度および指定された圧力変化から選択される状態を検出する、請求項38に記載の圧力閾値センサ。
【請求項62】
前記熱応答性材料は、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)である、請求項61に記載の圧力閾値センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、流体ラインないし流路における過度の圧力事象を検出することができる検出システムに関する。本開示はまた、多孔質膜の特性を利用して、膜を交差する圧力が流体の破過圧力を上回って上昇した場合に、流体が膜を通過するときを検出する、液体用の毛管現象ベースの圧力閾値センサに関する。
【背景技術】
【0002】
注入ポンプや注入セットなどの流体送達デバイスは、長時間にわたって患者に薬剤ないし薬品を送達するものとして知られている。注入ポンプの例としては、携帯型ポンプ(例えば、ポータブルポンプ)、ウェアラブルポンプないしパッチポンプ、医療環境での非携帯のより大きな注入ポンプが挙げられる。例示としての注入セットは、チューブセットによってポンプ(例えば、Medtronic製のMiniMedParadigm(登録商標)インスリンポンプ)に接続されたカテーテルアセンブリを含むものである。
【0003】
これらの流体送達デバイスは、典型的には、注入セットに接続されたチューブなどの1つ以上の流路、またはカテーテルを含む注入セット内の流路を含む。注入ポンプは、薬剤などの流体を容器からカテーテルへ移動させる内部流路を有することがある。これらの流路では、閉塞が発生し得る。閉塞は、例えば、注入デバイスの機械的な問題、または流体自体によって引き起こされる、生物学的ないし薬理学的および/または機械的な閉塞によって引き起こされことがある。薬物送達用途において部分的または完全な閉塞を見つけ出すことは重要である。閉塞を見つけ出すことができないと、患者が処方された量の薬物療法を受けられなくなることがあるからである。閉塞された流路によって引き起こされ得る潜在的な故障モードの1つは、流路に漏れを引き起こし、その後の投薬(1回または複数回)ができないことを引き起こし得る圧力上昇である。流体送達システム内の圧力の増加はまた、ポンプ機構の不動、ポンプ機構の減速およびそれによる全体的な送達時間の増大、増加した圧力に打ち克つために必要な力の増加によって引き起こされるポンプ機構の損傷、ポンプ機構の失速、より高い圧力で動作するポンプ機構に起因する消費電力の増加などの他の問題を引き起こすことがある。
【0004】
従って、流路における閉塞または圧力を検知する要素が必要になる。圧力検知要素をウェアラブルまたは使い捨ての医療機器に一体化するための考慮事項は、信頼性、安定性、部品のサイズ、およびデバイスに一体化される能力、価格、消費電力、(再)較正の必要性、および必要となる計算電力である。既存の圧力センサは、デバイスの目標コストを維持しつつも、注入デバイスに追加するには高価すぎる場合があり、および/または過圧状態を検出するには信頼性が低すぎる場合があり、および/またはセンサ値によって測定された値を読み取るために特殊なサイズのハードウェアを必要とする場合があり、および/または圧力センサによって提供されるデータを分析するために過剰な計算電力を必要とする場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0129475号
【特許文献2】米国特許第10398852号明細書
【特許文献3】米国特許第9782536号明細書
【特許文献4】国際公開2016048878号公報
【発明の概要】
【0006】
上述した問題やその他の問題は、例示的な実施形態によって、克服され、さらなる利点が実現される。
【0007】
本開示の例示的な実施形態は、小さな実装面積を実現するために小型化することができ、既成の、または特定の要件を満たすために特別に開発されることができる材料を用い、非常に低いコストの商品を達成し、流体送達システムの最弱点であるように構成されるときの流路におけるフェイルセーフ要素を表し、低消費電力(例えば、いくつかの実施形態ではゼロ消費電力)であり、必要な計算電力が低電力(例えば、いくつかの実施形態ではゼロ計算電力)であり、アイドル状態であり、較正を必要としない圧力検出器を提供する。
【0008】
例示的な実施形態の態様は、多孔質媒体の第1の側面から流体がその対向する第2の側面に多孔質媒体を通って漏出することを可能にする多孔質特性を有する第1の多孔質媒体を選択することであって、前記漏出が流体圧力が多孔質媒体の流体破過圧力閾値を超えるときに生じる、選択することと、多孔質媒体の第2の側面に少なくとも近位に配置され、多孔質媒体の前記第2の側面上の少なくとも標的流体の存在を検出するように構成された流体検出要素を提供することと、を含む、毛管現象ベースの圧力閾値センサを作製する方法を提供する。
【0009】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は、受動流体検出要素と能動流体検出要素から選択され、受動流体検出要素は、標的流体が多孔質媒体を通って漏出し多孔質媒体の対向する第2の側面に到達するまで作動せず、能動流体検出要素は、標的流体がまだ多孔質媒体を通って漏出していない第1の状態と、標的流体が多孔質媒体を通って漏出した第2の状態とを区別する異なる出力を与える。
【0010】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は、標的流体が多孔質媒体を通って第2の側面に漏出したときに状態を変更するように構成された指示要素を含み、変化する状態は、色表示と色表示の変化から選択される。
【0011】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、指定された温度と標的流体の指定された圧力変化から選択される状態を検出するために、第1の多孔質媒体を熱応答性材料で被覆することをさらに含む。
【0012】
例示的な実施形態の態様によれば、熱応答性材料は、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)である。
【0013】
例示的な実施形態の態様によれば、媒体の多孔質特性は、孔径、厚さ、材料、表面形状、被覆、及び流体との接触角から選択される。
【0014】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、流路における穴に密閉を形成し、多孔質媒体を流路の流体に曝露し、流体が毛管現象ベースの圧力閾値センサの外に漏出するのを防止するために、第1の側面を構成することをさらに含む。
【0015】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は、少なくとも2つの電極を含み、方法は、多孔質媒体を通って漏出する流体をセンサに制御可能に分配し、第2の多孔質媒体が、乾燥のときと流路内の流体によって湿潤されたときで異なる導電性を有するように選択されるよう、非親和性の多孔質媒体と前記流体検出要素との間に配置された親和性の前記第2の多孔質媒体を提供することと、電極が受動的であり、多孔質媒体を通って漏出する流体が閾値を超えるまで活性化されないように構成される、多孔質媒体の前記第2の側面と接触する2つの電極を提供することと、をさらに含む。
【0016】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素を提供することは、プリント基板(PCB)上の接触パッドで作製された電極を提供することを含む。
【0017】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、第2の多孔質媒体との近接性を維持し、多孔質媒体との直接接触を維持するように構成された熱カシメピンを介してPCBを熱カシメすることをさらに含む。
【0018】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は、少なくとも2つの電極を含み、方法は、流体と接触して閉じるまで開放される受動スイッチとして電極を動作させることをさらに含む。
【0019】
例示的な実施形態の態様によれば、スイッチを提供することは、プリント基板(PCB)上の接触パッドで作製された電極を提供することを含む。
【0020】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、電極の一方をマイクロコントローラの接地ピンに接続し、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続することをさらに含む。
【0021】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、電極の一方をマイクロコントローラの出力ピンに接続し、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続することをさらに含む。
【0022】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、電極の一方をマイクロコントローラと共通の接地を有する電源または基準電圧の正のレールに接続し、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続することをさらに含む。
【0023】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、マイクロコントローラの電源または基準電圧の正のレールと前記入力ピンとの間にプルアップ抵抗器を接続することをさらに含む。
【0024】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、前記入力ピンと、マイクロコントローラの負または接地の端子に接続された負のレールとの間にプルダウン抵抗器を接続することをさらに含む。
【0025】
例示的な実施形態の態様によれば、抵抗器は、1kオーム~100Mオーム程度の抵抗を有する。
【0026】
例示的な実施形態の態様によれば、多孔質媒体は、疎水性媒体、超疎水性媒体、疎油性媒体、および両非親和性の多孔質媒体から選択される。
【0027】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、少なくとも、第1の多孔質媒体を通って標的流体が漏出する前には、標的流体と接触するように第1の多孔質媒体の第1の側面に少なくとも近位に配置された第2の多孔質媒体を選択することをさらに含み、第2の多孔質媒体は、流体が容易に前記第2の多孔質媒体に浸透することを可能にする多孔質特性、および気体が前記第2の多孔質媒体侵入圧力を超えるまで、前記第2の多孔質媒体に標的流体が浸透した後に、気体が前記第2の多孔質媒体を通過することを防止する多孔質特性を有する。
【0028】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、少なくとも第1の多孔質媒体を通って標的流体が漏出する前に、標的流体と接触するように第1の多孔質媒体の反対側に少なくとも近位に配置された補助多孔質媒体を選択することをさらに含み、第2の多孔質媒体は、流体が第2の多孔質媒体に容易に浸透することを可能とし、標的流体と流体検出要素との間の接触性を高める1つ以上の多孔質特性を有する。
【0029】
例示的な実施形態の態様は、毛管現象ベースの圧力閾値センサを用いる方法を提供することであり、この方法は、流体で検出される過圧閾値を選択することと、少なくとも1つの多孔質特性と過圧閾値に関連する流体破過圧力閾値を有する多孔質媒体を含む毛管現象ベースの圧力閾値センサを選択することと、ここで、毛管現象ベースの圧力閾値センサは、媒体を交差する流体圧力が流体破過圧力閾値を超えるときに、その一方の側から流体が媒体を通ってその反対側に漏れることを可能にするものであり、多孔質媒体の少なくとも一方の側が過圧事象が検出される流体と接触するように、毛管現象ベースの圧力閾値センサを配置することと、を含む。
【0030】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、流路を提供することと、過圧事象が毛管現象ベースの圧力閾値センサによって検出されるべき位置を選択すること、をさらに含む。
【0031】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、流体容器を提供することと、過圧事象が毛管現象ベースの圧力閾値センサによって検出される位置を選択すること、をさらに含む。
【0032】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、選択された位置に穴を設けることと、多孔質媒体を穴上に固定して穴を密封すること、をさらに含む。
【0033】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、多孔質媒体を流路を形成する材料に溶着させること、をさらに含む。
【0034】
例示的な実施形態の態様によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサは、少なくとも2つの電極を含み、方法は、電極を、流体と接触して閉じるまで開放される受動スイッチとして動作させることをさらに含む。
【0035】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、受動スイッチが閉じられたときに通知を始動させることをさらに含む。
【0036】
例示的な実施形態の態様によれば、始動は、通知に関連付けられた入力を電極に接続されたマイクロコントローラに与えることと、流体が多孔質媒体の少なくとも1つの側面に接触することに応答して指示要素の変化を誘発することによって指示を生成すること、から選択される。
【0037】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、電極の一方をマイクロコントローラの接地ピンに接続することと、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続すること、をさらに含む。
【0038】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、電極の一方をマイクロコントローラの出力ピンに接続し、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続することをさらに含む。
【0039】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、電極の一方をマイクロコントローラと共通の接地を有する電源の正のレールに接続することと、他方の電極をマイクロコントローラの入力ピンに接続すること、をさらに含む。
【0040】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、マイクロコントローラと入力ピンのための電源の正のレールまたは基準電圧にプルアップ抵抗器を接続することをさらに含む。
【0041】
例示的な実施形態の態様によれば、方法は、入力ピンと、マイクロコントローラの負または接地の端子に接続された負のレールと、の間にプルダウン抵抗器を接続することをさらに含む。
【0042】
例示的な実施形態の態様によれば、抵抗器は、1kオーム~100Mオーム程度の抵抗を有する。
【0043】
例示的な実施形態の態様によれば、多孔質媒体は、疎水性媒体、超疎水性媒体、疎油性媒体、および両非親和性の多孔質媒体から選択される。
【0044】
例示的な実施形態の態様によれば、媒体の多孔質特性は、孔径、厚さ、材料、表面形状、被覆、および流体との接触角から選択される。
【0045】
例示的な実施形態の態様は、少なくとも1つの多孔質特性、および流体圧力が多孔質媒体の流体突破閾値を超えるときに、流体がその第1の側面からその対向する第2の側面に漏出することを可能にする流体破過圧力閾値を有する多孔質媒体と、多孔質媒体の第2の側面の少なくとも近位に配置され、多孔質媒体の第2の側面における少なくとも標的流体の存在を検出するように構成された流体検出要素と、を含む、毛管現象ベースの圧力閾値センサを提供する。
【0046】
例示的な実施形態の態様によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサは、多孔質媒体の第2の側面と接触する2つの電極をさらに備える。
【0047】
例示的な実施形態の態様によれば、多孔質媒体は、疎水性媒体、超疎水性媒体、疎油性媒体、および両非親和性の多孔質媒体から選択される。
【0048】
例示的な実施形態の態様によれば、多孔質媒体の少なくとも1つの多孔質特性は、孔径、厚さ、材料、表面形状、被覆、および流体との接触角から選択される。
【0049】
例示的な実施形態の態様によれば、多孔質媒体は、第1の多孔質媒体であり、少なくとも、第1の多孔質媒体を通って標的流体が漏出する前には、標的流体と接触するように第1の多孔質媒体の第1の側面に少なくとも近位に配置された第2の多孔質媒体をさらに含み、第2の多孔質媒体は、流体が第2の多孔質媒体に容易に浸透し、気体が第2の多孔質媒体の侵入圧力を超えるまで、気体が標的流体と共に浸透した後に第2の多孔質媒体を通過することを防止する、1つ以上の多孔質特性を有する。
【0050】
例示的な実施形態の態様によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサは、少なくとも、標的流体が第1の多孔質媒体を通って漏れる前に、標的流体と接触するように第1の多孔質媒体の反対側の少なくとも近位に配置された補助多孔質媒体を含み、第2の多孔質媒体は、流体が第2の多孔質媒体に容易に浸透することを可能とし、標的流体と流体検出要素との間の接触性を高める、1つ以上の多孔質特性を有する。
【0051】
例示的な実施形態の態様によれば、補助多孔質媒体は、親水性媒体、超親水性媒体、親油性媒体、および両親和性多孔質媒体から選択される。
【0052】
例示的な実施形態の態様によれば、補助多孔質媒体は、流路内の流体に接触すると膨潤する材料から選択され、流体検出要素は、第2の多孔質媒体の膨潤によって作動する受動スイッチとして動作する。
【0053】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は、補助多孔質媒体と接触する2つの電極を備える。
【0054】
例示的な実施形態の態様によれば、補助多孔質媒体は、乾燥したときと流路内の流体によって湿潤されたときとで、異なる導電性を有するように選択される。
【0055】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は、プリント基板(PCB)上の接触パッドで成る2つの電極を備える。
【0056】
例示的な実施形態の態様によれば、PCBは、熱カシメピンを介して熱かしめされて、第2の多孔質媒体と近接することおよび多孔質媒体との直接接触を維持する。
【0057】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は、流体と接触して閉じるまで開放される受動スイッチとして動作する、少なくとも2つの電極を含む。
【0058】
例示的な実施形態の態様によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサは、標的流体が多孔質媒体を通って多孔質媒体の第2の側面に漏出したときに状態が変化するように構成された指示要素をさらに含み、変化する状態は、色表示と色表示の変化から選択される。
【0059】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は、閉じると、電極に接続されたマイクロコントローラによって処理され得る通知を生じさせる。
【0060】
例示的な実施形態の態様によれば、電極の一方は、マイクロコントローラの接地ピンに接続され、他方の電極は、マイクロコントローラの入力ピンに接続される。
【0061】
例示的な実施形態の態様によれば、電極の一方は、マイクロコントローラの出力ピンに接続され、他方の電極は、マイクロコントローラの入力ピンに接続される。
【0062】
例示的な実施形態の態様によれば、電極の一方は、マイクロコントローラと共通の接地を有する電源の正のレールに接続され、他方の電極は、マイクロコントローラの入力ピンに接続される。
【0063】
例示的な実施形態の態様によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサは、前記入力ピンと、マイクロコントローラの前記負または接地の端子に接続された負のレール、との間に接続されたプルダウン抵抗器をさらに備える。
【0064】
例示的な実施形態の態様によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサは、マイクロコントローラおよび入力ピンのための電源または基準電圧の正のレールに接続されたプルアップ抵抗器をさらに備える。
【0065】
例示的な実施形態の態様によれば、プルアップ抵抗器は、1kオーム~100Mオーム程度の抵抗を有する。
【0066】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は受動的であり、標的流体が多孔質媒体を通って漏出し、多孔質媒体の反対側の第2の側面に到達するまで活性化されない。
【0067】
例示的な実施形態の態様によれば、流体検出要素は能動的であり、標的流体が未だ多孔質媒体を通って漏出していない第1の状態と、標的流体が多孔質媒体を通って漏出している第2の状態とを区別する、異なる出力を与える。
【0068】
例示的な実施形態の態様によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサは、第1の多孔質媒体を被覆する熱応答性材料をさらに備え、標的流体における指定された温度および指定された圧力変化から選択される状態を検出する。
【0069】
例示的な実施形態の態様によれば、熱応答性材料は、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)である。
【0070】
例示の実施形態の追加の態様および/または他の態様ならびに利点は、以下の説明に記載されることになるか、説明から明らかとなるか、または、例示の実施形態の実施により知ることができる。例示的な実施形態は、上記の態様のうちの1つもしくは複数、および/またはそれらの特徴もしくは組み合わせのうちの1つもしくは複数を有する装置およびその装置を動作させるための方法を含み得る。例示の実施形態は、例えば、添付の特許請求の範囲に記載されている上記の態様の1つもしくは複数の特徴および/または組み合わせを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0071】
例示的実施形態の実施形態の上記および/または他の態様ならびに利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより容易に理解される。
【
図1A】
図1Aは、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサの側面図を示す。
【
図1B】
図1Bは、例示的な実施形態による、一度濡れ/予呼び水されると、流路の負圧の結果として空気が流路に導入されることを防止する、流路と接触する親水性多孔質媒体を備えた毛管現象ベースの圧力閾値センサの側面図を示す。
【
図2A】
図2Aは、
図1Aに示される毛管現象ベースの圧力閾値センサにおける例示的な疎水性多孔質媒体を示す。
【
図2B】
図2Bは、
図1Bに示される毛管現象ベースの圧力閾値センサにおける、液体によって濡れ、毛管力で空気が媒体に入るのを防ぐ親水性多孔質媒体の例を示す。
【
図3A】
図3Aは、例示的な実施形態に従って構成された、それぞれ圧力閾値より下および圧力閾値より上の2つの異なる状態の毛管現象ベースの圧力閾値センサを示す。
【
図3B】
図3Bは、例示的な実施形態に従って構成された、それぞれ圧力閾値より下および圧力閾値より上の2つの異なる状態の毛管現象ベースの圧力閾値センサを示す。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサのための電極を備えたプリント基板を示す。
【
図5A】
図5Aは、例示的な実施形態に従って構成された、プロセッサに出力を与える毛管現象ベースの圧力閾値センサのブロック図である。
【
図5B】
図5Bは、例示的な実施形態による、受動指示器に出力を与える毛管現象ベースの圧力閾値センサのブロック図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサを用いる例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Bは、平坦および凹凸加工された異なる表面に接触する液体のそれぞれの接触角を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、平坦および凹凸加工された異なる表面に接触する液体のそれぞれの接触角を示す図である。
【
図8】
図8は、例示的な疎水性繊維膜における空気および水の侵入の描写である。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサを例示的な注入セットの流路に設置するための異なる場所をそれぞれ示している。
【
図10】
図10は、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサを例示的な注入セットの流路に設置するための異なる場所をそれぞれ示している。
【
図11】
図11は、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサを例示的な注入セットの流路に設置するための異なる場所をそれぞれ示している。
【
図13】
図13は、ハウジングカバーを取り外して、ベースプレート上の例示的なポンプ部品を露出させた、
図12の注入ポンプの斜視図である。
【
図14】
図14は、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサを例示的な注入セットの流路に設置するための異なる場所をそれぞれ示している。
【
図15】
図15は、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサを例示的な注入セットの流路に設置するための異なる場所をそれぞれ示している。
【
図16A】
図16Aは、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサを例示的な注入セットの流路に設置するための異なる場所をそれぞれ示している。
【
図16B】
図16Bは、例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサを例示的な注入セットの流路に設置するための異なる場所をそれぞれ示している。
【0072】
図面全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素、特徴、および構造を指すと理解されるものである。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下、添付の図面に示される例示的な実施形態について詳細に記述する。本明細書に記載される実施形態は、図面を参照することにより、例示的な実施形態を例示するものであるが、これに限定されない。
【0074】
本開示によれば、疎水性多孔質材料または媒体208を用いる毛管現象ベースの圧力閾値センサ200と、流体送達の適用における流路の過圧の検出など所与の適用における所望の過圧状態または事象を検出するための流体破過圧力(例えば、毛管現象ベースの圧力閾値)の媒体固有の特性と、が示される。
図1Aおよび
図1Bはそれぞれ、流体204を囲むためにポリマー材料などの材料によって形成される流路202に実装された例示的な毛管現象ベースの圧力閾値センサ200を示している。以下でより詳細に説明するように、流路202におけるセンサ200は、流路内の流体圧力が、例えば、閉塞または他の状態の指標としての、指定された閾値を超えた後、膜208および任意選択の膜214が損なわれたときを検出するために用いられる。
【0075】
図2Aは、液体204と接触する第1の側面210と、空気などの気体と接触する第2の側面212とを有した、センサ200で用いられる例示的な媒体208、214の部分図を示す。液体用の毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、膜208としての非親和性の多孔質媒体(例えば、疎水性、超疎水性、疎油性および両非親和性の多孔質膜)の特性、ならびに任意選択で、膜214としての親和性の多孔質媒体(例えば、親水性、超親水性、親油性および両親和性の多孔質膜)の特性を利用して、膜208または膜214を交差する圧力が流体204の破過圧力を上回って上昇する場合に、流体204が膜208または膜214を通過するときを検出する。毛細管圧力pは、次の式に関して、接触角、表面張力、界面の有効半径の関数である。
【0076】
【0077】
多孔質膜の場合、流体破過圧力は、
図2Aに示されるように、膜において相応の隣接繊維213によって画定される等価最大孔215の毛細管圧力によって決定される。等価最大孔は、膜の一方の側面210から他方の側面212に向かう、繊維213の間の所与の浸透経路における液体が通過しなければならない最小の孔である。親水性多孔質膜および/または膨張材料214aに加えて、
図2Bは、液体204によって湿潤されると、毛細管力によって空気が媒体214に入るのを防ぐ、膜214bのための親和性の多孔質媒体を示す。毛細管圧力は、正(例えば、親和性多孔質媒体)であっても、負(非親和性多孔質媒体)であってもよいことが理解できる。負の毛細管圧は、液体の通過を防ぐが、気体の通過を可能にする一方、正の毛細管圧は、液体の通過を容易にするが、一旦液体によって湿潤されると気体の通過を防止する。
【0078】
図1A、
図3Aおよび
図3Bを参照すると、例示的な実施形態によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、流体ラインまたは流路202の流体204と接触する疎水性膜208用に疎水性、超疎水性、疎油性、または両非親和性の多孔質媒体(すなわち、“非親和性多孔質媒体”とも称される)を用いることによって形成される。例えば、
図3Aは、感知された流体が流体破過圧力閾値を下回っているときのセンサ200の動作を示し、
図3Bは、感知された流体が流体破過圧力閾値を上回っているときのセンサ200の動作を示している。一例の実施形態では、疎水性膜208は、流路202に沿って形成された開口部206を密封する超疎水性多孔質膜である。センサ200は、多孔質膜208に近接して、または多孔質膜208と直接接触して配置される標的流体204の存在を検出するための流体検出器または流体検出要素216(例えば、受動スイッチまたは電極218a、bを含む能動スイッチ)を備えて、流体が膜208を通過した後に流体204の存在を検出する。例えば、スイッチ216は、金端子または膜スイッチとすることができる。膜208として用いられる多孔質媒体の特性(例えば、特に、孔径、厚さ、材料、表面形状、被覆、および流体との接触角)を選択することにより所望の流体破過圧力を得ることができ、この流体破過圧力は、流体によって孔が塞がれるのを防止する毛細管圧力に対して、多孔質膜208の2つの側面210、212の間の圧力差が勝る圧力である。
【0079】
図1B、
図3Aおよび
図3Bを引き続き参照すると、第2の多孔質膜214(すなわち、“親和性多孔質媒体”とも称される)が、流体検出器216と非親和性多孔質媒体208との間に任意選択で介在し、流体204が制御された状態で拡散し、流体検出器216によるその検出を最適化することを可能にする。一実施形態では、親和性の多孔質媒体214は、一旦流体と接触すると、膨張して流体検出器216との接触をさらに改善し、検出を最適化する。別の実施形態では、膨張する親和性多孔質媒体214は、機械的作用によって、例示的な流体検出器要素216(例えば、スイッチ)を作動させる。例示的な実施形態では、非親和性の多孔質媒体208は、流体ラインまたは流路202へのアクセスを与えるポリマー材料の穴によって形成される開口部206を密封するように、流路202を形成するポリマー材料に溶着される。例示的な実施形態では、流体検出器216は、親和性の多孔質媒体214と直接接触する2つの電極218a、bによって形成される。親和性の多孔質媒体214は、乾燥時の電気伝導性が流体204で湿潤されたときとは異なるように選択される。その結果、流体の存在が、2つの測定電極218a、bの間の抵抗の変化によって検出され得る。流体204が低い電気伝導性(例えば、純水)を有する場合、(塩など)イオン性化合物は、流体202と流体検出器216の電極218a、bとの間の経路に配置されて、流体204の電気伝導性を増加させ、その検出を可能にすることができる。
図1Aおよび
図1Bのポゴピン229および隣接する接触パッド228を用いて、回路(すなわち、電極218a、b)をマイクロコントローラまたは他の構成部品を有する別個のPCBに接続することができる。
【0080】
図3Aおよび
図3Bに示すように、通気型電極218a、bを用いることができる。例えば、感知電極218a、bの位置にあるビア220は、空気が逃げることを可能にし、流体204を電極に接触するように効果的に誘導する。通気型電極218a、bは、適切な電気的接触位置を妨げ、従って流体204の検出を損なう可能性のある、電極に捕捉された空気または気泡のポケットを回避する点で有利である。
【0081】
図3A、
図3Bおよび
図4を参照すると、例示的な実施形態では、電極218a、bは、プリント基板(PCB)222における接触パッドで作られる。PCB222は、親和性多孔質媒体214と密接な接触を維持するために、熱かしめピン22によって熱かしめされ、親和性多孔質媒体214は、非親和性多孔質媒体208と直接接触する。流体検出器216の電極218a、bは、
図5Aに示すように、マイクロコントローラ226または他の種類の処理装置によって処理され得る通知を生じさせるために流体204と接触すると閉じる開スイッチとして機能することができ、または、
図5Bに示すように、受動的な指示器230を用いて受動的な通知を生成することができる。一方の電極218aは、マイクロコントローラ226の接地ピンに接続され、他方の電極218bは、マイクロコントローラ226の入力ピンに接続され得る。高い値(例えば、100kオーム)を有するプルアップ抵抗232は、電源(図示せず)の正のレールに接続することができる。プルアップ抵抗は、1kΩ~100MΩの範囲であり、
図5Aに概略が示される湿潤/乾燥電極234のインピーダンスに対する値を有し得る。プルアップ抵抗およびプルダウン抵抗は、マイクロコントローラ226の電極218a、bおよびピンを適切に接続することによって、互換的に用いることができる。そのような実施形態は、センサ200が配置される流体ライン202において過圧の状態または事象が発生しない限り、センサ200の極めて低い消費電力という利点を有する。別の例示的な実施形態では、流体204は、電極218a、bによって感知される導電性を低下させ、前述したのと同様の方法で検出可能な事象を生じさせる。例示的な実施形態では、電極の一方は、マイクロコントローラの出力ピンに接続され、他方の電極は、マイクロコントローラの入力ピンに接続され得る。例示的な実施形態の態様によれば、電極の一方は、マイクロコントローラと共通の接地を有する電源の正のレールに接続され、他方の電極は、マイクロコントローラの入力ピンに接続される。別の実施形態では、電極には、直流バイアスの代わりに、または直流バイアス無しで、交流信号が供給される。
【0082】
本明細書における流体検出器216の説明は、例えば目的のための機能スイッチとしてであり、必ずしも電気部品としてではないことを理解されたい。例えば、“閉スイッチ”として動作する流体検出器216の抵抗は、閉スイッチの抵抗が典型的には1オーム未満のオーダーである典型的な電気スイッチ構成部品とは対照的に、比較的高い(例えば、それらの材料、流体の特性等などの電極218の構造に応じて数キロオーム)。本明細書の例示的な実施形態によれば、電極218は、容量性センサとして用いられる。
【0083】
さらに、例示的な実施形態によれば、流体検出要素216は受動的であり、標的流体が多孔質媒体を通って漏出し、多孔質媒体の反対側の第2の側面に到達するまで活性化されない。代替の実施形態によれば、流体検出要素216は、能動的であり、標的流体202がまだ多孔質媒体208を通って漏出していない第1の状態と、標的流体204が多孔質媒体208を通って漏出している第2の状態とを区別する、異なる出力または読み取り値(例えば、プロセッサの場合)を与える。例示的な実施形態では、流体の存在は、光学センサ、静電容量センサ、誘導センサ、または湿度センサ216によって検出することができる。
図5Bに例示される実施形態では、流体検出器216は、
図5Aに例示されるようなプロセッサを用いることなく、標識(例えば、流体204の存在は、完全な受動的標識として機能する流体検出器216に関連付けられた材料の色変化を誘発する)を伴って直接動作する。受動的標識は、流体検出器216が流体204と接触していないときから、流体が膜(複数可)208および流体検出器216を通って漏出するとき、またはそうでなければ、膜(複数可)208および流体検出器216と接触するときまでの色の変化のような状態の変化を(例えば、ユーザの肉眼に)視覚的に示す,光学的または視覚的な標識として動作することができる。そのような実施態様は、例えば、スマートフォンまたはIPX8仕様を有する他のデバイスにおいて有用であり、スマートフォンまたは他のIPX8s仕様のデバイスのハウジングまたはケース内に配置された流体検出器216がIPX8仕様よりも高い流体圧力にさらされた場合、流体検出器216に関連付けられた受動的標識が生じ、それによって保証nが無効となる。
【0084】
図4は、処理装置226のピンに有線接続するための電極218a、bとビアとの間の配線を与えるPCB222を示しているが、センサ200は、少なくとも、流体検出器216の状態変化を処理装置226に通信するための無線通信能力を提供することができる。例えば、無線センサに電力を供給するために現在使用されているいくつかの技術があり、この技術としては、無線電力を誘導的に、無線周波数エネルギー伝達を通じて、または特許文献1に記載されているように、容量的に提供するものがある。この特許公開では、センサの電力供給にRFIDまたはSOWが推奨されている。これらの技術のうちの1つは、センサ200が配備されるデバイス(例えば、薬物送達装置)または別のデバイス(例えば、ユーザインターフェース)内の質問機への、センサ200からの情報の無線転送(例えば、流体が感知され、従ってスイッチ216が作動されるという、流体検出器216からの通知)を可能にするのに十分な電力および信号増幅を提供するために用いることができる。あるいは、流体検出器216は、受動的に構成され得る。
【0085】
別の例示的な実施形態では、
図1Aの親和性多孔質媒体214および
図1Bの親和性多孔質媒体214aは、(例えば、流体204がそこを通って漏れた結果として)それが膨張するときにスイッチを機械的に動作させる膨張親和性材料である。親和性多孔質媒体214は、親水性膜および/または膨張膜214等の、液体204を吸収する際に拡大ないし膨張し、それによって電極218a、bに対する親和性多孔質媒体214の密接な接触を強制的に行う多孔質材料とすることができる。膨張性の親和性材料は、例えば、無水ハイドロゲル、発泡体またはスポンジ状材料とすることができる。無水ハイドロゲルは、電極を介した流体検出の信頼性を向上させるために、液体充填材料の導電性を増加させる塩または材料をさらに充填することができる。
【0086】
別の例示的な実施形態によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、使い捨てのセンサである(例えば、流体204が膜に漏出し、流体検出器216が作動すると、もはや使用できない)。別の実施形態では、毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、非親和性多孔質媒体208を通過した流体204が、流体検出器216によって調べられた領域から退避した後に再利用することができる。
【0087】
別の例示的な実施形態によれば、非親和性多孔質媒体208よりも高い流体破過圧力を有する非親和性多孔質媒体(図示せず)は、センサ200の上部に配置されて、感知領域をカプセル化し、どのような流体204でもそれが検出領域を超えて漏出するのを防止し、また、誤検出を生成する可能性のある水分凝縮を回避するためのバリアを提供する。別の例示的な実施形態によれば、電極218a、bと親和性多孔質媒体214との間の接触は、電極218a、bに粗い表面を有すること、および/または親和性多孔質媒体214に波状の表面を形成する導電性材料を有すること、および/または電極を短絡させることなく、多孔質材料214と個々の電極218a、bとを接続する導電性接着剤等の、親和性多孔質材料214に浸透された導電性材料を有すること、および/またはかみ合せ電極を有することによって改善することができる。別の例示的な実施形態によれば、センサ200は、2つの電極218a、b以上で、複数のセンサ構成を有することができる。異なる電極は、例えば、電気化学的測定および/またはインピーダンス分光法によってさらに分析することができる高度な流体特性を含む、様々な流体特性を検出するように構成および機能化することができる。さらなる例として、疎水性膜用の感熱性材料(例えば、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドまたはPNIPAM)を用いることができる。一つの例示的な実施形態では、流体ラインの過圧に加えて複数の要因の検出を組み合わせるように、接触角が特定の状態に応じて変化する材料が選択されてもよい。例えば、多孔質媒体208は、より低い臨界共溶温度(LCST)未満の温度または流体破過圧力を超える圧力のいずれかを検出するために、PNIPAMなどの熱応答性材料で構成されまたは被覆される。
【0088】
例示的な実施形態によれば、毛管現象ベースの圧力閾値センサ200を作製し、また使用する方法が
図6に示される。例えば、過圧状態を検出するという要求などの所定の適用が、流体ライン(例えば、インスリンを貯留する容器と薬物送達装置におけるカテーテルとの間の流路)になされる場合、流路202で検出されるべき過圧閾値が選択される(ブロック280)。流体圧力がその流体破過圧力閾値を超えると流体が媒体を通って漏出することを可能にする多孔質媒体208を備えた毛管現象ベースの圧力閾値センサが選択される(ブロック282)。多孔質媒体208は、過圧閾値に関連した、少なくとも1つの多孔質特性および流体破過圧力閾値を有する。毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、多孔質媒体208の一方の側面210が流路202における流体204と接触するように、流体ラインまたは流路202に沿って配置される(ブロック284)。センサ200は、媒体208の反対側212に電極218a、bを有し、電極218a、bは、流体204と接触して閉じられるまで開とされたスイッチとして動作することができる(ブロック286)。スイッチ216が閉じることによって、通知(例えば、受動タイプのスイッチ216による光学的または色変化の表示、または能動タイプのスイッチ216からの処理装置226への出力)を生じさせる(ブロック288)。毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、異なるタイプの流体に関して、また異なるタイプの流体デバイスまたはシステムに関して、異なるタイプの流体ライン202内の圧力を検出するのに有用であり、従って、薬物送達デバイスおよび流体薬剤品に限定されないことを理解されたい。
【0089】
ここで、毛管現象ベースの圧力閾値センサ200を作製するためのいくつかの例示的な材料について説明する。例えば、超疎水性多孔質膜(例えば、MilliporeSuruVent(登録商標)PVDF膜)を媒体208として用いることができる。流体検出器216は、例えば、液体(例えば、ペグフィルグラスチムおよびインスリンに適用可能な)、剛性または可撓性のPCB222上に存在する導電性パッドまたは膜スイッチが接触する導電性配線で作製することができる。導電性パッドは、金/銅/錫/銀/塩化銀の材料で作製することができるが、これらに限定されない。以下の表1は、SureVentPVDFの超疎水性材料の1つのタイプについて、多孔質膜特性の例および対応する流体破過圧力(psi)を与えるものである。孔径、厚さ、および流体破過圧力の関係は、表1に示すものから変化し得ることを理解されたい。例えば、水破過圧力は、表1における同じ孔径および厚さの特性を有する異なる材料または被覆(すなわち、異なる接触角をもたらす)に対して異なり得る。
【0090】
【0091】
例示的な実施形態に従って構成された毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、可撓性または剛性の流路202に実装することができる。疎水性多孔質膜208(例えば、任意選択の親水性材料214を備える)、流体検出システムないし要素216(例えば、電極218a、b、または機械的または光学的または他の種類のスイッチ)を備える構成は、過圧検出が必要または求められる流体ライン202における流体204に非親和性の多孔質膜208が接触している限り、流路の任意の場所に潜在的に統合され得る。
【0092】
毛管現象ベースの圧力閾値センサ200の例示的な実施形態の基礎となる技術的原理は、非親和性の多孔質媒体208(例えば、疎水性媒体)の毛細管圧力、および液体溶液で湿潤されたときの多孔質媒体208、214の導電性である。一例の実施形態によれば、流体204は導電性であって非親和性の多孔質膜208を横切り、過圧事象の検出は、任意選択の第2の媒体214(例えば、スポンジ材料)の抵抗の変化を介して開回路216が閉じることによって行われる。センサ200に任意選択の第2の媒体214が用いられない場合では、流体204自体が電極218a、bの間のギャップにおける空気と置き換わり、電極間の回路を閉じる。別の例示的な実施形態によれば、電極218a、bのうちの1つが(例えば、DC回路に対する電気容量を用いて)励起され、測定が行われる。いずれにせよ、流体の媒体飽和による電極218a、bの領域における媒体のインピーダンスの変化を測定して、過圧事象を特定することができる。
【0093】
上述したように、多孔質特性および対応する破過圧力を有して、過圧事象を検出することが求められる用途のための、所望の圧力閾値を実現する媒体208用の非親和性の多孔質材料を選択するときに、いくつかの要因を考慮することができる。例えば、媒体208は、超疎水性多孔質膜を用いることができる。非親和性多孔質材料の異なる特性(例えば、粗さ、孔径、材料、被覆、膜厚など)は、超過したときに検出されることが求められる所望の圧力閾値に対応する破過圧力をそれが有することに関する決定に影響を与えることができる。
【0094】
毛細現象は、流体の多孔質材料との相互作用の性質を特徴付ける主要な要因である。負の毛細管圧力を有する繊維性材料は疎水性であり、膜として、または様々な用途のための耐水性バリアとして用いることができる。詳細な毛細管圧力予測は、燃料電池または液液分離または気液分離を伴う他の用途のためのガス拡散層(GDL)の適切な設計にも重要である。
図8は、膜底部付近の破裂不安定性を被る空気水界面の拡大図である。疎水性傾向を有する表面は、
図8の例示的な繊維性膜によって示されるように、粗さ、より正確には特定のタイプの表面形状を追加することによって、超疎水性に増強することができる。疎水性繊維膜(例えば、直接接触膜蒸留で用いられる蒸留膜)を水と接触させると、疎水性繊維は、膜の孔(繊維間の空間)に水が侵入することに抵抗する。それでもなお、浸漬した疎水性膜は、上昇した圧力下で乾燥した状態を維持することができない。これは、膜の外側の水と膜の内側の空気との間の界面が過度の圧力によって不安定になり、膜の孔に水が入る(すなわち、膜の毛細管圧力が侵入圧力に釣り合わせることができない)ためである。一般に、水が膜に入る圧力は、液体侵入圧力、液体破過圧力、または水破過圧力(水溶液の場合)と呼ばれる。
【0095】
図7Aおよび
図7Bは、ヤングの式と、疎水性または親水性としての媒体の特徴付けとの関連性を示している。表面張力γLVは、液体と蒸気との間の界面の存在に関するものであり、界面張力の一例にすぎない。液体の液滴が固体上にあるとき、固体-液体および固体-蒸気というさらなる2つの界面が関連し、また界面張力γSLおよびγSVを与える。これらの3つの界面力のバランスによって、固体上にある液滴が最終的に薄い膜に引き延ばされるかどうか、またはそれが液滴のままであるかどうか、そしてその場合には、固体表面上のその接地面積の範囲が、決まる。滑らかで平坦な表面では、乾燥表面の単位面積当たりの相互作用エネルギーはγSVであるが、液体の薄層で被覆された同じ表面では、単位面積当たりの相互作用エネルギーがγSL+γSVの組み合わせに係る2つの界面が存在する。従って、滑らかで平坦な表面上で膜を形成するための条件は、エネルギーが以下の式(1)に従って減少することである。
【0096】
S=γSL+γLV-γSV>0
ここで、Sは拡がり力として定義される。
【0097】
膜が形成されず、液滴が部分的に湿潤状態で表面に残っている場合、液滴の端に平衡接触角θeが存在する。これは、三相(固‐液‐蒸気)接触線における液-蒸気界面の接線角である。接触角は、液滴のサイズに依存せず、ヤングの式(2)によって記述される。
【0098】
【0099】
さらに、疎水性、親水性および超疎水性に関して、完全な親水性(または濡れ性)表面は、式(1)が根拠となる膜が形成される表面であり、S=0については、式(2)が、これに対する閾値がθe=0°に対応することを示す。完全疎水性の表面は、液滴が何らかの接触を持つことがエネルギー的に好ましくなく、これはθe=180°に相当する。従って、これら2つの値の間の有限の接触角を有する液滴は総て部分的に濡れている。一般に、水の接触角が90°より小さい場合、固体表面は親水性であり、水の接触角が90°より大きい場合、固体表面は疎水性であると考えられる。水との接触角が150°を超える表面/材料は、一般に超疎水性と呼ばれる。
【0100】
疎水性傾向を有する表面は、粗さを加えることによって、またはより正確には、特定のタイプの表面形状を加えることによって、超疎水性に増強することができる。これは、表面の化学的性質の物理的増幅と見なすことができる。化学的性質だけで可能な接触角をはるかに超えて増加させることができ、場合によっては180°に近づけることができる。また、化学的物質だけで、接触角を予期されるよりもより0°に向かって減少させることができる。表面形状による増幅効果は、ヤングの式の導出と同様に理解することができる。表面形状の形やざらざらしている程度、および幾何学的粗さと選択した材料に対する選択した液体の接触角は総て、濡れと脱湿に影響を与える。ウェンツェルの式は、90°以下の接触角では接触角が粗さによって減少し、それより高い接触角では増加することを予測するが、ブリッジの効果によって、より低い固有接触角を持つ表面は、粗さとの接触角の増加を示す。粗さの形は、ブリッジを引き起こすのに重要である。これらの要因により、毛管現象ベースの圧力閾値センサ200で用いられる、非親和性多孔質媒体208および任意選択の親和性多孔質媒体214などの、特定の目的のための材料を設計する際に、広範な範囲が可能になる。
【0101】
本開示は、非親和性多孔質媒体208の流体破過圧力特性を利用して、多孔質媒体の反対側212で、媒体を通って漏出する流体204を検出することを可能にし、これによって、流体ライン202における圧力が所定の閾値を超えて上昇するときの検出を可能にする。流体ラインにおける圧力を継続的に測定するための能動的センサの使用を伴う解決策とは異なり、本明細書に記載の例示的な実施形態による毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、非常にコンパクトであり、小さなデバイスに容易に統合することができる非常に小さな接地面積を可能にし、データ処理および計算能力をほとんど必要とせず、可動部品を有さず、非常に低い死容積であり、費用対効果が高く、最小限の組み立て工程で製造することができ、非常に低い消費電力であり、大量生産することができ、どのような圧力トランスデューサを用いることなく特定の圧力閾値を検出するのに使用することができる。
【0102】
ここで、例示的な実施形態に従って、異なるタイプの装置の流体ライン202における毛管現象ベースの圧力閾値センサ200の例示的な装着について説明する。
図9、
図10および
図11はそれぞれ、例示的な注入セットの流路に毛管現象ベースの圧力閾値センサ200を設置するための異なる場所を示している。例示的な注入セットは、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる、共に所有されている特許文献2および特許文献3に記載されている。
【0103】
図9および
図10は、注入セットのハブに配置されたセンサ200を示す。
図11は、注入セットのチューブに取り付けられた(例えば、溶着された)センサ200を示す。
図9および
図11は、センサ200とプロセッサ226との間の無線通信を示している。
図10では、デバイス120が、ハウジング122およびハウジング接着部124、ならびにニードルハブ126およびニードルハブ接着部128を備える。可撓性接続部130は、外側ハウジング122とニードルハブ126との間に設けられ、例えばセンサ200を収容するように構成することができる。2つのハブ122および126は、単一のデバイスとして皮膚の表面に取り付けることができ、内側ハブ126を、カテーテル134が挿入された組織に対してカテーテル134の位置を維持するように構成することができる。
【0104】
図12は、毛管現象ベースの圧力閾値センサ200を配置することができる例示的な注入ポンプの斜視図である。パッチポンプ1は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる共に所有される特許文献4に記載されている。ポンプ1は、メインカバー2を含むハウジング10を有し、メインカバー2は、液体密封されているか、好ましくは、ベース9に対して密封されている。ベース9は様々な部品を保持する。
図13は、明確にするためにメインカバー2および容器4を取り外した状態の斜視図におけるパッチポンプ1の主要構成要素のいくつかを示す。一実施形態によれば、注入ポート43は、薬剤を容器4に供給するための導管である。いくつかの実施形態では、注入ポート43は、容器4から出る医薬品の流路の一部として機能する部分を含むことができる。レセプタクル32は、チューブによって挿入機構7に接続され、例えば、患者の皮膚に注射する前に薬剤を挿入機構7に移送する。パッチポンプ1は、好ましくは、薬剤(インスリンなど)を収容するための容器4と、薬剤を容器4からポンプ動作で出すためのポンプ3と、薬剤流路内の圧力の値を検出するための力検出抵抗器30とを含む。パッチポンプ1はまた、好ましくは、パッチポンプ1をプログラミングおよび操作するための電子機器8、ならびに薬剤を送達するためにカニューレ47を患者の皮膚に挿入するための挿入機構7を含む。
【0105】
毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、例示の注入ポンプ1における既存の圧力センサ30の代わりに、またはそれに加えて用いることができ、センサ200は、流体送達または輸送デバイスの流路における異なる場所で用いることができる。例えば、
図14は、挿入機構7のチューブに沿って配備された毛管現象ベースの圧力閾値センサ200を示している。
図15は、パッチポンプ1のベース9の底面22を示している。ベース9の底面22は、第1および第2の流体経路24、26を含む。第1および第2の流体経路24、26は、容器4、注入ポート43、力検出抵抗器30、ポンプ3、および挿入機構7などのパッチポンプ1の様々な構成部品の間に流路をもたらす。毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、
図15に示されるように、第1の流体経路24および第2の流体経路26の一方または両方に沿って配備することができる。毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、例えば、経路を覆うフィルムの開口に取り付けることができる。ベースプレートはまた、電子機器8の中に含まれるプロセッサにセンサ200を接続するためのビアを有することができる。
【0106】
別の実施形態によれば、パッチポンプは、
図16Aおよび
図16Bに示されるように、薬剤流路を提供するためにパッチポンプ1の内部12に配置された流体経路プレート34を有することができる。流体経路プレート34は、明瞭化のために省略されている流体経路カバー28によってカプセル化されたプレートの第1の流体経路36およびプレートの第2の流体経路38を含む。プレートの流体経路36、38は、パッチポンプ1の内部12を通って様々な構成部品に薬剤流体を移送する。毛管現象ベースの圧力閾値センサ200は、例えば、カバーの開口に取り付けることができる。流体経路プレート34はまた、電子機器8に含まれるプロセッサにセンサ200を接続するためのビアを有することができる。
【0107】
本開示は、上記説明に記載されるか、図面に図示される、詳細な構造および構成部品の配置に、その適用が限定されないことは当業者によって理解される。本明細書に記載の実施形態は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行または実施することができる。また、本明細書で用いられる表現および用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなすべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、およびそれらの変形例の使用は、本明細書で列挙される項目およびその等価物に加えて追加の項目を包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における「接続された」、「結合された」、および「装着された」という用語およびそれらの変形例は、広範囲に用いられ、直接的および間接的な接続、結合、および装着を包含する。さらに、「接続された」および「結合された」という用語、およびそれらの変形例は、物理的または機械的な、接続または結合に限定されない。さらに、上、下、底面、および上面などの用語は、相対的であって、図を補助するために用いられるものではあるが、限定するものではない。
【0108】
図示された実施形態に従って採用された図示の装置、システム、および方法の構成要素は、少なくとも部分的には、デジタル電子回路、アナログ電子回路、またはコンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはそれらの組み合わせで実装することができる。これらの構成要素は、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、もしくは複数のコンピュータのようなデータ処理装置による実行用の、またはそれらの動作を制御するための情報媒体もしくは機械可読記憶デバイスに明確に具現化されたコンピュータプログラム、プログラムコード、またはコンピュータ命令などのコンピュータプログラム製品として実装することができる。
【0109】
コンピュータプログラムは、コンパイル型言語もしくはインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で作成され、コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムまたはモジュールとして、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピュータ環境での使用に適した他のユニットを含む任意の形式で配備することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータもしくは1つのサイトの複数のコンピュータで実行されるように配備され、または、複数のサイトに分散して配備されて通信ネットワークで相互接続することができる。また、例示的な実施形態を実現するための機能プログラム、コード、およびコードセグメントは、例示された実施形態が属する技術分野の当業者であるプログラマーによって、例示的な実施形態により例示された特許請求の範囲内であることを容易に解釈することができる。本発明の例示的な実施形態に関連する方法の工程は、(例えば、入力データを操作すること、および/または出力を生成することにより)機能を実行するための、コンピュータプログラム、コード、または命令を実行する1つまたは複数のプログラム可能なプロセッサによって実行できる。例えば、方法の工程は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特別な目的の論理回路によって実行することもでき、例示した実施形態の装置は、そのようなものとして実装することができる。
【0110】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な、論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、または他のプログラム可能な論理デバイス、離散ゲート、または、トランジスタロジック、離散ハードウェアコンポーネント、または、本明細書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせにより、実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサはまた、コンピュータデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、またはその他のそのような構成として実装され得る。
【0111】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用の両方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリおよび/またはランダムアクセスメモリから命令とデータを受け取る。コンピュータの重要な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令とデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、また、例えば、磁気、光磁気ディスク、または、光ディスクなど、データを格納するための1つまたは複数の大容量記憶装置を含むか、または、それらからまたはそれらへデータを転送するように動作可能に結合されか、またはそれらの両方である。コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するのに適した情報媒体には、例として、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリないしROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、および、データストレージディスク(磁気ディスク、内蔵ハードディスク、またはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、CDーROM、および、DVD-ROMディスク等)を含む、あらゆる形式の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサとメモリは、特別な目的の論理回路によって補足しまたはそれに組み込むことができる。
【0112】
当業者は、情報および信号が、様々な異なる技術および技法のいずれかを用いて表され得ることを理解することになる。例えば、上述の説明全体を通して参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁気粒子、光場もしくは光粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表すことができる。
【0113】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される例示的な様々な、論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子機器、コンピュータソフトウェア、または、両方の組み合わせとして実装され得ることを当業者はさらに理解することになる。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な実例となる、コンポーネント、ブロック、モジュール、回路、および、ステップを、一般的にそれらの機能に関して上述してきた。このような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途とシステム全体に課される設計制約に依存する。当業者は、特定の用途ごとに様々な点で、説明した機能を実装することができるが、そのような実装の決定は、例示された実施形態によって例示される請求項の範囲から逸脱させるものと解釈されるべきではない。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CDーROM、または、この技術分野で知られている任意の他の形式の記憶媒体に存在させることができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代替として、記憶媒体は、プロセッサに統合されてもよい。換言すれば、プロセッサおよび記憶媒体は、集積回路内に存在するか、または別個のコンポーネントとして実装され得る。
【0114】
コンピュータ可読非一時的媒体は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュ媒体、および固体記憶媒体を含む、あらゆるタイプのコンピュータ可読媒体を含む。ソフトウェアは、中央処理装置(CPU)のデバイスにインストールし、それと共に販売できることを理解されるべきである。または、ソフトウェアを取得してCPUデバイスにロードすることもでき、これには、例えば、ソフトウェア作成者が所有するサーバーから、またはソフトウェア作成者が所有していないが使用するサーバーからなど、物理メディアまたは分配システムを通じてソフトウェアを取得することが含まれる。ソフトウェアは、例えばインターネットを介して分配するためにサーバーに保存することができる。
【0115】
上記の説明および図は、例としてのみ意図されており、以下の特許請求の範囲に記載されているものを除いて、いかなる方法でも本発明を限定することを意図したものではない。当業者は、他の多くの方法で上述した、様々な例示的な実施形態の様々な要素の様々な技術的態様を、容易に組み合わせることができ、それらは総て特許請求の範囲内であると見なされることに特に留意されたい。
【国際調査報告】