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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】携帯型流体排液及び収集装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
A61M1/00 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574365
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 US2021035953
(87)【国際公開番号】W WO2021248035
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/035,035
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595033056
【氏名又は名称】ザ クリーブランド クリニック ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】The Cleveland ClinicFoundation
【住所又は居所原語表記】9500 Euclid Avenue,Cleveland,Ohio,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネーゲル, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】サモレゾフ, セルゲイ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA16
4C077BB10
4C077DD02
4C077DD11
4C077DD12
4C077DD26
4C077EE06
4C077JJ05
4C077JJ07
4C077JJ16
4C077JJ19
4C077KK25
(57)【要約】
弁アセンブリは、第1のポートと、第2のポートと、ダイヤフラムチャンバーと、ダイヤフラムチャンバーを第1のチャンバー空洞及び第2のチャンバー空洞に分割するダイヤフラムとを備える。ダイヤフラムは、ダイヤフラムチャンバーの第1の壁に向かって偏向可能であり、第1のチャンバー空洞が収縮し、第2のチャンバー空洞が拡張し、反対に、ダイヤフラムチャンバーの第2の壁に向かって偏向可能であり、第2のチャンバー空洞が収縮し、第1のチャンバー空洞が拡張する。弁は、第1のポートと第2のチャンバー空洞との間、及び別個に第2のポートと第1のチャンバー空洞との間に流体連通を確立する第1の作動状態との間で作動可能である。弁は、第1のポートと第1のチャンバー空洞との間、及び別個に第2のポートと第2のチャンバー空洞との間に流体連通を確立する第2の作動状態も有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者からの流体の制御された排液又は患者への流体の制御された送達を行う弁アセンブリであって、
第1のポートと、
第2のポートと、
ダイヤフラムチャンバーと、
前記ダイヤフラムチャンバーを第1のチャンバー空洞及び第2のチャンバー空洞に分割するダイヤフラムであって、該ダイヤフラムは、前記ダイヤフラムチャンバーの第1の壁に向かって偏向可能であり、前記第1のチャンバー空洞が収縮し、前記第2のチャンバー空洞が拡張し、反対に、前記ダイヤフラムチャンバーの第2の壁に向かって偏向可能であり、前記第2のチャンバー空洞が収縮し、前記第1のチャンバー空洞が拡張する、ダイヤフラムと、
単一の弁であって、
前記第1のポートと前記第2のチャンバー空洞との間、及び別個に前記第2のポートと前記第1のチャンバー空洞との間に流体連通を確立する第1の作動状態と、
前記第1のポートと前記第1のチャンバー空洞との間、及び別個に前記第2のポートと前記第2のチャンバー空洞との間に流体連通を確立する第2の作動状態と、
の間で作動可能な、単一の弁と、
を備え、
前記第1のチャンバー空洞及び前記第2のチャンバー空洞は、前記弁の全ての作動状態において互いに流体的に隔離される、弁アセンブリ。
【請求項2】
前記弁は、前記第1の作動状態と前記第2の作動状態との間で連続的に作動されるように構成され、前記第1の作動状態において、流体は、前記患者から又は加圧供給リザーバーから前記第2のチャンバー空洞の最大容積まで引き出すことができ、前記第2の作動状態において、流体は、前記患者から又は前記加圧供給リザーバーから前記第1のチャンバー空洞の最大容積まで引き出すことができる、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のチャンバー空洞の前記最大容積は、前記第2のチャンバー空洞の前記最大容積に等しく、前記第1のチャンバー空洞の前記最大容積は、前記ダイヤフラムチャンバーの前記第2の壁に対して前記ダイヤフラムを偏向させることによって達成され、前記第2のチャンバー空洞の前記最大容積は、前記ダイヤフラムチャンバーの前記第1の壁に対して前記ダイヤフラムを偏向させることによって達成される、請求項2に記載の弁アセンブリ。
【請求項4】
前記弁が前記第2の作動状態にあるとき、前記第2の壁に向かう前記ダイヤフラムの動きにより、前記第2のチャンバー空洞内に蓄積された流体は、前記第2のポートを通って退出する一方、流体は、前記第1のポートを通って前記第1のチャンバー空洞内に引き込まれ、前記弁が前記第1の作動状態にあるとき、前記第1の壁に向かう前記ダイヤフラムの動きにより、前記第1のチャンバー空洞内の流体は、前記第2のポートを通って退出する一方、流体は、前記第1のポートを通って前記第2のチャンバー空洞内に引き込まれる、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項5】
前記弁を作動させるモーターと、
前記モーターの動作を制御するコントローラーと、
を更に備え、
前記モーターは、前記弁のプラグに動作可能に連結され、前記プラグを回転させて前記弁の前記第1の作動状態及び前記第2の作動状態を連続的に達成するように前記プラグを作動させるように構成されたステッパーモーターである、請求項1に記載の弁アセンブリ。
【請求項6】
患者からの流体の制御された排液を行う流体排液システムであって、
請求項1に記載の弁アセンブリと、
前記患者から流体を排液する、前記患者と前記第1のポートとの間に流体接続された排液ラインと、
前記患者から排液された前記流体を収集する、前記第2のポートに流体接続された収集リザーバーと、
を備え、
前記弁が前記第2の作動状態にあるとき、前記第2の壁に向かう前記ダイヤフラムの動きにより、前記第2のチャンバー空洞内に蓄積された流体は、前記第2のポートを通って退出し、前記リザーバー内に蓄積する一方、前記患者からの流体は、前記第1のポートを通って前記排液ラインを介して前記第1のチャンバー空洞内に引き込まれ、前記弁が前記第1の作動状態にあるとき、前記第1の壁に向かう前記ダイヤフラムの動きにより、前記第1のチャンバー空洞内の流体は、前記第2のポートを通って退出し、前記リザーバー内に蓄積する一方、前記患者からの流体は、前記第1のポートを通って前記排液ラインを介して前記第2のチャンバー空洞内に引き込まれる、流体排液システム。
【請求項7】
前記弁を作動させるモーターと、
前記モーターの動作を制御するコントローラーと、
を更に備え、
前記モーターは、前記弁のプラグに動作可能に連結され、前記プラグを回転させて前記弁の前記第1の作動状態及び前記第2の作動状態を連続的に達成するように前記プラグを作動させるように構成されたステッパーモーターである、請求項6に記載の流体排液システム。
【請求項8】
前記弁アセンブリ、前記モーター、及び前記コントローラーは、全て、歩行患者が装着する又は持ち運ぶことができる、小型可搬ポンプアセンブリ内に共に一体化される、請求項7に記載の流体排液システム。
【請求項9】
前記弁の前記第1の作動状態において前記ダイヤフラムを前記第1の壁に向かって偏向させる傾向があり、前記弁の前記第2の作動状態において前記ダイヤフラムを前記第2の壁に向かって偏向させる傾向がある、前記第2のポートに対して引かれる真空を更に備える、請求項6に記載の流体排液システム。
【請求項10】
前記リザーバーは、前記第2のポートと流体連通する拡張可能バッグを備え、前記バッグの拡張は、前記第2のポートに対して引かれる前記真空を供給する、請求項9に記載の流体排液システム。
【請求項11】
前記収集リザーバーの前記拡張可能バッグ内に配置された拡張可能部材を更に備え、前記拡張可能部材は、前記バッグの内壁を圧迫し、それによって前記バッグの容積を拡張する傾向がある拡張付勢を有する、請求項10に記載の流体排液システム。
【請求項12】
患者からの流体の制御された排液又は患者への流体の制御された送達を行う弁アセンブリであって、
ダイヤフラムチャンバー内に配置され、前記ダイヤフラムチャンバーを第1のチャンバー空洞及び第2のチャンバー空洞に分割するダイヤフラムであって、該ダイヤフラムは、前記ダイヤフラムチャンバーの第1の壁に向かって偏向可能であり、前記第1のチャンバー空洞を収縮させ、前記第2のチャンバー空洞を拡張させ、反対に、前記ダイヤフラムチャンバーの第2の壁に向かって偏向可能であり、前記第2のチャンバー空洞を収縮させ、前記第1のチャンバー空洞を拡張させる、ダイヤフラムと、
弁本体であって、中央チャンバーと、前記中央チャンバーを該弁本体の第1のポートに流体接続する第1のポート通路と、前記中央チャンバーを該弁本体の第2のポートに流体接続する第2のポート通路と、前記中央チャンバーを前記第1のチャンバー空洞に流体接続する第1のチャンバー通路と、前記中央チャンバーを前記第2のチャンバー空洞に流体接続する第2のチャンバー通路とを有する、弁本体と、
前記中央チャンバー内に配置され、前記中央チャンバー内において、
前記第1のポート通路と前記第2のチャンバー通路との間、及び別個に前記第2のポート通路と前記第1のチャンバー通路との間に流体連通を確立する第1の作動状態と、
前記第1のポート通路と前記第1のチャンバー通路との間、及び別個に前記第2のポート通路と前記第2のチャンバー通路との間に流体連通を確立する第2の作動状態と、
の間で回転可能である、プラグと、
を備え、
前記第1のチャンバー空洞及び前記第2のチャンバー空洞は、前記プラグの全ての作動状態において互いに流体的に隔離される、弁アセンブリ。
【請求項13】
その上面に凹部として前記ダイヤフラムチャンバーの前記第1の壁が形成された第1のダイヤフラム体と、
その下面に凹部として前記ダイヤフラムチャンバーの前記第2の壁が形成された第2のダイヤフラム体と、
を更に備え、
前記第1のダイヤフラム体の前記上面は、前記第1の壁及び前記第2の壁が前記ダイヤフラムチャンバーを画定及び封入するように、前記第2のダイヤフラム体の前記下面と位置合わせして配置される、請求項12に記載の弁アセンブリ。
【請求項14】
前記第1のチャンバー通路は、前記第1のダイヤフラム体を通って延在し、前記第1の壁を通って前記第1のチャンバー空洞と流体連通する、下方導路によって部分的に画定され、前記第2のチャンバー通路は、前記第2のダイヤフラム体を通って延在し、前記第2の壁を通って前記第2のチャンバー空洞と流体連通する、上方導路によって部分的に画定される、請求項13に記載の弁アセンブリ。
【請求項15】
前記プラグは、前記第1の作動状態と前記第2の作動状態との間で連続的に作動されるように構成され、前記第1の作動状態において、流体は、前記第2のチャンバー空洞の最大容積まで前記患者から引き出すことができ、前記第2の作動状態において、流体は、前記第1のチャンバー空洞の最大容積まで前記患者から引き出すことができる、請求項12に記載の弁アセンブリ。
【請求項16】
前記第1のチャンバー空洞の前記最大容積は、前記第2のチャンバー空洞の前記最大容積に等しく、前記第1のチャンバー空洞の前記最大容積は、前記ダイヤフラムチャンバーの前記第2の壁に対して前記ダイヤフラムを偏向させることによって達成され、前記第2のチャンバー空洞の前記最大容積は、前記ダイヤフラムチャンバーの前記第1の壁に対して前記ダイヤフラムを偏向させることによって達成される、請求項15に記載の弁アセンブリ。
【請求項17】
患者への流体の制御された送達を行う流体送達システムであって、
請求項1に記載の弁アセンブリと、
前記患者に流体を送達するために前記患者と前記第2のポートとの間に流体接続された供給ラインと、
前記流体を前記患者に供給するために前記第1のポートに流体接続された加圧供給リザーバーと、
を備え、
前記弁が前記第2の作動状態にあるとき、前記第2の壁に向かう前記ダイヤフラムの動きにより、前記第2のチャンバー空洞内に蓄積された流体は、前記第2のポートを通って退出し、前記患者に流れる一方、前記加圧供給リザーバー内の流体は、前記第1のポートを通って前記供給ラインを介して前記第1のチャンバー空洞内に押入され、前記弁が前記第1の作動状態にあるとき、前記第1の壁に向かう前記ダイヤフラムの動きにより、前記第1のチャンバー空洞内の流体は、前記第2のポートを通って退出し、前記患者に供給される一方、前記供給リザーバーからの流体は、前記第1のポートを通って前記供給ラインを介して前記第2のチャンバー空洞内に押入される、流体送達システム。
【請求項18】
前記弁の前記第1の作動状態において、前記第1の壁に向かって前記ダイヤフラムを偏向させる傾向があり、前記弁の前記第2の作動状態において、前記第2の壁に向かって前記ダイヤフラムを偏向させる傾向がある、前記第1のポートに対して押入される加圧流体を更に備える、請求項17に記載の流体送達システム。
【請求項19】
可搬携帯型流体排液又は送達装置であって、
患者に取付け可能なポンプアセンブリであって、
流体の圧送を容易にするように作動可能な弁アセンブリと
前記弁アセンブリを作動させるように動作可能なモーターと、
それぞれが前記弁アセンブリと流体連通する第1のポート及び第2のポートと、
制御された速度で流体を圧送するように前記弁アセンブリの作動を調節するために前記モーターを動作させるように構成されたコントローラーと、
を備える、ポンプアセンブリと、
前記ポンプアセンブリに取外し可能に取付け可能なリザーバーカートリッジであって、前記ポンプアセンブリへの該リザーバーカートリッジの取付け時に前記第2のポートと連通して配置されるリザーバーを備え、流体を保持するリザーバーを備える、リザーバーカートリッジと、
を備え、
前記カートリッジが前記ポンプアセンブリに取り付けられた状態で、該装置は、約500mm×約200mm×約100mm以下の全体寸法を有するフォームファクターエンベロープ内に収まる、装置。
【請求項20】
前記リザーバーカートリッジは、電源を更に備え、前記リザーバーカートリッジの前記ポンプアセンブリへの設置により、前記電源と前記モーターとの間の電気接続を確立するようになっている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記弁アセンブリは、ダイヤフラムチャンバー空洞に対向する、前記第1のポートと前記第2のポートとの間で交互に直列連通して配置することによって圧送を促進する弁を備え、外部圧力勾配が駆動力を供給し、流体を圧送する、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年6月5日に出願された米国仮特許出願第63/035,035号に対する優先権を主張し、その内容の全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、携帯型脳脊髄液(CSF)排液及び収集用システムに関し、より詳細には、患者からのCSFの流れを調節する可搬装置に関する。
【背景技術】
【0003】
正常圧水頭症(NPH)は、推定750000人のアメリカ人を苦しめている神経障害である。NPHにおいて、脳内の脳室は、除去されない脳脊髄液(CSF)で拡張し、周囲の脳組織を圧迫する。これは、歩行障害、尿意切迫及びその後の失禁、並びに認知低下等の衰弱性の症状を引き起こし得る。NPHの唯一知られている治療は、シャントと呼ばれる外科的介入であり、カテーテルが、頭蓋骨を通して脳室内に挿入され、次いで、皮膚の下で身体の別の部位、典型的には、腹腔又は静脈系に通される。シャントは、過剰な脳脊髄液の継続的な排液を促し、症状の軽減につながる。
【0004】
患者がシャントを受けるべきかどうか(すなわち、そのような治療が有益であり、症状を軽減するかどうか)を判断するために、複数の検査が行われる。多くの部位において、患者は、腰椎からCSFを排液することによって試験され、これは、CSFを除去し、シャントをシミュレーションすることが意図される。これは、個別の1回の脊椎穿刺検査(外来患者)又は短期カテーテルを用いた入院患者の複数日の検査のいずれかとして行うことができる。
【0005】
外来患者の腰椎穿刺検査は、制御された条件下における排液の非常に短いシミュレーションのみを含む。通常、25ml~50mlのCSFが除去される。入院患者の検査においては、患者を固定する必要があり、看護師が排液中に患者の世話をする必要があり、貴重な医療資源を消費することとなる。入院患者の排液試験中、数百ミリリットルの流体が除去され得る。
【0006】
或る期間にわたる実質的に継続的なCSF排液を容易にする、可搬装置を提供することが望ましい。そのような装置は、埋め込まれたシャントの性能及び効果をより良好にシミュレーションする一方で、患者が医療施設に拘束されず、自由に歩き回り、通常の活動を再開できるようにする。
【発明の概要】
【0007】
患者からの流体の制御された排液又は患者への流体の制御された送達を行う弁アセンブリが提供される。弁アセンブリは、入口と、出口と、ダイヤフラムチャンバーと、ダイヤフラムチャンバーを第1のチャンバー空洞及び第2のチャンバー空洞に分割するダイヤフラムとを備える。ダイヤフラムは、ダイヤフラムチャンバーの第1の壁に向かって偏向可能であり、第1のチャンバー空洞が収縮し、第2のチャンバー空洞が拡張し、反対に、ダイヤフラムチャンバーの第2の壁に向かって偏向可能であり、第2のチャンバー空洞が収縮し、第1のチャンバー空洞が拡張する。弁は、入口と第2のチャンバー空洞との間、及び別個に出口と第1のチャンバー空洞との間に流体連通を確立する第1の作動状態との間で作動可能である。弁は、入口と第1のチャンバー空洞との間、及び別個に出口と第2のチャンバー空洞との間に流体連通を確立する第2の作動状態も有する。第1のチャンバー空洞及び第2のチャンバー空洞は、弁の全ての作動状態において互いに流体的に隔離される。
【0008】
患者からの流体の制御された排液又は患者への流体の制御された送達を行う弁アセンブリが更に提供される。弁アセンブリは、ダイヤフラムチャンバー内に配置され、ダイヤフラムチャンバーを第1のチャンバー空洞及び第2のチャンバー空洞に分割するダイヤフラムを備える。ダイヤフラムは、ダイヤフラムチャンバーの第1の壁に向かって偏向可能であり、第1のチャンバー空洞を収縮させ、第2のチャンバー空洞を拡張させ、反対に、ダイヤフラムチャンバーの第2の壁に向かって偏向可能であり、第2のチャンバー空洞を収縮させ、第1のチャンバー空洞を拡張させる。弁本体は、中央チャンバーを備える。入口通路は、中央チャンバーを弁本体の入口に流体接続する。出口通路は、中央チャンバーを弁本体の出口に流体接続する。第1のチャンバー通路は、中央チャンバーを第1のチャンバー空洞に流体接続する。第2のチャンバー通路は、中央チャンバーを第2のチャンバー空洞に流体接続する。プラグは、中央チャンバー内に配置され、入口通路と第2のチャンバー通路との間、及び別個に出口通路と第1のチャンバー通路との間に流体連通を確立する第1の作動状態との間で作動可能である。プラグは、入口通路と第1のチャンバー通路との間、及び別個に出口通路と第2のチャンバー通路との間に流体連通を確立する第2の作動状態も有する。第1のチャンバー空洞及び第2のチャンバー空洞は、プラグの全ての作動状態において互いに流体的に隔離される。
【0009】
患者に取付け可能なポンプアセンブリを備える、可搬携帯型流体排液又は送達装置。ポンプアセンブリは、流体を圧送するように作動可能なポンプと、ポンプを作動させるように動作可能なモーターと、それぞれがポンプと流体連通する第1のポート及び第2のポートと、制御された速度で流体を圧送するようにポンプの作動を調節するためにモーターを動作させるように構成されたコントローラーとを備える。リザーバーカートリッジは、ポンプアセンブリに取外し可能に設置可能であり、上記リザーバーカートリッジのポンプアセンブリへの設置時に第2のポートと連通するように配置されるリザーバーを備える。リザーバーカートリッジは、流体を保持するリザーバーを有する。カートリッジがポンプアセンブリに設置された状態で、装置は、約500mm×約200mm×約100mm以下の全体寸法を有するフォームファクターエンベロープ(form-factor envelope)内に収まる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】患者に対して使用中の本明細書に開示される排液システムの概略図である。
図1A図1の線1-1に沿った図1の排液システムのリザーバーの断面を示すとともに、第1の圧潰状態のリザーバーの拡張可能パウチ又はバッグを示す平面図である。
図1B図1Aと同様であるがパウチ/バッグが第2の拡張状態にある断面図である。
図2図1の排液システムの弁アセンブリの斜視図である。
図3図2に示されている弁アセンブリの分解図である。
図4図3の線4-4に沿った図2の弁アセンブリの下方チャンバー体の断面を示す斜視図である。
図5図2の弁アセンブリのダイヤフラムの斜視図である。
図6図3の線6-6に沿った図2の弁アセンブリの上方チャンバー体の断面を示す斜視図である。
図7図3の線7-7に沿った図2の弁アセンブリの弁本体の断面を示す斜視図である。
図8図2の線8-8に沿った図2の弁アセンブリの弁プラグの断面を示す斜視図である。
図9図2の線9-9に沿った図1の弁アセンブリの断面を示す斜視図である。
図10図2の線10-10に沿った図2の弁アセンブリの断面図であり、第1の弁位置にある弁プラグを示す。
図11図10と同様であるが弁プラグが第2の弁位置にある断面図である。
図12】患者によって装着されるように構成されたポンプアセンブリ及び関連するリザーバーカートリッジの分解図である。
図13A図12のリザーバーカートリッジの側面図である。
図13B図12のポンプアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において使用される場合、「上方(upper)」及び「下方(lower)」等の向きに関する相対的な用語は、単に、1つの構成要素又は構成要素の一部を別の構成要素又は構成要素の一部と区別するために使用される。そのような用語は、優先性又は特定の向きを示すことを意図せず、本発明の実施形態を限定することを意図しない。例えば、「上方」の要素は、本明細書に開示されるように、「下方」の要素の隣に位置的に位置してもよく、実空間におけるこれらの要素を備える構成要素の空間的な向きに応じたものとなる。または、これらの「上方」及び「下方」の要素は、実際には、それらを備える構成要素が反転される場合には、反転される場合さえある。
【0012】
図面を参照すると、図1は、患者10が持ち運ぶことができる携帯型CSF排液システム50を概略的に示している。排液システム50は、脳脊髄液を収容する髄腔内空間まで腰椎管内に挿入されるカテーテル52を含むものとして示されている。しかし、排液システム50は、患者からの流体のゆっくりとした制御された排液が所望される他の用途において使用することができることも企図される。
【0013】
排液システム50は、排液される流体の供給源への排液アクセスをもたらすカテーテル52と、カテーテル52に接続された排液ライン54と、収集リザーバー80と、コントローラー90と、弁アセンブリ100とを含む。CSF排液の用途において、カテーテル52は、CSF排液を必要とする部位にアクセスするために、患者10の腰椎管に挿入される。排液ライン54の一方の端部はカテーテル52に接続され、排液ライン54の反対側の端部は弁アセンブリ100の入口182(図2)に接続される。排液ライン54及び弁アセンブリ100は、操作者が排液ライン54を弁アセンブリ100に対して迅速かつ容易に取付け/取外しすることを可能にするクイック接続を利用することができることが企図される。
【0014】
弁アセンブリ100の出口184(図2)は、第2のライン56を介してリザーバー80に接続される。第2のライン56は、リザーバー80を弁アセンブリ100及び/又はリザーバー80に対して迅速かつ容易に取付け/取外しすることを可能にするために、一方の端部又は両方の端部にクイック接続を含むことができることが企図される。リザーバー80は、患者10から排液されたCSFを収集/貯蔵する内部空洞80aを含む。内部空洞80aは、患者10から排液されたCSFの量を制限及び/又は測定するために、所定量のCSFを保持するようにサイズ設定することができる(また、目盛りを付すこともできる)。
【0015】
圧潰可能/拡張可能パウチ又はバッグ82を内部空洞80a内に配置することができる。この実施形態において、リザーバー80内に収集された流体は、拡張可能パウチ/バッグ82内に蓄積され、拡張可能パウチ/バッグ82は、内部空洞80aを充填するために拡張することができ、したがって、収集することができる流体の最大容積を固定する。拡張可能パウチ/バッグ82は、典型的には、圧潰状態(図1Aに概略的に示されている)で供給され、収集される流体(例えば、CSF)を収容するために拡張するように構成される。拡張可能部材84、例えば、スポンジを拡張可能バッグ82内に配置し、バッグ82を拡張可能部材84に対して圧縮してバッグ82の供給時の圧潰状態を達成するために、すなわち、供給時の圧潰状態においてバッグ82が真空状態となる(図1A)ように、真空をバッグ82に印加することができる。真空により、バッグ82を拡張させようとする拡張可能部材84の拡張付勢に抗して、バッグ82の壁82aが圧潰され、拡張可能部材84が圧縮される。弁アセンブリ100に接続されると、拡張可能部材84の拡張付勢は、壁82aを圧迫し、バッグ82を拡張させ、これは、第2のライン56及び弁アセンブリ100を介して、排液ライン54上に対応する吸引圧力を生じさせることができる。この吸引圧力は、静水圧、すなわち、リザーバー80の上方に位置する患者の頭部とのベルヌーイ平衡に依存しない態様で、患者10からのCSFの排液を促進する駆動力としての役割を果たすことができる。拡張可能バッグ82は、拡張可能バッグ82内にある拡張可能部材84がバッグ82を付勢し続けてその容積を更に拡張させる限り、CSF排液の駆動力をもたらす弱い吸引を持続し続ける。CSFが内部空洞を充填するにつれて、拡張可能部材84は、バッグ82を更に拡張するように付勢し続けることによって、拡張し、排液ライン54上の吸引圧力を維持する。しかし、拡張可能バッグ82がその最大容積に達すると(すなわち、図1Bに示されているように、内部空洞80aを充填するように拡張すると)、追加の付勢力が拡張可能バッグ82を更に拡張させることはなく、CSF排液の弱い真空駆動力が除去される。このようにして、リザーバー80がその最大容積まで充填されると、CSFはそれ以上排液されない。
【0016】
図2を参照すると、弁アセンブリ100の弁プラグ202を回転させるために、モーター102が弁アセンブリ100に取り付けられている。モーター102は、図2に概略的に示されており、弁アセンブリ100内のプラグ202に係合するシャフトを有するステッパーモーターとすることができる。モーター102は、以下で詳細に説明するように、プラグ202を一方向に回転させるか、又はプラグ202を振動させるように構成することができる。
【0017】
コントローラー90は、モーター102の作動を制御するためにモーター102に接続される。コントローラー90は、所望のサイクルに従ってモーター102の作動を制御するようにプログラムされた従来のマイクロプロセッサとすることができる。図1を参照すると、コントローラー90は、例えば共通のアセンブリの一部として、リザーバー80に取り付けられているものとして示されている。制御ライン92は、コントローラー90からモーター102まで延在し、モーター102の動作を制御する。モーター102は、有線又は無線の接続方法を使用して制御することができることが企図される。コントローラー90は、コントローラー90がモーター102に電力を供給することを可能にする電源(図示せず)、例えば、バッテリを含むことができる。代替的に、モーター102は、電源(図示せず)を含むことができ、コントローラー90は、電源からの電力がモーター102に供給されるときを判定するようにプログラムすることができる。
【0018】
図2及び図3を参照すると、弁アセンブリ100が詳細に示されている。示されている実施形態において、弁アセンブリ100は、一連の積層された要素として提供され、各要素は、それぞれの要素が積層されたときに以下で説明するように適切なダクト及び流路を提供するための内部特徴部を備えて形成(例えば、成形、機械加工、又は3D印刷)される。この実施形態において、積層された要素は、下方チャンバー体112、上方チャンバー体142、弁本体162、及びキャップ222を含む。説明の残りは、前述の要素が積層された構造に関して提供される。しかしながら、弁アセンブリ100を異なる態様で構築することができること、例えば、アセンブリ100全体を単一の部品として付加製造によって作製することができることが企図される。
【0019】
下方チャンバー体112及び上方チャンバー体142は、更に説明するように、ダイヤフラム132を収容するダイヤフラムチャンバーを共に画定する。ダイヤフラムチャンバーは、下方チャンバー体112の上面112aに形成された第1のドーム形凹部114(図3)と、上方チャンバー体142の下面142aに形成された第2のドーム形凹部144(図9)とによって画定される。複数の穴116が、凹部114を通って延在し、下方チャンバー体112の下方通路118(図4)との連通をもたらす。
【0020】
図4を参照すると、下方通路118は長円形であり、複数の穴116(図3)から下方チャンバー体112の1つの角部にある下方通路出口122(図3)まで延在する。下方通路出口122(図3)は、下方通路118から下方チャンバー体112の上面112aまで延在する。下方通路出口122(図3)、下方通路118、及び複数の穴116は、共に、下方チャンバー体112を通る下方導路を画定する。
【0021】
穴124は、以下で詳細に説明するように、下方チャンバー体112を上方チャンバー体142に固定するために、下方チャンバー体112の対向する角部を通って延在する。
【0022】
下方チャンバー体112は、下方チャンバー体112が内部に配置された単一の一体構造体として示されている。下方チャンバー体112は、3D印刷とも呼ばれる従来の付加製造方法を使用して製造することができることが企図される。下方チャンバー体112は、上記で詳細に説明した下方チャンバー体112の様々な特徴部を画定するために互いに接合される2つ以上の別構造体から製造することができることも企図される。別構造体は、別構造体が互いに接合されたときに下方チャンバー体112内の様々な通路が流体密である限り、従来の締結具、接着剤等を使用して互いに接合することができる。
【0023】
ダイヤフラム132は、下方チャンバー体112と上方チャンバー体142との間に配置される。図5を参照すると、ダイヤフラム132は、以下で詳細に説明するように輪郭形成された中央ドーム形部分136を有する。外周リム134は、ドーム形部分136の周りに延在する。ダイヤフラム132は、可撓性材料から作製され、可撓性材料は、ドーム形部分136が屈曲することを可能にするように選択され、例えば、以下で詳細に説明するように、第1のドーム形凹部114に対して共形的に当接するように上向きに凹状とすることができるか、又は第2のドーム形凹部144に対して共形的に当接するように下向きに凹状とすることができる。
【0024】
図3を参照すると、上方チャンバー体142は、下方チャンバー体112に取り付けられ、それぞれの第1の(下方)ドーム形凹部114と第2の(上方)ドーム形凹部144との間に画定されたダイヤフラムチャンバー内において、上方チャンバー体142と下方チャンバー体112との間にダイヤフラム132を捕捉する。図6を参照すると、複数の穴146が上方チャンバー体142内に延在して、第2の凹部144(図9)と上方チャンバー体142の上方通路148との間に連通をもたらす。上方通路148は長円形であり、複数の穴146から上方チャンバー体142の1つの角部にある上方通路出口152(図3)まで延在する。上方通路出口152(図3)は、上方通路148から上方チャンバー体142の上面142bを通って延在する。上方通路出口152(図3)、上方通路148、及び複数の穴146は、共に、上方チャンバー体142を通る上方導路を画定する。
【0025】
ねじ切り取付け穴154は、上方チャンバー体142の対向する角部に隣接して上方チャンバー体142内に延在する。ねじ切り取付け穴154は、下方チャンバー体112の穴124と整列するように寸法設定及び位置決めされる。穴124は、締結具、例えば、下方チャンバー体112を上方チャンバー体142に固定するためにねじ切り取付け穴154にねじ込まれるねじを受けるように寸法設定される。ガスケット又は同様のシール部材(図示せず)を下方チャンバー体112の上面112aと上方チャンバー体142の下面142aとの間に配置して、それぞれのチャンバー体112、142間の流体密シールを促進又は補強することができることが企図される。
【0026】
上方チャンバー体142は、上方通路148が内部に配置された単一の一体構造体として示されている。上方チャンバー体142は、3D印刷とも呼ばれる従来の付加製造方法を使用して製造することができることが企図される。上方チャンバー体142は、上記で詳細に説明した上方チャンバー体142の様々な特徴部を画定するために互いに接合される2つ以上の別構造体から製造することができることも企図される。別構造体は、別構造体が互いに接合されたときに上方チャンバー体142内の様々な通路が流体密である限り、従来の締結具、接着剤等を使用して互いに接合することができる。
【0027】
貫通穴156は、下面142aと上面142bとの間の上方チャンバー体142の1つの角部を通って延在する。貫通穴156は、以下で詳細に説明するように、下方チャンバー体112内の下方通路出口122(図3)と整列するように寸法設定及び位置決めされる。
【0028】
図9を参照すると、下方チャンバー体112の第1の凹部114及び上方チャンバー体142の対向する第2の凹部144は、弁アセンブリ100のダイヤフラムチャンバーを画定する。第1の凹部114は、ダイヤフラムチャンバーの第1の壁を画定し、第2の凹部144は、ダイヤフラムチャンバーの第2の壁を画定する。ダイヤフラム132は、ダイヤフラムチャンバー内に捕捉され、ダイヤフラムチャンバーを第1のチャンバー空洞158A及び第2のチャンバー空洞158Bに分割する。第1のチャンバー空洞158Aは、ダイヤフラム132の下面と凹部114の表面との間に画定される。第2のチャンバー空洞158Bは、ダイヤフラム132の上面と凹部144の表面との間に画定される。凹部114、144が固定されていることから、内部キャビティ内のダイヤフラム132の動きによって、第1のチャンバー空洞158A及び第2のチャンバー空洞158Bの容積が変化するが、ダイヤフラムチャンバーの全体の容積は一定のままである。
【0029】
図2及び図3を参照すると、弁本体162は、組み付けられると、上方チャンバー体142の上面142bに当接する(例えば、取り付けられる)。弁本体162は、弁本体162を通ってその上面162aから下面162bまで延在する中央開口部164を含む。中央開口部164は、円筒形であり、以下で詳細に説明するように、弁プラグ202がその内部で自由に回転することを可能にするように寸法設定される。
【0030】
図7を参照すると、4つのチャンバー172、174、176、178が、中央開口部164の周囲に等間隔で配置され、それぞれが中央開口部164と流体連通する。第1のチャンバー172は、弁本体162への入口182のボア182aに流体接続され、これにより、弁本体162の入口通路を画定する。第2のチャンバー174は、示されている実施形態において、第1のチャンバー172と直径方向に対向して(すなわち、180度オフセットして)位置決めされ、弁本体162からの出口184のボア184aに流体接続され、したがって、弁本体162の出口通路を画定する。入口182及び出口184は、双方が弁本体162のそれぞれの側壁162cから延在するタケノコ継手(barbed fittings)として示されている。また、入口182及び出口184は、流体密接続を行うことに特定の用途を見出す他の従来の継手とすることができる、又はそれを備えることができることも企図される。
【0031】
第3のチャンバー176は、示されている実施形態において、中央開口部164に対して第1のチャンバー172及び第2のチャンバー174から周方向に等距離にある。穴186は、弁本体162の下面162bを通って延在し、第3のチャンバー176との流体連通を確立するように位置決めされる。穴186は、以下で詳細に説明するように位置決めされる。第4のチャンバー178は、第3のチャンバー176の直径方向の反対側において、第1のチャンバー172及び第2のチャンバー174から周方向に等距離に位置決めされる。穴188は、弁本体162の下面162bを通って延在し、第4のチャンバー178との流体連通を確立するように位置決めされる。穴188は、以下で詳細に説明するように位置決めされる。
【0032】
4つの非貫通のねじ切り取付け穴192が上面162a(図3)から弁本体162内に延在する。4つのねじ切り取付け穴192は、中央開口部164の周囲に等間隔で配置され、以下で詳細に説明するように位置決めされる。
【0033】
弁本体162の下面162bは、上方チャンバー体142の上面142bと位置合わせされて位置決めされる。穴186は、上方チャンバー体142内の貫通穴156(図3)と整列して流体連通を確立するように位置決め及び寸法設定される。穴188は、上方通路出口152と整列して流体連通を確立するように位置決め及び寸法設定される。
【0034】
図3を参照すると、プラグ202は、弁本体162の中央開口部164内で回転するように寸法設定される。プラグ202は、駆動部202aとプラグ本体206とを含む。駆動部202aは、モーター102の駆動シャフトと係合するようにキー止めされたスロット又は溝204を含む。プラグ202は、モーター102用の駆動シャフトと一体化することができるか、又はその一部とすることができることも企図される。
【0035】
図8を参照すると、プラグ本体206は、第1の通路208と第2の通路212とを含む。通路208、212は、弓形であり、それぞれが第1の端部208a、212aと第2の端部208b、212bとを含む。第1の通路208及び第2の通路212は、プラグ202が弁本体162内で回転するにつれ、通路208、212が、以下で詳細に説明するように、チャンバー172、174、176、178のうちの様々なものの間の流体連通の特定のラインを交互に確立するように位置決め及び構成される。
【0036】
再び図3を参照すると、組み付けられると、キャップ222は、弁本体162の上面162aに当接する(例えば、取り付けられる)。キャップ222は、中央開口部224と、4つの離間した貫通穴226とを含む。キャップ222は、組み付けられると弁本体162の中央開口部164内にプラグ202を固定するように構成される。中央開口部224は、モーター102の駆動シャフトによってアクセス可能となるように、プラグ202の駆動部202aを収容するように寸法設定及び位置決めされる。穴226は、弁本体162のねじ切り取付け穴192と整列するように寸法設定及び位置決めされる(図9参照)。締結具(図示せず)は、キャップ222を弁本体162に固定するために、各穴226を通って延在し、ねじ切り取付け穴192にねじ込まれるように寸法設定される。
【0037】
ここで、弁アセンブリ100を動作モードに関連して説明する。図1を参照すると、入口182は排液ライン54に取り付けられ、排液ライン54はカテーテル52に接続される。出口184は第2のライン56に取り付けられ、第2のライン56はリザーバー80に接続される。上述したように、バッグ/パウチ82は、弁アセンブリ100との接続時に所定の吸引が弁アセンブリ100の出口184に加えられるように僅かな真空状態を有するように構成されている。
【0038】
図10を参照して、プラグ202が第1の作動状態で開始する状態における弁アセンブリ100の動作を説明する。第1の作動状態において、プラグ202内の第1の通路208は、弁本体162の第2のチャンバー174と第3のチャンバー176との間、ひいては出口184と穴186との間に流体連通をもたらす。穴186は、弁本体162を通って延在し、貫通穴156(図3)、下方通路出口122(図3)、下方通路118(図4)、複数の穴116(図3)、及び第1のチャンバー空洞158Aと流体連通する。したがって、理解されるように、第3のチャンバー176、穴186、貫通穴156、下方通路出口122、下方通路118、及び複数の穴116(図3)は、第1のチャンバー空洞158Aまでの第1のチャンバー通路を画定する。弁プラグ202が第1の作動状態にあるとき、最終的に、弁本体162の出口184は、前の文で定義されたように、出口通路(第2のチャンバー174によって構成される)及び第1のチャンバー通路を介して、ダイヤフラムチャンバーの第1のチャンバー空洞158Aと流体連通するように配置されることが分かるであろう。
【0039】
また、この第1の作動状態(図10)において、ロータープラグ202の第2の通路212は、第1のチャンバー172と第4のチャンバー178との間、ひいては入口182と穴188との間に流体連通をもたらす。穴188(図7)は、弁本体162を通って延在し、上方通路出口152(図3)、上方通路148(図6)、複数の穴146(図6)、及び第2のチャンバー空洞158Bと流体連通する。したがって、理解されるように、穴188、上方通路出口152、上方通路148、及び複数の穴146は、第2のチャンバー通路を画定する。したがって、弁プラグ202が第1の作動状態にあるとき、最終的に、弁本体の入口182は、前の文で定義されたように、入口通路(第1のチャンバー172によって構成される)及び第2のチャンバー通路を介して、ダイヤフラムチャンバーの第2のチャンバー空洞158Bと流体連通するように配置される。
【0040】
図9を参照すると、プラグ202が上述したように第1の作動状態にあるとき、リザーバー80内の所定の吸引(例えば、バッグ/パウチ82内の拡張可能部材84の拡張付勢の結果として生じる)が第1のチャンバー空洞158Aに対して引かれる。この真空は、最終的にダイヤフラム132が第1のドーム形凹部114に対して着座するまで、ダイヤフラム132を第1のドーム形凹部114に向かって引き寄せる傾向がある。結果として生じる吸引は、第2のチャンバー空洞158Bがダイヤフラム132の下向き偏向に起因して拡張するにつれて第1のチャンバー空洞158Aが収縮するのに十分となるように構成され、穴146を介して上方通路148に印加される結果として生じる吸引圧力は、カテーテル52からCSFを引き込むこととなる。より単純には、弁プラグ202が第1の作動状態にあるとき、リザーバー80から、又はリザーバー80において開始して印加される吸引圧力は、最終的に、CSFを患者10から第2のチャンバー空洞158B内に引き込むことにつながる。第2のチャンバー空洞158B内への流体の引き込みは、第2のチャンバー空洞158Bが完全に拡張されるまで、すなわち、ダイヤフラム(すなわち、そのドーム形の部分)が下方チャンバー体112内の第1の(下方)凹部114に対して共形的に着座するまで、この圧力(吸引)勾配の影響下で継続することができる。その時点で、第2のチャンバー空洞158Bは、更に拡張することができないため、それ以上流体を収容することができず、流動が停止することとなる。
【0041】
排液システム50を患者10に接続すると、患者10内のCSFの圧力が十分な駆動力を供給して、リザーバー80において又はリザーバー80から吸引を加えることなく、(プラグ202の第1の作動状態において)第2のチャンバー空洞158B内への排液を開始することができることも企図される。この状況において、CSFの上部圧力は、流れを駆動し、ダイヤフラム132を下方凹部114に向かって偏向させ、最終的に下方凹部114と共形接触させるのに十分なものとなる。
【0042】
所定の時間の後、コントローラー90は、モーター102を作動させて、弁プラグ202を図11に示す第2の作動状態に回転させることができる(例えば、示されている実施形態においては90度)。第2の作動状態において、弁プラグ202の第1の通路208は、第4のチャンバー178と第2のチャンバー174(すなわち、出口通路)との間、ひいては穴188と出口184との間に流体連通を確立する。上述したように、穴188、上方通路出口152(図3)、上方通路148(図6)、及び複数の穴146(図6)は、第2のチャンバー空洞158Bまでの第2のチャンバー通路を画定する。この点において、流体連通は、出口通路及び第2のチャンバー通路を介して、リザーバー80とダイヤフラムチャンバーの第2のチャンバー空洞158Bとの間に確立される。
【0043】
また、この第2の作動状態において、弁プラグ202の第2の通路212は、第1のチャンバー172(すなわち、入口通路)と第3のチャンバー176との間、ひいては、弁本体の入口182と穴186との間に流体連通を確立する。上述のように、穴186、貫通穴156(図3)、下方通路出口122(図3)、下方通路118(図4)、及び複数の穴116(図3)は、第1のチャンバー空洞158Aまでの第1のチャンバー通路を画定する。この点において、流体連通は、入口通路及び第1のチャンバー通路を介して、カテーテル52(排液ライン54を介して入口182に接続される)とダイヤフラムチャンバーの第1のチャンバー空洞158Aとの間に確立される。
【0044】
プラグ202が第2の作動状態に到達すると、リザーバー80から引かれた吸引及び/又は患者10内のCSFの供給源において供給された上部圧力は、ダイヤフラム132を上方チャンバー体142の第2のドーム形凹部144に向かって、すなわち、プラグ202が第1の位置にあるときと比較して反対方向に偏向させる。ダイヤフラム132が動くにつれて、患者10からのCSFは、ここで、第1のチャンバー空洞158A内に引き込まれ、第2のチャンバー空洞158B内に存在するCSF流体(すなわち、プラグ202が第1の作動状態にあったときにその内部に充填されたCSF)は、出口184から押し出され、リザーバー80に流れ、そこで、バッグ/パウチ82内に収集される。
【0045】
所定の時間の後、コントローラー90は、再びモーター102を作動させて弁プラグ202を回転させ(例えば、90度)、図10に示されている第1の作動状態に戻すことができる。弁プラグ202が第1の作動状態に戻ると、第1のチャンバー空洞158Aは、(出口184を介して)リザーバー80に再び流体接続され、第2のチャンバー空洞158Bは、(入口182を介して)カテーテル52に流体接続される。患者10内のCSFの上部圧力及び/又はリザーバー80からの吸引圧力は、ダイヤフラム132を下方チャンバー体112内の凹部114に向かって偏向させる。ダイヤフラム132が動くにつれて、第1のチャンバー空洞158A内のCSFは、リザーバー80に流れる一方、カテーテル52からのCSFは、第2のチャンバー空洞158B内に引き込まれる。ダイヤフラム132は、前述したように下方凹部114と共形状態となるまで動き続ける。
【0046】
コントローラー90は、モーター102を連続的に作動させ、それによってプラグ202を第1の作動状態(図10)と第2の作動状態(図11)との間で所定の期間にわたって及び/又は所定のデューティサイクルに従って、すなわち1時間あたり又は1日あたりの振動の固定数に従って振動させるようにプログラムすることができる。この振動により、第2のチャンバー空洞158B及び第1のチャンバー空洞158Aは、患者10からのCSFで交互に充填され、それぞれのチャンバー158A、158B内の収集されたCSFをリザーバー80に交互に排出する。特に、第2のチャンバー空洞158Bが患者10からのCSFで充填されるにつれ、第1のチャンバー空洞158AはCSFをリザーバー80に排出する。同様に、第2のチャンバー空洞158BがCSFをリザーバー80に排出するにつれ、第1のチャンバー空洞158Aは、患者10からのCSFで充填される。
【0047】
CSFによる第2のチャンバー空洞158B及び第1のチャンバー空洞158Aの交互の充填は、所望の量のCSFが患者10から排液されるまで、又は所望の排液速度を達成する速度で、例えば、1時間あたり又は1日あたりのmLで繰り返される。プラグ202の振動のタイミングは、CSFが患者から排液される速度を制御するように選択される。例えば、第1のチャンバー空洞158A及び第2のチャンバー空洞158Bは、約1mL(すなわち、1cc)となるようにサイズ設定することができ、弁プラグ202は、10時間にわたって1時間あたり10回作動され、1時間あたり10mLの速度でリザーバー80に排液される合計100mLのCSFをもたらすことができる。より高い又はより低い速度が必要とされる場合、モーター102は、より速く若しくはより遅く作動されるか、又は凹部114、144は、より大きく若しくはより小さくなるようにサイズ設定される。
【0048】
プラグ202は、第1の作動状態(図10)と第2の作動状態(図11)との間で往復して振動することができ、すなわち、一方の位置まで時計回りに回転し、次いで他方の位置まで反時計回りに連続して回転するように振動することができる。この動作モードにおいて、第1の通路208は、常に出口184と流体連通したままであるが、第2のチャンバー空洞158Bと第1のチャンバー空洞158Aとの間で交互に切り替わる。したがって、第1の通路208は、CSFを第2のチャンバー空洞158B及び第1のチャンバー空洞158Aから交互に排液するためだけに使用される。同様に、第2の通路212は、常に入口182と流体連通しているが、第2のチャンバー空洞158Bと第1のチャンバー空洞158Aとの間で交互に切り替わる。したがって、第2の通路212は、患者10から第2のチャンバー空洞158B及び第1のチャンバー空洞158AにCSFを交互に供給するためだけに使用される。
【0049】
代替的に、プラグ202は、開示される振動を達成するために、一方向、例えば、時計回りにのみ回転されるように構成することができる。この動作モードにおいて、第1の作動状態(図10)において、第1の通路208は、最初に、出口184を第1のチャンバー空洞158Aに接続する。次いで、プラグ202を時計回りに90度回転させることにより、第1の通路208が入口182を第1のチャンバー158Aに接続する(図11を参照されたく、第1の通路208は、第2の通路212が位置決めさている場所に位置決めされる)。プラグ202を更に時計回りに90度回転させると、第1の通路208が入口182を第2のチャンバー158Bに接続する。プラグ202を再び時計回りに90度回転させると、第1の通路208が出口184を第2のチャンバー158Bに接続する(図11)。プラグ202を更に時計回りに90度回転させると、プラグ202は再び第1の弁位置(図10)に戻る。第2の通路212は、プラグ202の連続的な90度回転を介して同様に割出しされる。換言すると、弁プラグ202を時計回り方向に回転させると、それぞれの通路208、212は、プラグ202を第1の作動状態(図10)と第2の作動状態(図11)との間で振動させるための上述した態様と同じ態様で、すなわち、反対方向に連続して90度回転させることによって、入口182及び出口184を第1のチャンバー空洞158A及び第2のチャンバー空洞158Bに交互に接続する。
【0050】
理解されるように、開示される弁アセンブリ100は、X/Yの割合を超えないことが保証され得る割合でCSF排液を達成する機構を提供し、Xは、上方チャンバー158B及び下方チャンバー158Aのうちの一方の最大容積(例えば、mL単位)であり(それらが同一の最大容積を有すると仮定する)、Yは、モーターを介した弁プラグ202の連続作動の時間間隔(例えば、時間単位)である。ダイヤフラム132は、弁プラグ202の第1の作動状態又は第2の作動状態のいずれかにおいて、最大度に到達するまでのみ偏向することができる(すなわち、下方凹部114又は上方凹部144のいずれかと共形になるまでのみ偏向することができる)ため、それぞれのチャンバー158A、158Bの最大容積は固定される。したがって、弁プラグの振動速度を調節することによって、CSFの最大排液速度を正確に制御することができ、したがって、CSFが所望よりも速く排液されないことを確実にする。さらに、システムが電力を喪失した場合(例えば、搭載バッテリが消耗した場合)、カテーテル52と連通しているチャンバー空洞158A、158Bが満杯になると、流体の排液が最終的に停止する。これは、患者のCSF圧を上昇させる効果を有し得る。しかし、停電の場合にCSFを制約なしに排液し続ける潜在的に危険な状態を回避する。
【0051】
さらに、(例えば、上述のように拡張可能部材84を使用して)リザーバー80からの所定の固定された吸引圧力を印加することにより、排液のための実質的に一定かつ制御可能な駆動力が確保される。所定の程度の弾性を有するスポンジ(例えば)を選択することによって、その膨張付勢は、重力又は患者の相対的な幾何学的配置/位置若しくはカテーテルとリザーバーとの間の相対的な幾何学的配置/位置に依存しない態様でCSF排液を保証するために所望の微小圧力勾配を達成するように選択することができる。また、リザーバー80の内部空洞80aは、真空下にある固定容積を有することができることも企図される。真空は、製造時に内部空洞80aに印加することができ、リザーバー80は、ユーザがリザーバー80を弁アセンブリ100に接続するまで封止することができる。これは、重力による排液を効率的に使用できる臨床設定とは異なり、患者が拘束されていない状態で、患者の位置が制御できない態様で、治療の日又は期間を通して変化し得るため、携帯型排液の重要な特徴であり得る。また、リザーバーバッグ/パウチ82の所望の最大容積を選択することにより、流体排液の最大量を固定することができる。すなわち、バッグ/パウチ82がその最大容積まで充填されると、そのバッグ/パウチ82がもはやそれ以上の流体を収容するように拡張しないため、更なる排液が自動的に停止する。これは、真空が排液のために依拠される場合、そのような拡張から生じる真空駆動力と、下流圧力がその上部圧力に合致するように増加すると(すなわち、リザーバー内への更なる流れが妨害されると)、患者内で生じる上部圧力駆動力との双方を排除することとなる。
【0052】
そして最後に、本明細書に開示される弁システムは、リザーバー80から患者10内への逆流を妨げる逆止弁としても作用する。これは、リザーバー80が、その容積を圧縮する傾向がある外力(例えば、これが携帯型装置であるため、予測不可能に生じ得る)に遭遇する場合に、望ましい特徴であり得る。またこれは、リザーバー80が満杯になると、CSFを患者10内に押し戻す傾向がある逆圧力を及ぼさないためにも望ましいものであり得る。プラグ202と連結された固定最大容積チャンバー空洞158A、158Bは、リザーバー80とカテーテル52との間に直接的な連通ラインが存在しないことを確実にし、その結果、それらの間の逆流は不可能となる。
【0053】
前述の実施形態は、患者10からCSFを排液することに関して説明したが、これらの実施形態は、計量され、制御された携帯型排液が望まれる患者の又は患者内の任意の他の器官又は空間からの制御された排液のためにも利用することができることを理解されたい。
【0054】
上記の説明は、CSF又は他の流体を患者内のそのような流体の貯蔵部から排液し、例えば、そのような流体の過剰な蓄積の結果として生じる状態を治療する、開示される装置の使用に関する。しかしながら、開示される装置は、患者内の流体の貯蔵部から流体を排液するのではなく、装置が、弁及びカテーテルを介して、リザーバーから患者内の所望の場所に治療剤を送達するために使用できるように、逆の態様で動作させることもできることを理解されたい。そのような動作を達成するために、例えば、リザーバー80と流体が送達されるべき体腔との間の圧力勾配の方向を逆転させることによって、説明されるものと比較して、流体の流れを逆転させることとなる。1つのそのような動作モードにおいて、リザーバーは、装置を通して患者内に流体を駆動するために十分な高圧で、治療剤の供給を受けることができる。
【0055】
この実施形態において、リザーバー80は、治療剤を保持する加圧供給リザーバーである。この加圧供給リザーバーは、弁アセンブリ100の出口184に接続され、カテーテル52は、入口182に接続される。リザーバー80のバッグ82は、治療剤で充填することができ、バッグ82の周囲の内部空洞80aは、加圧流体(例えば、ガス又は揮発性蒸気を加圧剤として使用して)で充填することができることが企図される。加圧流体は、弁アセンブリ100の作動中に治療剤がリザーバー80から患者に流れるように、患者内のCSF(又は他の身体内に存在する流体若しくは空間)の上部圧力を超えるのに十分な圧力下で提供される。コントローラー90は、排液に関して上述した態様と同様の態様で所望の速度で患者に治療剤を供給するために、所望の頻度で所定の期間にわたって弁アセンブリ100を作動させるようにプログラムすることができる。
【0056】
図12を参照すると、例示的な実施形態が示されており、開示される弁アセンブリ100は、ポンプアセンブリ300と一体化され、ポンプアセンブリ300は、前述のような態様で動作される場合、CSF(又は他の流体)の排液、又は任意選択で、治療剤の送達を受ける、歩行患者によって装着され得る、装着可能ユニットを構成する。図12に概略的に示されているように、コントローラー90及び弁アセンブリ100は、ポンプアセンブリ300と一体化され、ポンプアセンブリ300は、図示されるように、フォームファクターが実質的に平坦化された装置の形態をとることができ、接着パッチとして装着することができる。リザーバー80は、リザーバー80を弁アセンブリ100と流体連通して配置し、リザーバー80からの流体の排液/リザーバー80への流体の送達を促進するために、ポンプアセンブリ300に可逆的に嵌合及び固定することができる、取外し可能なリザーバーカートリッジ250内に設けることができる。
【0057】
具体的には、図13Bを参照すると、ポンプアセンブリ300は、リザーバーカートリッジ250を受けるレセプタクル306を画定する。弁アセンブリを駆動するモーターにエネルギーを供給する電源は、リザーバーカートリッジ250と一体化されたバッテリ230とすることができることが企図される。このようにして、リザーバーカートリッジ250がレセプタクル306内のポンプアセンブリ300に嵌合されると、バッテリ230は、ポンプアセンブリ300上に位置決めされた両接触点302(図13B)に係合するカートリッジ250上に位置決めされた電気接点252を介して、モーターと電気的に連通させられる。このようにして、カートリッジが交換される度に(例えば、そのリザーバー80が排液された流体で満たされたか、又は患者に送達される治療流体が枯渇したため)、新しいバッテリがモーターに供給され、信頼性のある動作を確実にする。
【0058】
リザーバーカートリッジ250は、リザーバー80の容積を識別する、無線周波数識別装置(RFID)254又は他のインジケーター、例えば、バーコードを含むこともできる。ポンプアセンブリ300に設置されると、RFID234又は他のインジケーターは、コントローラー90がリザーバー80によって保持され得るCSF(又は他の流体)の最大量を把握するように、ポンプアセンブリ300と統合され、搭載コントローラー90と通信する、検出器304(図13B)によって読み取ることができる。コントローラー90は、次いで、リザーバー80が保持することができるだけのCSFのみを排液し、次いで、任意選択で、排液されたCSFの最大容積が達成されると、(例えば、可聴又は視覚的に知覚可能な信号を介して)アラームを発するように動作するようにプログラムすることができる。代替的に、治療剤を送達するように動作させられると、RFID234又は他のインジケーターは、コントローラーが送達の速度及び量を調節し、同様に、治療剤が枯渇したときにアラームを発することができるように、送達する薬剤の量を示すことができる。
【0059】
レセプタクル306は、リザーバーカートリッジ250がポンプアセンブリ300に係合するとき、リザーバーカートリッジ250の電気接点252に係合するように位置決めされる、両接触点302を含むことができる。検出器304は、検出器304がリザーバーカートリッジ250上にあるRFID254又は他のインジケーターを読み取ることを可能にする場所において、レセプタクル306内に位置決めすることができる。ポンプアセンブリ300及び/又はリザーバーカートリッジ250は、リザーバーカートリッジ250をレセプタクル306に固定するために使用することができる、保持特徴部、例えば、締まり嵌め、スナップ嵌め、ばね荷重タブ等を含むことができることが企図される。示されている実施形態において、ポンプアセンブリ300は、その基部にばね付勢タブ308を含み、これは、カートリッジ250の上端部から延在し、ポンプアセンブリ300内の協働凹部309(図13B)内に受けられるように構成される、ボス258と協働する。カートリッジ250を嵌合するために、まず、そのボス258は、レセプタクル306内にリザーバーカートリッジ250を固定する凹部309(図13B)又は同様の装置内に嵌合される。次いで、カートリッジ250の基部は、ポンプアセンブリ300に対して押圧され、タブ308は、カートリッジ250内のフランジ又は凹部259(図13A)と干渉し、それを適所に保持する。カートリッジ250を解放するために、タブ308は、その付勢に対して偏向され、前述の干渉を除去し、その結果、カートリッジ250は、取り外すことができる。
【0060】
弁アセンブリ100の入口182は、ポンプアセンブリ300のレセプタクル306内に位置し、リザーバーカートリッジ250がレセプタクル306内に設置されると、リザーバーカートリッジ250上の両接触ポート256(例えば、相補的継手)に係合するように位置決め及び寸法設定することができる。シール256a、例えば、Oリングは、ポート256と入口182との間に流体密接続をもたらすために、ポート256上に設けることができる。弁アセンブリ100の出口184は、ポンプアセンブリ300の側面から出て、排液ライン54を介してカテーテル52に接続することができる。これに関して、患者10(図1)からのCSFは、既に説明したものと同様に、動作中に弁アセンブリ100を通過し、リザーバーカートリッジ250のリザーバー80を充填することができる。特に、入口182及び出口184は、排液装置としての開示されるシステムの使用に関連してそのように名付けられ、流体は、患者から入口182を介して進入し、出口184を介してリザーバー80に溶出される。しかしながら、既に説明したように、システムは、入口182が実際に流体を溶出し、出口184が流体を引き込むように、逆(治療剤送達)モードで動作させることができる。この意味で、入口182及び出口184は、より包括的には第1のポート及び第2のポートと考えることができ、これらのそれぞれは、動作モードに応じて入口又は出口とすることができる。
【0061】
ポンプアセンブリ300を患者10(図1)に固定するために、接着パネル312をポンプアセンブリ300の後壁に取り付けることができることが更に企図される。接着パネル312は、患者10(図1)による貼付及び装着を容易にするために、皮膚適合性接着剤でコーティングすることができる。ポンプアセンブリ300を患者10(図1)に固定するために縫合糸アンカー又はベルトを使用することができることも企図される。
【0062】
好ましい実施形態において、ポンプアセンブリ300及びリザーバーカートリッジ250の全体のサイズは、ともに、外来患者の歩行中にそれを装着することを容易にするフォームファクターエンベロープ内に収まるものとすべきである。例えば、組合せ装置は、約500mm×約200mm×約100mm以下、好ましくは約300mm×約100mm×約50mm以下、より好ましくは約250mm×約75mm×約30mm以下、更により好ましくは約100mm×約70mm×約20mm以下の全体寸法を有するフォームファクターエンベロープ内に収めることができる。また、患者10(図1)が長期間にわたってポンプアセンブリ300及びリザーバーカートリッジ250を快適に装着することができるように、組合せ装置(ポンプアセンブリ300及びリザーバーが容量一杯に充填されたカートリッジ305)は、その全組合せ重量が16オンス未満、好ましくは12オンス未満、より好ましくは8オンス未満であるような材料から作製されることが好ましい。長期間にわたる使用において、患者10(図1)が1つのリザーバーカートリッジ250(例えば、そのリザーバーは、動作モードに応じて、排液された流体で充填されているか、又は治療剤が枯渇しているかのいずれかである)を使い終えた後、そのリザーバーカートリッジ250は、取り外すことができ、新しいリザーバーカートリッジ250を継続治療のためにレセプタクル306内に配置することができる。
【0063】
開示される実施形態において、弁アセンブリ100は、ダイヤフラムチャンバー空洞に対向する、流体(例えば、患者内の過剰なCSF)の収集部とその流体の標的(例えば、リザーバー80)との間で交互に直列連通して配置することによって圧送を促進する弁を含み、外部圧力勾配が駆動力を供給する。この実施形態において、ダイヤフラム媒介弁アセンブリ100(外部圧力勾配によって補助される)は、ポンプとして作用する。弁アセンブリ100は、開示されるように外部圧力勾配によって動かされるときに圧送を容易にするのに適した他のタイプの弁によって構成することができる。さらに、弁アセンブリ100は、流れを誘導するために外部圧力勾配に依存せず、むしろ流れのための原動力を機械的に供給する従来のポンプを備えるか又は構成することができる。例えば、蠕動ポンプ、容積式ポンプ、ピストンポンプ、遠心ポンプ等の従来のポンプを使用することができる。
【0064】
本発明は、選択された実施形態に関連して説明したが、本発明の範囲は、それによって限定されるべきではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にある、その全ての修正及び改変を包含するものであることを理解されたい。
図1
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
【国際調査報告】