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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ゼロクロススロット式異物検出
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20230627BHJP
   H02J 50/60 20160101ALI20230627BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/60
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574416
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 US2021034997
(87)【国際公開番号】W WO2021247440
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】16/893,424
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グッドチャイルド,エリック ハインデル
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503GB06
5G503GB08
5G503GD06
(57)【要約】
ワイヤレス充電のためのシステム、方法および装置が開示されている。充電装置の作動方法は、受電デバイスがワイヤレス充電装置の面上に存在する場合に、共振回路に充電電流を提供するステップと、共振回路にまたがって測定されるゼロボルトレベルを通る電圧の遷移、または共振回路内のゼロアンペアレベルを通る電流の遷移に対応するエッジを含むゼロクロス信号を提供するステップと、充電電流を一定期間減少または終了させることによって測定スロットを提供するステップと、ゼロクロス信号によって提供されるタイミングに基づいてキャプチャされる電圧または電流のサンプルの測定に基づいて、受電デバイス以外のオブジェクトが充電装置の表面上に存在するかどうかを判定するステップとを含み、これらのサンプルは測定スロット中にキャプチャされる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス充電装置の作動方法であって、
受電デバイスが前記ワイヤレス充電装置の面上に存在する場合に、共振回路に充電電流を供給するステップと、
前記共振回路にまたがって測定される電圧のゼロボルトレベルを通る遷移、または共振回路内の電流のゼロアンペアレベルを通る遷移に対応するエッジを含むゼロクロス信号を提供するステップと、
一定期間充電電流を減少または終了させることによって、測定スロットを提供するステップと、
ゼロクロス信号によって提供されるタイミングに基づいてキャプチャされた電圧または電流のサンプルの測定値に基づいて、受電デバイス以外の物体が前記ワイヤレス充電装置の面上に存在するか否かを判定するステップとを含み、前記サンプルは前記測定スロット中にキャプチャされたものであることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ゼロボルトレベルは、前記共振回路で測定された交流電流(AC)の最大振幅と最小振幅の中間の電流振幅に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゼロボルトレベルは、前記共振回路にまたがって測定されたAC電圧の最大振幅と最小振幅の中間の電圧レベルに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、電圧または電流のサンプルを用いて測定された電圧または電流の減少率に基づいて、前記ワイヤレス充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記共振回路に蓄積されたエネルギーの減少率に基づいて、前記ワイヤレス充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断するステップを含み、前記共振回路に蓄積されたエネルギーは電圧または電流のサンプルによって示される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記共振回路のQファクタに基づいて、前記ワイヤレス充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断するステップを含み、前記共振回路のQファクタは電圧または電流の複数のサンプルによって示される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、電圧または電流のサンプルを得るために、ゼロクロス信号の複数のエッジの各々に続く遅延後に、前記共振回路の電圧または電流をサンプリングするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
遅延は、電圧または電流が最大振幅になるときに、電圧または電流のサンプリングが発生するように計算される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
充電装置であって、
伝送コイルを含む共振回路と、
前記共振回路に充電電流を供給するように構成されたドライバ回路と、
前記共振回路にまたがって測定される電圧のゼロボルトレベルを通る遷移に対応するか、または前記共振回路内の電流のゼロアンペアレベルを通る遷移に対応するエッジを含むゼロクロス信号を提供するように構成されたゼロクロス検出器と、
コントローラであって、
前記ドライバ回路に、受電デバイスが前記充電装置の面上に存在する場合に、前記共振回路に充電電流を供給させ、
前記ドライバ回路に一定期間充電電流を減少または終了させることによって、測定スロットを提供し、
ゼロクロス信号によって提供されるタイミングに基づいてキャプチャされた電圧または電流のサンプルの測定値に基づいて、受電デバイス以外の物体が充電装置の面上に存在するか否かを判定するように構成されたコントローラとを具え、前記サンプルは前記測定スロットの間にキャプチャされることを特徴とする充電装置。
【請求項10】
前記ゼロボルトレベルは、前記共振回路で測定される交流電流(AC)の最大振幅と最小振幅の中間の電流振幅に対応する、請求項9に記載の充電装置。
【請求項11】
前記ゼロボルトレベルは、前記共振回路にまたがって測定される交流電圧の最大振幅と最小振幅の中間の電圧レベルに対応する、請求項9に記載の充電装置。
【請求項12】
前記コントローラがさらに、
電圧または電流のサンプルを用いて測定された電圧または電流の減少率に基づいて、前記充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断するように構成される、請求項9に記載の充電装置。
【請求項13】
前記コントローラがさらに、
前記共振回路に蓄積されたエネルギーの減少率に基づいて、前記充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断するように構成され、前記共振回路に蓄積されたエネルギーは電圧または電流のサンプルによって示される、請求項9に記載の充電装置。
【請求項14】
前記コントローラがさらに、
前記共振回路のQファクタに基づいて、前記充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断するステップを含み、前記共振回路のQファクタは電圧または電流の複数のサンプルによって示される、請求項9に記載の充電装置。
【請求項15】
さらに、電圧または電流のサンプルを得るために、ゼロクロス信号における複数のエッジの各々に続く遅延の後に共振回路における電圧または電流をサンプリングするように構成されたサンプルホールド回路を含む、請求項9に記載の充電装置。
【請求項16】
遅延は、電圧または電流が最大振幅になるときに、電圧または電流のサンプリングが発生するように計算される、請求項15に記載の充電装置。
【請求項17】
プロセッサ可読記憶媒体であって、格納された命令が、処理回路の少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記処理回路に、
受電デバイスがワイヤレス充電装置の面上に存在する場合に、共振回路に充電電流を供給するステップと、
前記共振回路にまたがって測定される電圧のゼロボルトレベルを通る遷移、または共振回路内の電流のゼロアンペアレベルを通る遷移に対応するエッジを含むゼロクロス信号を提供するステップと、
一定期間充電電流を減少または終了させることによって、測定スロットを提供するステップと、
ゼロクロス信号によって提供されるタイミングに基づいてキャプチャされた電圧または電流のサンプルの測定値に基づいて、受電デバイス以外の物体が前記ワイヤレス充電装置の面上に存在するか否かを判定するステップとを実行させ、前記サンプルは前記測定スロットの間にキャプチャされることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記命令はさらに、前記処理回路に、
電圧または電流のサンプルを用いて測定されたエネルギー、電圧または電流の減少率に基づいて、前記ワイヤレス充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断するステップを実行させる、請求項17に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記命令はさらに、前記処理回路に、
前記共振回路のQファクタに基づいて、前記ワイヤレス充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断するステップを実行させ、前記共振回路のQファクタは電圧または電流の複数のサンプルによって示される、請求項17に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記命令はさらに、前記処理回路に、
電圧または電流のサンプルを得るために、ゼロクロス信号の複数のエッジの各々に続く遅延後に、前記共振回路の電圧または電流をサンプリングするステップを実行させる、請求項17に記載のプロセッサ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2020年6月4日に米国特許庁に出願された特許出願整理番号16/893,424の優先権および利益を主張するものであり、その内容全体が以下に完全に記載されているかのようにすべての適用目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にモバイルコンピューティングデバイスのバッテリを含むバッテリのワイヤレス充電に関し、より具体的には、充電動作中の異物検出に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス充電システムは、ある種のデバイスが物理的な充電接続を使用せずに内蔵バッテリを充電できるように開発されている。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル機器および/または通信機器などがある。ワイヤレスパワーコンソーシアムが定めるQi規格などの標準規格では、第1のサプライヤが製造した機器を、第2のサプライヤが製造した充電器でワイヤレス充電することが可能である。ワイヤレス充電の規格は、比較的単純な構成のデバイス向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスや変化するフォームファクタに対応するために必要である。例えば、充電装置の上や近くに置かれた場合に、ワイヤレス伝送電力に影響を与える可能性のある異物の検出を含む、ワイヤレス伝送電力制御の改善が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本明細書に開示される特定の態様に従って充電面を提供するために採用され得る充電セルの一例を示す図である。
図2図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された複数層の充電セルを採用する充電面によって提供される電力伝達領域の配置を示す図である。
図3図3は、本明細書に開示される特定の態様による、充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタを示す図である。
図4図4は、本開示の特定の態様に従って構成された位相変調ワイヤレス充電器を示す図である。
図5図5は、本開示の特定の態様に従って構成されたパルス幅変調充電器の一例を示す図である。
図6図6は、図5のパルス幅変調充電器の動作を説明する図である。
図7図7は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成されたクラスDワイヤレストランスミッタを採用するワイヤレス充電システムの一例を示す図である。
図8図8は、図7のクラスDワイヤレストランスミッタの動作を示す図である。
図9図9は、本開示の特定の態様に従ったゼロクロススロット式異物検出を示す図である。
図10図10は、本開示の特定の態様に従って、共振回路における電流または電圧の各周期における1以上の点での測定値を得るためにゼロクロス検出を採用するワイヤレス充電システムを示す図である。
図11図11は、本開示の特定の態様に従って構成されたワイヤレス充電システムにおいてゼロクロス検出の使用をサポートする位相ベースASK復調を例示する図である。
図12図12は、本開示の特定の態様に従って構成されたワイヤレス充電システムにおいてゼロクロス検出の使用をサポートする位相ベースASK復調を例示する図である。
図13図13は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用する装置の一例を示す図である。
図14図14は、本開示の特定の態様に従った充電装置の動作方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0007】
次に、ワイヤレス充電システムの特定の態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。これらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実装することができる。そのような要素がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0008】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1以上のプロセッサを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載された様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1以上のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離ワイヤレス通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0009】
概要
本開示の特定の態様は、ワイヤレス充電装置に適用可能なシステム、装置、および方法に関する。ワイヤレス充電装置では、充電セルは1以上の誘導コイルを有して構成され、1以上のデバイスをワイヤレスで充電することができる充電面を提供し得る。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付けるセンシング技術を介して検出することができる。位置の感知は、容量性、抵抗性、誘導性、接触、圧力、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプの感知を使用して実装することができる。
【0010】
本開示の一態様では、装置は、バッテリ充電電源と、マトリックス状に構成された複数の充電セルと、各スイッチがマトリックス内のコイルの横列(row)をバッテリ充電電源の第1の端子に結合するように構成されている第1の複数のスイッチと、各スイッチがマトリックス内のコイルの縦列(column)をバッテリ充電電源の第2の端子に結合するように構成されている第2の複数のスイッチとを具える。複数の充電セルのうちの各充電セルは、電力伝送領域を取り囲む1以上のコイルを含むことができる。複数の充電セルは、複数の充電セルのうちの充電セルの電力伝送領域が重なることなく、ワイヤレス充電装置の充電面に隣接して配置されるものであってもよい。表面に置かれたデバイスは、1以上の充電セルを介してワイヤレスで伝送される電力を受け取ることができる。
【0011】
場合によっては、本装置は充電面と呼ばれることもある。電力は、装置の面上の任意の場所に配置された受電デバイスにワイヤレスで伝送することができる。デバイスは、任意に規定されたサイズおよび/または形状を有することができ、充電可能な任意の個々の配置に拘わらず配置することができる。単一の充電面上で複数のデバイスを同時に充電することができる。本装置は、充電面にわたって1以上のデバイスの動きを追跡することができる。
【0012】
本明細書に開示される特定の態様は、改善されたワイヤレス充電技術に関する。本開示の様々な態様において、充電装置の作動方法は、受電デバイスがワイヤレス充電装置の面上に存在する場合に、共振回路に充電電流を提供するステップと、共振回路にまたがって測定されるゼロボルトレベルを通る電圧の遷移、または共振回路内のゼロアンペアレベルを通る電流の遷移に対応するエッジを含むゼロクロス信号を提供するステップと、充電電流を一定期間減少または終了させることによって測定スロットを提供するステップと、ゼロクロス信号によって提供されるタイミングに基づいてキャプチャされる電圧または電流のサンプルの測定に基づいて、受電デバイス以外のオブジェクトが充電装置の表面上に存在するかどうかを判定するステップとを含み、これらのサンプルは測定スロット中にキャプチャされる。
【0013】
充電セル
本明細書に開示される特定の態様によれば、充電装置は充電面を提供し、この充電面に隣接して配備される充電セルを用いる。一例において、充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って、充電面の1以上の層に配備される。充電セルは、それぞれがコイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場を誘導することができる1以上のコイルを使用して実装することができる。本明細書において、充電セルとは、各コイルが充電セル内の他のコイルによって生成される場に対して加算的である電磁場を生成するように構成された1以上のコイルを有する構成要素をいい、電磁場が共通の軸に沿ってまたは近接して配向される磁束を生成する。
【0014】
いくつかの実装例では、充電セルは、共通の軸に沿って積層され、および/または、充電表面に実質的に直交する誘導磁界に寄与するように重なり合うコイルを含む。いくつかの実施態様において、充電セルは、充電面の規定された部分内に配置され、充電セルに関連する充電面の実質的に直交する部分内の誘導磁界に寄与するコイルを含む。いくつかの実装では、充電セルは、動的に定義された充電セルに含まれるコイルにアクティブ化電流を供給することによって構成可能であり得る。例えば、充電装置は、充電面にわたって配備された複数のコイルのスタックを含むことができ、充電装置は、充電対象デバイスの位置を検出し、充電対象デバイスに隣接する充電セルを提供するためにコイルのスタックのいくつかの組み合わせを選択し得る。ある実施例では、充電セルは、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられ得る。しかしながら、充電セルは、複数の積層コイルおよび/または複数の隣接するコイルもしくはコイルの積層を含むことができることを理解されたい。本明細書では、コイルを、充電コイル、ワイヤレス充電コイル、伝送器コイル、伝送コイル、送電コイル、送電器コイルなどと呼ぶことがある。
【0015】
図1は、充電装置の充電面を提供するために配備され、および/または構成され得る充電セル100の一例を示す。本明細書で説明するように、充電面は、1以上の基板106上に設けられた充電セル100のアレイを含むことができる。1以上の基板106上に、1以上の集積回路(IC)および/またはディスクリート電子部品からなる回路を設けることができる。この回路は、受電デバイスに電力を伝送するために使用するコイルに供給される電流を制御するために使用されるドライバおよびスイッチを含み得る。この回路は、本明細書に開示される特定の機能を実行するように構成され得る1以上のプロセッサおよび/または1以上のコントローラを含む処理回路として構成することができる。いくつかの実施例では、処理回路の一部または全部を充電装置の外部に設けてもよい。いくつかの実施例では、電源またはバッテリを充電装置に結合することができる。
【0016】
充電セル100は、充電装置の外表面領域に近接して設けることができ、その上に充電のために1つまたは複数のデバイスを配置することができる。充電装置は、充電セル100の複数のインスタンスを含むことができる。一例では、充電セル100は、電力伝達領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、配線または回路基板トレースを用いて構築された1以上のコイル102を囲む、実質的に六角形の形状を有している。様々な実施態様において、いくつかのコイル102は、図1に例示される六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である形状を有してもよい。他の実施態様では、他の形状を有するコイル102が提供される。コイル102の形状は、少なくとも部分的に、製造技術の能力または制限によって、および/またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するために決定することができる。各コイル102は、スパイラル構成のワイヤ、プリント回路基板トレースおよび/または他のコネクタを使用して実装することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通軸108に中心を持つように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層にわたることができる。
【0017】
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された複数層の充電セルを採用する充電装置の充電面200として提供される電力伝達領域の配置を示す図である。図示された充電面は、4層の充電セル202、204、206、208から構成されている。図2において、第1層の充電セル202の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L1」と記され、第2層の充電セル204の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L2」と記され、第3層の充電セル206の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L3」と記され、第4層の充電セル208の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L4」と記されている。
【0018】
図3は、充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタ300を示す図である。コントローラ302は、フィルタ回路308でフィルタリングされるか、他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、コンデンサ312およびインダクタ314を含む共振回路306に交流(AC)信号を供給するドライバ回路304の動作を制御し得る。共振回路306は、本明細書において、タンク回路、LCタンク回路、および/またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路306のLCノード310で測定される電圧316はタンク電圧とも呼ばれる。
【0019】
ワイヤレストランスミッタ300は、充電装置によって、互換性のあるデバイスが充電装置の面上に置かれたかどうかを判断するために使用することができる。例えば、充電装置は、ワイヤレストランスミッタ300を介して間欠的なテスト信号(アクティブPing)を送信することによって、互換デバイスが充電装置の表面に置かれたことを特定することができ、ここで共振回路306は、互換デバイスがテスト信号に応答した場合に符号化された信号を受信することができる。充電装置は、規格、慣習、製造者または用途によって規定された応答信号を受信したら、少なくとも1つの充電セル内の1以上のコイルをアクティブ化するように構成することができる。いくつかの例では、互換デバイスは、充電装置が互換デバイスの充電に使用される最適な充電セルを見つけることができるように、受信信号強度を通信することによってPingに応答することができる。
【0020】
パッシブping技術は、LCノード310で測定または観測された電圧および/または電流を使用して、本明細書に開示された特定の態様に従って適合されたデバイスの充電パッドに近接する受電コイルの存在を識別することができる。従来の多くのワイヤレス充電器用トランスミッタでは、LCノード310の電圧やネットワーク内の電流を測定する回路が設けられている。これらの電圧と電流は、電力調整目的および/またはデバイス間の通信をサポートするために監視され得る。図3に示す例では、LCノード310の電圧が監視されるが、パッシブPingをサポートするために電流が追加的または代替的に監視され得ることが企図される。パッシブPing(初期電圧V)に対する共振回路306の応答は、LCノード310における電圧(VLC)により、次のように表すことができる。
【0021】
(式1)
【0022】
本明細書に開示された特定の態様によれば、1以上の充電セル内のコイルを選択的にアクティブ化して、互換デバイスの充電に最適な電磁界を提供することができる。いくつかの実施例では、コイルが充電セルに割り当てられ、一部の充電セルが他の充電セルと重なり得る。後者の場合、充電セル単位で最適な充電構成を選択することができる。他の例では、充電セルは、充電装置表面への充電対象デバイスの配置に基づいて規定されてもよい。このような他の例では、各充電イベントでアクティブ化されるコイルの組み合わせは異なり得る。いくつかの実装例では、充電装置は、充電イベント中にアクティブ化するために1以上のセルおよび/または1以上の所定の充電セルを選択できるドライバ回路を含み得る。
【0023】
位相変調充電
本開示の一態様は、位相変調型ワイヤレス充電器400の使用に関し、その一例が図4に示されている。ドライバ回路402は、コンデンサ(C)とインダクタ(L)を含む共振回路404に充電電流410を供給する。充電電流410は、寄生容量等により交流電流410の一部が失われる場合があるが、インダクタの電流(すなわち、L電流)と実質的に同じであり得る。充電電流410は、共振回路404の共振周波数に厳密に一致する周波数で交互に変化し、電力伝送効率を改善する。本開示の特定の態様によれば、共振回路404を介して受電デバイスに伝送される電力のレベルは、充電電流410の位相変調によって制御され得る。
【0024】
タイミング図420は、特定の実装例において充電電流410に適用される位相変調の特定の態様を示す。位相変調により、ドライバ回路402による電力供給レベルを細かく制御することができる。タイミング図420は、充電電流410の変化する振幅によって示されるように、電力が異なるレベルで供給される3つの充電期間422、424、426を示す。
【0025】
位相制御は、ゼロクロス検出器406と、コントローラまたは他のプロセッサによって提供される位相制御信号418に応答する位相変調器408とを用いて得られる。ゼロクロス検出器406は、位相変調器408で使用されるタイミング情報を提供するために使用される。一例では、ゼロクロス検出器406は、共振回路404に流れる電流を表す測定信号412の極性を、測定信号412の遅延バージョンの極性と比較し、それによって測定信号412にゼロクロスが生じたときに極性の差異を検出することができる。ゼロクロス検出器406は、測定信号412のゼロクロスを識別するタイミング情報を含むゼロクロス信号414(ZC)を提供する。一例では、ゼロクロス信号414は、測定信号412の各ゼロクロスごとにエッジを含む。エッジの遷移方向は、正方向のゼロクロスまたは負方向のゼロクロスを示し得る。別の例では、ゼロクロス信号414は、測定信号412の各ゼロクロスごとにパルスを含む。
【0026】
位相変調器408は、ゼロクロス信号414を使用して、位相変調信号416を生成する。位相変調信号416は、充電電流410に寄与する変調電流の位相を変化させ得る。共振回路の電流の位相に対する変調電流の位相は、充電電流410の増加または減少を引き起こすことができる。第1の充電期間422において、位相変調信号416はゼロクロス信号414と厳密に同期しており、変調電流の影響は充電電流410の各周期にわたって加法的である。この例では、ドライバ回路402は、共振回路404を介して最大の電力伝達を行う。第2の充電期間424では、位相変調信号416はゼロクロス信号414に対して90°の位相シフトを有し、変調電流の影響は交互に1/4周期で加算と減算を行う。この例では、ドライバ回路402は、共振回路404を介して、最大利用可能電力の50%を供給する。第3の充電期間426において、位相変調信号416は、最後に描かれた周期428でゼロクロス信号414に対し90°から180°まで増大する位相シフトを有する。変調電流の影響は、充電電流410の各周期の増大部分にわたって負であり、ドライバ回路402は共振回路404を介して、最大利用可能電力の50%から電力転送なしまたは最小電力転送まで減少する電力を提供する。
【0027】
特定の実装例では、ゼロクロス信号414は、位相制御信号418によって示されたときに、入力するゼロクロス信号に位相リードまたは位相ラグを付加するために位相変調器408によって必要とされるタイミングを提供するデジタル信号として提供される。一例では、ドライバ回路402はハーフブリッジ回路を含む。一例では、位相制御信号418は、共振回路404に流れる電力量(すなわち、LpととC)に直接影響を与えるためにゼロクロス信号414に加えるべき位相シフトの量を示すマルチビットデジタル信号である。
【0028】
共振型パルス幅変調
図5はPWM充電器500の一例を示し、図6のタイミング図600、620はPWM充電器500の動作の特定の態様を説明する。本開示の一態様は、共振回路504に供給される充電電流510を変調するためのパルス幅変調(PWM)充電システムの使用に関する。ドライバ回路502は、コンデンサ(C)とインダクタ(L)を含む共振回路504に充電電流510を供給する。充電電流510は、寄生容量等により交流電流510の一部が失われる場合があるが、インダクタの電流(すなわち、L電流)と実質的に同じであり得る。充電電流510は、共振回路504の共振周波数に厳密に一致する周波数で交互に変化し、電力伝送効率を改善する。本開示の特定の態様によれば、共振回路504を介して受電デバイスに伝送される電力のレベルは、充電電流510を変更するPWM変調によって制御され得る。
【0029】
タイミング図600、620は、特定の実装例において充電電流510に適用されるPWMの特定の態様を示す。タイミング図600、620は、充電電流510の変化する振幅によって示されるように、電力が異なるレベルで供給される限られた数の充電期間602、604、606、622、624、626を示すが、PWMによってドライバ回路502による電力供給のレベルに対する細かい制御を可能にする。
【0030】
充電電流510で提供される電力は、ゼロクロス検出器506と、コントローラまたは他のプロセッサによって提供される制御信号518に応答するPWM回路508とを用いて制御することができる。ゼロクロス検出器506は、PWM回路508が使用するタイミング情報を提供するために使用される。一例では、ゼロクロス検出器506は、共振回路504に流れる電流を表す測定信号512の極性を、測定信号512の遅延バージョンの極性と比較し、それによって測定信号512にゼロクロスが生じたときに極性の差異を検出することができる。ゼロクロス検出器506は、測定信号512のゼロクロスを識別するタイミング情報を含むゼロクロス信号514(ZC)を提供する。一例では、ゼロクロス信号514は、測定信号512の各ゼロクロスごとにエッジを含む。エッジの遷移方向は、正方向のゼロクロスまたは負方向のゼロクロスを示し得る。別の例では、ゼロクロス信号514は、測定信号512の各ゼロクロスごとにパルスを含む。
【0031】
PWM回路508は、ゼロクロス信号514を用いてPWM信号516を生成する。PWM信号516は、充電電流510に対するエネルギーの寄与を制御し得る。一実施例では、PWM信号516のパルスは、充電電流510を提供するために使用される交流出力を生成する電力インバータ回路に提供される電流をゲートするために使用される。
【0032】
第1の充電期間602、622において、PWM信号516は、充電電流510の半周期の持続時間と一致するパルスを含み、最大(100%)の電力を有する充電電流510を提供する。この例では、ドライバ回路502は、共振回路504を介して最大の電力伝達を行う。第2の充電期間604、624において、PWM信号516は、充電電流510の半周期の約半分の持続時間を有するパルスを含み、結果として生じる充電電流510は、共振回路504に供給されたときに最大利用可能電力の50%を提供する。第3の充電期間606、626において、PWM信号516は減少するパルスを含み、最初は充電電流510の半周期の約半分の持続時間を有し、殆どパルスがない状態まで減少する。ドライバ回路502は、共振回路504を介して、最大利用可能電力の50%から電力伝送なしまたは最小電力伝送まで減少する電力を提供する。
【0033】
PWM信号516のパルスのタイミングは、ドライバ回路502で用いられる充電電流510の生成方法に基づいて選択することができる。図6の第1のタイミング図600によって示される例では、各パルスはゼロクロスで開始され、振幅制御信号518によって決定され得る持続時間を有する。振幅制御信号518は、振幅制御信号518のパルス持続時間を決定する遅延を提供するために、プログラマブル遅延回路を構成するか、遅延ラインの出力を選択するマルチビットデジタル信号として提供され得る。
【0034】
図6の第2のタイミング図620によって示される例では、PWM信号516の各パルスは、ゼロクロス信号514の対応するパルスの中点を中心とする。すなわち、各パルスの中心は、測定信号512のゼロクロス同士の中間にある。これらのパルスの持続時間は、振幅制御信号518によって決定され得る。振幅制御信号518は、振幅制御信号518のパルス持続時間を決定する遅延を提供するために、プログラマブル遅延回路を構成するか、遅延ラインの出力を選択するマルチビットデジタル信号として提供され得る。パルスの位置は、カウンタ、遅延ライン、ルックアップテーブル、および/または他の回路を用いて設定することができる。PWM信号516のパルスを測定信号512のゼロクロス間にセンタリングすることで、充電電流510のAC信号の歪みを低減することができる。
【0035】
いくつかの実装例では、共振パルス幅変調は、PWM駆動周期を開始するための時間基準として、検出されたゼロクロスを使用することができる。一例では、パルス幅を制御するためにタイマを開始することができる。別の例では、パルス幅を制御するために遅延回路を用いることができる。共振回路504に流れる充電電流510は、パルス幅で制御される。
【0036】
いくつかの実装例では、ゼロクロス同期を行わずに共振回路504に流れる充電電流510を制御するためにPWMが使用され得る。したがって、例えばLやCの値など他の情報が分かっていれば、電流測定回路やゼロクロス検出器506は必要ない場合もある。
【0037】
共振型クラスDワイヤレストランスミッタ
図7は、本明細書に開示される特定の態様により提供されるクラスDワイヤレストランスミッタ702を採用するワイヤレス充電システム700の一例を示す図である。図8のタイミング図800は、クラスDワイヤレストランスミッタ702の動作の特定の態様を示す。クラスDワイヤレストランスミッタ702は、スイッチング増幅器として動作するクラスD増幅器を含む。クラスDワイヤレストランスミッタ702は、第1の周波数で電圧レール間を切り替える第1の信号を生成する。第1の信号は、第2の低周波信号で変調される。図示の例では、第1の信号がパルス幅変調されて、PWM信号718が得られる。
【0038】
PWM信号718がドライバ回路704に供給され、これがコンデンサ(C)とインダクタ(L)を有するLCタンクを含む共振回路706を駆動するための充電電流を生成する。充電電流は、インダクタ内の電流(すなわち、L電流802)と実質的に同じであり得る。共振回路706は、高周波のPWM信号718を変換して、正弦波であり得る変調信号の増幅バージョンを得るローパスフィルタとして動作する。PWMコントローラ710は、ワイヤレスレシーバ730に伝送される電力を制御するために、累積スケーリングを使用してL電流802のピーク振幅を制御するように動作することができる。例えば、PWM信号718の幅広いパルスは、L電流802の振幅のピークに対応し得る。
【0039】
ドライバ回路704によって提供される電力は、ゼロクロス検出器708およびPWMコントローラ710を使用して制御することができ、これはコントローラまたは他のプロセッサによって提供される制御信号720に応答してもよい。PWMコントローラ710は、PWM変調可能なキャリア信号を提供する基準ソース712から正弦波信号を受信する。ゼロクロス検出器708は、PWM回路710が使用するタイミング情報を提供するために使用される。一例では、ゼロクロス検出器708は、共振回路706に流れる電流を表す測定信号714の極性を、測定信号714の遅延バージョンの極性と比較し、それによって測定信号714にゼロクロスが生じたときに極性の差異を検出することができる。ゼロクロス検出器708は、測定信号714のゼロクロスを識別するタイミング情報を含むゼロクロス信号716(ZCS)を提供する。一例では、ゼロクロス信号716は、測定信号714の各ゼロクロスごとにエッジを含む。エッジの遷移方向は、正方向のゼロクロスまたは負方向のゼロクロスを示し得る。別の例では、ゼロクロス信号716は、測定信号714の各ゼロクロスごとにパルスを含む。PWMコントローラ710は、ゼロクロス信号716を使用してPWM信号718を生成することができ、この場合にPWM信号718は、L電流802と位相が一致した状態にある。
【0040】
ゼロクロススロット式異物検出
ワイヤレス充電装置の表面にある異物(FO)を検出するために、スロット式異物検出を使用することができる。ワイヤレス充電装置のドライバ回路は、スロットと呼ばれる短い期間だけ定期的にオフになり、その間は、ドライバ回路によって駆動される共振回路のエネルギーが減衰する。共振回路のQファクタは、この減衰率を測定することで求めることができる。Qファクタの測定精度を損なうエイリアシングやアーチファクトを発生させずにタンク回路のAC波形を正確に測定するには、一般的に高いサンプルレートが要求される。サンプルレートは共振回路の電流の周波数の10倍から20倍にもなり、一般に高速で高価なアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)を使用する必要がある。
【0041】
本開示の特定の態様では、ゼロクロス検出器を用いて、異物検出のために設けられたスロット中に、低コストのADCが共振回路におけるAC波形の各周期の同じ点における電圧の正確な測定値を確実に取得できるようにするタイミング情報を提供する。ゼロクロススロット式異物検出は、共振回路の電圧および/または電流のゼロクロスを検出するために用いることができる。ゼロクロスを検出するとホールドオフタイマがスタートし、ADCのサンプルホールド回路をトリガする。一例として、ホールドオフタイマは、共振回路におけるAC波形の1/4周期後にサンプルホールド回路をトリガする。この例では、ADCはAC波のピークで採取されたサンプルを読み取る。AC波形の基本周波数より低いサンプル周波数を使用することができる。
【0042】
図9は、ゼロクロス、スロット式異物検出の特定の態様を示すタイミング図900、920を含む。測定スロット906、926が、通常の充電動作期間904、908または924、928の間に設けられる。第1のタイミング図900は、異物が存在しないときの共振回路におけるエネルギー、電圧または電流を表す信号902の実施例に関し、信号902における遅い減衰912は、高いQファクタを有する共振回路に対応する。第2のタイミング図920は、異物1030(図10参照)が存在する場合の共振回路におけるエネルギー、電圧または電流を表す信号922の実施例に関し、減衰932はQファクタの低い共振回路に対応する。本開示の特定の態様によるゼロクロス、スロット式異物検出技術は、ゼロクロス信号910、930によって識別される検出されたゼロクロスに基づき識別されるサンプル点914、934を使用する。
【0043】
図10は、共振回路1004における電流または電圧の各周期における1以上の点での測定値1028を得るためにゼロクロス検出を採用するワイヤレス充電システム1000の例を示す図である。一例として、測定値は、本明細書に開示される特定の態様に従って、スロット式異物検出に使用され得る。ワイヤレス充電システム1000は、コンデンサ(C)およびインダクタ(L)を有するLCタンク回路を含む共振回路1004を駆動するための充電電流を生成するドライバ回路1002を含む。充電電流は、インダクタ内の電流と実質的に同じであり得る。いくつかの実装例では、共振回路1004にまたがる電圧を表す電圧測定信号1006が、第1のゼロクロス検出器1012に供給される。第1のゼロクロス検出器1012は、共振回路1004にまたがる電圧のゼロクロスのタイミングを示す出力としてゼロ電圧信号(ZVS1016)を生成する。いくつかの実装例では、共振回路1004にまたがる電流を表す電流測定信号1008が、第2のゼロクロス検出器1014に供給される。第2のゼロクロス検出器1014は、共振回路1004にまたがる電流のゼロクロスのタイミングを示す出力としてゼロ電流信号(ZCS1018)を生成する。
【0044】
キャプチャタイミング回路1020が、ゼロクロスを追跡し、サンプルホールド回路1024を決定または管理するために使用され得る。一例では、キャプチャタイミング回路1020は、共振回路1004の半周期に対応する期間の後に発生する共振回路1004にまたがる電圧または電流のピーク振幅を突き止めることができるホールドオフタイマ1022を含むか利用することができる。他の例では、キャプチャタイミング回路1020は、共振回路1004にまたがる電圧または電流の1以上の点を突き止めることができるホールドオフタイマ1022を含むか利用することができる。サンプルホールド回路1024は、測定値1028を得るためにADC1026によってデジタル化された出力を提供する。測定値1028を用いて、共振回路1004のエネルギーの減衰率を追跡することができる。
【0045】
ゼロクロス振幅偏移変調復調
図10に例示したゼロクロス検出技術を使用して得られた測定値は、ASK(Amplitude Shift Keying)復調に使用することができる。ASK変調は、電力トランスミッタと電力レシーバをワイヤレスで相互接続するために使用されるQiプロトコルで定義されたメッセージを伝送するために一般的に使用されている。Qiプロトコルにより、受電側が送電側をワイヤレスで制御することが可能になる。共振回路1004における電流または電圧の各周期における1以上のポイントで得られた測定値1028を、ASK復調に使用することができる。1以上のゼロクロス検出器1012、1014が、共振回路1004に関連する電圧または電流をサンプリングするための基準タイミングを提供する。サンプリングされたデータは、受電デバイスでキャリア電力信号に変調されたASKデータを抽出するために使用することができる。
【0046】
サンプリング周波数よりはるかに高い周波数の信号でも、ゼロクロス検出を用いてサンプリングのタイミングをとることで、データを抽出することができる。いくつかの実施態様では、サンプリングは、共振回路1004に関連する電流または電圧の基本周波数で、あるいは共振回路1004に関連する電流または電圧の2倍の周波数で実行することができる。従来のサンプリング回路は、エイリアシングや他の歪みアーチファクトを避けるために、共振回路1004に関連する電流または電圧の基本周波数の10倍以上で動作する。
【0047】
一例では、ASK復調は、サンプルホールド回路1024のトリガのタイミングをとるために、第1のゼロクロス検出器1012によって出力されるZVS1016によって提供されるタイミングを用いてキャプチャされた電圧の測定値を用いて実行される。別の例では、ASK復調は、サンプルホールド回路1024のトリガのタイミングをとるために、第2のゼロクロス検出器1014によって出力されるZCS1018によって提供されるタイミングを用いてキャプチャされた電流の測定値を用いて実行される。ASK復調は、電圧または電流の周期のピークで取得した1つのサンプルを使って行うことができる。ゼロクロスASK復調は、干渉キャリアの位相および/または周波数がターゲットキャリアと異なる場合、同一ドメインにある通信チャネルを拒否することができる。
【0048】
図11および12は、位相ベースのASK復調をサポートするためにゼロクロス検出を用いるワイヤレス充電システム1200の特定の態様を示す。図11のタイミング図1100を参照すると、ゼロクロス位相復調は、共振回路1204における電圧1108と電流1106のゼロボルトクロスの間の位相差を検出することを含む。電圧1108と電流1106との間の位相シフトは、受電デバイス1206がASK変調を使用して負荷または共振シフトによってデータを符号化するときの異なる変調レベル1102に対応し得る。デジタル位相検出器1212は、対応するゼロクロス検出器回路1208、1210によってそれぞれ提供される電流ゼロクロス信号(ZCS1220)と電圧ゼロクロス信号(ZVS1222)の間の位相差を決定することができる。位相差は、共振回路1204の電流または電圧の各周期における1以上のポイントで測定することができる。ワイヤレス充電システム1200は、共振回路1204を駆動するための充電電流1104を生成するドライバ回路1202を含み、これはコンデンサ(C)およびインダクタ(L)を含む。充電電流1104は、インダクタ内の電流と実質的に同じであり得る。いくつかの実装例では、共振回路1204にまたがる電圧を表す電圧測定信号1218が、第1のゼロクロス検出器1210に供給される。第1のゼロクロス検出器1210は、共振回路1204にまたがる電圧のゼロクロスのタイミングを示す出力でゼロクロス信号1220を生成する。共振回路1204の電流を表す電流測定信号1216が、第2のゼロクロス検出器1208に供給される。第2のゼロクロス検出器1208は、共振回路1204の電圧のゼロクロスのタイミングを示す出力でゼロクロス信号1220を生成する。
【0049】
位相検出回路1212は、ZCS1220とZVS1222の位相差を示す信号をASK復調器1214に供給する。
【0050】
処理回路の例
図13は、バッテリをワイヤレス充電することを可能にする充電装置または受電デバイスに組み込むことができる装置1300のハードウェア実装の一例を示す図である。いくつかの例では、装置1300が、本明細書に開示の1以上の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せを、処理回路1302を用いて実装することができる。処理回路1302は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1以上のプロセッサ1304を含むことができる。プロセッサ1304の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1以上のプロセッサ1304は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1316の1つによって構成、増強または制御され得る。1以上のプロセッサ1304は、初期化中にロードされるソフトウェアモジュール1316の組合せを通じて構成されてもよく、動作中に1以上のソフトウェアモジュール1316をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されてもよい。
【0051】
図示の例では、処理回路1302が、概してバス1310で示されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス1310は、処理回路1302の特定の用途および全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1310は、1以上のプロセッサ1304およびストレージ1306を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1306は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1306は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0052】
バス1310は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路をリンクしてもよい。バスインターフェース1308は、バス1310と1以上のトランシーバ1312との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1300が充電装置または受電デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1312を設けることができる。また、装置1300の性質に応じて、ユーザインタフェース1318(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)が提供されてもよく、バス1310に直接またはバスインタフェース1308を介して通信可能に結合することができる。
【0053】
プロセッサ1304は、バス1310の管理と、ストレージ1306を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1304を含む処理回路1302は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実装するために使用することができる。ストレージ1306は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1304によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0054】
処理回路1302の1以上のプロセッサ1304は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかに拘わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1306に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、例えば、搬送波、伝送線、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を伝送するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、処理回路1302に存在していても、プロセッサ1304に存在していても、処理回路1302の外部にあっても、処理回路1302を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0055】
ストレージ1306は、本明細書でソフトウェアモジュール1316とも呼ばれる、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどのソフトウェアを維持および/または編成することができる。ソフトウェアモジュール1316の各々は、処理回路1302にインストールまたはロードされて、1以上のプロセッサ1304によって実行されると、1以上のプロセッサ1304の動作を制御するランタイムイメージ1314に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1302に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0056】
ソフトウェアモジュール1316のいくつかは、処理回路1302の初期化中にロードされるものであってもよく、これらのソフトウェアモジュール1316は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1302を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1316は、プロセッサ1304の内部デバイスおよび/または論理回路1322を構成することができ、トランシーバ1312、バスインターフェース1308、ユーザインターフェース1318、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1316は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1302が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1312へのアクセス、ユーザインタフェース1318などを含むことができる。
【0057】
処理回路1302の1以上のプロセッサ1304は多機能であり、それによってソフトウェアモジュール1316のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1以上のプロセッサ1304は、例えばユーザインタフェース1318、トランシーバ1312およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1以上のプロセッサ1304は、マルチタスク環境を提供するように構成されてもよく、それによって複数の機能の各々が、必要に応じて1以上のプロセッサ1304によって提供されるタスクのセットとして実装される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1304の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1320を使用して実装されてもよく、それによって各タスクは、未処理の動作の完了時および/または割り込みなどの入力に応答して、1以上のプロセッサ1304の制御をタイムシェアリングプログラム1320に戻す。タスクが1以上のプロセッサ1304の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1320は、オペレーティングシステム、ラウンドロビン方式で制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1以上のプロセッサ1304の制御を割り当てる機能、および/または、1以上のプロセッサ1304の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0058】
一実施態様では、装置1300は、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1以上のプロセッサ1304に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電装置を含むか、またはそのように動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成され得る。少なくとも1つの伝送コイルは、各充電セルの電荷伝送領域を通して電磁場を導くように構成され得る。装置1300は、伝送コイルを含む共振回路と、共振回路に充電電流を供給するように構成されたドライバ回路と、ゼロボルトレベルを通る共振回路にまたがって測定された電圧の遷移に対応するエッジ、またはゼロアンペアレベルを通る共振回路内の電流の遷移に対応するエッジを含むゼロクロス信号を提供するように構成されたゼロクロス検出器とを含み得る。コントローラは、充電装置の表面に受電デバイスが存在するときに、ドライバ回路に共振回路に充電電流を供給させ、ドライバ回路に一定期間充電電流を減少または終了させることによって測定スロットを提供し、ゼロクロス信号によって与えられるタイミングに基づいてキャプチャした電圧または電流のサンプルの測定に基づいて受電デバイス以外のオブジェクトが充電装置の表面に存在するかどうかを判定するよう構成され得る。サンプルは、測定スロット中にキャプチャされ得る。
【0059】
一例において、ゼロボルトレベルは、共振回路で測定されたACの最大振幅と最小振幅の中間の電流振幅に対応する。ゼロボルトレベルは、共振回路にまたがって測定されたAC電圧の最大振幅と最小振幅の中間の電圧レベルに対応し得る。
【0060】
一例において、コントローラは、電圧または電流のサンプルを用いて測定された電圧または電流の減少率に基づいて、受電デバイス以外のオブジェクトが充電装置の表面に存在すると判断するようにさらに構成される。一例において、コントローラは、共振回路に蓄積されたエネルギーの減少率に基づいて、受電デバイス以外の物体が充電装置の表面に存在すると判断するようにさらに構成される。共振回路に蓄積されたエネルギーは、電圧や電流のサンプルで示すことができる。
【0061】
一例において、コントローラは、共振回路のQファクタに基づいて、受電デバイス以外のオブジェクトが充電装置の面上に存在すると判断するようにさらに構成される。共振回路のQファクタは、電圧または電流の複数のサンプルで示され得る。
【0062】
特定の例では、装置1300は、電圧または電流のサンプルを得るために、ゼロクロス信号における複数のエッジの各々に続く遅延の後に共振回路における電圧または電流をサンプリングするように構成されたサンプルホールド回路を含み得る。遅延時間は、電圧または電流が最大振幅になるときに、電圧または電流のサンプリングが発生するように計算され得る。
【0063】
いくつかの実装例において、ストレージ1306は命令と情報を保持し、これらの命令は1以上のプロセッサ1304に、受電デバイスがワイヤレス充電装置の面上に存在する場合に、共振回路に充電電流を提供するステップと、共振回路にまたがって測定されるゼロボルトレベルを通る電圧の遷移、または共振回路内のゼロアンペアレベルを通る電流の遷移に対応するエッジを含むゼロクロス信号を提供するステップと、充電電流を一定期間減少または終了させることによって測定スロットを提供するステップと、ゼロクロス信号によって提供されるタイミングに基づいてキャプチャされる電圧または電流のサンプルの測定に基づいて、受電デバイス以外のオブジェクトが充電装置の表面上に存在するかどうかを判定するステップとを実行させる。サンプルは、測定スロット中にキャプチャされ得る。
【0064】
一例において、ゼロボルトレベルは、共振回路で測定されたAC電流の最大振幅と最小振幅の中間の電流振幅に対応する。別の例では、ゼロボルトレベルは、共振回路にまたがって測定されたAC電圧の最大振幅と最小振幅の中間の電圧レベルに対応する。場合によっては、電圧または電流のサンプルを用いて測定された電圧または電流の減少率に基づいて、充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断してもよい。
【0065】
場合によっては、共振回路に蓄積されたエネルギーの減少率に基づいて、受電デバイス以外の物体が充電装置の表面に存在すると判断してもよい。共振回路に蓄積されたエネルギーは、電圧および/または電流のサンプルで示すことができる。
【0066】
場合によっては、共振回路のQファクタに基づいて、受電デバイス以外の物体が充電装置の表面に存在すると判断してもよい。共振回路のQファクタは、電圧または電流の複数のサンプルで示され得る。
【0067】
特定の例では、共振回路の電圧または電流は、電圧または電流のサンプルを得るために、ゼロクロス信号の複数のエッジの各々に続く遅延後にサンプリングされ得る。遅延時間は、電圧または電流が最大振幅になるときに、電圧または電流のサンプリングが発生するように計算され得る。
【0068】
図14は、本開示の特定の態様に従った充電装置の動作方法を示すフローチャート1400である。この方法は、充電装置内のコントローラによって実行することができる。ブロック1402において、コントローラは、受電デバイスがワイヤレス充電装置の面上に存在する場合、共振回路に充電電流を供給することができる。ブロック1404において、コントローラは、ゼロボルトレベルを通る共振回路にまたがって測定された電圧の遷移、またはゼロアンペアレベルを通る共振回路内の電流の遷移に対応するエッジを含むゼロクロス信号を提供することができる。ブロック1406において、コントローラは、一定期間充電電流を減少または終了させることによって、測定スロットを提供することができる。ブロック1408において、コントローラは、ゼロクロス信号によって提供されるタイミングに基づいてキャプチャされた電圧または電流のサンプルの測定値に基づいて、受電デバイス以外の物体が充電装置の面上に存在するか否かを判定することができる。サンプルは、測定スロット中にキャプチャされ得る。
【0069】
一例において、ゼロボルトレベルは、共振回路で測定されたAC電流の最大振幅と最小振幅の中間の電流振幅に対応する。別の例では、ゼロボルトレベルは、共振回路にまたがって測定されたAC電圧の最大振幅と最小振幅の中間の電圧レベルに対応する。
【0070】
場合によっては、電圧または電流のサンプルを用いて測定された電圧または電流の減少率に基づいて、充電装置の表面に受電デバイス以外の物体が存在すると判断してもよい。
【0071】
場合によっては、共振回路に蓄積されたエネルギーの減少率に基づいて、受電デバイス以外の物体が充電装置の表面に存在すると判断してもよい。共振回路に蓄積されたエネルギーは、電圧および/または電流のサンプルで示すことができる。
【0072】
場合によっては、共振回路のQファクタに基づいて、受電デバイス以外の物体が充電装置の表面に存在すると判断してもよい。共振回路のQファクタは、電圧または電流の複数のサンプルで示され得る。
【0073】
特定の例では、共振回路の電圧または電流は、電圧または電流のサンプルを得るために、ゼロクロス信号の複数のエッジの各々に続く遅延後にサンプリングされ得る。遅延時間は、電圧または電流が最大振幅になるときに、電圧または電流のサンプリングが発生するように計算され得る。
【0074】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1以上」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1以上を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。クレームの要素は、その要素が「means for」という語句で明示的に記載されているか、方法クレームの場合には「step for」という語句で記載されていなければ、35U.S.C.§112、第6章の規定に基づいて解釈されるべきではない。
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【国際調査報告】