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特表2023-528492分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルおよびその製造方法
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  • 特表-分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/02 20060101AFI20230627BHJP
   C22C 23/04 20060101ALI20230627BHJP
   C22C 23/06 20060101ALI20230627BHJP
   C22F 1/06 20060101ALI20230627BHJP
   B21C 23/08 20060101ALI20230627BHJP
   B21C 1/00 20060101ALI20230627BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20230627BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20230627BHJP
【FI】
A61L31/02
C22C23/04
C22C23/06
C22F1/06
B21C23/08 Z
B21C1/00 Z
A61L31/14
C22F1/00 602
C22F1/00 612
C22F1/00 613
C22F1/00 620
C22F1/00 624
C22F1/00 625
C22F1/00 630A
C22F1/00 630K
C22F1/00 640A
C22F1/00 675
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 694A
C22F1/00 694B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574633
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2020094574
(87)【国際公開番号】W WO2021243684
(87)【国際公開日】2021-12-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522470390
【氏名又は名称】四川▲めい▼合医療器械有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】SICHUAN MEGALL MEDICAL DEVICES CO., LTD
【住所又は居所原語表記】DU, Langyu Tianfu International Bio-Town No. 618, Fenghuang Road Shuangliu District, Chengdu, Sichuan 610200, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】馬 政
(72)【発明者】
【氏名】譚 麗麗
(72)【発明者】
【氏名】楊 柯
【テーマコード(参考)】
4C081
4E096
【Fターム(参考)】
4C081AC02
4C081BA16
4C081BB09
4C081CG08
4C081DA01
4C081EA02
4C081EA13
4E096EA08
4E096EA14
4E096KA09
(57)【要約】
【要約】本発明は、生物医学材料の技術分野に関し、特に、分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルおよびその製造方法を提供する。該ステープルは複合構造材料からなり、内部が高強度で塑性の良いMg-Zn-Ndマグネシウム合金からなり、外部がインサイチュ複合によってMg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの外層に形成された防食のためのMgFからなる。本発明のマグネシウム合金複合材料のステープルは、良好な塑性変形能力および力学的強度と、遅い分解速度と、優れた生体安全性とを有し、ステープルの体内への移植要求を満たし、生体内で医療目標を達成した後、体内で徐々に分解し、二次手術による取り出しを回避することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルであって、
該ステープルは複合構造材料からなり、内部が高強度で塑性の良いMg-Zn-Ndマグネシウム合金からなり、外部がインサイチュ複合によってMg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの外層に形成された防食のためのMgFからなることを特徴とする分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープル。
【請求項2】
Mg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの化学成分および含有量は、重量%でZn0.2%~3.0%、Nd0.2%~2.3%、残部Mgであることを特徴とする請求項1に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープル。
【請求項3】
重量%で、Mg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの技術指標は、引張強度260~320MPa、降伏強度170~240MPa、伸び率20~33%となっている請求項2に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープル。
【請求項4】
外層に形成された防食のためのMgFの厚さは1.0μm~3.3μmであることを特徴とする請求項1に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープル。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法であって、
(1)純マグネシウム、Zn、Ndを比例的にマグネシウム合金に溶解、製錬し、マグネシウム合金スラブを鋳造し、300~450℃の温度で3~7時間均質化熱処理する工程と;
(2)工程(1)のマグネシウム合金スラブの表面欠陥及び不純物を除去し、押出し比60~80:1、押出し温度390~470℃で直径8~10mmの棒材に押出す工程と;
(3)工程(2)のマグネシウム合金棒材を冷間引抜加工によって直径0.2~0.6mmのワイヤに作成し、280~330℃の温度で30~120分間熱処理の焼鈍を行う工程と;
(4)工程(3)のマグネシウム合金ワイヤをU形ステープルに作成する工程と;
(5)工程(4)のマグネシウム合金ステープルを電解研磨して表面欠陥を除去し、超音波洗浄した後に乾燥させる工程と;
(6)工程(5)のステープルを、20~60重量%濃度のフッ化水素酸に浸漬し、20~35℃の温度で3~200時間MgFインサイチュ複合を行う工程と;
(7)工程(6)のインサイチュ複合マグネシウム合金ステープルを超音波洗浄した後、ブロー乾燥し、真空シールする工程と、を含むことを特徴とする分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法。
【請求項6】
工程(4)において、U形ステープルの折り曲げ部は楕円形であり、ステープルの全長が10~15mmであり、ステープルの高さが3~6mmであり、ステープルの端面の直径が0.20~0.35mmであることを特徴とする請求項5に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法。
【請求項7】
工程(5)において電解仕上げ研磨を採用し、研磨液は体積比率でエチレングリコールエチルエーテル:無水エタノール:リン酸=1:2:2である混合液を採用し、研磨時間が1~10分であり、電圧が10~20Vであり、リン酸の重量%濃度が85%であることを特徴とする請求項5に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体医学材料の技術分野に関し、特に、分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルおよびその製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来のチタン合金製釘は、非分解性の異物として体内に長期的に留まれば、炎症、治癒遅延、感作、発癌等の有害反応を起こしやすい。組織修復または癒合の後にインプラントを取り出す際には、患者に余分な手術のリスク、経済的負担および生理的苦痛をもたらす二次外科手術が必要とされる。
【0003】
マグネシウム合金は分解性を有するものであり、マグネシウムが人体環境で腐食されやすいという特性を利用して、マグネシウム合金インプラントが体内で徐々に生分解されて最終的に消失するという医学臨床的目標が達成でき、従来の金属インプラントに比べて、二次取出手術が回避でき、患者の精神的及び経済的負担を軽減することができるものの、分解速度が速すぎ、力学的強度及び塑性が不十分であるなどの問題点が依然として存在している。
【0004】
中国特許文献CN106086562Bにおいては、合金化方法によってZn、Mn、Sn、Ag、HA粉末を含有するマグネシウム合金ステープルを製造し、合金の耐食性および延性がある程度に改善されるが、当該製造プロセスが複雑であり、且つ直接的な押出成形によるステープルの製造が極めて困難であり、現在のところ関連学術文献の報告が見られていない。中国特許文献CN201617885Uにおいては、セラミック、金属、酸化物コーティングをステープルの表面に施すことによって、ステープルの耐食性、強度および硬度を大幅に向上させるが、この硬いコーティングが、ステープルの変形、吻合の途中で容易に脱落し、ステープルの使用効果が影響される。中国特許文献CN105326535Aにおいては、ステープル表面に薬品コーティングを施し、抗菌感染、止血、血管再狭窄抑制などの生物学的機能が備えられるが、分解性ステープルの力学的性能と分解速度との整合の問題が根本的に解決されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルおよびその製造方法を提供し、分解性マグネシウム合金ステープルに存在する分解速度が速く、力学的強度が低く、塑性が悪い等の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術方案は:
分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルであって、該ステープルは複合構造材料からなり、内部が高強度で塑性の良いMg-Zn-Ndマグネシウム合金からなり、外部がインサイチュ複合によってMg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの外層に形成された防食のためのMgFからなる分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルである。
【0007】
前記分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルにおいて、Mg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの化学成分および含有量は、重量%でZn0.2% ~3.0%、Nd0.2% ~2.3%、残部Mgである。
【0008】
さらに、Mg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの化学成分および含有量は、Zn1.0% ~3.0%、Nd0.2% ~1.0%、残部Mgである。
【0009】
前記分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルにおいて、重量%で、Mg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの技術指標は、引張強度260~320MPa、降伏強度170~240MPa、伸び率20~33%となっている。
【0010】
前記分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルにおいて、外層に形成された防食のためのMgFの厚さは1.0μm~3.3μmである。
【0011】
前記分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法は、以下の工程、すなわち、
(1)純マグネシウム、Zn、Ndを比例的にマグネシウム合金に溶解、製錬し、マグネシウム合金スラブを鋳造し、300~450℃の温度で3~7時間均質化熱処理する工程と;
(2) 工程(1)のマグネシウム合金スラブの表面欠陥及び不純物を除去し、押出し比60~80:1、押出し温度390~470℃で直径8~10mmの棒材に押出す工程と;
(3)工程(2)のマグネシウム合金棒材を冷間引抜加工によって直径0.2~0.6mmのワイヤに作成し、280~330℃の温度で30 ~120分間熱処理の焼鈍を行う工程と;
(4)工程(3)のマグネシウム合金ワイヤをU形ステープルに作成する工程と;
(5)工程(4)のマグネシウム合金ステープルを電解研磨して表面欠陥を除去し、超音波洗浄した後に乾燥させる工程と;
(6)工程(5)のステープルを、20~60重量%濃度のフッ化水素酸に浸漬し、20~35℃の温度で3~200時間MgFインサイチュ複合を行う工程と;
(7)工程(6)のインサイチュ複合マグネシウム合金ステープルを超音波洗浄した後、ブロー乾燥し、真空シールする工程と、を含んでいる。
【0012】
前記分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法において、工程(4)において、U形ステープルの折り曲げ部は楕円形であり、ステープルの全長が10~15mmであり、ステープルの高さが3~6mmであり、ステープルの端面の直径が0.20~0.35mmである。
【0013】
前記分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法において、工程(5)において、電解仕上げ研磨を採用し、研磨液は体積比率でエチレングリコールエチルエーテル:無水エタノール:リン酸=1:2:2である混合液を採用し、研磨時間が1~10分であり、電圧が10~20Vであり、リン酸の重量%濃度が85%である。
【0014】
本発明の設計思想:
現在使用されているチタン合金ステープルは分解性できず、人体内に長期的に留まれば感染が起こしやすいという問題が存在している。本発明は、マグネシウム基複合材料のステープルを製造するものであり、合金化されたZnおよびNdを用いて合金の強度および塑性を向上させ、マグネシウム合金ステープルの分解速度が速すぎる等の問題に対して、化学的インサイチュ複合技術を用いて、マグネシウム基ステープルの最外層にフッ化マグネシウムおよび酸化マグネシウム材料を複合させ、ステープルの耐食性を向上させる。
【0015】
本発明のマグネシウム基複合材料のステープルは、合金化される元素がZn及びNdであり、ZnがMgに顕著に固溶して時効硬化を形成し、合金強度を高め、合金の柱面すべり方向を効果的に軟化させ、マグネシウム合金の塑性変形能及び加工特性を向上させる。Znは、人体内で必須な微量元素であり、タンパク質や酵素類の代謝に関与し、神経系の働きや免疫器官の維持と密接な関係を持ち、高い生体安全性を有している。Ndのマグネシウムへの固溶度は3.6%であり、熱処理である固溶によりマグネシウム合金の引抜性能と耐食性を向上させ、結晶粒の微細化によりマグネシウム合金の強度と延性を同時に向上させることができる。臨床研究から、適量の希土類元素が骨芽細胞の増殖促進、神経系の保護、抗凝固、動脈硬化の予防、糖尿病治療、抗癌及び消炎鎮痛剤等の作用を示すことが明らかとなった。希土類元素が過剰な場合にのみ、人体に一定の悪影響を与えるおそれがある。また、インサイチュ複合で導入されるフッ素は、人体内で重要な微量元素の一つであり、骨芽細胞の増殖を刺激し、海綿骨上のミネラル沈着を促進し、鉄の吸収と骨及び歯の成長を促進し、神経系の興奮性を改善し、良好な老化防止効果を発揮する。中国栄養学会が公表したフッ素の安全と適量摂取量は、成人1.5~4.0mgである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の利点および有利な効果:
1、現在の分解性マグネシウム合金ステープルに存在している分解速度が速く、コーティング結合力が弱く、力学的強度が低く、塑性が悪い等の問題に対して、本発明は、まず合金化の方法を採用しMg-Zn-Nd合金を調製し、冷間引抜及び熱処理工程を経て、合金の力学的強度及び塑性を向上させ、最終的にステープルを作成する。続いて、フッ化マグネシウムのインサイチュ複合工程を採用することで、ステープルに設計どおりの良好な耐食性及び生体安全性を持たせ、上記発明のステープルにより、体内使用の要求をより良好に満たすことができる。
【0017】
2、本発明のステープルは、良好な生体安全性、力学的性能、塑性、および優れた耐食性を備え、ステープルの使用要求を満たすことができるとともに、人体内で使用効果を達成した後に分解、消失し、二次手術による取り出しを回避することができる。
【0018】
3、本発明のマグネシウム基複合材料は、ステープルの力学的性能を改善でき、且つ、医療用分解性ステープルの使用要件を満たす良好な耐食性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】マグネシウム基複合材料のSEM写真であり、2層目がインサイチュ複合MgFであり、3層目がマグネシウム合金のマトリックスであり、1層目が試料作製に必要なエポキシ樹脂である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
具体的な実施において、本発明は、合金化工程と引抜加工とインサイチュ複合加工とを利用して、良好な生体安全性、力学的特性、塑性、および優れた耐食性を有する分解性ステープルを製造する。
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術的思想を前提に実施した実施例は、詳細な実施形態と具体的な操作過程を示すものであり、本発明の保護範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
【0022】
<実施例1>
本実施例に示すステープルの製造方法においては、重量%で、純マグネシウムと1%Zn、1%Ndを液体金属に溶解、製錬し、スラブに鋳造し、表面欠陥と不純物を除去した後、400℃で4時間均質化熱処理し、430℃で直径10mmのマグネシウム合金棒材(押出比70:1)を熱間押出加工し、冷間引抜により直径0.3mmのワイヤに引き抜き、300℃で60分間保持して熱処理の焼鈍を行った。マグネシウム合金ワイヤを、折り曲げ部が楕円形であり、全長10~15mm、高さ3~6mm、端面の直径0.20~0.35mmのものに作成した。表面欠陥及び不純物を除去するために、エチレングリコールエチルエーテル:無水エタノール:リン酸= 1:2:2の体積比の混合液を研磨液として使用し、研磨時間5分、電圧15V、及び85重量%濃度のリン酸で、ステープルを電解研磨する。超音波洗浄およびブロー乾燥後、ステープルを35重量%濃度のフッ化水素酸に浸漬して、フッ化マグネシウムのインサイチュ複合を室温で6時間行い、超音波洗浄およびブロー乾燥後、真空シールする。
【0023】
本実施例のステープルの力学的性能及び細胞毒性のデータを表1に示し、腐食性のデータを表2に示す。
【0024】
<実施例2>
本実施例に示すステープルの製造方法において、重量%で、純マグネシウムと1.73% Zn、0.68%Ndを液体金属に溶解、製錬し、スラグに鋳造し、表面欠陥と不純物を除去した後、380℃で6時間均質化熱処理し、420℃で直径10mmのマグネシウム合金棒材(押出比60:1)を熱間押出し加工し、冷間引抜により直径0.3mmのワイヤに引き抜き、280℃で120分間保持して熱処理の焼鈍を行った。マグネシウム合金ワイヤを、折り曲げ部が楕円形であり、全長10~15mm、高さ3~6mm、端面の直径0.20~0.35mmのものに作成した。表面欠陥及び不純物を除去するために、エチレングリコールエチルエーテル:無水エタノール:リン酸= 1:2:2の体積比の混合液を研磨液として使用し、研磨時間3分、電圧20V、及び85重量%濃度のリン酸で、ステープルを電解研磨する。超音波洗浄およびブロー乾燥後、ステープルを40重量%濃度のフッ化水素酸に浸漬し、フッ化マグネシウムのインサイチュ複合を室温で7時間行い、超音波洗浄およびブロー乾燥後、真空シールする。
【0025】
本実施例のステープルの機械的性能及び細胞毒性のデータを表1に示し、腐食性のデータを表2に示す。
【0026】
<実施例3>
本実施例に示すステープルの製造方法においては、重量%で、純マグネシウムと1.6%Zn、0.7%Ndを液体金属に溶解、製錬し、スラグに鋳造し、表面欠陥と不純物を除去した後、420℃で5時間均質化熱処理し、410℃で直径10mmのマグネシウム合金棒材(押出し比80:1)を熱間押出し加工し、冷間引抜により直径0.3mmのワイヤに引き抜き、320℃で30分間保持して熱処理の焼鈍を行った。マグネシウム合金ワイヤを、折り曲げ部が楕円形であり、全長10~15mm、高さ3~6mm、端面の直径0.20~0.35mmのものに作成したス。表面欠陥及び不純物を除去するために、エチレングリコールエチルエーテル:無水エタノール:リン酸=1:2:2の体積比の混合液を研磨液として使用し、研磨時間6分、電圧10V、及び85重量%濃度のリン酸で、ステープルを電解研磨する。超音波洗浄およびブロー乾燥後、ステープルを45重量%濃度のフッ化水素酸に浸漬し、フッ化マグネシウムのインサイチュ複合を室温で8時間行い、超音波洗浄およびブロー乾燥後、真空シールする。
【0027】
本実施例のステープルの力学的性能及び細胞毒性のデータを表1に示し、腐食性のデータを表2に示す。
【0028】
【0029】
【0030】
表1および表2から明らかなように、本発明のステープルは、高い引張り強度および優れた塑性を有し、その機械的使用性能を満たすことができ、ステープルの細胞毒性はグレード0であり、高い細胞適合性を有することが示された。
【0031】
図1に示すように、マグネシウム基複合材料のSEM写真から分かるように、従来のコーティングとは違い、複合材料のマトリックスとインサイチュ複合MgFとの間に明らかな層間剥離がなく、材料の構造的及び性能的安定性を確保でき、合金の耐食性がインサイチュ複合MgF層によって向上される。
【0032】
実施例の結果から分かるように、本発明のマグネシウム合金の複合材料からなるステープルは、良好な塑性変形能力および力学的強度と、遅い分解速度と、優れた生体安全性とを有し、ステープルの体内への移植要求を満たし、生体内で医療目標を達成した後、体内で徐々に分解し、二次手術による取り出しを回避することができる。
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-12-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルであって、
該ステープルは複合構造材料からなり、内部が高強度で塑性の良いMg-Zn-Ndマグネシウム合金からなり、外部がインサイチュ複合によってMg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの外層に形成された防食のためのMgFからなり、
Mg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの化学成分および含有量は、重量%でZn0.2%~3.0%、Nd0.2%~2.3%、残部Mgであることを特徴とする分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープル。
【請求項2】
Mg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの化学成分および含有量は、重量%でZn1.0%~3.0%、Nd0.2%~1.0%、残部Mgであることを特徴とする請求項1に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープル。
【請求項3】
重量%で、Mg-Zn-Ndマグネシウム合金ステープルの技術指標は、引張強度260~320MPa、降伏強度170~240MPa、伸び率20~33%となっている請求項に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープル。
【請求項4】
外層に形成された防食のためのMgFの厚さは1.0μm~3.3μmであることを特徴とする請求項1に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープル。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法であって、
(1)純マグネシウム、Zn、Ndを比例的にマグネシウム合金に溶解、製錬し、マグネシウム合金スラブを鋳造し、300~450℃の温度で3~7時間均質化熱処理する工程と;
(2)工程(1)のマグネシウム合金スラブの表面欠陥及び不純物を除去し、押出し比60~80:1、押出し温度390~470℃で直径8~10mmの棒材に押出す工程と;
(3)工程(2)のマグネシウム合金棒材を冷間引抜加工によって直径0.2~0.6mmのワイヤに作成し、280~330℃の温度で30~120分間熱処理の焼鈍を行う工程と;
(4)工程(3)のマグネシウム合金ワイヤをU形ステープルに作成する工程と;
(5)工程(4)のマグネシウム合金ステープルを電解研磨して表面欠陥を除去し、超音波洗浄した後に乾燥させる工程と;
(6)工程(5)のステープルを、20~60重量%濃度のフッ化水素酸に浸漬し、20~35℃の温度で3~200時間MgFインサイチュ複合を行う工程と;
(7)工程(6)のインサイチュ複合マグネシウム合金ステープルを超音波洗浄した後、ブロー乾燥し、真空シールする工程と、を含むことを特徴とする分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法。
【請求項6】
工程(4)において、U形ステープルの折り曲げ部は楕円形であり、ステープルの全長が10~15mmであり、ステープルの高さが3~6mmであり、ステープルの端面の直径が0.20~0.35mmであることを特徴とする請求項5に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法。
【請求項7】
工程(5)において電解仕上げ研磨を採用し、研磨液は体積比率でエチレングリコールエチルエーテル:無水エタノール:リン酸=1:2:2である混合液を採用し、研磨時間が1~10分であり、電圧が10~20Vであり、リン酸の重量%濃度が85%であることを特徴とする請求項5に記載の分解性インサイチュ複合マグネシウム合金のステープルの製造方法。
【国際調査報告】