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特表2023-528495再利用可能医療機器及び環境の再処理のトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】再利用可能医療機器及び環境の再処理のトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20230627BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574712
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 IB2021000386
(87)【国際公開番号】W WO2021245462
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/034,616
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/068,481
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/172,822
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522471250
【氏名又は名称】ナノソニックス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジョディー ガンズ
(72)【発明者】
【氏名】バヒーラザン グナナサンドラム
(72)【発明者】
【氏名】プラブハンジャン バトニ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
再利用可能医療機器の再処理コンプライアンスのための方法、及び、環境又は機器の衛生基準コンプライアンスのためのシステム。例えば、この方法では、再利用可能医療機器は、第2医療処置を実行する前及び第1医療処置を実行した後に、再処理手順を用いて再利用可能医療機器は再処理され、再処理データはアップロードされる。方法では、第1医療処置は再利用可能医療機器を用いて実行され、第1医療処置データはアップロードされる。再利用可能医療機器は、指示を提供するための処置詳細を照会することを含めて、第2医療処置を実行する前にインタラクティブに検証される。第2医療処置は再利用可能医療機器を用いて実行され、第2医療処置データはアップロードされる。第1医療処置データ、処置詳細、第2医療処置データ及び再処理データを衛生基準と比較することに基づいて、警告は自動生成される。警告は、衛生基準を不順守であることを示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再利用可能医療機器の再処理のコンプライアンス管理のための方法であって、
第2医療処置を実行する前及び第1医療処置を実行した後に、再処理手順を用いて再利用可能医療機器を再処理し、前記再利用可能医療機器及び前記第1医療処置の第1再処理データをアップロードすること、
前記第2医療処置を実行する前に、前記第2医療処置のために再利用可能医療機器をインタラクティブに検証することであって、前記インタラクティブに検証することは、前記第2医療処置の処置詳細を照会すること及び前記第2医療処置の処置詳細に基づいて指示を提供することを含み、
前記再利用可能医療機器を用いて前記第2医療処置を実行し、前記第2医療処置の第2医療処置データをアップロードすること、及び、
前記第1医療処置の第1医療処置データ、前記第2医療処置の前記処置詳細及び前記第2医療処置データ、並びに、再処理及びプロセスデータを複数の衛生基準と比較することに基づいて警告を自動生成することであって、前記警告は、複数の衛生基準の少なくとも1つを不順守であることを示す、
ことを含む、方法。
【請求項2】
前記再利用可能医療機器を用いて実行された、少なくとも1つの他の医療処置を特定し、少なくとも1つの他の医療処置が交差汚染のリスクを有するものとして識別する警告を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ又は複数のモバイル機器は、集中型アプリケーションへデータをアップロードすることに用いられ、前記集中型アプリケーション又は前記モバイル機器は、前記警告を自動生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
過去の医療処置を分析し、再処理コンプライアンスベースラインを特定する前記複数の再利用可能機器のデータを再処理することであって、前記再処理コンプライアンスベースラインは、1つ又は複数の基準の過去のコンプライアンスレベルを含み、並びに、前記複数の再利用可能医療機器の将来の医療処置を特定すること及び前記過去のコンプライアンスレベルから逸脱している前記複数の再利用可能医療機器のデータを再処理することに基づいて、前記警告を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
再処理コンプライアンスベースラインを特定する再利用可能医療機器の利用のための管理法、基準、ガイドライン及び命令を分析することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記再処理することは、前記再処理データを自動アップロードする再処理機器をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記再処理することは、前記再処理データを自動アップロードすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1及び前記第2処置を実行することは、前記第1及び前記第2処置データをアップロードすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1処置データは第1患者データを含み、前記第2処置データは第2患者データを含み、
前記方法は、交差汚染に起因する前記第1患者データの第1患者から前記第2患者データの第2患者へのリスクを特定することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記再利用可能医療機器は、モバイル再利用可能医療機器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
環境又は機器の衛生基準コンプライアンスのためのシステムであって、
集中型アプリケーションと、
1つ又は複数のモバイル機器と、を含み、
前記1つ又は複数のモバイル機器は、
再処理データを前記集中型アプリケーションへアップロードし、前記再処理データは、前記環境又は前記機器の再処理手順に関連し、
前記環境又は前記機器に関する第1処置の第1処置データを前記集中型アプリケーションへアップロードし、
第2処置を実行する前に、前記第2処置のための環境をインタラクティブに検証し、前記インタラクティブに検証することは、前記第2処置の処置詳細を照会すること及び前記第2処置の処置詳細に基づく指示を提供することを含み、
前記環境又は前記機器に関する前記第2処置の第2処置データを前記集中型アプリケーションへアップロードし、
前記集中型アプリケーションは、前記第1処置の第1処置データ、前記第2処置の前記処置詳細及び前記第2処置データ、並びに、再処理データを複数の衛生基準と比較することに基づいて警告を自動生成し、前記警告は、複数の衛生基準の少なくとも1つを不順守であることを示す、
システム。
【請求項12】
前記環境は、緊急車両を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記集中型アプリケーションは、前記環境又は前記機器を用いて実行された、少なくとも1つの他の処置をさらに特定し、少なくとも1つの他の処置が交差汚染のリスクを有するものとして識別する警告を生成する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記集中型アプリケーションは、再処理コンプライアンスベースラインを特定する前記環境又は前記機器の利用のための管理法、基準、ガイドライン及び管理命令をさらに分析する、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記集中型アプリケーションは、前記処置データを自動受信する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記集中型アプリケーションは、複数の衛生基準の少なくとも1つを不順守であることによって衛生リスクにさらされている人物を特定する過去の処置データを関連付ける、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年6月4日に出願された米国仮特許出願第63/034,616号、2020年8月21日に出願された米国仮特許出願第63/068,481号及び2021年4月9日に出願された米国仮特許出願第63/172,822号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に再利用可能医療機器及び環境に関し、より具体的には、必要な法律、基準、ガイドライン又は内部標準作業手順書に対する再利用可能医療機器及び環境の再処理のトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のトレーサビリティシステムは、再利用可能医療機器の除染が標準化され、集中化されている手術室/中央滅菌部門に根付いている。しかしながら、この環境外にある再利用可能医療機器の数が増加しており、医療施設内のワークフロー効率化の利益のために、手術室/中央滅菌部門の外にある再処理システム及び方法の数も増加している。さらに、医療処置室、患者環境、バスルーム、ホテルの部屋及び公共交通機関等も、交差汚染のリスクをもたらす患者を収容又は治療するために利用され得る他の施設及び環境も含む環境の再処理及び保護のトレーサビリティを管理する必要性が高まっている。これらの再利用可能医療機器及び環境の再処理は、交差汚染のリスクを軽減するために、法律、基準、ガイドライン又は内部標準作業手順書に従って管理する必要がある。しばしば、再利用可能医療機器及び環境の再処理に関する情報は、頻繁に誤って管理され、紛失される、別々で、複雑で、管理の難しい紙ベースのシステムに保管され、これらのシステムを、交差汚染のリスク及び突発を効率的に管理するために必要なトレーサビリティの証拠を提供することにより、患者を適切に保護するための法律、基準、ガイドライン又は内部標準作業手順書に対する効果的なトレーサビリティ及びコンプライアンスを提供する上で非効率に導く。
【発明の概要】
【0004】
したがって、一態様によれば、再利用可能医療機器の再処理のコンプライアンスのための方法が提供される。方法は、以下のステップを含む:複数の再利用可能医療機器を提供すること。第1医療処置を実行した後に、再処理手順を用いて再利用可能医療機器を再処理し、第1再利用可能医療機器の第1医療処置再処理データの第1医療処置データをアップロードすること。第2医療処置を実行する前に、第2医療処置のために再利用可能医療機器をインタラクティブに検証すること。インタラクティブに検証することは、第2医療処置の処置詳細を照会すること及び第2医療処置の処置詳細に基づいて指示を提供することを含む。再利用可能医療機器を用いて第2医療処置を実行し、第2医療処置の第2医療処置データをアップロードすること。第1医療処置の第1医療処置データ、第2医療処置の処置詳細及び第2医療処置データ、並びに、再処理データを複数の衛生基準と比較することに基づいて警告を自動生成し、警告は、複数の衛生基準の少なくとも1つを不順守であることを示す。
【0005】
他の態様によれば、環境又は機器の衛生基準コンプライアンスのためのシステムが提供される。システムは、集中型アプリケーションと、1つ又は複数のモバイル機器と、を含む。1つ又は複数のモバイル機器は、以下のステップを実行することを含む。再処理データを集中型アプリケーションへアップロードし、再処理データは、環境又は機器の再処理手順に関する。環境又は機器に関する第1処置の第1処置データを集中型アプリケーションへアップロードする。第2処置を実行する前に、第2処置のための環境をインタラクティブに検証する。インタラクティブに検証することは、第2処置の処置詳細を照会すること及び第2処置の処置詳細に基づく指示を提供することを含む。環境又は機器に関する第2処置の第2処置データを集中型アプリケーションへアップロードする。集中型アプリケーションは、第1処置の第1処置データ、第2処置の処置詳細及び第2処置データ、並びに、再処理データを複数の衛生基準と比較することに基づいて警告を自動生成する。警告は、複数の衛生基準の少なくとも1つを不順守であることを示す。
【0006】
他の態様によれば、再利用可能医療機器の再処理のコンプライアンスを患者に示す方法が提供される。方法は、以下のステップを含む:第1医療処置を実行した後に、再処理手順を用いて再利用可能医療機器を再処理し、再利用可能医療機器の第1再処理データをアップロードすること。第2医療処置を実行する前に、第2医療処置のために再利用可能医療機器をインタラクティブに検証し、インタラクティブに検証することは、第2医療処置の処置詳細を照会すること及び第2医療処置の処置詳細に基づいて指示を提供することを含む。再利用可能医療機器が衛生基準を順守していることを確認する検証メッセージを受信すること。検証メッセージを患者に表示すること。再利用可能医療機器を用いて第2医療処置を実行し、第2医療処置の第2医療処置データをアップロードすること。第1医療処置の第1医療処置データ、第2医療処置の処置詳細及び第2医療処置データ、並びに、再処理データを複数の衛生基準と比較することに基づいて警告を自動生成し、警告は、複数の衛生基準の少なくとも1つを不順守であることを示す。
【0007】
本明細書に記載のシステム及び方法によって得られる利点は、デジタル化され自動化されたシステムが、利用前の再利用可能医療機器及び/又は環境の再処理及び時系列の取得及び相関を提供するための患者処置情報の両方に関するデータを処理することである。
上記により、システムは、管理衛生法、基準及びガイドラインを、トレーサビリティを提供するための文書コンプライアンスと比較し、また、再利用可能医療機器及び管理衛生法、基準又はガイドラインに従って再処理されていない環境によって引き起こされ得る患者の感染リスクを最小限に抑えるための分析、評価及び管理のために交差汚染の既知のリスクを迅速に作成する。
【0008】
上記実施形態は、単なる例示である。他の実施形態は、開示された主題の範囲内にある。
【0009】
本開示の特徴を理解できるように、添付の図面に示されるいくつかの実施形態を参照して詳細な説明を行うことができる。しかしながら、図面は特定の実施形態のみを示しており、開示された主題の範囲は他の実施形態も包含するため、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、特定の実施形態の特徴を示すことに一般的に重点が置かれている。図面において、同様の番号は、様々な図を通して同様の部分を示すために利用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、必要な法律、基準又はガイドラインに対する、再利用可能医療機器及び環境の再処理のトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理のためのシステムを示すブロック図である。
【0011】
図2A】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、関連した高レベル消毒再処理機器サイクルデータを含む、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのフローチャートである。
図2B】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、関連した高レベル消毒再処理機器サイクルデータを含む、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのフローチャートである。
【0012】
図3A】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのフローチャートである。
図3B】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのフローチャートである。
【0013】
図4A】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、モバイル再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのフローチャートである。
図4B】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、モバイル再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのフローチャートである。
【0014】
図5A】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、異なる環境での異なる種類のモバイル再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのフローチャートである。
図5B】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、異なる環境での異なる種類のモバイル再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのフローチャートである。
【0015】
図6A-6D】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
図6E-6G】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
【0016】
図7A-7C】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
図7D-7G】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
【0017】
図8A-8C】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
図8D-8G】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
【0018】
図9A-9B2】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
図9C-9F】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
図9G】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
【0019】
図10A】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
図10B】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェースである。
【0020】
図11】本明細書に記載の1つ又は複数の態様による、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのフローチャートである。
【0021】
対応する参照文字は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。本明細書に記載された例は、いくつかの実施形態を示しているが、決して範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、異なる種類の再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理のための技術に関する。有利なことに、本技術は、病院及び他の機関が感染防止プロセス、処置、手段及び対応の管理を改善できるようにするために、再利用可能医療機器又は環境の患者の処置及び再処理データのリンク及び集計を可能にする。ダッシュボード及びレポートは、モバイル又は固定された再利用可能医療機器の再処理を管理するために提示できる。
【0023】
本明細書に提示される技術は、部分的に、再利用可能医療機器の再処理のレベル/種類の文書化された証拠と、1つ又は複数の再利用可能医療機器が施設監査の必要性をサポートし、透明性及び認識を提供し、交差汚染のリスクを軽減するために患者の保護を具現化するための管理衛生法、基準又はガイドラインを順守し且つ相関関係のある文書化された証拠を提供するために、どのようにそのとき利用されたかに関する情報とを提供する。
【0024】
概要として、本開示は、医療施設内のワークフロー効率化を可能にする、手術室集中環境外にある、再利用可能医療機器をサポートすることができるトレーサビリティシステムを提供する。現在の技術では、これらの再利用可能医療機器の再処理は、患者の安全のための法律、基準及びガイドラインに従って管理することができる。本明細書で提示されるシステム及び方法は、再利用可能医療機器の再処理に関する情報と、患者の処置における再利用可能医療機器の利用に関する情報とを組み合わせて、効果的なトレーサビリティと、患者を適切に保護するための法律、基準及びガイドラインに対するコンプライアンスを提供することができ、交差汚染のリスク及び突破を管理するために必要なトレーサビリティの証拠を提供する。さらに、本技術は、交差汚染のリスクをもたらす患者を収容又は治療するために利用され得る、医療処置室、医療患者環境、並びに、他の施設及び環境を含む環境の再処理及び利用のトレーサビリティを提供する。
【0025】
本開示は、特定の実施形態、例えば、ヘルスケア環境における患者に関して説明されているが、記載された技術は、他の医療環境又はヘルスケア環境にも同様に適用可能である。ここに提示された技術は、それらの要件が法律、基準、ガイドライン又は説明されている環境で有効な内部標準作業手順書であるかどうかにかかわらず、医療に関連するかどうかに関係なく、管理衛生要件の管理を対象としている。
【0026】
さらに、再利用可能医療機器に関して特定の例が与えられているが、この開示は、部屋及び他の場所等の環境のための同じ原理及び技術の適用を意図しており、与えられた例はそのような環境に適用することができる。同様に、再利用可能医療機器の再処理に向けられた例は、環境の転換における再処理又は除染にも同様に適用することができる、例えば、ユーザ間の交差汚染のリスクを軽減すること。
【0027】
本技術により解決される課題の具体例として、プローブは、術中肝生検のためにHIV陽性患者に利用され得て、プローブの次の仕事は、健康な妊娠でリスクのない妊娠6か月の患者の腹部スキャンであり得る。本技術を用いることにより、プローブは、それが用いられる患者、すなわち、閉じた皮膚の腹部検査における健康な妊婦の曝露リスクに対して準備されるであろう。有利なことに、本技術は、プローブの利用が衛生基準を順守していることを確認し、皮膚が無傷の健康な女性に利用する前に、重大な再処理の要求に従って、周囲の重大な曝露に続いて超音波プローブを再処理するという目標を達成する。
【0028】
さらに、環境の再処理に関して、以下の実施例が本技術を用いて達成される。手術室は、衛生基準を順守して手術間で変えられ得る。病室は、衛生基準に従って患者の死に応じて変えられ得て、過去の患者の病原体プロファイルに応じて、しばしばその変更は高められ得る。時間ベースの再処理は、衛生基準を順守して達成され得て、例えば、病院のバスルームには15分ごとに再処理するという衛生要件を有してもよく、病室は環境、病原体リスクプロファイル及び曝露リスクプロファイルの種類に応じて2日ごとにディープクリーニングが必要になり得る。その他の例としては、ベッドレールを1日にX回拭くべきであり、床を1日にX回掃除するべきであり、患者ごとに歯科室を変更するべきである等がある、終末期の患者環境の変更、COVID患者のCTスキャン環境の変更等。これらの標準作業手順書は、適用される衛生基準として規定され、追跡及びスキャンされ得る。
【0029】
(システムの典型例)
図1は、超音波プローブ、血圧モニタ、CTスキャナ又は病院、主介護者の会社又は他の介護施設等の医療施設に一般的に配置される他の同様の機器等の再利用可能医療機器101のトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理のためのシステム100を示す概略ブロック図である。再利用可能医療機器の他の非限定的な例には、ガンマプローブ、眼圧計及び厚度計等の眼科機器、ドップラー超音波プローブ、経食道心エコー検査(TOE又はTEE)プローブ並びに歯科用機器が含まれるが、これらに限定されない。さらに、本技術は、病院設備及び空間、歯科設備及び空間、眼科及び病院及び診療所環境の両方における他の医療専門分野、並びに、高齢者介護施設、ホスピス及び緊急車両等の消毒に利用することができる。
【0030】
本技術で利用できる他の再利用可能医療機器を以下の表1に列挙する。
【0031】
【表1】
【0032】
図1は、システム100の一般化された例を提供するが、当業者は、本明細書に記載の概念が、再利用可能医療機器又は環境を再処理する任意の数の異なる構成に適用されることを容易に理解するであろう。特に、本開示の範囲内にあるいくつかの例では、固定された再処理室又は領域に複数の再処理機器を配置することができる。他の例では、再処理機器は携帯可能であり、部屋から部屋へと移動することができる。再処理に関するデータ入力には、システムに直接統合された又は再利用可能医療機器或いは環境を再処理するための他のシステム又は手段を文書化するための再処理作業の手動入力された自動再処理機器サイクルデータが含まれ得る。他の態様では、データはすぐにアップロードされるか、多数の処置が実行された後、しばらくしてからバッチモードでアップロードされるかという状況で、再利用可能医療機器及び/又は環境の利用が患者の処置において又は患者の処置のために追跡するために、複数のスキャン機器がスタッフ又は臨床医によって用いられ得る。
【0033】
図1の実施形態では、システム100は、1つ又は複数の再利用可能医療機器102の利用の詳細を追跡するために用いられる少なくとも1つの利用スキャン機器101を含み、モバイルアプリケーションを実行する。システム100は、再利用可能医療機器102を再処理するために用いられる、1つ又は複数の再処理機器103を含む。他の例では、本技術は、システム又は手順方法として具現化され得る。例えば、再処理機器103は、オーストラリアのNanosonics Limitedから入手可能なTrophon EPR又はTrophon2機器等の自動超音波プローブ殺菌機器であってもよい。再処理機器103は、病院ネットワークを介して接続され得る。そのような場合、再利用可能医療機器102は、RFID又は他の識別タグを有する超音波探触子であってもよく、本明細書で言及される再処理データは、患者処置情報、処置衛生分類情報等と共に、再処理機器103から直接システムアプリケーションへアップロードされる。他の例では、再利用可能医療機器102は、1つ又は複数の内視鏡、MRI機器、CT機器、歯科機器、眼科機器等であってもよい。
【0034】
いくつかの例では、スキャン機器101は、1つ又は複数の再利用可能医療機器の利用の詳細を追跡及び追跡するために利用可能な、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ、専用のハンドヘルド入力機器又は任意の他の種類の機器であり得る。他の例では、様々な種類の再利用可能医療機器は、多数の異なる種類の再処理システム、方法、機器、技術又は設備で再処理でき、再処理に関する情報は、再処理機器又は利用スキャン機器によってアプリケーションへ直接ロードできる。
【0035】
図1をさらに参照すると、本明細書に記載のシステム100は、スキャン機器101及び再処理機器103からデータを受信し、任意の数のユーザ106が再利用可能医療機器102のトレーサビリティ及び衛生コンプライアンスを管理できるようにするサーバベースのアプリケーション104を含む。再利用可能医療機器102は、RFIDタグでタグ付けされ得るか又はバーコード、固有の識別英数字コード又はスキャン機器101によってスキャンされ得るか又はスキャン機器101に手動で入力され得る他のそのような識別情報を含み得る。集中型サーバアプリケーション104は、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)を提供することもでき、以下でさらに詳しく説明する。他の実施形態(図示せず)では、超音波プローブ又は同様の「ダム」機器である代わりに、再利用可能医療機器102は、それら自体が、スキャン機器101又はアプリケーション104に情報を直接アップロードするためのプロセッサ及びWiFi(登録商標)機能を備えるスマートデバイスであってもよい。
【0036】
スキャン機器101は、一例では、タグ又はコード108をスキャンするためのプリロードされたモバイルアプリケーション、専用のQRコード(登録商標)スキャナ及び無線自動識別(RFID)スキャナを備える市販のAndroid(登録商標)又は他のスマートフォンに基づき得る。そのような場合、モバイルアプリケーション104は、医療従事者が医療機器、処置、患者及びポイントオブケア等の受入番号の詳細の取得を可能にするユーザインタフェース(図示せず)を提供するであろう。スキャン機器102は、USB(登録商標)充電ケーブル及びその他のアクセサリを含み得る。
【0037】
スキャン機器101上で動作するモバイルアプリケーションは、1つ又は複数の再利用可能医療機器102に関する様々なデータを取得することができる。例えば、スキャン機器101は、以下を含むがこれらに限定されない様々なデータを取得することができる:RFタグによる医療機器データ;医療器具の滅菌状況;スポルディング分類等の基準及びガイドラインを用いた手動選択による処置分類;手続受付番号;患者識別子。RFID等のパッシブタグは、そのようなデータの格納に利用できる少量の情報を運搬できる。
【0038】
以下でさらに詳細に説明するように、本技術は、交差汚染のリスクを軽減することを目的として、病院、診療所及び患者の他の医療環境の全ての領域に亘って、再処理機器/環境、再処理及び患者の処置の間のエンドツーエンドのトレーサビリティを提供することにより、モバイル又は移動可能な再利用可能医療機器及び環境の再処理のコンプライアンスワークフローをもたらすことによる管理に適用可能であり、それによって院内感染を減らし、衛生基準を不順守であることによる財政的及び評判上のリスクから施設を保護する。モバイル機器には継続的な再処理コンプライアンストレーニングが組み込まれており、そして、ユーザがワークフローを完了すると、アプリケーションがプロンプトを出力し、警告するであろう。
【0039】
図2A図5Bは、本開示のいくつかの実施例又はシナリオを提供する。
【0040】
(シナリオA:高レベル消毒及び再処理サイクルデータ)
(総括)
図2A及び図2Bにおいて、例示的な方法200は、少なくとも1つの高レベル消毒機器及び関連する再処理サイクルデータ、臨床医による収集手順(すなわち、再利用可能医療機器の利用データ)に利用されるモバイル機器、並びに、再処理及び利用データを組み合わせて、施設が衛生基準、ガイドライン、標準作業手順書(SOPs)及び利用説明書(IFUs)を順守していることを示すことを可能にする一連のコンプライアンスダッシュボードを生成する集中型アプリケーションに利用される。
【0041】
例えば、方法200は、直接接続、Wi-Fi(登録商標)又は電気通信(例えば、4G(登録商標)等)を用いてネットワークに接続可能なモバイル電子機器を用い、再利用可能医療機器固有の識別情報、高レベル消毒再処理機器からの再利用可能医療機器の再処理情報、再利用可能医療機器の利用情報、患者及び/又は処置の識別情報並びに日時情報を、再利用可能医療機器の衛生慣行に関連した証拠に基づいた追跡及びトレーサビリティ情報を集計、処理、提示する集中型アプリケーションへ送信し、情報は、管理法、基準、ガイドライン及び製品利用説明書(IFUs)によって示される、患者へのリスクを提示する衛生活動の通知を含み、通知は、以下を含む。
・RFID、バーコード又は他の番号付けシステムを含む、固有の再利用可能医療機器ID
・再処理を実行したオペレータ、再処理機器のシリアル番号、再処理の主体(reprocessing agent)の証拠及び/又は再処理機器の証拠データ及び再処理プロセスの日時を含む、再利用可能医療機器の再処理データ
・処置の衛生カテゴリに関する情報、利用中の医療機器の臨床医又は操作者に関する情報及び利用日時を含むであろう、医療機器利用データ
・再利用可能医療機器の再処理及び利用データセットを、衛生トレーサビリティを目的として患者の医療記録システム又は個人記録システムにリンクすることを可能にする情報を含むであろう、患者及び/又は処置の識別データ
【0042】
(シナリオA:フローチャート(図2A及び図2B))
図2A及び2Bは、再処理のトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理のための例示的な方法200を示す。一実施形態では、ブロック210で、方法は、患者の処置の利用に関するモバイル再利用可能医療機器(例えば、超音波プローブ)の衛生法、ガイドライン、基準又は内部標準作業手順書(SOP)に対する再処理コンプライアンスのトレーサビリティ及び文書化のステップを実行する。
【0043】
例えば、ブロック212で、方法は、再処理設備からモバイル再利用可能医療機器の再処理データを直接収集するステップを実行する。医療処置データを取得することで、後で感染を見抜くために、適切な情報がデータベース(サーバアプリケーション等)に格納されるように、データを処理及びキュレートすることを可能にする。それぞれの医療器具が再処理されると、再処理情報が収集される。再処理中、スキャン機器は、例えば、高レベル消毒(HLD)又は低レベル消毒(LLD)を指定し、機器が特定の患者の処置の前に利用するために要求されているように再処理されていない場合、ユーザに通知することにより、必要な衛生基準において臨床ユーザを継続的に再教育できる。1つの特定の例では、ユーザがHLDの実行を拒否して適切な消毒処置を無視しようとし、機器がLLDを必要とする処置がなされていると考えるようにリセットする場合、システムはこの情報をログに記録できる。利点として、方法200は、例えば、処置中の文書化がガイドラインの範囲外である場合に監督者の通知を可能にし、迅速なコース修正又はリスク管理を可能にする。再処理情報は、アプリケーションへアップロードし得る。一例では、i)医療処置データ及びii)機器再処理データの2つの異なるデータセットがアプリケーションへアップロードされ得る。他の例では、臨床医の入力は、再利用可能医療機器又は環境の消毒又は滅菌のレベルを示す。このデータは、リアルタイムでアップロードされ得る、又は、バッチ手順でアップロードされ得る。バッチ手順でアップロードされた場合、現在のシステムは、特定の患者が不適切に再処理された機器にさらされた可能性があるという警告につながる再処理のエラーを見つけるために、データをマイニングできる。そのような実施形態では、再処理情報をアップロードすることはバッチアップロードを含み、情報を相関付けることは、失敗した又は不十分な再処理サイクルを見つけるために、処置履歴及び再処理イベントを順序付けることを含む。
【0044】
次に、ブロック214で、方法200は、スキャン機器を用いて、再利用可能医療機器のそれぞれの利用に関する患者/処置利用情報を収集するステップを実行する。収集されると、ブロック216で、方法200は、再利用可能医療機器の再処理及び利用のそれぞれのデータを集中型アプリケーションへアップロードするステップを実行する。データがアップロードされた後、ブロック218で、方法200は、再利用可能医療機器の再処理及び利用データを集計及び処理するステップを実行する。例えば、医療処置情報及び再処理情報は、特定の医療機器の再処理サイクルが失敗した又は不十分であったかどうかを決定するために関連付けられ得て、このようなデータは、潜在的な感染を追跡するために用いることができる。他の例では、システムは、重要業績評価指標(KPIs)をリポートすることをサポートし、特定の是正措置は、許容可能な指標の範囲に応じて講じられ得る。例えば、失敗した又は不十分な再処理サイクルは、特定の医療処置情報を考慮して特定の医療器具を再処理するには不十分な再処理サイクルを含み得る。特定の例では、情報を相関することは、再処理サイクルが失敗した又は不十分な特定の医療機器にさらされた複数の患者の接触追跡を含む。さらに他の例では、情報を相関することは、それぞれの医療処置と共に、医療器具の消毒の特定のレベルをマッピングすることを含む。
【0045】
さらに、システム及び関連する方法は、本開示の精神内にある多くの方法で利用できる。例えば、患者情報はいつでもアップロードでき、相関関係は新しいデータを考慮して再実行できる。他の例として、正しい再処理手順は、以前に実行された医療処置だけでなく、患者の状態にも依存し得る。患者がCOVID-19等の検査で陽性であることが後で判明した場合、システムは、これらの新しい事実に照らして適切に再処理されなかった機器を見つけるために、相関をさかのぼって再実行できる。上記で説明したバッチアップロードデータは、イベントの時系列を特定し、すべてのプロトコルが守られていることを確認し、欠落している消毒サイクルを見つけること等によって関連付けることができる。そのような場合、より一般的には、方法は、医療処置情報の患者情報で見つかった少なくとも1人の患者が医療機器の異なるレベルの再処理を必要とする状態にかかり、更新された患者情報に基づいて医療処置情報を更新することを示す更新された患者情報をアップロードすることを含むことができる。
【0046】
集計した後、ブロック220で、方法200は、再処理コンプライアンスデータ及びダッシュボードを提示するステップを実行する(衛生基準、ガイドライン、標準作業手順書及び利用説明書に対するコンプライアンス)。また、ブロック222で、方法200は、再利用可能医療機器及び処置のそれぞれの分類のための衛生慣行の評価を提示するステップを実行する。報告及びダッシュボードに加えて、ブロック224で、方法200は、管理衛生法、基準又はガイドラインに対して評価された衛生慣行の評価によるリスクの通知又は警告のステップを実行する。さらに、ブロック226で、方法200は、機器状況(例えば、利用可用性)の通知又は警告のステップを実行する。さらに、ブロック228で、方法200は、トレーサビリティ及びリスク管理を目的として、データを永続的に追跡するステップを実行する。
【0047】
再び、異なるアクションは、システムによって及び記載された方法を用いて収集されたデータに基づいて実行され得る。例えば、患者は、さらなる検査のために接触者追跡又は問い合わせをされ得る。他の例では、再利用可能医療機器は、サービスから除外され得て、正しいプロトコルに従ってすぐに再処理するためにスケジュールされ得る。特定の例では、再利用可能医療機器を再び用いる前に高レベルの消毒が必要であり、低レベルの消毒のみが実行された場合、システムは、どの再利用可能医療機器が適切に消毒されていないかを追跡できる。
【0048】
(シナリオB:モバイル再利用可能医療機器トレーサビリティシステム)
(総括)
図3A及び図3Bにおいて、例示的な方法300は、特定の消毒機器から切り離されたモバイル再利用可能医療機器トレーサビリティシステムを提供するものであり、これは、多くの再処理機器及び手動再処理システム/プロセスのデータを取り込むことができる(例えば、病院、診療所、歯科診療所、検眼の実践及びその他の医療環境での利用)。
【0049】
例えば、方法300は、直接接続、Wi-Fi(登録商標)又は電気通信(例えば、4G(登録商標)等)を用いてネットワークに接続可能なモバイル電子機器を用い、再利用可能医療機器固有の識別情報、再利用可能医療機器の再処理情報、再利用可能医療機器の利用情報、患者及び/又は処置の識別情報並びに日時情報を、再利用可能医療機器の衛生慣行に関連した証拠に基づいた追跡及びトレーサビリティ情報を集計、処理、提示する集中型アプリケーションへ送信し、情報は、管理法、基準、ガイドライン及び製品IFUsによって示される、患者へのリスクを提示する衛生活動の通知を含み、通知は、以下を含む。
・RFID、バーコード又は他の番号付けシステムを含む、固有の再利用可能医療機器ID
・再処理を実行したオペレータ、再処理の主体(reprocessing agent)の証拠及び/又は再処理機器の証拠データ及び再処理プロセスの日時を含む、再利用可能医療機器の再処理データ
・処置の衛生カテゴリに関する情報、利用中の医療機器の臨床医又は操作者に関する情報及び利用日時を含むであろう、医療機器利用データ
・再利用可能医療機器の再処理及び利用データセットを、衛生トレーサビリティを目的として、患者の医療記録システム又は個人記録システムにリンクすることを可能にする情報を含むであろう、患者及び/又は処置の識別データ
【0050】
(シナリオB:フローチャート(図3A及び図3B))
図3A及び3Bのフローチャートは、シナリオBの例を示す。
【0051】
例えば、ブロック310で、方法300は、異なる環境(例えば、病院、臨床、歯科、検眼)での異なるモバイル再利用可能医療機器の衛生法、ガイドライン、基準又は内部標準作業手順書に対する再処理コンプライアンスのトレーサビリティ及び文書化のステップを提供する。
【0052】
一実施形態では、ブロック312で、方法300は、再処理設備から直接又は手動で、モバイル再利用医療機器の再処理データを収集するステップを実行する(例えば、手入力する機器を用いて)。次に、ブロック314で、方法300は、モバイル再利用可能医療機器のそれぞれに関する患者/処置利用情報を収集するステップを実行する。データを収集した後、ブロック316で、方法300は、モバイル再利用可能医療機器の再処理及び利用のそれぞれのデータを集中型アプリケーションへアップロードするステップを実行する。データをアップロードした後、ブロック318で、方法300は、モバイル再利用可能医療機器の再処理及び利用データを集計及び処理するステップを実行する。次に、ブロック320で、方法300は、再処理コンプライアンスデータ及びモバイル再利用可能機器トレーサビリティデータを提示するステップを実行する。ブロック322で、方法300は、再利用可能医療機器及び処置のそれぞれの分類の衛生慣行の評価を提示するステップも実行する。次に、ブロック324で、方法300は、管理衛生法、基準又はガイドラインに対して評価された衛生慣行の評価によるリスクの通知又は警告のステップを実行する。さらに、ブロック326で、方法300は、機器状況(例えば、利用可用性)の通知又は警告のステップを実行する。さらに、ブロック328で、方法300は、トレーサビリティ及びリスク管理を目的として、データを永続的に追跡するステップを実行する。
【0053】
(シナリオC:固定された再利用可能医療機器)
(総括)
以下の例では、固定された再利用可能医療機器の追加機能及びこれらの再利用可能医療機器の部屋の入れ替えについて説明する(MRI機器、CT機器及びこれらが固定されている部屋及び環境を含むが、これらに限定されない)。
【0054】
例えば、方法400は、直接接続、Wi-Fi(登録商標)又は電気通信(例えば、4G(登録商標)等)を用いてネットワークに接続可能なモバイル電子機器を用い、再利用可能医療機器固有の識別情報、固有の部屋又は場所情報、再利用可能医療機器及び部屋又は場所の再処理情報、再利用可能医療機器の利用情報、患者及び/又は処置の識別情報並びに日時情報を、再利用可能医療機器及び関連付けられた部屋又は場所の衛生慣行に関連した証拠に基づいた追跡及びトレーサビリティ情報、並びに、管理法、基準、ガイドライン及び製品IFUsによって示される、患者へのリスクを提示する衛生活動の通知及び再処理が完了した後の機器及び/又は部屋の利用可用性の通知を集計、処理、提示する集中型アプリケーションへ送信し、通知は、以下を含む。
・RFID、バーコード又は他の番号付けシステムを含む、固有の再利用可能医療機器ID
・RFID、バーコード又は番号付けシステムを含む、固有の部屋又は場所ID。
・再処理を実行したオペレータ、再処理の主体(reprocessing agent)の証拠及び/又は再処理機器の証拠データ及び再処理プロセスの日時を含む、再利用可能医療機器及び部屋又は場所の再処理データ
・再利用可能医療機器の再処理及び利用データセットを、衛生トレーサビリティを目的として、患者の医療記録システム又は個人記録システムにリンクすることを可能にする情報を含むであろう、患者及び/又は処置の識別データ
【0055】
(シナリオC:フローチャート(図4A及び図4B))
図4A及び図4Bのフローチャートは、シナリオCの例を示す。
【0056】
例えば、ブロック410で、方法400は、異なる種類及び関連する環境の固定された再利用可能医療機器の衛生法、ガイドライン、基準又は内部標準作業手順書に対する再処理のコンプライアンスのトレーサビリティ及び文書化のステップを提供する(MRI、CT機器及び他のそのような部屋及び環境)。
【0057】
一実施形態では、ブロック412で、方法400は、直接又は手動で、固定された再利用医療機器及び/又は環境の再処理データを収集するステップを実行する(例えば、スキャン機器を用いて又は手動入力によって)。さらに、ブロック414で、方法400は、固定された再利用可能医療機器のそれぞれに関する患者/処置利用情報を収集するステップを実行する。収集した後、ブロック416で、方法400は、固定された再利用可能医療機器及び/又は環境の再処理及び利用のそれぞれのデータを集中型アプリケーションへアップロードするステップを実行する。次に、ブロック418で、方法400は、固定された再利用可能医療機器及び/又は環境のそれぞれの再処理及び利用データを集計及び処理するステップを実行する。次に、ブロック420で、方法400は、再処理コンプライアンスデータ及び固定された再利用可能機器トレーサビリティデータを提示するステップを実行する。次に、ブロック422で、方法400は、固定された医療機器/部屋の衛生慣行のそれぞれの評価を提示するステップを実行する。さらに、ブロック424で、方法400は、管理衛生法、基準又はガイドラインに対して評価された衛生慣行の評価によるリスクの通知又は警告のステップを実行する。次に、ブロック426で、方法400は、固定された医療機器又は部屋の状況(例えば、利用可用性)の通知又は警告のステップを実行する。さらに、ブロック428で、方法400は、トレーサビリティ及びリスク管理を目的として、データを永続的に追跡するステップを実行する。
【0058】
(シナリオD:部屋衛生再処理)
(総括)
以下の例では、病室の衛生再処理及び入れ替えを示す拡張の追加特徴について説明する(病院の病室及び場所、並びにホテルの部屋、公衆トイレ等の他の公共で用いられる部屋を含む)。
【0059】
例えば、方法400は、直接接続、Wi-Fi(登録商標)又は電気通信(例えば、4G(登録商標)等)を用いてネットワークに接続可能なモバイル電子機器を用い、部屋又は場所固有の識別情報、部屋又は場所の再処理情報、再利用可能医療機器の利用情報、患者又はユーザ情報並びに日時情報を、部屋又は場所の衛生慣行に関連した証拠に基づいた追跡及びトレーサビリティ情報、並びに、管理法、基準、ガイドライン、感染管理要件及び/又は再処理が完了した後の部屋の空き状況によって示される、患者又はユーザへのリスクを提示する衛生活動の通知を集計、処理、提示する集中型アプリケーションへ送信し、通知は、以下を含む。
・RFID、バーコード又は他の番号付けシステムを含む、固有の部屋又は場所ID
・再処理を実行したオペレータ又は清掃員、再処理の主体(reprocessing agent)の証拠及び/又は再処理機器の証拠データ、並びに再処理プロセスの日時を含む、部屋又は場所の再処理データ
・利用日時に関する情報を含むであろう、部屋又は場所の利用データ
・利用データセットを、衛生トレーサビリティを目的として、患者の医療記録システム又は個人記録システムにリンクすることを可能にする情報を含む、患者及び/又はユーザの識別データ。患者又はユーザの感染状況がわかっている場合、患者又はユーザのデータは、患者の既知の仕様又はリスク評価指標を含むであろう。
【0060】
(シナリオD:フローチャート(図5A及び図5B))
図5A及び図5Bのフローチャートは、シナリオDの例を示す。
【0061】
例えば、ブロック510で、方法500は、衛生法、ガイドライン、基準又は病院/診療所/他の医務室、バスルーム、ホテルの部屋、待合室等を含む部屋/場所の内部標準作業手順書に対する再処理のコンプライアンスのトレーサビリティ及び文書化のステップを提供する。
【0062】
一実施形態では、ブロック512で、方法500は、部屋、部屋の利用及び部屋の入れ替えのデータを収集するステップを実行する(例えば、モバイルスキャン機器を用いて又は手動入力によって)。さらに、ブロック514で、方法500は、それぞれの部屋で、衛生、ユーザ、患者及び処置情報を収集するステップを実行する(部屋が処置に用いられた場合のみ関連する)。収集した後、ブロック516で、方法500は、それぞれの部屋又は場所のデータを集中型アプリケーションへアップロードするステップを実行する。次に、ブロック518で、方法500は、部屋/場所のそれぞれの再処理及び利用データを集計及び処理するステップを実行する。次に、ブロック520で、方法500は、それぞれの部屋/場所に特定の証拠に基づいた追跡及び衛生コンプライアンス情報を提示するステップを実行する。続いて、ブロック522で、方法500は、再利用可能医療機器を備えるそれぞれの部屋/場所の衛生慣行の評価を提示するステップを実行する。さらに、ブロック524で、方法500は、管理衛生法、基準又はガイドラインに対して評価されたそれぞれの部屋/場所における衛生慣行の評価によるリスクの通知又は警告のステップを実行する。さらに、ブロック526で、方法500は、部屋の状況の通知又は警告のステップを実行する(例えば、空室状況、問題等)。さらに、ブロック528で、方法500は、トレーサビリティ及びリスク管理を目的として、データを永続的に追跡するステップを実行する。
【0063】
上記のすべての例に関して、再利用可能医療機器及び再処理に関して、システム及び方法を説明してきたが、医療機器が必要とする必要な試薬又は化学物質の追跡にも同じ概念を適用できる。例えば、再処理に用いられた特定の化学物質が汚染されているか期限切れであることが後に判明した場合、この追加情報はシステムに入力でき、相関関係が再実行されて、影響を受ける再利用可能医療機器及び患者記録を見つけ、必要に応じて、是正措置及び警告を生成する。
【0064】
他の例は、治療基準の変更に関する。例えば、記録計画が感染防止に不十分であると判断された場合、消毒処置の新しい要件の情報を更新でき、不順守のすべての再利用可能医療機器を識別し、変更された治療基準の下で再処理するようにスケジュールすることができる。
【0065】
上記した技術は、病院、診療所、歯科医院及び超音波処置、CATスキャン並びに他の処置を行う施設での利用に適している。「再利用可能医療機器」という用語は、全体を通して用いられているが、その用語はより広く、器具や設備を備える部屋を表すために利用でき、その部屋のそれぞれの要素には独自の再処理基準が必要である。コロナウイルス又は他の感染症等の特定の問題に関して、汚染されたエリア内にあるか又はクリーンエリア内にあるかに応じて、異なる部屋も異なる治療基準で指定され得る。
【0066】
是正措置を見つける及び警告を生成する相関関係に加えて、KPIのスキャン、ベースラインの確立、病院等の場所のパフォーマンスの決定、ベストプラクティスの確認等を可能にするレポート機能が提案される。例えば、複数の病院からアップロードされたデータは、例えば誤った消毒数を特定し、自動化されたその病院又は施設のスコアを週単位で提供するために関連付けることができる。
【0067】
聴診器、血圧センサ、体温計等を含む他の機器は、このシステムで用いる準備ができており、システムを用いて、タグ付け及び追跡されることができる。
【0068】
さらに、本明細書に記載の技術のいずれも、救急車を含むが、それに限定されない緊急車両の消毒に適用できる。一例として、検証済みの洗浄剤(cleaning agent)及び他の材料の利用は、緊急車両でスキャンされ得る。
【0069】
図6A図6Gは、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェース600A~600Gである。特に、図6A図6Gは、ノンクリティカル処置を記録する例を示す。図示するように、ノンクリティカル処置をログに記録することは、処置のアクセッションコードをスキャンし、再利用可能医療機器を識別するコードをスキャンし、ログに記録された情報を確認することで得られる、処置に関する情報がユーザによって提供されることを必要とする。特に、収集された情報は、低レベル消毒が行われたことを示し、処置のスポルディング分類は、健康な皮膚との接触を示す。
【0070】
図7A図7Gは、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェース700A~700Gである。特に、図7A図7Gは、セミクリティカル処置を記録する例を示す。この例では、セミクリティカル処置を検証するために追加情報が必要である。特に、収集された情報は、低レベル消毒が実行されたことを示し、処置のスポルディング分類は、粘膜又は無傷の皮膚の接触を示し、図7B1に示されるプローブ調整に関する重大な注意事項を確認するために従業員IDの入力を促すことに導く。他の実施形態では、セミクリティカル処置に関する他の情報を収集するために、多数の異なる照会が、ユーザインタフェースによって行われ得る。
【0071】
図8A図8Gは、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェース800A~800Gである。特に、図8A図8Gは、プローブカバー(無菌シース)で高レベル消毒されたクリティカル処置を記録する例を示す。この例では、クリティカル処置を検証するために追加情報が必要である。特に、収集された情報は、高レベル消毒が実行されたことを示し、
処置のスポルディング分類は、無菌組織との接触を示し、さらなる質問を促すことに導く。まず、図8B1のユーザインタフェースは、無菌シースの利用について照会して、答えが「Yes」である場合、図8Cに進む。他の実施形態では、クリティカル処置に関する他の情報を収集するために、多数の異なる照会が、ユーザインタフェースによって行われ得る。
【0072】
図9A図9Gは、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェース900A~900Gである。特に、図9A図9Gは、プローブカバー(無菌シース)なしで高レベル消毒されたクリティカル処置を記録する例を示す。この例では、クリティカル処置を検証するために追加情報が必要である。特に、収集された情報は、高レベル消毒が実行されたことを示し、処置のスポルディング分類は、無菌組織との接触を示し、さらなる質問を促すことに導く。まず、図9B1のユーザインタフェースは、無菌シースの利用について照会して、答えが「Nо」である場合、図9B2に進み、図9B2に示されるプローブの準備に関する重大な注意事項が示されていることを確認するために従業員IDの入力を促すことに導く。他の実施形態では、クリティカル処置に関する他の情報を収集するために、多数の異なる照会が、ユーザインタフェースによって行われ得る。
【0073】
図10A及び図10Bは、再利用可能医療機器の再処理のためのトレーサビリティ及び衛生コンプライアンス管理システムのグラフィカルユーザインタフェース1000A~1000Gである。特に、図10A図10Gは、システムで生成される異なる警告の例を示し、図10Aはグラフィカルインタフェーステーブルの左側であり、図10Bはグラフィカルインタフェーステーブルの右側である。図10A及び10Bに示すように、処置、消毒及び患者に関して収集された情報に基づいて、通知が生成されている。例えば、リストされている4番目の処置は、プローブのシリアル番号USP015で失敗したクリティカル処置である。一実施形態では、通知は、プローブがさらなる処置に利用できるように、プローブの再処理を引き起こす情報を誘発する。
【0074】
図11は、本開示の多くの実施形態によるトレーサビリティ方法1100を要約するフローチャートである。1つ又は複数の実施形態では、システムは、再利用可能医療機器及び環境の衛生基準に対する安全な再利用を検証し、有利なことに、システムは、リスクイベントの警告通知、証拠に基づいた機器及び環境の安全利用表示、並びに、医療環境及び機器内で実施された感染防止への洞察を導くデータを通して、患者の交差汚染リスクを軽減し、証拠に基づいた再処理文書を提供し、リスク軽減をサポートするために、証拠に基づいた再処理を患者の処置にリンクする。特に、ブロック1110で、方法1100は、スポルディング分類ガイドライン等の衛生基準を考慮する。ブロック1120で、方法1100は、再処理方法の検証を実行する。ブロック1130で、方法1100は、再利用可能医療機器又は環境の再処理要件を保証する。ブロック1140で、方法1100は、この情報を検証して、上述のようにトレーサビリティを提供する。ブロック1150で、方法1100は、患者の処置にリンクする。
【0075】
したがって、医療機器の観点から、図1~11に示されるように、本技術は、ポイントオブケアの臨床医/清掃技術者が、医療処置の分類又は環境の種類、処置又は環境の固有IDで利用される再利用可能医療機器固有ID、処置前に実行された再処理アクション(再処理プロセスで用いられる活性剤(active agent)又は消耗品、クリティカルパラメータ、接触時間及び他の検証を含む)、及び、再利用可能医療機器の再処理イベントを特定の患者にリンクし、管理衛生基準及びガイドラインに従ってコンプライアンスへの対応を計算するための患者手順識別子を有利に識別できるようにする。衛生順守の観点から、本技術の統合アプローチは、交差汚染等を減らすために取られた特定の行動に処置及び再処理情報をまとめない従来の技術の限界を超える進歩を可能にする。
【0076】
例えば、再処理イベントに起因するログの削減が、この再利用可能医療機器及び処置の分類又は医療環境の衛生基準を満たすのに不十分である場合、図1~11のシステムは、次の人が環境を利用できるようにする前の処置又は環境を実行する前に、臨床医/清掃技術者に警告し、管轄区域、機器及び処置の分類を規定する衛生基準及びガイドラインを満たすために、それらを思い出させることに有利である。
【0077】
さらに、臨床医/清掃技術者がこのリスクを受け入れることを希望する場合、彼らは、従業員IDを記録し、この不順守イベントの記録に進む必要がある。有利なことに、図1~11で説明したように、不順守イベントは、露出リスクを制限し、再処理コンプライアンスワークフロー管理を支援するために、リアルタイムで監督者への不順守通知を自動的に誘発するであろう。自動警告は、交差汚染を防止するために、医療機器の循環を停止するために用いることができる。
【0078】
さらに、臨床医/清掃技術者が順守イベントをログに記録する場合、システムは、患者の安全を向上させるために、臨床及び清掃技術者のワークフローコンプライアンス及び精度を確保するためのロジックに加えて文書の証拠を提供するために、検証済みの医療機器の再処理サイクル及びイベントを有利に収集し、リンクし、格納する。
【0079】
1つ又は複数の実施形態では、図1~11に関して上で説明したように、ログに記録された情報は、一連のモバイル機器を介して、及び、場合によっては再処理医療機器自体から収集され、この情報は、感染防止リスク管理レポート、コンプライアンスレポートの再処理、資産の利用及び管理レポート、再処理レポート、再処理担当者レポート、デジタルログブック、最善の患者治療をサポートするための他の情報を提供するために操作された、クラウドベースアプリケーションへ送信される。例えば、上記した集中型データベースは、すべての再処理機器、ポイントオブケア機器からアップロードされた情報を保持するであろう。
【0080】
さらに、図1図11の技術は、環境の種類、既知の汚染リスク、再処理アクション、利用される活性剤(active agents)、清掃技術者ID、場所IDの選択によって必要とされる、再処理ワークフローコンプライアンス及び必須病原体のログ削除の証拠の環境再処理を可能にする。清掃技術者は、環境の再処理前後に、活性剤(active agents)をスキャンし、連絡時間を確認するためにタイムスタンプ付きの写真を撮影し、病原体ログの減少を示すための表面を曝露又は他のスキャンを行うであろう。
【0081】
図1~11の技術の利点のさらなる説明として、考察は、患者の処置の分類又は環境汚染のリスクから始まり、次に、基準及びガイドラインの要件、再利用可能機器/環境及び、再処理ログの削減要件を三角測量的に検討して、再利用可能医療機器又は環境の再処理ワークフローが、患者の保護を保証する為に、管理法、基準、ガイドライン及び製造者の指示に従って管理されことを確認するための検証済みの証拠を提供する。
【0082】
図1~11の技術で実現される特定の利点は、以下を含む:
【0083】
システムは、処置の特定の詳細及び環境分類要件に分けられた、衛生基準及びガイドラインのデータベースを保持してもよい;
【0084】
システムは、再利用可能医療機器のデータベースを保持し、再処理、保管及び利用に関する特定の製造要件をそれぞれの機器について分けてもよく、並びに、これらの再利用可能医療機器の利用を患者の処置及び再処理イベントにリンクするためのシステムを分けてもよい;
【0085】
システムは、医療環境及び特定の再処理要件のデータベースを保持し、再処理イベントを取得し、検証し、格納し、患者の処置及び再処理イベントにリンクする方法を有してもよい;
【0086】
システムは、再処理医療機器のデータベースを保持し、これらの目的、再利用可能機器の互換性、ログ削除機能を分け、再処理サイクルを取得し、検証し、格納し、患者の処置にリンクする方法を有してもよい;
【0087】
このシステムは、環境再処理の主体(environmental reprocessing agents)、活動及びプロセスのデータベースを保持し、再処理を取得し、検証し、格納し、特定の環境及び患者の処置にリンクする方法を有してもよい;
【0088】
システムは、特定の再利用可能医療機器/環境、処置/環境の分類及び患者の処置/利用法について、順守した再処理手順を通して、ポイントオブケア(POC)で及び環境内で臨床医/清掃技術者をガイドし、臨床医及び洗浄剤(cleaning agent)の不順守を軽減し、それによって患者の交差汚染のリスクを軽減することに役立てるために、ワークフロー管理によるリアルタイム警告及び通知を通して、施設の場所及び活動コースに関する衛生基準並びにガイドラインを満たすための病原体ログの削減へのコンプライアンスの検証済みの証拠を取得してもよい;
【0089】
この複雑なタスクは、基準及びガイドラインの管轄、利用される再利用可能医療機器又は再処理される環境、処置衛生要件の分類又は環境汚染リスクの分類、再処理のための非常に特殊な再利用可能医療機器メーカの指示又は特定の環境での再処理要件、再処理イベントの日付/時間/オペレータ/化学物質/検証データを識別することによって達成されるであろう。複雑なアルゴリズムを用いて、APシステムは、患者の処置を安全に実施する又は環境を再利用するための必要な病原体ログ削減要件を検証するために、再処理コンプライアンスワークフローを通じて、臨床医及び洗浄技術者に指示し、不順守の活動を彼らに警告し、臨床医或いは清掃技術者の承認によって又はシステムが機能しないことによって確認されたリスクイベントについて監督者及び管理者に警告するであろう。なお、環境の例の再処理の要件は、環境の再処理の必要性が以前の人の汚染リスクに依存するという点で、再利用可能医療機器の再処理の要件とは逆となり、再利用可能医療機器は、機器が用いられる患者の曝露リスクによって異なるであろう。例えば、空気中のバクテリアが機器の表面に落下し、接触を介して血流に入り、敗血症反応を引き起こす血管アクセスシナリオを考える。
【0090】
さらなる利点は、患者の受容に関する。本技術の一例では、臨床医は、利用前に再利用可能医療機器の衛生状況を患者に表示できる。衛生データの検証を見て、身体でこの機器の利用をデジタルで受け入れる患者は、患者及び介護者の関係を大きく改善する。
【0091】
要約すると、一般的に述べられるように、一実施形態において、再利用可能医療機器の再処理のコンプライアンス(例えば、コンプライアンスワークフロー管理)のための方法及びその方法を実施するためのシステムが本明細書に記載される。例えば、方法は以下のステップを含む:第2医療処置を実施する前、及び再処理手順を用いて第1医療処置を実施した後に再利用可能医療機器を再処理し、第1再利用可能医療機器の再処理データをアップロードする。再利用可能医療機器の衛生状況は、患者を交差汚染から保護するために、患者に用いる前に検証される。再処理は、超音波プローブの消毒等の再処理機器の利用を含み、ワイプ、化学物質を用いて適用される順守した化学物質の浸漬/スプレー等のシステム及び設備、並びに、方法及びシステムによって検証されるそのようなシステム及び設備を用いるための手動の方法をも含む。再処理は、製造元の指示と一致するプロセスを用いることを含むこともできる。複数の再利用可能医療機器のうちの再利用可能医療機器を用いて第2医療処置を実行し、第1医療処置の第1医療処置データをアップロードする。第2医療処置を実行する前に、第2医療処置のために再利用可能医療機器をインタラクティブに検証する。インタラクティブに検証することは、第2医療処置の処置詳細を照会し、第2医療処置の処置詳細に基づいて指示を提供することを含む。再利用可能医療機器を用いて第2医療処置を実行し、第2医療処置の第2医療処置データをアップロードする。第1医療処置の第1医療処置データ、第2医療処置の処置詳細及び第2医療処置データ、並びに、再処理データを複数の衛生基準と比較することに基づいて警告を自動的に生成し、警告は、複数の衛生基準の少なくとも1つを不順守であることを示す。
【0092】
一例では、再利用可能医療機器が基準を満たしていないことを臨床医に知らせる警告は、臨床医が再利用可能医療機器を利用する前に、臨床医のために生成される。他の例では、例えば、臨床医が基準を満たさないリスクを受け入れる場合、これは、リスクイベントをログに記録し、迅速なリスク評価及びコース修正を行うために管理者にリアルタイムで通知する。例えば、警告は、再利用可能医療機器の識別された衛生状況及び第2処置の詳細に基づくことができる。さらに、警告は、メーカの指示に対する違反に基づいている可能性がある(例えば、超音波は、高温のスチーマを通過した衛生基準に従って再利用できることを確認できるが、これは機器に損傷を与え、メーカの利用説明書に反することになり、したがって、警告が発生する)。
【0093】
一実施形態では、この方法は、再利用可能医療機器を用いて実行された少なくとも1つの他の医療処置を決定し、少なくとも1つの他の医療処置が交差汚染のリスクを有するものとして識別する警告を生成することをさらに含む。他の実施形態では、データを集中型アプリケーションにアップロードするために1つ又は複数のモバイル機器が用いられ、集中型アプリケーションは、警告を自動的に生成する。さらなる実施形態では、方法は、1つ又は複数の基準の過去のコンプライアンスレベルを含む再処理コンプライアンスベースラインを決定するために、過去の医療処置及び複数の再利用可能医療機器のデータを分析すること、及び、複数の再利用可能医療機器の将来の医療処置及び再処理データが過去のコンプライアンスレベルから逸脱しているとの決定に基づいて警告を生成することをさらに含む。例えば、ワイプ、ケミカルスプレー、ケミカルソーク等の利用は、関連する衛生基準への順守に基づいて検証される。そのような方法は、その方法がいつどのように実行されたか及びその関連文書の確認によって検証され得る。
【0094】
一実施形態では、この方法は、再利用可能医療機器の利用に関する管理法、基準、ガイドライン及び利用説明書を分析して、再処理コンプライアンスのベースラインを決定することをさらに含む。他の実施では、再処理は、再処理データを自動的にアップロードする再処理機器をさらに含む。さらなる実施形態では、再処理は、再利用可能医療機器が再処理データを自動的にアップロードすることをさらに含む。
【0095】
一例では、再利用可能医療機器は、第1及び第2処置データを自動的にアップロードする。他の例では、方法は、例えば交差汚染による、第1患者から第2患者へのリスクを決定することをさらに含む。さらなる例では、再利用可能医療機器は、モバイル再利用可能医療機器である。
【0096】
他の態様では、方法及びシステムは、再利用可能医療機器の再処理コンプライアンス及び/又は環境コンプライアンス(関連する衛生基準への)を患者に示す。方法及びシステムは、患者を交差汚染からよりよく保護するためのワークフローコンプライアンスを管理するために、独立した健康状態にもかかわらず、交差汚染のリスクにさらされる可能性がある患者を医療環境で保護する。この方法は、以下のステップを含む。再処理手順を用いて第1医療処置を実行した後に再利用可能医療機器を再処理し、再利用可能医療機器の第1再処理データをアップロードする。第2医療処置を実行する前に、第2医療処置のために再利用可能医療機器をインタラクティブに検証し、インタラクティブに検証することは、第2医療処置の処置詳細について照会すること及び第2医療処置の処置詳細に基づいて指示を提供することを含む。再利用可能医療機器が衛生基準を順守していることを確認する検証メッセージを受信する。検証メッセージを患者へ表示する。再利用可能医療機器を用いて第2医療処置を実行し、第2医療処置の第2医療処置データをアップロードする。第1医療処置の第1医療処置データ、第2医療処置の処置詳細及び第2医療処置データ、並びに、再処理データを複数の衛生基準と比較することに基づいて警告を自動的に生成し、警告は、複数の衛生基準の少なくとも1つを不順守であることを示す。
【0097】
本明細書では、実施形態による方法、機器(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して、実施形態を説明する。フローチャート図及び/又はブロック図のそれぞれのブロック並びにフローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施できることが理解されるであろう。
【0098】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラム可能なデータ処理を介して実行される命令がフローチャート及び/又はブロック図ブロック又はブロックで指定された機能/動作を実施するための手段を作成するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又はマシンを生成するための他のプログラム可能なデータ処理機器のプロセッサを提供され得る。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が格納されるコンピュータ可読記憶媒体がフローチャート及び/又はブロック図ブロックで指定された機能/行為の態様を実施する命令を含む製品を含むように、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理機器、及び/又は他のデバイスを特定の方法で機能させることができ、コンピュータ可読記憶媒体にも格納され得る。
【0099】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能な機器又は他のデバイスで実行される命令がフローチャート及び/又はブロック図のブロックで指定された機能/動作を実施するように、コンピュータで実施されたプロセスを生成するために、一連の動作ステップがコンピュータ、他のプログラム可能な機器、又は他のデバイスで実行させるコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理機器、又は他のデバイスにもロードされ得る。
【0100】
図中のフローチャート及びブロック図は、様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実施のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。この点に関して、フローチャート又はブロック図のそれぞれのブロックは、指定された論理機能を実施するための1つ又は複数の実行可能な命令を含む、モジュール、セグメント、又は命令の一部を表し得る。一部の代替実施では、ブロックに記載されている機能は、図に記載されている順序とは異なり得る。例えば、関連する機能に応じて、連続して示される2つのブロックが実際には実質的に同時に実行されるか、ブロックが逆の順序で実行され得る。ブロック図及び/又はフローチャート図のそれぞれのブロック及びブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、所定の機能又は動作を実行し、又は、専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実施できることにも留意されたい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7B1
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
図8B1
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9A
図9B
図9B1
図9B2
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】