(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】易接着層形成用組成物及びこれを用いたハードコーティングフィルム
(51)【国際特許分類】
C09D 4/02 20060101AFI20230627BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20230627BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20230627BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20230627BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230627BHJP
C08J 7/046 20200101ALI20230627BHJP
C08J 7/043 20200101ALI20230627BHJP
【FI】
C09D4/02
C09D5/00 D
C08F20/10
B32B27/30 A
B32B27/32 Z
C08J7/046 CES
C08J7/043
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574795
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 KR2021006587
(87)【国際公開番号】W WO2021246715
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0067251
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514217912
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132,Yakchon-ro,Iksan-si Jeollabuk-do 570-977,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イム,ゴ サン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ミン キョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジョンハン
【テーマコード(参考)】
4F006
4F100
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
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4J100JA43
(57)【要約】
本発明は、芳香族(メタ)アクリレート、光開始剤、及び溶剤を含む易接着層形成用組成物、これを用いて形成されるハードコーティングフィルム、及び前記ハードコーティングフィルムが備えられた画像表示装置を提供する。本発明に係る易接着層形成用組成物は、芳香族(メタ)アクリレートを含むことでシクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間の密着性を向上させることができ、これに伴いハードコーティングフィルムの耐屈曲性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族(メタ)アクリレート、光開始剤、及び溶剤を含む易接着層形成用組成物。
【請求項2】
前記芳香族(メタ)アクリレートは、易接着層形成用組成物中の全固形分100重量%に対し、50~99.9重量%の量で含まれる請求項1に記載の易接着層形成用組成物。
【請求項3】
透光性樹脂を更に含む請求項1に記載の易接着層形成用組成物。
【請求項4】
当該易接着層形成用組成物は、シクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間に用いられるものである請求項1に記載の易接着層形成用組成物。
【請求項5】
シクロオレフィン重合体基材、
前記シクロオレフィン重合体基材の少なくとも一方の面に形成された易接着層、及び
前記易接着層上に形成されたハードコーティング層を含むハードコーティングフィルムであって、
前記易接着層が、請求項1~4のいずれか一項に記載の易接着層形成用組成物を用いて形成されたものであるハードコーティングフィルム。
【請求項6】
全光線透過率が90%以上であり、
ハードコーティング層面が内側になるようにして曲率半径1mmで20万回繰り返しハードコーティングフィルムを折り曲げた後もハードコーティングフィルムの破断やハードコーティング層の剥離が発生しない請求項5に記載のハードコーティングフィルム。
【請求項7】
前記ハードコーティング層は、透光性樹脂、光開始剤、及び溶剤を含むハードコーティング組成物を用いて形成されたものである請求項5に記載のハードコーティングフィルム。
【請求項8】
前記透光性樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリロイル基を有するモノマーからなる群より選択される一つ以上を含む請求項7に記載のハードコーティングフィルム。
【請求項9】
請求項5に記載のハードコーティングフィルムが備えられた画像表示装置。
【請求項10】
請求項5に記載のハードコーティングフィルムが備えられたフレキシブル(flexible)表示装置のウィンドウ。
【請求項11】
請求項5に記載のハードコーティングフィルムが備えられた偏光板。
【請求項12】
請求項5に記載のハードコーティングフィルムが備えられたタッチセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易接着層形成用組成物及びこれを用いたハードコーティングフィルムに係り、より詳しくは、シクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間の密着性を向上させることができ、これに伴いハードコーティングフィルムの耐屈曲性を向上させることができる易接着層形成用組成物、これを用いて形成されるハードコーティングフィルム及び前記ハードコーティングフィルムが備えられた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードコーティングフィルムは、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)などの画像表示装置において表面保護などの目的から利用されている。
【0003】
近年、既存の柔軟性のないガラス基板の代りに、プラスチックなどのように柔軟性のある材料を用いて紙のように曲がっても表示性能をそのまま保持できるフレキシブル(flexible)表示装置が次世代の表示装置に急浮上している。これに伴い、硬度(hardness)が高く且つ耐擦傷性に優れるのみならず、製造工程や使用中でもフィルム端においてカール(curl)現象が生じることなく、適当な柔軟性を備えることでクラックが発生しないハードコーティングフィルムに対する研究が行われている。
【0004】
一方、シクロオレフィン重合体(cycloolefin polymer、COP)は、透明性、耐熱性、寸法安定性、低吸湿性、低複屈折性、及び光学的等方性に優れることでハードコーティングフィルムの基材としての利用が期待されている。しかし、シクロオレフィン重合体フィルムは、アクリルフィルムやポリエステルフィルムとは異なり、フィルムの表面に極性基の数が少ないため基材フィルムとハードコーティング層との密着性に劣る。
【0005】
そこで、大韓民国公開特許第10-2017-0107995号では、ポリオレフィン系樹脂とスチレンアクリル系樹脂との混合物を含有する易接着層を介在して製造されたハードコーティングフィルムを開示している。
【0006】
しかし、前記ハードコーティングフィルムでは、易接着層が樹脂成分を含有することで架橋度に劣るため、シクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間で十分な密着性を奏し難く且つハードコーティングフィルムへの適用の際に耐屈曲性に劣る問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、シクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間の密着性を向上させることができる易接着層形成用組成物を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記易接着層形成用組成物を用いて形成されることで耐屈曲性が向上したハードコーティングフィルムを提供することである。
【0009】
本発明のまた他の目的は、前記ハードコーティングフィルムが備えられた画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一方で、本発明は、芳香族(メタ)アクリレート、光開始剤、及び溶剤を含む易接着層形成用組成物を提供する。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記芳香族(メタ)アクリレートは、易接着層形成用組成物中の全固形分100重量%に対し、50~99.9重量%の量で含まれてよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る易接着層形成用組成物は、透光性樹脂を更に含んでよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る易接着層形成用組成物は、シクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間に用いられてよい。
【0014】
他の一方で、本発明は、
シクロオレフィン重合体基材、
前記シクロオレフィン重合体基材の少なくとも一方の面に形成された易接着層、及び
前記易接着層上に形成されたハードコーティング層を含むハードコーティングフィルムであって、
前記易接着層が、前記易接着層形成用組成物を用いて形成されたものであるハードコーティングフィルムを提供する。
【0015】
本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、全光線透過率が90%以上であり、ハードコーティング層面が内側になるようにして曲率半径1mmで20万回繰り返しハードコーティングフィルムを折り曲げた後もハードコーティングフィルムの破断やハードコーティング層の剥離が発生しないものであってよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記ハードコーティング層は、透光性樹脂、光開始剤、及び溶剤を含むハードコーティング組成物を用いて形成されたものであってよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記透光性樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリロイル基を有するモノマーからなる群より選択される一つ以上を含んでよい。
【0018】
また他の一方で、本発明は、前記ハードコーティングフィルムが備えられた画像表示装置を提供する。
【0019】
また他の一方で、本発明は、前記ハードコーティングフィルムが備えられたフレキシブル(flexible)表示装置のウィンドウを提供する。
【0020】
また他の一方で、本発明は、前記ハードコーティングフィルムが備えられた偏光板を提供する。
【0021】
また他の一方で、本発明は、前記ハードコーティングフィルムが備えられたタッチセンサを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る易接着層形成用組成物は、芳香族(メタ)アクリレートを含むことでシクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間の密着性を向上させることができ、これに伴いハードコーティングフィルムの耐屈曲性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0024】
本発明の一実施形態は、芳香族(メタ)アクリレート、光開始剤、及び溶剤を含む易接着層形成用組成物に関する。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記芳香族(メタ)アクリレートは、シクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間の密着性を与える成分であって、分子内に芳香族環(ring)と(メタ)アクリレート官能基を含む化合物である。
【0026】
前記芳香族(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレート官能基の数は特に限定されないが、三官能以上が好ましい。単官能乃至二官能芳香族(メタ)アクリレートの場合には、単独で用いるよりは三官能以上の芳香族(メタ)アクリレートと混合して用いることが好ましい。
【0027】
具体的に、単官能芳香族(メタ)アクリレートとしては、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート、フェニルエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、二官能芳香族アクリレートとしては、ビスフェノールAエチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、Miramer MU3603などが挙げられ、三官能芳香族(メタ)アクリレートとしては、Miramer PU370などが挙げられ、六官能芳香族(メタ)アクリレートとしては、Miramer PU640などが挙げられる。
【0028】
前記芳香族(メタ)アクリレートは、易接着層形成用組成物中の全固形分100重量%に対し、50~99.9重量%の量で含まれてよい。前記芳香族(メタ)アクリレートの含量が50重量%未満であると、シクロオレフィン重合体基材との十分な結合を形成することができず密着不良が発生することがある。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記光開始剤は、光照射によってラジカルを形成することができるもので当該技術分野において用いられるものであれば特に制限されることなく用いてよい。例えば、ヒドロキシケトン類、アミノケトン類、水素引抜型光開始剤などを用いてよい。
【0030】
具体的に、前記光開始剤としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]2-モルホリンプロパノン-1、ジフェニルケトン、ベンジルジメチルケタル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニル-アセトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、4,4-ジメトキシアセトフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイドなどがある。前記例示された光開示剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いてよい。
【0031】
前記光開始剤の含量は特に限定されず、例えば、易接着層形成用組成物中の固形分100重量%に対し、0.1~10重量%、好ましくは、1~5重量%の量で含まれてよい。前記光開始剤の含量が0.1重量%未満であると、組成物の硬化速度が遅く未硬化が発生してコーティング層の機械的物性に劣り、また10重量%を超えると、過硬化によって塗膜にクラックが発生することがある。
【0032】
前記溶剤は、当該技術分野において用いられるものであれば特に制限されることなく用いてよい。具体的に、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、ケトン系(メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなど)、アセテート系(エチルアセテート、プロピルアセテート、n-ブチルアセテート、tert-ブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなど)、ヘキサン系(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エーテル系(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)が用いられてよい。前記例示された溶剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
【0033】
前記溶剤は、易接着層形成用組成物の全体100重量%に対し、10~95重量%の量で含まれてよい。前記溶剤の含量が10重量%未満であると、粘度が高くて作業性に劣るだけでなく基材フィルムのスウェリングを十分に進行させることができず、また95重量%を超えると、乾燥過程で多くの時間が掛かり経済性に劣るという短所がある。
【0034】
本発明の一実施形態に係る易接着層形成用組成物は、透光性樹脂を更に含んでよい。
【0035】
前記透光性樹脂は光硬化型樹脂であり、前記光硬化型樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び/またはモノマーを含んでよい。
【0036】
前記光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、通常、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを用い、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する化合物を触媒の存在下で反応させて製造してよい。前記分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン開環ヒドロキシアクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどがある。また、前記イソシアネート基を有する化合物の具体的な例としては、1,4-ジイソシアナートブタン、1,6-ジイソシアナートヘキサン、1,8-ジイソシアナートオクタン、1,12-ジイソシアナートドデカン、1,5-ジイソシアナート-2-メチルペンタン、トリメチル-1,6-ジイソシアナートヘキサン、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、トランス-1,4-シクロヘキセンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、キシレン-1,4-ジイソシアネート、テトラメチルキシレン-1,3-ジイソシアネート、1-クロロメチル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4’-オキシビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される三官能イソシアネート、トリメタンプロパノールアダクトトルエンジイソシアネートなどがある。
【0037】
前記モノマーは、通常用いられるものであれば特に制限されることなく用いてよく、光硬化型官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などの不飽和基を分子内に有するモノマーが好ましく、その中でも(メタ)アクリロイル基を有するモノマーが好ましい。
【0038】
前記(メタ)アクリロイル基を有するモノマーは、具体的な例として、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルネオール(メタ)アクリレートからなる群より選択された1種以上であってよい。
【0039】
前記例示した透光性樹脂である光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及びモノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
【0040】
例えば、前記透光性樹脂は、前述した光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び/またはモノマーのうち脂肪族(aliphatic)(メタ)アクリレートに該当する化合物であってよい。
【0041】
前記透光性樹脂は特に制限されないが、前記易接着層形成用組成物中の全固形分100重量%に対し、49.9重量%以下の量で含まれてよい。前記透光性樹脂が49.9重量%を超える量で含まれると、相対的に芳香族(メタ)アクリレートの含量が不足してシクロオレフィン重合体基材との十分な結合を形成することができず、密着不良が発生することがある。
【0042】
本発明の一実施形態に係る易接着層形成用組成物は、コーティングの際に塗膜の平滑性やコーティング性を与えるためにレベリング剤を更に含んでよい。
【0043】
前記レベリング剤は、市販中のシリコーン系のレベリング剤、フッ素系のレベリング剤、アクリル高分子系のレベリング剤などを用いてよく、例えば、BYKケミー社製のBYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-313、BYK-323、BYK-331、BYK-333、BYK-337、BYK-371、BYK-373、BYK-375、BYK-377、BYK-378、BYK-3440、BYK-3570、BYK-UV3500、BYK-UV3530、BYK-UV3570、デグサ社製のTEGO Glide 410、TEGO Glide 411、TEGO Glide 415、TEGO Glide 420、TEGO Glide 432、TEGO Glide 435、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Glide 455、TEGO Rad 2100、TEGO Rad 2200N、TEGO Rad 2250、TEGO Rad 2300、TEGO Rad 2500、3M社製のFC-4430、FC-4432などを用いてよい。前記レベリング剤は、前記易接着層形成用組成物の全体100重量%に対し、0.1~3重量%の範囲で含まれてよい。
【0044】
本発明の一実施形態に係る易接着層形成用組成物は、シクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間に用いられてよい。本発明の一実施形態に係る易接着層形成用組成物は、芳香族(メタ)アクリレートを含むことでシクロオレフィン重合体基材表面のCH基と芳香族基との間の結合力によって基材との密着性を確保することができ、且つハードコーティング層の形成の際に未反応アクリレート基がUV硬化反応に加わってハードコーティング層との密着力を確保することができる。これに伴い、本発明の一実施形態に係る易接着層形成用組成物をシクロオレフィン重合体基材とハードコーティング層との間に適用して耐屈曲性に優れるハードコーティングフィルムを提供することができる。
【0045】
したがって、本発明の一実施形態は、前述した易接着層形成用組成物を用いて形成されるハードコーティングフィルムに関する。
【0046】
本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、
シクロオレフィン重合体基材、
前記シクロオレフィン重合体基材の少なくとも一方の面に形成された易接着層、及び
前記易接着層上に形成されたハードコーティング層を含むハードコーティングフィルムであって、
前記易接着層が前述した易接着層形成用組成物を用いて形成されたものである。
【0047】
本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、優れた透過率特性と耐屈曲性を有する。具体的に、本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、全光線透過率が90%以上であり、ハードコーティング層面が内側になるようにして曲率半径1mmで20万回繰り返しハードコーティングフィルムを折り曲げた後もハードコーティングフィルムの破断やハードコーティング層剥離が発生しないものであってよい。
【0048】
前記全光線透過率(Tt、%)は、ハードコーティングフィルムに対する入射光強度(T0)とハードコーティングフィルムを透過した全透過光強度(T1)を測定し、下記数学式1によって算出される。
[数学式1]
全光線透過率(Tt、%)=(T1/T0)×100
前記全光線透過率は、例えば、後述する実験例に記載された方法に従いヘイズメーター(村上色彩研究所社製)を用いて測定されてよい。
【0049】
本発明の一実施形態において、前記シクロオレフィン重合体基材は、ハードコーティングフィルムのベース基材としての役割をし、シクロオレフィン重合体(Cyclo Olefin Polymer、COP)を含んで透明性に優れる。
【0050】
前記COPは、モノマーとして環状オレフィンの重合によって製造された樹脂を称する一般用語であり、その具体的な例は、環状オレフィンの開環(コ)ポリマー;環状オレフィンの付加ポリマー;環状オレフィンとエチレン又はプロピレンなどのα-オレフィンのコポリマー(通常、ランダムコポリマー);不飽和カルボン酸又はその誘導体でそれぞれ変性されたグラフト変性物;及びその水素化物を含む。環状オレフィンの具体的な例は、ノルボルネン系モノマーを含む。
【0051】
具体的に、前記COPは、下記化学式1~3で表されるモノマーのうちの1種以上を開環メタセシス重合反応(ring-opening metathesis polymerization)させ選択的に水素化して得られる重合体であってよい。
【0052】
【0053】
前記化学式1~3で表されるモノマーのうちの1種以上の開環メタセシス重合反応からCOPを製造する工程は、通常の方法に従い容易に行われ得る。
【0054】
例えば、重合触媒としてパラジウム(II)アセチルアセトネート[Pd(acac)2]とトリシクロヘキシルホスフィンを用い、助触媒としてジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[dimethylanilinium tetrakiss(pentafluorophenyl)borate]を用いて重合工程を行ってよい。
【0055】
本発明の一実施形態において、前記COPは、本発明の目的を損なうことなくノルボルネン系モノマー以外の他の開環重合性環状オレフィンを混用して製造されてよい。このような環状オレフィンの具体的な例は、一つの反応性二重結合を有する化合物、例えば、シクロペンテン、シクロオクテン、及び5,6-ジヒドロジシクロペンタジエンなどを含む。
【0056】
前記COPは、開環メタセシス重合反応の後に更に水素化されてよい。前記水素化は、当該技術分野において公知の方法に従い水素化触媒の存在下で水素気体と反応させて行われてよい。水素化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上である。前記範囲内の水素化率は、優れた耐熱劣化性(heat degradation resistance)、耐光劣化性(light degradation resistance)などを奏することができる。
【0057】
前記COPに関して、各種の生成物が市販されている。前記COPの具体的な例は、日本ゼオン社(ZEON CORPORATION)製の商品名「ZF-16」、「ZEONEX」及び「ZEONOR」、JSR Corporation製の商品名「Arton」、TICONA Corporation製の商品名「TOPAS」、及びMitsui Chemicals、Inc.製の商品名「APEL」を含む。
【0058】
前記COPから基材フィルムを形成する方法として任意の適切な成形法を採用してよい。その具体的な例は、圧縮成形法、転写成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、パウダー成形法、FRP成形法、及びキャスティング法を含む。押出成形法及びキャスティング法は、得られるフィルムが改善された平滑性及び良好な光学均一性を有し得るため好ましい。成形条件は、用いられる樹脂の組成物又は種類、光学フィルムに対する所望の特性などに応じて適宜設定されてよい。
【0059】
前記シクロオレフィン重合体基材の厚さは特に制限されないが、10~1000μm、具体的には、20~150μmであってよい。前記透明基材の厚さが10μm未満であると、フィルムの強度が低下して加工性に劣るようになり、また1000μmを超えると、透明性が低下したりハードコーティングフィルムの重量が大きくなる問題が生じる。
【0060】
本発明の一実施形態において、前記シクロオレフィン重合体基材の少なくとも一方の面に前述した易接着層形成用組成物を塗布し硬化させて易接着層を形成させる。
【0061】
本発明の一実施形態に係る易接着層形成用組成物は、ダイコーター、エアナイフ、リバースロール、スプレー、ブレード、キャスティング、グラビア、マイクログラビア、スピンコーティングなどの公知の方式を適宜用いて、基材に塗工(Coating Process)してよい。
【0062】
前記易接着層形成用組成物を基材に塗布した後は、溶剤を蒸発させて乾燥させてから、UV光を照射して硬化させる。前記UV光の照射量は、具体的に約10~500mJ/cm2であってよく、より具体的に50~400mJ/cm2であってよい。
【0063】
このとき、形成される易接着層の厚さは、具体的に0.1~5μm、より具体的に0.3~3μmであってよい。前記易接着層の厚さが前記範囲内に含まれると、優れた密着性と耐屈曲性を得ることができる。
【0064】
本発明の一実施形態において、前記ハードコーティング層は、透光性樹脂、光開始剤、及び溶剤を含むハードコーティング組成物を用いて形成されたものであってよい。
【0065】
前記透光性樹脂は光硬化型樹脂であり、前記光硬化型樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び/またはモノマーを含んでよい。前記透光性樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリロイル基を有するモノマーからなる群より選択される一つ以上を含むことが易接着層との密着性の面から好ましい。
【0066】
前記光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの具体的な種類は、前述した易接着層形成用組成物で用いられたものと同じものを用いてよい。
【0067】
また、前記(メタ)アクリロイル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリレート末端基を有するデンドリマー化合物を用いてよい。
【0068】
前記(メタ)アクリレート末端基を有するデンドリマー化合物は、分枝構造の末端が(メタ)アクリレート基で置換されて紫外線硬化に用いられてよく、その中心は完全に脂肪族であり且つ三級のエステル結合からなる構造的特徴を有する。したがって、前記(メタ)アクリレート末端基を有するデンドリマー化合物は、一般的な多官能性アクリレート単量体に比べて、世代の増加に伴い分子量に対する官能基の数を多く有するようになる構造的特徴を有し、末端に官能基が分布することで硬化時にコア部分が曲げ特性の向上に寄与することができる。これにより、カール(Curl)と柔軟性が向上した高硬度のハードコーティングフィルムを得ることができる。
【0069】
前記(メタ)アクリレート末端基を有するデンドリマー化合物は、商業的に入手したものであるか、当該技術分野において公知の方法に従い製造されたものであってよい。例えば、特定の多価アルコールを中心骨格としてジメチロールプロピオン酸と縮合反応させて第1世代のデンドリマー構造を形成した後、分枝構造として前記ジメチロールプロピオン酸を繰り返し縮合反応させて第2世代以上の構造に成長させた後、末端基にアクリル酸を縮合反応させることで、高分枝化されその末端が多数の(メタ)アクリレート基で置換されているデンドリマー化合物を収得することができる。
【0070】
前記透光性樹脂は特に制限されないが、前記ハードコーティング組成物の全体100重量%に対し、1~80重量%の量で含まれてよい。1重量%未満であると、十分な硬度向上を図り難く、また80重量%を超えると、カールが激しくなるという問題がある。
【0071】
前記光開始剤としては、前述した易接着層形成用組成物で用いられたものと同じものを用いてよい。
【0072】
前記光開始剤は、前記ハードコーティング組成物の全体100重量%に対し、0.1~10重量%、好ましくは、1~5重量%の量で含まれてよい。前記光開始剤の含量が0.1重量%未満であると、組成物の硬化速度が遅く未硬化が発生して機械的物性に劣り、また10重量%を超えると、過硬化によって塗膜にクラックが発生することがある。
【0073】
前記溶剤としては、前述した易接着層形成用組成物で用いられたものと同じものを用いてよい。
【0074】
また、前記溶剤としては、フッ素系溶剤を含んでよい。前記フッ素系溶剤は、後述するフッ素系UV硬化型官能基含有化合物の溶解度を増加させ、これによって製造されるハードコーティングフィルムの湿潤性及びフィルムの塗膜状態を優れたものに保持できるだけでなく、コーティング及び乾燥過程で前記フッ素系UV硬化型官能基をハードコート層の表面に配向させて製造されたハードコート層の表面に高濃度のフッ素成分層を形成する役割をすることができる。
【0075】
前記フッ素系溶剤としては、パーフルオロヘキシルエチルアルコール、パーフルオロエーテル、パーフルオロヘキサンなどを用いてよく、市販品としては、3M社製のHFE-7100、HFE-7300、HFE-7500、FC-3283、FC-40、FC-770、ニッカ社製のC6FOH-BFなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
前記溶剤は、前記ハードコーティング組成物の全体100重量%に対し、5~90重量%、好ましくは、7~85重量%の量で含まれてよい。5重量%未満であると、粘度が高くて作業性に劣り、また90重量%を超えると、コーティング膜厚の調整が難しく乾燥むらが発生して外観不良が生じるという短所がある。
【0077】
本発明の一実施形態において、前記ハードコーティング組成物は、フッ素系UV硬化型官能基含有化合物を更に含んでよい。
【0078】
前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、防汚性及び耐摩耗性を与える成分であって、フッ素を含有し、これと共にUV硬化型官能基を有しているものであれば特に限定されない。
【0079】
前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、パーフルオロアルキル基が含有された(メタ)アクリレート、パーフルオロポリエーテル基が含有された(メタ)アクリレート、パーフルオロ環式脂肪族基が含有された(メタ)アクリレート、及びパーフルオロ芳香族基が含有された(メタ)アクリレートからなる群より選択される1以上を用いてよく、この場合、優れた防汚性能を示すとともにハードコーティング層と化学的結合を形成して繰り返しの使用後でも防汚性能を長期間保持する耐久性に優れるという利点があって好ましい。
【0080】
前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物は、前記ハードコーティング組成物中の全固形分100重量%に対し、0.01~30重量%の量で含まれてよく、好ましくは、0.01~20重量%、より好ましくは、0.01~10重量%の量で含まれてよい。前記フッ素系UV硬化型官能基含有化合物が前記範囲内に含まれると、優れた耐摩耗性及び防汚性効果の付与が可能になるため好ましい。前記UV硬化型官能基含有化合物の含量が前記範囲未満であると、所望の耐摩耗性又は防汚性を図り難くなることがあり、また前記範囲を超えると、フィルムの硬度又は耐スクラッチ特性がやや低下することがある。
【0081】
前記ハードコーティング組成物は、前記した成分の他、当該技術分野において一般に用いられる成分、例えば、レベリング剤、紫外線安定剤、熱安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などが更に含まれてよい。
【0082】
本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、シクロオレフィン重合体基材の少なくとも一方の面に形成された易接着層上に前記ハードコーティング組成物を塗布し硬化させてハードコーティング層を形成させることで製造することができる。
【0083】
前記ハードコーティング組成物は、ダイコーター、エアナイフ、リバースロール、スプレー、ブレード、キャスティング、グラビア、マイクログラビア、スピンコーティングなどの公知の方式を適宜用いて、易接着層に塗工(Coating Process)してよい。
【0084】
前記ハードコーティング組成物を易接着層に塗布した後は、30~150℃の温度で10秒~1時間、より具体的には、30秒~30分間揮発物を蒸発させて乾燥させてから、UV光を照射して硬化させる。前記UV光の照射量は、具体的に約0.01~10J/cm2であってよく、より具体的に0.1~2J/cm2であってよい。
【0085】
このとき、形成されるハードコーティング層の厚さは、具体的に2~30μm、より具体的に3~20μmであってよい。前記ハードコーティング層の厚さが前記範囲内に含まれると、優れた硬度及び耐屈曲性を得ることができる。
【0086】
本発明の一実施形態は、前述したハードコーティングフィルムが備えられた画像表示装置に関する。一例として、本発明のハードコーティングフィルムは、画像表示装置、特にフレキシブル表示装置または折り畳み式表示装置のウィンドウとして用いられてよい。また、本発明のハードコーティングフィルムは、偏光板、タッチセンサなどに貼り合わせて用いてもよい。
【0087】
本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型などの各種の駆動方式のLCDに用いられてよい。また、本発明の一実施形態に係るハードコーティングフィルムは、プラズマディスプレイ、電界放出ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの各種の画像表示装置にも用いられてよい。
【0088】
以下、実施例、比較例、及び実験例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例、比較例、及び実験例は単に本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらに限定されないことは当業者にとって自明である。
【0089】
製造例1:易接着層形成用組成物の製造
19.2重量部の六官能芳香族アクリレート(ミウォン社製、Miramer PU640)、80重量部のメチルエチルケトン、0.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び0.3重量部のレベリング剤(BYK社製、BYK UV-3530)を撹拌機にて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、易接着層形成用組成物を製造した。
【0090】
製造例2:易接着層形成用組成物の製造
14.2重量部の六官能芳香族アクリレート(ミウォン社製、Miramer PU640)、5重量部の六官能脂肪族アクリレート(ミウォン社製、Miramer PU620)、80重量部のメチルエチルケトン、0.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び0.3重量部のレベリング剤(BYK社製、BYK UV-3530)を撹拌機にて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して易接着層形成用組成物を製造した。
【0091】
製造例3:易接着層形成用組成物の製造
5重量部の六官能芳香族アクリレート(ミウォン社製、Miramer PU640)、14.2重量部の六官能脂肪族アクリレート(ミウォン社製、Miramer PU620)、80重量部のメチルエチルケトン、0.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び0.3重量部のレベリング剤(BYK社製、BYK UV-3530)を撹拌機にて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、易接着層形成用組成物を製造した。
【0092】
製造例4:易接着層形成用組成物の製造
19.2重量部の六官能脂肪族アクリレート(ミウォン社製、Miramer PU620)、80重量部のメチルエチルケトン、0.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び0.3重量部のレベリング剤(BYK社製、BYK UV-3530)を撹拌機にて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、易接着層形成用組成物を製造した。
【0093】
製造例5:ハードコーティング組成物の製造
23重量部の六官能ウレタンアクリレート(Shin-Nakamura Chemical社製、U-6LPA)、23重量部の十四官能アクリレート(大阪有機化学工業社製、VISCOAT #1000)、5重量部のフッ素系溶剤(ニッカ社製、C6FOH-BF)、45重量部のメチルエチルケトン、3.5重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び0.5重量部のフッ素系UV硬化型官能基含有化合物(信越化学工業社製、KY-1203)を撹拌機にて配合し、PP材質のフィルタを用いてろ過して、ハードコーティング組成物を製造した。
【0094】
実施例1:易接着フィルムの製造
シクロオレフィンフィルム(日本ゼオン社製のCOP、ZF-16、40μm)をコロナ処理して表面の水接触角が65度の水準に調整されたフィルム上に前記製造例1の易接着層形成用組成物を硬化後の厚さが0.5μmになるようにコーティングをし、溶剤を乾燥した後、窒素雰囲気下でUV積算光量300mJ/cm2を照射して易接着フィルムを製造した。
【0095】
実施例2:易接着フィルムの製造
前記製造例1の易接着層形成用組成物の代りに製造例2の易接着層形成用組成物を用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法にて易接着フィルムを製造した。
【0096】
実施例3:ハードコーティングフィルムの製造
前記製造例5のハードコーティング組成物を前記実施例1で製造した易接着フィルムの易接着層上に硬化後の厚さが5μmになるようにコーティングをし、溶剤を乾燥した後、窒素雰囲気下でUV積算光量600mJ/cm2を照射してハードコーティングフィルムを製造した。
【0097】
実施例4:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1で製造した易接着フィルムの代りに実施例2で製造した易接着フィルムを用いたことを除いては、前記実施例3と同様な方法にてハードコーティングフィルムを製造した。
【0098】
比較例1:易接着フィルムの製造
前記製造例1の易接着層形成用組成物の代りに製造例3の易接着層形成用組成物を用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法にて易接着フィルムを製造した。
【0099】
比較例2:易接着フィルムの製造
前記製造例1の易接着層形成用組成物の代りに製造例4の易接着層形成用組成物を用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法にて易接着フィルムを製造した。
【0100】
比較例3:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1で製造した易接着フィルムの代りに比較例1で製造した易接着フィルムを用いたことを除いては、前記実施例3と同様な方法にてハードコーティングフィルムを製造した。
【0101】
比較例4:ハードコーティングフィルムの製造
前記実施例1で製造した易接着フィルムの代りに比較例2で製造した易接着フィルムを用いたことを除いては、前記実施例3と同様な方法にてハードコーティングフィルムを製造した。
【0102】
実験例1:
前記実施例及び比較例で製造されたフィルムの物性を後述する方法にて測定し、その結果を下記表1に表した。
【0103】
(1)密着性
コーティング面が表側になるように基材フィルムを透明粘着剤を用いてガラスに貼り合わせた後、コーティング面をカッターにて1mm間隔に横縦100個の碁盤目状にカットをいれてからニチバンテープを貼って3回の密着性テストを実施した。
【0104】
評価結果は「密着性テスト後OKのマスの数/100」で表記した。
【0105】
(2)全光線透過率(Tt)及びヘイズ
村上色彩研究所社製のヘイズメーターHM-150を用いてコーティングフィルムの全光線透過率(%)とヘイズ(%)を測定した。
【0106】
(3)水接触角
KRUSS社製の接触角測定器DSA100を用いて水の接触角を測定した。常温で液滴量は3μlにした。
【0107】
(4)耐摩耗性
DAESUNG PRECISION社製の耐摩耗測定装備にて測定をした。コーティング表面を耐摩耗テスト用消しゴムと錘500gを用いて3000回擦ってから接触角を測定した。このとき、評価基準として水の接触角が100°以上である場合を耐摩耗性合格基準と選定した。
【0108】
<評価基準>
○:接触角が100°以上
×:接触角が100°未満
(5)耐薬品性
DAESUNG PRECISION社製の耐摩耗測定装備にて測定をした。コーティング表面に99.9%エタノールを滴下した後、エタノールが落とされた部位を耐摩耗テスト用消しゴムと錘500gを用いて3000回擦ってから接触角を測定した。評価中にエタノールが揮発しないように持続的にエタノールを滴下しながら評価を行った。評価完了後にエタノールを除去し水接触角を測定した。このとき、評価基準として水の接触角が95°以上である場合を耐薬品性合格基準と選定した。
【0109】
<評価基準>
○:接触角が95°以上
×:接触角が95°未満
(6)耐スクラッチ性
コーティング面が表側になるように基材フィルムを透明粘着剤を用いてガラスに貼り合わせた後、スチールウール(#0000)を用いて500g/cm2の荷重で、10回往復摩擦させてから、測定部に対し3波長ランプの光を透過及び反射してスクラッチを観察した。下記評価基準に従い耐スクラッチ性を評価した。
【0110】
<評価基準>
○:スクラッチが視認されないか10個以下のスクラッチが視認される
×:10個超のスクラッチが視認される
(7)耐屈曲性
ハードコーティング層面が内側になるようにして曲率半径1mmで20万回繰り返しフィルムを折り曲げるテストを実施して、フィルムの破断の有無及びハードコーティング層の剥離の有無を観察した。下記評価基準に従い耐屈曲性を評価した。
【0111】
<評価基準>
○:フィルムの破断及びハードコーティング層の剥離発生なし
×:フィルムの破断またはハードコーティング層の剥離発生
【0112】
【0113】
前記表1に見られるように、本発明に係る芳香族(メタ)アクリレートを含む製造例1~2の易接着層形成用組成物を用いて製造される実施例1~2の易接着フィルムは、コーティング面の密着性に優れ、且つ全光線透過率(Tt)及びヘイズも良好であることが分かる。また、実施例1~2の易接着フィルム上にハードコーティング層を形成させた実施例3~4のハードコーティングフィルムは、密着性だけでなく水接触角、耐摩耗性、耐薬品性、耐スクラッチ性、及び耐屈曲性に優れることを確認することができた。
【0114】
これに対し、芳香族(メタ)アクリレートを含まない製造例3~4の易接着層形成用組成物を用いて製造される比較例1~2の易接着フィルムは、コーティング面の密着性が不良であることが分かる。さらに、比較例1~2の易接着フィルム上にハードコーティング層を形成させた比較例3~4のハードコーティングフィルムは、コーティング面の密着性だけでなく耐屈曲性にも劣ることを確認することができた。
【0115】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用および変形を行うことが可能であろう。
【0116】
したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義されると言えよう。
【国際調査報告】