IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニバーシティー オブ メイン システム ボード オブ トラスティーズの特許一覧

特表2023-528575浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法
<>
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図1
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図2
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図3
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図4A
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図4B
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図4C
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図4D
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図4E
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図4F
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図5
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図6
  • 特表-浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】浮体式洋上風力タービンプラットフォームを組み立てて配備する方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 75/00 20200101AFI20230628BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20230628BHJP
   F03D 13/40 20160101ALI20230628BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20230628BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20230628BHJP
   B63B 77/10 20200101ALI20230628BHJP
【FI】
B63B75/00
F03D13/25
F03D13/40
B63B35/00 T
B63B35/44 Z
B63B77/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562690
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020028432
(87)【国際公開番号】W WO2021211121
(87)【国際公開日】2021-10-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511226580
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ メイン システム ボード オブ トラスティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ビセリ,アンソニー・エム
(72)【発明者】
【氏名】ダガー,ハビブ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワード,ジェイコブ・シー
(72)【発明者】
【氏名】グーピー,アンドリュー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アレン,クリストファー・ケイ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
浮体式洋上風力タービン(FOWT)プラットフォームを組み立てて配備する方法であって、この方法が、浮遊組立体内で浮力フローターおよび中空外側タンクを浮遊させることと、質量体を画定するために永久バラスト材料を外側タンク内に配置して、質量体を水体の海底まで沈下させる、ことと、を含む。浮力フローターが質量体の上の位置まで移動させられる。トランジットラインが浮力フローター内のリフトデバイスと質量体との間に取り付けられ、FOWTプラットフォームを画定する。質量体が、浮力フローターのすぐ下のポイントまで持ち上げられ、FOWTプラットフォームが装着場所まで牽引される。係留ラインが海底のアンカーと浮力フローターとの間に取り付けられ、質量体が、質量体に取り付けられたサスペンションラインを緊張状態にする深さまで降下させられ、質量体が、サスペンションラインと共に、垂設された質量体を画定する。次いで、トランジットラインが格納されるかまたは質量体から取り外される。
【選択図】図4E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式洋上風力タービン(FOWT)プラットフォームを組み立てて配備する方法であって、
水体の浮遊組立体エリア内で中空外側タンクを浮遊させるステップであって、前記中空外側タンクが前記中空外側タンクに取り付けられたトランジットラインおよびサスペンションラインを有する、中空外側タンクを浮遊させるステップと、
前記水体の前記浮遊組立体エリア内で浮力フローターを浮遊させるステップと、
質量体を画定するために永久バラスト材料を前記外側タンク内に配置して、前記質量体を前記水体の海底まで沈下させる、ステップと、
ブイを用いて、前記トランジットラインおよび前記サスペンションラインの自由端を、前記水体の表面まで上昇させるステップと、
前記浮力フローターを前記質量体の上の位置まで移動させるステップと、
前記トランジットラインを前記浮力フローター内のリフトデバイスに取り付けて、前記サスペンションラインを前記浮力フローターの一部分に取り付ける、ステップであって、前記組み合わせの浮力フローターおよび前記質量体がFOWTプラットフォームを画定する、前記トランジットラインを取り付けて前記サスペンションラインを取り付けるステップと、
前記リフトデバイスを用いて、前記質量体を前記浮力フローターのすぐ下のポイントまで持ち上げるステップと、
前記FOWTプラットフォームを前記水体内の装着場所まで牽引するステップと、
係留ラインを前記海底のアンカーにおよび前記浮力フローターに取り付けるステップと、
前記トランジットラインおよび前記リフトデバイスを用いて、前記質量体を、前記サスペンションラインを緊張状態にする深さまで降下させるステップであって、それにより、前記サスペンションラインを用いて前記質量体を垂設して、垂設された質量体を画定する、前記質量体を降下させるステップと、
前記トランジットラインを格納することおよび前記トランジットラインを前記質量体から取り外すことの一方を行うステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記中空外側タンクおよび前記浮力フローターが、ドックおよび海岸線の一方から前記水体の中に進水される、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項3】
前記永久バラスト材料が鉄鉱である、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項4】
前記中空外側タンクが永久バラスト空間および可変バラスト空間を画定し、前記質量体が沈下するとき、前記可変バラストに海水が充填される、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項5】
前記リフトデバイスを用いて前記質量体を前記浮力フローターのすぐ下のポイントまで持ち上げるステップが、標識ブイを前記トランジットラインおよび前記サスペンションラインの各々の自由端に取り付けるステップを含む、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項6】
前記リフトデバイスを用いて前記質量体を前記浮力フローターのすぐ下のポイントまで持ち上げるステップの前に、タワーおよび風力タービンを前記浮力フローターの上に装着するステップをさらに含む、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項7】
前記質量体が持ち上げられて前記浮力フローターのすぐ下に位置決めされたとき、前記FOWTプラットフォームが浅喫水構成となる、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項8】
前記浅喫水構成において、前記サスペンションラインが緩んでいる、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項9】
前記浅喫水構成において、前記FOWTプラットフォームが、その垂直方向の浮力中心の上方にある垂直方向の重心を有することにより剛体として振る舞う、請求項8に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項10】
前記質量体の前記外側タンクの第1の端壁が、前記サスペンションラインのうちの少なくとも1つを取り付けるための索導具を有する、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項11】
前記質量体の前記外側タンクの第1の端壁が、前記サスペンションラインのうちの少なくとも1つを取り付けるように各々構成された複数の索導具を有する、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項12】
前記浮力フローターが、
中央ハブと、
前記中央ハブから径方向外側に延在して十字形のベースを画定する3つ以上の浮力ポンツーンと、
前記中央ハブに設置されて前記ポンツーンに対して垂直に外側に延在する中央カラムと、
前記ポンツーンの遠位端を前記中央カラムの上側部分に接続するブレースと、
を有する、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項13】
前記中央カラム上で風力タービンを支持するタワーをさらに有する、請求項11に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項14】
前記外側タンク、前記中央ハブ、前記浮力ポンツーン、および前記中央カラム、の少なくとも1つが、複数のセクションとして形成される、請求項12に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項15】
陸上のロケーションにおいて、複数の前記ポンツーン、前記中央ハブ、前記質量体、および前記ブレースを形成して組み立てるステップと、
第1および第2のポンツーンを前記中央ハブに組み付けるステップと、
浮力フローターサブアセンブリを画定するために、前記第1のポンツーンの遠位端から、前記第2のポンツーンの遠位端まで、前記組み付けられた第1および第2のポンツーンならびに前記中央ハブにポストテンションを加えるステップと、
第3および第4のポンツーンを前記浮力フローターサブアセンブリの前記ハブに組み付けるステップと、
前記第3のポンツーンの遠位端から、前記第4のポンツーンの遠位端まで、前記組み付けられた第3および第4のポンツーンならびに前記浮力フローターサブアセンブリにポストテンションを加えるステップと、
をさらに含む、請求項12に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項16】
前記中央カラムの複数のセクションを形成するステップと、
前記中央カラムの前記複数のセクションを前記中央ハブの第1の軸方向端壁の上に組み付けるステップと、
前記ハブに対しての前記中央カラムに長手方向のポストテンションを加えるステップと、
前記ブレースを前記ポンツーンと前記中央カラムとの間に取り付けるステップと、
前記タワーおよび前記風力タービンを装着するステップであって、それにより、前記浮力フローターを画定する、装着するステップと、
前記浮力フローターを前記水体の中に進水させるステップと、
をさらに含む、請求項15に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項17】
乾ドック内で第1および第2のポンツーンを形成して組み立てるステップと、
前記乾ドック内で前記中央ハブを組み立てるステップと、
前記第1および第2のポンツーンを前記中央ハブに組み付けるステップと、
浮力フローターサブアセンブリを画定するために、前記第1のポンツーンの遠位端から、前記第2のポンツーンの遠位端まで、前記組み付けられた第1および第2のポンツーンならびに前記中央ハブにポストテンションを加えるステップと、
前記浮力フローターサブアセンブリを浮遊組立体エリアの中に進水させるステップと、
前記乾ドック内で第3および第4のポンツーンを形成して組み立てるステップと、
前記第3および第4のポンツーンの各々に一時的にポストテンションを加えるステップと、
前記第3および第4のポンツーンを前記浮遊組立体エリアの中に進水させるステップと、
第3および第4のポンツーンを前記浮力フローターサブアセンブリの前記ハブに組み付けるステップと、
前記浮力フローターを画定するために、前記第3のポンツーンの遠位端から、前記第4のポンツーンの遠位端まで、前記組み付けられた第3および第4のポンツーンならびに前記浮力フローターサブアセンブリにポストテンションを加えるステップと、
をさらに含む、請求項12に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項18】
前記組み付けられた第1および第2のポンツーンならびに前記中央ハブにポストテンションを加えるステップ中と、前記組み付けられた第3および第4のポンツーンならびに前記浮力フローターサブアセンブリにポストテンションを加えるステップ中とのステップが、前記浮力フローターサブアセンブリならびに前記第3および第4のポンツーンが前記水体中で浮遊するときの、前記第1、第2、第3、および第4のポンツーンならびに前記中央ハブの水線の上方にある部分内で行われる、請求項12に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項19】
前記垂設された質量体が、前記FOWTプラットフォームの全体のモーションを低減するために、前記質量体と、前記質量体上での前記サスペンションラインの取付ポイントの幾何学的ロケーションとに基づいて選択される固有のモーション周期を有する、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項20】
前記リフトデバイスが、ウインチおよびチェーンジャッキのうちの1つである、請求項1に記載のFOWTプラットフォームを組み立てて配備する方法。
【請求項21】
浮体式洋上風力タービン(FOWT)プラットフォームを組み立てて配備する方法であって、
水体の浮遊組立体エリア内で中空外側タンクを浮遊させるステップであって、前記中空外側タンクが前記中空外側タンクに取り付けられたトランジットラインおよびサスペンションラインを有する、中空外側タンクを浮遊させるステップと、
浮力フローターを組み立てるステップと、
前記水体の前記浮遊組立体エリア内で浮力フローターを浮遊させるステップと、
質量体を画定するために永久バラスト材料を前記外側タンク内に配置して、前記質量体を前記水体の海底まで沈下させる、ステップと、
ブイを用いて、前記トランジットラインおよび前記サスペンションラインの自由端を、前記水体の表面まで上昇させるステップと、
前記浮力フローターを前記質量体の上の位置まで移動させるステップと、
前記トランジットラインを前記浮力フローター内のリフトデバイスに取り付けて、前記サスペンションラインを前記浮力フローターの一部分に取り付ける、ステップであって、前記組み合わせの浮力フローターおよび前記質量体がFOWTプラットフォームを画定する、前記トランジットラインを取り付けて前記サスペンションラインを取り付けるステップと、
前記リフトデバイスを用いて、前記質量体を前記浮力フローターのすぐ下のポイントまで持ち上げるステップと、
前記FOWTプラットフォームを前記水体内の装着場所まで牽引するステップと、
係留ラインを前記海底のアンカーにおよび前記浮力フローターに取り付けるステップと、
前記トランジットラインおよび前記リフトデバイスを用いて、前記質量体を、前記サスペンションラインを緊張状態にする深さまで降下させるステップであって、それにより、前記サスペンションラインを用いて前記質量体を垂設して、垂設された質量体を画定する、前記質量体を降下させるステップと、
前記トランジットラインを格納することおよび前記トランジットラインを前記質量体から取り外すことの一方を行うステップと、
を含み、
前記浮力フローターが、
中央ハブと、
前記中央ハブから径方向外側に延在して十字形のベースを画定する3つ以上の浮力ポンツーンと、
前記中央ハブに設置されて前記ポンツーンに対して垂直に外側に延在する中央カラムと、
前記ポンツーンの遠位端を前記中央カラムの上側部分に接続するブレースと、
前記中央カラム上で風力タービンを支持するタワーと、
を有し、
前記方法が、
陸上のロケーションにおいて、複数の前記ポンツーン、前記中央ハブ、前記質量体、および前記ブレースを形成して組み立てるステップと、
第1および第2のポンツーンを前記中央ハブに組み付けるステップと、
浮力フローターサブアセンブリを画定するために、前記第1のポンツーンの遠位端から、前記第2のポンツーンの遠位端まで、前記組み付けられた第1および第2のポンツーンならびに前記中央ハブにポストテンションを加えるステップと、
第3および第4のポンツーンを前記浮力フローターサブアセンブリの前記ハブに組み付けるステップと、
前記第3のポンツーンの遠位端から、前記第4のポンツーンの遠位端まで、前記組み付けられた第3および第4のポンツーンならびに前記浮力フローターサブアセンブリにポストテンションを加えるステップと、
前記中央カラムの複数のセクションを形成するステップと、
前記中央カラムの前記複数のセクションを前記中央ハブの第1の軸方向端壁の上に組み付けるステップと、
前記ハブに対しての前記中央カラムに長手方向のポストテンションを加えるステップと、
前記ブレースを前記ポンツーンと前記中央カラムとの間に取り付けるステップと、
前記タワーおよび前記風力タービンを装着するステップであって、それにより、前記浮力フローターを画定する、装着するステップと、
前記浮力フローターを前記水体の中に進水させるステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項22】
浮体式洋上風力タービン(FOWT)プラットフォームを組み立てて配備する方法であって、
水体の浮遊組立体エリア内で中空外側タンクを浮遊させるステップであって、前記中空外側タンクが前記中空外側タンクに取り付けられたトランジットラインおよびサスペンションラインを有する、中空外側タンクを浮遊させるステップと、
前記水体の前記浮遊組立体エリア内で浮力フローターを浮遊させるステップと、
質量体を画定するために永久バラスト材料を前記外側タンク内に配置して、前記質量体を前記水体の海底まで沈下させる、ステップと、
ブイを用いて、前記トランジットラインおよび前記サスペンションラインの自由端を、前記水体の表面まで上昇させるステップと、
前記浮力フローターを前記質量体の上の位置まで移動させるステップと、
前記トランジットラインを前記浮力フローター内のリフトデバイスに取り付けて、前記サスペンションラインを前記浮力フローターの一部分に取り付ける、ステップであって、前記組み合わせの浮力フローターおよび前記質量体がFOWTプラットフォームを画定する、前記トランジットラインを取り付けて前記サスペンションラインを取り付けるステップと、
前記リフトデバイスを用いて、前記質量体を前記浮力フローターのすぐ下のポイントまで持ち上げるステップと、
前記FOWTプラットフォームを前記水体内の装着場所まで牽引するステップと、
係留ラインを前記海底のアンカーにおよび前記浮力フローターに取り付けるステップと、
前記トランジットラインおよび前記リフトデバイスを用いて、前記質量体を、前記サスペンションラインを緊張状態にする深さまで降下させるステップであって、それにより、前記サスペンションラインを用いて前記質量体を垂設して、垂設された質量体を画定する、前記質量体を降下させるステップと、
前記トランジットラインを格納することおよび前記トランジットラインを前記質量体から取り外すことの一方を行うステップと、
を含み、
前記浮力フローターが、
中央ハブと、
前記中央ハブから径方向外側に延在して十字形のベースを画定する3つ以上の浮力ポンツーンと、
前記中央ハブに設置されて前記ポンツーンに対して垂直に外側に延在する中央カラムと、
前記ポンツーンの遠位端を前記中央カラムの上側部分に接続するブレースと、
を有し、
前記方法が、
乾ドック内で第1および第2のポンツーンを形成して組み立てるステップと、
前記乾ドック内で前記中央ハブを組み立てるステップと、
前記第1および第2のポンツーンを前記中央ハブに組み付けるステップと、
浮力フローターサブアセンブリを画定するために、前記第1のポンツーンの遠位端から、前記第2のポンツーンの遠位端まで、前記組み付けられた第1および第2のポンツーンならびに前記中央ハブにポストテンションを加えるステップと、
前記浮力フローターサブアセンブリを浮遊組立体エリアの中に進水させるステップと、
前記乾ドック内で第3および第4のポンツーンを形成して組み立てるステップと、
前記第3および第4のポンツーンの各々に一時的にポストテンションを加えるステップと、
前記第3および第4のポンツーンを前記浮遊組立体エリアの中に進水させるステップと、
第3および第4のポンツーンを前記浮力フローターサブアセンブリの前記ハブに組み付けるステップと、
前記浮力フローターを画定するために、前記第3のポンツーンの遠位端から、前記第4のポンツーンの遠位端まで、前記組み付けられた第3および第4のポンツーンならびに前記浮力フローターサブアセンブリにポストテンションを加えるステップと、
をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、概して、風力タービンプラットフォームに関する。詳細には、本発明は、浮体式洋上風力タービン(FOWT:floating offshore wind turbine)プラットフォームを組み立てて水体の中に配備する改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]風力エネルギーを電力に変換するための風力タービンが知られており、代替エネルギー源を電力会社に提供している。陸上では、しばしば数百の風力タービンの数となる、大量のグループの風力タービンが1つの地理的エリア内に一体に配置され得る。これらの大量のグループの風力タービンが望ましくない程度に高いレベルの騒音を発生させ得、見た目でも好ましくないものとみなされる可能性がある。丘陵地、森、および建物などの障害物のために、これらの陸上ベースの風力タービンでは最適な空 気の流れが利用可能とならない可能性がある。
【0003】
[003]風力タービンのグループは洋上にも位置することができるが、これは、風力タービンを海底上の基礎に固定的に取り付けるのを可能にするような水深である、海岸の近くのロケーションである。大洋上では、風力タービンに対しての空気の流れが、多様な障害物(つまり、丘陵地、森、および建物など)の存在により乱される可能性が低く、それにより平均風速が上がり、より多くのパワーが得られる。このような沿岸ロケーションにおいて風力タービンを海底に取り付けるのに必要となる基礎は比較的高価であり、最大約45メートルの深さなどの深さの比較的浅いところでしか実現され得ない。
【0004】
[004]米国の国立再生可能エネルギー研究所が、30メートル以上の深さを有する水上での米国の海岸線から吹く風が約3,200TWh/年のエネルギー容量を有する、と定めている。これは、約3,500TWh/年である米国の総エネルギーの約90パーセントに等しい。洋上風力源の大多数は37キロメートルから93キロメートルの間の洋上に位置し、37キロメートルから93キロメートルの間の洋上では水深が60メートルを超える。このような水中の深いところでの風力タービンのための固定される基礎は、経済的に実現可能となる可能性が低い。このような制約により、風力タービンのための浮体式プラットフォームが開発されてきた。既知の浮体式風力タービンプラットフォームは鋼鉄で形成されており、沖合石油・ガス産業(offshore oil and gas industry)によって開発されたテクノロジに基づいている。しかし、FOWTプラットフォームを組み立てて配備する改善された方法が依然として求められる。
【発明の概要】
【0005】
[005]本発明は、概して、浮体式洋上風力タービン(FOWT)プラットフォームおよびその上に設置される風力タービンを組み立てて配備する方法に関連する。本明細書で説明されるFOWTプラットフォームは、複数のサスペンションラインにより正浮力フローターから垂設された負浮力質量体を特徴とする。具体的には、本発明は、浮体式洋上風力タービン(FOWT)プラットフォームを組み立てて配備する改善された方法に関連し、この方法が、水体の浮遊組立体エリア内で中空外側タンクを浮遊させることであって、中空外側タンクが中空外側タンクに取り付けられたトランジットラインおよびサスペンションラインを有する、中空外側タンクを浮遊させることと、水体の浮遊組立体エリア内で浮力フローターを浮遊させることと、質量体を画定するために永久バラスト材料を外側タンク内に配置して、質量体を水体の海底まで沈下させる、ことと、を含む。トランジットラインおよびサスペンションラインの自由端が、ブイを用いて、水体の表面まで上昇させられ、浮力フローターが質量体の上の位置まで移動させられる。トランジットラインが浮力フローター内のリフトデバイスに取り付けられ、サスペンションラインが浮力フローターの一部分に取り付けられ、組み合わせの浮力フローターおよび質量体がFOWTプラットフォームを画定する。質量体が、リフトデバイスを用いて、浮力フローターのすぐ下のポイントまで持ち上げられ、FOWTプラットフォームが水体内の装着場所まで牽引される。係留ラインが海底のアンカーにおよび浮力フローターに取り付けられる。質量体が、トランジットラインおよびリフトデバイスを用いて、サスペンションラインを緊張状態にする深さまで降下させられ、それにより、サスペンションラインを用いて質量体を垂設し、それにより、垂設された質量体を画定する。次いで、トランジットラインが格納されるかまたは質量体から取り外される。
【0006】
[006]好適な実施形態の以下の詳細な説明を添付図面と照らし合わせて読むことにより、当業者には、本発明の種々の態様が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[007]本発明の改善された方法に従って組み立てられて配備された浮体式洋上風力タービンプラットフォームを示す斜視図である。
図2】[008]垂設された質量体、および、垂設された質量体を浮力フローターに接続するサスペンションラインを示している、図1に示されたFOWTプラットフォームを示す代替の斜視図である。
図3】[009]図1および2に示された垂設された質量体を示す断面図である。
図4A】[010]本発明の改善された方法の第1の実施形態の第1のステップを示す概略図である。
図4B】[011]本発明の改善された方法の第1の実施形態の第2のステップを示す概略図である。
図4C】[012]本発明の改善された方法の第1の実施形態の第3のステップを示す概略図である。
図4D】[013]本発明の改善された方法の第1の実施形態の第4のステップを示す概略図である。
図4E】[014]本発明の改善された方法の第1の実施形態の第5のステップを示す概略図である。
図4F】[015]本発明の改善された方法の第1の実施形態の第6のステップを示す概略図である。
図5】[016]図1から3に示される浮力フローターの一部分を示す上面図である。
図6】[017]図1から3に示される垂設された質量体の代替の実施形態を示す斜視図である。
図7】[018]浮力フローターサブアセンブリを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[019]次に、本発明の特定の実施形態を必要に応じて参照して本発明を説明する。しかし本発明は、異なる形態でも具体化され得、本明細書に記載される実施形態のみに限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示を徹底的で完全なものとするようにおよび本開示により本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように、提供されるものである。
【0009】
[020]図面を参照すると、また具体的には図1および2を参照すると、浮体式洋上風力タービン(FOWT)基礎またはプラットフォームの実施形態が10で示される。示されるFOWTプラットフォーム10が水体BWの底に固着されて示される。FOWTプラットフォーム10は、本発明の改善された方法に従って組み立てられて配備されたFOWTプラットフォームを示す。示される実施形態では、FOWTプラットフォーム10が海底Sに固着されて示される。海底Sが、そこでFOWTプラットフォーム10を稼働させるところである任意の水体の底であってよい、ことを理解されたい。
【0010】
[021]示されるFOWTプラットフォーム10が、浮力フローター12、および、浮力フローター12から垂設された負浮力質量体36を有する。浮力フローター12が、後で詳細に説明されるように、タワー14を支持する。タワー14が風力タービン16を支持する。FOWTプラットフォーム10が、水体中で、部分的に沈められて、浮遊するように構造化および構成される。したがって、後で説明されるように浮力フローター12の一部分が水中を浮遊して運転喫水(operational draft)に配備されるとき、浮力フローター12の一部分が水面の上方にある。図1に最良に示されるように、さらに、浮力フローター12の一部分が、後で説明される中央カラム26上のラインWLによって示される水線の下方にある。本明細書で示される水線WLは、水の表面がFOWTプラットフォーム10と交差するところの概略のラインとして定義される。それらのうちの2つの係留ラインが図1に示される1つまたは複数の係留ライン18が、FOWTプラットフォーム10に取り付けられ得、さらに、海底S中のアンカー20などのアンカーに取り付けられ得、それにより、水体BW上でのFOWTプラットフォーム10の移動を制限する。
【0011】
[022]示される浮力フローター12が、中央ハブ24から径方向外側に延在して浮力を提供する4つのポンツーン22から形成される。浮力フローター12が、FOWTプラットフォーム10のための浮力の主要な供給源を提供するように構成される、ことを理解されたい。一体に組み立てられるとき、ポンツーン22および中央ハブ24が概略十字形のベース25を画定する。中央カラム26が中央ハブ24に設置され、ポンツーン22に対して垂直に外側に延在し(図1および2で見る場合は上方に)、やはり浮力を提供する。加えて、中央カラム26がタワー14を支持し、タワー14が中央カラム26に取り付けられている。任意選択で、ブレース28が、ポンツーン22の遠位端を中央カラム26の上側部分に接続することができる。各ポンツーン22が、係留ライン18のうちの1つの係留ライン18を用いて、アンカー20のうちの1つのアンカー20に取り付けられ得る。
【0012】
[023]示されるポンツーン22が長方形断面形状を有する。別法として、ポンツーン22が、限定しないが、円筒形、円錐形、および、五角形または六角形などの他の所望の幾何学的断面形状を有する管状、などの、他の形状を有してもよい。
【0013】
[024]所望される場合、キャットウォークまたはアクセスプラットフォーム(図示せず)が、中央カラム26の上側部分に取り付けられ得る。加えて、1つまたは複数のアクセスラダー(図示せず)が中央カラム26の内部または外部に設置され得る。
【0014】
[025]本明細書で示される実施形態では、風力タービン16が水平軸風力タービンである。風力タービン16のサイズは、FOWTプラットフォーム10を固着するところのロケーションの風況、および、所望のパワー出力に基づいて、変わることになる。有利には、示されるFOWTプラットフォーム10が、約6MWから約20MWの範囲内の出力を有する従来の商用の洋上風力タービン16を支持するのに理想的に適することが分かっている。別法として、FOWTプラットフォーム10が、約6MW未満のおよび約20MWを超える出力を有してもよい風力タービン16を支持するように構成されてもよい。
【0015】
[026]風力タービン16が回転可能ハブ30を有する。少なくとも1つのロータブレード32がハブ30に連結されてハブ30から外側に延在する。ハブ30が発電機(図示せず)に回転可能に連結される。発電機が、図1に示されるように、変圧器(図示せず)および水中電力ケーブル(図示せず)を介して、送電網(図示せず)に連結され得る。示される実施形態では、ロータが3つのロータブレード32を有する。他の実施形態では、ロータが4つ以上のまたは2つ以下のロータブレード32を有することができる。ナセル34が、ハブ30の反対側で、風力タービン16に取り付けられる。本明細書に示される実施形態では、風力タービン16が水平軸風力タービン(HAWT:horizontal-axis wind turbine)である。別法として、FOWTプラットフォーム10が、その上に設置される垂直軸風力タービン(VAWT:vertical-axis wind turbine)を有するように構成されてもよい。
【0016】
[027]図1を参照すると、負浮力質量体36が、複数のサスペンションライン38により浮力フローター12から垂設されて示される。有利には、質量体36が、第1の軸方向端壁44(図1から3で見ると上側壁)および第2の軸方向端壁46(図1から3で見ると下側壁)によって包囲された円筒壁42を有するハウジングまたは外側タンク40を含む単純なデザインを有する。示される外側タンク40は、好適には、鉄筋コンクリートから形成され、15.15mの直径および11.94mの高さを有する。外側タンク40の内部が、その下側部分において永久バラスト材料48を保持するように構成された永久バラスト空間と、その上側部分にある可変バラスト空間50とを有する。図2に最良に示されるように、4つの索導具52が第1の端壁44に設置される。別法として、外側タンク40が5つ以上の索導具52を有してもよく、3つの索導具52を有してもよく、または、2つの索導具52を有してもよい。加えて、第1の端壁44が、図6に示されるように、中央に設置される1つの索導具52のみを有してもよい。示される質量体36が円筒形状を有する。別法として、質量体36が、球形、または、半球形の下側部分を有する円筒形、などの、他の形状を有してもよい。
【0017】
[028]
[029]永久バラスト材料48は、重力および完成したシステムとしての組み立てられたFOWTプラットフォーム10の浮力の平衡状態を維持するのに必要される所望の所定の質量体を得るために選択される、鉄鉱または他の材料などの、任意の所望の材料であってよい。
【0018】
[030]質量体36を浮力フローター12に取り付ける複数のサスペンションライン38が、合成ロープ、チェーン、鋼ケーブルなどのケーブル、および鋼管材構造物、から形成され得る。図2に示されるように、質量体36が、合計で8つのサスペンションライン38の場合、2つのサスペンションライン38により各ポンツーン22に取り付けられる。質量体36が、単一のサスペンションライン38により、または、3つ以上のサスペンションライン38より、各ポンツーンに取り付けられてもよい。FOWTプラットフォーム10が後で詳細に説明されるように水体BW中に完全に配備されると、各サスペンションライン38が、質量体36を浮力フローター12の下方の約75.10mに垂設するのに十分な長さを有する。質量体36が、可変バラスト空間50から海水を除去するためのポンプ(図示せず)を有することができる。
【0019】
[031]浮力フローター12の下方で質量体36を垂設することが可能となる距離は、浮力フローター12のサイズ、ならびに、風力タービン16および風力タービン16上で支持されるタワー14のサイズに基づいて、変わることになる。例えば、FOWTプラットフォーム10の代替の実施形態では、質量体36が、浮力フローター12の下側表面の下方の約40mに垂設され得る。
【0020】
[032]示される中央ハブ24が中空であり、4つの側壁を有し、各側壁が約10.98mの幅および約8.53mの軸方向長さまたは高さを有する。中央ハブ24の各側壁が実質的に垂直方向の接続面を画定し、ポンツーン22がこの接続面に取り付けられることになる。示される実施形態では、中央ハブ24が4つの側壁を有し、実質的に正方形の断面形状を有する。4つの側壁が第1の軸方向端壁24A(図1および2で見ると上側壁)および第2の軸方向端壁(図1および2で見ると下側壁)によって包囲される。別法として、中央ハブ24が、3つのポンツーン22を取り付けるための3つの側壁などの、他の構造を有してもよい。中央ハブ24が、強度のための、および/または、可変水バラストチャンバ(図示せず)を画定するための、内部水密隔壁をさらに有することができる。
【0021】
[033]示される中央ハブ24がプレストレスト鉄筋コンクリートから形成され得、内部中央キャビティ(図示せず)を有することができる。中央ハブ24を製造するのに、プレキャストコンクリート産業で利用される半自動プロセスにおいて、従来のコンクリート型枠または再使用可能なコンクリート型枠を用いるスパンコンクリートプロセス(spun concrete process)などの、任意の所望のプロセスが使用され得る。中央ハブ24のコンクリートは、高張力鋼ケーブルおよび高張力鋼補強バーつまりREBARなどの、任意の従来の強化材料を用いて強化され得る。別法として、中央ハブ24が、FRP、鋼鉄、あるいは、プレストレスト鉄筋コンクリート、FRP、および鋼鉄の組み合わせ、から形成され得る。中央ハブ24が、後で説明されるように、複数のセクションとして形成され得る。
【0022】
[034]各ポンツーン22も中空であり、10.98mの幅、8.53mの高さ、および27.08mの長さを有する。中央ハブ24と同様に、示されるポンツーン22が、上述したプレストレスト鉄筋コンクリートから形成される。別法として、ポンツーン22が、FRP、鋼鉄、または、プレストレスト鉄筋コンクリート、FRP、および鋼鉄の組み合わせ、から形成され得る。ポンツーン22が、後で説明されるように、複数のセクションとして形成され得る。
【0023】
[035]中央カラム26が中空であり、10.44mの直径および26.5mの高さを有する。中央カラム26が、外側表面を有する円筒形側壁27と、第1の軸方向端壁26A(図1および2で見ると上側壁)と、第2の軸方向端壁26B(図1および2で見ると下側壁)と、を有し、中空内部空間(図示せず)を画定する。中空中央カラム26が、強度のために、または、FOWTプラットフォーム10の電気装置および機械構成要素を設置するために、構成されて位置決めされる横方向隔壁またはデッキを有することができる。
【0024】
[036]中央ハブ24およびポンツーン22と同様に、示される中央カラム26が、上述したように、プレストレスト鉄筋コンクリートから形成される。別法として、中央カラム26が、FRP、鋼鉄、または、プレストレスト鉄筋コンクリート、FRP、および鋼鉄の組み合わせ、から形成され得る。中央カラム26が、後で説明されるように、複数のセクションとして形成され得る。示されるブレース28が鋼鉄から形成される。
【0025】
[037]ポンツーン22が、浮力の供給源を提供し、水体BW中で浮力フローター12が牽引されるときの、水線面積を画定する。示されないが、各ポンツーン22が、水密性の安定性のための横方向水密隔壁および長手方向に延在する隔壁、ならびに、強度のための、ポンツーン22の側壁に対して垂直に配置構成されるデッキを有することができる。加えて、各ポンツーン22内の内部隔壁が、可変水バラストのためのバラストチャンバ(図示せず)を画定することができる。
【0026】
[038]示されるFOWTプラットフォーム10が4つのポンツーン22を有する。しかし、本発明の改善された方法に従って組み立てられたFOWTプラットフォーム10が、3つのポンツーン22または5つ以上のポンツーン22で構築され得る。
【0027】
[039]有利には、一時的なトランジットライン56、および、概略的に58で示される、ウインチまたはチェーンジャッキなどのリフトデバイスが、後で説明するように、配備中にまたは再配備中に、質量体36を浮力フローター12に移動可能に接続する。トランジットライン56が、いくらかの長さの、チェーン、または、鋼ケーブルなどのケーブルであってよい。図4Eおよび5に最良に示されるように、トランジットライン56が、ウインチまたはチェーンジャッキ58を介して、質量体36を浮力フローター12に接続する。チェーンジャッキ58が、図5に示されるように、中央ハブ24の第1の軸方向端壁24Aの上といったように、浮力フローター12の上のまたはその中の任意の所望のロケーションに設置され得る。別法として、チェーンジャッキ58が、中央ハブ24の中に、あるいは、1つまたは複数のポンツーン22の上にまたはその中に、設置され得る。
【0028】
[040]上述したように、質量体36および浮力フローター12の構成要素の各々、つまり、中央ハブ24、ポンツーン22、および中央カラム26が、コンクリートから形成され得、示される形状以外の断面形状も有することができる。
【0029】
[041]質量体36、および、浮力フローター12の個別の構成要素を含めた、浮力フローター12が、風力タービン16および風力タービン16上で支持されるタワー14のサイズによって決定されることになる多様なサイズで形成され得る。
【0030】
[042]質量体36および浮力フローター12を形成する方法の第1の実施形態では、外側タンク40が、1つの大きいモノリシックセクションとして形成され得、つまりプレキャストされ得るか、または、2つ以上のセクション(図示せず)として形成され得る。次いで、このようなセクションが、外側タンク40の組み立て中に、一体にポストテンションを加えられ得る。同様に、中央ハブ24が、1つの大きいモノリシックセクションとして形成され得るか、または、2つ以上のセクション(図示せず)として形成され得るが、好適には、4つ以下のセクションとして形成され得る。次いで、このようなセクションが、中央ハブ24の組み立て中、一体に横方向のポストテンションを加えられ得る(つまり、その軸方向長さに対して横方向に)。
【0031】
[043]ポンツーン22が、約3メートルの長さを有するセクションなどの、複数のセクションとして形成され得る。したがって、1つの例示の実施形態では、各ポンツーン22が9つのセクションとして形成され得る。後で説明されるように、ポンツーン22が、一対のポンツーン22の各々を中央ハブ24に組み付けた後で、対として長手方向のポストテンションを加えられ得る。
【0032】
[044]中央カラム26が、同様に、約3メートルの長さを有するセクションなどの、複数のセクションとして形成され得る。したがって、1つの例示の実施形態では、中央カラム26が約9つのセクションとして形成され得る。後で説明されるように、中央カラム26が長手方向のポストテンションを加えられ得る。
【0033】
[045]浮力フローター12を組み立てて配備する方法の第1の実施形態が、陸上のロケーションで、本明細書で説明される方法のうちの任意の方法により、複数のポンツーン22、中央ハブ24、中央カラム26、質量体36、およびブレース28を形成して組み立てることを含む。次いで、ポンツーン22のうちの2つのポンツーン22が中央ハブ24に組み付けられ得、組み付けられたポンツーン22および中央ハブ24が、ポンツーン22のうちの一方のポンツーン22の遠位端から、ポンツーン22のうちの他方のポンツーン22の遠位端まで、ポストテンションを加えられ得る。次いで、第3のポンツーン22および第4のポンツーン22が中央ハブ24に組み付けられ得、やはり、第3のポンツーン22の遠位端から、第4のポンツーン22の遠位端まで、ポストテンションを加えられ得る。
【0034】
[046]次いで、中央カラム26が、中央ハブ24の第1の軸方向端壁24A上で複数のセクションから組み立てられ得、長手方向のポストテンションを加えられ得る。次いで、提供される場合、ブレース28が、ポンツーン22と中央カラム26との間に取り付けられ得る。次いで、タワー14および風力タービン16が装着され得、それにより、浮力フローター12を画定する。浮力フローター12が、フィンガーピア(図示せず)を使用するなどの、任意の従来の方法により、水体Bの中に進水され得る。
【0035】
[047]例えば、一対のフィンガーピア(図示せず)が、海岸線SLまたはドック(図示せず)から外側に延在することができる。浮力フローター12が、レールまたは他の所望の移送手段などにより、フィンガーピアの上まで移動させられ得、その結果、浮力フローター12の一部分が両方のフィンガーピアの遠位端の上で支持され、さらには、フィンガーピアの遠位端の上で水体BWの表面の上方において支持され、浮力フローター12の一部分が、そこからフィンガーピアが延在しているところである海岸線またはドック上で支持された状態を維持する。半潜水艇または進水艇(図示せず)などの浮体進水プラットフォームが、フィンガーピアの間において浮力フローター12の下で移動させられ得る。浮力フローター12の下方に位置決めされると、バラストが進水プラットフォームから除去され、それにより、進水プラットフォームが水体BW中で上昇し、最終的に、進水プラットフォームが浮力フローター12をフィンガーピアおよび海岸線から持ち上げ、それにより、浮力フローター12を進水プラットフォームの上まで運ぶ。次いで、進水プラットフォームが水体BW中の進水エリアまで牽引される。
【0036】
[048]浮力フローター12を組み立てて配備する方法の第1の実施形態は陸上のロケーションで行われるものとして説明されるが、乾ドックが組み立てられた浮力フローター、あるいは、2つのポンツーン22および中央ハブ24の組み立てられた組立体などの、そのいずれの構成部品またはサブアセンブリも受け入れるのに十分な大きさである場合、浮力フローター12が乾ドックでも組み立てられ得る、ことを理解されたい。
【0037】
[049]浮力フローター12を組み立てて配備する方法の第2の実施形態が乾ドック(図示せず)内で行われ、ポンツーン22のうちの2つのポンツーン22を形成して組み立てることと、中央ハブ24を組み立てることと、ポンツーン22を中央ハブ24に組み付けることと、それ自体で完全に浮遊することが可能である浮力フローターサブアセンブリ60を画定することを目的として、組み付けられたポンツーン22および中央ハブ24に、ポンツーン22のうちの一方のポンツーン22の遠位端から、ポンツーン22のうちの他方のポンツーン22の遠位端まで、ポストテンションを加えることと、を含む。
【0038】
[050]組み立てられると、浮力フローターサブアセンブリ60が従来の手法で乾ドックから進水され得、好適には乾ドックの近くで、浮遊組立体エリア(図示せず)中で浮遊することが可能となり得る。
【0039】
[051]次いで、2つの追加のポンツーン22が乾ドック内で組み立てられ得、浮力フローターサブアセンブリ60の上に組み付けられる前にポンツーン22の構造完全性を提供するために一時的にポストテンションを加えられ得る。組み立てられると、2つの追加のポンツーン22が従来の手法で乾ドックから進水され得、浮遊組立体エリア(図示せず)中で浮遊することが可能となり得、浮遊組立体エリアには浮力フローターサブアセンブリ60が位置している。
【0040】
[052]次いで、2つの追加のポンツーン22の各々が、浮力フローターサブアセンブリ60の中央ハブ24の開放側の壁に結合され、この開放側の壁に取り付けられる。次いで、2つの追加のポンツーン22および中央ハブ24が、浮力フローター12を画定するために、ポンツーン22のうちの一方のポンツーン22の遠位端から、ポンツーン22のうちの他方のポンツーン22の遠位端まで、ポストテンションを加えられる。
【0041】
[053]浮遊時、浮力フローターサブアセンブリ60の一部分および浮力フローター12の一部分が、図7に示されるように、水線の上方に留まる、ことを理解されたい。さらに、浮力フローター12を画定することを目的として、浮力フローターサブアセンブリ60および浮力フローターサブアセンブリ60に対しての追加のポンツーン22にポストテンションを加えるステップが水線の上方で行われ、したがって、ポンツーン22および中央ハブ24の乾燥部分に入ることになる、ことを理解されたい。
【0042】
[054]次いで、中央カラム26が上述したように陸上で複数のセクションとして形成され得、浮力フローター12をドックに沿う場所などで浮遊させている間において、中央ハブ24の第1の軸方向端壁24Aの上に組み付けられ得、長手方向のポストテンションを加えられ得る。次いで、ブレース28がポンツーン22と中央カラム26との間に取り付けられ得、やはりこの間も、浮力フローター12がドックに沿って浮遊している。
【0043】
[055]次いで、浮力フローター12が上述したように好適には沈められた質量体36の上方で浮遊している間において、タワー14および風力タービン16が中央カラム26上に装着され得る。別法として、水体BWの深さにより可能となる場合、タワー14および風力タービン16を装着することを目的として浮力フローター12を海底Sまで一時的に移動させるために、バラストが浮力フローター12に追加され得る。
【0044】
[056]質量体36の深さが可変であり、それにより、半潜水FOWTに相当する、10m以下の浅い引き入れのための喫水(tow-out draft)を可能にする。したがって、FOWTプラットフォーム10が、円材タイプのプラットフォームの安定性特性と組み合わせで、半潜水FOWTの可動特性を有する。
【0045】
[057]本明細書で説明される実施形態で構成されるように、浮力フローター12が7.53mの引き入れのための喫水または浅喫水を有し、組み立てられたFOWTプラットフォーム10が21.25mの運転喫水を有する。
【0046】
[058]質量体36を組み立てて配備する方法の第1の実施形態が、陸上のロケーションにおいて、鋳造などにより、外側タンク40の複数のセクション(図示せず)を形成することを含む。次いで、これらのセクションが一体にポストテンションを加えられ得る。次いで、組み立てられた状態であるが空である外側タンク40が、任意の所望の方法により、水体BWの中に進水され得、浮遊組立体エリア(図示せず)中を浮遊することが可能となり得、浮遊組立体エリアには浮力フローター12が位置している。
【0047】
[059]質量体36を組み立てて配備する方法の第2の実施形態が、陸上のロケーションにおいて、従来のスリップ成形法または段階式鋳造(staged casting)法を使用して、1つの大きいモノリシックセクションとして外側タンク40を形成することを含む。鋳造されると、次いで、外側タンク40が、任意の所望の方法により水体BWの中に進水され得、浮遊組立体エリア(図示せず)中で浮遊することが可能となり得、浮遊組立体エリアには浮力フローター12が位置している。
【0048】
[060]FOWTプラットフォーム10を組み立てて水体BWの中に配備する改善された方法の第1の実施形態が、図4Aから4Fに概略的に示される。
[061]図4Aに示されるように、質量体36の空の外側タンク40が任意の所望の方法によりドックまたは海岸線SLから水体BWの中に進水され得、浮遊組立体エリア(図示せず)中で浮遊することが可能となり得、浮遊組立体エリアには浮力フローター12が位置している(浮力フローター12は図4Aまたは4Bには示されないが、図4Cから4Fには示される)。
【0049】
[062]次いで、永久バラスト材料48が外側タンク40に追加され得、それにより質量体36を画定し、図4Bに示されるように、質量体36を海底Sまで沈下させる。質量体36が沈下するとき、可変バラスト空間50に海水が充填される。
【0050】
[063]トランジットライン56およびサスペンションライン38が質量体36上に予め装着され得、トランジットライン56およびサスペンションライン38の各々の自由端に取り付けられた標識ブイを用いて、水体BWの表面まで届けられ得る。
【0051】
[064]まだ水体BWの中に進水されていない場合、浮力フローター12が進水されて浮遊され得、つまり、質量体36の上の位置まで移動させられ得る。FOWTプラットフォーム10を組み立てて水体BWの中に配備する方法のこのステップでは、浮力フローター12内のバラストチャンバがバラスト水を収容せず、それにより、浮力フローター12を浮遊させるのを可能にする。このステップではまた、浮力フローター12が浮遊する間において、タワー14および風力タービン16が中央カラム26上に装着され得る。
【0052】
[065]この時点で、一時的なトランジットライン56および付随のチェーンジャッキ58が質量体36を浮力フローター12のすぐ下のポイントまで持ち上げるのに使用され得、それにより、図4Cおよび4Dに示されるように、浅喫水構成を画定し、つまり、7.53mの喫水を画定する。装着されたサスペンションライン38が質量体36に取り付けられ、緩んだ状態のままにされる。この時点で、FOWTプラットフォーム10が、その垂直方向の浮力中心の上方にある垂直方向の重心を特徴とする剛体として振る舞う。したがって、FOWTプラットフォーム10の部分的に沈められたポンツーン22によって生じる水線面の慣性モーメントを介して、FOWTプラットフォーム10を安定させることが達成される。
【0053】
[066]次いで、この時点では組み立てられた状態であるFOWTプラットフォーム10が水体BW内の装着場所まで牽引され得る。この時点で、FOWTプラットフォーム10が、その垂直方向の浮力中心の上方にある垂直方向の重心を特徴とする剛体として継続して振る舞う。したがって、FOWTプラットフォーム10の固有の周期が通常の波周期の範囲内に入ることができる。したがって、組み立てられたFOWTプラットフォームを水体BW内の装着場所まで牽引するこのステップは、比較的穏やかである海のみで行われなければならない。
【0054】
[067]別法として、質量体36を浮力フローター12まで上昇させたり質量体36を浮力フローター12から降下させたりするために、ウインチまたはチェーンジャッキ58以外の手段が使用されてもよい。質量体36を上昇および降下させるための代替の手段には、限定しないが、膨張可能デバイスなどの取り外し可能である浮遊デバイス、取り外し可能な外部のバラストタンク、および一時的な艇支持体(barge support)が含まれる。加えて、質量体36が、浮力フローター12の下でまたは浮力フローター12に沿って浮遊するように構成され得る。
【0055】
[068]FOWTプラットフォーム10が水体BW内の装着場所に到達すると、FOWTプラットフォーム10のポンツーン22に取り付けられた係留ライン18が、海底S中のアンカー20に接続され得る。次いで、図4Eに示されるように、一時的なトランジットライン56および付随のチェーンジャッキ58を使用して、質量体36が降下させられ得る。サスペンションライン38が緊張状態になって、垂設された質量体36の全重量を担持すると、図4Fに示されるように、一時的なトランジットライン56が質量体36から取り外さ得る。
【0056】
[069]内部バラストチャンバに海水を注水することにより、ポンツーン22が完全に沈められ得る。この時点でFOWTプラットフォーム10が、図4Eに示されるように、その設計喫水で静止し、ここでは、FOWTプラットフォーム10が、水線WLを中央カラム26の中間点に位置させるように、水体BW中で位置決めされる。
【0057】
[070]図1から4Fはサスペンションライン38の接続のための4つの索導具52を有する質量体36を示すが、質量体36が、任意の所望の数のサスペンションライン38を取り付けるように構成された任意の所望の数の索導具52を有することができる。例えば、質量体36が、図6に示されるように、3つの索導具52、2つの索導具52、または単一の索導具52を有することができ、ここでは、質量体66の代替の実施形態が、その第1の端壁68に設置された1つの索導具52のみを有する。
【0058】
[071]有利には、垂設された質量体36を自由に回転させるのをおよびその固有振動周期を有するのを可能にすることにより、配備された浮力フローター12の受けるモーションを軽減するために、垂設された質量体12が旋回させられ得るようになる。浮力フローター12および風力タービンナセル34のモーションを低減するのに好都合である振動数を得るように、サスペンションライン38の数、質量体36上でのその取付ポイント、を正確に選択して、重心のロケーションおよび垂設された質量体36の質量慣性モーメントを調整することにより、この振動周期が達成され得る。
【0059】
[072]本発明の原理および動作形態をその好適な実施形態で説明して示してきた。しかし、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、具体的に説明されて示された手法とは異なる手法でも本発明が実施され得ることを理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7
【国際調査報告】