(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】タイヤ空気圧及び摩耗の検出のためのシステム
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20230628BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230628BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20230628BHJP
H10N 30/30 20230101ALI20230628BHJP
H10N 30/88 20230101ALI20230628BHJP
【FI】
B60C23/04 120B
H02J7/00 303Z
B60C19/00 B
B60C19/00 E
H10N30/30
H10N30/88
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565808
(86)(22)【出願日】2021-05-03
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 IL2021050504
(87)【国際公開番号】W WO2021224911
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522172092
【氏名又は名称】エナーヴィブ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Enervibe LTD
【住所又は居所原語表記】1 Golan Street, Airport City 7019900, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】ダン ハロニアン
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル ハロニアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘミ サギ
【テーマコード(参考)】
3D131
5G503
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB02
3D131BB03
3D131BC05
3D131BC25
3D131BC55
3D131EC24Z
3D131LA05
3D131LA06
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB03
(57)【要約】
本明細書は、車両の各車輪内に位置されたモジュールを含むタイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステムを開示する。このモジュールは、センサ、プロセッサ、送信機及びモジュールに電力を供給するための電源を含む。各車輪内のセンサからの出力は、データを処理するために、各車輪のプロセッサに供給され、データは各車輪内の送信機によって車輪の外部に位置した受信機及びデータプロセッサに送信される。データプロセッサは、モジュールから受信した処理されたデータを分析し、記憶された情報に基づいて、そして第1車輪からの処理されたデータを第2車輪からの処理されたデータと比較することにより、警告を提供するように設計される。
【代表図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステムであって、
それぞれセンサ、モジュールプロセッサ、モジュール送信機、及び前記センサ、モジュールプロセッサ及びモジュール送信機に電力を供給するための電源を含む第1車輪の内部に位置されるように設計された第1モジュール、及び第2車輪の内部に位置されるように設計された第2モジュール、及び
前記車輪の外部に位置されるように設計された遠隔受信機及びデータプロセッサを含み、
各車輪のモジュールプロセッサは、前記車輪のセンサからの出力を受信するように設計され、
前記第1モジュール及び前記第2モジュールのモジュール送信機は、前記出力に基づいてモジュールプロセッサから処理されたデータを遠隔受信機に送信するように設計され、
前記データプロセッサは、前記モジュールから受信した処理されたデータを分析し、第1車輪からの処理されたデータを第2車輪からの処理されたデータと比較し、前記モジュールからの処理されたデータを予め計算されたデータと比較し、前記分析及び比較に基づいて警告を提供するように設計される、少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項2】
前記センサは、容積温度センサ、タイヤ材料温度センサ、振動センサ、タイヤトレッド厚さセンサ及びタイヤ乾燥率センサを含むセンサグループからの少なくとも一つのセンサ及び圧力センサを含む、請求項1に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項3】
前記電源は1次電池である、請求項1に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項4】
前記電源は、エネルギーハーベスタ、電力管理回路及びエネルギー貯蔵装置を含み、エネルギーハーベスタは、前記車輪の回転からエネルギーを取得するように設計され、前記エネルギーは、エネルギー貯蔵装置を充電する調節された電力を生成するように、電力管理回路によって管理される、請求項1に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項5】
前記電源は1次電池、エネルギーハーベスタ、コンデンサ及び電力管理回路を含み、前記エネルギーハーベスタは、前記車輪の回転からエネルギーを取得するように設計され、前記エネルギーは、コンデンサを充電する調節された電力を生成するように電力管理回路によって管理され、前記センサの少なくとも一つはモジュールプロセッサによって制御される充電方式に応じて、コンデンサによってまたは1次電池によって選択的に電力が供給されるように設計される、請求項1に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項6】
前記エネルギーハーベスタは、コイル、コア及び少なくとも一つの磁石を含み、タイヤに固定されるように設計され、前記エネルギーハーベスタは、タイヤの撓みを電気に変換するように設計される、請求項4に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項7】
前記エネルギーハーベスタは、コイル、コア及び少なくとも一つの磁石を含み、タイヤに固定されるように設計され、前記エネルギーハーベスタは、タイヤの撓みを電気に変換するように設計される、請求項5に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項8】
前記エネルギーハーベスタは、コイル、コア及び少なくとも一つの磁石を含み、車輪のリムに固定されるように設計され、前記エネルギーハーベスタは、振動及び衝撃を電気に変換するように設計される、請求項4に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項9】
前記エネルギーハーベスタは、コイル、コア及び少なくとも一つの磁石を含み、車輪のリムに固定されるように設計され、前記エネルギーハーベスタは、振動及び衝撃を電気に変換するように設計される、請求項5に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項10】
前記エネルギーハーベスタは、タイヤに固定されるように設計される圧電エネルギーハーベスタタイプである、請求項4に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項11】
前記エネルギーハーベスタは、タイヤに固定されるように設計される圧電エネルギーハーベスタタイプである、請求項5に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項12】
前記エネルギーハーベスタは、車輪のリムに固定されるように設計された圧電エネルギーハーベスタタイプであり、前記エネルギーハーベスタは、振動及び衝撃を電気に変換するように設計される、請求項4に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項13】
前記エネルギーハーベスタは、車輪のリムに固定されるように設計された圧電エネルギーハーベスタタイプであり、前記エネルギーハーベスタは、振動及び衝撃を電気に変換するように設計される、請求項5に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項14】
前記警告は、前記タイヤが必要とする技術サービスに対する情報を含む、前記エネルギーハーベスタは、振動及び衝撃を電気に変換するように設計される、請求項1に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項15】
前記センサの少なくとも一つは、前記電源からエネルギーを受信し、それにより、タイヤの回転率が予め設定された速度を超える時に活性化されるように設計される、請求項1に記載の少なくとも第1車輪タイヤ及び第2車輪タイヤの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム。
【請求項16】
車輪タイヤの状態を監視するためのシステムであって、
タイヤの内部に位置されるように設計されたモジュールを含み、前記モジュールは、少なくとも一つのセンサ、モジュールプロセッサ、モジュール送信機、電力管理回路及びコアに巻かれたコイル、及びスプリングに吊り下げられ、コアに近接した距離にある少なくとも一つの磁石を含む電磁気エネルギーハーベスタを含んで、タイヤの衝撃で磁石を振動させ、コイル内に電力を生成するようにして、電力管理回路によって電力が管理され、管理された電力が前記少なくとも一つのセンサ、モジュールプロセッサ及びモジュール送信機に電力を供給するために用いられるようにする、車輪タイヤの状態を監視するためのシステム。
【請求項17】
前記管理された電力がエネルギー貯蔵装置を充電するように設計され、エネルギー貯蔵装置は、前記少なくとも一つのセンサ、モジュールプロセッサ及びモジュール送信機に電力を供給するように設計されるエネルギー貯蔵装置及び充電回路をさらに含む、請求項16に記載の車輪タイヤの状態を監視するためのシステム。
【請求項18】
1次電池及びコンデンサをさらに含み、前記管理された電力はコンデンサを充電するように設計され、前記少なくとも一つのセンサの少なくとも一つは、前記モジュールプロセッサによって制御される充電方式に応じて、コンデンサによってまたは1次電池によって選択的に電力が供給されるように設計される、請求項16に記載の車輪タイヤの状態を監視するためのシステム。
【請求項19】
前記タイヤ回転率が増加する時に、前記距離がさらに小さくなるように、前記距離は車両速度によって変化するように設計される、請求項16に記載の車輪タイヤの状態を監視するためのシステム。
【請求項20】
前記車輪の回転中に生成される遠心力によって誘導される前記磁石の変位を補償するように設計されたメカニズムをさらに含む、請求項16に記載の車輪タイヤの状態を監視するためのシステム。
【請求項21】
スプリングに吊り下げられた前記磁石の偏向を制限するように設計された少なくとも一つの制限スプリングをさらに含む、請求項16に記載の車輪タイヤの状態を監視するためのシステム。
【請求項22】
前記ハーベスタに固定され、スプリングに吊り下げられた前記一つの磁石の偏向を制限するように設計される少なくとも一つの磁石をさらに含む、請求項16に記載の車輪タイヤの状態を監視するためのシステム。
【請求項23】
制御された圧力で前記エネルギーハーベスタをカプセル化するチャンバをさらに含む、請求項16に記載の車輪タイヤの状態を監視するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月5日に出願された米国特許出願番号16/866,581の一部継続出願である。
本発明は、車輪タイヤの空気圧及び摩耗状態を検出するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車タイヤ状態の監視は、CO2及びNOx排出を担当する走行安全燃費/エネルギー消費に影響を及ぼす重要な要素である。燃費でタイヤの役割を考慮する時に、自動車タイヤの走行抵抗(rolling resistance)は自動車が使用するエネルギーの20%乃至50%を占めるという事実に注目する必要がある。乗用車両タイヤの走行抵抗を10%低減することができれば、燃費は3%向上される。走行抵抗の1%乃至5%は、空気抵抗に起因すると推定される。他の9%乃至10%は、道路摩擦から発生する。そして、残り85%乃至95%は、材料の内部摩擦またはヒステリシス(hysteresis)に起因する。車両の移動時に、タイヤの撓み(flexing)を通じて材料ヒステリシスを制御することによれば、走行抵抗を減少させ、燃料消費を改善することができる。
【0003】
ヒステリシスの損失に影響を及ぼすいくつかの主要な要素がある。そのうちのいくつかは、本発明で記述されるシステム及び方法によって制御されることができ、以下で詳しく説明する:
タイヤ空気圧(Inflation pressure):走行抵抗に最も影響を及ぼす要素はタイヤ空気圧である。圧力が高いほどタイヤは丸くなって完璧な円に近くなり、これは抵抗を減少させる。また、タイヤがさらに硬くなって撓みが少ない。しかしながら、さらに高いタイヤ空気圧はハンドリングと乗り心地にも影響を及ぼすため、タイヤが過度に膨脹されてはならない。
スリップ角(Slip Angle):タイヤ面と自動車が進行する方向との間の角度は、スリップ角またはスクラブ角と称される。これは、車両がコーナーを曲がる時に増加し得る。スリップ角が大きいほど、走行抵抗が高くなる。前輪の面が車両の中心線に向かう角度であるトーイン(Toe-in)は、走行安定性を向上させるが、走行抵抗を増加させる。自動車の車輪が適切に整列された状態に保持されることを確保するほかに、スリップ角による抵抗を低減するためにできることはほとんどない。
タイヤ腐敗(Tire Rot):ゴム及びプラスチック材料は、気候、温度及び湿度、車両の使用及び保管、タイヤの空気圧のレベルによって、5年乃至6年の期間にわたって自然に劣化される。乾燥腐敗(dry rot)は、タイヤ上の硬くて脆い面によって発生される。ゴムのオイルが蒸発し始めると、化学結合が切れて乾いたタイヤが残るようになる。乾燥腐敗の最も一般的な原因は、タイヤの低い膨脹、過度な熱の近くでの保管及び使用不足である。太陽に対する持続的な露出は、乾燥腐敗がタイヤに及ぼす影響を加速化する可能性がある。
トレッド深さ(Tread depth):タイヤが摩耗するにつれて、走行抵抗が減少する。これは屈曲された後に反動するタイヤ材料の量が減少されつつ、ヒステリシス損失も減少するからである。残っているトレッドの厚さは、動作の熱と変形下でタイヤが撓む方式に影響を及ぼし、よって、車両の燃料消費にも影響を及ぼす。トレッドが小さくて浅いほど走行抵抗が低くなるが、濡れた路面上のタイヤ摩擦力も悪くなる。このような摩耗されたタイヤはこれ以上滑りを防止することができなくて、短い制動距離を提供しない。ミシュランタイヤ製造会社は、タイヤのトレッド深さが減少するほど、トレッド深さによって走行抵抗が低くなって、車両の燃費が増加するはずであると言及した。法的トレッド限界における取り外しポイントのタイヤの走行抵抗は、新しいタイヤ状態の80%である。よって、法的トレッド摩耗限界まで車両でタイヤを使用することは、燃料が最も効率的な状態におかれる時間を増加させ、運転手の燃料費も減少させる。いずれにしてもタイヤ状態の綿密な監視は、タイヤの低い動力消費範囲の最大活用を可能にして、燃料消費を減少させることができる。
【0004】
タイヤ空気圧、トレッド摩耗、タイヤ層分離及びアライメントは、燃費、事故、高速道路を汚染させるタイヤゴム破損の発生、商用トラック運送効率性の減少などの主要原因である。多くの事故がタイヤの摩耗/バーストによって発生されることから、タイヤの摩耗を監視して管理することは公共安全性を向上させる。また、トラック/バスのダウンタイム(downtime)は、運営者に費用がかかるため、本発明は、車両の使用効率性を向上させる。
【0005】
電気自動車(EV)の場合、燃費の向上とは、車両のより長い走行範囲またはバッテリのより高い充電状態を意味する。EV走行距離の増加は、多くの場合、自ら排出原因となる商用発電機のより少ない電力及び負荷を意味する。
【0006】
現在では、車両にはタイヤに内蔵されて(タイヤ内部の空気温度で補償された)空気圧を無線で送出するタイヤ空気圧監視システム(TPMS)が装着されており、車両コントローラがタイヤの空気圧を監視することができるようにしている。TPMSは、寿命が最大5年のバッテリを含む。よりたくさんのタイヤ属性を監視するために、タイヤ内によりたくさんのセンサが必要である。問題は、このようなセンサに電力を供給し、データを無線で送るための合理的なエネルギー源がないということである。
【0007】
車両の年間走行距離を20000kmと仮定すれば、タイヤの最大使用量は50000kmである。この場合、タイヤの寿命は約2.5年である。タクシーまたは作業用車両に対して、通常自動車が一日に6時間使用したと仮定する。タイヤ追跡システムが作動する時間は1年に約2000時間であり、2.5年では5000時間である。このシステムが、平均10mWを消費し、動作電圧が3.7Vであると、必要なバッテリは10000mAhの範囲である。
【0008】
トラックの場合:年間平均走行距離は90000km、タイヤ最大使用量は150000km、一日平均走行時間を7時間と仮定する。総走行時間は約4000時間であり、必要なバッテリも10000mAh範囲にあることが分かった。
極限温度でも作動することができるこのような大型バッテリは、大きくて重く、費用が高くて、回転するタイヤの内部に装着することができない。そこで、本発明の一実施例で提案されたような方案は、小型1次電池とコンデンサの組合せで、車輪の回転からエネルギーを取得するエネルギーハーベスタを用いる。
【0009】
タイヤの状態を感知するためのセンサを提供することを目的としたいくつかの特許が開示された。1995年に出願された特許番号CA2214700Cは、タイヤの外部受信機の要請に応じて、この受信機にデータを送信するタイヤ内センサを開示する。この特許の期間は満了している。
【0010】
特許番号WO2013/114388A1は、タイヤ空気圧適正化システム(TPOS)及びタイヤ空気圧制御装置(TPCU)を含む。SATPOSは、非常事態を減らすために、スマートに感知することにより、タイヤ空気圧を即時に感知及び制御し、状況認識計算を実施して、TPCUが適時に適正な空気圧及び適正なタイヤでタイヤ空気圧を即時に制御するように指示する。TPOSは、重要な状況でタイヤ空気圧を制御するために、感知、事前計算、電流計算を実行し、それに応じて克服した後にタイヤ空気圧を適正化するための事後計算を実行する。
【0011】
特許番号TW499372Bは、加速度信号を提供するために、タイヤの半径方向及び横方向加速の少なくとも一つを感知するセンサを利用して、トレッド摩耗、衝撃吸収装置性能、車両タイヤの均衡状態、及び/または車両タイヤの回転率を監視するシステム及び方法を論議する。トレッドの摩耗を監視するために、少なくとも一つのプロセッサが提供され、センサからの加速度信号に反応して、30~60Hz範囲の共振周波数を決めるように、半径方向及び/または横方向加速度信号の高速フーリエ変換(FFT)を利用して、タイヤの半径方向及び横方向加速度の少なくとも一つについての少なくとも一つの共振周波数を決め、周波数シフトを決めて、周波数シフトに基づいてタイヤトレッドの摩耗を決めるために、タイヤの摩耗がないことを示す記憶された周波数と決められた少なくとも一つの共振周波数を比較して、運転手用の情報ディスプレイに送信されるタイヤトレッドの摩耗を示す情報信号を提供する。
【0012】
特許番号WO2018/137920A1は、タイヤが発生させる騷音を通じてタイヤの摩耗を評価するシステム及び方法を記述する。このシステムは、音響センサ、プロセッサ及び車両速度、車輪速度、エンジン及び車両の騷音を含む多様な入力によって、各タイヤの摩耗程度を決める機械学習を含む。このシステムは、車両の使用者に各タイヤの摩耗程度を示す出力を提供する。
【0013】
特許US2019/0001756A1は、非本質的に導電性ポリマーで構成され、トレッドの一部分に固定されたセンサを利用して車両用タイヤトレッドの状態を監視するシステムを開示する。センサからのデータはトレッドの厚さを決めるために、センサ読み取り値の変化を解釈するアルゴリズムを利用するデータ処理装置に送信される。
【0014】
特許番号CN2703664Yは、タイヤ空気圧センサ、タイヤ容積温度センサ、タイヤ外部の受信機にタイヤ空気圧及び温度を伝達するデータプロセッサ及び装置に電力を供給する電源供給装置を含む、車両の車輪内に装着されたシステムを含むタイヤ監視及びディスプレイ装置を説明する。このシステムは、車両の4つの車輪のうち、一つのタイヤの空気圧または温度が標準値を逸脱すると警告を発する。このシステムは、電源供給装置の電源が足りない時にも警告を発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した特許は、タイヤ内部で使用できる電力が制限されているため、タイヤの状態を感知する制限された手段を提供するものである。本発明は、超大型バッテリを必要とせず、タイヤの内部に装着されたエネルギーハーベスタによって可能なリアルタイム自動車タイヤ摩耗、圧力監視及び管理のための無線多重センサソリューションである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】時間及び移動距離の関数で示したタイヤ属性の概略的な説明である。
【
図6a】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての圧電に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図6b】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての圧電に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図6c】タイヤ上に装着されたエネルギーハーベスタ(22)を示す。
【
図7a】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての熱電に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図7b】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての熱電に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図8a】タイヤの内部に用いられる電磁エネルギーハーベスタの従来技術を示す。
【
図8b】タイヤの内部に用いられる電磁エネルギーハーベスタの従来技術を示す。
【
図9a-9c】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての電磁気に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図10】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての電磁気に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図12】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての電磁気に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図14】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての電磁気に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図15】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての電磁気に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図16】タイヤ内部装置に電力を供給するための電源としての電磁気に基づくエネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図17a-17l】タイヤまたは車輪のリム(rim)から電力を取得するための電磁エネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図18】タイヤの撓みから電力を取得するための電磁エネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図19】タイヤの撓みから電力を取得するための電磁エネルギーハーベスタの実施形態を示す。
【
図20a-20c】タイヤの撓みから電力を取得するための電磁エネルギーハーベスタの実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、タイヤの空気圧及び摩耗状態を検出するためのシステムに関する。本発明の一実施形態は、
図1に示すように、少なくとも第1車輪タイヤ2a及び第2車輪タイヤ2bの圧力及び摩耗状態を検出するためのシステム1である。このシステムは、第1車輪の内部21aに位置するように設計された第1モジュール3、及び第2車輪内部21bに位置するように設計された第2モジュール3を含み、ここで、各モジュールは、センサ31、モジュールプロセッサ32、モジュール送信機35、及びセンサ、モジュールプロセッサ及びモジュール送信機に電力を供給するための電源34を含む。このシステムは、車輪の外部に位置するように設計された遠隔受信機4、及びデータプロセッサ5をさらに含む。各車輪のセンサの出力は、当該車輪のモジュールプロセッサに供給されることができ、各車輪のモジュール送信機は、処理されたデータを遠隔受信機に送信する。データプロセッサは、受信して処理されたデータを分析し、第1車輪からの処理されたデータを第2車輪からの処理されたデータと比較し、それに基づいて警告を提供するように設計される。警告は、タイヤの交換または不適切なタイヤ空気圧またはバランスが取れないか、または不適切なタイヤのスリップ角度、またはその他不適切なタイヤ状態を含む何れの技術的サービスだけでなく、運行安全及び燃料消費に関する警告を含むことができる。
【0018】
一実施形態において、各車輪から受信されたデータは、時間依存値dij(t、L)のストリングとして見ることができ、ここで、dijは、タイヤjのセンサiによって受信されたデータを指し、tは時間を指し、Lは車両によって用いられる間に特定タイヤが移動した距離を指す。タイヤの状態に関する結論は、互いに異なるタイヤ内のセンサ値を比較することにより導き出すことができ、すなわち、dij(t、L)-dik(t、L)、またはdij(t、L)/dik(t、L)である。
【0019】
他の実施形態において、タイヤの値d
ij(t、L)は、長時間tと距離Lにわたって複数のタイヤから収集され、
図2に概略的に示すように、統計的3Dマップが得られる。このような3Dマッピングは、正常な統計を示すことができ、tとLの関数であり得る+Δd
ij(t、L)-Δd
ij(t、L)で例示される統計的変動を有する。
図2で、値d
ij(t
1、L
1)は、時間t
1及び距離L
1でのd
ijの正常値を示す。所定の値+σd
ij(t、L
1)を超える偏差または所定の値-σd
ij(t
1、L
1)未満の偏差は、システムで「非正常様相」に識別されることができ、使用者に警告を発する。
【0020】
例えば、タイヤの振動は、時間と移動距離によって変わる特定スペクトルを有し得る。振動スペクトルは、温度によっても変わり得る。温度は時間が経つにつれてタイヤを劣化させる累積効果を有する。温度を考慮するために、温度応力関数St、Tが定義されることができる。
【0021】
S
t,Tの可能な形式は
であり、ここで、Aは定数であり、tは時間温度がT
1...T
Nで表示されるセグメントに分割される位置にタイヤ温度が露出された時間である。x及びyは、タイヤ及び時間のような環境パラメータによって変わるパラメータ定数である。
【0022】
温度の影響を記述するための他の方法は、Arrhenius関数を利用して
とすることであり、ここで、Bは定数、kはボルツマン定数であり、E
a、iは故障iに対する活性化エネルギーである。
【0023】
温度を考慮した時に、
図2に示された3Dダイアグラムは、d
ij(t、L、S)である4Dダイアグラムになる。d
ij(t、L、S)で、「i」は、例えば、各センサが多次元で記述されることができる5つのセンサだけ大きくてもよい。このようなシステムの多次元記述は、例えば、システムの次元数を減少させ、タイヤ問題の迅速な識別を提供する主要成分分析(PCA)を利用して単純化されることができる。神経網または異常(anomaly)分析のような他の方法を利用して単純化されてもよい。
【0024】
モジュール内のセンサが圧力センサ311、容積温度センサ312、タイヤ材料温度センサ313、振動センサ314、タイヤトレッド厚さセンサ315、及びタイヤ乾燥率センサ316であり得ることを教示する
図3を参照する。
【0025】
一実施形態において、電源34は1次電池であってもよい。他の実施形態において、電源34は、
図4に示すように、エネルギーハーベスタ343、電力管理回路345、及びエネルギー貯蔵装置341を含む。この場合、エネルギーハーベスタは、車輪の回転からエネルギーを取得し、取得されたエネルギーは電力管理回路によって管理されて、エネルギー貯蔵装置を充電する調節された電力を発生させる。エネルギー貯蔵装置は、充電式バッテリまたはコンデンサであってもよい。
【0026】
他の実施形態において、
図5に示すように、電源34は、1次電池347、エネルギーハーベスタ343、コンデンサ346、及び電力管理回路345を含み、エネルギーハーベスタが車輪の回転からエネルギーを取得するようにし、取得されたエネルギーは電力管理回路によって管理されて、コンデンサ346を充電する調節された電力を発生させ、それによって、センサの少なくとも一つはモジュールプロセッサ32によって制御される充電方式に応じて1次電池またはコンデンサによって選択的に電力が供給されるように設計される。
【0027】
極限動作温度に適したコンデンサ及び1次電池は、市場で入手可能である。一方、充電式バッテリは、通常、制限された温度範囲で動作することができる。上記実施形態は、センサを、高いサンプリング速度が必要な場合、または自動車が移動しない時や非常に遅い速度で移動する時にも必要なセンサタイプA、及び低いサンプリング速度が必要な場合、または車両が止まっていたり、非常に遅く移動する時には、活性化が必要ではないセンサタイプBに分ける。この場合、十分な電力がある限り、コンデンサは、センサタイプBに電力を供給し、1次電池は、センサタイプAに電力を供給する。自動車が移動し始めると、コンデンサ346が充電され始める。コンデンサ346の充電が予め設定された値より高くなると、モジュールプロセッサ32はコンデンサ346を通じて1次電池347と電力センサタイプAとの接続を解除する。コンデンサ346の充電が予め設定された値以下になると、モジュールプロセッサ32はコンデンサ346がセンサタイプAに電力を供給しないように接続を解除し、代わりに1次電池347と接続する。
【0028】
センサタイプAは、例えば、1次電池で駆動される現在利用可能なタイヤ空気圧監視システム(TPMS)のような圧力センサであってもよい。センサタイプBは、例えば、タイヤ温度、振動、または乾燥率と関連されることができる。
【0029】
本発明の他の実施形態において、一部センサには車輪の回転率が予め設定されたRPM(Rounds Per Minute)、すなわち10km/時間の車両速度を超える場合のみに電源が供給されることができる。
【0030】
他の実施形態において、モジュールはタイヤまたはタイヤのリム上に位置されることができるか、またはセンサの数によってタイヤとリムとの間に分割されることができる。
【0031】
互いに異なる実施形態において論じられるエネルギーハーベスタは、例えば、圧電、電磁気、熱または一形態のエネルギーを電気エネルギーに変換する他の方法を利用することができる。
【0032】
WO2008/034825A1、WO2001/080327A1、CN1852017Aのような多数の特許出願によって提案されたように、タイヤの内部装置のための電源として用いられることができる圧電エネルギーハーベスタ21を概略的に示した
図6aを参照する。このエネルギーハーベスタは、圧電材料の曲げ(bending)を利用して、エネルギーを取得する。圧電ハーベスタは、エネルギーハーベスタ21の曲げによって電力が生成される2つの電極21B、21Cの間にカプセル化された圧電層21Aを含む。圧電装置は、タイヤ500に接着されて、タイヤが地面で転がりながら、圧電ハーベスタの位置で撓む時に電気を生産することができる。
【0033】
また、
図6bに示すように、車輪が回転する間に振動するスプリング222に吊り下げられた地震質量体221の機械的エネルギーの変換のための他の圧電エネルギーハーベスタ22を示す
図6bを参照する。この場合、エネルギーハーベスタ22は、
図6cに示すように、タイヤまたはタイヤのリムに装着されることができる。
【0034】
また、タイヤの内部装置の電源として用いられることができる熱電エネルギーハーベスタ23を概略的に示した
図7aを参照する。このようなハーベスタは、中国特許番号CN205365242Uで提案された。ハーベスタは、熱素子23Aの2つの側面23B、23Cの間の温度差に基づく。熱電ハーベスタ23は、タイヤに固定されて、リザーバーとしての役割を果たす道路とタイヤの内部側との間の温度差を活用することができる。選択的に、熱電エネルギーハーベスタ23は、リムに固定されて、タイヤの回転中に冷却され、リザーバーとしての役割を果たすリムとタイヤの内部側との間の温度差からエネルギーを取得することができる。これら2つのオプションは、
図7bに示される。
【0035】
また、Stefano Tornincasaのほか多数による「Energy harvester for vehicle tires:Nonlinear dynamics and experimental outcomes」というタイトルの論文に開示されたエネルギーハーベスタ24の一般的なセットアップを示す
図8aを参照する。可動磁石241は、起電力が合算されるように2つの直列接続されたコイル243、244が反対方向に巻線されるガイド242の内部をスライディングする。予荷重固定磁石245は、下蓋に配置されて浮動する磁石を上蓋で押し出す。2つのゴムバンパー246、247は、可動磁石241及びエンドストロークの間の破壊的な衝撃を避けるために、蓋の内部表面上に設けられる。ガイド242内で浮動する磁石の移動は、コイル内の鎖交磁束(flux linkage)を変更し、電気負荷に電力を供給するのに利用可能な起電力を生成する。同様の構成が、予荷重磁石が上蓋及び下蓋に固定されるように対称する予荷重を用いるMann及びSimsによる「Energy harvesting from the nonlinear oscillations of magnetic levitation」というタイトルの論文で提案されて分析された。
【0036】
また、タイヤ上に装着されたエネルギーハーベスタ24を示した
図8bを参照する。遠心力の結果として、可動磁石241は固定磁石245に向かって押される。これは図面で位置1に表示される。ハーベスタが位置3に到逹すると、タイヤが平らになり、遠心力が0に低下し、可動磁石がガイド242に沿って固定磁石によって押されながら、コイル内に電気が生成される。速度が増加するにつれて、ハーベスタが平坦な領域にある時間が少なくなるので、磁石の応答時間が低下し、発電電力も減少するという点に留意する。論文では、特定設計の場合に生成された電力が3mWに限定され、100kmhの車両速度付近で低下し始めることを示した。
【0037】
図8aに示されたエネルギーハーベスタは、遠心力を利用して自由磁石を固定磁石の方に押すという点に留意する。このようなハーベスタを作動させるためには遠心力が必要となる。遠心力が0になると直ちにタイヤの平坦な部分で自由磁石が固定磁石によって拒否されて、エネルギーの取得が開始される。速度が増加するにつれて遠心力も増加するが、エネルギー取得が発生するタイヤの平坦な部分は、遠心力が再び作用する前においては、自由磁石運動の応答時間が非常に長過ぎて十分な磁石運動ができない状況となるまで狭くなる、という点に留意する。
【0038】
また、タイヤの内部装置の電源として用いられることができる電磁エネルギーハーベスタの一実施形態を概略的に示す
図9a及び9bを参照する。タイヤ500に付着されたハーベスタは、タイヤの撓みが地点202に対する地点102の横方向移動を発生させるように、一端101、201上で互いに連結された2つのアーム10、20を含む曲げ-移動装置1021で構成される。磁石44は、アームの側面102に連結され、コイル331と強磁性コア332を含む電磁気装置33は、アームの側面202に連結される。タイヤの撓みは、磁石がコイルに対して移動して、コイルに電力が生成されるように、側面102と側面202との間に相対的な側面移動を生成する。
【0039】
図9cは、装置33の詳細を示す。電線3311、3312は、電力が生成されるコイルの端部である。コイル内に生成された電力を言及する本発明の全般にわたって、
図9cに示されたようなコイルの両端部を指す。
【0040】
本出願人は、実験室でこの構成をテストした。設定として150Ωのコイル抵抗が含まれる。コイルによる磁石の高速移動は、200msのインパルス幅を有する3.5Vのインパルスを発生した。270Ωの負荷で計算されたエネルギーは71uJである。
【0041】
また、タイヤの内部装置の電源として用いられることができるエネルギーハーベスタの他の実施形態を概略的に示した
図10及び
図11を参照する。
図10はハーベスタ3の拡大図である。タイヤ500に付着されたハーベスタは、タイヤの撓みがプレート402に対する地点302の横方向移動を発生させるように、一端301、401上で互いに連結された2つのアーム30、40を含む曲げ-移動装置1022で構成される。フレーム50は、これが地点302と一緒に移動するように地点302に連結される。磁石61、62は、これら磁石の同じ磁極が互いに向くように、フレーム50の2つの対向面501、502に連結される。電磁気ユニット70は、
図9cに詳しく示すように、ホルダ701、702、コイル703及び強磁性コア704を含み、側面7041、7042を有する金属のようにし、コイルが強磁性コアの周りに巻かれ、コイルワイヤが2つの端部を有するようにする。側面7042は、
図10に示されているが現れない。電磁気ユニット70は、窪み(dint)403、404内にそれぞれロックされるほぞ(tenon)7011、7021を用いてプレート402に固定される。
【0042】
図11a及び
図11bは、2つの状態のハーベスタを示す。
図11aでは、アームはコアの側面7041が磁石61に接触する第1状態にある。アーム30、40が曲がるとフレーム50が押され、それとともに2つの磁石が押され、それにより、側面7042が磁石62に接触する。この動作は、コイルの端部の間に起電力を生成する電磁気装置の磁束極性を反転させる。
【0043】
本出願人は、磁束反転が遥かに高い電力を発生させることを見つけた。コアを備えた9.3Ωコイルを有するこのような構成をテストした時には、22Ω抵抗で3Vを発生させ、スイチングごとに0.61mJのエネルギーを生成する。
【0044】
このように、エネルギーが高くなる理由は、式1から解ることができる。
(1)E=-N・dΦ/dt
ここで、Eはボルトで測定された起電力、Nはコイルaの巻数、Fは磁束である。コイルに対する磁石の移動はdΦ/dtを発生させる。明らかに、dΦ/dtが大きいほど、Eが大きくなる。磁束を反転させることは、磁束に非常に大きい変化を発生させ、よって高い起電力を発生させる。このような構成は、磁束の極性が2つの状態の間で切り替えられるので、トグルモード(toggling mode)と呼ばれる。
【0045】
大きい磁束を発生させて、大きい磁束変化を引き起こすために、磁場をコイルの近くに閉じ込めるように、強磁性ラッピング(ferromagnetic wrapping)を用いることが可能である。
【0046】
図10及び
図11に示される実施形態は、コアの磁束を反転させるために、2つの磁石を用いる。しかしながら、
図12及び
図13に概略的に示すように、コアの磁束を反転させるために、一つの磁石を用いることが可能である。
図12は、ハーベスタの拡大図である。タイヤ500に付着されたハーベスタは、タイヤの撓みがプレート902に対する地点802の横方向移動を発生させるように、一端801、901上で互いに連結された2つのアーム80、90を含む曲げ-移動装置1023で構成される。フレーム100は、延長部1002、1003、1004、1005が形成されるように、曲げられる金属のような強磁性材料で製造される。
【0047】
電磁気ユニット1100は、コイルが強磁性コアの周りを囲み、コイルが
図9cに詳細に示されたように、2つの端部を有するように、ホルダ1101、1102、コイル1103及び側面11041、11042を有する強磁性コア1104を含む。
【0048】
ユニット120は、側面1201が一磁極性で、側面1202が反対磁極性を有する磁石である。ユニット130は、金属のような強磁性材料である。
【0049】
図13a及び
図13bは、2つの状態で構成されたハーベスタを示す。フレーム100と電磁石ユニット110は、コア1104の側面11041がフレーム100に連結されるように、平面902に固定される。磁石120は、側面1201が側面1301と接触し、側面1202が側面1302と接触するようにする内部ユニット130である。
【0050】
図13aに示すように、ハーベスタは、側面1302が延長部1002、1003と接触し、コア1104の側面11042が側面1301と接触するようにする一位置にある。
図12bに示すように、タイヤ500が撓んだときには、側面1301が延長部1004、1005に接触する一方、コア1104の側面11042が側面1302に接触するように、2つのアームの曲げを発生させる。
【0051】
一位置から他の位置への移動は、コアの磁束極性を反転させ、コイルの両端部の間に起電力のインパルスが発生する。このような構成は、スイチングごとに数mJだけ高いエネルギーを取得することができる。このような実施形態において、磁場がコイルの周りでさらに稠密になり、2つの位置の間の転換によって誘導される磁束の変化がより大きくなるように、強磁性材料がコイルを囲むということに注目する。
【0052】
したがって、本発明の一つの重要なことは、タイヤが撓む度に2つの状態の間を切り替えるのである。明らかに、このような切り替え段階が発生するためには、曲げエネルギーハーベスタの最小の曲げが必要であることを意味する。
【0053】
上記実施形態は、変位が発電機で回転を生成するのに用いられた、PCT番号PCT/IL2019/051302に開示された曲げ-変位変換器を用いる。現在、特許出願でこのような変位は磁石とコイルとの間の相対的な横方向移動を生成したり、コアで磁束反転を発生させる状態の間の切り替えのために用いられる。
【0054】
このような曲げ-横方向変位変換器の使用は、ただこのような相対的移動及び磁束反転のためのメカニズムを例示するためのことであり、ハーベスタを活性化するために、他のメカニズムを用いることもできることに留意する。
【0055】
また、
図9に示されたハーベスタを活性化する他の可能な方法を概略的に示した
図14を参照する。ここで、電磁気ユニット33は、タイヤ500に連結されたベース31上に連結され、磁石40はベース31でスライドすることができるフレーム401上に装着される。曲げ-移動変換器1024はフレーム401に連結され、ヒンジ404、405を通じて支持部403に連結されたアーム402を含み、それによって曲げタイヤ500が電磁気ユニット33に対してフレーム401及び磁石44を移動させる。
【0056】
また、
図10及び
図11に示されたハーベスタを活性化する他の可能な方法を概略的に示した
図15を参照する。
図15で、電磁気装置70は、タイヤ500に連結されたプレート402上に装着される。曲げ-移動変換器は、ヒンジ503を通じて支持部502に連結されたアーム501を含む。追加ヒンジがアーム501をフレーム50に連結するように用いられることができる。支持部502はタイヤ500の撓みが電磁気装置内の磁束の極性を反転させる2つの状態の間で電磁気装置70に対して磁石61、62を有するフレーム50を移動させるように、タイヤ500に連結される。
【0057】
また、
図12及び
図13に示されたハーベスタを活性化する他の可能な方法を概略的に示した
図16を参照する。ここで、
図12に示すように、電磁気ユニット1100を収容するフレーム100がタイヤ500に連結されたベース140に連結される。曲げ-移動変換器1026は、タイヤ500の撓みが2つの状態の間で磁石120を有する磁石ユニット130を移動させるように、タイヤ500に連結された支持部1304にヒンジ1305を介して連結されたアーム1303を含む。
【0058】
図14乃至
図16に示された実施形態において、支持部403、502及び1304は、アーム402、501及び1303をタイヤ500に連結するのに用いられる。このような支持部は、すべての応用に必要なものではない。例えば、タイヤ上にハーベスタを適用する場合、タイヤの撓みは支持部がない状態でアームをタイヤに直接連結するようにすることができる。また、
図14乃至
図16に示された実施形態で、ヒンジが概略的に示された。これらヒンジは、ハーベスタの適切な機能ができるようにするために、タイヤ500の撓みによってアーム402、501及び1303の移動を許容するように設計される。また、一部場合において、一つよりはたくさんのヒンジが必要となることは明らかである。
【0059】
一部場合において、タイヤに連結されたハーベスタの部品の代わりに、タイヤ自体を用いることが可能であるという点が理解され得る。
【0060】
本特許出願に開示された曲げエネルギーハーベスタを活性化するために、他のメカニズムが設計されることができる。このような設計は、一つの部分が磁石を保持し、一つの部分が電磁気装置を保持して、例えば、これらの間のヒンジ連結を有することにより、互いに対する移動が自由になるようにする2つの部分を含む相異する幾何学的形態を利用することができ、それによって、タイヤ上に装着される時に、タイヤの撓みが磁石が電磁気装置に対して移動するように、2つの部分を互いに対して相対的に移動させる。
【0061】
また、最小の曲げに到達すると、スプリングが巻戻され、磁石をコイルに対して移動させて、磁束の極性反転がより速くなり、したがって、dΦ/dtになるように、スプリングを含むことが可能である。
【0062】
本特許出願に記述された曲げエネルギーハーベスタは、初期状態で曲げアームが平坦であることに示した。初期状態で、ハーベスタが固定されたタイヤに合わせて曲げられることができることは明らかである。
【0063】
本特許出願の一実施形態において、タイヤの撓みを電気に変換するための装置がタイヤに固定されるように設計された。この装置は、コイル及びコアを含む電磁気装置、磁石及び繰り返し的に電力のインパルスがコイルによって発生されるように、タイヤの撓みを電磁気装置に対する磁石の移動に変換するように設計された変換器を含む。
【0064】
本特許出願の他の実施形態において、タイヤの撓みを電気に変換するための装置がタイヤに固定されるように設計される。この装置は、第1端部及び第2端部を有するコア及びコイルを含む電磁気装置、電磁気装置を囲むように設計されたフレーム、タイヤの撓みをフレームの移動に変換するように設計された変換器、フレームの第1側面に固定されるように設計された第1磁石、及びフレームの第2側面に固定されるように設計された第2磁石を含み、それにより、タイヤの前後移動が第1磁石が自分の第1端部でコアに接触する第1状態から第2磁石が自分の第2端部でコアに接触する第2状態へのフレームの前後移動を発生させ、それにより、コイルによって電力の繰り返しインパルスが発生されるように、コア内の磁束が繰り返し的に反転されることができる。
【0065】
本特許出願の他の実施形態において、タイヤの撓みを電気に変換するための装置がタイヤに固定されるように設計される。この装置は、第1端部及び第2端部を有するコア及びコイルを含む電磁気装置、磁石の第1面に付着される第1延長部及び磁石の第2面に付着される第2延長部を有する磁石、タイヤの撓みを磁石の移動に変換するように設計された変換器を含み、この装置は、第1延長部が磁石の第1側面をコアの第2端部に連結し、磁石の第2側面が媒体を介してコアの第1端部に連結される第1位置に位置してもよく、この装置は、第2延長部が磁石の第2側面をコアの第2端部に連結し、磁石の第1側面が媒体を介してコアの第1端部に連結される第2位置に位置してもよく、それにより、タイヤの前後移動が第1位置から第2位置への磁石の前後移動を発生させて、コア内の磁束が繰り返し的に反転されることができる。
【0066】
また、タイヤ500の内部装置のための電源として用いられることができるエネルギーハーベスタ8の他の実施形態を概略的に示した
図17aを参照する。この実施形態において、磁石8003は、アンカー8005によってタイヤ500に固定される曲げスプリング8004によって吊り下げられる。磁石は距離80013を隔ててコイル8002のコア8001に近く位置される。コイル及びコアの一般的な例が
図9cに示された。タイヤが急に撓むと、磁石が強制的に振動して、コイルに電気が発生される。
【0067】
図17aに示すように、タイヤの回転は遠心力Fcを発生させる。これにより、磁石が自分の好ましい動作点からコア8001に対して移動するようになり、これは、高電力変換を反映する。アンカー8005に固定された追加スプリング8006を追加することにより、
図17bに示された一部距離で追加スプリングの追加によって、
図2に示された所定距離に追加スプリングを追加して、磁石移動を制限することが可能である。スプリング8006は、スプリング8004が予め設定された距離で遠心力によって偏向される時のみに活性化される。スプリング8004が遠心力による所定の曲げ状態で衝撃によって振動する時に、これはスプリング8006と前後に弾性的にエネルギーを交換して、結局コイル8002内の電気に変換される。互いに異なる遠心力で作動するスプリング8006の下に複数のスプリングを追加することが可能である。
図17cに例示されたように、スプリング8004の上にスプリングを追加することも可能である。同様の方式で、このようなスプリングは振幅が所定の距離を超えると効果的にスプリングを硬直させることで、スプリング8004の振動を制限する。
【0068】
図17dには2つの磁石80031、80032が用いられるこのような構成の他のバージョンが示されている。このような構成の長所は、磁石の振動が一つの磁石に比べてより大きい磁束変化を生成することができるという点である。また、追加磁石は遠心力の結果でスプリング8004の曲げを補償することができるので、ハーベスタの作業ウィンドウを増加させることができる。磁石が移動する時に、コア内の磁束の変化を改善する任意の構成の磁石が用いられることができることに注目する。例えば、磁石が移動する時に、コア内の磁束が値の大きな変化を発生させるように、磁石の間の間隔が変調されてもよく、極性が反転されてもよく、強磁性遮蔽物を用いてもよい。
【0069】
タイヤの内部に高圧力が存在することに注目する。車のタイヤで、圧力は、通常、小型車両の場合35psi、トラックタイヤの場合最大100psiに至る範囲を有する。35psiでは空気密度が大気圧よりも3倍高く、100psiでは空気密度が大気圧よりも8倍高い。高圧は、空気の粘度を増加させて粘性減衰を増加させる。これから
図17eを参照する。この実施形態で、スプリング8006は磁石8006-1で取り替えられることができる。スプリングの代わりに磁石を用いる長所は、遠心力が高く、スプリング8004がスプリング8006に向かって曲がる高速で動作するということである。2つのスプリングが高粘度環境で互いに近接する時に、スクイズフィルム効果減衰は、エネルギーの一部を熱に変換して、電気に変換されるエネルギーを減少させる。同様の方式で、
図17fで、磁石80041-1、80041-2は、
図17cに示されたスプリング80041、80041を取り替える。
【0070】
エネルギーハーベスタは、ビスコース(viscose)効果によるエネルギー損失を減らすために、低圧チャンバに密封されることができることにも留意する。
【0071】
また他のオプションは、
図17gに示すように、コイルとコアをスプリング8008及びダンパー8009に吊り下げることである。この実施形態は、2つのスプリング-質量体システムを生成する。スプリング8004及び磁石8003を含むシステム、そしてスプリング8008、コイル8002、及びコア8001を含むシステムである。2つのスプリング-質量体システムは、遠心力によるコア及び磁石での偏向が同一になるように設計される。これは、k
1/m
1=k
2/m
2の場合に達成され、ここで、k
1はスプリング8004のスプリング定数であり、m
1は磁石8003の質量であり、k
2はスプリング8008のスプリング定数であり、m
2はコイル8002及びコア8001の質量である。この場合、磁石とコアの相対的な位置は明らかに変化しない。タイヤがハーベスタ位置で地面に接触する時に、ハーベスタ8が急激な衝撃を経験する場合、2つのシステム上に衝撃が発生される。ダンパー8009は、タイヤがタイヤの平坦な部分を出る前にコイルが大きく移動しないように設計され、それにより、コアに対する磁石の振動によって相対移動が発生される。
図17hはダンパー8009の一つの可能な構成を示す。言及したように、タイヤ内部圧力は高く、空気は大気圧の空気よりも遥かに密度が高い。よって、穴の内部の空気移動がスプリング8008の移動を減衰させるように、ダンパーは穴80091がほとんどないピストン80092を含むことができる。
【0072】
タイヤ500の内部装置のための電源として用いられることができるエネルギーハーベスタ8の他の実施形態を概略的に示した
図17i及び
図17jを参照する。この実施形態は、スプリング8004がタイヤの平面で自由に振動するように90゜回転されるという点を除けば、
図17aで記述された実施形態と同様である。タイヤが急に撓むと、磁石が強制的に振動し、コイル内に電気が発生する。このような幾何学的構造の長所は、スプリング8004が遠心力方向で硬くて、作動点がほとんど影響を受けないということである。
【0073】
エネルギーハーベスタ8の取得された電力は、コア8001と磁石8003または磁石80031及び80032の間の間隔80013によって異なる。間隔80013が小さいほど、磁石移動の結果として取得された電力がより高くなる。どころが、間隔が小さく、車両速度が低い場合、生成されたインパルスが磁石とコアとの間の力を克服し、磁石が振動するようにするには小さ過ぎる可能性がある。実際に、磁石の極の一つがコアにより近くなって、小さな衝撃が電磁気力を克服できないように、静止した状態で、スプリング8004のスプリング定数に応じてスプリングが曲がることができる。したがって、高速及び高い振幅で間隔80013が低い振幅でより近くなるように、車両速度によって変わる間隔80013を有することが好ましい。
【0074】
図17kは車両速度の関数として間隔80013を制御する一つの方法を示す。この実施形態で、遠心力はヒンジ80016に吊り下げられたバー80015に固定された質量体80014を引っ張るのに用いられる。レバー80017は、X方向に自由にスライドするスプリング支持部8005に連結される。車両の速度が増加するにつれて、質量体80014が下に押され、間隔80013が減少するようにスプリングホルダ8005がX方向に押される。車両速度が減少するにつれて、質量体80014が復帰し、スプリングホルダ8005は間隔80013が増加するようにスプリング80018によって後にスライドする。
【0075】
エネルギーハーベスタ8は、
図17lに示すように、タイヤリム80010上に装着されることができ、ここで、タイヤリムの振動及び衝撃から電気が発生されることができることに注目する。
【0076】
また、エネルギーハーベスタは、本特許出願に記述された互いに異なる実施形態の組合せであってもよいことに注目する。例えば、これは、
図17e及び
図17fに記述された磁石と、
図17a乃至
図17dに記述されたスプリングの組合せを用いることができる。また、本特許出願に記述されたスプリングは、ただスプリングを例示するために示され、スプリングは異なる形態、それによる異なる断面を有してもよく、任意の方向に曲げることができることに留意する。
【0077】
タイヤ500から電力を取得するためのエネルギーハーベスタ5001の使用を例示する
図18を参照する。ハーベスタは、タイヤの内部に付着されたり、タイヤの内部に内蔵されてタイヤのランダム曲げの結果として電気を発生させることができる。
図9に例示されたような一実施形態で、曲げはコイルに対する磁石の移動を発生させる。
図10乃至
図16に例示された他の実施形態で、タイヤの撓みの結果として、ハーベスタが2つの状態の間をトグルする時電力が発生される。
図17に例示されたような他の実施形態で、タイヤの急激な撓みは、コイル-コアシステムに対して磁石が振動するようにする。
【0078】
タイヤの接触面は平坦な断面によって特徴づけられ、そのため、
図18に示された「a」地点と「b」地点で撓みが発生する。エネルギーハーベスタは、
図19に示すように、垂直に配置されてもよい。このような撓みは周知のものであり、機械的装置はコイルに対する磁石の移動または振動だけでなく、各トグル段階が磁束極性を反転させるように、状態の間のトグルを発生させるように設計されることができる。
【0079】
図17に示された多様なハーベスタ構成のエネルギー取得過程は、ハーベスタが地面との接触を終了する時(
図18のB地点)に発生し、この地点でスプリングに吊り下げられた磁石がスプリングに貯蔵されたエネルギーによって振動し始めるという点に注目する。スプリング-磁石システムの自由振動は、タイヤの次の回転まで発生する可能性があるので、タイヤの回転の大部分を通じて磁石の自由振動を電気に変換することにより取得されることができる。固定磁石の目的は、ただ遠心力を補償するためである。これは、遠心力が取得されたエネルギーのエネルギー源である、
図8に記述された電磁エネルギーハーベスタに比べて有利である。
図8に示されたエネルギー取得は、ハーベスタがタイヤの平坦な部分(
図18で、地点AとBと間)にある時間の間のみに発生し、ここで、遠心力が相殺され、自由磁石は固定磁石によって拒否される。ハーベスタが平坦な領域を逸脱すると、半径方向への振動がほとんどなく、直ちに固定磁石に向かって引き戻される。前述したように、車輪の回転が速いほど、自由磁石が平坦な領域に位置する時間が少なく、固定磁石によって印加される拒否する力が発生する。また、実験から分かるように、固定磁石がタイヤの平坦な部分を出ると直ちに遠心力は取得されたエネルギーに寄与することができる相当な磁石振動なしにこれを固定磁石に向かって押す。
【0080】
また、
図20a乃至
図20cに示された実施形態を参照する。
図20aは、車輪55の前方断面図を示し、
図19bは、内部面200を有するリム及び内部面99を有するタイヤを含む車輪55の側面図である。タイヤの撓みを電気に変換するためのハーベスタ5003は、リム200の内部面上にまたはタイヤ500の内部面99に配置されることができる。ハーベスタから延長する延長アーム141、例えば、
図14のアーム402、または
図15のアーム501、または
図16のアーム1303は、これが接触したり、寄りかかったり、または単純にタイヤの内部面に近接する方式で用いることが可能であり、それにより、タイヤが撓む時に本特許出願に記述された任意の実施形態に係るエネルギーハーベスタ内の移動を誘導するように延長部が移動したり曲がる。
【0081】
また、車輪55の断面を示した
図20cに示された実施形態を参照する。この実施形態において、エネルギーハーベスタ5004は、リム200の内部面上に配置される。エネルギーハーベスタから延長する延長アーム141は、タイヤの内部面に接触したり、寄りかかったりまたはこれに近接してタイヤが撓む時に、本特許出願に記述された任意の実施形態に係るエネルギーハーベスタ内の移動を誘導するように延長部が移動したり曲がる。
図20cに示されたエネルギーハーベスタは、2つの状態に示された。上部位置でタイヤはたわまず、延長アームは緩い状態である。地面位置でタイヤが撓み、延長アームは第2状態である曲げ状態にある。一状態から他の状態への切り替えは本特許出願の他の実施形態で記述されたように、エネルギーハーベスタを活性化する。
【0082】
図20a乃至
図20cに示したような延長アームは、実施例としてだけ示されるものである。アームは、ハーベスタで必要な移動を生成するのみ十分な剛性を有すれば、金属またはゴムのような任意の可撓性材料または圧縮可能な材料で製造されることができる。
【0083】
本発明は車輪内に位置されるように設計されたモジュールを含む車輪タイヤの状態を監視するためのシステムに関するもので、このモジュールは、少なくとも一つのセンサ、モジュールプロセッサ、モジュール送信機、及び電源管理回路を含む。このシステムは、また、コア上に巻き取られたコイル及びスプリングに吊り下げられており、コアに近接した距離にある少なくとも一つの磁石を含む電磁気エネルギーハーベスタを含み、それによって、タイヤの衝撃は、磁石が振動して電源管理回路によって管理され、その後にセンサ、モジュールプロセッサ及びモジュール送信機に電力を供給するように用いられるコイル内の電力を生成するようにする。
【0084】
このシステムは、管理された電力がセンサ、モジュールプロセッサ及びモジュール送信機に電力を供給するのに用いられるエネルギー貯蔵装置を充電するように、エネルギー貯蔵装置及び充電回路を含むことができる。
【0085】
このシステムは、1次電池及びコンデンサを含むことができ、管理された電力はコンデンサを充電し、センサはモジュールプロセッサによって制御される充電方式に応じてコンデンサ、または1次電池によって選択的に電力が供給されるように設計される。
【0086】
このシステムは、車輪の回転率が増加するにつれて、距離がより小さくなるように、磁石とコアとの間の距離を制御するメカニズムを含むことができる。
【0087】
このシステムは、タイヤが回転する間に、タイヤ内に発生する遠心力によって誘導される磁石の変位を補償するメカニズムを含むことができる。
【0088】
このシステムは、磁石を支持するスプリングの偏向を減衰させる少なくとも一つの減衰スプリングを含むことができ、ここで、偏向はタイヤが回転する時に、タイヤ内に発生する遠心力によって誘導される。
【0089】
このシステムは、スプリングに吊り下げられた磁石上に固定磁石によって加えられる磁気力がタイヤが回転する間にタイヤ内に発生される遠心力の方向と反対方向になるように、ハーベスタ本体に対して固定された磁石を含むことができる。
【0090】
このシステムは、制御された圧力でエネルギーハーベスタをカプセル化するチャンバを含むことができる。
【0091】
本発明で記述されたシステムは、タイヤの機械的エネルギーを電気に変換するためのエネルギーハーベスタを用いる。このようなシステム及びエネルギーハーベスタは、多数の状況と多数の構成要素で用いられることができる。例えば、これは、車輪の内部に用いられることができる。以下及び特許請求範囲で、車両という用語は、自動車、トラック、バス、トラクタ、自転車、馬車などのように、リムとタイヤを含む少なくとも一つの車輪を有するあらゆる種類の運搬機械のことをいう。
【0092】
また、本発明は、リム、タイヤ及びタイヤの撓みを電気に変換するための装置を含む車輪に関する。任意の時点に地面と接触するタイヤの部分がタイヤの他の部分に対して撓むことが知られている。よって、本発明で記述されたエネルギーハーベスタをリムの内部面またはタイヤの内部面に固定することができ、タイヤの撓みをハーベスタに伝達するために、エネルギーハーベスタとタイヤとの間を連結するようにアームを用いることができる。伝達された動きは、2つの状態の間で磁石をトグルすることにより、または、コイルのコアに対して磁石を移動することにより、または、コイルのコアに対してスプリングに吊り下げられた磁石を振動させることにより、ハーベスタを活性化する。
【国際調査報告】