(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230628BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20230628BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20230628BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230628BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230628BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20230628BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20230628BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230628BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20230628BHJP
【FI】
H02J7/00 302
H02J7/00 H
H02J7/04 L
H02J7/00 P
H02M7/48 E
H01M10/48 P
H01M10/44 P
H01M10/615
H01M10/6571
H01M10/625
H01M10/633
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574363
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2021098397
(87)【国際公開番号】W WO2021244642
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】202010502048.8
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】廉玉波
(72)【発明者】
【氏名】凌和平
(72)【発明者】
【氏名】潘▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲閻▼磊
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼▲飛▼▲躍▼
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H031
5H770
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC07
5G503DA08
5G503FA06
5G503GA01
5G503GB03
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H031CC09
5H031KK03
5H770BA01
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770HA02Z
5H770HA03Z
5H770HA06Z
5H770JA11Z
5H770JA17W
5H770JA17Z
(57)【要約】
本開示は、電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両に関する。該電池のエネルギー処理装置は、第1バス端子が電池の正極に接続され、第2バス端子が電池の負極に接続されたブリッジアームコンバータと、第1端子がブリッジアームコンバータの中間点に接続されたモータ巻線と、それぞれモータ巻線の第2端子と第2バス端子に接続されたエネルギー貯蔵素子と、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、電池が充電及び放電を行って、電池への加熱を実現するように構成されたコントローラと、を含む。このように、電池の充電及び放電を制御して、電池の内部抵抗の存在により、電池自体に大量の熱を発生させ、電池を昇温させ、電池への加熱を実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池のエネルギー処理装置であって、
第1バス端子が前記電池の正極に接続され、第2バス端子が前記電池の負極に接続されたブリッジアームコンバータと、
第1端子が前記ブリッジアームコンバータの中間点に接続されたモータ巻線と、
前記モータ巻線の第2端子と前記第2バス端子とにそれぞれ接続されたエネルギー貯蔵素子と、
第1所定状態で、前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記電池の充電及び放電を行って、前記電池の加熱を実現するように構成されたコントローラと、を含む、ことを特徴とする電池のエネルギー処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1所定状態で、前記ブリッジアームコンバータのうちの少なくとも1相ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子が前記電池の充電と放電を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項3】
前記ブリッジアームコンバータの多相ブリッジアームが制御される間、前記多相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになり、或いは、前記多相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになる、ことを特徴とする請求項2に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1所定状態で、前記エネルギー貯蔵素子を流れる電流及び/又は前記エネルギー貯蔵素子の両端の電圧を取得し、かつ前記電流及び/又は前記電圧に基づいて、前記ブリッジアームコンバータの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームのオン/オフ状態の切り替えを制御するように構成される、ことを特徴とする請求項3に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1所定状態で、
前記上ブリッジアームがオン状態にあり、かつ前記電流が第1電流閾値まで増加し、及び/又は、前記電圧が第1電圧閾値まで増加する場合、オフにするように前記上ブリッジアームを制御し、オンにするように前記下ブリッジアームを制御し、
前記下ブリッジアームがオン状態にあり、かつ前記電流が第2電流閾値に達し、及び/又は、前記電圧が第2電圧閾値まで減少する場合、オンにするように前記上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記下ブリッジアームを制御するように構成され、
前記第1電流閾値に対応する電流方向は、前記第2電流閾値に対応する電流方向と逆である、ことを特徴とする請求項4に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項6】
前記上ブリッジアームがオン状態にある場合、前記上ブリッジアームのオン時間に基づいて、前記エネルギー貯蔵素子と前記モータ巻線は、前記電池にエネルギーを放出する状態から前記電池からエネルギーを受ける状態に切り替えられ、
前記下ブリッジアームがオン状態にある場合、前記下ブリッジアームのオン時間に基づいて、前記エネルギー貯蔵素子は、前記モータ巻線からエネルギーを受ける状態から前記モータ巻線にエネルギーを放出する状態に切り替えられる、ことを特徴とする請求項5に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵素子に直列接続された第1スイッチをさらに含み、前記第1スイッチは、前記モータ巻線の前記第2端子と前記第2バス端子との間に接続され、
前記コントローラは、前記第1所定状態で、オンにするように前記第1スイッチを制御するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項8】
前記コントローラはさらに、第2所定状態で、オフにするように前記第1スイッチを制御し、かつ前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記モータ巻線に対応するモータがパワーを出力するように構成される、ことを特徴とする請求項7に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項9】
前記エネルギー貯蔵素子の両端には、給電装置に外接するように、第1端子及び第2端子が接続され、前記コントローラはさらに、第3所定状態で、前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記給電装置が前記電池のエネルギー処理装置により前記電池に対して充電を行うように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項10】
第1スイッチ及び第2スイッチをさらに含み、前記第1スイッチは、前記モータ巻線の前記第2端子と前記エネルギー貯蔵素子にそれぞれ接続され、前記第1端子は、前記エネルギー貯蔵素子と前記第1スイッチにそれぞれ接続され、前記第2スイッチは、前記エネルギー貯蔵素子と前記第2バス端子にそれぞれ接続され、前記第2端子は、前記第2スイッチに接続され、
前記コントローラはさらに、前記第3所定状態で、オンにするように前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを制御し、かつ前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記給電装置が前記電池に対して充電を行うように構成される、ことを特徴とする請求項9に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第3所定状態で、オンにするように前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを制御し、かつ前記ブリッジアームコンバータの下ブリッジアームのオンとオフを周期的に制御することにより、前記給電装置が前記電池に対して昇圧充電を行うように構成され、又は、
前記コントローラは、前記第3所定状態で、オンにするように前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを制御し、かつオフにするように前記ブリッジアームコンバータの下ブリッジアームを制御することにより、前記給電装置が前記電池に対して充電を直接的に行うように構成される、ことを特徴とする請求項10に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記第1所定状態で、前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子と前記電池が繰り返し充電と放電を行って、前記電池の加熱を実現するように構成される、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の電池のエネルギー処理装置。
【請求項13】
電池のエネルギー処理方法であって、
第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、電池の充電及び放電を行って、前記電池の加熱を実現するステップを含み、前記ブリッジアームコンバータの第1バス端子が前記電池の正極に接続され、前記ブリッジアームコンバータの第2バス端子が前記電池の負極に接続され、モータ巻線の第1端子が前記ブリッジアームコンバータの中間点に接続され、前記エネルギー貯蔵素子がそれぞれ前記モータ巻線の第2端子と前記第2バス端子とに接続される、ことを特徴とする電池のエネルギー処理方法。
【請求項14】
前記第1所定状態で、前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子と前記電池の充電と放電を行う、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子と前記電池の充電と放電を行うステップは、
前記第1所定状態で、前記ブリッジアームコンバータのうちの少なくとも1相ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子と前記電池の充電と放電を行うステップを含み、該ステップは、前記第1所定状態で、前記エネルギー貯蔵素子を流れる電流及び/又は前記エネルギー貯蔵素子の両端の電圧を取得し、かつ前記電流及び/又は前記電圧に基づいて、前記ブリッジアームコンバータの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームのオン/オフ状態の切り替えを制御するステップを含み、
前記ブリッジアームコンバータの多相ブリッジアームが制御される間、前記多相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになり、或いは、前記多相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになる、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電流及び/又は前記電圧に基づいて、前記ブリッジアームコンバータの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームのオン/オフ状態の切り替えを制御する前記ステップは、
前記上ブリッジアームがオン状態にあり、かつ前記電流が第1電流閾値まで増加し、及び/又は、前記電圧が第1電圧閾値まで増加する場合、オフにするように前記上ブリッジアームを制御し、オンにするように前記下ブリッジアームを制御するステップと、
前記下ブリッジアームがオン状態にあり、かつ前記電流が第2電流閾値に達し、及び/又は、前記電圧が第2電圧閾値まで減少する場合、オンにするように前記上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記下ブリッジアームを制御するステップと、を含み、
前記第1電流閾値に対応する電流方向は、前記第2電流閾値に対応する電流方向と逆であり、
前記上ブリッジアームがオン状態にある場合、前記上ブリッジアームのオン時間に基づいて、前記エネルギー貯蔵素子と前記モータ巻線を、前記電池にエネルギーを放出する状態から前記電池からエネルギーを受ける状態に切り替え、
前記下ブリッジアームがオン状態にある場合、前記下ブリッジアームのオン時間に基づいて、前記エネルギー貯蔵素子を、前記モータ巻線からエネルギーを受ける状態から前記モータ巻線にエネルギーを放出する状態に切り替える、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エネルギー貯蔵素子は、第1スイッチに直列接続され、前記第1スイッチは、前記モータ巻線の前記第2端子と前記第2バス端子との間に接続され、
前記方法は、前記第1所定状態で、オンにするように前記第1スイッチを制御するステップと、
第2所定状態で、オフにするように前記第1スイッチを制御し、かつ前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記モータ巻線に対応するモータがパワーを出力するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギー貯蔵素子の両端には、給電装置に外接するように、第1端子及び第2端子が接続され、
前記方法は、第3所定状態で、前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記給電装置が前記モータ巻線により前記電池に対して充電を行うステップをさらに含み、
前記給電装置が前記モータ巻線により前記電池に対して充電を行うステップは、前記給電装置が前記モータ巻線により前記電池に対して昇圧充電を行うステップを含み、第3所定状態で、前記ブリッジアームコンバータの下ブリッジアームのオンとオフを周期的に制御することにより、前記給電装置が前記電池に対して昇圧充電を行い、或いは、
前記給電装置が前記モータ巻線により前記電池に対して充電を行うステップは、前記給電装置が前記モータ巻線により前記電池に対して充電を直接的に行うステップを含み、前記第3所定状態で、オフにするように前記ブリッジアームコンバータの下ブリッジアームを制御することにより、前記給電装置が前記電池に対して充電を直接的に行う、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子と前記電池の充電と放電を行って、前記電池の加熱を実現する前記ステップは、
前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子と前記電池が繰り返し充電と放電を行って、前記電池の加熱を実現するステップを含む、ことを特徴とする請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
電池を含む車両であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の電池のエネルギー処理装置をさらに含む、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2020年6月4日に提出された出願番号202010502048.8、名称「電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両」の中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電池の技術分野に関し、特に電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギーの広範な使用に伴い、電池は、動力源として様々な分野に適用することができる。電池が動力源として使用される環境が異なり、電池の性能にも影響を与える。例えば、低温環境下での電池の性能は、常温の場合よりも大幅に低下する。例えば、ゼロ温度で電池の放電容量は、温度の低下に伴って低下する。-30℃の条件下で、電池の放電容量が実質的に0となるため、電池を使用できなくなってしまう。低温環境下で電池を使用できるために、電池を加熱する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、関連技術における技術的課題の1つを少なくとも解決することを目的とする。
【0005】
したがって、本開示は、電池のエネルギー処理装置を提供することを第1目的とする。
【0006】
本開示は、電池のエネルギー処理方法を提供することを第2目的とする。
【0007】
本開示は、車両を提供することを第3目的とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の実施例の第1態様に係る電池のエネルギー処理装置は、第1バス端子が前記電池の正極に接続され、第2バス端子が前記電池の負極に接続されたブリッジアームコンバータと、第1端子が前記ブリッジアームコンバータの中間点に接続されたモータ巻線と、前記モータ巻線の第2端子と前記第2バス端子にそれぞれ接続されたエネルギー貯蔵素子と、第1所定状態で、前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記電池が充電及び放電を行って、前記電池への加熱を実現するように構成されたコントローラと、を含む。
【0009】
第2態様では、本開示に係る電池のエネルギー処理方法は、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、電池が充電及び放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップを含み、前記ブリッジアームコンバータの第1バス端子が前記電池の正極に接続され、前記ブリッジアームコンバータの第2バス端子が前記電池の負極に接続され、モータ巻線の第1端子が前記ブリッジアームコンバータの中間点に接続され、前記エネルギー貯蔵素子が前記モータ巻線の第2端子と前記第2バス端子にそれぞれ接続される。
【0010】
第3態様では、本開示に係る電池を含む車両は、上記第1態様に係る電池のエネルギー処理装置をさらに含む。
【0011】
上記技術手段において、電池に接続されたブリッジアームコンバータ、モータ巻線及びエネルギー貯蔵素子を含む新たな回路トポロジーを設計し、具体的には、エネルギー貯蔵素子がモータ巻線の第2端子とブリッジアームコンバータの第2バス端子にそれぞれ接続され、ブリッジアームコンバータが電池とモータ巻線にそれぞれ接続され、このような回路トポロジーに基づいて、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、電池が充電及び放電を行って、電池の内部抵抗の存在により、電池自体に大量の熱を発生させるため、電池を昇温させ、電池への加熱を実現する。
【0012】
本開示の他の特徴及び利点については、後の具体的な実施形態部分において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、本開示のさらなる理解を提供し、明細書の一部を構成するものであり、以下の具体的な実施形態と共に本開示を説明するものであるが、本開示を限定するものではない。
【0014】
【
図1】本開示の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置の構造ブロック図である。
【
図2】本開示の
図1に示す電池のエネルギー処理装置の例示的な実施例に係る回路トポロジー図である。
【
図3】本開示の
図2に係る電池のエネルギー処理装置が第1所定状態で繰り返して充放電する過程の概略図である。
【
図4】本開示の
図2に係る電池のエネルギー処理装置が第1所定状態で繰り返して充放電する過程の概略図である。
【
図5】本開示の
図2に係る電池のエネルギー処理装置が第1所定状態で繰り返して充放電する過程の概略図である。
【
図6】本開示の
図2に係る電池のエネルギー処理装置が第1所定状態で繰り返して充放電する過程の概略図である。
【
図7】本開示の
図2に示す電池のエネルギー処理装置の別の例示的な実施例に係る回路トポロジー図である。
【
図8】本開示の別の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置が第3所定状態にある場合の回路トポロジー図である。
【
図9】本開示の別の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置が第3所定状態にある場合の回路トポロジー図である。
【
図10】本開示の別の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置が第3所定状態にある場合の回路トポロジー図である。
【
図11】本開示の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記述した具体的な実施形態は、本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0016】
図1に示すように、該電池のエネルギー処理装置は、第1バス端子が電池10の正極に接続され、第2バス端子が電池10の負極に接続されたブリッジアームコンバータ20と、第1端子がブリッジアームコンバータ20の中間点に接続されたモータ巻線30と、該モータ巻線30の第2端子と該第2バス端子にそれぞれ接続されたエネルギー貯蔵素子40と、第1所定状態で、該ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、該電池10が充電及び放電を行って、該電池10への加熱を実現するように構成されたコントローラ50と、を含む。
【0017】
電池10に接続されたブリッジアームコンバータ20、モータ巻線30及びエネルギー貯蔵素子40を含む新たな回路トポロジーを設計することにより、具体的には、エネルギー貯蔵素子40がモータ巻線30の第2端子とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子にそれぞれ接続され、ブリッジアームコンバータ20が電池10とモータ巻線30にそれぞれ接続され、このような回路トポロジーに基づいて、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、電池10が充電及び放電を行って、電池10の内部抵抗の存在により、電池10自体に大量の熱を発生させるため、電池10を昇温させ、電池10への加熱を実現する。
【0018】
具体的な実施例において、第1所定状態で、コントローラ50により、エネルギー貯蔵素子40と電池10が充電と放電を行う。
【0019】
該電池のエネルギー処理装置が車両に配置されてもよいため、該電池10は、車両に配置された電池であってもよい。勿論、該電池のエネルギー処理装置は、電池を有する他の装置に配置されてもよく、本開示は、これを限定しない。
【0020】
本開示に係る電池のエネルギー処理装置において、モータ巻線30は、多相巻線、例えば、2相巻線、又は
図2に示された3相巻線などを含んでもよい。それに応じて、ブリッジアームコンバータ20は、多相巻線と一対一に対応する多相ブリッジアームを含んでもよい。
図2に示すように、モータ巻線30は、A相巻線、B相巻線及びC相巻線を含んでもよく、各相巻線はいずれも、それぞれ第1端子及び第2端子(
図2に示す平面方向において、第1端子は、左側端であり、第2端子は、右側端である)を有する。A相巻線の第1端子、B相巻線の第1端子、C相巻線の第1端子は、ブリッジアームコンバータ20の中間点を接続する、モータ巻線30の第1端子を形成する。また、A相巻線の第2端子、B相巻線の第2端子、C相巻線の第2端子は、共通接続されて、エネルギー貯蔵素子40を接続する、モータ巻線30の第2端子を形成する。
【0021】
例示的には、エネルギー貯蔵素子40は、コンデンサであってもよい。該第1所定状態は、電池加熱状態であってもよい。例えば、ユーザは、実際のニーズに応じて、電池加熱スイッチをトリガする方式で、車両が電池加熱状態に入るようにトリガすることができる。或いは、コントローラ50は、電池の温度を特徴づける信号を取得し、電池の温度が電池の温度閾値以下である場合、車両が電池加熱状態に入ることを決定することができる。該第1所定状態で、コントローラ50は、該ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、該エネルギー貯蔵素子40と該電池10が充電と放電を行って、該電池10への加熱を実現することができる。
【0022】
上記技術手段において、エネルギー貯蔵素子40は、エネルギーの貯蔵及び放出を行うことができる。第1所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、モータ巻線30を流れる電流の方向、及びエネルギー貯蔵素子40の両端の電圧を制御することができる。このように、エネルギー貯蔵素子40と電池10との間の充電及び放電を制御することができる。電池の内部抵抗の存在により、エネルギー貯蔵素子40と電池10との間のこのような充電及び放電過程は、電池自体に大量の熱を発生させるため、電池を昇温させ、電池への加熱を実現する。また、モータ巻線30は、多相ブリッジアームを含み、ブリッジアームコンバータ20は、多相ブリッジアームを含むため、第1所定状態で、本開示に係る電池のエネルギー処理装置は、選択のために様々な制御ポリシーを提供することができ、すなわち、そのうちの1相巻線がエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与する可能性を提供するだけでなく、多相巻線がエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与する可能性も提供する。このように、実際の加熱ニーズに応じて、コントローラ50に対応するポリシーを配置し、さらに異なる加熱効率を実現し、柔軟性、実用性をさらに向上させることができる。
【0023】
本開示において、第1所定状態で、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20のうちの少なくとも1相ブリッジアームを制御することにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が充電及び放電を行ってもよい。すなわち、一実施例において、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20における1相ブリッジアーム、例えば、
図2におけるA相ブリッジアームを制御することにより、該相ブリッジアームに対応する巻線(例えば、
図2におけるA相巻線)がエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与し、エネルギー貯蔵素子40と電池10との充電及び放電を実現することができる。別の実施例において、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20における多相ブリッジアーム、例えば、
図2におけるA相ブリッジアーム及びB相ブリッジアームを制御することにより、該2相ブリッジアームに対応する巻線(例えば、
図2におけるA相巻線及びB相巻線)がエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与し、エネルギー貯蔵素子40と電池10との充電及び放電を実現することができる。ブリッジアームコンバータ20の多相ブリッジアームが制御される間、制御された多相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになり(この状態で、該多相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオフになる)、或いは、制御された多相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになる(この状態で、該多相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオフになる)。このように、モータ巻線30における多相巻線をエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与させることにより、電流通過能力を増大させ、電池加熱速度を向上させ、電池加熱効率を向上させることができる。
【0024】
モータの3相巻線に電流が存在するため、電流ベクトルを形成しかつ磁界を生成することにより、モータ回転子が脈動トルクを出力し、モータの耐用年数及び車の安全性に大きな影響を与えることを回避するために、本開示の実施形態において、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20における3相ブリッジアームを制御することにより、該3相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになってもよく、或いは、該3相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになってもよい。3相ブリッジアームの制御が完全に同じであるため、モータ内部の電流ベクトルがゼロであり、トルク脈動が存在しないことにより、車の安全性を向上させ、モータの耐用年数を延長する。同時に、3相巻線が共にエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与するため、電流通過能力がさらに増大し、電池加熱効率をさらに向上させる。
【0025】
以下に
図3~
図6を参照して、コントローラがどのようにブリッジアームコンバータ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が充電と放電を行って、該電池10の加熱を実現するかの過程及び原理について詳細に説明する。
【0026】
まず、コントローラ50は、オンにするようにブリッジアームコンバータ20の上ブリッジアームを制御し、オフにするように下ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、
図3に示すとおりである。該過程において、電池10は、外向き放電状態である。上ブリッジアームのオン時間の増加に伴い、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が絶えず大きくなって、エネルギー貯蔵を実現する。
【0027】
次に、コントローラ50は、オンにするようにブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームを制御し、オフにするように上ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、
図4に示すとおりである。該過程において、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧は、大きくなり続ける。しかしながら、モータ巻線の第2端子から流出した電流は、徐々に小さくなる。
【0028】
モータ巻線の第2端子から流出した電流がゼロに低下する場合、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧は、最大に達する。この場合、エネルギー貯蔵素子40は、モータ巻線30のエネルギーを受けることからモータ巻線30にエネルギーを放出することに自動的に切り替え、
図4に示す電流の流れ方向と比較して、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流が逆方向になり始める。このときの電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、
図5に示すような方向に変換される。該過程において、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧は、絶えず小さくなる。
【0029】
その後、コントローラは、オンにするようにブリッジアームコンバータ20の上ブリッジアームを制御し、オフにするように下ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、
図6に示すとおりである。該過程において、電池10は、充電状態である。エネルギー貯蔵素子40は、エネルギーを放出し、両端の電圧は、絶えず小さくなる。エネルギー貯蔵素子40を流れる電流も徐々に小さくなる。
【0030】
エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が絶えず小さくなることに伴い、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流が絶えず小さくなり、エネルギー貯蔵素子40とモータ巻線30は、電池にエネルギーを放出することから電池のエネルギーを受けることに自動的に切り替え、
図6に示す電流の流れ方向と比較して、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流が逆方向になり始める。この場合、電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、再び
図3に示すとおりであり、電池10は、外向きに放電し始める。
【0031】
上記4つの過程を絶えず繰り返すことにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が繰り返し充電及び放電を迅速に行うことができる。電池の内部抵抗の存在により、大量の熱を発生させて、電池を迅速に昇温させて、電池の加熱効率を向上させる。また、3相ブリッジアームの制御が完全に同じであるため、モータ内部の電流ベクトルがゼロであり、トルク脈動が存在しないことにより、車の安全性を向上させ、モータの耐用年数を延長させる。
【0032】
以上に示すように、
図3に示す過程において、上ブリッジアームをオンにし、下ブリッジアームをオフにすることから上ブリッジアームをオフにし、下ブリッジアームをオンにすることに切り替えられるようにブリッジアームコンバータ20を制御すると、電池のエネルギー処理装置の動作状態は、
図4に示す過程に切り替えられる。その後、エネルギー貯蔵素子40が、モータ巻線30のエネルギーを受けることからモータ巻線30にエネルギーを放出することに自動的に切り替える前に、再び上ブリッジアームをオンにし、下ブリッジアームをオフにする方式により、電池のエネルギー処理装置の動作状態を
図4に示す過程から再び
図3の過程に切り替えて、
図3に示す過程と
図4に示す過程との間の繰り返しを実現してもよい。この2つの過程を複数回(該繰り返し回数が予め設定されてもよい)繰り返した後、コントローラ50は、
図4に示す過程において、上ブリッジアームをオフにし、下ブリッジアームをオンにする状態を比較的長い時間保持することにより、エネルギー貯蔵素子40がモータ巻線30のエネルギーを受けることからモータ巻線30にエネルギーを放出することに自動的に切り替えて、
図4に示す過程から
図5に示す過程への切り替えを完了してもよい。
【0033】
また、以上に示すように、
図5に示す過程において、上ブリッジアームをオフにし、下ブリッジアームをオンにすることから上ブリッジアームをオンにし、下ブリッジアームをオフにすることに切り替えられるようにブリッジアームコンバータ20を制御すると、電池のエネルギー処理装置の動作状態は、
図6に示す過程に切り替えられる。その後、エネルギー貯蔵素子40及びモータ巻線30が電池にエネルギーを放出することから電池のエネルギーを受けることに切り替えられる前に、再び上ブリッジアームをオフにし、下ブリッジアームをオンにする方式により、電池のエネルギー処理装置の動作状態を
図6に示す過程から再び
図5の過程に切り替えて、
図5に示す過程と
図6に示す過程との間の繰り返しを実現してもよい。この2つの過程を複数回(該繰り返し回数が予め設定されてもよい)繰り返した後、コントローラ50は、
図6に示す過程において、上ブリッジアームをオンにし、下ブリッジアームをオフにする状態を比較的長い時間保持することにより、エネルギー貯蔵素子40及びモータ巻線30が電池にエネルギーを放出することから電池のエネルギーを受けることに自動的に切り替えて、
図6に示す過程から
図3に示す過程への切り替えを完了してもよい。
【0034】
本開示において、コントローラ50は、第1所定状態で、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流及び/又はエネルギー貯蔵素子40の両端の電圧を取得し、かつ該電流及び/又は該電圧に基づいて、ブリッジアームコンバータ20の上ブリッジアーム及び下ブリッジアームのオンオフ状態の切り替えを制御するように構成されてもよい。このように、コントローラ50は、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流及び/又はエネルギー貯蔵素子40の両端の電圧に基づいて、上ブリッジアームと下ブリッジアームのオンオフ状態を切り替えるタイミングを正確に決定することにより、
図5に示す過程から
図6に示す過程への切り替え、及び
図3に示す過程から
図4に示す過程への切り替えを実現して、正確に制御するという目的を達成することができる。
【0035】
例示的には、コントローラ50は、第1所定状態で、
上ブリッジアームがオン状態にあり、かつエネルギー貯蔵素子40を流れる電流が第1電流閾値に達し、及び/又は、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が第1電圧閾値まで増加する場合、オフにするように上ブリッジアームを制御し、オンにするように下ブリッジアームを制御するように構成されてもよい。例えば、
図3に示す過程から
図4に示す過程に切り替える。
【0036】
下ブリッジアームがオン状態にあり、かつエネルギー貯蔵素子40を流れる電流が第2電流閾値に達し、及び/又は、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が第2電圧閾値まで減少する場合、オンにするように上ブリッジアームを制御し、オフにするように下ブリッジアームを制御する。例えば、
図5に示す過程から
図6に示す過程に切り替える。
【0037】
第1電流閾値に対応する電流方向は、第2電流閾値に対応する電流方向と逆である。なお、第1電流閾値、第2電流閾値、第1電圧閾値及び第2電圧閾値は、いずれも経験データに基づいて決定されるか、又は実験データに基づいて予め校正して取得されるか、又は式に基づいて決定されてもよく、該式は、各閾値と環境情報との間の対応関係を特徴づけることができ、環境情報が変化する場合、各閾値は、対応して変化することができる。該環境情報は、例えば、電池の使用時間、充電状態(SOH)情報、電池温度、環境温度などを含んでもよい。異なる実験条件でのデータを利用して、関数フィッティングにより上記式を取得してもよい。
【0038】
また、上ブリッジアームがオン状態にある場合、上ブリッジアームのオン時間に基づいて、エネルギー貯蔵素子40とモータ巻線30を、電池にエネルギーを放出することから電池のエネルギーを受けることに切り替える。例えば、
図6に示す過程から
図3に示す過程に切り替える。
【0039】
また、下ブリッジアームがオン状態にある場合、下ブリッジアームのオン時間に基づいて、エネルギー貯蔵素子40を、モータ巻線30のエネルギーを受けることからモータ巻線30にエネルギーを放出することに切り替える。例えば、
図4に示す過程から
図5に示す過程に切り替える。
【0040】
図7に示すように、該電池のエネルギー処理装置は、エネルギー貯蔵素子40に直列接続されたスイッチK1をさらに含んでもよく、該スイッチK1は、モータ巻線30の第2端子とブリッジアームコントローラ20の第2バス端との間に接続される。コントローラ50は、第1所定状態で、オンにするようにスイッチK1を制御するように構成されてもよい。
【0041】
また、該電池のエネルギー処理装置は、スイッチK2及びスイッチK3をさらに含んでもよい。スイッチK2は、電池10の正極とブリッジアームコンバータ20の第1バス端子との間に接続され、スイッチK3は、電池10の負極とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子との間に接続される。コントローラ50は、第1所定状態で、オンにするようにスイッチK2、スイッチK3を制御するように構成されてもよい。
【0042】
電池加熱が完了し、例えば、ユーザが電池加熱スイッチをオフにするか、又は電池の温度が電池加熱を停止できる温度閾値条件を満たす場合、車両を駐車状態に復帰させようとすると、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20を制御し、電流値がゼロになるまで、電池10の充電及び放電の電流を小さくしてもよく、そして、オフにするようにスイッチK2、K3を制御し、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40が放電を完了し、エネルギー貯蔵素子40が放電を完了した後、コントローラ50は、オフにするようにスイッチK1を制御し、車両が駐車状態に復帰する。
【0043】
好ましくは、コントローラ50はさらに、第2所定状態で、オフにするようにスイッチK1を制御し、かつブリッジアームコンバータ20を制御することにより、モータ巻線30に対応するモータがパワーを出力するように構成されてもよい。該第2所定状態は、車両の駆動動作状態である。現在駆動動作状態にあれば、スイッチK1をオフに保持する必要があり、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、モータ巻線30に対応するモータがパワーを出力して、車両駆動機能を実現する。また、第2所定状態で、スイッチK2、スイッチK3もオンに保持する。
【0044】
このように、スイッチK1を電池加熱動作状態と車両駆動動作状態との間の切替スイッチとする。該スイッチK1を設置することにより、本開示に係る電池のエネルギー処理装置は、電池加熱機能及び車両駆動機能という2種類の機能を有することができる。スイッチK1のオンオフ状態を切り替えることにより、該電池のエネルギー処理装置がどのような作用を提供するかを制御し、このように、電池のエネルギー処理装置の実用性をさらに向上させる。
【0045】
具体的には、第2所定状態にある場合、スイッチK1は、オフ状態にあり、ブリッジアームコントローラ20は、空間ベクトルパルス幅変調の制御方式でモータを駆動する。第2所定状態から第1所定状態に切り替える場合、スイッチK1をオンにして、電池加熱過程に入る。コントローラ50は、
図3~
図6を参照して説明したような方式に応じて、ブリッジアームコントローラ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が繰り返し充電及び放電を迅速に行って、さらに電池加熱過程を完了してもよい。
【0046】
第1所定状態から第2所定状態に切り替える場合、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20を制御し、電流値がゼロになるまで、電池10の充電及び放電の電流を小さくしてもよく、そして、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40が放電を完了し、エネルギー貯蔵素子40が放電を完了した後、コントローラ50は、オフにするようにスイッチK1を制御することにより、電池のエネルギー処理装置のハードウェア回路が車両駆動状態の構造に復帰し、次にコントローラ50は、空間ベクトルパルス幅変調の制御方式を用いてモータを駆動制御してもよく、車両が走行状態に入る。
【0047】
また、本開示の一実施例において、上記モータ巻線30は、車両の駆動モータのモータ巻線であってもよく、それに応じて、上記ブリッジアームコントローラ20は、駆動モータのブリッジアームコントローラであってもよい。すなわち、本開示に係る電池のエネルギー処理装置において、車両の駆動モータを再使用して電池の加熱処理を行う。駆動モータのパワーが大きいため、加熱過程において、対応する加熱パワーも大きく、これにより、加熱速度を向上させ、加熱効率を向上させることができる。また、車両における従来の駆動モータを再使用し、追加の専用モータを提供する必要がないため、車両におけるデバイスの利用率を向上させ、車両空間の占用を減少させ、かつ車両重量を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0048】
好ましくは、エネルギー貯蔵素子40は、車両の充電回路のコンデンサであってもよい。該コンデンサは、充電要求を満たすだけでなく、加熱要求を満たす必要がある。このように、エネルギー貯蔵部品40も車両における従来のコンデンサを再使用し、該エネルギー貯蔵部品40として追加の素子を提供する必要がなく、車両におけるデバイスの利用率をさらに向上させ、車両空間への占用を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0049】
また、車両の駆動モータ、該駆動モータのブリッジアームコントローラ、及び充電回路のコンデンサを再使用すれば、電池のエネルギー処理装置を構築して電池への加熱を実現することができる。そして、1つのスイッチK1を追加するだけで、電池のエネルギー処理装置は、電池加熱機能及び車両駆動機能を同時に有することができ、該スイッチK1を制御するだけで、これら2種類の状態を柔軟に切り替えることができ、異なるハードウェア構造を配置する必要がないため、車両におけるデバイスの利用率を向上させ、車両空間への占用を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0050】
図8、
図9及び
図10に示すように、電池のエネルギー処理装置において、エネルギー貯蔵素子40の両端には、給電装置70に外接するように、第1端子601及び第2端子602が接続され、コントローラ50はさらに、第3所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、給電装置70が該電池のエネルギー処理装置により電池に対して充電を行ってもよい。具体的には、給電装置70が該電池のエネルギー処理装置又は電池により電池に対して昇圧充電を行うか又は充電を直接的に行うように配置されてもよい。
【0051】
具体的には、電池のエネルギー処理装置は、スイッチK1及びスイッチK4をさらに含む。
図8及び
図9に示すように、スイッチK1は、モータ巻線30の第2端子とエネルギー貯蔵素子40の第1端子にそれぞれ接続され、第1端子601は、エネルギー貯蔵素子40の第1端子とスイッチK1にそれぞれ接続され、スイッチK4は、エネルギー貯蔵素子40の第2端子とブリッジアームコントローラ20の第2バス端子にそれぞれ接続され、第2端子602は、スイッチK4に接続され、コントローラ50は、第3所定状態で、オンにするようにスイッチK1及びスイッチK4を制御し、かつブリッジアームコンバータ20を制御することにより、給電装置70が電池10に対して充電を行うように構成されてもよい。
【0052】
電池のエネルギー処理装置は、スイッチK2及びスイッチK3をさらに含んでもよく、このように、該第3所定状態で、コントローラ50もオンにするようにスイッチK2及びスイッチK3を制御する必要がある。
【0053】
図8及び
図9に示すように、上記第3所定状態は、電池充電状態である。第1端子601及び第2端子602が給電装置70(例えば、充電スタンド)に外接する場合、コントローラ50は、現在給電装置70により電池10に対して充電を行うことを決定してもよく、この場合、コントローラ50は、オンにするようにスイッチK1、K2、K3及びK4を制御し、かつブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームのオンとオフを制御することにより、給電装置70により電池10に対して昇圧充電を行う。
【0054】
当業者に知られているように、1、ブリッジアームコンバータ20の上ブリッジアームと下ブリッジアームを同時にオンにすることができず、2、そのうちの1つをオンにすると、もう1つをオフにし、例えば、上ブリッジアームをオンにすると、下ブリッジアームをオフにし、上ブリッジアームをオフにすると、下ブリッジアームをオンにし、3、そのうちの1つをオフにすると、もう1つをオフにしてもよくオンにしてもよく、例えば、上ブリッジアームをオフにすると、下ブリッジアームをオフにするか又はオンにし、上ブリッジアームをオフにすると、上ブリッジアームをオフにするか又はオンにする。
【0055】
例示的には、
図8に示すように、第3所定状態で、コントローラ50は、オンにするようにブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームを制御し、オフにするように上ブリッジアームを制御し、この場合、電流は、給電装置70の正極から流出し、モータ巻線及び下ブリッジアームを流れた後、給電装置70の負極に流れ、電流が絶えず大きくなる。その後、
図9に示すように、コントローラ50は、オフにするようにブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームを制御し、オンにするか又はオフにするように上ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電流は、給電装置70の正極から流出し、モータ巻線及び上ブリッジアームを流れた後、電池の正極に流れて電池に対して充電を行い、電池の負極の電流は、給電装置70の負極に戻る。なお、上ブリッジアームがオフになる状態で、電流は、上ブリッジアームのダイオードを流れる。モータ巻線のエネルギー貯蔵作用により、給電装置70の電池10への昇圧充電を実現することができる。
【0056】
図10に示すように、上記第3所定状態は、電池充電状態である。第1端子601及び第2端子602が給電装置70、例えば、充電スタンドに外接する場合、コントローラ50は、現在給電装置70により電池10に対して充電を行うことを決定してもよく、この場合、コントローラ50は、オンにするようにスイッチK1、K2、K3及びK4を制御し、かつオフにするようにブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームを制御し、オンにするか又はオフにするように上ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電流は、給電装置70の正極から流出し、モータ巻線及び上ブリッジアームを流れた後、電池の正極に流れて電池に対して充電を行い、すなわち、給電装置70により電池10に対して充電を直接的に行う。なお、上ブリッジアームがオフになる状態で、電流は、上ブリッジアームのダイオードを流れる。
【0057】
このように、スイッチK1及びスイッチK4を追加することにより、本開示に係る電池のエネルギー処理装置は、同じハードウェア構造に基づいて、3種類の異なる機能、すなわち、電池加熱機能、車両駆動機能及び昇圧充電機能を提供することができる。これらのスイッチのオンオフ状態を制御するだけで、これら3種類の状態を柔軟に切り替えることができ、異なるハードウェア構造を配置する必要がなため、車両におけるデバイスの利用率を向上させ、車両空間の占用を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0058】
第3所定状態から第1所定状態に切り替える場合、充電過程が完了した後、ハードウェアで給電装置70と電池のエネルギー処理装置の第1端子601及び第2端子602との接続を遮断すれば、切り替えを完了する。さらにスイッチK4をオフにすることにより、第3所定状態から第1所定状態への切り替えを実現することができる。その後、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が繰り返し充電及び放電を迅速に行って、さらに電池加熱過程を完了する。
【0059】
第1所定状態から第3所定状態に切り替える場合、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が不確定な変数であるため、まず、ブリッジアームコントローラ20を制御することによりエネルギー貯蔵素子40の電圧を所定の値に安定させ、次に、給電装置70を電池のエネルギー処理装置の第1端子601及び第2端子602に接続して、電池に対して昇圧充電を行う必要がある。
【0060】
さらに、本開示に係る、電池を含む車両は、上記いずれかの実施例に記載の電池のエネルギー処理装置をさらに含む。
【0061】
本開示に係る車両は、上記いずれかの実施例における電池のエネルギー処理装置を含み、電池10に接続されたブリッジアームコンバータ20、モータ巻線30及びエネルギー貯蔵素子40を含む新たな回路トポロジーを設計することにより、具体的には、エネルギー貯蔵素子40がモータ巻線30の第2端子とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子にそれぞれ接続され、ブリッジアームコンバータ20が電池10とモータ巻線30にそれぞれ接続され、このような回路トポロジーに基づいて、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、電池10が充電及び放電を行って、電池10の内部抵抗の存在により、電池10自体に大量の熱を発生させるため、電池10を昇温させ、電池10への加熱を実現する。
【0062】
本開示は、さらに、電池のエネルギー処理方法を提供する。
図11は、本開示の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理方法のフローチャートである。
図11に示すように、該方法は、以下のS701を含んでもよい。
【0063】
S701では、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、電池が充電及び放電を行って、電池への加熱を実現する。
図1に示すように、ブリッジアームコンバータ20の第1バス端子は、電池10の正極に接続され、ブリッジアームコンバータ20の第2バス端子は、電池10の負極に接続され、モータ巻線30の第1端子は、ブリッジアームコンバータ20の中間点に接続され、エネルギー貯蔵素子40は、モータ巻線30の第2端子とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子にそれぞれ接続される。
【0064】
電池10に接続された、ブリッジアームコンバータ20、モータ巻線30及びエネルギー貯蔵素子40を含む新たな回路トポロジーを設計することにより、具体的には、エネルギー貯蔵素子40がモータ巻線30の第2端子とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子にそれぞれ接続され、ブリッジアームコンバータ20が電池10とモータ巻線30にそれぞれ接続され、このような回路トポロジーに基づいて、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、電池10が充電及び放電を行って、電池10の内部抵抗の存在により、電池10自体に大量の熱を発生させるため、電池10を昇温させ、電池10への加熱を実現する。
【0065】
具体的な実施例において、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、エネルギー貯蔵素子と電池が充電と放電を行う。
【0066】
上記技術手段において、エネルギー貯蔵素子は、エネルギーの貯蔵及び放出を行うことができる。第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、モータ巻線を流れる電流の方向、及びエネルギー貯蔵素子の両端の電圧を制御することができる。このように、エネルギー貯蔵素子と電池との間の充電及び放電を制御することができる。電池の内部抵抗の存在により、エネルギー貯蔵素子と電池との間のこのような充電及び放電過程は、電池自体に大量の熱を発生させるため、電池を昇温させ、電池への加熱を実現する。
【0067】
好ましい実施形態において、S701は、上記ブリッジアームコンバータを制御することにより、上記エネルギー貯蔵素子と上記電池が繰り返し充電と放電を行って、上記電池への加熱を実現するステップをさらに含んでもよい。
【0068】
エネルギー貯蔵素子と電池との間のこのような繰り返し充電及び放電は、電池の内部抵抗の存在により、電池に大量の熱を発生させて電池を迅速に昇温させ、電池の加熱効率を向上させるという目的を達成する。
【0069】
好ましい実施形態において、S701は、上記第1所定状態で、上記ブリッジアームコンバータのうちの少なくとも1相ブリッジアームを制御することにより、上記エネルギー貯蔵素子と上記電池が充電と放電を行うステップをさらに含んでもよい。
【0070】
このように、第1所定状態で、本開示に係る電池のエネルギー処理方法は、選択のために様々な制御ポリシーを提供することができ、すなわち、そのうちの1相巻線がエネルギー貯蔵素子と電池との間のエネルギー交換に関与する可能性を提供するだけでなく、多相巻線がエネルギー貯蔵素子と電池との間のエネルギー交換に関与する可能性も提供する。このように、実際の加熱ニーズに応じて、対応するポリシーを配置し、さらに異なる加熱効率を実現し、柔軟性、実用性をさらに向上させることができる。
【0071】
好ましい実施形態において、上記ブリッジアームコンバータの多相ブリッジアームが制御される間、上記多相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになり、或いは、上記多相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになる。
【0072】
このように、モータ巻線における多相巻線をエネルギー貯蔵素子と電池との間のエネルギー交換に関与させることにより、電流通過能力を増大させ、電池加熱速度を向上させ、電池加熱効率を向上させることができる。
【0073】
モータの3相巻線に電流が存在するため、電流ベクトルを形成しかつ磁界を生成することにより、モータ回転子が脈動トルクを出力し、モータの耐用年数及び車の安全性に大きな影響を与えることを回避するために、本開示の実施形態において、上記方法において、ブリッジアームコンバータにおける3相ブリッジアームを制御することにより、該3相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになってもよく、或いは、該3相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになってもよい。3相ブリッジアームの制御が完全に同じであるため、モータ内部の電流ベクトルがゼロであり、トルク脈動が存在しないことにより、車の安全性を向上させ、モータの耐用年数を延長させる。同時に、3相巻線が共にエネルギー貯蔵素子と電池との間のエネルギー交換に関与するため、電流通過能力がさらに増大し、電池加熱効率をさらに向上させる。
【0074】
好ましい実施形態において、上記ブリッジアームコンバータのうちの少なくとも1相ブリッジアームを制御することにより、上記エネルギー貯蔵素子と上記電池が充電及び放電を行う上記ステップは、上記エネルギー貯蔵素子を流れる電流及び/又は上記エネルギー貯蔵素子の両端の電圧を取得し、かつ上記電流及び/又は上記電圧に基づいて、上記ブリッジアームコンバータの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームのオンオフ状態の切り替えを制御するステップを含む。
【0075】
好ましい実施形態において、上記電流及び/又は上記電圧に基づいて、上記ブリッジアームコンバータの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームのオンオフ状態の切り替えを制御する上記ステップは、上記上ブリッジアームがオン状態にあり、かつ上記電流が第1電流閾値まで増加し、及び/又は、上記電圧が第1電圧閾値まで増加する場合、オフにするように上記上ブリッジアームを制御し、オンにするように上記下ブリッジアームを制御するステップと、上記下ブリッジアームがオン状態にあり、かつ上記電流が第2電流閾値に達し、及び/又は、上記電圧が第2電圧閾値まで減少する場合、オンにするように上記上ブリッジアームを制御し、オフにするように上記下ブリッジアームを制御するステップと、を含み、上記第1電流閾値に対応する電流方向は、上記第2電流閾値に対応する電流方向と逆である。
【0076】
このように、エネルギー貯蔵素子を流れる電流及び/又はエネルギー貯蔵素子の両端の電圧に基づいて、上ブリッジアームと下ブリッジアームのオンオフ状態を切り替えるタイミングを正確に決定することにより、正確に制御するという目的を達成することができる。
【0077】
好ましい実施形態において、上記上ブリッジアームがオン状態にある場合、上記上ブリッジアームのオン時間に基づいて、上記エネルギー貯蔵素子と上記モータ巻線を、上記電池にエネルギーを放出することから上記電池のエネルギーを受けることに切り替え、上記下ブリッジアームがオン状態にある場合、上記下ブリッジアームのオン時間に基づいて、上記エネルギー貯蔵素子を、上記モータ巻線のエネルギーを受けることから上記モータ巻線にエネルギーを放出することに切り替える。
【0078】
好ましい実施形態において、エネルギー貯蔵素子は、第1スイッチK1に直列接続され、該第1スイッチK1は、モータ巻線の第2端子とブリッジアームコンバータの第2バス端子との間に接続される。該方法は、第1所定状態で、オンにするように第1スイッチK1を制御するステップをさらに含んでもよい。
【0079】
好ましい実施形態において、該方法は、第2所定状態で、オフにするように第1スイッチK1を制御し、かつブリッジアームコンバータを制御することにより、モータ巻線に対応するモータがパワーを出力するステップをさらに含んでもよい。
【0080】
このように、第1スイッチK1を、電池加熱動作状態と車両駆動動作状態との間の切替スイッチとする。該スイッチK1を設置することにより、本開示に係る電池のエネルギー処理方法は、電池加熱機能及び車両駆動機能という2種類の機能を実現することができる。スイッチK1のオンオフ状態を切り替えることにより、該電池のエネルギー処理方法がどのような作用を提供するかを制御し、このように、実用性をさらに向上させる。
【0081】
好ましい実施形態において、上記エネルギー貯蔵素子の両端には、給電装置に外接するように、第1端子及び第2端子が接続される。該方法は、第3所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、該給電装置がモータ巻線により電池に対して充電を行うステップをさらに含んでもよい。
【0082】
具体的には、該給電装置がモータ巻線により電池に対して昇圧充電を行い、この場合、第3所定状態で、上記ブリッジアームコンバータの下ブリッジアームのオンとオフを周期的に制御することにより、上記給電装置が上記電池に対して昇圧充電を行う。
【0083】
別の具体的な実施例において、該給電装置がモータ巻線により電池に対して充電を直接的に行い、この場合、上記第3所定状態で、オフにするように上記ブリッジアームコンバータの下ブリッジアームを制御することにより、上記給電装置が上記電池に対して充電を直接的に行う。
【0084】
このように、本開示に係る電池のエネルギー処理方法は、同じハードウェア構造に基づいて、3種類の異なる機能、すなわち、電池加熱機能、車両駆動機能及び昇圧充電機能を提供することができる。スイッチのオンオフ状態を制御するだけで、これら3種類の状態を柔軟に切り替えることができ、異なるハードウェア構造を配置する必要がないため、車両におけるデバイスの利用率を向上させ、車両空間の占用を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0085】
上記実施例における方法について、各ステップの具体的な方式は、装置に関連する実施例において詳細に説明されており、ここで詳細に説明しない。
【0086】
以上、図面を参照しながら本開示の具体的な実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態の具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の範囲内に、本開示の技術的解決手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更がいずれも本開示の保護範囲に属する。
【0087】
なお、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、任意の適当な方式で組み合わせることができる。不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0088】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の構想から逸脱しない限り、本開示に開示されている内容と見なすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2020年6月4日に提出された出願番号202010502048.8、名称「電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両」の中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電池の技術分野に関し、特に電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギーの広範な使用に伴い、電池は、動力源として様々な分野に適用することができる。電池が動力源として使用される環境が異なり、電池の性能にも影響を与える。例えば、低温環境下での電池の性能は、常温の場合よりも大幅に低下する。例えば、ゼロ温度で電池の放電容量は、温度の低下に伴って低下する。-30℃の条件下で、電池の放電容量が実質的に0となるため、電池を使用できなくなってしまう。低温環境下で電池を使用できるために、電池を加熱する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、関連技術における技術的課題の1つを少なくとも解決することを目的とする。
【0005】
したがって、本開示は、電池のエネルギー処理装置を提供することを第1目的とする。
【0006】
本開示は、電池のエネルギー処理方法を提供することを第2目的とする。
【0007】
本開示は、車両を提供することを第3目的とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の実施例の第1態様に係る電池のエネルギー処理装置は、第1バス端子が前記電池の正極に接続され、第2バス端子が前記電池の負極に接続されたブリッジアームコンバータと、第1端子が前記ブリッジアームコンバータの中間点に接続されたモータ巻線と、前記モータ巻線の第2端子と前記第2バス端子にそれぞれ接続されたエネルギー貯蔵素子と、第1所定状態で、前記ブリッジアームコンバータを制御することにより、前記電池が充電及び放電を行って、前記電池への加熱を実現するように構成されたコントローラと、を含む。
【0009】
第2態様では、本開示に係る電池のエネルギー処理方法は、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、電池が充電及び放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップを含み、前記ブリッジアームコンバータの第1バス端子が前記電池の正極に接続され、前記ブリッジアームコンバータの第2バス端子が前記電池の負極に接続され、モータ巻線の第1端子が前記ブリッジアームコンバータの中間点に接続され、前記エネルギー貯蔵素子が前記モータ巻線の第2端子と前記第2バス端子にそれぞれ接続される。
【0010】
第3態様では、本開示に係る電池を含む車両は、上記第1態様に係る電池のエネルギー処理装置をさらに含む。
【0011】
上記技術手段において、電池に接続されたブリッジアームコンバータ、モータ巻線及びエネルギー貯蔵素子を含む新たな回路トポロジーを設計し、具体的には、エネルギー貯蔵素子がモータ巻線の第2端子とブリッジアームコンバータの第2バス端子にそれぞれ接続され、ブリッジアームコンバータが電池とモータ巻線にそれぞれ接続され、このような回路トポロジーに基づいて、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、電池が充電及び放電を行って、電池の内部抵抗の存在により、電池自体に大量の熱を発生させるため、電池を昇温させ、電池への加熱を実現する。
【0012】
本開示の他の特徴及び利点については、後の具体的な実施形態部分において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、本開示のさらなる理解を提供し、明細書の一部を構成するものであり、以下の具体的な実施形態と共に本開示を説明するものであるが、本開示を限定するものではない。
【0014】
【
図1】本開示の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置の構造ブロック図である。
【
図2】本開示の
図1に示す電池のエネルギー処理装置の例示的な実施例に係る回路トポロジー図である。
【
図3】本開示の
図2に係る電池のエネルギー処理装置が第1所定状態で繰り返して充放電する過程の概略図である。
【
図4】本開示の
図2に係る電池のエネルギー処理装置が第1所定状態で繰り返して充放電する過程の概略図である。
【
図5】本開示の
図2に係る電池のエネルギー処理装置が第1所定状態で繰り返して充放電する過程の概略図である。
【
図6】本開示の
図2に係る電池のエネルギー処理装置が第1所定状態で繰り返して充放電する過程の概略図である。
【
図7】本開示の
図2に示す電池のエネルギー処理装置の別の例示的な実施例に係る回路トポロジー図である。
【
図8】本開示の別の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置が第3所定状態にある場合の回路トポロジー図である。
【
図9】本開示の別の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置が第3所定状態にある場合の回路トポロジー図である。
【
図10】本開示の別の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置が第3所定状態にある場合の回路トポロジー図である。
【
図11】本開示の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記述した具体的な実施形態は、本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0016】
図1に示すように、該電池のエネルギー処理装置は、第1バス端子が電池10の正極に接続され、第2バス端子が電池10の負極に接続されたブリッジアームコンバータ20と、第1端子がブリッジアームコンバータ20の中間点に接続されたモータ巻線30と、該モータ巻線30の第2端子と該第2バス端子にそれぞれ接続されたエネルギー貯蔵素子40と、第1所定状態で、該ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、該電池10が充電及び放電を行って、該電池10への加熱を実現するように構成されたコントローラ50と、を含む。
【0017】
電池10に接続されたブリッジアームコンバータ20、モータ巻線30及びエネルギー貯蔵素子40を含む新たな回路トポロジーを設計することにより、具体的には、エネルギー貯蔵素子40がモータ巻線30の第2端子とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子にそれぞれ接続され、ブリッジアームコンバータ20が電池10とモータ巻線30にそれぞれ接続され、このような回路トポロジーに基づいて、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、電池10が充電及び放電を行って、電池10の内部抵抗の存在により、電池10自体に大量の熱を発生させるため、電池10を昇温させ、電池10への加熱を実現する。
【0018】
具体的な実施例において、第1所定状態で、コントローラ50により、エネルギー貯蔵素子40と電池10が充電と放電を行う。
【0019】
該電池のエネルギー処理装置が車両に配置されてもよいため、該電池10は、車両に配置された電池であってもよい。勿論、該電池のエネルギー処理装置は、電池を有する他の装置に配置されてもよく、本開示は、これを限定しない。
【0020】
本開示に係る電池のエネルギー処理装置において、モータ巻線30は、多相巻線、例えば、2相巻線、又は
図2に示された3相巻線などを含んでもよい。それに応じて、ブリッジアームコンバータ20は、多相巻線と一対一に対応する多相ブリッジアームを含んでもよい。
図2に示すように、モータ巻線30は、A相巻線、B相巻線及びC相巻線を含んでもよく、各相巻線はいずれも、それぞれ第1端子及び第2端子(
図2に示す平面方向において、第1端子は、左側端であり、第2端子は、右側端である)を有する。A相巻線の第1端子、B相巻線の第1端子、C相巻線の第1端子は、ブリッジアームコンバータ20の中間点を接続する、モータ巻線30の第1端子を形成する。また、A相巻線の第2端子、B相巻線の第2端子、C相巻線の第2端子は、共通接続されて、エネルギー貯蔵素子40を接続する、モータ巻線30の第2端子を形成する。
【0021】
例示的には、エネルギー貯蔵素子40は、コンデンサであってもよい。該第1所定状態は、電池加熱状態であってもよい。例えば、ユーザは、実際のニーズに応じて、電池加熱スイッチをトリガする方式で、車両が電池加熱状態に入るようにトリガすることができる。或いは、コントローラ50は、電池の温度を特徴づける信号を取得し、電池の温度が電池の温度閾値以下である場合、車両が電池加熱状態に入ることを決定することができる。該第1所定状態で、コントローラ50は、該ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、該エネルギー貯蔵素子40と該電池10が充電と放電を行って、該電池10への加熱を実現することができる。
【0022】
上記技術手段において、エネルギー貯蔵素子40は、エネルギーの貯蔵及び放出を行うことができる。第1所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、モータ巻線30を流れる電流の方向、及びエネルギー貯蔵素子40の両端の電圧を制御することができる。このように、エネルギー貯蔵素子40と電池10との間の充電及び放電を制御することができる。電池の内部抵抗の存在により、エネルギー貯蔵素子40と電池10との間のこのような充電及び放電過程は、電池自体に大量の熱を発生させるため、電池を昇温させ、電池への加熱を実現する。また、モータ巻線30は、多相ブリッジアームを含み、ブリッジアームコンバータ20は、多相ブリッジアームを含むため、第1所定状態で、本開示に係る電池のエネルギー処理装置は、選択のために様々な制御ポリシーを提供することができ、すなわち、そのうちの1相巻線がエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与する可能性を提供するだけでなく、多相巻線がエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与する可能性も提供する。このように、実際の加熱ニーズに応じて、コントローラ50に対応するポリシーを配置し、さらに異なる加熱効率を実現し、柔軟性、実用性をさらに向上させることができる。
【0023】
本開示において、第1所定状態で、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20のうちの少なくとも1相ブリッジアームを制御することにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が充電及び放電を行ってもよい。すなわち、一実施例において、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20における1相ブリッジアーム、例えば、
図2におけるA相ブリッジアームを制御することにより、該相ブリッジアームに対応する巻線(例えば、
図2におけるA相巻線)がエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与し、エネルギー貯蔵素子40と電池10との充電及び放電を実現することができる。別の実施例において、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20における多相ブリッジアーム、例えば、
図2におけるA相ブリッジアーム及びB相ブリッジアームを制御することにより、該2相ブリッジアームに対応する巻線(例えば、
図2におけるA相巻線及びB相巻線)がエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与し、エネルギー貯蔵素子40と電池10との充電及び放電を実現することができる。ブリッジアームコンバータ20の多相ブリッジアームが制御される間、制御された多相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになり(この状態で、該多相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオフになる)、或いは、制御された多相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになる(この状態で、該多相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオフになる)。このように、モータ巻線30における多相巻線をエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与させることにより、電流通過能力を増大させ、電池加熱速度を向上させ、電池加熱効率を向上させることができる。
【0024】
モータの3相巻線に電流が存在するため、電流ベクトルを形成しかつ磁界を生成することにより、モータ回転子が脈動トルクを出力し、モータの耐用年数及び車の安全性に大きな影響を与えることを回避するために、本開示の実施形態において、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20における3相ブリッジアームを制御することにより、該3相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになってもよく、或いは、該3相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになってもよい。3相ブリッジアームの制御が完全に同じであるため、モータ内部の電流ベクトルがゼロであり、トルク脈動が存在しないことにより、車の安全性を向上させ、モータの耐用年数を延長する。同時に、3相巻線が共にエネルギー貯蔵素子40と電池10との間のエネルギー交換に関与するため、電流通過能力がさらに増大し、電池加熱効率をさらに向上させる。
【0025】
以下に
図3~
図6を参照して、コントローラがどのようにブリッジアームコンバータ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が充電と放電を行って、該電池10の加熱を実現するかの過程及び原理について詳細に説明する。
【0026】
まず、コントローラ50は、オンにするようにブリッジアームコンバータ20の上ブリッジアームを制御し、オフにするように下ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、
図3に示すとおりである。該過程において、電池10は、外向き放電状態である。上ブリッジアームのオン時間の増加に伴い、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が絶えず大きくなって、エネルギー貯蔵を実現する。
【0027】
次に、コントローラ50は、オンにするようにブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームを制御し、オフにするように上ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、
図4に示すとおりである。該過程において、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧は、大きくなり続ける。しかしながら、モータ巻線の第2端子から流出した電流は、徐々に小さくなる。
【0028】
モータ巻線の第2端子から流出した電流がゼロに低下する場合、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧は、最大に達する。この場合、エネルギー貯蔵素子40は、モータ巻線30のエネルギーを受けることからモータ巻線30にエネルギーを放出することに自動的に切り替え、
図4に示す電流の流れ方向と比較して、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流が逆方向になり始める。このときの電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、
図5に示すような方向に変換される。該過程において、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧は、絶えず小さくなる。
【0029】
その後、コントローラは、オンにするようにブリッジアームコンバータ20の上ブリッジアームを制御し、オフにするように下ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、
図6に示すとおりである。該過程において、電池10は、充電状態である。エネルギー貯蔵素子40は、エネルギーを放出し、両端の電圧は、絶えず小さくなる。エネルギー貯蔵素子40を流れる電流も徐々に小さくなる。
【0030】
エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が絶えず小さくなることに伴い、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流が絶えず小さくなり、エネルギー貯蔵素子40とモータ巻線30は、電池にエネルギーを放出することから電池のエネルギーを受けることに自動的に切り替え、
図6に示す電流の流れ方向と比較して、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流が逆方向になり始める。この場合、電池のエネルギー処理装置における電流の流れ方向は、再び
図3に示すとおりであり、電池10は、外向きに放電し始める。
【0031】
上記4つの過程を絶えず繰り返すことにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が繰り返し充電及び放電を迅速に行うことができる。電池の内部抵抗の存在により、大量の熱を発生させて、電池を迅速に昇温させて、電池の加熱効率を向上させる。また、3相ブリッジアームの制御が完全に同じであるため、モータ内部の電流ベクトルがゼロであり、トルク脈動が存在しないことにより、車の安全性を向上させ、モータの耐用年数を延長させる。
【0032】
以上に示すように、
図3に示す過程において、上ブリッジアームをオンにし、下ブリッジアームをオフにすることから上ブリッジアームをオフにし、下ブリッジアームをオンにすることに切り替えられるようにブリッジアームコンバータ20を制御すると、電池のエネルギー処理装置の動作状態は、
図4に示す過程に切り替えられる。その後、エネルギー貯蔵素子40が、モータ巻線30のエネルギーを受けることからモータ巻線30にエネルギーを放出することに自動的に切り替える前に、再び上ブリッジアームをオンにし、下ブリッジアームをオフにする方式により、電池のエネルギー処理装置の動作状態を
図4に示す過程から再び
図3の過程に切り替えて、
図3に示す過程と
図4に示す過程との間の繰り返しを実現してもよい。この2つの過程を複数回(該繰り返し回数が予め設定されてもよい)繰り返した後、コントローラ50は、
図4に示す過程において、上ブリッジアームをオフにし、下ブリッジアームをオンにする状態を比較的長い時間保持することにより、エネルギー貯蔵素子40がモータ巻線30のエネルギーを受けることからモータ巻線30にエネルギーを放出することに自動的に切り替えて、
図4に示す過程から
図5に示す過程への切り替えを完了してもよい。
【0033】
また、以上に示すように、
図5に示す過程において、上ブリッジアームをオフにし、下ブリッジアームをオンにすることから上ブリッジアームをオンにし、下ブリッジアームをオフにすることに切り替えられるようにブリッジアームコンバータ20を制御すると、電池のエネルギー処理装置の動作状態は、
図6に示す過程に切り替えられる。その後、エネルギー貯蔵素子40及びモータ巻線30が電池にエネルギーを放出することから電池のエネルギーを受けることに切り替えられる前に、再び上ブリッジアームをオフにし、下ブリッジアームをオンにする方式により、電池のエネルギー処理装置の動作状態を
図6に示す過程から再び
図5の過程に切り替えて、
図5に示す過程と
図6に示す過程との間の繰り返しを実現してもよい。この2つの過程を複数回(該繰り返し回数が予め設定されてもよい)繰り返した後、コントローラ50は、
図6に示す過程において、上ブリッジアームをオンにし、下ブリッジアームをオフにする状態を比較的長い時間保持することにより、エネルギー貯蔵素子40及びモータ巻線30が電池にエネルギーを放出することから電池のエネルギーを受けることに自動的に切り替えて、
図6に示す過程から
図3に示す過程への切り替えを完了してもよい。
【0034】
本開示において、コントローラ50は、第1所定状態で、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流及び/又はエネルギー貯蔵素子40の両端の電圧を取得し、かつ該電流及び/又は該電圧に基づいて、ブリッジアームコンバータ20の上ブリッジアーム及び下ブリッジアームのオンオフ状態の切り替えを制御するように構成されてもよい。このように、コントローラ50は、エネルギー貯蔵素子40を流れる電流及び/又はエネルギー貯蔵素子40の両端の電圧に基づいて、上ブリッジアームと下ブリッジアームのオンオフ状態を切り替えるタイミングを正確に決定することにより、
図5に示す過程から
図6に示す過程への切り替え、及び
図3に示す過程から
図4に示す過程への切り替えを実現して、正確に制御するという目的を達成することができる。
【0035】
例示的には、コントローラ50は、第1所定状態で、
上ブリッジアームがオン状態にあり、かつエネルギー貯蔵素子40を流れる電流が第1電流閾値に達し、及び/又は、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が第1電圧閾値まで増加する場合、オフにするように上ブリッジアームを制御し、オンにするように下ブリッジアームを制御するように構成されてもよい。例えば、
図3に示す過程から
図4に示す過程に切り替える。
【0036】
下ブリッジアームがオン状態にあり、かつエネルギー貯蔵素子40を流れる電流が第2電流閾値に達し、及び/又は、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が第2電圧閾値まで減少する場合、オンにするように上ブリッジアームを制御し、オフにするように下ブリッジアームを制御する。例えば、
図5に示す過程から
図6に示す過程に切り替える。
【0037】
第1電流閾値に対応する電流方向は、第2電流閾値に対応する電流方向と逆である。なお、第1電流閾値、第2電流閾値、第1電圧閾値及び第2電圧閾値は、いずれも経験データに基づいて決定されるか、又は実験データに基づいて予め校正して取得されるか、又は式に基づいて決定されてもよく、該式は、各閾値と環境情報との間の対応関係を特徴づけることができ、環境情報が変化する場合、各閾値は、対応して変化することができる。該環境情報は、例えば、電池の使用時間、充電状態(SOH)情報、電池温度、環境温度などを含んでもよい。異なる実験条件でのデータを利用して、関数フィッティングにより上記式を取得してもよい。
【0038】
また、上ブリッジアームがオン状態にある場合、上ブリッジアームのオン時間に基づいて、エネルギー貯蔵素子40とモータ巻線30を、電池にエネルギーを放出することから電池のエネルギーを受けることに切り替える。例えば、
図6に示す過程から
図3に示す過程に切り替える。
【0039】
また、下ブリッジアームがオン状態にある場合、下ブリッジアームのオン時間に基づいて、エネルギー貯蔵素子40を、モータ巻線30のエネルギーを受けることからモータ巻線30にエネルギーを放出することに切り替える。例えば、
図4に示す過程から
図5に示す過程に切り替える。
【0040】
図7に示すように、該電池のエネルギー処理装置は、エネルギー貯蔵素子40に直列接続されたスイッチK1をさらに含んでもよく、該スイッチK1は、モータ巻線30の第2端子とブリッジアーム
コンバータ20の第2バス端との間に接続される。コントローラ50は、第1所定状態で、オンにするようにスイッチK1を制御するように構成されてもよい。
【0041】
また、該電池のエネルギー処理装置は、スイッチK2及びスイッチK3をさらに含んでもよい。スイッチK2は、電池10の正極とブリッジアームコンバータ20の第1バス端子との間に接続され、スイッチK3は、電池10の負極とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子との間に接続される。コントローラ50は、第1所定状態で、オンにするようにスイッチK2、スイッチK3を制御するように構成されてもよい。
【0042】
電池加熱が完了し、例えば、ユーザが電池加熱スイッチをオフにするか、又は電池の温度が電池加熱を停止できる温度閾値条件を満たす場合、車両を駐車状態に復帰させようとすると、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20を制御し、電流値がゼロになるまで、電池10の充電及び放電の電流を小さくしてもよく、そして、オフにするようにスイッチK2、K3を制御し、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40が放電を完了し、エネルギー貯蔵素子40が放電を完了した後、コントローラ50は、オフにするようにスイッチK1を制御し、車両が駐車状態に復帰する。
【0043】
好ましくは、コントローラ50はさらに、第2所定状態で、オフにするようにスイッチK1を制御し、かつブリッジアームコンバータ20を制御することにより、モータ巻線30に対応するモータがパワーを出力するように構成されてもよい。該第2所定状態は、車両の駆動動作状態である。現在駆動動作状態にあれば、スイッチK1をオフに保持する必要があり、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、モータ巻線30に対応するモータがパワーを出力して、車両駆動機能を実現する。また、第2所定状態で、スイッチK2、スイッチK3もオンに保持する。
【0044】
このように、スイッチK1を電池加熱動作状態と車両駆動動作状態との間の切替スイッチとする。該スイッチK1を設置することにより、本開示に係る電池のエネルギー処理装置は、電池加熱機能及び車両駆動機能という2種類の機能を有することができる。スイッチK1のオンオフ状態を切り替えることにより、該電池のエネルギー処理装置がどのような作用を提供するかを制御し、このように、電池のエネルギー処理装置の実用性をさらに向上させる。
【0045】
具体的には、第2所定状態にある場合、スイッチK1は、オフ状態にあり、ブリッジアーム
コンバータ20は、空間ベクトルパルス幅変調の制御方式でモータを駆動する。第2所定状態から第1所定状態に切り替える場合、スイッチK1をオンにして、電池加熱過程に入る。コントローラ50は、
図3~
図6を参照して説明したような方式に応じて、ブリッジアーム
コンバータ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が繰り返し充電及び放電を迅速に行って、さらに電池加熱過程を完了してもよい。
【0046】
第1所定状態から第2所定状態に切り替える場合、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20を制御し、電流値がゼロになるまで、電池10の充電及び放電の電流を小さくしてもよく、そして、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40が放電を完了し、エネルギー貯蔵素子40が放電を完了した後、コントローラ50は、オフにするようにスイッチK1を制御することにより、電池のエネルギー処理装置のハードウェア回路が車両駆動状態の構造に復帰し、次にコントローラ50は、空間ベクトルパルス幅変調の制御方式を用いてモータを駆動制御してもよく、車両が走行状態に入る。
【0047】
また、本開示の一実施例において、上記モータ巻線30は、車両の駆動モータのモータ巻線であってもよく、それに応じて、上記ブリッジアームコンバータ20は、駆動モータのブリッジアームコンバータであってもよい。すなわち、本開示に係る電池のエネルギー処理装置において、車両の駆動モータを再使用して電池の加熱処理を行う。駆動モータのパワーが大きいため、加熱過程において、対応する加熱パワーも大きく、これにより、加熱速度を向上させ、加熱効率を向上させることができる。また、車両における従来の駆動モータを再使用し、追加の専用モータを提供する必要がないため、車両におけるデバイスの利用率を向上させ、車両空間の占用を減少させ、かつ車両重量を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0048】
好ましくは、エネルギー貯蔵素子40は、車両の充電回路のコンデンサであってもよい。該コンデンサは、充電要求を満たすだけでなく、加熱要求を満たす必要がある。このように、エネルギー貯蔵部品40も車両における従来のコンデンサを再使用し、該エネルギー貯蔵部品40として追加の素子を提供する必要がなく、車両におけるデバイスの利用率をさらに向上させ、車両空間への占用を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0049】
また、車両の駆動モータ、該駆動モータのブリッジアームコンバータ、及び充電回路のコンデンサを再使用すれば、電池のエネルギー処理装置を構築して電池への加熱を実現することができる。そして、1つのスイッチK1を追加するだけで、電池のエネルギー処理装置は、電池加熱機能及び車両駆動機能を同時に有することができ、該スイッチK1を制御するだけで、これら2種類の状態を柔軟に切り替えることができ、異なるハードウェア構造を配置する必要がないため、車両におけるデバイスの利用率を向上させ、車両空間への占用を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0050】
図8、
図9及び
図10に示すように、電池のエネルギー処理装置において、エネルギー貯蔵素子40の両端には、給電装置70に外接するように、第1端子601及び第2端子602が接続され、コントローラ50はさらに、第3所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、給電装置70が該電池のエネルギー処理装置により電池に対して充電を行ってもよい。具体的には、給電装置70が該電池のエネルギー処理装置又は電池により電池に対して昇圧充電を行うか又は充電を直接的に行うように配置されてもよい。
【0051】
具体的には、電池のエネルギー処理装置は、スイッチK1及びスイッチK4をさらに含む。
図8及び
図9に示すように、スイッチK1は、モータ巻線30の第2端子とエネルギー貯蔵素子40の第1端子にそれぞれ接続され、第1端子601は、エネルギー貯蔵素子40の第1端子とスイッチK1にそれぞれ接続され、スイッチK4は、エネルギー貯蔵素子40の第2端子とブリッジアーム
コンバータ20の第2バス端子にそれぞれ接続され、第2端子602は、スイッチK4に接続され、コントローラ50は、第3所定状態で、オンにするようにスイッチK1及びスイッチK4を制御し、かつブリッジアームコンバータ20を制御することにより、給電装置70が電池10に対して充電を行うように構成されてもよい。
【0052】
電池のエネルギー処理装置は、スイッチK2及びスイッチK3をさらに含んでもよく、このように、該第3所定状態で、コントローラ50もオンにするようにスイッチK2及びスイッチK3を制御する必要がある。
【0053】
図8及び
図9に示すように、上記第3所定状態は、電池充電状態である。第1端子601及び第2端子602が給電装置70(例えば、充電スタンド)に外接する場合、コントローラ50は、現在給電装置70により電池10に対して充電を行うことを決定してもよく、この場合、コントローラ50は、オンにするようにスイッチK1、K2、K3及びK4を制御し、かつブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームのオンとオフを制御することにより、給電装置70により電池10に対して昇圧充電を行う。
【0054】
当業者に知られているように、1、ブリッジアームコンバータ20の上ブリッジアームと下ブリッジアームを同時にオンにすることができず、2、そのうちの1つをオンにすると、もう1つをオフにし、例えば、上ブリッジアームをオンにすると、下ブリッジアームをオフにし、上ブリッジアームをオフにすると、下ブリッジアームをオンにし、3、そのうちの1つをオフにすると、もう1つをオフにしてもよくオンにしてもよく、例えば、上ブリッジアームをオフにすると、下ブリッジアームをオフにするか又はオンにし、上ブリッジアームをオフにすると、上ブリッジアームをオフにするか又はオンにする。
【0055】
例示的には、
図8に示すように、第3所定状態で、コントローラ50は、オンにするようにブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームを制御し、オフにするように上ブリッジアームを制御し、この場合、電流は、給電装置70の正極から流出し、モータ巻線及び下ブリッジアームを流れた後、給電装置70の負極に流れ、電流が絶えず大きくなる。その後、
図9に示すように、コントローラ50は、オフにするようにブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームを制御し、オンにするか又はオフにするように上ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電流は、給電装置70の正極から流出し、モータ巻線及び上ブリッジアームを流れた後、電池の正極に流れて電池に対して充電を行い、電池の負極の電流は、給電装置70の負極に戻る。なお、上ブリッジアームがオフになる状態で、電流は、上ブリッジアームのダイオードを流れる。モータ巻線のエネルギー貯蔵作用により、給電装置70の電池10への昇圧充電を実現することができる。
【0056】
図10に示すように、上記第3所定状態は、電池充電状態である。第1端子601及び第2端子602が給電装置70、例えば、充電スタンドに外接する場合、コントローラ50は、現在給電装置70により電池10に対して充電を行うことを決定してもよく、この場合、コントローラ50は、オンにするようにスイッチK1、K2、K3及びK4を制御し、かつオフにするようにブリッジアームコンバータ20の下ブリッジアームを制御し、オンにするか又はオフにするように上ブリッジアームを制御してもよく、この場合、電流は、給電装置70の正極から流出し、モータ巻線及び上ブリッジアームを流れた後、電池の正極に流れて電池に対して充電を行い、すなわち、給電装置70により電池10に対して充電を直接的に行う。なお、上ブリッジアームがオフになる状態で、電流は、上ブリッジアームのダイオードを流れる。
【0057】
このように、スイッチK1及びスイッチK4を追加することにより、本開示に係る電池のエネルギー処理装置は、同じハードウェア構造に基づいて、3種類の異なる機能、すなわち、電池加熱機能、車両駆動機能及び昇圧充電機能を提供することができる。これらのスイッチのオンオフ状態を制御するだけで、これら3種類の状態を柔軟に切り替えることができ、異なるハードウェア構造を配置する必要がなため、車両におけるデバイスの利用率を向上させ、車両空間の占用を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0058】
第3所定状態から第1所定状態に切り替える場合、充電過程が完了した後、ハードウェアで給電装置70と電池のエネルギー処理装置の第1端子601及び第2端子602との接続を遮断すれば、切り替えを完了する。さらにスイッチK4をオフにすることにより、第3所定状態から第1所定状態への切り替えを実現することができる。その後、コントローラ50は、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、エネルギー貯蔵素子40と電池10が繰り返し充電及び放電を迅速に行って、さらに電池加熱過程を完了する。
【0059】
第1所定状態から第3所定状態に切り替える場合、エネルギー貯蔵素子40の両端の電圧が不確定な変数であるため、まず、ブリッジアームコンバータ20を制御することによりエネルギー貯蔵素子40の電圧を所定の値に安定させ、次に、給電装置70を電池のエネルギー処理装置の第1端子601及び第2端子602に接続して、電池に対して昇圧充電を行う必要がある。
【0060】
さらに、本開示に係る、電池を含む車両は、上記いずれかの実施例に記載の電池のエネルギー処理装置をさらに含む。
【0061】
本開示に係る車両は、上記いずれかの実施例における電池のエネルギー処理装置を含み、電池10に接続されたブリッジアームコンバータ20、モータ巻線30及びエネルギー貯蔵素子40を含む新たな回路トポロジーを設計することにより、具体的には、エネルギー貯蔵素子40がモータ巻線30の第2端子とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子にそれぞれ接続され、ブリッジアームコンバータ20が電池10とモータ巻線30にそれぞれ接続され、このような回路トポロジーに基づいて、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、電池10が充電及び放電を行って、電池10の内部抵抗の存在により、電池10自体に大量の熱を発生させるため、電池10を昇温させ、電池10への加熱を実現する。
【0062】
本開示は、さらに、電池のエネルギー処理方法を提供する。
図11は、本開示の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理方法のフローチャートである。
図11に示すように、該方法は、以下のS701を含んでもよい。
【0063】
S701では、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、電池が充電及び放電を行って、電池への加熱を実現する。
図1に示すように、ブリッジアームコンバータ20の第1バス端子は、電池10の正極に接続され、ブリッジアームコンバータ20の第2バス端子は、電池10の負極に接続され、モータ巻線30の第1端子は、ブリッジアームコンバータ20の中間点に接続され、エネルギー貯蔵素子40は、モータ巻線30の第2端子とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子にそれぞれ接続される。
【0064】
電池10に接続された、ブリッジアームコンバータ20、モータ巻線30及びエネルギー貯蔵素子40を含む新たな回路トポロジーを設計することにより、具体的には、エネルギー貯蔵素子40がモータ巻線30の第2端子とブリッジアームコンバータ20の第2バス端子にそれぞれ接続され、ブリッジアームコンバータ20が電池10とモータ巻線30にそれぞれ接続され、このような回路トポロジーに基づいて、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータ20を制御することにより、電池10が充電及び放電を行って、電池10の内部抵抗の存在により、電池10自体に大量の熱を発生させるため、電池10を昇温させ、電池10への加熱を実現する。
【0065】
具体的な実施例において、第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、エネルギー貯蔵素子と電池が充電と放電を行う。
【0066】
上記技術手段において、エネルギー貯蔵素子は、エネルギーの貯蔵及び放出を行うことができる。第1所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、モータ巻線を流れる電流の方向、及びエネルギー貯蔵素子の両端の電圧を制御することができる。このように、エネルギー貯蔵素子と電池との間の充電及び放電を制御することができる。電池の内部抵抗の存在により、エネルギー貯蔵素子と電池との間のこのような充電及び放電過程は、電池自体に大量の熱を発生させるため、電池を昇温させ、電池への加熱を実現する。
【0067】
好ましい実施形態において、S701は、上記ブリッジアームコンバータを制御することにより、上記エネルギー貯蔵素子と上記電池が繰り返し充電と放電を行って、上記電池への加熱を実現するステップをさらに含んでもよい。
【0068】
エネルギー貯蔵素子と電池との間のこのような繰り返し充電及び放電は、電池の内部抵抗の存在により、電池に大量の熱を発生させて電池を迅速に昇温させ、電池の加熱効率を向上させるという目的を達成する。
【0069】
好ましい実施形態において、S701は、上記第1所定状態で、上記ブリッジアームコンバータのうちの少なくとも1相ブリッジアームを制御することにより、上記エネルギー貯蔵素子と上記電池が充電と放電を行うステップをさらに含んでもよい。
【0070】
このように、第1所定状態で、本開示に係る電池のエネルギー処理方法は、選択のために様々な制御ポリシーを提供することができ、すなわち、そのうちの1相巻線がエネルギー貯蔵素子と電池との間のエネルギー交換に関与する可能性を提供するだけでなく、多相巻線がエネルギー貯蔵素子と電池との間のエネルギー交換に関与する可能性も提供する。このように、実際の加熱ニーズに応じて、対応するポリシーを配置し、さらに異なる加熱効率を実現し、柔軟性、実用性をさらに向上させることができる。
【0071】
好ましい実施形態において、上記ブリッジアームコンバータの多相ブリッジアームが制御される間、上記多相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになり、或いは、上記多相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになる。
【0072】
このように、モータ巻線における多相巻線をエネルギー貯蔵素子と電池との間のエネルギー交換に関与させることにより、電流通過能力を増大させ、電池加熱速度を向上させ、電池加熱効率を向上させることができる。
【0073】
モータの3相巻線に電流が存在するため、電流ベクトルを形成しかつ磁界を生成することにより、モータ回転子が脈動トルクを出力し、モータの耐用年数及び車の安全性に大きな影響を与えることを回避するために、本開示の実施形態において、上記方法において、ブリッジアームコンバータにおける3相ブリッジアームを制御することにより、該3相ブリッジアームの上ブリッジアームが同時にオンになってもよく、或いは、該3相ブリッジアームの下ブリッジアームが同時にオンになってもよい。3相ブリッジアームの制御が完全に同じであるため、モータ内部の電流ベクトルがゼロであり、トルク脈動が存在しないことにより、車の安全性を向上させ、モータの耐用年数を延長させる。同時に、3相巻線が共にエネルギー貯蔵素子と電池との間のエネルギー交換に関与するため、電流通過能力がさらに増大し、電池加熱効率をさらに向上させる。
【0074】
好ましい実施形態において、上記ブリッジアームコンバータのうちの少なくとも1相ブリッジアームを制御することにより、上記エネルギー貯蔵素子と上記電池が充電及び放電を行う上記ステップは、上記エネルギー貯蔵素子を流れる電流及び/又は上記エネルギー貯蔵素子の両端の電圧を取得し、かつ上記電流及び/又は上記電圧に基づいて、上記ブリッジアームコンバータの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームのオンオフ状態の切り替えを制御するステップを含む。
【0075】
好ましい実施形態において、上記電流及び/又は上記電圧に基づいて、上記ブリッジアームコンバータの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームのオンオフ状態の切り替えを制御する上記ステップは、上記上ブリッジアームがオン状態にあり、かつ上記電流が第1電流閾値まで増加し、及び/又は、上記電圧が第1電圧閾値まで増加する場合、オフにするように上記上ブリッジアームを制御し、オンにするように上記下ブリッジアームを制御するステップと、上記下ブリッジアームがオン状態にあり、かつ上記電流が第2電流閾値に達し、及び/又は、上記電圧が第2電圧閾値まで減少する場合、オンにするように上記上ブリッジアームを制御し、オフにするように上記下ブリッジアームを制御するステップと、を含み、上記第1電流閾値に対応する電流方向は、上記第2電流閾値に対応する電流方向と逆である。
【0076】
このように、エネルギー貯蔵素子を流れる電流及び/又はエネルギー貯蔵素子の両端の電圧に基づいて、上ブリッジアームと下ブリッジアームのオンオフ状態を切り替えるタイミングを正確に決定することにより、正確に制御するという目的を達成することができる。
【0077】
好ましい実施形態において、上記上ブリッジアームがオン状態にある場合、上記上ブリッジアームのオン時間に基づいて、上記エネルギー貯蔵素子と上記モータ巻線を、上記電池にエネルギーを放出することから上記電池のエネルギーを受けることに切り替え、上記下ブリッジアームがオン状態にある場合、上記下ブリッジアームのオン時間に基づいて、上記エネルギー貯蔵素子を、上記モータ巻線のエネルギーを受けることから上記モータ巻線にエネルギーを放出することに切り替える。
【0078】
好ましい実施形態において、エネルギー貯蔵素子は、第1スイッチK1に直列接続され、該第1スイッチK1は、モータ巻線の第2端子とブリッジアームコンバータの第2バス端子との間に接続される。該方法は、第1所定状態で、オンにするように第1スイッチK1を制御するステップをさらに含んでもよい。
【0079】
好ましい実施形態において、該方法は、第2所定状態で、オフにするように第1スイッチK1を制御し、かつブリッジアームコンバータを制御することにより、モータ巻線に対応するモータがパワーを出力するステップをさらに含んでもよい。
【0080】
このように、第1スイッチK1を、電池加熱動作状態と車両駆動動作状態との間の切替スイッチとする。該スイッチK1を設置することにより、本開示に係る電池のエネルギー処理方法は、電池加熱機能及び車両駆動機能という2種類の機能を実現することができる。スイッチK1のオンオフ状態を切り替えることにより、該電池のエネルギー処理方法がどのような作用を提供するかを制御し、このように、実用性をさらに向上させる。
【0081】
好ましい実施形態において、上記エネルギー貯蔵素子の両端には、給電装置に外接するように、第1端子及び第2端子が接続される。該方法は、第3所定状態で、ブリッジアームコンバータを制御することにより、該給電装置がモータ巻線により電池に対して充電を行うステップをさらに含んでもよい。
【0082】
具体的には、該給電装置がモータ巻線により電池に対して昇圧充電を行い、この場合、第3所定状態で、上記ブリッジアームコンバータの下ブリッジアームのオンとオフを周期的に制御することにより、上記給電装置が上記電池に対して昇圧充電を行う。
【0083】
別の具体的な実施例において、該給電装置がモータ巻線により電池に対して充電を直接的に行い、この場合、上記第3所定状態で、オフにするように上記ブリッジアームコンバータの下ブリッジアームを制御することにより、上記給電装置が上記電池に対して充電を直接的に行う。
【0084】
このように、本開示に係る電池のエネルギー処理方法は、同じハードウェア構造に基づいて、3種類の異なる機能、すなわち、電池加熱機能、車両駆動機能及び昇圧充電機能を提供することができる。スイッチのオンオフ状態を制御するだけで、これら3種類の状態を柔軟に切り替えることができ、異なるハードウェア構造を配置する必要がないため、車両におけるデバイスの利用率を向上させ、車両空間の占用を減少させ、完成車のコストを低下させ、新エネルギー自動車の普及に役立つ。
【0085】
上記実施例における方法について、各ステップの具体的な方式は、装置に関連する実施例において詳細に説明されており、ここで詳細に説明しない。
【0086】
以上、図面を参照しながら本開示の具体的な実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態の具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の範囲内に、本開示の技術的解決手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更がいずれも本開示の保護範囲に属する。
【0087】
なお、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、任意の適当な方式で組み合わせることができる。不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0088】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の構想から逸脱しない限り、本開示に開示されている内容と見なすべきである。
【国際調査報告】