(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】長時間作用性の低嗜癖性HNK誘導体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/68 20060101AFI20230628BHJP
A61K 31/341 20060101ALI20230628BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20230628BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230628BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230628BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230628BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230628BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230628BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20230628BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230628BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20230628BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
C07D307/68 CSP
A61K31/341
A61P23/00
A61P25/04
A61P25/28
A61P11/00
A61P25/24
A61P25/22
A61P25/02
A61P21/00
A61P29/02
A61P25/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575338
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 CN2020112373
(87)【国際公開番号】W WO2022041174
(87)【国際公開日】2022-03-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522474882
【氏名又は名称】深▲せん▼瑞健生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN RUIJIAN BIOTECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 10, Gaoxin Zhongyi Road, Nanshan District, Shenzhen, Shenzhen hi tech Zone Incubator 1-312 Shenzhen, Guangdong 518057, China
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】李▲書▼▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】周▲強▼
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BA03
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA04
4C086ZA05
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA59
4C086ZA94
(57)【要約】
本願は、抗うつ、不安および外傷後ストレス症候群の改善、麻酔、鎮痛、認知機能の改善、肺の保護、筋萎縮性側索硬化症の予防もしくは治療、または複合性局所疼痛症候群の予防もしくは治療のための化合物に関する。本願の化合物は、従来知られているHNK系化合物に比べて、より長い薬効期間を有し、さらに本願の化合物は、実質的に嗜癖性を生じない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される構造を有する化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化16】
(式中、
mは、0-3の整数であり、nは、0-4の整数であり;
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルケニル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルキニル基、置換もしくは無置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
10複素環基、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルコキシ基、置換もしくは無置換のモノ-及びジ-C
1-C
6アルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択される1つまたは複数であり;
R
3は、ハロゲンであり;
R
4は、H、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルキル基、置換もしくは無置換のC
1-C
8アシル基、置換もしくは無置換のアリールアシル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリールアシル基から選択され;
R
5は、置換もしくは無置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
10複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択され;
R
6は、H、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルケニル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルキニル基、置換もしくは無置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
10複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC
1-C
8アシル基、置換もしくは無置換のアリールアシル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリールアシル基から選択され;
前記置換とは、OH;NH
2;C
1-C
10アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基;C
1-C
10アルキルアミン基;メルカプト基;C
1-C
10アルキルメルカプト基;C
1-C
20アルコキシ基;C
1-C
10カルボニル基;C
3-C
10シクロアルキル基;N、S、O、Pから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する3-10員複素環基;C
6-C
20アリール基;C
2-C
20ヘテロアリール基;ニトロシアノ基、またはハロゲンで置換されることを指す)。
【請求項2】
式IIで表される構造であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化17】
【請求項3】
式IIIで表される構造であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化18】
(式中、pは0-3の整数である)
【請求項3】
式IVで表される構造であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化19】
(式中、pは0-3の整数である)
【請求項4】
下記に示すような化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化20】
【請求項5】
下記に示すような化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化21】
【請求項6】
構造式が下記の通りである化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化22】
(式中、R
7はHまたは保護基である)
【請求項7】
下記のような構造であることを特徴とする、請求項6に記載の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化23】
【請求項8】
下記のような構造であることを特徴とする、請求項6または7に記載の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化24】
または
【化25】
【請求項9】
請求項1-8のいずれか1項に記載の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体を含み、薬学的に許容可能な担体を任意にさらに含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項10】
下記のとおりであることを特徴する、化合物の製造方法。
【化26】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医薬品分野に関し、具体的に、複合性局所疼痛症候群(CRPS)を含むうつ病を治療する長時間作用性の低嗜癖性HNK誘導体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケタミン(ketamine)は、臨床で常用されているフェンシクリジン系静脈麻酔薬の代表であり、近年の臨床と基礎研究が急速に進んでいる麻酔薬の一つである。臨床実践においては、迅速な誘導、短い作用時間、速い蘇生、呼吸および循環系への影響の軽さなどの特徴を有するので、小児科、産婦人科、呪術器、および特定疾患患者の麻酔のニーズを満たすためによく使用される。
【0003】
ケタミンは、1962年に最初に合成され、1965年にヒトに用いられ、1970年にFDAによって公式に臨床使用が承認された。その典型的な「解離麻酔」および短期間で確実な鎮痛は、一時的に人気を集めたが、その後で精神的な副作用および他の静脈麻酔薬の急速な開発がケタミンの臨床使用を大幅に減少させることが見出された。ここ10年来、ケタミンの用法・用量に対する研究及びその抗炎症、抗うつ、神経保護、鎮痛などの作用の発見に従って、医学界におけるケタミンへの関心が再び高まっている。
【0004】
従来から、ケタミンの有する強力な鎮痛、忘却、自律呼吸及び気道防御反射の同時維持、血行動態の安定維持等の作用により、病院前の麻酔・鎮痛へのケタミンの作用は無視できなくなっている。ケタミンは、神経毒性と神経保護作用を同時に有する。
【0005】
ケタミンは、術後認知機能に影響を及ぼす。ある研究者は、ケタミン麻酔を受けた50例の患児を対象にテストを行ったところ、ケタミン全身麻酔は患児の術後6時間の認知機能を低下させるが、術後24時間の認知機能には影響を与えないことを見出した。Hudetzらは、全身麻酔を誘導する時にケタミンを0.5mg/kg投与することにより、心臓手術後1週間の術後認知機能障害の発生率を低下させることを見出した。近年、多くの臨床実験からも、術中単回少量のケタミンの投与により、術後認知機能障害の発生率が低下できることが実証されている。
【0006】
ケタミンは鎮痛作用を有する。亜麻酔用量のケタミンは、抗痛覚過敏及び急慢性疼痛の治療によく使用される。研究によれば、麻酔誘導前にケタミン塩水の混合液によるうがいは、全身麻酔での気管挿管による術後咽頭痛の発生率及び重症度を著しく低下させることが実証された。術中のオピオイドの使用は、術後のオピオイドの鎮痛への用量を増加させ、この効果はオピオイド耐性と呼ばれる。ケタミンの使用がオピオイド耐性を防止でき、モルヒネ耐性を逆転でき、モルヒネの鎮痛効果を高めることが臨床的に発見された。また、研究によれば、術中の少量のケタミンの使用がレミフェンタニル(remifentanil)誘導術後痛覚過敏を防止できることも実証された。Caglaらは、膝関節鏡手術を受けた患者へ術後ケタミンを0.15mg/kgで静注したところ、ケタミンが術後の鎮痛満足度を著しく向上させ、かつケタミン複合ミダゾラムの群よりも鎮静スコアが低いことを見出した。
【0007】
ケタミンは肺の保護作用を有する。近年、ケタミンは、顕著な肺保護作用を有することが見出されている。臨床実験により実証されるように、胸部手術における片肺の通換気前での経静脈投与及び噴霧化吸入の両方は、血中炎症因子のレベルを低下させることができるが、噴霧化吸入は心臓血管系及び気道圧に対してより有益であり、それに肺の換気側での噴霧化効果は、二重肺での噴霧化効果よりも優れている。ケタミンは、通常の治療が有効でない致命的な喘息発作の応急手当に臨床的によく使用され、その使用が予後を改善できることもよく認められている。
【0008】
ケタミンは抗うつ作用を有する。Bermanらは、2000年に亜麻酔用量のケタミン(0.5mg/kg)を1回静脈内注射した後72時間以内に50%を超える患者のハミルトンうつ病評価尺度が50%以上低下することを初めて報告した。近年、より多くの動物および臨床研究により、ケタミンの抗うつ効果をさらに実証している。ケタミンは、うつ病患者の電気けいれん療法の麻酔にも使用される。
【0009】
出願番号がCN201280062294Xであり、発明の名称がうつ病及び神経障害性疼痛の治療への(2R,6R)-ヒドロキシノルケタミン、(S)-デヒドロノルケタミン、及び(R,S)-ケタミンの他のデヒドロ立体異性体と水酸化代謝物の使用である特許出願には、CNS(中枢神経系)副作用がNMDA受容体に対する(R,S)-ケタミンの活性に関連することが開示されており、この出願ではケタミンをベースとして(2R,6R;2S,6S)-ヒドロキシノルケタミン(HNK)の研究及び合成を行ったところ、この化合物がNMDA受容体に対して活性を有しないことで、起こり得る副作用を回避し、同時にこの化合物が双極性うつ病、重度うつ病、アルツハイマー型認知症、筋萎縮性側索硬化症、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、慢性疼痛、又は神経障害性疼痛を治療する作用を有すると言われている。
【0010】
本実験研究において(2R,6R;2S,6S)-ヒドロキシノルケタミン(HNK)を投与した後にその薬効持続期間が長くなく、実質的に1週以内に活性がなくなり、これがうつ病を治療する時に所期の長時間作用効果を著しく制限していることを見出した。同時に、本研究では、HNKを使用すると、一定の嗜癖性が生じて患者の心身に悪影響を与えることも発見された。したがって、より長い薬効及びより低い嗜癖性の医薬を得るように、いかに(2R,6R;2S,6S)-ヒドロキシノルケタミン(HNK)に構造修飾するかというのは、大きな治療可能性を有することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願は、抗うつ、麻酔、鎮痛、認知機能の改善、肺の保護、筋萎縮性側索硬化症の予防もしくは治療、又は複合性局所疼痛症候群の予防もしくは治療という作用を有する化合物に関する。
【0013】
本願の化合物は、従来知られているHNK系化合物に比べて、より長い薬効期間を有し、具体的に、HNKが1週間以内に代謝され、すなわち活性がなくなることに対して、本願の化合物は、薬効期間が1週間以上持続でき、具体的には、7日以上、10日以上、14日以上などである。そして、本願の化合物は、嗜癖性をほとんど生じなく、HNK系化合物に比べてその嗜癖性が2倍、5倍、10倍、または20倍低い。
【0014】
本願は、式Iで表される構造を有する化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体を提供する。
【化1】
ここで、
mは、0-3の整数であり、nは、0-4の整数であり;
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルケニル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルキニル基、置換もしくは無置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
10複素環基、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルコキシ基、置換もしくは無置換のモノ-及びジ-C
1-C
6アルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択される1つまたは複数であり;
R
3は、ハロゲンであり;
R
4は、H、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルキル基、置換もしくは無置換のC
1-C
8アシル基、置換もしくは無置換のアリールアシル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリールアシル基から選択され;
R
5は、置換もしくは無置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
10複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択され;
R
6は、H、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルケニル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルキニル基、置換もしくは無置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
10複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC
1-C
8アシル基、置換もしくは無置換のアリールアシル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリールアシル基から選択され;
前記置換とは、OH;NH
2;C
1-C
10アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基;C
1-C
10アルキルアミン基;メルカプト基;C
1-C
10アルキルメルカプト基;C
1-C
20アルコキシ基;C
1-C
10カルボニル基;C
3-C
10シクロアルキル基;N、S、O、Pから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する3-10員複素環基;C
6-C
20アリール基;C
2-C
20ヘテロアリール基;ニトロシアノ基、またはハロゲンで置換されることを指す。
【0015】
好ましくは、式IIで表される構造であることを特徴とする、上記の化合物である。
【化2】
【0016】
好ましくは、式IIIで表される構造であることを特徴とする、上記の化合物である。
【化3】
ここで、pは0~3の整数である。
【0017】
好ましくは、式IVで表される構造であることを特徴とする、上記の化合物である。
【化4】
ここで、pは0~3の整数である。
【0018】
好ましくは、下記に示すような化合物であることを特徴とする、上記の化合物である。
【化5】
【0019】
好ましくは、下記に示すような化合物であることを特徴とする、上記の化合物である。
【化6】
【0020】
本願は、構造式が下記の通りである化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体も提供する。
【化7】
ここで、R
7はHまたは保護基である。
【0021】
好ましくは、下記のような構造であることを特徴とする、上記の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体である。
【化8】
【0022】
好ましくは、下記のような構造であることを特徴とする、上記の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体である。
【化9】
または
【化10】
【0023】
また、本願は、請求項1-8のいずれか1項に記載の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体を含み、さらに薬学的に許容可能な担体を含んでもよいことを特徴とする、医薬組成物をさらに提供する。
【0024】
また、本願は、下記のとおりであることを特徴する、化合物の製造方法をさらに提供する。
【化11】
【0025】
麻酔、鎮痛、認知機能の改善、肺の保護、抗うつ、不安および外傷後ストレス症候群、筋萎縮性側索硬化症、複合性局所疼痛症候群の改善のための医薬品の製造における上記のいずれかの化合物の適用。
【0026】
ここで、前記疼痛は、慢性疼痛または神経障害性疼痛を含み、前記うつ病は、双極性うつ病、重度うつ病を含み、不安および外傷後ストレス症候群が改善され、認知機能の改善は、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病などの予防または治療を含む。
【0027】
上記の全ての疾患は、予防または治療の作用も含む。
【0028】
上記の全ての化合物の立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマーを含む。
【0029】
上記の全ての化合物は、化合物が異なる互変異性体の形で存在する場合、本願が具体的な互変異性体のいずれか1つに限定されず、全ての互変異性体の形を含む。
【0030】
上記の全ての化合物は、化合物に存在する原子の全ての可能な同位体を有する化合物を含む。同位体には、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子が含まれる。一般的な例として、制限がない場合に、水素の同位体はトリチウム及びジュウテリウムを含み、炭素の同位体は11C、13C及び14Cを含む。
【0031】
本願はさらに医薬組成物を提供し、本明細書に開示される化合物を純粋な化学物質として投与することができるが、好ましくは医薬組成物として投与することができる。したがって、本開示は、少なくとも1つの医薬用担体と共に化合物またはその薬用塩を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、化合物又はその塩を唯一の活性剤として含んでもよいが、好ましくは、少なくとも1つの他の活性剤を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、単位剤形に、約0.1mg~約1000mg、約1mg~約500mg、または約10mg~約200mgの式Iの化合物、および選択可能な約0.1mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約100mg~約800mg、または約200mg~約600mgの他の活性剤を含む経口剤形である。
【0032】
本明細書に開示の化合物は、通常の医薬用担体を含む投与量単位製剤で、経口投与、局所投与、非経口投与、吸入もしくは噴霧による投与、舌下投与、経皮投与、口腔による投与、直腸投与、点眼液として、または他の手段によって投与することができる。医薬組成物は、任意の医薬用的形態、例えば、エアロゾル、クリーム、ゲル、ピル、カプセル、錠剤、シロップ、経皮パッチ、又は点眼液に調製されてもよい。錠剤及びカプセルなどのいくつかの剤形は、所望の目的を達成するのに有効な量などの適切な量の活性成分を含む適切な投与量単位剤形に細分割され得る。
【0033】
担体は、賦形剤及び希釈剤を含み、治療対象の患者への投与に適するように、十分に高い純度及び十分に低い毒性を有していなければならない。担体は不活性であってもよく、またはそれ自体が薬学的に有益なものであってもよい。
【0034】
担体の種類は、結合剤、緩衝剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、矯味剤、流動促進剤、潤滑剤、保存剤、安定化剤、界面活性剤、錠剤化剤、湿潤剤等を含むが、これらに限定されない。いくつかの担体は、複数の類別に分けられてもよく、例えば、植物油は、いくつかの製剤に潤滑剤として使用され、他の製剤に希釈剤として使用されることができる。医薬用担体の例は、糖、デンプン、セルロース、トラガカント粉末(powdered tragacanth)、麦芽、ゼラチン、タルク、および植物油を含む。選択可能な活性剤は、本発明の化合物の活性に実質的に影響を与えずに、医薬組成物に含まれ得る。
【0035】
本願の化合物またはその塩は、投与される唯一の活性剤であってもよく、または他の活性剤と共に投与されてもよい。例えば、本願の化合物は、以下のものから選択される別のいずれか1つの活性剤と共に投与され得る。
抗うつ薬:エスシタロプラムシュウ酸塩、フルオキセチン、パロキセチン、デュロキセチン、セルトラリン、シタロプラム、ブプロピオン、ベンラファキシン、デュロキセチン、ナルトレキソン、ミルタザピン、ベンラファキシン、アトモキセチン、ブプロピオン、ドキセピン、アミトリプチリン、クロミプラミン、ノルトリプチリン、ブスピロン、アリピプラゾール、クロザピン、ロキサピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、カルバマゼピン、ガバペンチン、ラモトリギン、フェニトイン、プレガバリン、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リバスティグミン、トラミプロセート、またはそれらの医薬活性塩もしくはプロドラッグ、または上記の組み合わせ;
精神分裂病薬:アリピプラゾール、ルラシドン、アセナピン、クロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、クエチアピン、トリフルオペラジン、オランザピン、クロザピン、フルペンチキソール(flupentixol)、ペルフェナジン、ハロペリドール、クロルプロマジン、フルフェナジン、プロリクシン、パリペリドン;
アルツハイマー型認知症薬:ドネペジル、リバスティグミン、ガランタミン、メマンチン;
ALS薬:リルゾール;
疼痛薬:アセトアミノフェン、アスピリン、NSAIDS(ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、Tolmetinopiods、セレコキシブなどのCox-2阻害剤を含む)、および麻酔疼痛薬(例えば、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジヒドロコデインノン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、ペチジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、中枢性鎮痛薬であるトラマドールである)。
【0036】
他の活性剤の上記のリストは、例示的なものであり、完全に含まれるものではない。上記のリストに含まれない他の活性剤は、式Iの化合物と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、他の活性剤は、一般的に規定された用量未満、かつ場合によっては、承認された用量未満の最小値で投与されるが、その承認された規定情報に従って他の活性剤を投与してもよい。
【0037】
本願は、うつ病を治療する方法、特に双極性うつ病および重度うつ病を治療する方法、特に治療抵抗性うつ病(treatment-resistant depression)を治療する方法を含み、ここで、化合物の有効量は、うつ病症状を軽減するのに有効な用量であり、ここで、うつ病症状の軽減は、うつ症状尺度で決定される症状の50%以上の軽減、またはHRSD17における7以下のスコア、またはQID-SR16における5以下、またはMADRSにおける10以下を達成することである。
【0038】
本願は、疼痛症状を軽減する(または鎮痛)のに有効な量を提供する。ここで、疼痛症状の軽減は、疼痛尺度における疼痛症状の50%以上の軽減を達成することである。
【0039】
用語の規定
「立体異性体」は、同じ化学組成を有するが、空間における原子または基の配置が異なる化合物である。
【0040】
「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラル中心を有し、かつその分子が互いの鏡像ではない立体異性体である。ジアステレオマーは、融点、沸点、スペクトル特性および反応性などの異なる物性を有する。ジアステレオマーの混合物は、分割剤またはクロマトグラフィーが存在する場合、キラルHPLCカラム等を使用して電気泳動、結晶化等の高分解能分析工程で分離することができる。
【0041】
「エナンチオマー」は、一つの化合物にある互いに重なる鏡像がない2つの立体異性体を指す。エナンチオマーの50:50の混合は、ラセミ混合物またはラセミ体と呼ばれ、これは、化学反応または処理過程において、立体選択性または立体配向性がなくなった場合に現れ得る。
「アルキル基」は、分枝状及び直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基の両方を含み、特定の数の炭素原子数、一般的には1~約12個の炭素原子を有する。本明細書に使用されるC1-C6アルキル基は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。本明細書において、C0-Cnアルキル基が別の基と結合して使用される場合に、(フェニール)C0-C4アルキル基を例とし、この場合、当該基は、フェニルと単一の共有結合(C0)で直接結合されているか、又は特定の炭素原子数(この場合、1~約4個の炭素原子)を有するアルキル鎖を介して連結されている。アルキル基の例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、3-メチルブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びsec-ペンチル基などが挙げられる。
【0042】
「アルケニル基」は、1つまたは複数の不飽和炭素-炭素結合を含む直鎖及び分枝鎖を指し、炭素-炭素結合が鎖に沿ったいずれか1つの安定点に現れてもよい。本明細書に記載のアルケニル基は、一般的に、2~約12個の炭素原子を有する。アルケニル基は、2~約8個の炭素原子を有する低級アルケニル基、例えば、C2-C8、C2-C6、およびC2-C4アルケニル基であることが好ましい。アルケニル基の例は、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等を含むが、これらに限定されない。
【0043】
「アルコキシ基」は、酸素架橋によって連結された特定の数の炭素原子を有する、上記で定義されたアルキル基を指す。アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、3-ヘキシルオキシ基、及び3-メチルペンチルオキシ基を含むが、これらに限定されない。
【0044】
ハロゲンは当技術分野において周知であり、好ましくはF、Cl、Br、Iである。
【0045】
用語「ヘテロシクロ」は、5~8員飽和環、部分不飽和環、もしくはN、O及びSから選択される1~約4個のヘテロ原子を含みかつ残りの環原子が炭素である芳香族環、または7~11員飽和環、部分不飽和環、もしくは芳香族ヘテロシクロ系及び10~15員三環系を表示し、当該環系は、N、O及びSの多環系から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含みかつ多環系の各環に独立してN、O及びSから選択されるせいぜい約4個のヘテロ原子を含む。特に指定しない限り、ヘテロシクロは、その任意のヘテロ原子及び炭素原子で置換されて安定な構造が生じ得る基に連結されてもよい。特定されると、本明細書に記載のヘテロシクロは、得られる化合物が安定なものにさせれば、炭素または窒素原子上で置換され得る。ヘテロシクロ内の窒素原子は、任意に四級化されていてもよい。ヘテロシクロ基内のヘテロ原子の総数は4以下であることが好ましく、ヘテロシクロ基内のS及びO原子の総数は2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。複素環基の例は、ピリジル基、インドリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル(pyridazinyl)基、ピラジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、フリル基、フェニルチオ基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イソオキサゾリル基、キノリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ベンゾ[b]チオフェニル基(benz[b]thiophenyl)、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、チエニル基、イソインドリル基、ジヒドロイソインドリル基、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン基、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ピロリジニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ピペリジニル基、及びピロリジニル基を含む。
【0046】
「アリール基またはヘテロアリール基」は、N、O及びSから選択される1~4個、好ましくは1~3個のヘテロ原子を含み、かつ残りの環原子が炭素である、安定な5または6員の単環または多環を表す。ヘテロアリール基中のS及びO原子の合計数が1を超えると、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。ヘテロアリール基中のS及びO原子の合計数は2以下であることが好ましい。ヘテロアリール基中のS及びO原子の合計数が1以下であることが特に好ましい。ヘテロシクロ中の窒素原子は、任意に四級化されていてもよい。特定されると、これらのヘテロアリール基は、炭素原子または非炭素原子または基で置換されていてもよい。そのような置換は、N、O及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を任意に含有する5~7員飽和環基との縮合によって、例えば、[1,3]ジオキサゾロ[4,5-c]ピリジニル基を形成することを含み得る。ヘテロアリール基の例は、ピリジル基、インドリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、フリル基、フェニルチオ基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イソオキサゾリル基、キノリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ベンゾ[b]チオフェニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、チエニル基、イソインドリル基、及び5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン基を含むが、これらに限定されない。アリール基は、フェニル基、ナフチル基等が好ましい。
【0047】
「うつ病」は、気分の落ち込み、行動興味の低下、心理活動の緩み又は苛立ち、食欲の変化、集中力の欠如又は優柔不断、過剰な罪悪感又は劣等感を含み、また、うつ病、双極性うつ病、並びに他の疾患又は病状による情緒異常、物による情緒異常及び他の不明な原因の情緒異常の場合に、自殺念が出てくる可能性があり、様々な他の精神疾患(精神異常、認知障害、摂食障害、不安障害、及び人格障害を含むが、これらに限定されない)と共に存在し得る。疾患の進行(longitudinal course)、病歴、症状類型および病因は、情動疾患の様々な形態を互いに区別するのに役立つ。
【0048】
「化合物の塩」は、開示された化合物の誘導体であり、親化合物が無毒の酸付加塩または塩基付加塩に調製されることによって改質され、かつ、これらの化合物およびこれらの塩の医薬用溶媒和物も指す。医薬用塩の例は、アミン系などの塩基性残基の無機酸付加塩または有機酸付加塩、カルボン酸などの酸性残基の塩基付加塩または有機付加塩、および上記の塩のうちの1つまた複数の組み合わせを含むが、これらに限定されない。医薬用塩は、例えば無毒性の無機酸または有機酸から形成される親化合物の無毒性塩および4級アンモニウム塩を含む。例えば、無毒酸性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導されるものを含み、他の許容可能な無機塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ならびに上記の塩のうちの1つまたは複数の組み合わせを含む。
【0049】
化合物の有機塩は、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-アミノベンゼンスルファニル酸、2-アセチル安息香酸、フマル酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC-(CH2)n-COOH(ここで、nは0~4である)等の有機酸から調製される塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩、およびアルギニン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩、ならびにこれらの塩のうちの1つまたは複数の組み合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】異なる用量の薬物の7日以内の抗うつ作用である。
【
図6】I6はマウスに対して場所嗜好作用を有しない。
【発明を実施するための形態】
【0051】
実施例1:(2R,6R)-6-ヒドロキシデメチルケタミン(HNK)の合成
【化12】
ステップ1:2口フラスコまたは3口フラスコに、マグネシウム粉末50gを加え、開始後、ブロモシクロペンタン119.2gとTHFの混合溶液をゆっくり滴下し、滴下終了後2~4時間還流して1.6mol/Lのシクロペンチルグリニャール試薬を得た。THF及びo-クロロベンゾニトリル(50.0g)の混合液に840mgのCuBrに加え、氷浴条件下で、シクロペンチルグリニャール試薬(1.6mol/L、280ml)を滴加した。滴下終了後、1時間還流し、室温まで冷却し、水100mlを加え、15%希硫酸溶液200mlを加え、一晩撹拌し、THFをスピンドライし、EAで抽出し、乾燥し、シリカゲルカラムを通して、化合物Aである2-クロロフェニルシクロペンチルケトン60gを得て、収率が80%であった。
【0052】
ステップ2:20g(96mmol)化合物Aを、報告されている方法(Bioorganic & Medicinal Chemistry 2013、12,5098)に従って、400mlのEAに溶解し、溶解後に臭化銅(54g、242mmol)を加え、3時間加熱還流した後、室温まで冷却し、固体不溶物をセライトで濾過し、ジクロロメタンを加えて濾渣を洗浄した後、濾液と合わせて濃縮し、黄色油状物の化合物Bである2-クロロフェニル(1-ブロモシクロペンチル)メタノンを得た。シリカゲルカラムに通して、化合物Bの純品22gを得て、収率が80%であった。
【0053】
ステップ3:200mlのアンモニア水にアンモニアガスを飽和まで導入して、化合物B(10g)を加え、24時間撹拌し、化合物Cを沈殿析出し、濾過し、乾燥させ、茶色固体の化合物C(7g)を得て、次の工程に直接に供し、収率が70%であった、。
【0054】
ステップ4:化合物C(5g)を、乾燥したTHFに溶解し、溶液のpHが1になるまでHClガスを導入し、溶液をスピンドライして、固体塩酸塩を得た。固体塩酸塩を一口フラスコに入れ、窒素保護下、190℃の油浴に約20分間放置し、室温に冷却し、重炭酸ナトリウム飽和溶液を加えて中和し、DCMで抽出した後、濃縮結晶化して化合物Dである脱メチルケタミンHNKラセミ体2.9gを得て、収率が75%であった。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ7.67(dd,J=7.8,1.5Hz,1H),7.37-7.32(m,2H),7.25(m,1H),2.78-2.71(m,1H),2.61(m,1H),2.51-2.43(m,1H),2.08-2.0(m,1H),1.88-1.63(m,4H).
【0055】
ステップ5:化合物D(1.11g、5mmol)をメタノール2mlに溶解し、L-酒石酸(2.5mmol)を添加し、1時間撹拌し、アセトン10mlに滴下し、静置して結晶化させ、濾過してL-酒石酸塩の結晶を得た。得られたL-酒石酸塩結晶をさらに3回再結晶化させ、その後、結晶を重炭酸ナトリウム溶液に加えて中和させ、EAで抽出して、光学的に純粋な化合物であるE(R)-デメチルケタミン165mgを得て、キラルHPLCによる光学純度が98.3%ee%であり、収率が15%であった。
【0056】
キラルHPLC検出ステップ:化合物Eおよび対照のラセミ体化合物Dの各1mgを1mLのエタノールに溶解し、アジレント1260-A高速液体クロマトグラフィーにかけて順相均質分析を行い、カラム:Chiralcel-AD-H(4.6mm×250mm)、移動相A:(n-ヘキサン+0.1%ジエチルアミン)、移動相B:(エタノール+0.1%ジエチルアミン)、A:B=40:60、流速:1mL/分。化合物Eについて、R体異性体の保持時間が6.8minであり、対応するS体異性体の保持時間が5.3minであった。
【0057】
ステップ6:化合物E(2.23g、10mmol)をTHF60mLに加え、トリエチルアミン(2.7mL、20mmol)及びBoc2O(3.3g、15mmol)を加え、6時間還流して冷却させ、スピンドライし、シリカゲルカラムに通して、化合物F2.92gを得て、収率が90%であった。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ7.81(d,J=8.1Hz,1H),7.40-7.28(m,2H),7.24-7.12(m,1H),6.57(s,1H),3.82(d,J=14.4Hz,1H),2.45-2.36(m,1H),2.28(m,1H),2.04(m,1H),1.89-1.56(m,4H),1.27(s,9H).13CNMR(100MHz,CDCl 3):δ207.9,152.3,134.5,132.6,130.3,130.0,128.3,125.2,78.0,66.1,38.5,37.4,29.7,27.2,20.9。
【0058】
ステップ7:化合物F(2.91g、9mmol)を、乾燥したTHF60mlに加え、アルゴン保護下、-78℃に冷却し、5mlのHMPAを加え、次いで、2MのLDAのTHF溶液(12ml、24mmol)をゆっくり滴加し、30~40分間撹拌し、次いで、-30℃にゆっくり昇温し、1時間撹拌し、次いで、-78℃に冷却し、トリメチルクロロシランTMSCl(2.6g、24mmol)を加え、-50℃にゆっくり昇温し、3時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液を加え、室温に戻し、THF溶媒を濃縮し、EAを加えて抽出し、有機相に無水Na2SO4を加えて乾燥させ、溶媒をスピンドライし、真空乾燥させ、得られた油状物に無水DCM100mlを加えて溶解させ、-15℃に冷却し、アルゴン保護下、mCPBA(2.5g、11mmol)を加え、1時間撹拌後、室温に昇温し、DCM50mlを加え、さらに1時間撹拌し、次いで、飽和チオ硫酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウム溶液(1:1)を加え、DCMで抽出し、溶媒をスピンドライして真空乾燥させ、得られた油状物にTHF100mlをさらに加えて溶解させ、その後、-5℃に冷却し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(3g、11.4mmol)を加え、30分間撹拌し、NaHCO3飽和溶液を加え、EAで抽出し、溶媒をスピンドライして真空乾燥させ、シリカゲルカラムに通して、化合物G1.92Gを得て、収率が65%であった。1HNMR(400MHz,CDCl3):δ7.81(d,J=7.8Hz,1H),7.34(m,2H),7.24(m,1H),6.60(s,1H),4.12(dd,J=11.7,6.8Hz,1H),3.87(d,J=14.4Hz,1H),3.38(m,1H),2.36(m,1H),1.74(m,2H),1.68-1.57(m,1H),1.55-1.40(m,1H),1.30(s,9H).13CNMR(100MHz,CDCl3):209.8,153.2,134.1,133.6,131.3,130.8,129.5,126.2,79.3,72.2,66.5,40.3,38.7,28.1,19.4。
【0059】
ステップ8:化合物G(680mg)を、乾燥したTHF5mLに溶解し、室温でHClガスを飽和まで導入して4時間撹拌し、乾燥したジエチルエーテル20mLを添加し、結晶が析出した後、濾過して、化合物Hである(2R,6R)-6-ヒドロキシデメチルケタミン(HNK)の塩酸塩520mgを得て、収率が95%であった。1HNMR(400MHz,CD 3OD):δ7.85(m,1H),7.65-7.51(m,3H),4.28(m,1H),3.19(m,1H),2.30(m,1H),1.81-1.72(m,2H),1.64-1.51(m,2H)。
【0060】
実施例2:化合物I6の合成
【化13】
化合物G(170mg、0.5mmol)を、乾燥したTHF3mLに溶解し、乾燥したトリエチルアミン(0.28mL、2mmol)を添加し、次いで、氷浴条件下で3-フランカルボニルクロリド(130mg、1mmol)を添加し、次いで、室温まで1時間かけて徐々に昇温させ、一晩撹拌し、次いで、重炭酸ナトリウム溶液を添加し、EAで抽出し、溶媒をスピンドライして真空乾燥させ、シリカゲルカラムに通して、化合物H
6であるN-Boc-(2R,6R)-6-(3-フラン)メタノイルデメチルケタミン173mgを得て、収率が80%であった。
1HNMR(400MHz,CDCl
3):8.11(br,1H),7.81-7.79(brs,1H),7.42-7.28(m,4H),6.67(brs,1H),6.63(m,1H),5.35-5.31(m,1H),3.92-3.87(m,1H),2.39-2.33(m,1H),1.94-1.74(m,4H),1.30(brs,9H).
13CNMR(100MHz,CDCl
3):202.5,168.5,161.4,153.3,148.4,143.8,134.3,133.7,131.4,131.1,129.8,126.3,118.5,109.1,79.4,73.5,67.2,38.5,35.8,28.2,19.8。
【0061】
化合物H6(170mg)を、乾燥したTHF3mLに溶解し、室温でHClガスを飽和まで導入し、4時間撹拌し、乾燥したジエチルエーテル15~20mLを加え、結晶が析出した後、真空濾過して、化合物I6である(2R,6R)-6-(3-フラン)メタノイルデメチルケタミン塩酸塩124mgを得て、収率が86%であった。1HNMR(400MHz,CD3OD):9.02(brs,3H),8.09(s,1H),7.79(s,1H),7.43-7.40(m,4H),6.75(br,1H),5.39(m,1H),3.76-3.54(m,1H),2.41-2.32(m,2H),2.10-1.93(m,3H) 13CNMR(100MHz,CD3OD):δ200.2,168.5,161.3,148.8,144.0,136.9,134.8,132.1,131.5,129.3,128.4,118.5,110.0,73.6,68.2,37.3,35.1,19.5。
【0062】
実施例3:化合物C及びDの合成
【化14】
化合物CおよびDを以下の調製方法によって調製した。
【化15】
【0063】
実施例4:活性試験
1.強制水泳試験
強制水泳試験(FST)の1時間前にマウスを実験室に移した。この試験は、常光線の条件下で行われ、デジタルカメラによってモニターされる。試験中、マウスを、20cmの水(23±1℃)を充填した透明なガラス製シリンダー(高さ28.5cm、直径14cm)内にそれぞれ入れた。1日目に、マウスを6分間訓練して、次いで、円筒から移出した。2日目に、マウスにsaline、HNK、I6、C、Dを投与してから異なる時間間隔後に、その不動の時間を測定した。6分間の水泳試験全体の最後の4分間内に、NoldusシステムのEthoVision XT(Noldus、オランダ)により、動物の頭部を水上に保持するために必要な動作以外に、他の動きがない受動浮遊と定義される静止時間を記録した。試験の2~3回毎の後に、ボトル中の水を交換した。水泳試験後、マウスを水から移出し、赤外線ランプ下で乾燥させた。
【0064】
マウスに、HNK、I6をそれぞれ1mg(A)、10mg(B)および30mg(C)ずつ胃内投与し、1時間後および7日後にその不動時間を測定した。不動時間の百分率は、平均±SEMとして表される。基礎試験と比較すると、*p<0.05、**p<0.01。各群はN=8である。saline:塩水群;I6、I6処理群;HNK:2R,6R-ヒドロキシノルケタミン処理群。
【0065】
2.嗜癖性研究
材料および方法
動物:8~12週C57BL/6J雄性マウスを無作為に群分けして、各群10匹、体重18~22g、室温(22±1℃)で飼育し、湿度(50±10)%及び光照射時間8:00~20:00、マウスに自由に飲用水を摂取させ、実験前に少なくとも実験環境に2~3d順応させた。いずれの実験も8:00~16:00で行った。
【0066】
行動感作実験:
1.1 小動物自発活動測定:動物自発活動赤外分析システムは、自発活動箱、赤外プローブ装置及びデータ収集システムから構成される。自発活動箱のサイズは、40cm×40cm×65cmであり、遮光・遮音を行い、通気手段を有する。動物の活動状態を赤外線プローブで記録し、動物の自発活動回数を算出した。マウス自発活動に対する医薬品の影響を測定するために、マウスを、各10匹ずつの4群に無作為に分けた。グループ:vehicle、I6、C、D(5.0、10.0、30.0mg/kg)、mor(10mg/kg)。毎日の午前に1回、7日間連続でそれぞれ胃投与し、その後、投薬を7日間停止した(何の処理もしない)。15日目に、各群のマウスにVeh、医薬(5.0、10.0、30.0mg/kg)を胃投与して興奮させた。1日目、7日目、15日目の投与後に直ちに1時間内におけるマウスの自発活動を測定した。
【0067】
1.2 CPP実験:3室CPPシステムは、中間ボックス(10cm×25cm×30cm)によって分離された左右の黒・白ボックス(25cm×25cm×30cm)を含み、実験中にマウスを中央ボックスから入れ、黒ボックス、白ボックスの2ボックスに自由にシャトルできる。黒・白ボックスの両方と中間ボックスの間には、5cm×5cmの大きさのシャトル扉が1個ずつある。実験は、バイアス手順を用いて、プレテスト、トレーニング、テストの3つの段階に分け、また、箱内の光線、色調、匂いなどの環境条件が実験を通して一貫して保証される。
【0068】
予備試験:1-3日目に、ボックス内の隔板を開け、全てのマウスに皮下的に食塩水を注入した後、中間ボックスに入れ、1日1回、3日間連続で、ボックス内で15分間自由に動かした。黒・白ボックスそれぞれにおけるマウスの滞留時間を記録し、マウスの自然嗜好の傾向を決定し、非自然嗜好箱を随伴薬物箱としてマウスを訓練した。
【0069】
トレーニング期間:4-9日目に、シャトル扉を閉じて、マウスを、無作為に各群10匹、Veh、mor、I6、C、D(5.0、10.0、30.0mg/kg)、mor(10mg/kg)の群に分けた。単数日の午前に全マウスに生理食塩水を先に胃内投与し、その後、直ちに非随伴薬物箱(黒ボックス)に45分間置き、単数日の午後にVeh、mor、I6、C、D(5.0、10.0、30.0mg/kg)をそれぞれ胃内投与し、その後、直ちに随伴薬物箱(白ボックス)に45分間置いた。偶数日の訓練手順は逆である。午前、午後の訓練間隔は6時間を超えて、且つ毎日の訓練時間は一定で、各群10匹ずつ、6日間連続で訓練を行った。
【0070】
テスト期間:10日目に隔板を外し、マウスを中間ボックスに入れ、自由に走らせ、同時に15分間内の白ボックス内でのマウスの滞留時間を記録した。
【0071】
統計解析:実験データをX±SEMで表す。グラフパッド(graphpad)ソフトウェアを用いて統計分析を行い、両群の比較は、t検定を用い、複数の群間の比較は、one-way ANOVA分析を用い、次にLSD法を用いて両群間の比較を行った。
【0072】
3.場所嗜好実験
場所嗜好は、三室系によって測定し、非自然嗜好箱を随伴薬物箱としてマウスを訓練し、トレーニング期間にマウスに生理食塩水(Veh)、モルヒネ(mor、10mg/kg)、I6、C及びD(5.0、10.0、30.0mg/kg)をそれぞれに投与し、6日間連続的に訓練した後に測定し、15分間以内の白ボックス内でのマウスの滞留時間を記録した。Veh群と比較して、*P<0.05(n=10)。
【0073】
実施例5:実験結果
1.マウス抑うつ様行動試験の結果:
1mgのHNK、I6は抗うつ作用を示さなく、10mgのHNK、I6は抗うつ作用を示し、I6は持続作用を示し、かつ薬効が7日には実質的に減衰がなく、しかしながら、HNKは7日以内に薬効が速く減衰し、7日目には実質的に薬効がない。30mgのHNK、I6は抗うつ作用を示し、I6は持続作用を示し、かつ薬効が7日には実質的に減衰がなく、HNKは7日以内に薬効が速く減衰し、7日目には実質的に薬効がない。
【0074】
化合物CおよびDは、30mgの場合、抗うつ効果を有しなかった。
【0075】
HNK処理群に比べて、I6処理群は、投与7日後も顕著な抗うつ効果を有し、動物の強制水泳時の不動時間が低下すると認められる。I6群の方は不動時間がより少なかった。30mg群はより強い低下傾向を示したが、10mg及び30mgの処理群の間に有意差はなかった。化合物C、Dは、抗うつ効果を有しなかった。
【0076】
2.嗜癖性試験
異なる用量(5mg、10mg、30mg)のI6は、マウスに対して行動感作作用を示さなかった。
【0077】
異なる用量(5mg、10mg、30mg)のC及びDは、マウスに対して行動感作作用を示した。
【0078】
3.場所嗜好実験
異なる用量(5mg、10mg、30mg)のI6は、マウスに対して場所嗜好作用を示さなかった。
【0079】
異なる用量(5mg、10mg、30mg)のC及びDは、マウスの場所嗜好を誘導した。
【0080】
上記実施例の各技術特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明の簡潔化のため、上記実施例の各技術特徴の全ての可能な組み合わせを記載していないが、これらの技術特徴の組み合わせに矛盾が生じない限り、本明細書に記載の範囲と考えるべきである。
【0081】
上記実施例は、本発明のいくつかの実施形態のみを示し、その記述は、より具体的且つ詳細であるが、特許請求の範囲を制限するものと理解するべきではない。なお、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者がいくつかの変更や改良をすることができ、それらは本発明の保護範囲に属するものである。したがって、本特許出願の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される構造を有する化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化16】
(式中、
mは、0-3の整数であり、nは、0-4の整数であり;
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルケニル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルキニル基、置換もしくは無置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
10複素環基、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルコキシ基、置換もしくは無置換のモノ-及びジ-C
1-C
6アルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択される1つまたは複数であり;
R
3は、ハロゲンであり;
R
4は、H、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルキル基、置換もしくは無置換のC
1-C
8アシル基、置換もしくは無置換のアリールアシル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリールアシル基から選択され;
R
5は、置換もしくは無置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
10複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択され;
R
6は、H、置換もしくは無置換のC
1-C
6アルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルケニル基、置換もしくは無置換のC
2-C
6アルキニル基、置換もしくは無置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2-C
10複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC
1-C
8アシル基、置換もしくは無置換のアリールアシル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリールアシル基から選択され;
前記置換とは、OH;NH
2;C
1-C
10アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基;C
1-C
10アルキルアミン基;メルカプト基;C
1-C
10アルキルメルカプト基;C
1-C
20アルコキシ基;C
1-C
10カルボニル基;C
3-C
10シクロアルキル基;N、S、O、Pから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する3-10員複素環基;C
6-C
20アリール基;C
2-C
20ヘテロアリール基;ニトロシアノ基、またはハロゲンで置換されることを指す)。
【請求項2】
式IIで表される構造であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化17】
【請求項3】
式IIIで表される構造であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化18】
(式中、pは0-3の整数である)
【請求項4】
式IVで表される構造であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化19】
(式中、pは0-3の整数である)
【請求項5】
下記に示すような化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化20】
【請求項6】
下記に示すような化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化21】
【請求項7】
構造式が下記の通りである化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化22】
(式中、R
7はHまたは保護基である)
【請求項8】
下記のような構造であることを特徴とする、請求項
7に記載の化合
物。
【化23】
【請求項9】
下記のような構造であることを特徴とする、請求項
7または
8に記載の化合
物。
【化24】
または
【化25】
【請求項10】
請求項1-
9のいずれか1項に記載の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体を含み、薬学的に許容可能な担体を任意にさらに含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項11】
下記のとおりであることを特徴する、化合物の製造方法。
【化26】
【請求項12】
請求項1-9のいずれか1項に記載の化合物、または請求項10に記載の医薬組成物からなる、麻酔、鎮痛、認知機能の改善、肺の保護、抗うつ、不安および外傷後ストレス症候群の改善、筋萎縮性側索硬化症、複合性局所疼痛症候群のの予防もしくは治療のための医薬品。
【請求項13】
前記疼痛は、慢性疼痛または神経障害性疼痛を含み、前記うつ病は、双極性うつ病、重度うつ病を含み、認知機能の改善は、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病などの予防または治療を含む、請求項12に記載の医薬品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
上記実施例は、本発明のいくつかの実施形態のみを示し、その記述は、より具体的且つ詳細であるが、特許請求の範囲を制限するものと理解するべきではない。なお、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者がいくつかの変更や改良をすることができ、それらは本発明の保護範囲に属するものである。したがって、本特許出願の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されるべきである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iで表される構造を有する化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化16】
(式中、
mは、0-3の整数であり、nは、0-4の整数であり;
R
1
及びR
2
は、それぞれ独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、置換もしくは無置換のC
1
-C
6
アルキル基、置換もしくは無置換のC
2
-C
6
アルケニル基、置換もしくは無置換のC
2
-C
6
アルキニル基、置換もしくは無置換のC
3
-C
10
シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2
-C
10
複素環基、置換もしくは無置換のC
1
-C
6
アルコキシ基、置換もしくは無置換のモノ-及びジ-C
1
-C
6
アルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択される1つまたは複数であり;
R
3
は、ハロゲンであり;
R
4
は、H、置換もしくは無置換のC
1
-C
6
アルキル基、置換もしくは無置換のC
1
-C
8
アシル基、置換もしくは無置換のアリールアシル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリールアシル基から選択され;
R
5
は、置換もしくは無置換のC
3
-C
10
シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2
-C
10
複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基から選択され;
R
6
は、H、置換もしくは無置換のC
1
-C
6
アルキル基、置換もしくは無置換のC
2
-C
6
アルケニル基、置換もしくは無置換のC
2
-C
6
アルキニル基、置換もしくは無置換のC
3
-C
10
シクロアルキル基、置換もしくは無置換のC
2
-C
10
複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC
1
-C
8
アシル基、置換もしくは無置換のアリールアシル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリールアシル基から選択され;
前記置換とは、OH;NH
2
;C
1
-C
10
アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基;C
1
-C
10
アルキルアミン基;メルカプト基;C
1
-C
10
アルキルメルカプト基;C
1
-C
20
アルコキシ基;C
1
-C
10
カルボニル基;C
3
-C
10
シクロアルキル基;N、S、O、Pから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する3-10員複素環基;C
6
-C
20
アリール基;C
2
-C
20
ヘテロアリール基;ニトロシアノ基、またはハロゲンで置換されることを指す)。
(項目2)
式IIで表される構造であることを特徴とする、項目1に記載の化合物。
【化17】
(項目3)
式IIIで表される構造であることを特徴とする、項目1に記載の化合物。
【化18】
(式中、pは0-3の整数である)
(項目3)
式IVで表される構造であることを特徴とする、項目1に記載の化合物。
【化19】
(式中、pは0-3の整数である)
(項目4)
下記に示すような化合物であることを特徴とする、項目1に記載の化合物。
【化20】
(項目5)
下記に示すような化合物であることを特徴とする、項目1に記載の化合物。
【化21】
(項目6)
構造式が下記の通りである化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化22】
(式中、R
7
はHまたは保護基である)
(項目7)
下記のような構造であることを特徴とする、項目6に記載の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化23】
(項目8)
下記のような構造であることを特徴とする、項目6または7に記載の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体。
【化24】
または
【化25】
(項目9)
項目1-8のいずれか1項に記載の化合物、その塩、立体異性体、または互変異性体を含み、薬学的に許容可能な担体を任意にさらに含むことを特徴とする、医薬組成物。
(項目10)
下記のとおりであることを特徴する、化合物の製造方法。
【化26】
【国際調査報告】