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特表2023-528646ライダーセンサの保護スクリーンの汚れを識別する方法及び装置
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  • 特表-ライダーセンサの保護スクリーンの汚れを識別する方法及び装置 図1
  • 特表-ライダーセンサの保護スクリーンの汚れを識別する方法及び装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】ライダーセンサの保護スクリーンの汚れを識別する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20230628BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20230628BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575345
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2021064777
(87)【国際公開番号】W WO2021249845
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】102020115252.3
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(71)【出願人】
【識別番号】595007530
【氏名又は名称】ロバート ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Robert Bosch GmbH
【住所又は居所原語表記】Postfach 30 02 20 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】シンドラー、 フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】シャルフ、 アンドレアス
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AC02
5J084AC07
5J084BA20
5J084CA03
5J084CA23
5J084EA20
(57)【要約】
本発明は、ライダーセンサ(1)の保護スクリーン(1.1)の汚れ(V)を識別する方法及び装置に関するものである。本発明にしたがい、ライダーセンサ(1)の検出領域(S)の特定のセクタ(S1からSn)においてセクタ背景雑音が決定され、残りの検出領域(S’)又は検出領域全体(S)において検出領域背景雑音が決定され、次にセクタ背景雑音が検出領域背景雑音より顕著に低いと、当該セクタ(S1からSn)における汚れ(V)が決定される。代替的または追加的に、セクタ背景雑音は当該セクタ(S1からSn)においてライダーセンサ(1)の受信機の異なる感度で決定され、高い感度で決定されたセクタ背景雑音が低い感度で決定されたセクタ背景雑音よりも顕著に高くないと、当該セクタ(S1からSn)の汚れ(V)が決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライダーセンサ(1)の保護スクリーン(1.1)の汚れ(V)を識別する方法であって、
前記ライダーセンサ(1)の検出領域(S)が複数のセクタ(S1からSn)に分割され、それぞれのセクタ(S1からSn)において前記保護スクリーン(1.1)に汚れ(V)があるかどうかをセクタごとに決定し、
各セクタ(S1からSn)においてセクタ背景雑音が決定され、残りの検出領域(S´)又は検出領域全体(S)において検出領域背景雑音が決定され、前記セクタ背景雑音が前記検出領域背景雑音よりも顕著に低いと、前記それぞれのセクタ(S1からSn)において汚れ(V)があると推論され、及び/又は、
各セクタ(S1からSn)において、前記ライダーセンサ(1)の受信機の様々な感度でセクタ背景雑音を決定し、高い感度で検出されたセクタ背景雑音が低い感度で検出されたセクタ背景雑音より顕著に高くないと、前記それぞれのセクタ(S1からSn)において汚れ(V)があると推論される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記セクタ背景雑音及び前記検出領域背景雑音は、1つの赤外レーザーパルス(P1)を送出してから前記赤外レーザーyパルス(P1)の1回の反射(P2)を受信するまでの少なくとも1回の走査で信号通過時間(T)に検出される背景光(L)の強度に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記背景光(L)の強度は、前記信号通過時間(T)の全体にわたって決定され、実効強度値が生成されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出領域背景雑音は、前記残りの検出領域(S’)又は前記検出領域全体(S)における前記背景光(L)の雑音レベルを決定することに基づいて決定されることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記セクタ背景雑音は、
前記それぞれのセクタ(S1からSn)において行われる正確に1回の走査について前記背景光(L)の雑音レベルを決定すること、又は
前記それぞれのセクタ(S1からSn)において行われる走査のいくつか又は全部について前記背景光(L)の雑音レベルを決定すること
に基づいて決定されることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記セクタ背景雑音は、
前記それぞれのセクタ(S1からSn)において前記受信機によって受信されたすべての入力が積分されること、
前記それぞれのセクタ(S1からSn)における複数の赤外レーザーパルス(P1)の反射(P2)から前記受信機によって受信された反射入力が積分されること、及び、
前記積分された受信された入力及び前記積分された反射入力の差から、前記それぞれのセクタ(S1からSn)のセクタ背景雑音を記述する全雑音入力が決定されること
によって決定されることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記受信機の感度は、動作点調整に基づいて、又はスピーカーの内部増幅率を変更することによって設定されることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ライダーセンサ(1)の保護スクリーン(1.1)の汚れ(V)を識別するための装置であって、
前記ライダーセンサ(1)の検出領域(S)が複数のセクタ(S1からSn)に分割され、
データ処理ユニットが、それぞれのセクタ(S1からSn)において保護スクリーン(1.1)に汚れ(V)があるかどうかをセクタごとに決定するように構成され、前記データ処理ユニットは、
各セクタ(S1からSn)においてセクタ背景雑音を決定し、残りの検出領域(S’)又は検出領域全体(S)において検出領域背景雑音を決定し、前記セクタ背景雑音が前記検出領域背景雑音よりも顕著に低いと、前記それぞれのセクタ(S1からSn)に汚れ(V)があると推論し、及び/又は、
各セクタ(S1からSn)において、前記ライダーセンサ(1)の受信機の様々な感度におけるセクタ背景雑音を決定し、より高い感度で検出されたセクタ背景雑音がより低い感度で検出されたセクタ背景雑音よりも顕著に高くないと、前記それぞれのセクタ(S1からSn)において汚れ(V)が存在すると推論する
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
少なくとも1つの前記ライダーセンサ(1)が周辺環境検知を目的としている車両及び/又はロボットにおける請求項8に記載の装置の応用。
【請求項10】
少なくとも1つの前記ライダーセンサ(1)によって検出されたデータに基づいて、自動化された、特に高度に自動化された、又は自律化された、車両及び/又はロボットが動作され、
少なくとも1つの前記ライダーセンサ(1)の保護スクリーン(1.1)に少なくとも1つの汚れ(V)のインスタンスが検出されると、自動運転が低減され、及び/又は少なくとも1つの汚れ(V)のインスタンスを除去するための少なくとも1つの対策を講じる
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライダー(Lider)センサの保護スクリーンの汚れを識別するための方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、ライダーセンサの保護スクリーンの汚れを識別するための装置と、車両及び/又はロボットへのそのような装置の応用とに関する。
【背景技術】
【0003】
独国特許出願公開第19948252号明細書は、センサの汚れを識別するためのライダー原理にしたがって動作する車両の自動的な縦方向及び横方向制御についてのシステムによる状態決定の方法を開示している。その状態決定は、センサによって受信及び送信される信号に基づく2つの指標に依存している。指標は重み付け係数で重み付けされ、個々の確率にリンクされ、予め設定された閾値が満たされないか、又は予め設定された長さの時間を超えると、前記確率からセンサの汚れ除去に関する報告が導き出される。この設定された時間の長さは、低速の車両速度で高速の車両速度より大きくなる。指標としては、長手方向の車両制御のために選択された物体についての検出結果の比率を与える物体安定度と、1回の測定中に検出されたすべての物体の合計が使用される。
【0004】
また、独国特許第102012112987号明細書は、監視領域における物体を検出し、その物体の状態を決定する光電子センサを開示している。このセンサは、センサから送出される光ビームの方向における視野の遮断について角度依存の視野遮断測定を決定するように設計された評価ユニットを有している。
【0005】
米国特許出願公開第2019/0107609号明細書には、信号雑音比測定に基づいてライダー装置の送信窓の閉塞状態を認識する異物検出器を備えたライダー装置が記載されている。
【0006】
また、米国特許第10317534号明細書には、視野をセグメントに分割したライダーシステムが記載されている。雑音レベルは、セグメントのそれぞれで測定され、各セグメントで測定された雑音レベルに応じて感度が調整される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ライダーセンサの保護スクリーンの汚れを識別する先行技術よりも優れた方法及びより優れた装置、並びにそのような装置の応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に提示された特徴を有する方法、請求項8に提示された特徴を有する装置及び請求項9に提示された特徴を有する応用によってこの目的を達成する。
【0009】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0010】
ライダーセンサの保護スクリーンの汚れを識別するための本発明による方法では、ライダーセンサの検出領域が複数のセクタに分割され、各セクタの保護スクリーンに汚れがあるかどうかについてセクタごとに決定が行われる。このために、各セクタにおいてセクタ背景雑音が決定され、残りの検出領域又は検出領域全体において検出領域背景雑音が決定され、セクタ背景雑音が検出領域背景雑音より顕著に低いと、それぞれのセクタで汚れがあると推論される。代替的又は追加的に、各セクタにおいてライダーセンサの受信機の様々な感度でセクタ背景雑音が決定され、高い感度で検出されたセクタ背景雑音が低い感度で検出されたセクタ背景雑音より顕著に高くないと、それぞれのセクタにおいて汚れがあることが推論される。
【0011】
ここで、「顕著に低い」及び「顕著に高い」という用語は、それぞれの比較された値の間の差が、少なくとも検出可能であること及び/又は予め設定された閾値より高いことを意味すると理解される。
【0012】
ライダーセンサの保護スクリーン又はフロントスクリーンの汚れ又は汚れは、ライダーセンサの性能の劣化、したがって、自動化された、特に高度に自動化又は自律的に動作する車両及び/又はロボットのような、ライダーセンサで動作するシステムのデータの精度及び可用性の減少を引き起こす。ライダーセンサの保護スクリーンの汚れの検出は、例えば、レベル3+の自律動作車両のようなシステムの課題となっている。
【0013】
ライダーセンサは、レーザーパルス又はレーザービームを発信し、検出領域内の物体から反射を検出する。保護スクリーンに汚れがあると、反射光や背景光の受信入力が減少する。ライダーセンサの受信機が与えられた感度であれば、背景光はライダーセンサを含むライダーシステムの雑音挙動を規定する。汚れがあると、その雑音の量と強度を減少させる。
【0014】
この方法により、保護スクリーンの汚れによって発生する前述のライダーセンサの性能低下を確実に検出することができるようになった。これにより、ライダーセンサを用いるシステムから精度及び可用性を確保及び/又は向上させるための適切な対策を講じることができる。
【0015】
ライダーセンサの受信機の異なる感度でセクタの背景雑音を比較することで汚れが検出されると、空間的な不整合は、より重くないように重み付けられるが、それは、セクタはまずそれ自身と比較され、その比較は例えば10Hzの走査周波数で100msの短い時間間隔で行われるためである。そのため、影又は干渉源の影響も少なくなる。
【0016】
比較に使用する閾値の選択は、例えば、ライダーセンサの設計、及び/又は、システムの設計における所望の精度の程度に依存する。言い換えれば、例えば自律走行する車両やロボットのために特に保守的に設計されたいわゆるレベル4のシステムでは、ドライバーやオペレーターが移動の制御を引き継ぐことができるいわゆるレベル2のシステムよりも低い閾値が選択される。代替的又は追加的に、閾値の選択は、例えば、ライダーセンサを使用するシステムからのデータの所望の適用地域に依存する。これに関して、例えば、米国南部の州の高速道路は、スカンジナビア諸国の高速道路よりも感度の低いパラメータを有する。
【0017】
本方法の1つの可能な実施形態では、代替的に又は追加的に、より高い感度で検出されたセクタ背景雑音がより低い感度で検出されたセクタ背景雑音より少なくとも10%高くない場合、それぞれのセクタにおいて汚れがあると決定される。
【0018】
この方法の1つの可能な実施形態では、セクタ背景雑音が検出領域背景雑音より少なくとも10%低い場合、それぞれのセクタに汚れがあると決定される。
【0019】
この方法の別の可能な実施形態では、セクタ背景雑音及び検出領域背景雑音は、1つの赤外レーザーパルスを送出してから赤外レーザーパルスの1つの反射を受けるまでの少なくとも1回の走査で信号通過時間に検出される背景光の強度に基づいて決定される。これにより、セクタ背景雑音と検出領域背景雑音を格別に容易かつ確実に決定することができる。
【0020】
本方法の別の可能な実施形態では、信号通過時間全体にわたって背景光の強度が決定され、実効強度値が生成される。これはまた、セクタ背景雑音及び検出領域背景雑音を格別に容易かつ確実に決定することを可能にする。
【0021】
本方法の別の可能な実施形態では、検出領域背景雑音は、残りの検出領域又は検出領域全体における背景光の雑音レベルを決定することに基づいて決定される。これにより、検出領域背景雑音を格別に容易かつ確実に決定することができる。
【0022】
この方法の別の可能な実施形態では、セクタ背景雑音は、それぞれのセクタで行われる正確に1回の走査に対する背景光の雑音レベルを決定することに基づいて決定される。これにより、セクタ背景雑音を格別に容易かつ確実に決定することができる。
【0023】
本方法の別の可能な実施形態では、セクタ背景雑音は、それぞれのセクタで行われる走査のいくつか又はすべてについて背景光の雑音レベルを決定することに基づいて決定される。これによっても、セクタ背景雑音を格別に容易にかつ確実に決定することができる。
【0024】
この方法の別の可能な実施形態では、セクタ背景雑音は、次のように決定される。すなわち、それぞれのセクタにおいて受信機によって受信されるすべての入力が統合され、それぞれのセクタにおける複数の赤外レーザーパルスの反射から受信機によって受信される反射入力が統合され、それぞれのセクタの全雑音入力が、統合された受信入力と統合された反射入力との差分から決定される。これにより、最初に受信した赤外レーザーパルスまでの距離に依存することなく、格別に容易かつ確実にセクタ背景雑音を決定することができる。
【0025】
本方法の別の可能な実施形態では、受信機の感度は、動作点調整に基づいて、又はスピーカーの内部増幅率を変更することによって設定される。ライダーセンサの感度を上げると、背景光によって発生する背景雑音も増加する。
【0026】
本発明によるライダーセンサの保護スクリーンの汚れ検出装置は、ライダーセンサの検出領域を複数のセクタに分割し、データ処理ユニットが、それぞれのセクタの保護スクリーンに汚れがあるかどうかをセクタごとに検出するように構成されていることを特徴としている。これを行うために、データ処理ユニットは、各セクタにおけるセクタ背景雑音と、残りの検出領域又は検出領域全体における検出領域背景雑音とを決定し、セクタ背景雑音が検出領域背景雑音よりも顕著に低いと、それぞれのセクタに汚れがあると推論する。代替的又は追加的に、データ処理ユニットは、各セクタにおいて、ライダーセンサの受信機の様々な感度におけるセクタ背景雑音を決定し、高い感度で検出されたセクタ背景雑音が低い感度で検出されたセクタ背景雑音よりも顕著に高くないと、それぞれのセクタに汚れがあると推論する。
【0027】
この装置により、保護スクリーンの汚れによるライダーセンサの性能低下を確実に検出することができる。そして、ライダーセンサを使用するシステムからのデータの精度及び可用性を確保及び/又は向上させるための適切な対策を講じることができる。
【0028】
車両及び/又はロボットにおける前述の装置の1つの可能な実施形態では、少なくとも1つのライダーセンサは、周辺環境を検出するためのものである。本装置を用いると、周囲検出に影響を与える少なくとも1つのライダーセンサの保護スクリーンの汚れを、容易かつ確実に検出することができる。
【0029】
本願の1つの可能な実施形態では、自動化された、特に高度に自動化された又は自律化された、車両及び/又はロボットが、少なくとも1つのライダーセンサによって検出されたデータに基づいて動作し、少なくとも1つのライダーセンサの保護スクリーンの汚れの少なくとも1例が検出されると、自動運転が減少し、及び/又は汚れの少なくとも1例を除去する少なくとも1つの対策を講じる。これにより、車両及び/又はロボットを操作する際の信頼性及び安全性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下、図を参照しながら、本発明の実施例をより詳細に説明する。
図には、以下のものが示されている。
図1図1は、ライダーセンサ及び複数の物体の概略俯瞰図である。
図2図2は、ライダーセンサが送受信する信号の時系列を示す模式図である。 すべての図において、同じものには同じ参照番号を付している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、ライダーセンサ1と複数の物体O1からO3とを示す透視図である。図2は、ライダーセンサ1が送信した赤外レーザーパルスP1の送信と、ライダーセンサ1の受信機が受信した反射P2の送信を、時間tの関数として示し、反射P2は、少なくとも1つの物体O1からO3に送られたレーザーパルスP1の反射に由来している。
【0032】
ライダーセンサ1は、例えば、図示しない車両及び/又はロボットの構成部品であり、周囲を検知するためのものである。ライダーセンサ1によって検出されたデータに基づいて、自動化された、特に高度に自動化された、又は自律化された、車両及び/又はロボットが操作される。
【0033】
ライダーセンサ1は、走査される領域に送られる赤外レーザーパルスP1を生成するための、ここでは示されていないレーザーアセンブリを含んでいる。レーザーアセンブリは、単一のレーザーダイオード又はレーザーダイオードアレイを含むことができる。
【0034】
ライダーセンサ1はまた、走査される領域から反射されて戻ってくる入射赤外線パルス、すなわち反射P2を検出するための、ここには示されていない光検出器アセンブリとして構成された受信機を備えている。光検出器アセンブリは、単一の受光ダイオード又は受光ダイオードアレイを含むことができる。
【0035】
レーザーパルスP1及び反射P2は、レーザーアセンブリから領域へ、又は領域から受信機へ、直接又はここには示されていない偏向装置を介して伝送することができる。偏向装置は、回転ミラー、回転プリズム、及び/又は可動マイクロミラーを有するアレイとすることができる。
【0036】
レーザーアセンブリと受信機は、保護ウィンドウ又はライダーウィンドウとも呼ばれる少なくとも1つの保護スクリーン1.1の背後に配置され、それによって機械的損傷や異物の侵入から可能な限り保護されている。レーザーパルスP1は、レーザーアセンブリによって保護スクリーン1.1を通して走査される領域へ送られる。反射光P2は、領域から保護スクリーン1.1を通って受光器まで進む。
【0037】
ライダーセンサ1の走査領域又は検出領域Sは、複数のセクタS1からSnに分割されている。レーザーアセンブリによって生成された赤外レーザーパルスP1は、保護スクリーン1.1を通して走査される領域に向けられ、そこに位置する物体O1からO3によって反射される。反射された赤外レーザーパルス、すなわち反射P2は、保護スクリーン1.1を通って、あるいは図示しない別の保護スクリーンを通って、受信機まで進む。
【0038】
セクタS1の領域において、保護スクリーン1.1、又は図示しない他の保護スクリーンに汚れVがあると、そのセクタS1において反射P2の受信入力と背景光Lの受信入力とが減少する。これにより、そのセクタS1における背景光Lの雑音レベルも低減される。その雑音レベルを、本明細書では、背景雑音とも称する。
【0039】
この背景雑音は、ライダーセンサ1の感度とともに、ライダーセンサ1の雑音挙動を決定する。ライダーセンサ1の感度は、例えば、光検出器アセンブリとして構成された受信機の感度に基づいて決定される。背景雑音は、図2において、受信反射光P2と背景光Lの時系列で確認することができる。
【0040】
図2に示すように、レーザーアセンブリは、ある時点Tで領域を走査するためのレーザーパルスP1を発生させる。これを走査する領域に送出する。ライダーセンサ1が行う周囲検出では、検出領域S内の個々のセクタS1からSnが、複数のライダーパルスP1でそれぞれ走査される。
【0041】
レーザーパルスP1は、その領域に位置する物体O1からO3から反射P2としてライダーセンサ1に反射して戻ってくる。それぞれの物体O1からO3とライダーセンサ1との間の距離に依存する信号通過時間Tの後、対応する反射P2がライダーセンサ1の受信機に到達し、受信パルスとしてそれによって検知される。
【0042】
レーザーパルスP1を発信してから関連する反射光P2を受信するまでの信号通過時間Tにおいて、受信機は背景光Lの雑音を検出する。背景光Lの雑音レベルは、例えば、信号通過時間Tにわたって背景光Lの強度を予め設定した長さで検出し、その長さで検出した強度の実効値を算出することによって決定される。
【0043】
セクタS1からSnにおける背景雑音(以下、セクタ背景雑音と称する)は、それぞれのセクタS1からSnにおいて行われるちょうど1回の走査に対する背景光Lの雑音レベルを求めることに基づいて決定される。代替的に、セクタ背景雑音は、それぞれのセクタS1からSnで行われる走査の一部又は全部について、背景光Lの雑音レベルを決定することに基づいて決定される。
【0044】
代替的に、セクタ背景雑音は、それぞれのセクタS1からSnにおいて受信機が受信したすべての入力を積分し、それぞれのセクタS1からSnにおける複数の赤外レーザーパルスP1の反射P2から受信機が受信した反射入力を積分することにより決定される。次に、統合された受信入力と統合された反射入力との差から、それぞれのセクタS1からSnのセクタ背景雑音を記述する全雑音入力が決定され、最初に受信した反射P2までの距離に対する既存の依存性が除外されるようにすることができる。
【0045】
保護スクリーン1.1に汚れVが存在するかどうかのテストは、特にここでは示されていないデータ処理ユニットによって、セクタごとに実行される。それは、それぞれのセクタS1からSnにおいて保護スクリーン1.1に汚れVが存在するかどうかをテストする。
【0046】
このテストは、セクタS1の例を用いて以下に説明される。なお、他のセクタS2からSnについても同様に試験を行う。
【0047】
検出領域S全体の走査中に、セクタS1におけるセクタ背景雑音を検出するとともに、検出領域S全体又はセクタS1を除いた残りのセクタS2からSnからなる検出領域S’における検出領域背景雑音を検出する。検出領域背景雑音は、残りの検出領域S’又は検出領域S全体における背景光Lの雑音レベルを求めることにも基づいて決定され、セクタ背景雑音が検出領域背景雑音よりも顕著に低いと、セクタS1における保護スクリーン1.1の汚れVがあると推論される。
【0048】
代替的又は追加的に、セクタS1におけるセクタ背景雑音は、受信機の異なる感度設定で異なる時点で決定される。その場合、受信機の感度は、例えば、動作点調整に基づいて、又はスピーカーの内部増幅率を変化させることによって設定される。特に、測定は短い時間間隔で異なる感度で行われ、例えば走査周波数10Hzで100ms間隔である。高い感度で検出されたセクタ背景雑音が低い感度で検出されたセクタ背景雑音よりも顕著に高くないと、セクタS1において保護スクリーン1.1に汚れVがあると推論される。この実施形態における汚れVの決定は、空間的不整合が測定結果に対して低い影響しか及ぼさないという利点を有するが、これは、セクタS1がまずそれ自身と比較され、その比較は走査周波数により短い時間間隔で行われるためである。したがって、影や干渉源の影響は、測定結果にあまり影響を及ぼさない。
【0049】
ライダーセンサ1の保護スクリーン1.1に少なくとも1つの汚れのインスタンスVが検出されると、車両及び/又はロボットへの応用について自動運転を低減することができ、及び/又は少なくとも1つの汚れのインスタンスVを除去するために少なくとも1つの対策を講じることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ライダーセンサ
1.1 保護スクリーン
L 背景光
O1からO3 物体
P1 レーザーパルス
P2 反射光
S 検出領域
S1からSn セクタ
S’ 残りの検出領域
t 時間
信号通過時間
タイムポイント
V 汚れ
図1
図2
【国際調査報告】