IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キネシオメトリクス,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-528648患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法
<>
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図1
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図2
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図3
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図4
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図5
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図6
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図7
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図8
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図9
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図10
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図11
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図12
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図13
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図14
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図15
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図16
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図17
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図18
  • 特表-患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】患者及び医学的介入に関する解析を提供するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230628BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20230628BHJP
   G16H 15/00 20180101ALI20230628BHJP
   A61B 5/22 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
A61B5/00 G
A61B5/11 200
G16H15/00
A61B5/22 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575351
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 US2021036457
(87)【国際公開番号】W WO2021252522
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】63/036,299
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】522475063
【氏名又は名称】キネシオメトリクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジャン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】バジル,グレゴリー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン,マイケル ワイ.
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C038VA13
4C038VB31
4C038VC20
4C117XB01
4C117XB06
4C117XB09
4C117XB15
4C117XC13
4C117XE26
4C117XE38
4C117XE76
4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ34
5L099AA21
(57)【要約】
概して記述すると、本願の1つ又は複数の態様は、患者に関する、提案される外科的介入の予測手術効果及び術後回復の予測パターンの決定を可能にすることに関する。より詳細には、本開示は複数の患者データのうちの患者データを解析し、複数の患者の術後回復を示す解析データを生成し、患者の生物学的特徴及び患者が受けた外科的介入の種類に関連して解析データを記憶することができるシステムを提供する。その後、このシステムは患者の患者特徴及び活動データを解析し、所与の外科的介入がその患者にとってどの程度効果的であり得るのか、及び/又は所与の外科的介入から患者がどのように回復し得るのかについての予測を過去に生成された解析データに基づいて出力し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者及び手術に関係する解析を提供するためのシステムであって、
1人又は複数の患者に関連する解析データを記憶するデータリポジトリと、
コンピュータハードウェアを含むデータ解析サービスと
を含み、前記データ解析サービスは、
複数の患者を解析するための第1の要求を受信することであって、前記第1の要求は(i)前記複数の患者に関連する生物学的特徴データ、(ii)前記複数の患者に関連する複数の個々のユーザ計算装置によって生成される歩数データ、及び(iii)前記複数の患者に関連する手術データを含む、受信すること、及び
前記複数の患者の個々の患者ごとに、
前記個々の患者に関連する前記歩数データに少なくとも部分的に基づいて1組の時間窓を識別すること、
前記個々の患者に関連する手術日よりも前の第1の時間窓及び前記手術日の後の第2の時間窓を前記1組の時間窓から選択すること、
前記第1の時間窓に関連する第1の歩数データと前記第2の時間窓に関連する第2の歩数データとを比較することに少なくとも部分的に基づいて手術効果スコアを生成すること、及び
前記個々の患者に関連する前記手術効果スコアが生物学的特徴に固有の及び手術の固有のやり方で取得可能であるように、前記手術効果スコアを(a)前記個々の患者に関連する前記生物学的特徴データの少なくとも一部及び(b)前記個々の患者に関連する前記手術データの少なくとも一部に関連して記憶すること
を少なくとも行うように構成され、
前記データ解析サービスは、
前記複数の患者内に含まれない第1の患者を解析するための第2の要求を受信することであって、前記第2の要求は(i)前記第1の患者に関連する第1の生物学的特徴データ、(ii)前記第1の患者に関連する第1の歩数データ、及び(iii)第1の手術の種類を含む、受信すること、
前記第1の生物学的特徴データ及び前記第1の手術の種類に少なくとも部分的に基づいて第1の解析データを前記データリポジトリから取得することであって、前記第1の解析データは前記第1の生物学的特徴データ及び前記第1の手術の種類の少なくとも一部に対応する前記データリポジトリ内に記憶される前記解析データの部分集合である、取得すること、
前記第1の患者に関連する前記第1の解析データ及び前記第1の歩数データに少なくとも部分的に基づいて(a)前記第1の患者に対して前記第1の手術の種類の第1の手術を行うことに関連する予測手術効果スコア、及び(b)前記第1の患者に対して前記第1の手術を行うことに関連する術後回復の予測パターンを決定すること、及び
前記第1の患者に関連する報告を出力することであって、前記報告は少なくとも前記予測手術効果スコア及び前記予測回復パターンを示す、出力すること
を行うように更に構成される、
システム。
【請求項2】
前記手術効果スコアが、前記第2の時間窓にわたる前記第2の歩数データの第1の平均値を前記第1の時間窓にわたる前記第1の歩数データの第2の平均値で割ることによって計算される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記術後回復の予測パターンが、前記第1の患者の1組の前記同じ生物学的特徴を共有する前記複数の患者の部分集合の前記歩数データの術後部分を集約することによって決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記データ解析サービスが、
前記第1の手術を含む複数の手術のそれぞれについて前記予測手術効果スコアを決定すること、並びに
(i)前記第1の手術に関連する前記予測手術効果スコアが前記複数の手術のうちで最高であること、及び(ii)前記第1の手術が前記第1の患者に関する少なくとも閾値レベルの可動度の改善をもたらすことが予測されることを前記第1の手術に関連する前記予測手術効果スコアが示すことに少なくとも部分的に基づいて前記第1の手術に関する推奨を出力すること
を行うように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記歩数データが、前記複数の患者の所与の患者について、前記所与の患者に関連するスマートフォンの1つ又は複数のセンサによって捕捉されるセンサデータに基づいて前記所与の患者が歩くことが推定される歩数を含み、前記1つ又は複数のセンサは加速度計、ジャイロスコープ、全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、磁気計、又は気圧計のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記歩数データが前記複数の患者に関連する前記複数の個々のユーザ計算装置のそれぞれにインストールされたモバイルアプリケーションによって収集され、前記データ解析サービスによってアクセス可能なデータリポジトリに伝送される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記データ解析サービスが、
前記第1の手術を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する前記複数の患者の第1の患者の部分集合に対応する前記解析データの第1の部分集合を識別し、
前記第1の手術を受け、前記第1の1組の生物学的特徴と異なる第2の1組の生物学的特徴に関連する前記複数の患者の第2の患者の部分集合に対応する前記解析データの第2の部分集合を識別し、
(i)前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記第1の患者の部分集合に対する前記第1の手術に関連する第1の手術効果スコア、及び(ii)前記第2の1組の生物学的特徴に関連する前記第2の患者の部分集合に対する前記第1の手術に関連する第2の手術効果スコアを含む集約報告を出力する
ように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記データ解析サービスが、
前記第1の手術を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する前記複数の患者の第1の患者の部分集合に対応する前記解析データの第1の部分集合を識別し、
前記第1の手術と異なる第2の手術を受け、前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記複数の患者の第2の患者の部分集合に対応する前記解析データの第2の部分集合を識別し、
(i)前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記第1の患者の部分集合に対する前記第1の手術に関連する第1の手術効果スコア、及び(ii)前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記第1の患者の部分集合に対する前記第2の手術に関連する第2の手術効果スコアを含む集約報告を出力する
ように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
患者及び医学的介入に関係する解析を提供するためのコンピュータによって実装される方法であって、
複数の患者を解析するための第1の要求を受信することであって、前記第1の要求は(i)前記複数の患者に関連する生物学的特徴データ、(ii)前記複数の患者に関連する活動データ、及び(iii)前記複数の患者に関連する医学的介入データを含む、受信すること、
前記複数の患者の個々の患者ごとに、
前記個々の患者に関連する前記活動データに少なくとも部分的に基づいて1組の時間窓を識別することであって、前記1組の時間窓は(i)前記個々の患者に関連する医学的介入日よりも前の第1の時間窓及び(ii)前記医学的介入日の後の第2の時間窓を少なくとも含む、識別すること、
前記第1の時間窓に関連する第1の活動データと前記第2の時間窓に関連する第2の活動データとを比較することに少なくとも部分的に基づいて医学的介入効果スコアを含む解析データを生成すること、及び
前記解析データを(a)前記個々の患者に関連する前記生物学的特徴データの少なくとも一部及び(b)前記個々の患者に関連する前記医学的介入データの少なくとも一部に関連して記憶すること、
第1の患者を解析するための第2の要求を受信することであって、前記第2の要求は(i)前記第1の患者に関連する第1の生物学的特徴データ、(ii)前記第1の患者に関連する第1の活動データ、及び(iii)第1の医学的介入データを含む、受信すること、
前記第1の生物学的特徴データ及び前記第1の医学的介入データに少なくとも部分的に基づいて第1の解析データを取得することであって、前記第1の解析データは前記第1の生物学的特徴データ及び前記第1の医学的介入データの少なくとも一部に対応する前記複数の患者に関連する前記活動データに基づいて生成される前記解析データの部分集合である、取得すること、
前記第1の患者に関連する前記第1の解析データ及び前記第1の活動データに少なくとも部分的に基づいて(a)前記第1の患者に対して前記第1の医学的介入データに関連する第1の医学的介入を行うことに関連する予測医学的介入効果スコア、及び(b)前記第1の患者に対して前記第1の医学的介入を行うことに関連する介入後回復の予測パターンを決定すること、及び
前記第1の患者に関連する報告を出力することであって、前記報告は少なくとも前記予測医学的介入効果スコア及び前記予測回復パターンを示す、出力すること
を含む、コンピュータによって実装される方法。
【請求項10】
前記活動データが歩数、歩幅、移動距離、又は上った階数のうちの1つ又は複数を含む、請求項9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項11】
前記医学的介入データが、医者、医学的介入日、使用される医療装置、医療装置の製造会社、医学的介入の持続時間、又は医学的介入の時刻のうちの1つ又は複数を含む、請求項9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項12】
前記医学的介入効果スコアが、前記第2の時間窓にわたる前記第2の活動データの第1の平均値を前記第1の時間窓にわたる前記第1の活動データの第2の平均値で割ることによって計算される、請求項9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項13】
前記介入後の回復の予測パターンが、前記第1の患者の1組の同じ生物学的特徴を共有する前記複数の患者の部分集合の前記活動データの術後部分を集約することによって決定される、請求項9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項14】
前記第1の医学的介入データに関連する複数の医学的介入のそれぞれに関する前記予測医学的介入効果スコアを決定することであって、前記複数の医学的介入は前記第1の医学的介入を含む、決定すること、並びに
(i)前記第1の医学的介入に関連する前記予測医学的介入効果スコアが前記複数の医学的介入のうちで最高であること、及び(ii)前記第1の医学的介入が前記第1の患者に関する少なくとも閾値レベルの可動度の改善をもたらすことが予測されることを前記第1の医学的介入に関連する前記予測医学的介入効果スコアが示すことに少なくとも部分的に基づいて前記第1の医学的介入に関する推奨を出力すること
を更に含む、請求項9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項15】
前記第1の医学的介入を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する前記複数の患者の第1の患者の部分集合に対応する前記解析データの第1の部分集合を識別すること、
前記第1の医学的介入と異なる第2の医学的介入を受け、前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記複数の患者の第2の患者の部分集合に対応する前記解析データの第2の部分集合を識別すること、及び
(i)前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記第1の患者の部分集合に対する前記第1の医学的介入に関連する第1の医学的介入効果スコア、及び(ii)前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記第1の患者の部分集合に対する前記第2の医学的介入に関連する第2の医学的介入効果スコアを含む集約報告を出力すること
を更に含む、請求項9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項16】
計算システムによって実行されるとき、
複数の患者を解析するための第1の要求を受信することであって、前記第1の要求は(i)前記複数の患者に関連する生物学的特徴データ、(ii)前記複数の患者に関連する活動データ、及び(iii)前記複数の患者に関連する医学的介入データを含む、受信すること、
前記複数の患者の個々の患者ごとに、
前記個々の患者に関連する前記活動データに少なくとも部分的に基づいて1組の時間窓を識別することであって、前記1組の時間窓は(i)前記個々の患者に関連する医学的介入日よりも前の第1の時間窓及び(ii)前記医学的介入日の後の第2の時間窓を少なくとも含む、識別すること、
前記第1の時間窓に関連する第1の活動データと前記第2の時間窓に関連する第2の活動データとを比較することに少なくとも部分的に基づいて医学的介入効果スコアを含む解析データを生成すること、及び
前記解析データを(a)前記個々の患者に関連する前記生物学的特徴データの少なくとも一部及び(b)前記個々の患者に関連する前記医学的介入データの少なくとも一部に関連して記憶すること、
第1の患者を解析するための第2の要求を受信することであって、前記第2の要求は(i)前記第1の患者に関連する第1の生物学的特徴データ、(ii)前記第1の患者に関連する第1の活動データ、及び(iii)第1の医学的介入データを含む、受信すること、
前記第1の生物学的特徴データ及び前記第1の医学的介入データに少なくとも部分的に基づいて第1の解析データを取得することであって、前記第1の解析データは前記第1の生物学的特徴データ及び前記第1の医学的介入データの少なくとも一部に対応する前記複数の患者に関連する前記活動データに基づいて生成される前記解析データの部分集合である、取得すること、
前記第1の患者に関連する前記第1の解析データ及び前記第1の活動データに少なくとも部分的に基づいて(a)前記第1の患者に対して前記第1の医学的介入データに関連する第1の医学的介入を行うことに関連する予測医学的介入効果スコア、及び(b)前記第1の患者に対して前記第1の医学的介入を行うことに関連する介入後回復の予測パターンを決定すること、及び
前記第1の患者に関連する報告を出力することであって、前記報告は少なくとも前記予測医学的介入効果スコア及び前記予測回復パターンを示す、出力すること
を含む操作を前記計算システムに行わせる命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記医学的介入効果スコアが、前記第2の時間窓にわたる前記第2の活動データの第1の平均値を前記第1の時間窓にわたる前記第1の活動データの第2の平均値で割ることによって計算される、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記介入後の回復の予測パターンが、前記第1の患者の1組の同じ生物学的特徴を共有する前記複数の患者の部分集合の前記活動データの術後部分を集約することによって決定される、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記計算システムによって実行されるとき、
前記第1の医学的介入データに関連する複数の医学的介入のそれぞれに関する前記予測医学的介入効果スコアを決定することであって、前記複数の医学的介入は前記第1の医学的介入を含む、決定すること、並びに
(i)前記第1の医学的介入に関連する前記予測医学的介入効果スコアが前記複数の医学的介入のうちで最高であること、及び(ii)前記第1の医学的介入が前記第1の患者に関する少なくとも閾値レベルの可動度の改善をもたらすことが予測されることを前記第1の医学的介入に関連する前記予測医学的介入効果スコアが示すことに少なくとも部分的に基づいて前記第1の医学的介入に関する推奨を出力すること
を含む操作を前記計算システムに行わせる更なる命令を記憶する、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記計算システムによって実行されるとき、
前記第1の医学的介入を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する前記複数の患者の第1の患者の部分集合に対応する前記解析データの第1の部分集合を識別すること、
前記第1の医学的介入と異なる第2の医学的介入を受け、前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記複数の患者の第2の患者の部分集合に対応する前記解析データの第2の部分集合を識別すること、及び
(i)前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記第1の患者の部分集合に対する前記第1の医学的介入に関連する第1の医学的介入効果スコア、及び(ii)前記第1の1組の生物学的特徴に関連する前記第1の患者の部分集合に対する前記第2の医学的介入に関連する第2の医学的介入効果スコアを含む集約報告を出力すること
を含む操作を前記計算システムに行わせる更なる命令を記憶する、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願に対する参照による援用
[0001] 本願は、参照によりその全開示を本明細書において援用する、2021年6月8日に出願された米国仮特許出願第63/036,299号に対する優先権を主張する。本願と共に出願されたアプリケーションデータシート内で外国又は国内の優先権が識別される任意の及び全ての出願が、37CFR1.57の下で参照により本明細書に完全に援用される。
【0002】
技術分野
[0002] 本開示は、ネットワーク環境内の計算装置にわたり解析データを生成し、伝送し、提示することを容易にする分野に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 外科患者の健康状態を評価するために患者報告アウトカム尺度(PROM)がしばしば使用される。例えばPROM調査は、患者が術前及び術後に回答するための幾つかの具体的な質問を含み得る。それらの質問に対する回答を使用して数値スコアを決定することができ、それにより相対的利益を突き止めることができる。但し、それらの回答は本質的に主観的であり、大きなチャンク(例えば数カ月又は数年とまではいかなくても数週間)単位で測定されることが多く、それらの回答だけに基づいて手術の効果又は患者の回復パターンを正確に予測することは困難であり得る。従って、医学的介入の効果及び介入後の回復の予測パターンを明らかにするためのより効果的な、粒度の細かい、及び客観的な技法が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図面の簡単な説明
図1】[0004]本開示の態様による、データ解析サービス及び報告生成サービスを実装するために医学的介入解析システムが使用されるネットワーク環境の概略図を示す。
図2】[0005]本開示の態様による、患者活動データを処理するワークフローの一例を示すブロック図を示す。
図3】[0006]本開示の態様による、患者データの術後解析を行うためのプロセスの一例の流れ図である。
図4】[0007]本開示の態様による、活動データを示すグラフを示す。
図5】[0008]本開示の態様による、活動データの分布を示すグラフを示す。
図6】[0009]本開示の態様による、誤差バーを有する平均活動レベルを示すグラフを示す。
図7】[0010]本開示の態様による、増加及び減少した活動レベルの時間を示すグラフを示す。
図8】[0011]本開示の態様による、矢印がオーバーレイされた活動レベルを示すヒートマップを示す。
図9】[0012]本開示の態様による、歩数及び歩幅のレベルを示すグラフを示す。
図10】[0013]本開示の態様による、距離及び階数のレベルを示すグラフを示す。
図11】[0014]本開示の態様による、各曜日、平日、週末、及び全日の術前及び術後の歩数、距離、及び階数のレベルを示すグラフを示す。
図12】[0015]本開示の態様による、識別された時間窓(エポック)の視覚的指示を含む様々な種類のシナリオにおける術前及び術後の歩数のレベルを示すグラフを示す。
図13】[0016]本開示の態様による、術前の歩数と術後の歩数との比較を示すグラフを示す。
図14】[0017]本開示の態様による、歩数の術前及び術後の分布の歪度の比較を示すグラフを示す。
図15】[0018]本開示の態様による、外科的介入を受けるかどうかの判断を支援するワークフローの一例を示すブロック図を示す。
図16】[0019]本開示の態様による、患者データの術前解析を行うためのプロセスの一例の流れ図である。
図17】[0020]本開示の態様による、視覚的に区別された時間窓を出力するためのプロセスの一例の流れ図である。
図18】[0021]本開示の態様による、患者活動データに基づいて時間窓を識別するためのプロセスの一例の流れ図である。
図19】[0022]本開示の態様による、本明細書に記載の1つ又は複数のコンポーネントを実装するために使用可能な計算システムの全体的なアーキテクチャを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
導入
[0023] 所与の病変に最適な手術を決定する困難に外科医は日々直面している。かかる困難は、ことによると例として脊椎手術によって例示される。脊椎手術が進歩するにつれ、外科医は多岐にわたる治療の選択肢を利用できる。従って外科的な意思決定は一層複雑なプロセスになり、外科医は各患者の固有の既存の病変、年齢、機能状態、及び生活様式に対して既存の文献を理解しなければならない。この決定の複雑さは、外科診療パターン間の腰椎椎弓切除率の7倍の差及び腰椎固定率の10倍の差を論証する調査に反映されている。或いは一層重要なことに、外科医はどの科学的証拠及び文献を手引きに使用するのかを決定しなければならない。これは外科医が最適な外科的手法を決定するためにランダム化比較試験か症例報告かのどちらかを選択しなければならないということではなく、実証的医療の序列は非常に明瞭である。むしろ外科医は、個々の患者の全体的な臨床像ごとに利点とリスクを最良に評価するために既存の文献をどのように利用するのかを決めることができる。脊椎の多くの病変が幾つかの異なる文献化された手法(そのそれぞれは1つ又は複数の様相において成功したと報告されている)を有することから、このような臨床的確実性の欠如が部分的に生じる。
【0006】
[0024] 様々な外科的処置について、適切な減圧と共に融合(fusion)及び失敗率に関する大規模に行われた研究がある。多くの場合この種の研究は、人間の体及び骨が様々な手法にどのように反応するのかを外科医が理解するのを助ける放射線学的所見によって推し進められる。同様に、様々な外科的処置の生体力学的な利点及び不利点を探索する大量の文献がある。この多数の文献は死体解析又は有限要素解析に大いに依存する。しかし、患者の臨床反応が、おそらくは検討する最も重要な因子だと外科医は理解する。実際、たとえ文献が所与の手術後の生体力学的及び構造上の改善を論証しても、それが患者の生活の質における実際の及び有意味の改善をもたらさない場合、それらの発見は関連性を欠く。
【0007】
[0025] これらの同じ問題は、幾つか例を挙げると心臓手術、整形外科手術、肥満手術、及び腫瘍外科手術を含むほぼ全ての下位専門分野における外科的な意思決定で生じる。下位専門分野の技術的側面は異なるが、個々の患者レベル及び母集団レベルで実践パターンを修正するために医師は全ての手術野で関連性のあるアウトカム指向の研究を適用することに苦労する。
【0008】
[0026] 今日まで、手術の成功の測定は患者報告アウトカム尺度(PROM)に依拠してきた。大部分のPROMは、術前及び術後に幾つかの具体的な質問に答えるように患者に求める調査である。それらの質問に対する回答を使用して数値スコアを決定し、それにより相対的利益を明らかにすることができる。幾つかの異なるPROM調査が存在しており、脊椎では最も一般的に利用されているものは、幾つか例を挙げるとオスヴェストリー能力指数(ODI)、視覚的アナログスケール(VAS)背痛及び下肢痛、並びに頸部障害指数(NDI)を含む。SF(Short Form)36健康調査等のより全般的なPROMが、人間の機能の複数の領域にわたって適用され得る。
【0009】
[0027] これらのPROM調査は重要な概念的飛躍を表すが、利益を評価するためにかかる調査だけに依拠することには幾つかの問題がある。第1には、その本質的に主観的な性質である。自身がより機能的であると患者が感じること又は述べることは、必ずしもそうであることを意味しない。これらの調査は、患者が自らの反応に意識的に又は無意識に組み込む幾つかのバイアスを確実に受ける。
【0010】
[0028] 加えて、どのPROMを使用するのかに関する標準化が広く欠如しているようである。整形外科脊椎ジャーナルの遡及的検討は、1,079件の調査にわたり206の異なるPROMが使用されたことを確認した。ことによると同じ位重要なことに、最も一般的に利用されているPROMの中でさえ、方法体系及びスコア計算に関する明らかな一貫性の欠如があった。このことはPROMの更に別の問題、つまりこれらのメトリクが標準化されておらず又は一貫して計算されていない場合、相対的な価値及び治療効果を論証する際のメトリクの有用性が限られていることを強調する。それらをどのように標準化すべきか。どのメトリクが最も効果的か。アウトカムを予測するためにどの時間枠に対して使用すべきか。或る有名な調査は、個々の患者レベルで3カ月のPROMデータが12カ月アウトカムを高信頼に予測しなかったことを見出している。外科医はPROMデータを1年間、ことによると2年間集め続けるべきか。これらの質問に対する答えは贔屓目に見てもはっきりしないままである。
【0011】
[0029] 現代技術の登場により、我々は今や遡及的にだけでなく予測的にも日々の活動を正確に捕捉する手段を有する。例えばユーザのスマートフォンはセンサデータを生成可能な数多くのセンサ(例えば加速度計、ジャイロスコープ、コンパス等)を備えることができ、スマートフォンは、インストールされた1つ又は複数のモバイルアプリケーションの助けで歩数、歩幅、移動距離、上った階数、カロリー数、起立時間、活動時間等のユーザの可動度の様々なインジケータを計算し又は推定することができる。この活動データはユーザのバイアスがかかっておらず、機能状態の真の尺度を与える。多数のパーソナルモバイル装置(例えばスマートフォン、スマートウォッチ、フィットネストラッカ等)によって既に捕捉され記憶されている活動データを処理し解析することにより、本開示の技法は一貫している及び客観的なコンピュータアルゴリズムを適用し、人間の機能を測定するための素晴らしいツールを提供し得る。これらの患者の活動を解析することにより、本開示は患者の術前及び術後の機能状態を測定する客観的方法を提供する。
【0012】
[0030] 例えばスマートフォン上に記憶された既存の健康データを利用し、既に手術を受けている数千人の患者に関する情報を遡及的に捕捉することができる。はるかに多数の患者を捕捉することにより、手術を受けた後の患者の又は母集団の機能状態の客観的な改善又は悪化を検出するように結果が強化される。この解析されるデータ及びメトリクは、様々な種類の医学的介入の影響だけでなく、その影響のタイミング、及び患者のベースライン特性に対するその関係を評価しようとする際に貴重である。この外科的介入の客観的測定は、医療保障/医療扶助/民間保険会社のための価値に応じた費用償還モデルを策定するための鍵となり得る。現在の個別支払いモデルの下では、費用償還は患者のアウトカムではなく処置の種類(CPT)及び診断コード(ICD-10)に基づく。術前患者及び術後患者の客観的な、高信頼の、一貫した、及び正確な客観的リアルタイム活動レベルが、米国内の医療業務におけるこのパラダイムシフトを可能にする。
【0013】
[0031] 本開示は、スマートフォン等のユーザ計算装置内に収集され記憶された大量の後処理済み活動データを安全に、セキュリティ保護された状態で、及び効率的に収集する方法を含む。例えばスマートフォンは、スマートフォンの速度及び動きに基づいて歩数を計算し追跡するために使用可能な組み込み型の3軸加速度計並びに3軸ジャイロスコープを有し得る。ユーザの年齢、性別、身長、及び体重等の人口統計データを組み合わせることにより、3軸加速度計を使用して、加速度計とカロリメーターによって測定されるエネルギ消費データとの間の既定の経験的関係によって身体活動中のエネルギ消費量を推定することができる。このデータは典型的な消費者にとっては潜在的に有用だが、健康状態をモニタする観点からは大雑把にしか関連性がないままである。そのデータの目下の形式では、提示されるデータは主に一般的なフィットネス又は運動の努力に関与する者にとって関心があるように思われ、従って健康メトリク又はアウトカム尺度として使用可能であるには不十分である。手術日の前及び後の生の歩数は、それらの数字が同様の手術を受けた大きい患者群と比較されない限り無意味である。例えばJonesさんが1レベル顕微鏡視下腰椎椎間板ヘルニア摘出術を受け、彼女の1日当たりの術前歩数が4000から術後1年間で6000まで増えた場合、それは何を意味するだろうか。彼女の活動レベルが「よい」アウトカムであることが適格であるには、彼女は術後1年間で1日当たり8000歩にあるべきだろうか。1日当たりのベースライン術前歩数をどのように定めるのか。それらの活動レベルをどのように臨床的に有意味にするのか。
【0014】
[0032] とりわけ上述の課題及び質問が患者データを処理するための開示する技法によって一部の実施形態で対処され、提案される外科的介入(例えば脊椎手術)の予測手術効果(例えば患者の可動度等の身体的状態がどのように改善し得るのか)を明らかにすること、及び患者の術後回復の予測パターン(例えば手術日から15日、30日、又は90日で歩くことを患者が期待できる歩数)を明らかにすることを特に本明細書で記載する。より詳細には、本開示は複数の患者データのうちの患者データを解析し、複数の患者の術後回復を示す解析データを生成し、患者の生物学的特徴及び患者が受けた外科的介入の種類に関連して解析データを記憶することができるシステムを提供する。その後、このシステムは新たな患者の患者特徴及び活動データを解析し、所与の外科的介入がその患者にとってどの程度効果的であり得るのか、及び/又は所与の外科的介入から患者がどのように回復し得るのかについての予測を、過去に生成された解析データに基づいて出力し得る。
【0015】
[0033] 本開示に照らして当業者によって理解されるように、本明細書で開示する実施形態は、より効率的な及び効果的なデータ解析技法を提供するために、データ解析システム、データ処理システム、機械学習システム等の計算システムの能力を改善する。ユーザ計算装置の動きに基づいて生成される術前及び術後の健康データ又はセンサデータを利用すること、視覚的比較及び予測を生成すること、並びにかかる視覚的比較及び予測を生成するために使用可能な機械学習アルゴリズムを利用し更新することにより、本開示の医学的介入解析システムは上記の欠点に対処することができる。
【0016】
[0034] 次に本開示のこれらの及び他の態様を、本開示の限定ではなく例示であることを意図する特定の例及び実施形態に関して説明する。本明細書に記載する例及び実施形態は特定の計算及びアルゴリズムに例示目的で焦点を当てるが、それらの例は例示に過ぎず、限定であることは意図しないことを当業者なら理解されよう。
【0017】
技術的利点
[0035] 時間的に粒度の細かいデータ-従来のメトリクは典型的には所定の時点において評価される。このことは面倒なだけでなく、サンプリング時点間のデータも逃す。既存のPROMは、数週間から数カ月間、数年間の範囲内のギャップと共にサンプリングされる。本明細書に記載する技法(本明細書では客観的リアルタイム生体情報トラッカ「ORBIT:Objective Realtime BioInformation Tracker」とも呼ぶ)は、ユーザが比較のために潜在的に任意の特定の時点をサンプリングすることを可能にし、サンプリングの誤差を更に克服するために解析が集約された時点からのものであることも可能にする。進捗を継続的にモニタするこの能力は、患者がクリニックを再訪する前に改善又は悪化を早期に検出できるようにし得るので極めて重要である。PROMは患者が調査票に記入するときだけ収集されるのに対し、本明細書に記載する患者データを解析するための技法はリアルタイムで適用し、身体活動データが患者のスマートフォンからインポートされるや否や更新することができる(例えば全ての活動データを最初にインポートすることができ、追加の活動データを周期的に(例えば2週間ごとに)又はオンデマンドで(例えば更新済みの解析データをユーザが生成する又は視覚化することを望むときはいつも)インポートすることができ、それらはユーザ計算装置102上で提示されるユーザインタフェース要素をユーザが活性化することによって示され得る)。
【0018】
[0036] 自動収集-データを受動的に収集することができるので、本明細書に記載の技法は或る特定の患者又は提供者のアクションに依拠しなくてもよい場合がある。この利点は、患者の順守の問題を克服することができ、データをサンプリングする機会を不注意に逃す可能性も回避し得る。
【0019】
[0037] 予測的データ解析-ソフトウェアアプリケーションは効率的な予測的データ収集及び解析を可能にする。ユーザとしての患者にとって、このことは、それにより振る舞いを修正し改善するためのリアルタイムフィードバックメカニズムを表し得る。例えばORBITの低下がある場合、かかる低下は患者及び治療を行う医師への警告をトリガし、それらの者は来診が必要かどうかを判断することができる。解析者にとって、かかる低下は介入後の患者の能力の有用なインジケータを与え得る任意のバリアンスの早期発見を可能にする。
【0020】
[0038] 遡及的データ解析-予測的データ収集及び解析と類似の方法体系を使用し、データは遡及的に取得することもできる。これは使用中のスマートフォン及び関連する任意のクラウドベースデータ記憶システムを活用する強力なツールである。任意の所与の個人又は患者に関する数年前の抽出データを全体として解析することができる。例えば本明細書に記載のデータ解析技法の差別化要素の1つは、過去に記憶されたデータからユーザが有意味の健康アウトカムメトリクを抽出できることである。スコアを得るために患者が調査票に記入することを必要とするPROMと異なり、ORBITはスマートフォンの購入日からの身体活動データに基づいて計算することができる。殆どのユーザは計画又はアクションが行われる前の時点において健康アウトカム尺度を評価することに関心がある。かかる評価は、健康アウトカムの研究、介入の効果調査、及び患者の人生の中の過去の健康現象の評価においてとりわけ貴重である。ORBITは過去のベースライン及び任意の追跡時点の決定を客観的に測定することを可能にする。このことは、ソフトウェアアプリケーションのユーザが、スマートフォン技術を有した過去のことによるとあらゆる時点における健康メトリクを客観的に確かめることを可能にする。従って、過去の介入を既に受けているユーザをきめ細かく客観的に調査することができる。このことは患者並びに任意の医学的介入における利害関係者に有用性を提示し、それはほぼ全ての過去の健康メトリクが最低でもベースラインメトリクの予測的収集、又は標準化されていないデータ補間の一部の要素を必要としたからである。
【0021】
[0039] 機械ベース学習-既存のPROMはデータクエリのやり方において固定されたままである。収集され解析されるデータセットの要素的性質並びにサイズを理由に、ORBITは健康尺度としてのその関連性を適合させ高めるために機械ベース学習を活用することができる。術前及び術後の活動レベルを予測するために機械学習アルゴリズムを生成し、関連する独立変数を使用して継続的に訓練することができる。
【0022】
[0040] 測定の非線形動的範囲にわたる解析-既存のPROMの数値的な単純さは魅力的だが、生体系の本質をそうでありそうに反映することはできない。ORBITは患者の能力の非線形測定を可能にする。データセットは線形測定で構成されるが、データを後処理する能力は最も重要な動的範囲内の健康情報をORBITメトリクが検出し伝えることを可能にする。特に、人間性能の下端における変化に対する敏感さは、最大の医学的関連性を伝える可能性が最も高い。
【0023】
[0041] 次に本開示のこれらの及び他の態様を、本開示の限定ではなく例示であることを意図する特定の例及び実施形態に関して記載する。本明細書に記載する例及び実施形態は特定の計算及びアルゴリズムに例示目的で焦点を当てるが、それらの例は例示に過ぎず限定であることは意図しないことを当業者なら理解されよう。
【0024】
医学的介入解析システムのための計算環境の例の概要
[0042] 図1に示す例示的なネットワーク環境100は、一実施形態による医学的介入解析システム106を含む。医学的介入解析システム106は、ユーザ(例えば患者、医療専門家、研究者、データサイエンティスト、医学的介入の評価者等)が、医学的介入解析システム106によって提供されるデータ解析サービス及び報告生成サービスを利用することを可能にする。ユーザは、既に行われている又はこれから行われる手術に関する情報(例えば手術日、手術の種類等)と共に、ユーザ計算装置102上で提示されるユーザインタフェースによって患者データ(例えば年齢、性別、人種、身長、体重、併存疾患等)を入力すること、及び/又は1組の質問に回答することができ、それらは医学的介入解析システム106に(又は医学的介入解析システム106によってアクセス可能なデータリポジトリに)伝送され得る。それに応答し、医学的介入解析システム106は提供された情報に基づく報告を出力し得る。データ解析及び報告生成の詳細については以下でより詳細に説明する。
【0025】
[0043] 例として、ユーザ計算装置102の様々な例がネットワーク104を介して医学的介入解析システム106と通信して示されている。ユーザ計算装置102は、デスクトップ、ラップトップ、携帯電話(又はスマートフォン)、タブレット、キオスク、テレビ、腕時計(スマートウォッチを含む)、フィットネストラッカ、無線装置、メディアプレーヤ、1つ又は複数のプロセッサ装置、計算装置に含めるための集積回路コンポーネント等の任意の計算装置であり得る。
【0026】
[0044] ユーザ計算装置102がその上で医学的介入解析システム106にアクセスすることができるネットワーク104は、任意の有線ネットワーク、無線ネットワーク、又はその組み合わせとすることができる。加えて、ネットワーク104はパーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、(例えばラジオ又はテレビ用の)無線ブロードキャストネットワーク、ケーブルネットワーク、衛星ネットワーク、セルラ電話網、又はその組み合わせであり得る。例えばネットワーク104は、インターネット等、ことによると様々な異なる関係者によって運営されるリンクされたネットワークの公的にアクセス可能なネットワークであり得る。一部の実施形態では、ネットワーク104が企業イントラネット又は大学イントラネット等の私設ネットワーク又は準私設ネットワークであり得る。ネットワーク104は、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM)ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク、又は他の任意の種類の無線ネットワーク等の1つ又は複数の無線ネットワークを含み得る。ネットワーク104は、インターネット又は上述の他の種類のネットワークの何れかを介して通信するためのプロトコル及びコンポーネントを使用することができる。
【0027】
[0045] 図示の実施形態では、医学的介入解析システム106は、ネットワーク104を介してユーザ計算装置102と通信し、医学的介入解析システム106の様々なサービスへのアクセスを提供することができるサーバ120を含む。図1の例では、医学的介入解析システム106によって提供されるサービスはデータ解析サービス130及び報告生成サービス150を含む。一部の実施形態では、これらのサービスがサーバ120上の物理コンピュータハードウェア又は別個の計算装置内で実行されるソフトウェアコンポーネントとして実装され得る。本明細書で使用するとき及びその通常の意味に加えて、「サービス」という用語は一部の実施形態では本明細書に記載の操作を実装する基礎を成す物理ハードウェアも指し得る。
【0028】
[0046] 医学的介入解析システム106は、例えばユーザ計算装置102上にインストールされたブラウザ又はアプリケーション等のナビゲーション及び/又はブラウジングインタフェースによってユーザ計算装置102上で表示するためのユーザインタフェース(及び/又はそのための命令)を提供することができ、ユーザ計算装置102上のユーザは、データ解析サービス130及び報告生成サービス150等の医学的介入解析システム106によって提供される様々なサービスをユーザインタフェースによって利用することができる。
【0029】
[0047] データ解析サービス130は、本明細書に記載のデータ解析を行うために特定の患者データ、解析データ、機械学習データ、又はその任意の部分を収集し及び/又は生成するために、データリポジトリ140及び/又はデータソース160にアクセスすることができる。報告生成サービス150はデータリポジトリ140からの解析データにアクセスし、患者及び本明細書に記載の医学的介入解析の様々な視覚的インジケータ、予測、及び結果を伝えるための報告及び/又はユーザインタフェースを生成することができる。
【0030】
[0048] 一部の実施形態では、ユーザ計算装置102によって生成されるデータが、データ解析サービス130による取得のために(データ解析サービス130によって行われる解析において使用するために、及び/又はデータリポジトリ140内に後で記憶するために)システム106に直接送信され(例えばデータリポジトリ140内に記憶され)てもよく、又は(例えばユーザ計算装置102上にインストールされたモバイルアプリケーションによって)データソース160に直接送信され得る。データソース160は医学的介入解析システム106の外側に示されているが、一部の実施形態ではデータソース160の一部又は全てが医学的介入解析システム106内に実装され得る。
【0031】
[0049] データリポジトリ140は、患者データ142、解析データ144、及び機械学習データ146を記憶し得る。患者データ142は、患者に関連する生物学的特徴及び他の特徴(例えば年齢、性別、人種、身長、体重、併存疾患等)、患者に関連する活動データ(例えば歩数、歩幅、上った階数、移動距離、カロリー数、起立時間、活動時間、歩様の非対称性等の生の活動データ若しくはセンサデータ及び/又は処理された活動データ)、及び患者に関連する手術データ(例えば医者、医学的介入日、使用される医療装置、医療装置の製造会社、医学的介入の持続時間、侵襲度、医学的介入の時刻等、患者が受けた又は患者が受ける医学的介入に関係する詳細)を含み得る。一部の実施形態では、患者データ142が複数のユーザによって(例えば患者のユーザ計算装置102並びに医師/評価者/研究者等のユーザ計算装置102によって)提供され、クロスチェックされ及び/又は重複排除され得る。
【0032】
[0050] 解析データ144は、幾つか例を挙げると例えば(i)代表値、合計、集約、部分集合、zスコア、平均、標準偏差、グラフ、チャート等の患者データの処理版、(ii)急な減少、術後の回復等の興味を引くデータ点、及び(iii)患者データ142及び/又は他の解析データを使用して識別される時間窓(本明細書ではエポックとも呼ぶ)、(iv)本明細書に記載の医学的介入効果スコア、(v)患者改善指数(例えば他の同様の状況に置かれた患者と比較した患者データに基づく術前及び/又は術後のその特定の患者の調子)、(v)医学的介入効果スコア及び/又は回復パターンの予測(例えば患者がどのように回復し得るのかについてのグラフ、表、又は他のインジケータ)を含み得る。
【0033】
[0051] 機械学習データ146は、医学的介入解析システム106によって生成され及び/又は訓練される1つ又は複数の機械学習モデル又はアルゴリズムを含み得る。1組の入力に基づく期待値又は出現を明らかにするためにこれらの予測モデルの1つ又は複数が使用され得る。例えば予測モデルは、例えば本明細書に記載の患者データ、医学的介入データ、患者の過去の活動データ及び過去に解析された患者データ、医学的介入データ、並びに他のユーザの活動データ等の予測モデルへの1つ又は複数の入力に基づいて患者の将来の活動レベルを予測するために使用され得る。幾つかの異なる種類のアルゴリズムが医学的介入解析システム106によって使用され得る。例えば本明細書の特定の実施形態は、ロジスティック回帰アルゴリズムを使用することができる。但し、線形回帰アルゴリズム、離散選択アルゴリズム、又は一般化線形アルゴリズム等の他のアルゴリズムも可能である。
【0034】
[0052] 図1では医学的介入解析システム106が、1つ又は複数のコンピュータネットワークを使用して相互接続される幾つかのコンピュータシステムを含む分散計算環境内で動作するものとして示されている。医学的介入解析システム106は、図1に示すよりも少ない又は多い数の装置を有する計算環境内で動作することもできる。従って図1の医学的介入解析システム106の描写は、本開示に対する限定ではなく例示として解釈すべきである。例えば医学的介入解析システム106又はその様々な構成要素は、本明細書に記載のプロセスの少なくとも一部を実装するために様々なウェブサービスコンポーネント、ホスト型又は「クラウド」計算環境、及び/又はピアツーピアネットワーク構成を実装することができる。
【0035】
[0053] 更に、医学的介入解析システム106及びそのコンポーネントはハードウェア及び/又はソフトウェアによって実装することができ、例えば本明細書に記載の様々な特徴を実装するためのコンピュータ実行可能命令を実行するように構成される物理コンピュータハードウェア上に実装される1つ又は複数の物理サーバ又は仮想サーバを含み得る。1つ又は複数のサーバは、例えば1つ又は複数のデータセンタ内で地理的に分散されても、地理的に同じ場所に配置されてもよい。一部の実施形態では、図1に示すコンポーネントの1つ又は複数が1つ又は複数の仮想サーバ又は仮想マシン上に実装され得る。
【0036】
[0054] 更に、医学的介入解析システム106の様々なコンポーネント又はサービスの処理は、複数のマシン、ネットワーク、又は他の計算資源にわたって分散され得る。医学的介入解析システム106の様々なコンポーネント又はサービスは、専用サーバ内ではなく、1つ又は複数の仮想マシン又はホスト型計算環境(例えば「クラウド」)資源内に実装することもできる。同様に図示のデータリポジトリは、例えばストレージエリアネットワーク又は他の分散型ストレージシステムを含むローカル及び/又はリモートの物理及び/又は論理データストレージを表し得る。一部の実施形態では、図示のコンポーネント又はサービス間の接続が、ハードウェア間の実際の接続ではなくデータフローのあり得る経路を表す。医学的介入解析システム106の様々な機能を実装する実行コードモジュールが、サーバ120のメモリ内に及び/又は他の種類の非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され得る。あり得る接続の幾つかの例を示すが、様々な実装形態において図示のコンポーネントの任意の部分集合がコンポーネントの他の任意の部分集合と通信することができる。
【0037】
患者活動データの処理
[0055] 図2は、本開示の態様による、患者活動データを処理するための例示的なデータフロー200を示す。図2に示すように、データフロー200は(i)生の加速度計データ、(ii)識別解除又は再割り当てされた一意識別子、(iii)機械学習アルゴリズム、(iv)推定された歩数、距離、階数、及びエネルギ消費データ、(v)多変数線形回帰モデル、及び(vi)教師付きの機械学習アルゴリズムを含み得る。例えば、システム106はユーザの個人情報を自動で識別解除し、インポートされたデータセットに対して一意識別子を割り当てる能力を有し得る。ユーザがデータ共有契約に同意すると、ユーザの計算装置上にインストールされたモバイルアプリケーションがクラウド上のデータベースを継続的に次々と抽出及びデータ投入することができる。次いで、既存のアルゴリズムを使用して歩いた歩数、移動距離、上った階数、起立時間、及びエネルギ消費等の身体活動パラメータを計算するために生の加速度計データを処理することができる。身体機能データが個人ユーザについて生成されると、過去に収集されたデータを含むデータベースのライブラリにそれらのデータ点が追加され得る。
【0038】
[0056] 歩数、距離、階数、カロリー、及び起立時間のデータが患者ごとに生成されると、それらのデータが日間平均、週平均、及び月平均に編成される。パラメータ(例えば1日当たりの平均歩数、1日当たりの平均距離、平均燃焼活動カロリー、上った平均階数、及び平均起立時間)ごとに、(例えば平均から2標準偏差を超えて離れている)外れ値を除去することができ、グラフを生成することができる。患者ごとにパラメータが収集されると、ベースライン活動レベルを達成する又は超えるための時間が表示されるダッシュボード形式でそれらのパラメータが表示される。加えて、パラメータごとにグラフも生成される。
【0039】
[0057] 以下に記載するステップを使用し、患者ごとにORBITスコアを計算することができる。年齢、性別、人種、ベースライン医学的併存疾患、手術の種類、手術のレベル、術前のベースライン身体活動、術後の身体活動レベル等の既存の独立変数に基づいてモデルを生成するために多変数線形回帰を使用することができる。多変数線形回帰モデルは毎日更新される。ユーザの術後の身体機能(例えば歩数、距離、エネルギ消費、上った階数、及び起立時間)を予測するために独立変数(年齢、性別、体容積指数、手術の種類、ベースライン身体機能等)を入力することにより、機械学習アルゴリズムのための教師付き学習を行うことができる。
【0040】
[0058] 一部の実施形態では、5つの身体機能メトリク(1日当たりの歩数、1日当たりの距離、燃焼活動カロリー、上った階数、及び起立時間)に基づき、ORBIT(客観的リアルタイム生体情報トラッカ)スコアが対象者ごとに計算され得る。これはPROMに対して検証される複合点数法である。PROMとORBITとの間の乖離又は相関があるかどうかを知るために、PROMとORBITとの間でピアソン相関係数が計算される。ORBITの各成分に所与の加重スコアが与えられる。このデータは、様々な種類の外科的介入の影響だけでなく、その影響のタイミング、及び患者のベースライン特性に対するその関係を評価しようとする際に非常に有益である。ORBITは回復時間及び回復量を考慮に入れ、従ってそのスコアは患者がどの程度早く又は遅く回復したのか、及び各身体活動パラメータ(歩数、距離、カロリー、上った階数、及び起立時間)が術後にどの程度変化したのかを反映する。ORBITスコアは患者の既存の身体データを使用して計算され、その詳細は以下に記載する。ORBITは手術をまだ受けていない個々の患者について、その患者のベースライン特性及び術前の身体活動レベルデータに基づいて機械学習アルゴリズムを使用して予測することもできる。
【0041】
[0059] ORBITスコアを計算する一例を以下に記載する:
[0060] キーワード:
・1日当たりの歩数=SPD
・1日当たりの距離=DPD
・燃焼活動カロリー=ACB
・起立時間=SM
・上った階数=FC
・ODI=オスヴェストリー能力指数
・NDI=頸部障害指数
【0042】
[0061] ORBITスコアはSPD、DPD、ACB、SM、FCの加重点数システムであり、以下を反映するための複合点数を提示する:
・ベースラインSPD、DPD、ACB、SM、FCに戻るための時間
・SPD、DPD、ACB、SM、FCのグレード
【0043】
[0062] ORBITスコアは、ベースラインから評価時点までの身体活動の5つの分野の変化を考慮に入れる複合加重スコアである。身体活動尺度の5つの主な分野について、時間及び勾配という2つの様相がある。ORBITスコアは-15から25に及ぶことができ、高いスコアはより多くの身体活動を表し、低いスコアはより少ない身体活動を表す。
【0044】
[0063] 1日当たりの歩数(SPD):
・1日当たりの平均ベースライン歩数(1YbSPD)、(9MbSPD)、(6MbSPD)、(3MbSPD)は手術の1年前、9カ月前、6カ月前、及び3カ月前、並びに手術の前日までの総歩数を365日で割ることによって定められる。
○bSPD=1年間の期間にわたる総歩数/365日
○手術日が0日となる
・SPDは全ての患者について含まれる平均及び標準偏差によって報告される
・SPDは週1回の頻度で編成される
○W0=手術の週、0~6日目、その後W1、W2、W3...等と続く
○週次SPD
■W0SPD=(週0内の総歩数)/7日
・bSPD(365日)、W0SPD、W1SPD、W2SPD、W3SPD、W4SPD、W5SPD、W6SPD、W12SPD、M6SPD、M9SPD、Y1SPD、Y2SPD
・bSPDを達成するまでの時間(時間成分)
○早期回復(ER):術前bSPDをW12以内に達成し又は上回った人
○遅い回復(LR):術前bSPDをW13からY2までに達成し又は上回った人
○回復なし(NR):術前bSPDをW0からY2までに一度も達成せず又は上回らなかった人
・M6からY2までの達成の評価
○M6~Y2のSPDはM6からY2までの総歩数/540日によって定める
■著しい悪化(SW):bSPDの0%から49%までの人
■中程度の悪化(MoW):bSPDの50%から75%までの人
■軽度の悪化(MW):bSPDの76%から99%までの人
■軽度の回復(MR):bSPDの100%から125%までの人
■中程度の回復(MoR):bSPDの126%から150%までの人
■著しい回復(SR):bSPDの151%から200%までの人
【0045】
[0064] 1日当たりの距離(DPD)-これは1日当たりの歩数に加え、可動度の別のインジケータである。
・bDPD=1年間の期間にわたる総移動距離/365日
・DPDは週1回の頻度で編成される
・DPDを達成するまでの時間及びそれ以降
○早期回復(ER):術前bDPDをW12以内に達成し又は上回った人
○遅い回復(LR):術前bDPDをW13からY2までに達成し又は上回った人
○回復なし(NR):術前bDPDをW0からY2までに一度も達成せず又は上回らなかった人
○劣化(D):術前bDPDにおける悪化をY2までに経験した人
・M6からY2までの達成の評価
○M6~Y2のDPDはM6からY2までの平均DPD/540日によって定める
■著しい悪化(SW):bDPDの0%から49%までの人
■中程度の悪化(MoW):bDPDの50%から75%までの人
■軽度の悪化(MW):bDPDの76%から99%までの人
■軽度の回復(MR):bDPDの100%から125%までの人
■中程度の回復(MoR):bDPDの126%から150%までの人
■著しい回復(SR):bDPDの151%から200%までの人
【0046】
[0065] 燃焼活動カロリー(ACB)-これは必ずしもSPD内で反映されない場合がある、患者の活動レベルの強力な指示である。データを捕捉し報告するのはSPDと同様のやり方である。
・平均ベースライン燃焼活動カロリー(bACB)(kCal)は手術の1年前にわたる、及び手術の前日までの総燃焼活動カロリーを365日で割ることによって定められる。
○bACB=1年間の期間にわたる総ACB(kCal)/365日
○手術日が0日となる
・ACBは全ての患者について含まれる平均及び標準偏差によって報告される
・ACBは上記のように週1回の頻度で編成される
○W0=手術の週、0~6日目、その後W1、W2、W3...等と続く
・達成するまでの時間
○早期回復(ER):bACBをW12以内に達成し又は上回った人
○遅い回復(LR):bACBをW13からY2までに達成し又は上回った人
○回復なし(NR):bACBをW0からY2までに一度も達成せず又は上回らなかった人
・M6からY2までの達成の評価
○M6~Y2のACBはM6からY2までの総ACB/540日によって定める
■著しい悪化(SW):bACBの0%から49%までの人
■中程度の悪化(MoW):bACBの50%から75%までの人
■軽度の悪化(MW):bACBの76%から99%までの人
■軽度の回復(MR):bACBの100%から125%までの人
■中程度の回復(MoR):bACBの126%から150%までの人
■著しい回復(SR):bACBの151%から200%までの人
【0047】
[0066] 起立時間(SM):
・bSM=1年間の期間にわたる総起立時間/365日
・SMは週1回の頻度で編成される
・bSMを達成するまでの時間及びそれ以降
○早期回復(ER):術前bSMをW12以内に達成し又は上回った人
○遅い回復(LR):術前bSMをW13からY2までに達成し又は上回った人
○回復なし(NR):術前bSMをW0からY2までに一度も達成せず又は上回らなかった人
・M6からY2までの達成の評価
○M6~Y2のSMはM6からY2までの平均SM/540日によって定める
■著しい悪化(SW):bSMの0%から49%までの人
■中程度の悪化(MoW):bSMの50%から75%までの人
■軽度の悪化(MW):bSMの76%から99%までの人
■軽度の回復(MR):bSMの100%から125%までの人
■中程度の回復(MoR):bSMの126%から150%までの人
■著しい回復(SR):bSMの151%から200%までの人
【0048】
[0067] 上った階数(FC):
・bFC=1年間の期間にわたって上った総階数/365日
・FCは週1回の頻度で編成される
・bFCを達成するまでの時間及びそれ以降
○早期回復(ER):術前bFCをW12以内に達成し又は上回った人
○遅い回復(LR):術前bFCをW13からY2までに達成し又は上回った人
○回復なし(NR):術前bFCをW0からY2までに一度も達成せず又は上回らなかった人
○劣化(D):術前bFCにおける悪化をY2までに経験した人
・M6からY2までの達成の評価
○M6~Y2のFCはM6からY2までの平均SM/540日によって定める
■著しい悪化(SW):bFCの0%から49%までの人
■中程度の悪化(MoW):bFCの50%から75%までの人
■軽度の悪化(MW):bFCの76%から99%までの人
■軽度の回復(MR):bFCの100%から125%までの人
■中程度の回復(MoR):bFCの126%から150%までの人
■著しい回復(SR):bFCの151%から200%までの人
【0049】
【表1】
【0050】
・(オッズ比)に寄与する多変量解析及び識別因子
○外科的因子:
■頸部手術
■腰椎手術
■固定対非固定
■レベルの数
○人口統計:
■BMI
■年齢
■性別
■術前の平均活動レベル
○腰椎手術に関するオスヴェストリー能力指数
○頸椎手術に関する頸部障害指数
【0051】
[0068] これらのアウトカムは、ベースライン及び頸部手術ではY2 NDIと比較され、腰椎手術ではY2 ODIと比較される:
・NDI
○よいアウトカムは0~28である
○悪いアウトカムは15~50である
・ODI
○よいアウトカム0~20
○悪いアウトカム21~100
【0052】
[0069] 乖離を検査するためにNDI/ODIとORBITとの間でピアソン相関係数が計算された。
【0053】
患者の経験の例
[0070] 患者の経験の一例を以下に記載する。健康メトリク(歩いた歩数、移動距離、上った階数、起立時間、及びエネルギ消費等)、患者特徴(年齢、性別、人種、併存疾患等)、及び手術の詳細(手術の種類、手術のレベル、手術の場所、外科医/病院の識別)が何千人もの患者からアプリケーションによって収集される。
a.個々の患者が自分のスマートフォン上にモバイルアプリケーションをダウンロードする
b.(例えば患者のスマートフォン上に記憶された既存の健康データを抽出することにより)モバイルアプリケーションが手術日に基づいて術前及び術後の健康メトリクを決定する(モバイルアプリケーションは術後の健康メトリクを収集し続ける)
c.モバイルアプリケーションが全てのデータをサーバに送信する
【0054】
[0071] システム106は何千人もの患者から受信したデータを解析し、モデルを生成する。
【0055】
[0072] Jonesさんが検査を受けに訪れ、モバイルアプリケーションをダウンロードすること及び治療を行う外科医と自身の活動データを共有することに同意する。患者がアプリケーションを開きデータの共有に同意すると、アプリケーションがHIPAAに準拠した及び暗号化されたクラウド(例えばシステム106又はデータソース160)上に活動データをアップロードし始める。
【0056】
[0073] 彼女がモバイルアプリケーションをダウンロードする:
d.モバイルアプリケーションが彼女の術前の健康メトリクを決定する
e.モバイルアプリケーションが彼女の患者特徴を決定する
f.モバイルアプリケーションがサーバにデータを送り出す
g.サーバがモデルを使用して解析を行い、見積もりを生成し、モバイルアプリケーションに送信する
h.モバイルアプリケーションがサーバからダウンロードされたデータを処理し、彼女の活動メトリクを表示するダッシュボード内に更にはグラフ内にユーザインタフェースを生成する
【0057】
[0074] 既に手術を受けている患者の場合、それらの者の術前及び術後の活動レベルが編成され、ダッシュボード内に表示される。まだ手術を受けていない患者の場合、将来の日にちに受けることが予期される手術の種類を選ぶことができる。次いで機械学習アルゴリズムは、患者のベースライン特性及びベースライン活動レベルを考慮に入れて期待身体活動レベルを生成することができる。
【0058】
[0075] 手術の種類(例えば低侵襲又は開腹、頸部又は腰椎、1レベルの手術又は2レベルの手術)をデータベース内に入力することができる。患者がまだ手術を受けていない場合、モバイルアプリケーションは機械学習アルゴリズムを使用して将来の期待活動レベルを生成することもできる。
【0059】
[0076] 手術が行われる:
i.モバイルアプリケーションが治療を行う外科医及び患者から手術の詳細を収集する
j.モバイルアプリケーションが術後の健康データを収集し始める
k.モバイルアプリケーションが、過去に生成された見積もりに対して及びベースラインに対して術後データを比較し、毎週更新される
i.実際の身体活動データをコンピュータによって生成されたデータと比較することができ、任意の乖離を計算し、グラフ及びダッシュボード形式で表示することができる
ii.機械学習アルゴリズムの精度及び予測能力を改善するために、任意の乖離が機械学習アルゴリズム内に継続的にフィードバックされる
l.患者及び外科医に対するフィードバック/提案をトリガする
i.患者が期待された中間目標を(例えば術後6週間までに患者が1日当たり5000歩歩いていることが期待されるが、1日当たり4000歩であることにより)満たしていない場合、その患者は自らが期待された活動レベルに近づいているという自身のスマートフォンへの激励のメッセージ及びリマインダを受信する。アプリケーションはフィードバックを提供するだけでなく、患者の身体活動データをダッシュボード形式で表示し、そのため患者は簡潔な及び編成された形で視覚化された自身のデータを見ることができる。加えて患者は自分のORBITメトリクを見ることができ、ORBITメトリクは身体活動の複数の様相を考慮に入れ、更に確立された患者報告アウトカム尺度(PROM)と相関する複合客観的活動尺度である。
ii.同時に外科医は、患者が術後に活動レベルの急な減少を有する場合に通知及び警告を受ける選択肢を有し、かかる通知及び警告は緊急治療室への来診又はクリニックでの経過観察を引き起こし得る。
【0060】
[0077] 継続的に学習し時間と共に改善される機械学習アルゴリズム内に何千人もの患者からの集約データが供給される。その後、このアルゴリズムは他の医学的介入又は外科的介入(例えば新たな抗鬱剤の投与又は整形外科股関節置換)のアウトカムを予測するために利用される。
【0061】
患者データの術後解析を行うためのルーチンの例
[0078] 図3は、本開示の態様による、患者データの術後解析を行うための例示的なルーチン300を示す。ルーチン300は、例えばデータ解析サービス130及び/又は報告生成サービス150、又は本明細書に記載の医学的介入解析システム106の1つ又は複数の他のコンポーネントによって実行され得る。便宜上、ルーチン300のステップの一部又は全てがシステム106によって実行されるものとして記載されている。例えばシステム106は、1つ又は複数のハードウェア計算装置と、1つ又は複数のハードウェア計算装置によって実行されるとき、ルーチン300のステップを1つ又は複数のハードウェア計算装置に行わせる命令を記憶する非一時的物理コンピュータストレージとを含み得る。
【0062】
[0079] ルーチン300はブロック302から始まり、ブロック302でシステム106は複数の患者を解析するための要求を受信する。
【0063】
[0080] ブロック304で、システム106は複数の患者のうちの1人の活動データを解析する。
【0064】
[0081] ブロック306で、システム106は患者に関する1つ又は複数の術前の時間窓及び1つ又は複数の術後の時間窓を識別する。
【0065】
[0082] ブロック308で、システム106は患者に関連する解析データを生成する。
【0066】
[0083] ブロック310で、システム106は処理すべき任意の追加の患者がいるかどうかを判定する。処理すべき追加の患者がいるとシステム106が判定する場合、ルーチン300はブロック304に戻る。さもなければルーチン300はブロック312に進む。
【0067】
[0084] ブロック312で、システム106は、複数の患者のうちの対応する者に関連する生物学的特徴データ及び手術データに関連して患者ごとに生成した解析データを記憶する。
【0068】
[0085] ブロック314で、システム106は生成した解析データに基づく報告を出力する。これでルーチン300は終了し得る。
【0069】
[0086] この説明の範囲から逸脱することなしに、ルーチン300は図3に示すよりも少ない、多い、又はそれと異なるブロックを含むことができ、及び/又は図3に示す1つ若しくは複数のブロックは修正され、省略され、又は交換され得る。更に、本開示に記載する機能の一部又は全てが、本明細書で開示する医学的介入解析システム106及び/又はユーザ計算装置102の1つ又は複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアによって具体化され得ることが当業者及び他者によって理解されよう。
【0070】
例示的なグラフ及びユーザインタフェース要素
[0087] 図4は、本開示の態様による活動データを示すグラフを示す。図4に示す各グラフは、ユーザが調節可能な移動平均(図4の破線、25日)と共に日々の活動データ(実線)を示す。縦線は手術日を表す(その左側の全てのデータは術前であり、右側は術後である)。
【0071】
[0088] 図5は、本開示の態様による活動データの分布を示すグラフを示す。術前及び術後の活動の分布を視覚的に比較できるようにするために、図5に示すヒストグラムは術前及び術後の両方の活動の分布を示す。
【0072】
[0089] 図6は、本開示の態様による誤差バーを有する平均活動レベルを示すグラフを示す。図6に示す棒グラフは、推定された平均前後の95%の信頼区間を示す誤差バーを有する術前及び術後の平均活動レベルを示す。術前及び術後の分布からの2つの独立したサンプルが等しい平均を有する正規分布から来る確率(p値)を決定するために、対応のない両側t検定を使用する。このp値は棒グラフの上で報告される。
【0073】
[0090] 図7は、本開示の態様による増加及び減少した活動レベルの時間を示すグラフを示す。図7に示すグラフでは、ベースライン活動が移動平均を用いてフィルタされる(日数はユーザが選択できる)。高い又は低い活動期間は、平均から1標準偏差を超えて異なるものとして識別される(これはユーザが選択可能な変数とし得る)。バーの高さは、平均活動ベースラインに対する活動の平均的な増加又は減少を表す。バーの幅は、活動の増加又は減少の持続時間を表す。
【0074】
[0091] 図8は、本開示の態様による、矢印がオーバーレイされた活動レベルを示すヒートマップを示す。図8のヒートマップでは、オーバーレイされた矢印が活動の著しい「上昇」の期間を示し、長さ及びサイズ(線の太さ、矢印のサイズ)は活動上昇の持続時間及び傾斜に対応する。図8では、生データが術前期間に対してzスコアで正規化され、次いで7日間のスライディングウィンドウを使用して平滑化された。著しい活動上昇の期間は、次のコストと共に最適化法を用いて識別された(例えばMATLABにおけるfindchangepts.m):(1)「変化点」の数(変化点の数ごとの線形ペナルティ重み)、及び(2)変化点間のデータの線形フィットの残差二乗和。変化点を追加することは常に残差誤差を減少させることを指摘しておく。例えば時系列内の各点が変化点である場合、誤差二乗和はゼロに減少する。従ってオーバーフィッティングを回避するために(1)のための重みが重要である。変化点間の最低日数が閾値、例えば(1日又は2日にしか及ばない活動の上昇はこの解析ではさほど興味深くない可能性があるので)3日間を上回るように、(1)のための重みは反復的なデータ駆動型のやり方で決定され得る。
【0075】
[0092] 図9は、本開示の態様による歩数及び歩幅のレベルを示すグラフを示す。図10は、本開示の態様による距離及び階数のレベルを示すグラフを示す。図9及び図10のグラフでは、生データがメトリクごとに別々に術前の分布に対してzスコアで正規化されている。X軸は手術からの週数を示す。0上の値(y軸)は術前ベースラインにおける日々の活動レベルを示す。各下位図面の中で、データが平日(破線)、週末(点線)、及び合計(実線)に関して別々にプロットされた。歩幅は距離/歩数として計算した。次いで、7日移動平均を用いてデータを平滑化した。データが入手できない日はNaNで埋めた。一部の実施形態では、本明細書に記載の解析を行う際に週末の活動データだけが使用され得る。他の実施形態では、本明細書に記載の解析を行う際に平日の活動データだけが使用され得る。更に他の実施形態では、本明細書に記載の解析を行う際に平日の活動データ及び週末の活動データの両方が使用され得る。
【0076】
[0093] 図11は、本開示の態様による、各曜日、平日、週末、及び全日の術前及び術後の歩数、距離、及び階数のレベルを示すグラフを示す。図11では、術前期間(陰影付き)及び術後期間(空白)に関してデータが更に層別化され、誤差バーは平均の標準誤差(SEM)を示す。
【0077】
[0094] 図12は、本開示の態様による、識別された時間窓(エポック)の視覚的指示を含む様々な種類のシナリオにおける術前及び術後の歩数のレベルを示すグラフを示す。術前期間内の日々の歩数レベルの時系列に基づき、システム106は既定の「エポック」を自動で検出することができる:1)エポック1は患者が通常の(健康な又は慢性的に衰弱した)健康状態にあったときの患者の術前のベースライン状態であり、2)エポック2は患者のベースラインに対する急な減少(もしある場合)を表し、介入がなければ患者があるであろう状態を表し、3)エポック3は患者が急性の術後疼痛から回復している、理学療法/リハビリを受けている術後の回復期間であり、4)エポック4はエポック1と同等であり得る又は改善されている可能性がある患者の新たな術後のベースライン活動レベルに戻ることを表し、5)エポック5は手術からの完全回復期間後に二次的減少が認められた患者において識別された。二次的減少は、怪我の再悪化又は可動度に支障を来し得る異なる疾病状態が原因であり得る。全ての対象者がエポック1及び3を有するのに対し、エポック2、4、及び5は患者の活動の特定の術前パターンに依存する。エポックは、術前の分布に対してzスコアで正規化された生データ及び7日間のスライディングウィンドウを用いて平滑化することに因んで識別された。E2は、最低歩数が0.5未満の状態で0未満の平均歩数が10日間を超えて維持される手術(日=0)までの期間があった場合に識別された。E4は、-0.25を超える平均歩数が10日間を超えて維持される術後期間内の期間があった場合に識別された。E5は、E4が見つかった場合にのみE2と同じ基準を使用して識別された。他の実施形態では、平均歩数、最低歩数、又は維持される期間の任意の組み合わせが使用され得る。
【0078】
[0095] 図13は、本開示の態様による術前の歩数と術後の歩数との比較を示すグラフを示し、図14は、本開示の態様による歩数の術前及び術後の分布の歪度の比較を示すグラフを示す。
【0079】
[0096] 図13のグラフは、エポック2とエポック4との間の日々の平均歩数の比較を示す。E2が入手できない又は識別されない場合はE1を使用することができ、E4が入手できない又は識別されない場合はE3を使用することができる。図示の比較は、手術がなければ患者があるであろう状態(E2又はE1)と術後(E4又はE3)とを比較する外科的介入後の日々の歩数の改善度を測定する。視覚化のための正規化データを使用し、完全に回復した(術後期間内でE3の後にE4が続く)患者と回復しなかった(E3だけの)患者とでデータ点を別々にプロットしている。生の歩数を代わりに使用することも質的に同一の結果を与え得る。
【0080】
[0097] 図14のグラフは、日々の歩数の術前及び術後の分布の歪度の比較を示す。zスコアでの正規化がないことを除き、日々の平均歩数に関して解析が行われた。更に、この比較はE1とE4との間のデータについて行われた。健康な人は自身の活動を一定の日にちで上昇させることができるので、ここでの根底となる仮説は健康な人の可動度データが正の歪度を示すことである。実際、(時系列解析によって明らかにされる)完全回復は日々の平均歩数並びに歪度の増加、又は歪度の増加がない日々の平均歩数の増加によって特徴付けられることが見出された。平均に対する歪度の相対的重要性はより大きいデータセットを用いて依然として決定されるが、(術前から術後への)平均の増加は歪度の増加と逆の相関関係を有する可能性が高い。
【0081】
手術を受けるかどうかの判断の支援
[0098] 図15は、本開示の態様による、手術又は他の医学的介入を受けるかどうかの判断を支援するための例示的なルーチン1500を示す。図15に示すように、ルーチン1500は(i)入力患者データ(例えば性別、年齢、症状、活動データ、自身の状態を改善するために患者が受ける可能性がある手術の詳細等)を収集すること、(ii)予測される術後活動データ(例えば歩数、歩幅、移動距離、上った階数、カロリー数等)を決定するために使用される機械学習アルゴリズムを識別すること、(iii)予測される術後活動データを決定すること、(iv)外科的介入が正当かどうかの判断を支援するための解析データを出力すること、(v)(例えば複数の手術又は手術の種類について予測される術後活動データを比較することによって)最適な外科的介入を識別すること、及び(vi)外科的介入後の患者の進捗を追跡し、かかる進捗に基づいて提案を行うことを含み得る。
【0082】
[0099] 外科的介入後の個々の患者のアウトカムを予測するために、機械学習アルゴリズム(MLA)が並行して策定される。このアルゴリズムは既知の変数を入力することによって教師付き学習を受け、術後の患者の活動レベルを予測するために使用される。この情報により、医師及び患者は図15に示す予測活動レベルに基づいて手術を受ける決定を一緒に行うことができる。例えば神経根障害の手術(例えば1レベル腰椎椎間板切除術)をまだ受けていない患者は、自らの活動レベル及びORBITメトリクが術後的に予測され、その予測を使用して手術の判断が導かれる。MLAを使用し、患者の術後の身体レベルが正確に予測される。MLAは、ベースライン患者特性(年齢、性別、BMI、医学的状態、骨密度等)の入力、及び既に手術を受けている患者からの術前及び術後の身体活動データの過去の例を使用して訓練される。MLAを使用し、外科医は同様のベースライン既往歴及びベースライン活動レベルを有する何千人もの患者に基づき、1レベル腰椎椎間板切除術を受けた後の術後経過を40歳の女性に信頼性をもって知らせることができる。手術が低侵襲法によって行われようと開腹法によって行われようと、外科的手法もMLAの形成に織り込まれ、従って患者も医者も最適な外科的介入を選ぶことができる。
【0083】
患者データの術前解析を行うためのルーチンの例
[0100] 図16は、本開示の態様による、患者データの術前解析を行うための例示的なルーチン1600を示す。ルーチン1600は、例えばデータ解析サービス130及び/又は報告生成サービス150、又は本明細書に記載の医学的介入解析システム106の1つ又は複数の他のコンポーネントによって実行され得る。便宜上、ルーチン1600のステップの一部又は全てがシステム106によって実行されるものとして記載されている。例えばシステム106は、1つ又は複数のハードウェア計算装置と、1つ又は複数のハードウェア計算装置によって実行されるとき、ルーチン1600のステップを1つ又は複数のハードウェア計算装置に行わせる命令を記憶する非一時的物理コンピュータストレージとを含み得る。
【0084】
[0101] ルーチン1600はブロック1602から始まり、ブロック1602でシステム106は第1の患者を解析するための要求を受信する。
【0085】
[0102] ブロック1604で、システム106は、第1の患者に関連する生物学的特徴データ及び第1の手術の種類(例えば第1の患者について検討されている手術の種類)に基づき、(例えば図3に示すように)過去に解析された患者の解析データを取得する。
【0086】
[0103] ブロック1606で、システム106は第1の手術の種類の第1の手術の予測効果スコアを決定する。
【0087】
[0104] ブロック1608で、システム106は術後回復の予測パターンを決定する。
【0088】
[0105] ブロック1610で、システム106は予測効果及び術後回復の予測パターンに基づいて報告を出力する。例えば報告は、予測効果を示すユーザインタフェース要素及び術後回復の予測パターンを示す別のユーザインタフェース要素を含むユーザインタフェース形式で、モバイルアプリケーション又はブラウザアプリケーションによってユーザ計算装置102に提示され得る。これでルーチン1600は終了し得る。
【0089】
[0106] この説明の範囲から逸脱することなしに、ルーチン1600は図16に示すよりも少ない、多い、又はそれと異なるブロックを含むことができ、及び/又は図16に示す1つ若しくは複数のブロックは修正され、省略され、又は交換され得る。更に、本開示に記載する機能の一部又は全てが、本明細書で開示する医学的介入解析システム106及び/又はユーザ計算装置102の1つ又は複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアによって具体化され得ることが当業者及び他者によって理解されよう。
【0090】
視覚的に区別された時間窓を出力するためのルーチンの例
[0107] 図17は、本開示の態様による、視覚的に区別された時間窓を出力するための例示的なルーチン1700を示す。ルーチン1700は、例えばデータ解析サービス130及び/又は報告生成サービス150、又は本明細書に記載の医学的介入解析システム106の1つ又は複数の他のコンポーネントによって実行され得る。便宜上、ルーチン1700のステップの一部又は全てがシステム106によって実行されるものとして記載されている。例えばシステム106は、1つ又は複数のハードウェア計算装置と、1つ又は複数のハードウェア計算装置によって実行されるとき、ルーチン1700のステップを1つ又は複数のハードウェア計算装置に行わせる命令を記憶する非一時的物理コンピュータストレージとを含み得る。
【0091】
[0108] ルーチン1700はブロック1702から始まり、ブロック1702でシステム106は第1の患者を解析するための要求を受信する。
【0092】
[0109] ブロック1704で、システム106は第1の患者に関連する活動データを取得する。
【0093】
[0110] ブロック1706で、システム106が第1の患者に関連する手術日を取得する。
【0094】
[0111] ブロック1708で、システム106は第1の患者に関連する活動データを手術日に対してグラフ化する。例えば、手術日に先行する活動データの一部をグラフの左側に(例えば手術日を示す位置の左側に)プロットすることができ、手術日の後に続く活動データの残りの部分をグラフの右側に(例えば手術日を示す位置の右側に)プロットすることができる。
【0095】
[0112] ブロック1710で、システム106は、第1の患者のための1つ又は複数の術前時間窓及び1つ又は複数の術後時間窓を活動データに基づいて識別する。時間窓を識別するための技法は、図18に関して以下でより詳細に記載する。
【0096】
[0113] ブロック1712で、システム106は様々な時間窓の中の活動を視覚的に区別するグラフィカルインジケータを出力する。例えば異なる時間窓に対応するグラフ(又はプロットされたデータ点)の各区分は、異なる色(又は異なる陰影付け、太さ、実線/破線等)であり得る。これでルーチン1700は終了し得る。
【0097】
[0114] この説明の範囲から逸脱することなしに、ルーチン1700は図17に示すよりも少ない、多い、又はそれと異なるブロックを含むことができ、及び/又は図17に示す1つ若しくは複数のブロックは修正され、省略され、又は交換され得る。更に、本開示に記載する機能の一部又は全てが、本明細書で開示する医学的介入解析システム106及び/又はユーザ計算装置102の1つ又は複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアによって具体化され得ることが当業者及び他者によって理解されよう。
【0098】
患者活動データに基づいて時間窓を識別するためのルーチンの例
[0115] 図18は、本開示の態様による、患者活動データに基づいて時間窓を識別するための例示的なルーチン1800を示す。ルーチン1800は、例えばデータ解析サービス130及び/又は報告生成サービス150、又は本明細書に記載の医学的介入解析システム106の1つ又は複数の他のコンポーネントによって実行され得る。便宜上、ルーチン1800のステップの一部又は全てがシステム106によって実行されるものとして記載されている。例えばシステム106は、1つ又は複数のハードウェア計算装置と、1つ又は複数のハードウェア計算装置によって実行されるとき、ルーチン1800のステップを1つ又は複数のハードウェア計算装置に行わせる命令を記憶する非一時的物理コンピュータストレージとを含み得る。
【0099】
[0116] ルーチン1800はブロック1802から始まり、ブロック1802でシステム106は、患者の活動データ及び患者が受けた手術に関連する日にちを受信する。
【0100】
[0117] ブロック1804で、システム106は活動データの術前部分内で急な減少が検出されるかどうかを判定する。例えば急な減少は、活動(例えば歩数又は本明細書に記載の別の値)が閾値期間(例えば10日間)にわたって少なくとも閾値最低レベル(例えばzスコアで正規化された歩数における-0.5)に達しながら閾値平均レベル(例えばzスコアで正規化された歩数におけるゼロ)未満に留まるかどうかを判定することによって検出され得る。別の例では、急な減少を検出するためにこれらの基準(閾値平均レベル、閾値期間、及び/又は閾値最低レベル)の任意の組み合わせが使用され得る。
【0101】
[0118] 急な減少が検出されないとシステム106が判定する場合、ルーチン1800はブロック1806に進み、ブロック1806でシステム106は活動データの術前部分の全てについて単一の時間窓(「術前ベースライン」期間)を識別する。さもなければルーチン1800はブロック1808に進む。
【0102】
[0119] ブロック1808で、システム106は、急な減少よりも前の全ての術前活動を含む1つの術前時間窓(「術前ベースライン」期間)、及び識別された術前時間窓と手術日との間の全ての術前活動を含む別の術前時間窓(「急な減少」期間)を識別する。
【0103】
[0120] ブロック1810で、システム106は活動データの術後部分において回復が検出されるかどうかを判定する。例えば回復は、活動(例えば歩数又は本明細書に記載の別の値)が閾値期間(例えば10日間)にわたって少なくとも閾値最大レベル(例えばzスコアで正規化された歩数における0.25)に達しながら閾値平均レベル(例えばzスコアで正規化された歩数における-0.25)を上回るかどうかを判定することによって検出され得る。別の例では、回復を検出するためにこれらの基準(閾値平均レベル、閾値期間、及び/又は閾値最大レベル)の任意の組み合わせが使用され得る。
【0104】
[0121] 回復が検出されないとシステム106が判定する場合、ルーチン1800はブロック1812に進み、ブロック1812でシステム106は活動データの術後部分の全てについて単一の時間窓(「術後回復」期間)を識別する。さもなければルーチン1800はブロック1814に進む。
【0105】
[0122] ブロック1814で、システム106は、手術日と検出された回復との間の全ての術後活動を含む1つの術後時間窓(「術後回復」期間)、及び識別された術後時間窓の後の全ての術後活動を含む別の術前時間窓(「回復」期間)を識別する。
【0106】
[0123] ブロック1816で、システム106は識別した時間窓に基づいて手術効果スコアを出力する。例えば手術効果スコアは、「回復」期間内の平均歩数を「急な減少」期間内の平均歩数で割ることによって計算され得る。別の例として、手術効果スコアは、(例えば「回復」期間が識別されない場合)「術後回復」期間内の平均歩数を(例えば「急な減少」期間が識別されない場合)「術前ベースライン」期間内の平均歩数で割ることによって計算され得る。これでルーチン1800は終了し得る。
【0107】
[0124] この説明の範囲から逸脱することなしに、ルーチン1800は図18に示すよりも少ない、多い、又はそれと異なるブロックを含むことができ、及び/又は図18に示す1つ若しくは複数のブロックは修正され、省略され、又は交換され得る。例えば図18には示していないが、システム106は、検出済みの回復後に別の急な減少を(例えば上記の技法を使用して)検出することに応答し、「回復」期間の後の別の時間窓を識別することができる。識別される時間窓は、検出された術後の急な減少及び術後の急な減少後の活動データを含み得る。更に、本開示に記載する機能の一部又は全てが、本明細書で開示する医学的介入解析システム106及び/又はユーザ計算装置102の1つ又は複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアによって具体化され得ることが当業者及び他者によって理解されよう。
【0108】
時間窓の比較
[0125] システム106は、どの手術又は医療装置がE3を短縮するのかを決定するために様々な手術(又は外科医、医療装置、装置の製造会社、手術の長さ、時刻、既往歴、患者の生物学的特徴等、手術に関連する他の任意のパラメータ)に関するE3の長さを比較することができる。かかる決定は報告に含まれ得る。
【0109】
[0126] システム106は、様々な手術(又は外科医、医療装置、装置の製造会社、手術の長さ、時刻、既往歴、患者の生物学的特徴等、手術に関連する他の任意のパラメータ)に関するE4の振幅を比較し、どの手術又は医療装置がより高いE4をもたらすのかを決定し得る。かかる決定は報告に含まれ得る。
【0110】
[0127] システム106は、どの手術又は医療装置がより優れた効果をもたらすのかを決定するために様々な手術(又は外科医、医療装置、装置の製造会社、手術の長さ、時刻、既往歴、患者の生物学的特徴等、手術に関連する他の任意のパラメータ)に関する効果を比較することができる(例えばE4又はE3割るE2又はE1)。かかる決定は報告に含まれ得る。
【0111】
計算システムのアーキテクチャの例
[0128] 図19は、本明細書に記載の又は図1図18に示す技法の1つ又は複数を実行するために使用可能な計算システム1900のアーキテクチャの例を示す。図19に示す計算システム1900の全般的なアーキテクチャは、本開示の1つ又は複数の態様を実装するために使用され得るコンピュータハードウェア及びソフトウェアモジュールの構成を含む。計算システム1900は、図19に示すよりも更に多くの(又は少ない)要素を含み得る。但し、権限を付与する開示を提供するためにこれらの要素の全てが図示される必要はない。例えば計算システム1900は、データ解析サービス130、報告生成サービス150、及び/又はユーザ計算装置102を含む本明細書に記載の要素の1つ又は複数を実装するために使用され得る。
【0112】
[0129] 図示のように、計算システム1900はプロセッサ190、ネットワークインタフェース192、及びコンピュータ可読媒体194を含み、その全ては通信バスによって互いに通信することができる。ネットワークインタフェース192は、1つ又は複数のネットワーク又は計算システムへの接続性を与えることができる。従ってプロセッサ190は、図1に示すネットワーク104を介して他の計算システム又はサービスから情報及び命令を受信し得る。
【0113】
[0130] プロセッサ190は、メモリ180とも通信することができる。メモリ180は、本開示の1つ又は複数の態様を実装するためにプロセッサ190が実行する(一部の実施形態ではモジュールとしてグループ化される)コンピュータプログラム命令を含み得る。メモリ180はRAM、ROM、及び/又は他の永続的、補助的、若しくは非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。メモリ180は、計算システム1900の全般的な管理及び動作においてプロセッサ190によって使用するためのコンピュータプログラム命令を提供するオペレーティングシステム182を記憶し得る。メモリ180は、本開示の1つ又は複数の態様を実装するためのコンピュータプログラム命令及び他の情報を更に含み得る。例えば一実施形態では、ユーザ計算装置上にインストールされたブラウザ又はアプリケーション等のナビゲーション及び/又はブラウジングインタフェースによってユーザ計算装置(例えば図1のユーザ計算装置102)上で表示するためのユーザインタフェース(及び/又はそのための命令)を生成するユーザインタフェースモジュール184をメモリ180が含む。加えてメモリ180は、1つ又は複数のデータストアを含む又はかかるデータストアと通信することができる。
【0114】
[0131] ユーザインタフェースモジュール184に加えて及び/又はユーザインタフェースモジュール184と組み合わせて、メモリ180は、プロセッサ190によって実行され得るデータ解析モジュール186及び報告生成モジュール188を含み得る。一実施形態では、データ解析モジュール186及び報告生成モジュール188が、例えば図1図18に示す又は図1図18に関して説明する本開示の様々な態様を集合的に実装する。
【0115】
[0132] 図19の例では単一のプロセッサ、単一のネットワークインタフェース、単一のコンピュータ可読媒体、及び単一のメモリを示すが、他の実装形態では計算システム1900はそれらのコンポーネントのうちの1つ又は複数を複数(例えば2つ以上のプロセッサ及び/又は2つ以上のメモリ)有し得る。
【0116】
手術及び他の種類の介入
[0133] 本明細書に記載の一部の実施形態では手術を例として使用するが、本開示に記載の技法は手術に限定されず、他の実施形態では他の任意の種類の治療、処置、又は介入に適用され得る。
【0117】
処理される活動データ
[0134] 処理される活動データ(例えば歩数、歩幅、カロリー数、上った階数等)は一部の実施形態では患者のスマートフォンによって(例えばスマートフォン上にインストールされたモバイルアプリケーションによって)生成され、システム106に提供されるものとして記載するが、他の実施形態では、そのような処理される活動データは患者のスマートフォンによって捕捉される生データ(例えば加速度計データ、ジャイロスコープデータ、磁気計データ等、又はその任意の組み合わせ)に基づいてシステム106又は別のサーバによって生成され得る。
【0118】
患者特徴に固有の及び介入に固有のやり方で解析データを取得し視覚化すること
[0135] 所与の患者に関連する情報に基づき、システム106は過去に生成された解析データをフィルタし、患者に提示するための1組の別の解析データを生成することができる。例えばシステム106は患者が女性であり、50歳~60歳の年齢群に属し、脊椎手術を検討していることを突き止めることができる。それに応答し、システム106は女性、50歳~60歳の年齢群、及び脊椎手術に関する解析データをフィルタすることができ、フィルタ済み解析データは脊椎手術を受けたその年齢群の中の他の女性患者が術前及び術後にどのように機能を発揮したのかを示す。このフィルタ済みデータを使用し、システム106は患者のための解析データを新たに生成することができる。この新たに生成される解析データは、(例えばその年齢群の中の他の女性患者の効果スコアを平均することによる)1つ又は複数の種類の脊椎手術に関連する効果スコア、及び医学的介入ごとの個々の予測回復パターン(例えば可動レベル)を含み得る。患者及び/又はユーザの代わりに医学的介入の選択肢を評価する別のユーザに提示するために、新たに生成される解析データに基づいて視覚的報告を生成することができる。この例では性別及び年齢群だけを使用したが、過去に生成された解析データをフィルタする際に及び/又は患者のための新たな解析データを生成する際に任意の数の患者特徴が使用され得る。更に、この例は新たな患者のための解析データを提供するために使用するが、他の実施形態ではアウトカムに影響を及ぼす可能性がある他の様々な基準(例えば医者、医学的介入日、使用される医療装置、医療装置の製造会社、医学的介入の持続時間、侵襲度、医学的介入の時刻等)の効果スコア及び/又は患者特徴の他の任意の組み合わせを比較するために同様の技法が使用され得る。例えば、複数の医者、複数の医療装置、複数の医療装置の製造会社、複数の医学的介入の持続時間、複数の侵襲度、及び/又は複数の医学的介入の時刻を比較する報告を生成し、ユーザに提示することができる。
【0119】
実装例(EI)
[0136] この節では幾つかの列挙する実装例(EI)を制限なしに提供する。
【0120】
[0137] EI1:患者及び手術に関係する解析を提供するためのシステムであって、1人又は複数の患者に関連する解析データを記憶するデータリポジトリと、コンピュータハードウェアを含むデータ解析サービスとを含み、データ解析サービスは、複数の患者を解析するための第1の要求を受信することであって、第1の要求は(i)複数の患者に関連する生物学的特徴データ、(ii)複数の患者に関連する複数の個々のユーザ計算装置によって生成される歩数データ、及び(iii)複数の患者に関連する手術データを含む、受信すること、及び複数の患者の個々の患者ごとに、個々の患者に関連する歩数データに少なくとも部分的に基づいて1組の時間窓を識別すること、個々の患者に関連する手術日よりも前の第1の時間窓及び手術日の後の第2の時間窓を1組の時間窓から選択すること、第1の時間窓に関連する第1の歩数データと第2の時間窓に関連する第2の歩数データとを比較することに少なくとも部分的に基づいて手術効果スコアを生成すること、及び個々の患者に関連する手術効果スコアが生物学的特徴に固有の及び手術の固有のやり方で取得可能であるように、手術効果スコアを(a)個々の患者に関連する生物学的特徴データの少なくとも一部及び(b)個々の患者に関連する手術データの少なくとも一部に関連して記憶することを少なくとも行うように構成され、データ解析サービスは、複数の患者内に含まれない第1の患者を解析するための第2の要求を受信することであって、第2の要求は(i)第1の患者に関連する第1の生物学的特徴データ、(ii)第1の患者に関連する第1の歩数データ、及び(iii)第1の手術の種類を含む、受信すること、第1の生物学的特徴データ及び第1の手術の種類に少なくとも部分的に基づいて第1の解析データをデータリポジトリから取得することであって、第1の解析データは第1の生物学的特徴データ及び第1の手術の種類の少なくとも一部に対応するデータリポジトリ内に記憶される解析データの部分集合である、取得すること、第1の患者に関連する第1の解析データ及び第1の歩数データに少なくとも部分的に基づいて(a)第1の患者に対して第1の手術の種類の第1の手術を行うことに関連する予測手術効果スコア、及び(b)第1の患者に対して第1の手術を行うことに関連する術後回復の予測パターンを決定すること、及び第1の患者に関連する報告を出力することであって、報告は少なくとも予測手術効果スコア及び予測回復パターンを示す、出力することを行うように更に構成される、システム。
【0121】
[0138] EI2:手術効果スコアが、第2の時間窓にわたる第2の歩数データの第1の平均値を第1の時間窓にわたる第1の歩数データの第2の平均値で割ることによって計算される、EI1に記載のシステム。
【0122】
[0139] EI3:術後回復の予測パターンが、第1の患者の1組の同じ生物学的特徴を共有する複数の患者の部分集合の歩数データの術後部分を集約することによって決定される、EI1に記載のシステム。
【0123】
[0140] EI4:データ解析サービスが、第1の手術を含む複数の手術のそれぞれについて予測手術効果スコアを決定すること、並びに(i)第1の手術に関連する予測手術効果スコアが複数の手術のうちで最高であること、及び(ii)第1の手術が第1の患者に関する少なくとも閾値レベルの可動度の改善をもたらすことが予測されることを第1の手術に関連する予測手術効果スコアが示すことに少なくとも部分的に基づいて第1の手術に関する推奨を出力することを行うように更に構成される、EI1に記載のシステム。
【0124】
[0141] EI5:歩数データが、複数の患者の所与の患者について、所与の患者に関連するスマートフォンの1つ又は複数のセンサによって捕捉されるセンサデータに基づいて所与の患者が歩くことが推定される歩数を含み、1つ又は複数のセンサは加速度計、ジャイロスコープ、全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、磁気計、又は気圧計のうちの1つ又は複数を含む、EI1に記載のシステム。
【0125】
[0142] EI6:歩数データが複数の患者に関連する複数の個々のユーザ計算装置のそれぞれにインストールされたモバイルアプリケーションによって収集され、データ解析サービスによってアクセス可能なデータリポジトリに伝送される、EI1に記載のシステム。
【0126】
[0143] EI7:データ解析サービスが、第1の手術を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する複数の患者の第1の患者の部分集合に対応する解析データの第1の部分集合を識別し、第1の手術を受け、第1の1組の生物学的特徴と異なる第2の1組の生物学的特徴に関連する複数の患者の第2の患者の部分集合に対応する解析データの第2の部分集合を識別し、(i)第1の1組の生物学的特徴に関連する第1の患者の部分集合に対する第1の手術に関連する第1の手術効果スコア、及び(ii)第2の1組の生物学的特徴に関連する第2の患者の部分集合に対する第1の手術に関連する第2の手術効果スコアを含む集約報告を出力するように更に構成される、EI1に記載のシステム。
【0127】
[0144] EI8:データ解析サービスが、第1の手術を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する複数の患者の第1の患者の部分集合に対応する解析データの第1の部分集合を識別し、第1の手術と異なる第2の手術を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する複数の患者の第2の患者の部分集合に対応する解析データの第2の部分集合を識別し、(i)第1の1組の生物学的特徴に関連する第1の患者の部分集合に対する第1の手術に関連する第1の手術効果スコア、及び(ii)第1の1組の生物学的特徴に関連する第1の患者の部分集合に対する第2の手術に関連する第2の手術効果スコアを含む集約報告を出力するように更に構成される、EI1に記載のシステム。
【0128】
[0145] EI9:患者及び医学的介入に関係する解析を提供するためのコンピュータによって実装される方法であって、複数の患者を解析するための第1の要求を受信することであって、第1の要求は(i)複数の患者に関連する生物学的特徴データ、(ii)複数の患者に関連する活動データ、及び(iii)複数の患者に関連する医学的介入データを含む、受信すること、複数の患者の個々の患者ごとに、個々の患者に関連する活動データに少なくとも部分的に基づいて1組の時間窓を識別することであって、1組の時間窓は(i)個々の患者に関連する医学的介入日よりも前の第1の時間窓及び(ii)医学的介入日の後の第2の時間窓を少なくとも含む、識別すること、第1の時間窓に関連する第1の活動データと第2の時間窓に関連する第2の活動データとを比較することに少なくとも部分的に基づいて医学的介入効果スコアを含む解析データを生成すること、及び解析データを(a)個々の患者に関連する生物学的特徴データの少なくとも一部及び(b)個々の患者に関連する医学的介入データの少なくとも一部に関連して記憶すること、第1の患者を解析するための第2の要求を受信することであって、第2の要求は(i)第1の患者に関連する第1の生物学的特徴データ、(ii)第1の患者に関連する第1の活動データ、及び(iii)第1の医学的介入データを含む、受信すること、第1の生物学的特徴データ及び第1の医学的介入データに少なくとも部分的に基づいて第1の解析データを取得することであって、第1の解析データは第1の生物学的特徴データ及び第1の医学的介入データの少なくとも一部に対応する複数の患者に関連する活動データに基づいて生成される解析データの部分集合である、取得すること、第1の患者に関連する第1の解析データ及び第1の活動データに少なくとも部分的に基づいて(a)第1の患者に対して第1の医学的介入データに関連する第1の医学的介入を行うことに関連する予測医学的介入効果スコア、及び(b)第1の患者に対して第1の医学的介入を行うことに関連する介入後回復の予測パターンを決定すること、及び第1の患者に関連する報告を出力することであって、報告は少なくとも予測医学的介入効果スコア及び予測回復パターンを示す、出力することを含む、コンピュータによって実装される方法。
【0129】
[0146] EI10:活動データが歩数、歩幅、移動距離、又は上った階数のうちの1つ又は複数を含む、EI9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【0130】
[0147] EI11:医学的介入データが、医者、医学的介入日、使用される医療装置、医療装置の製造会社、医学的介入の持続時間、又は医学的介入の時刻のうちの1つ又は複数を含む、EI9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【0131】
[0148] EI12:医学的介入効果スコアが、第2の時間窓にわたる第2の活動データの第1の平均値を第1の時間窓にわたる第1の活動データの第2の平均値で割ることによって計算される、EI9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【0132】
[0149] EI13:介入後の回復の予測パターンが、第1の患者の1組の同じ生物学的特徴を共有する複数の患者の部分集合の活動データの術後部分を集約することによって決定される、EI9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【0133】
[0150] EI14:第1の医学的介入データに関連する複数の医学的介入のそれぞれに関する予測医学的介入効果スコアを決定することであって、複数の医学的介入は第1の医学的介入を含む、決定すること、並びに(i)第1の医学的介入に関連する予測医学的介入効果スコアが複数の医学的介入のうちで最高であること、及び(ii)第1の医学的介入が第1の患者に関する少なくとも閾値レベルの可動度の改善をもたらすことが予測されることを第1の医学的介入に関連する予測医学的介入効果スコアが示すことに少なくとも部分的に基づいて第1の医学的介入に関する推奨を出力することを更に含む、EI9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【0134】
[0151] EI15:第1の医学的介入を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する複数の患者の第1の患者の部分集合に対応する解析データの第1の部分集合を識別すること、第1の医学的介入と異なる第2の医学的介入を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する複数の患者の第2の患者の部分集合に対応する解析データの第2の部分集合を識別すること、及び(i)第1の1組の生物学的特徴に関連する第1の患者の部分集合に対する第1の医学的介入に関連する第1の医学的介入効果スコア、及び(ii)第1の1組の生物学的特徴に関連する第1の患者の部分集合に対する第2の医学的介入に関連する第2の医学的介入効果スコアを含む集約報告を出力することを更に含む、EI9に記載のコンピュータによって実装される方法。
【0135】
[0152] EI16:計算システムによって実行されるとき、複数の患者を解析するための第1の要求を受信することであって、第1の要求は(i)複数の患者に関連する生物学的特徴データ、(ii)複数の患者に関連する活動データ、及び(iii)複数の患者に関連する医学的介入データを含む、受信すること、複数の患者の個々の患者ごとに、個々の患者に関連する活動データに少なくとも部分的に基づいて1組の時間窓を識別することであって、1組の時間窓は(i)個々の患者に関連する医学的介入日よりも前の第1の時間窓及び(ii)医学的介入日の後の第2の時間窓を少なくとも含む、識別すること、第1の時間窓に関連する第1の活動データと第2の時間窓に関連する第2の活動データとを比較することに少なくとも部分的に基づいて医学的介入効果スコアを含む解析データを生成すること、解析データを(a)個々の患者に関連する生物学的特徴データの少なくとも一部及び(b)個々の患者に関連する医学的介入データの少なくとも一部に関連して記憶すること、第1の患者を解析するための第2の要求を受信することであって、第2の要求は(i)第1の患者に関連する第1の生物学的特徴データ、(ii)第1の患者に関連する第1の活動データ、及び(iii)第1の医学的介入データを含む、受信すること、第1の生物学的特徴データ及び第1の医学的介入データに少なくとも部分的に基づいて第1の解析データを取得することであって、第1の解析データは第1の生物学的特徴データ及び第1の医学的介入データの少なくとも一部に対応する複数の患者に関連する活動データに基づいて生成される解析データの部分集合である、取得すること、第1の患者に関連する第1の解析データ及び第1の活動データに少なくとも部分的に基づいて(a)第1の患者に対して第1の医学的介入データに関連する第1の医学的介入を行うことに関連する予測医学的介入効果スコア、及び(b)第1の患者に対して第1の医学的介入を行うことに関連する介入後回復の予測パターンを決定すること、及び第1の患者に関連する報告を出力することであって、報告は少なくとも予測医学的介入効果スコア及び予測回復パターンを示す、出力することを含む操作を計算システムに行わせる命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0136】
[0153] EI17:医学的介入効果スコアは、第2の時間窓にわたる第2の活動データの第1の平均値を第1の時間窓にわたる第1の活動データの第2の平均値で割ることによって計算される、EI16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0137】
[0154] EI18:介入後の回復の予測パターンは、第1の患者の1組の同じ生物学的特徴を共有する複数の患者の部分集合の活動データの術後部分を集約することによって決定される、EI16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0138】
[0155] EI19:計算システムによって実行されるとき、第1の医学的介入データに関連する複数の医学的介入のそれぞれに関する予測医学的介入効果スコアを決定することであって、複数の医学的介入は第1の医学的介入を含む、決定すること、並びに(i)第1の医学的介入に関連する予測医学的介入効果スコアが複数の医学的介入のうちで最高であること、及び(ii)第1の医学的介入が第1の患者に関する少なくとも閾値レベルの可動度の改善をもたらすことが予測されることを第1の医学的介入に関連する予測医学的介入効果スコアが示すことに少なくとも部分的に基づいて第1の医学的介入に関する推奨を出力することを含む操作を計算システムに行わせる更なる命令を記憶する、EI16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0139】
[0156] EI20:計算システムによって実行されるとき、第1の医学的介入を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する複数の患者の第1の患者の部分集合に対応する解析データの第1の部分集合を識別すること、第1の医学的介入と異なる第2の医学的介入を受け、第1の1組の生物学的特徴に関連する複数の患者の第2の患者の部分集合に対応する解析データの第2の部分集合を識別すること、及び(i)第1の1組の生物学的特徴に関連する第1の患者の部分集合に対する第1の医学的介入に関連する第1の医学的介入効果スコア、及び(ii)第1の1組の生物学的特徴に関連する第1の患者の部分集合に対する第2の医学的介入に関連する第2の医学的介入効果スコアを含む集約報告を出力することを含む操作を計算システムに行わせる更なる命令を記憶する、EI16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0140】
[0157] EI21:個人健康情報(PHI)の自動化された識別解除及び各患者への一意識別子の割り当てを含む、セキュリティ保護され暗号化されたHIPAA準拠ネットワークにスマートフォンからデータを捕捉し転送するための新規のシステム及び方法。かかるシステム及び方法はPHIが保護されるようにデータセキュリティを確実にし、たとえ侵害されても、ハッカーは我々のデータベース内で病歴データを個々の患者に元通り一致させることができず、継続的なデータ収集及び処理は多数の患者のための編成されたデータ視覚化を可能にする。データベースは絶えず更新されるだけでなく、新たな患者が登録しモバイルアプリケーションをダウンロードする。
【0141】
[0158] EI22:ユーザの身体機能に基づくORBIT点数システムであって、-15から25に及び、高いスコアはより高レベルの身体活動を表し、時間及び勾配という2つの成分を有する加重点数システムである、ORBIT点数システム。時間的等級は手術からベースライン身体活動レベルを超えるための時間に基づき、勾配はベースライン活動レベルと比較した身体活動レベルの増加量又は減少量に基づいて等級付けされ、ORBITは各装置のアルゴリズム(Apple iPhone)を使用して絶えず収集され記憶されているスマートフォンの加速度計データから計算される新規のスコアであり、身体活動データが参加者のセルラ装置からインポートされた後、5つのパラメータ(SPD、DPD、ACB、SM、FC)が収集され、日間平均、週平均、及び月平均に編成される。これらのデータに基づき、ORBITスコアが患者ごとに計算され、収束又は乖離を判定するために従来のPROM(ODI、NDI、PROMIS)と比較され、患者が調査票に記入する単一の時点において計算されるPROMとは対照的にORBITは時間的に継続的な変数を表し、従って手術からの患者の回復中の改善又は悪化を早期に検出することを可能にし、そのことは患者又は治療を行う医師に警告し、緊密な観察又は追跡をトリガすることができ、本開示は外科的介入による患者の進捗のリアルタイムの、継続的に更新される、客観的な、高信頼の、正確な、及び一貫した評価を可能にし、そのため客観的なアウトカム尺度を得るためのこの方法は、医療保障/医療扶助/民間保険会社のための価値に応じた費用償還モデルに向けた、及び従来の個別支払いモデルから離れる根本的なパラダイムシフトを引き起こし得る。
【0142】
[0159] EI23:履歴的な活動データ、人口統計、及び関連する病歴に基づいてユーザの将来の活動レベルを予測することができる教師付き機械学習アルゴリズム(MLA)であって、MLAは手術をまだ受けていない患者の将来のアウトカムを予測するために臨床変数及び関連する病歴を入力することによって訓練することができ、MLAは術前のベースライン身体活動レベル、年齢、性別、BMI、病歴等のベースライン人口統計、手術の種類、及び手術の侵襲度に基づいて患者の将来の身体活動レベル(SPD、DPD、ACB、SM、FC)を計算し、予測されるSPD、DPD、ACB、SM、FCに基づき、様々な種類の手術(例えば顕微鏡視下椎間板ヘルニア摘出術、固定手術、開腹対低侵襲脊椎手術)に基づいて予測ORBITが患者ごとに計算され、それらの予測に基づき臨床医及び患者はどの種類の手術が各患者に最も適しているのかを判断することができる。
【0143】
用語
[0160] 本明細書に記載した方法及びタスクの全てはコンピュータシステムによって実行され、完全に自動化され得る。コンピュータシステムは、一部の事例では記載した機能を実行するためにネットワーク上で通信し相互運用する複数の別個のコンピュータ又は計算装置(例えば物理サーバ、ワークステーション、ストレージアレイ、クラウドコンピューティング資源等)を含み得る。そのような各計算装置は、メモリ又は他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体若しくは装置(例えばソリッドステート記憶装置、ディスクドライブ等)の中に記憶されるプログラム命令又はモジュールを実行するプロセッサ(又は複数のプロセッサ)を典型的には含む。本明細書で開示した様々な機能はかかるプログラム命令によって具体化することができ、又はコンピュータシステムの特定用途向け回路(例えばASIC又はFPGA)内に実装され得る。コンピュータシステムが複数の計算装置を含む場合、それらの装置は必須ではないが同じ場所に配置され得る。開示した方法及びタスクの結果は、ソリッドステートメモリチップ又は磁気ディスク等の物理記憶装置を異なる状態に変換することによって永続的に記憶することができる。一部の実施形態では、コンピュータシステムは、複数の異なる企業体又は他のユーザによってその処理資源が共用されるクラウドベース計算システムでもよい。
【0144】
[0161] 本明細書に記載した又は図面で示した本開示のプロセスは、所定の又は動的に決定されるスケジュール等のイベントに応答して、ユーザ又はシステム管理者によって開始されるときオンデマンドで、又は他の何らかのイベントに応答して開始し得る。かかるプロセスが開始されると、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体(例えばハードドライブ、フラッシュメモリ、リムーバブルメディア等)の上に記憶される1組の実行可能プログラム命令が、サーバ又は他の計算装置のメモリ(例えばRAM)内にロードされ得る。その後、実行可能命令は計算装置のハードウェアベースのコンピュータプロセッサによって実行され得る。一部の実施形態では、かかるプロセス又はその一部が複数の計算装置及び/又は複数のプロセッサ上で逐次的に又は並列に実装され得る。
【0145】
[0162] 実施形態にもよるが、本明細書に記載したプロセス又はアルゴリズムの何れかの特定の行為、イベント、又は機能は異なる順序で実行することができ、全体的に追加し、マージし、又は省くことができる(例えばアルゴリズムを実践するのに記載した全ての操作又はイベントが必要なわけではない)。更に特定の実施形態では、例えばマルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサ若しくはプロセッサコアによって、又は他の並列アーキテクチャ上で操作又はイベントを逐次的ではなく同時に実行することができる。
【0146】
[0163] 本明細書で開示した実施形態に関して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、ルーチン、及びアルゴリズムのステップは、電子ハードウェア(例えばASIC又はFPGA装置)、コンピュータハードウェア上で実行されるコンピュータソフトウェア、又はその両方の組み合わせとして実装することができる。更に、本明細書で開示した実施形態に関して説明した様々な例示的な論理ブロック及びモジュールは、本明細書に記載した機能を実行するように設計されるプロセッサ装置、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、書換可能ゲートアレイ(「FPGA」)、又は他のプログラム可能論理装置、ディスクリートゲート若しくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又はその任意の組み合わせ等のマシンによって実装し又は実行することができる。プロセッサ装置はマイクロプロセッサとすることができるが、代替形態ではコントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械、それらのものの組み合わせ等とすることができる。プロセッサ装置は、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成される電気回路を含み得る。別の実施形態では、プロセッサ装置が、コンピュータ実行可能命令を処理することなしに論理演算を実行するFPGA又は他のプログラム可能装置を含む。プロセッサ装置は計算装置の組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連する1つ又は複数のマイクロプロセッサ、又はそのような他の任意の構成として実装することもできる。本明細書では主にデジタル技術に関して記載したが、プロセッサ装置は主にアナログのコンポーネントを含むこともできる。例えば本明細書に記載したレンダリング技法の一部又は全ては、アナログ回路又は混合型のアナログ及びデジタル回路によって実装され得る。計算環境は、これだけに限定されないが幾つか例を挙げるとマイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、携帯型計算装置、装置コントローラ、又は器具内の計算エンジンに基づくコンピュータシステムを含む任意の種類のコンピュータシステムを含み得る。
【0147】
[0164] 本明細書で開示した実施形態に関して説明した方法、プロセス、ルーチン、又はアルゴリズムの要素は、ハードウェア内に、プロセッサ装置によって実行されるソフトウェアモジュール内に、又はその2つの組み合わせの中に直接具体化することができる。ソフトウェアモジュールはRAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は他の任意の形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体の中にあり得る。例示的な記憶媒体はプロセッサ装置に結合することができ、そのためプロセッサ装置は記憶媒体との間で情報を読み書きすることができる。代替形態では、記憶媒体がプロセッサ装置と一体型であり得る。プロセッサ装置及び記憶媒体はASIC内にあり得る。ASICはユーザ端末内にあり得る。代替形態では、プロセッサ装置及び記憶媒体がユーザ端末内の個別コンポーネントとしてあり得る。
【0148】
[0165] 本明細書で使用するとりわけ「~できる(can)」、「~であり得る(might)」、「~とすることができる(may)」、「例えば(e.g,)」等の条件付き言語は、別段の定めがない限り或いは使用した文脈の範囲内で理解される限り、概して特定の実施形態が特定の特徴、要素、又はステップを含むが、他の実施形態はそれらを含まないことを伝えることを意図する。従ってかかる条件付き言語は概して、特徴、要素、又はステップが1つ又は複数の実施形態に形はどうあれ必要であること、又はこれらの特徴、要素、若しくはステップが或る特定の実施形態に含まれるかどうか又は或る特定の実施形態の中で実行されるべきかどうかを他の入力又はプロンプトの有無にかかわらず決定するための論理を1つ又は複数の実施形態が必ず含むことを含意することは意図しない。「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」等の用語は同義であり、制約のないやり方で包含的に使用され、追加の要素、特徴、行為、操作等を除外しない。更に「又は(or)」という語は(その排他的な意味ではなく)その包含的な意味で使用しており、そのため、例えば要素の一覧を接続するために使用する場合、「又は(or)」という語はその一覧内の要素の1つ、一部、又は全てを意味する。
【0149】
[0166] 「X、Y、又はZの少なくとも1つ」という句等の離接語は、別段の定めがない限りアイテム、条件等がX、Y、若しくはZであり得ること、又はその任意の組み合わせ(例えばX、Y、又はZ)であり得ることを示すために一般に使用される脈絡でさもなければ理解される。従ってかかる離接語は、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、又はZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを特定の実施形態が要求することを概して意図せず、含意するものとしない。
【0150】
[0167] 本明細書に記載した及び/又は添付図面に示した流れ図の中の任意のプロセスの記述、要素又はブロックは、プロセス内の特定の論理機能又は要素を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部を潜在的に表すものとして理解すべきである。当業者なら理解するように、関与する機能に応じて図示し又は解説したものから要素又は機能が削除され、ほぼ同時に実行すること又は逆順に実行することを含む異なる順序で実行され得る代替的実装形態が本明細書に記載した実施形態の範囲に含まれる。
【0151】
[0168] 別段の定めがない限り、「a」又は「an」等の冠詞は概して記載した1つ又は複数のアイテムを含むように解釈すべきである。従って「~するように構成される装置(a device configured to)」等の語句は、列挙される1つ又は複数の装置を含むことを意図する。列挙されるそのような1つ又は複数の装置は、述べた記述を実行するように集合的に構成することもできる。例えば「記述A、B、及びCを実行するように構成されるプロセッサ(a processor configured to carry out recitations A, B, and C)」は、記述B及びCを実行するように構成される第2のプロセッサと共に機能する、記述Aを実行するように構成される第1のプロセッサを含むことができる。
【0152】
[0169] 上記の詳細な説明は様々な実施形態に適用される新規の特徴を示し、説明し、指摘したが、本開示の範囲から逸脱することなしに、示した装置又はアルゴリズムの形式及び詳細において様々な省略、置換、及び変更を加えることができることが理解され得る。理解できるように、一部の特徴は他の特徴と別に使用し又は実践することができるので、本明細書に記載した特定の実施形態は本明細書に記載した特徴及び利点の全てを提供しない形式の範囲内で実施することができる。特許請求の範囲の等価物の意味及び範囲に含まれる全ての変更が、特許請求の範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】