(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】心電図検出デバイスおよび検出回路
(51)【国際特許分類】
A61B 5/308 20210101AFI20230628BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20230628BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20230628BHJP
【FI】
A61B5/308
A61B5/332
A61B5/256 220
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575818
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 CN2021099167
(87)【国際公開番号】W WO2021249435
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】202010538235.1
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ、デン
(72)【発明者】
【氏名】フ、イ
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ユミン
(72)【発明者】
【氏名】シ、イ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ハオ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127CC01
4C127EE01
4C127FF01
4C127FF02
4C127GG18
4C127KK03
4C127KK05
4C127LL13
(57)【要約】
ハウジング(10)が導電材料から作られ得る心電図検出デバイス(000)であり、心電図検出デバイス(000)は、ハウジング(10)に目標電位を提供するよう構成される電圧ホルダ回路(30)を含み得る。電圧ホルダ回路(30)によって提供される目標電位と、第3電極(P3)のために心電図検出回路(20)によって提供される基準電位との間の電位差は小さい。したがって、ECG検出プロセスにおいて、ユーザがハウジング(10)に偶発的に接触して、ハウジング(10)を第3電極(P3)に導通させた場合でも、ハウジング(10)と第3電極(P3)との間にリーク電流は生成されないか、または、ハウジング(10)と第3電極(P3)との間に小さいリーク電流が生成される。これにより、ECG信号への干渉を効率的に低減し、ECG検出の正確度を確実にできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図検出デバイスであって、前記心電図検出デバイスは、導電材料からできているハウジングと、前記ハウジングの中に配置された心電図検出回路および電圧ホルダ回路と、前記ハウジングの外に配置され前記ハウジングから絶縁された第1電極、第2電極および第3電極とを備え、
前記心電図検出回路は、前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極に別々に接続され、前記心電図検出回路は、前記第1電極および前記第2電極を使用することによって、心電図信号を収集し、前記第3電極に基準電位を提供するよう構成され、
前記電圧ホルダ回路は、前記ハウジングに接続され、前記ハウジングに目標電位を提供するよう構成され、前記目標電位と前記基準電位との間の電位差は差分閾値より小さい、
心電図検出デバイス。
【請求項2】
前記電圧ホルダ回路の出力端は、前記ハウジングに接続され、前記電圧ホルダ回路の入力端は、電位プロバイダに接続され、前記電圧ホルダ回路は、前記入力端の入力信号に基づいて前記出力端において前記目標電位を出力するよう構成される、請求項1に記載の心電図検出デバイス。
【請求項3】
前記電位プロバイダは前記第3電極、または前記第2電極、または前記第1電極、または電源出力端である、請求項2に記載の心電図検出デバイス。
【請求項4】
前記電位プロバイダは前記第3電極、または前記第2電極、または前記第1電極であり、前記電圧ホルダ回路は電圧フォロワ回路であり、
前記電圧フォロワ回路の出力端は前記電圧ホルダ回路の前記出力端として機能し、前記ハウジングに接続され、前記電圧フォロワ回路の入力端は、前記電圧ホルダ回路の入力端として機能し、前記電位プロバイダに接続され、前記電圧フォロワ回路は、前記ハウジングの電位が前記電位プロバイダの前記目標電位と実質的に一致するように制御するよう構成される、請求項3に記載の心電図検出デバイス。
【請求項5】
前記電圧フォロワ回路は第1演算増幅器を含み、
前記第1演算増幅器の同位相入力端は、前記電圧フォロワ回路の前記入力端として機能し、前記電位プロバイダに接続され、前記第1演算増幅器の出力端は前記電圧フォロワ回路の前記出力端として機能し、前記ハウジングおよび前記第1演算増幅器の逆位相入力端に別々に接続される、請求項4に記載の心電図検出デバイス。
【請求項6】
前記電位プロバイダは前記電源出力端であり、前記電圧ホルダ回路は電圧レギュレータ回路であり、
前記電圧レギュレータ回路の入力端は、前記電圧ホルダ回路の前記入力端として機能し、前記電源出力端に接続され、前記電圧レギュレータ回路の出力端は前記電圧ホルダ回路の前記出力端として機能し、前記ハウジングに接続され、前記電圧レギュレータ回路は、前記電源出力端の駆動下で前記ハウジングに前記目標電位を提供するよう構成される、請求項3に記載の心電図検出デバイス。
【請求項7】
前記電圧レギュレータ回路は低ドロップアウトレギュレータである、請求項6に記載の心電図検出デバイス。
【請求項8】
前記目標電位は前記基準電位に等しいか、または近い、請求項1から7のいずれか一項に記載の心電図検出デバイス。
【請求項9】
前記心電図検出デバイスはさらに、前記ハウジングと前記電圧ホルダ回路との間に直列に接続される抵抗器を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の心電図検出デバイス。
【請求項10】
前記心電図検出デバイスはさらに、前記抵抗器に並列に接続されるキャパシタを含む、請求項9に記載の心電図検出デバイス。
【請求項11】
前記心電図検出デバイスはさらに静電気放電回路を含み、
前記静電気放電回路の一端は前記ハウジングに接続され、他端は接地される、請求項1から10のいずれか一項に記載の心電図検出デバイス。
【請求項12】
前記静電気放電回路は過渡電圧サプレッサを含み、
前記過渡電圧サプレッサの一方の電極は前記ハウジングに接続され、前記過渡電圧サプレッサの他方の電極は接地される、請求項11に記載の心電図検出デバイス。
【請求項13】
前記心電図検出回路は検出サブ回路および右脚駆動サブ回路を含み、
前記検出サブ回路の第1入力端は前記第1電極に接続され、前記検出サブ回路の第2入力端は前記第2電極に接続され、前記検出サブ回路のコモンモード出力端は前記右脚駆動サブ回路の第1入力端に接続され、前記検出サブ回路は、心電図信号を収集し、前記第1入力端と前記第2入力端との間のコモンモード電圧を前記右脚駆動サブ回路に出力するよう構成され、
前記右脚駆動サブ回路の第2入力端は基準電源端に接続され、前記右脚駆動サブ回路の出力端は前記第3電極に接続され、前記右脚駆動サブ回路は、前記コモンモード電圧および前記基準電源端の駆動下で前記第3電極に基準電位を提供するよう構成され、
前記電位プロバイダは、前記第3電極、または前記第2電極、または前記第1電極、または前記コモンモード出力端である、請求項2から7のいずれか一項に記載の心電図検出デバイス。
【請求項14】
前記検出サブ回路は、計装増幅器、アナログ-デジタル変換器およびプロセッサを含み、前記右脚駆動サブ回路は第2演算増幅器を含み、
前記計装増幅器の逆位相入力端は、前記検出サブ回路の前記第1入力端として機能し、前記第1電極に接続され、前記計装増幅器の同位相入力端は、前記検出サブ回路の前記第2入力端として機能し、前記第2電極に接続され、前記計装増幅器のコモンモード出力端は、前記検出サブ回路の前記コモンモード出力端として機能し、前記第2演算増幅器の逆位相入力端に接続され、前記計装増幅器のディファレンシャルモード出力端は、前記アナログ-デジタル変換器の入力端に接続され、前記第2演算増幅器の前記逆位相入力端は、前記右脚駆動サブ回路の前記第1入力端であり、
前記アナログ-デジタル変換器の出力端は前記プロセッサに接続され、
前記第2演算増幅器の同位相入力端は前記右脚駆動サブ回路の前記第2入力端として機能し、前記基準電源端に接続され、前記第2演算増幅器の出力端は前記右脚駆動サブ回路の前記出力端として機能し、前記第3電極に接続される、請求項13に記載の心電図検出デバイス。
【請求項15】
前記心電図検出デバイスはさらに、前記ハウジングに配置された正電源回路を含み、前記正電源回路は電源出力端を有し、前記正電源回路は、前記電源出力端を使用することによって前記心電図検出回路および前記電圧ホルダ回路に電力を供給するよう構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載の心電図検出デバイス。
【請求項16】
前記心電図検出デバイスはウェアラブルデバイスである、請求項1から15のいずれか一項に記載の心電図検出デバイス。
【請求項17】
前記ウェアラブルデバイスはウォッチまたはバンドである、請求項16に記載の心電図検出デバイス。
【請求項18】
心電図検出デバイスに適用される検出回路であって、前記心電図検出デバイスは、導電材料からできているハウジングを含み、前記検出回路は第1入力ピン、第2入力ピン、第1出力ピン、および第2出力ピンを含み、
前記第1入力ピンは第1電極に接続するよう構成され、前記第2入力ピンは第2電極に接続するよう構成され、前記第1出力ピンは第3電極に接続するよう構成され、前記検出回路は、前記第1入力ピンおよび前記第2入力ピンを使用することによって心電図信号を収集し、前記第1出力ピンを使用することによって前記第3電極に基準電位を提供するよう構成され、前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極はすべて、前記ハウジングの外に配置され、前記ハウジングから絶縁され、
前記第2出力ピンは、前記ハウジングに接続するよう構成され、前記検出回路はさらに、前記第2出力ピンを使用することによって前記ハウジングに目標電位を提供するよう構成され、前記目標電位と前記基準電位との間の電位差は差分閾値より小さい、検出回路。
【請求項19】
前記検出回路は電圧ホルダ回路を含み、前記電圧ホルダ回路の出力端は前記第2出力ピンに接続され、前記電圧ホルダ回路の入力端は電位プロバイダに接続するよう構成され、前記電圧ホルダ回路は、前記入力端の入力信号に基づいて前記出力端において前記目標電位を出力するよう構成される、請求項18に記載の検出回路。
【請求項20】
前記電位プロバイダは前記第3電極、または前記第2電極、または前記第1電極、または電源出力端である、請求項19に記載の検出回路。
【請求項21】
前記電位プロバイダは前記第3電極、または前記第2電極、または前記第1電極であり、前記電圧ホルダ回路は電圧フォロワ回路であり、
前記電圧フォロワ回路の出力端は前記電圧ホルダ回路の前記出力端として機能し、前記第2出力ピンに接続され、前記電圧フォロワ回路の入力端は、前記電圧ホルダ回路の前記入力端として機能し、前記電位プロバイダに接続するよう構成され、前記電圧フォロワ回路は、前記電位プロバイダの前記目標電位と実質的に一致するように前記第2出力ピンの電位を制御するよう構成される、請求項20に記載の検出回路。
【請求項22】
前記電圧フォロワ回路は第1演算増幅器を含み、
前記第1演算増幅器の同位相入力端は前記電圧フォロワ回路の前記入力端として機能し、前記電位プロバイダに接続するよう構成され、前記第1演算増幅器の出力端は、前記電圧フォロワ回路の前記出力端として機能し、前記第2出力ピンおよび前記第1演算増幅器の逆位相入力端に別々に接続される、請求項21に記載の検出回路。
【請求項23】
前記電位プロバイダは前記電源出力端であり、前記電圧ホルダ回路は電圧レギュレータ回路であり、
前記電圧レギュレータ回路の入力端は前記電圧ホルダ回路の前記入力端として機能し、前記電源出力端に接続するよう構成され、前記電圧レギュレータ回路の出力端は前記電圧ホルダ回路の前記出力端として機能し、前記第2出力ピンに接続され、前記電圧レギュレータ回路は、前記電源出力端の駆動下で前記ハウジングに前記目標電位を提供するよう構成される、請求項20に記載の検出回路。
【請求項24】
前記電圧レギュレータ回路は低ドロップアウトレギュレータである、請求項23に記載の検出回路。
【請求項25】
前記目標電位は前記基準電位に等しいか、または近い、請求項18から24のいずれか一項に記載の検出回路。
【請求項26】
前記検出回路はさらに、前記第2出力ピンと前記電圧ホルダ回路との間に直列に接続される抵抗器を含む、請求項19から24のいずれか一項に記載の検出回路。
【請求項27】
前記検出回路はさらに、前記抵抗器に並列に接続されたキャパシタを含む、請求項26に記載の検出回路。
【請求項28】
前記検出回路はさらにESD回路を含み、
前記ESD回路の一端は前記第2出力ピンに接続され、他端は接地される、請求項18から27のいずれか一項に記載の検出回路。
【請求項29】
前記ESD回路は過渡電圧サプレッサを含み、
前記過渡電圧サプレッサの一方の電極は前記第2出力ピンに接続され、前記過渡電圧サプレッサの他方の電極は接地される、請求項28に記載の検出回路。
【請求項30】
前記検出回路はさらに検出サブ回路および右脚駆動サブ回路を含み、
前記検出サブ回路の第1入力端は前記第1入力ピンに接続され、前記検出サブ回路の第2入力端は前記第2入力ピンに接続され、前記検出サブ回路のコモンモード出力端は前記右脚駆動サブ回路の第1入力端に接続され、前記検出サブ回路は心電図信号を収集し、前記第1入力端と前記第2入力端との間のコモンモード電圧を前記右脚駆動サブ回路に出力するよう構成され、
前記右脚駆動サブ回路の第2入力端は基準電源端に接続され、前記右脚駆動サブ回路の出力端は前記第1出力ピンに接続され、前記右脚駆動サブ回路は前記コモンモード電圧および前記基準電源端の駆動下で前記第3電極に基準電位を提供するよう構成され、
前記電位プロバイダは前記第3電極、または前記第2電極、または前記第1電極、または電源出力端、または前記コモンモード出力端である、請求項19から24のいずれか一項に記載の検出回路。
【請求項31】
前記検出回路は集積回路であり、同一チップにパッケージングされる、請求項18から30のいずれか一項に記載の検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる、「心電図検出デバイスおよび検出回路」と題する、2020年6月12日に出願された中国特許出願第202010538235.1号の優先権を主張する。
【0002】
本願は電子技術の分野に関し、特に、心電図検出デバイスおよび検出回路に関する。
【背景技術】
【0003】
技術の発展に伴い、ウェアラブルデバイスの機能はますます多様化している。現在、スマートウォッチ(またはスマートバンド)などのウェアラブルデバイスは通常、心電図(electrocardiogram, ECG)検出機能を有する。
【0004】
関連技術において、ECG検出回路はスマートウォッチに統合され得、ECG検出回路は、左腕(left arm, LA)電極、右腕(right arm, RA)電極および右脚(right leg, RL)電極に別々に接続され得る。ECG検出回路は、LA電極およびRA電極を使用することによって、ユーザのECG信号を収集し得、RL電極を使用することによってユーザに基準電位を提供して検出信頼性を確実にし得る。LA電極およびRL電極は通常、スマートウォッチの底部カバーの外側に配置され、すなわち、底部カバーがユーザの皮膚と接触する側に配置される。RA電極は通常、スマートウォッチのウォッチハウジング上に配置される。ユーザの左手がスマートウォッチを着用しているとき、LA電極およびRL電極はユーザの皮膚と接触し得る。ユーザがECG検出を実行する必要がある場合、ユーザは右手を使用することによってRA電極に接触し得る。この場合、ECG回路はユーザのECG信号を収集してECG検出を実行し得る。
【0005】
スマートウォッチのウォッチハウジングが金属からできているとき、スマートウォッチの電磁干渉防止および帯電防止性能を確実にするべく、金属製ウォッチハウジングは接地される。したがって、ECG検出を実行するためにRA電極に接触するときにユーザの右手が金属製ウォッチハウジングに偶発的に接触する場合、RL電極は、人体を通じて金属製ウォッチハウジングとの電流経路を形成する。RL電極と金属製ウォッチハウジングとの間に電位差があるので、RL電極と金属製ウォッチハウジングとの間にリーク電流の経路が形成され、リーク電流はECG検出の正確度に影響する。
【発明の概要】
【0006】
本願は心電図検出デバイスおよび検出回路を提供することにより、金属ハウジングにおいて生成されるリーク電流がECG検出の正確度に影響するという関連技術の問題を解決する。技術的解決法は以下のとおりである。
【0007】
一態様によれば、心電図検出デバイスが提供される。デバイスは、導電材料からできているハウジング、ハウジングに配置される心電図検出回路および電圧ホルダ回路、ならびに、ハウジングの外に配置されハウジングから絶縁された第1電極、第2電極および第3電極を備え得る。3つの電極はユーザの皮膚と接触する。心電図検出回路は、第1電極、第2電極および第3電極に別々に接続され得る。心電図検出回路は、第1電極および第2電極を使用することによって心電図信号を収集し、第3電極に基準電位を提供するよう構成される。電圧ホルダ回路はハウジングに接続され、ハウジングに目標電位を提供するよう構成される。目標電位と基準電位との間の電位差は差分閾値より小さい。電圧ホルダ回路によって提供される目標電位と、心電図検出回路によって第3電極に提供される基準電位との間の電位差は小さい。したがって、ECG検出プロセスにおいて、ユーザがハウジングに偶発的に接触して、ハウジングを第3電極に導通させた場合でも、ハウジングと第3電極との間にリーク電流は生成されないか、または、ハウジングと第3電極との間に小さいリーク電流が生成される。これにより、ECG信号への干渉を効率的に低減し、ECG検出の正確度を確実にできる。
【0008】
実装において、電圧ホルダ回路の出力端はハウジングに接続され、電圧ホルダ回路の入力端は電位プロバイダに接続され、電圧ホルダ回路は、入力端の入力信号に基づいて出力端において目標電位を出力するよう構成される。電圧ホルダ回路は電圧ホルダ回路の入力端における信号入力に基づいて出力端において目標電位を出力し得、目標電位と第3電極の基準電位との間の電位差は小さいので、ハウジングと第3電極との間のリーク電流を効率的に抑制でき、ECG検出の正確度を確実にできる。
【0009】
実装において、電位プロバイダは第3電極、または第2電極、または第1電極、または電源出力端である。電位プロバイダが第3電極であるとき、これにより、ハウジングのために電圧ホルダ回路によって提供される目標電位が第3電極の基準電位とほぼ等しいことを確実にできる。これにより、リーク電流を効率的に抑制できる。電位プロバイダが第2電極または第1電極であるとき、2つの電極の電位と第3電極の基準電位との間の電位差は小さいので、第3電極とハウジングとの間のリーク電流も効率的に低減できる。電位プロバイダが電源出力端であるとき、電源出力端の電位は適切に設計され得、その結果、ハウジングのために電圧ホルダ回路によって提供される目標電位は基準電位とほぼ等しい。これにより、リーク電流の抑制を確実にできる。
【0010】
実装において、電位プロバイダは第3電極、または第2電極、または第1電極である。電圧ホルダ回路は電圧フォロワ回路である。電圧フォロワ回路の出力端は電圧ホルダ回路の出力端として機能し、ハウジングに接続される。電圧フォロワ回路の入力端は電圧ホルダ回路の入力端として機能し、電位プロバイダに接続される。電圧フォロワ回路は、電位プロバイダの目標電位と実質的に一致するようにハウジングの電位を制御するよう構成される。電圧フォロワ回路を使用することにより、ハウジングの電位は、第3電極、第2電極、または第1電極の目標電位と実質的に一致であり得る。これにより、リーク電流を効率的に抑制できる。
【0011】
電圧フォロワ回路は第1演算増幅器を含み得る。第1演算増幅器の同位相入力端は電圧フォロワ回路の入力端として機能し、電位プロバイダに接続される。第1演算増幅器の出力端は電圧フォロワ回路の出力端として機能し、ハウジングおよび第1演算増幅器の逆位相入力端に別々に接続される。電圧フォロウイング(following)は、演算増幅器の出力端を逆位相入力端に接続することによって達成され得る。加えて、第1演算増幅器の入力抵抗が高い(理想的な場合において入力抵抗が無限)ので、電位プロバイダの電位に対する影響を回避でき、心電図検出回路が正常に動作できることが確実にされる。
【0012】
実装において、電圧フォロワ回路はさらに、複数のカスケードされた第1演算増幅器を含み得る。代替的に、電圧フォロワ回路は複数のカスケードされたディスクリートトライオードを含み得る。これらの回路はまた、演算増幅器と同様の効果を達成し、心電図検出回路が正常に動作できることを確実にする。
【0013】
実装において、電位プロバイダは電源出力端である。電圧ホルダ回路は電圧レギュレータ回路である。電圧レギュレータ回路の入力端は、電圧ホルダ回路の入力端として機能し、電源端部に接続される。電圧レギュレータ回路の出力端は電圧ホルダ回路の出力端として機能し、ハウジングに接続される。電圧レギュレータ回路は、電源端部の駆動下でハウジングに目標電位を提供するよう構成される。電圧レギュレータ回路によって提供される目標電位は、右脚駆動サブ回路に接続される基準電源端の電位と等しいことがあり得る。したがって、これにより、右脚駆動サブ回路によって第3電極に提供される基準電位と目標電位との間の電位差が小さいことを確実にできる。これにより、リーク電流を効率的に抑制できる。
【0014】
実装において、電圧レギュレータ回路は低ドロップアウトレギュレータ(low dropout regulator, LDO)であり得る。LDOは、低いノイズおよび小さい静電流などの利点を有する。
【0015】
実装において、目標電位は、基準電位に等しいか、または近く、その結果、ハウジングと第3電極との間のリーク電流を効率的に抑制できる。
【0016】
実装において、心電図検出デバイスはさらに、ハウジングと電圧ホルダ回路との間に直列に接続された抵抗器を含み得る。抵抗器はさらに、リーク電流の経路上の抵抗を増加し得る。このようにして、リーク電流を効率的に低減できる。
【0017】
実装において、心電図検出デバイスはさらに、抵抗器に並列に接続されたキャパシタを含み得る。キャパシタは、心電図検出デバイスの電磁干渉防止および帯電防止性能を確実にできる。
【0018】
実装において、心電図検出デバイスはさらに、ハウジングに配置されたESD回路を含み得る。ESD回路の一端はハウジングに接続され、他端は接地される。ESD回路は、心電図検出デバイスにおける各電子コンポーネントが静電気によって損傷することを防止できる。
【0019】
ESD回路は過渡電圧サプレッサ(transient voltage suppressor, TVS)を含み得る。TVSの一方の電極はハウジングに接続され、TVSの他方の電極は接地される。高効率保護デバイスであるTVSは、高速応答、高い過渡電力、小さいリーク電流、小さいブレークダウン電圧偏差、制限電圧の容易な制御、損傷限界無し、および小さいサイズという利点を有する。
【0020】
実装において、心電図検出回路は検出サブ回路および右脚駆動サブ回路を含み得る。検出サブ回路の第1入力端は第1電極に接続される。検出サブ回路の第2入力端は第2電極に接続される。検出サブ回路のコモンモード出力端は右脚駆動サブ回路の第1入力端に接続される。検出サブ回路は心電図信号を収集し、第1入力端と第2入力端との間のコモンモード電圧を右脚駆動サブ回路に出力するよう構成される。右脚駆動サブ回路の第2入力端は基準電源端に接続される。右脚駆動サブ回路の出力端は第3電極に接続される。右脚駆動サブ回路は、コモンモード電圧および基準電源端の駆動下で第3電極に基準電位を提供するよう構成される。電位プロバイダは第3電極、または第2電極、または第1電極、またはコモンモード出力端である。電位プロバイダが第3電極であるとき、これにより、ハウジングのために電圧ホルダ回路によって提供される目標電位が第3電極の基準電位とほぼ等しいことを確実にできる。これにより、リーク電流を効率的に抑制できる。電位プロバイダが第2電極、または第1電極、またはコモンモード出力端であるとき、3つの端末の電位と基準電位との間の電位差は小さいので、第3電極とハウジングとの間のリーク電流も効率的に低減できる。
【0021】
実装において、検出サブ回路は計装増幅器、アナログ-デジタル変換器、およびプロセッサを含み得る。右脚駆動サブ回路は第2演算増幅器を含み得る。計装増幅器の逆位相入力端は検出サブ回路の第1入力端として機能し、第1電極に接続される。計装増幅器の同位相入力端は検出サブ回路の第2入力端として機能し、第2電極に接続される。計装増幅器のコモンモード出力端は検出サブ回路のコモンモード出力端として機能し、第2演算増幅器の逆位相入力端に接続される。計装増幅器のディファレンシャルモード出力端はアナログ-デジタル変換器の入力端に接続される。第2演算増幅器の逆位相入力端は右脚駆動サブ回路の第1入力端である。アナログ-デジタル変換器の出力端はプロセッサに接続される。第2演算増幅器の同位相入力端は右脚駆動サブ回路の第2入力端として機能し、基準電源端に接続される。第2演算増幅器の出力端は右脚駆動サブ回路の出力端として機能し、第3電極に接続される。差動増幅器の改善された構造として、計装増幅器は、低い直流オフセット、低いドリフト、低いノイズ、高い開ループ利得、より大きいコモンモード除去比、および、高い入力インピーダンスなどの利点を有し、正確度および安定性に対する高い要件を有する心電図検出回路に適用され得る。
【0022】
実装において、心電図検出デバイスはさらに、ハウジングに配置される正電源回路を含む。正電源回路は電源出力端を有する。正電源回路は、電源出力端を使用することによって電力を心電図検出回路および電圧ホルダ回路に供給するよう構成される。正電源回路の回路構造は単純でコストが低いので、正電源回路は心電図検出デバイスにおいて使用される。これにより、心電図検出デバイスの回路構造の複雑性およびシステム全体のコストを効率的に低減できる。
【0023】
実装において、心電図検出デバイスはさらに電圧変換回路を含む。電圧変換回路は電源出力端および基準電源端に別々に接続される。電圧変換回路は、電源出力端によって電位出力を変換し、次に、変換された電位を基準電源端に提供し得、その結果、基準電源端による電位出力は、電源出力端による電位出力の半分に等しい。電圧変換回路は、電源出力端による電圧出力を変換するために配置され得、基準電源端が第2演算増幅器の同位相入力端に適切な電位を提供できることを確実にする。
【0024】
実装において、心電図検出デバイスはウェアラブルデバイスであり得、ウェアラブルデバイスはウォッチまたはバンドであり得る。ウォッチまたはバンドなどのウェアラブルデバイスは心電図検出デバイスとして使用され、その結果、ユーザはユーザの心電図信号をリアルタイムに検出できる。これにより、心電図信号検出の柔軟性を改善する。
【0025】
別の態様によれば、心電図検出デバイスに適用される検出回路が提供される。心電図検出デバイスは、導電材料からできているハウジングを含む。検出回路は、第1入力ピン、第2入力ピン、第1出力ピン、および第2出力ピンを含む。第1入力ピンは、第1電極に接続するよう構成される。第2入力ピンは、第2電極に接続するよう構成される。第1出力ピンは、第3電極に接続するよう構成される。検出回路は、第1入力ピンおよび第2入力ピンを使用することによって心電図信号を収集し、第1出力ピンを使用することによって第3電極に基準電位を提供するよう構成される。第1電極、第2電極および第3電極はすべて、ハウジングの外に配置され、ハウジングから絶縁される。第2出力ピンは、心電図検出デバイスのハウジングに接続するよう構成される。検出回路はさらに、第2出力ピンを使用することによって、ハウジングに目標電位を提供するよう構成される。目標電位と基準電位との間の電位差は差分閾値より小さい。検出回路によってハウジングに提供される目標電位と、検出回路によって第3電極に提供される基準電位との間の電位差は小さいので、ECG検出プロセスにおいて、ハウジングと第3電極との間にリーク電流が生成されないか、または、ハウジングと第3電極との間に小さいリーク電流が生成される。これにより、ECG信号への干渉を効率的に低減し、ECG検出の正確度を確実にできる。
【0026】
実装において、検出回路は電圧ホルダ回路を含む。電圧ホルダ回路の出力端は第2出力ピンに接続される。電圧ホルダ回路の入力端は電位プロバイダに接続するよう構成される。電圧ホルダ回路は、入力端の入力信号に基づいて出力端において目標電位を出力するよう構成される。
【0027】
実装において、電位プロバイダは第3電極、または第2電極、または第1電極、または電源出力端である。
【0028】
実装において、電位プロバイダは第3電極、または第2電極、または第1電極である。電圧ホルダ回路は電圧フォロワ回路である。電圧フォロワ回路の出力端は電圧ホルダ回路の出力端として機能し、第2出力ピンに接続される。電圧フォロワ回路の入力端は電圧ホルダ回路の入力端として機能し、電位プロバイダに接続するよう構成される。電圧フォロワ回路は、電位プロバイダの目標電位と実質的に一致するように第2出力ピンの電位を制御するよう構成される。
【0029】
実装において、電圧フォロワ回路は第1演算増幅器を含む。
【0030】
第1演算増幅器の同位相入力端は電圧フォロワ回路の入力端として機能し、電位プロバイダに接続するよう構成される。第1演算増幅器の出力端は電圧フォロワ回路の出力端として機能し、第2出力ピンおよび第1演算増幅器の逆位相入力端に別々に接続される。
【0031】
実装において、電位プロバイダは電源出力端である。検出回路はさらに電源ピンを含む。電源ピンは、電源出力端に接続するよう構成される。電圧ホルダ回路は電圧レギュレータ回路である。電圧レギュレータ回路の入力端は、電圧ホルダ回路の入力端として機能し、電源ピンに接続される。電圧レギュレータ回路の出力端は電圧ホルダ回路の出力端として機能し、第2出力ピンに接続される。電圧レギュレータ回路は、電源出力端の駆動下で第2出力ピンに目標電位を提供するよう構成される。
【0032】
実装において、電圧レギュレータ回路は低ドロップアウトレギュレータである。
【0033】
実装において、目標電位は基準電位に等しいか、または近い。
【0034】
実装において、検出回路はさらに、第2出力ピンと電圧ホルダ回路との間に直列に接続される抵抗器を含む。
【0035】
実装において、検出回路はさらに、抵抗器に並列に接続されるキャパシタを含む。
【0036】
実装において、検出回路はさらにESD回路を含む。ESD回路の一端は第2出力ピンに接続され、他端は接地される。
【0037】
実装において、ESD回路は過渡電圧サプレッサを含む。過渡電圧サプレッサの一方の電極は第2出力ピンに接続され、過渡電圧サプレッサの他方の電極は接地される。
【0038】
実装において、検出回路はさらに検出サブ回路および右脚駆動サブ回路を含む。検出サブ回路の第1入力端は第1入力ピンに接続される。検出サブ回路の第2入力端は第2入力ピンに接続される。検出サブ回路のコモンモード出力端は右脚駆動サブ回路の第1入力端に接続される。検出サブ回路は心電図信号を収集し、第1入力端と第2入力端との間のコモンモード電圧を右脚駆動サブ回路に出力するよう構成される。右脚駆動サブ回路の第2入力端は基準電源端に接続される。右脚駆動サブ回路の出力端は第1出力ピンに接続される。右脚駆動サブ回路は、コモンモード電圧および基準電源端の駆動下で第3電極に基準電位を提供するよう構成される。電位プロバイダは第3電極、または第2電極、または第1電極、または電源出力端、またはコモンモード出力端である。
【0039】
本願において提供される検出回路の上述の実装の有益な効果については、心電図検出デバイスにおける対応する実装の有益な効果を参照されたい。ここでは、詳細について改めて説明しない。
【0040】
実装において、検出回路は集積回路であり、同一チップにパッケージングされる。検出回路は集積回路として設計され、チップにパッケージングされ、その結果、検出回路の体積を低減でき、検出回路は小さい心電図検出デバイスに適用され得る。
【0041】
本願の実施形態は心電図検出デバイスおよび検出回路を提供する。心電図検出デバイスのハウジングは導電材料からできていてよい。加えて、心電図検出デバイスは、ハウジングに目標電位を提供するよう構成される電圧ホルダ回路を含み得る。電圧ホルダ回路によって提供される目標電位と、心電図検出回路によって第3電極に提供される基準電位との間の電位差は小さい。したがって、ECG検出プロセスにおいて、ユーザがハウジングに偶発的に接触して、ハウジングを第3電極に導通させた場合でも、ハウジングと第3電極との間にリーク電流は生成されないか、または、ハウジングと第3電極との間に小さいリーク電流が生成される。これにより、ECG信号への干渉を効率的に低減し、ECG検出の正確度を確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】関連技術におけるECG検出機能を有するウォッチの等価回路図である。
【0043】
【
図2】本願の実施形態による、心電図検出デバイスの構造の概略図である。
【0044】
【
図3】本願の実施形態による、心電図検出デバイスの等価回路図である。
【0045】
【
図4】本願の実施形態による、別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
【0046】
【
図5】本願の実施形態による、さらに別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
【0047】
【
図6】関連技術におけるECG検出機能を有する別のウォッチの等価回路図である。
【0048】
【
図7】本願の実施形態による、さらに別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
【0049】
【
図8】本願の実施形態による、さらに別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
【0050】
【
図9】本願の実施形態による、さらに別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
【0051】
【
図10】本願の実施形態による心電図検出回路における端末の電位の概略図である。
【0052】
【
図11】本願の実施形態による第1演算増幅器の構造の概略図である。
【0053】
【
図12】本願の実施形態による別の第1演算増幅器の構造の概略図である。
【0054】
【
図13】本願の実施形態によるさらに別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
【0055】
【
図14】本願の実施形態によるさらに別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
【0056】
【
図15】本願の実施形態によるさらに別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
【0057】
【
図16】本願の実施形態による別の心電図検出デバイスの構造の概略図である。
【0058】
【
図17】本願の実施形態による心電図検出デバイスに適用される検出回路の構造の概略図である。
【0059】
【
図18】本願の実施形態による心電図検出デバイスに適用される別の検出回路の構造の概略図である。
【0060】
【
図19】本願の実施形態による心電図検出デバイスに適用されるさらに別の検出回路の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下では、添付図面を参照して、本願の実施形態において提供される心電図検出デバイスを詳細に説明する。
【0062】
図1は、関連技術におけるECG検出機能を有するウォッチの等価回路図である。
図1に示されるように、ウォッチ00における心電図検出回路01は、RA電極、LA電極、およびRL電極に別々に接続され得る。
図1におけるR0は、ウォッチ00のウォッチハウジングの抵抗と等価である。
図1から、ウォッチハウジングは接地(ground, GND)されることが分かる。ウォッチハウジングの抵抗を増加させ、金属材料の腐食および酸化を防止するために、金属材料からできているウォッチハウジングの表面は概して絶縁材料でコーティングされているので、ウォッチハウジングの等価抵抗R0は、ウォッチハウジングにおける金属材料の抵抗値および絶縁材料の抵抗値の和であり得る。加えて、金属材料の抵抗値が小さくて無視され得るので、等価抵抗R0は、ウォッチハウジングの表面上にコーティングされた絶縁材料の抵抗とみなされ得る。
【0063】
ユーザの左手がスマートウォッチ00を着用しているとき、LA電極およびRL電極はユーザの皮膚と接触し得る。ユーザがECG検出を実行する必要がある場合、ユーザは右手を使用することによってRA電極に接触し得る。この場合、ECG回路は、ユーザのECG信号を収集してECG検出を実行し得る。ユーザの右手がRA電極に接触するときにウォッチハウジングに偶発的に接触する場合、RL電極はウォッチハウジングに導通し、すなわち、
図1に示されるスイッチSがオンになることと等価である。心電図検出回路00は基準電位をRL電極に提供し得、基準電位とウォッチハウジングとの間に電位差があるので、リーク電流I
bの経路がRL電極とウォッチハウジングとの間に生成される。リーク電流I
bが人体を流れた後に、心電図検出回路00によって検出されたECG信号に干渉が生じる。結果として、心電図検出回路00によって生成されたECGにおいてベースラインドリフトが発生する。
図1に示される抵抗器R1は、LA電極とRL電極との間の人体内部抵抗とみなされ得、抵抗器R2は、LA電極とRA電極との間の人体内部抵抗とみなされ得る。
【0064】
本願の実施形態は心電図検出デバイスを提供する。心電図検出デバイスのハウジングは導電材料からできていてよい。例えば、ハウジングは金属材料からできている金属ハウジングであり得る。心電図検出デバイスがECG検出を実行するとき、ユーザの指が心電図検出デバイスのハウジングに偶発的に接触する場合でも、ECG検出の正確度を確実にできる。すなわち、本願の本実施形態において提供される心電図検出デバイスは、ユーザの指がハウジングに偶発的に接触したときに生じるECG検出に対する影響を効率的に低減できる。
【0065】
図2は、本願の実施形態による心電図検出デバイスの構造の概略図であり、
図3は、本願の実施形態による心電図検出デバイスの等価回路図である。
図2および
図3に示されるように、心電図検出デバイス000は、導電材料からできているハウジング10、ハウジング10の中に配置される心電図検出回路20および電圧ホルダ回路30、ハウジング10の外に配置されハウジング10から絶縁されている第1電極P1、第2電極P2および第3電極P3を含み得る。ユーザの皮膚との接触を容易にするために、第1電極P1、第2電極P2および第3電極P3は、ハウジング10の外に露出している。
【0066】
第2電極P2および第3電極P3は、心電図検出デバイス000の第1外側表面上に位置し得、第1電極P1は心電図検出デバイス000の第2外側表面上に位置し得、第1外側表面および第2外側表面は心電図検出デバイス000の異なる外側表面である。例えば、心電図検出デバイス000は
図2に示されるウォッチである。第1外側表面は、ウォッチの底部カバー40の外側表面であり得、第2外側表面は、ウォッチのハウジング10(すなわち、ウォッチハウジング)の外側表面であり得る。例えば、
図2を参照すると、第1電極P1はウォッチのウォッチクラウン上に配置され得る。
【0067】
図3を参照すると、心電図検出回路20は、第1電極P1、第2電極P2および第3電極P3に別々に接続され得る。心電図検出回路20は、第1電極P1および第2電極P2を使用することによって心電図信号を収集し、第3電極P3に基準電位を提供するよう構成され得る。
【0068】
ユーザの皮膚が第3電極P3と接触した後に、心電図検出回路20は、第3電極P3を使用することによって基準電位を人体に提供し得る。これにより、第1電極P1および第2電極P2を使用することによって心電図検出回路20によって収集される心電図信号の信頼性を確実にする。
【0069】
電圧ホルダ回路30は、ハウジング10に接続される(ハウジング10は
図3の抵抗器R0と等価である)。接続は直接接続または間接接続であり得る。すなわち、電圧ホルダ回路30は代替的に、別の電子コンポーネント(例えば抵抗器)を使用することによってハウジング10に接続され得る。電圧ホルダ回路30は、ハウジング10に目標電位を提供するよう構成される。目標電位と基準電位との間の電位差は差分閾値より小さい。すなわち、電圧ホルダ回路30は、ハウジング10の電位が基準電位と等しくなるよう、または、ほぼ等しくなることを可能にし得る。
【0070】
本願の本実施形態において、電子コンポーネントのプロセス精度および性能損失が考慮されないとき、差分閾値は小さい方が良い。実際の適用において、差分閾値は、プロセス精度が許すときに実際の適用シナリオの要件に基づいて柔軟に設定され得る。例えば、差分閾値の大きさのオーダは、マイクロボルト(uv)レベルまたはミリボルト(mv)レベルであり得る。
【0071】
実装において、目標電位は基準電位と等しいか、または近い。目標電位が基準電位と等しい、または近いことは、目標電位と基準電位との間の電位差が、エンジニアリング仕様によって許容される誤差範囲内において制御されることを意味する。目標電位および基準電位は同一である、または近いことがあり得、すなわち、完全に同一であり得る。しかしながら、実際には実装が難しいので、目標電位および基準電位が完全に同一である必要はないことがあり得、特定の誤差は許容され得る。例えば、目標電位と基準電位との間の電圧差が特定の値(例えば、10uv)であるが、リーク電流がこの時点において抑制でき、電位差が製品のエンジニアリング仕様要件を満たす場合、この設計も許容可能である。概して、誤差範囲の大きさのオーダはuvレベルまたはmvレベルであり得る。
【0072】
結論として、本願の実施形態は心電図検出デバイスを提供する。心電図検出デバイスのハウジングは導電材料からできていてよい。加えて、心電図検出デバイスは、ハウジングに目標電位を提供するよう構成される電圧ホルダ回路を含み得る。電圧ホルダ回路によって提供される目標電位と、第3電極のために心電図検出回路によって提供される基準電位との間の電位差は小さい。したがって、ECG検出プロセスにおいて、ユーザがハウジングに偶発的に接触して、ハウジングを第3電極に導通させた場合でも、ハウジングと第3電極との間にリーク電流は生成されないか、または、ハウジングと第3電極との間に小さいリーク電流が生成される。これにより、ECG信号への干渉を効率的に低減し、ECG検出の正確度を確実にできる。
【0073】
加えて、本願の本実施形態において提供される解決策において、心電図検出デバイスのハウジングの絶縁性能に対する要件は低い。すなわち、ハウジングの表面上にコーティングされる絶縁材料の絶縁性能に対する要件は低い。したがって、ハウジングのより良い絶縁性能を達成するために、高コストのプロセスは必要とされない。これにより、ハウジングの生産コストの増加を回避する。
【0074】
本願の本実施形態において、第1電極P1、第2電極P2および第3電極P3はすべて乾式電極であり得る。乾式電極は、導電性ペーストと共に使用される必要がない電極である。乾式電極を使用することによってECG検出が実行されるとき、ユーザ体験は良好であり、検出効率は高く、乾式電極はリアルタイムの健康モニタリングシナリオに適用され得る。
【0075】
本願の本実施形態において、電圧ホルダ回路30は出力端を含み得、出力端はハウジング10に接続される。電圧ホルダ回路30は1または複数の入力端を含み得る。1または複数の入力端は、1対1の対応関係で、1または複数の電位プロバイダに接続される。電圧ホルダ回路30は、電圧ホルダ回路30の入力端の入力信号に基づいて電圧ホルダ回路30の出力端において目標電位を出力するよう構成される。すなわち、電圧ホルダ回路30は、受信された1または複数の入力信号を処理した後に目標電位を出力し得る。
【0076】
本願の本実施形態において、1つの電位プロバイダがあり、具体的には第3電極P3、または第2電極P2、または第1電極P1、または電源出力端であり得る。例えば、
図3を参照すると、電位プロバイダは第3電極P3である。
【0077】
図4は、本願の実施形態による、別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
図4に示されるように、心電図検出回路20は検出サブ回路201および右脚駆動サブ回路202を含み得る。
【0078】
検出サブ回路201の第1入力端IN11は第1電極P1に接続される。検出サブ回路201の第2入力端IN12は第2電極P2に接続される。検出サブ回路201のコモンモード出力端O1は右脚駆動サブ回路202の第1入力端IN21に接続される。検出サブ回路201は、心電図信号を収集し、第1入力端IN11と第2入力端IN22との間のコモンモード電圧Vcmを右脚駆動サブ回路202に出力するよう構成される。
【0079】
右脚駆動サブ回路202の第2入力端IN22は基準電源端VRに接続される。右脚駆動サブ回路202の出力端O2は第3電極P3に接続される。右脚駆動サブ回路202は、コモンモード電圧Vcmおよび基準電源端VRの駆動下で第3電極P3に基準電位を提供するよう構成される。
【0080】
本願の本実施形態において、右脚駆動サブ回路202は負帰還回路として機能し、受信されたコモンモード電圧を反転および増幅した後に第3電極に基準電位を提供して、人体のコモンモード干渉を除去し得る。
【0081】
図5は、本願の実施形態による、さらに別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
図5を参照すると、検出サブ回路201は、計装増幅器(instrumentation amplifier, INA)、アナログ-デジタル変換器(analogue-to-digital conversion, ADC)およびプロセッサ2011を含み得る。右脚駆動サブ回路202は第2演算増幅器AMP2を含み得る。
【0082】
INAの逆位相入力端は検出サブ回路201の第1入力端IN11として機能し、第1電極P1に接続され得る。INAの同位相入力端は検出サブ回路201の第2入力端IN12として機能し、第2電極P2に接続され得る。INAのコモンモード出力端は検出サブ回路201のコモンモード出力端として機能し、第2演算増幅器AMP2の逆位相入力端O1(すなわち、右脚駆動サブ回路202の第1入力端IN21)に接続され得、INAのディファレンシャルモード出力端はADCの入力端に接続され得る。
【0083】
INAは、同位相入力端の電位、および、INAの逆位相入力端の電位を収集し、ディファレンシャルモード出力端を使用することによって同位相入力端と逆位相入力端との間のディファレンシャルモード電圧Vdm(ディファレンシャルモード電圧VdmはECG信号である)を出力し、コモンモード出力端を使用することによって同位相入力端と逆位相入力端との間のコモンモード電圧Vcmを出力し得る。
【0084】
差動増幅器の改善された構造として、INAは、低い直流オフセット、低いドリフト、低いノイズ、高い開ループ利得、より大きいコモンモード除去比、および、高い入力インピーダンスなどの利点を有し、正確度および安定性に対する高い要件を有する心電図検出回路20に適用され得る。
【0085】
ADCの出力端はプロセッサ2011に接続される。ADCは、INAによって出力されるディファレンシャルモード電圧Vdmに対してアナログ-デジタル変換を実行してデジタル信号を取得し、デジタル信号をプロセッサ2011へ送信するよう構成される。プロセッサ2011はさらに、デジタル信号を処理してECGを生成し得る。
【0086】
プロセッサ2011は、マイクロコントローラユニット(micro-controller unit, MCU)であり得るか、または、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor, DSP)、もしくは、信号処理能力を有する様々な他の処理回路であり得る。
【0087】
第2演算増幅器AMP2の同位相入力端は右脚駆動サブ回路202の第2入力端IN22として機能し、基準電源端VRに接続される。第2演算増幅器AMP2の出力端は、右脚駆動サブ回路202の出力端O2として機能し、第3電極P3に接続される。
【0088】
INA、ADCおよびプロセッサ2011に加えて、検出サブ回路201はさらに、別の電子コンポーネントを含み得、例えば、フィルタまたは別の機能回路をさらに含み得ることが留意されるべきである。1つの第2演算増幅器AMP2に加えて、右脚駆動サブ回路202はさらに、抵抗器およびキャパシタなどの電子コンポーネントを含み得るか、または、第2演算増幅器AMP2にカスケードされた別の演算増幅器をさらに含み得る。検出サブ回路201および右脚駆動サブ回路202の回路構造は本願の本実施形態において限定されない。
【0089】
本願の本実施形態において、心電図検出デバイス000は、正電源回路を使用することによって電力を各電子コンポーネントに供給し得る。正電源回路は、心電図検出回路にシステム正電位Vccを提供するよう構成される電源出力端VCCを有する。対応して、各電子コンポーネントの正電源電極は、電源出力端VCCに接続され得、負電源電極は直接接地され得る。いくつかの文書または製品において、この電源モードは、正および負電源の両方が使用されるデュアル電源モードとは異なる単一電源モードとも呼ばれる。
【0090】
図6は、関連技術におけるECG検出機能を有するウォッチの等価回路図である。
図6を参照すると、正電源回路を使用するウォッチについて、正電源回路によって提供されるシステム正電位がVccである場合、基準電源端VRによって第2演算増幅器AMP2の同位相入力端に提供される電位Vrefはシステム正電位Vccの半分であり得る。すなわち、VREFはVref=Vcc/2を満たす。ECG検出中に、INAの逆位相入力端の電位はV1であり、INAの同位相入力端の電位はV2であり、INAのディファレンシャルモード出力端によって出力されるディファレンシャルモード電圧Vdmは、Vdm=V2-V1を満たすと想定される。INAのコモンモード出力端によって第2演算増幅器AMP2の逆位相入力端に出力されるコモンモード電圧Vcmは、Vcm=(V1+V2)/2を満たす。
【0091】
第2演算増幅器AMP2が正常に動作するとき、第2演算増幅器AMP2の同位相入力端および逆位相入力端は共に均等に短絡される(仮想ショートとも称される)。したがって、コモンモード電圧Vcmは、基準電源端VRによって提供される電位Vrefとほぼ等しいことがあり得、すなわち、Vcm≒Vref=Vcc/2である。すなわち、INAの逆位相入力端の電位V1および同位相入力端の電位V2が変動する場合でも、負帰還回路である第2演算増幅器AMP2はまた、コモンモード電圧Vcmに基づいて第2演算増幅器AMP2の出力端の基準電位V3を調節して、V1およびV2を調節し得る。最後に、INAの同位相入力端と逆位相入力端との間のコモンモード電圧Vcmは、基準電源端VRの電位Vrefとほぼ等しい範囲に維持され得る。
【0092】
ECG検出が実行されるとき、人間の皮膚は、第1電極P1、第2電極P2および第3電極P3に別々に接触する。したがって、
図6に示されるように、接触インピーダンスZ1およびハーフバッテリ電圧e1は、人間の皮膚と第1電極P1との間の接触面上で生成され、接触インピーダンスZ2およびハーフバッテリ電圧e2は、皮膚と第2電極P2との間の接触面上で生成され、接触インピーダンスZ3およびハーフバッテリ電圧e3は、皮膚と第3電極P3との間の接触面上で生成される。電極は金属であるが、人体の皮膚は非金属である。したがって、皮膚が電極と接触した後に、皮膚と電極との間の接触面は互いに相互作用して電圧を生成し、電圧はハーフバッテリ電圧である。
【0093】
人体の電位はV0(実験によれば、概してVcc/2にほぼ等しい)であり、人体によって生成されるECG信号、ならびに、人体の内部抵抗R1およびR2は無視されると想定する。この場合、INAの逆位相入力端の電位V1は、V1=V0+e1を満たし得、INAの同位相入力端の電位V2はV2=V0+e2を満たし得る。第2演算増幅器AMP2の出力端の基準電位V3はV3=V0+e3を満たし得る。
【0094】
上述の解析から、ユーザの指がハウジングに偶発的に接触し、第3電極P3をハウジングと導通させ、ハウジングが接地される、すなわち、ハウジングの電位が0Vであるとき、
図6に示されるように、第2演算増幅器AMP2の出力端の電位は基準電位V3であるので、第2演算増幅器AMP2の出力端とハウジングとの間に電位差があり、第2演算増幅器AMP2の出力端およびハウジングの両方の抵抗値は小さいことが分かる。リーク電流I
bの経路が第2演算増幅器AMP2の出力端とハウジングとの間に形成される。リーク電流I
bが人体の内部抵抗R2を通過するとき、INAの同位相入力端と逆位相入力端との間に過渡電圧が形成される。結果として、プロセッサは、ベースラインドリフトが心電図において発生することを検出する。加えて、より大きいリーク電流I
bは、より明白なベースラインドリフトを示す。
【0095】
加えて、ユーザがウォッチを着用しているとき、人体によって生成された汗も、第3電極P3をハウジングに導通させ得、その結果、リーク電流Ibが第2演算増幅器AMP2の出力端とハウジングとの間に生成される。この場合、汗が浸透したハウジングおよび電極上、または、汗が浸透してハウジングに電気的に接続された別の金属コンポーネント(例えば、ネジ)上のリーク電流Ibの作用で電気化学反応が発生し、腐食が発生する。加えて、より大きいリーク電流Ibは、より速い腐食速度を示す。
【0096】
しかしながら、本願の本実施形態において、電圧ホルダ回路30は、ハウジング10に目標電位を提供し、その結果、ハウジング10の電位と、心電図検出回路20によって第3電極P3に提供される基準電位V3との間の電位差は小さいことがあり得る。したがって、ユーザの偶発的接触または汗の浸透に起因してハウジング10が第3電極P3と導通する場合でも、ハウジング10と第3電極P3との間にリーク電流が生成されないか、または、ハウジング10と第3電極P3との間に小さいリーク電流が生成される。これによりECG検出の正確度を確実にできる。
【0097】
本願の本実施形態の実装において、電圧ホルダ回路30は電圧フォロワ回路であり得る。電圧フォロワ回路30の入力端は電圧ホルダ回路の入力端として機能し、電位プロバイダに接続され、電圧フォロワ回路30の出力端は電圧ホルダ回路の出力端として機能し、ハウジング10に接続される。電圧フォロワ回路30は、電圧フォロワ回路30の入力端(電位プロバイダに接続される)の電位に従うよう構成され、その結果、電圧フォロワ回路30の出力端の電位(ハウジングに出力される)は、可能な限り、入力端の電位と一致する。このようにして、ハウジング10の電位は、電位プロバイダの目標電位と実質的に一致するよう制御され得る。
【0098】
実装において、
図4および
図5に示されるように、電位プロバイダは第3電極P3、すなわち、右脚駆動サブ回路202の出力端O2、または、第2演算増幅器AMP2の出力端であり得る。対応して、電圧フォロワ回路30は、第2演算増幅器AMP2の出力端の基準電位V3と実質的に一致するようにハウジング10の電位を制御し得、すなわち、目標電位は基準電位V3である。
【0099】
代替的に、
図7に示されるように、電位プロバイダは第1電極P1、すなわち、検出サブ回路201の第1入力端IN11、またはINAの逆位相入力端であり得る。対応して、電圧フォロワ回路30は、INAの逆位相入力端の電位と実質的に一致するようにハウジング10の電位を制御し得る。すなわち、目標電位はV1である。
【0100】
代替的に、
図8に示されるように、電位プロバイダは第2電極P2、すなわち、検出サブ回路201の第2入力端IN12、またはINAの同位相入力端であり得る。対応して、電圧フォロワ回路30は、INAの同位相入力端の電位と実質的に一致するようにハウジング10の電位を制御し得る。すなわち、目標電位はV2である。
【0101】
代替的に、
図9に示されるように、電位プロバイダは、検出サブ回路201のコモンモード出力端O1、すなわち、INAのコモンモード出力端であり得る。対応して、電圧フォロワ回路30は、INAのコモンモード出力端O1の電位と実質的に一致するようにハウジング10の電位を制御し得る。すなわち、目標電位はVcmである。
【0102】
INAのコモンモード出力端は第2演算増幅器AMP2の逆位相入力端に接続されるので、電位プロバイダは代替的に第2演算増幅器AMP2の逆位相入力端であり得る。
【0103】
本願の本実施形態において、電圧フォロワ回路30は、電圧フォロウイング機能を有し、その結果、ハウジング10の電位は、電位プロバイダの目標電位と実質的に一致するように制御できる。ハウジング10の電位が電位プロバイダの目標電位と実質的に一致するよう制御されることは、ハウジング10の電位と電位プロバイダの目標電位との間の電位差が、エンジニアリング仕様によって許容された誤差範囲内になるように制御されることを意味する。完全な一貫性は必要とされないことがあり得、特定の誤差は許容され得る。例えば、目標電位と基準電位との間の電圧差が特定の値(例えば、10uv)であるが、リーク電流がこの時点において抑制でき、電位差が製品のエンジニアリング仕様要件を満たす場合、この設計も許容可能である。概して、誤差範囲の大きさのオーダはuvレベルまたはmvレベルであり得る。
【0104】
電位プロバイダが第3電極P3であるとき、すなわち、目標電位が基準電位V3であるとき、ハウジング10の電位は第3電極P3の電位と一致する。したがって、第3電極P3がハウジング10と導通する場合でも、第3電極P3とハウジング10との間にリーク電流が生成されない。この場合、リーク電流に対する抑制がより良くなる。
【0105】
図10は、本願の実施形態による心電図検出回路における端末の電位の概略図である。
図10における縦軸は、電位値を表し、水平軸は実際の意味を有しない。
図10および上述の解析から、第2演算増幅器AMP2が正常に動作するとき、第2演算増幅器AMP2は負帰還回路として機能し、その結果、INAのコモンモード出力端O1によって出力されるコモンモード電圧Vcmは、基準電源端VRによって提供される電位Vrefとほぼ等しく、Vref=Vcc/2であることが分かる。したがって、コモンモード電圧Vcmは、Vcm≒Vcc/2を満たすと推定できる。INAのコモンモード出力端O1によって出力されたコモンモード電圧Vcmは、INAの逆位相入力端の電位V1およびINAの同位相入力端の電位V2の平均値、すなわち、Vcm=(V1+V2)/2である。したがって、INAの逆位相入力端の電位V1およびINAの同位相入力端の電位V2は、V1+V2=2Vcm=Vccを満たすと推定される。
【0106】
第2電極P2および第3電極P3の両方は心電図検出デバイス000の第1外側表面上に配置され、2つの電極の形状は同一であるので、ハーフバッテリ電圧e2およびe3は近い。したがって、電位V2と基準電位V3との間の電位差ΔV1は小さい。第1電極P2は心電図検出デバイス000の第2外側表面上に配置され、第1電極P2および第3電極P3の形状は概して異なるので、ハーフバッテリ電圧e1とe3との間に特定の差がある。したがって、電位V1と基準電位V3との間の電位差ΔV2はΔV1よりわずかに大きい。さらに、Vcm=(V1+V2)/2であるので、コモンモード電圧Vcmと基準電位V3との間の電位差ΔV3は、電位差δ1より大きく、電位差ΔV2より小さい。
【0107】
上述の説明に基づいて、電位プロバイダの電位がそれぞれV1、V2、V3およびVcmであるとき、リーク電流の抑制は、電位V3でもっとも有効であり、電位V2、次に電位Vcm、最後に電位V1で効果が減少することが決定され得る。
【0108】
実装において、
図5および
図7~
図9に示されるように、電圧フォロワ回路30は第1演算増幅器AMP1を含み得る。第1演算増幅器AMP1の同位相入力端は、電圧フォロワ回路30の入力端として機能し、電位プロバイダに接続され得る。第1演算増幅器AMP1の出力端は電圧フォロワ回路30の出力端として機能し得、ハウジング10(すなわち、
図5および
図7~
図9に示される等価抵抗R0)および第1演算増幅器AMP1の逆位相入力端に別々に接続され得る。第1演算増幅器AMP1の出力端はハウジング10に間接的に接続され得る。例えば、
図5および
図7~
図9に示されるように、第1演算増幅器AMP1の出力端は、抵抗器R3を使用することによってハウジング10に接続される。
【0109】
第1演算増幅器AMP1の出力端は、逆位相入力端に接続され、その結果、第1演算増幅器AMP1の出力端の電位は、同位相入力端の電位と共に変化する。すなわち、電圧フォロウイングが実装され得る。加えて、第1演算増幅器AMP1の入力抵抗は高いので(理想的な場合において入力抵抗は無限である)、電位プロバイダの電位に対する影響を回避でき、検出サブ回路201および右脚駆動サブ回路202が正常に動作できることが確実にされる。
【0110】
実装において、
図11に示されるように、閉じられた後、第1演算増幅器AMP1は、合計で3個のポート、すなわち同位相入力端、逆位相入力端および出力端を有し得る。第1演算増幅器AMP1が心電図検出デバイス000に適用されるとき、3個のポートは、対応するコンポーネントに別々に接続され得る。
【0111】
別の実装において、
図12に示されるように、第1演算増幅器AMP1はまた、合計で2つだけのポート、すなわち、同位相入力端および出力端を有するコンポーネントとしてパッケージングされ得る。すなわち、第1演算増幅器AMP1の逆位相入力端は、パッケージング前に出力端に既に接続されている。本実装において、第1演算増幅器AMP1は電圧バッファとも称され得る。対応して、第1演算増幅器AMP1が心電図検出デバイス000に適用されるとき、同位相入力端および出力端は、対応するコンポーネントに別々に接続されるだけでよい。
【0112】
実装において、電圧フォロワ回路30は、複数のカスケードされた第1演算増幅器AMP1を含み得る。代替的に、電圧フォロワ回路30は複数のカスケードされたディスクリートトライオードを含み得る。複数のカスケードトライオードは、演算増幅器の機能を実装し、さらに電圧フォロウイングを実装し得る。演算増幅器の機能を実装するために複数のカスケードされたトライオードを具体的にどのように使用するかは、技術分野における従来技術であり、本願において詳細に説明しない。
【0113】
本願の本実施形態において、各コンポーネント(AMPまたはADCなど)は単に、機能を有する論理回路を表すために使用される。実際の製品において、1または複数の回路は1つのチップにパッケージングされ、統合を増加させ、体積を低減し得る。例えば、検出サブ回路201におけるINAおよび第2演算増幅器AMP2は、1つのチップに統合され得、チップはECGチップとも称され得る。ECGチップのピンは少なくとも、第1電極P1に接続するよう構成される第1入力ピン(すなわち、INAの逆位相入力端)、第2電極P2に接続するよう構成される第2入力ピン(すなわち、INAの同位相入力端)、および、第3電極P3に接続するよう構成される出力ピン(すなわち、AMP2の出力端)を含み得る。当然、ECGチップはさらに、他のピン、例えば、接地されるよう構成されるピン、基準電源端VRに接続するよう構成されるピンを含み得る。第1演算増幅器AMP1の同位相入力端は、ECGチップの第1入力ピン、第2入力ピン、または出力ピンに外部的に接続され得る。第1演算増幅器AMP1は、ECGチップの第1入力ピン、第2入力ピンまたは出力ピンに接続され、その結果、従来のECGチップも、本願の本実施形態において提供される心電図検出デバイスに適用され得る。これにより、心電図検出デバイスの互換性を効率的に改善する。
【0114】
代替的に、検出サブ回路201におけるINA、第2演算増幅器AMP2および第1演算増幅器AMP1はすべて、ECGチップに統合され得る。この場合、ECGチップのピンはさらに、ハウジング10に接続するよう構成される出力ピンを含み得る。INA、AMP2およびAMP1はすべて、ECGチップに統合され、その結果、心電図検出デバイスにおける電子コンポーネントの統合を効率的に改善でき、電子コンポーネントの体積を低減できる。
【0115】
代替的に、検出サブ回路201におけるINA、第2演算増幅器AMP2、ADCおよび第1演算増幅器AMP1はすべて、ECGチップに統合され得る。
【0116】
代替的に、検出サブ回路201におけるINA、第2演算増幅器AMP2、ADC、プロセッサ2011および第1演算増幅器AMP1はすべて、ECGチップに統合され得る。
【0117】
図13を参照すると、本願の実施形態は電圧ホルダ回路30の別の実装を提供する。本実施形態において、電圧ホルダ回路30は電圧レギュレータ回路であり、電圧レギュレータ回路は電圧レギュレータ(regulator)とも称され、すなわち、入力が変化するときに安定的な電圧を出力するよう構成され得る。電圧レギュレータ回路30の入力端は、電圧ホルダ回路の入力端として機能し、電源出力端VCCに接続され得る。電圧レギュレータ回路30の出力端は、電圧ホルダ回路の出力端として機能し、ハウジング10(すなわち、
図13に示される等価抵抗R0)に接続される。電圧レギュレータ回路30は、電源出力端VCCの駆動下でハウジング10に目標電位を提供するよう構成され得る。
【0118】
電圧レギュレータ回路30は目標電位を提供するために使用される。電源出力端VCCの電位は適切に設計され得、その結果、電圧レギュレータ回路30によってハウジング10に提供される目標電位は、基準電位とほぼ等しい。これにより、リーク電流の抑制を確実にできる。
【0119】
心電図検出回路20によって第3電極P3に提供される基準電位V3は、心電図検出回路20における第2演算増幅器AMP2に接続される基準電源端VRの電位Vrefに近いので、電圧レギュレータ回路30によってハウジング10に提供される目標電位は、基準電源端VRの電位Vrefに等しいことがあり得る。具体的には、
図13に示されるように、電圧レギュレータ回路30によってハウジング10に提供される目標電位はVcc/2であり得る。
【0120】
図14は、本願の実施形態による、さらに別の心電図検出デバイスの等価回路図である。
図14に示されるように、電圧レギュレータ回路30はLDOであり得る。リニアレギュレータと比較して、LDOは、低いノイズおよび小さい静電流などの利点を有する。
【0121】
実装において、
図5、
図7~
図9、および
図14を参照すると、心電図検出デバイス000はさらに、ハウジング10に配置され、かつ、ハウジング10と電圧ホルダ回路30の出力端(例えば、電圧フォロワ回路の出力端または電圧レギュレータ回路の出力端)との間に直列に接続された抵抗器R3を含み得る。
【0122】
抵抗器R3は、ハウジング10と電圧ホルダ回路30の出力端との間に直列に接続され、その結果、リーク電流の経路上の抵抗をさらに増加でき、リーク電流を効率的に低減できる。これによりECGのベースラインドリフトをさらに可能な限り低減でき、ECG検出の信頼性を確実にできる。
【0123】
図5、
図7~
図9、および
図14に示されるように、心電図検出デバイス000はさらに、ハウジング10内に配置され、かつ、抵抗器R3に並列に接続されるキャパシタCを含み得る。並列に接続されるキャパシタCおよび抵抗器R2は、抵抗器-キャパシタネットワークとも称され得る。キャパシタCは、電磁干渉(electromagnetic interference, EMI)および静電気放電(electrostatic discharge, ESD)に効率的に耐えることができる。
【0124】
本願の本実施形態において、抵抗器R3の抵抗値およびキャパシタCの静電容量値は、適用シナリオの要件に基づいて柔軟に設定され得る。例えば、心電図検出デバイス000が、ウォッチまたはバンドなどのウェアラブルデバイスである場合、抵抗器R3の抵抗値の大きさのオーダは、メガオーム(MΩ)レベルであり得、キャパシタCの静電容量値の大きさのオーダは、ピコファラッド(pF)レベルであり得る。例えば、抵抗器R3の抵抗値は10MΩであり得、キャパシタCの静電容量値は47pFであり得る。
【0125】
本願の本実施形態において、
図5、
図7~
図9および
図14に示されるように、心電図検出デバイス000はさらに、ハウジング10に配置されるESD回路50を含み得る。ESD回路50の一端はハウジング10に接続され得、他端は接地され得る。
【0126】
ESD回路50は、心電図検出デバイス000における各コンポーネントがESDの影響に起因して損傷することを防止できる。これにより、心電図検出デバイスのESD性能を効率的に改善できる。
【0127】
実装において、ESD回路50は、ダイオードを含み得、例えば、TVSを含み得る。TVSの一方の電極はハウジング10に接続され得、他方の電極は接地され得る。
【0128】
高効率保護デバイスであるTVSは、高速応答、高い過渡電力、小さいリーク電流、小さいブレークダウン電圧偏差、制限電圧の容易な制御、損傷限界無し、および小さいサイズという利点を有する。TVSは、心電図検出デバイスにおける各コンポーネントを効率的に保護し、各コンポーネントがサージパルスによって損傷することを防止できる。
【0129】
実装において、
図15に示されるように、本願の本実施形態において提供される心電図検出デバイス000はさらに、ハウジング10内に配置される正電源回路60を含み得る。正電源回路60は電源出力端VCCを有する。正電源回路60は、電源出力端VCCを使用することによって心電図検出回路20および電圧ホルダ回路30に電力を供給し得る。
【0130】
ADCの入力端の前に接続される、心電図検出回路20における回路(例えば、
図5、
図7~
図9、および
図14に示されるINAおよび第2演算増幅器AMP2)は、アナログフロントエンド(analog front end, AFE)と称され得る。AFEは、結合されたアナログ信号(すなわち、ECG信号)を増幅し、アナログ‐デジタル変換処理のためにアナログ信号をADCへ送信し得る。本願の本実施形態において提供される正電源回路60は、心電図検出回路20および電圧ホルダ回路30におけるAFEにシングル電源を提供し得る。
【0131】
シングル電源とは、あるタイプの電源(例えば、正電源)が、アナログ回路に電力供給するために使用されることを意味し、正および負電源によって形成されるデュアル電源とは区別される。シングル電源は通常、正電源によって電力供給される。加えて、実装を容易にするために、正電源(例えば、1.8V電源または2.5V電源)が通常使用される。当然、実際には、複数の正電源がアナログ回路に同時に電力を供給することに限定されない。例えば、正電源回路60は2つの出力を含み得る。1つはVcc(例えば、1.8V)を出力し、他方はVcc/2を出力する。
【0132】
本願の本実施形態において、心電図検出回路20におけるデジタル回路(ADCおよびプロセッサなど)の電源モードは限定されず、様々な既存の電源モードが電源に使用され得る。例えば、電源回路60は代替的に電力を供給し得る。
【0133】
実装において、
図15に示されるように、正電源回路60はバッテリ601および電源管理回路602を含む。電源管理回路602は電源管理集積回路(power management integrated circuit, PMIC)であり得る。電源管理回路602は、バッテリ601によって提供される電位をシステム正電位Vccに変換し、次に、システム正電位Vccを電源出力端VCCに出力し得る。例えば、バッテリ601によって提供される電位は3.8Vであり得る。電源管理回路602は、3.8Vの電位を1.8Vまたは2.5Vに変換し、次に、1.8Vまたは2.5Vの電位を電源出力端VCCに提供し得る。すなわち、電源出力端VCCによって提供されるシステム正電位Vccは、1.8Vまたは2.5Vである。
【0134】
本願の本実施形態において、心電図検出回路20はさらに、電圧変換回路(不図示)を含み得、電圧変換回路は、電源出力端VCCおよび基準電源端VRに別々に接続される。電圧変換回路は、電源出力端VCCによって出力されたシステム正電位VccをVcc/2に変換し、次に、Vcc/2を基準電源端VRに提供し得る。電圧変換回路はECGチップに統合され得る。電圧変換回路の実装は従来技術であり、詳細は本願において説明されない。
【0135】
正電源回路の回路構造は単純であり、コストは低い。したがって、正電源回路は、本願の本実施形態において提供される心電図検出デバイスにおいて使用される。これにより、心電図検出デバイスの回路構造の複雑性およびシステム全体のコストを効率的に低減できる。
【0136】
例えば、
図5、
図7~
図9、および
図14を参照すると、正電源回路60は、電源出力端VCCを使用することによって、電圧ホルダ回路30における第1演算増幅器AMP1またはLDOにシステム正電位Vccを提供し、心電図検出回路20におけるINAにシステム正電位Vccを提供し得る。
【0137】
実装において、本願の本実施形態において提供される心電図検出デバイス000はウェアラブルデバイスであり得る。例えば、デバイスは、ウォッチ、バンド、もしくはアンクレットなどの手首着用デバイスであり得るか、または、アームバンドデバイスであり得るか、または、スマートグラスもしくはヘッドマウントディスプレイデバイスであり得る。
【0138】
ウォッチまたはバンドなどのウェアラブルデバイスは心電図検出デバイスとして使用され、その結果、ユーザはユーザの心電図信号をリアルタイムに検出できる。これにより、心電図信号検出の柔軟性を改善する。
【0139】
心電図検出デバイスがウォッチまたはバンドであるシナリオにおいて、
図2および
図16に示されるように、ハウジング10は、ウォッチまたはバンドのウォッチハウジング(ミドルフレームとも称され得る)であり得る。ウォッチまたはバンドはさらに、底部カバー40およびディスプレイ画面70を含み得る。ウォッチハウジング10、底部カバー40およびディスプレイ画面70は、閉じられた空洞を形成し得る。心電図検出回路20および電圧ホルダ回路30は空洞内に配置され得る。ディスプレイ画面70はタッチディスプレイ画面であり得る。
【0140】
加えて、第2電極P2および第3電極P3は、底部カバー40の外側、すなわち、ディスプレイ画面70から離れた、底部カバー40の側に配置され得る。第1電極P1は、ウォッチハウジング10の外側上に配置され得る。例えば、
図16を参照すると、ウォッチクラウン80は、ウォッチハウジング10の外側上に配置され得、第1電極P1は、ウォッチクラウン80上に配置され得る。
【0141】
ユーザの1つの手(例えば左手)がウォッチまたはバンドを着用するとき、第2電極P2および第3電極P3は、ユーザの手首の皮膚に接触し得る。ECG検出を実行する必要があるとき、ユーザは、別の手の指(例えば、右手の指)で第1電極P1に接触し得、心電図検出回路20はさらに、第1電極P1および第2電極P2を使用することによって、ユーザの心電図信号を収集し得る。
【0142】
結論として、本願の実施形態は心電図検出デバイスを提供する。心電図検出デバイスのハウジングは導電材料からできていてよい。加えて、心電図検出デバイスは、ハウジングに目標電位を提供するよう構成される電圧ホルダ回路を含み得る。電圧ホルダ回路によって提供される目標電位と、心電図検出回路によって第3電極に提供される基準電位との間の電位差は小さい。したがって、ECG検出プロセスにおいて、ユーザがハウジングに偶発的に接触して、ハウジングを第3電極に導通させた場合でも、ハウジングと第3電極との間にリーク電流は生成されないか、または、ハウジングと第3電極との間に小さいリーク電流が生成される。これにより、ECG信号への干渉を効率的に低減し、ECG検出の正確度を確実にできる。
【0143】
本願の本実施形態において提供される解決策において、ハウジングと第3電極との間の電位差は、電圧ホルダ回路を追加することによって低減され得る。したがって、心電図検出デバイスのハウジングの絶縁性能に対する要件を下げることができる。このようにして、ECG検出に対する、偶発的な指の接触または汗の浸透の影響は、システム全体のハウジングの製造プロセス、および、心電図検出回路の電源アーキテクチャを変化させることなく、効率的に低減することができる。
【0144】
上述の実施形態に基づいて、本願の実施形態はさらに、心電図検出デバイスに適用される検出回路0000を提供する。心電図検出デバイスは、導電材料からできているハウジングを含む。
図17に示されるように、検出回路0000は、第1入力ピンJ1、第2入力ピンJ2、第1出力ピンJ3および第2出力ピンJ4を含む。
【0145】
第1入力ピンJ1は、第1電極に接続するよう構成される。第2入力ピンJ2は、第2電極に接続するよう構成される。第1出力ピンJ3は、第3電極に接続するよう構成される。検出回路0000は、第1入力ピンJ1および第2入力ピンJ2を使用することによって心電図信号を収集し、第1出力ピンJ3を使用することによって第3電極に基準電位を提供するよう構成される。第1電極、第2電極および第3電極はすべて、心電図検出デバイスのハウジングの外に配置され、ハウジングから絶縁される。
【0146】
第2出力ピンJ4は、心電図検出デバイスのハウジングに接続するよう構成される。検出回路0000はさらに、第2出力ピンJ4を使用することによって、ハウジングに目標電位を提供するよう構成される。目標電位と基準電位との間の電位差は差分閾値より小さい。例えば、目標電位は基準電位に等しいか、または近い。
【0147】
本願の本実施形態において、ピンに加えて、検出回路0000はさらに、心電図信号を収集するよう構成される回路、基準電位を提供するよう構成される回路、および、目標電位を提供するよう構成される回路を含む。
【0148】
実装において、
図17に示されるように、検出回路0000は電圧ホルダ回路100を含み得る。電圧ホルダ回路100の出力端O3は第2出力ピンJ4に接続される。電圧ホルダ回路100の入力端IN3は、電位プロバイダに接続するよう構成される。電圧ホルダ回路100は、入力端IN3の入力信号に基づいて出力端O3で目標電位を出力するよう構成される。
【0149】
実装において、
図18に示されるように、検出回路0000はさらに電源ピンJ5を含む。電源ピンJ5は電源出力端VCCに接続するよう構成される。電圧ホルダ回路100の入力端IN3に接続される電位プロバイダは、第1電極、または第2電極、または第3電極、または電源出力端VCCであり得る。
【0150】
実装において、電位プロバイダは第1電極、または第2電極、または第3電極である。電圧ホルダ回路100は電圧フォロワ回路である。電圧フォロワ回路100の出力端O3は、電圧ホルダ回路の出力端として機能し、第2出力ピンJ4に接続され、電圧フォロワ回路100の入力端IN3は、電位プロバイダに接続するよう構成される。例えば、
図7に示される電圧フォロワ回路100の入力端IN3は、電圧ホルダ回路の入力端として機能し、第1出力ピンJ3に接続される。すなわち、電圧フォロワ回路100の入力端IN3は第3電極に接続するよう構成される。電圧フォロワ回路100は、電位プロバイダの目標電位と実質的に一致するように第2出力ピンJ4の電位を制御するよう構成される。
【0151】
さらに
図17を参照すると、検出回路0000はさらに心電図検出回路200を含む。心電図検出回路200は検出サブ回路2001および右脚駆動サブ回路2002を含み得る。検出サブ回路2001の第1入力端IN11は第1入力ピンJ1に接続される。検出サブ回路2001の第2入力端IN12は第2入力ピンJ2に接続される。検出サブ回路2001のコモンモード出力端O1は、右脚駆動回路200の第1入力端IN21に接続される。検出サブ回路2001は、心電図信号を収集し、第1入力端IN11と第2入力端IN12との間のコモンモード電圧を右脚駆動サブ回路2002に出力するよう構成される。
【0152】
右脚駆動サブ回路2002の第2入力端IN22は基準電源端VRに接続される。右脚駆動サブ回路2002の出力端O2は第1出力ピンJ3に接続される。右脚駆動サブ回路2002は、コモンモード電圧および基準電源端VRの駆動下で第1出力ピンJ3に基準電位を提供するよう構成される。
【0153】
代替的に、電圧フォロワ回路100の入力端IN3に接続される電位プロバイダは、検出サブ回路2001のコモンモード出力端O1であり得る。
【0154】
検出サブ回路2001の構造は、上述の実施形態における検出サブ回路201の構造と同一であり得、右脚駆動サブ回路2002の構造は、上述の実施形態における右脚駆動サブ回路202の構造と同一であり得る。したがって、ここでは詳細を再度説明しない。
【0155】
実装において、検出回路0000はさらに、電圧変換回路を含み得、電圧変換回路は、電源ピンJ5および基準電源端VRに別々に接続される。電圧変換回路は、電源ピンJ5に接続される電源出力端VCCによって出力されるシステム正電位VccをVcc/2に変換し、次に、Vcc/2を基準電源端VRに提供し得る。
【0156】
実装において、電圧フォロワ回路100は第1演算増幅器AMP1を含み得る。第1演算増幅器AMP1の同位相入力端は電圧フォロワ回路100の入力端として機能し、電位プロバイダに接続される。第1演算増幅器AMP1の出力端は、電圧フォロワ回路100の出力端として機能し、第2出力ピンJ4および第1演算増幅器AMP1の逆位相入力端に別々に接続される。電圧フォロワ回路100の構造については、上述の実施形態を参照されたい。ここでは、詳細について改めて説明しない。
【0157】
別の実装において、電位プロバイダは電源出力端VCCである。電圧ホルダ回路100は電圧レギュレータ回路である。
図18に示されるように、電圧レギュレータ回路100の入力端IN3は、電圧ホルダ回路の入力端として機能し、電源ピンJ5に接続される。電圧レギュレータ回路100の出力端O3は、電圧ホルダ回路の出力端として機能し、第2出力ピンJ4に接続される。電圧レギュレータ回路100は、電源ピンJ5に接続された電源出力端VCCの駆動下で、第2出力ピンJ4に目標電位を提供するよう構成される。電圧レギュレータ回路はLDOであり得る。
【0158】
本願の本実施形態において、
図19に示されるように、検出回路0000はさらに、第2出力ピンJ4と電圧ホルダ回路100との間に直列に接続される抵抗器R3を含み得る。
【0159】
実装において、検出回路0000はさらに、抵抗器R3に並列に接続されるキャパシタCを含む。
【0160】
実装において、検出回路0000はさらに、ESD回路300を含む。ESD回路300の一端は第2出力ピンJ4に接続され、他端は接地される。
【0161】
実装において、ESD回路300はTVSを含む。TVSの一方の電極は、第2出力ピンJ4に接続され、TVSの他方の電極は接地される。
【0162】
ESD回路300における抵抗器R3、キャパシタC、およびTVSの機能については、上述の実施形態を参照されたい。ここでは、詳細について改めて説明しない。
【0163】
実装において、検出回路は集積回路(integrated circuit, IC)であり得、検出回路に含まれる回路は同一チップにパッケージングされ得る。パッケージングチップの体積は小さいので、チップを使用する心電図検出デバイスの体積の増加を回避できる。すなわち、検出回路は小さい心電図検出デバイスに適用され得る。
【0164】
結論として、本願の実施形態は、心電図検出デバイスに適用される検出回路を提供する。検出回路によって心電図検出デバイスのハウジングに提供される目標電位と、心電図検出デバイスの第3電極に提供される基準電位との間の電位差は小さい。したがって、ECG検出プロセスにおいて、ユーザがハウジングに偶発的に接触して、ハウジングを第3電極に導通させた場合でも、ハウジングと第3電極との間にリーク電流は生成されないか、または、ハウジングと第3電極との間に小さいリーク電流が生成される。これにより、ECG信号への干渉を効率的に低減し、ECG検出の正確度を確実にできる。
【0165】
前述の説明は、本願の任意選択の実施形態に過ぎず、本願を限定することを意図するものではない。本願において開示された技術的範囲内で当業者が容易に考え出すあらゆる修正または置き換えは、本願の保護範囲に含まれることになる。したがって、本願の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【国際調査報告】