(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】表示パネル、表示装置、および表示パネルの準備方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230628BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20230628BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20230628BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230628BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20230628BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20230628BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20230628BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20230628BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20230628BHJP
H01L 33/06 20100101ALI20230628BHJP
H01L 33/44 20100101ALI20230628BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20230628BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/33
G09F9/30 339Z
G09F9/30 349C
G09F9/302 C
G09F9/00 338
G09F9/00 346A
H01L33/00 L
H01L33/58
H01L33/50
H01L33/60
H01L33/62
H01L33/06
H01L33/44
H01L33/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575831
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2021099469
(87)【国際公開番号】W WO2021249497
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】202010522792.4
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ク、シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ、ユフェン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ジンユ
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5F241
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA05
5C094AA43
5C094AA44
5C094BA25
5C094BA32
5C094CA20
5C094CA24
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5C094DB04
5C094EA04
5C094EA07
5C094ED03
5C094ED11
5C094ED15
5C094FB15
5C094HA08
5F142AA56
5F142AA82
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5G435FF13
5G435GG12
5G435HH06
5G435KK05
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
(57)【要約】
本願は、表示パネル、表示装置、および表示パネルの準備方法を提供する。表示パネルは複数のピクセルユニットを含み、各ピクセルユニットは少なくとも3つのカラーサブピクセルを含む。ピクセルユニットの全サブピクセルは、パッシベーション層によって1つのピクセルユニットにパッケージングされている。パッシベーション層でのパッケージングおよび移載がピクセルユニットごとに行われる。これにより、単一のサブピクセルを移載する場合と比較して、ピクセル移載回数が大幅に減り、移載プロセスにおける製品損傷の確率が低減するので、生産効率および製品歩留まりを改善するのに役立つ。さらに、各ピクセルユニットの全サブピクセルが、1つの電極を共有してよく、具体的には、ピクセルユニットのサブピクセルの一端がそれぞれ1つの第1電極に接続され、ピクセルユニットのサブピクセルの他端が1つの第2電極を共有する。これにより、表示パネルの総電極数を減らし、ピクセルユニットを駆動回路付き基板に移載するときに溶接させる必要がある電極の数を減らし、プロセス効率を改善し、表示パネルの歩留まりも改善することが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピクセルユニットを備える表示パネルであって、前記複数のピクセルユニットが少なくとも3つのカラーサブピクセルを有し、前記少なくとも3つのカラーサブピクセルがパッシベーション層によって1つのピクセルユニットにパッケージングされており、前記ピクセルユニットの前記少なくとも3つのカラーサブピクセルの一端がそれぞれ1つの第1電極に接続されており、前記ピクセルユニットの前記少なくとも3つのカラーサブピクセルの他端が1つの第2電極を共有している、表示パネル。
【請求項2】
前記少なくとも3つのカラーサブピクセルのそれぞれが少なくとも2つのサブサブピクセルを含み、前記少なくとも2つのサブサブピクセルが並列に配置されている、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記ピクセルユニットが少なくとも赤色サブピクセルおよび緑色サブピクセルを有し、赤色サブピクセルの数が緑色サブピクセルの数より多くてよい、請求項1または2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記少なくとも3つのカラーサブピクセルの周辺部にアルミニウムの遮光隔壁が配置され得る、請求項1から3のいずれか一項に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記アルミニウムの遮光隔壁が前記少なくとも3つのカラーサブピクセルの前記第1電極または前記第2電極に接続され得る、請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記ピクセルユニットがLED層およびカラー機能層を有し、前記LED層が、連続して配置されたN型領域層、マルチ量子井戸層、およびP型領域層を含み、
前記ピクセルユニットの隣り合ったサブピクセルにおいて、前記マルチ量子井戸層と前記P型領域層との間に遮光隔壁があり、前記ピクセルユニットの前記N型領域層が一体型のN型領域層である、または
前記ピクセルユニットの隣り合ったサブピクセルにおいて、前記マルチ量子井戸層と前記N型領域層との間に遮光隔壁があり、前記ピクセルユニットの前記P型領域層が一体型のP型領域層であり得る、
請求項1から5のいずれか一項に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記ピクセルユニットがLED層およびカラー機能層を有し、前記LED層の、前記カラー機能層から離れた面に反射層を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記ピクセルユニットがLED層およびカラー機能層を有し、前記LED層の、前記カラー機能層と向かい合う面に第2の分布ブラッグ反射層を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の表示パネル。
【請求項9】
中間フレームと、リアハウジングと、プリント回路基板と、請求項1から8のいずれか一項に記載の表示パネルとを備える表示装置であって、
前記中間フレームが、前記プリント回路基板および前記表示パネルを支えるように構成されており、前記プリント回路基板および前記表示パネルが前記中間フレームの2つの面に配置されており、前記リアハウジングが、前記プリント回路基板の、前記中間フレームから離れた面に取り付けられている、
表示装置。
【請求項10】
ウェーハを準備する段階であって、前記ウェーハがLED層を有する、準備する段階と、
前記LED層の表面にカラー機能層を準備して、複数色のサブピクセルを形成する段階と、
切削によってピクセルユニット間に隔壁を取得して、複数の独立したピクセルユニットを形成する段階であって、前記ピクセルユニットが少なくとも3色のサブピクセルを有する、形成する段階と、
前記ピクセルユニットの外面にパッシベーション層を準備し、前記ピクセルユニットの各サブピクセルをパッケージングする段階と、
前記パッシベーション層を有するピクセルユニットを駆動回路付き基板に移載する段階と
を備える、表示パネルの準備方法。
【請求項11】
ウェーハを準備する前記段階が、
前記基板の表面に前記LED層を準備する段階であって、前記LED層の、前記基板から離れた面が反射層である、準備する段階と、
前記反射層の、前記基板から離れた表面に第1電極および第2電極を形成する段階と
を有する、
請求項10に記載の表示パネルの準備方法。
【請求項12】
ウェーハを準備する前記段階が、
前記LED層の、前記カラー機能層と向かい合う面に第2の分布ブラッグ反射層を準備する段階を有する、
請求項10または11に記載の表示パネルの準備方法。
【請求項13】
ウェーハを準備する前記段階が、
LEDに少なくとも2つの並列したサブLEDが形成されるように、イオン注入プロセスを用いて、各LEDの特定の位置に絶縁層を準備する段階と、
前記LEDに少なくとも2つの並列したサブLEDが形成されるように、各LEDの特定の位置で切削を行う段階と
を有する、
請求項10から12のいずれか一項に記載の表示パネルの準備方法。
【請求項14】
ウェーハを準備する前記段階が、前記LED層を切削して複数のLEDを形成し、LED間にアルミニウムの光隔壁を準備する段階を有し、
前記LED層の表面にカラー機能層を準備して、複数色のサブピクセルを形成する前記段階が、サブピクセル間にアルミニウムの遮光隔壁を準備する段階を有する、
請求項10から13のいずれか一項に記載の表示パネルの準備方法。
【請求項15】
前記アルミニウムの遮光隔壁が前記サブピクセルの第1電極または第2電極に電気的に接続される、請求項14に記載の表示パネルの準備方法。
【請求項16】
ウェーハを準備する前記段階が、
前記LED層を準備する段階であって、前記LED層が、連続して配置されたN型領域層、マルチ量子井戸層、およびP型領域層を含む、準備する段階と、
前記N型領域層および前記マルチ量子井戸層を切削する段階とを有する、または
前記LED層を準備する段階であって、前記LED層が、連続して配置されたN型領域層、マルチ量子井戸層、およびP型領域層を含む、準備する段階と、
前記P型領域層および前記マルチ量子井戸層を切削する段階とを有する、
請求項10から15のいずれか一項に記載の表示パネルの準備方法。
【請求項17】
前記ピクセルユニットが少なくとも赤色サブピクセルおよび緑色サブピクセルを有し、赤色サブピクセルの数が緑色サブピクセルの数より多くてよい、請求項10から16のいずれか一項に記載の表示パネルの準備方法。
【請求項18】
前記ピクセルユニットの前記サブピクセルの一端がそれぞれ1つの第1電極に接続され、前記ピクセルユニットの前記サブピクセルの他端が1つの第2電極を共有している、請求項10から17のいずれか一項に記載の表示パネルの準備方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年6月10日に中国国家知識産権局に出願された「DISPLAY PANEL, DISPLAY APPARATUS, AND PREPARATION METHOD FOR DISPLAY PANEL(表示パネル、表示装置、および表示パネルの準備方法)」と題する中国特許出願第202010522792.4号に基づく優先権を主張し、当該中国特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は表示装置技術の分野に関し、詳細には、表示パネル、表示装置、および表示パネルの準備方法に関する。
【背景技術】
【0003】
表示技術の発展に伴い、数が増え続けるシナリオや装置において、ディスプレイが、表示機能を実装してヒューマン・コンピュータ・インタラクションを容易にするように構成されている。特にモバイル端末では、ディスプレイがほぼ不可欠な機器構成になっている。したがって、表示技術が常に発展を続けている。特にカラー表示技術では、様々な態様における性能が常に改善されており、まだ改善の余地が大いにある。
【0004】
従来の表示技術では、LCD(液晶ディスプレイ)技術およびOLED(有機発光ダイオード)技術が成熟した技術に含まれている。LCDの表示モジュールの光路は複雑で、柔軟な曲げ加工を実現するのが難しく、カラー表示を実現するのに、カラーフィルムをバックライトモジュールと組み合わせて用いる必要がある。したがって、LCDの彩度が高いレベルに達するのは難しい。OLEDの表示モジュールの場合、現時点でもまだ、OLEDの解像度、効率、輝度、および耐用期間を向上させるのが難しいという問題がある。さらに、現時点で、micro-LED(マイクロ発光ダイオード)技術には、光の利用効率、輝度、応答速度、および信頼性に関して一定の利点があり、当業者からますます注目を集めているが、この技術にも問題がいくつかある。
【発明の概要】
【0005】
本願は、表示パネル、表示装置、および表示パネルの準備方法を提供し、LEDウェーハを準備するのにリソグラフィ装置を用いることで、カラー機能層を準備するため、ウェーハ上に高密度ピクセルを準備でき且つ生産コストを削減できるようになる。さらに、本解決手段では、ピクセル移載回数が大幅に減り、移載プロセスにおける製品損傷の確率が低減するので、これが生産効率および製品歩留まりを改善するのに役立つ。
【0006】
第1態様によれば、本願は、表示パネルを提供する。表示パネルは複数のピクセルユニットを含み、各ピクセルユニットは少なくとも3つのカラーサブピクセルを含む。例えば、ピクセルユニットは、表示パネル上でカラー表示を実現するために、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、および青色サブピクセルを含む、またはピクセルユニットは、表示パネルの輝度を向上させるのに役立つように、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、青色サブピクセル、および白色サブピクセルを含んでよい。ピクセルユニットの全サブピクセルは、パッシベーション層によって1つのピクセルユニットにパッケージングされており、これにより、表示パネルを準備するときに、まずLEDウェーハを準備し、次いでLEDウェーハの表面にサブピクセルのカラー機能層を準備する。したがって、本解決手段では、LEDウェーハを準備するのにリソグラフィ装置を用いることで、カラー機能層を準備することが可能になる。この場合、ウェーハ上に高密度ピクセルを準備できるので、生産コストを削減できる。さらに、パッシベーション層でのパッケージングおよび移載がピクセルユニットごとに行われる。これにより、単一のサブピクセルを移載する場合と比較して、ピクセル移載回数が大幅に減り、移載プロセスにおける製品損傷の確率が低減し、これが生産効率および製品歩留まりを改善するのに役立つ。さらに、各ピクセルユニットの全サブピクセルが、1つの電極を共有してよく、具体的には、ピクセルユニットのサブピクセルの一端がそれぞれ1つの第1電極に接続され、ピクセルユニットのサブピクセルの他端が1つの第2電極を共有する。本解決手段では、パッケージングおよび移載がピクセルごとに行われるため、ピクセルユニットの全サブピクセルを共有電極付きの構造に設計することで、表示パネルの総電極数を減らし、ピクセルユニットを駆動回路付き基板に移載するときに溶接させる必要がある電極の数を減らし、プロセス効率を改善し、表示パネルの歩留まりも改善することが可能である。さらに、電極を準備するためのコストも削減できる。
【0007】
具体的には、ピクセルユニットを準備する場合、第1電極はN電極であってよく、第2電極はP電極であってよい。または、第1電極はP電極であり、第2電極はN電極である。これは、本願において具体的に限定されない。
【0008】
サブピクセルを具体的に準備する場合、サブピクセルは少なくとも2つのサブサブピクセルを有してよく、少なくとも2つのサブサブピクセルは並列に配置され、具体的には、各サブピクセルの全サブサブピクセルは、同じグループのN電極およびP電極を共有する。したがって、サブピクセルの1つのサブサブピクセルが断線した場合でも、残りのサブサブピクセルは依然として動作可能であり、電圧が増加するため、サブピクセルの輝度はあまり変化しない。サブピクセルの1つのサブサブピクセルが短絡した場合、短絡したサブサブピクセルを人の手で断線させて開回路を形成できるため、サブピクセルは依然として正常に動作する。本解決手段では、サブピクセルの耐用期間および歩留まりの改善が可能であり、サブピクセルの修復率も増加するので、表示パネルのコストを削減し、ユーザ体験を向上させることができる。
【0009】
ピクセルユニットのサブピクセルは、少なくとも赤色サブピクセルおよび緑色サブピクセルを含み、さらに青色サブピクセルおよび/または白色サブピクセルを含んでもよい。赤色サブピクセルは、サイズが小さい場合、発光効率が低いため、赤色サブピクセルの数を緑色サブピクセルの数より多くすることがある。例えば、サブピクセルは、2つの赤色サブピクセルと、1つの緑色サブピクセルと、1つの青色サブピクセルとを含んでよい。したがって、ピクセルユニットのサブピクセル全ての発光効率を安定させることができるので、表示パネルの彩度が向上する。
【0010】
サブピクセル間の光混合を防ぐために、サブピクセル間に遮光隔壁を配置することがある。具体的には、アルミニウムの遮光隔壁をサブピクセルの周辺部に配置することがある。光を遮蔽することに加えて、アルミニウムの遮光隔壁には特定の光を反射する効果があるので、サブピクセルの輝度および発光効率を改善できる。
【0011】
さらなる技術的解決手段では、アルミニウムの遮光隔壁をサブピクセルの第1電極または第2電極に接続してもよい。アルミニウムの遮光隔壁は電線として機能するので、ピクセルユニットを準備すると、電線設計を簡略化できる。特に、ピクセルユニットの第1電極および第2電極が同じ面に配置される解決手段の場合、アルミニウムの遮光隔壁は、ピクセルユニットの厚さ方向を貫通する電線を代替的に置き替えることで、表示パネルにおけるLEDの占有率を増やし、表示パネルの発光効率および表示効果を改善することが可能である。
【0012】
ピクセルユニットは、LED層およびカラー機能層を含む。LED層は、連続して配置されたN型領域層、マルチ量子井戸層、およびP型領域層を含む。ピクセルユニットの隣り合ったサブピクセルでは、マルチ量子井戸層とP型領域層との間に遮光隔壁があり、ピクセルユニットのN型領域層は、一体型のN型領域層である。本解決手段では、ピクセルユニットの各サブピクセルはN電極を共有できる。N電極とN型領域層とを接続することで、N電極とLEDとの連結構造を簡略化することが可能である。さらに、N電極はピクセルユニットのN型領域層の中央領域に接続されてよく、これにより、ピクセルユニットの電子がサブピクセルのエッジに流れにくくなるので、サブピクセルから電流が漏洩するリスクを減らすことができる。
【0013】
あるいは、別の技術的解決手段において、ピクセルユニットの隣り合ったサブピクセルでは、マルチ量子井戸層とN型領域層との間に遮光隔壁があってよく、ピクセルユニットのP型領域層は一体型のP型領域層であってよい。本解決手段では、P電極が共有電極として機能し、前述した技術的解決手段と同様の技術的効果がある。詳細については、ここで説明しない。
【0014】
ピクセルユニットは、LED層およびカラー機能層を含み、またLED層の、カラー機能層から離れた面に反射層を含む。反射層は、LED層から反射層に放射された光をカラー機能層に反射して、光利用効率を改善できる。反射層は具体的には、第1の分布ブラッグ反射層でも、金属反射層でもよく、要件に従って特定の種類が設計されてよい。
【0015】
第2の分布ブラッグ反射層がさらに、LED層の、カラー機能層と向かい合う面に設けられてよく、第2の分布ブラッグ反射層は、青色光を透過し、赤色光および緑色光を反射して、ピクセルユニットの光電変換効率を改善できる。
【0016】
第2態様によれば、本願はさらに、表示装置を提供する。表示装置は、中間フレーム、リアハウジング、プリント回路基板、および前述した技術的解決手段のいずれか1つにおける表示パネルを含む。表示装置を具体的に取り付けるときに、プリント回路基板および表示パネルは中間フレームの2つの面に配置される。中間フレームは、プリント回路基板および表示パネルを支えるように構成されている。リアハウジングは、プリント回路基板の、中間フレームから離れた面に取り付けられ、具体的には中間フレームに固定されてよい。表示装置の表示パネルのピクセルユニットの全サブピクセルは、パッシベーション層によって1つのピクセルユニットにパッケージングされる。本解決手段では、LEDウェーハを準備するのにリソグラフィ装置を用いることで、ピクセルユニットのカラー機能層を準備することが可能になる。この場合、ウェーハ上に高密度ピクセルを準備できるので、生産コストを削減できる。さらに、パッシベーション層でのパッケージングおよび移載がピクセルユニットごとに行われる。これにより、移載効率が改善し、移載プロセスにおける製品損傷の確率が低減するので、表示装置の歩留まりおよびユーザ体験を改善することが可能となる。各ピクセルユニットの全サブピクセルは1つの電極を共有できるので、表示パネルの総電極数を減らすことができ、ピクセルユニットを駆動回路付き基板に移載するときに溶接させる必要がある電極の数を減らすことができ、プロセス効率を改善でき、表示パネルおよび表示装置の歩留まりも改善できる。
【0017】
第3態様によれば、本願はさらに、表示パネルの準備方法を提供する。この準備方法は以下に挙げる段階を含む。すなわち、ウェーハを準備する段階であって、ウェーハはLED層を含む、準備する段階と、LED層の表面にカラー機能層を準備して、複数色のサブピクセルを形成する段階と、切削によってピクセルユニット間に隔壁を取得して、複数の独立したピクセルユニットを形成する段階であって、ピクセルユニットは少なくとも3色のサブピクセルを含む、形成する段階と、ピクセルユニットの外面にパッシベーション層を準備してピクセルユニットの各サブピクセルをパッケージングする段階と、パッシベーション層を有するピクセルユニットを駆動回路付き基板に移載して、表示パネルを形成する段階とを含む。
【0018】
本解決手段における表示パネルの準備方法では、駆動回路付き基板への移載をピクセルユニットごとに行うことができるので、移載効率を改善でき、ピクセルユニット移載プロセスで引き起こされる損傷を減らすことができ、表示パネルの歩留まりを改善できる。
【0019】
ウェーハを具体的に準備するときに、LED層を基板に形成してよく、次いで第1電極および第2電極を準備し、LED層を切削して独立した各LEDを形成し、続いて、隣り合ったLED間の光混合を防ぐために、LED間に遮光隔壁を準備する。
【0020】
ウェーハを準備した後に、LED層の表面にカラー機能層を準備する。この場合、ウェーハを準備する装置を用いて、カラー機能層を直接準備してよい。これは、準備されるサブピクセルの密度を向上させ、装置への投資を削減し、コストを削減するのに役立つ。
【0021】
ウェーハを準備する段階はさらに、基板の表面にLED層を準備する段階であって、LED層の、基板から離れた面が反射層である、準備する段階と、反射層の、基板から離れた表面に第1電極および第2電極を形成する段階とを含んでよい。
【0022】
反射層をLED層上に準備するので、LEDから放射された光が光放出側へと反射して、光利用効率を改善することが可能である。具体的には、反射層は、金属反射層でも第1の分布ブラッグ反射層でもよい。反射層として第1の分布ブラッグ反射層を選択した場合、短絡問題を考慮する必要がなく、製品信頼性が高い。
【0023】
ウェーハを準備する段階はさらに、LED層の、カラー機能層と向かい合う面に第2の分布ブラッグ反射層を準備する段階を含んでよい。
【0024】
本解決手段では、第2の分布ブラッグ反射層が、青色光を透過して赤色光および緑色光を反射することが可能であるため、ピクセルユニットの彩度を改善できる。
【0025】
さらに、サブピクセルの耐用期間および信頼性を改善するために、ウェーハを準備する段階はさらに、各LEDの特定の位置にイオン注入プロセスを用いて絶縁層を準備する段階を含んでよく、これにより、LEDには少なくとも2つの並列したサブLEDが形成される。本解決手段では、2つのサブLEDが並列に接続される。この場合、サブピクセルの準備が完了すると、サブピクセルには少なくとも2つの並列したサブサブピクセルが形成され得る。したがって、1つのサブサブピクセルが断線または短絡した場合、サブピクセルの別のサブサブピクセルは動作状態を維持できるので、サブピクセルの動作信頼性および耐用期間を向上させることができる。
【0026】
あるいは、少なくとも2つの並列したサブサブピクセルがサブピクセルに形成されるようにするために、ウェーハを準備する段階はさらに、各LEDの特定の位置で切削を行う段階を含んでよく、これにより、LEDには少なくとも2つの並列したサブLEDが形成される。
【0027】
表示パネルを準備するときに、隣り合ったサブピクセルの間にアルミニウムの遮光隔壁をさらに設けてよい。具体的な準備の際には、以下に挙げる段階が実施されてよい。すなわち、ウェーハを準備する段階は、LED層を切削して複数のLEDを形成し、LED間にアルミニウムの光隔壁を準備する段階を含み、LED層の表面にカラー機能層を準備して、複数色のサブピクセルを形成する段階は、サブピクセル間にアルミニウムの遮光隔壁を準備する段階を含む。
【0028】
本解決手段では、アルミニウムの遮光隔壁の表面は光反射率が高い。したがって、サブピクセルから放射された光がアルミニウムの遮光隔壁に達すると、より多くの光がサブピクセルに反射される。これは、サブピクセルの輝度および発光効率を向上させるのに役立つ。
【0029】
アルミニウムの遮光隔壁は、サブピクセルの第1電極または第2電極に電気的に接続されてよい。アルミニウムの遮光隔壁は、導電線として機能する。これにより、ピクセルユニットを準備するときに配置される導電線の数を減らすことができるので、プロセスが簡略化されて、コストが削減される。特に、ピクセルユニットの第1電極および第2電極がサブピクセルの同じ面に配置される場合、第1電極および第2電極の一方を、LED層の厚さ方向を貫通する電線を用いてLED層に接続する必要がある。具体的には、LED層の厚さ方向を貫通する電線に接続する必要がある電極に、アルミニウムの遮光隔壁を電気的に接続してよく、これにより、LED層を貫通する追加の導電線を準備する必要がなくなる。これは、表示パネルにおけるLEDの占有率を増やすのに役立ち、また発光効率および表示効果を改善するのに役立つ。
【0030】
ウェーハを準備する段階はさらに、LED層を準備する段階であって、LED層は、連続して配置されたN型領域層、マルチ量子井戸層、およびP型領域層を含む、準備する段階と、N型領域層およびマルチ量子井戸層を切削する段階とを含んでよい。本解決手段では、P型領域層が一体型のP型領域層として保持されてよい。本解決手段では、ピクセルユニットがP型電極を共有してよく、P型電極はP型領域層に接続されてよい。これにより、P電極の準備が容易になる。さらに、P電極はP型領域層の中央部に電気的に接続されてよく、これにより、ピクセルユニットの電子がサブピクセルのエッジに流れにくくなるので、サブピクセルから電流が漏洩するリスクを低減できる。
【0031】
あるいは、同じ考えに基づいて、ウェーハを準備する段階はさらに、LED層を準備する段階であって、LED層は連続して配置されたN型領域層、マルチ量子井戸層、およびP型領域層を含む、準備する段階と、P型領域層およびマルチ量子井戸層を切削して、N型領域層を一体型のN型領域層として保持する段階とを含んでよい。
【0032】
ピクセルユニットのサブピクセルは、少なくとも赤色サブピクセルおよび緑色サブピクセルを含み、さらに青色サブピクセルおよび/または白色サブピクセルを含んでもよい。赤色サブピクセルは、サイズが小さい場合には発光効率が低いので、赤色サブピクセルの数を緑色サブピクセルの数より多くすることがある。例えば、サブピクセルは、2つの赤色サブピクセルと、1つの緑色サブピクセルと、1つの青色サブピクセルとを含んでよい。したがって、ピクセルユニットの全サブピクセルの発光効率を安定させることができるので、表示パネルの彩度が向上する。
【0033】
各ピクセルユニットの全サブピクセルが、1つの電極を共有してよく、具体的には、ピクセルユニットのサブピクセルの一端がそれぞれ1つの第1電極に接続され、ピクセルユニットのサブピクセルの他端が1つの第2電極を共有する。本解決手段では、パッケージングおよび移載がピクセルごとに行われるため、ピクセルユニットの全サブピクセルを共有電極付きの構造に設計することで、表示パネルの総電極数を減らし、ピクセルユニットを駆動回路で基板に移載するときに溶接させる必要がある電極の数を減らし、プロセス効率を改善し、表示パネルの歩留まりも改善することが可能である。さらに、電極を準備するためのコストも削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本願の一実施形態による表示装置の構造の概略図である。
【0035】
【
図2】本願の一実施形態による表示パネルの部分的構造の概略図である。
【0036】
【
図3】本願の一実施形態によるサブピクセルの構造の概略図である。
【0037】
【
図4】本願の一実施形態による1つのサブピクセルの2つのサブサブピクセルの回路接続の図である。
【0038】
【
図5】本願の一実施形態によるピクセルユニットの構造の概略図である。
【0039】
【
図6】本願の一実施形態によるピクセルユニットの断面構造の概略図である。
【0040】
【
図7】本願の一実施形態による発光ダイオード層の断面構造の概略図である。
【0041】
【
図8】本願の一実施形態によるピクセルユニットの別の断面構造の概略図である。
【0042】
【
図9】本願の一実施形態による、表示パネルの準備方法の概略フローチャートである。
【0043】
【
図10】本願の一実施形態によるウェーハ準備プロセスの概略図である。
【0044】
【
図11a】本願の一実施形態による表示パネル準備プロセスにおける構造の概略図である。
【
図11b】本願の一実施形態による表示パネル準備プロセスにおける構造の概略図である。
【
図11c】本願の一実施形態による表示パネル準備プロセスにおける構造の概略図である。
【
図11d】本願の一実施形態による表示パネル準備プロセスにおける構造の概略図である。
【
図11e】本願の一実施形態による表示パネル準備プロセスにおける構造の概略図である。
【
図11f】本願の一実施形態による表示パネル準備プロセスにおける構造の概略図である。
【
図11g】本願の一実施形態による表示パネル準備プロセスにおける構造の概略図である。
【
図11h】本願の一実施形態による表示パネル準備プロセスにおける構造の概略図である。
【0045】
【
図12】本願の一実施形態による発光ダイオードの断面構造の概略図である。
【0046】
【
図13】本願の一実施形態による発光ダイオードの別の断面構造の概略図である。
【0047】
【
図14】本願の一実施形態による発光ダイオードの構造の概略図である。
【0048】
【
図15】本願の一実施形態によるピクセルユニットの構造の概略図である。
【0049】
参照番号は以下のとおりである。
100:表示装置、200:表示パネル、300:中間フレーム、400:リアハウジング、500:プリント回路基板、10:ピクセルユニット、11:サブピクセル、111,サブサブピクセル、1111:第1サブサブピクセル、1112:第2サブサブピクセル、112:赤色サブピクセル、113:緑色サブピクセル、114:青色サブピクセル、12:パッシベーション層、13:第1電極、14:第2電極、15:N型領域層、16:マルチ量子井戸層、17:P型領域層、18:遮光隔壁、181:アルミニウムの遮光隔壁、19:LED層、191:発光機能層、192:第1の分布ブラッグ反射層、193:第2の分布ブラッグ反射層、190:カラー機能層、21:発光ダイオード層、211:バッファ層、212:GaN層、213:N型ドープのGaN層、214:マルチ量子井戸層、215:P型AlGaN層、216:P型ドープのGaN層、217:透明電極、218:発光ダイオード、219:第1遮光隔壁、2110:カラー機能層、2111:第2遮光隔壁、2112:第1の分布ブラッグ反射層、2113:第2の分布ブラッグ反射層、2114:N型領域層、2115:P型領域層、2116:アルミニウムの遮光隔壁、2117:オーミックコンタクト層、2118:絶縁層、22:第1電極、23:第2電極、24:ピクセルユニット、25:パッシベーション層、30:基板、40:トレイ、50:接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本願の目的、技術的解決手段、および利点をより明確にするために、以下ではさらに、添付図面を参照しながら本願を詳細に説明する。
【0051】
本願の実施形態で提供される表示パネルを理解しやすくするために、以下ではまず、表示パネルの応用シナリオを説明する。
【0052】
本願の実施形態で提供される表示パネルは、表示機能を備えた任意の表示装置に用いられてよい。表示装置は、一般的なモバイル端末(例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、または電子書籍リーダ)でも、別の電子表示装置(例えば、ノートブックコンピュータ、テレビ、またはデバイスディスプレイ)でもよい。表示技術の発展と共に、人々は表示パネルの表示効果および準備コストにますます注意を払うようになっている。micro-LED(マイクロ発光ダイオード)技術には、光の利用効率、輝度、応答速度、および信頼性に関して一定の利点があり、micro-LED技術は当技術分野でますます関心が高まっている。従来技術では、まずLEDボードを準備する場合があり、次いでLEDボードの表面に色変換材料層を準備してカラー表示パネルを準備する。本解決手段には、LEDを色変換材料層で覆う技術が主に2つあり、それぞれ、インクジェット印刷およびリソグラフィである。従来のインクジェットプリンタの精度に基づいて実現され得るピクセル密度は、概ね200ppiである。これでは、現在の携帯型電子製品(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、またはタブレットコンピュータ)の表示要件を満たすことはほとんどできない。しかしながら、リソグラフィプロセスを用いる場合、高価なリソグラフィ装置を設ける必要がある。結果として、大きな投資が必要となり効率が低い。
【0053】
前述した従来技術の問題に基づいて、本願は、表示パネル、表示装置、および表示パネルの準備方法を提供し、表示パネルのピクセル密度を向上させ、生産コストを削減し、生産効率および製品歩留まりを改善する。
【0054】
以下の実施形態で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明することを意図したものに過ぎず、本願を限定することを意図したものではない。本願の本明細書および添付した特許請求の範囲で用いる単数形の「one」、「a」、および「this」という用語は、文脈上特に明確に定められていない限り、「one or more(1つまたは複数)」などの表現を含むことも意図されている。
【0055】
本明細書の「一実施形態」または「いくつかの実施形態」などへの言及は、本願の1つまたは複数の実施形態が、その実施形態を参照して説明される特定の特徴、構造、または特質を含むことを意味している。したがって、本明細書の様々な箇所に現れる「一実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「いくつかの他の実施形態において」、および「他の実施形態において」などの記述は、必ずしも同じ実施形態への言及を意味しているわけではない。その代わりに、そのような記述は、別のやり方で特に強調されない限り、「実施形態の1つまたは複数であって、その全てではない」ことを意味している。「include(含む)」、「have(有する)」という用語およびその変形は全て、別のやり方で特に強調されない限り、「~を含むが、それに限定されない」ことを意味している。
【0056】
図1は、本願の一実施形態による表示装置の構造の概略図である。特定の種類の表示装置を限定しているわけではなく、本表示装置は、一般的なモバイル端末、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、または電子書籍でも、別の電子表示装置、例えば、ノートブックコンピュータ、テレビ、またはデバイスディスプレイでもよい。表示装置100は、表示パネル200、中間フレーム300、リアハウジング400、およびプリント回路基板500を含む。表示パネル200はプリント回路基板500に電気的に接続されており、表示パネル200およびプリント回路基板500は、中間フレーム300の2つの面に配置されている。中間フレーム300は、プリント回路基板および表示パネルを支えるように構成されている。リアハウジング400は、プリント回路基板500の、中間フレーム300から離れた面に配置されている、または中間フレーム300に固定されてもよい。具体的には、表示パネル200はmicro-LED(マイクロ発光ダイオード)表示パネル200であってよい。
図2は、本願の一実施形態による表示パネルの部分的構造の概略図である。
図2に示すように、表示パネル200は、複数のピクセルユニット10を含み、各ピクセルユニット10は、少なくとも3色のサブピクセル11を含む。具体的には、ピクセルユニット10は、赤色サブピクセル112、緑色サブピクセル113、および青色サブピクセル114を含んでもよく、ピクセルユニット10は、ピクセルユニット10の輝度を向上させるために、赤色サブピクセル112、緑色サブピクセル113、青色サブピクセル114、および白色サブピクセルを含んでもよい。少なくとも3色のサブピクセル11は、パッシベーション層12によって1つのピクセルユニット10にパッケージングされている。この場合、表示パネル200を準備するときに、LEDウェーハをまず準備してよく、次いで表示パネル200でカラー表示を実現するために、LEDウェーハの表面にサブピクセル11のカラー機能層を準備する。例えば、カラー機能層は光変換材料層を含む。したがって、本解決手段では、LEDウェーハを準備するのにリソグラフィ装置を用いることで、カラー機能層を準備することが可能になる。この場合、ウェーハ上に高密度ピクセルを準備することができ、表示パネルのカラー機能層を製造するのに追加の装置を準備する必要がなく、これが生産コストを削減するのに役立つ。さらに、パッシベーション層12でのパッケージングおよび移載がピクセルユニット10ごとに行われる。これにより、単一のサブピクセル11を移載する場合と比較して、ピクセル移載回数が大幅に減り、移載プロセスにおける製品損傷の確率が低減し、これが生産効率および製品歩留まりを改善するのに役立つ。
【0057】
各表示パネル200では、ピクセルユニット10のサブピクセル11が同じ方式で配置されても、異なる方式で配置されてもよい。これは、本願において具体的に限定されない。
図2に示すように、ピクセルユニット10のサブピクセル11は異なる方式で配置されている。光変換材料層の材料も要件に従って選択されてよく、例えば、量子ドット材料、蛍光粉末、または有機蛍光染料であってもよい。これも、本願において具体的に限定されない。
【0058】
図3は、本願の一実施形態によるサブピクセルの構造の概略図である。サブピクセル11の耐用期間および歩留まりを改善し、表示パネル200の表示信頼性および表示パネル200の耐用期間を向上させるために、本願の本実施形態のサブピクセル11は、少なくとも2つのサブサブピクセル111を含んでよい。少なくとも2つのサブサブピクセル111は並列に配置されている。
図3は、
図4と組み合わせて一例として用いられる。
図4は、本願の一実施形態による2つのサブサブピクセル111の回路接続の図である。特定の実施形態において、サブピクセル11は、第1サブサブピクセル1111および第2サブサブピクセル1112を含み、さらに第1電極13および第2電極14を含んでよい。第1サブサブピクセル1111および第2サブサブピクセル1112は、第1電極13と第2電極14との間に並列に接続されている。したがって、本解決手段では、サブピクセル11が点灯できない確率を低減させることができる。
【0059】
第1サブサブピクセル1111が断線した場合、第2サブサブピクセル1112は、第1電極13と第2電極14の間にまだ接続されているため、動作状態を維持できる。さらに、第2サブサブピクセル1112の電力が2倍になり得るので、輝度が増加する。したがって、サブピクセル11の輝度も保証できるので、サブピクセル11は正常に動作する。第1サブサブピクセル1111が短絡した場合、レーザを用いて、第1サブサブピクセル1111が配置されている回路を切断できるため、第1サブサブピクセル1111が断線する。したがって、第2サブサブピクセル1112は、まだ動作状態を維持できる。さらに、第2サブサブピクセル1112の電力が2倍になり得るので、輝度が増加する。したがって、サブピクセル11の輝度を保証できるので、サブピクセル11は正常に動作する。したがって、本解決手段では、サブピクセル11の耐用期間および歩留まりが改善され、修復率が高いので、表示パネル200のコストを削減できる。表示装置100の耐用期間およびユーザ体験も、改善が可能である。
【0060】
図5は、本願の一実施形態によるピクセルユニットの構造の概略図である。
図5に示すように、ピクセルユニット10は第1電極13および第2電極14を含み、第1電極13および第2電極14はサブピクセル11の同じ面に配置されてよい。各ピクセルユニット10の全サブピクセル11はさらに、1つの電極を共有するように設計されてよい。具体的には、ピクセルユニット10の全サブピクセル11の一端が1つの第2電極14を共有し、サブピクセル11の他端がそれぞれ、1つの第1電極13に接続される。本解決手段では、最終的な切削および最終的な移載がピクセルユニット10ごとに行われるため、ピクセルユニット10の全サブピクセル11は、1つの第2電極14を共有できる。これにより、表示パネル200の総電極数を減らし、ピクセルユニット10を駆動回路付き基板に移載するときに溶接させる必要がある電極の数を減らすのに役立つことが可能になる。したがって、プロセス効率を改善でき、また溶接する際に生じる欠陥を減らすことができる。さらに、電極を準備するためのコストも削減できる。
【0061】
特定の実施形態において、第1電極13はP電極であってよく、第2電極14はN電極であってよい、または第1電極13はN電極であり、第2電極14はP電極である。これは、本願において具体的に限定されない。
【0062】
なおも、
図5を参照されたい。ピクセルユニット10は、少なくとも赤色サブピクセル112、緑色サブピクセル113、および青色サブピクセル114を含む。赤色サブピクセル112は、サイズが小さい場合、発光効率が低いため、赤色サブピクセル112の数が緑色サブピクセル113の数より多く、緑色サブピクセル113の数は青色サブピクセル114の数と等しくてよい。例えば、
図5に示す実施形態では、ピクセルユニット10は2つの赤色サブピクセル112と、1つの緑色サブピクセル113と、1つの青色サブピクセル114とを含んでよい。サイズが小さい赤色サブピクセル112の発光効率が緑色サブピクセル113または青色サブピクセル114の発光効率より低いため、赤色サブピクセル112の数を増やして彩度を向上させてよく、これにより、異なる色のサブピクセル11の効率が安定する。
【0063】
本願の本実施形態では、サブピクセル11の周辺部に遮光隔壁18がある。これにより、隣り合ったサブピクセル11の間の光混合を防ぐことができ、サブピクセル11同士の絶縁も実現できるので、サブピクセル11の独立性が保たれる。具体的には、遮光隔壁18の材料を特に限定することはないが、この材料は例えば、ポリマー材料、金属、または金属化合物であってもよい。遮光隔壁18の材料は、遮光特性があるだけでよい。
【0064】
図6は、本願の一実施形態によるピクセルユニットの断面構造の概略図である。サブピクセル11の周辺部にはアルミニウムの遮光隔壁181があり、アルミニウムの遮光隔壁181の表面は光反射率が高い。したがって、サブピクセル11から放射された光がアルミニウムの遮光隔壁181に達すると、より多くの光がサブピクセル11に反射される。これは、サブピクセル11の輝度および発光効率を向上させるのに役立つ。具体的には、サブピクセル11は、LED層19およびカラー機能層190を含んでよい。LED層19は主に、特定の輝度を持った光を生成する。LED層19の表面に配置されたカラー機能層190は、表示パネル200のカラー表示を実現するために、LED層19の光をカラー光に変換できる。アルミニウムの遮光隔壁181は、LED層19の輝度を向上させることができ、カラー機能層190の光変換効率も高めることができるので、サブピクセル11の輝度および発光効率を向上させて、表示パネル200の表示効果を改善する。
【0065】
特定の実施形態において、アルミニウムの遮光隔壁181は、サブピクセル11の第1電極13または第2電極14に接続されてよい。本解決手段では、アルミニウムの遮光隔壁181は導電線として機能する。これにより、ピクセルユニット10を準備するときに配置される導電線の数を減らすことができるので、プロセスが簡略化されて、コストが削減される。ピクセルユニット10の第1電極13および第2電極14がサブピクセル11の同じ面に配置される場合、第1電極13および第2電極14の一方を、LED層19の厚さ方向を貫通する電線を用いてLED層19に接続する必要がある。具体的には、LED層19の厚さ方向を貫通する電線に接続する必要がある電極に、アルミニウムの遮光隔壁181を電気的に接続してよく、これにより、LED層19を貫通する追加の導電線を準備する必要がなくなる。これは、表示パネル200におけるLEDの占有率を増やすのに役立ち、また発光効率および表示効果を改善するのに役立つ。
【0066】
これに加えて、
図5に示すように、各ピクセルユニット10の全サブピクセル11はさらに、1つの電極を共有するように設計されてよい。具体的には、ピクセルユニット10の全サブピクセル11の一端が1つの第2電極14を共有し、サブピクセル11の他端がそれぞれ、1つの第1電極13に接続される。アルミニウムの遮光隔壁181を隣り合ったサブピクセル11の間に配置する場合、アルミニウムの遮光隔壁181を第2電極14に接続してよく、これにより、ピクセルユニット10のサブピクセル11の一端が1つの第2電極14を共有するようになる。この場合、アルミニウムの遮光隔壁181はさらに、共有電極に接続するための電線として機能するため、追加の導電線を削減できる。
【0067】
任意選択の一実施形態において、LED層19は青色LED層でも、紫外線LED層でもよい。これは、本願において具体的に限定されない。LED層19が青色LED層である場合、赤色サブピクセル112に対応するカラー機能層190には赤色光変換材料が設けられ、緑色サブピクセル113に対応するカラー機能層190には緑色光変換材料が設けられる。しかしながら、青色サブピクセル114に対応するカラー機能層190には、光変換材料を設ける必要はなく、カラー機能層190が全体的に良好な平坦性を有するように透明フィルム層が設けられるだけでよい。例えば、透明フィルム層は具体的には、シリコーンゲル層であってよい。
【0068】
図7は、本願の一実施形態による発光ダイオード層の断面構造の概略図である。ピクセルユニット10のLED層19は、連続して配置されたN型領域層15、マルチ量子井戸層16、およびP型領域層17を含んでよく、隣り合ったサブピクセル11の間には遮光隔壁がある。本解決手段において、遮光隔壁はLED層19に対してほぼ垂直の方向に延伸し、P型領域層17およびマルチ量子井戸層16を貫通してよく、これにより、隣り合ったサブピクセル11のP型領域層17の間で絶縁、遮光、および分離が実現され、隣り合ったマルチ量子井戸層16の間で絶縁、遮光、および分離が実現される。ピクセルユニット10のN型領域層15は一体構造である。具体的には、ピクセルユニット10の全サブピクセル11のN型領域層15は一体型の構造になっている。当然ながら、ピクセルユニットのLED層19を具体的に準備する場合、準備プロセスの観点から、遮光隔壁を用いてマルチ量子井戸層16を確実に分離できるようにして、LEDの動作信頼性を改善するために、遮光隔壁はN型領域層15に一定の深さまで延伸してよい。
【0069】
本解決手段では、N電極は共有電極であってよく、ピクセルユニット10の全サブピクセル11は1つのN電極を共有する。ピクセルユニット10のN型領域層15は一体型の構造をしているので、N電極の準備を容易にすることができる。さらに、N電極はN型領域層15の中央部に電気的に接続されてよく、これにより、ピクセルユニット10の電子がサブピクセル11のエッジに流れにくくなるので、サブピクセル11から電流が漏洩するリスクを低減できる。
【0070】
別の実施形態では代替的に、遮光隔壁はLED層19に対してほぼ垂直の方向に延伸し、N型領域層15およびマルチ量子井戸層16を貫通してよく、これにより、隣り合ったサブピクセル11のN型領域層15の間で絶縁、遮光、および分離が実現され、隣り合ったマルチ量子井戸層16の間で絶縁、遮光、および分離が実現される。ピクセルユニット10のP型領域層17は一体構造である。具体的には、ピクセルユニット10の全サブピクセル11のP型領域層17は一体型の構造になっている。同様に、ピクセルユニットのLED層19を具体的に準備する場合、準備プロセスの観点から、遮光隔壁を用いてマルチ量子井戸層16を確実に分離できるようにして、LEDの動作信頼性を改善するために、遮光隔壁はP型領域層17に一定の深さまで延伸してよい。本解決手段では、P電極は共有電極であり、技術的効果が前述の実施形態と同様である。詳細については、ここで説明しない。
【0071】
図8は、本願の一実施形態によるピクセルユニットの別の断面構造の概略図である。ピクセルユニット10は、LED層19およびカラー機能層190を含む。LED層19は、発光機能層191および第1の分布ブラッグ反射層192を含む。第1の分布ブラッグ反射層192は、発光機能層191の、カラー機能層から離れた面に配置されている、言い換えれば、LED層19の、カラー機能層190から離れた面に配置されている。第1の分布ブラッグ反射層192は青色光を反射できるため、LEDの発光効率が改善される。第1の分布ブラッグ反射層192は、LEDの、カラー機能層から離れた面に反射層として設けられている。第1の分布ブラッグ反射層192は絶縁材料で作られているため短絡リスクが低く、これが表示パネルの信頼性を改善するのに役立つ。あるいは、反射層は金属反射層、例えば、アルミニウムで作られた反射層であってよい。これは、本願において具体的に限定されない。
【0072】
第1の分布ブラッグ反射層192は、屈折率が異なる2つの材料(例えば、二酸化シリコンおよび二酸化チタン)で作られており、この2つの材料は連続して交互に重ね合わされている。各材料層の光学的厚さは、中心反射波長の1/4である。特定の波長範囲内の光が全て確実に反射されるようにするために、第1の分布ブラッグ反射層192は多層構造を含み、全厚さは5μm未満になるように制御される。
【0073】
具体的には、前述した別の実施形態において、第2の分布ブラッグ反射層が、LED層19の、カラー機能層190と向かい合う面に含まれる。言い換えれば、第2の分布ブラッグ反射層は、発光機能層191の、カラー機能層190と向かい合う面に配置されている。本解決手段では、第2の分布ブラッグ反射層193は、ピクセルユニット10の光電変換効率を改善するために、青色光を透過し、赤色光および緑色光を反射することが可能である。第2の分布ブラッグ反射層193も、屈折率が異なる2つの材料(例えば、酸化ケイ素および酸化チタン)で作られており、この2つの材料は連続して交互に重ね合わされて、多層構造を形成する。
【0074】
同じ発明概念に基づいて、本願はさらに、表示パネルの準備方法を提供する。
図9は、本願の一実施形態による、表示パネルの準備方法の概略フローチャートである。表示パネル200の準備方法は具体的には、以下に挙げる段階を含む。
【0075】
段階S101:ウェーハ(wafer)を準備する。ウェーハはLED層を含む。
図10は、本願の一実施形態によるウェーハ準備プロセスの概略図である。このプロセスは具体的に、以下に挙げる段階を含む。
【0076】
段階S1011:
図11aに示すように、基板30の表面に発光ダイオード(LED)層21を準備する。
【0077】
基板30はサファイア基板30であってよい。サファイア基板30はコストが低く、LED層21を準備するための材料の格子に適合し、これにより、LED層21の形成が容易になる。当然ながら、別の実施形態では、基板30は代替的に、シリコン基板30、炭化ケイ素基板30、またはガラス基板30であってもよい。これは、本願において限定されない。
【0078】
図11aに示すように、基板30の表面にLED層21を準備する特定のプロセスが、基板30の表面にバッファ層(GaNバッファ、窒化ガリウムバッファ層)211を準備する段階を含んでよく、バッファ層211の厚さを15nmとしてよい。バッファ層211の、基板30から離れた表面にLED218を連続して成長させる。ここでは、以下のように一例として青色LEDを用いる。バッファ層211の、基板30から離れた表面に、GaN層(undoped GaN、ドーピングされていない窒化ガリウム層)212を350~500℃で成長させ、GaN層212の厚さを具体的には2μmとしてよく、成長プロセスにおいて大気圧を具体的には500~700mbar(500~700hPa)としてよく、V/IIIが2000~5000であり、成長速度が3~15nm/minであり、V/IIIとは第3主族元素Gaに対する第5主族元素Nのモル比であり、成長速度とは所定の時間内に生成する物質の厚さの増加である。GaN層212の、バッファ層211から離れた表面に、N型ドープのGaN層(N doped GaN、N型材料でドーピングした窒化ガリウム)213を450~500℃で成長させ、N型ドープのGaN層213の厚さを2μmとしてよく、成長プロセスにおいて大気圧を具体的には200~400mbar(200~400hPa)としてよく、V/IIIが6000~10000であり、成長速度が0.5~8μm/hである。N型ドープのGaN層213の、GaN層212から離れた表面に、マルチ量子井戸層(Multi Quantum Well)214を400~500℃で成長させ、マルチ量子井戸層214は、GaN(窒化ガリウム)とInGaN(窒化ガリウムインジウム)とを重ね合わせることにより形成される。マルチ量子井戸層214の具体的な数を限定することはないが、最上層および最下層の両方がGaNであり、隣り合った量子井戸が一方のGaNを再使用してよい。上記InGaNの厚さを3nmとしてよく、上記GaNの厚さを7nmとしてよい。成長プロセスにおいて大気圧が200~400mbar(200~400hPa)であり、V/IIIが12000~30000であり、成長速度が0.5~3μm/hである。マルチ量子井戸層214の、N型ドープのGaN層213から離れた表面に、P型AlGaN層(P-AlGaN electron block layer、P型窒化ガリウムアルミニウムの電子阻止層)215を400~500℃で成長させ、P型AlGaN層215は、電子過電流を回避するための電子阻止層であり、発光効率を向上させる。P型AlGaN層215の厚さを80nmとしてよく、成長プロセスにおいて大気圧を50~300mbar(50~300hPa)としてよく、V/IIIを2000~5000としてよく、成長速度が0.5~2μm/hである。P型AlGaN層215の、マルチ量子井戸層214から離れた表面に、P型ドープのGaN層(P doped GaN、P型材料でドーピングした窒化ガリウム)216を400~500℃で成長させ、厚さを150nmとしてよく、成長プロセスにおいて大気圧が200~400mbar(200~400hPa)であり、V/IIIが6000~10000であり、成長速度が0.5~8μm/hである。透明電極の層217、例えば、酸化スズインジウムの薄膜が、蒸着プロセスを用いた蒸着によって、P型ドープのGaN層216の、P型AlGaN層215から離れた表面に形成され、厚さを例えば1μmとしてよい。
【0079】
段階S1012:
図11bに示すように、LED層21の、基板30から離れた面に、LED層21に電気的に接続される複数の第1電極22および複数の第2電極23を準備する。
【0080】
本解決手段では、第1電極22および第2電極23は、LED層21の同じ面に配置される。これは、フリップチップ(flip chip)構造である。この構造は、LED218の発光効率を改善し、第1電極22および第2電極23を駆動回路付き基板に接続するのに必要な電線の数を減らすのに役立つので、取り付けが容易になる。第1電極22および第2電極23の材料が、多元素合金金属(例えば、SnAg合金またはNiPtAu合金)であってよい。これは、本願において具体的に限定されない。第1電極22および第2電極23を形成するために、特定の構造を持つマスクが、LED層21の、基板30から離れた面に配置されてよく、第1電極22および第2電極23は蒸着によって形成されてよい。
【0081】
段階S1013:
図11cに示すように、ウェーハの、電極がある面をトレイ40に固定し、基板30を剥がす。
【0082】
この段階の具体的な実現において、ウェーハは接着剤50を用いてトレイ40に接着してよく、また基板30はレーザ切削プロセスを用いて剥がされてよい。
【0083】
段階S1014:
図11dに示すように、LED層21を切削して複数のLED218を分離し、複数のLED218を形成する。
【0084】
具体的には、ICPプロセスを用いて複数のLED218同士の間の領域をエッチングし、複数のLED218を分離して、独立して駆動できる複数のLED218を形成してよい。
【0085】
段階S1015:
図11eに示すように、LED218同士の間に第1遮光隔壁219を準備して、隣り合ったLED218の間で光を遮蔽する。
【0086】
LED層21を切削すると、LED218同士の間に間隙ができる。この間隙をスピンコーティングによって黒色フォトレジスト樹脂で充填してよく、次いでマスクを用いてLED218同士の間の間隙領域内の黒色フォトレジスト樹脂を光硬化させ、次いで過剰な黒色フォトレジスト樹脂を取り除く。このように、第1遮光隔壁219を形成して、異なるLED218同士の間の光拡散を防ぐことができる。第1遮光隔壁219を準備するための材料を限定することはないが、この材料は、例えば、ポリマー材料、金属、または金属化合物であってもよい。第1遮光隔壁219の材料は、遮光特性があるだけでよい。
【0087】
段階S102:
図11fに示すように、LED層21の表面にカラー機能層2110を準備して、複数色のサブピクセルを形成する。
【0088】
具体的には、LED218の、第1電極22から離れた面にカラー機能層2110を準備して、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、および青色サブピクセルを形成してよい。
【0089】
LED218を準備した後に、カラー機能層2110を直接準備してよいので、ウェーハを準備するためのリソグラフィ装置を用いることができる。これにより、コストを削減して装置への投資を減らすと共に、準備精度を向上させることができる。カラー機能層2110は、光変換材料層を含む。光変換材料層の材料を限定することはないが、この材料は、量子ドット材料、蛍光粉末、有機蛍光染料などであってもよい。具体的には、量子ドット材料を選択してよく、量子ドット材料の、LED218から離れた面にカラーフィルムがさらに設けられる。具体的には、量子ドット材料を用いて準備される光変換材料層の厚さを4μmとしてよく、カラーフィルムの厚さを2μmとしてよい。具体的なプロセスでは、赤色サブピクセルを一例として用いることで、光変換材料層を準備するプロセスを以下のとおりとしてよい。まず、赤色量子ドット材料のリソグラフィ接着剤をスピンコーティングでウェーハ全体の表面に塗布する。次いで、リソグラフィプレートを用いて(赤色サブピクセルに対応するLED218の上の)必要な位置で感光性硬化を行う。最後に、赤色量子ドット材料の未硬化リソグラフィ接着剤を取り除く。同じプロセスで、赤色サブピクセルと同じプロセスを用いて、光変換材料層の、LED層21から離れた面にカラーフィルムを準備してよい。
【0090】
カラー機能層2110および各LED218に対応する領域同士の間には間隙がある。この間隙をスピンコーティングによって黒色フォトレジスト樹脂で充填してよく、次いでマスクを用いて間隙領域内の黒色フォトレジスト樹脂を光硬化させ、次いで過剰な黒色フォトレジスト樹脂を取り除く。このように、隣り合ったサブピクセルの間に第2遮光隔壁2111を形成して、異なるサブピクセル同士の間の光拡散を防ぐことができる。第2遮光隔壁2111を準備するための材料を限定することはないが、この材料は、例えば、ポリマー材料、金属、または金属化合物であってもよい。第2遮光隔壁2111の材料は、遮光特性があるだけでよい。
【0091】
段階S103:切削によってピクセルユニット24同士の間に隔壁を取得し、複数の独立したピクセルユニット24を形成する。
図11gに示すように、ピクセルユニット24は少なくとも3色のサブピクセルを含む。
【0092】
ピクセルユニット24は具体的には、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、および青色サブピクセルを含んでもよく、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、青色サブピクセル、および白色サブピクセルなどを含んでもよい。これは、本願において具体的に限定されない。ピクセルユニット24ごとに切削が行われ、切削によって、独立したピクセルユニット24が形成される。この場合、表示パネルを準備するときに、ピクセルユニット24は駆動回路付きの基板に直接移載されてよく、各サブピクセルを別個に移載する必要がないので、移載回数を大幅に減らすことができる。具体的には、ドライエッチングプロセスと組み合わせてマスクを用いることで、ピクセルユニット24が切削されてよい。
【0093】
段階S104:
図11hに示すように、ピクセルユニット24の外面にパッシベーション層25を準備し、ピクセルユニット24のサブピクセルをパッケージングする。
【0094】
パッシベーション層25は、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマ援用化学気相成長)方式でチップ表面に蒸着することにより得られるパッシベーション層25であってよい。パッシベーション層25の厚さは数百ナノメートルとしてよく、材料は無機パッシベーション材料(例えば、二酸化シリコンまたは窒化シリコン)であってよい。
【0095】
段階S105:ピクセルユニット24を駆動回路付きの基板に移載する。
【0096】
ピクセルユニット24ごとに駆動回路付き基板への移載を行うため、移載回数を大幅に減らすことができ、これが移載効率および製品歩留まりを改善するのに役立つ。
【0097】
段階S101はさらに、反射層を準備するプロセスを含んでよい。具体的には、段階S1011において、蒸着プロセスを用いて、P型ドープのGaN層216の、AlGaN層から離れた表面に、透明電極217の層を蒸着によって生成してよい。次いで、
図12に示すように、透明電極217の、P型ドープのGaN層216から離れた表面に、反射層として第1の分布ブラッグ反射層2112を準備する。
図12は、本願の一実施形態による発光ダイオードの断面構造の概略図である。次いで段階S1012を行い、第1の分布ブラッグ反射層2112の、基板30から離れた表面に、複数の第1電極22および複数の第2電極23を形成する。第1の分布ブラッグ反射層2112は青色光を反射できるため、LED218の発光効率が改善される。
【0098】
具体的には、第1の分布ブラッグ反射層2112を準備するプロセスは、屈折率が異なる2つの材料(例えば、酸化ケイ素および酸化チタン)を連続して交互に重ね合わせることを含んでよく、各材料層の光学的厚さは、反射されることになる光の波長の1/4である。特定の波長範囲内の光が全て確実に反射されるようにするために、第1の分布ブラッグ反射層2112は多層構造を含み、全厚さは5μm未満になるように制御される。
【0099】
あるいは、反射層は金属反射層、例えば、アルミニウムの反射層であってよい。金属反射層を準備するときに、金属反射層が短絡問題を引き起こさないように絶縁処理を行う必要がある。
【0100】
さらなる実施形態では、段階S101において、LED層21の、カラー機能層2110と向かい合う面に第2の分布ブラッグ反射層2113をさらに準備してよい。具体的には、段階S1013の後に、
図13に示すように、LED層21の上に第2の分布ブラッグ反射層2113を準備してよい。
図13は、本願の一実施形態による発光ダイオードの別の断面構造の概略図である。本解決手段では、第2の分布ブラッグ反射層2113が、青色光を透過して赤色光および緑色光を反射することが可能であるため、ピクセルユニット24の彩度を改善できる。第2の分布ブラッグ反射層2113の厚さは、約2.5μmとしてよい。第2の分布ブラッグ反射層2113を準備するプロセスは、第1の分布ブラッグ反射層2112を準備するプロセスとほぼ同じである。本願では、詳細について改めて説明しない。
【0101】
別の技術的解決手段では、
図13に示すように、第1の分布ブラッグ反射層2112と第2の分布ブラッグ反射層2113との間に、LED層21の発光機能層が配置されてもよい。本解決手段では、LED218の発光効率が高い。
【0102】
サブピクセルが少なくとも2つのサブサブピクセルを含み、少なくとも2つのサブサブピクセルが並列に配置されることを実現するために、段階S101でウェーハを準備するときに、イオン注入プロセスを用いて各LED218の特定の位置に絶縁層を準備できるので、各LED218に少なくとも2つの並列したサブLED218が形成される。本解決手段では、イオン注入プロセスにおいて、絶縁特性を持つイオンをLED218に注入して絶縁層を形成できる。例えば、ヘリウムイオンまたは窒素イオンをLEDに注入して絶縁層を形成してよい。具体的には、絶縁層を準備するときに、まずマスクの、イオンを注入する必要がある部分を準備してよく、次いで特定のドーズ量のHeイオンを注入して、絶縁性および不活性が非常に高い絶縁層をLED218に形成するので、絶縁層の2つの面にあるLED218がサブLED218となって並列に接続される。
【0103】
別の実施形態では、各LED218の特定の位置で代替的に切削を行うことができるので、少なくとも2つの並列したサブLED218が各LEDに形成される。切削段階は、段階S1014と同時に行われてもよい。
【0104】
ピクセルユニット24の第1電極22および第2電極23は、サブピクセルの同じ面に配置されてよい。各ピクセルユニット24の全サブピクセルは、1つの電極を共有するように設計されてよい。具体的には、ピクセルユニット24の全サブピクセルの一端が1つの第2電極23を共有し、サブピクセルの他端がそれぞれ、1つの第1電極22に接続される。本解決手段では、最終的な切削および最終的な移載がピクセルユニット24ごとに行われるため、ピクセルユニット24の全サブピクセルは、1つの第2電極23を共有できる。これにより、表示パネルの総電極数を減らし、ピクセルユニット24を駆動回路付き基板に移載するときに溶接させる必要がある電極の数を減らすのに役立つことが可能になる。したがって、プロセス効率を改善でき、また溶接する際に生じる欠陥を減らすことができる。電極を準備するためのコストも削減できる。
【0105】
特定の実施形態において、第1電極22はP電極であってよく、第2電極23はN電極であってよい、または第1電極22はN電極であり、第2電極23はP電極である。これは、本願において具体的に限定されない。
【0106】
ピクセルユニット24は、少なくとも赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、および青色サブピクセルを含む。赤色サブピクセルは、サイズが小さい場合、発光効率が低いため、赤色サブピクセルの数が緑色サブピクセルの数より多く、緑色サブピクセルの数は青色サブピクセルの数と等しくてよい。例えば、ピクセルユニットは2つの赤色サブピクセルと、1つの緑色サブピクセルと、1つの青色サブピクセルとを含んでよい。サイズが小さい赤色サブピクセルの発光効率が緑色サブピクセルまたは青色サブピクセルの発光効率より低いため、赤色サブピクセルの数を増やして彩度を向上させてよく、これにより、異なる色のサブピクセルの効率が安定する。
【0107】
図14は、本願の一実施形態による発光ダイオードの構造の概略図である。LED層21は、連続して配置されたN型領域層2114、マルチ量子井戸層214、およびP型領域層2115を含む。ウェーハを準備する段階は、LED層21を切削して複数のLED218を形成する段階を含む。具体的には、マルチ量子井戸層214およびP型領域層2115が切削されてよく、N型領域層2114は一体型のN型領域層として保持される。この段階を具体的に行う場合、マルチ量子井戸層214を完全に切削できることを保証するために、N型領域層2114は一定の深さまで切削されてよく、こうすることで、隣り合ったLED同士の干渉を防ぎ、LEDの動作信頼性を改善する。
【0108】
本解決手段では、N電極は共有電極であってよく、ピクセルユニット24の全サブピクセルは1つのN電極を共有する。ピクセルユニット24のN型領域層2114は一体型の構造をしているので、N電極の準備を容易にすることができる。さらに、N電極はN型領域層2114の中央部に電気的に接続されてよく、これにより、ピクセルユニット24の電子がサブピクセルのエッジに流れにくくなるので、サブピクセルから電流が漏洩するリスクを低減できる。
【0109】
あるいは、同じ考えに基づいて、マルチ量子井戸層214およびN型領域層2114が切削されてよく、P型領域層2115は一体型のP型領域層として保持される。ここでは詳細について改めて説明しない。
【0110】
図15は、本願の一実施形態によるピクセルユニットの構造の概略図である。別の特定の実施形態において、サブピクセル間の隔壁はアルミニウムの遮光隔壁であってよい。この場合、段階S101でウェーハを準備するときに、LED層21を切削して複数のLED218を形成し、次いでLED218同士の間にアルミニウムの遮光隔壁を準備する。具体的には、まずLED層21の表面にオーミックコンタクト層2117を準備してよく、次いでLED層21を切削して複数のLED218を形成し、次いで各LED218の外面に絶縁層2118を準備して、絶縁層2118の表面にスルーホールを準備する。絶縁層2118の外面にアルミニウムの遮光隔壁2116を準備し、スルーホールおよびオーミックコンタクト層2117を介してLED218の端部にアルミニウムの遮光隔壁2116を電気的に接続し、アルミニウムの遮光隔壁2116をエッチングして導電パターンを形成する。アルミニウムの遮光隔壁2116の外側にカラー機能層2110を準備し、さらにアルミニウムの遮光隔壁を仕上げて、サブピクセルのカラー機能層2110を分離する。次いで、ピクセルユニット24の外面にパッシベーション層25を準備し、パッケージングによってピクセルユニット24を形成する。アルミニウムの遮光隔壁の表面は光反射率が高い。したがって、サブピクセルから放射された光がアルミニウムの遮光隔壁に達すると、より多くの光がサブピクセルに反射される。これは、サブピクセルの輝度および発光効率を向上させるのに役立つ。
【0111】
さらに、ピクセルユニット24の1つの面に第1電極22および第2電極23を準備してよく、アルミニウムの遮光隔壁を第1電極22または第2電極23に電気的に接続する。本解決手段では、アルミニウムの遮蔽隔壁は導電線として機能する。これにより、ピクセルユニット24を準備するときに配置される導電線の数を減らすことができるので、プロセスが簡略化されて、コストが削減される。ピクセルユニット24の第1電極22および第2電極23がサブピクセルの同じ面に配置される場合、第1電極22および第2電極23の一方を、LED層21の厚さ方向を貫通する電線を用いてLED層21に接続する必要がある。具体的には、LED層21の厚さ方向を貫通する電線に接続する必要がある電極に、アルミニウムの遮光隔壁を電気的に接続してよく、これにより、LED層21を貫通する追加の導電線を準備する必要がなくなる。これは、表示パネルにおけるLEDの占有率を増やすのに役立ち、また発光効率および表示効果を改善するのに役立つ。
【0112】
あるいは、各ピクセルユニット24の全サブピクセルは、1つの電極を共有するように設計されてよい。具体的には、ピクセルユニット24の全サブピクセルの一端が1つの第2電極23を共有し、サブピクセルの他端がそれぞれ1つの第1電極22に接続される。アルミニウムの遮光隔壁を隣り合ったサブピクセルの間に配置する場合、アルミニウムの遮光隔壁を第2電極23に接続してよく、これにより、ピクセルユニット24のサブピクセルの一端が1つの第2電極23を共有するようになる。この場合、アルミニウムの遮光隔壁はさらに、共有電極に接続するための電線として機能するため、追加の導電線を削減できる。
【0113】
前述の説明は、単に本願の具体的な実装例に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願において開示した技術的範囲内で当業者が容易に考え出す変形または置換はいずれも、本願の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本願の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【国際調査報告】