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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】熱機関及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   F03G 7/00 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
F03G7/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576008
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 GB2020053348
(87)【国際公開番号】W WO2021250365
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】2008912.4
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521338961
【氏名又は名称】カトリック テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KATRICK TECHNOLOGIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラユサム,カーティキヤン
(57)【要約】
熱機関が開示される。熱機関は、ハウジング(1)と、ハウジング(1)内に配置された第1液体(3)及び第2液体(4)と、を備える。第1液体(3)は、第2液体(4)よりも高い密度及び低い沸点を有する。熱機関は、第1液体(3)に熱を伝達して第1液体(3)を蒸発させ、第1液体蒸気(20)を生成する熱交換器(6)をさらに備える。熱機関は、第1液体蒸気(20)及び第2液体(4)の相互作用によって生成された流体流れに応答して移動する少なくとも1つの流体流れ部材(9)も備える。第1液体の気液相変化は、多くの利点を有する、熱を仕事に変換する代替機構を提供する。熱機関は、最小限の可動部品、相対的に長い寿命を有しており、特定の燃料を必要とせず、有毒又は環境に優しくないガスを直接放出せず、かつ、特定の廃熱源に適応可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された第1液体及び第2液体であって、前記第1液体は、前記第2液体よりも高い密度及び低い沸点を有している、第1液体及び第2液体と、
前記第1液体に熱を伝達して前記第1液体を蒸発させ、第1液体蒸気を形成する熱交換器と、
前記第1液体蒸気と前記第2液体との相互作用によって生成された流体流れに応答して移動する少なくとも1つの流体流れ部材と、を備える熱機関。
【請求項2】
前記ハウジングは密閉可能である、及び/又は、前記熱機関は密閉型熱機関である、請求項1に記載の熱機関。
【請求項3】
前記第1液体及び前記第2液体は前記ハウジングの内部容積を占有する、請求項1又は2に記載の熱機関。
【請求項4】
前記第1液体は前記ハウジングの第1部分内に配置され、かつ、前記第2液体は前記ハウジングの第2部分内に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項5】
前記第1液体は純水であり、かつ、前記第2液体はキシレンであり、及び/又は、前記
熱機関の作動温度範囲は110~150℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項6】
前記熱交換器は外部高温熱源から前記第1液体に熱を伝達する、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項7】
前記熱交換器は、前記ハウジングの前記第1部分及び/又はパイプである、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項8】
前記熱機関は1以上のペレットをさらに備え、前記1以上のペレットは、前記熱機関の前記内部容積内に配置され、前記第1液体及び/又は前記第2液体内に浮遊し、前記1以上のペレットの密度は前記第1液体の密度と前記第2液体の密度との間である、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項9】
前記1以上のペレットは磁性を有する、請求項8に記載の熱機関。
【請求項10】
前記少なくとも1つの流体流れ部材は1以上のロッドである、請求項1~9のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項11】
1以上のロッドは第1端及び第2端を備え、前記1以上のロッドの各第1端は前記ハウジングの内面に取り付けられ、かつ、前記1以上のロッドの各第2端は自由に動くことができる、請求項10に記載の熱機関。
【請求項12】
前記1以上のロッドは前記内面周りに均一に分布する、及び/又は、前記1以上のロッドは前記内面に対して垂直に配向される、及び/又は、前記1以上のロッドは均一な寸法を有する、及び/又は、前記1以上のロッドは同じ材料組成を含む、請求項11に記載の熱機関。
【請求項13】
前記少なくとも1つの流体流れ部材は1以上のプレートであり、前記1以上のプレートは1以上の穿孔を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項14】
前記少なくとも1つの流体流れ部材は1以上のダイアフラムであり、前記1以上のダイアフラムは1以上の穿孔を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項15】
前記少なくとも1つの流体流れ部材は1以上のペレットである、請求項9に記載の熱機関。
【請求項16】
前記熱機関は凝縮ループをさらに備え、前記凝縮ループは、前記第1液体蒸気から外部低温ヒートシンク又は熱源に熱を伝達する、請求項1~15のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項17】
前記熱機関はシンクをさらに備え、前記シンクは前記第1液体を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の熱機関。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の熱機関と、エネルギー変換手段と、外部高温熱源と、を備える環境発電システム。
【請求項19】
前記環境発電システムは、外部低温ヒートシンク又は熱源をさらに備える、請求項18に記載の環境発電システム。
【請求項20】
前記環境発電システムは振動レンズをさらに備えてもよい、請求項18又は19に記載の環境発電システム。
【請求項21】
前記振動レンズは少なくとも2つの集束部材を備え、前記少なくとも2つの集束部材の各々は、振動源に取り付けるための第1端と第2端とを有し、前記少なくとも2つの集束部材は、前記集束部材間の距離間隔が前記第1端から前記第2端に向かって減少するように配列される、請求項20に記載の環境発電システム。
【請求項22】
前記少なくとも2つの集束部材は集束プレート及び/又は集束ロッドである、請求項21に記載の環境発電システム。
【請求項23】
前記振動レンズの前記第1端は前記熱機関に固定され、かつ、前記エネルギー変換手段は、前記少なくとも2つの集束部材の第3部分の間で前記振動レンズの前記第2端に配置される、請求項21又は22に記載の環境発電システム。
【請求項24】
前記エネルギー変換手段は1以上の圧電結晶及び/又は1以上のコイルである、請求項18~23のいずれか1項に記載の環境発電システム。
【請求項25】
ハウジングを提供するステップと、
前記ハウジング内に配置された第1液体及び第2液体を提供するステップであって、前記第1液体は、前記第2液体よりも高い密度及び低い沸点を有する、提供するステップと、
前記第1液体を蒸発させて第1液体蒸気を形成する熱交換器を提供するステップと、
前記第1液体蒸気と前記第2液体との相互作用によって生成された流体流れに応答して移動する少なくとも1つの流体流れ部材を提供するステップと、を含む熱機関を製造する方法。
【請求項26】
熱機関を製造する前記方法は、外部高温熱源の特性を決定するステップをさらに含む、請求項25に記載の熱機関を製造する方法。
【請求項27】
熱機関を製造する前記方法は、前記外部高温熱源とともに使用するための熱機関の最適パラメータを決定するステップをさらに含む、請求項25又は26に記載の熱機関を製造する方法。
【請求項28】
請求項25~27のいずれか1項に記載の方法に従って熱機関を提供するステップと、
外部高温熱源を提供するステップと、
エネルギー変換手段を提供するステップと、を含む、環境発電システムを製造する方法。
【請求項29】
環境発電システムを製造する前記方法は、振動レンズを提供するステップを含んでもよい、請求項28に記載の環境発電システムを製造する方法。
【請求項30】
振動レンズを提供するステップは、
各々が第1端及び第2端を有する少なくとも2つの集束部材を提供するステップと、
前記少なくとも2つの集束部材の間の距離間隔が前記第1端から前記第2端に向かって減少するように、前記少なくとも2つの集束部材を配列するステップと、を含む、請求項29に記載の環境発電システムを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱機関及び製造方法に関する。特に、説明される熱機関は、流体の相変化を利用して熱エネルギーを力学的エネルギーに変換する。
【背景技術】
【0002】
熱機関は、熱を仕事に、すなわち言い換えると、熱エネルギーを力学的エネルギーに変換する循環装置である。概して、熱機関には、ガス又は流体などの作動物質が含まれ、作動物質は、高温のリザーバから熱を吸収し、その周囲に働きかけ、かつ、その初期状態に戻る際に熱を放出する。内燃機関など、この基本原理で作動する当技術分野で知られている多数のさまざまなタイプの熱機関が存在する。
【0003】
熱機関の作動物質は、圧力、温度及び体積の変化と、熱の追加及び除去と、を周期的に受ける。例えば、内燃機関内では、燃料空気混合物を含むガスが圧縮された後に点火され、続いてガスを膨張させてピストンを駆動する。ピストンの運動は、点火されたガスを排出し、かつ、サイクルを継続するために、点火されていないガスを引き込むように構成されている。
【0004】
普及しているにもかかわらず、内燃機関には多くの欠点がある。内燃機関は、作動するために燃料を必要とし、かつ、外部高温(T)源からの廃熱で作動することはできない。燃料を点火してピストンを駆動する必要があり、これは、騒音を発生させ、かつ、多数の可動部品を必要とする。これらの部品は、経時的な使用によって劣化して破損する可能性があり、定期的なメンテナンスを必要とし、かつ、最終的にエンジンの寿命を制限する。さらに、内燃機関に適した燃料は、典型的には、高価で精製されたガス状又は液体の炭化水素化合物に限定される。さらに、燃料の燃焼により、望ましくない有毒で環境に優しくないガスを生じさせる。内燃機関は、拡張性にも欠けるので、大規模な発電には適していない。
【0005】
外燃機関は、熱交換器又はエンジン壁を通じて作動流体を加熱する外部高温(T)源によって作動する。熱により作動流体が膨張してピストンを駆動する。蒸気エンジンなどの外燃機関は、多くのタイプの熱源を利用することができ、かつ、このようなエンジンは広く使用されている。それにもかかわらず、これらのエンジンは通常、大規模な発電に適しているので、大きく、重く、高価な装置であり、安全ではなく、相対的に非効率である可能性がある。外燃機関はまた、騒音を発生させ、かつ、メンテナンスを必要とする可動部品を備えている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様は、当技術分野で知られている熱機関の前述の欠点のうちの1以上を除去する又は少なくとも軽減する熱機関を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の第1態様によれば、熱機関が提供され、前記熱機関は:
ハウジングと;
前記ハウジング内に配置された第1液体及び第2液体であって、前記第1液体は、前記第2液体よりも高い密度及び低い沸点を有している、第1液体及び第2液体と;
前記第1液体に熱を伝達して前記第1液体を蒸発させ、第1液体蒸気を形成する熱交換器と;
前記第1液体蒸気と前記第2液体との相互作用によって生成された流体流れに応答して移動する少なくとも1つの流体流れ部材と、を備える。
【0008】
最も好ましくは、前記ハウジングは密閉可能である。前記熱機関は密閉型熱機関である。この構成では、作動中に前記第1液体及び/又は前記第2液体が追加されない及び/又は除去されない。
【0009】
好ましくは、前記第1液体及び前記第2液体は前記ハウジングの内部容積を占有する。前記第1液体及び前記第2液体は前記ハウジングの前記内部容積内で混ざり得る。
【0010】
好ましくは、前記第1液体は前記ハウジングの第1部分内に配置される。前記第2液体は前記ハウジングの第2部分内に配置される。
【0011】
最も好ましくは、前記第1液体は純水であり、前記第2液体はキシレンである。代替的に、前記第1液体は純水であり、前記第2液体はケロシンである。代替的に、前記第1液体はデカフルオロペンタンであり、前記第2液体は純水である。代替的に、前記第1液体はクロロホルムであり、前記第2液体は純水である。
【0012】
好ましくは、熱機関の作動温度範囲は110~150℃である。代替的に、熱機関の作動温度範囲は70~90℃である。
【0013】
好ましくは、前記熱交換器は外部高温熱源から前記第1液体に熱を伝達する。
【0014】
好ましくは、前記熱交換器は前記ハウジングの前記第1部分である。代替的に、前記熱交換器はパイプである。前記パイプは前記ハウジングの前記第1部分を通過してもよい。
【0015】
任意選択的に、前記熱機関は1以上のペレットをさらに備えてもよい。前記1以上のペレットは前記熱機関の前記内部容積内に配置される。前記1以上のペレットは前記第1液体及び/又は前記第2液体内に浮遊している。前記1以上のペレットの密度は前記第1液体の密度と前記第2液体の密度との間である。前記ペレットは、前記第1液体、前記第2液体及び/又は前記第1液体蒸気と化学的に反応しない。好ましくは、前記ペレットは磁気的に中性を有する。代替的に、前記ペレットは磁性を有する。
【0016】
最も好ましくは、前記少なくとも1つの流体流れ部材は1以上のロッドの形態をとってもよい。前記1以上のロッドは第1端及び第2端を備えてもよい。前記1以上のロッドの前記第1端は前記ハウジングの内面に取り付けられることが好ましい。前記1以上のロッドは前記ハウジングの前記内部容積内に延在してもよい。前記1以上のロッドの前記第2端は自由に動くことが好ましい。前記1以上のロッドの前記第2端は前記ハウジングの中心軸線に向かって配置されることが好ましい。
【0017】
好ましくは、前記1以上のロッドは前記内面周りに均一に分布される。代替的に、前記1以上のロッドは前記内面周りに不均一に分布される。
【0018】
好ましくは、前記1以上のロッドは前記内面に対して垂直に配向される。代替的に、前記1以上のロッドは前記内面に対して非垂直に配向される。
【0019】
好ましくは、前記1以上のロッドは均一な寸法を有する。代替的に、前記1以上のロッドは不均一な寸法を有する。
【0020】
好ましくは、前記1以上のロッドは、同じ材料組成を含む。前記1以上のロッドは真ちゅうを含んでもよい。代替的に、前記1以上のロッドは、異なる材料組成を含む。
【0021】
任意選択的に、前記少なくとも1つの流体流れ部材は1以上のプレートの形態をとってもよい。前記1以上のプレートは1以上の穿孔を備えることが好ましい。前記1以上のプレートは、前記ハウジングの円形断面の形態の寸法を有することが好ましい。前記1以上のプレートは前記ハウジングの前記内面に取り付けられてもよい。前記1以上のプレートは前記ハウジングの前記中心軸線に交差してもよい。
【0022】
任意選択的に、前記少なくとも1つの流体流れ部材は1以上のダイアフラムの形態をとってもよい。前記1以上のダイアフラムは1以上の穿孔を備えてもよい。
【0023】
任意選択的に、前記少なくとも1つの流体流れ部材は1以上のペレットの形態をとってもよい。前記1以上のペレットは磁性を有する。
【0024】
好ましくは、前記ハウジングは入口ポート及び出口ポートを備える。前記入口ポート及び前記出口ポートは密閉可能であることが好ましい。
【0025】
任意選択的に、前記熱機関は凝縮ループをさらに備える。前記凝縮ループは、前記第1液体蒸気から外部低温ヒートシンク又は熱源に熱を伝達する。前記凝縮ループは、前記第1液体蒸気を凝縮し、かつ、前記ハウジングの前記第1部分に前記第1液体を戻すことが好ましい。
【0026】
任意選択的に、前記熱機関はシンクをさらに備える。前記シンクは前記第1液体を含んでもよい。前記シンクは前記ハウジングに接続されることが好ましい。前記シンクは、前記ハウジングの前記第1部分内の前記第1液体のレベルを維持する。
【0027】
本発明の第2態様によれば、本発明の第1態様に係る熱機関と、エネルギー変換手段と、外部高温熱源と、を備える環境発電システムが提供される。
【0028】
任意選択的に、前記環境発電システムは、外部低温ヒートシンク又は熱源をさらに備えてもよい。
【0029】
最も好ましくは、前記環境発電システムは振動レンズをさらに備えてもよい。
【0030】
好ましくは、前記振動レンズは少なくとも2つの集束部材を備え、前記少なくとも2つの集束部材の各々は、振動源に取り付けるための第1端と第2端とを有し、前記少なくとも2つの集束部材は、前記集束部材間の距離間隔が前記第1端から前記第2端に向かって減少するように配列される。
【0031】
最も好ましくは、前記少なくとも2つの集束部材は各々、前記第1端と前記第2端との間に配置された第1部分を備える。前記少なくとも2つの集束部材の前記第1部分は、前記少なくとも2つの集束部材が前記第2端で収束するように互いに対して角度を付けられる。
【0032】
好ましくは、前記少なくとも2つの集束部材は各々、前記第1端に配置された第2部分を備える。好ましくは、前記少なくとも2つの集束部材の前記第2部分は実質的に平行である。
【0033】
最も好ましくは、前記振動レンズはバックプレートをさらに備える。前記少なくとも2つの集束部材の前記第1端は前記バックプレートに固定されてもよい。前記少なくとも2つの集束部材の前記第2部分は前記バックプレートに固定されてもよい。
【0034】
好ましくは、前記少なくとも2つの集束部材は各々、前記第2端に配置された第3部分を備える。前記少なくとも2つの集束部材の前記第3部分は実質的に平行である。前記少なくとも2つの集束部材の前記第3部分は前記振動レンズの焦点を規定する。
【0035】
好ましくは、前記少なくとも2つの集束部材は真ちゅうを含む。
【0036】
任意選択的に、前記少なくとも2つの集束部材は2以上の層及び/又はコーティングを備える。前記2以上の層及び/又はコーティングは、異なる振動特性及び/又は熱特性を示してもよい。前記少なくとも2つの層及び/又はコーティングは、異なる寸法、材料、密度及び/又は結晶粒組織を含んでもよい。
【0037】
任意選択的に、前記少なくとも2つの集束部材は第1層及び第2層を備える。前記第1層は前記第2層に固定される。前記第1層は真ちゅうを含んでもよい。前記第2層は鋼を含んでもよい。
【0038】
任意選択的に、前記振動レンズは1以上のばねをさらに備える。前記1以上のばねは前記少なくとも2つの集束部材を接続する。
【0039】
任意選択的に、前記振動レンズは、前記少なくとも2つの集束部材のうちの1以上に取り付けられた1以上の重りをさらに備える。
【0040】
任意選択的に、前記振動レンズは動的制御システムをさらに備える。前記動的制御システムは、作動中に前記振動レンズの振動特性を変化させる。前記動的制御システムは、前記ばねの剛性を調整してもよい。前記動的制御システムは前記重りの位置及び/又は大きさを調整してもよい。
【0041】
任意選択的に、前記振動レンズは3つの集束部材を備えてもよい。
【0042】
最も好ましくは、前記集束部材は集束プレートである。
【0043】
代替的に、前記集束部材は集束ロッドである。
【0044】
最も好ましくは、前記振動レンズの前記第1端は前記熱機関に固定される。
【0045】
最も好ましくは、前記エネルギー変換手段は前記振動レンズの前記第2端に配置される。好ましくは、前記エネルギー変換手段は、前記少なくとも2つの集束部材の前記第3部分の間に配置される。
【0046】
任意選択的に、前記熱機関の前記ハウジングは、密閉可能な開口部をさらに備える。前記熱機関の前記ロッドは、前記振動レンズの前記集束部材に直接接続される。前記ロッドは前記密閉可能な開口部を通過する。
【0047】
好ましくは、前記エネルギー変換手段は1以上の圧電結晶である。追加的又は代替的に、前記エネルギー変換手段は、1以上のナノコイル及び/又は1以上のコイルである。
【0048】
代替的に、前記エネルギー変換手段はコイルである。前記コイルは、前記熱機関の前記ハウジング周りに巻き付けられてもよい。
【0049】
本発明の第2態様の実施形態は、本発明の第1態様の好ましい又は任意選択的な特徴を実施するための特徴を備えてもよく又はその逆も同様である。
【0050】
本発明の第3態様によれば、熱機関を製造する方法が提供され、前記方法は、
ハウジングを提供するステップと、
前記ハウジング内に配置された第1液体及び第2液体を提供するステップであって、前記第1液体は前記第2液体よりも高い密度及び低い沸点を有する、提供するステップと、
前記第1液体を蒸発させて第1液体蒸気を形成する熱交換器を提供するステップと、
前記第1液体蒸気と前記第2液体との相互作用によって生成された流体流れに応答して移動する少なくとも1つの流体流れ部材を提供するステップと、を含む。
【0051】
好ましくは、熱機関を製造する前記方法は、外部高温熱源の特性を決定するステップをさらに含んでもよい。
【0052】
好ましくは、前記外部高温熱源の特性を決定するステップは、前記外部高温熱源の温度、エネルギー、出力、変動及び/又は持続時間を決定するステップを含んでもよい。
【0053】
好ましくは、熱機関を製造する前記方法は、前記外部高温熱源とともに使用するための熱機関の最適パラメータを決定するステップをさらに含んでもよい。
【0054】
好ましくは、前記外部高温熱源とともに使用するための熱機関の最適パラメータを決定するステップは、前記外部高温熱源の特性を利用するステップをさらに含んでもよい。
【0055】
好ましくは、熱機関の最適パラメータを決定するステップは、前記熱機関の寸法;前記第1液体及び前記第2液体の体積、相対比及び化学組成;前記少なくとも1つの流体流れ部材の分布、配向、寸法及び/又は材料組成;前記高温(T)熱源への前記熱機関の作動上の近接性;凝縮ループが必要とされるかどうか;及び、シンクが必要とされるかどうか、を決定するステップを含んでもよい。
【0056】
本発明の第3態様の実施形態は、本発明の第1態様及び/又は第2態様の好ましい又は任意選択的な特徴を実装するための特徴を備えてもよく又はその逆も同様である。
【0057】
本発明の第4態様によれば、環境発電システムを製造する方法が提供され、前記方法は、
本発明の第3態様に係る熱機関を提供するステップと、
外部高温熱源を提供するステップと、
エネルギー変換手段を提供するステップと、を含む。
【0058】
好ましくは、環境発電システムを製造する方法は、外部低温ヒートシンク又は熱源を提供するステップを含む。
【0059】
好ましくは、環境発電システムを製造する方法は、振動レンズを提供するステップを含んでもよい。
【0060】
好ましくは、振動レンズを提供するステップは、
各々が第1端及び第2端を有する少なくとも2つの集束部材を提供するステップと、
前記少なくとも2つの集束部材の間の距離間隔が前記第1端から前記第2端に向かって減少するように、前記少なくとも2つの集束部材を配置するステップと、を含む。
【0061】
好ましくは、振動レンズを提供するステップは、前記熱機関の特性を決定するステップをさらに含む。
【0062】
好ましくは、前記熱機関の特性を決定するステップは、前記熱機関の寸法、少なくとも1つの流体流れ部材の寸法、及び、任意の機械的振動の周波数特性のパラメータのうちのいずれか1つを定量化するステップを含む。
【0063】
好ましくは、振動レンズを提供するステップは、前記熱機関とともに使用するための前記振動レンズの最適パラメータを決定するステップをさらに含んでもよい。
【0064】
好ましくは、振動レンズの最適パラメータを決定するステップは、前記少なくとも2つの集束部材の最適な長さ、幅及び/又は深さ;及び/又は、前記少なくとも2つの集束部材の前記第1端の最適な距離間隔;及び/又は、前記少なくとも2つの集束部材の前記第2端の最適な距離間隔;及び/又は、前記少なくとも2つの集束部材が収束するための最適な距離;及び/又は、前記少なくとも2つの集束部材に最適な単一の材料又は複数の材料;及び/又は、前記少なくとも2つの集束部材の単一の材料又は複数の材料の最適な熱膨張係数を決定するステップを含む。
【0065】
任意選択的に、最適なパラメータを決定するステップは、前記少なくとも2つの集束プレートの第1層及び第2層の深さ;前記第1層の材料;及び、前記第2層の材料を決定するステップを含んでもよい。前記第1層は真ちゅうを含んでもよい。前記第2層は鋼を含んでもよい。
【0066】
好ましくは、前記熱機関を提供するステップは、振動レンズを提供する前に実行される。
【0067】
任意選択的に、振動環境発電システムを製造する方法は反復的であってもよい。前記振動レンズを提供するステップの後に前記熱機関が最適化されてもよい。
【0068】
本発明の第4態様の実施形態は、本発明の第1態様、第2態様及び/又は第3態様の好ましい又は任意選択的な特徴を実装するための特徴を備えてもよく又はその逆も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
ここで、例としてのみ、図面を参照して本発明のさまざまな実施形態を説明する。
【0070】
図1】本発明の一実施形態に係る熱機関の概略断面図を示している。
図2図1の熱機関の切り取り斜視図を示している。
図3】作動中の図1の熱機関の概略断面図を示している。
図4】作動中の図1の熱機関の代替の実施形態の概略断面図を示している。
図5図1の熱機関の代替の実施形態の切り取り斜視図を示している。
図6図1の熱機関を備える環境発電システムの概略断面図を示している。
図7図6の振動環境発電システム内で採用される振動レンズの斜視図を示している。
図8図7の振動レンズの概略断面図を示している。
図9A】振動レンズが内燃機関に取り付けられた場合に、図7の振動レンズの第2端に配置された圧電結晶によって生成された電圧のプロットを示している。
図9B】基準圧電結晶によって生成された電圧のプロットを示している。
図10図7の振動レンズの代替の実施形態の概略断面図を示している。
図11図7の振動レンズのさらに代替の実施形態の概略断面図を示している。
図12図7の振動レンズのさらに別の代替の実施形態の概略断面図を示している。
図13図6の環境発電システムの代替の実施形態の概略断面図を示している。
図14図1の熱機関を製造する方法のフローチャートを示している。
図15図6の代替の環境発電システムの概略断面図を示している。
【0071】
以下の説明において、同様の部品は、明細書及び図面全体を通じて同じ参照符号で示される。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、かつ、本発明の実施形態の詳細及び特徴をよりよく示すために、特定の部分の比率が誇張されている。
【発明を実施するための形態】
【0072】
ここで、図1図15を参照して本発明を説明する。
【0073】
熱機関
図1は、実質的に円筒形の密閉可能なハウジング2を備える熱機関1を示している。ハウジング2は、ステンレス鋼、具体的にはSA516 GR.65を含む。理解を容易にするため、図1には、r、θ及びz軸を有する円筒座標系も示されている。
【0074】
熱機関1は、その両方がハウジング2内に配置された第1液体3及び第2液体4を含むことが分かる。第1液体3及び第2液体4はハウジング2の内部容積5を占有する。第1液体3は、第2液体4と比較して密度が高いが沸点が低い。したがって、第1液体3及び第2液体4はハウジング2内で自由に混ざることができるが、第1液体3は、ハウジング2の底部でハウジング2の第1部分6内に位置し、第2液体4は、ハウジング2の第2部分7内で第1液体3の上方に位置する。
【0075】
例として、第1液体3は純水であってもよく、第2液体4はキシレンであってもよい。純水の密度はキシレンの密度の約1.2倍であり、かつ、純水の沸点は、100℃であり、キシレンの沸点である138.5℃よりも低い。純水及びキシレンは両方とも、室温(20℃)及び室圧で液相状態にある。第1液体3及び第2液体4として純水及びキシレンを含む熱機関1は、110℃~150℃の温度での作動に適している。
【0076】
第1液体3及び第2液体4のさらなる例が、第1液体3及び第2液体4を含む熱機関1の作動温度範囲とともに表Iに提供される。表Iの第1液体3及び第2液体4のすべてが、室温(20℃)及び室圧で液相状態にある。さらに、70~90℃より低い作動温度範囲など、表Iに詳述されているものとは異なる作動温度範囲が、表Iの開示された液体及び組み合わせを超える、さまざまな第1液体3及び第2液体4並びに第1液体3及び第2液体4のさまざまな組み合わせを使用することによって達成され得ることが理解される。
【0077】
表I:第1液体と、第2液体と、第1液体及び第2液体を含む熱機関の作動温度範囲との例


【0078】
熱機関1は、ある量の第1液体3を蒸発させるため、外部高温(T)熱源8から第1液体3に熱を伝達する熱交換器も備える。第1液体3は、外部高温(T)熱源に直接曝されない、又は、外部高温(T)熱源8からの熱を運ぶ任意の外部流体に直接曝されない。図1の実施形態では、熱交換器は、ハウジング2の第1部分6の形態をとる。
【0079】
熱機関1は、少なくとも1つの流体流れ部材9をさらに備える。図2から明らかに分かるように、少なくとも1つの流体流れ部材はロッド10の形態をとる。各ロッド10は第1端11及び第2端12を有する。ロッド10の第1端11は、ハウジング2の内面13に取り付けられる。ロッド10は、ハウジング2の内部容積5内に延在する。ロッド10の第2端12は、自由に動くことができ、かつ、ハウジング2の中心軸線14に向かって配置される。ロッド10は、ハウジング2の内面13にわたってθ方向及びz方向の両方に分布している。ロッド10は、ハウジング2の第2部分7に配置される。図1図3は、ロッド10を、内面13周りに均一に分布し、内面13に対して垂直に配向され、かつ、長さなどの寸法がすべて均一であるものとして示している。比較的高い密度がすべての移動又は力学的振動を効果的に伝達するので、ロッド10は青銅及び/又は真ちゅうから形成されてもよい。
【0080】
ハウジング2は、密閉可能な入口ポート15及び密閉可能な出口ポート16を備える。密閉可能な入口ポート15は、ハウジング2の上端17に配置されてハウジング2の第2部分7に通じ、かつ、ハウジング2内に第1液体3及び第2液体4を追加するための手段を提供する。同様に、密閉可能な出口ポート16は、ハウジング2の基端18に配置され、ハウジング2の第1部分6に通じ、かつ、ハウジング2から第1液体3及び第2液体4を排出するための手段を提供する。ハウジング2を正圧で満たして維持するため、第1液体3及び第2液体4は、ポンピングシステム19によってハウジング2へ及びハウジング2からポンピングされてもよい。
【0081】
図3は、作動中の図1の熱機関1、言い換えると、熱エネルギーを力学的エネルギーに変換するステップを示している。熱機関1は、作動中に第1液体3及び第2液体4が追加又は除去されない密閉型機関である。ハウジング2の第1部分6は、外部高温(T)熱源8に曝され、その結果、熱エネルギーがハウジング2を通じて第1液体3に伝達される。したがって、第1液体3の一部が蒸発して第1液体蒸気を形成する。第1液体蒸気は気泡20の形態をとる。気泡20は、第1液体3及び第2液体4の両方よりも低い密度を有する。したがって、気泡20は、正のz方向に、ハウジング2の第2部分7に入り、かつ、第2液体4を通って移動する。外部高温(T)熱源8からの熱エネルギーは、気泡20の運動の形態の運動エネルギーに変換される。
【0082】
相対運動及び/又は熱勾配の形態での、気泡20と第2液体4との相互作用が流体流れを生成する。より具体的には、流体流れは、第1液体3、第2液体4及び気泡20の流れを含む。例えば、流体流れは図3において矢印で表される。この流体流れは層流又は乱流であってもよい。流体流れは、ロッド10の移動を誘導する、又はより具体的には、流体流れは、ロッド10内の力学的振動を誘導する。したがって、気泡20の運動エネルギーは力学的振動エネルギーに変換される。例えば、気泡20の流体層流は、気泡20がロッド10に直接衝突し、ロッド10を偏向させ得る。さらに、気泡20及び第2液体4の流体乱流は、ロッド10内に動き及び/又は力学的振動を誘導し得る。
【0083】
各気泡20は、運動エネルギー及び熱エネルギーを放散する。その結果、各気泡20は最終的に凝縮して、第1液体3の液泡21を形成する。液泡21の密度は第2液体4の密度よりも大きいので、液泡21は、ハウジング2の第1部分6内に基端18に向かって沈んで戻る。液泡21がハウジング2の第2部分7を通って沈んで戻る利点は、液泡21がさらに流体流れを生成し、かつ、ロッド10内で移動及び/又は力学的振動を誘導し得ることである。
【0084】
代替の実施形態として、円筒形であることに代えて、ハウジング2は、任意の規則的又は不規則な三次元形状を取り得ることが理解される。
【0085】
追加又は代替の実施形態として、熱交換器は、ハウジング2の第1部分6を通過するパイプ22の形態をとってもよく、図4を参照されたい。外部高温(T)熱源8からの熱を運ぶ外部流体は、パイプを通過し、第1液体3に熱を間接的に伝達する。パイプ22は、第1液体3とより大きな熱接触を有するので、ハウジング2の第1部分6を通じてよりも、第1液体3に熱を伝達するのにより効率的である。
【0086】
追加又は代替の実施形態として、ロッド10の分布は不均一であってもよい。別の追加又は代替の実施形態として、ロッド10は、内面13に対して非垂直に配向されてもよい。さらなる追加又は代替の実施形態として、ロッド長さなどのロッド10の寸法は変化してもよい。さらに別の追加又は代替の実施形態として、ロッド10の材料組成が変化してもよい。さらに、ロッド10の分布、配向、寸法及び材料組成は、計算によって最適化されてもよい。
【0087】
追加又は代替の実施形態として、図4の熱機関1はペレット23aをさらに備える。ペレット23aは、熱機関1の内部容積5内に配置され、第1液体3及び第2液体4内に浮遊している。ペレット23aは、気泡20と第2液体4との相互作用によって生成された流体流れに応答して、ハウジング2の内部容積5周りを移動する。ペレット23aはロッド10と衝突し、流体流れによって直接誘導される移動に加えて、さらなる移動、又はより具体的には、ロッド10内の力学的振動を誘導する。ペレット23aの密度は、ペレット23aが第1液体3及び第2液体4内に浮遊している場合に重すぎたり浮力が強すぎたりしないように、第1液体3及び第2液体4の密度の間にある。さらに、ペレット23aは、第1液体3、第2液体4及び気泡20と化学的に反応しない。ペレット23aは磁気的に中性でもある。ペレット23aの寸法及び材料組成は、流体流れとの所望の相互作用を達成するために最適化されてもよい。さらなる追加又は代替の実施形態として、ペレット23bは、図15の文脈において以下でさらに議論されるように、磁性を有してもよい。
【0088】
追加又は代替の実施形態として、図4の熱機関1は凝縮ループ24をさらに備える。気泡20がハウジング2内で十分なエネルギーを失って受動的に凝縮することに代えて、凝縮ループ24は気泡20を能動的に凝縮させる。より具体的には、気泡20がハウジング2の第2部分7を通過すると、気泡16は凝縮ループ24を通過し、そこで、外部低温(T)ヒートシンク又は熱源25が気泡20を能動的に冷却し、その結果、気泡20が液泡21に凝縮する。液泡21は、ハウジング2の第1部分6に戻される。凝縮ループ24は、例えば、気泡20がハウジング2の上端17に蓄積する場合に有利であり得る。
【0089】
別の追加又は代替の特徴として、図4の熱機関1は、第1液体3のシンク26をさらに備える。シンク26は、ハウジング2に接続され、かつ、ハウジング2の第1部分6内の第1液体3のレベルを維持する。第1液体3が熱機関1内で蒸発する際、これは、熱機関1内の圧力及び/又は容積の無視できない変化を誘導し得る。シンク26は、圧力及び/又は容積の変化を最小限に抑える。
【0090】
追加又は代替の実施形態として、ロッド10に代えて、少なくとも1つの流体流れ部材は、図5に示すように、穿孔28を備えるプレート27の形態をとってもよい。プレート27は、ハウジング2の円形断面の形態で寸法設定され、ハウジング2の内面13に取り付けられ、かつ、中心軸線14に交差するように配向される。流体流れは、プレート27内で移動及び/又は力学的振動を誘導する。例えば、気泡20及び液泡21の流体流れは、プレート27によって遮断され、かつ、穿孔28を通って向きを変えられ、プレート27の移動及び/又は力学的振動を誘導する。穿孔28のサイズ、分布及び相対位置は、熱機関1内の流体乱流を強化するために最適化され得る。さらなる追加又は代替の特徴として、プレート27は可撓性を有してもよく、言い換えれば、流体流れ部材は、穿孔を有するダイアフラムの形態をとる。
【0091】
第1液体3への熱伝達、気泡20を形成するための第1液体3の蒸発、気泡20から流体流れ部材(言い換えると、ロッド10、プレート27及び/又はダイアフラム)へのエネルギー伝達、及び、液泡21を形成するための気泡20の凝縮のプロセスは、循環を形成するために繰り返される。力学的エネルギー(言い換えると、移動及び/又は振動)は、電気エネルギーにさらに変換され得る。
【0092】
環境発電システム
図6は、熱機関1及び外部高温(T)熱源8を、環境発電システム29、より具体的には、振動環境発電システムの一部として示している。振動環境発電システム29はエネルギー変換手段30をさらに備える。環境発電システムは、任意選択的に、気泡20を凝縮する必要がある場合、外部低温(T)ヒートシンク又は熱源25を備えてもよい。さらに、振動環境発電システム29は、任意選択的に、振動レンズ31を備えてもよい。
【0093】
図7及び図8は、環境発電システム29で使用するための適切な振動レンズ31aを示している。振動レンズ31aは、本出願人の同時係属の英国特許出願第GB1911017.0号に記載されているようなタイプのものであってもよい。したがって、振動レンズ31aは、バックプレート32及び2つの集束部材を備える。集束部材は、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の形態をとる。第1集束プレート33及び第2集束プレート34は各々、第1端35及び第2端36を有する。第1集束プレート33及び第2集束プレート34は各々、第1端35の第2部分38と第2端36の第3部分39との間に配置された、長さγを有する第1部分37を備える。
【0094】
第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第2部分38はバックプレート32に固定される。図7に示すように、第2部分38は、溶接によってバックプレート32に固定されるように、バックプレート32に実質的に平行かつ接触するように角度を付けられている。溶接に加えて又は溶接に代えて、固定手段は、接着剤、ナット及びボルト、リベット、それらの組み合わせ又は任意の他の適切な代替物の形態をとってもよい。
【0095】
図8から分かるように、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第2部分38は、実質的に同じ向きでバックプレート32に固定され、かつ、距離αだけ離間されている。
【0096】
図8からも分かるように、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第1部分37は、互いに向かって収束するようにバックプレート32に対して角度を付けられている。現在説明している実施形態では、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第1部分37は、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第2部分38の間の中間(α/2)に配置されたバックプレート32の法線に沿って距離βの点に向かって収束するように、バックプレート32に対して角度を付けられている。
【0097】
第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第2端36の第3部分39は、バックプレート32に対して実質的に平行、好ましくは垂直になるように角度を付けられ、かつ、振動レンズ31aの焦点として作用する。
【0098】
図6に示すように、振動レンズ31aは熱機関1に取り付けられる。振動レンズ31aのバックプレート32は、例えば、ナット及びボルト、溶接及び/又は任意の他の適切な同等の手段又はそれらの組み合わせによって、熱機関1に固定される。熱機関1のロッド10に誘導された力学的振動は、熱機関1のハウジング1を通じて振動レンズ31aに伝達される。
【0099】
図6から明らかに分かるように、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第3部分39の間に、1以上の圧電結晶40の形態をとるエネルギー変換手段30が配置される。圧電結晶40は、電気部品41に接続され、かつ、例えば、ケーブル42によって適切な電気負荷(図示せず)に向けられる。1以上の圧電結晶40は、熱機関1から生じる振動力学的エネルギーを有用な電気エネルギーに変換する。代替のエネルギー変換手段はナノコイル及び磁石の形態をとり得る。
【0100】
環境発電システム29の追加又は代替の実施形態では、圧電結晶40が熱機関1に直接取り付けられてもよいことを理解されたい。ただし、図6によって示される実施形態では、圧電結晶40は、図9によって全体的に例示されるように、より多くの電気エネルギーが生成可能であるように振動レンズ31に取り付けられる。
【0101】
図9aは、圧電結晶40によって生成される、時間の関数としての電圧を示しており、圧電結晶40は、熱機関1に代えて振動源として機能する内燃機関に振動レンズ31aが取り付けられた場合に、振動レンズ31aの第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第3部分39の間に配置される。図9aは、0.743Vの二乗平均平方根電圧を示している。図9bは、内燃機関に直接取り付けられた基準圧電結晶(図示せず)によって生成される、時間の関数としての電圧を示している。図9bは、二乗平均平方根電圧0.003Vを示している。第3部分39間の圧電結晶40は、基準圧電結晶の電圧よりも約248倍大きい電圧を生成する。
【0102】
この理由は、振動レンズ31aが、集束プレート33、34の第1端35から第2端36に、振動を伝達し、収束し及び集束させるからである。したがって、集束プレート33、34は、各集束プレート33、34の第1端35がバックプレート32に固定され、かつ、第2端36が自由に移動して圧電結晶40を作動させるので、カンチレバーと等価であると考えられ得る。
【0103】
集束プレート33、34は、図7から明らかに分かるように、実質的に三角形である。集束プレート33、34の第1端35は三角形の底辺に相当し、第2端36は三角形の(切頭)先端と同等である。集束プレート33、34の三角形状は、機能性を維持しながら、バックプレート32から垂直距離βで振動レンズ31aを収容するのに必要な空間を最小化する。
【0104】
図6図8に示す振動レンズ31aは、振動レンズ31aを通る振動力学的エネルギーの効率的な伝達を容易にする、真ちゅうの密度が相対的に高いことに起因して、真ちゅうから形成される。振動レンズ31aは、代替的に、振動エネルギーを伝達するのに適した他の金属、合金又はセラミックなどの非金属材料から形成されてもよい。
【0105】
追加又は代替の特徴として、図10の振動レンズ31bは、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の間にばね43をさらに備える。振動レンズ31bは複数のばね43を備え得ることを理解されたい。同様に、さらなる追加又は代替の特徴として、図11の振動レンズ31cは、第1集束プレート33に取り付けられた重り44をさらに備える。再び、振動レンズ31cは、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の両方又は一方のみに配置された、等しい又は等しくない重さの複数の重り44を備えてもよいことが理解される。さらなる代替として、振動レンズ31は、ばね43及び重り44の両方を備えてもよい。ばね43及び重り44の両方が、振動レンズ31b、31cの共振周波数を減衰及び/又は変更することによって、振動レンズ31b、31cの振動特性を修正し、そのことが、振動レンズ31b、31cの特性を最適化する機構を提供する。図10及び図11は、振動レンズ31b、31cが動的制御システム45をさらに備えてもよいことを示しており、動的制御システム45は、ばね43の剛性、及び/又は、第1集束プレート33及び/又は第2集束プレート34上の重り44の位置、及び/又は、第1集束プレート33及び/又は第2集束プレート34上の重り44の大きさを動的に調整する。例えば、重り44は、動的制御システム45によって水をポンプで出し入れし得る容器の形態をとってもよい。動的制御システム45は、作動中の振動レンズ31b、31cの振動特性の修正を容易にする。
【0106】
別の追加又は代替の特徴として、集束部材は、複数の層及び/又はコーティングを備えてもよい。さまざまな層及び/又はコーティングは、例えば、さまざまな寸法、材料、密度及び/又は結晶粒組織を含むことに起因して、さまざまな振動特性及び/又は熱特性を示し得る。
【0107】
例えば、図12は、第1外側層46と第2内側層47とを備える集束プレート33、34を示している。第2内側層47は、第1外側層46より密度が低くてもよい。この構成により、振動レンズ31dを通じた振動の伝達が改善されることが分かる。別の例として、第1外側層46の結晶粒組織は、第2内側層47の結晶粒組織と比較して、より整列されていてもよい。さらに、この構成は、振動レンズ31dを通じた振動の伝達を改善する。別の例として、第1層46は真ちゅうから形成されてもよく、かつ、第2層47は鋼から形成されてもよい。
【0108】
さらに、例えば、第2内側層47が第1外側層よりも密度が高くなり得るように、第1外側層46と第2内側層47との相対的な物理的特性が逆にされてもよいことにさらに留意されたい。さらなる代替として、第1外側層46の結晶粒組織は第2内側層47の結晶粒組織と比較して整列されていなくてもよい。寸法、材料、密度及び/又は結晶粒組織などのさまざまな層の物理的特性は、振動源すなわち熱機関1の周波数特性に最終的に依存する所望の振動特性及び/又は熱特性に従って最適化される。
【0109】
さらなる代替として、振動レンズ31a、31b、31c、31dは、3以上の又は1つの集束プレート33、34を備えてもよい。例えば、第1集束プレート33のみを有する振動レンズ31a、31b、31c、31dは、第1集束プレート33の第2端36に配置された圧電結晶40を熱機関1に対して、より具体的にはハウジング2の突出部分に対して、作動させることができる。逆に、3つの集束プレート33、34を有する振動レンズ31a、31b、31c、31dは、2セットの圧電結晶40、図13に示すように、第1及び第2集束プレートの第2端36の間の一方のセットの圧電結晶40と、第2集束プレート34及び第3集束プレート48の間の他方のセットの圧電結晶と、を備えてもよい。
【0110】
さらに別の代替として、バックプレート32を備える振動レンズ31a、31b、31c、31dに代えて、集束プレート33、34は熱機関1に直接固定されてもよい。
【0111】
図13は別の追加又は代替の実施形態を示しており、ロッド10が、ハウジング2を通過して振動レンズ31a、31b、31c、31dの集束プレート33、34に直接接続するように、熱機関1のハウジング2が密閉可能な開口部49を備えてもよい。したがって、ロッド10に誘導された力学的振動は、ロッド10に沿って、かつ、振動レンズ31a、31b、31c、31dの集束プレート33、34に直接沿って伝播することができる。本実施形態では、ロッド10が集束プレート33、34に直接接続するので、バックプレート32は必要とされない。開口部49は、ロッド10が開口部49を通過してもしなくても、密閉可能であり、ハウジング2が漏れないことを確保する。
【0112】
さらなる代替として、集束プレート33、34を備える振動レンズ31a、31b、31c、31dに代えて、集束部材は集束ロッドの形態をとり得る。集束ロッドは、熱機関1のロッド10の単なる延長であってもよい。さらに、図12に示す集束プレート33、34の平面層46、47は、集束ロッドの同心層及び/又はコーティングと同等である。有利なことに、集束ロッドは、集束プレート33、34よりも占めるスペースが少ない。
【0113】
熱機関の製造方法
図14は、熱機関1を製造する方法のフローチャートを示している。この方法は:ハウジングを提供するステップ(S1001)と;ハウジング内に配置された第1液体及び第2液体を提供するステップであって、第1液体は、第2液体よりも高い密度及び低い沸点を有する、提供するステップ(S1002)と;第1液体に熱を伝達して第1液体を蒸発させて第1液体蒸気を形成する熱交換器を提供するステップと(S1003)と;第1液体蒸気及び第2液体の相互作用によって生成された流体流れに応答して移動する少なくとも1つの流体流れ部材を提供するステップ(S1004)と、を含む。
【0114】
さらに、熱機関1を製造する方法は、任意選択的に、外部高温(T)熱源8を特徴付けるステップを含んでもよい。例えば、これは、外部高温(T)熱源8の温度、エネルギー、出力、変動性及び/又は持続時間を特徴付けるステップを含んでもよい。本発明との関連において、高温(T)という用語は、周囲温度を超える任意の温度を広く指す。
【0115】
さらなる追加として、熱機関1を製造する方法は、任意選択的に、熱機関1の最適パラメータを決定するために、高温(T)熱源8の特性を利用するステップを含んでもよい。例えば、この最適化プロセスは:熱機関1の寸法;第1液体3及び第2液体4の容積、相対比及び化学組成;ロッド10の分布、配向、寸法及び材料組成;熱機関1の高温(T)熱源8への作動上の近接性;凝縮ループ24が必要とされるかどうか;シンク26が必要とされるかどうか、を決定するステップを含んでもよい。パラメータ依存性の一例として、外部高温(T)熱源8の温度及び出力が高くなるにつれて、熱機関1の実行可能な最大サイズ(すなわち、寸法、容積)が大きくなる。第1液体3及び第2液体4を選択する場合、熱容量、相対密度及び相対沸点などの要因が重要な考慮事項となる。これにより、熱機関1が作動すること、例えば、外部高温(T)熱源8が、任意の量の第1液体3を蒸発させるのに十分な熱を提供することを保証するので、熱機関1を最適化することは有利である。さらに、最適化は、熱機関1が効率的に作動することができることを保証する。
【0116】
振動環境発電システムの製造方法
環境発電システム29を製造する方法は、図14に示されるフローチャートに従って、かつ、上述したように、熱機関1を提供するステップと、外部高温(T)熱源8を提供するステップと、エネルギー変換手段30を提供するステップと、を含む。
【0117】
追加又は代替の特徴として、環境発電システム29を製造する方法は、任意選択的に、外部低温(T)ヒートシンク又は熱源25を提供するステップを含んでもよい。
【0118】
さらなる追加又は代替の特徴として、環境発電システム29を製造する方法は、任意選択的に、振動レンズ31a、31b、31c、31dを提供するステップを含んでもよい。振動レンズ31a、31b、31c、31dは、特定の熱機関1に対して最適化されるように製造される。振動レンズ31a、31b、31c、31dを提供するステップは、熱機関1の寸法、流体流れ部材(すなわち、ロッド10)の寸法、及び、最も重要な、ロッド10内で誘導される力学的振動の周波数特性などの、熱機関1の特性を決定するステップを含んでもよい。
【0119】
さらに、振動レンズ31a、31b、31c、31dを提供するステップは、任意選択的に、熱機関1から力学的振動エネルギーを収集するための振動レンズ31a、31b、31c、31dの最適パラメータを決定するステップを含んでもよい。これには、距離α、β及びγなどの振動レンズ31a、31b、31c、31dの形状及び寸法を決定するステップが含まれる。より具体的には、最適化は、熱機関1の作動範囲にわたる平均共振周波数に一致するように、集束プレート33、34の長さγを寸法設定するステップを含んでもよい。
【0120】
さらに、振動レンズを提供するステップは、任意選択的に、最適パラメータに従って振動レンズ31a、31b、31c、31dを提供するステップを含んでもよい。より具体的には、振動レンズ31a、31b、31c、31dの集束プレート33、34は、真ちゅうプレートを必要な寸法にウォータージェット切断し、かつ、集束プレート33、34に適切な曲げを導入することによって提供される。集束プレート33、34はバックプレート32に溶接される。
【0121】
振動レンズを提供するステップは、任意選択的に、以下のような要因に従って振動レンズ31a、31b、31c、31dのパラメータをさらに最適化するステップを含んでもよく、要因は:集束プレート33、34の第2端36に配置されたエネルギー変換手段のタイプ;振動レンズ31a、31b、31c、31dが備える集束プレート33、34の数;振動レンズ31a、31b、31c、31dを収容するために利用可能な空間;及び、より一般的には、作動上の制約及び所望の性能特性などである。例えば、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第1部分37は、第1集束プレート33及び第2集束プレート34の第2部分38の間の中間で収束することに限定されない。言い換えれば、集束プレート33、34の第1部分37は、利用可能な空間内に適合するように及び/又は振動レンズ31a、31b、31c、31dの所望の性能のために、バックプレート32に対して非対称に角度を付けられてもよい。
【0122】
上述したように、熱機関1は、特定の外部高温(T)熱源8に対して最適化されている。したがって、環境発電システム29を製造する場合、最初に熱機関1を製造して特徴付けることなく、振動レンズ31a、31b、31c、31dを提供することは次善の策であり得る。ただし、この方法は反復的であってもよいことに留意されたい。例えば、熱機関1のパラメータが変更されて、振動レンズ31a、31b、31c、31d及び環境発電システム29を最適化してもよい。
【0123】
代替の熱機関及び環境発電システム
図15は、代替の環境発電システム29の一部としての代替の熱機関1を示している。図15に示す熱機関1及び環境発電システム29は、図1図14のいずれかに示す熱機関1及び環境発電システム29と同じ好ましい任意選択的な特徴を備えてもよい。
【0124】
ロッド10、プレート27及び/又はダイアフラムの形態をとる少なくとも1つの流体流れ部材9に代えて、図15の熱機関1の少なくとも1つの流体流れ部材9は、少なくとも1つの磁性ペレット23bの形態をとり、磁性ペレット23bは、熱機関1の内部容積5内に配置され、かつ、第1液体3及び/又は第2液体4内に浮遊している。磁性ペレット23bは、気泡20と第2液体4との相互作用によって生成される流体流れに応答して、ハウジング2の内部容積5周りを移動する。外部高温(T)熱源8の熱エネルギーは、磁性ペレット23bの運動の形態で力学的エネルギーに変換される。本実施形態では、ハウジング2が、アルミニウムなどの非磁性材料を含むことが好ましい場合がある。
【0125】
熱機関1と同様に、代替の環境発電システム29は、外部高温(T)熱源8及びエネルギー変換手段30を備える。圧電結晶40に代えて、エネルギー変換手段30は、熱機関1のハウジング2周りに巻き付けられたコイル50の形態をとる。コイル50は銅を含んでもよいが、他の代替の磁性誘導材料が採用されてもよい。コイル50の配置が図15に示す配置とは異ってもよいことも当業者には理解されるであろう。例えば、コイル50又はコイル50の少なくとも一部はハウジング2内に配置されてもよい。
【0126】
熱機関1内の磁性ペレット23bの運動は、コイル50内に有用な電気エネルギーを誘導する。この環境発電システム29は、力学的振動の代わりに磁気誘導に依存して、外部高温(T)熱源8から生じる熱エネルギーを収集する。
【0127】
追加又は代替の実施形態として、熱機関1の少なくとも1つの流体流れ部材9は、ロッド10及び磁性ペレット23bの両方の形態をとってもよい。気泡20と第2液体4との相互作用によって生成される流体流れは、ロッド10内の力学的振動と磁性ペレット23bの運動との両方を誘導する。それに対応して、環境発電システム29のエネルギー変換手段30は圧電結晶40及びコイル50の両方であってもよい。圧電結晶40は、力学的振動エネルギーを有用な電気エネルギーに変換し、かつ、磁性ペレット23bの運動は、コイル50内に有用な電気エネルギーを誘導する。電気エネルギーを誘導するだけでなく、磁性ペレット23bの運動は、ロッド10と有利に衝突して、さらなる力学的振動を誘導してもよい。
【0128】
熱機関1は多くの利点を有している。熱機関1は、従来の熱力学的サイクルに依存せず、代わりに、第1液体3の相変化を利用して、流体流れ及びその後のロッド10と相互作用を利用することによって、熱を仕事に変換する代替機構を提供する。
【0129】
熱機関1は、主に温度変化並びに熱の追加及び除去に基づいて作動する。圧力及び容積の変化は、温度との固有の関係により存在する可能性があるが、熱機関1の作動にとって基本的なものではない。言い換えると、熱機関1は、ガスの膨張に応答して仕事を実行しない。したがって、熱機関1は、最小限の可動構成要素を有し、必要とされ得るメンテナンスの量を減らし、かつ、装置の寿命を最大にする。また、可動部品が最小限であるので、熱機関1は比較的静かである。
【0130】
熱機関1は、特定のタイプの燃料に限定されないので、温度及び出力の範囲を有するさまざまな外部高温(T)熱源8を利用することができる。外部高温(T)熱源8の起源に応じて、熱機関1は、有毒で環境に優しくないガスを放出する結果を生じさせない。
【0131】
さらに、熱機関1は、温度及び出力の範囲を有するさまざまな外部高温(T)熱源8に適応することができるように拡張可能である。したがって、熱機関1の寸法は、所望のサイズ及び結果として生じる費用に適合させられ得る。熱機関1は、最小限の可動構成要素を有する密閉装置であるので、比較的安全である。
【0132】
ロッド10が特定の外部高温(T)熱源8に対して最適化され得るので、熱機関1はカスタマイズ可能である。
【0133】
熱機関が開示される。熱機関は、ハウジングと、ハウジング内に配置された第1液体及び第2液体と、を備える。第1液体は、第2液体よりも高い密度及び低い沸点を有している。熱機関は、第1液体に熱を伝達して第1液体を蒸発させて第1液体蒸気を形成する熱交換器をさらに備える。熱機関はまた、第1液体蒸気と第2液体との相互作用によって生成される流体流れに応答して移動する少なくとも1つの流体流れ部材を備える。第1流体の気液相変化は、熱を仕事に変換するための代替機構を提供し、多くの利点を有する。熱機関は、最小限の可動部品、相対的に長い寿命を有しており、特定の燃料を必要とせず、有毒又は環境に優しくないガスを直接放出せず、かつ、特定の廃熱源に適応され得る。
【0134】
明細書全体を通して、文脈上別段の要求がない限り、用語「備える」若しくは「含む」又は「備える」若しくは「備えている」、「含む」若しくは「含んでいる」などの変形は、記載された整数又は整数群を含むことを意味すると理解されるが、任意の他の整数又は整数群を除外するものではない。さらに、文脈上明確に別段の要求がない限り、「又は」という用語は排他的ではなく包括的であると解釈される。
【0135】
本発明の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものであり、かつ、包括的であること又は開示された詳細な形態に本発明を限定することを意図するものではない。説明された実施形態は、本発明の原理及びその実際の適用を最もよく説明するために選択されて説明され、それによって、他の当業者が本発明をさまざまな実施形態で及び意図された特定の用途に適したさまざまに変更して最もよく利用することができるようにする。したがって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、さらなる修正又は改良が組み込まれ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】