(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステム
(51)【国際特許分類】
B60B 3/18 20060101AFI20230629BHJP
B60B 3/16 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B60B3/18
B60B3/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022567686
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 NO2021050116
(87)【国際公開番号】W WO2021225452
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521115524
【氏名又は名称】トプロ・インドゥストリ・アクシェセルスカプ
【氏名又は名称原語表記】Topro Industri AS
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】チオロイウ,コスミン
(57)【要約】
本発明は、ホイールアクスル(1)の外端の近くの溝(3)と、外端の円形傾斜滑走面(25)と、を有して、フレーム(2)に固定されているホイールアクスル(1)を備える歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムを記載する。このシステムはさらに、リリーストリガ(4)とホイールアクスル(1)を互いにロックするロック形状(5)によって溝(4)と係合して、リリース形状(6)によってリリーストリガ(4)をホイールアクスル(1)からリリースする、リリーストリガ(4)を備える。このシステムは、ホイールアクスル(1)を収容する空洞を有する中央シリンダ(8)、外側リムストッパ(9)と内側リムストッパ(10)、およびリリーストリガを収容するトリガキャビティ(11)を有するハウジング(7)をさらに備え、リリーストリガ(4)とハウジング(7)を互いに且つホイールアクスルに対してロックする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムであって、
歩行器のフレーム(2)に固定されているホイールアクスル(1)であって、前記ホイールアクスル(1)の外端の近くの溝(3)を有しており、前記外端における円形傾斜滑走面(25)を特徴としている、前記ホイールアクスル(1)と、
リリーストリガ(4)であって、
ロック状態の前記ホイールアクスル(1)の前記溝(4)と係合して、前記リリーストリガ(4)および前記ホイールアクスル(1)を互いにロックするためのロック面(22)を含むロック形状(5)と、
前記リリーストリガ(4)をリリース状態の前記ホイールアクスル(1)から取り外すためのリリース形状(6)と、を有している、前記リリーストリガ(4)と、
ハウジング(7)であって、
クリアランスを有して前記ホイールアクスル(1)を収容するキャビティを含む中央シリンダ(8)と、
外側リムストッパ(9)と、
内側リムストッパ(10)と、
前記リリーストリガを収容して、前記リリーストリガ(4)と前記ハウジング(7)を互いにロックするトリガキャビティ(11)と、を有している、前記ハウジング(7)と、を備えており、
前記リリーストリガ(4)は、バイアス手段(15)を用いることによって、前記ロック状態に向けてバイアスされており、ユーザによって、前記リリース状態に向けて押される又は引かれるように動作可能である、システム。
【請求項2】
前記内側リムストッパ(10)は、少なくとも2つの独立した弾性ストッパアーム(11)を有しており、
前記弾性ストッパアーム(11)はそれぞれ、外端において、前記ホイールアクスル(1)と前記中央シリンダ(8)との間のクリアランスよりも半径方向に延びる少なくとも1つのストッパ突起(12)を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リリース形状(6)は、前記アクスルよりもわずかに大きな円形の穴である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ロック形状(5)は、前記リリース形状の下端にある半円形の窪みであって、前記窪みは、前記アクスルの円周方向溝の半径よりもわずかに大きい半径を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記バイアス手段は、
前記リリーストリガの両側において、中心線に対して角度を有して上方を向いている弾性トリガアーム(15a,15b)と、
前記弾性トリガアームと協働して、それらの間の距離dcが、バイアスされていない前記弾性トリガアームの頂部の間の距離daよりも短い、前記トリガキャビティの反対側にある狭窄側部(23a,23b)と、
それぞれの狭窄側部(23a,23b)において、主に水平な頂面(18a,18b)を有する対応する三角形の窪み(17a,17b)であって、前記リリーストリガが挿入されたとき、前記弾性トリガアームが嵌合する三角形の前記窪み(17a,17b)と、を有しており、
前記狭窄側部(23a,23b)が、前記窪み(17a,17b)の下方に延びている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ハウジングと前記リリーストリガは、弾塑性材料で成型されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムを用いてホイールを取り付ける、および取り外すための方法であって、
前記リリーストリガ(4)を前記ハウジングの前記トリガキャビティ(11)に挿入するステップ(a)と、
前記ハウジング(7)を前記リムの中心に合わせるステップ(b)と、
前記リリーストリガの前記ロック形状(5)が前記溝(3)に嵌るまで、前記リムと前記ハウジングを前記ホイールアクスル(1)に向けて押して、前記ホイールを取り付けるステップ(c)と、
前記リリーストリガ(4)のプッシュプレート(19)を押すステップ(d)と、
前記ホイールアクスル(1)から前記リムと前記ハウジングを引き離して、前記ホイールを取り外すステップ(e)と、を備えることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や障害者用のサポート部材、特に歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行補助具を使用する人の数と割合は、世界のほとんどの地域で増加しており、これらのユーザの生活の質は、様々なサポート部材に依存している。歩行器は最も重要な歩行補助具の一つであって、ユーザが独立性を確保して、買い物などの日常作業を行い、自分の意思で移動できるようにするものである。
【0003】
ユーザが増えて、歩行器を販売する企業の数が増えると、デザインや利便性のような課題が重要になる。また、歩行器のメンテナンスが容易且つ安価であることは重要である。さらに、ホイールは定期的なメンテナンス及び/又は交換が必要な部品の一つである。
【0004】
ホイールの交換が容易であることにより、多くのユーザが自分の歩行器を自分でメンテナンスできるようになる。これにより、ユーザにコントロール感と自尊心を与えて、同時に、サービスマンが自力で問題を解決する必要がなく、代替として、例えば、予備のホイールを郵送するだけの場合、コストを節約できる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムを説明する。このシステムは、ホイールアクスルと、リリーストリガと、ハウジングと、を備える。ホイールアクスルは、歩行器のフレームに固定されて、ホイールアクスルの外端の近くの溝と、外端における円形傾斜滑走面と、を備える。リリーストリガは、ロック状態のホイールアクスルの溝と係合して、リリーストリガおよびホイールアクスルを互いにロックするためのロック面を含むロック形状と、リリーストリガをリリース状態のホイールアクスルから取り外すためのリリース形状と、を有している。ハウジングは、クリアランスを有してホイールアクスルを収容するキャビティを含む中央シリンダと、外側リムストッパと、内側リムストッパと、リリーストリガを収容して、リリーストリガとハウジングを互いにロックするトリガキャビティと、を有している。リリーストリガは、バイアス手段を用いることによって、ロック状態に向けてバイアスされており、ユーザによって、リリース状態に向けて押される又は引かれるように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明をより理解するため、図面のセットが提供される。異なる図面の同じ符号は、同じ特徴を示す。
【
図2a】
図2aは、リリーストリガの正面図である。
【
図2b】
図2bは、リリーストリガの側面図である。
【
図4】
図4は、本発明のすべての部品、ベアリング、リム、及びタイヤの分解図である。
【
図5a】
図5aは、歩行器のフレームの後部に取り付けられているアクスルの斜視図である。
【
図5b】
図5bは、歩行器のフレームの後部に取り付けられているアクスルの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムを説明する。上下、前後、左右は、歩行器を通常使用するとき、ユーザによって見られる。
【0008】
このシステムは、3つの主要な独立した部品、すなわちホイールアクスル1と、リリーストリガ4と、ハウジング7と、を備える。好ましくは、少なくとも1つのベアリングが、取り付けられているリム13とハウジング7との間にある。一方、ベアリングは、リムに不可欠であって、本発明の一部とみなされない。
【0009】
図1において、このシステムのホイールアクスル1を示す。ホイールアクスル1は、歩行器のフレーム2に固定されて、ホイールアクスル1の外端の近くに円周方向溝3を備える。好ましくは、溝は矩形の断面を有する。
【0010】
図2において、このシステムのリリーストリガ4の実施形態を示す。リリーストリガ4は、ロック状態のホイールアクスル1の円周方向溝3と係合して、リリーストリガ4およびホイールアクスル1を互いにロックするためのロック面22を含むロック形状5を有している。リリーストリガはまた、ホイール7をリリース状態のホイールアクスル1から取り外すためのリリース形状6を有している。
【0011】
図3において、このシステムのハウジング7の実施形態を示す。ハウジング7は、クリアランスを有してホイールアクスル1を収容するアクスルキャビティ14を含む中央シリンダ8を有している。ハウジングはまた、リムがアクスル上の横に動くことを防止するための外側リムストッパ9と内側リムストッパ10を有している。また、ハウジングは、リリーストリガを収容して、リリーストリガ4とハウジング7を互いにロックするトリガキャビティ11を有している。
【0012】
リリーストリガ4は、バイアス手段15を用いることによって、ロック状態に向けてバイアスされており、ユーザによって、バイアスに対向するように作用して、リリース状態に向けて押される又は引かれるように動作可能である。
【0013】
好ましい実施形態において、ハウジングとリリーストリガは、弾塑性材料で成型されている。これにより、費用対効果が高く、また耐久性がある、歩行器にホイールを取り付けるための着脱容易なシステムを提供する。
【0014】
図3に示すように、ある実施形態において、ハウジング7の内側リムストッパ10は、少なくとも2つの独立した弾性スナップアーム20を有している。弾性スナップアーム20はそれぞれ、外端において、ホイールアクスル1と中央シリンダ8との間のクリアランスよりも半径方向に延びる少なくとも1つのスナップ突起12を有する。好ましくは、弾性スナップアーム20は、ハウジング7を成型するとき、形成される。スロット21は、弾性スナップアームに内側に移動する自由度を与える。このスナップオンシステムは、当技術分野でよく知られている。アクスルが存在しないとき、ストッパアームは周知のスナップオンシステムとして機能して、アクスルが存在するとき、アクスルは、弾性スナップアーム20の半径方向内側への移動を防ぐため、スナップオン機能が解除されることを防ぐ。
【0015】
好ましくは、リリーストリガ4のロック形状5は、溝と同じ形状を有して、ホイールアクスル1の中心軸に対して主に垂直な角度でロック面22を有する溝に嵌合する。
図1および
図2に示すように、ある実施形態では、ロック形状5は、円周方向溝3の円形の実施形態の半径よりもわずかに大きな半径を有する半円形状である。ある実施形態では、リリース形状6は、ホイールアクスルよりも大きな円形の穴である。リリース形状およびロック形状5はそれぞれ、トリガキャビティ11内のリリーストリガ4のリリース位置およびロック位置に対応する。
【0016】
有利な実施形態において、バイアス手段15は、リリーストリガ4の両側において、中心線に対して角度を有して、トリガキャビティ11内の窪み17a,17bに嵌合して、トリガキャビティからリリーストリガ4を引き込むことを防ぐ弾性アーム15a,15bである。弾性トリガアーム15a,15b及び窪み17a,17bは、リリーストリガ4がロック位置に向けてバイアスされて、トリガキャビティ11から脱落しないように機能する。
図3に示すように、ある実施形態において、これは、三角形の窪み17a,17bを含む狭窄側部23a,23bを有するトリガキャビティによって達成される。三角形の窪み17a,17bはそれぞれ、頂部において、主に水平な停止面18a,18bを有している。弾性トリガアーム15a,15bは、リリーストリガがトリガキャビティ11に挿入されるとき、トリガキャビティ11の反対側に位置している主に平行な狭窄側部23a,23b上をスライドして、トリガアーム15a,15bは三角形の窪みに嵌る。リリーストリガを引き込もうとする場合、弾性アームは水平面に対して停止する。この位置はロック位置であって、弾性アームは、リリーストリガを垂直方向に移動させる力をリリーストリガに及ぼしていない。窪み17a,17bの下方において、狭窄側部23a,23bが延びていることにより、リリーストリガがさらに押し下げられるとき、弾性トリガアーム15がリリーストリガに上向きの力を及ぼして、リリーストリガをロック状態に向けてバイアスさせる。これは、狭窄側部23a,23bの間において、バイアスされていない弾性トリガアームの頂部の間の距離daよりも短い距離dcがあるためである。
【0017】
対応する三角形の窪み17a,17bは、それぞれの狭窄側部23a,23bにあって、主に水平な頂面18a,18bを有する。弾性トリガアームは、リリーストリガが挿入されるとき、三角形の窪み17a,17bに嵌合する。リリーストリガは、頂部において、プッシュプレート19を有する。プッシュプレートがハウジングに当たるとき、リリーストリガのさらなる下方への移動を停止させる。これは、弾性アーム15の頂部が窪み17の下方に移動する前に起こる必要がある。この低い位置では、リリーストリガ4はリリース位置にあって、ハウジングはアクスルから引き込まれ得る。
【0018】
好ましい実施形態において、アクスル3は、円形傾斜滑走面25を備える。この円形傾斜滑走面25により、ハウジングとリリーストリガがホイールアクスル1に向けて押されたとき、ロック形状が溝3に向けて滑走面上を滑ることができる。
1.
図4は、システムのすべての部品とリムを分解図で示している。図には、2つのベアリング16が存在するが、明らかにベアリングはリムに内蔵され得るものであるため、ベアリングの嵌合は本発明の方法の一部ではない。この実施形態において、本発明に記載の歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムを用いてホイールを取り付ける、および取り外すための方法は、以下のステップを備える。
リリーストリガ4をハウジングのトリガキャビティ11に挿入するステップa。
ハウジング7をリムの中心に合わせるステップb。このステップbは、アクスルが弾性スナップアーム20の内側に存在しないため、可能である。
リリーストリガのロック形状5が溝3に嵌るまで、リムとハウジングをホイールアクスル1に向けて押して、ホイールを取り付けるステップc。
リリーストリガ4のプッシュプレート19を押すステップd。このステップdにより、ロック形状5は溝3から外れる。
ホイールアクスル(1)からリムとハウジングを引き離して、ホイールを取り外すステップ(e)。
【0019】
図5aと
図5bは、歩行器のフレームに取り付けられた後輪用アクスルの異なる視点を示す。
【符号の説明】
【0020】
1 ホイールアクスル
2 フレーム
3 溝
4 リリーストリガ
5 ロック形状
6 リリース形状
7 ハウジング
8 中心シリンダ
9 外側リムストッパ
10 内側リムストッパ
11 トリガキャビティ
12 ストッパ突起
13 リム
14 アクスルキャビティ
15 バイアス手段
15a 弾性トリガアーム
15b 弾性トリガアーム
16 ベアリング
17a 窪み
17b 窪み
18a 停止面
18b 停止面
19 プッシュプレート
20 スナップラッチ
21 スロット
22 ロック面
23a 狭窄側部
23b 狭窄側部
24 タイヤ
25 円形傾斜滑走面
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や障害者用のサポート部材、特に歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行補助具を使用する人の数と割合は、世界のほとんどの地域で増加しており、これらのユーザの生活の質は、様々なサポート部材に依存している。歩行器は最も重要な歩行補助具の一つであって、ユーザが独立性を確保して、買い物などの日常作業を行い、自分の意思で移動できるようにするものである。
【0003】
ユーザが増えて、歩行器を販売する企業の数が増えると、デザインや利便性のような課題が重要になる。また、歩行器のメンテナンスが容易且つ安価であることは重要である。さらに、ホイールは定期的なメンテナンス及び/又は交換が必要な部品の一つである。
【0004】
ホイールの交換が容易であることにより、多くのユーザが自分の歩行器を自分でメンテナンスできるようになる。これにより、ユーザにコントロール感と自尊心を与えて、同時に、サービスマンが自力で問題を解決する必要がなく、代替として、例えば、予備のホイールを郵送するだけの場合、コストを節約できる。
【0005】
取り外し可能なホイールマウントのための公知の解決手段は、ホイールアクスル18の外端の近くの溝902,904と外端の円形傾斜滑走面25とを有するホイールアクスル18、及びそれぞれが1つの形状からなる2つの移動部材202,204を備える子供用ベビーカー、バシネット、ベビーバギー、又は同様の装置のための取り外し可能なホイールマウントシステムを開示する米国特許第5800023号に開示されている。この解決手段の欠点は、ホイールをホイールマウントに取り付ける、およびホイールマウントから取り外すことが扱いにくく、ホイールマウントがアクスルを取り外すために2つの移動部材を押すという使い方が必要ということである。さらなる解決手段は、米国公開特許第2005057086号に開示されており、取り外し可能なホイールマウントのシステムであって、ホイールアクスル30の外端の近くにある溝32と、ホイールを保持するためのインサート10と、突起19を有する回転可能なプレート12と、ホイールアクスル30の溝32および突起19をロック状態で係合するためのクリップ20と、を備えるホイールマウントのシステムを開示している。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムを説明する。このシステムは、ホイールアクスルと、リリーストリガと、ハウジングと、を備える。ホイールアクスルは、歩行器のフレームに固定されて、ホイールアクスルの外端の近くの溝と、外端における円形傾斜滑走面と、を備える。リリーストリガは、ロック状態のホイールアクスルの溝と係合して、リリーストリガおよびホイールアクスルを互いにロックするためのロック面を含むロック形状と、リリーストリガをリリース状態のホイールアクスルから取り外すためのリリース形状と、を有している。リリース形状は、アクスルより大きな円形の穴である。ロック形状は、リリース形状の下端における半円形の窪みである。窪みはアクスルの円形周方向の溝の径より大きい径を有する。ハウジングは、クリアランスを有してホイールアクスルを収容するキャビティを含む中央シリンダと、外側リムストッパと、内側リムストッパと、リリーストリガを収容して、リリーストリガとハウジングを互いにロックするトリガキャビティと、を有している。リリーストリガは、バイアス手段を用いることによって、ロック状態に向けてバイアスされており、ユーザによって、リリース状態に向けて押される又は引かれるように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明をより理解するため、図面のセットが提供される。異なる図面の同じ符号は、同じ特徴を示す。
【
図2a】
図2aは、リリーストリガの正面図である。
【
図2b】
図2bは、リリーストリガの側面図である。
【
図4】
図4は、本発明のすべての部品、ベアリング、リム、及びタイヤの分解図である。
【
図5a】
図5aは、歩行器のフレームの後部に取り付けられているアクスルの斜視図である。
【
図5b】
図5bは、歩行器のフレームの後部に取り付けられているアクスルの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムを説明する。上下、前後、左右は、歩行器を通常使用するとき、ユーザによって見られる。
【0009】
このシステムは、3つの主要な独立した部品、すなわちホイールアクスル1と、リリーストリガ4と、ハウジング7と、を備える。好ましくは、少なくとも1つのベアリングが、取り付けられているリム13とハウジング7との間にある。一方、ベアリングは、リムに不可欠であって、本発明の一部とみなされない。
【0010】
図1において、このシステムのホイールアクスル1を示す。ホイールアクスル1は、歩行器のフレーム2に固定されて、ホイールアクスル1の外端の近くに円周方向溝3を備える。好ましくは、溝は矩形の断面を有する。
【0011】
図2において、このシステムのリリーストリガ4の実施形態を示す。リリーストリガ4は、ロック状態のホイールアクスル1の円周方向溝3と係合して、リリーストリガ4およびホイールアクスル1を互いにロックするためのロック面22を含むロック形状5を有している。リリーストリガはまた、
ホイールをリリース状態のホイールアクスル1から取り外すためのリリース形状6を有している。
【0012】
図3において、このシステムのハウジング7の実施形態を示す。ハウジング7は、クリアランスを有してホイールアクスル1を収容するアクスルキャビティ14を含む中央シリンダ8を有している。ハウジングはまた、リムがアクスル上の横に動くことを防止するための外側リムストッパ9と内側リムストッパ10を有している。また、ハウジングは、リリーストリガを収容して、リリーストリガ4とハウジング7を互いにロックするトリガキャビティ11を有している。
【0013】
リリーストリガ4は、バイアス手段15を用いることによって、ロック状態に向けてバイアスされており、ユーザによって、バイアスに対向するように作用して、リリース状態に向けて押される又は引かれるように動作可能である。
【0014】
好ましい実施形態において、ハウジングとリリーストリガは、弾塑性材料で成型されている。これにより、費用対効果が高く、また耐久性がある、歩行器にホイールを取り付けるための着脱容易なシステムを提供する。
【0015】
図3に示すように、ある実施形態において、ハウジング7の内側リムストッパ10は、少なくとも2つの独立した弾性スナップアーム20を有している。弾性スナップアーム20はそれぞれ、外端において、ホイールアクスル1と中央シリンダ8との間のクリアランスよりも半径方向に延びる少なくとも1つのスナップ突起12を有する。好ましくは、弾性スナップアーム20は、ハウジング7を成型するとき、形成される。スロット21は、弾性スナップアームに内側に移動する自由度を与える。このスナップオンシステムは、当技術分野でよく知られている。アクスルが存在しないとき、ストッパアームは周知のスナップオンシステムとして機能して、アクスルが存在するとき、アクスルは、弾性スナップアーム20の半径方向内側への移動を防ぐため、スナップオン機能が解除されることを防ぐ。
【0016】
好ましくは、リリーストリガ4のロック形状5は、溝と同じ形状を有して、ホイールアクスル1の中心軸に対して主に垂直な角度でロック面22を有する溝に嵌合する。
図1および
図2に示すように、ある実施形態では、ロック形状5は、円周方向溝3の円形の実施形態の半径よりもわずかに大きな半径を有する半円形状である。ある実施形態では、リリース形状6は、ホイールアクスルよりも大きな円形の穴である。リリース形状およびロック形状5はそれぞれ、トリガキャビティ11内のリリーストリガ4のリリース位置およびロック位置に対応する。
【0017】
有利な実施形態において、バイアス手段15は、リリーストリガ4の両側において、中心線に対して角度を有して、トリガキャビティ11内の窪み17a,17bに嵌合して、トリガキャビティからリリーストリガ4を引き込むことを防ぐ弾性アーム15a,15bである。弾性トリガアーム15a,15b及び窪み17a,17bは、リリーストリガ4がロック位置に向けてバイアスされて、トリガキャビティ11から脱落しないように機能する。
図3に示すように、ある実施形態において、これは、三角形の窪み17a,17bを含む狭窄側部23a,23bを有するトリガキャビティによって達成される。三角形の窪み17a,17bはそれぞれ、頂部において、主に水平な停止面18a,18bを有している。弾性トリガアーム15a,15bは、リリーストリガがトリガキャビティ11に挿入されるとき、トリガキャビティ11の反対側に位置している主に平行な狭窄側部23a,23b上をスライドして、トリガアーム15a,15bは三角形の窪みに嵌る。リリーストリガを引き込もうとする場合、弾性アームは水平面に対して停止する。この位置はロック位置であって、弾性アームは、リリーストリガを垂直方向に移動させる力をリリーストリガに及ぼしていない。窪み17a,17bの下方において、狭窄側部23a,23bが延びていることにより、リリーストリガがさらに押し下げられるとき、弾性トリガアーム15がリリーストリガに上向きの力を及ぼして、リリーストリガをロック状態に向けてバイアスさせる。これは、狭窄側部23a,23bの間において、バイアスされていない弾性トリガアームの頂部の間の距離daよりも短い距離dcがあるためである。
【0018】
対応する三角形の窪み17a,17bは、それぞれの狭窄側部23a,23bにあって、主に水平な頂面18a,18bを有する。弾性トリガアームは、リリーストリガが挿入されるとき、三角形の窪み17a,17bに嵌合する。リリーストリガは、頂部において、プッシュプレート19を有する。プッシュプレートがハウジングに当たるとき、リリーストリガのさらなる下方への移動を停止させる。これは、弾性アーム15の頂部が窪み17の下方に移動する前に起こる必要がある。この低い位置では、リリーストリガ4はリリース位置にあって、ハウジングはアクスルから引き込まれ得る。
【0019】
好ましい実施形態において、アクスル3は、円形傾斜滑走面25を備える。この円形傾斜滑走面25により、ハウジングとリリーストリガがホイールアクスル1に向けて押されたとき、ロック形状が溝3に向けて滑走面上を滑ることができる。
1.
図4は、システムのすべての部品とリムを分解図で示している。図には、2つのベアリング16が存在するが、明らかにベアリングはリムに内蔵され得るものであるため、ベアリングの嵌合は本発明の方法の一部ではない。この実施形態において、本発明に記載の歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムを用いてホイールを取り付ける、および取り外すための方法は、以下のステップを備える。
リリーストリガ4をハウジングのトリガキャビティ11に挿入するステップa。
ハウジング7をリムの中心に合わせるステップb。このステップbは、アクスルが弾性スナップアーム20の内側に存在しないため、可能である。
リリーストリガのロック形状5が溝3に嵌るまで、リムとハウジングをホイールアクスル1に向けて押して、ホイールを取り付けるステップc。
リリーストリガ4のプッシュプレート19を押すステップd。このステップdにより、ロック形状5は溝3から外れる。
ホイールアクスル(1)からリムとハウジングを引き離して、ホイールを取り外すステップ(e)。
【0020】
図5aと
図5bは、歩行器のフレームに取り付けられた後輪用アクスルの異なる視点を示す。
【符号の説明】
【0021】
1 ホイールアクスル
2 フレーム
3 溝
4 リリーストリガ
5 ロック形状
6 リリース形状
7 ハウジング
8 中心シリンダ
9 外側リムストッパ
10 内側リムストッパ
11 トリガキャビティ
12 ストッパ突起
13 リム
14 アクスルキャビティ
15 バイアス手段
15a 弾性トリガアーム
15b 弾性トリガアーム
16 ベアリング
17a 窪み
17b 窪み
18a 停止面
18b 停止面
19 プッシュプレート
20 スナップラッチ
21 スロット
22 ロック面
23a 狭窄側部
23b 狭窄側部
24 タイヤ
25 円形傾斜滑走面
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムであって、
歩行器のフレーム(2)に固定されているホイールアクスル(1)であって、前記ホイールアクスル(1)の外端の近くの溝(3)
と、前記外端における円形傾斜滑走面(25)
と、を有している、前記ホイールアクスル(1)
を備えており、
リリーストリガ(4)であって、
ロック状態の前記ホイールアクスル(1)の前記
溝(3)と係合して、前記リリーストリガ(4)および前記ホイールアクスル(1)を互いにロックするためのロック面(22)を含むロック形状(5)と、
前記リリーストリガ(4)をリリース状態の前記ホイールアクスル(1)から取り外すため
、前記アクスル(1)より大きい円形の穴であるリリース形状(6)と、を有しており、
前記ロック形状(5)は、前記リリース形状(6)の下端における半円形の窪みであって、前記窪みは前記アクスル(1)の円形周方向の溝(3)の径より大きい径を有している、前記リリーストリガ(4)を特徴としており、
前記ホイールマウントのシステムはまた、ハウジング(7)であって、
クリアランスを有して前記ホイールアクスル(1)を収容するキャビティを含む中央シリンダ(8)と、
外側リムストッパ(9)と、
内側リムストッパ(10)と、
前記リリーストリガを収容して、前記リリーストリガ(4)と前記ハウジング(7)を互いにロックするトリガキャビティ(11)と、を有している、前記ハウジング(7)
を備えており、
前記リリーストリガ(4)は、バイアス手段(15)を用いることによって、前記ロック状態に向けてバイアスされており、ユーザによって、前記リリース状態に向けて押される又は引かれるように動作可能である、システム。
【請求項2】
前記内側リムストッパ(10)は、少なくとも2つの独立した弾性ストッパアーム(11)を有しており、
前記弾性ストッパアーム(11)はそれぞれ、外端において、前記ホイールアクスル(1)と前記中央シリンダ(8)との間のクリアランスよりも半径方向に延びる少なくとも1つのストッパ突起(12)を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バイアス手段は、
前記リリーストリガの両側において、中心線に対して角度を有して上方を向いている弾性トリガアーム(15a,15b)と、
前記弾性トリガアームと協働して、それらの間の距離dcが、バイアスされていない前記弾性トリガアームの頂部の間の距離daよりも短い、前記トリガキャビティの反対側にある狭窄側部(23a,23b)と、
それぞれの狭窄側部(23a,23b)において、主に水平な頂面(18a,18b)を有する対応する三角形の窪み(17a,17b)であって、前記リリーストリガが挿入されたとき、前記弾性トリガアームが嵌合する三角形の前記窪み(17a,17b)と、を有しており、
前記狭窄側部(23a,23b)が、前記窪み(17a,17b)の下方に延びている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハウジングと前記リリーストリガは、弾塑性材料で成型されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の歩行器用の取り外し可能なホイールマウントのシステムを用いてホイールを取り付ける、および取り外すための方法であって、
前記リリーストリガ(4)を前記ハウジングの前記トリガキャビティ(11)に挿入するステップ(a)と、
前記ハウジング(7)を前記リムの中心に合わせるステップ(b)と、
前記リリーストリガの前記ロック形状(5)が前記溝(3)に嵌るまで、前記リムと前記ハウジングを前記ホイールアクスル(1)に向けて押して、前記ホイールを取り付けるステップ(c)と、
前記リリーストリガ(4)のプッシュプレート(19)を押すステップ(d)と、
前記ホイールアクスル(1)から前記リムと前記ハウジングを引き離して、前記ホイールを取り外すステップ(e)と、を備えることを特徴とする、方法。
【国際調査報告】