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特表2023-528772静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/46 20150101AFI20230629BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
E05F15/46
B60J5/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571771
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 KR2021011442
(87)【国際公開番号】W WO2022055157
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0116240
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522454622
【氏名又は名称】ビトネット エーピー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ウォン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヨン ピョ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ヨン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ム ソプ
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA07
2E052CA06
2E052EA11
2E052EA13
2E052EB01
2E052GA07
2E052GB06
2E052GC06
2E052GD07
2E052GD09
2E052HA01
(57)【要約】
静電容量の変化を感知する感知部を用いて、人体の挟み込みによる安全事故を防止することができる静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置に関し、被動体にアクセスした人体により押圧される外部導電体と内部導電体の間隔に対応する静電容量の変化を感知する感知部と、感知部の感知信号と基準値を比較して、被動体で人体の挟み込み現状を指示する挟み込み発生信号を出力する信号処理部と、被動体を移動させるために、モータを駆動するモータ駆動部と、信号処理部から挟み込み発生信号を入力されると、被動体を停止させるか、反対方向に移動させるために、モータ駆動部を制御する制御部とを含むことで、人体の挟み込みによる安全事故を防止することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被動体に電気的に接地された外部導電体と内部導電体との間隔に対応する静電容量の変化を感知する感知部と、
前記感知部の感知信号と基準値を比較して、前記被動体で人体の挟み込み発生を指示する挟み込み発生信号を出力する信号処理部と、
前記被動体を移動させるために、モータを駆動するモータ駆動部と、
前記信号処理部から挟み込み発生信号を入力されると、前記被動体を停止させる、又は、反対方向に移動させるために、前記モータ駆動部を制御する制御部と、を含むことを特徴とする静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項2】
前記被動体は、自動車に装着された付属物である、側面ドア、トランクドア、窓、サンルーフ、昇降機ドア、地下鉄ドアのうち、いずれか1つであり、
前記感知部は、被動体の側部形状に沿って曲がるストリップ形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項3】
前記感知部は、前記外部導電体、前記内部導電体、及び、支持部を一体化し、
前記支持部は、前記外部導電体と前記内部導電体の間に結合されて、前記外部導電体と前記内部導電体とが直接接触しないようにして、電気的に絶縁させることを特徴とする請求項1に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項4】
前記支持部には、長手方向に沿って両側に垂直に突出柱が形成され、互いに対向する前記突出柱の間に凹んだ安着溝が形成され、前記安着溝に前記内部導電体の底面が接触することを特徴とする請求項3に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項5】
前記支持部の両柱の外側に、長手方向に沿って延在した一対の第1のスリットが形成され、
前記支持部の両柱の内側に、長手方向に沿って延在した一対の第1の嵌合突起が形成されることを特徴とする請求項4に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項6】
前記外部導電体の内側に一対の第2の嵌合突起が形成され、
前記第2の嵌合突起が、前記支持部の第1のスリットに結合されることを特徴とする請求項5に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項7】
前記内部導電体の両柱の外側に、長手方向に沿って延在した一対の第2のスリットが形成され、
前記第2のスリットに支持部の第1の嵌合突起が結合されることを特徴とする請求項5に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項8】
前記支持部に埋め込まれた第1の信号ケーブルが外に引き出されて、前記信号処理部に連結され、前記外部導電体に埋め込まれた第2の信号ケーブルが外に引き出されて、前記信号処理部に連結されることを特徴とする請求項3に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項9】
前記外部導電体は、ドーム形状に形成され、前記外側導電体の一端部と、前記内部導電体の一端部は、歯車形状からなり、
前記外部導電体と内部導電体との間に空気層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項10】
前記感知部は、三重射出成型機を用いて、前記外部導電体、前記内部導電体、及び、前記支持部を一体に成形することを特徴とする請求項3に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項11】
前記外部導電体は、人体によるタッチ圧力により押圧される柔軟な材質からなることを特徴とする請求項3に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項12】
前記外部導電体及び前記内部導電体は、熱可塑性エラストマと炭素ナノチューブの複合素材で成形されることを特徴とする請求項3に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項13】
前記炭素ナノチューブは、前記熱可塑性エラストマに20~60重量%で配合されることを特徴とする請求項12に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項14】
前記支持部は、熱可塑性エラストマで成形されることを特徴とする請求項3に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【請求項15】
前記感知部は、外部導電体と内部導電体との間隔によって、静電容量と抵抗の変化を出力し、
前記信号処理部は、前記感知部の感知された静電容量と所定の第1の基準値を比較する第1のコンパレータと、前記感知部の抵抗変化に対応する分圧電圧と所定の第2の基準値を比較する第2のコンパレータとを含み、
前記第1のコンパレータは、感知された静電容量が第1の基準値よりも大きいと、挟み込み発生信号を出力し、
前記第2のコンパレータは、感知された抵抗に対応する分圧電圧が第2の基準値よりも小さいと、挟み込み発生信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量の変化を感知する感知部を用いて、人体の挟み込みによる安全事故を防止することができる静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のスライドドアは、運転手や乗員が1つのボタンで扉を開閉することができるので便利ではあるが、運転手が乗員を確認することなく、扉を閉じると、スライドドアに人体の挟み込みが発生して、乗員がけがをする問題点があった。
【0003】
このような問題を解決するために、従来技術として、韓国登録特許第10-0520356号公報(2005.10.04.登録、特許文献1)には、レーザ光を照射するためのレーザ発光部と、レーザ発光部から照射されたレーザ光を受光するレーザ受光部とを備え、レーザ受光部が車両のスライドドアの挟み込み部における物体の挟み込み状態を感知する技術について開示されている。しかし、特許文献1の場合、高価の装備であるレーザ発光部とレーザ受光部の使用により、使用者の経済的負担が増大し、未鋪装道路のような悪条件下で車両が運行することになると、運行中に発生する振動によって、レーザ発生部及びレーザ受光部が誤作動するという問題がある。
【0004】
また、韓国登録特許第10-1566977号公報(2015.11.02.登録、特許文献2)には、フォトセンサにより、スライドドアと車体の間に存在する物体を感知することで、身体や衣類がスライドドアと車体の間に挟み込まれる安全事故を防止する。しかし、特許文献2の場合、フォトセンサが異物により汚染するか、ごみ、強い日光により誤作動を起こすため、安全性に問題がある。
【0005】
他の従来技術として、モータ回転状態を感知することで、物体の挟み込みを感知して、スライドドアを移動させるモータを制御する技術が開示されているが、ドアに挟み込みが発生して、一定の機械的圧力がかかった後に、モータの異常状態を感知するため、反応速度が遅い老弱者や子供に深刻な安全事故を招くという問題がある。
【0006】
更に、他の従来技術において、静電容量センサを用いて、物体を感知する方式が開示されているが、雨水に濡れる場合、正しく物体を感知することができず、誤作動を起こすという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0520356号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1566977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、人体により加えられるタッチ圧力により押圧される感知部を用いて、静電容量の変化を感知することで、人体の挟み込みによる安全事故を防止することができる、静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明による静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置は、被動体に電気的に接地された外部導電体と内部導電体の間隔に対応する静電容量の変化を感知する感知部と、前記感知部の感知信号と基準値を比較して、前記被動体で人体の挟み込み発生を指示する挟み込み発生信号を出力する信号処理部と、前記被動体を移動させるために、モータを駆動するモータ駆動部と、前記信号処理部から挟み込み発生信号を入力されると、前記被動体を停止させるか、反対方向に移動させるために、前記モータ駆動部を制御する制御部とを含むことを特徴とする。
【0010】
前記被動体は、自動車に装着された付属物として、側面ドア、トランクドア、窓、サンルーフ、昇降機ドア、地下鉄ドアのうち、いずれか1つであり、前記感知部は、被動体の側部形状に沿って曲がるストリップ形状に形成される。
【0011】
前記感知部は、前記外部導電体、内部導電体、及び支持部を一体化し、前記支持部は、外部導電体と内部導電体の間に結合されて、外部導電体と内部導電体が直接接触しないようにして、電気的に絶縁させる。
【0012】
前記支持部には、長手方向に沿って両側に垂直に突出柱が形成され、互いに対向する突出柱の間に凹む安着溝が形成され、前記安着溝に内部導電体の底面が接触する。
【0013】
前記支持部の両柱の外側に、長手方向に沿って延在した一対の第1のスリットが形成され、前記支持部の両柱の内側に、長手方向に沿って延在した一対の第1の嵌合突起が形成される。
【0014】
前記外部導電体の内側に一対の第2の嵌合突起が形成され、前記第2の嵌合突起が、前記支持部の第1のスリットに結合される。
【0015】
前記内部導電体の両柱の外側に、長手方向に沿って延在した一対の第2のスリットが形成され、前記第2のスリットに支持部の第1の嵌合突起が結合される。
【0016】
前記支持部に埋め込まれた第1の信号ケーブルが外に引き出されて、前記信号処理部に連結され、前記外部導電体に埋め込まれた第2の信号ケーブルが外に引き出されて、前記信号処理部に連結される。
【0017】
前記外部導電体は、ドーム形状に形成され、前記外側導電体の一端部と、前記内部導電体の一端部は、歯車形状からなり、前記外部導電体と内部導電体の間に空気層が形成される。
【0018】
前記感知部は、三重射出成型機を用いて、前記外部導電体、内部導電体、及び支持部を一体に成形する。
【0019】
前記外部導電体は、人体によるタッチ圧力により押圧される柔軟な材質からなる。
【0020】
前記外部導電体と内部導電体は、熱可塑性エラストマと炭素ナノチューブの複合素材で成形される。
【0021】
前記炭素ナノチューブは、前記熱可塑性エラストマに20~60重量%で配合される。
【0022】
前記支持部は、熱可塑性エラストマで成形される。
【0023】
前記感知部は、外部導電体と内部導電体の間隔によって、静電容量と抵抗の変化を出力し、前記信号処理部は、前記感知部の感知された静電容量と所定の第1の基準値を比較する第1のコンパレータと、前記感知部の抵抗変化に対応する分圧電圧と所定の第2の基準値を比較する第2のコンパレータとを含み、前記第1のコンパレータは、感知された静電容量が第1の基準値よりも大きいと、挟み込み発生信号を出力し、前記第2のコンパレータは、感知された抵抗に対応する分圧電圧が第2の基準値よりも小さいと、挟み込み発生信号を出力する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、外部導電体と内部導電体が一体化して、細いストリップ形状に製作して、対象物の形状に沿って曲がるように設置することで、設置作業が簡易であり、自動車のスライドドア、パワーウインドー、昇降機のスライドドアなど、様々な分野への適用が可能である。
【0025】
また、本発明によると、外部導電体と内部導電体からなる感知部の静電容量変化によって、挟み込み発生を感知することができ、外部導電体に過度な外力が加えられて、外部導電体と内部導電体が付いた状況では、感知部の抵抗変化により挟み込み発生を感知することができるので、様々な使用環境で動作安定性を確保することができる。
【0026】
更に、本発明によると、外部導電体と内部導電体の間に対向する表面積が大きくなるように、歯車状に形成するので、外部導電体と内部導電体の間隔に比例的に変化する静電容量を敏感に感知することができ、センサ性能を高めることができる。
【0027】
なお、本発明によると、感知部の外部導電体をシール処理し、外部導電体が接地構造を適用するため、雨水や埃などの異物による誤作動を防止して、信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る感知部の外観を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る感知部の分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る感知部のA-A断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る感知部と信号処理部の詳細回路図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る人体により感知部に加えられるタッチ圧力によって変化する静電容量を示すグラフである。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して、本発明を説明する。各図面において同一の図面符号は、同一の部材を示す。また、本発明を説明することに当たり、関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁していると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0030】
また、ある部分がある構成要素を「含む」とすると、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をも含むことを意味する。
【0031】
本発明の実施の形態に係る静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置は、電動モータを用いて、自動車に設置されたスライドドアを駆動する場合、使用者の不注意による挟み込み発生に供えるために、静電容量の変化を感知する感知部を用いて、スライドドアを自動で止めるか、反対方向に駆動させるアンチピンチ(anti-pinch)機能を備えて、使用者の安全を確保することができる。
【0032】
このような静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置は、電動モータを用いて、被動体を駆動させる様々な技術分野に適用可能である。例えば、自動車に装着された付属物として、側面ドア、トランクドア、窓、サンルーフを自動開閉可能な電動自動開閉システムが、使用者の便宜機能の1つとして採択された場合、実施の形態に係る自動スライドドアの安全装置が付加されることができる。他の例として、ビルの昇降機ドアや地下鉄ドアのように、自動開閉方式を採択している場合でも、実施の形態に係る自動スライドドアの安全装置が付加されることもできる。
【0033】
本発明による実施の形態の静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置は、図1及び図2に示しているように、自動スライドドアにアクセスする人体により加えられたタッチ圧力に比例的な静電容量の変化を感知する感知部100を含む。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態に係る感知部の外観を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る感知部の分解斜視図である。
【0035】
前記感知部100は、電動モータにより前進又は後退する被動体であって、スライドドアの側部に設けられる。該当感知部100の位置が特定の箇所に制限される必要はなく、アクセスする人体により加えられるタッチ圧力に反応できるように、外部に露出した箇所に制限なく設置可能である。
【0036】
図1及び図2に示しているように、前記感知部100は、長手方向に延設される。前記感知部100は、スライドドアの側部形状に沿って曲がるストリップ形状からなる。前記感知部100は、支持部110と、内部導電体120と、外部導電体130とを含む。
【0037】
前記支持部110及び内部導電体120は、前記外部導電体130に内蔵して一体化される。
【0038】
前記支持部110は、外部導電体130と内部導電体120の間に結合されて、外部導電体130と内部導電体120が直接接触しないようにする。また、前記支持部110は、電気的な絶縁性材質からなり、例えば、射出成型機に、熱可塑性エラストマ(TPE : thermoplastic elastomer)を供給して成形することができる。
【0039】
前記外部導電体130は、外部に露出する感知部100の外皮であって、中空のドーム状の外観を形成し、人体によるタッチ圧力により押圧される柔軟な材質からなる。前記外部導電体130内に、トンネル形状の収容空間134が形成され、該当収容空間134に、支持部110と内部導電体120が収容される。
【0040】
前記外部導電体130及び内部導電体120は、熱可塑性エラストマ(TPE)と導電性を有する炭素ナノチューブ(CNT)の複合素材を射出成型機に供給して成形することができる。ここで、炭素ナノチューブ(CNT)は、熱可塑性エラストマ(TPE)に20~60重量%で配合される。
【0041】
前記支持部110、内部導電体120、及び外部導電体130は、三重射出成型機を用いて、一体に成形することができ、共通素材として、熱可塑性エラストマ(TPE)を採択しているので、支持部110を介して接合される内部導電体120と外部導電体130は、界面接合力に優れており、耐久性が向上する。
【0042】
前記支持部110は、図2に示しているように、長手方向に沿って、両側に垂直に突出柱が形成され、互いに対向する突出柱の間に凹む安着溝112が設けられる。
【0043】
前記支持部110の底面と両側面が、外部導電体130の内側面に接触し、前記支持部110の上面の安着溝112に、内部導電体120の底面が接触することになる。
【0044】
前記支持部110の両柱の外側に、長手方向に沿って延在した一対の第1のスリット113が形成され、両柱の内側に、長手方向に沿って延在した一対の第1の嵌合突起111が形成される。
【0045】
前記外部導電体130の内側に、一対の第2の嵌合突起132が形成され、第2の嵌合突起132が、収容空間134に収容される支持部110の第1のスリット113に結合される。
【0046】
前記内部導電体120の両柱の外側に、長手方向に沿って延在した一対の第2のスリット123が形成される。 安着溝112に位置する内部導電体120の第2のスリット123に、支持部110の第1の嵌合突起111が結合される。
【0047】
前記内部導電体120に埋め込まれた第1の信号ケーブル122が外に引き出されて、後述する信号処理部200に連結され、前記外部導電体130に埋め込まれた第2の信号ケーブル133が外に引き出されて、信号処理部200に連結される。
【0048】
前記外部導電体130の底面が、図3に示しているように、対象物の固定部101に結合され、外部導電体130が電気的に接地されるように、固定部101は、導体からなる。図3は、本発明の実施の形態に係る感知部のA-A断面図である。また、前記外部導電体130の両端部は、シール処理して、気密性を確保することができる。
【0049】
一実施の形態において、前記固定部101は、自動車のボディフレームの一部となるが、それに限定されるものではない。例えば、前記外部導電体130は、設置個所の導電性対象物に電気的に連結して接地することができる。
【0050】
前記外部導電体130の収容空間134には、前記支持部110と内部導電体120により満たされない空間が形成される。すなわち、図3に示しているように、前記外部導電体130の内側上部と内部導電体120の間に空気層140が形成される。
【0051】
前記空気層140を挟んで、前記内部導電体120の第1の尖頭121と前記外部導電体130の第2の尖頭131が対向配置され、一定の間隔(d)離れている。このように一定間隔(d)離れた正常状態で、外部導電体130と内部導電体120の静電容量が基準値に設定される。
【0052】
人体によるタッチ圧力で、柔軟な外部導電体130が押圧されて、一時的に形状変形が生じると、互いに対向する第1の尖頭121と第2の尖頭131の間隔が狭くなる。タッチ圧力によって、第1の尖頭121と第2の尖頭131の間隔が狭く又は広くなるので、この間隔の変化に対応して、静電容量の変化を誘導することができる。一実施の形態において、前記内部導電体120の第1の尖頭121と前記外部導電体130の第2の尖頭131は、歯車状からなる。互いに対向する第1の尖頭121と第2の尖頭131が歯車状からなるので、互いに近接する場合、対向する表面積が大きくなることにつれ、静電容量の変化を敏感に感知することができる。
【0053】
前記外部導電体130が、スライドドアにアクセスした人体により押圧される場合、外部導電体130の第2の尖頭131は、内部導電体120の第1の尖頭121側に接近し、このような外部導電体130の変位によって、間隔(d)が変わる。該当間隔(d)に対応する静電容量の変化を感知することで、人体の挟み込み現象を認識することができる。
【0054】
図4は、本発明の実施の形態に係る感知部と信号処理部の詳細回路図であり、図5は、本発明の実施の形態に係る感知部に加えられる人体によるタッチ圧力で変化する静電容量を示すグラフである。
【0055】
前記感知部100は、図4に示しているように、静電容量(Cs)と抵抗(Rs)からなる等価回路として説明することができる。外部導電体130の変位によって、内部導電体120の第1の尖頭121と、外部導電体130の第2の尖頭131との間隔(d)が変わり、この間隔(d)の変化に対応する静電容量(Cs)と抵抗(Rs)による感知信号が、信号処理部200に与えられる。
【0056】
前記感知部100の静電容量(C)は、下記数1で表される。
【0057】
【数1】
【0058】
ここで、dは、内部導電体の第1の尖頭と外部導電体の第2の尖頭との距離、Sは、内部導電体の第1の尖頭と外部導電体の第2の尖頭の間に対向する表面積、εは、誘電率である。
【0059】
図5に示しているように、人体によるタッチ圧力が加えられ、外部導電体130が押圧されて、間隔(d)が狭くなると、感知部100の静電容量(C)は、第1の基準値(Cth)よりも大きくなる。このように、静電容量(C)が第1の基準値(Cth)よりも大きくなると、挟み込み現象(Pinch)が発生した場合と認識する(ポイントKの左領域)。
【0060】
一方、人体によるタッチ圧力が解除されると、押圧が解除されることにつれ、外部導電体130が元の形状に戻ると、間隔(d)が広くなることにつれ、感知部100の静電容量(C)は、第1の基準値(Cth)よりも小さくなって、初期値(Co)に収束することになる。このように、静電容量(C)が第1の基準値(Cth)よりも小さくなって、初期値(Co)に収束することになると、挟み込み現象(Pinch)が発生しない安全な状態(Safe)と認識する(ポイントKの右領域)。
【0061】
前記信号処理部200は、図4に示しているように、感知部100の感知信号と基準値とを比較し、スライドドアで挟み込み現象が発生すると、挟み込み発生信号を、後述の制御部210に印加する。
【0062】
前記信号処理部200は、第1のコンパレータ201と、第2のコンパレータ202と、ORゲート203とを含む。
【0063】
前記第1のコンパレータ201は、感知部100の感知された静電容量(Cs)と所定の第1の基準値(Cth)とを比較する。静電容量(Cs)が第1の基準値(Cth)よりも大きいと、つまり、挟み込みが発生すると、挟み込み発生信号をORゲート203に印加する。
【0064】
一方、前記外部導電体130に加えられる押圧の程度が過度に大きくなって、外部導電体130の第2の尖頭131と内部導電体120の第1の尖頭121がつくことになると、キャパシタの性質を失うことになる。これにより、静電容量の変化に対応した人体の挟み込み現象を認識することができなくなる。
【0065】
これを考えて、2つの導電体130、120間の抵抗(Rs)の変化を感知して、挟み込みの発生を認識できるように、後述する信号処理部200の第2のコンパレータ202を備える。
【0066】
前記第2のコンパレータ202は、感知部100の感知した抵抗により変化する分圧電圧(VsAv)と所定の第2の基準値(Vth)とを比較する。分圧電圧(VsAv)が所定の第2の基準値(Vth)よりも小さいと、挟み込み現象が発生した場合と認識して、挟み込み発生信号を、ORゲート203に印加する。
【0067】
前記ORゲート203は、第1のコンパレータ201の挟み込み発生信号と、第2のコンパレータ202の挟み込み発生信号を印加されて、制御部210に出力する。
【0068】
前記制御部210は、図6に示しているように、信号処理部200のORゲート203から挟み込み発生信号を印加されると、モータ駆動部220を制御して、スライドドアを移動させるために、駆動中のモータを停止するか、反対方向にモータを駆動して、人体の挟み込みによる安全事故を防止することができる。図6は、本発明の実施の形態に係る静電容量変化を用いた人体挟み込み防止装置の制御ブロック図である。
【0069】
また、前記制御部210は、警告音出力部230により警告音を出力して、外部の使用者に対する挟み込み発生を確認できるようにする。
【0070】
前述した本発明の説明は、例示に過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術思想や必須的な特徴を変更せず、他の具体的な形態に容易に変形可能であることを理解するだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】