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特表2023-528801バリアントキャプシドを有するアデノ随伴ウイルスビリオン及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】バリアントキャプシドを有するアデノ随伴ウイルスビリオン及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/35 20060101AFI20230629BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230629BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20230629BHJP
   C07K 14/015 20060101ALI20230629BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230629BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230629BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230629BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20230629BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230629BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20230629BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20230629BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20230629BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20230629BHJP
   C12N 15/115 20100101ALN20230629BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230629BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20230629BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20230629BHJP
【FI】
C12N15/35 ZNA
C12N7/01
C12N15/09 Z
C07K14/015
A61P27/02
A61K35/76
A61K9/08
A61P27/06
A61K31/7088
A61K38/08
A61K38/10
C12N15/62 Z
C12N15/113 Z
C12N15/115 Z
C12N15/12
C12N15/54
C12N15/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573159
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 US2021034624
(87)【国際公開番号】W WO2021243085
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/032,206
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/187,154
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フラナリー ジョン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲラー スコット エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ゲーリン カレン アイ.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C076AA11
4C076BB24
4C076CC10
4C076FF11
4C076FF32
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA18
4C084BA23
4C084MA01
4C084MA16
4C084MA58
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA33
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA58
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA33
4C087AA01
4C087AA02
4C087CA12
4C087CA20
4C087MA01
4C087MA16
4C087MA58
4C087NA14
4C087ZA33
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA01
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、(a)バリアントキャプシドタンパク質と、(b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸とを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ビリオンを提供する。rAAVビリオンは、遺伝子産物の網膜細胞への送達に有用である。本開示は、遺伝子産物を個体における網膜細胞に送達する方法を提供する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンであって、
(a)バリアントAAVキャプシドタンパク質であって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号1及び4~30のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸~20アミノ酸の長さを有し、前記バリアントキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含みかつ前記異種ペプチドを含まない対照AAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して増加した前記網膜細胞の感染性を付与する、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質、及び
(b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸
を含む、前記組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオン。
【請求項2】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンであって、
(a)バリアントAAVキャプシドタンパク質であって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号2及び3のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸~20アミノ酸の長さを有し、前記バリアントキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含みかつ前記異種ペプチドを含まない対照AAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して増加した前記網膜細胞の感染性を付与する、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質、及び
(b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸
を含む、前記組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオン。
【請求項3】
前記異種ペプチドは、7アミノ酸の長さを有する、請求項1または2に記載のrAAVビリオン。
【請求項4】
前記異種ペプチドは、10アミノ酸、16アミノ酸、または20アミノ酸の長さを有する、請求項1または2に記載のrAAVビリオン。
【請求項5】
前記異種ペプチドは、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、16アミノ酸の長さを有する、請求項1に記載のrAAVビリオン。
【請求項6】
前記異種ペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有する、請求項1に記載のrAAVビリオン。
【請求項7】
前記異種ペプチドは、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有し、または
(b)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有する、
請求項2に記載のrAAVビリオン。
【請求項8】
前記異種ペプチドは、配列番号32に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸の長さを有する、請求項2に記載のrAAVビリオン。
【請求項9】
前記異種ペプチドは、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸の長さを有する、請求項2に記載のrAAVビリオン。
【請求項10】
前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む対照AAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して少なくとも5倍増加した前記網膜細胞の感染性を示す、請求項1~9のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項11】
前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して少なくとも10倍増加した前記網膜細胞の感染性を示す、請求項1~9のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項12】
前記異種ペプチドの前記挿入により、親AAVキャプシドタンパク質の連続した一続きの5アミノ酸~20アミノ酸が置き換えられる、請求項1~9のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項13】
前記挿入部位は、AAV2のVP1のアミノ酸570及び611に対応するアミノ酸内、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置にある、請求項1~12のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項14】
前記挿入部位は、AAV2のVP1のアミノ酸587及び588に対応するアミノ酸の間、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置にある、請求項13に記載のrAAVビリオン。
【請求項15】
前記挿入部位は、AAV2のVP1のアミノ酸585及び598に対応するアミノ酸内、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置にある、請求項1~12のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項16】
前記増加した感染性は、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む対照AAVビリオンによる前記網膜細胞に対する特異性または選択性と比較して増加した前記網膜細胞に対する特異性または選択性を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項17】
前記バリアントキャプシドタンパク質は、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む対照AAVビリオンによって誘導される免疫原性のレベルと比較して低下した網膜細胞における免疫原性のレベルを誘導する、請求項1~15のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項18】
前記1つ以上の異種遺伝子産物は、干渉RNAまたはアプタマーである、請求項1~17のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項19】
前記1つ以上の異種遺伝子産物は、ポリペプチドである、請求項1~17のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項20】
前記ポリペプチドは、神経保護ポリペプチド、抗血管新生ポリペプチド、または網膜細胞の機能を高めるポリペプチドである、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項21】
前記ポリペプチドは、光反応性ポリペプチド、オプシン、短波長オプシン(SW-オプシン)、中波長オプシン(MW-オプシン)、長波長オプシン(LW-オプシン)、ロドプシン、錐体オプシン、ヒトオプシン、非ヒトオプシン、ヒト化オプシン、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項22】
前記ポリペプチドは、CRISPR/Casエフェクターポリペプチド、デアミナーゼ、逆転写酵素、またはその任意の組み合わせもしくは融合体である、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項23】
前記1つ以上の異種遺伝子産物は、CRISPR/Casエフェクターポリペプチド及びガイドRNAを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項24】
前記網膜細胞は、光受容体細胞である、請求項1~23のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項25】
前記光受容体細胞は、錐体細胞である、請求項24に記載のrAAVビリオン。
【請求項26】
前記光受容体細胞は、桿体細胞である、請求項24に記載のrAAVビリオン。
【請求項27】
前記1つ以上のヌクレオチド配列は、プロモーターに動作的に結合されている、請求項1~26のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項28】
前記プロモーターは、網膜細胞特異的プロモーターである、請求項27に記載のrAAVビリオン。
【請求項29】
前記網膜細胞は、光受容体細胞ではない、請求項1~23のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項30】
前記網膜細胞は、オン型双極細胞またはオフ型双極細胞である、請求項1~23のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項31】
前記1つ以上のヌクレオチド配列は、オン型双極細胞特異的プロモーターまたはオフ型双極細胞特異的プロモーターに動作的に結合されている、請求項30に記載のrAAVビリオン。
【請求項32】
前記網膜細胞は、網膜神経節細胞(RGC)である、請求項1~23のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項33】
前記1つ以上のヌクレオチド配列は、RGC特異的プロモーターに動作的に結合されている、請求項32に記載のrAAVビリオン。
【請求項34】
前記網膜細胞は、アマクリン細胞である、請求項1~23のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項35】
前記1つ以上のヌクレオチド配列は、アマクリン細胞特異的プロモーターに動作的に結合されている、請求項34に記載のrAAVビリオン。
【請求項36】
前記網膜細胞は、水平細胞である、請求項1~23のいずれか1項に記載のrAAVビリオン。
【請求項37】
前記1つ以上のヌクレオチド配列は、水平細胞特異的プロモーターに動作的に結合されている、請求項36に記載のrAAVビリオン。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか1項に記載のrAAVビリオンを含む組成物。
【請求項39】
(a)請求項1~37のいずれか1項に記載のrAAVビリオン、及び
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含む、薬学的組成物。
【請求項40】
遺伝子産物を網膜細胞に送達する方法であって、請求項1~37のいずれか1項に記載のrAAVビリオンを前記網膜細胞と接触させることを含む、前記方法。
【請求項41】
遺伝子産物を網膜細胞に送達する方法であって、請求項38または39に記載の組成物を前記網膜細胞と接触させることを含む、前記方法。
【請求項42】
前記網膜細胞は、インビトロまたはエクスビボである、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記網膜細胞は、インビボである、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
対象における網膜病態または障害を治療する方法であって、請求項1~37のいずれか1項に記載のrAAVビリオンの治療的有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項45】
対象における網膜病態または障害を治療する方法であって、請求項38または39に記載の組成物の治療的有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項46】
前記投与することは、眼内注射または眼内注入を含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記眼内注射は、硝子体内注射、網膜下注射、または脈絡膜上注射を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記眼内注入は、硝子体内注入、網膜下注入、または脈絡膜上注入である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記網膜病態または障害は、緑内障、網膜変性症、光受容体機能または活性の喪失、光受容体細胞の喪失、網膜色素変性症、黄斑変性症、網膜分離症、レーバー先天性黒内障、糖尿病性網膜症、色覚異常、または色覚喪失である、請求項44~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチドであって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号1及び4~30のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸~20アミノ酸の長さを有する、前記バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチド。
【請求項51】
バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチドであって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号2及び3のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸~20アミノ酸の長さを有する、前記バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチド。
【請求項52】
請求項50または51に記載のバリアントAAVキャプシドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸。
【請求項53】
バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチドであって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号31及び34~45のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸~10アミノ酸の長さを有する、前記バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチド。
【請求項54】
バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチドであって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号32及び33のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸~10アミノ酸の長さを有する、前記バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチド。
【請求項55】
請求項51または52に記載のバリアントAAVキャプシドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸。
【請求項56】
前記ポリペプチドは、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)である、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項57】
前記ポリペプチドは、mGluR1、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、mGluR6、mGluR7、及びmGluR8、またはその機能的断片もしくはバリアントからなる群から選択される代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)である、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項58】
前記ポリペプチドは、mGluR2、またはその機能的断片もしくはバリアントである、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項59】
前記ポリペプチドは、融合ポリペプチドを含む、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項60】
前記ポリペプチドは、親和性タグを含む融合ポリペプチドを含む、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項61】
前記ポリペプチドは、親和性タグを含む融合ポリペプチドを含み、前記親和性タグは、SNAP配列、CLIP配列、またはHALO配列を含む、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項62】
前記ポリペプチドは、親和性タグ配列及びmGluR配列を含む融合ポリペプチドを含み、前記親和性タグ配列は、SNAP配列を含み、前記mGluR配列は、mGluR2配列を含む、請求項19に記載のrAAVビリオン。
【請求項63】
前記プロモーターは、SNCGプロモーター、CAGプロモーター、ミニCAGプロモーター、CBhプロモーター、NEFHプロモーター、GRK1プロモーター、RLBP1プロモーター、VMD2プロモーター、Syn1プロモーター、及びSyn1(enhSyn1)プロモーターからなる群から選択される、請求項27に記載のrAAVビリオン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年5月29日に出願された米国仮特許出願第63/032,206号、及び2021年5月11日に出願された米国仮特許出願第63/187,154号の利益を主張し、これらの出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援の研究に関する記述
本発明は、国立衛生研究所により付与されたEY022975の下、政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
序文
視覚は、目の後部に内張りされている薄い層状の構造である網膜に位置する細胞によって媒介される。網膜の後部に存在する光受容体は、光子の吸収に反応し、双極、水平及びアマクリン細胞を含む、網膜における二次及び三次ニューロンを通過するシグナル処理の流れを開始させる。光受容体の下にある網膜色素上皮(RPE)細胞は、視覚サイクル経路を介して、光子検出分子である11-cisレチナールの再生を促進し、そのため、この光受容体機能の促進に必須である。内側網膜における網膜神経節細胞(RGC)は、三次ニューロンからの視覚シグナルを受け取り、活動電位の形態で視覚シグナルを脳に伝達する。
【0004】
光受容体、RPE、双極細胞及び他の細胞における転写産物を含む、網膜細胞において発現した遺伝子における変異は、視覚シグナル処理の断絶及び網膜変性症をもたらす。網膜変性疾患の根底にある変異の多くは、光受容体及びRPE細胞の死をもたらす。
【0005】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、パルボウイルス(Parvoviridae)科及びディペンドウイルス属に属しており、それらのメンバーは、複製を促進するためにアデノウイルス等のヘルパーウイルスとの共感染を必要とし、AAVは、ヘルパーの不在下で潜伏感染を確立する。ビリオンは、2つのオープンリーディングフレーム、rep及びcapを有する4.7kbの1本鎖DNAゲノムを包含する25nmの20面体キャプシドから成る。非構造rep遺伝子が、ウイルス複製に不可欠な4つの調節タンパク質をコードする一方で、capは、60merのキャプシドシェルに組み立てられる3つの構造タンパク質(VP1~3)をコードする。このウイルスキャプシドは、細胞表面受容体結合、エンドサイトーシス、細胞内移動、及び核内アンパッケージングを含むウイルス形質導入の生物学的障壁の多くを克服するAAVベクターの能力を媒介する。
【発明の概要】
【0006】
概要
本開示は、(a)バリアントキャプシドタンパク質と、(b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸とを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ビリオンを提供する。rAAVビリオンは、遺伝子産物の網膜細胞への送達に有用である。本開示は、遺伝子産物を個体における網膜細胞に送達する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図1B】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図1C】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図1D】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図1E】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図1F】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図1G】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図1H】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図1I】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図1J】AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を提供する。
図2】様々なAAV血清型のAAVキャプシドタンパク質VP1のアミノ酸570~610に対応するアミノ酸配列を提供する。
図3A】AAVキャプシドタンパク質ループIV(GHループ)領域のアミノ酸配列のアラインメントを提供する。挿入部位は、太字及び下線で示される。
図3B】AAVキャプシドタンパク質ループIV(GHループ)領域のアミノ酸配列のアラインメントを提供する。挿入部位は、太字及び下線で示される。
図3C】AAVキャプシドタンパク質ループIV(GHループ)領域のアミノ酸配列のアラインメントを提供する。挿入部位は、太字及び下線で示される。
図4A】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4B】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4C】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4D】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4E】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4F】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4G】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4H】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4I】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4J】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4K】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4L】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4M】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4N】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4O】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4P】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4Q】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4R】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4S】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4T】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4U】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4V】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図4W】例示的な異種遺伝子産物のアミノ酸配列を提供する。
図5A】化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9のアミノ酸配列を提供する。
図5B】化膿レンサ球菌Cas9のバリアントのアミノ酸配列を提供する。
図5C】化膿レンサ球菌Cas9のバリアントのアミノ酸配列を提供する。
図5D】化膿レンサ球菌Cas9のバリアントのアミノ酸配列を提供する。
図5E】化膿レンサ球菌Cas9のバリアントのアミノ酸配列を提供する。
図5F】化膿レンサ球菌Cas9のバリアントのアミノ酸配列を提供する。
図6】黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)Cas9のアミノ酸配列を提供する。
図7A】野兎病菌(Francisella tularensis)Cpf1のアミノ酸配列を提供する。
図7B】アシダミノコッカス(Acidaminococcus)sp.BV3L6 Cpf1のアミノ酸配列を提供する。
図7C】バリアントCpf1のアミノ酸配列を提供する。
図8】霊長類網膜におけるAAVの指向化進化の例示的なワークフローを示す一連の概略図である。
図9A】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図9B】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図9C】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図9D】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図9E】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図9F】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図9G】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図9H】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図9I】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図9J】本明細書に記載されるバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。
図10】A~Cは、配列番号16(バリアント1)に対応するバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜におけるインビボで観察された結果を提供する。
図11】A~Eは、配列番号1(バリアント2)に対応するバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜におけるインビボで観察された結果を提供する。
図12】A~Fは、配列番号5(バリアント37)に対応するバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜におけるインビボで観察された結果を提供する。
図13】A~Bは、配列番号6(バリアント38)に対応するバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜におけるインビボで観察された結果を提供する。
図14】A~Fは、配列番号26(バリアント45)に対応するバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜におけるインビボで観察された結果を提供する。
図15】A~Bは、配列番号12(バリアント48)に対応するバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜におけるインビボで観察された結果を提供する。
図16】A~Eは、配列番号13(バリアント49)に対応するバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜におけるインビボで観察された結果を提供する。
図17】A~Bは、配列番号27(バリアント58)に対応するバリアントキャプシドを含む組換えAAV(rAAV)ビリオンの硝子体内注射後の非ヒト霊長類網膜におけるインビボで観察された結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
「網膜細胞」という用語は、本明細書において、網膜神経節細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、桿体及び錐体を含む光受容体細胞、ミュラーグリア細胞、アストロサイト(例えば、網膜アストロサイト)、及び網膜色素上皮等の網膜を含む細胞型のうちのいずれかを指し得る。
【0009】
「AAV」は、アデノ随伴ウイルスの略語であり、ウイルス自体またはその誘導体を指すために使用されてもよい。本用語は、その他の点で要求される場合を除いて、すべてのサブタイプ、ならびに天然に存在する形態及び組換え形態の両方を包含する。「rAAV」の略語は、組換えアデノ随伴ウイルスを指し、組換えAAVベクター(または「rAAVベクター」)とも称される。「AAV」という用語には、AAV1型(AAV-1)、AAV2型(AAV-2)、AAV3型(AAV-3)、AAV4型(AAV-4)、AAV5型(AAV-5)、AAV6型(AAV-6)、AAV7型(AAV-7)、AAV8型(AAV-8)、AAV9型(AAV-9)、AAV10型(AAV-10)、AAV11型(AAV-11)、鳥類AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAVが含まれる。例えば、Mori et al.(2004)Virology 330:375を参照されたい。「AAV」という用語にはまた、キメラAAVが含まれる。「霊長類AAV」は、霊長類から単離されたAAVを指し、「非霊長類AAV」は、非霊長類哺乳動物から単離されたAAVを指し、「ウシAAV」は、ウシ哺乳動物(例えば、ウシ)等から単離されたAAVを指す。
【0010】
本明細書で使用される「rAAVベクター」は、AAV由来ではないポリヌクレオチド(すなわち、AAVと異種のポリヌクレオチド)配列、典型的には、細胞の遺伝子形質転換のための目的とする配列を含むAAVベクターを指す。概して、異種ポリヌクレオチドは、少なくとも1つ、一般的には2つのAAV逆位末端反復配列(ITR)によって隣接される。rAAVベクターという用語は、rAAVベクター粒子及びrAAVベクタープラスミドの両方を包含する。
【0011】
「AAVウイルス」または「AAVウイルス粒子」または「rAAVベクター粒子」は、少なくとも1つのAAVキャプシドタンパク質からなるウイルス粒子(典型的には、野生型AAVのキャプシドタンパク質のすべてによる)及びキャプシド形成されたポリヌクレオチドrAAVベクターを指す。粒子が異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子等の野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、これは、典型的には、「rAAVベクター粒子」または単に「rAAVベクター」と称される。したがって、rAAV粒子の生成は、rAAVベクターの生成を必然的に含み、これは、このようなベクターが、rAAV粒子内に含有されるからである。
【0012】
「パッケージング」は、AAV粒子の組立て及びキャプシド形成をもたらす一連の細胞内事象を指す。
【0013】
AAV「rep」及び「cap」遺伝子は、アデノ随伴ウイルスの複製及びキャプシド形成タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を指す。AAV rep及びcapは、本明細書でAAV「パッケージング遺伝子」と称される。
【0014】
AAVの「ヘルパーウイルス」は、AAV(例えば、野生型AAV)が哺乳動物細胞によって複製及びパッケージングされることを可能にするウイルスを指す。アデノウイルス、ヘルペスウイルス及びポックスウイルス、例えば、ワクシニアを含む、AAVのための多様なそのようなヘルパーウイルスが当技術分野で知られている。アデノウイルスは、いくつかの異なるサブグループを包含するが、サブグループCのアデノウイルス5型が最も一般的に使用される。ヒト、非ヒト哺乳動物、及び鳥類由来の多数のアデノウイルスが知られており、ATCC等の受託者から入手可能である。ヘルペスファミリーのウイルスには、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)及びエプスタインバーウイルス(EBV)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)及び仮性狂犬病ウイルス(PRV)が含まれ、これらもATCC等の受託者から入手可能である。
【0015】
「ヘルパーウイルス機能(複数可)」は、(本明細書に記載の複製及びパッケージングの他の要件と併せて)AAV複製及びパッケージングを可能にするヘルパーウイルスゲノムにおいてコードされた機能(複数可)を指す。本明細書に記載される「ヘルパーウイルス機能」は、ヘルパーウイルスを提供すること、または例えば、必要な機能(複数可)をコードするポリヌクレオチド配列をトランスにおいて産生細胞に提供することを含む、いくつかの方法で提供され得る。
【0016】
「感染性」ウイルスまたはウイルス粒子は、そのウイルス種が向性である細胞に送達することができるポリヌクレオチド構成成分を含むものである。本用語は、必ずしもそのウイルスの任意の複製能力を暗示しない。本明細書で使用される場合、「感染性」ウイルスまたはウイルス粒子は、標的細胞に到達し得、標的細胞に感染し得、標的細胞において異種核酸を発現させ得るものである。したがって、「感染性」は、標的細胞に到達し、標的細胞に感染し、標的細胞において異種核酸を発現させるウイルス粒子の能力を指す。感染性は、インビトロ感染性またはインビボ感染性を指し得る。感染性ウイルス粒子を計数するためのアッセイは、本開示において他の個所で及び当技術分野で記載されている。ウイルス感染性は、感染性ウイルス粒子の総ウイルス粒子に対する比として表され得る。総ウイルス粒子は、ウイルスゲノム(vg)コピーの数として表され得る。ウイルス粒子が細胞において異種核酸を発現させる能力は、「形質導入」と称され得る。ウイルス粒子が細胞において異種核酸を発現する能力は、マーカー遺伝子の評価、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)アッセイ(例えば、ウイルスがGFPをコードするヌクレオチド配列を含む場合)(GFPは、ウイルス粒子に感染した細胞において生成され、検出及び/または測定される)、または例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)による、生成されたタンパク質の測定を含む多数の技術を使用してアッセイされ得る。ウイルス感染性を、全ウイルス粒子に対する感染性ウイルス粒子の比率で表すことができる。総ウイルス粒子に対する感染性ウイルス粒子の比を決定する方法は、当技術分野で知られている。例えば、Grainger et al.(2005)Mol.Ther.11:S337(TCID50感染力価アッセイを記載している)、及びZolotukhin et al.(1999)Gene Ther.6:973を参照されたい。
【0017】
「複製コンピテント」ウイルス(例えば、複製コンピテントAAV)は、感染性であり、かつ感染細胞内で複製されることもできる(すなわち、ヘルパーウイルスまたはヘルパーウイルス機能の存在下で)表現型的に野生型のウイルスを指す。AAVの場合、複製コンピテンスは、概して、機能的AAVパッケージング遺伝子の存在を必要とする。概して、本明細書に記載のrAAVベクターは、1つ以上のAAVパッケージング遺伝子の欠失のため、哺乳動物細胞(特にヒト細胞)において複製コンピテントではない。典型的には、そのようなrAAVベクターは、複製コンピテントAAVがAAVパッケージング遺伝子と入ってくるrAAVベクターとの間の組換えによって生成される可能性を最小限に抑えるために、任意のAAVパッケージング遺伝子配列を欠失する。いくつかの場合において、本明細書に記載のrAAVベクター調製物は、例えあったとしてもわずかな複製コンピテントAAV(rcAAV、RCAとも称される)を含有するものである(例えば、10rAAV粒子当たり約1rcAAV未満、10rAAV粒子当たり約1rcAAV未満、10rAAV粒子当たり約1rcAAV未満、1012rAAV粒子当たり約1rcAAV未満、またはrcAAVなし)。
【0018】
「ポリヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはそれらの類似体を含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体等の修飾ヌクレオチドを有し得、非ヌクレオチド構成成分によって妨害され得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの組立て前または後に付与され得る。本明細書で使用されるポリヌクレオチドという用語は、同義に、一本鎖及び二本鎖分子を指す。別途明記または要求されない限り、ポリヌクレオチドである本明細書に記載の本発明の任意の実施形態は、二本鎖形態とその二本鎖形態を構成することで知られているか、または構成すると予想される2つの相補的な一本鎖形態のそれぞれの両方を包含する。
【0019】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、別のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対してある「配列同一性」パーセントを有し、整列したときに、塩基またはアミノ酸のパーセンテージが、それら2つの配列を比較したときに同一であることを意味する。配列類似性をいくつかの異なる様式で決定することができる。配列類似性を決定するために、配列は、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/上で利用可能なBLASTを含む方法及びコンピュータプログラムを用いて整列することができる。別のアラインメントアルゴリズムは、Oxford Molecular Group,Incの完全所有子会社であるMadison,Wisconsin,USAからのGenetics Computing Group(GCG)パッケージで利用可能なFASTAである。アラインメントのための他の技術は、Methods in Enzymology,vol.266:Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis(1996),ed.Doolittle,Academic Press,Inc.(Harcourt Brace & Co.,San Diego,California,USAの部局)に記載されている。配列間のギャップを許容する整列プログラムが特に興味深い。Smith-Watermanは、配列整列におけるギャップを許容する一種のアルゴリズムである。Meth.Mol.Biol.70:173-187(1997)を参照されたい。また、Needleman-Wunsch整列方法を用いたGAPプログラムを利用して、配列を整列させることができる。J.Mol.Biol.48:443-453(1970)を参照されたい。
【0020】
配列同一性を決定するためのSmith Watermanのローカルホモロジーアルゴリズム(Advances in Applied Mathematics 2:482-489(1981))を用いたBestFitプログラムが興味深い。ギャップ生成ペナルティは一般に、1~5、通常は2~4の範囲であり、多くの実施形態では3である。ギャップ拡大ペナルティは一般に、約0.01~0.20の範囲であり、多くの例では0.10である。このプログラムは、比較するために入力された配列によって決定されるデフォルトパラメータを有する。好ましくは、配列同一性は、このプログラムによって決定されるデフォルトパラメータを用いて決定される。このプログラムは、Genetics Computing Group(GCG)パッケージ(Madison,Wisconsin,USA)からも入手可能である。
【0021】
興味深い別のプログラムは、FastDBアルゴリズムである。FastDBは、Current Methods in Sequence Comparison and Analysis,Macromolecule Sequencing and Synthesis,Selected Methods and Applications,pp.127-149,1988,Alan R.Liss,Incに記載されている。配列同一率は、以下のパラメータに基づいてFastDBによって計算される:
ミスマッチペナルティ:1.00、
ギャップペナルティ:1.00、
ギャップサイズペナルティ:0.33、及び
接合ペナルティ:30.0。
【0022】
「遺伝子」は、転写及び翻訳された後に特定のタンパク質をコードすることができる少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含有するポリヌクレオチドを指す。
【0023】
「ガイドRNA」という用語は、本明細書で使用される場合、(i)CRISPR/Casエフェクターポリペプチド(例えば、クラス2 CRISPR/Casエフェクターポリペプチド、例えば、II型、V型、またはVI型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ)に結合し、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドを活性化する「活性化因子」ヌクレオチド配列、及び(ii)標的核酸とハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む「標的化因子」ヌクレオチド配列を含むRNAを指す。「活性化因子」ヌクレオチド配列及び「標的化因子」ヌクレオチド配列は、別個のRNA分子(例えば、「二重ガイドRNA」)にあり得、または同一のRNA分子(「シングルガイドRNA」)にあり得る。
【0024】
「低分子干渉」もしくは「短干渉RNA」またはsiRNAは、目的とする遺伝子(「標的遺伝子」)を標的とするヌクレオチドのRNA二本鎖である。「RNA二本鎖」は、RNA分子の2つの領域間の相補的対合によって形成される構造を指す。siRNAは、siRNAの二本鎖部分のヌクレオチド配列がその標的化された遺伝子のヌクレオチド配列に対して相補的である遺伝子を標的とする。いくつかの場合において、siRNAの二本鎖の長さは、30ヌクレオチド未満である。いくつかの場合において、二本鎖は、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、または10ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態において、二本鎖の長さは、19~25ヌクレオチド長である。siRNAのRNA二本鎖部分は、ヘアピン構造の一部であり得る。二本鎖部分に加えて、ヘアピン構造は、その二本鎖を形成する2つの配列間に位置するループ部分を含有し得る。ループの長さは異なり得る。いくつかの場合において、ループは、5、6、7、8、9、10、11、12、または13ヌクレオチド長である。ヘアピン構造は、3’または5’オーバーハング部分も含有し得る。いくつかの場合において、オーバーハングは、3’または5’オーバーハングであり、0、1、2、3、4、または5ヌクレオチド長である。
【0025】
本明細書で使用される場合、「マイクロRNA」という用語は、内因性マイクロRNA及び人工マイクロRNA(例えば、合成miRNA)を含むがこれらに限定されない任意のタイプの干渉RNAを指す。内因性マイクロRNAは、mRNAの産生利用を調節することが可能なゲノムに天然にコードされる小さなRNAである。人工マイクロRNAは、mRNAの活性を調節することが可能な、内因性マイクロRNA以外の任意のタイプのRNA配列であり得る。マイクロRNA配列は、これらの配列のうちの任意の1つ以上から構成されるRNA分子であり得る。マイクロRNA(または「miRNA」)配列は、Lim,et al.,2003,Genes & Development,17,991-1008、Lim et al.,2003,Science,299,1540、Lee and Ambrose,2001,Science,294,862、Lau et al.,2001,Science 294,858-861、Lagos-Quintana et al.,2002,Current Biology,12,735-739、Lagos-Quintana et al.,2001,Science,294,853-857、及びLagos-Quintana et al.,2003,RNA,9,175-179等の刊行物に記載されている。マイクロRNAの例には、より大きなRNAの断片であり、またはmiRNA、siRNA、stRNA、sncRNA、tncRNA、snoRNA、smRNA、shRNA、snRNA、または他の小さなノンコーディングRNAである任意のRNAが含まれる。例えば、米国特許出願20050272923、20050266552、20050142581、及び20050075492を参照されたい。「マイクロRNA前駆体」(または「pre-miRNA」)は、それに組み込まれたマイクロRNA配列を有するステムループ構造を有する核酸を指す。「成熟マイクロRNA」(または「成熟miRNA」)は、マイクロRNA前駆体(「pre-miRNA」)から切断された、または合成された(例えば、無細胞合成によって実験室で合成された)マイクロRNAを含み、約19ヌクレオチド~約27ヌクレオチドの長さを有し、例えば、成熟マイクロRNAは、19nt、20nt、21nt、22nt、23nt、24nt、25nt、26nt、または27ntの長さを有し得る。成熟マイクロRNAは、標的mRNAに結合し、標的mRNAの翻訳を阻害し得る。
【0026】
ポリヌクレオチドに適用される「組換え」は、ポリヌクレオチドが、クローニング、制限、またはライゲーションステップの様々な組み合わせ、及び自然界に見られるポリヌクレオチドとは異なる構築物をもたらす他の手順の産物であることを意味する。組換えウイルスは、組換えポリヌクレオチドを含むウイルス粒子である。これらの用語は、それぞれ、初代のポリヌクレオチド構築物の複製及び最初のウイルス構築物の子孫を含む。
【0027】
「制御因子」または「制御配列」は、ポリヌクレオチドの複製、重複、転写、スライシング、翻訳、または分解を含む、ポリヌクレオチドの機能調節に寄与する分子の相互作用に関与するヌクレオチド配列である。この調節は、プロセスの頻度、速度、または特異性に影響を与え得、本来、促進的または阻害的であり得る。当技術分野で既知の制御因子は、例えば、プロモーター及びエンハンサー等の転写調節配列である。プロモーターは、ある条件下でRNAポリメラーゼに結合し、かつ通常プロモーターから下流(3’方向)に位置するコード領域の転写を開始することができるDNA領域である。
【0028】
「動作可能に結合される」または「動作的に結合される」は、遺伝エレメントの並列を指し、これらのエレメントは、それらが予想される様式で動作することを可能にする関係にある。例えば、プロモーターは、プロモーターがコード配列の転写を開始する助けとなる場合、コード領域に動作可能に結合される。この機能的関係が維持される限り、プロモーターとコード領域との間に介在残基が存在し得る。
【0029】
「発現ベクター」は、目的とするポリペプチドをコードする領域を含むベクターであり、対象とする標的細胞におけるタンパク質の発現をもたらすために使用される。発現ベクターは、その標的におけるタンパク質の発現を促進するためにコード領域に動作可能に結合される制御因子も含む。制御因子とそれらが発現のために動作的に結合される1つの遺伝子もしくは複数の遺伝子との組み合わせは、「発現カセット」と称されることもあり、その多くは、当技術分野で既知であり、かつ入手可能であるか、または当技術分野で入手可能な構成成分から容易に構成され得る。
【0030】
「異種」とは、比較される実体の残りのものとは遺伝子型が異なる実体に由来することを意味する。例えば、遺伝子工学技術によって異なる種に由来するプラスミドまたはベクターに導入されるポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドである。その天然コード配列から除去され、かつ自然には結合されていないコード配列に動作可能に結合されるプロモーターは、異種プロモーターである。したがって、例えば、異種遺伝子産物をコードする異種核酸を含むrAAVは、天然に存在する野生型AAVに通常は含まれない核酸を含むrAAVであり、コードされた異種遺伝子産物は、天然に存在する野生型AAVによって通常コードされない遺伝子産物である。別の例として、キャプシドタンパク質のGHループに挿入された異種ペプチドを含むバリアントAAVキャプシドタンパク質は、天然に存在する野生型AAVに通常含まれないペプチドの挿入を含むバリアントAAVキャプシドタンパク質である。
【0031】
「遺伝子改変」及び「遺伝子修飾」という用語(ならびにそれらの文法的変形)は、本明細書において、遺伝エレメント(例えば、ポリヌクレオチド)が、有糸分裂または減数分裂以外の方法で細胞に導入されるプロセスを指すために同義に使用される。このエレメントは、その細胞に対して異種であり得るか、または、その細胞中にすでに存在するエレメントのさらなるコピーもしくは改良型であり得る。遺伝子改変は、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、またはポリヌクレオチドリポソーム複合体との接触等の当技術分野で既知の任意のプロセスを介して細胞を組換えプラスミドまたは他のポリヌクレオチドでトランスフェクトすることによって達成され得る。遺伝子改変は、例えば、DNAもしくはRNAウイルスまたはウイルスベクターでの形質導入あるいは感染によっても達成され得る。概して、遺伝エレメントは、細胞内の染色体またはミニ染色体内に導入されるが、その細胞及びその子孫の表現型及び/または遺伝子型を変化させる任意の改変がこの用語に包含される。
【0032】
配列がインビトロで細胞の長期培養中にその機能を発揮するために利用可能である場合、細胞は、遺伝子配列で「安定的に」改変された、形質導入された、遺伝子修飾された、または形質転換されたと称される。通常、そのような細胞は、改変された細胞の子孫によって遺伝可能でもある遺伝子改変が導入されたという点で「遺伝的に」改変されている(遺伝子修飾されている)。
【0033】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために互換的に使用される。本用語は、修飾された(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、リン酸化、または標識構成成分との接合)アミノ酸ポリマーも包含する。抗血管新生ポリペプチド、神経保護ポリペプチド等のポリペプチドは、遺伝子産物及びその組成物を哺乳動物対象に送達するという文脈において論じられるとき、無傷のタンパク質の所望の生化学的機能を保持するそれぞれの無傷のポリペプチドまたはその任意の断片もしくは遺伝子操作された誘導体を指す。同様に、抗血管新生ポリペプチドをコードする核酸、神経保護ポリペプチドをコードする核酸、及び遺伝子産物の哺乳動物対象への送達に用いる他のそのような核酸(これは、受容細胞に送達される「導入遺伝子」と称され得る)への言及は、所望の生化学的機能を保持する無傷のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたは任意の断片もしくは遺伝子操作された誘導体を含む。
【0034】
「単離された」プラスミド、核酸、ベクター、ウイルス、ビリオン、宿主細胞、または他の物質は、存在し得る他の構成成分のうちの少なくともいくつかを欠く物質の調製物を指し、その物質もしくは類似の物質は、天然に存在するか、あるいは最初に調製された形態である。したがって、例えば、単離された物質は、それをソース混合物から濃縮するための精製技法を用いて調製され得る。濃縮度を、溶液の体積当たりの重量等の絶対基準で測定することができるか、またはソース混合物中に存在する第2の干渉する可能性のある物質と関連させて測定することができる。物質の濃縮度の増加は、ますます単離された物質を生成する。いくつかの場合において、単離されたプラスミド、核酸、ベクター、ウイルス、宿主細胞、または他の物質は精製され、例えば、約80%~約90%純粋であるか、少なくとも約90%純粋であるか、少なくとも約95%純粋であるか、少なくとも約98%純粋であるか、または少なくとも約99%以上純粋である。
【0035】
本明細書で使用される「治療」、「治療する」等の用語は、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを指す。その効果は、その疾患または症状を完全にまたは部分的に予防するという観点において予防的であり得、及び/または疾患及び/またはその疾患に起因する副作用の部分的または完全な治癒という観点において治療的であり得る。本明細書で使用される「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、(a)その疾患にかかりやすいか、その疾患にかかる危険性を有し得るが、まだそれを有すると診断されていない対象における発病を予防すること、(b)その疾患を阻害すること、すなわち、その発現を阻止すること、及び(c)その疾患を軽減すること、すなわち、その疾患の退行を引き起こすことを含む。
【0036】
「個体」、「宿主」、「対象」、及び「患者」という用語は、本明細書において同義に使用され、サル及びヒトを含むヒト及び非ヒト霊長類、哺乳動物スポーツ動物(例えば、ウマ、ラクダ等)、哺乳動物家畜動物(例えば、ヒツジ、ヤギ、ウシ等)、哺乳動物ペット(例えば、イヌ、ネコ等)、ならびに齧歯類(例えば、マウス、ラット等)を含むが、これらに限定されない哺乳動物を指す。いくつかの場合において、個体はヒトである。
【0037】
本発明をさらに説明する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、言うまでもなく、変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定するものとしては意図されないことも理解されたい。
【0038】
値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、下限値の単位の10分の1までの、その範囲の上限値から下限値の間の各介在値、ならびにその表示範囲の任意の他の表示値または介在値が、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値及び下限値は、より小さい範囲内に独立して含まれてもよく、また、表示範囲内の任意の具体的な除外限度に従って、本明細書にも包含される。表示範囲が1つまたは両方の限界値を含む場合、それらの含まれる限定値の片方または両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0039】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。本明細書に記載の方法及び物質と同様もしくは同等の任意の方法及び物質を本発明の実践または試験において使用することもできるが、好ましい方法及び物質は、これから説明される。本明細書で言及されるすべての刊行物は、それらの刊行物の引用と関連のある方法及び/または材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上、明らかに別段に解される場合を除き、複数の指示対象を含むことに留意されたい。このため、例えば、「rAAVビリオン」への言及は、複数のそのようなビリオンを含み、「キャプシドタンパク質」への言及は、1つ以上のキャプシドタンパク質及び当業者に既知のそれらの同等物への言及を含む等である。特許請求の範囲が任意の要素を除外するように作成されてもよいことにさらに留意する。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関して「単に」、「のみ」等の排他的な専門用語の使用、または「否定的な」制限の使用のための先行する基準として役立つことが意図される。
【0041】
明確にするために別個の実施形態の文脈において説明される本発明のある特徴を、単一の実施形態において組み合わせで提供することもできることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な特徴を、別々に、または任意の好適な副組み合わせで提供することもできる。本発明に関連する実施形態のすべての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、ありとあらゆる組み合わせが個別にかつ明確に開示されたかのように本明細書に開示される。加えて、様々な実施形態及びそれらの要素のすべての副組み合わせも本発明によって具体的に包含され、ありとあらゆるそのような副組み合わせが個別にかつ明確に本明細書に開示されたかのように本明細書に開示される。
【0042】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書におけるいずれの内容も、本発明が先行発明によりそのような刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される出版物の日付は、実際の出版日とは異なる場合があり、別々に確認する必要があり得る。
【0043】
詳細な説明
本開示は、(a)バリアントキャプシドタンパク質と、(b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸とを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ビリオンを提供する。rAAVビリオンは、遺伝子産物の網膜細胞への送達に有用である。本開示は、遺伝子産物を個体における網膜細胞に送達する方法を提供する。
【0044】
本開示は、改変されたキャプシドタンパク質を有するrAAVビリオンであって、rAAVビリオンは、硝子体内液と網膜細胞との間の障壁を通過するより高い能力、及びそれにより、野生型AAVと比較してより高い網膜細胞の感染性を示し、rAAVビリオンは、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、rAAVビリオンを提供する。本開示は、遺伝子産物を個体における網膜細胞に送達する方法を提供する。本開示はまた、網膜細胞に存在する標的核酸を修飾する方法を提供する。
【0045】
本開示は、バリアントキャプシドタンパク質を有するrAAVビリオンであって、組換えrAAVビリオンは、野生型AAVと比較してより高い網膜細胞の感染性を示し、rAAVビリオンは、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、rAAVビリオンを提供する。rAAVビリオンは、硝子体内液と網膜細胞との間の障壁を通過する増加した能力を示す。rAAVビリオンは、網膜細胞についての対応する野生型AAVの感染性と比較して、より高い網膜細胞の感染性を示す。網膜細胞は、光受容体(例えば、桿体、錐体)、網膜神経節細胞(RGC)、ミュラー細胞(ミュラーグリア細胞)、アストロサイト(例えば、網膜アストロサイト)、双極細胞(例えば、オン型双極細胞、オフ型双極細胞)、アマクリン細胞、水平細胞、または網膜色素上皮(RPE)細胞であり得る。本開示は、遺伝子産物を個体における網膜細胞に送達する方法、及び眼疾患を治療する方法をさらに提供する。本開示は、改変されたキャプシドタンパク質を有するrAAVビリオンであって、いくつかの場合において、rAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる内顆粒層、外顆粒層、光受容体層、神経節細胞層、または網膜色素上皮への局在化の程度と比較して少なくとも5倍増加した、内顆粒層、外顆粒層、光受容体層、神経節細胞層、及び網膜色素上皮のうちの1つ以上への局在化を示し、rAAVビリオンは、異種核酸を含む、rAAVビリオンを提供する。
【0046】
バリアントAAVキャプシドポリペプチド
本開示は、バリアントAAVキャプシドタンパク質を提供する。上記したように、本開示のバリアントAAVキャプシドタンパク質は、野生型または他の参照(「親」)AAVキャプシドタンパク質と比較して改変されている。改変には、挿入及びスワップ(例えば、連続した一続きのアミノ酸の、連続した一続きの異なるアミノ酸での置き換え)が含まれる。
【0047】
いくつかの場合において、本開示のバリアントAAVキャプシドタンパク質は、親AAVキャプシドタンパク質の表面接触可能(例えば、溶媒接触可能)部分における挿入部位における7アミノ酸~10アミノ酸長、または10アミノ酸~20アミノ酸長の異種ペプチドの挿入を含み、これにより、バリアントキャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、特にAAVビリオンが硝子体内に注射された場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して増加した網膜細胞の感染性を付与する。したがって、本開示のバリアントAAVキャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、AAVビリオンが硝子体内液(「硝子体液」)と網膜細胞との間の障壁を通過する増加した能力を付与し、そのような障壁には、例えば、内境界膜(ILM)、網膜の細胞外マトリックス、網膜細胞の細胞膜自体、内顆粒層、外顆粒層、光受容体層、神経節細胞層、及び網膜色素上皮が含まれる。いくつかの場合において、網膜細胞は、ミュラー細胞である。他の網膜細胞には、アマクリン細胞、双極細胞、及び水平細胞が含まれる。「約10アミノ酸~約20アミノ酸の挿入」は、本明細書において、「ペプチド挿入」(例えば、異種ペプチド挿入)とも称される。「約7アミノ酸~約10アミノ酸の挿入」は、本明細書において、「ペプチド挿入」(例えば、異種ペプチド挿入)とも称される。「対応する親AAVキャプシドタンパク質」は、異種ペプチド挿入なしの同一のAAV血清型のAAVキャプシドタンパク質を指す。いくつかの例において、バリアントAAVキャプシドは、10アミノ酸~20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の単一の異種ペプチドインサートを含む。いくつかの例において、バリアントAAVキャプシドは、7アミノ酸~10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)の単一の異種ペプチドインサートを含む。
【0048】
AAVキャプシドにおける改変はまた、スワップ、例えば、連続した一続きのアミノ酸の異種ペプチドでの置き換えであり得る。したがって、置き換えは、連続した一続きのアミノ酸に代わる異種ペプチドの挿入である。いくつかの場合において、本開示のバリアントAAVキャプシドタンパク質は、親AAVキャプシドタンパク質の表面接触可能(例えば、溶媒接触可能)部分における部位における7アミノ酸~10アミノ酸長、または10アミノ酸~20アミノ酸長の異種ペプチドでの連続した一続きのアミノ酸の置き換えを含み、これにより、バリアントキャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、特にAAVビリオンが硝子体内に注射された場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して増加した網膜細胞の感染性を付与する。したがって、本開示のバリアントAAVキャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、AAVビリオンが硝子体内液(「硝子体液」)と網膜細胞との間の障壁を通過する増加した能力を付与し、そのような障壁には、例えば、ILM、網膜の細胞外マトリックス、網膜細胞の細胞膜自体、内顆粒層、外顆粒層、光受容体層、神経節細胞層、及び網膜色素上皮が含まれる。いくつかの場合において、網膜細胞は、ミュラー細胞である。他の網膜細胞には、アマクリン細胞、双極細胞、及び水平細胞が含まれる。「約7アミノ酸~約10アミノ酸の置き換え」または「約10アミノ酸~約20アミノ酸の置き換え」は、本明細書で「ペプチドスワップ」(例えば、連続した一続きのアミノ酸の異種ペプチドでの置き換え)とも称される。「対応する親AAVキャプシドタンパク質」は、異種ペプチドなしの同一のAAV血清型のAAVキャプシドタンパク質を指す。いくつかの例において、バリアントAAVキャプシドは、7アミノ酸~10アミノ酸(例えば、7アミノ酸、8、アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)または10アミノ酸~20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の単一異種ペプチド置き換えを含む。
【0049】
以下の論述の目的のため、「挿入」は、連続した一続きのアミノ酸の置き換えを有しない異種ペプチドの挿入、及び連続した一続きのアミノ酸の置き換えがある異種ペプチドの挿入の両方を指す。
【0050】
挿入部位は、AAVキャプシドタンパク質のGHループまたはループIV、例えば、AAVキャプシドタンパク質のGHループまたはループIVの溶媒接触可能部分にある。AAVキャプシドのGHループ/ループIVについては、例えば、van Vliet et al.(2006)Mol.Ther.14:809、Padron et al.(2005)J.Virol.79:5047、及びShen et al.(2007)Mol.Ther.15:1955を参照されたい。例えば、挿入部位は、図3A~3Cに示されるように、AAVキャプシドタンパク質のアミノ酸411~650内にあり得る。例えば、挿入部位は、図2に示されるように、AAV2のアミノ酸570~611内、AAV1のアミノ酸571~612内、AAV5のアミノ酸560~601内、AAV6のアミノ酸571~612内、AAV7のアミノ酸572~613内、AAV8のアミノ酸573~614内、AAV9のアミノ酸571~612内、またはAAV10のアミノ酸573~614内であり得る。いくつかの場合において、挿入部位は、AAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸588及び589の間、または異なる血清型のAAVにおける対応する挿入部位である。いくつかの場合において、挿入部位は、AAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸587及び588の間にあり、または異なる血清型のAAVにおける対応する挿入部位である。いくつかの場合において、挿入部位は、AAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸575及び576の間にあり、または異なる血清型のAAVにおける対応する挿入部位である。いくつかの場合において、挿入部位は、AAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸584及び585の間にあり、または異なる血清型のAAVにおける対応する挿入部位である。いくつかの場合において、挿入部位は、AAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸590及び591の間にあり、または異なる血清型のAAVにおける対応する挿入部位である。いくつかの場合において、挿入部位は、AAV4キャプシドタンパク質のアミノ酸584及び585の間にあり、または異なる血清型のAAVにおける対応する挿入部位である。いくつかの場合において、挿入部位は、AAV5キャプシドタンパク質のアミノ酸575及び576の間にあり、または異なる血清型のAAVにおける対応する挿入部位である。いくつかの場合において、置き換えのための部位は、AAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸584及び598の間にあり、または異なる血清型のAAVにおける対応する部位である。
【0051】
いくつかの場合において、約10アミノ酸~約20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の異種ペプチドが、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するキャプシドタンパク質のGHループまたはループIVにおける挿入部位に挿入される。いくつかの場合において、約7アミノ酸~約10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)の異種ペプチドが、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するキャプシドタンパク質のGHループまたはループIVにおける挿入部位に挿入される。例えば、挿入部位は、AAV2のアミノ酸587及び588の間、もしくはAAV2のアミノ酸588及び589の間、または別のAAV血清型のキャプシドサブユニットの対応する位置であり得る。挿入部位587/588は、AAV2キャプシドタンパク質に基づくことに留意されたい。10アミノ酸~20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の異種ペプチドが、AAV2以外のAAV血清型(例えば、AAV8、AAV9等)における対応する部位に挿入され得る。7アミノ酸~10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)の異種ペプチドがAAV2以外のAAV血清型(例えば、AAV8、AAV9等)における対応する部位に挿入され得る。当業者であれば、様々なAAV血清型のキャプシドタンパク質のアミノ酸配列の比較に基づいて、「AAV2のアミノ酸587~588に対応する」挿入部位が、任意の所与のAAV血清型のキャプシドタンパク質のどこにあるかを理解するであろう。様々なAAV血清型におけるAAV2のキャプシドタンパク質VP1(図1Bを参照されたい)のアミノ酸570~611に対応する配列が図2に示されている。例えば、AAV1についてはGenBankアクセッション番号NP_049542、AAV4についてはGenBankアクセッション番号NP_044927、AAV5についてはGenBankアクセッション番号AAD13756、AAV6についてはGenBankアクセッション番号AAB95459、AAV7についてはGenBankアクセッション番号YP_077178、AAV8についてはGenBankアクセッション番号YP_077180、AAV9についてはGenBankアクセッション番号AAS99264、AAV10についてはGenBankアクセッション番号AAT46337、及びAAVrh10についてはGenBankアクセッション番号AAO88208を参照されたい。例えば、祖先AAVキャプシドについてはSantiago-Ortiz et al.(2015)Gene Ther.22:934を参照されたい。様々な血清型のAAVのVP1キャプシドタンパク質のアミノ酸配列は、図1A~1Jに提供される。
【0052】
例えば、挿入部位は、AAV2のアミノ酸587及び588の間、AAV1のアミノ酸590及び591の間、AAV5のアミノ酸575及び576の間、AAV6のアミノ酸590及び591の間、AAV7のアミノ酸589及び590の間、AAV8のアミノ酸590及び591の間、AAV9のアミノ酸588及び589の間、AAV10のアミノ酸588及び589の間、またはAAV4のアミノ酸585及び586の間であり得る。挿入部位は、図2において下線が引かれており、アミノ酸付番は、図2において示される付番に基づいている。
【0053】
いくつかの場合において、主題のキャプシドタンパク質には、図3A~3Cに示されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、10アミノ酸~約20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の異種ペプチドの挿入を有するGHループが含まれる。いくつかの場合において、主題のキャプシドタンパク質には、図3A~3Cに示されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、7アミノ酸~約10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)の異種ペプチドの挿入を有するGHループが含まれる。
【0054】
いくつかの場合において、本開示のバリアントAAVキャプシドタンパク質は、親AAVキャプシドの表面接触可能(例えば、溶媒接触可能)部分において連続アミノ酸のセグメント、または配列の置き換え、または置換を含み、これにより、バリアントキャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、特にAAVビリオンが硝子体内に注射された場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して増加した網膜細胞の感染性を付与する。したがって、配列置換を含む主題のバリアントAAVキャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、AAVビリオンが硝子体液と網膜細胞との間の障壁(そのような障壁には、例えば、内境界膜、網膜の細胞外マトリックス、及び網膜細胞の細胞膜自体が含まれる)を通過する増加した能力を付与する。「約7個の連続アミノ酸~約10個の連続アミノ酸の置き換え」または「約10個の連続アミノ酸~約20個の連続アミノ酸の置き換え」は、本明細書で「ループスワップ」(すなわち、異種ペプチド置換)とも称される。「対応する親AAVキャプシドタンパク質」は、そのような場合では、主題のループスワップなしの同一のAAV血清型のAAVキャプシドタンパク質を指す。いくつかの例において、バリアントAAVキャプシドは、7アミノ酸~約10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)または10アミノ酸~約20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の異種ペプチド置換を含む。
【0055】
いくつかの場合において、約7アミノ酸~約10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)の異種ペプチドが、対応する親AAVキャプシドタンパク質における同等数の連続アミノ酸において置換される。いくつかの場合において、約10アミノ酸~約20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の異種ペプチドが、対応する親AAVキャプシドタンパク質における同等数の連続アミノ酸において置換される。いくつかの場合において、置換は、AAV2のおよそアミノ酸588、または別のAAV血清型のキャプシドサブユニットの対応する位置で始まり、AAV2のおよそアミノ酸598または別のAAV血清型のキャプシドサブユニットの対応する位置で終了する。残基588~598は、AAV2 VP1キャプシドタンパク質に基づくことに留意されたい。7アミノ酸~約10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)の異種ペプチドがAAV2以外のAAV血清型(例えば、AAV8、AAV9等)における対応する部位に置換され得る。10アミノ酸~約20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の異種ペプチドが、AAV2以外のAAV血清型(例えば、AAV8、AAV9等)における対応する部位に置換され得る。当業者であれば、様々なAAV血清型のキャプシドタンパク質のアミノ酸配列の比較に基づいて、「AAV2のアミノ酸588~598に対応する」置換部位が、任意の所与のAAV血清型のキャプシドタンパク質のどこにあるかを理解するであろう。様々なAAV血清型におけるAAV2のキャプシドタンパク質VP1(図1Bを参照されたい)のアミノ酸588~598に対応するアミノ酸残基が図2に示されている。例えば、AAV1についてはGenBankアクセッション番号NP_049542、AAV4についてはGenBankアクセッション番号NP_044927、AAV5についてはGenBankアクセッション番号AAD13756、AAV6についてはGenBankアクセッション番号AAB95459、AAV7についてはGenBankアクセッション番号YP_077178、AAV8についてはGenBankアクセッション番号YP_077180、AAV9についてはGenBankアクセッション番号AAS99264、AAV10についてはGenBankアクセッション番号AAT46337、及びAAVrh10についてはGenBankアクセッション番号AAO88208を参照されたい。様々な血清型のAAVのVP1キャプシドタンパク質のアミノ酸配列が図1A~1Jに提供されている。
【0056】
いくつかの場合において、約7アミノ酸~約10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)の異種ペプチドが、対応する親AAVキャプシドタンパク質における同等数の連続アミノ酸において置換される。いくつかの場合において、約10アミノ酸~約20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の異種ペプチドが、対応する親AAVキャプシドタンパク質における同等数の連続アミノ酸において置換される。いくつかの場合において、置換は、AAV2のおよそアミノ酸585、または別のAAV血清型のキャプシドサブユニットの対応する位置で始まり、AAV2のおよそアミノ酸598または別のAAV血清型のキャプシドサブユニットの対応する位置で終了する。残基585~598は、AAV2 VP1キャプシドタンパク質に基づくことに留意されたい。7アミノ酸~約10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)の異種ペプチドがAAV2以外のAAV血清型(例えば、AAV8、AAV9等)における対応する部位に置換され得る。10アミノ酸~約20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)の異種ペプチドが、AAV2以外のAAV血清型(例えば、AAV8、AAV9等)における対応する部位に置換され得る。当業者であれば、様々なAAV血清型のキャプシドタンパク質のアミノ酸配列の比較に基づいて、「AAV2のアミノ酸585~598に対応する」置換部位が、任意の所与のAAV血清型のキャプシドタンパク質のどこにあるかを理解するであろう。様々なAAV血清型におけるAAV2のキャプシドタンパク質VP1(図1Bを参照されたい)のアミノ酸585~598に対応するアミノ酸残基が図2に示されている。例えば、AAV1についてはGenBankアクセッション番号NP_049542、AAV4についてはGenBankアクセッション番号NP_044927、AAV5についてはGenBankアクセッション番号AAD13756、AAV6についてはGenBankアクセッション番号AAB95459、AAV7についてはGenBankアクセッション番号YP_077178、AAV8についてはGenBankアクセッション番号YP_077180、AAV9についてはGenBankアクセッション番号AAS99264、AAV10についてはGenBankアクセッション番号AAT46337、及びAAVrh10についてはGenBankアクセッション番号AAO88208を参照されたい。
【0057】
挿入/置き換えペプチド
上記したように、約7アミノ酸~約20アミノ酸長の異種ペプチドが、AAVキャプシドのGHループに挿入され、または当該異種ペプチドによりAAVキャプシドのGHループにおける同等数の連続アミノ酸が置き換えられる。単純化のため、「挿入ペプチド」という用語は、親AAVキャプシドに挿入されるペプチド及びAAVキャプシドのGHループにおける連続アミノ酸のセグメントが置き換えられるペプチドの両方を記載するために以下で使用される。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、約7アミノ酸~約10アミノ酸長(例えば、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、または10アミノ酸長)である。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、約10アミノ酸~約20アミノ酸長(例えば、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸長)である。
【0058】
いくつかの場合において、挿入ペプチドは、7アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、8アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、9アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、10アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、16アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、20アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、11アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、12アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、13アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、14アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、15アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、17アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、18アミノ酸の長さを有する。いくつかの場合において、挿入ペプチドは、19アミノ酸の長さを有する。
【0059】
いくつかの場合において、ペプチドインサートは、式(I)のペプチドである:
AXTX(配列番号46)
(式中、X=LまたはI、X=H、L、R、またはK、X=Q、G、S、またはD、X=D、E、またはA、X=TまたはA、X=K、N、またはR、X=N、P、S、K、T、またはA、及びX=S、A、またはC)。
【0060】
式(I)内のペプチドには、例えば、LAHQDTTKNS(配列番号1)、LALGETTRAA(配列番号2)、LAHQDTTRPA(配列番号3)、LARQDTTKNA(配列番号4)、LAHQDSTKNA(配列番号5)、LAHQDATKNA(配列番号6)、LAHQDTTKPA(配列番号7)、IALSETTRPA(配列番号8)、LAHQDTTKKC(配列番号9)、LALGEATRPA(配列番号10)、LALGETTRTA(配列番号11)、LALSEATRPA(配列番号12)、LAKDETKNSA(配列番号13)、LALGETTKPA(配列番号14)、及びLAHQATTKNA(配列番号15)が含まれる。
【0061】
いくつかの場合において、ペプチドインサートは、式(II)のペプチドである:
AXTTX(配列番号47)
(式中、X=LまたはI、X=H、L、またはR、X=Q、G、またはS、X=D、E、またはA、X=KまたはR、X=N、A、P、K、またはT、及びX=S、A、またはC)。
【0062】
式(II)内のペプチドには、例えば、LAHQDTTKNS(配列番号1)、LALGETTRAA(配列番号2)、LAHQDTTRPA(配列番号3)、LARQDTTKNA(配列番号4)、LAHQDTTKPA(配列番号7)、IALSETTRPA(配列番号8)、LAHQDTTKKC(配列番号9)、LALGETTRTA(配列番号11)、LALGETTKPA(配列番号14)、及びLAHQATTKNA(配列番号15)が含まれる。
【0063】
いくつかの場合において、ペプチドインサートは、式(III)のペプチドである:
LAHQXTX(配列番号48)
(式中、Xは、DまたはAであり、Xは、T、S、またはAであり、Xは、KまたはRであり、Xは、N、P、またはKであり、Xは、S、A、またはCである)。
【0064】
式(III)内のペプチドには、例えば、LAHQDTTKNS(配列番号1)、LAHQDTTRPA(配列番号3)、LAHQDSTKNA(配列番号5)、LAHQDATKNA(配列番号6)、LAHQDTTKPA(配列番号7)、LAHQDTTKKC(配列番号9)、及びLAHQATTKNA(配列番号15)が含まれる。
【0065】
いくつかの場合において、ペプチドインサートは、式(IV)のペプチドである:
LALXEXTXA(配列番号49)
(式中、Xは、GまたはSであり、Xは、TまたはAであり、Xは、RまたはKであり、Xは、A、P、またはTである)。
【0066】
式(IV)内のペプチドには、例えば、LALGETTRAA(配列番号2)、LALGEATRPA(配列番号10)、LALGETTRTA(配列番号11)、LALSEATRPA(配列番号12)、及びLALGETTKPA(配列番号14)が含まれる。
【0067】
いくつかの場合において、ペプチドインサートは、式(V)のペプチドである:
LXRGXRQXVNX10(配列番号50)
(式中、Xは、QまたはHであり、Xは、N、V、またはKであり、Xは、QまたはVであり、Xは、T、A、またはPであり、Xは、T、A、またはSであり、Xは、TまたはVであり、Xは、A、E、またはLであり、Xは、DまたはEであり、Xは、T、S、K、G、またはIであり、X10は、QまたはLである)。
【0068】
いくつかの場合において、ペプチドインサートは、式(VI)のペプチドである:
LXRGNRQXTXDVNX(配列番号51)
(式中、Xは、QまたはHであり、Xは、AまたはTであり、Xは、AまたはTであり、Xは、AまたはEであり、Xは、T、S、K、またはIであり、Xは、QまたはLである)。
【0069】
いくつかの場合において、ペプチドインサートは、式(VII)のペプチドである:
SXTXPSXTTTQXLQFSQ(配列番号52)
(式中、Xは、RまたはKであり、Xは、NまたはDであり、Xは、T、S、またはIであり、Xは、GまたはEであり、Xは、SまたはPであり、Xは、T、R、またはSである)。
【0070】
ペプチドの例は、以下の表1に提供されている。
【表1】
【0071】
いくつかの場合において、式I~VIIのいずれか1つのペプチドインサート、または表1に示されるペプチドは、ペプチドのN末端に1つまたは2つのリンカーアミノ酸及び/またはペプチドのC末端に1つ以上のアミノ酸をさらに含む。例えば、いくつかの場合において、ペプチドインサートは、Thr-Gly-[式I~VIIのいずれか1つのペプチド]-Gly-Leu-Serを含む。別の例として、いくつかの場合において、ペプチドインサートは、Leu-Ala-[式I~VIのいずれか1つのペプチド]-Alaを含む。別の例として、いくつかの場合において、ペプチドインサートは、Leu-Gln-[式I~VIIのいずれか1つのペプチド]-Glnを含む。いくつかの場合において、ペプチドインサートは、いかなるリンカーアミノ酸も含まない。
【0072】
いくつかの場合において、ペプチドインサートは、式(VIII)のペプチドである:
TX(配列番号53)
(式中、X=H、L、R、またはKであり、X=Q、G、S、またはDであり、X=D、E、またはAであり、X=TまたはAであり、X=K、N、またはRであり、X=N、P、S、K、T、またはAである)。
【0073】
式(VIII)内のペプチドには、例えば、HQDTTKN(配列番号31)、LGETTRA(配列番号32)、HQDTTRP(配列番号33)、RQDTTKN(配列番号34)、HQDSTKN(配列番号35)、HQDATKNA(配列番号36)、HQDTTKP(配列番号37)、LSETTRP(配列番号38)、HQDTTKK(配列番号39)、LGEATRP(配列番号40)、LGETTRT(配列番号41)、LSEATRP(配列番号42)、KDETKNS(配列番号43)、LGETTKP(配列番号44)、及びHQATTKN(配列番号45)が含まれる。これらのペプチドは、以下の表2に示されている。
【0074】
【表2】
【0075】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンキャプシドは、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約7アミノ酸~約20アミノ酸(例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の挿入以外に、任意の他のアミノ酸置換、挿入、または欠失を含んでいない。他の場合において、主題のrAAVビリオンキャプシドは、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約7アミノ酸~約20アミノ酸(例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の挿入に加えて、親AAVキャプシドタンパクと比較して1~約25アミノ酸の挿入、欠失、または置換を含む。例えば、いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンキャプシドには、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約7アミノ酸~約20アミノ酸(例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の挿入に加えて、親AAVキャプシドタンパク質と比較して、1~約5、約5~約10、約10~約15、約15~約20、または約20~約25アミノ酸の挿入、欠失、または置換が含まれる。ある特定の例では、親AAVキャプシドタンパク質と比較して1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の欠失が、ペプチド挿入の部位で生じる。
【0076】
いくつかの場合において、本開示のバリアントAAVキャプシドポリペプチドは、以下のアミノ酸置換のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含まない:Y273F、Y444F、Y500F、及びY730F。
【0077】
いくつかの場合において、本開示のバリアントAAVキャプシドポリペプチドは、上述の挿入ペプチドに加えて、以下のアミノ酸置換のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む:Y273F、Y444F、Y500F、及びY730F。
【0078】
いくつかの場合において、本開示のバリアントAAVキャプシドポリペプチドは、キメラキャプシドであり、例えば、そのキャプシドは、第1のAAV血清型のAAVキャプシドの一部及び第2の血清型のAAVキャプシドの一部を含み、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約10アミノ酸~約20アミノ酸(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の挿入を含む。いくつかの場合において、本開示のバリアントAAVキャプシドポリペプチドは、キメラキャプシドであり、例えば、そのキャプシドは、第1のAAV血清型のAAVキャプシドの一部及び第2の血清型のAAVキャプシドの一部を含み、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約7アミノ酸~約10アミノ酸(例えば、7、8、9、または10アミノ酸)の挿入を含む。
【0079】
組換えAAVビリオン
本開示は、(i)本開示のバリアントAAVキャプシドポリペプチドと、(ii)異種ポリペプチド(すなわち、非AAVポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸とを含む、組換えAAV(rAAV)ビリオンを提供する。
【0080】
いくつかの場合において、本開示のrAAVビリオンは、図1A~1Jのいずれか1つに提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及び対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約10アミノ酸~約20アミノ酸(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、図4に提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及び図1Bに示されるアミノ酸配列に対するアミノ酸587及び588の間、または対応する親AAVキャプシドタンパク質に対する対応する部位に約10アミノ酸~約20アミノ酸(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。
【0081】
いくつかの場合において、本開示のrAAVビリオンは、図1A~1Jのいずれか1つに提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及び対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約7アミノ酸~約10アミノ酸(例えば、7、8、9、または10アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、図1Bに提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及び図1Bに示されるアミノ酸配列に対するアミノ酸587及び588の間、または対応する親AAVキャプシドタンパク質に対する対応する部位に約7アミノ酸~約10アミノ酸(例えば、7、8、9、または10アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。
【0082】
いくつかの場合において、本開示のrAAVビリオンは、図1Bに提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及び対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約10アミノ酸~約20アミノ酸(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、図1Bに提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及び図1Bに示されるアミノ酸配列に対するアミノ酸585及び598の間、または対応する親AAVキャプシドタンパク質に対する対応する部位に約10アミノ酸~約20アミノ酸(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。
【0083】
いくつかの場合において、本開示のrAAVビリオンは、図1Bに提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及び対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約7アミノ酸~約10アミノ酸(例えば、7、8、9、または10アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、図1Bに提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及び図1Bに示されるアミノ酸配列に対するアミノ酸585及び598の間、または対応する親AAVキャプシドタンパク質に対する対応する部位に約7アミノ酸~約10アミノ酸(例えば、7、8、9、または10アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。
【0084】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、図1A~1Jのいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ約7アミノ酸~約10アミノ酸(例えば、7、8、9、または10アミノ酸)の挿入を含むGHループを含むキャプシドタンパク質を含み、挿入部位は、図2及び図3に示される太字及び下線のアミノ酸の間にある。いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、図1A~1Jのいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ約7アミノ酸~約10アミノ酸(例えば、7、8、9、または10アミノ酸)の挿入を含むGHループを含むキャプシドタンパク質を含み、挿入部位は、図2及び図3に示される太字及び下線のアミノ酸の間にある。
【0085】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、図1A~1Jに提供されるアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及びAAV2のアミノ酸587及び588の間、または別のAAV遺伝子型に対する対応する部位で約10アミノ酸~約20アミノ酸(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。いくつかの場合において、対応する挿入部位は、図2または図3において太字及び下線によって示される部位である。いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、図1A~1Jに提供されるアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、及びAAV2のアミノ酸587及び588の間、または別のAAV遺伝子型に対する対応する部位で約7アミノ酸~約10アミノ酸(例えば、7、8、9、または10アミノ酸)の挿入を含むキャプシドタンパク質を含む。いくつかの場合において、対応する挿入部位は、図2または図3において太字及び下線によって示される部位である。
【0086】
本開示のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した網膜細胞の感染性を示す。
【0087】
所与のrAAVビリオンが、増加した網膜細胞の感染性を示すかどうかは、rAAVビリオンの硝子体内投与後に、rAAVビリオンによってコードされる異種遺伝子産物の網膜細胞における発現を検出することによって決定され得る。例えば、(a)上述したペプチドインサートまたはペプチド置き換えを含む本開示のバリアントキャプシド、及び(b)異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含む本開示のrAAVビリオンは、硝子体内に投与された場合、(a)ペプチドインサートまたはペプチド置き換えを含まない対照AAVキャプシド、及び(b)異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含む対照rAAVビリオンが硝子体内に投与された場合に生じる網膜細胞における遺伝子産物のレベルよりも少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超高い網膜細胞における異種遺伝子産物のレベルをもたらす。
【0088】
所与のrAAVビリオンが、増加した網膜細胞の感染性を示すかどうかは、網膜細胞におけるrAAVビリオンによってコードされる治療遺伝子産物の治療効果を評価することによって決定され得る。治療効果には、例えば、(a)視覚機能、例えば、視野、視力の喪失速度の低下、(b)視覚機能、例えば、視野または視力の改善、(c)光に対する感受性、すなわち、光恐怖症の軽減、眼振の減少等が含まれ得る。例えば、(a)上述したペプチドインサートまたはペプチド置き換えを含む本開示のバリアントキャプシド、及び(b)異種治療遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含む本開示のrAAVビリオンは、硝子体内に投与された場合、(a)ペプチドインサートまたはペプチド置き換えを含まない対照AAVキャプシド、及び(b)異種治療遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含む対照rAAVビリオンが硝子体内に投与された場合に生じる網膜細胞における治療効果よりも少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超高い網膜細胞における治療遺伝子産物の治療効果をもたらす。視覚機能のための試験は、当技術分野で知られており、任意のそのような試験は、本開示のrAAVビリオンが網膜細胞の増加した感染性を示すかどうかを決定するために使用され得る。
【0089】
本開示のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質(すなわち、インサートペプチドまたは置き換えペプチドを有しないAAVキャプシドタンパク質)を含む対照rAAVビリオンの能力と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、硝子体内液と網膜細胞との間の障壁を通過する能力を示す。
【0090】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した網膜細胞の感染性を示す。
【0091】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる光受容体細胞の感染性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した光受容体(桿体または錐体)細胞の感染性を示す。
【0092】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる光受容体細胞の感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した光受容体(桿体または錐体)細胞の感染性を示す。
【0093】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによるRGCの感染性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加したRGCの感染性を示す。
【0094】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによるRGCの感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加したRGCの感染性を示す。
【0095】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによるRPE細胞の感染性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加したRPE細胞の感染性を示す。
【0096】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによるRPE細胞の感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加したRPE細胞の感染性を示す。
【0097】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによるミュラー細胞の感染性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加したミュラー細胞の感染性を示す。
【0098】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによるミュラー細胞の感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加したミュラー細胞の感染性を示す。
【0099】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる双極細胞の感染性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した双極細胞の感染性を示す。
【0100】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる双極細胞の感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した双極細胞の感染性を示す。
【0101】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによるアマクリン細胞の感染性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加したアマクリン細胞の感染性を示す。
【0102】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによるアマクリン細胞の感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加したアマクリン細胞の感染性を示す。
【0103】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる水平細胞の感染性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した水平細胞の感染性を示す。
【0104】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる水平細胞の感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した水平細胞の感染性を示す。
【0105】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜アストロサイトの感染性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した網膜アストロサイトの感染性を示す。
【0106】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜アストロサイトの感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した網膜アストロサイトの感染性を示す。
【0107】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンが網膜の細胞外マトリックス(ECM)を通過する能力と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、網膜のECMを通過する能力を示す。
【0108】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンが網膜の細胞外マトリックス(ECM)を通過する能力と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、網膜のECMを通過する能力を示す。
【0109】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンが内境界膜(ILM)を通過する能力と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、ILMを通過する能力を示す。
【0110】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンがILMを通過する能力と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加したILMを通過する能力を示す。
【0111】
主題のrAAVビリオンは、ILMを通過することができ、ミュラー細胞、アマクリン細胞等を含む細胞層を横断して、光受容体細胞及び/またはRPE細胞に到達することもできる。例えば、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合、ILMを通過し得、また、ミュラー細胞、アマクリン細胞等を含む細胞層を横断して、光受容体細胞及びまたはRPE細胞に到達し得る。
【0112】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる内顆粒層、外顆粒層、光受容体層、神経節細胞層、または網膜色素上皮への局在化の程度と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、内顆粒層、外顆粒層、光受容体層、神経節細胞層、及び網膜色素上皮のうちの1つ以上の局在化を示す。
【0113】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内に注射された場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む硝子体内に注射された対照AAVビリオンによるILMを越えた局在化の程度と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、ILMを越えた局在化を示す。例えば、いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内に注射された場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む硝子体内に注射された対照AAVビリオンによるRPE層への局在化の程度と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、網膜色素上皮(RPE)への局在化を示す。別の例として、いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内に注射された場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む硝子体内に注射された対照AAVビリオンによるPR層への局在化の程度と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、光受容体(PR)層への局在化を示す。別の例として、いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内に注射された場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む硝子体内に注射された対照AAVビリオンによる内顆粒層への局在化の程度と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、内顆粒層への局在化を示す。別の例として、いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内に注射された場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む硝子体内に注射された対照AAVビリオンによる外顆粒層への局在化の程度と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、外顆粒層への局在化を示す。別の例として、いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内に注射された場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む硝子体内に注射された対照AAVビリオンによる神経節細胞層への局在化の程度と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した、神経節細胞層への局在化を示す。
【0114】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、網膜細胞に選択的に感染し、例えば、主題のrAAVビリオンは、非網膜細胞、例えば、眼の外側の細胞よりも10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、または50倍超の特異性で網膜細胞に感染する。例えば、いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、網膜細胞に選択的に感染し、例えば、主題のrAAVビリオンは、非網膜細胞、例えば、眼の外側の細胞よりも10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、または50倍超の特異性で光受容体細胞に感染する。
【0115】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、光受容体細胞に選択的に感染し、例えば、主題のrAAVビリオンは、眼に存在する非光受容体細胞、例えば、網膜神経節細胞、ミュラー細胞等よりも10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、または50倍超の特異性で光受容体細胞に感染する。
【0116】
いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、硝子体内注射を介して投与された場合に対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる光受容体細胞の感染性と比較して、硝子体内注射を介して投与された場合に少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加した光受容体細胞の感染性を示す。
【0117】
遺伝子産物
本開示のrAAVビリオンは、1つ以上の遺伝子産物(1つ以上の異種遺伝子産物)をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む。いくつかの場合において、遺伝子産物は、ポリペプチドである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、RNAである。いくつかの場合において、本開示のrAAVビリオンは、異種核酸遺伝子産物及び異種ポリペプチド遺伝子産物の両方をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。遺伝子産物がRNAである場合、いくつかの場合において、RNA遺伝子産物は、ポリペプチドをコードする。遺伝子産物がRNAである場合、いくつかの場合において、RNA遺伝子産物は、ポリペプチドをコードしない。いくつかの場合において、本開示のrAAVビリオンは、単一の異種遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む単一の異種核酸を含む。いくつかの場合において、本開示のrAAVビリオンは、2つの異種遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む単一の異種核酸を含む。単一の異種核酸が2つの異種遺伝子産物をコードする場合、いくつかの場合において、2つの異種遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、同一のプロモーターに動作的に結合される。単一の異種核酸が2つの異種遺伝子産物をコードする場合、いくつかの場合において、2つの異種遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、2つの異なるプロモーターに動作的に結合される。いくつかの場合において、本開示のrAAVビリオンは、3つの異種遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む単一の異種核酸を含む。単一の異種核酸が3つの異種遺伝子産物をコードする場合、いくつかの場合において、3つの異種遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、同一のプロモーターに動作的に結合される。単一の異種核酸が3つの異種遺伝子産物をコードする場合、いくつかの場合において、3つの異種遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、2つまたは3つの異なるプロモーターに動作的に結合される。いくつかの場合において、本開示のrAAVビリオンは、2つの異種核酸を含み、各々は、異種遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0118】
いくつかの場合において、遺伝子産物は、ポリペプチドをコードするRNAである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、干渉RNAである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、アプタマーである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、ポリペプチドである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、治療ポリペプチド、例えば、臨床的利益を提供するポリペプチドである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、遺伝子機能の部位特異的ノックダウンを提供する部位特異的ヌクレアーゼである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、標的核酸の修飾を提供するRNAガイドエンドヌクレアーゼである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、i)標的核酸の修飾を提供するRNAガイドエンドヌクレアーゼ、及びii)標的核酸における標的配列に結合する第1のセグメント及びRNAガイドエンドヌクレアーゼに結合する第2のセグメントを含むガイドRNAである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、i)標的核酸の修飾を提供するRNAガイドエンドヌクレアーゼ、ii)標的核酸における第1の標的配列に結合する第1のセグメント及びRNAガイドエンドヌクレアーゼに結合する第2のセグメントを含む第1のガイドRNA、及びiii)標的核酸における第2の標的配列に結合する第1のセグメント及びRNAガイドエンドヌクレアーゼに結合する第2のセグメントを含む第1のガイドRNAである。
【0119】
干渉RNA
遺伝子産物が干渉RNA(RNAi)である場合、好適なRNAiには、細胞におけるアポトーシスまたは血管新生因子のレベルを低下させるRNAiが含まれる。例えば、RNAiは、細胞におけるアポトーシスを誘導または促進する遺伝子産物のレベルを減少させるshRNAまたはsiRNAであり得る。自身の遺伝子産物がアポトーシスを誘導または促進する遺伝子は、本明細書で「プロアポトーシス遺伝子」と称され、それらの遺伝子の産物(mRNA、タンパク質)は、「プロアポトーシス遺伝子産物」と称される。プロアポトーシス遺伝子産物には、例えば、Bax、Bid、Bak、及びBad遺伝子産物が含まれる。例えば、米国特許第7,846,730号を参照されたい。
【0120】
干渉RNAはまた、血管新生産物、例えば、血管内皮成長因子(VEGF)(例えば、Cand5、例えば、米国特許公開第2011/0143400号、米国特許公開第2008/0188437号、及びReich et al.(2003)Mol.Vis.9:210を参照されたい)、VEGF受容体-1(VEGFR1)(例えば、Sirna-027、例えば、Kaiser et al.(2010)Am.J.Ophthalmol.150:33、及びShen et al.(2006)Gene Ther.13:225を参照されたい)、またはVEGF受容体-2(VEGFR2)(Kou et al.(2005)Biochem.44:15064)に対するものであり得る。米国特許第6,649,596号、同第6,399,586号、同第5,661,135号、同第5,639,872号、及び同第5,639,736号、ならびに米国特許第7,947,659号及び同第7,919,473号も参照されたい。
【0121】
アプタマー
遺伝子産物がアプタマーである場合、目的とする例示的なアプタマーには、VEGFに対するアプタマーが含まれる。例えば、Ng et al.(2006)Nat.Rev.Drug Discovery 5:123、及びLee et al.(2005)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:18902を参照されたい。例えば、VEGFアプタマーは、ヌクレオチド配列5’-cgcaaucagugaaugcuuauacauccg-3’(配列番号57)を含み得る。血小板由来成長因子(PDGF)特異的アプタマー、例えば、E10030も使用するのに好適であり、例えば、Ni and Hui(2009)Ophthalmologica 223:401、及びAkiyama et al.(2006)J.Cell Physiol.207:407を参照されたい)。
【0122】
ポリペプチド
遺伝子産物がポリペプチドである場合、いくつかの場合において、ポリペプチドは、網膜細胞の機能、例えば、桿体もしくは錐体光受容体細胞、網膜神経節細胞、ミュラー細胞、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞、または網膜色素上皮細胞の機能を高めるポリペプチドである。例示的なポリペプチドには、神経保護ポリペプチド(例えば、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、ニューロトロフィン-4(NT4)、神経成長因子(NGF)、及びニュールツリン(NTN))、抗血管新生ポリペプチド(例えば、可溶性VEGF受容体、VEGF結合抗体、VEGF結合抗体断片(例えば、一本鎖抗-VEGF抗体)、エンドスタチン、ツムスタチン、アンジオスタチン、可溶性Fltポリペプチド(Lai et al.(2005)Mol.Ther.12:659)、可溶性Fltポリペプチドを含むFc融合タンパク質(例えば、Pechan et al.(2009)Gene Ther.16:10を参照されたい)、色素上皮由来因子(PEDF)、可溶性Tie-2受容体等)、メタロプロテイナーゼ-3(TIMP-3)の組織阻害剤、光反応性オプシン、例えば、ロドプシン、抗アポトーシスポリペプチド(例えば、Bcl-2、Bcl-Xl、XIAP)等が含まれる。好適なポリペプチドには、グリア由来神経栄養因子(GDNF)、線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子2、ニュールツリン(NTN)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン-4(NT4)、脳由来神経栄養因子(BDNF、例えば、図4Bに示されるアミノ酸配列(配列番号91)の連続した一続きの約200アミノ酸~247アミノ酸と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド)、上皮成長因子、ロドプシン、アポトーシスのX結合阻害剤、及びソニックヘッジホッグが含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
好適なポリペプチドには、オプシン、短波長オプシン(SW-オプシン)、中波長オプシン(MW-オプシン)、長波長オプシン(LW-オプシン)、ロドプシン、錐体オプシン、ヒトオプシン、非ヒトオプシン、ヒト化オプシン等が含まれる。
【0124】
MW-オプシンポリペプチドは、以下のヒトMW-オプシンアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る:
MAQQWSLQRL AGRHPQDSYE DSTQSSIFTY TNSNSTRGPF EGPNYHIAPR WVYHLTSVWM IFVVIASVFT NGLVLAATMK FKKLRHPLNW ILVNLAVADL AETVIASTIS VVNQVYGYFV LGHPMCVLEG YTVSLCGITG LWSLAIISWE RWMVVCKPFG NVRFDAKLAI VGIAFSWIWA AVWTAPPIFG WSRYWPHGLK TSCGPDVFSG SSYPGVQSYM IVLMVTCCIT PLSIIVLCYL QVWLAIRAVA KQQKESESTQ KAEKEVTRMV VVMVLAFCFC WGPYAFFACF AAANPGYPFH PLMAALPAFF AKSATIYNPV IYVFMNRQFR NCILQLFGKK VDDGSELSSA SKTEVSSVSS VSPA(配列番号54)。
【0125】
LW-オプシンは、以下のヒトLW-オプシンアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る:
MAQQWSLQRL AGRHPQDSYE DSTQSSIFTY TNSNSTRGPF EGPNYHIAPR WVYHLTSVWM IFVVTASVFT NGLVLAATMK FKKLRHPLNW ILVNLAVADL AETVIASTIS IVNQVSGYFV LGHPMCVLEG YTVSLCGITG LWSLAIISWE RWMVVCKPFG NVRFDAKLAI VGIAFSWIWA AVWTAPPIFG WSRYWPHGLK TSCGPDVFSG SSYPGVQSYM IVLMVTCCII PLAIIMLCYL QVWLAIRAVA KQQKESESTQ KAEKEVTRMV VVMIFAYCVC WGPYTFFACF AAANPGYAFH PLMAALPAYF AKSATIYNPV IYVFMNRQFR NCILQLFGKK VDDGSELSSA SKTEVSSVSS VSPA(配列番号55)。
【0126】
SW-オプシンポリペプチドは、以下のヒトSW-オプシンアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る:
MRKMSEEEFY LFKNISSVGP WDGPQYHIAP VWAFYLQAAFMGTVFLIGFP LNAMVLVATL RYKKLRQPLN YILVNVSFGG FLLCIFSVFP VFVASCNGYF VFGRHVCALE GFLGTVAGLV TGWSLAFLAF ERYIVICKPF GNFRFSSKHA LTVVLATWTI GIGVSIPPFF GWSRFIPEGL QCSCGPDWYT VGTKYRSESY TWFLFIFCFI VPLSLICFSY TQLLRALKAV AAQQQESATT QKAEREVSRM VVVMVGSFCV CYVPYAAFAM YMVNNRNHGL DLRLVTIPSF FSKSACIYNP IIYCFMNKQF QACIMKMVCG KAMTDESDTC SSQKTEVSTV SSTQVGPN(配列番号56)。
【0127】
好適な光反応性オプシンには、例えば、米国特許公開第2007/0261127号(例えば、チャネルロドプシン-2、ChR2、Chop2)、米国特許公開第2001/0086421号、米国特許公開第2010/0015095号、米国特許公開第2016/0002302号、米国特許公開第2013/0347137号、米国特許公開第2013/0019325号、及びDiester et al.(2011)Nat.Neurosci.14:387に記載される光反応性オプシンが含まれる。Thyagarajan et al.(2010)J Neurosci.30(26):8745-8758、Lagali et al.(2008)Nat Neurosci.11(6):667-675、Doroudchi et al.(2011)Mol Ther.19(7):1220-1229、Henriksen et al.(2014)J.Ophthalmic Vis.Res.9:374、Tomita et al.(2014)Mol.Ther.22:1434を参照されたい。
【0128】
好適なポリペプチドには、光駆動性イオンチャネルポリペプチドが含まれる。例えば、Gaub et al.(2014)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 111:E5574を参照されたい。例えば、好適なポリペプチドは、光駆動性イオンチャネル型グルタミン酸受容体(LiGluR)である。光異性化性化合物の存在下での網膜神経節細胞及びオン型双極細胞におけるLiGluRの発現は、細胞を光に対して反応性とする。LiGluRは、L439C置換を含み、Caporale et al.(2011)Mol Ther.19:1212-1219、Volgraf et al.(2006)Nat Chem Biol.2:47-52、及びGorostiza et al.(2007)Proc Natl Acad Sci USA.104:10865-10870を参照されたい。光異性化性化合物には、例えば、460nmでピーク効率を有するマレイミド-アゾベンゼン-グルタメート0が含まれる(MAG0460)。MAG0460は、以下の構造を有する:
【0129】
好適なポリペプチドには、レチノスキシン(例えば、図4Aに示されるアミノ酸配列(配列番号90)の連続した一続きの約200アミノ酸~224アミノ酸と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド)も含まれる。好適なポリペプチドには、例えば、網膜色素変性症GTPアーゼ制御因子(RPGR)相互作用タンパク質-1(例えば、GenBankアクセッション番号Q96KN7、Q9EPQ2、及びQ9GLM3を参照されたい)(例えば、図4Fに示されるアミノ酸配列(配列番号95)の連続した一続きの約1150アミノ酸~約1200アミノ酸、または約1200アミノ酸~1286アミノ酸と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、ペリフェリン-2(Prph2)(例えば、GenBankアクセッション番号NP_000313(例えば、図4Dに示されるアミノ酸配列(配列番号93)の連続した一続きの約300アミノ酸~346アミノ酸と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、及びTravis et al.(1991)Genomics 10:733を参照されたい)、ペリフェリン(例えば、図4Eに示されるアミノ酸配列(配列番号94)の連続した一続きの約400アミノ酸~約470アミノ酸と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、網膜色素上皮特異的タンパク質(RPE65)、(例えば、図4Cに示されるアミノ酸配列(配列番号92)の連続した一続きの約200アミノ酸~247アミノ酸と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド)(例えば、GenBank AAC39660、及びMorimura et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:3088を参照されたい)、桿体由来錐体生存因子(RdCVF)(例えば、図4H、4I、及び4Jのいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、Rabエスコートタンパク質1(REP1)(例えば、図4Gに示されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド)、網膜色素変性GTPアーゼ制御因子(RPGR)(例えば、図4S~4Vのうちの1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド)等が含まれる。例えば、いくつかの場合において、好適なRPGRポリペプチドは、図4Sに示されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の例として、いくつかの場合において、好適なRPGRポリペプチドは、図4Tに示されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、いくつかの場合において、好適なRPGRポリペプチドは、図4Uに示されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、いくつかの場合において、好適なRPGRポリペプチドは、図4Vに示されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0130】
好適なポリペプチドにはまた、欠陥または欠如した場合、先天性脈絡膜欠如を引き起こすポリペプチドであるCHM(先天性脈絡膜欠如(Rabエスコートタンパク質1(REP1)))(例えば、Donnelly et al.(1994)Hum.Mol.Genet.3:1017、及びvan Bokhoven et al.(1994)Hum.Mol.Genet.3:1041を参照されたい)、及び欠陥または欠如した場合、レーバー先天性黒内障及び網膜色素変性症を引き起こすポリペプチドであるCrumbsホモログ1(CRB1)(例えば、den Hollander et al.(1999)Nat.Genet.23:217、及びGenBankアクセッション番号CAM23328を参照されたい)が含まれる。例えば、好適なREP1ポリペプチドは、図4Gに示されるアミノ酸配列セットと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含み得る。
【0131】
好適なポリペプチドには、桿体cGMP特異的3’,5’-環状ホスホジエステラーゼサブユニットアルファ(PDE6α)、桿体cGMP特異的3’,5’-環状ホスホジエステラーゼサブユニットベータアイソフォーム1(PDE6βアイソフォーム1)、桿体cGMP特異的3’,5’-環状ホスホジエステラーゼサブユニットベータアイソフォーム2(PDE6βアイソフォーム2)、桿体cGMP特異的3’,5’-環状ホスホジエステラーゼサブユニットベータアイソフォーム3(PDE6βアイソフォーム3)が含まれる。例えば、好適なPDE6αポリペプチドは、図4Kに示されるアミノ酸配列セットと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含み得る。別の例として、好適なPDE6β6アイソフォーム1ポリペプチドは、図4Lに示されるアミノ酸配列セットと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含み得る。別の例として、好適なPDE6β6アイソフォーム2ポリペプチドは、図4Mに示されるアミノ酸配列セットと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含み得る。別の例として、好適なPDE6β6アイソフォーム3ポリペプチドは、図4Nに示されるアミノ酸配列セットと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含み得る。
【0132】
好適なポリペプチドにはまた、欠陥または欠如した場合、色覚異常をもたらすポリペプチド(そのようなポリペプチドには、例えば、錐体光受容体cGMPゲート化チャネルサブユニットアルファ(CNGA3)(例えば、GenBankアクセッション番号NP_001289、及びBooij et al.(2011)Ophthalmology 118:160-167を参照されたい)、錐体光受容体cGMPゲート化カチオンチャネルベータ-サブユニット(CNGB3)(例えば、Kohl et al.(2005)Eur J Hum Genet.13(3):302を参照されたい)、グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、アルファ形質導入活性ポリペプチド2(GNAT2)(ACHM4)、及びACHM5が含まれる)、及び欠陥または欠如した場合、様々な形態の色覚喪失をもたらすポリペプチド(例えば、L-オプシン、M-オプシン、及びS-オプシン)が含まれる。Mancuso et al.(2009)Nature 461(7265):784-787を参照されたい。
【0133】
例えば、好適なCNGA3(ACHM2としても知られている)アイソフォーム1ポリペプチドは、図4Oに示されるアミノ酸配列セットと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含み得る。別の例として、好適なCNGA3(ACHM2としても知られている)アイソフォーム2ポリペプチドは、図4Pに示されるアミノ酸配列セットと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含み得る。
【0134】
別の例として、好適なCNGB3(ACHM3としても知られている)ポリペプチドは、図4Qに示されるアミノ酸配列セットと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含み得る。別の例として、GNAT2(ACHM4としても知られている)は、図4Rに示されるアミノ酸配列セットと少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含み得る。
【0135】
他の好適なポリペプチドには、例えば、ヒトもしくは他の種に由来するG-タンパク質結合受容体(GPCR)、またはその機能的断片もしくはバリアントが含まれる。いくつかの場合において、GPCRは、阻害性G-タンパク質(G)結合GPCRである。いくつかの場合において、GPCRは、刺激性G-タンパク質(G)結合GPCRである。いくつかの場合において、GPCRは、刺激性G-タンパク質(G)結合GPCRである。いくつかの場合において、GPCRは、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)を含む。より特定の実施形態において、GPRC配列は、GPRC配列の機能的断片またはバリアントを含む。他のより特定の実施形態において、その機能的断片またはバリアントは、野生型GPRCの1つ以上の所望の活性を保持し、野生型ヒトGPRCの配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%またはそれを超える同一性を有する。
【0136】
好適なポリペプチドにはまた、ヒトもしくは他の種に由来する代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)、またはその機能的断片もしくはバリアントが含まれ得る。例えば、いくつかの場合において、mGluRは、mGluR1、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、mGluR6、mGluR7及びmGluR8、またはその機能的断片もしくはバリアントのうちの1つ以上を含む。他のより特定の実施形態において、その機能的断片またはバリアントは、野生型mGluRの1つ以上の所望の活性を保持し、野生型ヒトmGluRの配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%またはそれを超える同一性を有する。
【0137】
より特定の実施形態において、ポリペプチドは、ヒトmGluR2ポリペプチド配列、例えば、UniProtKB Q14416またはGenBankアクセッション番号NM_000839.5に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるmGluR2ポリペプチド配列である。他の特定の実施形態において、ポリペプチドは、ヒトmGluR2ポリペプチド配列、例えば、UniProtKB Q14416またはGenBankアクセッション番号NP_000830.2に示されるポリペプチド配列である。また、mGluR2ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列はまた、その機能的断片またはバリアント、例えば、それと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%の同一性を有するものであり得る。例えば、いくつかの場合において、ポリペプチドは、図4Wに示されるアミノ酸配列の19~872と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0138】
本開示の追加の実施形態において、好適なポリペプチドは、上で論述されるもの等のポリペプチド配列を含有することに加えて、目的とする1つ以上の追加のポリペプチド配列もさらに含む融合ポリペプチドを含む。
【0139】
例えば、いくつかの場合において、好適なポリペプチドは、親和性タグ、例えば、SNAP配列、CLIP配列及び/またはHALO配列を含む融合ポリペプチドを含む。
【0140】
関連する実施形態において、SNAP配列は、以下のアミノ酸配列を含む:MDKDCEMKRTTLDSPLGKLELSGCEQGLHRIIFLGKGTSAADAVEVPAPAAVLGGPEPLMQATAWLNAYFHQPEAIEEFPVPALHHPVFQQESFTRQVLWKLLKVVKFGEVISYSHLAALAGNPAATAAVKTALSGNPVPILIPCHRVVQGDLDVGGYEGGLAVKEWLLAHEGHRLGKPGLG(配列番号//)。
【0141】
他の関連する実施形態において、SNAP配列は、以下のアミノ酸配列を含む:
DKDCEMKRTTLDSPLGKLELSGCEQGLHEIKLLGKGTSAADAVEVPAPAAVLGGPEPLMQATAWLNAYFHQPEAIEEFPVPALHHPVFQQESFTRQVLWKLLKVVKFGEVISYQQLAALAGNPAATAAVKTALSGNPVPILIPCHRVVSSSGAVGGYEGGLAVKEWLLAHEGHRLGKPGLG(配列番号//)。
【0142】
より特定の実施形態において、SNAPポリペプチドは、本明細書に例示的に記載されているもの等の、SNAP配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列であり、SNAP配列は、ベンジルグアニンに結合する配列である。
【0143】
本開示の別の特定の実施形態において、好適なポリペプチドは、SNAPポリペプチド配列及びmGluRポリペプチド配列、例えば、mGluR2ポリペプチド配列、またはその機能的断片もしくはバリアントを含む融合ポリペプチドである。
【0144】
CRISPR/Casエフェクターポリペプチド及び部位特異的エンドヌクレアーゼ
いくつかの場合において、目的とする遺伝子産物は、遺伝子機能の部位特異的ノックダウンを提供するCRISPR/Casエフェクターポリペプチドまたは部位特異的エンドヌクレアーゼであり、例えば、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、網膜疾患に関連する対立遺伝子をノックアウトする。例えば、優性対立遺伝子が、網膜構造タンパク質であり、及び/または正常な網膜機能を提供する遺伝子(野生型の場合)の欠陥のあるコピーをコードする場合、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドまたは部位特異的エンドヌクレアーゼは、欠陥のある対立遺伝子を標的とし、かつその欠陥のある対立遺伝子をノックアウトすることができる。
【0145】
欠陥のある対立遺伝子をノックアウトすることに加えて、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドまたは部位特異的エンドヌクレアーゼを用いて、その欠陥のある対立遺伝子によってコードされるタンパク質の機能的コピーをコードするドナーDNAで相同組換えを刺激することもできる。したがって、例えば、主題のrAAVビリオンを用いて、欠陥のある対立遺伝子をノックアウトするCRISPR/Casエフェクターポリペプチドを送達することができ、その欠陥のある対立遺伝子の機能的コピーも送達することができ、その欠陥のある対立遺伝子の修復をもたらし、それによって、機能的網膜タンパク質(例えば、機能的レチノスキシン、機能的RPE65、機能的ペリフェリン等)の産生をもたらす。例えば、Li et al.(2011)Nature 475:217を参照されたい。いくつかの場合において、主題のrAAVビリオンは、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列、及び欠陥のある対立遺伝子の機能的コピーをコードする異種ヌクレオチド配列を含み、この機能的コピーは、機能的網膜タンパク質をコードする。機能的網膜タンパク質は、例えば、レチノスキシン、RPE65、網膜色素変性GTPase調節因子(RGPR)結合タンパク質-1、ペリフェリン、ペリフェリン-2、RdCVF等を含む。
【0146】
使用に好適な部位特異的エンドヌクレアーゼには、例えば、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、メガヌクレアーゼ、及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)が含まれ、そのような部位特異的エンドヌクレアーゼは、天然に存在せず、特定の遺伝子を標的化するように修飾される。そのような部位特異的エンドヌクレアーゼを操作して、ゲノム内の特定の位置を切断することができ、その後、非相同末端結合は、いくつかのヌクレオチドを挿入または欠失しながらその破断を修復することができる。その後、そのような部位特異的エンドヌクレアーゼ(「INDEL」とも称される)は、タンパク質を骨組みから追放し、遺伝子を効果的にノックアウトする。例えば、米国特許公開第2011/0301073号を参照されたい。好適な部位特異的エンドヌクレアーゼには、操作されたメガヌクレアーゼ及び再操作されたホーミングエンドヌクレアーゼが含まれる。好適なエンドヌクレアーゼには、I-Tevlヌクレアーゼが含まれる。好適なメガヌクレアーゼには、I-Sce1(例えば、Bellaiche et al.(1999)Genetics 152:1037を参照されたい)、及びI-Cre1(例えば、Heath et al.(1997)Nature Structural Biology 4:468を参照されたい)が含まれる。
【0147】
CRISPR/Casエフェクターポリペプチド
いくつかの場合において、遺伝子産物は、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むRNAである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、ガイドRNA、例えば、シングルガイドRNAである。いくつかの場合において、遺伝子産物は、1)ガイドRNA、及び2)CRISPR/Casエフェクターポリペプチドである。ガイドRNAは、(a)CRISPR/Casエフェクターポリペプチドに結合するタンパク質結合領域、及び(b)標的核酸に結合する領域を含み得る。CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、時に本明細書で「ゲノム編集ヌクレアーゼ」と称される。
【0148】
好適なCRISPR/Casエフェクターポリペプチドの例は、CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ(例えば、クラス2 CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ、例えば、II型、V型、またはVI型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ)である。好適なCRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ(例えば、クラス2 CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ、例えば、II型、V型、またはVI型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ)である。いくつかの場合において、ゲノム標的化組成物には、クラス2 CRISPR/Casエフェクターポリペプチドが含まれる。いくつかの場合において、ゲノム標的化組成物には、クラス2 II型CRISPR/Casエフェクターポリペプチド(例えば、Cas9タンパク質)が含まれる。いくつかの場合において、ゲノム標的化組成物には、クラス2 V型CRISPR/Casエフェクターポリペプチド(例えば、Cpf1タンパク質、C2c1タンパク質、またはC2c3タンパク質)が含まれる。いくつかの場合において、ゲノム標的化組成物には、クラス2 VI型CRISPR/Casエフェクターポリペプチド(例えば、C2c2タンパク質、「Cas13a」タンパク質とも称される)が含まれる。CasXタンパク質も使用するのに好適である。CasYタンパク質も使用するのに好適である。
【0149】
いくつかの場合において、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、異種ポリペプチド(「融合パートナー」とも称される)に融合された融合タンパク質である。いくつかの場合において、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、細胞内局在化を提供するアミノ酸配列(融合パートナー)に融合され、すなわち、融合パートナーは、細胞内局在化配列(例えば、核への標的化のための1つ以上の核局在化シグナル(NLS)、2つ以上のNLS、3つ以上のNLS等)である。
【0150】
いくつかの場合において、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、II型CRISPR/Casエフェクターポリペプチドである。いくつかの場合において、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、Cas9ポリペプチドである。Cas9タンパク質は、Cas9ガイドRNAのタンパク質結合セグメントとのその関連により、標的核酸配列(例えば、染色体配列または染色体外配列、例えば、エピソーム配列、ミニサークル配列、ミトコンドリア配列、葉緑体配列等)内の標的部位にガイドされる(例えば、標的部位で安定化される)。いくつかの場合において、Cas9ポリペプチドは、図5Aに示される化膿レンサ球菌Cas9と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または99%超のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合において、本開示の組成物または方法において使用されるCas9ポリペプチドは、黄色ブドウ球菌Cas9(saCas9)ポリペプチドである。いくつかの場合において、saCas9ポリペプチドは、図5Bに示されるsaCas9アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0151】
いくつかの場合において、好適なCas9ポリペプチドは、ハイフィデリティ(HF)Cas9ポリペプチドである。Kleinstiver et al.(2016)Nature 529:490。例えば、図5Aに示されるアミノ酸配列のアミノ酸N497、R661、Q695、及びQ926は、例えば、アラニンで置換される。例えば、HF Cas9ポリペプチドは、図5Aに示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列であって、アミノ酸N497、R661、Q695、及びQ926が、例えば、アラニンで置換されている、アミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合において、好適なCas9ポリペプチドは、図5A~5Fのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの場合において、好適なCas9ポリペプチドは、図6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0152】
いくつかの場合において、好適なCas9ポリペプチドは、改変されたPAM特異性を示す。例えば、Kleinstiver et al.(2015)Nature 523:481を参照されたい。
【0153】
いくつかの場合において、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、V型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼである。いくつかの場合において、V型CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、Cpf1タンパク質である。いくつかの場合において、Cpf1タンパク質は、図7A~7Cのいずれか1つに示されるCpf1アミノ酸配列と少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも90%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0154】
いくつかの場合において、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、CasXまたはCasYポリペプチドである。CasX及びCasYポリペプチドは、Burstein et al.(2017)Nature 542:237に記載されている。
【0155】
酵素的に不活性なRNAガイドエンドヌクレアーゼ
減少した酵素活性を有するCRISPR/Casエフェクターポリペプチドも使用するのに好適である。そのようなCRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、「死(dead)」CRISPR/Casエフェクターポリペプチドと称され、例えば、エンドヌクレアーゼ活性を実質的に示さないが、ガイドRNAと複合体化した場合に標的核酸に依然として結合するように所定のアミノ酸置換を含むCas9ポリペプチドは、「死」Cas9または「dCas9」と称される。いくつかの場合において、「死」Cas9タンパク質は、二本鎖標的核酸の相補鎖及び非相補鎖の両方を切断する減少した能力を有する。例えば、「ヌクレアーゼ欠陥性」Cas9は、機能性RuvCドメインを欠き(すなわち、二本鎖標的DNAの非相補的鎖を切断しない)、機能性HNHドメインを欠く(すなわち、二本鎖標的DNAの相補的鎖を切断しない)。非限定的な例として、いくつかの場合において、ヌクレアーゼ欠陥性Cas9タンパク質は、ポリペプチドが標的核酸の相補鎖及び非相補鎖の両方を切断する減少した能力(例えば、切断しない)を有するように、配列番号15の残基D10及びH840(またはCas9のホモログの対応する残基)に対応するアミノ酸位置で変異(例えば、D10A及びH840A)を保有する。そのようなCas9タンパク質は、標的核酸(例えば、一本鎖または二本鎖標的核酸)を切断する減少した能力を有するが、標的核酸に結合する能力を保持する。標的核酸を切断することができない(例えば、例えば、RuvC及びHNHドメインの触媒ドメインにおける1つ以上の変異に起因する)Cas9タンパク質は、「ヌクレアーゼ欠陥性Cas9」、「死Cas9」または単に「dCas9」と称される。他の残基は、上記の効果を達成する(すなわち、1つのまたは他のヌクレアーゼ部分を不活性化する)ように変異させられ得る。非限定的な例として、化膿レンサ球菌Cas9の残基D10、G12、G17、E762、H840、N854、N863、H982、H983、A984、D986、及び/またはA987(またはCas9ホモログの対応するアミノ酸)が改変(すなわち、置換)され得る。いくつかの場合において、化膿レンサ球菌Cas9のD10、E762、H840、N854、N863、及びD986(またはホモログの対応するアミノ酸)のうちの2つ以上が置換される。いくつかの場合において、化膿レンサ球菌Cas9のD10及びN863(またはCas9ホモログの対応するアミノ酸)は、Alaで置換される。また、アラニン置換以外の変異は好適である。
【0156】
いくつかの場合において、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、Cas9相乗的活性化メディエーター(Cas9-SAM)として知られているRNAガイドエンドヌクレアーゼ(及びその対応するガイドRNA)である。Cas9-SAMシステムのRNAガイドエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)は、転写活性化ドメイン(好適な転写活性化ドメインには、例えば、VP64、p65、MyoD1、HSF1、RTA、及びSET7/9が含まれる)または転写リプレッサードメイン(好適な転写リプレッサードメインには、例えば、KRABドメイン、NuEドメイン、NcoRドメイン、SIDドメイン、及びSID4Xドメインが含まれる)に融合した「死」Cas9である。Cas9-SAMシステムのガイドRNAは、転写活性化因子ドメイン(例えば、VP64、p65、MyoD1、HSF1、RTA、またはSET7/9)または転写リプレッサードメイン(例えば、KRABドメイン、NuEドメイン、NcoRドメイン、SIDドメイン、またはSID4Xドメイン)に融合したアダプタータンパク質に結合するループを含む。例えば、いくつかの場合において、ガイドRNAは、sgRNAの1つまたは2つのループに挿入されたMS2 RNAアプタマーを含むシングルガイドRNAであり、dCas9は、VP64に融合したdCas9を含む融合ポリペプチドであり、アダプター/機能的タンパク質は、(i)MS2、(ii)p65、及び(iii)HSF1を含む融合ポリペプチドである。例えば、米国特許公開第2016/0355797号を参照されたい。
【0157】
(a)死CRISPR/Casエフェクターポリペプチド、及び(b)異種融合ポリペプチドを含むキメラポリペプチドも使用するのに好適である。好適な異種融合ポリペプチドの例には、例えば、メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、RNA切断活性、DNA切断活性、DNA組み込み活性、または核酸結合活性を有するポリペプチドが含まれる。
【0158】
ガイドRNA
クラス2 CRISPR/Casエフェクターポリペプチド(例えば、Cas9タンパク質、V型またはVI型CRISPR/Casタンパク質、Cpf1タンパク質等)に結合し、かつ複合体を標的核酸内の特定の位置に標的化する核酸は、本明細書で「ガイドRNA」または「CRISPR/Casガイド核酸」または「CRISPR/CasガイドRNA」と称される。ガイドRNAは、標的核酸の配列に相補的なヌクレオチド配列であるガイド配列(本明細書で標的化配列とも称される)を含む標的化セグメントを含めることによって複合体(RNP複合体)に標的特異性を提供する。
【0159】
いくつかの場合において、ガイドRNAには、2つの別個の核酸分子:「活性化因子」及び「標的化因子」が含まれ、本明細書で「二重ガイドRNA」、「二重分子ガイドRNA」、「2分子ガイドRNA」、または「dgRNA」と称される。いくつかの場合において、ガイドRNAは、1つの分子であり(例えば、いくつかのクラス2 CRISPR/Casエフェクターポリペプチドの場合、対応するガイドRNAは、単一分子であり、いくつかの場合において、活性化因子及び標的化因子は、互いに、例えば、介在ヌクレオチドを介して共有結合されている)、ガイドRNAは、「シングルガイドRNA」、「単一分子ガイドRNA」、「一分子ガイドRNA」、または単に「sgRNA」と称される。
【0160】
遺伝子産物がCRISPR/Casエフェクターポリペプチドであり、またはCRISPR/Casエフェクターポリペプチド及びガイドRNAの両方である場合、遺伝子産物は、標的核酸を修飾し得る。いくつかの場合において、例えば、標的核酸が、欠陥性対立遺伝子における有害な変異(例えば、網膜細胞標的核酸における有害な変異)を含む場合、CRISPR/Casエフェクターポリペプチド/ガイドRNA複合体は、有害な変異を修正するヌクレオチド配列を含むドナー核酸(例えば、欠損性対立遺伝子によってコードされるタンパク質の機能的コピーをコードするヌクレオチド配列を含むドナー核酸)と一緒に、例えば、相同指向性修復(HDR)を介して有害な変異を修正するために使用され得る。
【0161】
いくつかの場合において、遺伝子産物は、CRISPR/Casエフェクターポリペプチド及び2つの別個のsgRNAであり、2つの別個のsgRNAは、非相同末端結合(NHEJ)を介した標的核酸の欠失を提供する。
【0162】
いくつかの場合において、遺伝子産物は、(i)CRISPR/Casエフェクターポリペプチド、及び(ii)1つのガイドRNAである。いくつかの場合において、ガイドRNAは、単一分子(または「シングルガイド」)ガイドRNA(「sgRNA」)である。いくつかの場合において、ガイドRNAは、二重分子(または「二重ガイド」)ガイドRNA(「dgRNA」)である。
【0163】
いくつかの場合において、遺伝子産物は、(i)CRISPR/Casエフェクターポリペプチド、及び(ii)2つの別個のsgRNAであり、2つの別個のsgRNAは、非相同末端結合(NHEJ)を介した標的核酸の欠失を提供する。いくつかの場合において、ガイドRNAは、sgRNAである。いくつかの場合において、ガイドRNAは、dgRNAである。
【0164】
いくつかの場合において、遺伝子産物は、(i)Cpf1ポリペプチド、及び(ii)ガイドRNA前駆体であり、これらの場合において、前駆体は、Cpf1ポリペプチドによって切断されて2つ以上のガイドRNAが生成され得る。
【0165】
本開示は、個体における網膜細胞における標的核酸を修飾する方法であって、標的核酸は、有害な変異を含み、方法は、本開示のrAAVビリオンであって、rAAVビリオンは、(i)CRISPR/Casエフェクターポリペプチド(例えば、Cas9ポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列、(ii)標的核酸に相補的なヌクレオチド配列を含むsgRNAをコードするヌクレオチド配列、及び(iii)有害な変異を修正するヌクレオチド配列を含むドナーDNA鋳型をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、本開示のrAAVビリオンを個体に(例えば、眼内、硝子体内等の投与によって)投与することを含む、方法を提供する。rAAVビリオンの投与は、HDRによって標的核酸における有害な変異の修正をもたらす。
【0166】
本開示は、個体における網膜細胞における標的核酸を修飾する方法であって、標的核酸は、有害な変異を含み、方法は、本開示のrAAVビリオンであって、rAAVビリオンは、(i)CRISPR/Casエフェクターポリペプチド(例えば、Cas9ポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列、(ii)標的核酸における第1の配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第1のsgRNAをコードするヌクレオチド配列、及び(iii)標的核酸における第2の配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第2のsgRNAをコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、本開示のrAAVビリオンを個体に(例えば、眼内、硝子体内等の投与によって)投与することを含む、方法を提供する。rAAVビリオンの投与は、NHEJによって標的核酸における有害な変異の切除をもたらす。
【0167】
調節配列
いくつかの場合において、目的とする遺伝子産物(異種遺伝子産物(複数可))をコードするヌクレオチド配列は、転写制御因子に動作的に結合される。例えば、いくつかの場合において、目的とする遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、構成的プロモーターに動作的に結合される。他の場合において、目的とする遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに動作的に結合される。いくつかの例において、目的とする遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、組織特異的または細胞型特異的調節因子に動作的に結合される。例えば、いくつかの例において、目的とする遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、網膜細胞特異的プロモーターに動作的に結合される。例えば、いくつかの例において、目的とする遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、光受容体特異的調節因子(例えば、光受容体特異的プロモーター)、例えば、光受容体細胞における動作的に結合された遺伝子の選択的発現をもたらす調節因子に動作的に結合される。好適な光受容体特異的調節因子には、例えば、ロドプシンプロモーター、ロドプシンキナーゼプロモーター(Young et al.(2003)Ophthalmol.Vis.Sci.44:4076)、ベータホスホジエステラーゼ遺伝子プロモーター(Nicoud et al.(2007)J.Gene Med.9:1015)、網膜色素変性症遺伝子プロモーター(上掲のNicoud et al.(2007))、光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)遺伝子エンハンサー(上掲のNicoud et al.(2007))、IRBP遺伝子プロモーター(Yokoyama et al.(1992)Exp Eye Res.55:225)が含まれる。
【0168】
好適なプロモーターには、CAGプロモーター(Miyazaki et al.(1989)Gene 79:269)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、代謝型グルタミン酸受容体-6(grm6)プロモーター(Cronin et al.(2014)EMBO Mol.Med.6:1175)、プレイアデスプロモーター(Portales-Casamar et al.(2010)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 107:16589)、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)プロモーター(Misawa et al.(1992)J.Biol.Chem.267:20392)、小胞性グルタミン酸トランスポーター(V-glut)プロモーター(Zhang et al.(2011)Brain Res.1377:1)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)プロモーター(Rasmussen et al.(2007)Brain Res.1144:19、Ritter et al.(2016)J.Gene Med.18:27)、コレシストキニン(CCK)プロモーター(Ritter et al.(2016)J.Gene Med.18:27)、パルブアルブミン(PV)プロモーター、ソマトスタチン(SST)プロモーター、神経ペプチドY(NPY)プロモーター、及び血管作動性腸管ペプチド(VIP)プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。好適なプロモーターには、赤色錐体オプシンプロモーター、ロドプシンプロモーター、ロドプシンキナーゼプロモーター、及びGluRプロモーター(例えば、GluR6プロモーター、grm6とも称される)が含まれるが、これらに限定されない。好適なプロモーターには、卵黄状黄斑ジストロフィー2(VMD2)遺伝子プロモーター、及び光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)遺伝子プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。L7プロモーター(Oberdick et al.(1990)Science 248:223)、thy-1プロモーター、リカバリンプロモーター(Wiechmann and Howard(2003)Curr.Eye Res.26:25)、カルビンジンプロモーター、及びベータ-アクチンプロモーターも使用するのに好適である。好適なプロモーターには、合成(天然に存在しない)プロモーター/エンハンサーの組み合わせが含まれる。
【0169】
本開示に従って有用な他の好適なプロモーターには、例えば、ガンマ-シヌクレイン(SNCG)プロモーター(例えば、Chaffiol et al.(2017)Mol.Ther.25(11)2546)、CBhプロモーター(例えば、Grey et al.(2011)Hum.Gene Ther.22(9):1143-53)、ミニCAGプロモーター(例えば、Grey et al.(2011)Hum.Gene Ther.22(9):1143-53)、ニューロフィラメント重(NEFH)プロモーター(Millington-Ward et al.(2020)Sci.Rep.10:16515)、Gタンパク質結合受容体キナーゼ1(GRK1)プロモーター(例えば、Khani et al.(2007)Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.48(9):3954-61)、レチナールデヒド結合タンパク質1(RLBP1)プロモーター(例えば、Choi et al.(2015)Mol.Ther.Methods Clin.Dev.2:15022、Vogel et al.(2007)Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.48,3872-3877)、卵黄状筋ジストロフィー-2(VMD2)プロモーター(例えば、Conlon et al.(2013)Hum.Gene Ther.Clin.Dev.24,23-28)、シナプシンI(Syn1)プロモーター(例えば、Kugler et al.(2003))、enhSyn1プロモーター(例えば、Hioki et al.(2007)Gene Ther.14(11):872-82)、またはそれらの機能的断片もしくはバリアントが含まれる。
【0170】
薬学的組成物
本開示は、(a)上述した主題のrAAVビリオンと、(b)薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、または緩衝液とを含む薬学的組成物を提供する。いくつかの場合において、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、または緩衝液は、ヒトにおける使用に好適である。
【0171】
そのような賦形剤、担体、希釈剤、及び緩衝液は、過度の毒性を伴うことなく投与することができる任意の薬学的作用物質を含む。薬学的に許容される賦形剤には、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノール等の液体が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩には、例えば、鉱酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩等、及び有機酸の塩、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩等が含まれ得る。また、補助物質、例えば、浸潤または乳化剤、pH緩衝物質等がそのようなビヒクルに存在し得る。多様な薬学的に許容される賦形剤が当技術分野で知られており、本明細書において詳細に論述する必要はない。薬学的に許容される賦形剤は、例えば、A.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,”20th edition,Lippincott,Williams,& Wilkins、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Ansel et al.,eds.,7th ed.,Lippincott,Williams,& Wilkins、及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbe et al.,eds.,3rd ed.Amer.Pharmaceutical Assocを含む多様な刊行物において十分に記載されている。
【0172】
遺伝子産物を網膜細胞に送達する方法及び治療方法
本開示は、遺伝子産物を個体における網膜細胞に送達する方法であって、方法は、上述した主題のrAAVビリオンを個体に投与することを含む、方法を提供する。遺伝子産物は、上述されるように、ポリペプチドもしくは干渉RNA(例えば、shRNA、siRNA等)、アプタマー、または部位特異的エンドヌクレアーゼ(例えば、RNAガイドエンドヌクレアーゼ)であり得る。遺伝子産物を網膜細胞に送達することは、網膜疾患の治療を提供し得る。網膜細胞は、光受容体、網膜神経節細胞、ミュラー細胞、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞、または網膜色素上皮細胞であり得る。いくつかの場合において、網膜細胞は、光受容体細胞、例えば、桿体または錐体細胞である。
【0173】
本開示は、網膜細胞における標的核酸を修飾する方法であって、方法は、網膜細胞を(1)本開示のrAAVビリオンであって、rAAVビリオンは、ガイドRNAに結合するCRISPR/Casエフェクターポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、rAAVビリオン、及び(2)ガイドRNAと接触させることを含む、方法を提供する。本開示は、網膜細胞における標的核酸を修飾する方法であって、方法は、網膜細胞を本開示のrAAVビリオンと接触させることを含み、rAAVビリオンは、(i)ガイドRNAに結合するCRISPR/Casエフェクターポリペプチド、及び(ii)ガイドRNAをコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、方法を提供する。いくつかの場合において、方法は、網膜細胞をドナーDNA鋳型と接触させることを含む。いくつかの場合において、CRISPR/Casエフェクターポリペプチドは、Cas9ポリペプチドである。いくつかの場合において、ガイドRNAは、シングルガイドRNAである。
【0174】
本開示は、眼疾患(例えば、網膜疾患)を治療する方法であって、方法は、有効量の上述した主題のrAAVビリオンをそれを必要とする個体に投与することを含む、方法を提供する。主題のrAAVビリオンは、眼内注射を介して、例えば、硝子体内注射によって、網膜下注射によって、脈絡膜上注射によって、または任意の他の好都合な投与様式もしくは経路によって投与され得る。他の好都合な投与様式もしくは経路には、例えば、静脈内、鼻腔内等が含まれる。
【0175】
「治療的有効量」は、実験及び/または臨床試験を介して決定され得る比較的広い範囲に入る。例えば、インビボ注射、すなわち、眼への直接的注射の場合、治療的に有効な用量は、約10~約1015のrAAVビリオン、例えば、約10~1012のrAAVビリオンのようなものとなる。例えば、インビボ注射の場合、すなわち、眼内への直接的注射の場合、治療的に有効な用量は、約10のウイルスゲノム(vg)~約1015vgのrAAVビリオン、例えば、約10vg~1012vgのようなものとなる。インビトロ形質導入の場合、細胞に送達されるrAAVビリオンの有効量は、約10~約1013のrAAVビリオンのようなものとなる。例えば、インビトロ形質導入の場合、細胞に送達されるrAAVビリオンの有効量は、約10~約1013vgのrAAVビリオンのようなものとなる。別の例として、インビトロ形質導入の場合、細胞に送達されるrAAVビリオンの有効量は、約10vg/細胞~約10vg/細胞のようなものとなる。他の有効な投薬量は、用量反応曲線を確立する日常的な試行を介して当業者によって容易に確立され得る。
【0176】
いくつかの場合において、複数回の投与(例えば、2回、3回、4回またはそれを超える投与)が、所望のレベルの遺伝子発現を達成するために用いられ得る。いくつかの場合において、複数回の投与は、様々な間隔で、例えば、毎日、毎週、月2回、毎月、3ヶ月毎、6ヶ月毎、毎年等で投与される。いくつかの場合において、複数回の投与は、1ヶ月~2ヶ月、2ヶ月~4ヶ月、4ヶ月~8ヶ月、8ヶ月~12ヶ月、1年~2年、2年~5年、または5年超の期間にわたって投与される。
【0177】
主題の方法を用いて治療することのできる眼疾患には、急性黄斑視神経網膜症、ベーチェット病、脈絡膜血管新生、糖尿病性ブドウ膜炎、ヒストプラスマ症、黄斑変性症、例えば、急性黄斑変性症、加齢に関連した非滲出性黄斑変性症、及び加齢に関連した滲出性黄斑変性症、浮腫、例えば黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫、及び糖尿病性黄斑浮腫、多巣性脈絡膜炎、後眼部位または位置に影響を及ぼす眼外傷、眼腫瘍、網膜障害、例えば、網膜中心静脈閉塞症、糖尿病性網膜症(増殖性糖尿病網膜症を含む)、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜動脈閉塞性疾患、網膜剥離、ブドウ膜炎網膜疾患、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田(VKH)症候群、ブドウ膜拡散、眼レーザー治療によって引き起こされるか、または影響を受ける後眼疾患、光線力学療法によって引き起こされるか、または影響を受ける後眼疾患、光凝固、放射線網膜症、網膜上膜障害、網膜静脈分枝閉塞症、前部虚血性視神経症、非網膜症糖尿病性網膜機能不全、網膜分離症、網膜色素変性症、緑内障、アッシャー症候群、錐体桿体ジストロフィー、シュタルガルト病(黄色斑眼底)、遺伝性黄斑変性症、脈絡網膜変性、レーバー先天性黒内障、先天性固定夜盲症、先天性脈絡膜欠如、バルデー・ビードル症候群、黄斑毛細血管拡張症、レーベル遺伝性視神経症、未熟児網膜症、色覚異常、赤色覚異常、緑色覚異常、及び青色覚異常を含む色覚障害、ならびにビエッティ結晶ジストロフィーが含まれるが、これらに限定されない。
【0178】
本開示は、網膜疾患を治療する方法を提供する。方法は通常、本開示のrAAVビリオン、または本開示のrAAVビリオンを含む組成物を、それを必要とする個体の眼に投与することを伴う。網膜疾患の治療を評価するための非限定的な方法には、機能的変化、例えば、視力(例えば、BCVA)、視野(例えば、視野計測)、光及び闇に対する電気生理学的反応性(例えば、ERG、VEP)、色覚、及び/またはコントラスト感度の変化を測定すること、解剖学的及び/または写真測定、例えば、OCT、眼底撮影、及び/または自己蛍光を使用して生体構造または健康の変化を測定すること、及び眼運動性(例えば、眼振、固定選好、及び安定性)を測定することが含まれる。
【0179】
例えば、当業者は、1つ以上のパラメータ、例えば、視力、視野、光及び闇に対する電気生理学的反応性、色覚、コントラスト感度、生体構造、網膜健康及び血管系、眼運動性、固定選好、及び安定性に対する効果についての試験によってrAAVビリオンの有効量を容易に決定し得る。いくつかの場合において、有効量の本開示のrAAVビリオンを投与することは、網膜機能、解剖学的全体性、または網膜健康の喪失速度の低下、例えば、喪失及びそれによる疾患の進行の速度の2倍、3倍、4倍、もしくは5倍またはそれ以上の低下、例えば、喪失及びそれによる疾患の進行の速度の10倍の低下をもたらす。いくつかの場合において、有効量の本開示のrAAVビリオンを投与することは、網膜機能の獲得、網膜生体構造または健康の改善、及び/または眼運動性における安定化、例えば、網膜機能、網膜生体構造または健康、及び/または眼窩の安定性における2倍、3倍、4倍もしくは5倍の改善またはそれ以上、例えば、網膜機能、網膜生体構造または健康、及び/または眼窩の安定性における10倍の改善またはそれ以上をもたらす。
【0180】
核酸及び宿主細胞
本開示は、上述した主題のバリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸であって、バリアントAAVキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約7アミノ酸~約20アミノ酸の挿入を含み、またはバリアントAAVキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約7アミノ酸~約20アミノ酸の、約7アミノ酸~約20アミノ酸の異種ペプチドでの置き換えを含み、バリアントキャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して増加した網膜細胞の感染性を提供する、核酸を提供する。主題の単離された核酸は、AAVベクター、例えば、組換えAAVベクターであり得る。
【0181】
挿入ペプチド
主題の核酸によってコードされるバリアントAAVキャプシドタンパク質は、AAVキャプシドのGHループに挿入された約7アミノ酸長~約10アミノ酸長、または約10アミノ酸長~約20アミノ酸長の挿入ペプチドを有する。挿入ペプチドは、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸の長さを有する。好適な挿入ペプチドは、上述したとおりである。好適な挿入ペプチドには、上述した式I~VIIIのいずれか1つのペプチドが含まれる。好適な挿入ペプチドには、上の表に示されるペプチドが含まれる。親AAVキャプシドへの挿入ペプチドの挿入により、いくつかの場合において、GHループまたはループIVにおいて内因性の一続きの約7アミノ酸~約20アミノ酸または約10アミノ酸~約20アミノ酸が置き換えられる。したがって、いくつかの場合において、主題の核酸によってコードされるバリアントAAVキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約7アミノ酸~約10アミノ酸の約7アミノ酸~約10アミノ酸の異種ペプチドでの置き換えを含み、好適な異種ペプチドには、上述したペプチドが含まれる。他の場合において、主題の核酸によってコードされるバリアントAAVキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対するGHループまたはループIVにおける約10アミノ酸~約20アミノ酸の約10アミノ酸~約20アミノ酸の異種ペプチドでの置き換えを含み、好適な異種ペプチドには、上述したように、式I~VIIIのいずれか1つのペプチド、または上記の表1または表2に示されるペプチドが含まれる。
【0182】
主題の組換えAAVベクターは、上述したように、主題の組換えAAVビリオンを生成するために使用され得る。したがって、本開示は、好適な細胞に導入された場合に、主題の組換えAAVビリオンの生成を提供し得る組換えAAVベクターを提供する。
【0183】
本発明は、主題の核酸を含む宿主細胞、例えば、単離された(遺伝子修飾された)宿主細胞をさらに提供する。主題の宿主細胞は、単離細胞、例えば、インビトロ培養中の細胞であり得る。主題の宿主細胞は、後述されるように、主題のrAAVビリオンを生成するのに有用である。主題の宿主細胞が主題のrAAVビリオンを生成するために使用される場合、それは、「パッケージング細胞」と称される。いくつかの場合において、主題の宿主細胞は、主題の核酸で安定的に遺伝子修飾される。他の場合において、主題の宿主細胞は、主題の核酸で一時的に遺伝子修飾される。
【0184】
主題の核酸は、電気穿孔法、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム媒介トランスフェクション等を含むが、これらに限定されない確立された技法を用いて、安定的または一時的に宿主細胞に導入される。安定的な変換の場合、主題の核酸は、概して、選択可能なマーカー、例えば、ネオマイシン耐性等のいくつかの周知の選択可能なマーカーのうちのいずれかをさらに含む。
【0185】
主題の宿主細胞は、主題の核酸を様々な細胞、例えば、マウス細胞及び霊長類細胞(例えば、ヒト細胞)を含む、例えば、哺乳動物細胞のうちのいずれかに導入することによって生成される。好適な哺乳動物細胞には、初代細胞及び細胞株が含まれるが、これらに限定されず、好適な細胞株には、293細胞、293T細胞、COS細胞、HeLa細胞、Vero細胞、3T3マウス線維芽細胞、C3H10T1/2線維芽細胞、CHO細胞等が含まれるが、これらに限定されない。好適な宿主細胞の非限定的な例には、例えば、HeLa細胞(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)番号CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero細胞、NIH3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞等が含まれる。主題の宿主細胞を、AAVを産生するSf9細胞等の昆虫細胞を感染させるバキュロウイルスを用いて作成することができる(例えば、米国特許第7,271,002号、米国特許出願第12/297,958号を参照されたい)。
【0186】
いくつかの場合において、主題の遺伝子修飾された宿主細胞は、上述のバリアントAAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸に加えて、1つ以上のAAV repタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む。他の場合において、主題の宿主細胞は、rAAVベクターをさらに含む。rAAVビリオンを主題の宿主細胞を用いて生成することができる。rAAVビリオンを生成する方法は、米国特許公開第2005/0053922号及び米国特許公開第2009/0202490号に記載されている。
【0187】
本開示の非限定的な態様の例
態様セットA
上に記載される本主題の実施形態を含む態様は、単独で、または1つ以上の他の態様または実施形態との組み合わせで有益であり得る。上記の説明を制限することなく、本開示のある特定の非限定的な態様が以下に提供される。本開示を読むと当業者には明らかであるように、個々の番号が付けられた態様のそれぞれは、先行または後続の個々の番号が付けられた態様のうちのいずれかとともに使用され得るか、または組み合わされ得る。これは、態様のすべてのそのような組み合わせに対する支持を提供することが意図され、以下に明示的に提供される態様の組み合わせに制限されない。
【0188】
態様1.組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンであって、
(a)バリアントAAVキャプシドタンパク質であって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号1~30のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸~20アミノ酸の長さを有し、前記バリアントキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含みかつ前記異種ペプチドを含まない対照AAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して増加した前記網膜細胞の感染性を付与する、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質、及び
(b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸
を含む、前記組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオン。
【0189】
態様2.前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有する、態様1に記載のrAAVビリオン。
【0190】
態様3.前記異種ペプチドは、16アミノ酸の長さを有する、態様1に記載のrAAVビリオン。
【0191】
態様4.前記異種ペプチドは、20アミノ酸の長さを有する、態様1に記載のrAAVビリオン。
【0192】
態様5.前記異種ペプチドは、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、16アミノ酸の長さを有する、態様1に記載のrAAVビリオン。
【0193】
態様6.前記異種ペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有する、態様1に記載のrAAVビリオン。
【0194】
態様7.前記異種ペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有する、態様1に記載のrAAVビリオン。
【0195】
態様8.前記異種ペプチドは、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有する、態様1に記載のrAAVビリオン。
【0196】
態様9.前記rAAVビリオンは、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む対照AAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して少なくとも5倍増加した前記網膜細胞の感染性を示す、態様1~8のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0197】
態様10.前記rAAVビリオンは、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して少なくとも10倍増加した前記網膜細胞の感染性を示す、態様1~8のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0198】
態様11.前記異種ペプチドの前記挿入により、親AAVキャプシドタンパク質の連続した一続きの5アミノ酸~20アミノ酸が置き換えられる、態様1~8のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0199】
態様12.前記挿入部位は、AAV2のVP1のアミノ酸570及び611に対応するアミノ酸内、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置にある、態様1~11のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0200】
態様13.前記挿入部位は、AAV2のVP1のアミノ酸587及び588に対応するアミノ酸の間、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置にある、態様12に記載のrAAVビリオン。
【0201】
態様14.前記挿入部位は、AAV2のVP1のアミノ酸585及び598に対応するアミノ酸内、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置にある、態様1~11のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0202】
態様15.前記増加した感染性は、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む対照AAVビリオンによる前記網膜細胞に対する特異性または選択性と比較して増加した前記網膜細胞に対する特異性または選択性を含む、態様1~14のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0203】
態様16.前記バリアントキャプシドタンパク質は、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む対照AAVビリオンによって誘導される免疫原性のレベルと比較して低下した網膜細胞における免疫原性のレベルを誘導する、態様1~14のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0204】
態様17.前記1つ以上の異種遺伝子産物は、干渉RNAまたはアプタマーである、態様1~16のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0205】
態様18.前記1つ以上の異種遺伝子産物は、ポリペプチドである、態様1~16のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0206】
態様19.前記ポリペプチドは、神経保護ポリペプチド、抗血管新生ポリペプチド、または網膜細胞の機能を高めるポリペプチドである、態様18に記載のrAAVビリオン。
【0207】
態様20.前記ポリペプチドは、光反応性ポリペプチド、オプシン、短波長オプシン(SW-オプシン)、中波長オプシン(MW-オプシン)、長波長オプシン(LW-オプシン)、ロドプシン、錐体オプシン、ヒトオプシン、非ヒトオプシン、ヒト化オプシン、またはそれらの任意の組み合わせである、態様18に記載のrAAVビリオン。
【0208】
態様21.前記ポリペプチドは、CRISPR/Casエフェクターポリペプチド、デアミナーゼ、逆転写酵素、またはその任意の組み合わせもしくは融合体である、態様18に記載のrAAVビリオン。
【0209】
態様22.前記1つ以上の異種遺伝子産物は、CRISPR/Casエフェクターポリペプチド及びガイドRNAを含む、態様1~16のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0210】
態様23.前記網膜細胞は、光受容体細胞である、態様1~22のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0211】
態様24.前記光受容体細胞は、錐体細胞である、態様23に記載のrAAVビリオン。
【0212】
態様25.前記光受容体細胞は、桿体細胞である、態様23に記載のrAAVビリオン。
【0213】
態様26.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、プロモーターに動作的に結合されている、態様1~25のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0214】
態様27.前記プロモーターは、網膜細胞特異的プロモーターである、態様26に記載のrAAVビリオン。
【0215】
態様28.前記網膜細胞は、光受容体細胞ではない、態様1~22のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0216】
態様29.前記網膜細胞は、オン型双極細胞またはオフ型双極細胞である、態様1~22のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0217】
態様30.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、オン型双極細胞特異的プロモーターまたはオフ型双極細胞特異的プロモーターに動作的に結合されている、態様29に記載のrAAVビリオン。
【0218】
態様31.前記網膜細胞は、網膜神経節細胞(RGC)である、態様1~22のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0219】
態様32.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、RGC特異的プロモーターに動作的に結合されている、態様33に記載のrAAVビリオン。
【0220】
態様33.前記網膜細胞は、アマクリン細胞である、態様1~22のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0221】
態様34.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、アマクリン細胞特異的プロモーターに動作的に結合されている、態様33に記載のrAAVビリオン。
【0222】
態様35.前記網膜細胞は、水平細胞である、態様1~22のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0223】
態様36.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、水平細胞特異的プロモーターに動作的に結合されている、態様35に記載のrAAVビリオン。
【0224】
態様37.態様1~36のいずれか1つに記載のrAAVビリオンを含む組成物。
【0225】
態様38.
(a)態様1~36のいずれか1つに記載のrAAVビリオン、及び
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含む、薬学的組成物。
【0226】
態様39.遺伝子産物を網膜細胞に送達する方法であって、態様1~36のいずれか1つに記載のrAAVビリオンを前記網膜細胞と接触させることを含む、前記方法。
【0227】
態様40.遺伝子産物を網膜細胞に送達する方法であって、態様37または38に記載の組成物を前記網膜細胞と接触させることを含む、前記方法。
【0228】
態様41.前記網膜細胞は、インビトロまたはエクスビボである、態様39または40に記載の方法。
【0229】
態様42.前記網膜細胞は、インビボである、態様39または40に記載の方法。
【0230】
態様43.対象における網膜病態または障害を治療する方法であって、態様1~36のいずれか1つに記載のrAAVビリオンの治療的有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【0231】
態様44.対象における網膜病態または障害を治療する方法であって、態様37または38に記載の組成物の治療的有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【0232】
態様45.前記投与することは、眼内注射または眼内注入を含む、態様43または44に記載の方法。
【0233】
態様46.前記眼内注射は、硝子体内注射、網膜下注射、または脈絡膜上注射を含む、態様45に記載の方法。
【0234】
態様47.前記眼内注入は、硝子体内注入、網膜下注入、または脈絡膜上注入である、態様45に記載の方法。
【0235】
態様48.前記網膜病態または障害は、緑内障、網膜変性症、光受容体機能または活性の喪失、光受容体細胞の喪失、網膜色素変性症、黄斑変性症、網膜分離症、レーバー先天性黒内障、糖尿病性網膜症、色覚異常、または色覚喪失である、態様43~47のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
態様49.バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチドであって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号1~30のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸~20アミノ酸の長さを有する、前記バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチド。
【0237】
態様50.態様49に記載のバリアントAAVキャプシドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【0238】
態様セットB
上に記載される本主題の実施形態を含む態様は、単独で、または1つ以上の他の態様または実施形態との組み合わせで有益であり得る。上記の説明を制限することなく、本開示のある特定の非限定的な態様が以下に提供される。本開示を読むと当業者には明らかであるように、個々の番号が付けられた態様のそれぞれは、先行または後続の個々の番号が付けられた態様のうちのいずれかとともに使用され得るか、または組み合わされ得る。これは、態様のすべてのそのような組み合わせに対する支持を提供することが意図され、以下に明示的に提供される態様の組み合わせに制限されない。
【0239】
態様1.組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンであって、(a)バリアントAAVキャプシドタンパク質であって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号1及び4~30のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸~20アミノ酸の長さを有し、前記バリアントキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含みかつ前記異種ペプチドを含まない対照AAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して増加した前記網膜細胞の感染性を付与する、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質、及び(b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、前記組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオン。
【0240】
態様2.組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンであって、(a)バリアントAAVキャプシドタンパク質であって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号2及び3のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸~20アミノ酸の長さを有し、前記バリアントキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含みかつ前記異種ペプチドを含まない対照AAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して増加した前記網膜細胞の感染性を付与する、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質、及び(b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、前記組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオン。
【0241】
態様3.前記異種ペプチドは、7アミノ酸の長さを有する、態様1または2に記載のrAAVビリオン。
【0242】
態様4.前記異種ペプチドは、10アミノ酸、16アミノ酸、または20アミノ酸の長さを有する、態様1または2に記載のrAAVビリオン。
【0243】
態様5.前記異種ペプチドは、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、16アミノ酸の長さを有する、態様1に記載のrAAVビリオン。
【0244】
態様6.前記異種ペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有する、態様1に記載のrAAVビリオン。
【0245】
態様7.前記異種ペプチドは、(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有し、または(b)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸の長さを有する、態様2に記載のrAAVビリオン。
【0246】
態様8.前記異種ペプチドは、配列番号32に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸の長さを有する、態様2に記載のrAAVビリオン。
【0247】
態様9.前記異種ペプチドは、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸の長さを有する、態様2に記載のrAAVビリオン。
【0248】
態様10.前記rAAVビリオンは、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む対照AAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して少なくとも5倍増加した前記網膜細胞の感染性を示す、態様1~9のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0249】
態様11.前記rAAVビリオンは、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して少なくとも10倍増加した前記網膜細胞の感染性を示す、態様1~9のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0250】
態様12.前記異種ペプチドの前記挿入により、親AAVキャプシドタンパク質の連続した一続きの5アミノ酸~20アミノ酸が置き換えられる、態様1~9のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0251】
態様13.前記挿入部位は、AAV2のVP1のアミノ酸570及び611に対応するアミノ酸内、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置にある、態様1~12のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0252】
態様14.前記挿入部位は、AAV2のVP1のアミノ酸587及び588に対応するアミノ酸の間、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置にある、態様13に記載のrAAVビリオン。
【0253】
態様15.前記挿入部位は、AAV2のVP1のアミノ酸585及び598に対応するアミノ酸内、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置にある、態様1~12のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0254】
態様16.前記増加した感染性は、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む対照AAVビリオンによる前記網膜細胞に対する特異性または選択性と比較して増加した前記網膜細胞に対する特異性または選択性を含む、態様1~15のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0255】
態様17.前記バリアントキャプシドタンパク質は、前記対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む対照AAVビリオンによって誘導される免疫原性のレベルと比較して低下した網膜細胞における免疫原性のレベルを誘導する、態様1~15のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0256】
態様18.前記1つ以上の異種遺伝子産物は、干渉RNAまたはアプタマーである、態様1~17のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0257】
態様19.前記1つ以上の異種遺伝子産物は、ポリペプチドである、態様1~17のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0258】
態様20.前記ポリペプチドは、神経保護ポリペプチド、抗血管新生ポリペプチド、または網膜細胞の機能を高めるポリペプチドである、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0259】
態様21.前記ポリペプチドは、光反応性ポリペプチド、オプシン、短波長オプシン(SW-オプシン)、中波長オプシン(MW-オプシン)、長波長オプシン(LW-オプシン)、ロドプシン、錐体オプシン、ヒトオプシン、非ヒトオプシン、ヒト化オプシン、またはそれらの任意の組み合わせである、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0260】
態様22.前記ポリペプチドは、CRISPR/Casエフェクターポリペプチド、デアミナーゼ、逆転写酵素、またはその任意の組み合わせもしくは融合体である、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0261】
態様23.前記1つ以上の異種遺伝子産物は、CRISPR/Casエフェクターポリペプチド及びガイドRNAを含む、態様1~17のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0262】
態様24.前記網膜細胞は、光受容体細胞である、態様1~23のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0263】
態様25.前記光受容体細胞は、錐体細胞である、態様24に記載のrAAVビリオン。
【0264】
態様26.前記光受容体細胞は、桿体細胞である、態様24に記載のrAAVビリオン。
【0265】
態様27.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、プロモーターに動作的に結合されている、態様1~26のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0266】
態様28.前記プロモーターは、網膜細胞特異的プロモーターである、態様27に記載のrAAVビリオン。
【0267】
態様29.前記網膜細胞は、光受容体細胞ではない、態様1~23のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0268】
態様30.前記網膜細胞は、オン型双極細胞またはオフ型双極細胞である、態様1~23のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0269】
態様31.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、オン型双極細胞特異的プロモーターまたはオフ型双極細胞特異的プロモーターに動作的に結合されている、態様30に記載のrAAVビリオン。
【0270】
態様32.前記網膜細胞は、網膜神経節細胞(RGC)である、態様1~23のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0271】
態様33.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、RGC特異的プロモーターに動作的に結合されている、態様32に記載のrAAVビリオン。
【0272】
態様34.前記網膜細胞は、アマクリン細胞である、態様1~23のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0273】
態様35.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、アマクリン細胞特異的プロモーターに動作的に結合されている、態様34に記載のrAAVビリオン。
【0274】
態様36.前記網膜細胞は、水平細胞である、態様1~23のいずれか1つに記載のrAAVビリオン。
【0275】
態様37.前記1つ以上のヌクレオチド配列は、水平細胞特異的プロモーターに動作的に結合されている、態様36に記載のrAAVビリオン。
【0276】
態様38.態様1~37のいずれか1つに記載のrAAVビリオンを含む組成物。
【0277】
態様39.
(a)態様1~37のいずれか1つに記載のrAAVビリオン、及び
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含む、薬学的組成物。
【0278】
態様40.遺伝子産物を網膜細胞に送達する方法であって、態様1~37のいずれか1つに記載のrAAVビリオンを前記網膜細胞と接触させることを含む、前記方法。
【0279】
態様41.遺伝子産物を網膜細胞に送達する方法であって、態様38または39に記載の組成物を前記網膜細胞と接触させることを含む、前記方法。
【0280】
態様42.前記網膜細胞は、インビトロまたはエクスビボである、態様40または41に記載の方法。
【0281】
態様43.前記網膜細胞は、インビボである、態様40または41に記載の方法。
【0282】
態様44.対象における網膜病態または障害を治療する方法であって、態様1~37のいずれか1つに記載のrAAVビリオンの治療的有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【0283】
態様45.対象における網膜病態または障害を治療する方法であって、態様38または39に記載の組成物の治療的有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【0284】
態様46.前記投与することは、眼内注射または眼内注入を含む、態様44または45に記載の方法。
【0285】
態様47.前記眼内注射は、硝子体内注射、網膜下注射、または脈絡膜上注射を含む、態様46に記載の方法。
【0286】
態様48.前記眼内注入は、硝子体内注入、網膜下注入、または脈絡膜上注入である、態様46に記載の方法。
【0287】
態様49.前記網膜病態または障害は、緑内障、網膜変性症、光受容体機能または活性の喪失、光受容体細胞の喪失、網膜色素変性症、黄斑変性症、網膜分離症、レーバー先天性黒内障、糖尿病性網膜症、色覚異常、または色覚喪失である、態様44~48のいずれか1つに記載の方法。
【0288】
態様50.バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチドであって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号1及び4~30のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸~20アミノ酸の長さを有する、前記バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチド。
【0289】
態様51.バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチドであって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号2及び3のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、10アミノ酸~20アミノ酸の長さを有する、前記バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチド。
【0290】
態様52.態様50または51に記載のバリアントAAVキャプシドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【0291】
態様53.バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチドであって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号31及び34~45のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸~10アミノ酸の長さを有する、前記バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチド。
【0292】
態様54.バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチドであって、前記バリアントAAVキャプシドタンパク質は、配列番号32及び33のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む異種ペプチドの挿入を含み、前記異種ペプチドは、7アミノ酸~10アミノ酸の長さを有する、前記バリアントアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドポリペプチド。
【0293】
態様55.態様51または52に記載のバリアントAAVキャプシドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【0294】
態様56.前記ポリペプチドは、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)である、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0295】
態様57.前記ポリペプチドは、mGluR1、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、mGluR6、mGluR7、及びmGluR8、またはその機能的断片もしくはバリアントからなる群から選択される代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)である、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0296】
態様58.前記ポリペプチドは、mGluR2、またはその機能的断片もしくはバリアントである、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0297】
態様59.前記ポリペプチドは、融合ポリペプチドを含む、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0298】
態様60.前記ポリペプチドは、親和性タグを含む融合ポリペプチドを含む、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0299】
態様61.前記ポリペプチドは、親和性タグを含む融合ポリペプチドを含み、前記親和性タグは、SNAP配列、CLIP配列、またはHALO配列を含む、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0300】
態様62.前記ポリペプチドは、親和性タグ配列及びmGluR配列を含む融合ポリペプチドを含み、前記親和性タグ配列は、SNAP配列を含み、前記mGluR配列は、mGluR2配列を含む、態様19に記載のrAAVビリオン。
【0301】
態様63.前記プロモーターは、SNCGプロモーター、CAGプロモーター、ミニCAGプロモーター、CBhプロモーター、NEFHプロモーター、GRK1プロモーター、RLBP1プロモーター、VMD2プロモーター、Syn1プロモーター、及びSyn1(enhSyn1)プロモーターからなる群から選択される、態様27に記載のrAAVビリオン。
【実施例
【0302】
以下の実施例は、当業者に本発明をどのように作製及び使用するかの完全なる開示及び説明を提供するように提示され、本発明者が自身の発明とみなすものの範囲を限定するようには意図されておらず、以下の実験がすべてまたは唯一の実行される実験であると表すようにも意図されていない。使用される数値(例えば、量、温度等)に対する正確さを確保する努力がなされているが、いくつかの実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別途示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏温度であり、圧力は、大気圧であるか、またはそれに近い。例えば、bpは塩基対(複数可)、kbはキロベース(複数可)、plはピコリットル(複数可)、sまたはsecは秒(複数可)、minは分(複数可)、hまたはhrは時間(複数可)、aaはアミノ酸(複数可)、kbはキロベース(複数可)、bpは塩基対(複数可)、ntはヌクレオチド(複数可)、i.m.は筋肉内の(に)、i.p.は腹腔内の(に)、s.cは皮下の(に)等の標準的な略語を使用してもよい。
【0303】
実施例1:バリアントキャプシドを有するrAAVビリオンの特性化
AAV2キャプシドにおけるAAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸587及び588の間に挿入されたLALGETTRAA(配列番号2、「バリアント3」)またはLAHQDTTRPA(配列番号3、「バリアント6」)を有するキャプシドを含有する組換えAAVビリオンを分析した。ビリオンを生成するために使用されたrAAVは、ChrimsonRのC末端に融合した緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするヌクレオチド配列を含んでいた。
【0304】
3~10歳のカニクイザルを使用した。30gの針を使用して両側硝子体内注射を1回実施して、50μLの体積で眼当たり5.0E+11のウイルスゲノムを送達した。Heidelberg Spectralis HRA/OCTシステムの自己蛍光機能を使用して共焦点スキャニングレーザー検眼鏡検査(cSLO)画像化によってGFP発現の開始及び進行を週1回モニターした。硝子体内注射から6~8週後、その霊長類を安楽死させ、両方の眼(眼球全体)を慎重に採取した。摘出後、余剰の眼窩組織を慎重にトリミングし、除去した。縁から約2mmに小さな(5mm)スリットを入れ、眼全体を4%パラホルムアルデヒド(PFA)を含有するバイアルに入れ、4℃で一晩インキュベートした。一晩の固定後、PFAをデカントし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で置き換えた。眼全体を切断して前部構造(角膜、水晶体、及び毛様体)を除去し、次いで組織がほぼ平らに横たわるように後眼部に4つの切り込みを入れた。蛍光切断顕微鏡を使用して、網膜全体におけるGFP発現を、フィルタリングされたUV励起で直接蛍光によって可視化した。次いで網膜組織を中央及び周囲の片に切断し、下の組織から分離し、PBSで追加的にすすぎ、アガロースに埋め込み、切片化し、顕微鏡スライドに載せ、レーザースキャニング共焦点顕微鏡法によって試験した。切片化後、4′,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)を使用して細胞核を標識した。GFP発現は、直接蛍光によって検出される。画像は、異なる細胞層における形質導入を評価するために異なる倍率で取得される。
【0305】
データは、図9A~9Jにおいて示されている。
【0306】
図9B(バリアント3)は、内側網膜の細胞においてGFPを発現する網膜を示している。神経節細胞層及び内顆粒層における解剖学的局在化に基づいて、rAAV粒子は、神経節、アマクリン、及びミュラー細胞に感染し、GFPを発現するようである。
【0307】
図9D(バリアント6)は、内側網膜の細胞においてGFPを発現する網膜を示している。神経節細胞層及び内顆粒層における解剖学的局在化に基づいて、rAAV粒子は、神経節、アマクリン、及びミュラー細胞に感染し、GFPを発現するようである。
【0308】
実施例2:AAVビリオンの向上した網膜感染性に関連するキャプシドバリアント
プールされたAAVライブラリの硝子体内投与、網膜細胞層からのウイルスゲノムDNAの回収及び各ラウンド後の回収されたcapバリアントDNAの次世代シーケンシングを含む複数ラウンドのインビボ選択を非ヒト霊長類において行った。初期プラスミドライブラリ、初期AAVパッケージングライブラリ及び各ラウンドの選択後に回収されたcapバリアントDNAについてディープシーケンシングを実施した。キャプシドバリアントをアミノ酸レベルについて分析した(すなわち、同一のアミノ酸配列をコードする様々なDNA配列を有するバリアントを分析のために一緒にプールした)。次いで各アミノ酸配列についてのリードの数を選択のラウンドを通して計数した。
【0309】
(1)初期プラスミドライブラリに対する最終ラウンドの選択における濃縮に基づくキャプシドバリアントの格付け、(2)初期プラスミドライブラリに対するパッケージングされたAAVの比を測定することによるパッケージング効率の決定(選択基準:パッケージング因子>2)、(3)最終ラウンドの選択における中央及び周囲の網膜の間のリードの分布の決定(選択基準:このラウンドについての総リードの少なくとも10%が中央網膜からのものである)を含んでいた複数ステップの分析を使用して各ライブラリについての例示的なバリアントを特定した。同様のスコアを有するバリアントについて、アミノ酸配列において多様性を有するバリアントを選択した。
【0310】
以下の表3に示される以下のライブラリからの以下のキャプシドをさらなる評価のために選択した。
【0311】
【表3】
【0312】
A.AAV2親血清型と比較したキャプシドバリアントのパッケージング効率
組換えAAVビリオン(rAAV)を生成するために使用されたウイルスゲノムは、微生物藻類オプシンChrimsonRのC末端に融合した緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするヌクレオチド配列を含んでいた。rAAVを接着HEK293T細胞における三重プラスミドトランスフェクションによって生成し、イオジキサノール勾配超遠心分離によって精製し、続いて濃縮及び緩衝液交換をした。精製されたrAAVを、200mM NaCl及び0.001% Pluronic F-68で補充されたDPBS中にミリリットル当たり1-2E.0+13ウイルスゲノム(vg/mL)で配合した。表4に示されるように、すべてのキャプシドバリアントは、AAV2親キャプシドよりも効率的にパッケージングされ得る。
【0313】
【表4】
【0314】
B.キャプシドバリアントはインビボでAAVビリオンの網膜感染性を向上させる
3~10歳のカニクイザル及びアフリカミドリサルを使用してインビボでキャプシドを評価した。30gの針を使用して両側硝子体内注射を実施して、50μLの体積で眼当たり5.0E+11のウイルスゲノムを送達した。Heidelberg Spectralis HRA/OCTシステムの自己蛍光機能を使用して共焦点スキャニングレーザー検眼鏡検査(cSLO)画像化によってGFP発現の開始及び進行を週1回モニターした。
【0315】
硝子体内注射から6~8週後、その霊長類を安楽死させ、両方の眼(眼球全体)を慎重に採取した。摘出後、余剰の眼窩組織を慎重にトリミングし、除去した。縁から約2mmに小さな(5mm)スリットを入れ、眼全体を4%パラホルムアルデヒド(PFA)を含有するバイアルに入れ、4℃で一晩インキュベートした。一晩の固定後、PFAをデカントし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で置き換えた。眼全体を切断して前部構造(角膜、水晶体、及び毛様体)を除去し、次いで組織がほぼ平らに横たわるように後眼部に4つの切り込みを入れた。蛍光切断顕微鏡を使用して、網膜全体におけるGFP発現を、フィルタリングされたUV励起で直接蛍光によって可視化した。次いで網膜組織を中央及び周囲の片に切断し、下の組織から分離し、PBSで追加的にすすぎ、アガロースに埋め込み、切片化し、顕微鏡スライドに載せ、レーザースキャニング共焦点顕微鏡法によって試験した。切片化後、4′,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)を使用して細胞核を標識した。GFP発現を直接蛍光によって検出した。異なる細胞層における形質導入を評価するために異なる倍率で画像を取得した。
【0316】
これらの実験の結果が図10~17に示されている。
【0317】
図10A~10Cは、配列番号16(バリアント1)についてインビボで観察された結果を示している。図10A~10Bは、5.0E+11vgのrAAVの硝子体内注射から2週(A)及び8週(B)後にHeidelberg Spectralis HRA/OCTから取得したcSLO画像を提供する。図10Cは、直接蛍光画像化による中央及び周囲の網膜表面におけるGFP発現の程度を示している。これらの画像は、cSLO(B)及び全搭載(C)画像の両方における軸索跡の存在によって示されるように、窩及び網膜周囲における網膜神経節細胞の形質導入の証拠を提供する。
【0318】
図11A~11Eは、配列番号1(バリアント2)についてインビボで観察された結果を示している。図11A~11Bは、5.0E+11vgのrAAVの硝子体内注射から2週(A)及び8週(B)後にHeidelberg Spectralis HRA/OCTから取得したcSLO画像を提供する。図11Cは、直接蛍光画像化による中央及び周囲の網膜表面におけるGFP発現の程度を示している。これらの画像は、cSLO(B)及び全搭載(C)画像の両方における軸索跡の存在によって示されるように、窩における網膜神経節細胞の形質導入の証拠を提供する。図11D~11Eは、RGC及びミュラー細胞(D~E)の強固な形質導入を示す100umの網膜切片から得られた共焦点像を提供する。
【0319】
図12A~12Fは、配列番号5(バリアント37)についてインビボで観察された結果を示している。図12A~12Bは、5.0E+11vgのrAAVの硝子体内注射から2週(A)及び8週(B)後にHeidelberg Spectralis HRA/OCTから取得したcSLO画像を提供する。図12Cは、直接蛍光画像化による中央及び周囲の網膜表面におけるGFP発現の程度を示している。これらの画像は、cSLO(B)及び全搭載(C)画像の両方における軸索跡の存在、ならびに最周囲(C)の形質導入によって示されるように、窩における網膜神経節細胞の形質導入の証拠を提供する。図12D~12Fは、RGC(D)、内側ニューロン及びミュラー細胞(E~F)の強固な形質導入の証拠を示す100umの網膜切片から得られた共焦点像を提供する。
【0320】
図13A~13Bは、配列番号6(バリアント38)についてインビボで観察された結果を示している。図13A~13Bは、5.0E+11vgのrAAVの硝子体内注射から2週(A)及び8週(B)後にHeidelberg Spectralis HRA/OCTから取得したcSLO画像を提供する。これらの画像は、cSLO画像(B)における軸索跡の存在によって示されるように、窩における網膜神経節細胞の形質導入の証拠を提供する。
【0321】
図14A~14Fは、配列番号26(バリアント45)についてインビボで観察された結果を示している。図14A~14Bは、5.0E+11vgのrAAVの硝子体内注射から2週(A)及び8週(B)後にHeidelberg Spectralis HRA/OCTから取得したcSLO画像を提供する。図14Cは、直接蛍光画像化による中央及び周囲の網膜表面におけるGFP発現の程度を示している。これらの画像は、cSLO(B)及び全搭載(C)画像の両方における軸索跡の存在、ならびに網膜周囲(C)の形質導入によって示されるように、中央及び耳側網膜における網膜神経節細胞の強固な形質導入の証拠を提供する。図14D~14Fは、中央網膜におけるRGC(D)及び内側ニューロン(F)、ならびに耳側網膜(E)におけるRGC及びミュラー細胞の強固な形質導入の証拠を示す100umの網膜切片から得られた共焦点像を提供する。
【0322】
図15A~15Bは、配列番号12(バリアント48)についてインビボで観察された結果を示している。図15A~15Bは、5.0E+11vgのrAAVの硝子体内注射から2週(A)及び6週(B)後にHeidelberg Spectralis HRA/OCTから取得したcSLO画像を提供する。これらの画像は、軸索跡の存在によって示されるように、中央及び周囲の網膜における網膜神経節細胞の強固な形質導入の証拠を提供する。高レベルの形質導入が網膜血管系の近くで見られる。このキャプシドバリアントは、rAAV送達から2週後(A)で中央及び周囲の網膜において見られたシグナルのレベル及び程度によって示されるように、網膜細胞を形質導入するのに非常に効率的である。
【0323】
図16A~16Eは、配列番号13(バリアント49)についてインビボで観察された結果を示している。図16A~16Bは、5.0E+11vgのrAAVの硝子体内注射から2週(A)及び8週(B)後にHeidelberg Spectralis HRA/OCTから取得したcSLO画像を提供する。これらの画像は、cSLO(B)及び全搭載(C)画像の両方における軸索跡の存在、ならびに網膜周囲(C)の形質導入によって示されるように、中央及び周囲の網膜における網膜神経節細胞の強固な形質導入の証拠を提供する。異常に高いレベルの形質導入が網膜周囲(C)で見られる。このキャプシドバリアントは、rAAV送達から2週後(A)で中央及び周囲の網膜において見られたシグナルのレベル及び程度によって示されるように、網膜細胞を形質導入するのに非常に効率的である。図16Cは、直接蛍光画像化による中央及び周囲の網膜表面におけるGFP発現の程度を示している。図16Dは、中央網膜におけるRGC、内側ニューロン及びミュラー細胞の強固な形質導入を示す100umの網膜切片から得られた共焦点像を提供する。図16Eは、周囲網膜におけるRGCの極めて高い形質導入を示す100umの網膜切片から得られた共焦点像を提供する。
【0324】
図17A~17Bは、配列番号27(バリアント58)についてインビボで観察された結果を示している。図17A~17Bは、5.0E+11vgのrAAVの硝子体内注射から2週(A)及び6週(B)後にHeidelberg Spectralis HRA/OCTから取得したcSLO画像を提供する。これらの画像は、軸索跡の存在によって示されるように、中央及び周囲の網膜における網膜神経節細胞の強固な形質導入の証拠を提供する。
【0325】
本発明を、その特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本発明の真の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよく、均等物に置き換えられてもよいことを理解されたい。また、特定の状態、材料、物質の組成、プロセス、単数または複数のプロセスステップを、本発明の目的、主旨、及び範囲に適応させるために、多くの修正が行われてもよい。すべてのそのような修正は、本明細書に添付される特許請求の範囲内であることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
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図4K
図4L
図4M
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図4Q
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図4W
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
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【国際調査報告】