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特表2023-528802アルロース及び低糖シロップ/固形分を含む冷菓組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】アルロース及び低糖シロップ/固形分を含む冷菓組成物
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/34 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
A23G9/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573165
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2021035149
(87)【国際公開番号】W WO2021247503
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/033,580
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】ベルフォード、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】イコズ、ディデム
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GG11
4B014GK03
4B014GK05
4B014GK07
4B014GK08
4B014GL10
4B014GL11
4B014GP01
4B014GP12
4B014GP14
(57)【要約】
アルロース並びに低糖シロップ及び/又は固形分を含有する冷菓組成物が、冷菓組成物中のアルロース並びに低糖シロップ及び/又は固形分の使用とともに、本明細書に記載される。有益なことに、本明細書に記載の組成物は、低糖又は糖低減冷菓製品の配合制限を克服しながら(それらの全糖対応物の硬度、食感、及び/又は甘味を一致させることを含む)、冷菓の添加糖及び/又はカロリー含有量を低減させる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷菓組成物であって、
少なくとも約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、若しくは4重量%のアルロース(乾燥基準)又は3.5重量%超のアルロース(乾燥基準)と、
少なくとも1つの低糖シロップ、低糖固形分、又はそれらの組み合わせと、
少なくとも1つの乳製品又は乳製品代替製品と、を含み、
前記冷菓組成物が、約25重量%~約50重量%の固形分又は約28重量%~約46重量%の固形分を更に含む、冷菓組成物。
【請求項2】
前記低糖シロップが、(i)24超のDE、25~40のDE、若しくは26~34のDE、(ii)30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、若しくは約15重量%未満のDP4含有量、(iii)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP8+含有量、(iv)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP10+含有量、(v)少なくとも約4.8以上であるDP3+含有量(組成物100グラム当たり)、(vi)少なくとも約2.8以下である(DP1+DP2)/DP3+比率、又は(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、全糖対照組成物の固形分百分率の5%以内の前記固形分百分率を有し、前記対照組成物が、1つ以上の栄養性甘味料をアルロース並びに低糖シロップ及び/又は低糖固形分で置き換えておらず、
前記組成物が、前記糖対照組成物の平均硬度測定値の約20%以内である前記平均硬度測定値(グラム重)を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルロースが、少なくとも約85%のアルロース並びに約15%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、少なくとも約90%のアルロース並びに約10%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、又は少なくとも約95%のアルロース並びに約5%の他の単糖類及び/若しくは二糖類を含む、液体シロップである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、約2~10重量%のアルロース(乾燥基準)、約3.5~10重量%のアルロース(乾燥基準)、又は約4~10重量%のアルロース(乾燥基準)の量を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記低糖シロップ又は低糖固形分が、25%未満、約20%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、又は約10%未満のDP1+DP2含有量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルロース及び/又は前記低糖シロップ/固形分で少なくとも部分的に置き換えられた前記栄養性甘味料のうちの1つが、スクロースであり、前記栄養性甘味料が、前記組成物の約25%未満、前記組成物の約20%未満、前記組成物の約15%未満、前記組成物の約10%未満、又は前記組成物の約5%未満を構成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(i)追加の非栄養性若しくは部分栄養性甘味料、(ii)1つ以上の追加の成分、(iii)又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記非栄養性甘味料が、高効力甘味料である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記冷菓組成物が、全糖冷菓組成物と比較して、少なくとも20%の添加糖の低減、25%の添加糖の低減、30%の添加糖の低減、40%の添加糖の低減、50%の添加糖の低減、75%の添加糖の低減、80%の添加糖の低減、又は100%の添加糖の低減を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、全糖冷菓組成物と比較して、少なくとも2%のカロリー低減、少なくとも5%のカロリー低減、少なくとも10%のカロリー低減、少なくとも15%のカロリー低減、又は少なくとも20%のカロリー低減を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、約30重量%~約95重量%の前記乳製品若しくは乳製品代替製品、又は約50重量%~約90重量%の前記乳製品若しくは乳製品代替製品を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記乳製品が、クリーム及びミルクの組み合わせである、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記冷菓組成物が、アイスクリームである、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
アルロースを含有する低糖、低カロリー冷菓組成物の硬度及び食感を向上させるための、アルロース並びに低糖シロップ及び/又は低糖固形分を含有する糖代替物質の使用であって、
冷菓組成物中の栄養性甘味料の少なくとも一部分を、アルロース及び低糖シロップ、低糖固形分、又はそれらの組み合わせで置き換えることと、
(i)全糖対照組成物の固形分割合の5%以内の固形分百分率であって、前記全糖対照組成物が前記栄養性甘味料をアルロース及び前記低糖シロップ、低糖固形分、又はそれらの組み合わせで置き換えていない、固形分百分率、並びに(ii)前記全糖対照組成物の平均硬度測定値の約20%以内である前記平均硬度測定値(グラム重)を有する、冷菓組成物を形成することと、を含む、使用。
【請求項16】
前記アルロースが、前記冷菓組成物の少なくとも約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、若しくは4重量%のアルロース(乾燥基準)又は3.5重量%超のアルロース(乾燥基準)を構成し、前記アルロースが、
少なくとも約85%のアルロース並びに約15%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、少なくとも約90%のアルロース並びに約10%の他の単糖類及び/若しくは
二糖類、又は少なくとも約95%のアルロース並びに約5%の他の単糖類及び/若しくは二糖類を含む、液体シロップである、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記組成物が、約2~10重量%のアルロース(乾燥基準)、約3.5~10重量%のアルロース(乾燥基準)、又は約4~10重量%のアルロース(乾燥基準)の量を含む、請求項15又は16に記載の使用。
【請求項18】
前記冷菓組成物が、前記全糖対照組成物と比較して、少なくとも20%の添加糖の低減、25%の添加糖の低減、30%の添加糖の低減、40%の添加糖の低減、50%の添加糖の低減、75%の添加糖の低減、80%の添加糖の低減、又は100%の添加糖の低減を有する、請求項15~17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記冷菓組成物が、前記全糖対照組成物と比較して、少なくとも2%のカロリー低減、少なくとも5%のカロリー低減、少なくとも10%のカロリー低減、少なくとも15%のカロリー低減、又は少なくとも20%のカロリー低減を有する、請求項15~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記冷菓組成物が、アイスクリームである、請求項15~19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記冷菓組成物が、(i)24超のDE、25~40のDE、若しくは26~34のDE、(ii)30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、若しくは約15重量%未満のDP4含有量、(iii)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP8+含有量、(iv)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP10+含有量、(v)少なくとも約4.8以上であるDP3+含有量(組成物100グラム当たり)、(vi)少なくとも約2.8以下である(DP1+DP2)/DP3+比率、又は(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせを有する、請求項15~20のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年6月2日に出願された米国特許仮出願第63/033,580号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
アルロース並びに低糖シロップ及び/又は固形分を含有する冷菓(frozen dessert)組成物が、冷菓組成物中のアルロース並びに低糖シロップ及び/又は固形分の使用とともに、本明細書に記載される。有益なことに、本明細書に記載の組成物は、低糖又は糖低減冷菓製品の配合制限を克服しながら(それらの全糖対応物の硬度、食感、及び/又は甘味を一致させることを含む)、冷菓の添加糖及び/又はカロリー含有量を低減させる。
【0003】
健康への関心の高まり及び糖摂取の低減運動により、低糖、低カロリー食品に対する消費者の需要が増加し続けている。この需要に応えて、食品製造業者は、消費者が知り楽しむようになった全糖対応物に(例えば、味、食感、口当たりなどにおいて)匹敵する低糖、低カロリー食品を提供する栄養性甘味料代替物を探し続けている。その結果、冷菓製品を含む食品における天然/合成甘味料の使用が増加している。アルロースは、様々な食品及び飲料製品に配合されている天然甘味料の一例である。例えば、高レベルのアルロースを含有する食品が、栄養性甘味料により従来提供されてきた、所望のかさ高さ、甘味、及び機能的特性を示す食品を提供する試みにおいて作製されてきた。例えば、国際公開第2015/075473号を参照されたい。しかしながら、従来技術の配合物を改変せずにアルロースの固有の特性に対応するようにするは限界があり、ゆえに、従来技術は、消費者及び食品製造業者の期待を満たす低カロリー、糖低減食品配合物を提供することができない。したがって、当技術分野では、消費者及び食品製造業者が低糖、低カロリー冷菓食品に望む特性を損なわないように、冷菓配合物の栄養性甘味料含有量を低減する必要性が依然としてある。
【0004】
例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ(高フルクトースコーンシロップを含む)、マルトース、ラクトース、糖蜜、ハチミツ、アガーベなどの栄養性甘味料は、カロリー含有量に寄与する。天然及び合成甘味料(すなわち、人工甘味料)は、低カロリーの栄養性甘味料代替物を提供し、望ましい味特徴だけでなく、他の機能的特性を提供する。そのような天然/合成甘味料としては、例えば、高効力又は高強度甘味料(例えば、スクラロース、ステビアなど)、糖アルコール又はポリオール(例えば、キシリトール、ソルビトールなど)、及び希少糖(例えば、アルロース)が挙げられる。アルロースは、レーズン及びイチジクなどの自然界に非常に少量で見られるものであり、D-アルロース、プシコース、又はD-プシコースとも称される。アルロースは、わずか10%のカロリー(およそ0.4kcal/g)で、スクロースの甘味のおよそ70%を提供する。
【0005】
栄養性甘味料はまた、アイスクリームなどの冷菓食品に一般的に含まれ、甘い味を提供するだけでなく、硬い食感及び大きな氷結晶をもたらす配合物中の全ての利用可能な水が凍結するのを防止するための固形分も提供する。甘味料の分子構成が異なるため、凝固点は、配合物中の甘味料のサイズ及び量に応じて変動し得る。一般に、単糖類は、二糖類と比較して溶液中に2倍の溶質を有して凝固点を低下させる場合があり、これが次に柔らかい冷菓を生成する。例として、フルクトースのエピマーであるアルロースは、二糖類であるスクロースに対して単糖類であるため、アルロースが、そのスクロース含有対応物よりも柔らかい冷菓を提供することになり、これは消費者又は製造業者によって望まれない。より柔らかい冷菓製品は、系中により多くの未凍結水を含有し、これは、通常の冷凍庫保存条件及び関連する凍結/解凍サイクルに供された場合に、そのような冷菓製品の滑らかな口当たりを減少させる大きな氷の結晶を生成するように移動する。
【0006】
したがって、冷菓組成物及びそれを作製する方法が本明細書に開示され、そのような組成物は、低糖シロップ及び/又は低糖固形分(low-sugar solid、LSS)と組み合わせてアルロースを含有して、消費者が従来の全糖(full sugar)冷菓組成物から期待する所望の硬度、食感、及び甘味を提供する。
【0007】
一実施形態は、冷菓組成物であって、少なくとも約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、若しくは4重量%のアルロース(乾燥基準)又は3.5重量%超のアルロース(乾燥基準)と、少なくとも1つの低糖シロップ、低糖固形分、又はそれらの組み合わせと、少なくとも1つの乳製品又は乳製品代替製品と、を含み、上記冷菓組成物が、約25重量%~約50重量%の固形分又は約28重量%~約46重量%の固形分を更に含む、冷菓組成物を対象とする。
【0008】
別の実施形態は、冷菓組成物であって、少なくとも約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、若しくは4重量%のアルロース(乾燥基準)又は3.5重量%超のアルロース(乾燥基準)と、少なくとも1つの低糖シロップ、低糖固形分、又はそれらの組み合わせと、少なくとも1つの乳製品又は乳製品代替製品と、を含み、上記冷菓組成物が、約25重量%~約50重量%の固形分又は約28重量%~約46重量%の固形分を更に含み、更に、低糖シロップが、(i)24超のDE、25~40のDE、若しくは26~34のDE、(ii)30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、若しくは約15重量%未満のDP4含有量、(iii)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP8+含有量、(iv)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP10+含有量、(v)少なくとも約4.8以上であるDP3+含有量(組成物100グラム当たり)、(vi)少なくとも約2.8以下である(DP1+DP2)/DP3+比率、又は(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせを有する、冷菓組成物を対象とする。
【0009】
更に別の実施形態では、本明細書に記載の冷菓組成物は、アルロース、LSS、及び少なくとも1つの乳製品又は乳製品代替製品を含み、組成物は、全糖対照組成物の固形分百分率の5%以内の固形分百分率を有し、対照組成物は、スクロース及び/又は高DEコーンシロップなどの1つ以上の栄養性甘味料をアルロース及び/又はLSSで置き換えず、組成物は、全糖対照組成物の平均硬度測定値の約-20%以内である平均硬度測定値(グラム重)を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の低糖及び/又はカロリー含有量を有するアルロース含有冷菓組成物は、その全糖対応物に匹敵する硬度を示す。
【0011】
別の実施形態では、本明細書に記載の低糖及び/又はカロリー含有量を有する冷菓組成物は、冷菓組成物中の1つ以上の栄養性甘味料の少なくとも一部分を、アルロース及びLSSで置き換えることと、(i)全糖対照組成物の固形分百分率の5%以内の固形分百分率であって、全糖対照組成物が1つ以上の栄養性甘味料をアルロース及び/又はLSSで置き換えない、固形分百分率、並びに(ii)全糖対照組成物の平均硬度測定値の約-20%以内の平均硬度測定値(グラム重)を有する、冷菓組成物を形成することと、を含む。
【0012】
様々な実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、複数の図面を通して、同様の参照番号は同様の部分を表す。そして、複数の実施形態が本明細書で開示されるものの、更に他の実施形態が、例証的実施形態を示し説明する以下の詳細の説明から、当業者には明らかとなろう。結果的に、様々な実施形態への参照は、本発明の範囲を限定するものではない。加えて、本明細書で示す図面は、本発明に従う様々な実施形態に対する限定ではなく、本発明の例示的な図解として提示される。したがって、図面及び詳細の説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1に記載の全糖対照及び2.5~10%(乾燥基準)のアルロース含有低脂肪アイスクリーム試料の硬度の測定を示す。
図2】実施例1に記載の全糖対照及びLSSを含む4~10%(乾燥基準)のアルロースの低脂肪アイスクリーム試料の硬度の測定を示す。
図3】実施例1に記載の全糖対照並びにアルロース含有及びアルロース/LSS含有低脂肪アイスクリーム試料の硬度の測定を示す。
図4】実施例2に記載の全脂肪アイスクリーム試料中の全糖対照及びLSSを含む4~5%(乾燥基準)のアルロースの硬度の測定を示す。
【0014】
本明細書中で使用される全ての専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけのものであり、任意の様式又は範囲に限定するものとは意図されない。例えば、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数を含むことができる。更に、全ての単位、接頭辞、及び記号は、SIが認可したその形式で記載することができる。本明細書で引用される数値範囲は、規定される範囲内の数を含む。本開示全体を通して、様々な態様が範囲の形式で提示される。範囲の形式での記載は単に、便宜上、かつ簡便化のためと理解されるべきであり、本発明の範囲の、柔軟性を欠く限定と解釈してはならない。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された起こり得る全ての部分範囲、及びその範囲内の個別の数値を有するものと考えるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0015】
本組成物及び方法がより容易に理解され得るように、特定の用語をまず定義する。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の実施形態が関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものに類似する、それから改変された、又はそれに等価な多くの方法及び材料を、実施形態の実施において、過度な実験をすることなく使用することができる。実施形態の説明及び特許請求において、以下の用語を、以下に説明する定義に従い使用する。
【0016】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、例えば、典型的な測定及び取扱い操作を通して、これらの操作における故意ではない誤りを通して、成分の製造、源、又は純度の違いなどを通して生じる可能性がある、数量の変化を意味する。「約」という用語による修飾に関わらず、特許請求の範囲には量の等価物が含まれる。
【0017】
本明細書で使用する場合、「不含」という用語は、構成成分を完全に欠く、又は、構成成分を、当該構成成分が組成物の性能に影響を及ぼさないような少量で有する、組成物を意味する。構成成分は、不純物として、又は混入物質として表すことができ、0.5重量%未満でなければならない。
【0018】
本明細書で使用する場合、「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt-%)」、「重量パーセント(percent by weight)」)、「重量%(%by weight)」という用語、及びそれらの変形は、組成物の総重量で除して100を掛けた、物質の重量としての物質の濃度を指す。本明細書で使用する場合、「パーセント」、「%」などは、「重量%(「weight percent」、「wt-%」)」などと同義であることが意図されると理解される。
【0019】
方法及び組成物は、本明細書に記載する構成成分及び成分、加えて、他の成分を含むことができる、これらから本質的になることができる、又はこれらからなることができる。本明細書で使用する場合、「から本質的になる」とは、方法及び組成物が追加の工程、構成成分、又は成分を、その追加の工程、構成成分、又は成分が、特許請求した方法及び組成物の基本的、かつ新規の特徴を実質的に変更しない場合に限り、含むことができることを意味する。
【0020】
冷菓組成物
スクロースを含む栄養性甘味料の完全な又は部分的な代替物質としてアルロースを含む、低糖及び/又は低カロリー含有量を有する冷菓組成物が本明細書に記載される。一実施形態では、本明細書に記載の冷菓組成物は、アルロース、LSS、及び少なくとも1つの乳製品又は乳製品代替製品を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の低糖及び/又は低カロリー含有量を有するアルロース含有冷菓組成物は、アルロース及びLSSにより完全に置き換えられていない栄養性甘味料及び/若しくは非栄養性甘味料、安定化剤、香味料及び/若しくは抽出物、並びに/又は本明細書に記載のものなどの他の成分から選択される1つ以上の追加の成分を更に含んでもよい。例示的な冷菓組成物が表1に示される。
【0021】
【表1】
【0022】
いくつかの実施形態では、アルロースは、冷菓組成物中の栄養性甘味料の使用を置き換えるか、又は実質的に低減させて、冷菓組成物中に含有される栄養性甘味料が、全糖対照から少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%低減されるようにする。他の実施形態では、栄養性甘味料は、1つ以上の栄養性炭水化物甘味剤である。他の実施形態では、栄養性炭水化物甘味料は、スクロース、グルコース、フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、デキストロース、高DEコーンシロップ(例えば、36DEより高いコーンシロップ)、ビート又はショ糖、糖蜜、マルトース、ハチミツ、及びカエデ糖から選択される。
【0023】
有益なことに、栄養性甘味料のアルロースによる代替物質によって、十分に固体の冷菓組成物が提供され、LSSのアルロースとの組み合わせは、柔らかい冷菓組成物をもたらさない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアルロース含有冷菓組成物は、全糖対照組成物(すなわち、スクロースなどの栄養性甘味料をアルロース及び/又はLSSで置き換えなかった全糖組成物)の平均硬度測定値の約10%以下又は20%以下内である平均硬度測定値(グラム重)を有する。一実施形態では、本明細書に記載のアルロース含有冷菓組成物の平均硬度測定値(グラム重)は、全糖対照組成物の平均硬度測定値の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%以内である。更なる実施形態では、本明細書に記載のアルロース含有冷菓組成物の平均硬度測定値(グラム重)は、全糖対照組成物の平均硬度測定値の約10%、15%、又は20%以内である。
【0024】
特定の作用機序に限定されるものではないが、アルロース及びLSSを組み合わせて栄養性甘味料の少なくとも一部分を置き換えることは、有利には、冷菓組成物自体の配合物とバランスをとり、本明細書に記載の1つ以上のアルロース含有冷菓組成物中に、全糖対照組成物中の固形分百分率の絶対値の約5%の百分率以内である固形分百分率を提供する。本明細書に記載の低糖、低カロリー冷菓組成物及び全糖対照組成物中の固形分百分率に関して本明細書で言及される場合、固形分百分率の許容可能な変動は、全糖対照組成物中の固形分の絶対値の百分率から1%以下又は5%以下変動する、低糖、低カロリー冷菓組成物中の固形分百分率の絶対値を指す。
【0025】
追加の実施形態では、本明細書に記載の低糖、低カロリーの冷菓組成物は、栄養性甘味料の少なくとも一部分をアルロース及びLSSで置き換えることによって、「添加」糖の少なくとも20%の低減を提供する。追加の実施形態では、アルロース及びLSSは、「添加」糖の少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%の低減を提供する(添加糖は、冷菓組成物中にLSSを含み、アルロース及び/又は糖を含まない甘味料からの単糖類及び二糖類として定義される(例えば、ラクトースなどの乳製品成分))。
【0026】
また更なる実施形態では、本明細書に記載の低糖、低カロリー冷菓組成物は、栄養性甘味料の少なくとも一部分をアルロース及びLSSで置き換えることによって、カロリー含有量の少なくとも2%の低減を提供する。追加の実施形態では、栄養性甘味料のアルロース及びLSSによる代替物質は、カロリーの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は少なくとも50%の低減を提供する。
【0027】
別の実施形態では、本明細書に記載のアルロース含有冷菓組成物は、少なくとも約4.8以上であるDP3+含有量(組成物100グラム当たり)を有する。別の実施形態では、冷菓組成物は、少なくとも約2.8以下である(DP1+DP2)/DP3+比率を有する。DP3+含有量及び(DP1+DP2)/DP3+の計算は、組成物中のアルロース、LSS、及び栄養性甘味料から含まれる糖及び甘味料のみを含む。
【0028】
更に別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のアルロース含有冷菓組成物は、約25重量%~約50重量%の固形分又は約28重量%~約46重量%の固形分を含む。
【0029】
アルロース
アルロース源を含む冷菓組成物が本明細書に記載される。アルロースは、以下の構造を有する市販の単糖類であり、D-フルクトースのC3エピマーである。
【0030】
【化1】
【0031】
アルロースは、結晶形態で、又は、アルロースを含むシロップの形態で入手可能である。シロップ形態は、様々な量の固形分割合(一般には約60重量%~約90重量%)でアルロースを含む。
【0032】
例示的なアルロース源は、ASTRAEA(登録商標)液体アルロースの商品名で入手可能であり、95%の純度(乾燥固形分基準、ds又はDS)を有し、固形分は74%である。追加のアルロース源は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは少なくとも99.9%の純度、又は100%純粋なアルロース(アルロース源の総重量を基準として、アルロースの重量%として表現)を有してもよい。追加のアルロース源は、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、又はそれ以上の固形分割合を有してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、アルロース源は、アルロースの純度レベルに従い決定される、アルロースと、追加の単糖類及び二糖類との混合物である。いくつかの実施形態では、アルロース源は、アルロースと、フルクトースなどの1つ以上の他の糖との混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、アルロース源は、シロップの乾燥物含有量を基準にして、約85重量%~約95重量%のアルロースと、約5重量%~約15重量%の単糖類及び二糖類と、を含むシロップである。
【0034】
アルロースは、本明細書に記載の1つ以上の冷菓組成物中で、栄養性甘味料(例えば、スクロース)の単一成分の代替物質として、部分的又は完全な代替物質として使用して、糖及びカロリーの有益な低減を提供するのに好適である。いくつかの実施形態では、LSSは、1つ以上の栄養性甘味料(例えば、スクロース、高DEグルコースシロップ)を置き換えるためにアルロースと組み合わせて使用して、添加糖の低減のための追加の利益を提供するのに好適である。
【0035】
更なる実施形態では、アルロースは、冷菓組成物の約2重量%~約50重量%、冷菓組成物の約2重量%~約10重量%、冷菓組成物の約3.5重量%~約20重量%、冷菓組成物の約3.5重量%~約10重量%、冷菓組成物の約4重量%~約50重量%、冷菓組成物の約4重量%~約20重量%、又は冷菓組成物の約4重量%~約10重量%を構成する。
【0036】
低糖シロップ/固形分(LSS)
本明細書に記載の1つ以上の低糖、低カロリー冷菓組成物は、単糖類及び二糖類含有量が少ない1つ以上のLSSを含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の低糖、低カロリー冷菓組成物は、単糖類及び二糖類の含有量が少ない2つ以上のLSSを含有する。本明細書において言及される、「単糖類及び二糖類(それぞれ、DP1及びDP2)の含有量が少ない」とは、全糖シロップ(すなわち、標準的な高DEグルコース、コーンシロップ、又はタピオカシロップなど)と比較して、約40%、50%、55%、60%、70%、又は85%以下のDP1+DP2を意味する。例示的な実施形態では、LSSのDP1+DP2含有量は、全糖シロップ/固形分と比較して、少なくとも50%少ないDP1+DP2含有量である。有益なことに、LSSは、全糖シロップ/固形分と比較してより少ないDP1+DP2含有量を、カロリーのある栄養性甘味料に提供する。
【0037】
別の実施形態では、LSSは、約25%未満、約20%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、又は約10%未満のDP1+DP2含有量を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、LSS又は低糖シロップは、30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、又は約15重量%未満のDP4含有量を有する。別の実施形態では、LSS又は低糖シロップは、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、又は約5重量%未満のDP8+含有量を有する。別の実施形態では、LSS又は低糖シロップは、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、又は約5重量%未満のDP10+含有量を有する。
【0039】
例示的な低糖シロップは、VERSASWEET(登録商標)1524グルコースシロップ、VERSASWEET(登録商標)1526グルコースシロップ、VERSASWEET(登録商標)1526NGMグルコースシロップ、VERSASWEET(登録商標)1531グルコースシロップ、VERSASWEET(登録商標)1721グルコースシロップ、STABLESWEET(登録商標)グルコースシロップ、BIOLIGIO(登録商標)ML6810グルコースシロップ、MULTIVANTAGE(登録商標)シロップ、VERSYRA(商標)コーンシロップ、及びCLEARDEX(登録商標)グルコースシロップの商品名で入手可能である。例示的な低糖固形分は、商品名GLOBE(登録商標)22DEグルコース固形分及びGLOBE(登録商標)24DEグルコース固形分、DRY GL(商標)コーンシロップ固形分で入手可能である。
【0040】
有益なことに、また、特定の作用機序又は理論に限定されるものではないが、LSS及びアルロースの組み合わせは、アルロースの高い単糖類(DP1)含有量(凝固点降下(freezing point depression、FPD)を減少させ、冷菓組成物に柔らかい食感を持たせる)を克服して、望ましい食感属性及び硬度を有する低糖、低カロリー冷菓組成物を提供する。
【0041】
別の実施形態では、低糖シロップは、5重量%超、冷菓組成物の約5重量%~約50重量%、冷菓組成物の約10重量%~約50重量%、冷菓組成物の約10重量%~約45重量%、又は冷菓組成物の約15重量%~約40重量%を構成する。
【0042】
更に別の実施形態では、低糖シロップは、冷菓組成物中の栄養性甘味料、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップなどの使用を置き換えるか、又は、実質的に低減させて、本明細書に記載の冷菓組成物中に含有される栄養性甘味料が、全糖対応物と比較して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%低減されるようにすることができる。
【0043】
別の実施形態では、LSSは、24超のDEを有する。更に別の実施形態では、LSSは、25~40又は26~34のDEを有する。更に別の実施形態では、低糖シロップは、24超のDEを有する。更に別の実施形態では、低糖シロップは、25~40又は26~34のDEを有する。
【0044】
乳製品(又は乳製品代替製品)
冷菓組成物は、少なくとも1つの乳製品又は乳製品代替製品を含む。いくつかの実施形態では、冷菓組成物は、2つ以上の乳製品又は乳製品代替製品を含む。本明細書で言及されるように、乳製品としては、クリーム(例えば、ヘビークリーム)、全乳、低脂肪乳、無脂肪乳(例えば、スキムミルク)、乳固形分、コンデンスミルク、又はそれらの任意の組み合わせ、具体的にはクリーム及びスキムミルクの組み合わせを含む、任意の種類の乳製品が挙げられる。乳製品は、クリーム、バター、乳固形分、乾燥粉末などとして提供することができる。乳製品は、一般に、ある量の乳タンパク質、例えば、ベータ-ラクトグロブリン、アルファ-ラクトアルブミン、又は血清アルブミンを含有するホエイタンパク質などを含む。いくつかの実施形態では、乳製品は、ある量の乳製品代替製品、例えば、豆乳、アーモンドミルク、ココナツミルク、又はそれらの任意の組み合わせなどで置き換えられてもよい。
【0045】
乳製品又は乳製品代替製品は、その中に含有される脂肪の量の、全脂肪から低脂肪、無脂肪(すなわち、ゼロ脂肪)への変動を含むことができる。当業者が確認するように、脂肪は、冷菓組成物の豊かさを増加させ、香味料のための好適な担体としても作用する。更に、冷菓組成物に滑らかで望ましい食感を提供するために、脂肪をその中に含有する少なくとも1つの乳製品又は乳製品代替製品を含むことが有益である。いくつかの実施形態では、低脂肪製品又は無脂肪製品である乳製品(又は乳製品代替製品)は、追加の脂肪源(非動物性脂肪源、例えば、ココナツオイル、ココアバター、シアバター、パーム油などを含む)と組み合わせることもできる。
【0046】
ある実施形態では、乳製品(又は乳製品代替製品)は、冷菓組成物の約30重量%~約95重量%、冷菓組成物の約40重量%~約95重量%、冷菓組成物の約50重量%~約95重量%、食品組成物の約60重量%~約90重量%、又は冷菓組成物の約60重量%~約85重量%を構成する。
【0047】
追加の成分
本明細書に記載の冷菓組成物は、任意選択的に追加の成分を含んでもよい。追加の成分の存在は、栄養性甘味料の一部分又は全部をアルロース及びLSSで置き換えた冷菓組成物の種類に基づいて変動する。例示的な追加の成分としては、例えば、残りの栄養性甘味料(アルロース及びLSSによって完全に置き換えられていない任意の部分);非栄養性甘味料(高効力甘味料など);部分栄養性甘味料;香味料、抽出物(例えば、バニラ及び果実香味料)、及び/又は香味液;安定化剤;増量剤(例えば、マルトデキストリン、ポリデキストロース、これらに限定されないが、キサンタンガム、グアーガム、任意の種類のグルコースシロップ、任意の種類の水溶性繊維、任意の種類のオリゴ糖、天然及び加工を含む任意のデンプンなどを含む親水コロイド);着色添加剤、保存料、酸化防止剤、果実(丸ごと、さいの目に切ったもの、すり潰したもの、ピューレ、濃縮物など)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
いくつかの実施形態では、任意選択的な追加の成分としては、卵又は卵由来製品、脂肪、油、水、追加の乳製品、アルコール、ガム、天然及び/又は人工着色料、天然及び/又は人工香料、塩、チョコレート及び/又はココア、ココナツ及びココナツ由来製品、スパイス、果実及び果実由来製品、野菜及び野菜由来製品、豆類及び豆類由来製品、ナッツ及びナッツ由来製品、酸味料、保存料、安定剤、酸化防止剤、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、並びに冷菓に一般的に配合される任意の他の成分が挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、任意選択的な追加の成分は、非消化性、非腸内ガス(non-flatous)多糖類を含まない。そのような多糖類の例としては、例えば、可溶性又は不溶性の植物繊維、例えば、Promitor(耐性マルトデキストリン)及びWP2017/037111に記載されている他のものが挙げられる。
【0050】
ある実施形態では、任意選択的な追加の成分は、使用される場合、集合的に、冷菓組成物の50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、又は5重量%を超えて構成しない。
【0051】
栄養性及び部分栄養性甘味料
本明細書に記載の冷菓組成物は、アルロース及びLSSがスクロース及び/又は高DEグルコースシロップなどの栄養性甘味料を完全に置き換えない実施形態では、栄養性甘味料(及び/又は部分的栄養性甘味料)を含み得る。
【0052】
栄養性甘味料の例としては、スクロース、ショ糖、フルクトース、グルコース、グルコースーフルクトースシロップ、メープルシロップ、ハチミツ、糖蜜、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ロイクロース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン(例えば、a-シクロデキストリン、P-シクロデキストリン、及びy-シクロデキストリン)、リブロース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリスロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、グルコサミン、マンノサミン、フコース、フクロース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオースなど)、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、ガラクトオリゴ糖、ソルボース、ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン(dehydroxyacetone))、アルドトリオース(グリセルアルデヒド)、ニゲロ-オリゴ糖、フルクトオリゴ糖(ケストース、ニストースなど)、マルトテトラオース、マルトトリオール、四糖、マンナン-オリゴ糖、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなど)、デキストリン、ラクツロース、メリビオース、ラムノース、リボース、異性化された液糖(例えば、高フルクトースコーン/デンプンシロップ(high fructose corn/starch syrup、HFCS/HFSS))(例えば、HFCS55、HFCS42、又はHFCS90)、カップリング糖、大豆オリゴ糖、グルコースシロップ、並びに前述のうちのいずれかの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0053】
冷菓組成物が栄養性甘味料を含有する実施形態では、栄養性甘味料は、冷菓組成物の約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、又は0重量%を構成する。
【0054】
例示的な低カロリー甘味料としては、ポリオールが挙げられる。「ポリオール」という用語は、本明細書で使用する場合、2個以上のヒドロキシル基を含有する分子を指す。ポリオールは、それぞれ2個、3個、及び4個のヒドロキシル基を含有するジオール、トリオール、又はテトラオールであってもよい。ポリオールはまた、それぞれ5個、6個、又は7個のヒドロキシル基を含有するペンタオール、ヘキサオール、ヘプタオールなどの、5個以上のヒドロキシル基を含有してもよい。加えて、ポリオールはまた、糖アルコール、多価アルコール、又は炭水化物の還元形態であるポリアルコールであってもよく、カルボニル基(アルデヒド又はケトン、還元糖)は、一級又は二級ヒドロキシル基に還元されている。ポリオールの例としては、エリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、プロピレングリコール、グリセロール(グリセリン)、トレイトール、ガラクチトール、パラチノーゼ、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元マルトースシロップ、還元グルコースシロップ、及び糖アルコール、又は甘味組成物の味に悪影響を及ぼさない還元可能な任意の他の炭水化物が挙げられる。部分栄養性甘味料の更なる例は、D-タガトースである。
【0055】
冷菓組成物が部分栄養性甘味料を含有する実施形態では、部分栄養性甘味料は、冷菓組成物の約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約1重量%未満、約0.1重量%未満、又は約0.01重量%未満、又は0重量%を構成する。
【0056】
非栄養性甘味料
冷菓組成物は、アルロース及びLSSと組み合わせて非栄養性甘味料を任意選択的に含んでもよい。アルロース(及びLSS)の添加時に失われる少量の甘味を増加させるのを助けるために、非栄養性甘味料(例えば、高効力甘味料)を食品組成物に含めることができる(アルロースはスクロースの70%の甘味であるため)。この甘味の損失は、配合物中の他の成分及び全糖代替物質レベルに基づいて、典型的な消費者によって知覚される場合もあれば、又は知覚されない場合もある。例示的な非栄養性甘味料(すなわち、ゼロカロリー甘味料)としては、高効力甘味料を含む天然及び人工甘味料が挙げられる。
【0057】
例示的な天然非栄養性甘味料は、生で、抽出されて、精製されて、又は任意の他の形態で(例えば、発酵、バイオ変換を介して)、単独で、又はそれらの組み合わせであり得、特徴的に、スクロース、フルクトース、又はグルコースよりも大きい甘味効力を有し得る、自然界において見出されるものである。天然ゼロカロリー甘味料の非限定的な例としては、レバウジオシドA(Reb A)、レバウジオシドB(Reb B)、レバウジオシドC(Reb C)、レバウジオシドD(Reb D)、レバウジオシドD2(Reb D2)、レバウジオシドD4(Reb D4)、レバウジオシドE(Reb E)、レバウジオシドF(Reb F)、レバウジオシドG(Reb G)、レバウジオシドH(Reb H)、レバウジオシドI(Reb I)、レバウジオシドJ(Reb J)、レバウジオシドK(Reb K)、レバウジオシドL(Reb L)、レバウジオシドM2(Reb M2)、レバウジオシドM(Reb M)(REB Xとしても知られる)、レバウジオシドN(Reb N)、レバウジオシドO(Reb O)、レバウジオシドS(Reb S)、レバウジオシドT(Reb T)、レバウジオシドU(Reb U)、レバウジオシドV(Reb V)、レバウジオシドW(Reb W)、レバウジオシドZl(Reb Z1)、レバウジオシドZ2(Reb Z2)、及び酵素でグルコシル化されたステビオール・グリコシドを含む、ステビオール・グリコシド;アミノ酸、トリプトファン、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ドルコシドA、ズルコシドA、ズルコシドB、ステビア、ステビオシド、モグロシド、モグロシドIV、モグロシドV、モグロシドVI、イソモグロシドV、グロスモモシド、ネオモグロシド、シアメノシド、Luo Han Guo甘味料、羅漢果、シアメノシド、モナチン及びその塩類(モナチンSS、RR、RS、SR)(クルクリン、グリチルリジン酸及びその塩類)、ソウマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルシン、フィロズルチン、グリシフィリン、フロリドジン、トリロバチン、バイユノシド、オスラジン、ポロポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシドI、ペリアンドリンI、アブルソシドA、並びにシクロカリオシドIが挙げられる。天然高効力甘味料としては、改質天然高効力甘味料も挙げられる。
【0058】
追加の例示的な合成ゼロカロリー(すなわち、高効力)甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、シクラメート、ネオテーム、アドバンテーム、N-[N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)プロピル]-L-a-アスパルチル]-L-フェニルアラニンI-メチルエステル、N-[N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-3-メチルブチル]-L-a-アスパルチル]-L-フェニルアラニンI-メチルエステル、N-[N-[3-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロピル]-L-a-アスパルチル]-L-フェニルアラニンI-メチルエステル、それらの塩などが挙げられる。合成高効力甘味料はまた、改変された合成高効力甘味料を含む。
【0059】
冷菓組成物が非栄養性甘味料を含有する実施形態では、非栄養性甘味料は、冷菓組成物の約10重量%未満、約5重量%未満、約1重量%未満、約0.1重量%未満、又は約0.01重量%未満、又は0重量%を構成する。
【0060】
安定剤
本明細書に記載の冷菓組成物は、例えば乳化剤を含む安定剤又は安定化剤を含有することができる。例示的な安定化剤としては、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ペクチン、キサンタン、カルボキシメチルセルロース、タラガム、ゼラチンなどが挙げられる。更なる例示的な乳化剤は、商品名ALDOPERSE(商標)0~20KFGで入手可能であり、これは、モノ及びジグリセリドとポリソルベート80とのブレンドである。安定剤は、アイスクリームなどの冷菓組成物において、保存中の結晶(例えば、氷)の形成を遅らせるとともに、粘度を増加させ、安定化を助け、かつ保存中の収縮を低減させるように機能する。
【0061】
ある実施形態では、安定剤は、ガム(例えば、セルロースガム)、デンプン(例えば、加工モチトウモロコシデンプン)、カラギーナン、モノ及び/又はジグリセリド、並びにリン酸二ナトリウムのうちの1つ以上を含む。
【0062】
ある実施形態では、安定剤は、組成物の約0重量%~約10重量%、組成物の約0.01重量%~約5重量%、組成物の約0.1重量%~約1重量%を構成する。
【0063】
香料及び抽出物
本明細書に記載の冷菓組成物は、様々な香料及び抽出物を含有し得る。ある実施形態では、香料及び抽出物は、組成物の約0重量%~約20重量%、組成物の約0.1重量%~約10重量%、組成物の約1重量%~約10重量%を構成する。
【0064】
例示的な冷菓組成物
本明細書に記載の冷菓組成物は、スクロース及び高DEグルコースシロップを含む栄養性甘味料の全て又は一部分を置き換えるためのアルロース及びLSSの使用から利益を得ることができる様々な冷菓を含み得る。更なる利益として、本明細書に記載の冷菓組成物は、任意の追加の又は大規模な処理工程を伴わずに、冷菓組成物を作製するための既知の方法を使用して、継続して作製することができる。
【0065】
例示的な冷菓としては、例えば、アイスクリーム、ソフトクリーム、ジェラート、フローズンカスタード、非乳性(例えば、豆乳)アイスクリーム、ナッツミルクアイスクリーム、ココナツミルクアイスクリーム、フローズンヨーグルト、フローズンギリシャヨーグルト、フローズンケフィア、パフェ、ソルベ、シャーベット、ミルクシェイク、モルトなどが挙げられる。一実施形態では、冷菓組成物は、アイスクリームである。
【0066】
本開示によって企図される主題は、以下の付番した実施形態に記載される。
1.冷菓組成物であって、
少なくとも約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、若しくは4重量%のアルロース(乾燥基準)又は3.5重量%超のアルロース(乾燥基準)と、
少なくとも1つの低糖シロップ、低糖固形分、又はそれらの組み合わせと、
少なくとも1つの乳製品又は乳製品代替製品と、を含み、
上記冷菓組成物が、約25重量%~約50重量%の固形分又は約28重量%~約46重量%の固形分を更に含む、冷菓組成物。
2.低糖シロップが、(i)24超のDE、25~40のDE、若しくは26~34のDE、(ii)30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、若しくは約15重量%未満のDP4含有量、(iii)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP8+含有量、(iv)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP10+含有量、(v)少なくとも約4.8以上であるDP3+含有量(組成物100グラム当たり)、(vi)少なくとも約2.8以下である(DP1+DP2)/DP3+比率、又は(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせを有する、実施形態1に記載の組成物。
3.組成物が、全糖対照組成物の固形分百分率の5%以内の固形分百分率を有し、対照組成物が、1つ以上の栄養性甘味料をアルロース並びに低糖シロップ及び/又は低糖固形分で置き換えておらず、
上記組成物が、糖対照組成物の平均硬度測定値の約20%以内である平均硬度測定値(グラム重)を有する、実施形態1又は2に記載の組成物。
4.アルロースが、少なくとも約85%のアルロース並びに約15%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、少なくとも約90%のアルロース並びに約10%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、又は少なくとも約95%のアルロース並びに約5%の他の単糖類及び/若しくは二糖類を含む、液体シロップである、実施形態1~3のいずれかに記載の組成物。
5.組成物が、約2~10重量%のアルロース(乾燥基準)、約3.5~10重量%のアルロース(乾燥基準)、又は約4~10重量%のアルロース(乾燥基準)の量を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の組成物。
6.低糖シロップ又は低糖固形分が、25%未満、約20%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、又は約10%未満のDP1+DP2含有量を有する、実施形態1~5のいずれかに記載の組成物。
7.アルロース及び/又は低糖シロップ/固形分で少なくとも部分的に置き換えられた栄養性甘味料のうちの1つが、スクロースであり、上記栄養性甘味料が、組成物の約25%未満、組成物の約20%未満、組成物の約15%未満、組成物の約10%未満、又は組成物の約5%未満を構成する、実施形態1~6のいずれかに記載の組成物。
8.(i)追加の非栄養性若しくは部分栄養性甘味料、(ii)1つ以上の追加の成分、(iii)又はそれらの組み合わせを更に含む、実施形態1~7のいずれかに記載の組成物。
9.非栄養性甘味料が、高効力甘味料である、実施形態8に記載の組成物。
10.冷菓組成物が、全糖冷菓組成物と比較して、少なくとも20%の添加糖の低減、25%の添加糖の低減、30%の添加糖の低減、40%の添加糖の低減、50%の添加糖の低減、75%の添加糖の低減、80%の添加糖の低減、又は100%の添加糖の低減を有する、実施形態1~9のいずれかに記載の組成物。
11.上記組成物が、全糖冷菓組成物と比較して、少なくとも2%のカロリー低減、少なくとも5%のカロリー低減、少なくとも10%のカロリー低減、少なくとも15%のカロリー低減、又は少なくとも20%のカロリー低減を有する、実施形態1~10のいずれかに記載の組成物。
12.組成物が、約30重量%~約95重量%の乳製品若しくは乳製品代替製品、又は約50重量%~約90重量%の乳製品若しくは乳製品代替製品を含む、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
13.乳製品が、クリーム及びミルクの組み合わせである、実施形態1~12のいずれかに記載の組成物。
14.冷菓組成物が、アイスクリームである、実施形態1~13のいずれかに記載の組成物。
15.アルロースを含有する低糖、低カロリー冷菓組成物の硬度及び食感を向上させるための、アルロース並びに低糖シロップ及び/又は低糖固形分を含有する糖代替物質の使用であって、
冷菓組成物中の栄養性甘味料の少なくとも一部分を、アルロース及び低糖シロップ、低糖固形分、又はそれらの組み合わせで置き換えることと、
(i)全糖対照組成物の固形分割合の5%以内の固形分百分率であって、全糖対照組成物が栄養性甘味料をアルロース及び低糖シロップ、低糖固形分、又はそれらの組み合わせで置き換えていない、固形分百分率、並びに(ii)全糖対照組成物の平均硬度測定値の約20%以内である平均硬度測定値(グラム重)を有する、冷菓組成物を形成することと、を含む、使用。
16.アルロースが、冷菓組成物の少なくとも約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、若しくは4重量%のアルロース(乾燥基準)又は3.5重量%超のアルロース(乾燥基準)を構成し、アルロースが、少なくとも約85%のアルロース並びに約15%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、少なくとも約90%のアルロース並びに約10%の他の単糖類及び/若しくは二糖類、又は少なくとも約95%のアルロース並びに約5%の他の単糖類及び/若しくは二糖類を含む、液体シロップである、実施形態15に記載の使用。
17.組成物が、約2~10重量%のアルロース(乾燥基準)、約3.5~10重量%のアルロース(乾燥基準)、又は約4~10重量%のアルロース(乾燥基準)の量を含む、実施形態15又は16に記載の使用。
18.冷菓組成物が、全糖対照組成物と比較して、少なくとも20%の添加糖の低減、25%の添加糖の低減、30%の添加糖の低減、40%の添加糖の低減、50%の添加糖の低減、75%の添加糖の低減、80%の添加糖の低減、又は100%の添加糖の低減を有する、実施形態15~17のいずれか1つに記載の使用。
19.冷菓組成物が、全糖対照組成物と比較して、少なくとも2%のカロリー低減、少なくとも5%のカロリー低減、少なくとも10%のカロリー低減、少なくとも15%のカロリー低減、又は少なくとも20%のカロリー低減を有する、実施形態15~18のいずれか1つに記載の使用。
20.冷菓組成物が、アイスクリームである、実施形態15~19のいずれか1つに記載の使用。
21.冷菓組成物が、(i)24超のDE、25~40のDE、若しくは26~34のDE、(ii)30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、若しくは約15重量%未満のDP4含有量、(iii)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP8+含有量、(iv)25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、若しくは約5重量%未満のDP10+含有量、(v)少なくとも約4.8以上であるDP3+含有量(組成物100グラム当たり)、(vi)少なくとも約2.8以下である(DP1+DP2)/DP3+比率、又は(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせを有する、実施形態15~20のいずれか1つに記載の使用。
【実施例
【0067】
上に記載した実施形態を、以下の非限定的な実施例で更に定義する。これらの実施例は、本発明の様々な実施形態を記載するものの、例示の目的のみで提供されていることが理解されるべきである。上記議論及びこれらの実施例より、当業者は本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態を変更及び修正し、実施形態を様々な使用及び条件に適応させることができる。したがって、本明細書に記載の実施形態の様々な修正が、本明細書にて示し、かつ記載するものに加えて、前述の記載から当業者には明らかとなろう。そのような修正は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって包含されることも意図される。本明細書に記載の明細書及び実施例、又は以下の特許請求の範囲、又は添付図面に、具体的な形態で、又は開示した機能、若しくは開示した結果を得るための方法若しくはプロセスを適宜実施するための手段の観点から表現した特徴は、個別に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで、様々な形態において、本発明を実現するために利用することができる。
【0068】
以下の実施例において分析されるアイスクリーム組成物を、5%脂肪アイスクリーム(表2~3)及び10%脂肪アイスクリーム(表4)の両方について以下のプロセスに従って作製した。
1)低温殺菌乾燥成分の事前ブレンドを処理前に作製した。コーンシロップを使用する場合は、コーンシロップを秤量し、ミルク又は水の一部分に溶解した。クリーム及び香料を除く全ての成分(ミルク、水、乾燥成分、溶解コーンシロップなど)をブレンドし、Likwifier中で約20分間継続的に撹拌しながら水和した。クリームをブレンド中に穏やかに混合した後、混合物をマイクロサーミクス(microthermics)(以下の通り)プロセッサに送った。混合物を、30秒保持チューブで84℃の最終加熱に供した。混合物は、保持チューブの端部で79℃超であり、続いて66℃で予熱し、1500/500PSI均質化に供した。混合物を約13℃以下に冷却し、清潔で衛生的な容器に回収し、直ちに冷蔵した。粘度及び固形分測定のために、混合物の小容器も回収した。
2)凍結続いて、調製した混合物に香料を添加した。100%のオーバーラン(±5%)を目標として、500mLの重量の調製混合物を採取した。オーバーラン%計算=(混合物の重量-アイスクリームの同じ体積の重量)/アイスクリームの同じ体積の重量×100%。取り出し温度が約-6℃に安定してから、アイスクリームを回収した。試料カップを充填し、現在のバッチが完了するまでドライアイス上に置き、追加のドライアイスをアイスクリームの上にすくい上げて、-18℃のコア温度にできるだけ迅速に到達させた。各セットを、全て一度に、約-34℃に設定したブラストフリーザに移した。製品を、約4時間ブラストフリーザに置いてから、通常の凍結保存(-13℃)に移した。
【0069】
実施例で使用するアルロースは、ASTRAEA(登録商標)液体アルロースであり、純度95%及び固形分74%である。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
実施例1
硬度、官能評価、測定された糖/カロリー低減、及びDP分布についての5%脂肪アイスクリーム配合物評価
硬度評価。表2の低脂肪アイスクリーム配合物を調製して、全糖対照の硬度及び食感属性を、増加するレベルのアルロースを含有する組成物と比較した。全糖対照配合物は、12%の糖(スクロース)を使用した。アルロースを2.5~10%の乾燥基準レベルで使用して、アイスクリームの糖/カロリーを低減させる。配合物中の全固形分は、表2の全糖対照と同様にバランスがとられている。表2は、配合物の凝固点降下(℃)も示す。単糖であるアルロースは、二糖としてのスクロースよりも凝固点降下を低減させる(アルロース含有量が増加するにつれてFPD℃値が低くなる)。これにより、より柔らかいアイスクリーム組成物がもたらされる。
【0074】
アイスクリーム配合物の硬度を、食感分析(TAXT2食感分析器)(「TA-XT」)を使用して測定した。プローブを冷凍庫に入れ、そこで製品を保存して、少なくとも1時間、製品温度に平衡化させた。製品及びプローブを冷凍庫から迅速に取り出した。プローブをTA-XTに取り付け、製品をプローブの下の中心に置き、直ちに試験を実施した。以下の条件を使用して、各試験の間にプローブを20~30分間冷凍庫に入れた。
30kgのロードセルを使用
付属品:TA55(直径5mm、高さ35mm)ステンレス鋼シリンダープローブ
設定:
-試験モード:圧縮
-試験前速度:2mm/秒
-試験速度:0.2mm/秒
-試験後速度:4mm/秒
-目標モード:距離、25mm
-トリガータイプ:自動
-トリガー力:0.5g
【0075】
3~4個の個々のカップからの試料当たり1つの読み取り値を記録し、硬度測定値を図1にグラフで示した。
【0076】
2.5%及び3.5%レベル(乾燥基準)では、軟化効果は、アイスクリーム製品の再配合を必要とするほど有意ではない。これは、対照(全糖)と比較して2.5~3.5%のアルロースを含有する試料の統計的有意性を考慮した場合に示される。しかしながら、硬度の減少は、アルロースのレベルが増加すると、すなわち3.5%(乾燥基準)を超えると拡大される。アルロースが5%(乾燥基準)である場合、平均アイスクリーム硬度が著しく低減することが実証される。7%及び10%レベルでは、効果はより有意である。
【0077】
低糖シロップ/固形分(LSS)をアイスクリーム組成物に添加したところ、アルロースのレベルの増加に伴う軟化問題が実証された。表3のアイスクリーム配合物を評価したが、ここでも、配合物中の固形分%は、全糖対照と匹敵して維持することが目的であった。図2は、測定された平均硬度を示し、図1に示された初期試験と比較して増加した平均硬度を示している。結果は、LSSの添加がアルロース含有配合物の平均硬度を増加させ、それらを全糖対照と匹敵させ、特に5%脂肪全糖対照の硬度測定値の20%以内にしたことを示す。凝固点降下(「FPD」)(℃)もまた、アルロースのみを含有するアイスクリーム配合物のそれぞれの値を超える改善を示した。
【0078】
図1及び図2の比較が、図3に示される。注目すべきことに、以下を含有するアイスクリーム配合物の硬度が有意に増加する。5%アルロース(36DEを含む)と比較して5%アルロース+LSS、7%アルロース(36DEを含む)と比較して7%アルロース+LSS、及びまた10%アルロース(36DEを含む)と比較して10%アルロース+LSS。アルロースとともにLSSを組み込むことは、非LSS、すなわち、約25+のDP1+DP2含有量を有するためLSSとして分類されない36DEを含むアルロースよりも性能が優れている(凍結アイスクリームにおける硬度の再構築において)。
【0079】
硬度についての官能評価。表2の低脂肪アイスクリーム配合物を、訓練された官能パネルによる低脂肪アイスクリーム試料の食感評価のために提供した。硬度の強度は、15ポイントユニバーサルスケール(1~15であり、1が最も柔らかく、15が最も硬い)を使用して測定した。結果を表5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
機器による食感分析と同様に、官能試験は、アルロースが単独で使用される場合、より柔らかく知覚されることを示す(11.15スコアから8.15スコアへの減少)。有益なことに、LSSとともに配合された場合、パネリストによって知覚されるように、匹敵した硬度が再構築された。
【0082】
糖/カロリー低減測定。アルロース含有アイスクリーム配合物についてのカロリー割合及び添加糖の低減に関する追加の評価を完了した。添加糖は、全単糖類及び二糖類として定義される。アルロースは単糖(DP1)であるが、従来の糖とは非常に異なって代謝されるため、「添加」糖カテゴリーにはカウントされない(FDA Draft Guidance「The Declaration of Allulose and Calories from Allulose on Nutrition and Supplement Facts Labels:Guidance for Industry」dates April2019)。結果を表6~7に示す。
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
表6は、研究した配合物におけるカロリー及び添加糖の低減を示す。アルロースを単独で2.5~10%レベルで使用する場合、17.6~69.9%の添加糖の低減及び6.25~18.75%のカロリーの低減がもたらされる。アルロースをLSSと併せて使用する場合、カロリー低減はあまり影響を受けないが、添加糖の低減の可能性は82.4%まで有意に増加する。有益なことに、結果は、アルロースとともにLSSを使用した結果として、アイスクリームの堅さ及び食感を損なうことなく、評価されたアイスクリーム製品で有意な糖の低減及びカロリーの低減も示す。
【0086】
低脂肪配合物のDP分布。表2~3の低脂肪(5%)アイスクリーム配合物を、表8~9に示す配合物のDP分布及び組み合わせ比率について更に分析した。本明細書で言及される場合、DP1及びDP2は、それぞれ、単糖類及び二糖類であり、これらは、添加糖について定義された用語である。アルロースは単糖(DP1)であるが、従来の糖とは非常に異なって代謝されるため、「添加」糖カテゴリーにはカウントされない(FDA Draft Guidance「The Declaration of Allulose and Calories from Allulose on Nutrition and Supplement Facts Labels:Guidance for Industry」dates April2019)。
【0087】
【表8】
【0088】
表8に示されるように、アルロースのみによる糖の代替物質(2.5~10%)と比較した対照(全糖)組成物は、アルロースの量を増加させてスクロースを置き換えるにつれて、DP3+含有量(アイスクリーム組成物100グラム当たり)の維持を示すが、コーンシロップの量は、アイスクリーム組成物中の同等の固形分百分率を維持するために配合物について維持される。したがって、DP3+測定値は、少なくとも約4.8以上である。加えて、表8は、(DP1+DP2)/DP3+比率が2.8で一定であることを示す。組成物中のアルロースが2.5%から10%に増加するにつれて、DP1含有量は増加するが、DP2含有量は、スクロースが減少するにつれて減少する。
【0089】
【表9】
【0090】
表9に示されるように、アルロース及びLSSを含有する糖の代替物質(4~10%アルロース)と比較した対照(全糖)組成物は、評価した全ての冷菓組成物においてDP3+測定値が4.8以上であるように(それぞれ9.2、7.5、11.3及び12.5)、アルロースに加えてLSSの量を増加させてスクロースを置き換えるにつれて、DP3+含有量(アイスクリーム組成物100グラム当たり)の増加を示す。加えて、表9は、低脂肪冷菓組成物の(DP1+DP2)/DP3+比率が2.8以下(それぞれ、1.1、1.3、0.8及び1.0)であることを示す。
【0091】
実施例2
硬度及び測定された糖/カロリー低減についての10%脂肪アイスクリーム配合物評価
硬度評価。表3の全脂肪アイスクリーム配合物を調製して、全糖対照の硬度及び食感属性を、増加するレベルのアルロースを含有する組成物と比較した。全糖対照配合物は、12%の糖(スクロース)を使用する。アルロースを4~5%の乾燥基準レベルで使用して、アイスクリームの糖/カロリーを低減させる。配合物中の全固形分は、表3の全糖対照と同様にバランスがとられている。表3は、配合物のFPD(℃)も示す。実施例1に記載の同じ方法に従って硬度を測定した。
【0092】
5%脂肪アイスクリームについて実施例1で観察された同じ配合物課題は、表3及び図4に示されるように、10%脂肪アイスクリームについて更に確認される。低脂肪配合物と同様に、アルロース単独は、アイスクリームの軟化を引き起こし、LSSと併せたアルロースは、特に10%脂肪全糖対照の硬度測定値の10%以内の、全糖対照に匹敵する硬度を可能にする。効果はまた、FPD(℃)でも実証され、アルロースが単独で使用される場合、FPD温度はより低く、アルロースがLSSと併せて使用される場合、FPD温度は全糖対照に近い(表3)。図4は、4%及び5%アルロースの両方をLSSと組み合わせた場合の、全糖対照に匹敵する硬度の増加を示し、5%アルロース単独と比較して増加した硬度を提供する。
【0093】
有益なことに、硬度を試験する実施例は、糖/カロリーが低減されたアイスクリームが、低脂肪(5%)及び全脂肪アイスクリーム配合物(10%)の両方について、全糖配合物の食感/硬度を維持することを示す。
【0094】
糖/カロリー低減測定。アルロース含有アイスクリーム配合物についてのカロリー割合及び添加糖の低減に関する追加の評価を完了した。添加糖は、全単糖類及び二糖類として定義される。アルロースは単糖(DP1)であるが、従来の糖とは非常に異なって代謝されるため、「添加」糖カテゴリーにはカウントされない(FDA Draft Guidance「The Declaration of Allulose and Calories from Allulose on Nutrition and Supplement Facts Labels:Guidance for Industry」dates April2019)。結果を表10に示す。
【0095】
【表10】
【0096】
表10は、研究した全脂肪配合物におけるカロリー及び添加糖の低減を示す。5%アルロース使用レベルで、LSSとの組み合わせは、アルロース単独使用よりも6.7%多い添加糖の低減を提供する。加えて、全脂肪アイスクリーム配合物中の全糖対照と比較して、5%アルロース使用レベルで最大6.25%のカロリー低減が可能であった。この場合も、結果は、アルロースとともにLSSを使用した結果として、アイスクリームの堅さ及び食感を損なうことなく、評価されたアイスクリーム製品で有意な糖の低減及び有意なカロリーの低減を示す。有益なことに、結果は、製品中のアルロースの範囲(少なくとも3.5%~10%)とともに、全脂肪及び低脂肪アイスクリーム製品の両方に利益をもたらすことが示される。
【0097】
低脂肪配合物のDP分布。表3の全脂肪(10%)アイスクリーム配合物を、表11に示されるように配合物のDP分布及び組み合わせ比率について更に分析した。本明細書で言及される場合、DP1及びDP2は、それぞれ、単糖類及び二糖類であり、これらは、添加糖について定義された用語である。アルロースは単糖(DP1)であるが、従来の糖とは非常に異なって代謝されるため、「添加」糖カテゴリーにはカウントされない(FDA Draft Guidance「The Declaration of Allulose and Calories from Allulose on Nutrition and Supplement Facts Labels:Guidance for Industry」dates April2019)。
【0098】
【表11】
【0099】
表11に示されるように、結果は、表8~9で低脂肪冷菓組成物について上述した結果と一致する。すなわち、評価した全ての冷菓組成物においてDP3+測定値が4.8以上であるように(それぞれ4.8、7.5、及び9.2)、アルロースに加えてLSSの量を増加させてスクロースを置き換えるにつれて、冷菓組成物は、DP3+含有量(アイスクリーム組成物100グラム当たり)の増加を示す。加えて、表11は、冷菓組成物の(DP1+DP2)/DP3+比率が2.8以下(1.3及び1.1)であることを示す。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】