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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】レムデシビル治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/706 20060101AFI20230629BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230629BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
A61K31/706
A61P31/12
A61P31/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573334
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021034764
(87)【国際公開番号】W WO2021243157
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/032,321
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チラー, トーマス
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB33
(57)【要約】
対象におけるウイルス感染症を治療又は予防する方法であって、式(I)、式(Ia)、若しくは式(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、対象がクロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療中ではない方法が、本明細書で提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、前記ウイルス感染症の治療を行う方法であって、前記方法は、治療有効量の式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を前記ヒトに投与することを含み、
【化16】

前記ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療中ではなく、それにより、前記ウイルス感染症を治療する、方法。
【請求項2】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、1日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の前記第1の用量を受けることの、10日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の前記第1の用量を受けることの、90日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の前記第1の用量を受けることの、365日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ウイルス感染症の前記治療中に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、前記ヒトに指示することを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも10日間前記ヒトに待機するように指示することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒトは、前記ウイルス感染症の前記治療中に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されない、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量が前記ヒトに投与される時点で、50ng/mL未満の、血漿中又は血液中のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキン、デスエチルクロロキン、ヒドロキシクロロキン、デスエチルヒドロキシクロロキン、若しくはビデスエチルヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキン、又はその薬学的に許容される塩である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキンホスフェートである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、ヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、ヒドロキシクロロキンサルフェートである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記治療有効量の式Iの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与すること、
【化17】

を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記治療有効量の式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与すること、
【化18】

を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ヒトに、前記治療有効量の式Iaの前記化合物を投与すること、
【化19】

を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、吸入により又は静脈内に投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、静脈内に投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、吸入により投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒトの体重は、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に200mgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
100mgの前記第2の用量は、更に1~5日間投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ヒトの体重は、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に200mgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記ヒトの体重は、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に5mg/kgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
2.5mg/kgの前記第2の用量は、更に1~5日間投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒトの体重は、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に5mg/kgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記ウイルス感染症は、アレナウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、ニューモウイルス科、及びパラミクソウイルス科からなる群から選択されるウイルスによって引き起こされる、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ウイルス感染症は、アレナウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アレナウイルス科ウイルスは、ラッサウイルス又はフニンウイルスである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ウイルス感染症は、コロナウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記コロナウイルス科ウイルスは、SARSウイルス、SARS-CoV-2ウイルス、MERSウイルス、229Eウイルス、NL63ウイルス、OC43ウイルス、又はHKU1ウイルスである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記コロナウイルス科ウイルスは、SARSウイルス、SARS-CoV-2ウイルス、又はMERSウイルスである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記コロナウイルス科ウイルスは、SARS-CoV-2ウイルスである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも70%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも80%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、請求項30~32、又は34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも90%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、請求項30~32、34、又は35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも95%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、請求項30~32、及び34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ウイルス感染症は、フィロウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記フィロウイルス科ウイルスは、エボラウイルス又はマールブルグウイルスである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ウイルス感染症は、フラビウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記フラビウイルス科ウイルスは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、又はジカ熱ウイルスである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記フラビウイルス科ウイルスは、黄熱病ウイルスである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ウイルス感染症は、ニューモウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルス又はヒトメタニューモウイルスである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ウイルス感染症は、パラミクソウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の方法。
【請求項47】
前記パラミクソウイルス科ウイルスは、ニパウイルス又はパラインフルエンザウイルスである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
血漿中又は血液中の、式IIの化合物又はその薬学的に許容される塩の濃度を最適化することを、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、
【化20】

前記方法は、抗ウイルス化合物を、前記ヒトに投与することを含み、
前記ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されておらず、
前記抗ウイルス化合物は、前記ヒトに投与されると、式IIの前記化合物に変換され、
血漿中又は血液中の、式IIの前記化合物の前記濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で最適化される、方法。
【請求項49】
前記ヒトは、ウイルス感染症の治療の前、1日以内に、クロロキン又はその類似体を投与されていない、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ヒトは、ウイルス感染症の治療の前、10日以内に、クロロキン又はその類似体を投与されていない、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記ヒトは、前記抗ウイルス化合物の第1の用量が前記ヒトに投与される時点で、50ng/mL未満の、血漿中又は血液中の、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの前記化合物の前記濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療された基準となるヒトにおける、式IIの化合物の第2の濃度よりも高い、請求項48又は51に記載の方法。
【請求項53】
前記抗ウイルス化合物は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項48~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
血漿中又は血液中の、式IIの化合物、又はその薬学的に許容される塩の濃度を最適化することを、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、
【化21】

前記方法は、
(a)前記ヒトに、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することと、
【化22】

(b)前記ヒトにおける、血漿中又は血液中の、式IIの前記化合物の前記濃度を測定することと、
(c)式I、式Ia、又は式Ibの前記化合物の任意の残りの用量を調整して、前記ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの前記化合物の前記濃度を最適化することと、を含む方法。
【請求項55】
前記ヒトに、1日分の用量を投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ヒトに、10日分の用量に投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、前記ウイルス感染症を治療するために、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の送達用量を決定する方法であって、
【化23】

前記方法は、
(a)式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の、元の用量を提供することと、
(b)前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていたかどうかを判定することと、
(c1)前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていた場合には、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の、前記元の用量を増加させることにより前記送達用量を決定すること、又は
(c2)前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない場合には、前記送達用量として、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の、前記元の用量を選択すること、を行うことと、を含む方法。
【請求項58】
前記方法は、前記ウイルス感染症の前記治療の前、1日以内に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体を投与されたかどうかを判定することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記方法は、前記ウイルス感染症の前記治療の前、10日以内に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体を投与されたかどうかを判定することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
式IIの化合物の形成を、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、前記方法は、前記ヒトに、治療有効量の式Iaの化合物を投与することと、前記ヒトに、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、を含み、式Iaの前記化合物は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で、式IIの前記化合物に代謝され、
式IIの前記化合物は、以下の構造を有し、
【化24】

式Iaの前記化合物は、以下の構造を有する、
【化25】

方法。
【請求項61】
式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していた場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物を投与する前に、少なくとも1日間待機する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性の低下のリスクを低減する方法であって、
【化26】

前記方法は、
(a)前記ヒトが、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したかどうかを判定することと、
(b)前記ヒトに、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与することと、を含み、
それにより、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効性が低下するリスクを低減する、方法。
【請求項63】
式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間待機する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける禁忌症を予防する方法であって、
(a)前記ヒトが、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したかどうかを判定することと、
【化27】

(b)前記ヒトに、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩で治療している間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与することと、を含み、
それにより、前記ヒトにおける禁忌症を予防する、方法。
【請求項65】
式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間待機する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する方法であって、
【化28】

前記方法は、
(a)前記ヒトが、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたかどうかを判定することと、
(b)前記ヒトに、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与することと、を含み、
それにより、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する、方法。
【請求項67】
式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間待機する、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、血漿中の、式IIの化合物の濃度の低下のリスクを低減する方法であって、
【化29】

前記方法は、
(a)前記ヒトが、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたかどうかを判定することと、
(b)前記ヒトに、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与することと、を含み、
【化30】

それにより、血漿中の、式IIの前記化合物の濃度が低下するリスクを低減する、方法。
【請求項69】
式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間待機する、請求項68に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月29日に出願された米国仮特許出願第63/032,321号の優先権を主張し、この出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
いくつかのアレナウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、オルソミクソウイルス科、ニューモウイルス科、及びパラミクソウイルス科のウイルス感染症を予防又は治療することは、これらの科に由来するウイルスによって引き起こされる感染症を予防又は管理するためのワクチン又は曝露後の治療モダリティの欠如による課題を提示する。いくつかの場合では、患者は、電解質及び体液平衡、酸素、血圧維持、又は二次感染の治療などの支持療法を受けるだけである。
本明細書で式Iaの化合物と称する化合物(S)-2-エチルブチル2-(((S)-(((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-5-シアノ-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートは、アレナウイルス科ウイルス、コロナウイルス科ウイルス、フィロウイルス科ウイルス、パラミクソウイルス科ウイルス、及びフラビウイルス科ウイルスを含む、いくつかのウイルス科に対して抗ウイルス特性を示すことが既知である(例えば、Warren,T.et al.,Nature(2016)531:381-385、Lo MK,et al.,Sci.Reports 2017;7:43395;Sheahan TP,et al.Sci.Transl.Med.2017;9:eaal3653;Agostini ML,et al.,MBio 2018;9(2):e00221-18;Cell Research(2020)30:269-271、及び国際公開第2017/184668号を参照されたい)。式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、ウイルス感染症の治療方法の開発に対するニーズが存在する。
ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、ウイルス感染症の治療方法は、その化合物の抗ウイルス活性を減少、遅延、又は減衰させる他の薬剤を回避するべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/184668号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Warren,T.et al.,Nature(2016)531:381-385
【非特許文献2】Lo MK,et al.,Sci.Reports 2017;7:43395
【非特許文献3】Sheahan TP,et al.Sci.Transl.Med.2017;9:eaal3653
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、ウイルス感染症の治療を行う方法を提供し、本方法は、治療有効量の式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含み、
【化1】

ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療中ではなく、それにより、ウイルス感染症を治療する。
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、血漿中又は血液中の、式IIの化合物又はその薬学的に許容される塩の濃度を最適化することを、それを必要とするヒトにおいて行う方法を提供し、
【化2】

本方法は、抗ウイルス化合物をヒトに投与することを含み、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されておらず、抗ウイルス化合物は、ヒトに投与されると、式IIの化合物に変換され、血漿中又は血液中の式IIの化合物の濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で最適化される。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示は、血漿中又は血液中の、式IIの化合物、又はその薬学的に許容される塩の濃度を最適化することを、それを必要とするヒトにおいて行う方法を提供し、本方法は、(a)ヒトに、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することと、(b)ヒトにおける、血漿中又は血液中の、式IIの化合物の濃度を測定することと、(c)式I、式Ia、又は式Ibの化合物の任意の残りの用量を調整して、ヒトにおける、血漿中又は血液中の、式IIの化合物の濃度を最適化することと、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、ウイルス感染症を治療するために、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の送達用量を決定する方法を提供し、本方法は、(a)式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の、元の用量を提供することと、(b)ヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていたかどうかを判定することと、(c1)ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていた場合に、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の元の用量を増加させることにより送達用量を決定すること、又は(c2)ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない場合に、送達用量として、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の、元の用量を選択すること、を行うことと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IIの化合物の形成を、それを必要とするヒトにおいて行う方法が提供され、本方法は、ヒトに治療有効量の式Iaの化合物を投与することと、ヒトに、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、を含み、式Iaの化合物は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で、式IIの化合物に代謝され、式IIの化合物は、以下の構造を有し、
【化3】

式Iaの化合物は、以下の構造を有する。
【化4】
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性の低下のリスクを低減する方法を提供し、本方法は、
(a)ヒトが、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したかどうかを判定することと、(b)ヒトに、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、(c)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することと、を含み、それにより、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性が低下するリスクを低減する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける禁忌症(contraindication)を予防する方法を提供し、本方法は、(a)ヒトが、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したかどうかを判定することと、(b)ヒトに、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩で治療している間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、(c)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を、ヒトに投与することと、を含み、それにより、ヒトにおける禁忌症を予防する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する方法を提供し、本方法は、(a)ヒトが、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたかどうかを判定することと、(b)ヒトに、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、(c)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を、ヒトに投与することと、を含み、それにより、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、血漿中の、式IIの化合物の濃度の低下のリスクを低減する方法を提供し、本方法は、(a)ヒトが、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたかどうかを判定することと、(b)ヒトに、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、(c)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を、ヒトに投与することと、を含み、それにより、血漿中の、式IIの化合物の濃度が低下するリスクを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】A549-hACE2細胞における、式Ia三リン酸(TP)形成に対する、クロロキン(CQ)又はヒドロキシクロロキン(HCQ)の効果を示す図である。
図2】NHBE培養物における、式Ia三リン酸(TP)形成に対する、CQ又はHCQの効果を示す図である。
図3】HEp-2細胞における、式Ia三リン酸(TP)形成に対する、CQ又はHCQの効果を示す図である。
図4】A549-hACE2細胞における、CQ又はHCQのいずれかと組み合わせた式Iaの化合物の、抗SARS-CoV-2ウイルスデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
I.概論
本開示は、対象におけるウイルス感染症を治療する方法を提供し、その方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含み、対象は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療中ではない。
II.定義
【0016】
「本開示の化合物」は、本明細書に記載の方法で対象に投与される化合物を指し、式I、式Ia、式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0017】
「薬学的に許容される」又は「生理学的に許容される」は、獣医学的又はヒトの薬学的使用に好適な医薬組成物を調製するのに有用である化合物、塩、組成物、剤形、及び他の物質を指す。
【0018】
「薬学的に許容される賦形剤」には、ヒト又は家畜における使用が許容されるものとして米国食品医薬品局によって承認されている、任意のアジュバント、担体、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、又は乳化剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
「医薬組成物」は、本開示の化合物と、生物学的に活性な化合物を哺乳動物、例えばヒトに送達するために当該技術分野で一般に受け入れられている媒体との製剤を指す。そのような媒体には、そのための全ての薬学的に許容される賦形剤が含まれる。
【0020】
「有効量」又は「治療有効量」は、本開示による化合物の量であって、それを必要とする患者に投与したときにその化合物が有用である、病状、状態、又は障害の治療をもたらすのに十分である量を指す。そのような量は、研究者又は臨床医によって求められる組織系又は患者の生物学的又は医学的応答を誘発するのに十分なものであろう。治療有効量を構成する本開示の化合物の量は、化合物及びその生物学的活性、投与のために使用される組成物、投与時間、投与経路、化合物の排泄速度、治療期間、治療される病状又は障害のタイプ及びその重症度、本開示の化合物と組み合わせて使用される又は同時に使用される薬物、並びに患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、及び食事などの要因によって異なることになる。そのような治療有効量は、通常、自身の知識、最新技術、及び本開示を考慮した当業者によって決定され得る。
【0021】
「治療」、「治療すること」、又は「治療する」という用語は、臨床結果を含む有益な結果又は所望の結果を得るためのアプローチを指す。有益な又は望ましい臨床結果は、以下のうちの1つ以上を含むことができる。すなわち、a)疾患又は状態を阻害すること(例えば、疾患又は状態から結果として生じる1つ以上の症状を低下させること、及び/又は疾患又は状態の程度を減衰させること)、b)疾患又は状態と関係する1つ以上の臨床症状の発症を遅滞又は阻止すること(例えば、疾患又は状態を安定化すること、疾患又は状態の悪化又は進行を予防する又は遅滞させること、及び/又は疾患又は状態の拡散(例えば、転移)を予防する又は遅滞させること)、並びに/あるいは、c)疾患を緩和すること、すなわち、臨床症状の退行を引き起こすこと(例えば、疾患状態を改善すること、疾患又は状態の部分寛解若しくは完全寛解を提供すること、別の薬品の効果を増強すること、疾患の進行を遅滞させること、生活の質を高めること、及び/又は生存を延長させること、である。
【0022】
「予防」又は「予防すること」は、疾患又は状態の臨床症状を発症させない、疾患又は状態のあらゆる治療を意味する。いくつかの実施形態では、化合物は、リスクを有するか又は疾患若しくは状態の家族歴を有する対象(ヒトを含む)に投与され得る。
【0023】
「対象」又は「患者」は、治療、観察、又は実験の目的であったことがあるか、又は目的となる哺乳動物(ヒトを含む)などの動物を指す。本明細書に説明する方法は、ヒトの療法及び/又は獣医学への応用において有用であり得る。いくつかの実施形態では、対象又は患者は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象又は患者は、ヒト、イヌ若しくはネコのような飼育動物、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、若しくはブタなどの家畜、又はマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ブタ、ウサギ、イヌ、若しくはサルなどの実験動物である。いくつかの実施形態では、対象又は患者は、ヒトである。
【0024】
「それを必要とするヒト」は、特定の治療から利益を得るであろう、疾患又は状態を有し得るか又は有することが疑われるヒトを指し、例えば、本出願に従って本明細書に開示される化合物で、ウイルス感染症を治療するために治療されているヒトを指す。
III.使用方法
【0025】
本開示はまた、それを必要とするヒトにおけるウイルス感染症を治療又は予防する方法を提供し、その方法は、本明細書に記載の化合物を投与することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、ウイルス感染症の治療を行う方法を提供し、その方法は、治療有効量の式I、式Ia、若しくは式Ib、
【化5】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含み、
ヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療中ではなく、それにより、ウイルス感染症を治療する。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示は、式I、式Ia、又は式Ibの化合物のヒトへの投与を確認する方法を提供し、その方法は、ヒトから得られた生体試料中の式IIの化合物又はその塩を特定することを含む。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療中ではない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で以前に治療されていない。いくつかの実施形態では、生体試料は、血漿又は血液に由来する。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトにおける、式I、式Ia、又は式Ibの化合物の代謝速度を測定する方法を提供し、その方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与後、1つ以上の時点でヒトにおける、式IIの化合物又はその塩の量を測定することを含む。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で以前に治療されていない。いくつかの実施形態では、式IIの化合物又はその塩の量は、ヒトから得られた生体試料から測定される。いくつかの実施形態では、式IIの化合物又はその塩の量は、血液試料から測定される。いくつかの実施形態では、式IIの化合物又はその塩の量は、血漿試料から測定される。
【0029】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症の治療における、ヒトの予防的又は治療的応答を決定する方法を提供し、その方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与後の1つ以上の時点で、ヒトにおける式IIの化合物又はその塩の量を測定することを含む。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で以前に治療されていない。いくつかの実施形態では、式IIの化合物又はその塩の量は、ヒトから得られた生体試料から測定される。いくつかの実施形態では、式IIの化合物又はその塩の量は、血液試料から測定される。いくつかの実施形態では、式IIの化合物又はその塩の量は、血漿試料から測定される。
A.クロロキン投与
【0030】
本方法は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の感知できるほどの全身濃度を有さないヒトの治療法を提供する。いくつかの実施形態では、それを必要とするヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩によって以前に治療されてはいない。
【0031】
いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩によって、以前に治療されている。いくつかの実施形態では、それを必要とするヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前のある一定の期間にわたって、クロロキン、又はその類似体若しくは塩によって治療されていない。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩による治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、本開示の化合物の抗ウイルス活性が減少しないように、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の全身濃度の減少を可能にする。例えば、クロロキン、又はその類似体若しくは塩による治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、排出又は代謝の結果としての、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の血漿濃度の減少を可能にすることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩による治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、90日間、120日間、150日間、180日間、210日間、240日間、270日間、300日間、330日間、又は365日間である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも14日間である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも28日間である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも40日間である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも50日間である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも60日間である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも90日間である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも120日間である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも180日間である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも365日間である。
【0033】
いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を用いた治療と、本開示の化合物の投与との間の期間は、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間、又は少なくとも24時間である。
【0034】
いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受ける約1日~約365日前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されているか、又は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受ける約1日~約14日、約1日~約21日、約1日~約30日、約1日~約45日、約10日~約45日、約14日~約45日、約21日~約45日、約28日~約45日、約30日~約45日、10日~約60日、約14日~約60日、約21日~約60日、約28日~約60日、約30日~約60日、約40日~約60日、約10日~約90日、約14日~約90日、約21日~約90日、約28日~約90日、約30日~約90日、約40日~約90日、約10日~約365日、約14日~約365日、約21日~約365日、約28日~約365日、約30日~約365日、若しくは約60日~約365日前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されている。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受ける約30日~約60日前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されている。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受ける約21日~約45日前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、又は20時間以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、90日、120日、150日、180日、210日、240日、270日、300日、330日、又は365日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。
【0036】
いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、1日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、2日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、5日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、7日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、10日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、90日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、365日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。
【0037】
いくつかの実施形態では、本方法は、ウイルス感染症の治療中に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、ヒトに指示することを更に含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、本方法は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与される前に、約1日~約365日にわたって待機するようにヒトに指示することを更に含み、又は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与される前に、約1日~約4日、約1日~約7日、約1日~約10日、約1日~約14日、約10日~約45日、約14日~約45日、約21日~約45日、約28日~約45日、約30日~約45日、10日~約60日、約14日~約60日、約21日~約60日、約28日~約60日、約30日~約60日、約40日~約60日、約10日~約90日、約14日~約90日、約21日~約90日、約28日~約90日、約30日~約90日、約40日~約90日、約10日~約365日、約14日~約365日、約21日~約365日、約28日~約365日、約30日~約365日、又は約60日~約365日にわたって待機するようにヒトに指示することを更に含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、本方法は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、ヒトに待機するように指示することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、90日間、120日間、150日間、180日間、210日間、240日間、270日間、300日間、330日間、又は365日間、ヒトに待機するように指示することを更に含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、本方法は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、約30分間から約1日間、ヒトに待機するように指示することを更に含む。例えば、式I、式Ia、又は式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間、又は少なくとも24時間待機するように指示する。
【0041】
いくつかの実施形態では、本方法は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、ヒトに待機するように指示することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、90日間、120日間、150日間、180日間、210日間、240日間、270日間、300日間、330日間、又は365日間、ヒトに待機するように指示することを更に含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本方法は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、約30分間から約1日間、ヒトに待機するように指示することを更に含む。例えば、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間、又は少なくとも24時間待機するように指示する。
【0043】
いくつかの実施形態では、ヒトは、ウイルス感染症の治療中にクロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されない。いくつかの実施形態では、本方法は、ウイルス感染症の治療中に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与しないように、ヒトに指示することを更に含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、本方法は、治療の開始前に、ヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていないことを条件に、治療有効量の式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与し、それによってウイルス感染症を治療することを含む。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を、治療開始前に、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、90日間、120日間、150日間、180日間、210日間、240日間、270日間、300日間、330日間、又は365日間にわたって投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を、治療開始前に、少なくとも1日間にわたって投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を、治療開始前に、少なくとも10日間にわたって投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を、治療開始前に、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間、又は少なくとも24時間の間にわたって投与されていない。
【0045】
様々な手法を使用して、それを必要とするヒトが、以前にクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したことがあるかどうかを判定することができる。非限定的な手法には、自己報告、ヒトへの聞き取り、ヒトの医療記録の検討、又はヒトの血漿中又は血液中の、クロロキン、又はその代謝産物、類似体、若しくは塩の濃度の測定が含まれる。
【0046】
ウイルス感染症の治療を必要とするヒトはまた、式Iの化合物、式Ia、若しくは式Ibの化合物などの本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、血漿中又は血液中の、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度について評価され得る。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症の治療を必要とするヒトは、血漿中又は血液中の濃度を、本開示の化合物の投与前に測定される。
【0047】
ヒトの血漿中又は血液中の、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度は、当該技術分野で既知の任意の方法によって測定することができる。例えば、Walker,O.et al.,British Journal Clinical Pharmacology(1983),vol.16,701-705ページ;Kaewkhao,K.et al.,Bioanalysis(2019),vol.11(5),333-347ページ;Durcan,L.et al.,Journal of Rheumatology(2015),vol.42(11),2092-2097ページ;Munster,T.et al.,Arthritis Rheumatology(2002),vol.46(6),1460-1469ページを参照されたい。
【0048】
いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量がヒトに投与される時点で、約0.1ng/mL~約5000ng/mLの、血漿中又は血液中のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有するか、又は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量がヒトに投与される時点で、約0.1ng/mL~約4000ng/mL、約0.1ng/mL~約3000ng/mL、約0.1ng/mL~約2000ng/mL、約0.1ng/mL~約1000ng/mL、約0.1ng/mL~約500ng/mL、約0.1ng/mL~約400ng/mL、約0.1ng/mL~約300ng/mL、約0.1ng/mL~約200ng/mL、約0.1ng/mL~約100ng/mL、約0.1ng/mL~約80ng/mL、約0.1ng/mL~約60ng/mL、約0.1ng/mL~約50ng/mL、約0.1ng/mL~約40ng/mL、約0.1ng/mL~約30ng/mL、約0.1ng/mL~約20ng/mL、又は約0.1ng/mL~約10ng/mL、約5ng/mL~約4000ng/mL、約5ng/mL~約3000ng/mL、約5ng/mL~約2000ng/mL、約5ng/mL~約1000ng/mL、約5ng/mL~約500ng/mL、約5ng/mL~約400ng/mL、約5ng/mL~約300ng/mL、約5ng/mL~約200ng/mL、約5ng/mL~約100ng/mL、約5ng/mL~約80ng/mL、約5ng/mL~約60ng/mL、約5ng/mL~約50ng/mL、約5ng/mL~約40ng/mL、約5ng/mL~約30ng/mL、約5ng/mL~約20ng/mL、又は、約5ng/mL~約10ng/mLの、血漿中又は血液中のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する。いくつかの実施形態では、ヒトは、本開示の化合物の第1の用量がヒトに投与される時点で、約0.1ng/mL~約50ng/mLの、血漿中又は血液中のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量がヒトに投与される時点で、5000ng/mL未満の、血漿中又は血液中のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有するか、又は、本開示の化合物の第1の用量がヒトに投与される時点で、4000ng/mL、3000ng/mL、2000ng/mL、1000ng/mL、500ng/mL、400ng/mL、300ng/mL、200ng/mL、100ng/mL、80ng/mL、60ng/mL、50ng/mL、45ng/mL、40ng/mL、35ng/mL、30ng/mL、25ng/mL、20ng/mL、15ng/mL、10ng/mL、又は5ng/mL未満の、血漿中又は血液中のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量がヒトに投与される時点で、50ng/mL未満の、血漿中又は血液中のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する。
【0051】
「クロロキン、又はその類似体若しくは塩」は、クロロキン(CQ、N’-(7-クロロキノリン-4-イル)-N,N-ジエチル-ペンタン-1,4-ジアミンとしても知られ、CAS番号は54-05-7である)、ヒドロキシクロロキン(HCQ、2-[{4-[(7-クロロキノリン-4-イル)アミノ]ペンチル}(エチル)アミノ]エタノールとしても知られ、CAS番号は、118-42-3である)、及びヒトに投与した後の血漿中のその代謝産物を指す。メンバーには、クロロキン、デスエチルクロロキン(DCQ、4-N-(7-クロロキノリン-4-イル)-1-N-エチルペンタン-1,4-ジアミンとしても知られ、CAS番号は、1476-52-4である)、ヒドロキシクロロキン、デスエチルヒドロキシクロロキン(DHCQ、クレトキン、2-[4-[(7-クロロキノリン-4-イル)アミノ]ペンチルアミノ]エタノールとしても知られ、CAS番号は、4298-15-1である)、及びビデスエチルヒドロキシクロロキン(BDCQとしても知られる)、又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。例示的な例としては、クロロキン、又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。一例は、Aralen(登録商標)として市販されているクロロキンホスフェートである。クロロキンは、化学構造、
【化6】

を有する。
代替例としては、ヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。一例は、Plaquenil(登録商標)として市販されているヒドロキシクロロキンサルフェートである。ヒドロキシクロロキンは、化学構造、
【化7】

を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキン、デスエチルクロロキン、ヒドロキシクロロキン、デスエチルヒドロキシクロロキン、若しくはビデスエチルヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキン、又はその薬学的に許容される塩である。例えば、クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキンホスフェートであり得る。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、ヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩である。例えば、クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、ヒドロキシクロロキンサルフェートであり得る。
B.化合物
【0053】
本開示は、それを必要とするヒトに投与されると、式IIの化合物、又はその薬学的に許容される塩を産生する抗ウイルス化合物の使用法を含む。
【0054】
本開示はまた、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用法を含む。
【0055】
式Iの化合物は、国際公開第2012/012776号に記載されている。式Iの化合物のIUPAC名は、2-エチルブチル((((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-5-シアノ-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニネートである。式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、構造、
【化8】

を有する。
【0056】
式Iaの化合物は、国際公開第2016/069826号に記載されている。式Iaの化合物のIUPAC名は、(S)-2-エチルブチル2-(((S)-(((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-5-シアノ-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートであり、CAS登録番号は、1809249-37-3である。式Iaの化合物は、レムデシビル及びGS-5734とも称される。式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩は、構造、
【化9】

を有する。
【0057】
式Ibの化合物は、国際公開第2016/069826号に開示されている。式Ibの化合物のIUPAC名は、(S)-2-エチルブチル2-(((R)-(((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-5-シアノ-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートである。式Ibの化合物又はその薬学的に許容される塩は、構造、
【化10】

を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とするヒトに投与することにより、式II、
【化11】

の化合物又はその薬学的に許容される塩が産生される。
【0059】
式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、任意の好適な形態で使用することができる。例えば、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、非晶質であることも結晶性であることもできる。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、非晶質である。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、結晶性である。
【0060】
本開示の方法及び組成物において有用な式Iaの化合物の結晶形態は、米国特許出願公開第2018/0346504号に記載されている。例えば、式Iaの化合物は、米国特許出願公開第20180346504号に記載される結晶形態I、形態II、形態III、若しくは形態IV、又はそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物は、結晶性である。
【0061】
式I、式Ia及び式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、水性ビヒクルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩と、水性ビヒクルとを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩と、水性ビヒクルとを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、式Ibの化合物又はその薬学的に許容される塩と、及び水性ビヒクルとを含む。水性ビヒクルは、水、及び任意選択で、共溶媒、界面活性剤、懸濁剤、等張化剤、緩衝剤、シクロデキストリン、及び抗菌剤又は防腐剤から選択される1つ以上の成分を含む。例示的な製剤は、米国特許出願公開第2019/0083525号に見出すことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、それを必要とするヒトにおいてウイルス感染症を治療する方法は、ヒトに式I、
【化12】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、式Iの化合物を投与することを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、それを必要とするヒトにおいてウイルス感染症を治療する方法は、ヒトに、式Ia、
【化13】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、式Iaの化合物を投与することを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、それを必要とするヒトにおいてウイルス感染症を治療する方法は、ヒトに式Ib、
【化14】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、式Ibの化合物を投与することを含む。
【0065】
本開示の化合物は、治療されるべき状態にとって適切な任意の経路によって、投与することができる。好適な経路には、経口、直腸、鼻(吸入を含む)、肺、局所(頬側及び舌下を含む)、膣及び非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内及び硬膜外を含む)、移植などが含まれる。好ましい経路は、例えば、ヒトの状態によって変化し得ることが理解されよう。
【0066】
いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、吸入によって投与又は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、吸入によって投与される。
【0067】
いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日1回又は1日2回投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。
【0068】
いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に150~250mgの第1の用量で投与され、それ以後4日間の各々では、50~150mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、50~150mgの第2の用量が、更に1~5日間投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に150~250mgの第1の用量で投与され、それ以後4、5、6、7、8、又は9日間の各々では、50~150mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に150~250mgの第1の用量で投与され、それ以後9日間の各々では、50~150mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、約30分間~約120分間かけて投与される。
【0069】
いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に200mgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、100mgの第2の用量が、更に1~5日間投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に200mgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4、5、6、7、8、又は9日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に200mgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、静脈内に、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、約30分間~約120分間かけて静脈内に投与される。
【0070】
いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に150~250mgの第1の用量で投与され、それ以後4日間の各々では、50~150mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、50~150mgの第2の用量が、更に1~5日間投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に150~250mgの第1の用量で投与され、それ以後4、5、6、7、8、又は9日間の各々では、50~150mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に150~250mgの第1の用量で投与され、それ以後9日間の各々では、50~150mgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩は、約30分間~約120分間かけて投与される。
【0071】
いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩が、1日目に200mgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、100mgの第2の用量が、更に1~5日間投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩が、1日目に200mgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4、5、6、7、8、又は9日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、少なくとも40kgであり、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩が、1日目に200mgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩は、静脈内に、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩は、約30~約120分間かけて静脈内に投与される。
【0072】
いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に2.5~10mg/kgの第1の用量で投与され、それ以後4日間の各々では、1~5mg/kgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、1~5mg/kgの第2の用量が、更に1~5日間投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に2.5~10mg/kgの第1の用量で投与され、それ以後4、5、6、7、8、又は9日間の各々では、1~5mg/kgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に2.5~10mg/kgの第1の用量で投与され、それ以後9日間の各々では、1~5mg/kgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、約30分間~約120分間かけて投与される。
【0073】
いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に5mg/kgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、2.5mg/kgの第2の用量が、更に1~5日間投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に5mg/kgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4、5、6、7、8、又は9日間の各々では2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩が、1日目に5mg/kgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、静脈内に、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、約30分間~約120分間かけて静脈内に投与される。
【0074】
いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩が、1日目に2.5~10mg/kgの第1の用量で投与され、それ以後4日間の各々では、1~5mg/kgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、1~5mg/kgの第2の用量が、更に1~5日間投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩が、1日目に2.5~10mg/kgの第1の用量で投与され、それ以後4、5、6、7、8、又は9日間の各々では、1~5mg/kgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩が、1日目に2.5~10mg/kgの第1の用量で投与され、それ以後9日間の各々では、1~5mg/kgの第2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩は、約30分間~約120分間かけて投与される。
【0075】
いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩が、1日目に5mg/kgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、2.5mg/kgの第2の用量が、更に1~5日間投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩が、1日目に5mg/kgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4、5、6、7、8、又は9日間の各々では2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、ヒトの体重が、3.5kg~40kg未満であり、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩が、1日目に5mg/kgの第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩は、静脈内に、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩は、約30~約120分間かけて静脈内に投与される。
C.ウイルス感染症
【0076】
任意の好適なウイルス感染症は、本開示の方法によって治療することができる。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、アレナウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、ニューモウイルス科、及びパラミクソウイルス科からなる群から選択されるウイルスによって引き起こされる。
【0077】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、アレナウイルス科ウイルスよって引き起こされる。いくつかの実施形態では、アレナウイルス科ウイルス感染症を治療する方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物などの本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、アルパフアヨウイルス(Allpahuayo virus、ALLV)、アマパリウイルス(AMAV)、ベアキャニオンウイルス(Bear Canyon virus、BCNV)、カタリナウイルス(Catarina virus)、チャパレウイルス(Chapare virus)、クピキシウイルス(Cupixi virus、CPXV)、ダンデノングウイルス(Dandenong virus)、フレクサルウイルス(Flexal virus、FLEV)、グアナリトウイルス(Guanarito virus、GTOV)、イッピイウイルス(Ippy virus、IPPYV)、フニンウイルス(Junin virus、JUNV)、コドコウイルス(Kodoko virus)、ラッサウイルス(Lassa virus、LASV)、ラティノウイルス(Latino virus、LATV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(Lymphocytic choriomeningitis virus、LCMV)、ルジョウイルス(Lujo virus)、マチュポウイルス(Machupo virus、MACV)、モバラウイルス(Mobala virus、MOBV)、モロゴロウイルス(Morogoro virus)、モペイアウイルス(Mopeia virus、MOPV)、オリベロスウイルス(Oliveros virus、OLVV)、パラナウイルス(Parana virus、PARV)、ピチンデウイルス(Pichinde virus、PICV)、ピニャールウイルス(Pinhal virus)、ピリタルウイルス(Pirital virus、PIRV)、サビアウイルス(Sabia virus、SABV)、スキナータンクウイルス(Skinner Tank virus)、タカリベウイルス(Tacaribe virus、TCRV)、タミアミウイルス(Tamiami virus、TAMV)、及びホワイトウォーターアロヨウイルス(Whitewater Arroyo virus、WWAV)からなる群から選択されるアレナウイルス科ウイルス感染症を、本明細書で提供される本開示の化合物を投与することによって治療することを含む。いくつかの実施形態では、アレナウイルス科ウイルスは、ラッサウイルス又はフニンウイルスである。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書で提供される本開示の化合物を投与することによって、ラッサウイルス感染症を治療することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書で提供される本開示の化合物を投与することによって、フニンウイルス感染症を治療することを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、コロナウイルス科ウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルス感染症を治療する方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物などの本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome、SARS)感染症、SARS-CoV-2(2019-nCov及びCoVID-19としても知られる)感染症、中東呼吸器症候群(Middle Eastern Respiratory Syndrome、MERS)感染症、他のヒトコロナウイルス(229E、NL63、0C43、HKU1、又はWW1)感染症、又は人畜共通コロナウイルス(PEDV、又はHKU CoV単離株(例えば、HKU3、HKU5、又はHKU9))感染症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、SARS、SARS-CoV-2、又はMERSである。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、SARSである。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、SARS-CoV-2である。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、MERSである。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼから選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも70%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼから選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも80%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼから選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも90%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼから選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも95%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼから選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも97%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼから選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも99%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる。
【0079】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、フィロウイルス科ウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、フィロウイルス科ウイルス感染症を治療する方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物などの本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、フィロウイルス科ウイルスは、エボラウイルス又はマールブルグウイルスである。いくつかの実施形態では、フィロウイルス科ウイルスは、エボラウイルスである。いくつかの実施形態では、エボラウイルスは、ザイールウイルス(すなわち、エボラウイルス(Ebola virus、EBOV))、スーダンウイルス、タイフォレストウイルス(Tai Forest)、ブンディブギョウイルス(Bundibugyo)、及びレストンウイルス(Reston)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、フィロウイルス科ウイルスは、マールブルグウイルスである。
【0080】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、フラビウイルス科ウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルス感染症を治療する方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物などの本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、及びジカ熱ウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、デング熱ウイルス感染症を治療する方法は、本明細書で提供される本開示の化合物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、黄熱病ウイルスである。いくつかの実施形態では、黄熱病ウイルス感染症を治療する方法は、本明細書で提供される本開示の化合物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、西ナイルウイルス感染症を治療する方法は、本明細書で提供される本開示の化合物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、ジカウイルス感染症を治療する方法は、本明細書で提供される本開示の化合物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、C型肝炎ウイルス感染症を治療する方法は、本明細書で提供される本開示の化合物を投与することを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、ニューモウイルス科ウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルス感染症を治療する方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物などの本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルス又はヒトメタニューモウイルスである。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスである。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、ヒトメタニューモウイルスである。
【0082】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、パラミクソウイルス科ウイルスによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルス感染症を治療する方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物などの本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。パラミクソウイルス科ウイルスとしては、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下せん炎ウイルス、パラインフルエンザウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、ニパウイルス又はパラインフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、ニパウイルスである。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、パラインフルエンザウイルスである。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示は、アレナウイルス科ウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アルパフアヨウイルス(ALLV)、アマパリウイルス(AMAV)、ベアキャニオンウイルス(BCNV)、カタリナウイルス、チャパレウイルス、クピキシウイルス(CPXV)、ダンデノングウイルス、フレクサルウイルス(FLEV)、グアナリトウイルス(GTOV)、イッピイウイルス(IPPYV)、フニンウイルス(JUNV)、コドコウイルス、ラッサウイルス(LASV)、ラティノウイルス(LATV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、ルジョウイルス、マチュポウイルス(MACV)、モバラウイルス(MOBV)、モロゴロウイルス、モペイアウイルス(MOPV)、オリベロスウイルス(OLVV)、パラナウイルス(PARV)、ピチンデウイルス(PICV)、ピニャールウイルス、ピリタルウイルス(PIRV)、サビアウイルス(SABV)、スキナータンクウイルス、タカリベウイルス(TCRV)、タミアミウイルス(TAMV)、及びホワイトウォーターアロヨウイルス(WWAV)からなる群から選択されるアレナウイルス科ウイルス感染症を、本明細書で提供される本開示の化合物を投与することによって治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、アレナウイルス科ウイルスは、ラッサウイルス又はフニンウイルスである。いくつかの実施形態では、本開示は、ラッサウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、フニンウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示は、コロナウイルス科ウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群(SARS)感染症、SARS-CoV-2(2019-nCov及びCoVID-19としても知られる)感染症、中東呼吸器症候群(MERS)感染症、他のヒトコロナウイルス(229E、NL63、0C43、HKU1、又はWW1)感染症、又は人畜共通コロナウイルス(PEDV、又はHKU CoV単離株(例えば、HKU3、HKU5、又はHKU9))感染症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、SARS、SARS-CoV-2、又はMERSである。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、SARSである。いくつかの実施形態では、本開示は、重症急性呼吸器症候群(SARS)感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、SARS-CoV-2である。いくつかの実施形態では、本開示は、SARS-nCoV-2感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、MERSである。いくつかの実施形態では、本開示は、中東呼吸器症候群(MERS)感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物を提供する。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示は、フィロウイルス科ウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、フィロウイルス科ウイルスは、エボラウイルス又はマールブルグウイルスである。いくつかの実施形態では、フィロウイルス科ウイルスは、エボラウイルスである。いくつかの実施形態では、本開示は、エボラウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、ザイールウイルス(すなわち、エボラウイルス、EBOV)、スーダンウイルス、タイフォレストウイルス、ブンディブギョウイルス、及びレストンウイルスからなる群から選択されるエボラウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、フィロウイルス科ウイルスは、マールブルグウイルスである。いくつかの実施形態では、本開示は、マールブルグウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0086】
いくつかの実施形態では、本開示は、フラビウイルス科ウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、及びジカ熱ウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、デング熱ウイルスである。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、黄熱病ウイルスである。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、西ナイル熱ウイルスである。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、ジカ熱ウイルスである。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、C型肝炎ウイルスである。
【0087】
いくつかの実施形態では、本開示は、ニューモウイルス科ウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルス又はヒトメタニューモウイルスである。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスである。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、ヒトメタニューモウイルスである。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示は、パラミクソウイルス科ウイルス感染症を治療する方法において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。パラミクソウイルス科ウイルスとしては、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下せん炎ウイルス、パラインフルエンザウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、ニパウイルス又はパラインフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、ニパウイルスである。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、パラインフルエンザウイルスである。
【0089】
いくつかの実施形態では、本開示は、アレナウイルス科ウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アルパフアヨウイルス(ALLV)、アマパリウイルス(AMAV)、ベアキャニオンウイルス(BCNV)、カタリナウイルス、チャパレウイルス、クピキシウイルス(CPXV)、ダンデノングウイルス、フレクサルウイルス(FLEV)、グアナリトウイルス(GTOV)、イッピイウイルス(IPPYV)、フニンウイルス(JUNV)、コドコウイルス、ラッサウイルス(LASV)、ラティノウイルス(LATV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、ルジョウイルス、マチュポウイルス(MACV)、モバラウイルス(MOBV)、モロゴロウイルス、モペイアウイルス(MOPV)、オリベロスウイルス(OLVV)、パラナウイルス(PARV)、ピチンデウイルス(PICV)、ピニャールウイルス、ピリタルウイルス(PIRV)、サビアウイルス(SABV)、スキナータンクウイルス、タカリベウイルス(TCRV)、タミアミウイルス(TAMV)、及びホワイトウォーターアロヨウイルス(WWAV)からなる群から選択されるアレナウイルス科ウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、アレナウイルス科ウイルスは、ラッサウイルス又はフニンウイルスである。いくつかの実施形態では、本開示は、ラッサウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、フニンウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示は、コロナウイルス科ウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群(SARS)感染症、SARS-CoV-2(2019-nCov及びCoVID-19としても知られる)感染症、中東呼吸器症候群(MERS)感染症、他のヒトコロナウイルス(229E、NL63、0C43、HKU1、又はWW1)感染症、又は人畜共通コロナウイルス(PEDV、又はHKU CoV単離株(例えば、HKU3、HKU5、又はHKU9))感染症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、SARS、SARS-CoV-2、又はMERSである。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、SARSである。いくつかの実施形態では、本開示は、SARS感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、SARS-CoV-2である。いくつかの実施形態では、本開示は、SARS-nCoV-2感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、コロナウイルス科ウイルスは、MERSである。いくつかの実施形態では、本開示は、MERS感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。
【0091】
いくつかの実施形態では、本開示は、フィロウイルス科ウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、フィロウイルス科ウイルスは、エボラウイルス又はマールブルグウイルスである。いくつかの実施形態では、フィロウイルス科ウイルスは、エボラウイルスである。いくつかの実施形態では、本開示は、エボラウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、ザイールウイルス(すなわち、エボラウイルス、EBOV)、スーダンウイルス、タイフォレストウイルス、ブンディブギョウイルス、及びレストンウイルスからなる群から選択されるエボラウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、マールブルグウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。
【0092】
いくつかの実施形態では、本開示は、フラビウイルス科ウイルス感染症を治療するための薬剤の製造における、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、及びジカ熱ウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、デング熱ウイルスである。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、黄熱病ウイルスである。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、西ナイル熱ウイルスである。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、ジカ熱ウイルスである。いくつかの実施形態では、フラビウイルス科ウイルスは、C型肝炎ウイルスである。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示は、ニューモウイルス科ウイルス感染症を治療するための薬剤の製造において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルス又はヒトメタニューモウイルスである。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスである。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、ヒトメタニューモウイルスである。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示は、パラミクソウイルス科ウイルス感染症を治療するための薬剤の製造において使用するための、本明細書で提供される本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。パラミクソウイルス科ウイルスとしては、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下せん炎ウイルス、パラインフルエンザウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、ニパウイルス又はパラインフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、ニパウイルスである。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、パラインフルエンザウイルスである。
D.追加の使用法
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示は、式II、
【化15】

の化合物又はその薬学的に許容される塩の血漿中又は血液中の濃度を、それを必要とするヒトの中で最適化する方法を提供し、その方法は、抗ウイルス化合物をヒトに投与することを含み、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されてはおらず、抗ウイルス化合物は、ヒトに投与されると、式IIの化合物に変換され、血漿中又は血液中の式IIの化合物の濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で最適化される。いくつかの実施形態では、ヒトは、抗ウイルス化合物のヒトへの投与の1日以内に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、抗ウイルス化合物のヒトへの投与の10日以内に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。
【0096】
いくつかの実施形態では、ヒトは、抗ウイルス化合物のヒトへの投与の30分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、20時間、又は24時間以内に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、抗ウイルス化合物のヒトへの投与の、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、90日、120日、150日、180日、210日、240日、270日、300日、330日、又は365日以内に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、抗ウイルス化合物の第1の用量がヒトに投与される時点で、50ng/mL未満、例えば45ng/mL未満、40ng/mL未満、35ng/mL未満、30ng/mL未満、25ng/mL未満、20ng/mL未満、15ng/mL未満、10ng/mL未満、又は5ng/mL未満などのクロロキン、又はその類似体若しくは塩の、血漿中又は血液中の濃度を有する。いくつかの実施形態では、ヒトは、抗ウイルス化合物の第1の用量がヒトに投与される時点で、50ng/mL未満のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の、血漿中又は血液中の濃度を有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、抗ウイルス化合物は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの化合物の濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩と、抗ウイルス化合物とで治療された基準となるヒトにおける、式IIの化合物の第2の濃度よりも高い。いくつかの実施形態では、ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの化合物の濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩と、抗ウイルス化合物とで治療された基準となるヒトにおける、その化合物の第2の濃度よりも、約1.1倍~約10倍高く、例えば、約1.2倍~約5倍、約1.3倍~約5倍、約1.2倍~約4倍、約1.3倍~約4倍、約1.2倍~約3倍、約1.3倍~約3倍、約1.2倍~約2倍、又は約1.3倍~約2倍高い。いくつかの実施形態では、ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの化合物の濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩と、抗ウイルス化合物とで治療された基準となるヒトにおける、その化合物の第2の濃度よりも、少なくとも1.1倍高く、例えば少なくとも1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.2倍、3.5倍、3.6倍、3.8倍、4倍、4.2倍、4.4倍、4.6倍、4.8倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍高い。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IIの化合物、又はその薬学的に許容される塩の、それを必要とするヒトにおける、血漿中又は血液中の濃度を最適化する方法を提供し、その方法は、(a)ヒトに、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩を投与することと、(b)ヒトにおける、式IIの化合物の血漿中又は血液中の濃度を測定することと、(c)式I、式Ia、又は式Ibの化合物の任意の残りの用量を調整して、ヒトにおける式IIの化合物の血漿中又は血液中の濃度を最適化することと、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1日分の用量をヒトに投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、10日分の用量をヒトに投与することを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの化合物の濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩と、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩とで治療された基準となるヒトにおける、その化合物の第2の濃度よりも、約1.1倍~約10倍高く、例えば、約1.2倍~約5倍、約1.3倍~約5倍、約1.2倍~約4倍、約1.3倍~約4倍、約1.2倍~約3倍、約1.3倍~約3倍、約1.2倍~約2倍、又は約1.3倍~約2倍高い。いくつかの実施形態では、ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの化合物の濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩と、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩とで治療された基準となるヒトにおける、その化合物の第2の濃度よりも、少なくとも1.1倍高く、例えば少なくとも1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.2倍、3.5倍、3.6倍、3.8倍、4倍、4.2倍、4.4倍、4.6倍、4.8倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍高い。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とするヒトにおけるウイルス感染症を治療するための式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の送達用量を決定する方法を提供し、その方法は、(a)元の用量の式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供することと、(b)そのヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていたかどうかを判定することと、(c1)そのヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていた場合、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の元の用量を増加させて、送達用量を決定すること、又は(c2)そのヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていなかった場合、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の元の用量を、送達用量として選択すること、を行うことと、を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、送達用量を決定する方法は、ウイルス感染症の治療の前、1日間以内に、ヒトがクロロキン又はその類似体を投与されたかどうかを判定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ウイルス感染症の治療の前、10日間以内に、ヒトがクロロキン又はその類似体を投与されたかどうかを判定することを含む。いくつかの実施形態では、ヒトがクロロキン又はその類似体を投与されたかどうかを判定することは、自己報告、ヒトへの聞き取り、ヒトの医療記録の検討、又はヒトの血漿中又は血液中の、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度の測定を含む。いくつかの実施形態では、ヒトは、抗ウイルス化合物のヒトへの投与の、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、90日、120日、150日、180日、210日、240日、270日、300日、330日、又は365日以内に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。
【0102】
いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、又は20時間以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。
【0103】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症を治療する前に、ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていた場合、本方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の元の用量を、約1.1倍~約10倍高く増加させて、送達用量を決定すること、又は約1.2倍~約5倍、約1.3倍~約5倍、約1.2倍~約4倍、約1.3倍~約4倍、約1.2倍~約3倍、約1.3倍~約3倍、約1.2倍~約2倍、又は約1.3倍~約2倍高く増加させて、送達用量を決定することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症を治療する前に、ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていた場合、本方法は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の元の用量を、少なくとも1.1倍高く増加させて、送達用量を決定すること、又は、少なくとも1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.2倍、3.5倍、3.6倍、3.8倍、4倍、4.2倍、4.4倍、4.6倍、4.8倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍高く増加させて、送達用量を決定することを含む。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、又は20時間以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、抗ウイルス化合物のヒトへの投与の、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、90日、120日、150日、180日、210日、240日、270日、300日、330日、又は365日以内に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。
【0104】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とするヒトにおいて、式IIの化合物を形成する方法を提供し、その方法は、ヒトに治療有効量の式Iaの化合物を投与することと、ヒトにクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、を含み、式Iaの化合物は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で、式IIの化合物に代謝される。いくつかの実施形態では、ヒトは、式Iaの化合物の第1の用量を受けることの、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、又は20時間以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式Iaの化合物の投与の、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、90日、120日、150日、180日、210日、240日、270日、300日、330日、又は365日以内に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないようにヒトに指示した後、ヒトは、式Iaの化合物を投与する前に、少なくとも1日待機する。
【0105】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性の低下のリスクを低減する方法を提供し、その方法は、(a)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与される前に、ヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたか否かを判定することと、(b)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩によって治療をされている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、ヒトに指示することと、(c)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することと、を含み、それによって、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性の低下のリスクを低減する。いくつかの実施形態では、ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、又は20時間以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、ヒトは、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与の、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、90日、120日、150日、180日、210日、240日、270日、300日、330日、又は365日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、ヒトは、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日待機する。
【0106】
式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、ヒトに指示することを必要とする本開示の方法の場合には、上記の指示を受けた後、かつ式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を受けた後に、ヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与された場合には、任意の数の対応策を、単独で又は組み合わせて、実施することができる。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用することを停止する。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の最後の服用後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受ける前に、少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、又は20時間にわたり待機する。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の最後の服用後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受ける前に、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、90日間、120日間、150日間、180日間、210日間、240日間、270日間、300日間、330日間、又は365日間にわたり待機する。いくつかの実施形態では、ヒトにクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示した後、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、そのヒトは少なくとも1日待機する。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない基準となるヒトと比較して、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を、1回分の用量、2回分の用量、3回分の用量、4回分の用量、5回分の用量、6回分の用量、7回分の用量、8回分の用量、9回分の用量、又は10回分の用量、追加的に投薬される。いくつかの実施形態では、ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない基準となるヒトと比較して、より多くの用量の式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投薬されるか、又はクロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない基準となるヒトと比較して、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.2倍、3.5倍、3.6倍、3.8倍、4倍、4.2倍、4.4倍、4.6倍、4.8倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍高い用量の式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投薬される。
【0107】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける禁忌症を予防する方法を提供し、その方法は、(a)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与される前に、ヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたか否かを判定することと、(b)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩によって治療をされている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、ヒトに指示することと、(c)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することと、を含み、それによってヒトにおける禁忌症を予防する。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、ヒトは、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日待機する。
【0108】
いくつかの実施形態では、ヒトにおける禁忌症を予防することは、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したか、又はクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示されていない第2のヒトと比較による。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した第2のヒトは、上記ヒトよりも、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与後に、禁忌症を有しやすい。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与の前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示されていない第2のヒトは、上記ヒトよりも、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与後に、禁忌症を有しやすい。いくつかの実施形態では、第2のヒトは、上記ヒトよりも、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与後に、少なくとも1.1倍、例えば、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.2倍、3.5倍、3.6倍、3.8倍、4倍、4.2倍、4.4倍、4.6倍、4.8倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍、禁忌症を有しやすい。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する方法を提供し、その方法は、(a)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与される前に、ヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたか否かを判定することと、(b)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩によって治療をされている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、ヒトに指示することと、(c)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することと、を含み、それによって、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する。いくつかの実施形態では、有効性を維持することは、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していない第2のヒトと比較して、投与後にヒトにおける十分な血漿中又は血液中の式IIの化合物濃度を維持することを含む。いくつかの実施形態では、投与後のヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの化合物の濃度は、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していない第2のヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの化合物の第2の濃度の、約50%~約100%であるか、又は、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していない第2のヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの化合物の第2の濃度の約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、又は約90%~約100%である。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、ヒトは、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日待機する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、式IIの化合物の血漿中濃度の低下のリスクを低減する方法を提供し、その方法は、(a)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与される前に、ヒトがクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたか否かを判定することと、(b)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩によって治療をされている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、ヒトに指示することと、(c)式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩をヒトに投与することと、を含み、それによって、式IIの化合物の血漿中濃度の低下のリスクを低減する。いくつかの実施形態では、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、ヒトは、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日待機する。
【0111】
いくつかの実施形態において、血漿中の式IIの化合物の濃度の低下のリスクを低減することは、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していない第2のヒトと比較して、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与後に、ヒトの血漿中の式IIの化合物の十分な濃度を維持することを含む。いくつかの実施形態では、投与後のヒトにおける、血漿中の式IIの化合物の濃度は、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していない第2のヒトにおける、式IIの化合物の第2の濃度の、約50%~約100%であるか、又は、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していない第2のヒトにおける、式IIの化合物の第2の濃度の約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、又は約90%~約100%である。
【0112】
式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したかどうかを判定することを必要とする本開示の方法の場合には、その判定は、任意の好適な手段によって実施することができる。例えば、非限定的な手法には、自己報告、ヒトへの聞き取り、ヒトの医療記録の検討、又はヒトの血漿中又は血液中の、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度の測定が含まれる。いくつかの実施形態では、決定することは、ヒトの血漿中又は血液中のクロロキン、又はその代謝産物、類似体、若しくは塩の濃度を測定することを含む。
IV.キット
【0113】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示される化合物又は組成物を含むキットの使用法を提供する。いくつかの実施形態では、本キットは、本開示の方法において、化合物又は医薬組成物を使用するためのラベル及び/又は説明書を更に含む。例えば、いくつかの実施形態では、本キットは、ウイルス感染症の治療中に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、ヒトに指示することを更に含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、又は20時間、ヒトに待機するように指示することを含む。いくつかの実施形態では、キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、待機するようにヒトに指示すること、例えばクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、90日間、120日間、150日間、180日間、210日間、240日間、270日間、300日間、330日間、又は365日間待機するように、ヒトに指示することを含む。いくつかの実施形態では、本キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間ヒトに待機するように指示することを更に含む。いくつかの実施形態では、本キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも10日間ヒトに待機するように指示することを更に含む。いくつかの実施形態では、本キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも14日間ヒトに待機するように指示することを更に含む。いくつかの実施形態では、本キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも21日間ヒトに待機するように指示することを更に含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、又は20時間、ヒトに待機するように指示することを含む。いくつかの実施形態では、キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、待機するようにヒトに指示すること、例えばクロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、90日間、120日間、150日間、180日間、210日間、240日間、270日間、300日間、330日間、又は365日間待機するように、ヒトに指示することを含む。いくつかの実施形態では、本キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも10日間ヒトに待機するように指示することを含む。いくつかの実施形態では、本キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも14日間ヒトに待機するように指示することを含む。いくつかの実施形態では、本キットは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも21日間ヒトに待機するように指示することを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、キットは、ネブライザーを更に含む。任意の好適なネブライザーが使用され得る。いくつかの実施形態では、ネブライザーは、ガラスネブライザーである。いくつかの実施形態では、ネブライザーは、ハンドバルブネブライザーである。いくつかの実施形態では、ネブライザーは、ジェットネブライザー又は振動メッシュネブライザーである。いくつかの実施形態では、ネブライザーは、ジェットネブライザー(例えば、VixOne(商標)、AeroEclipse(登録商標)、Pari LC(登録商標)Plus)である。いくつかの例では、ネブライザーは、振動メッシュネブライザー(例えば、eFlow(登録商標)rapid)である。いくつかの実施形態では、ネブライザーは、超音波ネブライザーである。いくつかの実施形態では、ネブライザーは、適応エアロゾル送達ネブライザーである。いくつかの実施形態では、ネブライザーは、定量吸入器(例えば、定量液体吸入器)である。
【実施例
【0117】
V.実施例
実施例1.細胞における式Iaの化合物に対する、クロロキンの効果
呼吸器合胞体ウイルス(respiratory syncytial virus、RSV)に対する、式Iaの化合物の抗ウイルス効力を、HEp2細胞において以下の方法で決定した。HEp2細胞(3×103/ウェル)をDMEM培地+GlutaMAX(10%のFBS及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充)に懸濁し、96ウェルプレートに播種した。37℃+5%COで4時間インキュベートした後、化合物の3倍連続希釈(9.28nM~2000nMの最終RDV濃度)を、HP D300eデジタルディスペンサを使用して、各ウェルに添加した。式Iaの抗ウイルス活性に対するクロロキン(CQ)の効果を判定するために、式Iaの連続希釈物をDMSO又は4倍増加濃度のCQ(最終濃度、10nM、40nM、160nM、640nM、及び2560nM)で更にスパイクした。次いで、細胞を、MOI=4で、DMEM培地+GlutaMAXで希釈したRSV A2ウイルスに感染させ、37℃及び5%CO下で、4日間インキュベートした。各ウェル内の最終体積は200μLであった。非感染ウェル及び未処理ウェルが、100%細胞生存率の対照として含まれた。インキュベーション後、100μLの培養上清を各ウェルから除去し、100μLのCellTiter-Glo試薬(Promega社製)で置き換えた。次いで、プレートを2分間振動させ、続いて25℃で10分間インキュベートした。次いで、細胞生存率を、Envisionプレートリーダーを使用し、発光シグナルを測定することによって評価した。値を非感染DMSO対照及び感染DMSO対照(それぞれ100%及び0%の感染)に対して正規化し、データをXLfitソフトウェアで非線形回帰分析を使用して適合させた。EC50値が、非線形回帰曲線上の50%感染の点として決定された。集められたデータは、各CQ濃度の技術的複製を各々含有する3つの生物学的複製物を使用して生成された。
【0118】
HEp2細胞におけるRSV複製に対する、式Iaの化合物とクロロキン(CQ)の濃度との組み合わせの効果を測定した。結果は、CQの濃度が増加するにつれてより高くなる、式Iaの化合物のEC50値(表1)によって実証されるように、CQが、式Iaの化合物の抗RSV活性を用量依存的に中和させることを示す。
【表1】

実施例2:代謝データ
【0119】
A549-hACE2細胞及びNHBE細胞を、6ウェルプレートに、4×10個/ウェル及び2.5×10個/ウェルでそれぞれ播種した。HEp-2細胞を、12ウェルプレートに2.5×10個/ウェルで播種した。24時間後、細胞培養培地を、1μMの式Iaを単独で含む培地、又は1μM若しくは10μMのCQ若しくはHCQと組み合わせて含む培地と交換し、37℃でインキュベートした。薬物添加後、2、8、24、及び48時間時点で、細胞を氷冷トリス緩衝生理食塩水で3回洗浄し、0.5mLの氷冷70%メタノールに擦り入れ、-80℃で保存した。抽出物を、15,000gで15分間遠心分離し、上清を、清浄な試験管に移し、miVac Duo濃縮物(Genevac社製)で蒸発させた。乾燥試料を、3mMギ酸アンモニウム(pH5)を含有する移動相A中で、水中の10mMのジメチルヘキシルアミン(DMHA)で再構成し、360μL/分の流量で移動相Aにおける10%~50%のアセトニトリルの多段階線形勾配を使用して、LC-MS/MSによって分析した。分析物を、LC-20ADXR(Shimadzu社製)三元ポンプシステム及びHTS PALオートサンプラー(LEAP Technologies社製)に接続された、50×2mm、2.5μm Luna C18(2)HSTカラム(Phenomenex社製)を使用して分離した。検出は、正イオン及び複数の反応監視モードで動作するQtrap(6500+、AB Sciex社製)質量分析計で行った。分析物は、未処理細胞からの抽出物中で調製された100万個の細胞当たり、0.624~160pmolの範囲の、7点標準曲線を使用して定量化された。細胞数による正規化のために、複数の未処理の培養ウェルを、各時点でカウントした。
【0120】
A549-hACE2細胞培養物、NHBE細胞培養物、及びHEp-2細胞培養物を、式Iaの化合物単独で、及び、式Iaの化合物とCQ又はHCQとの組み合わせでインキュベートし、式Iaの化合物の、活性三リン酸種(式Ia-TP)への代謝を評価した。これらのインビトロアッセイで使用されるCQ及びHCQの濃度は、COVID-19の以前のEUAガイダンス下で推奨される用量から生じる全身的及び肺の曝露量に対応する。平均全身曝露量は、CQについては610~760nMの範囲であり、HCQについては約1.7μMであり、これらは、どちらの薬物についても、20μMを超える肺濃度を達成することができる量である{Salman 2017、Zhao 2014}。A549-hACE2細胞では、式Iaの化合物と、1μMのCQ又はHCQとの共インキュベーションは、CQ又はHCQの非存在下での式Ia-TPと比較して、式Ia-TPの濃度を有意には低下させなかった。しかしながら、10μMのCQ又はHCQとのインキュベーションは、式Ia-TPの産生を有意に低下させた(表2、図1)。CQの両方の濃度について、又は1μMのHCQについては、それらで処理されたNHBE培養物の式Ia-TP濃度は、より低くなる傾向があったが、これらの違いは統計的に有意ではなかった。逆に、10μMのHCQによるNHBE培養物の処理は、式Ia-TP濃度を有意に減少させた(表3、図2)。HEp-2子宮頸部癌細胞では、1μMと10μMのCQ又はHCQによる処理は、細胞内の式Ia-TPの形成の用量依存的な減少を示した(表4、図3)。HEp-2細胞における式Ia-TP形成の有意なCQ又はHCQ中和作用は、処理後8時間で観察され、48時間持続した。CQ又はHCQの存在下での観察された式Ia-TPの減少は、式Iaの化合物のその活性三リン酸への代謝に対する潜在的な中和効果を示す。
【表2】

値は、2つの別々の実験から各時点で収集された、複製試料の平均値±標準誤差である。
式Ia-TP平均濃度を、LC-MSによって検出された式Ia-TPの濃度の曲線下総面積から、GraphPad Prism8.1.2を使用して、0、2、8、24、及び48時間で決定し、アッセイの総時間(48時間)で割った。
P値は、GraphPad Prism8.1.2を使用して、様々な濃度のCQ又はHCQと比較した、式Ia+DMSOのダネット多重比較分析を用いた一元配置分散分析を使用して決定される。
【表3】

値は、2つの別々の実験から各時点で収集された、複製試料の平均値±標準誤差である。
式Iaの平均濃度を、LC-MSによって検出された式Ia-TPの濃度の曲線下総面積から、GraphPad Prism8.1.2を使用して、0、2、8、24、及び48時間で決定し、アッセイの総時間(48時間)で割った。
P値は、GraphPad Prism8.1.2を使用して、様々な濃度のCQ又はHCQと比較した、式Ia+DMSOのダネット多重比較分析を用いた一元配置分散分析を使用して決定される。
【表4】

値は、2つの別々の実験から各時点で収集された、複製試料の平均値±標準誤差である。
式Ia-TP平均濃度を、LC-MSによって検出された式Ia-TPの濃度の曲線下総面積から、GraphPad Prism8.1.2を使用して、0、2、8、24、及び48時間で決定し、アッセイの総時間(48時間)で割った。
P値は、GraphPad Prism8.1.2を使用して、様々な濃度のCQ又はHCQと比較した、式Ia+DMSOのダネット多重比較分析を用いた一元配置分散分析を使用して決定される。
実施例3.抗SARS-CoV-2ウイルスデータ
【0121】
式Iaの化合物と、CQ又はHCQのいずれかとの抗SARS-CoV-2活性を、A549-hACE2変換気道上皮細胞で評価した。式Iaの化合物、CQ、及びHCQは、単独では、SARS-CoV-2に対して強力なインビトロ抗ウイルス活性を示し、EC50値は、それぞれ約59.5nM、451nM、及び365nMである(表5)。最大2.5μMまでの濃度のCQ又はHCQと組み合わせた場合、式Iaの化合物のEC50値は、観察可能なほどは異ならなかった(表5)。しかしながら、そのアッセイにおける全体的なNlucシグナルは、CQ又はHCQの存在下では、用量依存的に減少した(図4)。図4Aに示されるように、0μMの式Ia(DMSO)+CQでのNlucシグナルは、その処理条件における特定のCQ濃度でのNlucシグナルに対応する。各式Ia滴定曲線のベースラインNlucシグナルは、その処理条件におけるCQ濃度に対応するレベルに低下する。同様の効果が、図4BのHCQ処理条件で観察される。10μMのCQ又はHCQのみでは、Nlucシグナルは完全に抑制され、CQ又はHCQいずれか単独によるSARS-CoV-2複製の完全な阻害を示した。10μMの濃度でのCQ及びHCQの、強力な抗ウイルス活性により、標準EC50値の比較では、CQ又はHCQと組み合わせた場合に、式IaのSARS-CoV-2に対する活性の、潜在的な減少を明らかにすることができない。分析された、式IaとHCQとを組み合わせた濃度では、細胞傷害性は観察されなかった(データは示されず)。
【表5】

n=1
EC50値は、DMSOビヒクル単独(0%ウイルス阻害)及び非感染対照培養物(100%ウイルス阻害)と比較して、Nlucの1秒当たりの数(counts per second、CPS)の50%減少が存在する濃度として、GraphPad Prism 8.1.2で定義された。
NDは、CQ又はHCQによる、Nlucシグナルの完全な阻害により、EC50値が計算できなかったことを表す。
【0122】
前述の開示は、理解を明確にするために説明及び例示としてある程度詳細に説明されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、特定の変更及び修正が実施されてもよいことを理解するであろう。加えて、本明細書に提供される各参照は、各参照が参照により個別に組み込まれているかのように、その全体が参照により組み込まれる。本出願と、本明細書に提供される参照との間に矛盾が存在する場合、本出願が支配するものとする。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、前記ウイルス感染症の治療を行うための、式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、式Iaの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、又は式Ibの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
【化16】

前記ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療中ではなく、それにより、前記ウイルス感染症を治療する、組成物
【請求項2】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、1日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の前記第1の用量を受けることの、10日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、請求項2に記載の組成物
【請求項4】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の前記第1の用量を受けることの、90日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、請求項3に記載の組成物
【請求項5】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の前記第1の用量を受けることの、365日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物
【請求項6】
前記ウイルス感染症の前記治療中に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、前記ヒト指示されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物
【請求項7】
クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩が投与される前に、少なくとも10日間前記ヒト待機するように指示されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物
【請求項8】
前記ヒトは、前記ウイルス感染症の前記治療中に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されない、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物
【請求項9】
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量が前記ヒトに投与される時点で、50ng/mL未満の、血漿中又は血液中のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物
【請求項10】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキン、デスエチルクロロキン、ヒドロキシクロロキン、デスエチルヒドロキシクロロキン、若しくはビデスエチルヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物
【請求項11】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキン、又はその薬学的に許容される塩である、請求項10に記載の組成物
【請求項12】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキンホスフェートである、請求項11に記載の組成物
【請求項13】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、ヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩である、請求項10に記載の組成物
【請求項14】
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、ヒドロキシクロロキンサルフェートである、請求項13に記載の組成物
【請求項15】
Iの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩、前記ヒトに投与されること、
【化17】

特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物
【請求項16】
Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩が、投与されること、
【化18】

特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物
【請求項17】
Iaの前記化合物が投与されること、
【化19】

特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物
【請求項18】
式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、吸入により又は静脈内に投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物
【請求項19】
式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、静脈内に投与される、請求項18に記載の組成物
【請求項20】
式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、吸入により投与される、請求項18に記載の組成物
【請求項21】
前記ヒトの体重は、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に200mgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物
【請求項22】
100mgの前記第2の用量は、更に1~5日間投与される、請求項21に記載の組成物
【請求項23】
前記ヒトの体重は、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に200mgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される、請求項21又は22に記載の組成物
【請求項24】
前記ヒトの体重は、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に5mg/kgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物
【請求項25】
2.5mg/kgの前記第2の用量は、更に1~5日間投与される、請求項24に記載の組成物
【請求項26】
前記ヒトの体重は、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に5mg/kgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される、請求項24又は25に記載の組成物
【請求項27】
前記ウイルス感染症は、アレナウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、ニューモウイルス科、及びパラミクソウイルス科からなる群から選択されるウイルスによって引き起こされる、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物
【請求項28】
前記ウイルス感染症は、アレナウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の組成物
【請求項29】
前記アレナウイルス科ウイルスは、ラッサウイルス又はフニンウイルスである、請求項28に記載の組成物
【請求項30】
前記ウイルス感染症は、コロナウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の組成物
【請求項31】
前記コロナウイルス科ウイルスは、SARSウイルス、SARS-CoV-2ウイルス、MERSウイルス、229Eウイルス、NL63ウイルス、OC43ウイルス、又はHKU1ウイルスである、請求項30に記載の組成物
【請求項32】
前記コロナウイルス科ウイルスは、SARSウイルス、SARS-CoV-2ウイルス、又はMERSウイルスである、請求項30に記載の組成物
【請求項33】
前記コロナウイルス科ウイルスは、SARS-CoV-2ウイルスである、請求項32に記載の組成物
【請求項34】
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも70%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、請求項30~32のいずれか一項に記載の組成物
【請求項35】
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも80%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、請求項30~32、又は34のいずれか一項に記載の組成物
【請求項36】
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも90%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、請求項30~32、34、又は35のいずれか一項に記載の組成物
【請求項37】
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも95%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、請求項30~32、及び34~36のいずれか一項に記載の組成物
【請求項38】
前記ウイルス感染症は、フィロウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の組成物
【請求項39】
前記フィロウイルス科ウイルスは、エボラウイルス又はマールブルグウイルスである、請求項38に記載の組成物
【請求項40】
前記ウイルス感染症は、フラビウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の組成物
【請求項41】
前記フラビウイルス科ウイルスは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、又はジカ熱ウイルスである、請求項40に記載の組成物
【請求項42】
前記フラビウイルス科ウイルスは、黄熱病ウイルスである、請求項41に記載の組成物
【請求項43】
前記ウイルス感染症は、ニューモウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の組成物
【請求項44】
前記ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルス又はヒトメタニューモウイルスである、請求項43に記載の組成物
【請求項45】
前記ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスである、請求項44に記載の組成物
【請求項46】
前記ウイルス感染症は、パラミクソウイルス科ウイルスによって引き起こされる、請求項27に記載の組成物
【請求項47】
前記パラミクソウイルス科ウイルスは、ニパウイルス又はパラインフルエンザウイルスである、請求項46に記載の組成物
【請求項48】
血漿中又は血液中の、式IIの化合物又はその薬学的に許容される塩の濃度を最適化することを、それを必要とするヒトにおいて行うための組成物であって、
【化20】

ウイルス化合物を含み、
前記ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されておらず、
前記抗ウイルス化合物は、前記ヒトに投与されると、式IIの前記化合物に変換され、
血漿中又は血液中の、式IIの前記化合物の前記濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で最適化される、組成物
【請求項49】
前記ヒトは、ウイルス感染症の治療の前、1日以内に、クロロキン又はその類似体を投与されていない、請求項48に記載の組成物
【請求項50】
前記ヒトは、ウイルス感染症の治療の前、10日以内に、クロロキン又はその類似体を投与されていない、請求項48に記載の組成物
【請求項51】
前記ヒトは、前記抗ウイルス化合物の第1の用量が前記ヒトに投与される時点で、50ng/mL未満の、血漿中又は血液中の、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する、請求項48に記載の組成物
【請求項52】
前記ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの前記化合物の前記濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療された基準となるヒトにおける、式IIの化合物の第2の濃度よりも高い、請求項48又は51に記載の組成物
【請求項53】
前記抗ウイルス化合物は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項48~52のいずれか一項に記載の組成物
【請求項54】
血漿中又は血液中の、式IIの化合物、又はその薬学的に許容される塩の濃度を最適化することを、それを必要とするヒトにおいて行う方法における使用のための、式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、式Iaの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、又は式Ibの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
【化21】

前記方法は、
(a)前記ヒトに、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することと、
【化22】

(b)前記ヒトにおける、血漿中又は血液中の、式IIの前記化合物の前記濃度を測定することと、
(c)式I、式Ia、又は式Ibの前記化合物の任意の残りの用量を調整して、前記ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの前記化合物の前記濃度を最適化することと、を含む組成物
【請求項55】
前記ヒトに、1日分の用量を投与することを含む、請求項54に記載の組成物
【請求項56】
前記ヒトに、10日分の用量に投与することを含む、請求項54に記載の組成物
【請求項57】
ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、前記ウイルス感染症を治療するために、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の送達用量を決定する方法における使用のための、式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、式Iaの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物、又は式Ibの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
【化23】

前記方法は、
(a)式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の、元の用量を提供することと、
(b)前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていたかどうかを判定することと、
(c1)前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていた場合には、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の、前記元の用量を増加させることにより前記送達用量を決定すること、又は
(c2)前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない場合には、前記送達用量として、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の、前記元の用量を選択すること、を行うことと、を含む組成物
【請求項58】
前記方法は、前記ウイルス感染症の前記治療の前、1日以内に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体を投与されたかどうかを判定することを含む、請求項57に記載の組成物
【請求項59】
前記方法は、前記ウイルス感染症の前記治療の前、10日以内に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体を投与されたかどうかを判定することを含む、請求項57に記載の組成物
【請求項60】
式IIの化合物の形成を、それを必要とするヒトにおいて行うための組成物であって、式Iaの化合物を含み、前記ヒト、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示されることを特徴とし、式Iaの前記化合物は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で、式IIの前記化合物に代謝され、
式IIの前記化合物は、以下の構造を有し、
【化24】

式Iaの前記化合物は、以下の構造を有する、
【化25】

組成物
【請求項61】
前記組成物の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していた場合、前記ヒトは、前記組成物が投与される前に、少なくとも1日間待機する、請求項60に記載の組成物
【請求項62】
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性の低下のリスクを低減する方法における使用のための、式Iaの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
【化26】

前記方法は、
(a)前記ヒトが、前記組成物の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したかどうかを判定することと、
(b)前記ヒトに、前記組成物で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)前記組成物を、前記ヒトに投与することと、を含み、
それにより、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効性が低下するリスクを低減する、組成物
【請求項63】
式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間待機する、請求項62に記載の組成物
【請求項64】
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける禁忌症を予防する方法における使用のための、式Iaの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
(a)前記ヒトが、前記組成物の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したかどうかを判定することと、
【化27】

(b)前記ヒトに、前記組成物で治療している間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)前記組成物を、前記ヒトに投与することと、を含み、
それにより、前記ヒトにおける禁忌症を予防する、組成物
【請求項65】
前記組成物の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、前記組成物が投与される前に、少なくとも1日間待機する、請求項64に記載の組成物
【請求項66】
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する方法における使用のための、式Iaの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
【化28】

前記方法は、
(a)前記ヒトが、前記組成物の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたかどうかを判定することと、
(b)前記ヒトに、前記組成物で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)前記組成物を、前記ヒトに投与することと、を含み、
それにより、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する、組成物
【請求項67】
前記組成物の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、前記組成物が投与される前に、少なくとも1日間待機する、請求項61に記載の組成物
【請求項68】
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、血漿中の、式IIの化合物の濃度の低下のリスクを低減する方法における使用のための、式Iaの化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
【化29】

前記方法は、
(a)前記ヒトが、前記組成物の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたかどうかを判定することと、
(b)前記ヒトに、前記組成物で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)前記組成物を、前記ヒトに投与することと、を含み、
【化30】

それにより、血漿中の、式IIの前記化合物の濃度が低下するリスクを低減する、組成物
【請求項69】
前記組成物の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、前記組成物が投与される前に、少なくとも1日間待機する、請求項68に記載の組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
前述の開示は、理解を明確にするために説明及び例示としてある程度詳細に説明されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、特定の変更及び修正が実施されてもよいことを理解するであろう。加えて、本明細書に提供される各参照は、各参照が参照により個別に組み込まれているかのように、その全体が参照により組み込まれる。本出願と、本明細書に提供される参照との間に矛盾が存在する場合、本出願が支配するものとする。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、前記ウイルス感染症の治療を行う方法であって、前記方法は、治療有効量の式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を前記ヒトに投与することを含み、
【化16】

前記ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療中ではなく、それにより、前記ウイルス感染症を治療する、方法。
(項目2)
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量を受けることの、1日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の前記第1の用量を受けることの、10日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の前記第1の用量を受けることの、90日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の前記第1の用量を受けることの、365日以内は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記ウイルス感染症の前記治療中に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように、前記ヒトに指示することを更に含む、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用した後、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも10日間前記ヒトに待機するように指示することを更に含む、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記ヒトは、前記ウイルス感染症の前記治療中に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されない、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記ヒトは、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の第1の用量が前記ヒトに投与される時点で、50ng/mL未満の、血漿中又は血液中のクロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキン、デスエチルクロロキン、ヒドロキシクロロキン、デスエチルヒドロキシクロロキン、若しくはビデスエチルヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩である、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキン、又はその薬学的に許容される塩である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、クロロキンホスフェートである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、ヒドロキシクロロキン、又はその薬学的に許容される塩である、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記クロロキン、又はその類似体若しくは塩は、ヒドロキシクロロキンサルフェートである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記治療有効量の式Iの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与すること、
【化17】

を含む、項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記治療有効量の式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与すること、
【化18】

を含む、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記ヒトに、前記治療有効量の式Iaの前記化合物を投与すること、
【化19】

を含む、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、吸入により又は静脈内に投与される、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、静脈内に投与される、項目18に記載の方法。
(項目20)
式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、吸入により投与される、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記ヒトの体重は、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に200mgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される、項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
100mgの前記第2の用量は、更に1~5日間投与される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記ヒトの体重は、少なくとも40kgであり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に200mgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、100mgの第2の用量で静脈内に投与される、項目21又は22に記載の方法。
(項目24)
前記ヒトの体重は、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に5mg/kgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後4日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される、項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
2.5mg/kgの前記第2の用量は、更に1~5日間投与される、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記ヒトの体重は、3.5kg~40kg未満であり、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1日目に5mg/kgの前記第1の用量で静脈内に投与され、それ以後9日間の各々では、2.5mg/kgの第2の用量で静脈内に投与される、項目24又は25に記載の方法。
(項目27)
前記ウイルス感染症は、アレナウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、ニューモウイルス科、及びパラミクソウイルス科からなる群から選択されるウイルスによって引き起こされる、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記ウイルス感染症は、アレナウイルス科ウイルスによって引き起こされる、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記アレナウイルス科ウイルスは、ラッサウイルス又はフニンウイルスである、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記ウイルス感染症は、コロナウイルス科ウイルスによって引き起こされる、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記コロナウイルス科ウイルスは、SARSウイルス、SARS-CoV-2ウイルス、MERSウイルス、229Eウイルス、NL63ウイルス、OC43ウイルス、又はHKU1ウイルスである、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記コロナウイルス科ウイルスは、SARSウイルス、SARS-CoV-2ウイルス、又はMERSウイルスである、項目30に記載の方法。
(項目33)
前記コロナウイルス科ウイルスは、SARS-CoV-2ウイルスである、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも70%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、項目30~32のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも80%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、項目30~32、又は34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも90%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、項目30~32、34、又は35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記ウイルス感染症は、SARS-CoVポリメラーゼ、SARS-CoV-2ポリメラーゼ、及びMERSポリメラーゼからなる群から選択されるウイルスポリメラーゼに対して、少なくとも95%の配列相同性を有するウイルスによって引き起こされる、項目30~32、及び34~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記ウイルス感染症は、フィロウイルス科ウイルスによって引き起こされる、項目27に記載の方法。
(項目39)
前記フィロウイルス科ウイルスは、エボラウイルス又はマールブルグウイルスである、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記ウイルス感染症は、フラビウイルス科ウイルスによって引き起こされる、項目27に記載の方法。
(項目41)
前記フラビウイルス科ウイルスは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、又はジカ熱ウイルスである、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記フラビウイルス科ウイルスは、黄熱病ウイルスである、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記ウイルス感染症は、ニューモウイルス科ウイルスによって引き起こされる、項目27に記載の方法。
(項目44)
前記ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルス又はヒトメタニューモウイルスである、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスである、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記ウイルス感染症は、パラミクソウイルス科ウイルスによって引き起こされる、項目27に記載の方法。
(項目47)
前記パラミクソウイルス科ウイルスは、ニパウイルス又はパラインフルエンザウイルスである、項目46に記載の方法。
(項目48)
血漿中又は血液中の、式IIの化合物又はその薬学的に許容される塩の濃度を最適化することを、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、
【化20】

前記方法は、抗ウイルス化合物を、前記ヒトに投与することを含み、
前記ヒトは、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されておらず、
前記抗ウイルス化合物は、前記ヒトに投与されると、式IIの前記化合物に変換され、
血漿中又は血液中の、式IIの前記化合物の前記濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で最適化される、方法。
(項目49)
前記ヒトは、ウイルス感染症の治療の前、1日以内に、クロロキン又はその類似体を投与されていない、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記ヒトは、ウイルス感染症の治療の前、10日以内に、クロロキン又はその類似体を投与されていない、項目48に記載の方法。
(項目51)
前記ヒトは、前記抗ウイルス化合物の第1の用量が前記ヒトに投与される時点で、50ng/mL未満の、血漿中又は血液中の、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の濃度を有する、項目48に記載の方法。
(項目52)
前記ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの前記化合物の前記濃度は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩で治療された基準となるヒトにおける、式IIの化合物の第2の濃度よりも高い、項目48又は51に記載の方法。
(項目53)
前記抗ウイルス化合物は、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩である、項目48~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
血漿中又は血液中の、式IIの化合物、又はその薬学的に許容される塩の濃度を最適化することを、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、
【化21】

前記方法は、
(a)前記ヒトに、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することと、
【化22】

(b)前記ヒトにおける、血漿中又は血液中の、式IIの前記化合物の前記濃度を測定することと、
(c)式I、式Ia、又は式Ibの前記化合物の任意の残りの用量を調整して、前記ヒトにおける、血漿中又は血液中の式IIの前記化合物の前記濃度を最適化することと、を含む方法。
(項目55)
前記ヒトに、1日分の用量を投与することを含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記ヒトに、10日分の用量に投与することを含む、項目54に記載の方法。
(項目57)
ウイルス感染症の治療を必要とするヒトにおいて、前記ウイルス感染症を治療するために、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその薬学的に許容される塩の送達用量を決定する方法であって、
【化23】

前記方法は、
(a)式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の、元の用量を提供することと、
(b)前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていたかどうかを判定することと、
(c1)前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていた場合には、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の、前記元の用量を増加させることにより前記送達用量を決定すること、又は
(c2)前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を投与されていない場合には、前記送達用量として、式I、式Ia、若しくは式Ibの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の、前記元の用量を選択すること、を行うことと、を含む方法。
(項目58)
前記方法は、前記ウイルス感染症の前記治療の前、1日以内に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体を投与されたかどうかを判定することを含む、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記方法は、前記ウイルス感染症の前記治療の前、10日以内に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体を投与されたかどうかを判定することを含む、項目57に記載の方法。
(項目60)
式IIの化合物の形成を、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、前記方法は、前記ヒトに、治療有効量の式Iaの化合物を投与することと、前記ヒトに、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、を含み、式Iaの前記化合物は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩の非存在下で、式IIの前記化合物に代謝され、
式IIの前記化合物は、以下の構造を有し、
【化24】

式Iaの前記化合物は、以下の構造を有する、
【化25】

方法。
(項目61)
式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していた場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物を投与する前に、少なくとも1日間待機する、項目60に記載の方法。
(項目62)
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性の低下のリスクを低減する方法であって、
【化26】

前記方法は、
(a)前記ヒトが、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したかどうかを判定することと、
(b)前記ヒトに、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与することと、を含み、
それにより、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効性が低下するリスクを低減する、方法。
(項目63)
式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間待機する、項目62に記載の方法。
(項目64)
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける禁忌症を予防する方法であって、
(a)前記ヒトが、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用したかどうかを判定することと、
【化27】

(b)前記ヒトに、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩で治療している間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与することと、を含み、
それにより、前記ヒトにおける禁忌症を予防する、方法。
(項目65)
式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間待機する、項目64に記載の方法。
(項目66)
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する方法であって、
【化28】

前記方法は、
(a)前記ヒトが、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたかどうかを判定することと、
(b)前記ヒトに、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与することと、を含み、
それにより、式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効性を維持する、方法。
(項目67)
式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間待機する、項目61に記載の方法。
(項目68)
ウイルス感染症に罹患しているヒトにおける、血漿中の、式IIの化合物の濃度の低下のリスクを低減する方法であって、
【化29】

前記方法は、
(a)前記ヒトが、式Iaの化合物、又はその薬学的に許容される塩の投与前に、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたかどうかを判定することと、
(b)前記ヒトに、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されている間は、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用しないように指示することと、
(c)式Iaの前記化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記ヒトに投与することと、を含み、
【化30】

それにより、血漿中の、式IIの前記化合物の濃度が低下するリスクを低減する、方法。
(項目69)
式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に、前記ヒトが、クロロキン、又はその類似体若しくは塩を服用していたと判定される場合、前記ヒトは、式Iaの前記化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する前に、少なくとも1日間待機する、項目68に記載の方法。
【国際調査報告】