(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】連続繊維強化要素を有する強化構造物および強化構造物を作る方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/10 20060101AFI20230629BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B29C70/10
B29C70/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573490
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 US2021033858
(87)【国際公開番号】W WO2021242679
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508135080
【氏名又は名称】アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】フンク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ユング,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ,マーティン
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AA11
4F205AA13
4F205AA29
4F205AA32
4F205AA34
4F205AD16
4F205AG06
4F205AG07
4F205AG08
4F205HA02
4F205HA05
4F205HA19
4F205HA22
4F205HA34
4F205HA37
4F205HB01
4F205HB11
4F205HF05
4F205HT26
(57)【要約】
強化構造物が開示される。本構造物が、母材材料に埋設された連続繊維を有する強化要素から構成される。強化要素が母材材料内で組み合わされ、それにより、強化構造物の所望の形状を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面プロフィール(400、404、406、408、600、801、901)を有する強化構造物であって、
連続繊維強化フィラメント(105、205、307、510、705)と;
第1の母材材料(104、204、304、540、706)と
を備え、
前記連続繊維強化フィラメントが、繊維強化要素の長手方向軸に沿って前記第1の母材材料に埋設され、それにより連続繊維強化要素(100、200、300、500、702)を形成することを特徴とする、強化構造物。
【請求項2】
第2の母材材料(430、640)を備え、
前記連続繊維強化要素が前記第2の母材材料に埋設され、それにより前記断面プロフィールを形成する、請求項1に記載の強化構造物。
【請求項3】
前記第1の母材材料および前記第2の母材材料が異なる材料である、請求項2に記載の強化構造物。
【請求項4】
前記第1の母材材料および前記第2の母材材料が同じ材料である、請求項2に記載の強化構造物。
【請求項5】
前記断面プロフィールが、三角形、円形、長方形、およびT形からなる群から選択された形状を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の強化構造物。
【請求項6】
前記断面プロフィールが、三角形、円形、および長方形からなる群から選択された形状の中空エリアを囲む外側形状を有する、請求項5に記載の強化構造物。
【請求項7】
前記連続繊維強化要素が、三角形、円形、長方形、台形、および六角形からなる群から選択された断面形状を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の強化構造物。
【請求項8】
前記連続繊維強化要素が、他の連続繊維強化要素とインターロックするかまたは互いにかみ合うための外側形状を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の強化構造物。
【請求項9】
前記繊維強化要素が互いにインターロックされ、第2の母材材料に埋設される、請求項1から8のいずれか一項に記載の強化構造物。
【請求項10】
前記連続繊維強化要素が、0.4mm以上の直径を有する円形の断面形状を有する、請求項7または請求項9のいずれか一項に記載の強化構造物。
【請求項11】
前記連続繊維強化要素の繊維体積率が少なくとも35%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の強化構造物。
【請求項12】
前記断面プロフィールが管状である、請求項1に記載の強化構造物。
【請求項13】
前記連続繊維強化要素が、三角形、円形、長方形、台形、および六角形からなる群から選択された断面形状を有する、請求項12に記載の強化構造物。
【請求項14】
前記連続繊維強化要素が、0.4mm以上の直径を有する円形の断面形状を有する、請求項13に記載の強化構造物。
【請求項15】
前記連続繊維強化要素の繊維体積率が少なくとも35%である、請求項12から14のいずれか一項に記載の強化構造物。
【請求項16】
前記繊維強化要素(702、802、804、806、808、902、904、906、908)が、管状断面の直径(D)の弧セグメントである断面形状を有する、請求項12から15のいずれか一項に記載の強化構造物。
【請求項17】
前記強化構造物の管状構成を形成する繊維強化要素(802、804、806、808)と;
前記管状構成の外側表面の周りでその上に巻き付けられる一方向強化テープの巻線層(803)と、
を備える請求項16に記載の強化構造物。
【請求項18】
前記繊維強化要素の縁部の間に隙間(910)を有する、前記強化構造物の管状構成を形成する繊維強化要素(902、904、906、908)と;
前記管状構成の外側表面を囲み、前記隙間を埋める第2の母材材料(914)と;
前記第2の母材材料の外側表面の周りでその上に巻き付けられる、一方向強化熱可塑性テープの巻線層(903)と、
を備える請求項16に記載の強化構造物。
【請求項19】
請求項12に記載の管状の断面プロフィールを有する強化構造物を形成する方法であって:
前記管状断面の直径(D)の少なくとも2つの弧セグメントを形成する工程と;
前記少なくとも2つの弧セグメントを有する前記強化構造物の管状構成を形成する工程と;
前記形成された管状構成の外側表面の周りでその上に層を巻き付ける工程と、
を含む、方法。
【請求項20】
隣接する弧セグメントの縁部が接触ロケーションで互いに接触して互いに付着される、請求項19に記載の強化構造物を形成する方法。
【請求項21】
前記弧セグメントが、互いに付着されるためのインターロック要素である、請求項19に記載の強化構造物を形成する方法。
【請求項22】
前記管状構成を形成する隣接する弧セグメントの縁部の間に隙間が存在し、
母材材料を前記弧セグメントの外側表面上に適用する工程であって、前記母材材料が前記隙間を埋める工程、
を含む、請求項19に記載の強化構造物を形成する方法。
【請求項23】
巻線層が一方向強化熱可塑性テープである、請求項19から22のいずれか一項に記載の強化構造物を形成する方法。
【請求項24】
巻線層が一方向強化熱硬化性テープである、請求項19から22のいずれか一項に記載の強化構造物を形成する方法。
【請求項25】
予張力下で、所定の巻き付け供給幅で、および回転下で、前記巻線層を巻き付ける工程と、
前記テープの母材を融解させることおよび前記管状構成を加熱することを目的として前記巻線層を加熱する工程と、
を含む、請求項23または請求項24のいずれか一項に記載の強化構造物を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続繊維強化フィラメントを用いて強化されたプロフィールを有する熱可塑性構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、炭素、ガラス、アラミド、セラミック、またはバサルト繊維などを用いる、高弾性繊維複合材、さらには、例えば、熱硬化性のまたは熱可塑性のエラストマ、炭素、黒鉛、またはセラミックで作られた母材、および、関連の材料の使用においては、その材料に適する動力伝達のための適切な構築物を使用することを必要とする。材料が関係する(Material-related)は、繊維方向におけるおよび繊維方向を横断する方向における多様な機械的特性に関しての材料の異方性が狙い通りに使用される、ことを意味する。
【0003】
動力伝達のための繊維複合材料で作られたコネクティングロッドは、特に、誘導および機械的保管のために、支持のために、ブレーシングのために、または接続のために、使用される。繊維複合材料で作られたコネクティングロッドは何年も前から知られている。このようなコネクティングロッドは、限定されないが、好適には、航空機または宇宙船で使用される。例えば、航空機、回転翼航空機、飛行船、無人航空システム、ロケット、または衛星などの、飛行機および宇宙船のコネクティングロッドは、圧縮力および引張力の両方により主として軸方向において荷重を受ける。
【0004】
軽量化およびコスト削減の要求が増すにつれて、熱硬化性繊維複合材料で作られた管状ボディを有するストラットのための公知のデザインの可能性が制限される。
【0005】
熱可塑性構造物は、コネクティングロッドまたは引張・圧縮ストラットに採用され得、ここでは、大きい外形寸法を有するストラットが所定の設置空間内で実現され得る。
【0006】
熱硬化性母材の基体(basis)上で繊維強化パイプおよびプロフィールを使用する場合、しばしば、衝撃を原因とする積層のダメージを可能な限り小さく維持するという根本的な問題が存在する。問題のある衝撃ダメージに対しては、しばしば、コスト的に厳しい改善された樹脂システムが使用される。対照的に、熱硬化性母材材料を使用することは衝撃挙動に良い影響をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
繊維強化プロフィールのための生産コストは非常に高く、それでもプロフィール幾何形状も非常に制限される。熱硬化性母材を用いて作られたプロフィールは完成後に再成形され得ず、熱硬化性物質は熱可塑性物質と比較してより低質の衝撃挙動を有する。さらに、航空部門を含めた特定の環境で使用され得る、FST(火災、煙、および毒性)の認可(fire smoke and toxicity approval)を有する熱硬化性物質は限られた数しか存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術は、連続繊維強化フィラメントを用いて強化されたプロフィールを有する熱可塑性構造物を提供することができる。このプロフィールが、引張・圧縮ストラットおよび他の支持構造物用の基体を形成することができる。
【0009】
本開示の実施形態が、連続繊維強化フィラメントと、第1の母材材料とを有する、断面プロフィールを有する強化構造物を含む。連続繊維強化フィラメントが、繊維強化要素の長手方向軸に沿って第1の母材材料に埋設され、それにより連続繊維強化要素を形成する。
【0010】
いくつかの実施形態では、強化構造物が、第2の母材材料をさらに備える。連続繊維強化要素が第2の母材材料に埋設され、それにより断面プロフィールを形成する。
【0011】
一変形形態では、第1の母材材料および第2の母材材料が異なる材料である。別の変形形態では、第1の母材材料および第2の母材材料が同じ材料である。
【0012】
一態様では、強化構造物の断面プロフィールが、三角形、円形、長方形、およびT形からなる群から選択された形状を有することができる。実装形態では、断面プロフィールが、三角形、円形、および長方形からなる群から選択された形状の中空エリアを囲む外側形状を有する。
【0013】
別の態様では、連続繊維強化要素の断面プロフィールが、三角形、円形、長方形、台形、および六角形からなる群から選択された形状であってよい。特定の態様では、連続繊維強化要素が、0.4mm以上の直径を有する円形断面形状を有する。
【0014】
さらに別の態様では、強化構造物が、他の連続繊維強化要素とインターロックするかまたは互いにかみ合うための外側形状を有する連続繊維強化要素を有する。
【0015】
強化構造物が、少なくとも35%の連続繊維強化要素の繊維体積率を有することができる。
【0016】
特定の実施形態では、強化構造物が管状の断面プロフィールを有する。連続繊維強化要素が、三角形、円形、長方形、台形、および六角形からなる群から選択された断面形状を有することができる。一実装形態では、連続繊維強化要素が、0.4mm以上の直径を有する円形の断面形状を有する。管状の強化構造物のいずれでも、連続繊維強化要素の繊維体積率が少なくとも35%であってよい。
【0017】
管状の断面プロフィールを有する強化構造物の一態様では、繊維強化要素が、管状断面の直径(D)の弧セグメントである断面形状を有することができる。繊維強化要素が、強化構造物の管状構成を形成する。一方向強化テープの巻線層が弧セグメントの管状構成の外側表面の周りでその上に巻き付けられ得る。
【0018】
管状の断面プロフィールを有する強化構造物の別の態様では、繊維強化要素が、管状断面の直径(D)の弧セグメントである断面形状を有することができる。弧セグメントが、繊維強化要素の縁部の間に隙間を有する強化構造物の管状構成を形成する。母材材料が管状構成の外側表面を囲むことができ、隙間を埋めることができる。一方向強化熱可塑性テープの巻線層が母材材料の外側表面の周りでその上に巻き付けられ得る。
【0019】
本開示の実施形態が、管状断面の直径(D)の弧セグメントのうちの少なくとも2つの弧セグメントを形成する工程と、これらの少なくとも2つの弧セグメントを有する強化構造物の管状構成を形成する工程と、を含む、管状の断面プロフィールを有する強化構造物を形成する方法である。本方法が、形成された管状構成の外側表面の周りでその上に層を巻き付ける工程を含むことができる。
【0020】
強化構造物を形成する本方法の一態様では、隣接する弧セグメントの縁部が接触ロケーションで互いに接触して互いに付着される。特定の実装形態では、弧セグメントが、互いに付着されるためのインターロック要素である。
【0021】
強化構造物を形成する本方法の別の態様では、管状構成を形成する隣接する弧セグメントの縁部の間に隙間が存在し、本方法は、母材材料を弧セグメントの外側表面上に適用することを含み、母材材料が隙間を埋める。
【0022】
管状構成を有する強化構造物を形成する本方法の任意の態様では、外側表面の上に巻き付けられた層が、一方向強化熱可塑性テープであってよい。別法として、層が一方向強化熱硬化性テープである。これらの態様のいずれでも、本方法は、予張力下で、所定の巻き付け供給幅(winding feed width)で、および回転下で、層を巻き付ける工程と、接着を支援することを目的としてテープの母材および管状構成を融解させるために層を加熱する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】円形断面を有する繊維強化要素の断面プロフィールを示す図である。
【
図2】長方形断面を有する繊維強化要素の断面プロフィールを示す図である。
【
図4A】繊維強化要素から構成された構造要素の断面形状の実施例を示す図である。
【
図4B】繊維強化要素から構成された構造要素の断面形状の実施例を示す図である。
【
図4C】繊維強化要素から構成された構造要素の断面形状の実施例を示す図である。
【
図4D】繊維強化要素から構成された構造要素の断面形状の実施例を示す図である。
【
図5】インターロックする連続繊維強化要素の断面プロフィールを示す図である。
【
図6】
図5の少なくとも2つのインターロックする繊維強化要素を有する構造的管状要素の断面形状の詳細を示す図である。
【
図7】弧セグメントプロフィールを有する繊維強化要素の断面を示す図である。
【
図8】強化層と組み合わせて
図7の要素を使用した第1の強化管状構造物の断面プロフィールを示す図である。
【
図9】強化層と組み合わせて
図7の要素を使用した第2の強化管状構造物の断面プロフィールを示す図である。
【
図10】
図10Aは、強化管状構造物を実現することを目的として弧セグメントプロフィールを有する複数の繊維強化要素を固定するための輪状層を適用するための機構を示す図である。
図10Bは、強化管状構造物を実現することを目的として弧セグメントプロフィールを有する複数の繊維強化要素を固定するための輪状層を適用するための機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の「含む(comprising)」および「含む(comprises)」という用語は、「含む(including)」、「含む(includes)」、または「有する(having)」を意味することができるか、あるいは、米国特許法において「含む(comprising)」および「含む(comprises)」という用語に一般的に与えられる意味を有することができる。特許請求の範囲で使用される場合の「から実質的に構成される」という用語は、米国特許法においてこの用語に属する意味を有する。以下の開示において本発明の他の態様が説明されるかまたは以下の開示から本発明の他の態様が明らかとなる(本発明の範囲内にある)。
【0025】
「糸(thread)」、「繊維(fiber)」、「フィラメント(filament)」、および「紡ぎ糸(yarn)」という用語は、以下の記述では、互いに交換可能に使用される。本明細書で使用される、「糸」、「繊維」、「フィラメント」、および「紡ぎ糸(yarn)」は、モノフィラメント、マルチフィラメント糸(multifilament yarn)、撚り糸(twisted yarn)、マルチフィラメントトウ、テキスチャードヤーン(textured yarn)、編組糸(braided yarn)、コーテッドヤーン(coated yarn)、複合糸(bicomponent yarn)、さらには、当業者には公知である任意の材料で作られた紡ぎ糸(yarn)を意味し得る。紡ぎ糸(yarn)は、炭素、ガラス繊維、綿、アラミド、ポリアミド、ポリエステル、金属、ポリエチレン、ならびに/あるいは、所望の物理特性、熱特性、化学特性、または他の特性を呈する他の材料で作られ得る。
【0026】
「埋設(embedded)」および「封入(encapsulated)」という用語は互いに交換可能に使用される。
【0027】
本開示による繊維強化構造物は、強度および剛性などの機械的特性を向上させることを目的としてプロフィール断面が連続繊維強化要素で充填されることを特徴とすることができる。特定の用途では、この繊維強化構造物が、コネクティングロッドまたは引張・圧縮ストラットなどの支持部材のための断面プロフィールを提供することができ、ここでは、可能である最大の外形寸法を有するストラットが所定の設置空間内で実現され得る。
【0028】
図1が、繊維強化要素100の断面プロフィールを示す。円形の断面形状が示されるが、限定されないが、長方形、三角形、台形、六角形などを含めた他の断面形状も企図される。連続繊維強化要素が、少なくとも35%の繊維体積率を有することができる。繊維強化要素が母材104に埋設された連続繊維強化フィラメントを含み、繊維強化要素100の長さにわたって連続しており、断面プロフィールの全体に分布する。連続繊維強化要素100が、少なくとも0.40mmの直径を有することができる。
【0029】
繊維強化フィラメントが、限定されないが、織物、炭素、ガラス、バサルト、プラスチック、セラミック、アラミド、ポリエステル、ナイロン、およびレーヨンを含む材料から構成される。母材材料には、限定されないが、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が含まれる。織物が、織り繊維、組物、ニットファブリック、およびレイドファブリックを形成するための、ガラス、炭素、バサルト、セラミック、および/またはプラスチックで作られた単一の繊維フィラメントまたは粗糸を含む。
【0030】
熱可塑性の連続繊維強化要素が、例えば、連続繊維強化フィラメントが供給される引き抜きプロセスによって生産され得る。
【0031】
図2が、長方形断面を有し、および母材材料204に埋設された繊維強化フィラメント205を有する繊維強化要素200の連続的に繊維強化されたプロフィールの全体を示す。繊維強化要素の寸法が、12.7mm(0.5インチ)の幅×0.2mm(0.008インチ)の厚さ以上であってよい。
【0032】
図3が、母材材料304と、繊維310と織り合わされた織物強化フィラメント307と、を備える織り繊維強化要素300の断面を示す。半完成品の織物製品を使用することにより、繊維310を用いる要素300の長手方向軸に対して横方向において追加の強化が実現され得る。任意の形状が企図されることから、長方形の断面形状を有する要素300が便宜的に示される。楕円形状断面を有する織物強化フィラメント307が示されるが、他の形状も企図される。さらに、織物強化フィラメント307の形状が、圧縮力を受けるときに変えられ得る。
【0033】
織り繊維強化要素300が、本明細書で説明される任意の所望の断面プロフィールを有する強化構造物を形成するために組み合わされ得る。
【0034】
図4A~4Dが、本明細書において上で説明された繊維強化要素から構成され得る構造要素の断面形状の非限定の実施例を示す。円形の繊維強化要素が便宜的に示されるが、他の形状も企図される。
図4A~4Cの断面形状が外側形状であり、この外側形状は形状の周縁部である。つまり、構造用要素の周縁部が中空エリアHを囲む。
【0035】
図4Aが、母材材料430に埋設された繊維強化要素410から構成された円形の構造要素400を示す。上で考察した母材材料430は、繊維強化要素410内の母材材料と同じであってもまたは異なっていてもよい。
図4Bが、母材材料430に埋設された繊維強化要素410から構成された長方形の構造要素404を示す。
図4Cが、母材材料430に埋設された繊維強化要素410から構成された三角形の構造要素404を示す。
図4Dが、母材材料430に埋設された繊維強化要素410から構成されたT形の構造要素408を示す。
図4A~Dが、繊維強化要素から形成され得る構造要素の形状の実施例を示す。他の構造要素の形状も企図される。
【0036】
図5が、連続繊維強化フィラメント510と共に、インターロックする連続繊維強化要素500の断面図を示す。繊維強化フィラメントが、
図1に関連して上述したものに類似してよい。繊維強化フィラメントが要素500の長さに沿って一方向に存在することができ、母材材料540に埋設され得る。
【0037】
機能的な外側形状502の結果として、連続繊維強化要素500がインターロックするかまたは互いにかみ合うことができる。インターロックする要素500が、ヘッド部分504およびテール部分506を有する1つの考えられるインターロックする機能的な外側形状502を示す。ヘッド部分504が、
図6に示されるように、テール部分506とインターロックするようにまたはテール部分506内に収められるように成形される。ここで開示されるテクニックの発明の概念から逸脱することなく、当業者には公知であるインターロックする他の機能的な外側形状も企図される。
【0038】
図6が、少なくとも2つのインターロックする繊維強化要素500を有する強化構造物600の一実装形態を示す。繊維強化構造物600が、インターロックする繊維強化要素の母材材料540と同じであってよいかまたは異なっていてもよい、所望の外形602を形成するための、母材640内での少なくとも2つの繊維強化要素500をインターロックさせることにより、形成され得る任意の所望の外形を有することができる。
【0039】
図7が、母材材料706に埋設された繊維強化フィラメント705から構成された繊維強化要素702の別の実装形態の断面を示す。繊維強化要素702が円の弧セグメントであってよい。要素702の厚さWが1mmであってよいが、任意所望の厚さが形成されてよい。
【0040】
図8が、繊維強化要素802、804、806、808から形成された強化管状構造物801の断面を示す。繊維強化要素802、804、806、808の各々が、
図7に関連して上で考察するように形成される円の弧セグメントであってよい。要素802、804、806、808が、要素802、804、806、808の外側で巻線層803によって囲まれて接触され得る、直径Dを有する円を形成する。示されるように、各繊維強化要素802、804、806、808が、4分の1の(90度の)弧セグメントである。2つ以上の繊維強化要素が存在し得ることから、
図8の図示は説明に好都合なものである。さらに、これらの要素は任意の大きさの弧の角度であってよく、弧の角度の大きさは必ずしも等しくない。
【0041】
要素802、804、806、808が、管状構造物を形成するために接触ロケーション810で組み立てられ得る。要素802、804、806、808が、当業者には公知の任意の公知の機構により、接触ロケーション810において互いに付着され得る。別法として、弧セグメントが、弧セグメントの内側表面上の、接着剤などのための付着ポイントを用いて、マンドレル上に予め固定され得る。さらに、要素802、804、806、808が、
図5に関連して上で考察したようにインターロックする要素であることにより、互いに付着され得る。巻線層803が、後で説明されるように、形成された管状構造物の周りに巻き付けられた一方向強化熱可塑性テープを使用して、形成され得る。
【0042】
図9が、繊維強化要素902、904、906、908から形成された強化管状構造物901の断面を示す。繊維強化要素902、904、906、908の各々が、
図7に関連して上で考察したように形成された円の弧セグメントであってよい。要素902、904、906、908が、弧セグメントの間に隙間910を有する円を形成する。母材材料914が隙間910を埋めることができ、さらに、要素の外側において、要素を囲んで接触することができ、これが、共押出プロセスまたは他の公知の手段によって達成され得る。巻線層903が、母材材料914の外側を囲んで母材材料914の外側に接触することができる。巻線層903が、後で説明されるように、形成された管状構造物の周りに巻き付けられた一方向強化熱可塑性テープまたは一方向強化熱硬化性テープを使用して、形成され得る。2つ以上の繊維強化要素が存在し得ることから、
図9の図示は説明に好都合なものである。さらに、これらの要素は任意の大きさの弧の角度であってよく、弧の角度の大きさは必ずしも等しい必要はない。
【0043】
図10Aが第1のプロセス工程を示しており、ここでは、弧セグメント要素802、804、806、808であってよい弧セグメント要素1002がマンドレル1007上に位置決めされる。
【0044】
図10Bが第2のプロセス工程を示しており、ここでは、マンドレル1007上に位置決めされた弧セグメント要素1002が、一方向強化熱可塑性テープ1012で作られた巻線層1003によって強化される。巻線層1003が例えば熱可塑性巻線によって生産された輪状巻線として示され、ここでは、熱源1008がテープ1012の母材を融解させ、予張力1010下で、所定の巻き付け供給幅1011で、および回転1009下で、層が巻き付けられる。輪状巻線により、弧セグメント要素が管状ボディ内で固定されて強固なものとされる。巻線層は綾巻き層(cross-wound layer)であってもよい。綾巻き層を用いる場合、巻線層が、弧セグメントの長手方向軸に対して約90°の角度で、輪状巻線から逸脱する。例えば、テープの綾巻き層が、弧セグメントの長手方向軸に対して±45°で巻き付けられ得る。他の巻き角も企図される。巻線層が1つの層であってもよし、2つ以上の層であってもよい。
【0045】
巻き付けプロセスは不連続であってもよいし連続であってもよい。連続する巻き付けの事例では、弧セグメント要素が共押出によって予め固定され得る。別法として、管状構造物の弧セグメントが、繊維強化要素を製作する中間工程なしで直接に引き抜かれ得る。さらに、不連続の巻き付けとは対照的に、構成要素ではなく巻き装置(winder)が回転することになる。連続の巻き付けの事例は、マンドレルを排除するには予め固定することを行うことで十分となり得る。
【0046】
以下の特許請求の範囲内で他の実装形態も存在する。
【国際調査報告】