(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】包装材料及び経口用袋状製品
(51)【国際特許分類】
A24B 13/00 20060101AFI20230629BHJP
A24B 15/16 20200101ALI20230629BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574253
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2021063799
(87)【国際公開番号】W WO2021244892
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510171922
【氏名又は名称】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・エルフストランド
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ボディン
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB02
4B043BB10
4B043BB22
4B043BB25
4B043BC18
4B043BC28
(57)【要約】
本発明は、充填材料を封入するための、経口用袋状製品において使用するための包装材料に関する。その包装材料は、繊維を含む唾液透過性不織布材料である。その包装材料は湿式不織布材料であり、又は別の方法では、繊維がカーディングされ、かつ不織布材料が水流交絡されており、又は別の方法では、繊維がカーディングされ、かつ包装材料が30g/m2以下の坪量を有する。繊維の50%~100%がセルロース系ステープル繊維であり、かつ繊維の0%~50%が熱可塑性繊維であり、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものである。その包装材料は更に、包装材料の総質量のwt%として少なくとも10%のバインダーを含む。本発明はまた、そのような包装材料を含む経口用袋状製品に関する。本発明は更に、経口用袋状製品のための包装材料を製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材料を封入するための、経口用袋状製品において使用するための包装材料であって、前記包装材料が、繊維を含む唾液透過性湿式不織布材料であり、
前記繊維の50%~100%がセルロース系ステープル繊維であり、かつ
前記繊維の0%~50%が熱可塑性繊維であり、
ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものであり、
前記包装材料が更に、前記包装材料の総質量のwt%として少なくとも10%のバインダーを含む、包装材料。
【請求項2】
充填材料を封入するための、経口用袋状製品において使用するための包装材料であって、前記包装材料が、カーディングされた繊維を含む唾液透過性不織布材料であり、前記不織布材料が水流交絡されており、
前記繊維の50%~100%がセルロース系ステープル繊維であり、かつ
前記繊維の0%~50%が熱可塑性繊維であり、
ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものであり、
前記包装材料が更に、前記包装材料の総質量のwt%として少なくとも10%のバインダーを含む、包装材料。
【請求項3】
充填材料を封入するための、経口用袋状製品において使用するための包装材料であって、前記包装材料が、カーディングされた繊維を含む唾液透過性不織布材料であり、
前記繊維の50%~100%がセルロース系ステープル繊維であり、かつ
前記繊維の0%~50%が熱可塑性繊維であり、
ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものであり、
前記包装材料が更に、前記包装材料の総質量のwt%として少なくとも10%のバインダーを含み、
前記包装材料が30g/m
2以下の坪量を有する、包装材料。
【請求項4】
前記繊維の55%~99%、好ましくは58%~95%、より好ましくは65%~85%、最も好ましくは70%~80%がセルロース系ステープル繊維であり、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項5】
前記繊維の1%~45%、好ましくは5%~42%、より好ましくは15%~35%、最も好ましくは20%~30%が熱可塑性繊維であり、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項6】
前記繊維が、前記セルロース系ステープル繊維及び前記熱可塑性繊維からなる、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項7】
前記セルロース系ステープル繊維、前記熱可塑性繊維及び前記バインダーからなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項8】
25g/m
2以上、好ましくは27g/m
2以上、より好ましくは29g/m
2以上の坪量を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項9】
前記セルロース系ステープル繊維が、天然セルロース繊維又は人工セルロース系繊維、例えばレーヨン、リヨセル又はビスコースなどの再生セルロース繊維である、請求項1から8のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項10】
前記セルロース系ステープル繊維が、3.3デシテックス以下、好ましくは1.7デシテックス以下、より好ましくは1.3デシテックス以下、最も好ましくは1.1デシテックス以下の線密度を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項11】
前記セルロース系ステープル繊維が、2~15mmの範囲内、好ましくは3~12mmの範囲内、より好ましくは5~8mmの範囲内の長さを有する、請求項1、又は請求項1に従属する場合の請求項4から10のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項12】
前記熱可塑性繊維が、PP、PLA、PET、PP/PE、PLA/co-PLAのうちの1つ又は複数である、請求項1から11のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項13】
前記熱可塑性繊維が、2~15mmの範囲内、好ましくは3~12mmの範囲内、より好ましくは5~8mmの範囲内の長さを有する、請求項1、又は請求項1に従属する場合の請求項4から12のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項14】
前記熱可塑性繊維が、4.4デシテックス以下、好ましくは2.2デシテックス以下、より好ましくは1.7デシテックス以下、最も好ましくは1.3デシテックス以下の線密度を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項15】
前記熱可塑性繊維が、110~260℃の範囲内、好ましくは130~170℃の範囲内、好ましくは140~165℃の範囲内に融点を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項16】
前記バインダーが、前記包装材料の総質量の20%~60%、好ましくは前記包装材料の総質量の25%~55%、より好ましくは前記包装材料の総質量の30%~50%、最も好ましくは前記包装材料の総質量の35%~45%を構成する、請求項1から15のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項17】
充填材料及び唾液透過性の袋を含む経口用袋状製品であって、前記袋が前記充填材料のポーションを封入し、前記袋が請求項1から16のいずれか一項に記載の包装材料を含むか又はそれのみからなり、前記包装材料は前記ポーションを封入するために少なくとも1つのシールでシーリングされている、袋状製品。
【請求項18】
前記熱可塑性繊維が前記シールにおいて少なくとも部分的に溶融され、好ましくは実質的に溶融されている、請求項17に記載の袋状製品。
【請求項19】
経口用袋状ニコチン含有製品、経口用袋状タバコ製品及び/又は経口用袋状ニコチン非含有製品である、請求項17又は18に記載の袋状製品。
【請求項20】
充填材料を封入するための、経口用袋状製品において使用するための包装材料を製造する方法であって、前記包装材料が、繊維を含む唾液透過性不織布材料であり、前記繊維の50%~100%がセルロース系ステープル繊維であり、かつ前記繊維の0%~50%が熱可塑性繊維であり、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものであり、
前記方法が、前記繊維を用意する工程、前記繊維を湿式にて堆積させる工程、及びバインダーを、前記包装材料の総質量のwt%として前記包装材料が少なくとも10%の前記バインダーを含むように供給することにより、前記繊維を結合させる工程を含み、
前記方法が更に、前記繊維を水流交絡する任意の工程を含んでもよく、好ましくは前記水流交絡する工程が前記バインダーを供給する工程の前に実施される、方法。
【請求項21】
充填材料を封入するための、経口用袋状製品において使用するための包装材料を製造する方法であって、前記包装材料が、繊維を含む唾液透過性不織布材料であり、前記繊維の50%~100%がセルロース系ステープル繊維であり、かつ前記繊維の0%~50%が熱可塑性繊維であり、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものであり、
前記方法が、前記繊維を用意する工程、前記繊維をカーディングする工程、前記繊維を水流交絡する工程、及びバインダーを、前記包装材料の総質量のwt%として前記包装材料が少なくとも10%の前記バインダーを含むように供給することにより、前記繊維を結合させる工程を含み、好ましくは前記水流交絡する工程が前記バインダーを供給する工程の前に実施される、方法。
【請求項22】
充填材料を封入するための、経口用袋状製品において使用するための包装材料を製造する方法であって、前記包装材料が、繊維を含む唾液透過性不織布材料であり、前記繊維の50%~100%がセルロース系ステープル繊維であり、かつ前記繊維の0%~50%が熱可塑性繊維であり、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものであり、
前記方法が、前記包装材料が30g/m
2以下の坪量を有する量の前記繊維を用意する工程、前記繊維をカーディングする工程、及びバインダーを、前記包装材料の総質量のwt%として前記包装材料が少なくとも10%の前記バインダーを含むように供給することにより、前記繊維を結合させる工程を含み、
前記方法が更に、前記繊維を水流交絡する任意の工程を含んでもよく、好ましくは前記水流交絡する工程が前記バインダーを供給する工程の前に実施される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填材料を封入するための、経口用袋状製品(パウチ製品)における使用のための包装材料に関する。本発明はまた、そのような包装材料を含む経口用袋状製品に関する。本発明は更に、経口用袋状製品のための包装材料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経口用無煙タバコ製品は、タバコの葉、例えばタバコの葉の葉身及び葉柄から作られる。根及び茎由来の材料は通常、経口用無煙タバコ組成物の製造には利用されない。経口用無煙タバコとしては、噛みタバコ、乾燥スナッフ及び湿潤(ウェット)スナッフが挙げられる。
【0003】
湿潤スナッフ(かぎたばこ)には、アメリカ型及びスカンジナビア型の2種類がある。スカンジナビア型の湿潤スナッフはまた、スヌースとも呼ばれる。アメリカ型の湿潤スナッフは、一般的に、湿った粒状の又は切断されたタバコの発酵過程により製造される。スカンジナビア型の湿潤スナッフ(スヌース)は、一般的に、発酵の代わりに熱処理過程(低温殺菌)を用いて製造される。両方の過程が未処理タバコの苦みを低減し、またタバコの質感を柔らかくし、これが湿潤スナッフの製造に未処理タバコが用いられない主な理由となる。上記熱処理はまた、タバコ調製物内の微生物の少なくとも一部を分解、破壊又は変性するためにも行われる。
【0004】
経口用湿潤スナッフのアメリカ型及びスカンジナビア型の両方が、ばらばらの形態で利用可能であり、又は袋を形成する唾液透過性の多孔質包装材料にポーションパックされる。袋状の、スヌースを含む湿潤スナッフは、典型的には、その袋を上側又は下側の歯茎と唇との間に配置し、限定された時間、そこでそれを保持することで消費者に用いられる。袋材料がタバコを所定の位置に保持し、一方で唾液にタバコを通過させ、香味料及びニコチンをタバコ材料から消費者の口に拡散させる。
【0005】
経口用袋状製品において用いられる袋材料はまた、包装材料とも呼ばれ、唾液透過性の不織布である。不織布は、織られても編まれてもいない布である。
【0006】
公知の手法によれば、いくつかの異なる方法を、ウェブにおいて繊維を合わせて結合させるために用いることができ、ウェブ固定(consolidation)とも呼ばれる。異なる種類の結合方法が、機械的結合(例えばニードルパンチ、ステッチ結合、水流交絡)、化学的結合(例えば飽和結合、噴霧結合、フォーム結合、粉末結合、印刷結合)、及び熱的結合(例えば熱カレンダーにおけるポイント結合)に分類されうる。不織布を固定するために複数の結合方法を用いることができる。化学的結合では、結合剤又は接着剤とも呼ばれるバインダーを、繊維と組み合わせる。この種の不織布は、通常、化学的結合不織布又は接着結合不織布と呼ばれる。
【0007】
経口用袋状製品は、袋形成後に後湿潤化されてもよく、袋形成後に後湿潤化されなくてもよい。後湿潤化されていない経口用袋状製品は、本明細書において、非後湿潤化と呼ばれる。後湿潤化された袋状製品は、上記袋状製品を缶に包装する前に上記袋状製品上に水を噴霧することで製造されうる。湿潤スナッフ又は半乾燥スナッフを含む最終的な袋状製品の含水率は、通常、上記袋状製品の質量(即ち充填材料及び袋材料の総質量)に基づいて25から55%w/wの範囲内である。
【0008】
いずれのタバコ材料も含まない経口用袋状製品(経口用パウチ製品)もまたある。代わりに、上記袋状製品は非タバコ植物材料及び/又は充填剤を含みうる。
【0009】
上記袋状製品への少量のタバコの添加により、低タバコ袋状製品が提供される。従って、少量のタバコに加えて、上記袋状製品は非タバコ植物材料及び/又は充填剤を含む。
【0010】
経口用ニコチン非含有袋状製品の例及びその製造は、WO2007/126361及びWO2008/133563に提供されている。この種の経口用非タバコ袋状製品は、ばらばらの形態で提供されてもよく、袋を形成する唾液透過性の多孔質包装材料にポーションパックされてもよい。
【0011】
タバコ含有量のない又は低い袋状製品についてはそこにニコチンが添加されるが、充填材料のニコチンは、合成ニコチン及び/又はタバコ植物からのニコチン抽出物でありうる。更に、上記ニコチンは、ニコチン塩基及び/又はニコチン塩の形態で存在しうる。ニコチン塩は遊離であってよく、即ちそれは、上記製品の他の成分と、その成分と化学的に結合することなく混合される。更に、又は別の方法では、上記ニコチン塩は、上記充填材料の1つ又は複数の成分と化学的に結合しうる。例えば、上記ニコチン塩は、アルギネート粒子又はセルロースと結合しうる。
【0012】
本明細書で用いられる場合、用語、経口用袋状製品は、上記製品の使用に関する。上記袋状製品は、使用者の口の上側及び下側の歯茎と唇との間に快適で目立つことなく適合するように構成される。従って、本明細書で用いられる用語としての経口用袋状製品は、タバコを有する製品であってもよく、タバコを有しない製品であってもよい。
【0013】
本明細書に記載される経口用袋状製品は、乾燥していてもよく、半乾燥していてもよく、湿っていてもよい。通常、経口用乾燥袋状製品は10wt%(質量%)未満の含水率を有し、経口用湿潤袋状製品は40wt%を上回る含水率を有する。経口用半乾燥袋状製品は、10wt%及び40wt%の間の含水率を有する。
【0014】
上記経口用袋状製品は、製造の間に上記充填材料に香味料を混合することで風味付けされうる。更に、又は別の方法では、上記香味料は、それが製造された後に上記袋状製品に添加されてよい。
【0015】
袋状製品(パウチ製品)は、上記充填材料のポーションを計量し、そのポーションを不織布チューブに挿入することで製造することができる。
【0016】
US4,703,765は、細かく分割されたタバコ製品、例えばスナッフタバコ等の正確な量を、チューブ状の包装材料に包装し、そこにはスナッフポーションが注入管を介して注入される、装置を開示している。上記管から下流には、包装材料の横シーリングのための溶接手段が配置され、また包装材料を横シールの領域で分け、それにより分離した又は個々のポーション包装を形成するための切断手段が配置される。
【0017】
別の方法では、袋状製品は、US6,135,120に開示された装置に従った袋包装機を用い、充填材料のポーションを不織布ウェブ上に配置することにより製造されてよい。
【0018】
個々のポーションはシールされて切断分離され、それにより長方形の「枕型」(又はいずれかの他の望ましい形態)の袋状製品を形成する。通常、それぞれの最終的な袋状製品は、向かい合う端の平行な横シール、及び横シールに直交する縦シールを含む。上記シールは、一方で消費者の体験を妨げることなく、使用の間、袋状製品の完全性を保つのに十分に強くなければならない。袋状製品は、通常、使用者の口の上側及び下側の歯茎と唇との間に快適で目立つことなく適合するように採寸及び構成される。
【0019】
袋状製品のための包装材料としては、典型的には、使用者の口腔に配置された場合、強度と快適さとの間にトレードオフがある。包装材料は袋状製品の外側を形成し、従って口腔、典型的には歯及び歯茎の間と接触する。包装材料の強度は、望ましくは、包装材料自体の製造の間、袋状製品の製造の間、及び口腔での使用における袋状製品について、包装材料を取り扱うのに十分高くあるべきである。従って、袋状製品のシールは十分強いことが重要である。そのうえ包装材料は、望ましくは、袋状製品が使用者の口腔に配置された場合に快適であるのに十分柔軟であるべきである。一般的に用いられる包装材料は、しばしば、特に袋状製品において包装材料により封入される充填材料、例えば無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物に含まれる強烈な香味料に晒された場合に、袋状製品のシール強度が望ましい強度よりも低いという問題を抱えていることがある。
【0020】
唾液透過性の袋が粒子状非タバコ材料及びニコチン源を含む充填材料を封入している袋状製品を製造する場合、包装材料に対する要求は、タバコを含む充填材料の袋状製品に関してよりも、漏出の回避のため、より高くなる。これは、充填材料の個々の要素、例えば粒子がより小さく、それによってより容易に包装材料を通過することができる、即ちより容易に漏出しうるためである。
【0021】
漏出は、もしあるとすると、種々の方法で問題を生じうる。充填材料の粒子は、結局はシールに行き着くことから、製品の製造の間の漏出は、シールの質が下がりそれによりシール強度を低下させることを引き起こしうる。更に、製造機械における残留物の蓄積がありうる。これらは製造ライン上で後ろに落ちることがあり、例えば結局は製品の外側又はシールに行き着く。更に、残留物は、それらが例えば空気中に広がりうることから、作業環境に良くない。
【0022】
更に、漏出は、袋状製品が缶とも呼ばれる容器に配置された場合、袋状製品のその後の取り扱いの間に起こることがある。例えば、容器は、輸送の間及び使用者に持ち運ばれる際に振とうされうる。そして、充填材料が袋から缶に漏出しうる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】WO2007/126361
【特許文献2】WO2008/133563
【特許文献3】US4,703,765
【特許文献4】US6,135,120
【特許文献5】EP1803443A2
【特許文献6】EP3192380A1
【特許文献7】WO2012/069505
【特許文献8】WO2017/093486A1
【特許文献9】WO2012/134380
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Federal Register/ vol.74, no. 4/712-719/ Wednesday, January 7, 2009/Notices ”Total moisture determination”
【非特許文献2】AOAC (Association of Official Analytical Chemics), Official Methods of Analysis 966.02: “Moisture in Tobacco” (1990), Fifth Ed., K. Helrich (ed)
【非特許文献3】“Introduction to Nonwovens Technology”, Subhash K. Batra, Behnam Pourdeyhimi, 2012, ISBN No 978-1-60595-037-2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、従来技術に関連する問題のいくつかを克服するか又は少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
定義
「タバコ」により、タバコ(Nicotiana)属のあらゆる種のあらゆる部分、例えば葉、葉柄及び茎が意味される。タバコは、全体であっても、細断されていても、叩かれていても、切断されていても、粉砕されていても、保存処理されていても、熟成されていても、発酵されていても、又はいずれかの他の方法で処理されていても、例えば粒状化若しくはカプセル化されていてもよい。
【0027】
用語「タバコスナッフ組成物」は、本明細書において、細かく分割されたタバコ材料、例えば粉砕タバコ材料又は切断タバコに用いられる。タバコ材料に加えて、タバコスナッフ組成物は、更に、以下:水、塩(例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及びそれらのいずれかの組み合わせ)、pH調整剤、香味剤、冷却剤、加熱剤、甘味剤、着色剤、保湿剤(例えばプロピレングリコール又はグリセロール)、抗酸化剤、防腐剤(例えばソルビン酸カリウム)、バインダー、崩壊助剤のうちの少なくとも1つを含みうる。1つの例では、無煙スナッフ組成物は、細かく分割されたタバコ材料、塩、例えば塩化ナトリウム、及びpH調整剤を含むか又はそれらからなる。タバコスナッフ組成物は、乾燥していてもよく、湿っていてもよい。タバコスナッフ組成物は、歯及び歯茎の間に用いられうる。
【0028】
「非タバコ組成物」は、いずれのタバコ材料も含まない、タバコスナッフ組成物と類似の方法又は同じ方法で用いられうる組成物である。タバコの代わりに、非タバコ組成物は非タバコ植物繊維及び/又は充填材料を含みうる。加工された繊維、例えば微結晶性セルロース繊維もまた用いられうる。充填材料は、粒子形態で存在しうる。例えば、充填材料は、粒子状充填材料、例えば微結晶性セルロースの粒子でありうる。非タバコ組成物は、ニコチンを含んでもよく、即ちそれは、ニコチン含有非タバコ組成物であってよい。別の方法では、非タバコ組成物は、ニコチンを含まないか又は実質的にニコチンを含まなくてもよく、即ちそれは、ニコチン非含有非タバコ組成物であってよい。本明細書で用いられる場合、語句「実質的にニコチンを含まない」とは、上記組成物の総乾燥質量に基づいて1質量パーセント以下のニコチン量を意図する。
【0029】
「口腔」及び「経口」は、全ての文脈で、口腔での使用、例えば頬への配置のための記載として本明細書において用いられる。そして、上記製品は、口腔内、例えば歯茎と上唇又は下唇との間への配置を意図され、それにより上記製品が全体として口腔に含まれる。上記製品は飲み込むことを意図したものではない。
【0030】
本明細書で用いられる場合、「袋状製品」(パウチ製品)、「経口用袋状製品」(経口用パウチ製品)又は「経口袋状製品」(経口パウチ製品)とは、経口用途、例えば口腔での頬への配置による用途を意図された唾液透過性の袋材料に包装された充填材料、例えば無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物のポーションを言うことができる。上記袋状製品は、別の方法では、経口用ポーションパック(袋状)製品と呼ばれうる。そして、用語「ポーション」とは、ポーションパック製品に適切な上記充填材料の量を言う。
【0031】
本明細書で用いられる場合、用語「含水率」とは、言及される調製物、組成物又は製品におけるオーブンで揮発する成分、例えば水及び他のオーブンで揮発する物質(例えばプロピレングリコール)の総量を言う。含水率は、本明細書において、言及される調製物、組成物又は製品の総質量の質量パーセント(wt%)として与えられる。いくつかの繊維材料は吸湿性を示しうる。吸湿性材料は、周囲の湿度及び温度に応じて平衡含水率を維持する。本明細書で上述した含水率は、Federal Register/ vol.74, no. 4/712-719/ Wednesday, January 7, 2009/Notices ”Total moisture determination”及びAOAC (Association of Official Analytical Chemics), Official Methods of Analysis 966.02: “Moisture in Tobacco” (1990), Fifth Ed., K. Helrich (ed)の文献参照に基づいた方法を用いて測定されうる。この方法では、含水率は、水分の蒸発前かつ脱水の完了後に、2.5±0.25gの試料を採取し、22℃の温度及び60%の相対湿度(RH)であるものとして本明細書に規定される周囲条件にて試料を量ることにより、重量測定法で測定される。(言及した文献参照のようなオーブン及び計りの代わりに)ハロゲン加熱手法の計りであるMettler Toledo社の湿度分析計HB43が、本明細書で与えられる値で用いられる。試料は(言及した文献参照のような99.5±0.5℃の代わりに)105℃に加熱される。90秒の時間枠の間の質量変化が1mg未満の場合、測定は停止される。そして、試料の質量パーセントとしての含水率が、湿度分析計HB43により自動的に計算される。
【0032】
「香味料」又は「香味剤」は、本明細書において、上記袋状製品の匂い及び/又は味に影響を与えるために用いられる物質に用いられ、これらに限定されないが、精油、単一香味料化合物、配合香味料、及び抽出物が挙げられる。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「%w/w」、「w/w%」、「wt%」、「質量%(weight%)」又は「質量%(% by weight)」とは、言及される調製物、組成物又は製品の総質量のうちの言及される成分の質量パーセントを言う。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「乾燥質量パーセント」、「質量%、乾燥質量に基づいて」等への言及は、含水率を除いた、乾燥成分、即ち言及される調製物、組成物又は製品の全ての成分の総質量に基づいた、言及される成分の質量パーセントを言う。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「湿潤質量パーセント」、「質量%、湿潤質量に基づいて」等への言及は、含水率を含む、成分、即ち言及される調製物、組成物又は製品の全ての成分の総質量に基づいた、言及される成分の質量パーセントを言う。従って、本明細書で用いられる「質量%、総質量に基づいて」は、「質量%、湿潤質量に基づいて」と同じである。
【0036】
本明細書で用いられる場合、用語「経口用袋状ニコチン製品」又は「経口袋状ニコチン製品」とは、経口用に意図された唾液透過性袋材料に包装されたニコチン含有充填材料のポーションを言う。経口袋状ニコチン製品の2つの例は、経口袋状ニコチン非タバコ製品及び経口袋状低タバコニコチン製品である。
【0037】
本明細書で用いられる場合、用語「経口袋状ニコチン非タバコ製品」、「経口袋状タバコ非含有ニコチン製品」又は「タバコを含まない経口袋状ニコチン製品」とは、その製品にタバコが含まれていない、経口用に意図された唾液透過性袋材料に包装されたニコチン含有充填材料のポーションを言う。
【0038】
本明細書で用いられる場合、用語「経口袋状低タバコニコチン製品」とは、その製品に、上記充填材料の総質量に基づいて約0.1質量%から約10質量%、又は約0.1質量%から約5質量%の範囲内のタバコ材料の量が含まれる、経口用に意図された唾液透過性袋材料に包装されたニコチン含有充填材料のポーションを言う。
【0039】
本明細書で用いられる場合、用語「非粒子状」とは、粒子形態でない成分を言う。例えば、本明細書に記載される香味剤は、非粒子状の香味剤、例えば液体、油又はそれらの混合物であってよい。
【0040】
本明細書で用いられる場合、用語「粒子状非タバコ材料」とは、粒子を含む非タバコ材料を言う。粒子は50から500μmの範囲内の平均粒子径を有してよい。
【0041】
例示の微結晶性セルロースは、加水分解、典型的には強い鉱酸、例えば塩化水素での加水分解により、精製セルロース原料の非晶質(繊維セルロース)領域を除去することによって得られた微結晶凝集体を含む高度に結晶性の粒子状セルロースとして、EP1803443A2に記載されている。上記酸加水分解過程は、大部分が粗粒子凝集体の微結晶性セルロースを製造し、典型的には約15から250μmの範囲の平均サイズを有する。そのような微結晶性セルロースは、本明細書に記載された製品における充填材料として用いられるのに適している。
【0042】
測定方法
シール強度 - 一般
シール強度を乾燥状態又は湿った状態の試料のいずれかで試験することができる。試料を、袋状製品を作製する製造機から取り出すことができる。そのような製品は、通常、チューブ状構造を形成する1つの縦シール、及び製品の両端の横シールを有する。別の方法では、シールを実験室スケールで調製することができる。その場合には、EP3192380A1の段落[0136]に記載された方法で、材料の細長い一片を折り畳んでそれ自身をひとつにまとめる。
【0043】
次いで、シール強度を、EP3192380A1の段落[0137]に記載された方法又は本明細書に記載されるシール強度についてのCORESTA法で測定する。両方の方法で、袋状製品に作製された第1の横シール、即ち充填材料に最初に晒されるシールを測定する。
【0044】
シール強度 - CORESTA法
CORESTAは、タバコに関する科学的研究のための協力センター(Cooperation Centre for Scientific Research Relative to Tobacco)の略である。シール強度についてのCORESTA法は、以下を含む。
1.全ての材料を袋から取り除き、縦シール試料として、及び横シール試料としてはできるだけ端の近くで、試料を10mm±1mmに裁断する。袋形態が変化しうるため、調製したそれぞれの横シール試料について用紙に幅を記録する。調製した試料の幅は一致するべきである。袋に作製された第1の横シール、即ち充填材料に最初に晒されるシールが測定されるものである。
2.試験前に、22℃±1℃、60%±3%RHの条件に24時間試料を置く(湿式測定には不要)。
3.はさむ部分(ジョー)の間隙を15mm±0.1mmになるように設定する。用紙に分離間隔を記録する。
4.引張速度を20mm/分に設定し、用紙に速度を記録する。
5.可能な限り、0.1Nの推奨される予備荷重を用いる。
6.(最大荷重を記録しない場合は)可能であれば横シールの値についての平均荷重を測定し、縦シールについて最大荷重を測定する。用紙に値を記録する。
7.湿式測定については、横シール又は縦シールの試験前に、試料を脱塩水に60分間浸漬する。用紙に値を記録する。
【0045】
通気性
EDANA、即ち欧州不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association)により規定された試験方法WSP070.1.R3(12)に従い、通気性を測定する。
【0046】
細孔面積
包装材料の細孔サイズとも表される細孔面積を、顕微鏡Zeiss Stemi 2000-C、AxioCam ERc5sを関連するソフトウェアZen Coreとともに用いて測定する。1.6倍を用いて不織布(3cm×3cm)の通常の白黒画像を取得する。Zen Coreソフトウェアにて、自動測定及び社内の細孔面積法を用いて画像解析を行う。細孔面積法では、RGBヒストグラム(0~255)における着色区分けを行い、繊維のボイドを検出する。赤色の閾値を0~99に、緑色を0~107に、青色を0~136に設定して過飽和を避ける。ボイドの面積及びそれぞれのボイドの半径を計算する。次いで、標準的な式を用いて細孔面積を計算することができる。
【0047】
包装材料からの粉末漏出量
ふるい分けを用いて包装材料からの粉末漏出量を評価する。包装材料を346cm2の大きさを有するシートに裁断し、2つのふるい分け用ふるいの間に固定する。ふるいの隙間は、粉末にふるいを通過させるのに十分大きく、それぞれ2mm及び1.5mmである。ふるい分け用ふるいを底板に接続する。40gの粉末を一番上のふるいに添加する。ふるいの積み重ねを蓋に接続し、Retch社の水平ふるい振とう機AS400コントロールを用いて5分、238rpmでふるい分けする。その後、底板の質量を量り、包装材料からふるい分けされたZYN粉末の量を得る。粉末は、Swedish Match社により販売される市販製品「ZYN Citrus Mini dry」に用いられている充填材料である。成分は、充填剤(E965、E460、E414)、酸性調整剤(E500)、安定剤(E463)、ニコチン酒石酸水素塩、香味剤、甘味剤(E950)である。従って、粉末は、製品「ZYN Citrus Mini dry」に用いられている充填材料である。従って、粉末は、特に粒子状非タバコ材料及びニコチン源を含む。
【0048】
製品からの粉末漏出量
充填材料のポーション、及び本明細書に記載される包装材料からなる唾液透過性の袋を含むポーションパック袋状製品について、製品からの粉末漏出量を測定する。製品の質量は約400mgである。タンブリングにより漏出量を評価する。試験製品の充填材料は、上述したSwedish Match社により販売される製品「ZYN Citrus Mini dry」におけるものと同じである。17製品を含む缶をふるい分け用ふるい上に配置する。ふるい分け用ふるいを蓋及び底板に接続する。次いで、Retch社の水平ふるい振とう機AS400コントロールを用いて2分間、300rpmで缶をタンブリングする。タンブリング後、一対のピンセットで缶から製品を静かに取り除き、次いで、粉末とともに缶の質量を量る。空の缶の質量を差し引き、粉末の質量を得る。評価されるそれぞれの材料について、3つの缶について繰り返し行う。
【0049】
開示
本開示の目的は、従来技術の不利益の少なくとも1つを克服するか若しくは改善すること、又は有用な代替手段を提供することである。
【0050】
上記目的は、請求項1、2、3、17、20、21及び/又は22のいずれか一項の対象により達成されうる。実施形態が、添付の従属請求項及び明細書に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、充填材料を封入するための、経口用袋状製品における使用のための包装材料に関する。
【0052】
上記包装材料は、繊維を含む唾液透過性湿式不織布材料である。別の方法では、上記包装材料は、カーディングされた繊維を含む唾液透過性不織布材料であり、上記不織布材料が水流交絡されている。別の方法では、上記包装材料は、カーディングされた繊維を含む唾液透過性不織布材料であり、上記包装材料が30g/m2以下の坪量を有する。
【0053】
本明細書に記載される包装材料については、異なる代替手段においても上述されており、上記繊維の50%~100%がセルロース系ステープル繊維であり、かつ上記繊維の0%~50%が熱可塑性繊維であり、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものである。上記包装材料は、更に、包装材料の総質量のwt%として少なくとも10%のバインダーを含む。
【0054】
本明細書に記載される包装材料を利用することで、包装材料及びシールの両方にとって適切な強度を有し、そのうえ袋状製品が使用者の口腔に配置された場合に快適であるのに十分柔軟な経口用袋状製品を製造することができる。
【0055】
上記袋状製品(パウチ製品)は、経口用袋状ニコチン含有製品、経口用袋状タバコ製品及び/又は経口用袋状ニコチン非含有製品でありうる。
【0056】
上記袋状製品は、例えばWO2012/069505に記載されるように、容器に不規則に配置されてもよく、ある様式で配置されてもよい。上記容器は、典型的には10~30個の範囲の製品、例えば20~25個の範囲の製品を含む、経口用袋状製品のための使用者容器でありうる。本明細書に開示される使用者容器は、その消費者包装をポケット又はハンドバッグに都合よく持ち運ぶのに適合した形及び大きさを有する消費者包装であり、いずれかの公知の種類の経口用袋状製品を包装するために用いられうる。
【0057】
本発明の包装材料を利用することで十分に強いシールを作製することができ、熱シーリングにより作製されるシールよりも典型的にはよりいっそう狭い超音波シーリングにより作製されるシールについても同様である。シール強度は、更に、上記製品が1つ又は複数の強烈な香味料を含む場合にも十分に強いほど十分に高い。
【0058】
一般的に用いられる包装材料は、しばしば、袋状製品のシール強度が望ましい強度よりも低いという問題を抱えていることがある。いくつかの香味料は、上記充填材料、例えば無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物材料に含まれており上記包装材料によって袋状製品に封入されているが、公知の手法により作製された袋状製品についてのシール強度、特に経時的なシール強度に潜在的な悪影響を有しうることが知られており、これは製品の保存に際してシールの破裂をもたらしうる。特に、低下したシール強度は、湿った袋状製品にとって問題である。本明細書に記載される包装材料の強度及びシール強度は、袋状製品のために一般的に用いられる包装材料よりもそのような香味料に耐えるように適合されうる。
【0059】
更に、本発明の包装材料及び経口用袋状製品については、包装材料からの充填材料の漏出量が、許容される水準に保持される。更に、包装材料の特性、例えば通気性及び/又はメディアン細孔サイズが、望ましい水準内となるように選択されうる。
【0060】
上記バインダーは、袋状製品のための包装材料に一般的に用いられる種類でありうる。上記バインダーは、例えば、以下のモノマー、例えば酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸エチルのうちのいずれかの重合により形成される、1つ又はいくつかのビニルポリマー/コポリマーのエマルションに分類されうる。そのようなバインダーは、例えばテキスト“Introduction to Nonwovens Technology”, Subhash K. Batra, Behnam Pourdeyhimi, 2012, ISBN No 978-1-60595-037-2の第10章により、当業者に公知である。
【0061】
本発明の包装材料が、第1の代替手段に記載されるように唾液透過性湿式不織布材料である場合、不織布材料は、更に、水流交絡(hydroentangle)されていてもよい。そして、バインダーを供給する前に水流交絡する工程を実施することが好ましいであろう。
【0062】
本発明の包装材料が、第2の代替手段に記載されるようにカーディングされた繊維を含む唾液透過性不織布材料である場合は、不織布材料が水流交絡されていることを開示しており、バインダーを供給する前に水流交絡する工程を実施することが好ましいであろう。
【0063】
本発明の包装材料の全ての繊維のうち、上記セルロース系繊維は、好ましくは繊維質量の55%~99%、好ましくは58%~95%、より好ましくは65%~85%、最も好ましくは70%~80%を構成することができ、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものである。セルロース系繊維のみを用いること、即ち上記熱可塑性繊維を完全に除外することもまた適している。
【0064】
本発明の包装材料の全ての繊維のうち、熱可塑性繊維は、繊維質量の1%~45%、好ましくは5%~42%、より好ましくは15%~35%、最も好ましくは20%~30%を構成することができ、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものである。熱可塑性繊維を完全に除外することもまた適している。
【0065】
本発明の包装材料の繊維は、セルロース系ステープル繊維及び熱可塑性繊維からなっていてもよい。更なる繊維を添加することもまた適しているであろう。
【0066】
上記包装材料は、セルロース系ステープル繊維、熱可塑性繊維及びバインダーからなっていてもよい。
【0067】
上記包装材料の坪量(basis weight)は、坪量(grammage)としても知られており、25g/m2以上、より好ましくは27g/m2以上、最も好ましくは29g/m2以上であってもよい。包装材料の坪量の上限は、45g/m2、42g/m2又は40g/m2であってもよい。上記の第3の代替手段に記載されるように、カーディングされた繊維を含むが、不織布材料が水流交絡されていない本発明の包装材料については、包装材料は30g/m2以下の坪量を有する。
【0068】
上記セルロース系繊維は、天然セルロース繊維であってもよく、人工セルロース系繊維、例えばレーヨン、リヨセル又はビスコースのような再生セルロース繊維であってもよい。テンセルはリヨセルのブランド名である。
【0069】
上記セルロース系繊維は、柔軟であり、比較的非弾性であり、及び/又は吸湿性であることが知られている。従って、上記包装材料に望ましい機械的特性を与えることができ、それにより包装材料は、その包装材料自体の製造の間及び/又は袋状製品の製造の間に取り扱いが容易となり、そのうえ袋状製品が使用者の口腔に配置された場合に快適となる。更に、これらの繊維は親水性であり、袋状製品に用いられる場合に有利となる。
【0070】
人工繊維は、その化学組成、構造、及び特性が製造過程の間に大きく改変された繊維である。それらはポリマーからなる。人工繊維は、天然繊維とは区別される。天然繊維もまたポリマーからなるが、それらは比較的変更のない状態の製造過程から生じる。
【0071】
いくつかの人工繊維は天然に存在するポリマーに由来し、例えばレーヨン、リヨセル又はビスコースはセルロース繊維に由来する。しかしながら、そのセルロースは、原料源、例えば木材と比べて徹底的に変更された状態で得られ、更に、人工セルロース系繊維へと再生されるために改変される。そのような繊維、例えばレーヨン、リヨセル又はビスコースは、再生セルロース繊維として知られている。
【0072】
よりいっそう大きい人工繊維の別の群は、合成繊維である。合成繊維は、天然には存在しないが代わりに例えば化学工場又は実験室で完全に製造されるポリマーからなる。
【0073】
上記セルロース系ステープル繊維は、3.3デシテックス以下、好ましくは1.7デシテックス以下、より好ましくは1.3デシテックス以下、最も好ましくは0.9デシテックス以下の線密度を有しうる。
【0074】
本発明の包装材料が、第1の代替手段に記載されるように唾液透過性湿式不織布材料である場合、上記セルロース系ステープル繊維は、2~15mmの範囲内、好ましくは3~12mmの範囲内、より好ましくは5~8mmの範囲内の長さを有しうる。
【0075】
本発明の包装材料が、第2及び第3の代替手段に記載されるようにカーディングされた繊維を含む場合、上記セルロース系ステープル繊維は、30~80mmの範囲内、好ましくは38~60mmの範囲内の長さを有しうる。一般的に用いられる長さは38、40、60及び80mmである。
【0076】
上記熱可塑性繊維はPP、PLA、PET、PP/PE、PLA/co-PLAのうちの1つ又は複数でありうる。ここでPPはポリプロピレンを意味し、PLAはポリ乳酸を意味し、PETはポリエチレンテレフタレートを意味し、PEはポリエチレンを意味する。PP/PEは複合繊維、例えば芯にPP、鞘にPEを有する鞘/芯複合繊維である。PLA/co-PLAは複合繊維、例えば芯にPLA、鞘にcoPLAを有する鞘/芯複合繊維である。
【0077】
上記熱可塑性繊維は、上記セルロース系繊維と比べて同じ長さを有してもよく、異なる長さを有してもよい。2つ以上の熱可塑性繊維が用いられる場合、それらは同じ長さを有してもよく、異なる長さを有してもよい。
【0078】
本発明の包装材料が、第1の代替手段に記載されるように唾液透過性湿式不織布材料である場合、上記熱可塑性繊維は、2~15mmの範囲内、好ましくは3~12mmの範囲内、より好ましくは5~8mmの範囲内の長さを有しうる。
【0079】
本発明の包装材料が、第2及び第3の代替手段に記載されるようにカーディングされた繊維を含む場合、上記熱可塑性繊維は、30~80mmの範囲内、好ましくは38~60mmの範囲内の長さを有しうる。一般的に用いられる長さは38、40、60及び80mmである。
【0080】
上記熱可塑性繊維は、4.4デシテックス以下、好ましくは2.2デシテックス以下、より好ましくは1.7デシテックス以下、最も好ましくは1.3デシテックス以下の線密度を有しうる。
【0081】
上記熱可塑性繊維は、110~260℃の範囲内、好ましくは130~170℃の範囲内、好ましくは140~165℃の範囲内の融点を有しうる。これにより、これらの繊維は、シールにおいて少なくとも部分的に溶融され、好ましくは実質的に溶融されることになり、それにより十分なシール強度を与える。
【0082】
上記バインダーは、包装材料の総質量の20%~60%、好ましくは包装材料の総質量の25%~55%、より好ましくは包装材料の総質量の30%~50%、最も好ましくは包装材料の総質量の35%~45%を構成しうる。
【0083】
上記包装材料は、シールが超音波溶接により作製されると仮定して、少なくとも0.2N/mm、好ましくは少なくとも0.25N/mm、より好ましくは少なくとも0.3N/mm、最も好ましくは少なくとも0.35N/mmの乾燥シール強度を有しうる。これらの水準は、製品に十分なシール強度を供給するために見出された。乾燥シール強度の値は、本明細書の他の場所に更に詳しく開示されるシール強度についてのCORESTA法で測定されうる。
【0084】
上記包装材料は、EDANA、即ち欧州不織布協会により規定された試験方法WSP070.1.R3(12)に従って測定される場合、4000l/m2/s以下、好ましくは3500l/m2/s以下、より好ましくは3000l/m2/s以下の通気性を有しうる。通気性は、包装材料の多孔性と関連しており、従ってまた、その充填材料を漏出する傾向とも関連している。
【0085】
上記包装材料は、300μm2以下、好ましくは250μm2以下、より好ましくは200μm2以下、最も好ましくは150μm2以下のメディアン細孔サイズを有しうる。上記包装材料の平均細孔サイズは、その充填材料を漏出する傾向と関連している。
【0086】
上記包装材料は、本明細書に記載される包装材料からの粉末漏出量についての方法により測定される場合、400mg以下、好ましくは200mg以下、より好ましくは100mg以下、最も好ましくは50mg以下、又は更に20mg以下の粉末漏出量を有しうる。
【0087】
本発明はまた、経口用袋状製品に関する。袋状製品(パウチ製品)は、充填材料及び唾液透過性の袋を含む。袋は、上記充填材料のポーションを封入しており、これは使用者に適した大きさのポーションを構成することを意図されている。袋は、本明細書に記載される包装材料を含むか又はそれからなり、包装材料はポーションを封入するために少なくとも1つのシールでシーリングされている。
【0088】
それにより、上記シールが、口腔で用いられる製品のために適切なシール強度を有することが確認された。上記包装材料について上に記載された利点は、上記袋状製品についても適用可能である。
【0089】
上記包装材料をシーリングする2つの主な方法、即ち熱シーリング及び超音波溶着があるが、本明細書に記載される包装材料は、両方について有利である。しかしながら、他の方法もまた用いられてよい。超音波溶着に適した方法及び装置は、充填材料のポーションを封入する包装材料をシーリングしてポーションパック袋状製品を提供するためのシーリング装置に関するWO2017/093486A1に開示されている。この文献は更に、ポーションパック袋状製品の製造のための手配に関し、その手配はそのようなシーリング装置を含む。この文献はまた、袋状製品のポーションパック方法に関する。
【0090】
上記熱可塑性繊維は、シールにおいて少なくとも部分的に溶融され、好ましくは実質的に溶融されうる。
【0091】
上記袋状製品は、経口用袋状ニコチン含有製品、経口用袋状タバコ製品及び/又は経口用袋状ニコチン非含有製品でありうる。
【0092】
本明細書に記載される測定方法で製品として試験される場合、上記袋状製品は、本明細書に記載される製品からの粉末漏出量についての方法により測定される場合に100mg以下、好ましくは50mg以下、より好ましくは25mg以下、最も好ましくは10mg以下、又は2mg以下の粉末漏出量を有しうる。
【0093】
経口袋状製品(経口パウチ製品)とも呼ばれる経口用袋状製品の例は、充填材料、及び充填材料を封入する包装材料からなる唾液透過性の袋を含み、充填材料が
- 粒子状非タバコ材料、
- ニコチン源、
- 上記充填材料の総質量に基づいて1wt%から45wt%(質量%)の範囲内の量の水、及び
- pH調整剤(例えばNa2CO3、K2CO3、NaHCO3及び/又はKHCO3を含む)
を含む。
【0094】
上記袋状製品は、タバコを含まなくてよく、即ち経口袋状ニコチン非タバコ製品であってよい。
【0095】
別の方法では、上記経口袋状製品は、少量のタバコ材料を含んでよく、それにより経口袋状低タバコニコチン製品が提供される。経口袋状低タバコニコチン製品のタバコ材料の量は、上記充填材料の総質量に基づいて約0.1質量%から約10質量%の範囲内、例えば約0.1質量%から約5質量%、例えば約0.1wt%から約1wt%でありうる。この少量のタバコの存在は、製品のpHに影響を与えず、本明細書に記載される経口袋状タバコ非含有製品により示されるものとは実質的に異なるであろう。
【0096】
上記タバコ材料は、本明細書に記載される形態で提供されうる。
【0097】
更に、上記タバコ材料は、精製タバコ材料、例えば漂白タバコ材料又はタバコ抽出物であってよい。
【0098】
本明細書に記載されるタバコ材料は、1つ、2つ又はそれより多い粒子状非タバコ材料を含みうる。
【0099】
本明細書に記載される袋状製品の充填材料の水の量は、充填材料の総質量に基づいて約0.5wt%から約12wt%の範囲内、例えば約0.5wt%から約5wt%、例えば約3wt%の量で存在しうる。本明細書に記載されるように水の量が約0.5wt%から約12wt%、又は約0.5wt%から約3wt%の範囲内である場合、袋状製品は、乾燥している、即ち乾燥袋状製品であると考えられうる。
【0100】
別の方法では、本明細書に記載される袋状製品の充填材料の含水率は、充填材料の総質量に基づいて約20wt%から約50wt%の範囲内、例えば20wt%から45wt%でありうる。本明細書に記載されるように水の量が約20wt%から約45wt%の範囲内である場合、袋状製品は、湿っている、即ち湿った袋状製品であると考えられうる。
【0101】
本明細書に記載される袋状製品の充填材料は、充填材料の総質量に基づいて約30wt%から約90wt%の範囲内、例えば約30wt%から約85wt%、例えば約30wt%から約80wt%、例えば約60wt%から約90wt%で粒子状非タバコ材料を含みうる。
【0102】
上記粒子状非タバコ材料は、水に不溶であってもよく、水溶性であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
【0103】
上記粒子状非タバコ材料は、糖アルコール、例えばマルチトール、及び/又はセルロース、例えば微結晶性セルロース及び/又は粉末セルロースを含むか又はそれらからなりうる。例えば、上記粒子状非タバコ材料は、マルチトール及び/又は微結晶性セルロースを含んでよい。
【0104】
更に、又は別の方法では、本明細書に記載される袋状製品の充填材料は、トウモロコシ繊維、オート麦繊維、トマト繊維、大麦繊維、ライ麦繊維、サトウダイコン繊維、ソバ繊維、小麦繊維、エンドウ繊維、ジャガイモ繊維、リンゴ繊維、ココア繊維、竹繊維、かんきつ類繊維、及びそれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択される1つ又は複数の水に不溶な繊維を含みうる。1つの例では、水に不溶な繊維は、非タバコ粒子材料の一部を形成してよい。
【0105】
上記充填材料は、1つ、2つ又はそれより多いニコチン源を含みうる。
【0106】
本明細書に記載される袋状製品の充填材料は、充填材料の総質量に基づいて約1.0質量%から約10質量%の範囲内のニコチン源を含みうる。
【0107】
上記ニコチン源は、ニコチン塩及び/又はニコチン塩基でありうる。ニコチン源、例えばニコチン塩基は、イオン交換樹脂、例えばポラクリレックスに、例えば塩橋を介して結合されうる。別の方法では、又は更には、上記イオン交換樹脂は、上記ニコチン源、例えばニコチン塩基のための固体支持体として機能しうる。
【0108】
ニコチン塩基、例えば油性液体の形態のものは、合成的に製造されてもよく、タバコから抽出されてもよい。
【0109】
上記ニコチン源は、ニコチン塩、例えばニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、及びニコチンサリチル酸塩、並びにそれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択されるニコチン塩でありうる。
【0110】
特に、上記充填材料は、ニコチン酒石酸水素塩及び/又はニコチン酒石酸水素塩二水和物でありうる。
【0111】
袋状製品(パウチ製品)当たりのニコチン源、例えばニコチン塩及び/又はニコチン塩基の量は、ニコチン塩基として計算されたニコチン約0.1mgから約20mgの範囲内、例えばニコチン約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg、約3.5mg、約4.0mg、約4.5mg、約5.0mg、約6.0mg、約7.0mg、約8.0mg、約9.0mg、約10mg、約12mg、約14mg、約16mg、約18mg又は約20mgでありうる。
【0112】
本明細書に開示される袋状製品における充填材料のニコチン塩は、固体形態及び/又は溶解形態で存在するニコチン塩でありうる。
【0113】
本明細書に開示されるニコチン源は、本明細書に開示される粒子状非タバコ材料上に吸着されてもよく、吸着されなくてもよい。語句「上に吸着される」とは、非タバコ粒子材料の外表面にニコチン源が付着することを意味することが理解されるであろう。ニコチン源が非タバコ粒子材料上に吸着される場合、ニコチン源は、その非タバコ粒子材料のいずれのボイドにも実質的に浸透することなく、その非タバコ粒子材料の外表面に付着する。
【0114】
別の方法では、又は更には、本明細書に開示されるニコチン源は、本明細書に記載されるタバコ材料中に及び/又は本明細書に記載されるタバコ材料上に吸着されうる。
【0115】
本明細書に記載される袋状製品の充填材料は、更に、香味剤を含んでよい。充填材料は、1つ、2つ又はそれより多い香味剤を含んでよい。例えば、香味剤は非カプセル化剤であってよい。更に、又は別の方法では、香味剤はカプセル化されていてよい。非カプセル化香味剤及びカプセル化香味剤は、同じであってもよく、異なっていてもよい。本明細書で用いられる場合、カプセル化香味剤とは、カプセル内に含まれる香味剤である。従って、非カプセル化香味剤は、カプセル内に含まれていない。
【0116】
本明細書に開示される袋状製品における充填材料の香味剤は、疎水性香味剤であってよい。
【0117】
本明細書に記載される袋状製品の充填材料の香味剤は、油、液体、凍結乾燥材料、噴霧乾燥材料、又はそれらの混合物であってよい。1つの例では、上記香味剤は油及び/又は液体である。
【0118】
本明細書に記載される袋状製品の充填材料は、充填材料の総質量に基づいて約0.5質量%から約3質量%の範囲内の香味剤を含んでよい。
【0119】
記載される袋状製品の充填材料は、保湿剤、例えばポリプロピレングリコールを含んでよい。
【0120】
本明細書に記載される袋状製品においては、粒子状非タバコ材料、ニコチン源、水、pH調整剤、任意選択により場合によってタバコ材料、任意選択により場合によって香味剤、及び任意選択により場合によって保湿剤が均一に混合されうる。
【0121】
WO2012/134380は、遊離塩形態のニコチンを含む袋、即ち経口用袋状ニコチン含有非タバコ製品を開示している。その製品は、少なくとも1つの遊離ニコチン塩の粉末、少なくとも1つのpH調整剤及び少なくとも1つの充填剤、並びに水に不溶な袋を含み、その袋は唾液透過性であり、その中に粉末の一部が溶解される。そのような粉末は、本明細書に記載される製品中の充填材料として用いられるのに適している。
【0122】
本明細書に開示される袋状製品は、口腔での使用、例えば頬への配置による(例えば袋状製品を上側又は下側の歯茎と唇又は頬との間に配置することによる)使用が意図されており、従って、経口用ポーションパック(袋状)製品と呼ばれうる。袋状製品は、使用者の口の上側又は下側の歯茎と唇又は頬との間に快適で目立つことなく適合するように採寸及び構成される。
【0123】
本明細書に開示される袋状製品は、楕円形の形状、例えば(上記製品が平面に配置された場合に上から見たときに)実質的に長方形である形状を有しうる。そのような場合、上記製品の縦方向は、実質的に長方形である製品の長さに対応し、上記製品の横方向は、実質的に長方形である製品の幅に対応する。
【0124】
上記袋状製品(充填材料及び包装材料を含む)の総質量は、約0.3から約1.5gの範囲内でありうる。
【0125】
本明細書に記載される袋状製品の充填材料は、粉末又は粒状で提供されうる。従って、上記包装材料からなる唾液透過性の袋で封入された充填材料は、非圧縮形態で提供されうる。
【0126】
上記袋状(即ちポーションパック)製品は、例えばWO2012/069505に記載されるように、容器に不規則に配置されてもよく、ある様式で配置されてもよい。別の方法では、又は更には、それぞれの袋状製品はサシェ中に配置されてよい。
【0127】
本発明は、更に、経口用袋状製品のための包装材料を製造する方法に関し、包装材料が、繊維を含む唾液透過性不織布材料であり、繊維の50%~100%がセルロース系ステープル繊維であり、かつ繊維の0%~50%が熱可塑性繊維であり、ここで%の数字は21℃、50%RHにおける繊維の総質量に基づくものである。包装材料は、更に、上記包装材料の総質量のwt%として少なくとも10%のバインダーを含む。
【0128】
上記方法は、繊維を用意する工程、繊維を湿式にて堆積させる工程、及びバインダーを供給することにより繊維を結合させる工程を含む。その方法は、更に、繊維を水流交絡する任意の工程を含んでよく、好ましくは水流交絡する工程がバインダーを供給する工程の前に実施される。
【0129】
別の方法は、繊維を用意する工程、繊維をカーディングする工程、繊維を水流交絡する工程、及びバインダーを供給することにより繊維を結合させる工程を含み、好ましくは水流交絡する工程がバインダーを供給する工程の前に実施される。
【0130】
もう1つの別の方法は、包装材料が30g/m2以下の坪量を有するような量の繊維を用意する工程、繊維をカーディングする工程、及びバインダーを供給することにより繊維を結合させる工程を含む。その方法は、更に、繊維を水流交絡する任意の工程を含んでよく、好ましくは水流交絡する工程がバインダーを供給する工程の前に実施される。
【0131】
本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される包装材料を製造するために有用である。上記包装材料は、典型的には、包装材料のウェブとして製造される。
【0132】
添付の特許請求の範囲の範囲内での本発明の更なる改変が適している。従って、本発明は、本明細書に記載される実施形態及び図面により限定されるものとして考慮されるべきではない。むしろ、本発明の全範囲は、明細書及び図面を参照しつつ添付の特許請求の範囲により決定されるべきである。
【国際調査報告】